JP2004356414A - 位置計測方法及び装置、露光方法及び装置、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみを用いて基板の位置情報を計測できるようにする。
【解決手段】ウエハWには直線状輪郭として従来から形成されているオリエンテーションフラットOF以外に、表裏判別用のサブオリエンテーションOF1,OF2が形成されている。プリアライメントにおいてオリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1のみの撮像結果が得られた場合には、各々の近似直線L11,L12を求め、ウエハWの中心に対するオリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1の設計上の距離G1,G2だけ近似直線L11,L12の各々をウエハWの中心に向けて移動させ、その交点C2をウエハWの中心と推定する。
【選択図】 図12
【解決手段】ウエハWには直線状輪郭として従来から形成されているオリエンテーションフラットOF以外に、表裏判別用のサブオリエンテーションOF1,OF2が形成されている。プリアライメントにおいてオリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1のみの撮像結果が得られた場合には、各々の近似直線L11,L12を求め、ウエハWの中心に対するオリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1の設計上の距離G1,G2だけ近似直線L11,L12の各々をウエハWの中心に向けて移動させ、その交点C2をウエハWの中心と推定する。
【選択図】 図12
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置計測方法及び装置、露光方法及び装置、並びにプログラムに係り、特に基板等の物体の位置情報を計測する位置計測方法及び装置、当該位置計測方法を用いる露光方法及び当該位置計測装置を備える露光装置、並びに当該露光装置の制御用コンピュータに基板等の物体の位置情報を計測させるプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合には「マスク」という)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等の感光剤が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する露光装置が用いられている。露光装置としては、いわゆるステッパ等の静止露光型の投影露光装置や、いわゆるスキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置が主として用いられている。かかる露光装置においては、露光に先立ってレチクルとウエハとの位置合わせ(アライメント)を高精度に行う必要がある。この高精度な位置合わせを行うためには、高い精度でウエハの位置を計測する必要があり、このために種々の位置計測技術が提案されている。
【0003】
上述した露光装置においては、レチクルとマスクとの高い重ね合わせ精度を確保するために、エンハンスト・グローバル・アライメント(以下、「EGA」という)といわれるアライメント方法が用いられている。このEGAは、ウエハの移動を規定する基準座標系(ウエハステージの移動座標系)上におけるウエハ上の各ショット領域の配列座標位置を、該ウエハをウエハステージにのせた状態で高精度に計測し、この計測結果に基づいて位置合わせ(詳細(ファイン)アライメント)を行うものである。具体的には、ウエハ内の数箇所のファインアライメントマーク(回路パターンとともに転写された詳細位置合わせマーク)を計測し、この計測結果に対して最小二乗近似等の処理を施して各ショット領域の配列座標を求める。そして、露光時においては、得られた配列座標に応じてウエハステージをステッピング移動させ、ウエハステージの精度に任せてウエハステージの位置合わせを行う。
【0004】
上記のEGAのためには、ウエハ上の所定箇所に形成されたファインアライメントマークを高倍率で観測する必要があるが、高倍率で観測を行うときには必然的に観測視野が狭くなる。ところが、もしウエハをウエハステージにロードする際に、ウエハがウエハステージに対して大きくずれた状態でロードされると、ウエハ上のファインアライメントマークが観測視野内に入らないという問題がある。そこで、狭い観測視野で確実にファインアライメントマークを捉えるために(ウエハをウエハステージ上の所望の位置(向き)にロードするために)、ファインアライメントに先立ってウエハの外縁(エッジ)の位置を観察し、この観察結果に基づいてウエハの基準位置(例えば、中心位置)及びウエハの中心軸回りの回転量を計測し、この計測結果に基づいて所定の精度でウエハを位置合わせしながらウエハステージ上へロードするためのプリアライメントが行われる。
【0005】
ウエハの外縁の一部にはV字形状切り欠き(ノッチ)又は直線的な切り欠き(オリエンテーションフラット)が形成されており、プリアライメントではこれらを観察してウエハの基準位置及び回転量を計測している。なお、このプリアライメントは、露光装置のみならず、ウエハに形成されたパターンの重ね合わせ精度を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンの線幅を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンのマクロ的(巨視的)な欠陥を検査する検査装置、その他の検査装置において、検査対象のウエハを所定の精度で位置合わせするために用いられる。従来のプリアライメント方法の詳細は、例えば以下の特許文献1,2を参照されたい。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第02/061367号パンフレット
【0007】
【特許文献2】
国際公開第02/033352号パンフレット
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年のデバイスの製造においては、主として高集積化又は高機能化のために、ウエハの表面のみならずウエハの裏面に対しても露光処理(パターンの転写処理)が行われるようになってきた。上述した従来技術では、ウエハの表面に対するパターン転写のみを想定していたため、プリアライメントにおいては上述したノッチ又はオリエンテーションフラットを用いてウエハの基準位置及び回転量を計測するだけで充分であった。なお、ウエハにオリエンテーションフラットが形成されている場合には、オリエンテーションフラットの異なる二箇所の撮像結果と、オリエンテーションフラット以外の曲線状輪郭の一部の撮像結果とを用いて上記の基準位置及び回転量が計測されている。
【0009】
ウエハの表面及び裏面にパターンの転写が行われる状況においては、ウエハの表裏判別を行うために、従来から形成されているオリエンテーションフラットの形成箇所以外の1箇所又は2箇所に他のオリエンテーションフラット(サブオリエンテーションフラット)が形成されたウエハが用いられる。このようなウエハを用いてプリアライメントを行う場合に、ウエハが表面を上側にして配置されているときにはオリエンテーションフラットを所定の位置に配置すれば曲線状輪郭の一部も撮像されることになるため従来の方法を用いてウエハの位置情報等を計測することができる。
【0010】
しかしながら、ウエハが裏面を上側にして配置されているときには、曲線状輪郭が撮像されるべき位置にサブオリエンテーションフラットが配置されて撮像されることがあり、オリエンテーションフラットとサブオリエンテーションフラットのみが撮像されて曲線状輪郭の撮像結果が得られない場合がある。かかる場合には、ウエハの位置情報等を計測することができないという問題があった。
【0011】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみを用いて基板の位置情報を計測できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、この項に示す説明では、本発明を、実施形態を表す図面に示す部材符号に対応付けて説明するが、本発明の各構成要件は、これら部材符号を付した図面に示す部材に限定されるものではない。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測方法であって、前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像する撮像工程(S3)と、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線(L11)を求める第1直線近似工程(S23)と、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線(L12)を求める第2直線近似工程(S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定工程(S25、S26)とを含む位置計測方法が提供される。
【0014】
この発明によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭についてそれぞれ近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしているため、物体に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても物体の位置情報を計測することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測方法であって、前記物体の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像する撮像工程(S3)と、前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定工程(S21)と、前記判定工程において、前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線(L11、L12)をそれぞれ求める直線近似工程(S23、S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定工程(S25、S26)とを含む位置計測方法が提供される。
【0016】
この発明によると、物体の輪郭の一部を少なくとも2箇所において撮像し、撮像した箇所が物体の直線状輪郭であるのか又は曲線状輪郭であるのかを判定し、両方が直線状輪郭であると判定した場合に、撮像した輪郭の一部のそれぞれを第1及び第2直線状輪郭として各々の近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしている。このため、曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても物体の位置情報を計測することができる。
【0017】
ここで、上記第1及び第2の観点に係る位置計測方法において、前記推定工程は、前記基準位置に対する前記第1直線状輪郭の設計上の距離である第1距離だけ前記第1近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第1移動工程と、前記基準位置に対する前記第2直線状輪郭の設計上の距離である第2距離だけ前記第2近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第2移動工程と、前記第1移動工程で平行移動させた前記第1近似直線と前記第2移動工程で平行移動させた前記第2近似直線との交点を算出し、前記基準位置を示す基準位置情報とする基準位置情報算出工程(S25)とを含むことが好適である。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測装置であって、前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像する撮像装置(RAS、22a、22b、22c)と、前記撮像装置の撮像結果に基づいて前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線(L11)及び前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線(L12)を求める直線近似部(34)、並びに前記直線近似部で求められた前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定部(37)を有する制御装置とを備えた位置計測装置が提供される。
【0019】
この発明によると、上記第1の観点に係る位置計測方法と同様に、物体に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても物体の位置情報を計測することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測装置であって、前記物体の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像する撮像装置(RAS、22a、22b、22c)と、前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定部(35)、前記判定部において前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線(L11、L12)をそれぞれ求める直線近似部(34)、並びに前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定部(37)を有する制御装置とを備えた位置計測装置が提供される。
【0021】
この発明によると、上記第2の観点に係る位置計測方法と同様に、曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても物体の位置情報を計測することができる。
【0022】
ここで、上記第1及び第2の観点による位置計測装置において、前記推定部は、前記基準位置に対する前記第1直線状輪郭の設計上の距離である第1距離だけ前記第1近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第1移動部と、前記基準位置に対する前記第2直線状輪郭の設計上の距離である第2距離だけ前記第2近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第2移動部と、前記第1移動部で平行移動させた前記第1近似直線と前記第2移動部で平行移動させた前記第2近似直線との交点を算出し、前記基準位置を示す基準位置情報とする基準位置情報算出部とを備えることが好適である。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の第5の観点によると、基板(W)に所定のパターンを転写する露光方法であって、上記第1又は第2の観点に係る位置計測方法によって前記物体としての前記基板の基準位置を示す基準位置情報を求める基板計測工程(S5)と、前記基板計測工程において求められた前記基板の基準位置を示す基準位置情報に基づいて、前記基板の位置制御を行いつつ、前記基板に前記パターンを転写する転写工程(S6、S7)とを含む露光方法が提供される。
【0024】
この発明によると、例えば基板の裏面が上側に配置されて基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても基板の位置情報が計測され、計測された基板の位置情報に基づいて基板の位置制御を行いつつ基板上にパターンを転写しているため、基板の表面及び裏面の両面にパターンを効率よく転写することができる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第6の観点によると、基板(W)に所定のパターンを転写する露光装置(1)であって、前記物体としての前記基板の基準位置を示す基準位置情報を求める上記第3又は第4の観点に係る位置計測装置と、前記位置計測装置により計測された前記基板を搭載するステージ(14)を有するステージ装置(16)とを備えた露光装置が提供される。
【0026】
この発明によると、上記第5の観点に係る露光方法と同様に、基板の表面及び裏面の両面にパターンを効率よく転写することができる。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第7の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する基板(W)に所定のパターンを転写する露光装置(1)の制御用コンピュータ(20)に、前記基板の位置情報を計測させるためのプログラムであって、前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像した撮像結果を取り込む取込工程(S3)と、前記取込工程で取り込まれた撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線(L11)を求める第1直線近似工程(S23)と、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線(L12)を求める第2直線近似工程(S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記基板の基準位置を推定する推定工程(S25、S26)とを前記制御用コンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0028】
この発明によると、基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても制御用コンピュータに対して基板の位置情報を計測させることができる。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の第8の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する基板(W)に所定のパターンを転写する露光装置(1)の制御用コンピュータに、前記基板の位置情報を計測させるためのプログラムであって、前記基板の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像した撮像結果を取り込む取込工程(S3)と、前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定工程(S4)と、前記判定工程において、前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線(L11、L12)をそれぞれ求める直線近似工程(S23、S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記基板の基準位置を推定する推定工程(S26)とを前記制御用コンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0030】
この発明によると、基板に形成された曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても制御用コンピュータに対して基板の位置情報を計測させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る位置計測装置を備える露光装置の全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置は、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウエハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0032】
なお、以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウエハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウエハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ直交座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではレチクルR及びウエハWを同期移動させる方向(以下、走査方向という)をY方向に設定している。
【0033】
図1に示す露光装置1は、露光用照明光を射出する照明系10、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、基板としてのウエハWを保持してXY平面内をXY2次元方向に移動するステージとしての基板テーブル14を搭載するステージ装置としてのウエハステージ装置16、ウエハWの外縁形状を撮像する撮像装置としてのプリアライメント検出系RAS、ウエハステージ装置16上に搭載(ロード)されたウエハW上に形成されたマークを観察するアライメント検出系AS、及びこれらの制御系等を含んで構成される。
【0034】
上記照明系10は、光源ユニット、シャッタ、オプティカルインテグレータ、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系等(いずれも不図示)から構成されている。この照明系10の構成の詳細については、例えば特開平9−320956号公報並びに特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号等に開示されている。なお、本実施形態では、オプティカルインテグレータとしてフライアイレンズを備える場合を例に挙げて説明するが、これに限らずロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、又は回折光学素子等を用いることができる。
【0035】
ここで、上記光源ユニットとしては、KrFエキシマレーザ光源(発振波長248nm)若しくはArFエキシマレーザ光源(発振波長193nm)等のエキシマレーザ光源、又はF2レーザ光源(発振波長157nm)、Ar2レーザ光源(発振波長126nm)、銅蒸気レーザ光源やYAGレーザの高調波発生装置、又は超高圧水銀ランプ(g線、i線等)等を用いることができる。
【0036】
このようにして構成された照明系10の作用を簡単に説明すると、光源ユニットで発光された照明光は、シャッタが開いているとオプティカルインテグレータに入射する。オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズに照明光が入射すると、その射出側焦点面に多数の光源像からなる面光源、すなわち2次光源が形成される。
【0037】
オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズから射出された照明光は、ビームスプリッタ及び集光レンズ系を介してレチクルブラインドに至る。レチクルブラインドを通過した照明光は、結像レンズ系を介してミラー11へ向けて射出される。この後、照明光ILはミラー11によって光路が鉛直下方(−Z方向)に折り曲げられ、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域IARを照明する。
【0038】
上記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの位置決めのため、照明系10の光軸IX(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直な平面内で2次元的に(X方向及びこれに直交するY方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向に)移動可能に構成されている。
【0039】
また、このレチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上をリニアモータ等で構成されたレチクル駆動部(図示省略)により、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で移動可能となっている。このレチクルステージRSTは、レチクルRの全面が少なくとも照明系10の光軸IXを横切ることができるだけの移動ストロークを有している。
【0040】
レチクルステージRST上にはレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13からのレーザビームを反射する移動鏡12が固定されており、レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置はレチクル干渉計13によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージRST上には走査方向(Y方向)に直交する反射面を有する移動鏡(又は、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー)と非走査方向(X方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、レチクル干渉計13も各移動鏡ごとに1軸分又は複数軸分設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡12、レチクル干渉計13としてそれぞれ示されている。
【0041】
レチクル干渉計13からのレチクルステージRSTの位置情報(速度情報)RPVはステージ制御系21及びこれを介して主制御系20に送られ、ステージ制御系21では主制御系20からの指示に応じてレチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクル駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0042】
投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方(−Z方向)に配置され、その光軸AX(照明系10の光軸IXに一致)の方向がZ方向とされ、両側テレセントリックで所定の縮小倍率(例えば1/5、1/4、又は1/6)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にフォトレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の露光領域IAに投影される。
【0043】
ウエハステージWSTは、例えば2次元リニアアクチュエータにより、ベースBS上を走査方向であるY方向(図1における左右方向)及びY方向と直交するX方向(図1における紙面直交方向)に駆動されるようになっている。このウエハステージWST上には基板テーブル14が設けられている。また、基板テーブル14上にはウエハホルダ15が載置され、このウエハホルダ15によってウエハWが真空吸着により保持されている。なお、ウエハステージWST、基板テーブル14、及びウエハホルダ15でウエハステージ装置16が構成されている。
【0044】
基板テーブル14は、ウエハステージWST上にXY方向に位置決めされかつZ方向の移動及び傾斜が許容された状態で取り付けられている。そして、この基板テーブル14は、異なる3点の支持点で不図示の3本の軸によって支持されており、これら3本の軸が駆動機構としてのウエハ駆動装置17によって独立してZ方向に駆動され、これによって基板テーブル14上に保持されたウエハWの面位置(Z方向位置及びXY平面に対する傾斜)が所望の状態に設定されるようになっている。また、ウエハホルダ15は、Z軸回りの回転が可能になっている。したがって、ウエハホルダ15は、2次元リニアアクチュエータ及び駆動機構によって6自由度方向に駆動されるが、図1では2次元リニアアクチュエータ及び駆動機構がウエハ駆動装置17として代表的に示されている。
【0045】
なお、この基板テーブル14(ウエハホルダ15)のほぼ中心位置には、ウエハをウエハローダから受け取る又は受け渡すためのセンターテーブル(不図示)が設けられている。このセンターテーブルは、バキュームによる吸着機構を備えており、ウエハを吸着保持可能となっている。また、センターテーブルは、ウエハを保持した状態で上下動(Z方向への移動)及び回転(Z軸を中心として)動作が可能な構造となっている。ウエハを受け取るときには、センターテーブルは、上昇してウエハを受け取って、その後下降することにより、ウエハホルダ15(基板テーブル14)上にウエハを保持せしめるよう動作する。
【0046】
基板テーブル14上にはウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)19からのレーザビームを反射する移動鏡18が固定され、外部に配置されたウエハ干渉計19により、基板テーブル14のXY面内での位置が例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、基板テーブル14上には走査方向であるY方向に直交する反射面を有する移動鏡18Yと非走査方向であるX方向に直交する反射面を有する移動鏡18Xとが設けられ、ウエハ干渉計19X,19Yは移動鏡ごとに1軸分あるいは複数軸分設けられている(図2参照)。しかしながら、図1ではこれらが代表的に移動鏡18、ウエハ干渉計19としてそれぞれ示されている。
【0047】
基板テーブル14の位置情報(又は速度情報)WPVはステージ制御系21及びこれを介して主制御系20に送られ、ステージ制御系21では主制御系20からの指示に応じて位置情報(又は速度情報)WPVに基づいて、ウエハ駆動装置17を介してウエハステージWSTを制御する。また、基板テーブル14上には、後述するオフアクシス方式のアライメント検出系ASの検出中心から投影光学系PLの光軸AXまでの距離を計測するベースライン計測等のための各種基準マークが形成された不図示の基準部材が固定されている。
【0048】
上記プリアライメント検出系RASは、ベースBS上方の投影光学系PLと離間した位置に、不図示の保持部材によって保持されている。このプリアライメント検出系RASは、不図示のウエハローダによって搬送され、ウエハホルダ15に保持されたウエハWの外緑部3箇所の位置を検出する3つのプリアライメントセンサ22a,22b,22cを備えている。ここで、プリアライメント検出系RASの構成について説明する。図2は、プリアライメント検出系RAS周辺の構成を概略的に示す平面図である。
【0049】
まず、図2を参照してウエハWの外縁形状について説明する。図2に示す通り、ウエハWは、直線的な切り欠き(直線状輪郭)としてオリエンテーションフラットOF、及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2が形成されている。オリエンテーションフラットOFは、従来から直線的な切り欠きとしてウエハWに形成されているオリエンテーションフラットであり、サブオリエンテーションフラットOF1,OF2は、ウエハWの表裏判別を行うために新たに形成された直線的な切り欠きである。つまり、本実施形態ではウエハWの表面と裏面との両面に対して露光処理が行われる。なお、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2の長さは互いに異なる長さに設定されており、オリエンテーションフラットOFとサブオリエンテーションフラットOF1とは互いに直交する関係にある。
【0050】
これらのオリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2は本発明にいう直線状輪郭に相当し、これら以外のウエハWの外縁は本発明にいう曲線状輪郭に相当する。なお、以下の説明においては、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2が形成された箇所以外のウエハWの外縁を「円弧エッジ」といい、オリエンテーションフラットOFとサブオリエンテーションフラットOF2とに連続的につながる円弧エッジに符号CEを付して区別する。
【0051】
また、図2に示す通り、プリアライメントセンサ22a及びプリアライメントセンサ22bは、オリエンテーションフラットOFの両端付近を撮像する位置にそれぞれ配置されている。また、プリアライメントセンサ22cは、オリエンテーションフラットOFの形成部以外のウエハWの外縁位置の一部を撮像する位置に配置されている。図2に示す例では、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF2がそれぞれX軸に平行であり、サブオリエンテーションフラットOF1がY軸に平行であって、ウエハWの中心に対してオリエンテーションフラットOFが+Y方向、サブオリエンテーションフラットOF2が−Y方向、サブオリエンテーションフラットOFが+X方向にとなるよう配置されているときに、ウエハWの中心から−X方向に位置する円弧エッジCEの一部を撮像可能な位置に配置されている。なお、3つのプリアライメントセンサ22a,22b,22cのそれぞれの相対的な位置関係は、予め定められた位置関係にある。
【0052】
これらのプリアライメントセンサ22a,22b,22cとしては、撮像素子と画像処理回路とからなる画像処理方式のセンサが用いられている。以上の構成のプリアライメント検出系RASによるウエハWの外縁の撮像データD1は、主制御系20に供給されている。なお、撮像データD1は、プリアライメントセンサ22aによる撮像結果データDAと、プリアライメントセンサ22bによる撮像結果データDBと、プリアライメントセンサ22cによる撮像結果データDCとから構成されている。なお、ウエハWの外緑部を計測する場合には、ウエハWがウエハホルダ15(より正確に言えば、ウエハホルダ15のほぼ中央部に設けられ、ウエハを上下(Z方向)するための不図示のセンターテーブル)に載置された後ではなく、ウエハWがウエハホルダ15に載置される前、すなわちウエハローダに保持された状態で行っても良い。このような構成としてウエハをウエハホルダへ搬送する構成の一部として設けられている搬送アーム上にウエハを載置した状態でプリアライメントセンサ22により計測するようにしても良い。なお、このアームについては、例えば特開2002−280288号公報において公知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、上記のセンターテーブルについても前記公報に開示されている。
【0053】
図1に戻り、アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置されており、本実施形態ではウエハW上に形成されたストリートラインや位置検出用マーク(ファインアライメントマーク)を観測する撮像方式のアライメントセンサからなるオフアクシス方式のアラインメント顕微鏡が用いられている。このアライメント検出系ASの詳細な構成は、例えば特開平9−219354号公報及び米国特許5,859,707号等に開示されている。アライメント検出系ASで観測されたウエハWの像データD2は主制御系20に供給される。
【0054】
更に、本実施形態の露光装置には、露光領域IA(前述した照明領域IARと光学的に共役なウエハW上の領域)内及びその近傍領域にそれぞれ設定される計測点でウエハW表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の一つである、多点フォーカス位置検出系(不図示)が設けられている。この多点フォーカス位置検出系は、光ファイバ束、集光レンズ、パターン形成板、レンズ、ミラー、及び照射対物レンズからなる照射光学系と、集光対物レンズ、回転方向振動板、結像レンズ、受光用スリット板、及び多数のフォトセンサを有する受光器からなる受光光学系と(いずれも不図示)から構成されている。この多点フォーカス位置検出系の詳細な構成等については、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。
【0055】
次に、主制御系20について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る露光装置が備える主制御系20の内部構成を示すブロック図である。図3に示す通り、主制御系20は、主制御装置30と記憶装置40とを備えている。主制御装置30は、制御部31、撮像データ収集部32、外縁抽出部33、直線近似部34、表裏判別部35、回転量算出部36、及び位置情報算出部37を含んで構成される。制御部31は、レチクルRの位置情報(速度情報)RPV及びウエハWの位置情報(速度情報)WPVに基づいて、ステージ制御系21にステージ制御データCDを供給する等して露光装置1の動作全体を制御する。
【0056】
撮像データ収集部32は、プリアライメント検出系RASから供給された撮像データD1を収集する。外縁抽出部33は、撮像データ収集部32によって収集された撮像データに基づきウエハWの外縁位置を抽出する。直線近似部34は外縁抽出部33によって抽出されたウエハWの外縁位置から、その外縁に沿った近似直線を求める。表裏判別部35は、直線近似部34によって求められた近似直線に基づいてウエハWの表裏判別を行う。回転位置情報算出部としての回転量算出部36は、オリエンテーションフラットOFの撮像結果に基づいてウエハWの回転量を算出する。位置情報算出部37は、回転量算出部36において算出されたウエハWの回転量とウエハWの外縁の撮像結果とに基づいて、ウエハWの基準位置(例えば、中心位置)を算出する。
【0057】
また、記憶装置40は、撮像データ格納領域41、外縁情報格納領域42、近似直線格納領域43、回転情報格納領域44、及び位置情報格納領域45を備えている。なお、図3においては、データの流れを実線矢印で示しており、制御の流れを点線矢印で示している。以上、主制御系20の構成について説明したが、主制御系20が備える各部の動作の詳細については後述する。
【0058】
なお、図3においては、各ブロックをハードウェア的に構成し、これらを組み合わせて主制御系20を構成する場合を例に挙げて図示している。しかしながら、ハードウェア的には主制御系20を計算機システムとして構成し、主制御装置30を構成する各ブロックの機能を主制御系20に内蔵されたプログラムによって実現することも可能である。
【0059】
また、主制御装置30を計算機システムとして構成した場合には、主制御装置30を構成する上記の各ブロックの後述する機能を実現するためのプログラムの全てを予め主制御装置30に内蔵することは必ずしも必須ではない。例えば、図1において点線で示されるように、上記の各ブロックの機能を実現するためのプログラムを格納した記録媒体26を用意するとともに、記録媒体26からプログラム内容を読み出し可能であり、かつ、記録媒体26を着脱可能な読取装置25を主制御系20に接続し、主制御系20が読取装置25に装填された記録媒体26から機能実現のために必要なプログラム内容を読み出し、読み出したプログラムを実行するように構成することができる。また、主制御系20が読取装置25に装填された記録媒体26からプログラム内容を読み出して、内部にインストールする構成とすることができる。さらに、インターネット等を利用し、通信ネットワークを介して機能実現のために必要となるプログラム内容を主制御系20にインストールする構成とすることもできる。
【0060】
なお、記録媒体26としては、磁気的に記録するもの(磁気ディスク、磁気テープ等)、電気的に記録するもの(PROM、バッテリ・バックアップ付RAM、EEPROM、その他の半導体メモリ等)、光磁気的に記録するもの(光磁気ディスク等)、電気磁気的に記録するもの(デジタルオーディオテープ(DAT)等)等、光学的に記録するもの(コンパクトディスク(CD)、DVD(登録商標))等の種々の記録形態で記録するものを採用することができる。以上のように、機能を実現するためのプログラム内容を記録した記録媒体を使用したり、インストールしたりすることが可能なように構成することにより、後におけるプログラム内容の修正や、性能向上のためのバージョンアップ等を容易に行うことができるようになる。
【0061】
次に、露光時の動作について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る露光装置の露光時の動作の概略を示すフローチャートである。まず、不図示のレチクルローダを用いて不図示のレチクルライブラリから転写すべきパターンが形成されたレチクルRがレチクルステージRST上にロードされる。また、不図示のウエハローダにより、露光すべきウエハWが基板テーブル14上の前述したセンターテーブル上にロードされる。この時、センターテーブルはアップした状態(ウエハホルダ15の上面から突出した状態)にあり、この状態でセンターテーブルは、ウエハをバキュームで吸着保持する。つまり、この時は、ウエハはまだウエハホルダ15の上方に保持された状態にある(ステップS1)。ここで、本実施形態においては、ウエハWの表面及び裏面の両面に露光処理を行う場合を想定しているため、ウエハWは表面を上側にしてセンターテーブル上にロードされる場合もあり、裏面を上側にしてセンターテーブル上にロードされる場合もある。
【0062】
次に、主制御系20(より詳しくは、制御部31(図3参照))がステージ制御系21に制御信号を出力してウエハ駆動装置17を介してウエハステージWSTを(すなわちセンターテーブルも)駆動し、ウエハWをプリアライメントセンサ22a,22b,22cによる撮像位置へ移動する(ステップS2)。具体的には、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFがプリアライメントセンサ22a,22bの真下に位置し、円弧エッジCEの一部又はサブオリエンテーションフラットOF1がプリアライメントセンサ22cの真下に位置するようにウエハWを移動する。プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが位置するようにウエハWを移動させることができるのは、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2の長さが互いに異なる長さに設定されているためである。
【0063】
ここで、プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが位置している状態において、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上にロードされているか、又は裏面を上側にしてセンターテーブル上にロードされているかに応じて、プリアライメントセンサ22cの真下に配置されるウエハWの外縁部分は変化する。
【0064】
図5は、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像位置へウエハWが配置された状態を示す上面図である。図5(a)に示す通り、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上にロードされている場合には、円弧エッジCEの一部がプリアライメントセンサ22cの真下に位置する。また、図5(b)に示す通り、ウエハWが裏面を上側にしてセンターテーブル上にロードされている場合には、サブオリエンテーションフラットOF1がプリアライメントセンサ22cの真下に位置する。
【0065】
このようにしてウエハWの移動が完了すると、プリアライメントセンサ22a,22b,22cを用いてウエハWの外縁近傍を撮像する(ステップS3)。図6は、ウエハWが表面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像結果の一例を示す図である。また、図7は、ウエハWが裏面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像結果の一例を示す図である。図6,図7において、Va〜Vcはプリアライメントセンサ22a,22b,22cそれぞれの計測視野を示しており、各々の計測視野Va〜VcにウエハWの像が示されている。
【0066】
図6を参照すると、プリアライメントセンサ22a,22bの計測視野Va,VbにはウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFの像が示されており、プリアライメントセンサ22cの視野Vcには、ウエハWの円弧エッジCEの一部の像が示されている。一方、図7を参照すると、プリアライメントセンサ22a,22bの計測視野Va,Vbには、図6と同様に、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFの像が示されているが、プリアライメントセンサ22cの視野Vcには、サブオリエンテーションフラットOF1の一部の像が示されている。図7に示す通り、ウエハWが裏面を上側にして配置されている状態においては、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの計測視野Va,Vb,Vcには直線状の外縁のみが配置される。
【0067】
プリアライメントセンサ22a,22b,22cによって撮像されたウエハWの撮像データD1は、主制御系20に供給される。主制御系20では、撮像データ収集部32(図3参照)が撮像データD1を受信し、記憶装置40に設けられた撮像データ格納領域41に受信した撮像データD1を格納する。プリアライメントセンサ22a,22b,22cによるウエハWの撮像が終了して撮像データD1が得られると、撮像データ格納領域41に格納されたウエハWの外縁近傍の撮像データに基づいて、ウエハWの表裏判別が行われる(ステップS4)。
【0068】
ここで、図5〜図7を参照して説明した通り、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFは、ウエハWが基板テーブル14上に表面を上側にして配置されているか又は裏面を上側に配置されているかに拘わらず、常にプリアライメントセンサ22a,22bの真下に配置される。これに対し、ウエハWが基板テーブル14上に表面を上側にして配置されているか又は裏面を上側に配置されているかに応じて、プリアライメントセンサ22cの真下にはサブオリエンテーションフラットOF1又は円弧エッジCEが配置される。本実施形態では、プリアライメントセンサ22cの撮像結果を用いてウエハWの表裏判別を行っている。以下、表裏判別処理について詳細に説明する。
【0069】
図8は、ウエハWの表裏判別処理を示すフローチャートである。ウエハWの表裏判別処理が開始されると、主制御系20に設けられた制御部31の制御に従って、外縁抽出部33が記憶装置40に設けられた撮像データ格納領域41に格納された撮像データD1からプリアライメントセンサ22cの撮像データを読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める(ステップS11)。こうして抽出された外縁点をPck(Xck,Yck)とする(図6,図7参照)。なお、kは1≦k≦n3(n3は2以上の整数である)を満たす整数である。抽出された外縁点Pckは記憶装置40に設けられた外縁情報格納領域42に格納される。
【0070】
次に、制御部31の制御に従って、直線近似部34が外縁情報格納領域42に格納された外縁点Pckを読み出し、最小二乗法を用いて直線近似を行う(ステップS12)。ここで、求める近似直線の式を変数「a」,「b」を用いて以下の(1)式で表す。
【0071】
【数1】
【0072】
上記の(1)式にn1個の外縁点PckのX座標Xck及びY座標Yckのそれぞれを代入して得られる連立式を行列の形式で表すと以下の(2)式となる。
【0073】
【数2】
【0074】
ここで、上記(2)式を以下の(3)式の通り表すと、
【0075】
【数3】
【0076】
求める解(上記(3)式における行列p)は最小二乗法により以下の(4)式から求められる。
【0077】
【数4】
【0078】
すなわち、上記(4)式を解いて得られる行列の第1行目が上記(1)式中の変数「a」であり、第2行目が上記(1)式中の変数「b」である。なお、上記(4)式においてAtは行列Aの転置行列である。
【0079】
外縁点Pckに対する近似直線が得られると、次に制御部31の制御に従って、表裏判別部35は以下の(5)式を用いて、ステップS11で抽出した外縁点PckとステップS12で求めた近似直線との距離、すなわち近似直線に対する各外縁点Pckの残差dを求める。
【0080】
【数5】
【0081】
上記(5)式中の変数「a」,「b」は、上記(4)式で求められた近似直線を表す変数であり、Xck,Yckはそれぞれ外縁点PckのX座標及びY座標である。なお、ここで求められる近似直線は、外縁点Pckの各々から近似直線までの距離の二乗の和を最小にする直交回帰直線である。外縁点Pckの全てについての残差dを求めると、表裏判別部35は残差dの最大値、又は分散若しくは標準偏差を求める。これにより、外縁点Pckと近似直線との位置関係が求められる(ステップS13)。
【0082】
ここで、円弧エッジから抽出された外縁点と近似直線との位置関係、及びサブオリエンテーションフラットOF1等の直線状の外縁から抽出された外縁点と近似直線との位置関係について考察する。図9は、円弧エッジ又は直線状の外縁と近似直線との位置関係を例示する図であり、(a)は円弧エッジCEから抽出された外縁点Pckと近似直線L1との位置関係を例示する図であって、(b)はサブオリエンテーションフラットOF1から抽出された外縁点Pckと近似直線L2との位置関係を例示する図である。
【0083】
図9に示す通り、プリアライメントセンサ22cが円弧エッジCEを撮像した場合、及びサブオリエンテーションフラットOF1を撮像した場合の何れの場合であっても、近似直線L1,L2が得られることが分かる。しかしながら、図9(a)を参照すると、近似直線L1に対する外縁点Pckの距離のばらつきが大きいため、残差dの最大値又は分散若しくは標準偏差が大きくなることが推定される。これに対し、図9(b)を参照するとサブオリエンテーションフラットOF1と近似直線L2とはほぼ一致し、近似直線L2に対する外縁点Pckの距離のばらつきは外縁抽出時のサンプリング誤差のみとなるため、残差dの最大値又は分散若しくは標準偏差が小さくなることが推定される。
【0084】
本実施形態では所定の閾値を設定し、残差dの最大値又は分散若しくは標準偏差が設定した閾値を越えているか否かを判断して、プリアライメントセンサ22cの真下に配置されたウエハWの外縁が円弧エッジCEであるのか、又はサブオリエンテーションフラットOF1であるのかを判定する(ステップS14)。ここで、残差dの最大値を用いて上記の判定を行う場合を例に挙げて説明する。図10は、撮像した外縁部が円弧エッジCEであるか否かの判定を行う際に設定する閾値の一例を説明するための図である。
【0085】
いま、図10に示す通り、プリアライメントセンサ22cの視野Vc内に円弧エッジCEの一部が配置されているとする。また、プリアライメントセンサ22cの視野Vcに対してウエハWの中心C1が図示の位置にあるとする。更に、図10中の破線で示した直線L1は、プリアライメントセンサ22cの撮像結果から求められた近似直線であるとする。プリアライメントセンサ22cの視野Vc内において円弧エッジCEから抽出される外縁点Pckが取りうるX座標の幅は、E1−E2で求められる。上記のE1はウエハWの中心C1からX座標の値が最も小さくなる外縁点P2までのX方向の距離であり、E2はウエハWの中心C1からX座標の値が最も大きくなる外縁点P1,P3までのX方向の距離である。
【0086】
ここで、図10中に示した近似直線L1に対して予想される最大残差dmaxは、dmax=(E1−E2)/2と推定される。つまり、外縁点Pckが取りうるX座標の幅の中間位置に近似直線L1があり、この近似直線L1に対してウエハWの中心C1からX座標の値が最も小さくなる外縁点P2までのX方向の距離、又は近似直線L1に対してウエハWの中心C1からX座標の値が最も大きくなる外縁点P1,P3までのX方向の距離が最大残差dmaxと推定される。
【0087】
ここで、ウエハWの半径をRとし、プリアライメントセンサ22cのY方向における計測視野Vcの長さをvとして、これらを用いて最大残差dmaxを表すと、以下の(6)式となる。なお、プリアライメントセンサ22cのY方向における計測視野Vcの長さは、プリアライメントセンサ22cで撮像された円弧エッジCEの弦の長さである。
【0088】
【数6】
【0089】
前述した通り、プリアライメントセンサ22cの真下にサブオリエンテーションフラットOF1が配置された場合よりも円弧エッジが配置された場合の方が残差dは大きくなり、また上述のように円弧エッジが配置された場合の最大残差dmaxは上記(6)式で表される。このため、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジが配置されているのか又はサブオリエンテーションフラットOF1が配置されているのかを判定するためには、0<dth<dmaxを満たす閾値dth、望ましくは(dmax/2)<dth<dmaxを満足する閾値dthを設定すれば良い。
【0090】
上記(6)式を参照すると最大残差dmaxは、ウエハWの半径及び計測視野VcのY方向における長さのみを用いて表されており、これらはウエハWの処理を行うに先だって予め得られている情報である。図3に示す表裏判別部35は予めこれらの情報を制御部31から得て閾値dthを設定している。表裏判別部35は、算出した残差dの最大値が以上説明した閾値dthを越えている場合(残差dが閾値dthよりも大きい場合)には、プリアライメントセンサ22cの真下には円弧エッジCEが配置されていると判断し、逆に残差dの最大値が以上説明した閾値dthを越えていない場合(残差dが閾値dth以下である場合)には、プリアライメントセンサ22cの真下にはサブオリエンテーションフラットOF1が配置されていると判定する。以上、残差dの最大値を用いて判定する場合を例に挙げて説明したが、残差dの分散若しくは標準偏差又はこれらの両者を用いて判定する場合も同様に閾値を設定して判定を行う。
【0091】
また、残差dの最大値dmaxのみを用いる場合のみに本発明は限定されるものではない。例えば、残差の大きいものを何点か選別し、それらの合計値が所定の閾値を越えていれば円弧であるという判別手法を用いるようにしても良い。例えば、残差dの大きい順にn点抽出し、それらの点の各残差(dmax〜dn)の合計値(dmax+dmax−1+…+dn)と所定の閾値とを比較するようにすれば良い。あるいは、残差dの最大値dmaxを用いるのではなく、n番目(例えば、2番目)に大きい残差(dmax−1)を用いて(n番目の残差とn番目残差用の閾値とを比較することによって)、円弧かオリエンテーションフラットかを判別するようにしても良い。以上のように、残差dの最大値dmaxのみでの判別ではなく、n番目に大きい残差を用いて判別することによって、例えば、ゴミ等の影響で測定値に「飛び」があった場合に、そのゴミの影響を受けた「飛び値」を最大残差dmaxと認識して、表裏を誤判別してしまうことを防止することができる。
【0092】
図5を参照して説明した通り、プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが配置されている状態において、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジCEが配置されているか又はサブオリエンテーションフラットOF1が配置されているかを判定することができれば、センターテーブル上に表面を上側にして又は裏面を上側にしてウエハWが配置されているかを判別することができる。そこで、この関係を用いて表裏判別部35は基板テーブル14上に載置されたウエハWの表裏判別を行う(ステップS15)。ウエハWの表裏判別結果は、制御部31に出力される。以上の処理によりウエハWの表裏判別が終了し、処理は図4に示したメインルーチンにリターンする。
【0093】
処理がメインルーチンにリターンすると、ウエハWの位置情報を算出する処理が行われる(ステップS5)。図11は、ウエハWの位置情報を算出する処理を示すフローチャートである。ウエハWの位置情報算出処理が開始されると、まず主制御系20に設けられた制御部31が、表裏判別部35の判別結果に基づいて、基板テーブル14上のウエハWが表面を上側にして配置されているのか否かを判断する(ステップS21)。
【0094】
表面を上側にしてウエハWが基板テーブル14上に配置されていると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、従来から用いられる周知の方法(例えば、前述の特許文献1又は2に記載の方法)を用いてウエハWの位置情報を算出する(ステップS22)。ここで、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上に載置されていると、ウエハWはプリアライメントセンサ22a,22b,22cに対して図5(a)に示す状態で配置されていることになり、図6に示す撮像データD1がプリアライメントセンサ22a,22b,22cの各々から得られる。
【0095】
前述した通り、ウエハWはオリエンテーションフラットOFが形成された従来から用いられているものに、サブオリエンテーションフラットOF1,OF2を新たに形成したものであり、オリエンテーションフラットOFと円弧エッジCEとを観察して得られた計測結果は従来のウエハWを観察して得られる計測結果と同じものとなる。このため、表面を上側にしてセンターテーブル上に載置されているウエハWの位置情報を算出する場合には、従来から用いられている方法を用いて位置情報の算出を行う。
【0096】
従来から用いられている位置情報の算出方法を簡単に説明すると以下の通りである。まず、図3に示した制御部31の制御の下で、外縁抽出部33が撮像データ格納領域41に格納されている撮像データD1を読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める。ここで、抽出する点群は、図6に示した外縁点Pai、外縁点Pbj、及び外縁点Pckである。なお、iは1≦i≦n1を満たす整数であり、jは1≦j≦n2を満たす整数である。尚、n1,n2は2以上の整数である。抽出された外縁点の全ては外縁情報格納領域42に格納される。
【0097】
次に、制御部31の制御の下で、直線近似部34が外縁情報格納領域42から外縁点Pai及び外縁点Pbjを読み出し、各々について最小二乗法を用いて直線近似を行い、求めた近似直線を表す情報を近似直線格納領域43に格納する。そして、制御部31の制御の下で回転量算出部36が近似直線格納領域43に格納された近似直線を読み出し、X軸に対するウエハWの回転量を算出し、算出した回転量を回転情報格納領域44に格納する。
【0098】
以上の処理が終了すると、制御部31の制御の下で位置情報算出部37が、外縁情報格納領域42から外縁点Pckを読み出すとともに、回転情報格納領域44から回転量を読み出して、ウエハWの中心位置(基準位置)を算出する。なお、ウエハWの中心位置の算出にあたっては、ウエハWの回転量に代えて、外縁点Pai及び外縁点Pbjを用いてもよく、更にはオリエンテーションフラットOFの近似直線を用いても良い。また、ウエハWの中心位置を算出する際には、外縁点Pckの少なくとも1つを用いれば良く、必ずしも全てを用いなくても良い。
【0099】
このようにして算出されたウエハWの中心位置は位置情報格納領域45に格納される。以上の処理により、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上に載置されている場合のウエハWの位置情報を算出する処理が終了し、処理は図4に示したメインルーチンにリターンする。
【0100】
一方、ステップS21において、裏面を上側にしてウエハWがセンターテーブル上に配置されていると判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、処理がステップS23へ進む。ここで、ウエハWが裏面を上側にしてセンターテーブル上に配置されている場合には、図7に示した通り、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの全てにおいて直線状の外縁が観察された状態となり、上述した従来の方法を用いてはウエハWの中心位置を求めることができない。そこで、本実施形態では以下の方法を用いてウエハWの中心位置を算出している。
【0101】
まず、ステップS23では、オリエンテーションフラットOFを直線近似する処理が行われる。この処理では、図3に示す制御部31の制御の下で、外縁抽出部33が撮像データ格納領域41に格納されている撮像データD1を読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める。ここで、抽出する点群は、図7に示した外縁点Pai及び外縁点Pbjである。抽出された外縁点の全ては外縁情報格納領域42に格納される。なお、以下の説明において、外縁点Pai(Xai,Yai)及び外縁点Pbj(Xbj,Ybj)の全てを表す場合には、外縁点Pdm(Xdm,Ydm)と記すものとする。なお、mは1<m≦(n1+n2)を満たす整数である。
【0102】
次に、制御部31の制御に従って、直線近似部34が外縁情報格納領域42に格納された外縁点Pdmを読み出し、最小二乗法を用いて直線近似を行う。求めた近似直線を表す情報は近似直線格納領域43に格納される。
【0103】
以上の処理が終了すると、サブオリエンテーションフラットOF1を直線近似する処理が行われる(ステップS24)。この処理では、図3に示す制御部31の制御の下で、外縁抽出部33が撮像データ格納領域41に格納されている撮像データD1を読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める。ここで、抽出する点群は、図7に示した外縁点Pckである。抽出された外縁点の全ては外縁情報格納領域42に格納される。次に、制御部31の制御に従って、直線近似部34が外縁情報格納領域42に格納された外縁点Pckを読み出し、最小二乗法を用いて直線近似を行う。求めた近似直線を表す情報は近似直線格納領域43に格納される。
【0104】
ここで、ステップS23で求められるオリエンテーションフラットOFの近似直線(直交回帰直線)の式を変数「a1」,「b1」を用いて以下の(7)式で表し、ステップS24で求められるサブオリエンテーションフラットOF1の近似直線(直交回帰直線)の式を変数「a2」,「b2」を用いて以下の(8)式で表す。
【0105】
【数7】
【0106】
【数8】
【0107】
上記の(7)式に(n1+n2)個の外縁点PdmのX座標Xdm及びY座標Ydmのそれぞれを代入して得られる連立式を行列の形式で表すと以下の(9)式となる。
【0108】
【数9】
【0109】
同様に、上記の(8)式にn3個の外縁点PckのX座標Xck及びY座標Yckのそれぞれを代入して得られる連立式を行列の形式で表すと以下の(10)式となる。
【0110】
【数10】
【0111】
ここで、上記(9)式を以下の(11)式の通り表し、上記(10)式を以下の(12)式の通り表す。
【0112】
【数11】
【0113】
【数12】
求める解(上記(11)式における行列p1及び上記(12)式における行列p2)は最小二乗法により以下の(13)式及び(14)式からそれぞれ求められる。
【0114】
【数13】
【0115】
【数14】
【0116】
すなわち、上記(13)式を解いて得られる行列の第1行目が上記(7)式中の変数「a1」であり、第2行目が上記(7)式中の変数「b1」である。また、上記(14)式を解いて得られる行列の第1行目が上記(8)式中の変数「a2」であり、第2行目が上記(8)式中の変数「b2」である。なお、上記(13)式においてA1 tは行列A1の転置行列であり、上記(14)式においてA2 tは行列A2の転置行列である。
【0117】
以上の処理により、オリエンテーションフラットOFの近似直線L11及びサブオリエンテーションフラットの近似直線L12が求まり、これら近似直線L11,L12を表す情報が近似直線格納領域43に格納される。
【0118】
次に、これらの近似直線L11,L12を用いてウエハWの中心位置(基準位置)を求める処理が行われる。図12は、オリエンテーションフラットOFの近似直線L11とサブオリエンテーションOF1の近似直線L12とを用いてウエハWの中心位置を求める処理を説明するための図である。図12において、G1はウエハWの中心位置に対するオリエンテーションフラットOFの距離を示しており、G2はウエハWの中心位置に対するサブオリエンテーションフラットOF1の距離を示している。これら距離G1,G2は予め設計値から求められている。
【0119】
このため、本実施形態では、図12に示す通り、ステップS23で得られた近似直線L11をウエハWの中心方向に向けて距離G1だけ平行移動するとともに、ステップS24で得られた近似直線L12をウエハWの中心方向に向けて距離G2だけ平行移動する。そして、平行移動させた近似直線(以下、移動後直線という)の交点C2を算出し(ステップS25)、この交点C2をウエハWの中心位置として推定して(ステップS26)、ウエハWの中心位置を求めている。なお、図12においては、ウエハWの回転量を誇張して図示している。
【0120】
上記ステップS25においては、図3に示した制御部31の制御の下で、回転量算出部36が近似直線格納領域43に格納された近似直線L11に関する情報を読み出し、所定の基準としてのX軸に対する近似直線L11の傾きθ(ウエハWの回転量)を算出し、算出した傾きθを回転情報格納領域44に格納する。次に、制御部31の制御の下で、位置情報算出部37が近似直線格納領域43に格納された近似直線L11,L12に関する情報を読み出すとともに、回転情報格納領域44から近似直線L11の傾きθを読み出し、これらを用いてウエハWの中心位置と推定される交点C2を算出する。
【0121】
オリエンテーションフラットOFの近似直線L11は前述した(7)式で表されており、サブオリエンテーションフラットOF1の近似直線L12は前述した(8)式で表されている。近似直線L11をウエハWの中心に向けて距離G1だけ平行移動させた移動後直線は以下の(15)式で表され、近似直線L12をウエハWの中心に向けて距離G2だけ平行移動させた移動後直線は以下の(16)式で表される。
【0122】
【数15】
【0123】
【数16】
【0124】
上記(15)式と(16)式を用いれば交点C2を算出することができる。
【0125】
なお、以上説明した方法においては、近似直線L11,L12を共にウエハWの中心に向けて平行移動させて交点C2を算出したが、近似直線L11,L12の何れか一方のみをウエハWの中心に向けて平行移動させるだけでも上記の交点C2を算出することができる。この方法においては、例えば、近似直線L11のみをウエハWの中心に向けて移動させ、この移動後直線と平行移動を行っていない近似直線L12との交点C3(図12参照)を求めてから交点C2を算出する。
【0126】
近似直線L11をウエハWの中心に向けて平行移動させた移動後直線は上記(15)式で表される。この移動後直線を平行移動を行っていない近似直線L12((8)式の近似直線)に代入して求められる交点C3の座標(X3,Y3)は、以下の(17)式で表される。
【0127】
【数17】
【0128】
上記(17)式で表される交点C3の座標(X3,Y3)から求められる交点C2の座標(X2,Y2)は、以下の(18)式で表される。
【0129】
【数18】
【0130】
以上説明した処理を行って求められた交点C2の座標座標(X2,Y2)は、位置情報として位置情報格納領域45に格納される。以上の処理によりウエハWが裏面を上側にしてセンターテーブル上に載置されている場合のウエハWの位置情報を算出する処理が終了し、処理は図4に示したメインルーチンにリターンする。
【0131】
処理がメインルーチンにリターンすると、上記サブルーチンS5で算出されたウエハの回転量を補正するようにセンターテーブルを回転させながら下降させて、ウエハを基板ホルダ15上に吸着保持させる。なお、サブルーチンS5で求めたウエハ中心は、オフセット情報として保持しておき、各ショット領域の位置合わせを行う際のオフセットとして使用される。次に、制御部31は、上記で求めたウエハWの形状測定以外の露光準備用計測を行う(ステップS6)。すなわち、制御部31は、基板テーブル14上に配置された不図示の基準部材を使用したレチクルアライメント、及びアライメント検出系ASのベースライン量の測定等の準備作業を行う。なお、上記のレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平4−324923号公報及びこれに対応する米国特許第5,243,195号に詳細に開示されている。
【0132】
また、ウエハWに対する露光が、第2層目以降の露光であるときには、既にウエハW上に形成されている回路パターンと、重ね合わせ精度良く回路パターンを形成するため、上述のウエハWの位置情報計測結果に基づいて、前述した基準座標系における、ウエハW上の回路パターンの配列、すなわちショット領域の配列に関する配列座標位置情報が、アライメント検出系ASを使用して高精度で検出される。
【0133】
以上の処理が完了すると、ウエハWに対する露光が行われる(ステップS7)。この露光動作にあたっては、まず、ウエハWのXY位置がウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル14が移動される。この移動は、位置情報格納領域45から読み出された上述のウエハWの位置情報計測結果(主にサブルーチンS5で求めたウエハ中心位置情報(オフセット情報))、及びウエハ干渉計19からの位置情報(速度情報)等(第2層目以降の露光の場合には、基準座標系上での配列座標位置情報の検出結果及びウエハ干渉計19からの位置情報(速度情報)及び上記オフセット情報等)に基づき、主制御系20によりステージ制御系21及びウエハ駆動装置17等を介して行われる。同時に、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。この移動は、主制御系20によりステージ制御系21及び不図示のレチクル駆動部等を介して行われる。
【0134】
次に、ステージ制御系21が、主制御系20からの制御命令に応じて、多点フォーカス位置検出系によって検出されたウエハWのZ位置情報、レチクル干渉計13によって計測されたレチクルRのXY位置情報、ウエハ干渉計19によって計測されたウエハWのXY位置情報に基づき、不図示のレチクル駆動部及びウエハ駆動装置17を介して、ウエハWの面位置の調整を行いつつ、レチクルRとウエハWとを相対移動させて走査露光を行う。
【0135】
こうして、最初のショット領域の露光が終了すると、次のショット領域の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル14が移動されるとともに、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、このショット領域に関する走査露光が上述の最初のショット領域と同様にして行われる。以後、同様にして各ショット領域について走査露光が行われ、露光が完了する。ウエハWの露光が完了すると、ウエハステージWSTがアンロード位置に移動された後、不図示のウエハアンローダにより、ウエハWが基板テーブル14からアンロードされる(ステップS8)。こうして、ウエハ1枚についての露光処理が終了する。
【0136】
なお、以上の露光処理が第1層目の走査露光である場合は、前述の位置計測結果に基づいて、ウエハW上におけるショット領域の位置が補正され、結果としてショット領域の配列座標系は設計上の座標系に対する座標原点のシフト量や回転量がほぼ零となるが、ウエハWの中心位置のずれ量(シフト量)及び回転量が小さいときは、その位置情報計測結果に基づくショット位置の補正は行わなくともよい。また、上記露光処理が第2層目以降の走査露光である場合は、走査露光に先立ってファインアライメントが行われるので、走査露光におけるレチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期移動で前述の位置情報計測結果を用いる必要はなく、ファインアライメント時におけるウエハステージWSTの移動のみでその位置情報計測結果が用いられることになる。
【0137】
さらに、第1層目ではその走査露光、第2層目ではファインアライメントに先立ち、前述の位置情報計測結果に基づいて、例えばウエハW又はウエハホルダ15を回転させるようにしてもよい。この場合は、第1層目の走査露光や第2層目以降のファインアライメントにおいて、前述の位置情報計測結果すなわち回転量を用いる必要がなくなる。このとき、ウエハWの回転量の代わりに、又はそれに加えて、前述の位置計測により得られたウエハWの中心位置を示す情報に基づいてウエハホルダ15上におけるウエハWの位置を微調整することにより、以降の動作で中心位置を示す情報を用いる必要がなくなる。
【0138】
以上説明したように、本実施形態によれば、プリアライメントセンサ22cの撮像結果に基づいて、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジCEが位置しているのか、又はサブオリエンテーションフラットOF1が位置しているのかを判定し、この判定結果に基づいてウエハWの表裏判断を行っているため、高速且つ正確にウエハWの表裏判別を行うことができる。この結果、例えばウエハWの表面に転写すべきパターンがウエハWの裏面に転写されるといった事態を防止することができ、高い歩留まりでデバイスを製造することができる。
【0139】
また、オリエンテーションフラットOFの近似直線及びサブオリエンテーションフラットOF1の近似直線を求め、これらをウエハWの中心に向かって平行移動し、移動後直線の交点をウエハWの中心と推定しているため、プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが位置し、プリアライメントセンサ22cの真下にサブオリエンテーションフラットOF1が位置する場合のように、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの全てが直線状の外縁を観察するような状況においてもウエハWの位置情報を求めることができる。
【0140】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0141】
例えば、上記実施形態では、図4に示したウエハWの表裏判別を行うステップS4とウエハWの位置情報を算出するステップS5とにおいて、説明の便宜上、個別に外縁に沿った点群を抽出して近似直線を求めていた。しかしながら、ステップS3の撮像を行って得られた撮像データD1(プリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像データ)各々に対して一括して点群抽出処理及び直線近似処理を行って、図3に示す外縁情報格納領域42及び近似直線格納領域43に各々の処理結果を格納しておき、必要になったときに必要な情報を読み出すようにすることで、処理の効率化を図ることができる。
【0142】
また、上記実施形態においては、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジCEが配置されているのか又はサブオリエンテーションフラットOF1が配置されているのかを判定し、この判定結果のみに基づいてウエハWの表裏判別を行っていたが、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの全てについて各々の真下に位置しているのが直線状輪郭であるのか曲線状輪郭であるのかを判定し、これらの判定結果に基づいて表裏判定を行うようにしても良い。
【0143】
また、上述した実施形態においては、露光装置で用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明は露光装置のみならず、ウエハに形成されたパターンの重ね合わせ精度を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンの線幅を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンのマクロ的(巨視的)な欠陥を検査する検査装置、その他の検査装置にも検査対象のウエハを所定の精度で位置合わせするために用いることができる。
【0144】
なお、上述した実施形態では、ウエハ(基板)を検査対象として説明したが、検査対象としては、円弧状の輪郭と直線上の輪郭とをあわせ持つ物体であれば、ウエハに限られるものではない。
【0145】
また、上記実施形態においては、本発明をステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、上記実施形態では、照明光ILとしてArFエキシマレーザ等から射出されるレーザ光を用いていたが、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いるようにしてもよい。さらに、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いてもよい。また、投影光学系は、反射光学系、屈折光学系、及び反射屈折光学系のいずれを用いてもよい。
【0146】
また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
【0147】
さらに、半導体素子の製造に用いられるデバイスパターンをウエハ上に転写する露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられるデバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
【0148】
ところで、EUV光を用いる露光装置では反射型マスクが用いられ、電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられるので、マスクの原版としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0149】
複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージや基板ステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0150】
半導体素子は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光装置等によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
【0151】
【発明の効果】
この発明によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭についてそれぞれ近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしているため、物体に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても物体の位置情報を計測することができるという効果がある。
【0152】
また、本発明によると、物体の輪郭の一部を少なくとも2箇所において撮像し、撮像した箇所が物体の直線状輪郭であるのか又は曲線状輪郭であるのかを判定し、両方が直線状輪郭であると判定した場合に、撮像した輪郭の一部のそれぞれを第1及び第2直線状輪郭として各々の近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしている。このため、曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても物体の位置情報を計測することができるという効果がある。
【0153】
さらに、本発明によると、例えば物体としての基板の裏面が上側に配置されて基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても基板の位置情報が計測され、計測された基板の位置情報に基づいて基板の位置制御を行いつつ基板上にパターンを転写しているため、基板の表面及び裏面の両面にパターンを効率よく転写することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成の概略を示す図である。
【図2】プリアライメント検出系の周辺の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る露光装置が備える主制御系の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る露光装置の露光時の動作の概略を示すフローチャートである。
【図5】プリアライメントセンサの撮像位置へウエハが配置された状態を示す上面図である。
【図6】ウエハが表面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサの撮像結果の一例を示す図である。
【図7】ウエハが裏面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサの撮像結果の一例を示す図である。
【図8】ウエハの表裏判別処理を示すフローチャートである。
【図9】円弧エッジ又は直線状の外縁と近似直線との位置関係を例示する図である。
【図10】撮像した外縁部が円弧エッジであるか否かの判定を行う際に設定する閾値の一例を説明するための図である。
【図11】ウエハの位置情報を算出する処理を示すフローチャートである。
【図12】オリエンテーションフラットの近似直線とサブオリエンテーションの近似直線とを用いてウエハの中心位置を求める処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1…露光装置
14…基板テーブル(ステージ)
16…ウエハステージ装置(ステージ装置)
20…主制御系(制御装置、制御用コンピュータ)
22a〜22c…プリアライメントセンサ(撮像装置)
33…外縁抽出部(点群抽出部)
34…直線近似部(近似直線算出部)
35…表裏判別部(判定部)
37…位置情報算出部(推定部)
CE…円弧エッジ(曲線状輪郭)
L11…近似直線(第1近似直線)
L12…近似直線(第2近似直線)
OF…オリエンテーションフラット(第1直線状輪郭)
OF1…サブオリエンテーションフラット(第2直線状輪郭)
RAS…プリアライメント検出系(撮像装置)
W…ウエハ(基板)
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置計測方法及び装置、露光方法及び装置、並びにプログラムに係り、特に基板等の物体の位置情報を計測する位置計測方法及び装置、当該位置計測方法を用いる露光方法及び当該位置計測装置を備える露光装置、並びに当該露光装置の制御用コンピュータに基板等の物体の位置情報を計測させるプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合には「マスク」という)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等の感光剤が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する露光装置が用いられている。露光装置としては、いわゆるステッパ等の静止露光型の投影露光装置や、いわゆるスキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置が主として用いられている。かかる露光装置においては、露光に先立ってレチクルとウエハとの位置合わせ(アライメント)を高精度に行う必要がある。この高精度な位置合わせを行うためには、高い精度でウエハの位置を計測する必要があり、このために種々の位置計測技術が提案されている。
【0003】
上述した露光装置においては、レチクルとマスクとの高い重ね合わせ精度を確保するために、エンハンスト・グローバル・アライメント(以下、「EGA」という)といわれるアライメント方法が用いられている。このEGAは、ウエハの移動を規定する基準座標系(ウエハステージの移動座標系)上におけるウエハ上の各ショット領域の配列座標位置を、該ウエハをウエハステージにのせた状態で高精度に計測し、この計測結果に基づいて位置合わせ(詳細(ファイン)アライメント)を行うものである。具体的には、ウエハ内の数箇所のファインアライメントマーク(回路パターンとともに転写された詳細位置合わせマーク)を計測し、この計測結果に対して最小二乗近似等の処理を施して各ショット領域の配列座標を求める。そして、露光時においては、得られた配列座標に応じてウエハステージをステッピング移動させ、ウエハステージの精度に任せてウエハステージの位置合わせを行う。
【0004】
上記のEGAのためには、ウエハ上の所定箇所に形成されたファインアライメントマークを高倍率で観測する必要があるが、高倍率で観測を行うときには必然的に観測視野が狭くなる。ところが、もしウエハをウエハステージにロードする際に、ウエハがウエハステージに対して大きくずれた状態でロードされると、ウエハ上のファインアライメントマークが観測視野内に入らないという問題がある。そこで、狭い観測視野で確実にファインアライメントマークを捉えるために(ウエハをウエハステージ上の所望の位置(向き)にロードするために)、ファインアライメントに先立ってウエハの外縁(エッジ)の位置を観察し、この観察結果に基づいてウエハの基準位置(例えば、中心位置)及びウエハの中心軸回りの回転量を計測し、この計測結果に基づいて所定の精度でウエハを位置合わせしながらウエハステージ上へロードするためのプリアライメントが行われる。
【0005】
ウエハの外縁の一部にはV字形状切り欠き(ノッチ)又は直線的な切り欠き(オリエンテーションフラット)が形成されており、プリアライメントではこれらを観察してウエハの基準位置及び回転量を計測している。なお、このプリアライメントは、露光装置のみならず、ウエハに形成されたパターンの重ね合わせ精度を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンの線幅を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンのマクロ的(巨視的)な欠陥を検査する検査装置、その他の検査装置において、検査対象のウエハを所定の精度で位置合わせするために用いられる。従来のプリアライメント方法の詳細は、例えば以下の特許文献1,2を参照されたい。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第02/061367号パンフレット
【0007】
【特許文献2】
国際公開第02/033352号パンフレット
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年のデバイスの製造においては、主として高集積化又は高機能化のために、ウエハの表面のみならずウエハの裏面に対しても露光処理(パターンの転写処理)が行われるようになってきた。上述した従来技術では、ウエハの表面に対するパターン転写のみを想定していたため、プリアライメントにおいては上述したノッチ又はオリエンテーションフラットを用いてウエハの基準位置及び回転量を計測するだけで充分であった。なお、ウエハにオリエンテーションフラットが形成されている場合には、オリエンテーションフラットの異なる二箇所の撮像結果と、オリエンテーションフラット以外の曲線状輪郭の一部の撮像結果とを用いて上記の基準位置及び回転量が計測されている。
【0009】
ウエハの表面及び裏面にパターンの転写が行われる状況においては、ウエハの表裏判別を行うために、従来から形成されているオリエンテーションフラットの形成箇所以外の1箇所又は2箇所に他のオリエンテーションフラット(サブオリエンテーションフラット)が形成されたウエハが用いられる。このようなウエハを用いてプリアライメントを行う場合に、ウエハが表面を上側にして配置されているときにはオリエンテーションフラットを所定の位置に配置すれば曲線状輪郭の一部も撮像されることになるため従来の方法を用いてウエハの位置情報等を計測することができる。
【0010】
しかしながら、ウエハが裏面を上側にして配置されているときには、曲線状輪郭が撮像されるべき位置にサブオリエンテーションフラットが配置されて撮像されることがあり、オリエンテーションフラットとサブオリエンテーションフラットのみが撮像されて曲線状輪郭の撮像結果が得られない場合がある。かかる場合には、ウエハの位置情報等を計測することができないという問題があった。
【0011】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみを用いて基板の位置情報を計測できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、この項に示す説明では、本発明を、実施形態を表す図面に示す部材符号に対応付けて説明するが、本発明の各構成要件は、これら部材符号を付した図面に示す部材に限定されるものではない。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測方法であって、前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像する撮像工程(S3)と、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線(L11)を求める第1直線近似工程(S23)と、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線(L12)を求める第2直線近似工程(S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定工程(S25、S26)とを含む位置計測方法が提供される。
【0014】
この発明によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭についてそれぞれ近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしているため、物体に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても物体の位置情報を計測することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測方法であって、前記物体の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像する撮像工程(S3)と、前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定工程(S21)と、前記判定工程において、前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線(L11、L12)をそれぞれ求める直線近似工程(S23、S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定工程(S25、S26)とを含む位置計測方法が提供される。
【0016】
この発明によると、物体の輪郭の一部を少なくとも2箇所において撮像し、撮像した箇所が物体の直線状輪郭であるのか又は曲線状輪郭であるのかを判定し、両方が直線状輪郭であると判定した場合に、撮像した輪郭の一部のそれぞれを第1及び第2直線状輪郭として各々の近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしている。このため、曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても物体の位置情報を計測することができる。
【0017】
ここで、上記第1及び第2の観点に係る位置計測方法において、前記推定工程は、前記基準位置に対する前記第1直線状輪郭の設計上の距離である第1距離だけ前記第1近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第1移動工程と、前記基準位置に対する前記第2直線状輪郭の設計上の距離である第2距離だけ前記第2近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第2移動工程と、前記第1移動工程で平行移動させた前記第1近似直線と前記第2移動工程で平行移動させた前記第2近似直線との交点を算出し、前記基準位置を示す基準位置情報とする基準位置情報算出工程(S25)とを含むことが好適である。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測装置であって、前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像する撮像装置(RAS、22a、22b、22c)と、前記撮像装置の撮像結果に基づいて前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線(L11)及び前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線(L12)を求める直線近似部(34)、並びに前記直線近似部で求められた前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定部(37)を有する制御装置とを備えた位置計測装置が提供される。
【0019】
この発明によると、上記第1の観点に係る位置計測方法と同様に、物体に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても物体の位置情報を計測することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する物体(W)の位置情報を計測する位置計測装置であって、前記物体の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像する撮像装置(RAS、22a、22b、22c)と、前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定部(35)、前記判定部において前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線(L11、L12)をそれぞれ求める直線近似部(34)、並びに前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定部(37)を有する制御装置とを備えた位置計測装置が提供される。
【0021】
この発明によると、上記第2の観点に係る位置計測方法と同様に、曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても物体の位置情報を計測することができる。
【0022】
ここで、上記第1及び第2の観点による位置計測装置において、前記推定部は、前記基準位置に対する前記第1直線状輪郭の設計上の距離である第1距離だけ前記第1近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第1移動部と、前記基準位置に対する前記第2直線状輪郭の設計上の距離である第2距離だけ前記第2近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第2移動部と、前記第1移動部で平行移動させた前記第1近似直線と前記第2移動部で平行移動させた前記第2近似直線との交点を算出し、前記基準位置を示す基準位置情報とする基準位置情報算出部とを備えることが好適である。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の第5の観点によると、基板(W)に所定のパターンを転写する露光方法であって、上記第1又は第2の観点に係る位置計測方法によって前記物体としての前記基板の基準位置を示す基準位置情報を求める基板計測工程(S5)と、前記基板計測工程において求められた前記基板の基準位置を示す基準位置情報に基づいて、前記基板の位置制御を行いつつ、前記基板に前記パターンを転写する転写工程(S6、S7)とを含む露光方法が提供される。
【0024】
この発明によると、例えば基板の裏面が上側に配置されて基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても基板の位置情報が計測され、計測された基板の位置情報に基づいて基板の位置制御を行いつつ基板上にパターンを転写しているため、基板の表面及び裏面の両面にパターンを効率よく転写することができる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第6の観点によると、基板(W)に所定のパターンを転写する露光装置(1)であって、前記物体としての前記基板の基準位置を示す基準位置情報を求める上記第3又は第4の観点に係る位置計測装置と、前記位置計測装置により計測された前記基板を搭載するステージ(14)を有するステージ装置(16)とを備えた露光装置が提供される。
【0026】
この発明によると、上記第5の観点に係る露光方法と同様に、基板の表面及び裏面の両面にパターンを効率よく転写することができる。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第7の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する基板(W)に所定のパターンを転写する露光装置(1)の制御用コンピュータ(20)に、前記基板の位置情報を計測させるためのプログラムであって、前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像した撮像結果を取り込む取込工程(S3)と、前記取込工程で取り込まれた撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線(L11)を求める第1直線近似工程(S23)と、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線(L12)を求める第2直線近似工程(S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記基板の基準位置を推定する推定工程(S25、S26)とを前記制御用コンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0028】
この発明によると、基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても制御用コンピュータに対して基板の位置情報を計測させることができる。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の第8の観点によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭(OF、OF1)と曲線状輪郭(CE)とを有する基板(W)に所定のパターンを転写する露光装置(1)の制御用コンピュータに、前記基板の位置情報を計測させるためのプログラムであって、前記基板の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像した撮像結果を取り込む取込工程(S3)と、前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定工程(S4)と、前記判定工程において、前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線(L11、L12)をそれぞれ求める直線近似工程(S23、S24)と、前記第1及び第2近似直線を用いて前記基板の基準位置を推定する推定工程(S26)とを前記制御用コンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0030】
この発明によると、基板に形成された曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても制御用コンピュータに対して基板の位置情報を計測させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る位置計測装置を備える露光装置の全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置は、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウエハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0032】
なお、以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウエハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウエハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ直交座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではレチクルR及びウエハWを同期移動させる方向(以下、走査方向という)をY方向に設定している。
【0033】
図1に示す露光装置1は、露光用照明光を射出する照明系10、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、基板としてのウエハWを保持してXY平面内をXY2次元方向に移動するステージとしての基板テーブル14を搭載するステージ装置としてのウエハステージ装置16、ウエハWの外縁形状を撮像する撮像装置としてのプリアライメント検出系RAS、ウエハステージ装置16上に搭載(ロード)されたウエハW上に形成されたマークを観察するアライメント検出系AS、及びこれらの制御系等を含んで構成される。
【0034】
上記照明系10は、光源ユニット、シャッタ、オプティカルインテグレータ、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系等(いずれも不図示)から構成されている。この照明系10の構成の詳細については、例えば特開平9−320956号公報並びに特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号等に開示されている。なお、本実施形態では、オプティカルインテグレータとしてフライアイレンズを備える場合を例に挙げて説明するが、これに限らずロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、又は回折光学素子等を用いることができる。
【0035】
ここで、上記光源ユニットとしては、KrFエキシマレーザ光源(発振波長248nm)若しくはArFエキシマレーザ光源(発振波長193nm)等のエキシマレーザ光源、又はF2レーザ光源(発振波長157nm)、Ar2レーザ光源(発振波長126nm)、銅蒸気レーザ光源やYAGレーザの高調波発生装置、又は超高圧水銀ランプ(g線、i線等)等を用いることができる。
【0036】
このようにして構成された照明系10の作用を簡単に説明すると、光源ユニットで発光された照明光は、シャッタが開いているとオプティカルインテグレータに入射する。オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズに照明光が入射すると、その射出側焦点面に多数の光源像からなる面光源、すなわち2次光源が形成される。
【0037】
オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズから射出された照明光は、ビームスプリッタ及び集光レンズ系を介してレチクルブラインドに至る。レチクルブラインドを通過した照明光は、結像レンズ系を介してミラー11へ向けて射出される。この後、照明光ILはミラー11によって光路が鉛直下方(−Z方向)に折り曲げられ、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域IARを照明する。
【0038】
上記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの位置決めのため、照明系10の光軸IX(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直な平面内で2次元的に(X方向及びこれに直交するY方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向に)移動可能に構成されている。
【0039】
また、このレチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上をリニアモータ等で構成されたレチクル駆動部(図示省略)により、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で移動可能となっている。このレチクルステージRSTは、レチクルRの全面が少なくとも照明系10の光軸IXを横切ることができるだけの移動ストロークを有している。
【0040】
レチクルステージRST上にはレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13からのレーザビームを反射する移動鏡12が固定されており、レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置はレチクル干渉計13によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージRST上には走査方向(Y方向)に直交する反射面を有する移動鏡(又は、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー)と非走査方向(X方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、レチクル干渉計13も各移動鏡ごとに1軸分又は複数軸分設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡12、レチクル干渉計13としてそれぞれ示されている。
【0041】
レチクル干渉計13からのレチクルステージRSTの位置情報(速度情報)RPVはステージ制御系21及びこれを介して主制御系20に送られ、ステージ制御系21では主制御系20からの指示に応じてレチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクル駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0042】
投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方(−Z方向)に配置され、その光軸AX(照明系10の光軸IXに一致)の方向がZ方向とされ、両側テレセントリックで所定の縮小倍率(例えば1/5、1/4、又は1/6)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にフォトレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の露光領域IAに投影される。
【0043】
ウエハステージWSTは、例えば2次元リニアアクチュエータにより、ベースBS上を走査方向であるY方向(図1における左右方向)及びY方向と直交するX方向(図1における紙面直交方向)に駆動されるようになっている。このウエハステージWST上には基板テーブル14が設けられている。また、基板テーブル14上にはウエハホルダ15が載置され、このウエハホルダ15によってウエハWが真空吸着により保持されている。なお、ウエハステージWST、基板テーブル14、及びウエハホルダ15でウエハステージ装置16が構成されている。
【0044】
基板テーブル14は、ウエハステージWST上にXY方向に位置決めされかつZ方向の移動及び傾斜が許容された状態で取り付けられている。そして、この基板テーブル14は、異なる3点の支持点で不図示の3本の軸によって支持されており、これら3本の軸が駆動機構としてのウエハ駆動装置17によって独立してZ方向に駆動され、これによって基板テーブル14上に保持されたウエハWの面位置(Z方向位置及びXY平面に対する傾斜)が所望の状態に設定されるようになっている。また、ウエハホルダ15は、Z軸回りの回転が可能になっている。したがって、ウエハホルダ15は、2次元リニアアクチュエータ及び駆動機構によって6自由度方向に駆動されるが、図1では2次元リニアアクチュエータ及び駆動機構がウエハ駆動装置17として代表的に示されている。
【0045】
なお、この基板テーブル14(ウエハホルダ15)のほぼ中心位置には、ウエハをウエハローダから受け取る又は受け渡すためのセンターテーブル(不図示)が設けられている。このセンターテーブルは、バキュームによる吸着機構を備えており、ウエハを吸着保持可能となっている。また、センターテーブルは、ウエハを保持した状態で上下動(Z方向への移動)及び回転(Z軸を中心として)動作が可能な構造となっている。ウエハを受け取るときには、センターテーブルは、上昇してウエハを受け取って、その後下降することにより、ウエハホルダ15(基板テーブル14)上にウエハを保持せしめるよう動作する。
【0046】
基板テーブル14上にはウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)19からのレーザビームを反射する移動鏡18が固定され、外部に配置されたウエハ干渉計19により、基板テーブル14のXY面内での位置が例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、基板テーブル14上には走査方向であるY方向に直交する反射面を有する移動鏡18Yと非走査方向であるX方向に直交する反射面を有する移動鏡18Xとが設けられ、ウエハ干渉計19X,19Yは移動鏡ごとに1軸分あるいは複数軸分設けられている(図2参照)。しかしながら、図1ではこれらが代表的に移動鏡18、ウエハ干渉計19としてそれぞれ示されている。
【0047】
基板テーブル14の位置情報(又は速度情報)WPVはステージ制御系21及びこれを介して主制御系20に送られ、ステージ制御系21では主制御系20からの指示に応じて位置情報(又は速度情報)WPVに基づいて、ウエハ駆動装置17を介してウエハステージWSTを制御する。また、基板テーブル14上には、後述するオフアクシス方式のアライメント検出系ASの検出中心から投影光学系PLの光軸AXまでの距離を計測するベースライン計測等のための各種基準マークが形成された不図示の基準部材が固定されている。
【0048】
上記プリアライメント検出系RASは、ベースBS上方の投影光学系PLと離間した位置に、不図示の保持部材によって保持されている。このプリアライメント検出系RASは、不図示のウエハローダによって搬送され、ウエハホルダ15に保持されたウエハWの外緑部3箇所の位置を検出する3つのプリアライメントセンサ22a,22b,22cを備えている。ここで、プリアライメント検出系RASの構成について説明する。図2は、プリアライメント検出系RAS周辺の構成を概略的に示す平面図である。
【0049】
まず、図2を参照してウエハWの外縁形状について説明する。図2に示す通り、ウエハWは、直線的な切り欠き(直線状輪郭)としてオリエンテーションフラットOF、及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2が形成されている。オリエンテーションフラットOFは、従来から直線的な切り欠きとしてウエハWに形成されているオリエンテーションフラットであり、サブオリエンテーションフラットOF1,OF2は、ウエハWの表裏判別を行うために新たに形成された直線的な切り欠きである。つまり、本実施形態ではウエハWの表面と裏面との両面に対して露光処理が行われる。なお、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2の長さは互いに異なる長さに設定されており、オリエンテーションフラットOFとサブオリエンテーションフラットOF1とは互いに直交する関係にある。
【0050】
これらのオリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2は本発明にいう直線状輪郭に相当し、これら以外のウエハWの外縁は本発明にいう曲線状輪郭に相当する。なお、以下の説明においては、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2が形成された箇所以外のウエハWの外縁を「円弧エッジ」といい、オリエンテーションフラットOFとサブオリエンテーションフラットOF2とに連続的につながる円弧エッジに符号CEを付して区別する。
【0051】
また、図2に示す通り、プリアライメントセンサ22a及びプリアライメントセンサ22bは、オリエンテーションフラットOFの両端付近を撮像する位置にそれぞれ配置されている。また、プリアライメントセンサ22cは、オリエンテーションフラットOFの形成部以外のウエハWの外縁位置の一部を撮像する位置に配置されている。図2に示す例では、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF2がそれぞれX軸に平行であり、サブオリエンテーションフラットOF1がY軸に平行であって、ウエハWの中心に対してオリエンテーションフラットOFが+Y方向、サブオリエンテーションフラットOF2が−Y方向、サブオリエンテーションフラットOFが+X方向にとなるよう配置されているときに、ウエハWの中心から−X方向に位置する円弧エッジCEの一部を撮像可能な位置に配置されている。なお、3つのプリアライメントセンサ22a,22b,22cのそれぞれの相対的な位置関係は、予め定められた位置関係にある。
【0052】
これらのプリアライメントセンサ22a,22b,22cとしては、撮像素子と画像処理回路とからなる画像処理方式のセンサが用いられている。以上の構成のプリアライメント検出系RASによるウエハWの外縁の撮像データD1は、主制御系20に供給されている。なお、撮像データD1は、プリアライメントセンサ22aによる撮像結果データDAと、プリアライメントセンサ22bによる撮像結果データDBと、プリアライメントセンサ22cによる撮像結果データDCとから構成されている。なお、ウエハWの外緑部を計測する場合には、ウエハWがウエハホルダ15(より正確に言えば、ウエハホルダ15のほぼ中央部に設けられ、ウエハを上下(Z方向)するための不図示のセンターテーブル)に載置された後ではなく、ウエハWがウエハホルダ15に載置される前、すなわちウエハローダに保持された状態で行っても良い。このような構成としてウエハをウエハホルダへ搬送する構成の一部として設けられている搬送アーム上にウエハを載置した状態でプリアライメントセンサ22により計測するようにしても良い。なお、このアームについては、例えば特開2002−280288号公報において公知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、上記のセンターテーブルについても前記公報に開示されている。
【0053】
図1に戻り、アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置されており、本実施形態ではウエハW上に形成されたストリートラインや位置検出用マーク(ファインアライメントマーク)を観測する撮像方式のアライメントセンサからなるオフアクシス方式のアラインメント顕微鏡が用いられている。このアライメント検出系ASの詳細な構成は、例えば特開平9−219354号公報及び米国特許5,859,707号等に開示されている。アライメント検出系ASで観測されたウエハWの像データD2は主制御系20に供給される。
【0054】
更に、本実施形態の露光装置には、露光領域IA(前述した照明領域IARと光学的に共役なウエハW上の領域)内及びその近傍領域にそれぞれ設定される計測点でウエハW表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の一つである、多点フォーカス位置検出系(不図示)が設けられている。この多点フォーカス位置検出系は、光ファイバ束、集光レンズ、パターン形成板、レンズ、ミラー、及び照射対物レンズからなる照射光学系と、集光対物レンズ、回転方向振動板、結像レンズ、受光用スリット板、及び多数のフォトセンサを有する受光器からなる受光光学系と(いずれも不図示)から構成されている。この多点フォーカス位置検出系の詳細な構成等については、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。
【0055】
次に、主制御系20について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る露光装置が備える主制御系20の内部構成を示すブロック図である。図3に示す通り、主制御系20は、主制御装置30と記憶装置40とを備えている。主制御装置30は、制御部31、撮像データ収集部32、外縁抽出部33、直線近似部34、表裏判別部35、回転量算出部36、及び位置情報算出部37を含んで構成される。制御部31は、レチクルRの位置情報(速度情報)RPV及びウエハWの位置情報(速度情報)WPVに基づいて、ステージ制御系21にステージ制御データCDを供給する等して露光装置1の動作全体を制御する。
【0056】
撮像データ収集部32は、プリアライメント検出系RASから供給された撮像データD1を収集する。外縁抽出部33は、撮像データ収集部32によって収集された撮像データに基づきウエハWの外縁位置を抽出する。直線近似部34は外縁抽出部33によって抽出されたウエハWの外縁位置から、その外縁に沿った近似直線を求める。表裏判別部35は、直線近似部34によって求められた近似直線に基づいてウエハWの表裏判別を行う。回転位置情報算出部としての回転量算出部36は、オリエンテーションフラットOFの撮像結果に基づいてウエハWの回転量を算出する。位置情報算出部37は、回転量算出部36において算出されたウエハWの回転量とウエハWの外縁の撮像結果とに基づいて、ウエハWの基準位置(例えば、中心位置)を算出する。
【0057】
また、記憶装置40は、撮像データ格納領域41、外縁情報格納領域42、近似直線格納領域43、回転情報格納領域44、及び位置情報格納領域45を備えている。なお、図3においては、データの流れを実線矢印で示しており、制御の流れを点線矢印で示している。以上、主制御系20の構成について説明したが、主制御系20が備える各部の動作の詳細については後述する。
【0058】
なお、図3においては、各ブロックをハードウェア的に構成し、これらを組み合わせて主制御系20を構成する場合を例に挙げて図示している。しかしながら、ハードウェア的には主制御系20を計算機システムとして構成し、主制御装置30を構成する各ブロックの機能を主制御系20に内蔵されたプログラムによって実現することも可能である。
【0059】
また、主制御装置30を計算機システムとして構成した場合には、主制御装置30を構成する上記の各ブロックの後述する機能を実現するためのプログラムの全てを予め主制御装置30に内蔵することは必ずしも必須ではない。例えば、図1において点線で示されるように、上記の各ブロックの機能を実現するためのプログラムを格納した記録媒体26を用意するとともに、記録媒体26からプログラム内容を読み出し可能であり、かつ、記録媒体26を着脱可能な読取装置25を主制御系20に接続し、主制御系20が読取装置25に装填された記録媒体26から機能実現のために必要なプログラム内容を読み出し、読み出したプログラムを実行するように構成することができる。また、主制御系20が読取装置25に装填された記録媒体26からプログラム内容を読み出して、内部にインストールする構成とすることができる。さらに、インターネット等を利用し、通信ネットワークを介して機能実現のために必要となるプログラム内容を主制御系20にインストールする構成とすることもできる。
【0060】
なお、記録媒体26としては、磁気的に記録するもの(磁気ディスク、磁気テープ等)、電気的に記録するもの(PROM、バッテリ・バックアップ付RAM、EEPROM、その他の半導体メモリ等)、光磁気的に記録するもの(光磁気ディスク等)、電気磁気的に記録するもの(デジタルオーディオテープ(DAT)等)等、光学的に記録するもの(コンパクトディスク(CD)、DVD(登録商標))等の種々の記録形態で記録するものを採用することができる。以上のように、機能を実現するためのプログラム内容を記録した記録媒体を使用したり、インストールしたりすることが可能なように構成することにより、後におけるプログラム内容の修正や、性能向上のためのバージョンアップ等を容易に行うことができるようになる。
【0061】
次に、露光時の動作について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る露光装置の露光時の動作の概略を示すフローチャートである。まず、不図示のレチクルローダを用いて不図示のレチクルライブラリから転写すべきパターンが形成されたレチクルRがレチクルステージRST上にロードされる。また、不図示のウエハローダにより、露光すべきウエハWが基板テーブル14上の前述したセンターテーブル上にロードされる。この時、センターテーブルはアップした状態(ウエハホルダ15の上面から突出した状態)にあり、この状態でセンターテーブルは、ウエハをバキュームで吸着保持する。つまり、この時は、ウエハはまだウエハホルダ15の上方に保持された状態にある(ステップS1)。ここで、本実施形態においては、ウエハWの表面及び裏面の両面に露光処理を行う場合を想定しているため、ウエハWは表面を上側にしてセンターテーブル上にロードされる場合もあり、裏面を上側にしてセンターテーブル上にロードされる場合もある。
【0062】
次に、主制御系20(より詳しくは、制御部31(図3参照))がステージ制御系21に制御信号を出力してウエハ駆動装置17を介してウエハステージWSTを(すなわちセンターテーブルも)駆動し、ウエハWをプリアライメントセンサ22a,22b,22cによる撮像位置へ移動する(ステップS2)。具体的には、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFがプリアライメントセンサ22a,22bの真下に位置し、円弧エッジCEの一部又はサブオリエンテーションフラットOF1がプリアライメントセンサ22cの真下に位置するようにウエハWを移動する。プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが位置するようにウエハWを移動させることができるのは、オリエンテーションフラットOF及びサブオリエンテーションフラットOF1,OF2の長さが互いに異なる長さに設定されているためである。
【0063】
ここで、プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが位置している状態において、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上にロードされているか、又は裏面を上側にしてセンターテーブル上にロードされているかに応じて、プリアライメントセンサ22cの真下に配置されるウエハWの外縁部分は変化する。
【0064】
図5は、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像位置へウエハWが配置された状態を示す上面図である。図5(a)に示す通り、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上にロードされている場合には、円弧エッジCEの一部がプリアライメントセンサ22cの真下に位置する。また、図5(b)に示す通り、ウエハWが裏面を上側にしてセンターテーブル上にロードされている場合には、サブオリエンテーションフラットOF1がプリアライメントセンサ22cの真下に位置する。
【0065】
このようにしてウエハWの移動が完了すると、プリアライメントセンサ22a,22b,22cを用いてウエハWの外縁近傍を撮像する(ステップS3)。図6は、ウエハWが表面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像結果の一例を示す図である。また、図7は、ウエハWが裏面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像結果の一例を示す図である。図6,図7において、Va〜Vcはプリアライメントセンサ22a,22b,22cそれぞれの計測視野を示しており、各々の計測視野Va〜VcにウエハWの像が示されている。
【0066】
図6を参照すると、プリアライメントセンサ22a,22bの計測視野Va,VbにはウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFの像が示されており、プリアライメントセンサ22cの視野Vcには、ウエハWの円弧エッジCEの一部の像が示されている。一方、図7を参照すると、プリアライメントセンサ22a,22bの計測視野Va,Vbには、図6と同様に、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFの像が示されているが、プリアライメントセンサ22cの視野Vcには、サブオリエンテーションフラットOF1の一部の像が示されている。図7に示す通り、ウエハWが裏面を上側にして配置されている状態においては、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの計測視野Va,Vb,Vcには直線状の外縁のみが配置される。
【0067】
プリアライメントセンサ22a,22b,22cによって撮像されたウエハWの撮像データD1は、主制御系20に供給される。主制御系20では、撮像データ収集部32(図3参照)が撮像データD1を受信し、記憶装置40に設けられた撮像データ格納領域41に受信した撮像データD1を格納する。プリアライメントセンサ22a,22b,22cによるウエハWの撮像が終了して撮像データD1が得られると、撮像データ格納領域41に格納されたウエハWの外縁近傍の撮像データに基づいて、ウエハWの表裏判別が行われる(ステップS4)。
【0068】
ここで、図5〜図7を参照して説明した通り、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFは、ウエハWが基板テーブル14上に表面を上側にして配置されているか又は裏面を上側に配置されているかに拘わらず、常にプリアライメントセンサ22a,22bの真下に配置される。これに対し、ウエハWが基板テーブル14上に表面を上側にして配置されているか又は裏面を上側に配置されているかに応じて、プリアライメントセンサ22cの真下にはサブオリエンテーションフラットOF1又は円弧エッジCEが配置される。本実施形態では、プリアライメントセンサ22cの撮像結果を用いてウエハWの表裏判別を行っている。以下、表裏判別処理について詳細に説明する。
【0069】
図8は、ウエハWの表裏判別処理を示すフローチャートである。ウエハWの表裏判別処理が開始されると、主制御系20に設けられた制御部31の制御に従って、外縁抽出部33が記憶装置40に設けられた撮像データ格納領域41に格納された撮像データD1からプリアライメントセンサ22cの撮像データを読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める(ステップS11)。こうして抽出された外縁点をPck(Xck,Yck)とする(図6,図7参照)。なお、kは1≦k≦n3(n3は2以上の整数である)を満たす整数である。抽出された外縁点Pckは記憶装置40に設けられた外縁情報格納領域42に格納される。
【0070】
次に、制御部31の制御に従って、直線近似部34が外縁情報格納領域42に格納された外縁点Pckを読み出し、最小二乗法を用いて直線近似を行う(ステップS12)。ここで、求める近似直線の式を変数「a」,「b」を用いて以下の(1)式で表す。
【0071】
【数1】
【0072】
上記の(1)式にn1個の外縁点PckのX座標Xck及びY座標Yckのそれぞれを代入して得られる連立式を行列の形式で表すと以下の(2)式となる。
【0073】
【数2】
【0074】
ここで、上記(2)式を以下の(3)式の通り表すと、
【0075】
【数3】
【0076】
求める解(上記(3)式における行列p)は最小二乗法により以下の(4)式から求められる。
【0077】
【数4】
【0078】
すなわち、上記(4)式を解いて得られる行列の第1行目が上記(1)式中の変数「a」であり、第2行目が上記(1)式中の変数「b」である。なお、上記(4)式においてAtは行列Aの転置行列である。
【0079】
外縁点Pckに対する近似直線が得られると、次に制御部31の制御に従って、表裏判別部35は以下の(5)式を用いて、ステップS11で抽出した外縁点PckとステップS12で求めた近似直線との距離、すなわち近似直線に対する各外縁点Pckの残差dを求める。
【0080】
【数5】
【0081】
上記(5)式中の変数「a」,「b」は、上記(4)式で求められた近似直線を表す変数であり、Xck,Yckはそれぞれ外縁点PckのX座標及びY座標である。なお、ここで求められる近似直線は、外縁点Pckの各々から近似直線までの距離の二乗の和を最小にする直交回帰直線である。外縁点Pckの全てについての残差dを求めると、表裏判別部35は残差dの最大値、又は分散若しくは標準偏差を求める。これにより、外縁点Pckと近似直線との位置関係が求められる(ステップS13)。
【0082】
ここで、円弧エッジから抽出された外縁点と近似直線との位置関係、及びサブオリエンテーションフラットOF1等の直線状の外縁から抽出された外縁点と近似直線との位置関係について考察する。図9は、円弧エッジ又は直線状の外縁と近似直線との位置関係を例示する図であり、(a)は円弧エッジCEから抽出された外縁点Pckと近似直線L1との位置関係を例示する図であって、(b)はサブオリエンテーションフラットOF1から抽出された外縁点Pckと近似直線L2との位置関係を例示する図である。
【0083】
図9に示す通り、プリアライメントセンサ22cが円弧エッジCEを撮像した場合、及びサブオリエンテーションフラットOF1を撮像した場合の何れの場合であっても、近似直線L1,L2が得られることが分かる。しかしながら、図9(a)を参照すると、近似直線L1に対する外縁点Pckの距離のばらつきが大きいため、残差dの最大値又は分散若しくは標準偏差が大きくなることが推定される。これに対し、図9(b)を参照するとサブオリエンテーションフラットOF1と近似直線L2とはほぼ一致し、近似直線L2に対する外縁点Pckの距離のばらつきは外縁抽出時のサンプリング誤差のみとなるため、残差dの最大値又は分散若しくは標準偏差が小さくなることが推定される。
【0084】
本実施形態では所定の閾値を設定し、残差dの最大値又は分散若しくは標準偏差が設定した閾値を越えているか否かを判断して、プリアライメントセンサ22cの真下に配置されたウエハWの外縁が円弧エッジCEであるのか、又はサブオリエンテーションフラットOF1であるのかを判定する(ステップS14)。ここで、残差dの最大値を用いて上記の判定を行う場合を例に挙げて説明する。図10は、撮像した外縁部が円弧エッジCEであるか否かの判定を行う際に設定する閾値の一例を説明するための図である。
【0085】
いま、図10に示す通り、プリアライメントセンサ22cの視野Vc内に円弧エッジCEの一部が配置されているとする。また、プリアライメントセンサ22cの視野Vcに対してウエハWの中心C1が図示の位置にあるとする。更に、図10中の破線で示した直線L1は、プリアライメントセンサ22cの撮像結果から求められた近似直線であるとする。プリアライメントセンサ22cの視野Vc内において円弧エッジCEから抽出される外縁点Pckが取りうるX座標の幅は、E1−E2で求められる。上記のE1はウエハWの中心C1からX座標の値が最も小さくなる外縁点P2までのX方向の距離であり、E2はウエハWの中心C1からX座標の値が最も大きくなる外縁点P1,P3までのX方向の距離である。
【0086】
ここで、図10中に示した近似直線L1に対して予想される最大残差dmaxは、dmax=(E1−E2)/2と推定される。つまり、外縁点Pckが取りうるX座標の幅の中間位置に近似直線L1があり、この近似直線L1に対してウエハWの中心C1からX座標の値が最も小さくなる外縁点P2までのX方向の距離、又は近似直線L1に対してウエハWの中心C1からX座標の値が最も大きくなる外縁点P1,P3までのX方向の距離が最大残差dmaxと推定される。
【0087】
ここで、ウエハWの半径をRとし、プリアライメントセンサ22cのY方向における計測視野Vcの長さをvとして、これらを用いて最大残差dmaxを表すと、以下の(6)式となる。なお、プリアライメントセンサ22cのY方向における計測視野Vcの長さは、プリアライメントセンサ22cで撮像された円弧エッジCEの弦の長さである。
【0088】
【数6】
【0089】
前述した通り、プリアライメントセンサ22cの真下にサブオリエンテーションフラットOF1が配置された場合よりも円弧エッジが配置された場合の方が残差dは大きくなり、また上述のように円弧エッジが配置された場合の最大残差dmaxは上記(6)式で表される。このため、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジが配置されているのか又はサブオリエンテーションフラットOF1が配置されているのかを判定するためには、0<dth<dmaxを満たす閾値dth、望ましくは(dmax/2)<dth<dmaxを満足する閾値dthを設定すれば良い。
【0090】
上記(6)式を参照すると最大残差dmaxは、ウエハWの半径及び計測視野VcのY方向における長さのみを用いて表されており、これらはウエハWの処理を行うに先だって予め得られている情報である。図3に示す表裏判別部35は予めこれらの情報を制御部31から得て閾値dthを設定している。表裏判別部35は、算出した残差dの最大値が以上説明した閾値dthを越えている場合(残差dが閾値dthよりも大きい場合)には、プリアライメントセンサ22cの真下には円弧エッジCEが配置されていると判断し、逆に残差dの最大値が以上説明した閾値dthを越えていない場合(残差dが閾値dth以下である場合)には、プリアライメントセンサ22cの真下にはサブオリエンテーションフラットOF1が配置されていると判定する。以上、残差dの最大値を用いて判定する場合を例に挙げて説明したが、残差dの分散若しくは標準偏差又はこれらの両者を用いて判定する場合も同様に閾値を設定して判定を行う。
【0091】
また、残差dの最大値dmaxのみを用いる場合のみに本発明は限定されるものではない。例えば、残差の大きいものを何点か選別し、それらの合計値が所定の閾値を越えていれば円弧であるという判別手法を用いるようにしても良い。例えば、残差dの大きい順にn点抽出し、それらの点の各残差(dmax〜dn)の合計値(dmax+dmax−1+…+dn)と所定の閾値とを比較するようにすれば良い。あるいは、残差dの最大値dmaxを用いるのではなく、n番目(例えば、2番目)に大きい残差(dmax−1)を用いて(n番目の残差とn番目残差用の閾値とを比較することによって)、円弧かオリエンテーションフラットかを判別するようにしても良い。以上のように、残差dの最大値dmaxのみでの判別ではなく、n番目に大きい残差を用いて判別することによって、例えば、ゴミ等の影響で測定値に「飛び」があった場合に、そのゴミの影響を受けた「飛び値」を最大残差dmaxと認識して、表裏を誤判別してしまうことを防止することができる。
【0092】
図5を参照して説明した通り、プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが配置されている状態において、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジCEが配置されているか又はサブオリエンテーションフラットOF1が配置されているかを判定することができれば、センターテーブル上に表面を上側にして又は裏面を上側にしてウエハWが配置されているかを判別することができる。そこで、この関係を用いて表裏判別部35は基板テーブル14上に載置されたウエハWの表裏判別を行う(ステップS15)。ウエハWの表裏判別結果は、制御部31に出力される。以上の処理によりウエハWの表裏判別が終了し、処理は図4に示したメインルーチンにリターンする。
【0093】
処理がメインルーチンにリターンすると、ウエハWの位置情報を算出する処理が行われる(ステップS5)。図11は、ウエハWの位置情報を算出する処理を示すフローチャートである。ウエハWの位置情報算出処理が開始されると、まず主制御系20に設けられた制御部31が、表裏判別部35の判別結果に基づいて、基板テーブル14上のウエハWが表面を上側にして配置されているのか否かを判断する(ステップS21)。
【0094】
表面を上側にしてウエハWが基板テーブル14上に配置されていると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、従来から用いられる周知の方法(例えば、前述の特許文献1又は2に記載の方法)を用いてウエハWの位置情報を算出する(ステップS22)。ここで、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上に載置されていると、ウエハWはプリアライメントセンサ22a,22b,22cに対して図5(a)に示す状態で配置されていることになり、図6に示す撮像データD1がプリアライメントセンサ22a,22b,22cの各々から得られる。
【0095】
前述した通り、ウエハWはオリエンテーションフラットOFが形成された従来から用いられているものに、サブオリエンテーションフラットOF1,OF2を新たに形成したものであり、オリエンテーションフラットOFと円弧エッジCEとを観察して得られた計測結果は従来のウエハWを観察して得られる計測結果と同じものとなる。このため、表面を上側にしてセンターテーブル上に載置されているウエハWの位置情報を算出する場合には、従来から用いられている方法を用いて位置情報の算出を行う。
【0096】
従来から用いられている位置情報の算出方法を簡単に説明すると以下の通りである。まず、図3に示した制御部31の制御の下で、外縁抽出部33が撮像データ格納領域41に格納されている撮像データD1を読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める。ここで、抽出する点群は、図6に示した外縁点Pai、外縁点Pbj、及び外縁点Pckである。なお、iは1≦i≦n1を満たす整数であり、jは1≦j≦n2を満たす整数である。尚、n1,n2は2以上の整数である。抽出された外縁点の全ては外縁情報格納領域42に格納される。
【0097】
次に、制御部31の制御の下で、直線近似部34が外縁情報格納領域42から外縁点Pai及び外縁点Pbjを読み出し、各々について最小二乗法を用いて直線近似を行い、求めた近似直線を表す情報を近似直線格納領域43に格納する。そして、制御部31の制御の下で回転量算出部36が近似直線格納領域43に格納された近似直線を読み出し、X軸に対するウエハWの回転量を算出し、算出した回転量を回転情報格納領域44に格納する。
【0098】
以上の処理が終了すると、制御部31の制御の下で位置情報算出部37が、外縁情報格納領域42から外縁点Pckを読み出すとともに、回転情報格納領域44から回転量を読み出して、ウエハWの中心位置(基準位置)を算出する。なお、ウエハWの中心位置の算出にあたっては、ウエハWの回転量に代えて、外縁点Pai及び外縁点Pbjを用いてもよく、更にはオリエンテーションフラットOFの近似直線を用いても良い。また、ウエハWの中心位置を算出する際には、外縁点Pckの少なくとも1つを用いれば良く、必ずしも全てを用いなくても良い。
【0099】
このようにして算出されたウエハWの中心位置は位置情報格納領域45に格納される。以上の処理により、ウエハWが表面を上側にしてセンターテーブル上に載置されている場合のウエハWの位置情報を算出する処理が終了し、処理は図4に示したメインルーチンにリターンする。
【0100】
一方、ステップS21において、裏面を上側にしてウエハWがセンターテーブル上に配置されていると判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、処理がステップS23へ進む。ここで、ウエハWが裏面を上側にしてセンターテーブル上に配置されている場合には、図7に示した通り、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの全てにおいて直線状の外縁が観察された状態となり、上述した従来の方法を用いてはウエハWの中心位置を求めることができない。そこで、本実施形態では以下の方法を用いてウエハWの中心位置を算出している。
【0101】
まず、ステップS23では、オリエンテーションフラットOFを直線近似する処理が行われる。この処理では、図3に示す制御部31の制御の下で、外縁抽出部33が撮像データ格納領域41に格納されている撮像データD1を読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める。ここで、抽出する点群は、図7に示した外縁点Pai及び外縁点Pbjである。抽出された外縁点の全ては外縁情報格納領域42に格納される。なお、以下の説明において、外縁点Pai(Xai,Yai)及び外縁点Pbj(Xbj,Ybj)の全てを表す場合には、外縁点Pdm(Xdm,Ydm)と記すものとする。なお、mは1<m≦(n1+n2)を満たす整数である。
【0102】
次に、制御部31の制御に従って、直線近似部34が外縁情報格納領域42に格納された外縁点Pdmを読み出し、最小二乗法を用いて直線近似を行う。求めた近似直線を表す情報は近似直線格納領域43に格納される。
【0103】
以上の処理が終了すると、サブオリエンテーションフラットOF1を直線近似する処理が行われる(ステップS24)。この処理では、図3に示す制御部31の制御の下で、外縁抽出部33が撮像データ格納領域41に格納されている撮像データD1を読み出してウエハWの外縁に沿った複数の外縁点からなる点群を抽出し、それらの位置を求める。ここで、抽出する点群は、図7に示した外縁点Pckである。抽出された外縁点の全ては外縁情報格納領域42に格納される。次に、制御部31の制御に従って、直線近似部34が外縁情報格納領域42に格納された外縁点Pckを読み出し、最小二乗法を用いて直線近似を行う。求めた近似直線を表す情報は近似直線格納領域43に格納される。
【0104】
ここで、ステップS23で求められるオリエンテーションフラットOFの近似直線(直交回帰直線)の式を変数「a1」,「b1」を用いて以下の(7)式で表し、ステップS24で求められるサブオリエンテーションフラットOF1の近似直線(直交回帰直線)の式を変数「a2」,「b2」を用いて以下の(8)式で表す。
【0105】
【数7】
【0106】
【数8】
【0107】
上記の(7)式に(n1+n2)個の外縁点PdmのX座標Xdm及びY座標Ydmのそれぞれを代入して得られる連立式を行列の形式で表すと以下の(9)式となる。
【0108】
【数9】
【0109】
同様に、上記の(8)式にn3個の外縁点PckのX座標Xck及びY座標Yckのそれぞれを代入して得られる連立式を行列の形式で表すと以下の(10)式となる。
【0110】
【数10】
【0111】
ここで、上記(9)式を以下の(11)式の通り表し、上記(10)式を以下の(12)式の通り表す。
【0112】
【数11】
【0113】
【数12】
求める解(上記(11)式における行列p1及び上記(12)式における行列p2)は最小二乗法により以下の(13)式及び(14)式からそれぞれ求められる。
【0114】
【数13】
【0115】
【数14】
【0116】
すなわち、上記(13)式を解いて得られる行列の第1行目が上記(7)式中の変数「a1」であり、第2行目が上記(7)式中の変数「b1」である。また、上記(14)式を解いて得られる行列の第1行目が上記(8)式中の変数「a2」であり、第2行目が上記(8)式中の変数「b2」である。なお、上記(13)式においてA1 tは行列A1の転置行列であり、上記(14)式においてA2 tは行列A2の転置行列である。
【0117】
以上の処理により、オリエンテーションフラットOFの近似直線L11及びサブオリエンテーションフラットの近似直線L12が求まり、これら近似直線L11,L12を表す情報が近似直線格納領域43に格納される。
【0118】
次に、これらの近似直線L11,L12を用いてウエハWの中心位置(基準位置)を求める処理が行われる。図12は、オリエンテーションフラットOFの近似直線L11とサブオリエンテーションOF1の近似直線L12とを用いてウエハWの中心位置を求める処理を説明するための図である。図12において、G1はウエハWの中心位置に対するオリエンテーションフラットOFの距離を示しており、G2はウエハWの中心位置に対するサブオリエンテーションフラットOF1の距離を示している。これら距離G1,G2は予め設計値から求められている。
【0119】
このため、本実施形態では、図12に示す通り、ステップS23で得られた近似直線L11をウエハWの中心方向に向けて距離G1だけ平行移動するとともに、ステップS24で得られた近似直線L12をウエハWの中心方向に向けて距離G2だけ平行移動する。そして、平行移動させた近似直線(以下、移動後直線という)の交点C2を算出し(ステップS25)、この交点C2をウエハWの中心位置として推定して(ステップS26)、ウエハWの中心位置を求めている。なお、図12においては、ウエハWの回転量を誇張して図示している。
【0120】
上記ステップS25においては、図3に示した制御部31の制御の下で、回転量算出部36が近似直線格納領域43に格納された近似直線L11に関する情報を読み出し、所定の基準としてのX軸に対する近似直線L11の傾きθ(ウエハWの回転量)を算出し、算出した傾きθを回転情報格納領域44に格納する。次に、制御部31の制御の下で、位置情報算出部37が近似直線格納領域43に格納された近似直線L11,L12に関する情報を読み出すとともに、回転情報格納領域44から近似直線L11の傾きθを読み出し、これらを用いてウエハWの中心位置と推定される交点C2を算出する。
【0121】
オリエンテーションフラットOFの近似直線L11は前述した(7)式で表されており、サブオリエンテーションフラットOF1の近似直線L12は前述した(8)式で表されている。近似直線L11をウエハWの中心に向けて距離G1だけ平行移動させた移動後直線は以下の(15)式で表され、近似直線L12をウエハWの中心に向けて距離G2だけ平行移動させた移動後直線は以下の(16)式で表される。
【0122】
【数15】
【0123】
【数16】
【0124】
上記(15)式と(16)式を用いれば交点C2を算出することができる。
【0125】
なお、以上説明した方法においては、近似直線L11,L12を共にウエハWの中心に向けて平行移動させて交点C2を算出したが、近似直線L11,L12の何れか一方のみをウエハWの中心に向けて平行移動させるだけでも上記の交点C2を算出することができる。この方法においては、例えば、近似直線L11のみをウエハWの中心に向けて移動させ、この移動後直線と平行移動を行っていない近似直線L12との交点C3(図12参照)を求めてから交点C2を算出する。
【0126】
近似直線L11をウエハWの中心に向けて平行移動させた移動後直線は上記(15)式で表される。この移動後直線を平行移動を行っていない近似直線L12((8)式の近似直線)に代入して求められる交点C3の座標(X3,Y3)は、以下の(17)式で表される。
【0127】
【数17】
【0128】
上記(17)式で表される交点C3の座標(X3,Y3)から求められる交点C2の座標(X2,Y2)は、以下の(18)式で表される。
【0129】
【数18】
【0130】
以上説明した処理を行って求められた交点C2の座標座標(X2,Y2)は、位置情報として位置情報格納領域45に格納される。以上の処理によりウエハWが裏面を上側にしてセンターテーブル上に載置されている場合のウエハWの位置情報を算出する処理が終了し、処理は図4に示したメインルーチンにリターンする。
【0131】
処理がメインルーチンにリターンすると、上記サブルーチンS5で算出されたウエハの回転量を補正するようにセンターテーブルを回転させながら下降させて、ウエハを基板ホルダ15上に吸着保持させる。なお、サブルーチンS5で求めたウエハ中心は、オフセット情報として保持しておき、各ショット領域の位置合わせを行う際のオフセットとして使用される。次に、制御部31は、上記で求めたウエハWの形状測定以外の露光準備用計測を行う(ステップS6)。すなわち、制御部31は、基板テーブル14上に配置された不図示の基準部材を使用したレチクルアライメント、及びアライメント検出系ASのベースライン量の測定等の準備作業を行う。なお、上記のレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平4−324923号公報及びこれに対応する米国特許第5,243,195号に詳細に開示されている。
【0132】
また、ウエハWに対する露光が、第2層目以降の露光であるときには、既にウエハW上に形成されている回路パターンと、重ね合わせ精度良く回路パターンを形成するため、上述のウエハWの位置情報計測結果に基づいて、前述した基準座標系における、ウエハW上の回路パターンの配列、すなわちショット領域の配列に関する配列座標位置情報が、アライメント検出系ASを使用して高精度で検出される。
【0133】
以上の処理が完了すると、ウエハWに対する露光が行われる(ステップS7)。この露光動作にあたっては、まず、ウエハWのXY位置がウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル14が移動される。この移動は、位置情報格納領域45から読み出された上述のウエハWの位置情報計測結果(主にサブルーチンS5で求めたウエハ中心位置情報(オフセット情報))、及びウエハ干渉計19からの位置情報(速度情報)等(第2層目以降の露光の場合には、基準座標系上での配列座標位置情報の検出結果及びウエハ干渉計19からの位置情報(速度情報)及び上記オフセット情報等)に基づき、主制御系20によりステージ制御系21及びウエハ駆動装置17等を介して行われる。同時に、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。この移動は、主制御系20によりステージ制御系21及び不図示のレチクル駆動部等を介して行われる。
【0134】
次に、ステージ制御系21が、主制御系20からの制御命令に応じて、多点フォーカス位置検出系によって検出されたウエハWのZ位置情報、レチクル干渉計13によって計測されたレチクルRのXY位置情報、ウエハ干渉計19によって計測されたウエハWのXY位置情報に基づき、不図示のレチクル駆動部及びウエハ駆動装置17を介して、ウエハWの面位置の調整を行いつつ、レチクルRとウエハWとを相対移動させて走査露光を行う。
【0135】
こうして、最初のショット領域の露光が終了すると、次のショット領域の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル14が移動されるとともに、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、このショット領域に関する走査露光が上述の最初のショット領域と同様にして行われる。以後、同様にして各ショット領域について走査露光が行われ、露光が完了する。ウエハWの露光が完了すると、ウエハステージWSTがアンロード位置に移動された後、不図示のウエハアンローダにより、ウエハWが基板テーブル14からアンロードされる(ステップS8)。こうして、ウエハ1枚についての露光処理が終了する。
【0136】
なお、以上の露光処理が第1層目の走査露光である場合は、前述の位置計測結果に基づいて、ウエハW上におけるショット領域の位置が補正され、結果としてショット領域の配列座標系は設計上の座標系に対する座標原点のシフト量や回転量がほぼ零となるが、ウエハWの中心位置のずれ量(シフト量)及び回転量が小さいときは、その位置情報計測結果に基づくショット位置の補正は行わなくともよい。また、上記露光処理が第2層目以降の走査露光である場合は、走査露光に先立ってファインアライメントが行われるので、走査露光におけるレチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期移動で前述の位置情報計測結果を用いる必要はなく、ファインアライメント時におけるウエハステージWSTの移動のみでその位置情報計測結果が用いられることになる。
【0137】
さらに、第1層目ではその走査露光、第2層目ではファインアライメントに先立ち、前述の位置情報計測結果に基づいて、例えばウエハW又はウエハホルダ15を回転させるようにしてもよい。この場合は、第1層目の走査露光や第2層目以降のファインアライメントにおいて、前述の位置情報計測結果すなわち回転量を用いる必要がなくなる。このとき、ウエハWの回転量の代わりに、又はそれに加えて、前述の位置計測により得られたウエハWの中心位置を示す情報に基づいてウエハホルダ15上におけるウエハWの位置を微調整することにより、以降の動作で中心位置を示す情報を用いる必要がなくなる。
【0138】
以上説明したように、本実施形態によれば、プリアライメントセンサ22cの撮像結果に基づいて、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジCEが位置しているのか、又はサブオリエンテーションフラットOF1が位置しているのかを判定し、この判定結果に基づいてウエハWの表裏判断を行っているため、高速且つ正確にウエハWの表裏判別を行うことができる。この結果、例えばウエハWの表面に転写すべきパターンがウエハWの裏面に転写されるといった事態を防止することができ、高い歩留まりでデバイスを製造することができる。
【0139】
また、オリエンテーションフラットOFの近似直線及びサブオリエンテーションフラットOF1の近似直線を求め、これらをウエハWの中心に向かって平行移動し、移動後直線の交点をウエハWの中心と推定しているため、プリアライメントセンサ22a,22bの真下にオリエンテーションフラットOFが位置し、プリアライメントセンサ22cの真下にサブオリエンテーションフラットOF1が位置する場合のように、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの全てが直線状の外縁を観察するような状況においてもウエハWの位置情報を求めることができる。
【0140】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0141】
例えば、上記実施形態では、図4に示したウエハWの表裏判別を行うステップS4とウエハWの位置情報を算出するステップS5とにおいて、説明の便宜上、個別に外縁に沿った点群を抽出して近似直線を求めていた。しかしながら、ステップS3の撮像を行って得られた撮像データD1(プリアライメントセンサ22a,22b,22cの撮像データ)各々に対して一括して点群抽出処理及び直線近似処理を行って、図3に示す外縁情報格納領域42及び近似直線格納領域43に各々の処理結果を格納しておき、必要になったときに必要な情報を読み出すようにすることで、処理の効率化を図ることができる。
【0142】
また、上記実施形態においては、プリアライメントセンサ22cの真下に円弧エッジCEが配置されているのか又はサブオリエンテーションフラットOF1が配置されているのかを判定し、この判定結果のみに基づいてウエハWの表裏判別を行っていたが、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの全てについて各々の真下に位置しているのが直線状輪郭であるのか曲線状輪郭であるのかを判定し、これらの判定結果に基づいて表裏判定を行うようにしても良い。
【0143】
また、上述した実施形態においては、露光装置で用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明は露光装置のみならず、ウエハに形成されたパターンの重ね合わせ精度を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンの線幅を検査する検査装置、ウエハに形成されたパターンのマクロ的(巨視的)な欠陥を検査する検査装置、その他の検査装置にも検査対象のウエハを所定の精度で位置合わせするために用いることができる。
【0144】
なお、上述した実施形態では、ウエハ(基板)を検査対象として説明したが、検査対象としては、円弧状の輪郭と直線上の輪郭とをあわせ持つ物体であれば、ウエハに限られるものではない。
【0145】
また、上記実施形態においては、本発明をステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、上記実施形態では、照明光ILとしてArFエキシマレーザ等から射出されるレーザ光を用いていたが、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いるようにしてもよい。さらに、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いてもよい。また、投影光学系は、反射光学系、屈折光学系、及び反射屈折光学系のいずれを用いてもよい。
【0146】
また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
【0147】
さらに、半導体素子の製造に用いられるデバイスパターンをウエハ上に転写する露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられるデバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
【0148】
ところで、EUV光を用いる露光装置では反射型マスクが用いられ、電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられるので、マスクの原版としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0149】
複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージや基板ステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0150】
半導体素子は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光装置等によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
【0151】
【発明の効果】
この発明によると、互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭についてそれぞれ近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしているため、物体に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても物体の位置情報を計測することができるという効果がある。
【0152】
また、本発明によると、物体の輪郭の一部を少なくとも2箇所において撮像し、撮像した箇所が物体の直線状輪郭であるのか又は曲線状輪郭であるのかを判定し、両方が直線状輪郭であると判定した場合に、撮像した輪郭の一部のそれぞれを第1及び第2直線状輪郭として各々の近似直線を求め、これらの近似直線を用いて物体の基準位置を推定するようにしている。このため、曲線状輪郭の撮像結果が得られる場合、及び直線状輪郭のみの撮像結果が得られる場合の何れの場合においても物体の位置情報を計測することができるという効果がある。
【0153】
さらに、本発明によると、例えば物体としての基板の裏面が上側に配置されて基板に形成された直線状輪郭の撮像結果のみが得られる状況においても基板の位置情報が計測され、計測された基板の位置情報に基づいて基板の位置制御を行いつつ基板上にパターンを転写しているため、基板の表面及び裏面の両面にパターンを効率よく転写することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成の概略を示す図である。
【図2】プリアライメント検出系の周辺の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る露光装置が備える主制御系の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る露光装置の露光時の動作の概略を示すフローチャートである。
【図5】プリアライメントセンサの撮像位置へウエハが配置された状態を示す上面図である。
【図6】ウエハが表面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサの撮像結果の一例を示す図である。
【図7】ウエハが裏面を上側にして配置されているときのプリアライメントセンサの撮像結果の一例を示す図である。
【図8】ウエハの表裏判別処理を示すフローチャートである。
【図9】円弧エッジ又は直線状の外縁と近似直線との位置関係を例示する図である。
【図10】撮像した外縁部が円弧エッジであるか否かの判定を行う際に設定する閾値の一例を説明するための図である。
【図11】ウエハの位置情報を算出する処理を示すフローチャートである。
【図12】オリエンテーションフラットの近似直線とサブオリエンテーションの近似直線とを用いてウエハの中心位置を求める処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1…露光装置
14…基板テーブル(ステージ)
16…ウエハステージ装置(ステージ装置)
20…主制御系(制御装置、制御用コンピュータ)
22a〜22c…プリアライメントセンサ(撮像装置)
33…外縁抽出部(点群抽出部)
34…直線近似部(近似直線算出部)
35…表裏判別部(判定部)
37…位置情報算出部(推定部)
CE…円弧エッジ(曲線状輪郭)
L11…近似直線(第1近似直線)
L12…近似直線(第2近似直線)
OF…オリエンテーションフラット(第1直線状輪郭)
OF1…サブオリエンテーションフラット(第2直線状輪郭)
RAS…プリアライメント検出系(撮像装置)
W…ウエハ(基板)
Claims (14)
- 互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭と曲線状輪郭とを有する物体の位置情報を計測する位置計測方法であって、
前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像する撮像工程と、
前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線を求める第1直線近似工程と、
前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線を求める第2直線近似工程と、
前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定工程と
を含むことを特徴とする位置計測方法。 - 互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭と曲線状輪郭とを有する物体の位置情報を計測する位置計測方法であって、
前記物体の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像する撮像工程と、
前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は曲線状輪郭であるのかを判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線をそれぞれ求める直線近似工程と、
前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定工程と
を含むことを特徴とする位置計測方法。 - 前記判定工程は、前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記物体の前記輪郭の一部に沿った複数の点からなる点群を抽出する点群抽出工程と、
前記点群に対する近似直線を算出する近似直線算出工程とを含み、
前記近似直線算出工程で得られた近似直線に対する前記点群の位置関係に応じて、前記判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の位置計測方法。 - 前記判定工程は、前記位置関係として前記近似直線に対する前記点群をなす各点の距離の統計分布を用い、当該統計分布の標準偏差及び分散の少なくとも一方に応じて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の位置計測方法。
- 前記推定工程は、前記基準位置に対する前記第1直線状輪郭の設計上の距離である第1距離だけ前記第1近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第1移動工程と、
前記基準位置に対する前記第2直線状輪郭の設計上の距離である第2距離だけ前記第2近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第2移動工程と、
前記第1移動工程で平行移動させた前記第1近似直線と前記第2移動工程で平行移動させた前記第2近似直線との交点を算出し、前記基準位置を示す基準位置情報とする基準位置情報算出工程と
を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の位置計測方法。 - 互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭と曲線状輪郭とを有する物体の位置情報を計測する位置計測装置であって、
前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線及び前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線を求める直線近似部、並びに前記直線近似部で求められた前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定部を有する制御装置と
を備えることを特徴とする位置計測装置。 - 互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭と曲線状輪郭とを有する物体の位置情報を計測する位置計測装置であって、
前記物体の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像する撮像装置と、
前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は曲線状輪郭であるのかを判定する判定部、前記判定部において前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線をそれぞれ求める直線近似部、並びに前記第1及び第2近似直線を用いて前記物体の基準位置を推定する推定部を有する制御装置と
を備えることを特徴とする位置計測装置。 - 前記判定部は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記物体の前記輪郭の一部に沿った複数の点からなる点群を抽出する点群抽出部と、
前記点群に対する近似直線を算出する近似直線算出部とを備え、
前記近似直線算出部で得られた近似直線に対する前記点群の位置関係に応じて、前記判定を行うことを特徴とする請求項7に記載の位置計測装置。 - 前記判定部は、前記位置関係として前記近似直線に対する前記点群をなす各点の距離の統計分布を用い、当該統計分布の標準偏差及び分散の少なくとも一方に応じて前記判定を行うことを特徴とする請求項8に記載の位置計測装置。
- 前記推定部は、
前記基準位置に対する前記第1直線状輪郭の設計上の距離である第1距離だけ前記第1近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第1移動部、
前記基準位置に対する前記第2直線状輪郭の設計上の距離である第2距離だけ前記第2近似直線を前記基準位置に向けて平行移動させる第2移動部、
及び前記第1移動部で平行移動させた前記第1近似直線と前記第2移動部で平行移動させた前記第2近似直線との交点を算出し、前記基準位置を示す基準位置情報とする基準位置情報算出部
を有することを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の位置計測装置。 - 基板に所定のパターンを転写する露光方法であって、
請求項1〜5の何れか一項に記載の位置計測方法によって前記物体としての前記基板の基準位置を示す基準位置情報を求める基板計測工程と、
前記基板計測工程において求められた前記基板の基準位置を示す基準位置情報に基づいて、前記基板の位置制御を行いつつ、前記基板に前記パターンを転写する転写工程と
を含むことを特徴とする露光方法。 - 基板に所定のパターンを転写する露光装置であって、
前記物体としての前記基板の基準位置を示す基準位置情報を求める請求項6〜10の何れか一項に記載の位置計測装置と、
前記位置計測装置により計測された前記基板を搭載するステージを有するステージ装置と
を備えることを特徴とする露光装置。 - 互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭と曲線状輪郭とを有する基板に所定のパターンを転写する露光装置の制御用コンピュータに、前記基板の位置情報を計測させるためのプログラムであって、
前記第1及び第2直線状輪郭の一部をそれぞれ撮像した撮像結果を取り込む取込工程と、
前記取込工程で取り込まれた撮像結果に基づいて、前記第1直線状輪郭に対する第1近似直線を求める第1直線近似工程と、
前記撮像工程の撮像結果に基づいて、前記第2直線状輪郭に対する第2近似直線を求める第2直線近似工程と、
前記第1及び第2近似直線を用いて前記基板の基準位置を推定する推定工程と
を前記制御用コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。 - 互いに直交関係にある第1及び第2直線状輪郭と曲線状輪郭とを有する基板に所定のパターンを転写する露光装置の制御用コンピュータに、前記基板の位置情報を計測させるためのプログラムであって、
前記基板の輪郭の一部を、予め設定された所定の位置関係を有する少なくとも2箇所において撮像した撮像結果を取り込む取込工程と、
前記2箇所において撮像した前記輪郭の一部の各々が直線状輪郭であるのか又は前記曲線状輪郭であるのかを判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記輪郭の一部の両方が前記直線状輪郭であると判定された場合に、撮像した前記輪郭の一部の一方を前記第1直線状輪郭とし、他方を前記第2直線状輪郭として、前記第1及び第2直線状輪郭に対する第1及び第2近似直線をそれぞれ求める直線近似工程と、
前記第1及び第2近似直線を用いて前記基板の基準位置を推定する推定工程と
を前記制御用コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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2003
- 2003-05-29 JP JP2003152666A patent/JP2004356414A/ja active Pending
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