JP2004356017A - 燃料電池プラント - Google Patents
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Abstract
【課題】システムの効率を維持しつつ、可燃性ガスのパージを行うことができる燃料電池プラントを提供する。
【解決手段】スタック2と、スタック2に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置4を備える。また、スタック2と、燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガス供給装置4のうち少なくともスタック2を収納するパッケージ6と、パッケージ6の内部空間を換気する換気ファン7と、燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に放出するパージ手段を備える。パージ手段には、燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に分散するパージガス分散配管43を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】スタック2と、スタック2に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置4を備える。また、スタック2と、燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガス供給装置4のうち少なくともスタック2を収納するパッケージ6と、パッケージ6の内部空間を換気する換気ファン7と、燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に放出するパージ手段を備える。パージ手段には、燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に分散するパージガス分散配管43を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池プラントに関する。特に、燃料電池システムから放出される燃料ガスの処理手段の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セル積層体、これに反応ガスを供給・排出する反応ガス配管、電池収納容器、および雰囲気ガス系統とからなる燃料電池設備が知られている。このような燃料電池設備において、該収納容器内、もしくは、雰囲気ガス系統に可燃性ガス処理装置を設置することにより、セル積層体もしくは反応ガス配管から収納容器内部に流出した可燃性ガスを除去している(例えば、特許文献1、参照。)。
【0003】
また、燃料電池本体と、その周辺要素を、パッケージの内部に収容して成り、かつ、パッケージ内の内気を外部に排気し、外気をパッケージ内に取り込む換気手段を備えて構成されるパッケージ型の燃料電池発電プラントが知られている。さらに、パッケージの排気部、またはその付近に設けられ、燃料電池本体とその周辺要素からパッケージ内へ漏洩する可燃性ガスを検出する可燃性ガス漏洩検出手段を備え、可燃性ガス漏洩検出手段からの可燃性ガス検知信号を基に、パッケージの換気風量を増加させるように制御している(例えば、特許文献2、参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−66825号公報
【特許文献2】
特開平8−31436号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
特公平7−66825号公報には、可燃性ガス処理装置として、燃焼機、触媒燃焼器、水素貯蔵合金などが示されているが、これらを追加した場合、システム全体が複雑になり、部品点数も多くなるという問題がある。また、特に車輌への応用で使われる、比較的運転温度の低い、PEM(Proton Exchange Membrane)型燃料電池の場合に、燃焼器、触媒燃焼器を用いると、これらの温度を高く保つ必要があるため、システム全体の効率の悪化が避けられない。また、水素貯蔵合金は、一般的に重量が大きく、車輌応用などでは効率上不利になる。
【0006】
また、特開平8−31436号公報においては、可燃性ガスが十分に低い濃度となるように換気流量を決めているが、燃料ガスの排気口が決まっている場合などには、パッケージ内での可燃性ガスの濃度に偏りが生じる。このため、その分、換気流量を大きくする必要が生じて、換気ファンの回転速度を大きく設定する必要があり、システム全体としての効率が悪化するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、システムの効率を維持しつつ、可燃性ガスの処理を行うことができる燃料電池プラントを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
燃料極に供給した燃料ガスと、酸化剤極に供給した酸化剤ガスと、を用いて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、を備える。また、前記燃料電池と、前記燃料ガス供給手段と、前記酸化剤ガス供給手段のうち少なくとも前記燃料電池を収納するパッケージ手段と、前記パッケージ手段の内部空間を換気する換気手段と、を備える。さらに、前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ手段内に放出するパージ手段を備え、前記パージ手段には、前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ内に分散する分散手段を備える。
【0009】
【作用及び効果】
パージ手段に、燃料電池の燃料極側からパージしたガスをパッケージ内に分散する分散手段を備える。これにより、パッケージ内でのパージされたガスの偏りが減少し、その分換気手段の出力を低下させて消費電力を低下させることができ、システム全体の効率を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池プラントの構成を、図1を用いて説明する。ここでは、車輌の駆動源として搭載される燃料電池システム1を備えた燃料電池プラントについて説明する。
【0011】
燃料電池システム1として、燃料電池スタック(以下、スタック)2と、これに燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置4と、を備える。燃料ガス供給手段3には、燃料ガス、例えば高圧水素の貯蔵手段である燃料タンク5を接続し、遮断弁5aを介して水素ガスの供給を受ける。燃料ガス供給装置3において、図示しない圧力調整弁等により設計された圧力まで減圧してから、水素ガスをスタック2に供給する。酸化剤ガス供給装置4は、例えば図示しないブロア等から構成され、コントローラ10からの要求出力に応じて、十分な量の酸素を含む空気をスタック2に供給する。
【0012】
さらに、燃料電池システム1には、燃料ガスの循環ライン40を備える。循環ライン40には循環ポンプ41を備え、これにより、スタック2の燃料極の出口から排出される残燃料をスタック2の燃料極の入口に再投入する。また、この循環ライン40には、空気極側から燃料極側に浸透してくる窒素等の濃度が上がってきた場合に、燃料ガスと窒素等の混合気を放出するためのパージ手段を備える。
【0013】
ここではパージ手段として、パージ弁42とパージガス分散配管43を備える。循環ライン40内の混合気をパージするか否かを選択するパージ弁42の出口側に、パージガス分散配管43を接続する。パージガス分散配管43としては、直線状の配管を用い、接続部43aにおいてパージ弁42の出口側と接続する。ここでは、パージ弁42の出口側との接続部43aを、パージガス分散配管43の軸方向中央部近傍に構成する。このように構成することで、パージ弁42を開いた際に放出される燃料ガスを含むパージガスは、パージガス分散配管43の両端から後述するパッケージ6内に分散、排出される。このように、パッケージ6内にパージガスが放出される部分、ここではパージガス分散配管43の両端をパージガス出口44とする。なお、接続部43aをパージガス分散配管43の軸方向中央部近傍とすることで、パージ手段内での圧損は、パージガス分散配管43の両端から排出されるパージガスで概略同じとすることができる。
【0014】
上述したような燃料電池システム1をパッケージ6に収納する。パッケージ6には、換気ファン7と外気排出口8を備える。換気ファン7と外気排出口8を、スタック2およびパージガス出口44を挟んで構成する。ここでは、換気ファン7と外気排出口8を、パッケージ6の対向する面に構成する。換気ファン7が回転することで、外気がパッケージ6内に導入される。パージ弁42から排出された燃料ガスを含むパージガスは、パージガス分散配管43を通過する際に分岐された上、換気ガスの流れ方向に垂直にパッケージ6内に放出される。パッケージ6内で、パージガスは換気ファン7により導入された換気ガスと混合・希釈され、パッケージ6内を通って外気排出口8から排出される。
【0015】
なお、ここでは、燃料タンク5をパッケージ6の外側に配置したが、配管等から燃料ガスが漏れ出る恐れがある場合等には、パッケージ6内に配置してもよい。また、レイアウト上の制約によっては、酸化剤ガスの供給系、例えば、酸化剤ガス供給装置4等をパッケージ6の外部に配置してもよい。さらに、燃料ガス供給装置3を含む燃料系からの燃料漏れの可能性がない場合等には、これをパッケージ6の外部に配置してもよい。
【0016】
さらにパッケージ6の外側には、スタック2とリレー20を介して電気的に接続する駆動モータ/インバータ30を備える。駆動モータ/インバータ30には、後述するコントローラ10からのトルク指令値に応じて駆動トルクを発生するように、リレー20を通して燃料電池システム1から電力が供給される。
【0017】
また、このような燃料電池システム1およびその周辺機器を制御するためのコントローラ10を備える。コントローラ10には、車輌状態検出手段11、運転操作検出手段12、目標出力算出手段13、モータ制御手段14、燃料電池システム制御手段15を備える。車輌状態検出手段11では、図示しない車速センサからのパルス信号と、図示しない基準タイマから車速を求める。運転操作検出手段12では、ドライバのアクセルペダル操作によるアクセルペダル開度信号を検出する。
【0018】
目標出力算出手段13には、車速とアクセルペダル開度から二次元マップを参照する等により目標駆動力を算出する駆動力算出部を備える。また、目標駆動力と、車輌質量、タイヤ半径、減速ギア比等のパラメータから目標とするモータトルクを算出するモータトルク指令値算出部を備える。つまり、目標出力算出手段13では、その時々の車速、アクセルペダル開度からモータトルク指令値を算出する。このモータトルク指令値をモータ制御手段14に伝え、モータ制御手段14では、この指令値通りにモータがトルクを発生するように駆動モータ/インバータ30を制御する。
【0019】
また、目標出力算出手段13において、燃料電池システム1への要求出力指令値を算出する。要求出力指令値は、例えば、モータトルク指令値を実現するために必要な駆動モータ/インバータ30での消費電力を、予め測定された駆動モータ/インバータ30での損失等を考慮して算出し、これに、車輌や燃料電池システム1で消費する補機電力を加算することにより算出する。算出された要求出力指令値は、燃料電池システム制御手段15に伝えられる。燃料電池システム制御手段15では、指令値通りの出力をスタック2から正常に取り出せるように、予め定められたロジックに従って、パージ弁42、燃料ガス供給装置3内に含まれるアクチュエータ、酸化剤ガス供給装置4に含まれるアクチュエータを制御する。
【0020】
例えば、運転中に、循環ライン40内の窒素濃度が上昇してくると、パージ弁42を開き、窒素ガスを含む燃料ガスを放出することで、燃料極における窒素濃度が所定の濃度以下に保たれるように制御する。例えば、循環ライン40に水素濃度センサ45を設置し、その濃度に応じてパージ弁42の開閉の制御を行う。または、予め実験を行い、運転時間に応じて開閉をタイマ制御してもよい。
【0021】
また、パッケージ6内には燃料濃度センサ9、ここでは水素濃度センサを備える。これによりパッケージ6内の水素濃度を監視し、パッケージ6内が所定の水素濃度以上とならないように燃料電池システム制御手段15において換気ファン7の制御してもよい。なお、パージ弁42の開閉のタイミングに応じて換気ファン7を制御してもよい。
【0022】
次に、上述したように燃料ガスのパージを行った場合のパッケージ6内のガス流れについて説明する。
【0023】
パージ手段としてパージガス分散配管43を用い、パージガスがパッケージ6内に排出されるパージガス出口44を二箇所(44a、44b)構成する。ここでは、パージガス出口44からは、換気ガスの流れ方向に対して略垂直方向にパージガスが放出される。このように構成することで、パージガス出口44から放出されたパージガスは、パッケージ6内における換気ガスの流れの断面について分散して放出されるので、パッケージ6内の燃料ガス濃度の偏りを抑制することができる。これにより、換気ガス流量においては、パッケージ6内の濃度勾配を考慮して流量を大きく設定する分を抑制することができる。その結果、無駄に換気ファン7の回転数を上げる必要がなくなり、効率のよい運転を行うことができる。
【0024】
なお、パージガス分散配管43の途中にパージガス排出用の複数の穴を設けてパージガス出口44をさらに多く形成してもよい。これにより、燃料ガスの分散効果をさらに高めることができる。
【0025】
また、ここではパージガス分散配管43を直線状に形成したがこの限りではない。例えば、図2に示すように、パージガス分散配管43をたこ足状に構成する。ここでは、パージ弁42の出口側で四つに分岐するようにパージガス分散配管43を構成する。このように、パージガスがパッケージ6内に排出されるパージガス出口44を多く構成することにより、燃料ガスの分散効果をさらに高めることができる。
【0026】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0027】
燃料極に供給した燃料ガスと、酸化剤極に供給した酸化剤ガスと、を用いて発電を行うスタック2と、スタック2に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置3と、スタック2に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置4を備える。また、スタック2と、燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガス供給装置4のうち少なくともスタック2を収納するパッケージ6と、パッケージ6内の内部空間を換気する換気ファン7を備える。さらに、スタック2の燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に放出するパージ手段と、を備える。パージ手段は、スタック2の燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に分散する分散手段を有する。これにより、パッケージ6内に放出されたガスの偏りが減少するので、その分、換気ファン7の回転速度を低下させてファンによる消費電力を抑制することができ、システム全体の効率を向上することができる。よって、システムの効率を維持しつつ、可燃性ガスを排出することができる燃料電池プラントを提供することができる。
【0028】
また、分散手段として、パージされたガスをパッケージ6内に放出する複数のパージガス出口44を備える。ここでは、パージガス分散配管43を備えることにより複数のパージガス出口44を備える。これにより、パージされたガスをパッケージ6内に放出・分散することができるので、換気ファン7の回転速度を抑制して燃料電池システム1の効率を向上することができる。例えば、分岐した配管を用いることによりパージガス出口44を複数形成する。これにより、低コストでパージガスの偏りを抑制することができる。
【0029】
また、パッケージ6内の換気ガスの流れに対して垂直に、スタック2の燃料極側からパージされたパージガスを放出する。これにより、パッケージ6内で空間的に効果的にパージガス、ひいては燃料ガスを分散することができる。
【0030】
ここでは、接続部43aをパージガス分散配管43の軸方向中央部近傍に構成する。これにより、パージガスのパージ手段内での圧損を概略同じとし、パージガス出口44a、44bから排出されるパージガス流量を均一化する。このように、パージガスを換気ガスの流れに対して垂直方向にかつ同じ断面上に放出し、パージガス出口44a、44bから放出されるパージガス流量を概略同じとするので、換気ガス流れの断面についてさらに燃料ガス濃度を均一化することができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を図3に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0032】
ここでは、換気ファン7を二つ(7a、7b)備える。また、外気排出口8を二つ(8a、8b)備える。換気ファン7a、7bと外気排出口8a、8bを、スタック2およびパージガス出口44を間に挟んで構成する。
【0033】
また、パージガス分散配管43を、パッケージ6内の換気ガス流れの断面について略中央部近傍に配置する。このとき、例えば、レイアウト上の制約により、パージ弁42の出口が換気ガスの流れの断面について中央部近傍にない場合には、接続部43aを必ずしもパージガス分散配管43の中央部近傍とする必要はない。図3においては、接続部43aを、パージガス出口44b側に偏って形成する。これにより、パージガス出口44aと換気ファン7a、および、パージガス出口44bと換気ファン7bとの距離を概略同じとする。また、パージガス出口44aと外気排出口8aと、パージガス出口44bと外気排出口8bとの距離を概略同じとする。
【0034】
さらに、パージガス出口44a、44bからほぼ等しい量のパージガスが排出されるように、パージガス分散配管43の形状を設定する。例えば、環境ライン40内の圧力とパッケージ6内の圧力と、パージガス分散配管43の管径、パージ弁42からパージガス出口44a、44bまでの距離を考慮して、パージガス分散配管43の形状を設定する。ここでは、パージガス分散配管43の端部に相当するパージガス出口44a、44bの形状を設定する。例えば、パージガス出口44bの断面積をパージガス出口44aより小さく設計する。
【0035】
なお、図4に示すように、パージガス分散配管43内に圧力損失等価手段を備えても良い。ここでは、パージガス分散配管43の配管内面に環状の部材を設置することによりオリフィス46を構成する。これにより、パージガス分散配管43の形状のみでパージガス出口44aとパージガス出口44bから排出されるパージガスの圧力損失を等しく出来ない場合にも、パージガス出口44a、44bから排出されるパージガス流量を概略同じとすることができる。
【0036】
次に、パッケージ6内の換気ガスおよびパージガスの流れを、図5、図6を用いて説明する。なお、ここでは供給装置3、4、および、スタック2への水素ガス、燃料ガスの供給配管等は省略する。また、図6における点線で示された燃料ガス濃度の時間変化は比較例であり、図5において外気排出口8bから排出されるガスの燃料ガス濃度の時間変化に相当する。
【0037】
図5に、分散手段、ここでは複数のパージガス出口44を備えたパージガス分散配管43を用いない場合のガスの流れを示す。つまり、図5に示すように、パージ弁42の出口が、パッケージ6内にパージガスを放出するパージガス出口44となる。
【0038】
ここでは、レイアウト上等の制約により、図3と同様にパージ弁42の出口を偏って形成する場合を示す。これにより、パージガス出口44と換気ファン7aまでの距離と、換気ファン7bまでの距離、および、パージガス出口44と外気排出口8aまでの距離と、外気排出口8bまでの距離とが異なる。ここではパージガス出口44と換気ファン7bまでの距離、および、パージガス出口44と外気排出口8bまでの距離が比較的小さくなっている。
【0039】
これにより、パージ弁42の出口から排出された燃料ガスを含むパージガスは、換気ファン7bからパッケージ6内に吸入され、外気排出口8bから排出される換気ガスの流れの影響を大きく受ける。例えば、外気排出口8a、8bそれぞれの外側に水素濃度センサを配置した場合には、図5に示すように外気排出口8bの外側で検出される水素濃度のほうが、外気排出口8aの外側で検出される水素濃度より高くなる。つまり、パッケージ6内では、換気ファン7bおよび外気排出口8bが配置されている側が、換気ファン7aおよび外気排出口8aが配置されている側よりも燃料ガス濃度が高くなる。このように燃料ガス濃度に偏りがある場合には、高いほうの濃度が所定値以下となるように換気ガスの流量を設定する必要があり、これによりシステムの効率が低下する。
【0040】
これに対して、本実施形態では、図6に示すようにパージ弁42の出口にパージガス分散配管43を接続することにより、複数、ここでは二つのパージガス出口44a、44bを構成する。このとき、換気ファン7a、パージガス出口44a、外気排出口8a間の間隔と、換気ファン7b、パージガス出口44b、外気排出口8b間の間隔とが、ほぼ等しくなっている。よって、それぞれの換気ファン7a、7bから取り込んだ換気ガスによる影響がパージガス出口44a、44b近傍で同じ程度となる。また、上述したように、パージ弁42を介してパージガス出口44aから排出されるパージガスと、パージガス出口44bから排出されるパージガスとのパージガス分散配管43内を流通する際の圧損を、概略同じとしている。これにより、パージガス出口44a、44bから排出されるパージガス量は概略等しくなる。
【0041】
つまり、パージガス出口44a、44bから概略同量のパージガスが放出され、また、放出されたパージガスは略同程度の換気ガスの影響を受ける。これにより、換気ファン7aから外気排出口8aにかけての流れと、換気ファン7bから外気排出口8aにかけての流れにおける燃料ガス分布がほぼ同等となる。つまり、図6に示すように、外気排出口8a、8bの外側の水素濃度は、外気排出口8a側と外気排出口8b側とでほぼ等しくなる。このように、パージされた燃料ガスの濃度が平均化されるので、換気ガスの流量を同一とした際に、図5に示す構成に比較して、水素濃度の最大値を低減することができる。言い換えれば、換気流量を抑制しても、水素ガス濃度を規定値以下に保つことができる。よって、換気ファン7の回転速度を抑制することができるので、システム全体の効率を向上することができる。
【0042】
なお、図2に示すように、パージガス分散配管43をたこ足状に形成してもよい。このときには、各パージガス出口44から排出されるパージガスが同量となるように、パージガス分散配管43の形状を設計する。または、パッケージ6内の換気ガス流れの軸に対して、流れの断面方向に対称にパージガスが放出されるように、パージガス分散配管43の形状を設計する。
【0043】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0044】
パージ手段内での圧損を、それぞれのパージガス出口44から放出されるガスの間で略等しくする。これにより、パージガス出口44からのパージガスの放出されやすさをパージガス出口44間で等しくすることができる。このとき、パージガス出口44a、44bそれぞれの近傍に流れる換気ガスの状態を同等とする。ここでは、換気ガスの流れの軸に対して対称の位置にパージガス出口44a、44bを配置する。これにより、各パージガス出口44から放出されるパージガスの流量を概略同じとすることができ、より効果的に空間的に燃料ガスを分散することができる。
【0045】
次に、第3の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を、第2の実施形態と同様とする。以下、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0046】
パッケージ6内を流れるパージガスの状態を図7に示す。なお、燃料ガス供給装置3および酸化剤ガス供給装置4、燃料ガスと水素ガスの供給配管は、第2の実施形態と同様とし、図7においては省略する。なお、点線で示された燃料ガス濃度の時間変化は比較例であり、図5において外気排出口8bから排出されるガスの燃料ガス濃度の時間変化に相当する。
【0047】
パージガス分散配管43を換気ガスの流れの断面に対して角度を持って配置する。これにより、換気ファン7から外気排出口8に向かう換気ガスの流れ方向に対して、パージガス分散配管43の一方の端部であるパージガス出口44aを上流側に、もう一方の端部であるパージガス出口44bを下流側に配置する。
【0048】
このように形成することで、パージ弁42が開となり、パージガスが放出される際に、パージガス出口44bからパッケージ6内に放出された燃料ガスが先に外気排出口8bに到達し、その後で、パージガス出口44aから排出されたパージガスが外気排出口8aに到達する。つまり、パージガス中の燃料ガスが、換気ガスの流れの方向について分散して放出される。
【0049】
その結果、図7に示すように、外気排出口8bから排出される換気ガス中の燃料ガスは、第2実施形態のように換気ガスの流れについて同断面上にパージガス出口44a、44bを形成した時に比べて、速い段階で検出される。一方、外気排出口8aから排出される換気ガス中の燃料ガスは、換気ガスの流れの同断面上にパージガス出口44a、44bを形成した時に比べて、遅れて検出される。つまり、換気ガスの流れ方向に沿って分散してパージガス出口44を構成することで、燃料ガスを時間的にずらして放出した場合と同様に分散することができ、パッケージ6内の燃料ガス濃度勾配を抑制することができる。
【0050】
なお、この場合にも、パージ手段内での圧損を、パージガス出口44a、44bから放出されるパージガスの間で略同じとなるようにする。これにより、パージガス出口44a、44bから放出されるパージガス流量を均一化することができる。さらに、パージガス出口44a、44b近傍の換気ガスの流速が異なる場合には、パージガス出口44a、44b近傍の圧力差を考慮して、パージガス分散配管43を形成する。これにより、さらにパージガス出口44a、44bから放出されるパージガス流量を均一化して、パッケージ6内の燃料ガス濃度を均一化することができる。
【0051】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第2の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0052】
複数のパージガス出口44をパッケージ6内の換気ガスの流れ方向について分散して構成する。これにより、パッケージ6内で燃料ガスを換気ガスの流れ方向について分散して放出することができるので、パッケージ6内の燃料ガス濃度を均一化することができる。また、燃料ガス濃度の最大値を抑制することができる。これは、特にパージ弁42をPWM(Pulse Width Modulation)駆動する際に有効となる。
【0053】
また、パージ手段内での圧損を、それぞれのパージガス出口44a、44bから放出されるガスの間で略等しくする。これにより、パッケージ6内の換気ガスの流れ方向についての燃料ガスの濃度を、さらに均一化することができる。
【0054】
次に、第4の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を図8に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
循環ライン40から燃料ガスをパージするか否かを選択するパージ弁42をパージガス出口44と同数備える。ここでは、循環ライン40に入口側で接続するパージ弁42を二つ(42a、42b)備える。パージ弁42a、42bの出口側をパージガス出口44とし、ここからパッケージ6内にパージガスを放出する。例えば、パージ弁42a、42bのそれぞれのパージガス出口44を換気ガスの流れの中心に対して対称の位置に備える。または、換気ガスの流れの断面上で、十分な流れが存在し、かつ、離れた位置に備えてもよい。これにより、パージガスを、パッケージ6内で空間的に分散して放出することができる。
【0056】
このような構成の燃料電池システム1において、パージ弁42a、42bを時間差で開とする。ここでは、パージ弁42aが開の場合にはパージ弁42bを閉とし、パージ弁42aを閉としたらパージ弁42bを開とする。これにより、パージガスをパッケージ6内で時間的に分散して放出することができる。言い換えれば、パッケージ6内の換気ガスの流れ方向について、パージガスを分散して放出することができる。
【0057】
なお、パージ弁42a、42bの出口に、さらにパージガス分散配管43を備えても良い。または、図1においてパージガス分散配管43のパージガス出口44a、44bの近傍にパージ弁42a、42bをそれぞれ備えてもよい。
【0058】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0059】
パージガス出口44毎に、スタック2の燃料極からパージされたガスをパッケージ6内に放出するか否かを選択するパージ選択手段を備える。ここでは、パージ弁42を備える。このように空間的に分散して構成される各パージガス出口44にパージ弁42を備え、パージ弁42の開閉のタイミングを制御することで、パージガスを空間的・時間的に分散して放出することができる。これにより、パッケージ6内でパージガスをさらに分散して放出することができ、燃料ガス濃度を均一化することができるので、換気ファン7の回転速度を抑制することができ、システムの効率をさらに抑制することができる。
【0060】
次に、第5の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を図9に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0061】
ここでは、パージ弁42の出口側をパージガス出口44とする。パージ手段として、パージ弁42と、パージガス出口44の換気ガスの流れ方向についての下流側に配置した分散手段と、を備える。ここでは、分散手段として板状のパージガス分散パネル48を備える。また、パージガスが換気ガスの流れに対向して放出されるようにパージガス出口44を構成し、パージガス出口44を囲むようにパージガス分散パネル48を構成する。言い換えれば、板状のパージガス分散パネル48の中央部近傍をパージ弁42の出口側が貫通するように構成する。
【0062】
このように構成することで、図10に示すように、パッケージ6内に放出された燃料ガスは、換気ガスの流れに乗ってパージガス分散パネル48により四方に分散され、効果的に拡散される。
【0063】
なお、ここでは、パージガス分散パネル48の中央部にパージガス出口44を配置したがこの限りではない。例えば、第2の実施形態と同様に、パージガス出口44がパッケージ6内の換気ガス流れの断面中央部近傍に位置しない場合には、燃料ガスが換気ガス流れの断面にパージガスが均等に分散されるように、パージガス分散パネル48の設置位置を設定する。
【0064】
例えば、図11に示すように、換気ファン7、外気排出口8を二つずつ備え、パージガス出口44を換気ファン7bおよび外気排出口8b側に偏って形成する場合を考える。このような場合には、パージガス分散パネル48により、燃料ガスが換気ファン7a、外気排出口8a側に拡散しやすいように構成する。その結果、図11に示すように、外気排出口8a、8bから排出されるガスの水素濃度を均一化することができる。
【0065】
また、パージガス分散パネル48として平板形状のものを用いているがこの限りではない。例えば、図12(a)に示すように、仕切り板48aを形成してもよい。仕切り板48aは、換気ガスの上流側を向く面に放射状に形成する。ここでは、パージガス出口44を中心とした放射状に形成する。仕切り板48aを設けることで、換気ガスおよびパージガスの流れの方向を制御することができるので、確実に拡散することができる。この他にも、パージガス分散パネル48に山谷の折り目を形成することによってもパージガスの流れの方向を制御することができる。または、図12(b)に示すように、パージガス分散パネル48に穴48bを形成してもよい。これにより、さらに効率的に燃料ガスを分散することができる。例えば、パージガス分散パネル48の面に均等に穴48bを形成することで、パージガス分散パネル48によって遮られる空間にも燃料ガスを分散することができる。その結果、広い範囲に燃料ガスを分散することができるので、パッケージ6内の燃料ガスの濃度勾配を低減することができる。また、パージガス分散パネル48をスポンジ状の材質で構成することによっても、パージガス分散パネル48の後流に燃料ガスを分散することができる。
【0066】
次に本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0067】
パッケージ6内の換気ガスの流れに対して、パージガス出口44の下流側に、分散手段を備える。ここではパージガス分散パネル48を備える。このように、パージガス出口44付近に、板状/スポンジ状の分散手段を、換気ガス流れについての下流側に設置する構成としたので、レイアウト上の制約から複数のパージガス出口44を設けることが出来ない場合にもパージガスを分散させることが可能となる。
【0068】
なお、ここでは換気ファン7から外気を取り込んで、外気排出口8から排出する構成としたがこの限りではない。例えば、外気排出口8の替わりに外気吸入口を供え、換気ファン7によりパッケージ6内のガスを外に押し出す構成としてもよい。
【0069】
また、パッケージ6の外側に図示しない燃焼器等の水素処理装置を備え、水素処理を行ってから車輌外部に換気ガスを排出する構成としてもよい。
【0070】
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いる燃料電池システムに関する別の例の構成図である。
【図3】第2の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図4】第2の実施形態に用いるパージガス分散配管の構成の例である。
【図5】従来におけるパッケージ内の燃料ガスの流れを示す図である。
【図6】第2の実施形態におけるパッケージ内の燃料ガスの流れを示す図である。
【図7】第3の実施形態におけるパッケージ内の燃料ガスの流れを示す図である。
【図8】第4の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図9】第5の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図10】第5の実施形態における燃料ガスの分散状態を示す図である。
【図11】第5の実施形態における燃料ガスの流れの例を示す図である。
【図12】第5の実施形態におけるパージガス分散パネルの形状の例を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池システム
2 燃料電池スタック
3 燃料ガス供給装置
4 酸化剤ガス供給装置
6 パッケージ
7 換気ファン(換気手段)
42 パージ弁
43 パージガス分散配管(分散手段)
44 パージガス出口
48 パージガス分散パネル(分散手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池プラントに関する。特に、燃料電池システムから放出される燃料ガスの処理手段の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セル積層体、これに反応ガスを供給・排出する反応ガス配管、電池収納容器、および雰囲気ガス系統とからなる燃料電池設備が知られている。このような燃料電池設備において、該収納容器内、もしくは、雰囲気ガス系統に可燃性ガス処理装置を設置することにより、セル積層体もしくは反応ガス配管から収納容器内部に流出した可燃性ガスを除去している(例えば、特許文献1、参照。)。
【0003】
また、燃料電池本体と、その周辺要素を、パッケージの内部に収容して成り、かつ、パッケージ内の内気を外部に排気し、外気をパッケージ内に取り込む換気手段を備えて構成されるパッケージ型の燃料電池発電プラントが知られている。さらに、パッケージの排気部、またはその付近に設けられ、燃料電池本体とその周辺要素からパッケージ内へ漏洩する可燃性ガスを検出する可燃性ガス漏洩検出手段を備え、可燃性ガス漏洩検出手段からの可燃性ガス検知信号を基に、パッケージの換気風量を増加させるように制御している(例えば、特許文献2、参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−66825号公報
【特許文献2】
特開平8−31436号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
特公平7−66825号公報には、可燃性ガス処理装置として、燃焼機、触媒燃焼器、水素貯蔵合金などが示されているが、これらを追加した場合、システム全体が複雑になり、部品点数も多くなるという問題がある。また、特に車輌への応用で使われる、比較的運転温度の低い、PEM(Proton Exchange Membrane)型燃料電池の場合に、燃焼器、触媒燃焼器を用いると、これらの温度を高く保つ必要があるため、システム全体の効率の悪化が避けられない。また、水素貯蔵合金は、一般的に重量が大きく、車輌応用などでは効率上不利になる。
【0006】
また、特開平8−31436号公報においては、可燃性ガスが十分に低い濃度となるように換気流量を決めているが、燃料ガスの排気口が決まっている場合などには、パッケージ内での可燃性ガスの濃度に偏りが生じる。このため、その分、換気流量を大きくする必要が生じて、換気ファンの回転速度を大きく設定する必要があり、システム全体としての効率が悪化するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、システムの効率を維持しつつ、可燃性ガスの処理を行うことができる燃料電池プラントを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
燃料極に供給した燃料ガスと、酸化剤極に供給した酸化剤ガスと、を用いて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、を備える。また、前記燃料電池と、前記燃料ガス供給手段と、前記酸化剤ガス供給手段のうち少なくとも前記燃料電池を収納するパッケージ手段と、前記パッケージ手段の内部空間を換気する換気手段と、を備える。さらに、前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ手段内に放出するパージ手段を備え、前記パージ手段には、前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ内に分散する分散手段を備える。
【0009】
【作用及び効果】
パージ手段に、燃料電池の燃料極側からパージしたガスをパッケージ内に分散する分散手段を備える。これにより、パッケージ内でのパージされたガスの偏りが減少し、その分換気手段の出力を低下させて消費電力を低下させることができ、システム全体の効率を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池プラントの構成を、図1を用いて説明する。ここでは、車輌の駆動源として搭載される燃料電池システム1を備えた燃料電池プラントについて説明する。
【0011】
燃料電池システム1として、燃料電池スタック(以下、スタック)2と、これに燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置4と、を備える。燃料ガス供給手段3には、燃料ガス、例えば高圧水素の貯蔵手段である燃料タンク5を接続し、遮断弁5aを介して水素ガスの供給を受ける。燃料ガス供給装置3において、図示しない圧力調整弁等により設計された圧力まで減圧してから、水素ガスをスタック2に供給する。酸化剤ガス供給装置4は、例えば図示しないブロア等から構成され、コントローラ10からの要求出力に応じて、十分な量の酸素を含む空気をスタック2に供給する。
【0012】
さらに、燃料電池システム1には、燃料ガスの循環ライン40を備える。循環ライン40には循環ポンプ41を備え、これにより、スタック2の燃料極の出口から排出される残燃料をスタック2の燃料極の入口に再投入する。また、この循環ライン40には、空気極側から燃料極側に浸透してくる窒素等の濃度が上がってきた場合に、燃料ガスと窒素等の混合気を放出するためのパージ手段を備える。
【0013】
ここではパージ手段として、パージ弁42とパージガス分散配管43を備える。循環ライン40内の混合気をパージするか否かを選択するパージ弁42の出口側に、パージガス分散配管43を接続する。パージガス分散配管43としては、直線状の配管を用い、接続部43aにおいてパージ弁42の出口側と接続する。ここでは、パージ弁42の出口側との接続部43aを、パージガス分散配管43の軸方向中央部近傍に構成する。このように構成することで、パージ弁42を開いた際に放出される燃料ガスを含むパージガスは、パージガス分散配管43の両端から後述するパッケージ6内に分散、排出される。このように、パッケージ6内にパージガスが放出される部分、ここではパージガス分散配管43の両端をパージガス出口44とする。なお、接続部43aをパージガス分散配管43の軸方向中央部近傍とすることで、パージ手段内での圧損は、パージガス分散配管43の両端から排出されるパージガスで概略同じとすることができる。
【0014】
上述したような燃料電池システム1をパッケージ6に収納する。パッケージ6には、換気ファン7と外気排出口8を備える。換気ファン7と外気排出口8を、スタック2およびパージガス出口44を挟んで構成する。ここでは、換気ファン7と外気排出口8を、パッケージ6の対向する面に構成する。換気ファン7が回転することで、外気がパッケージ6内に導入される。パージ弁42から排出された燃料ガスを含むパージガスは、パージガス分散配管43を通過する際に分岐された上、換気ガスの流れ方向に垂直にパッケージ6内に放出される。パッケージ6内で、パージガスは換気ファン7により導入された換気ガスと混合・希釈され、パッケージ6内を通って外気排出口8から排出される。
【0015】
なお、ここでは、燃料タンク5をパッケージ6の外側に配置したが、配管等から燃料ガスが漏れ出る恐れがある場合等には、パッケージ6内に配置してもよい。また、レイアウト上の制約によっては、酸化剤ガスの供給系、例えば、酸化剤ガス供給装置4等をパッケージ6の外部に配置してもよい。さらに、燃料ガス供給装置3を含む燃料系からの燃料漏れの可能性がない場合等には、これをパッケージ6の外部に配置してもよい。
【0016】
さらにパッケージ6の外側には、スタック2とリレー20を介して電気的に接続する駆動モータ/インバータ30を備える。駆動モータ/インバータ30には、後述するコントローラ10からのトルク指令値に応じて駆動トルクを発生するように、リレー20を通して燃料電池システム1から電力が供給される。
【0017】
また、このような燃料電池システム1およびその周辺機器を制御するためのコントローラ10を備える。コントローラ10には、車輌状態検出手段11、運転操作検出手段12、目標出力算出手段13、モータ制御手段14、燃料電池システム制御手段15を備える。車輌状態検出手段11では、図示しない車速センサからのパルス信号と、図示しない基準タイマから車速を求める。運転操作検出手段12では、ドライバのアクセルペダル操作によるアクセルペダル開度信号を検出する。
【0018】
目標出力算出手段13には、車速とアクセルペダル開度から二次元マップを参照する等により目標駆動力を算出する駆動力算出部を備える。また、目標駆動力と、車輌質量、タイヤ半径、減速ギア比等のパラメータから目標とするモータトルクを算出するモータトルク指令値算出部を備える。つまり、目標出力算出手段13では、その時々の車速、アクセルペダル開度からモータトルク指令値を算出する。このモータトルク指令値をモータ制御手段14に伝え、モータ制御手段14では、この指令値通りにモータがトルクを発生するように駆動モータ/インバータ30を制御する。
【0019】
また、目標出力算出手段13において、燃料電池システム1への要求出力指令値を算出する。要求出力指令値は、例えば、モータトルク指令値を実現するために必要な駆動モータ/インバータ30での消費電力を、予め測定された駆動モータ/インバータ30での損失等を考慮して算出し、これに、車輌や燃料電池システム1で消費する補機電力を加算することにより算出する。算出された要求出力指令値は、燃料電池システム制御手段15に伝えられる。燃料電池システム制御手段15では、指令値通りの出力をスタック2から正常に取り出せるように、予め定められたロジックに従って、パージ弁42、燃料ガス供給装置3内に含まれるアクチュエータ、酸化剤ガス供給装置4に含まれるアクチュエータを制御する。
【0020】
例えば、運転中に、循環ライン40内の窒素濃度が上昇してくると、パージ弁42を開き、窒素ガスを含む燃料ガスを放出することで、燃料極における窒素濃度が所定の濃度以下に保たれるように制御する。例えば、循環ライン40に水素濃度センサ45を設置し、その濃度に応じてパージ弁42の開閉の制御を行う。または、予め実験を行い、運転時間に応じて開閉をタイマ制御してもよい。
【0021】
また、パッケージ6内には燃料濃度センサ9、ここでは水素濃度センサを備える。これによりパッケージ6内の水素濃度を監視し、パッケージ6内が所定の水素濃度以上とならないように燃料電池システム制御手段15において換気ファン7の制御してもよい。なお、パージ弁42の開閉のタイミングに応じて換気ファン7を制御してもよい。
【0022】
次に、上述したように燃料ガスのパージを行った場合のパッケージ6内のガス流れについて説明する。
【0023】
パージ手段としてパージガス分散配管43を用い、パージガスがパッケージ6内に排出されるパージガス出口44を二箇所(44a、44b)構成する。ここでは、パージガス出口44からは、換気ガスの流れ方向に対して略垂直方向にパージガスが放出される。このように構成することで、パージガス出口44から放出されたパージガスは、パッケージ6内における換気ガスの流れの断面について分散して放出されるので、パッケージ6内の燃料ガス濃度の偏りを抑制することができる。これにより、換気ガス流量においては、パッケージ6内の濃度勾配を考慮して流量を大きく設定する分を抑制することができる。その結果、無駄に換気ファン7の回転数を上げる必要がなくなり、効率のよい運転を行うことができる。
【0024】
なお、パージガス分散配管43の途中にパージガス排出用の複数の穴を設けてパージガス出口44をさらに多く形成してもよい。これにより、燃料ガスの分散効果をさらに高めることができる。
【0025】
また、ここではパージガス分散配管43を直線状に形成したがこの限りではない。例えば、図2に示すように、パージガス分散配管43をたこ足状に構成する。ここでは、パージ弁42の出口側で四つに分岐するようにパージガス分散配管43を構成する。このように、パージガスがパッケージ6内に排出されるパージガス出口44を多く構成することにより、燃料ガスの分散効果をさらに高めることができる。
【0026】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0027】
燃料極に供給した燃料ガスと、酸化剤極に供給した酸化剤ガスと、を用いて発電を行うスタック2と、スタック2に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置3と、スタック2に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置4を備える。また、スタック2と、燃料ガス供給装置3と、酸化剤ガス供給装置4のうち少なくともスタック2を収納するパッケージ6と、パッケージ6内の内部空間を換気する換気ファン7を備える。さらに、スタック2の燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に放出するパージ手段と、を備える。パージ手段は、スタック2の燃料極側からパージされたガスをパッケージ6内に分散する分散手段を有する。これにより、パッケージ6内に放出されたガスの偏りが減少するので、その分、換気ファン7の回転速度を低下させてファンによる消費電力を抑制することができ、システム全体の効率を向上することができる。よって、システムの効率を維持しつつ、可燃性ガスを排出することができる燃料電池プラントを提供することができる。
【0028】
また、分散手段として、パージされたガスをパッケージ6内に放出する複数のパージガス出口44を備える。ここでは、パージガス分散配管43を備えることにより複数のパージガス出口44を備える。これにより、パージされたガスをパッケージ6内に放出・分散することができるので、換気ファン7の回転速度を抑制して燃料電池システム1の効率を向上することができる。例えば、分岐した配管を用いることによりパージガス出口44を複数形成する。これにより、低コストでパージガスの偏りを抑制することができる。
【0029】
また、パッケージ6内の換気ガスの流れに対して垂直に、スタック2の燃料極側からパージされたパージガスを放出する。これにより、パッケージ6内で空間的に効果的にパージガス、ひいては燃料ガスを分散することができる。
【0030】
ここでは、接続部43aをパージガス分散配管43の軸方向中央部近傍に構成する。これにより、パージガスのパージ手段内での圧損を概略同じとし、パージガス出口44a、44bから排出されるパージガス流量を均一化する。このように、パージガスを換気ガスの流れに対して垂直方向にかつ同じ断面上に放出し、パージガス出口44a、44bから放出されるパージガス流量を概略同じとするので、換気ガス流れの断面についてさらに燃料ガス濃度を均一化することができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を図3に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0032】
ここでは、換気ファン7を二つ(7a、7b)備える。また、外気排出口8を二つ(8a、8b)備える。換気ファン7a、7bと外気排出口8a、8bを、スタック2およびパージガス出口44を間に挟んで構成する。
【0033】
また、パージガス分散配管43を、パッケージ6内の換気ガス流れの断面について略中央部近傍に配置する。このとき、例えば、レイアウト上の制約により、パージ弁42の出口が換気ガスの流れの断面について中央部近傍にない場合には、接続部43aを必ずしもパージガス分散配管43の中央部近傍とする必要はない。図3においては、接続部43aを、パージガス出口44b側に偏って形成する。これにより、パージガス出口44aと換気ファン7a、および、パージガス出口44bと換気ファン7bとの距離を概略同じとする。また、パージガス出口44aと外気排出口8aと、パージガス出口44bと外気排出口8bとの距離を概略同じとする。
【0034】
さらに、パージガス出口44a、44bからほぼ等しい量のパージガスが排出されるように、パージガス分散配管43の形状を設定する。例えば、環境ライン40内の圧力とパッケージ6内の圧力と、パージガス分散配管43の管径、パージ弁42からパージガス出口44a、44bまでの距離を考慮して、パージガス分散配管43の形状を設定する。ここでは、パージガス分散配管43の端部に相当するパージガス出口44a、44bの形状を設定する。例えば、パージガス出口44bの断面積をパージガス出口44aより小さく設計する。
【0035】
なお、図4に示すように、パージガス分散配管43内に圧力損失等価手段を備えても良い。ここでは、パージガス分散配管43の配管内面に環状の部材を設置することによりオリフィス46を構成する。これにより、パージガス分散配管43の形状のみでパージガス出口44aとパージガス出口44bから排出されるパージガスの圧力損失を等しく出来ない場合にも、パージガス出口44a、44bから排出されるパージガス流量を概略同じとすることができる。
【0036】
次に、パッケージ6内の換気ガスおよびパージガスの流れを、図5、図6を用いて説明する。なお、ここでは供給装置3、4、および、スタック2への水素ガス、燃料ガスの供給配管等は省略する。また、図6における点線で示された燃料ガス濃度の時間変化は比較例であり、図5において外気排出口8bから排出されるガスの燃料ガス濃度の時間変化に相当する。
【0037】
図5に、分散手段、ここでは複数のパージガス出口44を備えたパージガス分散配管43を用いない場合のガスの流れを示す。つまり、図5に示すように、パージ弁42の出口が、パッケージ6内にパージガスを放出するパージガス出口44となる。
【0038】
ここでは、レイアウト上等の制約により、図3と同様にパージ弁42の出口を偏って形成する場合を示す。これにより、パージガス出口44と換気ファン7aまでの距離と、換気ファン7bまでの距離、および、パージガス出口44と外気排出口8aまでの距離と、外気排出口8bまでの距離とが異なる。ここではパージガス出口44と換気ファン7bまでの距離、および、パージガス出口44と外気排出口8bまでの距離が比較的小さくなっている。
【0039】
これにより、パージ弁42の出口から排出された燃料ガスを含むパージガスは、換気ファン7bからパッケージ6内に吸入され、外気排出口8bから排出される換気ガスの流れの影響を大きく受ける。例えば、外気排出口8a、8bそれぞれの外側に水素濃度センサを配置した場合には、図5に示すように外気排出口8bの外側で検出される水素濃度のほうが、外気排出口8aの外側で検出される水素濃度より高くなる。つまり、パッケージ6内では、換気ファン7bおよび外気排出口8bが配置されている側が、換気ファン7aおよび外気排出口8aが配置されている側よりも燃料ガス濃度が高くなる。このように燃料ガス濃度に偏りがある場合には、高いほうの濃度が所定値以下となるように換気ガスの流量を設定する必要があり、これによりシステムの効率が低下する。
【0040】
これに対して、本実施形態では、図6に示すようにパージ弁42の出口にパージガス分散配管43を接続することにより、複数、ここでは二つのパージガス出口44a、44bを構成する。このとき、換気ファン7a、パージガス出口44a、外気排出口8a間の間隔と、換気ファン7b、パージガス出口44b、外気排出口8b間の間隔とが、ほぼ等しくなっている。よって、それぞれの換気ファン7a、7bから取り込んだ換気ガスによる影響がパージガス出口44a、44b近傍で同じ程度となる。また、上述したように、パージ弁42を介してパージガス出口44aから排出されるパージガスと、パージガス出口44bから排出されるパージガスとのパージガス分散配管43内を流通する際の圧損を、概略同じとしている。これにより、パージガス出口44a、44bから排出されるパージガス量は概略等しくなる。
【0041】
つまり、パージガス出口44a、44bから概略同量のパージガスが放出され、また、放出されたパージガスは略同程度の換気ガスの影響を受ける。これにより、換気ファン7aから外気排出口8aにかけての流れと、換気ファン7bから外気排出口8aにかけての流れにおける燃料ガス分布がほぼ同等となる。つまり、図6に示すように、外気排出口8a、8bの外側の水素濃度は、外気排出口8a側と外気排出口8b側とでほぼ等しくなる。このように、パージされた燃料ガスの濃度が平均化されるので、換気ガスの流量を同一とした際に、図5に示す構成に比較して、水素濃度の最大値を低減することができる。言い換えれば、換気流量を抑制しても、水素ガス濃度を規定値以下に保つことができる。よって、換気ファン7の回転速度を抑制することができるので、システム全体の効率を向上することができる。
【0042】
なお、図2に示すように、パージガス分散配管43をたこ足状に形成してもよい。このときには、各パージガス出口44から排出されるパージガスが同量となるように、パージガス分散配管43の形状を設計する。または、パッケージ6内の換気ガス流れの軸に対して、流れの断面方向に対称にパージガスが放出されるように、パージガス分散配管43の形状を設計する。
【0043】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0044】
パージ手段内での圧損を、それぞれのパージガス出口44から放出されるガスの間で略等しくする。これにより、パージガス出口44からのパージガスの放出されやすさをパージガス出口44間で等しくすることができる。このとき、パージガス出口44a、44bそれぞれの近傍に流れる換気ガスの状態を同等とする。ここでは、換気ガスの流れの軸に対して対称の位置にパージガス出口44a、44bを配置する。これにより、各パージガス出口44から放出されるパージガスの流量を概略同じとすることができ、より効果的に空間的に燃料ガスを分散することができる。
【0045】
次に、第3の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を、第2の実施形態と同様とする。以下、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0046】
パッケージ6内を流れるパージガスの状態を図7に示す。なお、燃料ガス供給装置3および酸化剤ガス供給装置4、燃料ガスと水素ガスの供給配管は、第2の実施形態と同様とし、図7においては省略する。なお、点線で示された燃料ガス濃度の時間変化は比較例であり、図5において外気排出口8bから排出されるガスの燃料ガス濃度の時間変化に相当する。
【0047】
パージガス分散配管43を換気ガスの流れの断面に対して角度を持って配置する。これにより、換気ファン7から外気排出口8に向かう換気ガスの流れ方向に対して、パージガス分散配管43の一方の端部であるパージガス出口44aを上流側に、もう一方の端部であるパージガス出口44bを下流側に配置する。
【0048】
このように形成することで、パージ弁42が開となり、パージガスが放出される際に、パージガス出口44bからパッケージ6内に放出された燃料ガスが先に外気排出口8bに到達し、その後で、パージガス出口44aから排出されたパージガスが外気排出口8aに到達する。つまり、パージガス中の燃料ガスが、換気ガスの流れの方向について分散して放出される。
【0049】
その結果、図7に示すように、外気排出口8bから排出される換気ガス中の燃料ガスは、第2実施形態のように換気ガスの流れについて同断面上にパージガス出口44a、44bを形成した時に比べて、速い段階で検出される。一方、外気排出口8aから排出される換気ガス中の燃料ガスは、換気ガスの流れの同断面上にパージガス出口44a、44bを形成した時に比べて、遅れて検出される。つまり、換気ガスの流れ方向に沿って分散してパージガス出口44を構成することで、燃料ガスを時間的にずらして放出した場合と同様に分散することができ、パッケージ6内の燃料ガス濃度勾配を抑制することができる。
【0050】
なお、この場合にも、パージ手段内での圧損を、パージガス出口44a、44bから放出されるパージガスの間で略同じとなるようにする。これにより、パージガス出口44a、44bから放出されるパージガス流量を均一化することができる。さらに、パージガス出口44a、44b近傍の換気ガスの流速が異なる場合には、パージガス出口44a、44b近傍の圧力差を考慮して、パージガス分散配管43を形成する。これにより、さらにパージガス出口44a、44bから放出されるパージガス流量を均一化して、パッケージ6内の燃料ガス濃度を均一化することができる。
【0051】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第2の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0052】
複数のパージガス出口44をパッケージ6内の換気ガスの流れ方向について分散して構成する。これにより、パッケージ6内で燃料ガスを換気ガスの流れ方向について分散して放出することができるので、パッケージ6内の燃料ガス濃度を均一化することができる。また、燃料ガス濃度の最大値を抑制することができる。これは、特にパージ弁42をPWM(Pulse Width Modulation)駆動する際に有効となる。
【0053】
また、パージ手段内での圧損を、それぞれのパージガス出口44a、44bから放出されるガスの間で略等しくする。これにより、パッケージ6内の換気ガスの流れ方向についての燃料ガスの濃度を、さらに均一化することができる。
【0054】
次に、第4の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を図8に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
循環ライン40から燃料ガスをパージするか否かを選択するパージ弁42をパージガス出口44と同数備える。ここでは、循環ライン40に入口側で接続するパージ弁42を二つ(42a、42b)備える。パージ弁42a、42bの出口側をパージガス出口44とし、ここからパッケージ6内にパージガスを放出する。例えば、パージ弁42a、42bのそれぞれのパージガス出口44を換気ガスの流れの中心に対して対称の位置に備える。または、換気ガスの流れの断面上で、十分な流れが存在し、かつ、離れた位置に備えてもよい。これにより、パージガスを、パッケージ6内で空間的に分散して放出することができる。
【0056】
このような構成の燃料電池システム1において、パージ弁42a、42bを時間差で開とする。ここでは、パージ弁42aが開の場合にはパージ弁42bを閉とし、パージ弁42aを閉としたらパージ弁42bを開とする。これにより、パージガスをパッケージ6内で時間的に分散して放出することができる。言い換えれば、パッケージ6内の換気ガスの流れ方向について、パージガスを分散して放出することができる。
【0057】
なお、パージ弁42a、42bの出口に、さらにパージガス分散配管43を備えても良い。または、図1においてパージガス分散配管43のパージガス出口44a、44bの近傍にパージ弁42a、42bをそれぞれ備えてもよい。
【0058】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0059】
パージガス出口44毎に、スタック2の燃料極からパージされたガスをパッケージ6内に放出するか否かを選択するパージ選択手段を備える。ここでは、パージ弁42を備える。このように空間的に分散して構成される各パージガス出口44にパージ弁42を備え、パージ弁42の開閉のタイミングを制御することで、パージガスを空間的・時間的に分散して放出することができる。これにより、パッケージ6内でパージガスをさらに分散して放出することができ、燃料ガス濃度を均一化することができるので、換気ファン7の回転速度を抑制することができ、システムの効率をさらに抑制することができる。
【0060】
次に、第5の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池プラントの概略を図9に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0061】
ここでは、パージ弁42の出口側をパージガス出口44とする。パージ手段として、パージ弁42と、パージガス出口44の換気ガスの流れ方向についての下流側に配置した分散手段と、を備える。ここでは、分散手段として板状のパージガス分散パネル48を備える。また、パージガスが換気ガスの流れに対向して放出されるようにパージガス出口44を構成し、パージガス出口44を囲むようにパージガス分散パネル48を構成する。言い換えれば、板状のパージガス分散パネル48の中央部近傍をパージ弁42の出口側が貫通するように構成する。
【0062】
このように構成することで、図10に示すように、パッケージ6内に放出された燃料ガスは、換気ガスの流れに乗ってパージガス分散パネル48により四方に分散され、効果的に拡散される。
【0063】
なお、ここでは、パージガス分散パネル48の中央部にパージガス出口44を配置したがこの限りではない。例えば、第2の実施形態と同様に、パージガス出口44がパッケージ6内の換気ガス流れの断面中央部近傍に位置しない場合には、燃料ガスが換気ガス流れの断面にパージガスが均等に分散されるように、パージガス分散パネル48の設置位置を設定する。
【0064】
例えば、図11に示すように、換気ファン7、外気排出口8を二つずつ備え、パージガス出口44を換気ファン7bおよび外気排出口8b側に偏って形成する場合を考える。このような場合には、パージガス分散パネル48により、燃料ガスが換気ファン7a、外気排出口8a側に拡散しやすいように構成する。その結果、図11に示すように、外気排出口8a、8bから排出されるガスの水素濃度を均一化することができる。
【0065】
また、パージガス分散パネル48として平板形状のものを用いているがこの限りではない。例えば、図12(a)に示すように、仕切り板48aを形成してもよい。仕切り板48aは、換気ガスの上流側を向く面に放射状に形成する。ここでは、パージガス出口44を中心とした放射状に形成する。仕切り板48aを設けることで、換気ガスおよびパージガスの流れの方向を制御することができるので、確実に拡散することができる。この他にも、パージガス分散パネル48に山谷の折り目を形成することによってもパージガスの流れの方向を制御することができる。または、図12(b)に示すように、パージガス分散パネル48に穴48bを形成してもよい。これにより、さらに効率的に燃料ガスを分散することができる。例えば、パージガス分散パネル48の面に均等に穴48bを形成することで、パージガス分散パネル48によって遮られる空間にも燃料ガスを分散することができる。その結果、広い範囲に燃料ガスを分散することができるので、パッケージ6内の燃料ガスの濃度勾配を低減することができる。また、パージガス分散パネル48をスポンジ状の材質で構成することによっても、パージガス分散パネル48の後流に燃料ガスを分散することができる。
【0066】
次に本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0067】
パッケージ6内の換気ガスの流れに対して、パージガス出口44の下流側に、分散手段を備える。ここではパージガス分散パネル48を備える。このように、パージガス出口44付近に、板状/スポンジ状の分散手段を、換気ガス流れについての下流側に設置する構成としたので、レイアウト上の制約から複数のパージガス出口44を設けることが出来ない場合にもパージガスを分散させることが可能となる。
【0068】
なお、ここでは換気ファン7から外気を取り込んで、外気排出口8から排出する構成としたがこの限りではない。例えば、外気排出口8の替わりに外気吸入口を供え、換気ファン7によりパッケージ6内のガスを外に押し出す構成としてもよい。
【0069】
また、パッケージ6の外側に図示しない燃焼器等の水素処理装置を備え、水素処理を行ってから車輌外部に換気ガスを排出する構成としてもよい。
【0070】
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いる燃料電池システムに関する別の例の構成図である。
【図3】第2の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図4】第2の実施形態に用いるパージガス分散配管の構成の例である。
【図5】従来におけるパッケージ内の燃料ガスの流れを示す図である。
【図6】第2の実施形態におけるパッケージ内の燃料ガスの流れを示す図である。
【図7】第3の実施形態におけるパッケージ内の燃料ガスの流れを示す図である。
【図8】第4の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図9】第5の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図10】第5の実施形態における燃料ガスの分散状態を示す図である。
【図11】第5の実施形態における燃料ガスの流れの例を示す図である。
【図12】第5の実施形態におけるパージガス分散パネルの形状の例を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池システム
2 燃料電池スタック
3 燃料ガス供給装置
4 酸化剤ガス供給装置
6 パッケージ
7 換気ファン(換気手段)
42 パージ弁
43 パージガス分散配管(分散手段)
44 パージガス出口
48 パージガス分散パネル(分散手段)
Claims (7)
- 燃料極に供給した燃料ガスと、酸化剤極に供給した酸化剤ガスと、を用いて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
前記燃料電池と、前記燃料ガス供給手段と、前記酸化剤ガス供給手段のうち少なくとも前記燃料電池を収納するパッケージ手段と、
前記パッケージ手段の内部空間を換気する換気手段と、
前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ手段内に放出するパージ手段と、を備え、
さらに、前記パージ手段には、前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ内に分散する分散手段を備えることを特徴とする燃料電池プラント。 - 前記分散手段として、パージされたガスを前記パッケージ内に放出する複数のパージガス出口を備える請求項1に記載の燃料電池プラント。
- 前記パッケージ手段内の換気ガスの流れに対して垂直に、前記燃料電池の燃料極側からパージされたガスを放出する請求項2に記載の燃料電池プラント。
- 複数の前記パージガス出口を前記パッケージ手段内の換気ガスの流れ方向について分散して構成する請求項2に記載の燃料電池プラント。
- 前記パージ手段内での圧損を、それぞれの前記パージガス出口から放出されるガスの間で略等しくする請求項2から4のいずれか一つに記載の燃料電池プラント。
- 前記パージガス出口毎に、前記燃料電池の燃料極側からパージしたガスを前記パッケージ手段内に放出するか否かを選択するパージ選択手段を備える請求項2に記載の燃料電池プラント。
- 前記パッケージ手段内の換気ガスの流れに対して、前記パージガス出口の下流側に、前記分散手段を備える請求項1に記載の燃料電池プラント。
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JP2012514301A (ja) * | 2008-12-30 | 2012-06-21 | フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング | 一部が爆発性のものである、燃料電池の使用済み作動媒体を排出する方法および装置 |
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2003
- 2003-05-30 JP JP2003154581A patent/JP2004356017A/ja active Pending
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US8722262B2 (en) | 2008-12-30 | 2014-05-13 | Fronius International Gmbh | Method and apparatus for discharging used operating media of a fuel cell some of which are explosive |
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