JP2004355934A - 発光ダイオード照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光ダイオードを光源として使用したときであっても、照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を提供すること。
【解決手段】複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュール11を光源とする平面状の発光部10と、この発光ダイオードモジュール11を平面状に複数格納する照明装置本体FBと、照明装置本体FBに収容されると共に各々の発光ダイオードモジュール11に対応して配設され、各々の発光部10からの放射光を制光する光学レンズモジュール12、及び発光部10と光学レンズモジュール12との離間距離を可変して光学レンズモジュール12を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構FRとを備えていることを特徴とする。
【選択図】図9
【解決手段】複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュール11を光源とする平面状の発光部10と、この発光ダイオードモジュール11を平面状に複数格納する照明装置本体FBと、照明装置本体FBに収容されると共に各々の発光ダイオードモジュール11に対応して配設され、各々の発光部10からの放射光を制光する光学レンズモジュール12、及び発光部10と光学レンズモジュール12との離間距離を可変して光学レンズモジュール12を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構FRとを備えていることを特徴とする。
【選択図】図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明装置に関し、特にスタジオなどに用いられる発光ダイオード照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の照明器具は、光源としてハロゲン電球や放電ランプなどが多用されているが、このような光源を発光ダイオードに代替された小形、軽量で信頼性の高い照明器具が実用され始めている。また、発光ダイオードを使用したものは、ハロゲン電球等を使用したものに比較して、発光効率が向上するため、屋外用途の携帯用の照明装置などにおいては、バッテリの消費を低減できる等の利点が期待されている。
【0003】
このようなものにあっては、所要の光出力を確保するために、多数の発光ダイオードを配列して発光部を形成するのが一般的である。この種の発光ダイオード照明装置の一態様として、照明器具の光源として用いる複数の発光ダイオードを一体的にまとめてLEDユニットを構成し、LEDユニットをLED電源供給部とレンズ体とに対して交換自在にすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の態様として、発光ダイオードチップといわれる発光ダイオード素子を共通する基板に多数配列して実装し、各発光ダイオード素子から放射される発光を全体として所望の配光特性になるように発光ダイオード素子の前方に共通のレンズ体を配設している照明器具も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−304904号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−304903号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のこの種の発光ダイオード照明装置は、被照射面の照度を高めるために狭指向性の配光特性を有することが多い。
【0007】
しかしながら、特に、テレビスタジオなどでスポットライトやフラッドライト又はハンディライトとして使用される照明器具は、所望の照明演出効果を得るために、狭指向性の配光に限らず、照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる照明装置が要求されているが、上記特許文献1及び2に記載のものは、これを満足するものではない。
【0008】
また、上記スポットライトやフラッドライト以外の他の照明器具においても、配光特性を可変できることが好ましい。
【0009】
本発明は、発光ダイオードを光源として使用したときであっても、照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の発光ダイオード照明装置は、複数の発光ダイオードを光源とする発光部と、この発光部の前面に配設され、複数の発光ダイオードからの放射光を制光する光学レンズ部、及び発光部と光学レンズ部との離間距離を可変して光学レンズ部を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明の発光ダイオード照明装置は、複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュールを光源とする平面状の発光部と、この発光ダイオードモジュールを平面状に複数格納する照明装置本体と、照明装置本体に収容されると共に各々の発光ダイオードモジュールに対応して配設され、各々の発光部からの放射光を制光する光学レンズモジュール、及び発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
上記発明の特徴的な構成要素について以下説明する。
【0013】
発光部は、発光ダイオードを光源として構成されている。また、発光部は、所望の光量を得るために、複数の発光ダイオードを用いる。しかし、本発明においては、発光ダイオードの数は複数であれば特段限定されない。
【0014】
発光ダイオードは、その発光色が要求される色度に応じて適宜選定することができる。発光ダイオード照明装置において、一般的には白色光を用いるように構成されるので、発光ダイオードの発光によって白色光が発生されるように構成する。しかし、所望によりいわゆる有色光で照明されるように構成されることを許容する。発光ダイオード単体で所要の発光色が得られないとき、または所望により、複数色の発光を加色混光して所望の発光色を得るように構成することができる。例えば、白色光を得るには、RGB3色の発光を行う3種類の発光ダイオードを用いて、これらを同時にまたは時分割的に点灯するように構成すればよい。
【0015】
なお、後者の場合、時分割点灯であっても、人の眼の残像効果により白色光として感じることができる。また、RGB3色に加えて補助的に他の発光色の発光ダイオードを加えて色度を所望に補正することができる。あるいは、単体で白色光を発光する発光ダイオードを用いることもできる。
【0016】
また、複数種の発光色の発光ダイオードを備えている場合に、発光色ごとに選択的に点灯することにより、多色の発光を切り換え可能に発生するように構成することもできる。
【0017】
さらに、発光ダイオードは、レンズ形、表面実装形、集積形など多様な形態のものを用いることができる。ここで、「レンズ形」とは、プラスチックスレンズの内部に発光ダイオードチップを内蔵し、背面からリードワイヤが延在する構成である。「表面実装形」とは、延在するリードワイヤに代えて表面実装用の端子が背面およびまたは側面に形成されている。「集積形」とは、複数の発光ダイオード素子(LEDチップ)が単一の基板に配列されて発光ダイオードモジュールを構成している。しかしながら、この集積形以外の発光ダイオードを基板に複数実装することにより平面状の発光部を形成し、請求項2記載の発明における発光ダイオードモジュールを構成させることも可能である。
【0018】
また、発光ダイオードは、発光ダイオードチップの状態で後述する基板に実装したものが最適であるが、要すればレンズ形のように透明性の合成樹脂でモールドした発光ダイオードなどであってもよい。また、発光ダイオードは、後述する光学レンズ部との位置合わせの容易性のために、基板に整列状態で実装されているのが望ましい。
【0019】
基板は、発光ダイオードを支持する機能を有していればよく、配線機能を備えていることは必ずしも必須ではない。例えば、板状の基板は、発光ダイオードの支持のみを行い、基板とは別に導線またはフレキシブル配線基板を用いて所要の配線を行うように構成することができる。この場合の一実施の形態として、発光ダイオードの挿入孔を有し、発光ダイオードを当該挿入孔に挿入して支持するようにした整列板を板状の基板として備えることも許容される。しかし、板状の基板として配線基板を用いることにより、発光ダイオードの支持と配線とを同時に行うことができるので、構造が簡単になるとともに、薄形化および軽量化を図るのに都合がよい。
【0020】
上記に加えて、配線基板が熱伝導性の優れた導電性物質、例えばアルミニウムまたは熱伝導性の優れた絶縁性物質、例えば窒化アルミニウムのような熱伝導性セラミックスなどを基体とする構成を備えていることにより、発光ダイオードの放熱が容易になる。また、導電性物質を基体とする配線基板の背面に放熱フィンなどの放熱手段を付加することにより、発光ダイオードの放熱を良好にすることができる。
【0021】
ところで、発光ダイオードおよびこれを実装する基板は、適当なサイズの発光ダイオードモジュールとして用意し、所要の発光面積を得るために、所要数の発光ダイオードモジュールを配列して、請求項2記載の発明における所望の発光面積を有する平面状の発光部を形成することができる。
【0022】
光学レンズ部又は光学レンズモジュールは、例えば凸状の集光プラスチックレンズを用いることができ、発光部からの放射光を透過させる際にその配光特性を調整して制光するものを言う。
【0023】
光学レンズモジュールは、発光ダイオードモジュールと同一の面積および輪郭形状を有しているのが好ましいが、要すれば発光ダイオードモジュールより大きいか、反対に小さい面積を有するモジュールに形成することができる。しかし、光学レンズ部は、発光部全体を覆う単一のものであってもよい。
【0024】
さらに、光学レンズモジュールは、それが発光ダイオードの前方に配設された状態で、その光学レンズモジュールと発光ダイオードとが1対1の関係に嵌合するように構成することができる。これにより、両者の位置を光学的に所定の関係に決めるのが容易になる。また、光学レンズモジュールを発光ダイオードモジュールと同一サイズに形成するとともに、両者を所定の位置において一体的に固定するための固定手段を光学レンズモジュールに配設することができる。
【0025】
配光可変機構とは、請求項1記載の発明においては、発光部と光学レンズ部、請求項2記載の発明においては、発光ダイオードモジュールと光学レンズモジュールとの離間距離を各々可変するものをいい、前者の具体的態様として例えば光学レンズ部を移動させて発光部からの相対的な離間距離を変化させるもの等を包含する。このとき、移動させる具体的な機構は種々適用できる。
【0026】
なお、各々の発明において特に規定していないが、以下の手段他を適宜付加して発光ダイオード照明装置を構成させることができる。
【0027】
(放熱手段について)発光ダイオードから発生する熱を速やかに移動させることにより、発光ダイオードの温度上昇を抑制して、発光ダイオードを所望の光量および色度で発光させることができるので、放熱手段を用いると効果的である。放熱手段としては、放熱フィン、ヒートパイプ、冷却ファン、水などの冷媒による冷却システムなどの一種または複数種を適宜組み合わせて用いることができる。放熱手段の中でも放熱フィンは、可動部がなく、しかも、格別の動力を要さないので、比較的安価であり、経済的な手段である。また、放熱フィンを照明装置本体の背面に配設することができる。
【0028】
(発光ダイオード駆動回路について)発光ダイオード駆動回路を照明装置本体に配設することができる。発光ダイオード駆動回路は、どのような構成のものでもよいが、例えば高周波インバータを用いて発光ダイオードをパルス点灯するように構成することにより、発光ダイオードを高効率で点灯するとともに、発光ダイオードを小形、軽量化することができる。
【0029】
(調光手段について)調光手段は、発光ダイオードを調光点灯させるための手段であり、発光ダイオード駆動回路に調光回路を付設したり、別体として配設したりすることができる。
【0030】
この調光手段を付与することにより、配光の可変に加えて、光量も可変させることができるため、多岐にわたる用途に適合させることができる。
【0031】
(カラーフィルタおよび光拡散フィルタについて)カラーフィルタは、照明の色温度を所望に変換する手段であり、光拡散フィルタは、発光ダイオードの発光を拡散させる手段であり、これらを発光ダイオード照明装置の発光部の前面に着脱可能に装着することができる。
【0032】
(バーンドアについて)バーンドアは、発光ダイオード照明装置の配光をより一層正確に、かつ、強制的に規制する手段であり、発光部の周囲に開閉自在に配設することができる。
【0033】
<本発明の作用について>上記各発明においては、上記の構成を具備していることにより、以下の作用を奏する。その結果、以下に掲げる効果を有する。
【0034】
すなわち、配光可変機構により、発光部と光学レンズ部又は光学レンズモジュールとの離間距離を変化させると、光学レンズ部又は光学レンズモジュールを透過した光の配光が変化する。具体的には、請求項1記載の発明にあっては、光学レンズ部を凸状の集光レンズで構成したとき、そのレンズ部と発光部との離間距離が大きくなると発光部から放射された光は収束され、また一方、離間距離が小さくなると、放射光は拡散される。同様に請求項2記載の発明においても、光学レンズモジュールを凸状の集光レンズの集合体で構成すれば、光学レンズモジュールと発光部との離間距離が大きくなる程、発光部から放射された光は収束され、他方小さくなる程、拡散される。
【0035】
したがって、本発明によれば、発光ダイオードを光源として使用したときであっても、光学レンズ部又は光学レンズモジュールの特性に応じて照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる。
【0036】
なお、本発明の発光ダイオード照明装置は、スタジオ用の照明装置、特にスポットライトやフラッドライトとして好適であるが、その他の用途における各種照明装置に適用することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0038】
図1ないし図7は、本発明の発光ダイオード照明装置における一実施の形態としてのスタジオ用のフラッドライトを示し、図1は正面図、図2は背面図、図3は平面図、図4は左側面図、図5は左側面断面図、図6は照明装置本体の異なる複数の姿勢制御状態を説明する右側面断面図、図7は発光部における配光制御を説明する発光部の要部拡大断面図である。
【0039】
本実施の形態における発光ダイオード照明装置は、照明装置本体FB、支持アームSAおよび器具配線部FWを具備している。
【0040】
照明装置本体FBは、発光部10、ハウジング20、放熱フィン30、発光ダイオード駆動回路40、枢支部50A、50Bおよび電源スイッチSWを備えて構成されている。発光部10は、図7に示すように、各々発光ダイオードモジュール11および光学レンズモジュール12を組み合わせてなる発光モジュール1の複数組を配列することにより構成されている。
【0041】
発光ダイオードモジュール11は、図5および図7に示すように、それぞれ配線基板11aおよび多数の発光ダイオード素子すなわちLEDチップ11bからなる。多数のLEDチップ11bは、例えばその9×9=81個が配線基板11aの上に所要に接続されて表面実装によりマトリックス状に整列配置されている。そして、本実施の形態においては、8個の発光ダイオードモジュール11が縦2段、横4列に整列して平面状に配置されている。
【0042】
複数の光学レンズモジュール12は、それぞれ発光ダイオードモジュール11に1対1の関係に対向して配設されている。また、光学レンズモジュール12は、LEDチップ11bに1対1の関係に対向する多数の光学レンズ部2が内面側に突出して形成され、外面がほぼ平坦面をなしている。そして、光学レンズ部2は、図7に示すように、突起部2aおよび凹部2bからなる。突起部2aは、各斜面が放物面形状に湾曲した切頭四角錐形状をなしている。凹部2bは、突起部3aの四角形をなす切頭頂部と相似の四角形をなしている。また、光学レンズモジュール12と発光ダイオードモジュール11が所定の位置に配置された状態において、LEDチップ11bの少なくとも一部が凹部2b内に嵌合するように関係付けられている。
【0043】
上記の構造を有する発光ダイオードモジュール11および光学レンズモジュール12は、1対1の関係に重ねられて、発光モジュール1を構成する。
【0044】
そして、発光ダイオードモジュール11は、アルミニウム基板22と共に、ハウジング20に植設されたビスにより、ハウジング20に固定されている。また、光学レンズモジュール12は、図8に示すように、コイルスプリングCSが巻装されハウジング20に植設されアルミニウム基板22を貫通するビスによってハウジング20に保持されている。
【0045】
そうして、発光部10において、LEDチップ11bから放射された光は、光軸方向に対して散乱の少ない一部が光学レンズモジュール12の凹部2bの内面に直接入射して、光学レンズモジュール12の外面からそのまま出射する。しかし、光軸に対して散乱方向に出射した光は、凹部2bの側面から突起部2a内に入射し、さらに進行して放物面形状をなす斜面において全反射して、光学レンズモジュール12の外面から外部へ集光されて出射する。その結果、照明装置本体FBとして所要の配光特性が付与される。
【0046】
ここで、光学レンズモジュール12の縁部には、図9に示すように発光ダイオードモジュール11方向に突出した台形状のスライド部S1が設けられ、またこの台形状のスライド部S1と摺りあうように対向する逆台形形状のスライド部S2が設けられた中間部材(図示しない)が、発光ダイオードモジュール11と光学レンズモジュール12の間に配設されており、この中間部材は、図9の紙面水平方向に遊動自在にされている。
【0047】
したがって、配光可変機構を構成する可動レバーFRの操作によって、中間部材のスライド部S2と、光学レンズモジュールに設けられたスライド部S1が摺動し、台形形状をなしているスライド部の高さ分に応じて、光学レンズモジュール12と発光ダイオードモジュール11の離間距離は可変する。
【0048】
ここで、図9(A)に示すように、光学レンズモジュール12と発光ダイオードモジュール11の離間距離が大きいときには、発光部10から放射された光は収束され、また図9(B)に示すように、離間距離が小さいときには、発光部10からの放射光は拡散される。
【0049】
したがって、光学レンズモジュール12の光学特性に応じて照射光は収束又は拡散されるため、照射光の斑を特に来たすことなく配光特性を可変できることになる。
【0050】
ハウジング20の一部を構成する額縁状の枠部21は、前面に発光部10が露出する開口21aを形成し、背面に後述する放熱フィン30が露出する開口21bを形成している。開口21aは、発光部10の全体が露出するように大きい。開口21bは、上下2段に形成されている。また、枠部21の背面側の額縁部21cには、内部に収納される後述する発光ダイオード駆動回路40などの放熱を容易にするため、スリット状の開口が多数形成され、また、前述の可動レバーFRを挿通させる開口が形成されている。
【0051】
さらに、枠部21における前面側の額縁部21dの図1において、上縁、下縁および右縁の部分、換言すれば左縁を除いて、ガイドレール部21eが前方へ突出して一体に形成されている。このガイドレール部21eは、発光部10の前面に拡散フィルタや色フィルタを装着する場合に、それらのスライド溝として作用する。なお、枠部21の左縁部分を取り外した状態で、アルミニウム基板22、発光モジュール1を左側からスライドさせて枠部21に組み付けることができる。
【0052】
アルミニウム基板22により、前後2室に仕切られた空間のうち、前方に形成される第1の室は、発光部10が装着された際に、発光部10の前面が前面側の額縁状の枠部21dとほぼ面一になるように浅くなっている。また、アルミニウム基板22の後方に形成される第2の室は、後述する放熱フィン30および発光ダイオード駆動回路40を収納できるように深くなっている。
【0053】
放熱フィン30は、図5に示すように、アルミニウム基板22に導熱的にビス(図示しない。)によりアルミニウム基板22側から固定されて、フィンの一部が額縁状の枠部21の背面側に形成された開口21bから外部へ突出している。したがって、放熱フィン30は、アルミニウム基板22、発光ダイオードモジュール11の配線基板1を介してLEDチップ2すなわち発光ダイオード素子と熱導関係に接続していて、発光ダイオード素子の発光に伴って発生する熱を外部へ放散させるように作用する。
【0054】
発光ダイオード駆動回路40は、発光ダイオードモジュール11を駆動して発光ダイオードを点灯させる回路であり、図5に示すように、発光ダイオードモジュール11を発光部10における上下2段のそれぞれ4個に分けて駆動するように2分割されている。そして、枠部21の背面側に位置する額縁部21cの内部に収納されている。
【0055】
枢支部50A、50Bは、照明装置本体FBを支持アームSAに回動可能に支持させるための部分であり、照明装置本体FBの両側面の図1において、上端から約1/3の位置に形成されている。そして、図1において、左側の枢支部50Aは、ナット部51およびボルト部52からなる。右側の枢支部50Bは、ナット部53、フリクション係合部54および調節摘み55からなる。
【0056】
左側の枢支部50Aは、そのナット部51が額縁状の枠部21の左側において、その枢支位置に溶接などにより固着されている。そして、ボルト部52がナット部51にねじ込まれる。なお、後述する支持アームSAは、ボルト部52の首部に回動自在に係合する。
【0057】
右側の枢支部50Bは、そのナット部53が額縁状の枠部21の右側において、その枢支位置に溶接などにより固着されている。フリクション係合部54は、一対のフリクションディスク54a、54bからなる。一方のフリクションディスク54aは、ナット部53に予め回転不能に一体化されている。他方のフリクションディスク54bは、後述する支持アームSAに一体的に取り付けられている。調節摘み55は、ねじ部を備えていて、後述する支持アームSAを回動自在に支持し、かつ、他方のフリクションディスク54bが一方のフリクションディスク54aに当接するようにして、そのねじ部をナット部53にねじ込んでいる。
【0058】
そうして、照明装置本体FUは、図1において、枢支部50A、50Bから上の部分を便宜上偏心部側、下の部分を非偏心部側という。
【0059】
支持アームSAは、一対の支持部61、61、横桁部62および取付部63を備え、全体として逆U字状をなしている。一対の支持部61、61は、支持アームSAのU字状の両脚部である。図1において、左側の支持部61には、枢支部50Aのボルト部52に挿通される透孔が先端部に形成されている。また、右側の支持部61には、枢支部50Bの調節摘み55のねじ部が挿通する透孔が先端部に形成されているとともに、他方のフリクションディスク54bが上記透孔と同軸に固着されている。
【0060】
横桁部62は、一対の支持部61、61の基端部間を橋絡するように帯金を湾曲して支持部61、61と一体に形成されている。
【0061】
取付部63は、必要に応じて照明装置本体FBをバトンなどの固定部(図示しない。)に取り付ける手段であり、横桁部62の中央部に配設されている。また、取付部63は、軸部63aおよび一対の舌辺63bからなる。軸部63aは、図4に示すように、下部にボルト部が形成されていて、支持アームSAの横桁部62に形成した透孔に上からボルト部を挿通してナット63cにより固着している。そして、バトンなどに対して水平面内で回動を許容するように照明装置本体FBを取り付ける場合に用いられる。これに対して、一対の舌辺63bは、透孔が形成されていて、しかも、支持アームSAの横桁部62の両側から約45°の方向へ延在していて、軸部63aと一緒に横桁部62に固着されていて、照明装置本体FBの落下防止用ワイヤを掛け止める際に用いる。
【0062】
以上により、照明装置は、支持アームSAに対して照明装置本体FBを、その枢支部50A、50Bを中心として回動させることにより、照明装置本体FBの姿勢を縁直面内において、所望に変更することができる。すなわち、図6に示すように、支持アームSAに対して照明装置本体FBを矢印方向に回動させて、実線の位置にあるときには、照明装置本体FBにより被照明空間を水平方向から照明することができる。また、1点鎖線で示すように回動して、照明装置本体FBの発光部10が下向き位置にあるときには、照明装置本体FBにより被照明空間を上方から直下に向けて照明することができる。さらに、2点鎖線で示すように回動して、照明装置本体FBが偏心側を下にして斜め下向き位置にあるときには、照明装置本体FBにより被照明空間を斜め上方から斜め下方に向けて照明することができる。
【0063】
上記後者の2つの照明態様のいずれにおいても、照明装置本体FBが支持アームの取付部から下方へ垂下する部分が僅かになるので、天井側の懐に余裕がない場合であっても、発光ダイオード照明装置が邪魔にならない。
【0064】
器具配線部FWは、照明装置本体FBに駆動電力を供給するための電源ケーブルなどを主体として構成され、図2および図4に示すように、照明装置本体FBの上部背面部すなわち偏心部側から導出され、支持アームSAの取付部63の側へ延在して、電源に接続する。また、器具配線部FWは、先端にコネクタ(図示しない。)が装着されている。
【0065】
電源スイッチSWは、照明装置本体FBの背面に配設され、かつ、器具配線部FWと発光ダイオード駆動回路40との間に接続されている。
以上説明した本実施の形態における発光ダイオード照明装置によれば、発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構を備えているため、光学レンズモジュールの光学特性に応じて配光特性を可変することができる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、複数の発光ダイオードを光源とする発光部と、この発光部の前面に配設され、複数の発光ダイオードからの放射光を制光する光学レンズ部と、発光部と光学レンズ部との離間距離を可変して光学レンズ部を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えているため、光学レンズ部の特性に応じて照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を実現することができる。
【0067】
請求項2記載の発明によれば、複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュールを光源とする平面状の発光部と、この発光ダイオードモジュールを平面状に複数格納する照明装置本体と、照明装置本体に収容されると共に各々の発光ダイオードモジュールに対応して配設され、各々の発光部からの放射光を制光する光学レンズモジュールと、発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えているため、光学レンズモジュールの特性に応じて照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光ダイオード照明装置における一実施の形態としてのスタジオ用のフラッドライトを示す正面図
【図2】同じく背面図
【図3】同じく平面図
【図4】同じく左側面図
【図5】同じく左側面断面図
【図6】同じく照明装置本体の異なる複数の姿勢制御状態を説明する右側面断面図
【図7】同じく発光部における配光制御を説明する発光部の要部拡大断面図
【図8】同じく配光可変機構を説明する概略図
【図9】同じく配光可変機構による配光状態の変化を示す概略図
【符号の説明】
1…発光モジュール、2…光学レンズ部、10…発光部、11…発光ダイオードモジュール、12…光学レンズモジュール、20…ハウジング、21…枠部、50A…枢支部、50B…枢支部、55…調節摘み、61…支持部、62…横桁部、63…取付部、FB…照明装置本体、FW…器具配線部、SA…支持アーム、FR…可動レバー(配光可変機構)
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明装置に関し、特にスタジオなどに用いられる発光ダイオード照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の照明器具は、光源としてハロゲン電球や放電ランプなどが多用されているが、このような光源を発光ダイオードに代替された小形、軽量で信頼性の高い照明器具が実用され始めている。また、発光ダイオードを使用したものは、ハロゲン電球等を使用したものに比較して、発光効率が向上するため、屋外用途の携帯用の照明装置などにおいては、バッテリの消費を低減できる等の利点が期待されている。
【0003】
このようなものにあっては、所要の光出力を確保するために、多数の発光ダイオードを配列して発光部を形成するのが一般的である。この種の発光ダイオード照明装置の一態様として、照明器具の光源として用いる複数の発光ダイオードを一体的にまとめてLEDユニットを構成し、LEDユニットをLED電源供給部とレンズ体とに対して交換自在にすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の態様として、発光ダイオードチップといわれる発光ダイオード素子を共通する基板に多数配列して実装し、各発光ダイオード素子から放射される発光を全体として所望の配光特性になるように発光ダイオード素子の前方に共通のレンズ体を配設している照明器具も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−304904号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−304903号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のこの種の発光ダイオード照明装置は、被照射面の照度を高めるために狭指向性の配光特性を有することが多い。
【0007】
しかしながら、特に、テレビスタジオなどでスポットライトやフラッドライト又はハンディライトとして使用される照明器具は、所望の照明演出効果を得るために、狭指向性の配光に限らず、照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる照明装置が要求されているが、上記特許文献1及び2に記載のものは、これを満足するものではない。
【0008】
また、上記スポットライトやフラッドライト以外の他の照明器具においても、配光特性を可変できることが好ましい。
【0009】
本発明は、発光ダイオードを光源として使用したときであっても、照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の発光ダイオード照明装置は、複数の発光ダイオードを光源とする発光部と、この発光部の前面に配設され、複数の発光ダイオードからの放射光を制光する光学レンズ部、及び発光部と光学レンズ部との離間距離を可変して光学レンズ部を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明の発光ダイオード照明装置は、複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュールを光源とする平面状の発光部と、この発光ダイオードモジュールを平面状に複数格納する照明装置本体と、照明装置本体に収容されると共に各々の発光ダイオードモジュールに対応して配設され、各々の発光部からの放射光を制光する光学レンズモジュール、及び発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
上記発明の特徴的な構成要素について以下説明する。
【0013】
発光部は、発光ダイオードを光源として構成されている。また、発光部は、所望の光量を得るために、複数の発光ダイオードを用いる。しかし、本発明においては、発光ダイオードの数は複数であれば特段限定されない。
【0014】
発光ダイオードは、その発光色が要求される色度に応じて適宜選定することができる。発光ダイオード照明装置において、一般的には白色光を用いるように構成されるので、発光ダイオードの発光によって白色光が発生されるように構成する。しかし、所望によりいわゆる有色光で照明されるように構成されることを許容する。発光ダイオード単体で所要の発光色が得られないとき、または所望により、複数色の発光を加色混光して所望の発光色を得るように構成することができる。例えば、白色光を得るには、RGB3色の発光を行う3種類の発光ダイオードを用いて、これらを同時にまたは時分割的に点灯するように構成すればよい。
【0015】
なお、後者の場合、時分割点灯であっても、人の眼の残像効果により白色光として感じることができる。また、RGB3色に加えて補助的に他の発光色の発光ダイオードを加えて色度を所望に補正することができる。あるいは、単体で白色光を発光する発光ダイオードを用いることもできる。
【0016】
また、複数種の発光色の発光ダイオードを備えている場合に、発光色ごとに選択的に点灯することにより、多色の発光を切り換え可能に発生するように構成することもできる。
【0017】
さらに、発光ダイオードは、レンズ形、表面実装形、集積形など多様な形態のものを用いることができる。ここで、「レンズ形」とは、プラスチックスレンズの内部に発光ダイオードチップを内蔵し、背面からリードワイヤが延在する構成である。「表面実装形」とは、延在するリードワイヤに代えて表面実装用の端子が背面およびまたは側面に形成されている。「集積形」とは、複数の発光ダイオード素子(LEDチップ)が単一の基板に配列されて発光ダイオードモジュールを構成している。しかしながら、この集積形以外の発光ダイオードを基板に複数実装することにより平面状の発光部を形成し、請求項2記載の発明における発光ダイオードモジュールを構成させることも可能である。
【0018】
また、発光ダイオードは、発光ダイオードチップの状態で後述する基板に実装したものが最適であるが、要すればレンズ形のように透明性の合成樹脂でモールドした発光ダイオードなどであってもよい。また、発光ダイオードは、後述する光学レンズ部との位置合わせの容易性のために、基板に整列状態で実装されているのが望ましい。
【0019】
基板は、発光ダイオードを支持する機能を有していればよく、配線機能を備えていることは必ずしも必須ではない。例えば、板状の基板は、発光ダイオードの支持のみを行い、基板とは別に導線またはフレキシブル配線基板を用いて所要の配線を行うように構成することができる。この場合の一実施の形態として、発光ダイオードの挿入孔を有し、発光ダイオードを当該挿入孔に挿入して支持するようにした整列板を板状の基板として備えることも許容される。しかし、板状の基板として配線基板を用いることにより、発光ダイオードの支持と配線とを同時に行うことができるので、構造が簡単になるとともに、薄形化および軽量化を図るのに都合がよい。
【0020】
上記に加えて、配線基板が熱伝導性の優れた導電性物質、例えばアルミニウムまたは熱伝導性の優れた絶縁性物質、例えば窒化アルミニウムのような熱伝導性セラミックスなどを基体とする構成を備えていることにより、発光ダイオードの放熱が容易になる。また、導電性物質を基体とする配線基板の背面に放熱フィンなどの放熱手段を付加することにより、発光ダイオードの放熱を良好にすることができる。
【0021】
ところで、発光ダイオードおよびこれを実装する基板は、適当なサイズの発光ダイオードモジュールとして用意し、所要の発光面積を得るために、所要数の発光ダイオードモジュールを配列して、請求項2記載の発明における所望の発光面積を有する平面状の発光部を形成することができる。
【0022】
光学レンズ部又は光学レンズモジュールは、例えば凸状の集光プラスチックレンズを用いることができ、発光部からの放射光を透過させる際にその配光特性を調整して制光するものを言う。
【0023】
光学レンズモジュールは、発光ダイオードモジュールと同一の面積および輪郭形状を有しているのが好ましいが、要すれば発光ダイオードモジュールより大きいか、反対に小さい面積を有するモジュールに形成することができる。しかし、光学レンズ部は、発光部全体を覆う単一のものであってもよい。
【0024】
さらに、光学レンズモジュールは、それが発光ダイオードの前方に配設された状態で、その光学レンズモジュールと発光ダイオードとが1対1の関係に嵌合するように構成することができる。これにより、両者の位置を光学的に所定の関係に決めるのが容易になる。また、光学レンズモジュールを発光ダイオードモジュールと同一サイズに形成するとともに、両者を所定の位置において一体的に固定するための固定手段を光学レンズモジュールに配設することができる。
【0025】
配光可変機構とは、請求項1記載の発明においては、発光部と光学レンズ部、請求項2記載の発明においては、発光ダイオードモジュールと光学レンズモジュールとの離間距離を各々可変するものをいい、前者の具体的態様として例えば光学レンズ部を移動させて発光部からの相対的な離間距離を変化させるもの等を包含する。このとき、移動させる具体的な機構は種々適用できる。
【0026】
なお、各々の発明において特に規定していないが、以下の手段他を適宜付加して発光ダイオード照明装置を構成させることができる。
【0027】
(放熱手段について)発光ダイオードから発生する熱を速やかに移動させることにより、発光ダイオードの温度上昇を抑制して、発光ダイオードを所望の光量および色度で発光させることができるので、放熱手段を用いると効果的である。放熱手段としては、放熱フィン、ヒートパイプ、冷却ファン、水などの冷媒による冷却システムなどの一種または複数種を適宜組み合わせて用いることができる。放熱手段の中でも放熱フィンは、可動部がなく、しかも、格別の動力を要さないので、比較的安価であり、経済的な手段である。また、放熱フィンを照明装置本体の背面に配設することができる。
【0028】
(発光ダイオード駆動回路について)発光ダイオード駆動回路を照明装置本体に配設することができる。発光ダイオード駆動回路は、どのような構成のものでもよいが、例えば高周波インバータを用いて発光ダイオードをパルス点灯するように構成することにより、発光ダイオードを高効率で点灯するとともに、発光ダイオードを小形、軽量化することができる。
【0029】
(調光手段について)調光手段は、発光ダイオードを調光点灯させるための手段であり、発光ダイオード駆動回路に調光回路を付設したり、別体として配設したりすることができる。
【0030】
この調光手段を付与することにより、配光の可変に加えて、光量も可変させることができるため、多岐にわたる用途に適合させることができる。
【0031】
(カラーフィルタおよび光拡散フィルタについて)カラーフィルタは、照明の色温度を所望に変換する手段であり、光拡散フィルタは、発光ダイオードの発光を拡散させる手段であり、これらを発光ダイオード照明装置の発光部の前面に着脱可能に装着することができる。
【0032】
(バーンドアについて)バーンドアは、発光ダイオード照明装置の配光をより一層正確に、かつ、強制的に規制する手段であり、発光部の周囲に開閉自在に配設することができる。
【0033】
<本発明の作用について>上記各発明においては、上記の構成を具備していることにより、以下の作用を奏する。その結果、以下に掲げる効果を有する。
【0034】
すなわち、配光可変機構により、発光部と光学レンズ部又は光学レンズモジュールとの離間距離を変化させると、光学レンズ部又は光学レンズモジュールを透過した光の配光が変化する。具体的には、請求項1記載の発明にあっては、光学レンズ部を凸状の集光レンズで構成したとき、そのレンズ部と発光部との離間距離が大きくなると発光部から放射された光は収束され、また一方、離間距離が小さくなると、放射光は拡散される。同様に請求項2記載の発明においても、光学レンズモジュールを凸状の集光レンズの集合体で構成すれば、光学レンズモジュールと発光部との離間距離が大きくなる程、発光部から放射された光は収束され、他方小さくなる程、拡散される。
【0035】
したがって、本発明によれば、発光ダイオードを光源として使用したときであっても、光学レンズ部又は光学レンズモジュールの特性に応じて照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる。
【0036】
なお、本発明の発光ダイオード照明装置は、スタジオ用の照明装置、特にスポットライトやフラッドライトとして好適であるが、その他の用途における各種照明装置に適用することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0038】
図1ないし図7は、本発明の発光ダイオード照明装置における一実施の形態としてのスタジオ用のフラッドライトを示し、図1は正面図、図2は背面図、図3は平面図、図4は左側面図、図5は左側面断面図、図6は照明装置本体の異なる複数の姿勢制御状態を説明する右側面断面図、図7は発光部における配光制御を説明する発光部の要部拡大断面図である。
【0039】
本実施の形態における発光ダイオード照明装置は、照明装置本体FB、支持アームSAおよび器具配線部FWを具備している。
【0040】
照明装置本体FBは、発光部10、ハウジング20、放熱フィン30、発光ダイオード駆動回路40、枢支部50A、50Bおよび電源スイッチSWを備えて構成されている。発光部10は、図7に示すように、各々発光ダイオードモジュール11および光学レンズモジュール12を組み合わせてなる発光モジュール1の複数組を配列することにより構成されている。
【0041】
発光ダイオードモジュール11は、図5および図7に示すように、それぞれ配線基板11aおよび多数の発光ダイオード素子すなわちLEDチップ11bからなる。多数のLEDチップ11bは、例えばその9×9=81個が配線基板11aの上に所要に接続されて表面実装によりマトリックス状に整列配置されている。そして、本実施の形態においては、8個の発光ダイオードモジュール11が縦2段、横4列に整列して平面状に配置されている。
【0042】
複数の光学レンズモジュール12は、それぞれ発光ダイオードモジュール11に1対1の関係に対向して配設されている。また、光学レンズモジュール12は、LEDチップ11bに1対1の関係に対向する多数の光学レンズ部2が内面側に突出して形成され、外面がほぼ平坦面をなしている。そして、光学レンズ部2は、図7に示すように、突起部2aおよび凹部2bからなる。突起部2aは、各斜面が放物面形状に湾曲した切頭四角錐形状をなしている。凹部2bは、突起部3aの四角形をなす切頭頂部と相似の四角形をなしている。また、光学レンズモジュール12と発光ダイオードモジュール11が所定の位置に配置された状態において、LEDチップ11bの少なくとも一部が凹部2b内に嵌合するように関係付けられている。
【0043】
上記の構造を有する発光ダイオードモジュール11および光学レンズモジュール12は、1対1の関係に重ねられて、発光モジュール1を構成する。
【0044】
そして、発光ダイオードモジュール11は、アルミニウム基板22と共に、ハウジング20に植設されたビスにより、ハウジング20に固定されている。また、光学レンズモジュール12は、図8に示すように、コイルスプリングCSが巻装されハウジング20に植設されアルミニウム基板22を貫通するビスによってハウジング20に保持されている。
【0045】
そうして、発光部10において、LEDチップ11bから放射された光は、光軸方向に対して散乱の少ない一部が光学レンズモジュール12の凹部2bの内面に直接入射して、光学レンズモジュール12の外面からそのまま出射する。しかし、光軸に対して散乱方向に出射した光は、凹部2bの側面から突起部2a内に入射し、さらに進行して放物面形状をなす斜面において全反射して、光学レンズモジュール12の外面から外部へ集光されて出射する。その結果、照明装置本体FBとして所要の配光特性が付与される。
【0046】
ここで、光学レンズモジュール12の縁部には、図9に示すように発光ダイオードモジュール11方向に突出した台形状のスライド部S1が設けられ、またこの台形状のスライド部S1と摺りあうように対向する逆台形形状のスライド部S2が設けられた中間部材(図示しない)が、発光ダイオードモジュール11と光学レンズモジュール12の間に配設されており、この中間部材は、図9の紙面水平方向に遊動自在にされている。
【0047】
したがって、配光可変機構を構成する可動レバーFRの操作によって、中間部材のスライド部S2と、光学レンズモジュールに設けられたスライド部S1が摺動し、台形形状をなしているスライド部の高さ分に応じて、光学レンズモジュール12と発光ダイオードモジュール11の離間距離は可変する。
【0048】
ここで、図9(A)に示すように、光学レンズモジュール12と発光ダイオードモジュール11の離間距離が大きいときには、発光部10から放射された光は収束され、また図9(B)に示すように、離間距離が小さいときには、発光部10からの放射光は拡散される。
【0049】
したがって、光学レンズモジュール12の光学特性に応じて照射光は収束又は拡散されるため、照射光の斑を特に来たすことなく配光特性を可変できることになる。
【0050】
ハウジング20の一部を構成する額縁状の枠部21は、前面に発光部10が露出する開口21aを形成し、背面に後述する放熱フィン30が露出する開口21bを形成している。開口21aは、発光部10の全体が露出するように大きい。開口21bは、上下2段に形成されている。また、枠部21の背面側の額縁部21cには、内部に収納される後述する発光ダイオード駆動回路40などの放熱を容易にするため、スリット状の開口が多数形成され、また、前述の可動レバーFRを挿通させる開口が形成されている。
【0051】
さらに、枠部21における前面側の額縁部21dの図1において、上縁、下縁および右縁の部分、換言すれば左縁を除いて、ガイドレール部21eが前方へ突出して一体に形成されている。このガイドレール部21eは、発光部10の前面に拡散フィルタや色フィルタを装着する場合に、それらのスライド溝として作用する。なお、枠部21の左縁部分を取り外した状態で、アルミニウム基板22、発光モジュール1を左側からスライドさせて枠部21に組み付けることができる。
【0052】
アルミニウム基板22により、前後2室に仕切られた空間のうち、前方に形成される第1の室は、発光部10が装着された際に、発光部10の前面が前面側の額縁状の枠部21dとほぼ面一になるように浅くなっている。また、アルミニウム基板22の後方に形成される第2の室は、後述する放熱フィン30および発光ダイオード駆動回路40を収納できるように深くなっている。
【0053】
放熱フィン30は、図5に示すように、アルミニウム基板22に導熱的にビス(図示しない。)によりアルミニウム基板22側から固定されて、フィンの一部が額縁状の枠部21の背面側に形成された開口21bから外部へ突出している。したがって、放熱フィン30は、アルミニウム基板22、発光ダイオードモジュール11の配線基板1を介してLEDチップ2すなわち発光ダイオード素子と熱導関係に接続していて、発光ダイオード素子の発光に伴って発生する熱を外部へ放散させるように作用する。
【0054】
発光ダイオード駆動回路40は、発光ダイオードモジュール11を駆動して発光ダイオードを点灯させる回路であり、図5に示すように、発光ダイオードモジュール11を発光部10における上下2段のそれぞれ4個に分けて駆動するように2分割されている。そして、枠部21の背面側に位置する額縁部21cの内部に収納されている。
【0055】
枢支部50A、50Bは、照明装置本体FBを支持アームSAに回動可能に支持させるための部分であり、照明装置本体FBの両側面の図1において、上端から約1/3の位置に形成されている。そして、図1において、左側の枢支部50Aは、ナット部51およびボルト部52からなる。右側の枢支部50Bは、ナット部53、フリクション係合部54および調節摘み55からなる。
【0056】
左側の枢支部50Aは、そのナット部51が額縁状の枠部21の左側において、その枢支位置に溶接などにより固着されている。そして、ボルト部52がナット部51にねじ込まれる。なお、後述する支持アームSAは、ボルト部52の首部に回動自在に係合する。
【0057】
右側の枢支部50Bは、そのナット部53が額縁状の枠部21の右側において、その枢支位置に溶接などにより固着されている。フリクション係合部54は、一対のフリクションディスク54a、54bからなる。一方のフリクションディスク54aは、ナット部53に予め回転不能に一体化されている。他方のフリクションディスク54bは、後述する支持アームSAに一体的に取り付けられている。調節摘み55は、ねじ部を備えていて、後述する支持アームSAを回動自在に支持し、かつ、他方のフリクションディスク54bが一方のフリクションディスク54aに当接するようにして、そのねじ部をナット部53にねじ込んでいる。
【0058】
そうして、照明装置本体FUは、図1において、枢支部50A、50Bから上の部分を便宜上偏心部側、下の部分を非偏心部側という。
【0059】
支持アームSAは、一対の支持部61、61、横桁部62および取付部63を備え、全体として逆U字状をなしている。一対の支持部61、61は、支持アームSAのU字状の両脚部である。図1において、左側の支持部61には、枢支部50Aのボルト部52に挿通される透孔が先端部に形成されている。また、右側の支持部61には、枢支部50Bの調節摘み55のねじ部が挿通する透孔が先端部に形成されているとともに、他方のフリクションディスク54bが上記透孔と同軸に固着されている。
【0060】
横桁部62は、一対の支持部61、61の基端部間を橋絡するように帯金を湾曲して支持部61、61と一体に形成されている。
【0061】
取付部63は、必要に応じて照明装置本体FBをバトンなどの固定部(図示しない。)に取り付ける手段であり、横桁部62の中央部に配設されている。また、取付部63は、軸部63aおよび一対の舌辺63bからなる。軸部63aは、図4に示すように、下部にボルト部が形成されていて、支持アームSAの横桁部62に形成した透孔に上からボルト部を挿通してナット63cにより固着している。そして、バトンなどに対して水平面内で回動を許容するように照明装置本体FBを取り付ける場合に用いられる。これに対して、一対の舌辺63bは、透孔が形成されていて、しかも、支持アームSAの横桁部62の両側から約45°の方向へ延在していて、軸部63aと一緒に横桁部62に固着されていて、照明装置本体FBの落下防止用ワイヤを掛け止める際に用いる。
【0062】
以上により、照明装置は、支持アームSAに対して照明装置本体FBを、その枢支部50A、50Bを中心として回動させることにより、照明装置本体FBの姿勢を縁直面内において、所望に変更することができる。すなわち、図6に示すように、支持アームSAに対して照明装置本体FBを矢印方向に回動させて、実線の位置にあるときには、照明装置本体FBにより被照明空間を水平方向から照明することができる。また、1点鎖線で示すように回動して、照明装置本体FBの発光部10が下向き位置にあるときには、照明装置本体FBにより被照明空間を上方から直下に向けて照明することができる。さらに、2点鎖線で示すように回動して、照明装置本体FBが偏心側を下にして斜め下向き位置にあるときには、照明装置本体FBにより被照明空間を斜め上方から斜め下方に向けて照明することができる。
【0063】
上記後者の2つの照明態様のいずれにおいても、照明装置本体FBが支持アームの取付部から下方へ垂下する部分が僅かになるので、天井側の懐に余裕がない場合であっても、発光ダイオード照明装置が邪魔にならない。
【0064】
器具配線部FWは、照明装置本体FBに駆動電力を供給するための電源ケーブルなどを主体として構成され、図2および図4に示すように、照明装置本体FBの上部背面部すなわち偏心部側から導出され、支持アームSAの取付部63の側へ延在して、電源に接続する。また、器具配線部FWは、先端にコネクタ(図示しない。)が装着されている。
【0065】
電源スイッチSWは、照明装置本体FBの背面に配設され、かつ、器具配線部FWと発光ダイオード駆動回路40との間に接続されている。
以上説明した本実施の形態における発光ダイオード照明装置によれば、発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構を備えているため、光学レンズモジュールの光学特性に応じて配光特性を可変することができる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、複数の発光ダイオードを光源とする発光部と、この発光部の前面に配設され、複数の発光ダイオードからの放射光を制光する光学レンズ部と、発光部と光学レンズ部との離間距離を可変して光学レンズ部を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えているため、光学レンズ部の特性に応じて照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を実現することができる。
【0067】
請求項2記載の発明によれば、複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュールを光源とする平面状の発光部と、この発光ダイオードモジュールを平面状に複数格納する照明装置本体と、照明装置本体に収容されると共に各々の発光ダイオードモジュールに対応して配設され、各々の発光部からの放射光を制光する光学レンズモジュールと、発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構とを備えているため、光学レンズモジュールの特性に応じて照射光の斑を誘発することなく照射光の収束又は拡散等の配光特性を可変できる発光ダイオード照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光ダイオード照明装置における一実施の形態としてのスタジオ用のフラッドライトを示す正面図
【図2】同じく背面図
【図3】同じく平面図
【図4】同じく左側面図
【図5】同じく左側面断面図
【図6】同じく照明装置本体の異なる複数の姿勢制御状態を説明する右側面断面図
【図7】同じく発光部における配光制御を説明する発光部の要部拡大断面図
【図8】同じく配光可変機構を説明する概略図
【図9】同じく配光可変機構による配光状態の変化を示す概略図
【符号の説明】
1…発光モジュール、2…光学レンズ部、10…発光部、11…発光ダイオードモジュール、12…光学レンズモジュール、20…ハウジング、21…枠部、50A…枢支部、50B…枢支部、55…調節摘み、61…支持部、62…横桁部、63…取付部、FB…照明装置本体、FW…器具配線部、SA…支持アーム、FR…可動レバー(配光可変機構)
Claims (2)
- 複数の発光ダイオードを光源とする発光部と;
この発光部の前面に配設され、複数の発光ダイオードからの放射光を制光する光学レンズ部と;
発光部と光学レンズ部との離間距離を可変して光学レンズ部を透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構と;
を備えていることを特徴とする発光ダイオード照明装置。 - 複数の発光ダイオードが実装されて構成された発光ダイオードモジュールを光源とする平面状の発光部と;
この発光ダイオードモジュールを平面状に複数格納する照明装置本体と;
照明装置本体に収容されると共に各々の発光ダイオードモジュールに対応して配設され、各々の発光部からの放射光を制光する光学レンズモジュールと;
発光部と光学レンズモジュールとの離間距離を可変して光学レンズモジュールを透過した光の配光を変化させるように構成されている配光可変機構と;
を備えていることを特徴とする発光ダイオード照明装置。
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