JP2004356030A - 高分子電解質型燃料電池の運転方法 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池の運転方法 Download PDF

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毅 与那嶺
Yoshihiro Hori
堀  喜博
Eiichi Yasumoto
栄一 安本
Makoto Uchida
誠 内田
Yasuo Takebe
安男 武部
Kiichi Shibata
礎一 柴田
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Abstract

【課題】燃料電池の長時間の運転により生成する酸化極の触媒上の酸化皮膜に起因する反応効率の低下に対し、酸化皮膜を還元するために金属原子やチッ素原子を含有する還元剤を用いた場合、反応生成物として生じる金属イオンやアンモニアなどにより酸化極などが再汚染されてしまうという問題を解決する。
【解決手段】燃料電池の運転中において、酸化極に、炭素原子、水素原子および酸素原子よりなる群から選択される複数の原子で構成され、かつ標準電極電位(SHE)に対して0.98V未満の酸化還元電位を有する還元剤を供給する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にその出力電圧の劣化を回復させることのできる高分子電解質型燃料電池の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素イオン伝導性高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。まず、水素イオンを選択的に輸送する水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、白金系の貴金属を担持したカーボン粉末と水素イオン伝導性高分子電解質との混合物で触媒反応層を形成する。次に、この触媒反応層の外面に、燃料ガスに対する通気性と電子伝導性とを併せ持つ、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーで拡散層を形成する。この触媒反応層と拡散層とが合わせて電極を構成する。
【0003】
次に、燃料ガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスとが互いに混合したりしないように、電極の周囲には、水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟んでガスシール材またはガスケットを配置する。このガスシール材またはガスケットを、電極および水素イオン伝導性高分子電解質膜と一体化し、MEA(電解質膜電極接合体)を構成する。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するMEAを互いに電気的に直列に接続するための板状の導電性セパレータを配置する。
【0004】
また、導電性セパレータのMEAと接触する部分には、MEAの電極に反応ガスである燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路は導電性セパレータと別に設けることもできるが、導電性セパレータの表面に溝を設けてガス流路を構成するのが一般的である。
【0005】
また、水素イオン伝導性高分子電解質を用いた燃料電池においては、燃料電池の高性能化に影響を及ぼす水素イオン伝導性を向上させるために、水素イオン伝導性高分子電解質膜を構成する水素イオン伝導性高分子電解質や、その他の部分に添加され得る水素イオン伝導性高分子電解質に十分に含水させることが必要である。そこで、電極内に供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスは、加湿装置によって加湿した状態で導電性セパレータ内のガス流路に供給されるのが一般的である。
【0006】
ここで、燃料電池において、酸化剤ガスが反応する電極において用いられる白金触媒は、酸化雰囲気に曝されることにより、その表面が徐々に酸化され、酸化皮膜(PtO、PtO)が形成されると考えられる。このため、触媒の反応効率は低下し、経時的に発電電圧が低下するという問題がある。このような問題の解消にむけ、酸化剤ガスが供給される電極に化学的還元剤として、硼水素化ナトリウム(NaBH)またはヒドラジン(N)などの金属原子または窒素原子を含む化合物を還元剤として導入することが提案されている(例えば特願2002−317794)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、金属原子または窒素原子を含む化合物を還元剤として用いた場合には、反応の過程で生成する金属イオン(Na)またはアンモニア(NH)が、水素イオン伝導性高分子電解質中のスルホン酸基と結合し、その結果、水素イオン伝導性が低下し、燃料電池の発電電圧低下の回復効果が低減していた。
そこで、本発明は、燃料電池の発電電圧が低下してきた場合に、発電電圧の低下を有効に回復させ得る燃料電池の運転方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)水素イオン伝導性高分子電解質膜と、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む酸化剤極および燃料極と、前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給排出する第一の導電性セパレータと、前記燃料極に燃料ガスを供給排出する第二の導電性セパレータとを具備する高分子電解質型燃料電池を運転させる工程、および(2)炭素原子、水素原子および酸素原子よりなる群から選択される複数の原子で構成され、かつ標準電極電位(SHE)に対して0.98V未満、好ましくは0.7V以下の酸化還元電位を有する還元剤を、前記燃料電池の運転中において前記酸化極に供給する工程を含むことを特徴とする高分子電解質型燃料電池の運転方法に関する。
【0009】
前記運転方法においては、前記還元剤が、過酸化水素またはメタノールであるのが好ましい。
また、前記還元剤を、加湿した酸化剤ガスとともに前記酸化剤極に供給するのが好ましい。
さらに、前記還元剤を、前記第一の導電性セパレータに直接供給して、前記酸化剤極に供給するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、(1)水素イオン伝導性高分子電解質膜と、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む酸化剤極および燃料極と、前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給排出する第一の導電性セパレータと、前記燃料極に燃料ガスを供給排出する第二の導電性セパレータとを具備する高分子電解質型燃料電池を運転させる工程、および(2)炭素原子、水素原子および酸素原子よりなる群から選択される複数の原子で構成され、かつ標準電極電位(SHE)に対して0.98V未満、好ましくは0.7V以下の酸化還元電位を有する還元剤を、前記燃料電池の運転中の一定時間経過毎に前記酸化剤極に供給する工程を含むことを特徴とする高分子電解質型燃料電池の運転方法に関する。
【0011】
上述のような従来の問題点を解決するために、本発明においては、化学的還元剤として、金属原子または窒素原子を含まず、かつ反応生成物として最終的に酸素、二酸化炭素および水以外の化合物を生成しないように、炭素原子、水素原子および酸素原子の3成分のうちの複数のみで構成される化合物を用いることを特徴とする。
【0012】
本発明において用いる燃料電池は、水素イオン伝導性高分子電解質膜と、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む酸化剤極および燃料極と、前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給排出する第一の導電性セパレータと、前記燃料極に燃料ガスを供給排出する第二の導電性セパレータとを具備する高分子電解質型燃料電池である。
【0013】
図1は、本発明において用いる燃料電池を構成する単電池の構造を示す図である。図1に示すように、この単電池は、電解質膜電極接合体(MEA)1を導電性セパレータ2で挟むことによって構成されている。そして、MEA1は、水素イオン伝導性高分子電解質膜1a、燃料極3および酸化極4で構成され、燃料極3および酸化極4の周囲には、水素イオン伝導性高分子電解質膜1aを挟むように、それぞれガスケット3aおよび3bが配置されている。
【0014】
燃料電池において、燃料ガス(H)が供給される燃料極3の触媒(Pt)上では、式(1)で示される反応が起こる。また、酸化剤ガス(O)が供給される酸化極4の触媒(Pt)上では、式(2)で示される反応が起こる。そして、全体では、式(3)で示される反応が起こっている。
→ 2H + 2e (1)
1/2O + 2H + 2e → HO (2)
+ 1/2O → HO (3)
【0015】
しかし、燃料電池の長時間の運転により、白金表面が次第に酸化し、式(4)または式(5)で示される反応が起こる。
PtO + 2H + 2e ⇔ Pt + HO (4)
PtO + 2H + 2e ⇔ PtO+ HO (5)
【0016】
標準水素電極に対する電位で、式(4)の反応は0.98V以上の貴電位、式(5)の反応は1.045V以上の貴電位で起こり得る。式(2)の反応は、標準水素電極に対して1.229V以上の貴電位で起こるため、式(4)および式(5)の反応は十分に起こり得る反応である。
【0017】
酸化極4の白金表面が酸化してくると、白金表面上での式(2)の反応が抑制されるため、酸素還元反応速度が小さくなり、発電電圧が次第に低下する。このような白金表面の酸化を解消し、発電電圧を回復させるためには、白金表面の酸化物を還元剤の導入により還元し、酸化物を取り除く操作を行うことが有効である。
【0018】
また、このときの還元剤としては、水素イオン伝導性高分子電解質のスルホン酸基と結びつき、水素イオン伝導性の低下を引き起こす金属イオンおよびアンモニア(NH)が発生しないように、金属原子および窒素原子を含まない化合物を用いるのが有効である。
【0019】
さらに、還元剤からの最終反応生成物として、燃料電池の電池反応の抑制に影響しない二酸化炭素、酸素および水のみしか生成しないように、炭素原子、酸素原子および水素原子よりなる群から選択される複数の原子のみで構成される化合物を還元剤として用いるのが有効である。このような化合物を用いれば、過剰量の還元剤を導入した場合でも、燃料電池の電池反応で生じる酸化電位により還元剤が自然に消費され、しかも電池反応に悪影響を及ぼさないからである。
【0020】
上述のような化合物としては、例えば過酸化水素、メタノールなどが挙げられる。なかでも、過酸化水素またはメタノールを用いるのが好ましく、その理由は以下のとおりである。すなわち、式(6)、式(7)、式(8)および式(9)で示される反応は、標準水素電極に対する電位で、それぞれ0.695V以上の貴電位、0.232V以上の貴電位、0.034V以上の貴電位、および−0.199V以上の貴電位で起こる。
【0021】
→ O + 2H + 2e (6)
CHOH → HCHO + 2H + 2e (7)
HCHO + HO → HCOOH + 2H + 2e (8)
HCOOH → CO + 2H + 2e (9)
【0022】
上記電位は、いずれも、式(4)における電位よりも卑な電位であるため、式(4)に対して還元剤として作用する。これらの還元剤の最終反応として、式(4)と式(6)とにより式(10)に示す反応が起こり、式(4)と式(9)とにより式(11)に示す反応が起こり、最終生成物は二酸化炭素(CO)および水である。
PtO + H → Pt + HO +O (10)
PtO + HCOOH → Pt + CO + HO (11)
【0023】
したがって、金属イオンおよびアンモニア(NH)が発生することによる水素イオン伝導性の低下という新たな電池性能低下の可能性をなくすことが可能である。さらに、酸化極4の白金表面の酸化物を取り除くことで、発電電圧の低下を回復させることが可能である。
【0024】
上記還元剤をMEA1の酸化極4に導入する有効な方法としてはつぎのような方法が挙げられる。まず、第一の導電性セパレータ2aの溝5aに、還元剤を溶液の状態でタンク6から直接導入することができる。また、MEA1を第一の導電性セパレータ2aおよび第二の導電性セパレータ2bで挟んだものの外部に設置され、かつ第一の導電性セパレータ2aに加湿された酸化剤ガスを供給する加湿装置内に、前記還元剤を溶液の状態で導入し、ついで加湿された酸化剤ガスとともに還元剤を第一の導電性セパレータに導入することもできる。
【0025】
また、本発明における燃料電池は常法によって作製することができるが、MEA1における触媒反応層(図示せず)の形成に用いる触媒は、図2に示す装置を用いて調製するのが好ましい。すなわち、図2に示す装置により、触媒粉末(白金系貴金属をカーボン粉末に担持させて得られる触媒体)の表面に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆させたものを用いるのが好ましい。
【0026】
図2は、スプレードライ式装置の構成を概略的に示す図である。この装置において、容器9はXの部分で分解可能であるため、この部分から触媒粉末を入れ、容器10に導入した水素イオン伝導性高分子電解質溶液または分散液を高圧スプレー11から噴霧することにより、触媒粉末に高分子電解質を被覆することができる。また、触媒粉末は、ガス導入口12から供給される一定温度に加熱された供給ガス(チッ素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス)により、容器9内で流動・加熱処理することができる。
【0027】
前記供給ガスは、ガス流れ方向を示した矢印12aおよび12bで示された方向に流れて容器9内を流通する。そして、容器9の底部に設けた金属フィルタ−13と、スリットが設けられた造粒プレート14とを介して、容器9の内部に吹き上がる。この供給ガスによる流動風により、容器9に投入した触媒粉末を容器9内で流動させることができる。
【0028】
さらに、造粒プレート14の上部表面では、沈降してきた触媒粉末を造粒することができる。また、撹拌羽根15は、触媒粉末を撹拌、流動させながら、粉砕を行う。パルスジェット16は、容器9の側面に設けられており、圧縮したガスを噴射するノズルである。このパルスジェット16から、撹拌羽根15の中心部に位置する円錐状の衝突ターゲット17に向かって、高圧ガスを間欠的に噴射して吹き込むことができる。これにより、流動状態の触媒粉末を高圧ガスの噴射によってさらに細かく粉砕することができる。
【0029】
また、装置内に導入された前記供給ガスは、バグフィルター18によって、触媒粉末をフィルタリングし、供給ガスのみを矢印12cで示される方向に沿って装置外に排出される。なお、バグフィルター18によって濾別されて接着した触媒粉末は、例えば別途設けられた圧縮ガス供給装置19からの供給ガスの間欠噴射によって、容器9内に再度戻すことが可能である。
【0030】
つまり、図2の装置により、触媒粉末を流動させ、撹拌、粉砕しながら、水素イオン伝導性高分子電解質溶液または分散液を噴霧することができ、さらに、一定温度に加熱されて導入された供給ガスによって、噴霧して触媒粉末上に付着した水素イオン伝導性高分子電解質を乾燥すると同時に加熱処理することが可能になる。
【0031】
また、高圧ガスの噴射による粉砕工程により、触媒粉末の粒子を細かく粉砕することができ、前記触媒粉末のうち、水素イオン伝導性高分子電解質を噴霧しにくい白金系貴金属部分が表面に現れ、水素イオン伝導性高分子電解質を均一に付着させることが可能となる。これにより、最終的に得られる燃料電池の電池特性が向上する。
【0032】
以上のように、図2に示す装置を用れば、触媒粉末の表面に水素イオン伝導性高分子電解質溶液または分散液を噴霧しながら、加熱、乾燥し、水素イオン伝導性高分子電解質を被覆することができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
《実施例1》
本実施例では、まず、図2に示す装置を用いて触媒粉末に水素イオン伝導性高分子電解質が付着して試料粉末を調製し、その後、調製した試料粉末を用いてMEAを作製した。
はじめに、30nmの平均一次粒径を持つ導電性カーボン粒子であるケッチェンブラックEC(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約30Åの白金粒子を担持させて触媒体(50重量%白金)を得、これを燃料極および酸素極の触媒粉末として用いた。
【0034】
つぎに、図2で示した装置を用い、この触媒粉末粒子の表面に、水素イオン伝導性高分子電解質の分散液を噴霧しながら乾燥し、水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した。ここで、水素イオン伝導性高分子として、10重量%濃度のパーフルオロエチレン系高分子電解質(デュポン社製SE10072)分散液を用いた。このとき、被覆した水素イオン伝導性高分子電解質の重量と、前記触媒粉末に含まれる炭素原子の重量との比F/Cが0.8になるように、160gの分散液を用いた。
【0035】
前記触媒粉末(カーボン粒子に白金を担持させた触媒体:50重量%白金)40gに対して、水素イオン伝導性高分子電解質分散液を投入した。高圧スプレー11による水素イオン伝導性高分子電解質分散液の噴霧速度は、2g/分とした。ガス導入口12から容器9に供給する供給ガスとしては、粉塵爆発などの危険を考慮して、窒素ガスを用いた。この供給ガスの入口温度は100℃とし、供給ガスの流量は0.06m/分とした。また、造粒プレート14および撹拌羽根15の回転速度は300rpmとし、パルスジェット16の間欠噴射の間隔は、10秒間隔で0.5秒間ずつ行った。このようにして触媒粉末に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した試料粉末を得た。
【0036】
この試料粉末を、水で湿らせた後、エチレングリコールと混合し、触媒反応層用のペースト状のインクを調製した。
つぎに、外寸が12cm×12cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン112)の両面に、前記インクをスクリーン印刷法により塗布し、触媒反応層を形成した。形成後の触媒反応層中に含まれる白金の量は、0.5mg/cmとなるように調製した。
【0037】
一方、電極のガス拡散層を構成するカーボンペーパー(不織布)を撥水処理した。外寸6cm×6cm、厚み360μmの導電性カーボン粒子のカーボンペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120)に、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製のネオフロンND1)に含浸させた後、400℃および30分間の加熱を行うことにより乾燥させ、前記カーボンペーパーに撥水性を付与した。
【0038】
さらに、撥水性を付与したカーボン不織布の一方の面に、導電性炭素粒子とPTFE微粉末を分散させた分散液とを混合して得たインクを、スクリーン印刷法を用いて塗布し、撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部を、カーボン不織布の中に埋め込んだ。このようにして、撥水性を付与し、かつ撥水層を有するガス拡散層を得た。
【0039】
上述のように酸化極側の触媒反応層および燃料極側の触媒反応層を水素イオン伝導性高分子電解質膜の裏表に形成した後、前記ガス拡散層2枚で、それぞれ撥水層が触媒反応層に面するように、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟み、全体をホットプレスで接合し、電解質膜電極接合体(MEA)を得た。同時に、作製したMEAの水素イオン伝導性高分子電解質膜の外周部には、ゴム製のガスケット板を接合し、燃料ガスおよび酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成した。
【0040】
つぎに、外寸が12cm×12cm、厚みが1.3mm、ガス流路の深さが0.5mmの樹脂含浸黒鉛板で構成した第一の導電性セパレータおよび第二の導電性セパレータを準備し、前記第一の導電性セパレータの表面には酸化剤ガス用のガス流路を設け、前記第二の導電性セパレータの表面には燃料ガス用のガス流路を設けた。
【0041】
上述のようにして得たMEAの一方の面に、ガス拡散層に酸化剤ガス用のガス流路が面するように第一の導電性セパレータを重ね合わせ、他方の面に、ガス拡散層に燃料ガス用のガス流路が面するように第二の導電性セパレータを重ね合わせ、締結することによって単電池を得た。このときの締結圧は導電性セパレータの面積あたり15kgf/cmとした。このようにして本発明における高分子電解質型燃料電池を作製した。
【0042】
このように作製した高分子電解質型燃料電池を、70℃に保持し、燃料極側に65℃の露点となるよう加湿・加温した水素ガスを燃料ガスとしてガス利用率70%で供給した。また酸化極側には60℃の露点となるよう加湿・加温した空気を酸化剤ガスとしてガス利用率40%で供給した。またこの燃料電池を、電流密度0.2A/cmの条件で連続発電させ、電圧特性の時間変化を測定した。
【0043】
また、この連続発電の間、第一の導電性セパレータの溝(ガス流路)には直接還元剤を供給した。タンク6には、0.2mmol/Lの過酸化水素水20ccを300時間経過ごとに補充した。また、タンク6に貯蔵された過酸化水素水は、1時間に2mLの速度で、第一の導電性セパレータの溝5に供給し続けた。なお、コック7は、過酸化水素水を第一の導電性セパレータの溝5に供給されている時間以外は、閉じた。このような連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図3に示した。
【0044】
《実施例2》
本実施例においては、0.2mmol/Lの過酸化水素水20ccをタンク6からは第一の導電性セパレータに供給せず、酸化剤ガスを加湿する加湿装置内に供給するとともに、300時間経過毎に補充を行った。このとき、加湿装置内の容量は十分に小さく、300時間経過時には導入した過酸化水素水20ccを十分に加湿装置から排出できた。これ以外は、実施例1と同様にして連続発電試験を行った。本実施例の連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図4に示した。
【0045】
《実施例3》
還元剤としてメタノールを用いた以外は、実施例1と同様の条件で連続発電試験を行った。本実施例の連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図5に示した。
【0046】
《実施例4》
還元剤としてメタノールを用いた以外は、実施例2と同様の条件で連続発電試験を行った。本実施例の連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図6に示した。
【0047】
《比較例1》
還元剤を一切用いない以外は、実施例1と同様の条件で連続発電試験を行った。本比較例の連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図3および4に示した。
【0048】
《比較例2》
還元剤としてヒドラジンを用いた以外は、実施例1と同様の条件で連続発電試験を行った。本比較例の連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図3に示した。
【0049】
《比較例3》
還元剤としてヒドラジンを用いた以外は、実施例2と同様の条件で連続発電試験を行った。本比較例の連続発電における燃料電池の時間−電圧特性を図4に示した。
【0050】
実施例1および3の特性が比較例1の特性に比較して良いのは、比較例1においては、酸化極で、時間の経過とともに式(4)および式(5)の反応で生成した酸化皮膜が蓄積される結果、電極反応の活性が低下するのに対し、実施例1および3においては還元剤を導入することによって式(6)、式(7)、式(8)および式(9)の反応が進行し、最終的に式(10)または式(11)の反応が起こり、酸化皮膜が取り除かれるためと考えられる。
【0051】
また、実施例1および3の特性が比較例2の特性に比較して良いのは、比較例2においても酸化皮膜の還元作用はあるが、反応生成物としてアンモニアが生成して水素イオン伝導性高分子のスルホン酸基と結合し、プロトン導電性を阻害するため、ヒドラジンの導入量が増すにしたがって電池性能が低下するためと考えられる。
さらに、実施例2および4の特性が比較例1および3の特性に比較して良いのも同様の理由によるものと考えられる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、燃料電池の酸化極の触媒上に生成する酸化皮膜による反応効率の低下する現象を、金属原子や窒素原子を含まない化学的還元剤の導入によって酸化皮膜を取り除くことによって抑制し、燃料電池の電圧特性低下を防ぐとともに長時間に亘って高い発電効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いる燃料電池を構成する単電池の構造を示す図である。
【図2】スプレードライ式装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施例1および3ならびに比較例1および2の時間−電圧特性を示す図である。
【図4】本発明の実施例2および4ならびに比較例1および3の時間−電圧特性を示す図である。
【符号の説明】
1 MEA
2 セパレータ
3 燃料極
4 酸化極
5 溝
6 タンク
7 コック
9 容器
10 容器
11 高圧スプレー
12 ガス導入口
13 金属フィルター
14 造粒プレート
15 撹拌羽根
16 パルスジェット
17 衝突ターゲット
18 バグフィルター
19 圧縮ガス供給装置

Claims (4)

  1. (1)水素イオン伝導性高分子電解質膜と、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む酸化極および燃料極と、前記酸化極に酸化剤ガスを供給排出する第一の導電性セパレータと、前記燃料極に燃料ガスを供給排出する第二の導電性セパレータとを具備する高分子電解質型燃料電池を運転させる工程、および
    (2)炭素原子、水素原子および酸素原子よりなる群から選択される複数の原子で構成され、かつ標準電極電位(SHE)に対して0.98V未満の酸化還元電位を有する還元剤を、前記燃料電池の運転中において前記酸化極に供給する工程を含むことを特徴とする高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  2. 前記還元剤が、過酸化水素またはメタノールであることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  3. 前記還元剤を、加湿した酸化剤ガスとともに前記酸化剤極に供給することを特徴とする請求項1または2記載の高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  4. 前記還元剤を、前記第一の導電性セパレータに直接供給して、前記酸化剤極に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質型燃料電池の運転方法。
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