JP2004356387A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体ウエハへの異物の付着を防止し、半導体装置の製造歩留まりを向上する。
【解決手段】ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填された半導体ウエハ10を搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送し、反転させる。それから、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜を形成する。その後、半導体ウエハ10をCMP処理ユニット4に搬送し、半導体ウエハ10の表面をCMP処理する。半導体ウエハ10の裏面には酸化シリコン膜が形成され親水性とされているので、CMP処理の際に半導体ウエハ10の裏面に異物が付着するのを防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填された半導体ウエハ10を搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送し、反転させる。それから、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜を形成する。その後、半導体ウエハ10をCMP処理ユニット4に搬送し、半導体ウエハ10の表面をCMP処理する。半導体ウエハ10の裏面には酸化シリコン膜が形成され親水性とされているので、CMP処理の際に半導体ウエハ10の裏面に異物が付着するのを防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、半導体ウエハを化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)する工程を有する半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程は、種々のCMP工程を含んでいる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などがある。
【0003】
特開平11−307485号公報には、ウエハ基板の表面を研磨材を含んだ研磨液を用いて鏡面状に研磨する鏡面研磨工程と、鏡面研磨工程後に、ウエハ基板の表面を洗浄水と接した状態で研磨する水研磨工程とを有する半導体ウエハ研磨方法において、水研磨工程中またはその直後に、ウエハ表面にオゾン水または過酸化水素水を接触させて酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有する技術が記載されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、ウエハのスピン乾燥時にウエハ裏面が疎水性であると水滴が残りやすくなるためにスピン乾燥前のウエハ裏面を親水性にするようにウエハ洗浄においてウエハ裏面に塩酸過水による親水性処理を施す方法がある(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
また、ウエハにCu埋め込み配線を行う場合においてCuメッキ処理を施した後にウエハ裏面を酸化性のある洗浄液、たとえば硝酸過水、HPM、SPM、濃厚硝酸、オゾンが溶解した硫酸、オゾンが溶解した硝酸、オゾンが溶解した塩酸などで洗浄を行い親水化処理を施したのちにCuのCMP工程を行いCMP後の後洗浄においてウエハ裏面の洗浄効果を高める方法がある(たとえば特許文献3参照)。
【0006】
また、半導体基板の表面の絶縁膜を研磨剤を用いてCMPする研磨方法において、シリコンが露呈された半導体基板の裏面にO2プラズマ処理により薄い絶縁膜を形成してその裏面を親水性面とすることにより裏面洗浄において洗浄効果を高める方法がある(たとえば特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−307485号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平6−5579号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2001−110766号公報
【0010】
【特許文献4】
特許2586319号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。半導体装置の製造工程には種々のCMP工程が含まれているが、このCMP工程において半導体ウエハの裏面に異物が付着する恐れがある。枚葉プロセスで半導体装置を製造する場合には、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。CMP工程で半導体ウエハの裏面に異物が付着すると、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハの裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生し、半導体ウエハに形成される回路パターンの精度が低下してしまう恐れがある。これは、半導体装置の製造歩留まりを低下させる。
【0012】
半導体ウエハの表面を研磨する半導体ウエハ研磨方法において、水研磨工程中またはその直後に、ウエハ表面にオゾン水または過酸化水素水を接触させて酸化膜を形成する技術では、半導体ウエハの表面の研磨工程中に半導体ウエハの裏面に異物が付着する恐れがあり、上記のように、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハの裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生して半導体ウエハに形成される回路パターンの精度が低下し、半導体装置の製造歩留まりが低下してしまう恐れがある。
【0013】
本発明の目的は、半導体装置の製造歩留まりを向上できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、半導体ウエハへの異物の付着を防止できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法は、枚葉式にウエハ処理する半導体装置の製造方法であって、半導体ウエハ(半導体基板)の裏面に酸化シリコン膜を形成した後で、半導体ウエハの表面を研磨するものである。
【0018】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、枚葉式にウエハ処理する半導体装置の製造方法であって、半導体ウエハ(半導体基板)の表面を研磨した後で、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成してから、半導体ウエハを洗浄するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置の概略的な構成を示す説明図(平面図)である。図2は、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンス(フロー)を示す説明図(フローチャート)である。
【0022】
図1に示される半導体製造装置1は、半導体ウエハ(半導体基板)をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)処理する際に用いられる半導体製造装置であり、ローダ・アンローダ部(ローダ・アンローダステージ)2、ウエハ反転室3、CMP処理ユニット(CMP処理室、CMP装置)4および洗浄処理ユニット(ウエハ洗浄室、ウエハ洗浄機)5を有している。
【0023】
単結晶シリコンなどからなり、その表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜(例えば埋込絶縁膜または層間絶縁膜形成用の絶縁膜、あるいはプラグまたは埋込配線形成用の導体膜など)が形成された半導体ウエハ(半導体基板、シリコンウエハ)10が、ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填または収納されており(ステップS1)、そこから取り出されて図示しない搬送機構(搬送装置)を用いて搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送される。ローダ・アンローダ部2での収納およびウエハ反転室3までの搬送の際には、半導体ウエハ10はその表面(半導体素子形成側の主面)が上方を向いている。ウエハ反転室3に搬送された半導体ウエハ10は、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10の裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)が上方を向くようになる。それから、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化膜)13を形成する(ステップS3)。
【0024】
図3は、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する様子を模式的に示す説明図(縦断面図)である。図3に示されるように、その裏面側を上方に向け、表面側を下方に向けた(ステージ21側とした)状態でステージ21上に配置された半導体ウエハ10に対して、酸化薬液供給用ノズル22から、オゾン水または過酸化水素水からなる酸化薬液23を供給する。上方を向いた半導体ウエハ10の裏面に対して酸化薬液供給用ノズル22からオゾン水または過酸化水素水からなる酸化薬液23を供給することで、半導体ウエハ10の裏面を酸化して酸化シリコン膜13を形成することができる。半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13が均等(均一)に形成されるように、半導体ウエハ10の裏面に対して酸化薬液供給用ノズル22を移動させながら酸化薬液23を供給し、半導体ウエハ10の裏面にまんべんなく酸化薬液23を供給する(行き渡らせる)こともできる。また、ステージ21を回転させることにより半導体ウエハ10を回転させて、半導体ウエハ10の裏面にまんべんなく酸化薬液23を供給する(行き渡らせる)こともできる。なお、半導体ウエハ10を半導体製造装置1に搬入する前に、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)には、CMP処理を行うべき材料膜14が形成されている。材料膜14は、例えば絶縁膜(埋込絶縁膜または層間絶縁膜形成用の絶縁膜など)または導体膜(例えばプラグまたは埋込配線形成用の導体膜など)からなる。材料膜14が形成されるなどして半導体ウエハ10の表面側で半導体基板部分(シリコン領域、シリコン部分)が露出していない場合は、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する際に、半導体ウエハ10の表面は酸化されない。また、半導体ウエハ10の裏面だけでなく半導体ウエハ10の表面も酸化された場合は、その半導体ウエハ10の表面に形成された酸化シリコン膜は不要であれば、その後のCMP処理(後述するステップS4)の際に除去(研磨除去)することができる。
【0025】
反転され、裏面に酸化シリコン膜13が形成された半導体ウエハ10は、CMP処理ユニット4に搬送され、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)がCMP処理される(ステップS4)。
【0026】
図4は、CMP処理ユニット4で半導体ウエハ10がCMP処理される様子を模式的に示す説明図(縦断面図)である。
【0027】
図4に示されるように、CMP処理ユニット4は、その上面に研磨パッド32が貼り付けられた研磨定盤33と、半導体ウエハ10をチャックして保持可能な研磨ヘッド34と、研磨液(薬液、スラリー)35を供給するための研磨液供給ノズル36とを有している。研磨定盤33および研磨ヘッド34はそれぞれ回転可能に構成されている。
【0028】
CMP処理(ステップS4)の際には、研磨ヘッド34により半導体ウエハ10の裏面側をチャックし、研磨ヘッド34および研磨定盤33をそれぞれ回転させる。そして、研磨液供給ノズル36から研磨液35を研磨パッド32に供給し、研磨ヘッド34の回転により半導体ウエハ10を回転させながら、回転する研磨定盤33に貼り付けられている研磨パッド32に半導体ウエハ10の表面側を所定の圧力で押し付ける。研磨液35を供給しながら半導体ウエハ10の表面と研磨パッド32とがそれらの回転により摺擦され、半導体ウエハ10の表面が化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)される。これにより、半導体ウエハ10の表面に形成されていたCMP処理すべき材料膜14が化学的機械的研磨される。半導体ウエハ10の表面をCMP処理することにより、すなわち材料膜14をCMP処理することにより、例えば半導体ウエハ10に形成された素子分離用の溝に埋め込まれた埋込絶縁膜(素子分離領域)、平坦化された層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたスルーホールに埋め込まれたプラグ、または層間絶縁膜に形成された開口部(配線溝)に埋め込まれた埋込配線などを形成することができる。
【0029】
CMP処理の後、半導体ウエハ10はウエハ反転室3に搬送され、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS5)。これにより、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)側が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、搬送レーン12を経由して洗浄処理ユニット5に搬送される。洗浄処理ユニット5に搬送された半導体ウエハ10は洗浄処理され、半導体ウエハ10の表面および裏面が洗浄される(ステップS6)。
【0030】
図5は、洗浄処理ユニット5で半導体ウエハ10が洗浄処理される様子を模式的に示す説明図(縦断面図)である。図5に示されるように、洗浄処理ユニット5は、一対のブラシ41,42を有しており、半導体ウエハ10を洗浄処理する(ステップS6)際には、それぞれ回転しているブラシ41とブラシ42との間を半導体ウエハ10が通過して、半導体ウエハ10の表面側がブラシ41により洗浄(ブラシ洗浄)され、半導体ウエハ10の裏面側がブラシ42により洗浄(ブラシ洗浄)される。半導体ウエハ10またはブラシ41,42に対して洗浄液(図示せず)などを供給しながら半導体ウエハ10の洗浄処理を行うこともできる。なお、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13が形成された状態で、半導体ウエハ10の洗浄処理が行われる。また、図5においては、理解を簡単にするために半導体ウエハ10の表面に材料膜14を記載しているが、実際には、半導体ウエハ10の表面の材料膜14の不要な部分が上記CMP処理の際に除去(研磨除去)されている。
【0031】
洗浄処理の後、半導体ウエハ10は、ローダ・アンローダ部2に搬送され、カセットケース11に再度収納される(ステップS7)。その後、カセットケース11に収納された半導体ウエハ10は、次の工程(図示しない半導体製造装置)に送られる。
【0032】
本実施の形態は、枚葉プロセスで半導体装置を製造するものを対象とする。このため、本実施の形態では、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく(全て)枚葉式で行われる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、枚葉式でウエハ処理する半導体装置の製造方法(枚葉プロセス)である。一般に、枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。
【0033】
また、上記のようにCMP処理工程(ステップS4)では、半導体ウエハ10の裏面を研磨ヘッド34でチャックした状態で、研磨パッド32を貼り付けた研磨定盤33に半導体ウエハ10を押し付ける。半導体ウエハ10の裏面を押圧するので、半導体ウエハ10の裏面に異物(汚染物)が付着しやすい。半導体ウエハ10の裏面に付着し得る異物(汚染物)は、例えば有機物(有機粒子)などを含む異物である。また、研磨速度(CMP処理速度)を高めるためには、半導体ウエハ10の裏面に印加する圧力を高める必要があり、これは半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を促進するように作用する。また、CMP処理後の半導体ウエハ10の洗浄(ステップS6)の際にも、半導体ウエハ10には異物が付着しやすく、例えばブラシ洗浄を行った場合には、ブラシ41,42からの有機粒子などが半導体ウエハ10に付着する恐れがある。
【0034】
CMP処理工程(ステップS4)やその後の洗浄工程(ステップS6)で半導体ウエハ10の裏面に異物が付着すると、例えば、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカス(焦点ずれ)が発生し、半導体ウエハ10に形成される回路パターンなどの精度が低下してしまう恐れがある。また、CMP処理工程で半導体ウエハ10の裏面に異物が付着すると、CMP処理を行った半導体ウエハ10を半導体製造装置1から他の工程(半導体製造装置)に搬送する搬送装置などが汚染されてしまい、他の半導体ウエハにも異物による汚染が広がってしまう恐れがある。また、半導体ウエハ10の裏面に異物が付着すると、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハの吸着エラーを生じる恐れもある。このため、CMP処理工程(ステップS4)やその後の洗浄工程(ステップS6)で半導体ウエハ10の裏面に異物が付着するのを防止する必要がある。
【0035】
本実施の形態では、半導体ウエハ10に対してCMP処理を行う(ステップS4)前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する(ステップS3)。例えば、ウエハ反転室3で半導体ウエハ10を反転して半導体ウエハ10の裏面を上方に向けた後、上方を向いた半導体ウエハ10の裏面に対してオゾン水または過酸化水素水を供給し、半導体ウエハ10の裏面を酸化して酸化シリコン膜13を形成することができる。このような半導体ウエハ10の裏面への酸化シリコン膜13の形成工程は、ウエハ反転室3内で行うことができる。他の形態として、ウエハ反転室3とCMP処理ユニット4との間に酸化シリコン膜13の成膜室を設け、ウエハ反転室3で反転した半導体ウエハ10をその成膜室に搬送し、成膜室内で半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成することもできる。また、CMP処理ユニット4において、半導体ウエハ10の裏面を研磨ヘッド34でチャックする前に、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成することもできる。
【0036】
上記のように、本実施の形態では、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく枚葉式で行われる。一般に、半導体装置の製造工程の各種処理を枚葉式で行う枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れ、CMP工程に搬送される。本実施の形態とは異なり、もし半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成せずにシリコン領域(シリコン基板領域)が露出したままの状態であれば、半導体ウエハの裏面は疎水性の状態となり、疎水面である裏面(半導体ウエハ裏面)は負(マイナス)に帯電する。一般的に異物は正(プラス)に帯電しているので、シリコン領域(シリコン基板領域)が露出した半導体ウエハの裏面(負に帯電しやすい)には、異物(正に帯電しやすい)が付着しやすくなる。
【0037】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成した(ステップS3)後に、半導体ウエハ10の表面に対するCMP処理(ステップS4)が行われる。半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13が形成されたことにより、半導体ウエハ10の裏面は親水性の状態になり、正(プラス)に帯電するので、異物(正に帯電しやすい)は付着しにくくなる。このため、CMP処理(ステップS4)の前に半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成(ステップS3)して親水性とすることにより、CMP処理(ステップS4)の際に半導体ウエハ10の裏面に異物などが付着するのを防止することができる。また、CMP処理(ステップS4)の後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際にも、半導体ウエハ10の裏面には酸化シリコン膜13が形成されており親水性の状態になっているので、異物などが付着するのを防止することができる。また、たとえCMP処理(ステップS4)またはその後の洗浄処理(ステップS6)の際に半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜13の表面に異物が付着したとしても、フッ酸(HF)またはアンモニア(NH3)などを用いた洗浄(ケミカル洗浄)などにより半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜13を除去すれば、酸化シリコン膜13の表面の異物もいっしょに除去することができる。
【0038】
また、半導体ウエハ10の裏面に形成される酸化シリコン膜13の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜20nm、更に好ましくは5〜10nmである。このような膜厚の酸化シリコン膜13を半導体ウエハ10の裏面に形成することで、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止する効果をより向上することができる。
【0039】
このように、本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止できるので、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生するのを防止することができる。従って、半導体ウエハ10に形成される回路パターンの精度を向上し、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、CMP処理を行った半導体ウエハを他の工程に搬送する搬送装置などが汚染されるのを防止でき、他の半導体ウエハに異物による汚染が広がるのを防止することができる。また、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止したことにより、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハの吸着エラーの発生を防止することができる。
【0040】
また、本実施の形態は、半導体装置の製造工程における種々のCMP工程に適用することができる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ(半導体素子を形成した半導体ウエハ)上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などにおいて適用することができる。
【0041】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置1において、CMP処理の直前に半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成している。本実施の形態では、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置1に半導体ウエハ10を搬入する前に予め半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜を形成しておく。
【0042】
図6は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程で用いられる半導体製造装置51の概略的な構成を示す説明図(縦断面図)である。図6の半導体製造装置51は、半導体ウエハの酸化装置(熱酸化装置、熱処理装置)に対応する。
【0043】
半導体ウエハ10は、半導体製造装置1に搬入される前に、図6に示されるように、半導体製造装置51のチャンバ52内のウエハ支持治具(保持治具)53上に配置される。例えば半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)を上方に向け、裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)を下方に向けた状態で、ウエハ支持治具53上に半導体ウエハ10を配置する。チャンバ52内には、ガス導入口54から酸化性ガス(酸素を含むガス)、例えばオゾンガスが導入される。また、チャンバ52内に導入されたガスは、ガス排気口55から、図示しない排気装置を介して排気される。チャンバ52内でウエハ支持治具53上に配置された半導体ウエハ10は、図示しない加熱装置(例えばヒータ加熱またはランプ加熱など)により加熱される。半導体ウエハ10を酸化性ガス(酸素を含むガス、例えばオゾンガス)雰囲気中で加熱することにより、半導体ウエハ10の裏面が酸化されて酸化シリコン膜(酸化膜)13が形成される。ウエハ支持治具53と半導体ウエハ10の裏面との接触面積は、半導体ウエハ10の裏面の面積に対して相対的に小さいので、半導体ウエハ10の裏面のほぼ全面に酸化シリコン膜13を形成することができる。このため、後述するように、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を十分に防止することができる。
【0044】
また、上記のような半導体製造装置51を用いた半導体ウエハ10の酸化処理を行う前に、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜14を形成することもできる。材料膜14が形成されるなどして半導体ウエハ10の表面側で半導体基板部分(シリコン領域、シリコン部分)が露出していない場合は、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する際に、半導体ウエハ10の表面は酸化されない。また、上記のような半導体製造装置51を用いた半導体ウエハ10の酸化処理を行った後に、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜14を形成することもできる。また、上記のような半導体製造装置51を用いた半導体ウエハ10の酸化処理の際に、半導体ウエハ10の裏面だけでなく半導体ウエハ10の表面も酸化して半導体ウエハ10の裏面および表面に酸化シリコン膜を形成することもできる。この場合、半導体ウエハ10の表面に形成された酸化シリコン膜が不要であれば、その後のCMP処理の際に除去することができる。また、半導体ウエハ10の表面に形成された酸化シリコン膜をCMP処理すべき材料膜14として用いることもできる。
【0045】
それから、半導体ウエハ10は、上記実施の形態1と同様にして、半導体製造装置1に搬入されてCMP処理が行われる。図7は、本実施の形態における半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンス(フロー)を示す説明図(フローチャート)である。
【0046】
上記のようにして半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成した(ステップS11)後、半導体ウエハ10を半導体製造装置1に搬入する。半導体製造装置1に搬入された半導体ウエハ(半導体基板)10は、ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填または収納されており(ステップS1)、そこから取り出されて図示しない搬送機構(搬送装置)を用いて搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送される。ウエハ反転室3に搬送された半導体ウエハ10は、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10の裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)が上方を向くようになる。本実施の形態では、既に半導体ウエハ10の裏面には酸化シリコン膜13が形成されているので、この段階で裏面に酸化シリコン膜を形成する処理を行う必要はない。このため、本実施の形態では、ウエハ反転室3において、半導体ウエハ10の裏面の酸化に必要な装置、例えばオゾン水または過酸化水素水の供給および排出機構などを省略することができ、半導体製造装置1の小型化が可能となる。
【0047】
ウエハ反転室3で反転された半導体ウエハ10は、CMP処理ユニット4に搬送され、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)がCMP処理される(ステップS4)。半導体ウエハ10の表面をCMP処理することにより、すなわち半導体ウエハ10の表面に形成されていたCMP処理を行うべき材料膜14をCMP処理することにより、例えば半導体ウエハ10に形成された素子分離用の溝に埋め込まれた埋込絶縁膜(素子分離領域)、平坦化された層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたスルーホールに埋め込まれたプラグ、あるいは層間絶縁膜に形成された開口部(配線溝)に埋め込まれた埋込配線などを形成することができる。
【0048】
CMP処理の後、半導体ウエハ10はウエハ反転室3に搬送される。そして、図示しない反転機構を用いて半導体ウエハ10が反転される(ステップS5)。これにより、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、搬送レーン12を経由して洗浄処理ユニット5に搬送される。洗浄処理ユニット5に搬送された半導体ウエハ10は洗浄処理され、半導体ウエハ10の表面および裏面が洗浄される(ステップS6)。洗浄処理の後、半導体ウエハ10は、ローダ・アンローダ部2に配置されたカセットケース11に搬送され、カセットケース11に再度収納される(ステップS7)。その後、カセットケース11に収納された半導体ウエハ10は、次の工程(図示しない半導体製造装置)に送られる。
【0049】
本実施の形態も、上記実施の形態1と同様に、枚葉プロセスで半導体装置を製造するものを対象とする。このため、本実施の形態でも、上記実施の形態1と同様に、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく(全て)枚葉式で行われる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、枚葉式でウエハ処理する半導体装置の製造方法(枚葉プロセス)である。一般に、枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。
【0050】
本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成した(ステップS11)後で、CMP処理(ステップS4)およびその後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う。このため、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成して親水性とした状態でCMP処理(ステップS4)およびその後の洗浄処理(ステップS6)を行うので、上記実施の形態1と同様に、CMP処理(ステップS4)およびその後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際に、半導体ウエハ10の裏面に異物(汚染物)などが付着するのを防止することができる。
【0051】
また、半導体ウエハ10の裏面に形成される酸化シリコン膜13の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜20nm、更に好ましくは5〜10nmである。このような膜厚の酸化シリコン膜13を半導体ウエハ10の裏面に形成することで、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止する効果をより向上することができる。
【0052】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止できるので、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生するのを防止することができる。従って、半導体ウエハ10に形成される回路パターンの精度を向上し、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、CMP処理を行った半導体ウエハ10を他の工程に搬送する搬送装置などが汚染されるのを防止でき、他の半導体ウエハに異物による汚染が広がるのを防止することができる。また、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止したことにより、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハ10の吸着エラーの発生を防止することができる。
【0053】
また、本実施の形態は、半導体装置の製造工程における種々のCMP工程に適用することができる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ(半導体素子を形成した半導体ウエハ)上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などにおいて適用することができる。
【0054】
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、CMP処理の前に半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成している。本実施の形態では、CMP処理の後で、洗浄処理の前に、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成する。
【0055】
図8は、本実施の形態における半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンス(フロー)を示す説明図(フローチャート)である。本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、半導体製造装置1を用いて半導体ウエハのCMP処理を行うことができる。
【0056】
本実施の形態では、単結晶シリコンなどからなり、その表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜14(例えば絶縁膜または導体膜)が形成された半導体ウエハ(半導体基板)10は、ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填または収納されており(ステップS1)、そこから取り出されて図示しない搬送機構(搬送装置)を用いて搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送される。ウエハ反転室3に搬送された半導体ウエハ10は、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10の裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、本実施の形態では、この段階では裏面に酸化シリコン膜を形成する処理を行わずにCMP処理ユニット4に搬送され、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)がCMP処理される(ステップS4)。半導体ウエハ10の表面をCMP処理することにより、すなわち半導体ウエハ10の表面に形成されていたCMP処理を行うべき材料膜14をCMP処理することにより、例えば半導体ウエハ10に形成された素子分離用の溝に埋め込まれた埋込絶縁膜(素子分離領域)、平坦化された層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたスルーホールに埋め込まれたプラグ、あるいは層間絶縁膜に形成された開口部(配線溝)に埋め込まれた埋込配線などを形成することができる。
【0057】
CMP処理の後、半導体ウエハ10はウエハ反転室3に搬送される。そして、半導体ウエハ10を反転する前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化膜13)を形成する(ステップS21)。例えば、上記実施の形態1のステップS3および図3の工程と同様に、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給するなどして半導体ウエハ10の裏面を酸化して酸化シリコン膜13を形成することができる。半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成した後、図示しない反転機構を用いて半導体ウエハ10が反転される(ステップS5)。これにより、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、搬送レーン12を経由して洗浄処理ユニット5に搬送される。洗浄処理ユニット5に搬送された半導体ウエハ10は洗浄処理され、半導体ウエハ10の表面および裏面が洗浄される(ステップS6)。洗浄処理の後、半導体ウエハ10は、ローダ・アンローダ部2に配置されたカセットケース11に搬送され、カセットケース11に再度収納される(ステップS7)。その後、ローダ・アンローダ部2のカセットケース11に収納された半導体ウエハ10は、次の工程(図示しない半導体製造装置)に送られる。
【0058】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成する(ステップS21)。例えば、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、ウエハ反転室3で半導体ウエハ10を反転して半導体ウエハ10の表面を上方に向ける(ステップS5)前に、ウエハ反転室3において上方を向いた半導体ウエハ10の裏面に対してオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成することができる。他の形態として、CMP処理ユニット4とウエハ反転室3との間に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の成膜室を設け、CMP処理ユニット4でCMP処理を行った半導体ウエハ10をその成膜室に搬送し、成膜室内で半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成することもできる。また、CMP処理ユニット4において、半導体ウエハ10の表面のCMP処理が完了して半導体ウエハ10の裏面から研磨ヘッド34を取り外した後に、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成することもできる。
【0059】
本実施の形態も、上記実施の形態1,2と同様に、枚葉プロセスで半導体装置を製造するものを対象とする。このため、本実施の形態でも、上記実施の形態1,2と同様に、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく(全て)枚葉式で行われる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、枚葉式でウエハ処理する半導体装置の製造方法(枚葉プロセス)である。一般に、枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程(CMP処理後の洗浄処理)において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。
【0060】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)が形成されて親水性にされる(ステップS21)ので、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際に半導体ウエハ10の裏面に異物(汚染物)などが付着するのを防止することができる。
【0061】
また、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う前に、半導体ウエハ10の裏面に形成される酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜20nm、更に好ましくは5〜10nmである。このような膜厚の酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を半導体ウエハ10の裏面に形成することで、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止する効果をより向上することができる。
【0062】
また、たとえCMP処理後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際に半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の表面に異物が付着したとしても、フッ酸(HF)またはアンモニア(NH3)などを用いた洗浄(ケミカル洗浄)などにより半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を除去すれば、酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の表面の異物もいっしょに除去することができる。
【0063】
このように、本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止できるので、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生するのを防止することができる。従って、半導体ウエハ10に形成される回路パターンの精度を向上し、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、CMP処理を行った半導体ウエハ10を他の工程に搬送する搬送装置などが汚染されるのを防止でき、他の半導体ウエハに異物による汚染が広がるのを防止することができる。また、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止したことにより、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハ10の吸着エラーの発生を防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態は、半導体装置の製造工程における種々のCMP工程に適用することができる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ(半導体素子を形成した半導体ウエハ)上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などにおいて適用することができる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0067】
枚葉式に半導体ウエハを処理し、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成した後で、半導体ウエハの表面を研磨することにより、半導体装置の製造歩留まりを向上できる。
【0068】
また、枚葉式に半導体ウエハを処理し、半導体ウエハの表面を研磨した後で、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成してから、半導体ウエハを洗浄することにより、半導体装置の製造歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンスを示す説明図である。
【図3】半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成する様子を模式的に示す説明図である。
【図4】CMP処理ユニットで半導体ウエハがCMP処理される様子を模式的に示す説明図である。
【図5】洗浄処理ユニットで半導体ウエハが洗浄処理される様子を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程で用いられる半導体製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンスを示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
1 半導体製造装置
2 ローダ・アンローダ部
3 ウエハ反転室
4 CMP処理ユニット
5 洗浄処理ユニット
10 半導体ウエハ
11 カセットケース
12 搬送レーン
13 酸化シリコン膜
14 材料膜
21 ステージ
22 酸化薬液供給用ノズル
23 酸化薬液
32 研磨パッド
33 研磨定盤
34 研磨ヘッド
35 研磨液
36 研磨液供給ノズル
41 ブラシ
42 ブラシ
51 半導体製造装置
52 チャンバ
53 ウエハ支持治具
54 ガス導入口
55 ガス排気口
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、半導体ウエハを化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)する工程を有する半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程は、種々のCMP工程を含んでいる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などがある。
【0003】
特開平11−307485号公報には、ウエハ基板の表面を研磨材を含んだ研磨液を用いて鏡面状に研磨する鏡面研磨工程と、鏡面研磨工程後に、ウエハ基板の表面を洗浄水と接した状態で研磨する水研磨工程とを有する半導体ウエハ研磨方法において、水研磨工程中またはその直後に、ウエハ表面にオゾン水または過酸化水素水を接触させて酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有する技術が記載されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、ウエハのスピン乾燥時にウエハ裏面が疎水性であると水滴が残りやすくなるためにスピン乾燥前のウエハ裏面を親水性にするようにウエハ洗浄においてウエハ裏面に塩酸過水による親水性処理を施す方法がある(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
また、ウエハにCu埋め込み配線を行う場合においてCuメッキ処理を施した後にウエハ裏面を酸化性のある洗浄液、たとえば硝酸過水、HPM、SPM、濃厚硝酸、オゾンが溶解した硫酸、オゾンが溶解した硝酸、オゾンが溶解した塩酸などで洗浄を行い親水化処理を施したのちにCuのCMP工程を行いCMP後の後洗浄においてウエハ裏面の洗浄効果を高める方法がある(たとえば特許文献3参照)。
【0006】
また、半導体基板の表面の絶縁膜を研磨剤を用いてCMPする研磨方法において、シリコンが露呈された半導体基板の裏面にO2プラズマ処理により薄い絶縁膜を形成してその裏面を親水性面とすることにより裏面洗浄において洗浄効果を高める方法がある(たとえば特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−307485号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平6−5579号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2001−110766号公報
【0010】
【特許文献4】
特許2586319号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。半導体装置の製造工程には種々のCMP工程が含まれているが、このCMP工程において半導体ウエハの裏面に異物が付着する恐れがある。枚葉プロセスで半導体装置を製造する場合には、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。CMP工程で半導体ウエハの裏面に異物が付着すると、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハの裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生し、半導体ウエハに形成される回路パターンの精度が低下してしまう恐れがある。これは、半導体装置の製造歩留まりを低下させる。
【0012】
半導体ウエハの表面を研磨する半導体ウエハ研磨方法において、水研磨工程中またはその直後に、ウエハ表面にオゾン水または過酸化水素水を接触させて酸化膜を形成する技術では、半導体ウエハの表面の研磨工程中に半導体ウエハの裏面に異物が付着する恐れがあり、上記のように、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハの裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生して半導体ウエハに形成される回路パターンの精度が低下し、半導体装置の製造歩留まりが低下してしまう恐れがある。
【0013】
本発明の目的は、半導体装置の製造歩留まりを向上できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、半導体ウエハへの異物の付着を防止できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法は、枚葉式にウエハ処理する半導体装置の製造方法であって、半導体ウエハ(半導体基板)の裏面に酸化シリコン膜を形成した後で、半導体ウエハの表面を研磨するものである。
【0018】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、枚葉式にウエハ処理する半導体装置の製造方法であって、半導体ウエハ(半導体基板)の表面を研磨した後で、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成してから、半導体ウエハを洗浄するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置の概略的な構成を示す説明図(平面図)である。図2は、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンス(フロー)を示す説明図(フローチャート)である。
【0022】
図1に示される半導体製造装置1は、半導体ウエハ(半導体基板)をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)処理する際に用いられる半導体製造装置であり、ローダ・アンローダ部(ローダ・アンローダステージ)2、ウエハ反転室3、CMP処理ユニット(CMP処理室、CMP装置)4および洗浄処理ユニット(ウエハ洗浄室、ウエハ洗浄機)5を有している。
【0023】
単結晶シリコンなどからなり、その表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜(例えば埋込絶縁膜または層間絶縁膜形成用の絶縁膜、あるいはプラグまたは埋込配線形成用の導体膜など)が形成された半導体ウエハ(半導体基板、シリコンウエハ)10が、ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填または収納されており(ステップS1)、そこから取り出されて図示しない搬送機構(搬送装置)を用いて搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送される。ローダ・アンローダ部2での収納およびウエハ反転室3までの搬送の際には、半導体ウエハ10はその表面(半導体素子形成側の主面)が上方を向いている。ウエハ反転室3に搬送された半導体ウエハ10は、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10の裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)が上方を向くようになる。それから、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化膜)13を形成する(ステップS3)。
【0024】
図3は、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する様子を模式的に示す説明図(縦断面図)である。図3に示されるように、その裏面側を上方に向け、表面側を下方に向けた(ステージ21側とした)状態でステージ21上に配置された半導体ウエハ10に対して、酸化薬液供給用ノズル22から、オゾン水または過酸化水素水からなる酸化薬液23を供給する。上方を向いた半導体ウエハ10の裏面に対して酸化薬液供給用ノズル22からオゾン水または過酸化水素水からなる酸化薬液23を供給することで、半導体ウエハ10の裏面を酸化して酸化シリコン膜13を形成することができる。半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13が均等(均一)に形成されるように、半導体ウエハ10の裏面に対して酸化薬液供給用ノズル22を移動させながら酸化薬液23を供給し、半導体ウエハ10の裏面にまんべんなく酸化薬液23を供給する(行き渡らせる)こともできる。また、ステージ21を回転させることにより半導体ウエハ10を回転させて、半導体ウエハ10の裏面にまんべんなく酸化薬液23を供給する(行き渡らせる)こともできる。なお、半導体ウエハ10を半導体製造装置1に搬入する前に、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)には、CMP処理を行うべき材料膜14が形成されている。材料膜14は、例えば絶縁膜(埋込絶縁膜または層間絶縁膜形成用の絶縁膜など)または導体膜(例えばプラグまたは埋込配線形成用の導体膜など)からなる。材料膜14が形成されるなどして半導体ウエハ10の表面側で半導体基板部分(シリコン領域、シリコン部分)が露出していない場合は、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する際に、半導体ウエハ10の表面は酸化されない。また、半導体ウエハ10の裏面だけでなく半導体ウエハ10の表面も酸化された場合は、その半導体ウエハ10の表面に形成された酸化シリコン膜は不要であれば、その後のCMP処理(後述するステップS4)の際に除去(研磨除去)することができる。
【0025】
反転され、裏面に酸化シリコン膜13が形成された半導体ウエハ10は、CMP処理ユニット4に搬送され、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)がCMP処理される(ステップS4)。
【0026】
図4は、CMP処理ユニット4で半導体ウエハ10がCMP処理される様子を模式的に示す説明図(縦断面図)である。
【0027】
図4に示されるように、CMP処理ユニット4は、その上面に研磨パッド32が貼り付けられた研磨定盤33と、半導体ウエハ10をチャックして保持可能な研磨ヘッド34と、研磨液(薬液、スラリー)35を供給するための研磨液供給ノズル36とを有している。研磨定盤33および研磨ヘッド34はそれぞれ回転可能に構成されている。
【0028】
CMP処理(ステップS4)の際には、研磨ヘッド34により半導体ウエハ10の裏面側をチャックし、研磨ヘッド34および研磨定盤33をそれぞれ回転させる。そして、研磨液供給ノズル36から研磨液35を研磨パッド32に供給し、研磨ヘッド34の回転により半導体ウエハ10を回転させながら、回転する研磨定盤33に貼り付けられている研磨パッド32に半導体ウエハ10の表面側を所定の圧力で押し付ける。研磨液35を供給しながら半導体ウエハ10の表面と研磨パッド32とがそれらの回転により摺擦され、半導体ウエハ10の表面が化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)される。これにより、半導体ウエハ10の表面に形成されていたCMP処理すべき材料膜14が化学的機械的研磨される。半導体ウエハ10の表面をCMP処理することにより、すなわち材料膜14をCMP処理することにより、例えば半導体ウエハ10に形成された素子分離用の溝に埋め込まれた埋込絶縁膜(素子分離領域)、平坦化された層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたスルーホールに埋め込まれたプラグ、または層間絶縁膜に形成された開口部(配線溝)に埋め込まれた埋込配線などを形成することができる。
【0029】
CMP処理の後、半導体ウエハ10はウエハ反転室3に搬送され、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS5)。これにより、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)側が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、搬送レーン12を経由して洗浄処理ユニット5に搬送される。洗浄処理ユニット5に搬送された半導体ウエハ10は洗浄処理され、半導体ウエハ10の表面および裏面が洗浄される(ステップS6)。
【0030】
図5は、洗浄処理ユニット5で半導体ウエハ10が洗浄処理される様子を模式的に示す説明図(縦断面図)である。図5に示されるように、洗浄処理ユニット5は、一対のブラシ41,42を有しており、半導体ウエハ10を洗浄処理する(ステップS6)際には、それぞれ回転しているブラシ41とブラシ42との間を半導体ウエハ10が通過して、半導体ウエハ10の表面側がブラシ41により洗浄(ブラシ洗浄)され、半導体ウエハ10の裏面側がブラシ42により洗浄(ブラシ洗浄)される。半導体ウエハ10またはブラシ41,42に対して洗浄液(図示せず)などを供給しながら半導体ウエハ10の洗浄処理を行うこともできる。なお、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13が形成された状態で、半導体ウエハ10の洗浄処理が行われる。また、図5においては、理解を簡単にするために半導体ウエハ10の表面に材料膜14を記載しているが、実際には、半導体ウエハ10の表面の材料膜14の不要な部分が上記CMP処理の際に除去(研磨除去)されている。
【0031】
洗浄処理の後、半導体ウエハ10は、ローダ・アンローダ部2に搬送され、カセットケース11に再度収納される(ステップS7)。その後、カセットケース11に収納された半導体ウエハ10は、次の工程(図示しない半導体製造装置)に送られる。
【0032】
本実施の形態は、枚葉プロセスで半導体装置を製造するものを対象とする。このため、本実施の形態では、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく(全て)枚葉式で行われる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、枚葉式でウエハ処理する半導体装置の製造方法(枚葉プロセス)である。一般に、枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。
【0033】
また、上記のようにCMP処理工程(ステップS4)では、半導体ウエハ10の裏面を研磨ヘッド34でチャックした状態で、研磨パッド32を貼り付けた研磨定盤33に半導体ウエハ10を押し付ける。半導体ウエハ10の裏面を押圧するので、半導体ウエハ10の裏面に異物(汚染物)が付着しやすい。半導体ウエハ10の裏面に付着し得る異物(汚染物)は、例えば有機物(有機粒子)などを含む異物である。また、研磨速度(CMP処理速度)を高めるためには、半導体ウエハ10の裏面に印加する圧力を高める必要があり、これは半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を促進するように作用する。また、CMP処理後の半導体ウエハ10の洗浄(ステップS6)の際にも、半導体ウエハ10には異物が付着しやすく、例えばブラシ洗浄を行った場合には、ブラシ41,42からの有機粒子などが半導体ウエハ10に付着する恐れがある。
【0034】
CMP処理工程(ステップS4)やその後の洗浄工程(ステップS6)で半導体ウエハ10の裏面に異物が付着すると、例えば、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカス(焦点ずれ)が発生し、半導体ウエハ10に形成される回路パターンなどの精度が低下してしまう恐れがある。また、CMP処理工程で半導体ウエハ10の裏面に異物が付着すると、CMP処理を行った半導体ウエハ10を半導体製造装置1から他の工程(半導体製造装置)に搬送する搬送装置などが汚染されてしまい、他の半導体ウエハにも異物による汚染が広がってしまう恐れがある。また、半導体ウエハ10の裏面に異物が付着すると、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハの吸着エラーを生じる恐れもある。このため、CMP処理工程(ステップS4)やその後の洗浄工程(ステップS6)で半導体ウエハ10の裏面に異物が付着するのを防止する必要がある。
【0035】
本実施の形態では、半導体ウエハ10に対してCMP処理を行う(ステップS4)前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する(ステップS3)。例えば、ウエハ反転室3で半導体ウエハ10を反転して半導体ウエハ10の裏面を上方に向けた後、上方を向いた半導体ウエハ10の裏面に対してオゾン水または過酸化水素水を供給し、半導体ウエハ10の裏面を酸化して酸化シリコン膜13を形成することができる。このような半導体ウエハ10の裏面への酸化シリコン膜13の形成工程は、ウエハ反転室3内で行うことができる。他の形態として、ウエハ反転室3とCMP処理ユニット4との間に酸化シリコン膜13の成膜室を設け、ウエハ反転室3で反転した半導体ウエハ10をその成膜室に搬送し、成膜室内で半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成することもできる。また、CMP処理ユニット4において、半導体ウエハ10の裏面を研磨ヘッド34でチャックする前に、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成することもできる。
【0036】
上記のように、本実施の形態では、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく枚葉式で行われる。一般に、半導体装置の製造工程の各種処理を枚葉式で行う枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れ、CMP工程に搬送される。本実施の形態とは異なり、もし半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成せずにシリコン領域(シリコン基板領域)が露出したままの状態であれば、半導体ウエハの裏面は疎水性の状態となり、疎水面である裏面(半導体ウエハ裏面)は負(マイナス)に帯電する。一般的に異物は正(プラス)に帯電しているので、シリコン領域(シリコン基板領域)が露出した半導体ウエハの裏面(負に帯電しやすい)には、異物(正に帯電しやすい)が付着しやすくなる。
【0037】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成した(ステップS3)後に、半導体ウエハ10の表面に対するCMP処理(ステップS4)が行われる。半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13が形成されたことにより、半導体ウエハ10の裏面は親水性の状態になり、正(プラス)に帯電するので、異物(正に帯電しやすい)は付着しにくくなる。このため、CMP処理(ステップS4)の前に半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成(ステップS3)して親水性とすることにより、CMP処理(ステップS4)の際に半導体ウエハ10の裏面に異物などが付着するのを防止することができる。また、CMP処理(ステップS4)の後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際にも、半導体ウエハ10の裏面には酸化シリコン膜13が形成されており親水性の状態になっているので、異物などが付着するのを防止することができる。また、たとえCMP処理(ステップS4)またはその後の洗浄処理(ステップS6)の際に半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜13の表面に異物が付着したとしても、フッ酸(HF)またはアンモニア(NH3)などを用いた洗浄(ケミカル洗浄)などにより半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜13を除去すれば、酸化シリコン膜13の表面の異物もいっしょに除去することができる。
【0038】
また、半導体ウエハ10の裏面に形成される酸化シリコン膜13の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜20nm、更に好ましくは5〜10nmである。このような膜厚の酸化シリコン膜13を半導体ウエハ10の裏面に形成することで、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止する効果をより向上することができる。
【0039】
このように、本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止できるので、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生するのを防止することができる。従って、半導体ウエハ10に形成される回路パターンの精度を向上し、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、CMP処理を行った半導体ウエハを他の工程に搬送する搬送装置などが汚染されるのを防止でき、他の半導体ウエハに異物による汚染が広がるのを防止することができる。また、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止したことにより、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハの吸着エラーの発生を防止することができる。
【0040】
また、本実施の形態は、半導体装置の製造工程における種々のCMP工程に適用することができる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ(半導体素子を形成した半導体ウエハ)上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などにおいて適用することができる。
【0041】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置1において、CMP処理の直前に半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成している。本実施の形態では、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置1に半導体ウエハ10を搬入する前に予め半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜を形成しておく。
【0042】
図6は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程で用いられる半導体製造装置51の概略的な構成を示す説明図(縦断面図)である。図6の半導体製造装置51は、半導体ウエハの酸化装置(熱酸化装置、熱処理装置)に対応する。
【0043】
半導体ウエハ10は、半導体製造装置1に搬入される前に、図6に示されるように、半導体製造装置51のチャンバ52内のウエハ支持治具(保持治具)53上に配置される。例えば半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)を上方に向け、裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)を下方に向けた状態で、ウエハ支持治具53上に半導体ウエハ10を配置する。チャンバ52内には、ガス導入口54から酸化性ガス(酸素を含むガス)、例えばオゾンガスが導入される。また、チャンバ52内に導入されたガスは、ガス排気口55から、図示しない排気装置を介して排気される。チャンバ52内でウエハ支持治具53上に配置された半導体ウエハ10は、図示しない加熱装置(例えばヒータ加熱またはランプ加熱など)により加熱される。半導体ウエハ10を酸化性ガス(酸素を含むガス、例えばオゾンガス)雰囲気中で加熱することにより、半導体ウエハ10の裏面が酸化されて酸化シリコン膜(酸化膜)13が形成される。ウエハ支持治具53と半導体ウエハ10の裏面との接触面積は、半導体ウエハ10の裏面の面積に対して相対的に小さいので、半導体ウエハ10の裏面のほぼ全面に酸化シリコン膜13を形成することができる。このため、後述するように、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を十分に防止することができる。
【0044】
また、上記のような半導体製造装置51を用いた半導体ウエハ10の酸化処理を行う前に、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜14を形成することもできる。材料膜14が形成されるなどして半導体ウエハ10の表面側で半導体基板部分(シリコン領域、シリコン部分)が露出していない場合は、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成する際に、半導体ウエハ10の表面は酸化されない。また、上記のような半導体製造装置51を用いた半導体ウエハ10の酸化処理を行った後に、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜14を形成することもできる。また、上記のような半導体製造装置51を用いた半導体ウエハ10の酸化処理の際に、半導体ウエハ10の裏面だけでなく半導体ウエハ10の表面も酸化して半導体ウエハ10の裏面および表面に酸化シリコン膜を形成することもできる。この場合、半導体ウエハ10の表面に形成された酸化シリコン膜が不要であれば、その後のCMP処理の際に除去することができる。また、半導体ウエハ10の表面に形成された酸化シリコン膜をCMP処理すべき材料膜14として用いることもできる。
【0045】
それから、半導体ウエハ10は、上記実施の形態1と同様にして、半導体製造装置1に搬入されてCMP処理が行われる。図7は、本実施の形態における半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンス(フロー)を示す説明図(フローチャート)である。
【0046】
上記のようにして半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成した(ステップS11)後、半導体ウエハ10を半導体製造装置1に搬入する。半導体製造装置1に搬入された半導体ウエハ(半導体基板)10は、ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填または収納されており(ステップS1)、そこから取り出されて図示しない搬送機構(搬送装置)を用いて搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送される。ウエハ反転室3に搬送された半導体ウエハ10は、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10の裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)が上方を向くようになる。本実施の形態では、既に半導体ウエハ10の裏面には酸化シリコン膜13が形成されているので、この段階で裏面に酸化シリコン膜を形成する処理を行う必要はない。このため、本実施の形態では、ウエハ反転室3において、半導体ウエハ10の裏面の酸化に必要な装置、例えばオゾン水または過酸化水素水の供給および排出機構などを省略することができ、半導体製造装置1の小型化が可能となる。
【0047】
ウエハ反転室3で反転された半導体ウエハ10は、CMP処理ユニット4に搬送され、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)がCMP処理される(ステップS4)。半導体ウエハ10の表面をCMP処理することにより、すなわち半導体ウエハ10の表面に形成されていたCMP処理を行うべき材料膜14をCMP処理することにより、例えば半導体ウエハ10に形成された素子分離用の溝に埋め込まれた埋込絶縁膜(素子分離領域)、平坦化された層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたスルーホールに埋め込まれたプラグ、あるいは層間絶縁膜に形成された開口部(配線溝)に埋め込まれた埋込配線などを形成することができる。
【0048】
CMP処理の後、半導体ウエハ10はウエハ反転室3に搬送される。そして、図示しない反転機構を用いて半導体ウエハ10が反転される(ステップS5)。これにより、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、搬送レーン12を経由して洗浄処理ユニット5に搬送される。洗浄処理ユニット5に搬送された半導体ウエハ10は洗浄処理され、半導体ウエハ10の表面および裏面が洗浄される(ステップS6)。洗浄処理の後、半導体ウエハ10は、ローダ・アンローダ部2に配置されたカセットケース11に搬送され、カセットケース11に再度収納される(ステップS7)。その後、カセットケース11に収納された半導体ウエハ10は、次の工程(図示しない半導体製造装置)に送られる。
【0049】
本実施の形態も、上記実施の形態1と同様に、枚葉プロセスで半導体装置を製造するものを対象とする。このため、本実施の形態でも、上記実施の形態1と同様に、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく(全て)枚葉式で行われる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、枚葉式でウエハ処理する半導体装置の製造方法(枚葉プロセス)である。一般に、枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。
【0050】
本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成した(ステップS11)後で、CMP処理(ステップS4)およびその後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う。このため、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜13を形成して親水性とした状態でCMP処理(ステップS4)およびその後の洗浄処理(ステップS6)を行うので、上記実施の形態1と同様に、CMP処理(ステップS4)およびその後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際に、半導体ウエハ10の裏面に異物(汚染物)などが付着するのを防止することができる。
【0051】
また、半導体ウエハ10の裏面に形成される酸化シリコン膜13の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜20nm、更に好ましくは5〜10nmである。このような膜厚の酸化シリコン膜13を半導体ウエハ10の裏面に形成することで、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止する効果をより向上することができる。
【0052】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止できるので、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生するのを防止することができる。従って、半導体ウエハ10に形成される回路パターンの精度を向上し、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、CMP処理を行った半導体ウエハ10を他の工程に搬送する搬送装置などが汚染されるのを防止でき、他の半導体ウエハに異物による汚染が広がるのを防止することができる。また、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止したことにより、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハ10の吸着エラーの発生を防止することができる。
【0053】
また、本実施の形態は、半導体装置の製造工程における種々のCMP工程に適用することができる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ(半導体素子を形成した半導体ウエハ)上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などにおいて適用することができる。
【0054】
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、CMP処理の前に半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成している。本実施の形態では、CMP処理の後で、洗浄処理の前に、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成する。
【0055】
図8は、本実施の形態における半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンス(フロー)を示す説明図(フローチャート)である。本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、半導体製造装置1を用いて半導体ウエハのCMP処理を行うことができる。
【0056】
本実施の形態では、単結晶シリコンなどからなり、その表面(半導体素子形成側の主面)にCMP処理を行うべき材料膜14(例えば絶縁膜または導体膜)が形成された半導体ウエハ(半導体基板)10は、ローダ・アンローダ部2に置かれたカセットケース11に装填または収納されており(ステップS1)、そこから取り出されて図示しない搬送機構(搬送装置)を用いて搬送レーン12を経由してウエハ反転室3に搬送される。ウエハ反転室3に搬送された半導体ウエハ10は、図示しない反転機構を用いて反転される(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10の裏面(半導体素子形成側の主面とは逆側の主面)が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、本実施の形態では、この段階では裏面に酸化シリコン膜を形成する処理を行わずにCMP処理ユニット4に搬送され、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)がCMP処理される(ステップS4)。半導体ウエハ10の表面をCMP処理することにより、すなわち半導体ウエハ10の表面に形成されていたCMP処理を行うべき材料膜14をCMP処理することにより、例えば半導体ウエハ10に形成された素子分離用の溝に埋め込まれた埋込絶縁膜(素子分離領域)、平坦化された層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたスルーホールに埋め込まれたプラグ、あるいは層間絶縁膜に形成された開口部(配線溝)に埋め込まれた埋込配線などを形成することができる。
【0057】
CMP処理の後、半導体ウエハ10はウエハ反転室3に搬送される。そして、半導体ウエハ10を反転する前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化膜13)を形成する(ステップS21)。例えば、上記実施の形態1のステップS3および図3の工程と同様に、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給するなどして半導体ウエハ10の裏面を酸化して酸化シリコン膜13を形成することができる。半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成した後、図示しない反転機構を用いて半導体ウエハ10が反転される(ステップS5)。これにより、半導体ウエハ10の表面(半導体素子形成側の主面)が上方を向くようになる。反転された半導体ウエハ10は、搬送レーン12を経由して洗浄処理ユニット5に搬送される。洗浄処理ユニット5に搬送された半導体ウエハ10は洗浄処理され、半導体ウエハ10の表面および裏面が洗浄される(ステップS6)。洗浄処理の後、半導体ウエハ10は、ローダ・アンローダ部2に配置されたカセットケース11に搬送され、カセットケース11に再度収納される(ステップS7)。その後、ローダ・アンローダ部2のカセットケース11に収納された半導体ウエハ10は、次の工程(図示しない半導体製造装置)に送られる。
【0058】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成する(ステップS21)。例えば、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、ウエハ反転室3で半導体ウエハ10を反転して半導体ウエハ10の表面を上方に向ける(ステップS5)前に、ウエハ反転室3において上方を向いた半導体ウエハ10の裏面に対してオゾン水または過酸化水素水を供給して半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成することができる。他の形態として、CMP処理ユニット4とウエハ反転室3との間に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の成膜室を設け、CMP処理ユニット4でCMP処理を行った半導体ウエハ10をその成膜室に搬送し、成膜室内で半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成することもできる。また、CMP処理ユニット4において、半導体ウエハ10の表面のCMP処理が完了して半導体ウエハ10の裏面から研磨ヘッド34を取り外した後に、半導体ウエハ10の裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給して酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を形成することもできる。
【0059】
本実施の形態も、上記実施の形態1,2と同様に、枚葉プロセスで半導体装置を製造するものを対象とする。このため、本実施の形態でも、上記実施の形態1,2と同様に、半導体装置の製造工程の各種処理はバッチ式処理を用いることなく(全て)枚葉式で行われる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、枚葉式でウエハ処理する半導体装置の製造方法(枚葉プロセス)である。一般に、枚葉プロセスにおいては、半導体ウエハの裏面は支持台上に密着した状態で各種処理(例えば熱酸化処理、熱処理、ウエット洗浄処理やその他の処理など)が行われることから、半導体ウエハは裏面(半導体ウエハの裏面)には何も被着していない状態(単結晶シリコン基板領域が露出した状態)で製造ラインを流れるので、CMP工程(CMP処理後の洗浄処理)において半導体ウエハの裏面が異物により汚染されやすい。
【0060】
本実施の形態では、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う前に、半導体ウエハ10の裏面に酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)が形成されて親水性にされる(ステップS21)ので、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際に半導体ウエハ10の裏面に異物(汚染物)などが付着するのを防止することができる。
【0061】
また、半導体ウエハ10の表面のCMP処理(ステップS4)を行った後で、半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)を行う前に、半導体ウエハ10の裏面に形成される酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜20nm、更に好ましくは5〜10nmである。このような膜厚の酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を半導体ウエハ10の裏面に形成することで、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止する効果をより向上することができる。
【0062】
また、たとえCMP処理後の半導体ウエハ10の洗浄処理(ステップS6)の際に半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の表面に異物が付着したとしても、フッ酸(HF)またはアンモニア(NH3)などを用いた洗浄(ケミカル洗浄)などにより半導体ウエハ10の裏面の酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)を除去すれば、酸化シリコン膜(酸化シリコン膜13)の表面の異物もいっしょに除去することができる。
【0063】
このように、本実施の形態では、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止できるので、後で行われるフォトリソグラフィ工程において、半導体ウエハ10の裏面に付着した異物に起因してデフォーカスが発生するのを防止することができる。従って、半導体ウエハ10に形成される回路パターンの精度を向上し、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、CMP処理を行った半導体ウエハ10を他の工程に搬送する搬送装置などが汚染されるのを防止でき、他の半導体ウエハに異物による汚染が広がるのを防止することができる。また、半導体ウエハ10の裏面への異物の付着を防止したことにより、半導体ウエハの搬送装置(搬送ロボット)における半導体ウエハ10の吸着エラーの発生を防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態は、半導体装置の製造工程における種々のCMP工程に適用することができる。例えば、半導体ウエハに素子分離領域としての埋込み絶縁膜をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成する際のCMP工程、半導体ウエハ(半導体素子を形成した半導体ウエハ)上に形成した層間絶縁膜を平坦化する際のCMP工程、層間絶縁膜に形成したスルーホールに導電材料を埋め込んでプラグを形成する際のCMP工程、またはダマシン法で埋込配線を形成する際のCMP工程などにおいて適用することができる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0067】
枚葉式に半導体ウエハを処理し、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成した後で、半導体ウエハの表面を研磨することにより、半導体装置の製造歩留まりを向上できる。
【0068】
また、枚葉式に半導体ウエハを処理し、半導体ウエハの表面を研磨した後で、半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成してから、半導体ウエハを洗浄することにより、半導体装置の製造歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程に用いられる半導体製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンスを示す説明図である。
【図3】半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成する様子を模式的に示す説明図である。
【図4】CMP処理ユニットで半導体ウエハがCMP処理される様子を模式的に示す説明図である。
【図5】洗浄処理ユニットで半導体ウエハが洗浄処理される様子を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程で用いられる半導体製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンスを示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程のうち、半導体ウエハのCMP工程の処理シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
1 半導体製造装置
2 ローダ・アンローダ部
3 ウエハ反転室
4 CMP処理ユニット
5 洗浄処理ユニット
10 半導体ウエハ
11 カセットケース
12 搬送レーン
13 酸化シリコン膜
14 材料膜
21 ステージ
22 酸化薬液供給用ノズル
23 酸化薬液
32 研磨パッド
33 研磨定盤
34 研磨ヘッド
35 研磨液
36 研磨液供給ノズル
41 ブラシ
42 ブラシ
51 半導体製造装置
52 チャンバ
53 ウエハ支持治具
54 ガス導入口
55 ガス排気口
Claims (10)
- 枚葉式にウエハ処理する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成する工程、
(b)前記(a)工程の後で、前記半導体ウエハの表面を研磨する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程では、前記半導体ウエハの裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給することにより前記半導体ウエハの裏面が酸化されて前記酸化シリコン膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程では、酸化性ガス雰囲気中で前記半導体ウエハを加熱することにより前記半導体ウエハの裏面が酸化されて前記酸化シリコン膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記半導体ウエハの表面を化学的機械的研磨することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程で前記半導体ウエハの裏面に形成される前記酸化シリコン膜の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 枚葉式にウエハ処理する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体ウエハの表面を研磨する工程、
(b)前記(a)工程の後で、前記半導体ウエハの裏面に酸化シリコン膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程の後で、前記半導体ウエハを洗浄する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記半導体ウエハの裏面にオゾン水または過酸化水素水を供給することにより前記半導体ウエハの裏面が酸化されて前記酸化シリコン膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程では、前記半導体ウエハの表面を化学的機械的研磨することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記半導体ウエハがブラシ洗浄されることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で前記半導体ウエハの裏面に形成される前記酸化シリコン膜の膜厚は、0.2〜50nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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JP2003152368A JP2004356387A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 半導体装置の製造方法 |
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-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152368A patent/JP2004356387A/ja active Pending
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