JP2004355770A - 光ディスクの製造方法及びそれに用いる紫外線照射システム - Google Patents

光ディスクの製造方法及びそれに用いる紫外線照射システム Download PDF

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Abstract

【課題】不良光ディスクの発生を極力減らすことができる光ディスクの製造方法及びこの方法に用いられる紫外線照射システムを提供すること。
【解決手段】2枚のディスク単板D1、D2について各々のチルトデータθ1、θ2を測定する第1検査工程と、両ディスク単板の間に紫外線硬化樹脂を延展させて貼り合わせる貼合工程と、貼り合わせた両ディスク単板の上方及び下方から紫外線を照射する紫外線照射工程と、一体化された光ディスクDについてチルトデータθdを測定する第2検査工程とを含み、該紫外線照射工程において、該第1検査工程で得られた2枚のディスク単板の各々のチルトデータθ1、θ2から、上方から照射する紫外線のパルス数と下方から照射する紫外線のパルス数とを各々決定し、そのパルス数を、該第2検査工程で得られた光ディスクのチルトデータθdにより補正して紫外線を照射する光ディスクの製造方法。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの製造方法及びそれに用いる紫外線照射システムに関し、更に詳しくは、反り、波打ち等の不良光ディスクの発生を極力低減することを可能にする光ディスクの製造方法及びそれに用いる紫外線照射システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクは、大容量化や高密度化、多機能化が進み、要求される情報読み取り精度も、年々ますます精緻なものとなっている。
例えば、DVDは、紫外線硬化樹脂を介して2枚のディスク単板を貼り合わせた構造を有するものであり、ディスクに印加されたピットにレーザ光線を当て、この反射を用いて情報を読み取るため、寸法精度上、厳しい品質管理が要求される。
【0003】
中でも、光ディスクが反ったり波打ったりして信号記録面が傾いていると、上記レーザ光線による読み取りの際に、本来読み取るべきピットを読まない等の、いわゆる信号読み取りエラーが発生する。
従って、光ディスクは、信号記録面に傾きのない完全にフラットな状態に製造されれば理想的である。
【0004】
しかし、実際的な問題として、光ディスクをそのように完全にフラットな状態に製造するのは非常に手間が掛かる上、不良品として除去される光ディスクの量が膨大となり、歩留まりが非常に悪化する。
また、光ディスクの信号を読み取るDVDプレーヤ等も、光ディスクの信号記録面の傾きに対してはそこまで高い精度を要求していない。
そのため、実際の光ディスクの製造工程においては、発生する反りや波打ちがそれぞれの規格値(許容範囲)内に収まるように製造される。
【0005】
光ディスクの反りや波打ちの検査は、通常、紫外線照射後の検査工程において行われる。
具体的には、光ディスクの表面にレーザ光を垂直に照射し、その反射光の反射角から、ディスク面の傾きを、光ディスクの直径方向の反りの角度(ラジアルチルト)及び直径方向に直角な方向の波打ちの角度(タンジェンシャルチルト)に分けて、それぞれ測定する。
【0006】
そして、各光ディスクに対して複数の点(通常4〜6カ所程度)でそうした測定がなされ、それらの角度が規格値(例えばDVDではラジアルチルトは±0.80°、タンジェンシャルチルトは±0.30°)と対比され、1点でも規格値を超えた光ディスクは、製造工程から排除されるのである。
このように、光ディスクの反り(ラジアルチルト)や波打ち(タンジェンシャルチルト)の角度の許容範囲にはある程度の幅があるが、通常、ディスク単板を単に貼り合わせて紫外線照射しただけでは比較的多くの不良光ディスクが発生してしまう。
【0007】
こうした不良光ディスクはもはや修正ができないため、そのまま廃棄せざるを得ず、上記と同様に歩留まりの悪化を招く。
また、不良光ディスクの廃棄は、環境への負担増大にもつながるため望ましいものではない。
そのため、不良光ディスクの発生を極力少なく抑えることが可能な光ディスクの製造方法や製造装置の開発が求められている。
【0008】
光ディスクに反りや波打ちが生じる主な原因としては、▲1▼射出成形後の冷却時にディスク単板に生じた反りが、貼り合わせ紫外線照射した後も光ディスクにそのまま残る場合と、▲2▼紫外線照射による紫外線硬化樹脂の硬化の際に発生する場合の、2つの原因が考えられている。
【0009】
前者の原因▲1▼の解決方法として、本発明者らは、2枚のディスク単板の貼り合わせの際に、回転方向に位相差を与えて貼り合わせ、光ディスクのラジアルチルトやタンジェンシャルチルト(以下単にチルトという場合がある)を最小にする光ディスクの製造方法を提示した(特許文献1参照)。
【0010】
この方法は、原理的には、2枚のディスク単板の凹凸を相対させて接着することで光ディスクをフラットな状態に形成する、或いは少なくともフラットな状態に近付けるというものである。
そして、製造された光ディスクを詳しく検査したところ、この方法は、光ディスクの波打ち(タンジェンシャルチルト)を非常に有効に修正できることがわかった。
【0011】
しかし、実際には、この方法では、光ディスクの反り(ラジアルチルト)が必ずしも有効に修正されるとは言い切れない場合があり、通常、ディスク単板の反りに由来するラジアルなチルトは紫外線照射工程まで残る。
また、上記の方法だけでは、紫外線の照射によって新たに発生するチルト(主にラジアルチルト)は修正できない。
【0012】
従って、不良光ディスクの発生を極力抑えるためには、紫外線照射時に残存するディスク単板由来のラジアルチルトを解消し、更に紫外線照射により新たに発生するディスクの反りを効果的に抑え得る光ディスクの製造方法や製造装置の開発が求められる。
【0013】
こうした光ディスクの反りを抑えることを目的とした光ディスクの製造方法や製造装置が、これまで種々提案されている。
例えば、2枚のディスク単板を、それぞれ一定温度雰囲気中に一定時間放置してディスク単板中の残留応力を除去又は緩和(アニール)した後、貼り合わせる方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0014】
具体的には、この方法は、ディスク単板を60度以上の環境下に5分以上放置し、更に好ましくは略100度の環境下に略1時間放置するものである。
また、紫外線照射前に、貼り合わせた2枚のディスク単板のうちの一方を予め加熱したり冷却したりしておき、紫外線照射時に2枚のディスク単板間に温度差が生じるのを緩和する方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0015】
しかし、このような加熱したり冷却したりしてディスク単板の反りを緩和する方法では、ディスク単板が膨張又は収縮してしまうため、光ディスクの読み取り精度に影響が出る可能性が否定できない。
寧ろ、光ディスクの製造においては、こうした熱の影響は極力避けるべきであると考えられる。
また、熱を用いる方法は温度調整が必ずしも容易でない上、先に具体的に示したように熱処理に時間が掛かり、生産性が低下するという問題もある。
【0016】
一方、上記のようなディスク単板を熱処理する方法以外の方法を用いて光ディスクの反りを抑えるようにした光ディスクの製造方法や製造装置も、いくつか提案されている。
例えば、紫外線硬化樹脂を介して貼り付けられた2枚のディスク単板を、信号記録面が形成されたディスク単板が上側になるように配置した状態で下方から紫外線照射を行う方法が提案されている(特許文献4参照)。
【0017】
この方法は、射出成形時の成形条件等により、信号記録面が形成されたディスク単板自体の周縁部が、このように配置された状態で上方に反るのを、貼り付けられた2枚のディスク単板の周縁部の自重で押し下げて相殺する方法である。
即ち、ディスク単板の自重で光ディスクの反りを無くそうとするものであり、熱によらない物理的な方法である。
【0018】
しかし、信号記録面が形成されたディスク単板は、必ずしも上方に反るというチルト傾向を有するものばかりではない。
寧ろ逆に、スタンパの変更等で射出成形の条件が変わるとディスク単板に残留する内部応力が複雑に変化し、そのチルト傾向も変わるのが一般的である。
従って、この方法は、光ディスクの製造に汎用的に用いられる方法であるとは、必ずしも言えない。
【0019】
また、例えば、2枚のディスク単板に上下から紫外線を照射する際に、上下の紫外線の照射開始のタイミングをずらすことで光ディスクの反りを調整するディスク単板の貼り合わせ装置及び方法が提案されている(特許文献5参照)。
この方法では、紫外線硬化樹脂を介して貼り合わされた2枚のディスク単板の反りを紫外線照射前に反り測定器によって測定し、その測定結果に基づいて遅延時間決定装置で遅延時間(ずらすタイミング)を決定する。
【0020】
しかし、この方法では、紫外線照射工程に新たに反り測定器を設置しなければならない。
また、特許文献4及び特許文献5に記載された方法では、特許文献1及び特許文献2の場合とは逆に、紫外線照射によりターンテーブル等に発生する熱の影響が全く考慮されておらず、いずれにしても、光ディスクの反りの発生に対する決定的な解決策とはなっていない。
【0021】
【特許文献1】
特開2002−230844号公報
【特許文献2】
特開2002−92969号公報
【特許文献3】
特開2002−251803号公報
【特許文献4】
特開2003−6937号公報
【特許文献5】
特開2002−352480号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、光ディスクの製造において、廃棄される不良光ディスクの発生量を極力少なくするためには、先ず、貼り合わされた状態の2枚のディスク単板に紫外線を照射した際にどのような反りが発生するかを見極める必要がある。
そして、ターンテーブルのディスク載置面に、貼り合わされた2枚のディスク単板を載置した際の自重による反りも考慮しなければならない。
更に、光ディスクやディスク単板は熱により膨張したり収縮したりし易いものであるから、特に光ディスクの製造装置(システム)は、こうした熱の影響は可能な限り回避する構造にすべきである。
【0023】
本発明は、かかる実状を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、不良光ディスクの発生を極力減らすことができる光ディスクの製造方法及びこの方法に用いられる紫外線照射システムを提供することである。
また、紫外線照射に伴って発生する熱の影響を可能な限り回避できる紫外線照射システムを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、貼り合わされた2枚のディスク単板に上方又は下方からパルス状の紫外線を照射した場合、紫外線硬化樹脂の硬化により一体化された光ディスクは照射された紫外線のパルス数が多い方に向かって反ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
また、紫外線照射システムにおいては、貼り合わされた2枚のディスク単板を載置するディスク載置台のディスク載置面を、内周受け面と外周受け面とに区画して外周受け面に対して内周受け面を可動とし段差を設けることを可能にすることにより、熱の影響を回避可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0025】
即ち、本発明は、(1)、紫外線硬化樹脂を介して2枚のディスク単板を貼り合わせ、紫外線を照射して光ディスクを製造する光ディスクの製造方法であって、2枚のディスク単板について各々のチルトデータを測定する検査工程と、両ディスク単板の間に紫外線硬化樹脂を延展させて貼り合わせる貼合工程と、貼り合わせた両ディスク単板の上方及び下方から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線照射工程とを含み、該紫外線照射工程において、該検査工程で得られた2枚のディスク単板の各々のチルトデータから、上方から照射する紫外線のパルス数と下方から照射する紫外線のパルス数とを各々決定して紫外線を照射する光ディスクの製造方法に存する。
【0026】
そして、(2)、紫外線硬化樹脂を介して2枚のディスク単板を貼り合わせ、紫外線を照射して光ディスクを製造する光ディスクの製造方法であって、2枚のディスク単板について各々のチルトデータを測定する第1検査工程と、両ディスク単板の間に紫外線硬化樹脂を延展させて貼り合わせる貼合工程と、貼り合わせた両ディスク単板の上方及び下方から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線照射工程と、紫外線照射により一体化された光ディスクについてチルトデータを測定する第2検査工程とを含み、該紫外線照射工程において、該第1検査工程で得られた2枚のディスク単板の各々のチルトデータから、上方から照射する紫外線のパルス数と下方から照射する紫外線のパルス数とを各々決定し、そのパルス数を、該第2検査工程で得られた光ディスクのチルトデータにより補正して紫外線を照射する光ディスクの製造方法に存する。
【0027】
そしてまた、(3)、上記(1)又は(2)の光ディスクの製造方法における紫外線照射工程に使用され、紫外線照射装置とターンテーブルとを備えてなる紫外線照射システムであって、該ターンテーブルに設けられたディスク載置台は、そのディスク載置面が、紫外線透過材よりなる外周受け面と、紫外線硬化樹脂を介して貼り合わせた2枚のディスク単板を位置決めするためのボス部を備えた内周受け面とよりなり、該内周受け面は、該外周受け面に対して昇降可能に形成されている紫外線照射システムに存する。
【0028】
そしてまた、(4)、前記内周受け面は、ネジ構造により外周受け面に対して昇降可能に形成されている紫外線照射システムに存する。
【0029】
そしてまた、(5)、前記内周受け面は、ボス部と一体成形されている紫外線照射システムに存する。
【0030】
そしてまた、(6)、前記2枚のディスク単板は、その上部に重りが載せられる紫外線照射システムに存する。
【0031】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記3〜6の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の光ディスクの製造方法及びそれに用いる紫外線照射システムの好適な実施の形態について説明する。
尚、本明細書で、チルトデータとは、ディスク単板や光ディスクのラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトの測定結果をいうが、特にことわらない限り、ラジアルチルトを指す。
【0033】
また、便宜上、紫外線硬化樹脂を介して貼り合わされた状態の2枚のディスク単板をディスク積層体という。
従って、ディスク積層体という場合、2枚のディスク単板間に介在する紫外線硬化樹脂は未だ硬化していない状態であり、それが紫外線照射により硬化し2枚のディスク単板が一体化して光ディスクが製造される。
【0034】
〔本発明の光ディスクの製造方法について〕
本発明の光ディスクの製造方法の特徴について説明する前に、2枚のディスク単板D1、D2から光ディスクDが製造されるまでの各工程について述べる。
以下、便宜上、紫外線照射工程において下側となるディスク単板を下ディスク単板D1、上側となるディスク単板を上ディスク単板D2という場合がある。
図1は、本発明の光ディスクの製造方法の各工程を説明する流れ図である。
【0035】
先ず、2枚のディスク単板D1、D2は、紫外線硬化樹脂を塗布して貼り合わせる前の段階で、レーザ光を用いた検査器によりラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトのチルトデータθ1、θ2を各々測定する(第1検査工程)。
先述したように、この検査器では、例えば、下ディスク単板D1上の複数の点(通常4〜6カ所程度)でレーザ光の反射光の反射角からラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトがそれぞれ測定されるため、下ディスク単板D1のチルトデータθ1は複数の数値の集合である。
【0036】
そして、この工程では、ディスク単板のチルトデータの中のラジアルチルト又はタンジェンシャルチルトの値が1つでも規格値を超えると、そのディスク単板は、製造工程から排除される。
この段階のディスク単板は、未だ紫外線硬化樹脂で接着されておらず、先述した光ディスクの場合とは異なり、原料として再利用することが可能である。
【0037】
そのため、反りや波打ちが大きく修正不可能な場合には、紫外線硬化樹脂を塗布する前のディスク単板の形で製造工程から排除するのである。
こうすることにより、不良光ディスクの発生量を抑えることができ、更にはディスク単板を原料として再利用できることから、歩留まりを向上させることができる。
【0038】
このように、この第1検査工程の本来の目的は、不良ディスク単板を排除することである。
しかし、本発明では、この工程で測定されたディスク単板D1のチルトデータθ1及びディスク単板D2のチルトデータθ2を紫外線照射工程に送り、紫外線照射のパルス数の決定にも活用される点に特徴がある。
この点については後で述べる。
【0039】
次に、2枚のディスク単板D1、D2にそれぞれ紫外線硬化樹脂を塗布し、両ディスク単板を重ね合わせ、両ディスク単板の間に紫外線硬化樹脂を延展させて両ディスク単板を貼り合わせる(貼合工程)。
図示しないが、具体的には、下ディスク単板D1を、接着面が上側を向くように回転可能な受け台の上に載置し、受け台を回転させて下ディスク単板D1を低速回転させながら、その上に吐出ノズルから紫外線硬化樹脂を垂らし輪状に塗布する。
【0040】
上ディスク単板D2にも同様にして紫外線硬化樹脂を輪状に塗布し、上ディスク単板D2の上下を反転させて下ディスク単板D1に重ね合わせる。
そして、この状態で受け台を高速回転して、紫外線硬化樹脂を2枚のディスク単板D1、D2の間に均一に延展させて貼り合わせ、ディスク積層体D3を形成する。
【0041】
その際、先述したように、回転方向に位相差を与えて貼り合わせる光ディスクの製造方法(特許文献1参照)を用いて、両ディスク単板に位相差を与えて重ね合わせることも当然可能である。
また、先述した第1検査工程で得られた両ディスク単板のチルトデータθ1、θ2をこの貼合工程にも伝え、このチルトデータθ1、θ2から上記の位相差を自動的に算出するように制御することも可能である。
【0042】
次に、ディスク積層体D3を受け台からターンテーブルのディスク載置面上に載置し、ディスク積層体D3の上方及び下方から紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させて光ディスクDを形成する(紫外線照射工程)。
この工程については、後で詳しく述べる。
【0043】
最後に、紫外線照射により製造された光ディスクDについて、第1検査工程と同様に、レーザ光を用いた検査器によりラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトのチルトデータθdを測定する(第2検査工程)。
第1検査工程の場合と同様に、チルトデータθdは光ディスクDのラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトの測定値の集合であり、それらの中の1つでも規格値を超えた場合には、その光ディスクは製造工程から排除される。
【0044】
〔紫外線照射によるディスクの反り現象について〕
さて、本発明の目的の1つは、この第2検査工程で排除される不良光ディスクの量を極力減らすことである。
つまり、光ディスクDのチルトデータθdを規格値内に収めることである。
【0045】
先述したように、例えば、位相差を与えてディスク単板を貼り合わせる貼り合わせ技術を用いることで、タンジェンシャルなチルトは小さく抑えることが可能である。
しかし、ラジアルなチルトに関しては、ディスク単板自体の反りに由来するチルトが光ディスクに残ったり、紫外線照射による紫外線硬化樹脂の硬化の際に新たに反りが発生したりして、容易には修正できなかった。
【0046】
本発明の光ディスクの製造方法では、この紫外線照射によりディスク積層体D3に反りが発生するメカニズムに注目し、逆に、この発生する反りを利用して、ディスク単板のもともとの反りを修正することにより、光ディスクDのラジアルチルトを小さく抑えることを特徴とする。
即ち、簡単に言えば、紫外線照射で光ディスクDの反りを修正することを特徴とするものである。
【0047】
先ず、紫外線照射により、ディスク積層体D3に反りが発生するメカニズムについて述べる。
本発明者らが行った実験では、平らでほとんど反りのないディスク積層体D3に紫外線を照射した場合、ディスク積層体D3が紫外線を照射された側に反ることが見出された(照射方向への反り現象)。
【0048】
図2は、この紫外線照射による照射方向への反り現象を説明する図であり、(A)は上方から照射した場合、(B)は下方から照射した場合を示す。
図2(A)のように紫外線UVが上方から照射される(パルス照射)と、ディスク積層体D3(紫外線硬化樹脂Rを介して貼り合わされた上下2枚のディスク単板D1、D2)は、その周縁部が上方に持ち上がり上側に反り易い(即ちプラスのラジアルチルトが発生し易い)。
【0049】
また、図2(B)のように下方から紫外線UVが照射されると、ディスク積層体D3の周縁部は下側に反り易い(即ちマイナスのラジアルチルトが発生し易い)。
更に、図示しないが、上下両方から紫外線を照射した場合には、より多くのパルス数を照射した側に反り、照射したパルス数が同数の場合は基本的に反りは発生しないのである。
因みに、以上は純然たる紫外線照射の影響の説明であって、重力の影響、即ちディスク積層体D3の自重による反りの発生は後ほど考察する。
【0050】
尚、こうした紫外線の照射方向への反り現象が生じるのは、紫外線照射による硬化の際に紫外線硬化樹脂Rが収縮することに起因するものと考えられる。
例えば、図3に示すように、2枚のディスク単板D1、D2間に延展されている紫外線硬化樹脂Rに上方から紫外線UVが照射されると、紫外線硬化樹脂Rの上側の部分(図3の紫外線硬化樹脂Rのうち上ディスク単板D2と接している格子部分R2)が硬化する際、下ディスク単板D1と接している部分R1より強く収縮する。
【0051】
そのため、紫外線硬化樹脂R自体が上側に反り、この樹脂Rの反る力によりディスク積層体D3が上側に反るのである。
ディスク積層体D3に紫外線を下方から照射すると下側に反り、或いは上下から照射するとパルス数の多い方に反るのも同様に説明することができる。
【0052】
〔紫外線のパルス数の決定について〕
次に、この紫外線照射によるディスク積層体D3の照射方向への反り現象を利用して、紫外線照射によりディスク積層体D3の反りを修正する、即ち紫外線硬化樹脂の硬化により一体化された光ディスクDのラジアルチルトを小さく抑える方法について述べる。
【0053】
本発明では、紫外線照射工程において、ディスク積層体D3に対して上方及び下方から照射する紫外線のパルス数を、上記第1検査工程で得られた2枚のディスク単板D1、D2の各々のチルトデータθ1、θ2からそれぞれ決定し、或いは、第1検査工程で得られたチルトデータθ1、θ2により決定されたパルス数を、第2検査工程で得られたチルトデータθdにより補正することを特徴とする(図4参照)。
【0054】
先ず、第1検査工程で得られた2枚のディスク単板D1、D2の各々のチルトデータθ1、θ2から、上下の紫外線のパルス数を決定する方法について述べる。
第1検査工程で得られた2枚のディスク単板D1、D2の各々のチルトデータθ1、θ2は、紫外線照射工程に送られる。
【0055】
このチルトデータθ1、θ2が非常に良好な値(絶対値が非常に小さな値)である場合には、両ディスク単板D1、D2はそれぞれほぼ反りのない状態である。
そして、これらを貼り合わせたディスク積層体D3もほぼ平面状であると判断される。
【0056】
そして、ターンテーブル(後述する図7等参照)のディスク載置面の形状にもより、ディスク積層体D3がディスク載置面にそのまま平面状に載置される場合には、上下から照射すべき紫外線のパルス数を同数になるように決定する(例えば上下とも5パルス/秒)。
また、ディスク載置面の構造上、ディスク積層体D3の端部が自重で下側に反る場合には、上方からの照射のパルス数を下方からの照射のパルス数より多くなるように決定して、自重による下方への反りを修正するのである(例えば上方から6パルス/秒、下方から4パルス/秒)。
【0057】
しかし、実際には、許容範囲内ではあるが、ディスク単板D1、D2がそれぞれある程度の大きさのラジアルチルトを持つ場合が多い。
このような場合には、ディスク積層体D3は、種々のチルトパターンを有する貼合状態に形成されるが、図5に示すように、主に4つの貼合状態に分類される(図5ではディスク単板の厚さやチルト等を便宜上誇張して描いている)。
【0058】
図5(A)は、チルトデータθ1、θ2がともにプラスの値の場合であり、ディスク積層体D3の貼合状態は、2枚のディスク単板D1、D2の周縁部がともに上側に反った状態になっている。
図5(B)は、チルトデータθ1、θ2がともにマイナスの値の場合であり、ディスク積層体D3の貼合状態は、2枚のディスク単板D1、D2の周縁部がともに下側に反った状態になっている。
【0059】
図5(C)は、下ディスク単板D1のチルトデータθ1がプラスの値で上ディスク単板D2のチルトデータθ2がマイナスの値の場合であり、ディスク積層体D3の貼合状態は、2枚のディスク単板D1、D2の中心部が周縁部より離間した状態になっている。
図5(D)は、下ディスク単板D1のチルトデータθ1がマイナスの値で上ディスク単板D2のチルトデータθ2がプラスの値の場合であり、ディスク積層体D3の貼合状態は、2枚のディスク単板D1、D2の周縁部が中心部より離間した状態になっている。
【0060】
つまり、以上の説明のように、第1検査工程で得られた2枚のディスク単板D1、D2のチルトデータθ1、θ2から、ディスク積層体D3がどのような貼合状態にあるかを判断することができる。
そして、そのディスク積層体D3の貼合状態に対応して、先述した照射方向への反り現象を利用して、上下から照射すべき紫外線のパルス数の最適値が決定されるのである。
【0061】
例えば、ディスク積層体D3の貼合状態が図5(A)のような状態であると判断されれば、下方から照射する紫外線のパルス数が上方から照射する紫外線のパルス数より多くなるようにそれぞれのパルス数が決定される(例えば上方から4パルス/秒、下方から6パルス/秒の紫外線を照射する)。
また、図5(B)のような貼合状態である判断されれば、逆に、上方から照射する紫外線のパルス数を多くする。
【0062】
更に、図5(C)及び(D)のような場合には、上下の紫外線のパルス数を同数となるように決定するのである。
また、ディスク載置面の構造上、ディスク積層体D3の端部が自重で下側に反る場合には、当然、そうした下側への反りが加味されて紫外線のパルス数が決定される。
【0063】
以上のように、本発明では、従来不良ディスク単板の排除にのみ用いられていたディスク単板のチルトデータθ1、θ2を、紫外線照射のパルス数の決定に活用する点に特徴がある。
また、1組の上下のディスク単板D1、D2のペアごとに、そのペアから形成されるディスク積層体D3の貼合状態を判断し、その貼合状態に見合った紫外線照射のパルス数を決定することができる。
【0064】
この場合、パルス数の決定は、例えば、記憶部に既に蓄積されている最適なデータ(チルトデータθ1、θ2とパルス数との組み合わせデータ)を選んで決定する。
そのため、ディスク積層体D3の反りを1枚ごとに的確に修正することが可能となり、不良光ディスクDの発生を極力減らすことができるのである。
【0065】
次に、第2検査工程で得られた光ディスクDのチルトデータθdから、上下の紫外線のパルス数を決定する方法について述べる(図4参照)。
この場合は、既に光ディスクは紫外線硬化樹脂が硬化されて一体化されており、上記の場合とは異なり、光ディスクDのチルトデータθdを使って、その光ディスクD自体の反りを修正することは困難である。
【0066】
しかし、チルトデータθdを測定することにより、一体化されて第2検査工程に送られてくる光ディスクDがどのような反りの傾向を持っているかを知ることができる。
即ち、第2検査工程で測定される光ディスクDのラジアルチルトのチルトデータθdが、例えば、10枚分の平均でほぼ0°であれば、上下の紫外線照射のパルス数は現状のまま変える必要がない。
【0067】
また、例えば、10枚の平均で+0.40°であれば、全体的に上側に反る傾向があると判断されるから、現在のパルス数より、下方から照射する紫外線のパルス数を増やし上方から照射する紫外線のパルス数を少なくするように紫外線照射装置に指示を出せばよい。
即ち、第2検査工程の光ディスクDのチルトデータθdの情報をフィードバックし、第1検査工程のチルトデータθ1、θ2より決定されたパルス数を補正して、紫外線照射工程に反映させることにより、より的確にディスク積層体D3の反りを修正し、不良光ディスクの発生を減らすことができるのである。
【0068】
実際には、例えば、図6に示すように、第2検査工程で得られた光ディスクDのチルトデータθdが、光ディスク1枚分ごとに紫外線照射工程のコンピュータの演算処理部に送られ、ここで所定枚数(通常50〜100枚)ごとに平均値が算出される。
記憶部には、既に最適なデータ(平均値とパルス数との組み合わせデータ)が蓄積されているため、それを選んで、第1検査工程のチルトデータθ1、θ2により決定しているパルス数を補正するのである。
【0069】
参考までに言うと、上記のようにチルトデータθdの平均をとることで光ディスクDの反りの傾向が把握できるのは、同一の金型スタンパを用いてロット生産されるディスク単板(通常数千〜数万枚単位)は、ほぼ同一のチルト傾向を持つからである。
これは、金型スタンパや成形機等の特性や射出成形の製造条件等がロット全体で同一であるためと考えられる。
【0070】
そして、ほぼ同一のチルト傾向を持つ下ディスク単板D1に対して、下ディスク単板D2とは別のチルト傾向であるが上ディスク単板のロット全体としてはほぼ同一のチルト傾向を持つ上ディスク単板D2を貼合すると、ほぼ同一のチルト傾向を持つディスク積層体D3が形成される。
そのディスク積層体D3に紫外線を照射すると、ほぼ同一のチルト傾向を持つ光ディスクDが得られるのである。
【0071】
しかし、例えば、紫外線照射工程でのターンテーブル等の温度上昇など、種々の経時的な製造条件の変化等のために、紫外線硬化樹脂が硬化して一体化される光ディスクDのチルト傾向が変化することがある。
そのため、そうしたチルト傾向の変化を第2検査工程でチェックし、その情報を紫外線照射工程にフィードバックして、反りの発生を修正するのである。
【0072】
このように、紫外線照射のパルス数を第1検査工程で得られたチルトデータθ1、θ2からディスク積層体1枚ごとに決め、それを第2検査工程からフィードバックされてきたチルトデータθdで修正することにより、ディスク積層体D3の反りをより的確に修正することが可能となり、不良光ディスクDの発生を極力減らすことができるのである。
【0073】
〔本発明の紫外線照射システムについて〕
一方、先述したように、不良光ディスクDの発生を減らすためには、紫外線照射工程における紫外線照射システムの構造を、紫外線照射に伴って発生する熱の影響を可能な限り回避できる構造にすべきである。
また、そのような構造にすることは、光ディスクの信号読み取りエラーを防止するうえでも好ましい。
【0074】
上記のように、本発明の光ディスクの製造方法はディスク積層体D3の上下から紫外線パルスを照射するものであるから、紫外線照射システムは、それに適した構造でなければならない。
図7は、紫外線照射システムの構成例を示す概略平面図である。
【0075】
紫外線照射システムAは、主に、ターンテーブル1と紫外線照射装置2とを備える。
ディスク積層体D3は、吸着チャック31を備えた移載アーム3により貼合工程から紫外線照射工程に搬送されて、ターンテーブル1のディスク載置台11の上に載置される。
【0076】
この実施の形態では、ターンテーブル1に等間隔に7つのディスク載置台11が設けられており、ターンテーブル1は一定角度ずつ間欠的に(図7の場合は360°/7ずつ時計回りに)回転して、ディスク載置台11上の載置されたディスク積層体D3を紫外線照射装置2のフード部21の下方まで運ぶ。
ディスク積層体D3は、フード部21を介して紫外線照射装置2の光源から紫外線を照射され、紫外線硬化樹脂が硬化されて光ディスクDに形成される。
【0077】
因みに、光ディスクDは、その後、移送チャック4により図示しない第2検査工程に搬送され、先述したように、レーザ光を用いてチルトデータθdが測定され、チルトデータθdが規格値を超えるものは排除される。
また、チルトデータθdは、紫外線照射装置2内の図示しないコンピュータに送られ、第1検査工程から送られてきたディスク単板のチルトデータθ1、θ2とともに紫外線のパルス数の決定に用いられる。
尚、先述したように、チルトデータθ1、θ2又はチルトデータθdを用いない場合があることは言うまでもない。
【0078】
ここで、ターンテーブル1について説明する前に、紫外線照射装置2について簡単に述べる。
図8は、紫外線照射システムの紫外線照射装置の概略図である。
先述した通り、本発明の光ディスクの製造方法では、ディスク積層体D3は、上下から紫外線の照射を受ける。
【0079】
そのため、この紫外線照射装置2は、2つの光源22、23で紫外線パルスを発生させ、それぞれの紫外線パルスを反射板22a、22b、23a、23bで反射して、ディスク積層体D3の上下から照射する。
このように、光源22又は23からディスク積層体D3までの光路を大きくとると、光源22、23自体の熱でディスク積層体D3が加熱されるのを防止できるため好ましい。
【0080】
次に、紫外線照射システムAのディスク載置台11の構造等について述べる。
図9は、ターンテーブルのディスク載置台の構成例を示す概略断面図である。
ディスク載置台11は、基台12、鏡面体13、外周受け面14、及び内周受け面15等よりなる。
このように、本発明の紫外線照射システムAは、ディスク積層体D3を載置するためのディスク載置面を、外周受け面14と内周受け面15とに区画したことを特徴とする。
【0081】
基台12は、外周受け面14の中心部の貫通孔に固定されており、その中心部に雌ネジ孔が形成されている。
鏡面体13は、いわゆるドーナツ状の形状をした部材であり、ターンテーブル1の貫通孔の内側に嵌入された状態で固定されている。
鏡面体13は、上方から照射される紫外線を鏡面13aで反射することで、ディスク積層体D3の紫外線硬化樹脂に上下からだけでなく側面からも紫外線が当たるようにして、紫外線硬化樹脂の硬化効率を上げる。
【0082】
外周受け面14は、ターンテーブル1に形成された円形状の貫通孔の内側に嵌入された状態に固定される。
外周受け面14は、ガラス等の紫外線透過材よりなり、図8に示した光源23からの紫外線を透過してディスク積層体D3に下方から紫外線を照射するのを可能にする。
【0083】
内周受け面15は、基台12や外周受け面14とは別体の部材として形成される。
この実施の形態では、内周受け面15は、ディスク積層体D3を位置決めするためのボス部16と一体成形されている。
【0084】
内周受け面15の軸部15aには雄ネジ部15bが形成されており、上記基台12の雌ネジ部に螺合する。
このネジ構造により、内周受け面15は、基台12や外周受け面14に対して上昇した状態に固定すること、即ち、外周受け面14と内周受け面15との間に段差を設けることが可能となる。
【0085】
このように、本発明のディスク載置台11は、従来、単一平面的だったディスク載置台11のディスク載置面を、外周受け面14と内周受け面15とに区画し、内周受け面15が外周受け面14に対して昇降可能に形成されていることを特徴とする。
このように形成すると、紫外線照射に伴って発生するディスク載置台11の熱によりディスク積層体D3又は光ディスクDが悪影響を受けるのを極力回避することができるのである。
【0086】
この点について簡単に説明すると、ディスク積層体D3の紫外線硬化樹脂、即ち、下ディスク単板D1及び上ディスク単板D2の間に介在する紫外線硬化樹脂R(図5参照)は、紫外線を照射されると発熱を伴いながら硬化する。
ディスク載置台11が熱を持った状態になるのは、主に、この熱がディスク載置台11のディスク載置面に伝わって蓄積されるためと考えられている。
【0087】
このように熱を持った状態のディスク載置面にディスク積層体D3が載置されると(図7参照)、ターンテーブル1が間欠的に回転して紫外線照射装置2の位置まで運ばれるまでの間に、ディスク載置面に接するディスク積層体D3の下ディスク単板D1が加熱されて膨張する。
そして、その状態のまま紫外線が照射されると、光ディスクDに反りが発生したり、或いは光ディスクDに信号読み取りエラーを生じたりする可能性がある。
【0088】
しかし、本発明の如く、内周受け面15を外周受け面14より高い位置に固定してディスク積層体D3を内周受け面15で載置し、ディスク積層体D3が外周受け面14に直接接触しないようにすれば、外周受け面14の熱がディスク積層体D3に伝わるのを防止することができる。
このように、本発明の紫外線照射システムAによれば、ディスク載置台11のディスク載置面を、外周受け面14と内周受け面15とに区画し、内周受け面15を外周受け面14に対して昇降可能に形成したことにより、紫外線照射に伴って発生する熱の影響を回避することが可能となるのである。
【0089】
内周受け面15の昇降は、図9に示したように、内周受け面15の軸部15aの下端に取り付け固定された位置決め治具17を軸部15a周りに回動させて行う。
図10は、位置決め治具を上から見た図である。
このように、位置決め治具17の上面には略V字状の溝17aが複数形成されており、この溝17aの1つに、基台12の下面に固定されたボールプランジャ18の先端が嵌まり込んでいる(図9参照)。
【0090】
ボールプランジャ18にはバネと鋼球が組み込まれており、溝17aに弾圧的に嵌まり込むことにより、軸部15a周りの位置決め治具17の回動を阻止し、外周受け面14に対する内周受け面15の高さを維持する。
しかし、位置決め治具17の下部のハンドル17bを回して位置決め治具17を軸部15a周りに回動させることは可能で、それにより、内周受け面15の高さを自在に変えることができるのである。
【0091】
因みに、図9では、ハンドル17bを回すことにより手動で内周受け面15を昇降させる場合を示したが、例えば、軸部15aを電動モータで回動するように形成することも当然可能である。
そして、チルトデータθ1、θ2やチルトデータθdから紫外線照射のパルス数を決定するためのコンピュータでこの電動モータを作動させるようにすれば、各チルトデータの数値から判断してコンピュータが自動的に内周受け面15を昇降させることができる。
【0092】
さて、図9に示したように、内周受け面15に載置されボス部16により位置決めされたディスク積層体D3の上部には、ボス部16を取り巻くようにして重りWが載せられる。
重りWは紫外線透過材よりなり、比較的肉厚である程度の重さ(例えば30g)を有するドーナツ状の部材であり、照射される紫外線を透過し、上方からディスク積層体D3を内周受け面15に押し付ける役割を果たす。
【0093】
図7の紫外線照射システムAにおいて、重りWは、通常、ディスク載置台11の内側に置かれており、ターンテーブル1が回転しディスク載置台11が取り載せチャック5の位置まで来ると、取り載せチャック5が重りWをディスク積層体D3上に運び載置する。
紫外線照射後、重りWは、取り出しチャック6により光ディスクD上から取り除かれ、ディスク載置台11の内側の元の位置に置かれる。
【0094】
この重りWを用いることで、光ディスクDの反りをより確実に修正することが可能となる。
例えば、第1検査工程で得られた2枚のディスク単板D1、D2のチルトデータθ1、θ2から、貼り合わせてできたディスク積層体D3の貼合状態が、図5(C)に示したように中心部が周縁部より離間した状態になっているとする。
【0095】
その場合、図9に示したように、外周受け面14より高い位置に維持された内周受け面15にそのディスク積層体D3を載置し、その上に重りWを載せれば、ディスク積層体D3の中央部が重りWで押し下げられ、中央部が離間した状態からより平坦な状態に修正することができる。
【0096】
また、例えば、ディスク積層体D3が、図5(B)に示したように、下側に反った貼合状態になっている場合には、内周受け面15を外周受け面14の位置まで下げてディスク積層体D3の中央部を重りWで下向きに押し付けることで、いわば物理的にディスク積層体D3の反りを修正することも可能である。
尚、この場合、上方からの紫外線照射のパルス数を増やすことでディスク積層体D3の反りを修正できることは、先述した通りである。
【0097】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の実施の形態では、内周受け面15がネジ構造により外周受け面14に対して昇降可能に形成されている場合について示したが、昇降可能であれば他の構造によることも当然可能である。
【0098】
また、第2検査工程で得られた光ディスクDのチルトデータθdの利用のしかたとして、それらの平均値を用いることについて説明したが、他の方法でチルトデータθdの数値を加工して紫外線のパルス数を決定することも当然可能である。
また、図7や図8では、チルトデータθ1、θ2、及びθdを処理して紫外線のパルス数を決定するコンピュータが紫外線照射装置に内蔵されているように表現されているが、適宜設置可能であることは言うまでもない。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスク単板のチルトデータや光ディスクのチルトデータを用いることにより、ディスク積層体の反りを的確に修正できるため、不良光ディスクの発生を極力減らすことができる。
また、この光ディスクの製造方法を的確に実施し得る紫外線照射システムとして、ディスク載置面を内周受け面と外周受け面とに区画し、内周受け面が外周受け面に対して昇降可能に形成されたディスク載置台を備えたものを用いることにより、紫外線照射に伴って発生する熱の影響を極力回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光ディスクの製造方法の各工程を説明する流れ図である。
【図2】図2は、この紫外線照射による照射方向への反り現象を説明する図であり、(A)は上方から照射した場合、(B)は下方から照射した場合を示す。
【図3】図3は、図2(A)のディスク積層体の断面拡大図である。
【図4】図4は、図1の流れ図において、チルトデータの流れを示す流れ図である。
【図5】図5は、ディスク積層体の貼合状態を示す模式図である。
【図6】図6は、光ディスクのチルトデータをフォードバックしてパルス数を補正する流れを示す流れ図である。
【図7】図7は、紫外線照射システムの構成例を示す概略平面図である。
【図8】図8は、紫外線照射システムの紫外線照射装置の概略図である。
【図9】図9は、ターンテーブルのディスク載置台の構成例を示す概略断面図である。
【図10】図10は、位置決め治具を上から見た図である。
【符号の説明】
1…ターンテーブル
11…ディスク載置台
12…基台
13…鏡面体
13a…鏡面
14…外周受け面
15…内周受け面
15a…軸部
15b…雄ネジ部
16…ボス部
17…位置決め治具
17a…溝
17b…ハンドル
18…ボールプランジャ
2…紫外線照射装置
21…フード部
22、23…光源
22a、22b、23a、23b…反射板
3…移載アーム
31…吸着チャック
4…移送チャック
5…取り載せチャック
6…取り出しチャック
A…紫外線照射システム
D…光ディスク
D1…下ディスク単板
D2…上ディスク単板
D3…ディスク積層体
R…紫外線硬化樹脂
R1、R2…紫外線硬化樹脂の部分
UV…紫外線
W…重り
θ1、θ2、θd…チルトデータ

Claims (6)

  1. 紫外線硬化樹脂を介して2枚のディスク単板を貼り合わせ、紫外線を照射して光ディスクを製造する光ディスクの製造方法であって、
    2枚のディスク単板について各々のチルトデータを測定する検査工程と、
    両ディスク単板の間に紫外線硬化樹脂を延展させて貼り合わせる貼合工程と、
    貼り合わせた両ディスク単板の上方及び下方から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線照射工程とを含み、
    該紫外線照射工程において、該検査工程で得られた2枚のディスク単板の各々のチルトデータから、上方から照射する紫外線のパルス数と下方から照射する紫外線のパルス数とを各々決定して紫外線を照射することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  2. 紫外線硬化樹脂を介して2枚のディスク単板を貼り合わせ、紫外線を照射して光ディスクを製造する光ディスクの製造方法であって、
    2枚のディスク単板について各々のチルトデータを測定する第1検査工程と、
    両ディスク単板の間に紫外線硬化樹脂を延展させて貼り合わせる貼合工程と、
    貼り合わせた両ディスク単板の上方及び下方から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線照射工程と、
    紫外線照射により一体化された光ディスクについてチルトデータを測定する第2検査工程とを含み、
    該紫外線照射工程において、該第1検査工程で得られた2枚のディスク単板の各々のチルトデータから、上方から照射する紫外線のパルス数と下方から照射する紫外線のパルス数とを各々決定し、そのパルス数を、該第2検査工程で得られた光ディスクのチルトデータにより補正して紫外線を照射することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光ディスクの製造方法における紫外線照射工程に使用され、紫外線照射装置とターンテーブルとを備えてなる紫外線照射システムであって、該ターンテーブルに設けられたディスク載置台は、そのディスク載置面が、紫外線透過材よりなる外周受け面と、紫外線硬化樹脂を介して貼り合わせた2枚のディスク単板を位置決めするためのボス部を備えた内周受け面とよりなり、該内周受け面は、該外周受け面に対して昇降可能に形成されていることを特徴とする紫外線照射システム。
  4. 前記内周受け面は、ネジ構造により外周受け面に対して昇降可能に形成されていることを特徴とする請求項3記載の紫外線照射システム。
  5. 前記内周受け面は、ボス部と一体成形されていることを特徴とする請求項3記載の紫外線照射システム。
  6. 前記2枚のディスク単板は、その上部に重りが載せられることを特徴とする請求項3記載の紫外線照射システム。
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