JP2004355718A - ディスク装置、およびトラッキング制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスク装置のトラッキングの安定性を向上させる
【解決手段】トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、ディスクに対する記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルとを有し、トラッキング誤差信号または模擬運動信号のいずれかに対応して、ディスクへのトラッキング制御を行う。即ち、トラッキング誤差信号と模擬運動信号とを使い分けることで、目標トラックへの引き込み処理をより安定して行える。
【選択図】 図1
【解決手段】トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、ディスクに対する記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルとを有し、トラッキング誤差信号または模擬運動信号のいずれかに対応して、ディスクへのトラッキング制御を行う。即ち、トラッキング誤差信号と模擬運動信号とを使い分けることで、目標トラックへの引き込み処理をより安定して行える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光、磁気等を用いてディスクに情報を記録、再生するディスク装置及びトラッキング制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク(CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスク、HD(Hard Disk)などの磁気ディスク、光磁気ディスク等)への情報の記録、再生を行うディスク装置がある。情報の記録、再生はディスクのトラックに対して行われることから、ディスクへの情報の記録、再生の際に、ディスクへの記録再生を行う記録再生部とトラックとのディスク半径方向の相対距離を一定に保つ、いわゆるトラッキングが行われる。
例えば、光ディスクでは、対物レンズによってディスク記録面上にレーザ光を集光させてビームスポットを形成している。そして、ディスクからの戻り光から生成されるトラッキング誤差信号を用いてビームスポットとトラック中心との相対距離を検知して、トラッキングを行っている。即ち、ビームスポットが目標とするトラックに近づくと、トラッキング誤差信号に基づくサーボ動作が開始され、ビームスポットが目標トラックの中心に近づいて行く(引き込み処理)。
【0003】
ところで、この引き込み処理が正常に行われない場合がある。これは、トラックに対するビームスポットの相対速度が大きく、ビームスポットが目標トラックを大きく通り過ぎ(オーバーシュートが大きい)、隣のトラックに突入するような場合に発生する。このとき、ビームスポットは目標トラックに戻ろうとするが、戻りすぎて、逆方向のオーバーシュートが発生し、逆方向の隣のトラックへ突入する。このように、ビームスポットが目標トラックに対して正逆方向にオーバーシュートを繰り返すと引き込み処理が正常に行われない。
引き込み処理が正常に行われないと、対物レンズが暴走し、ディスクへのアクセスに大きな時間を要する可能性がある。また、最悪の場合には対物レンズを駆動するアクチュエータが破損したり、ディスクに衝突したりするおそれもある。
引き込み処理の失敗を回避するために、ビームスポットとトラック中心との相対速度が一定値以下であることを確認してから引き込み処理を開始することが多い。なお、引き込み処理に用いる信号についての技術開発も進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−92901号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ディスクに対する記録再生部の相対速度を精度良く検出するのは必ずしも容易ではない。また、近年のディスクアクセスの高速化への要求からディスクの回転速度の増加が、ディスクの記録密度の高密度化への要求からトラック間隔の狭小化が、それぞれ進められている。従い、トラックへの引き込みが可能な速度範囲が狭められる傾向にあり、サーボ引き込み動作失敗の危険が増してきている。このため、記録再生部がトラックをオーバーシュートしたときの影響を低減することが求められている。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、より安定にトラッキングを行えるディスク装置およびトラッキング方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
A.上記目的を達成するために本発明に係るディスク装置は、情報を記録、再生するディスクを回転させるディスク回転部と、前記ディスク回転部で回転されるディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部と、前記記録再生部を前記ディスクの半径方向に移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動するドライバ回路と、前記ディスクに対する前記記録再生部のトラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、前記ディスクに対する前記記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルと、前記信号発生部から出力されたトラッキング誤差信号または前記モデルから出力された模擬運動信号のいずれかに対応して、前記ドライバ回路を制御する制御信号を出力し、前記記録再生部に前記ディスクへのトラッキングを行わせる制御フィルタと、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るディスク装置は、トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、ディスクに対する記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルとを有し、トラッキング誤差信号または模擬運動信号のいずれかに対応して、ディスクへのトラッキング制御を行うことができる。即ち、トラッキング誤差信号と模擬運動信号とを使い分けることで、記録再生部のディスクのトラックへの引き込み処理をより安定して行うことができる。例えば、トラッキング誤差信号が非線形領域のときに、モデルを用いてより安定に制御を行える。
【0008】
(1)ディスク装置が、前記トラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記変位および速度の少なくともいずれかに基づいて、前記モデルの状態を更新するモデル更新部と、をさらに具備してもよい。
トラッキング誤差信号に基づいてモデルの状態を更新して、モデルを実態と一致させることができる。
このときに、記録再生部が前記ディスクのトラックを横切るときのトラッキング誤差信号を用いることで、記録再生部の変位および速度を精密に算出することができる
【0009】
(2)ディスク装置が、ディスクに対する前記記録再生部の変位または速度の少なくともいずれかに基づいて、前記制御フィルタに入力される信号を前記トラッキング誤差信号と前記模擬運動信号とで切り換える信号切換部、をさらに具備してもよい。
変位または速度の少なくともいずれかに基づいて、トラッキング誤差信号が線形領域であるか、トラッキング誤差信号に基づいて引き込み処理を行えるか否かを判断し、用いる信号を的確に切り換えることができる。
この変位または速度の算出は、トラッキング誤差信号あるいはモデルからの模擬運動信号のいずれかにより行える。
【0010】
B.本発明に係るトラッキング制御方法は、ディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部の移動を開始する移動開始ステップと、前記ディスクに対する前記記録再生部のトラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する誤差信号出力ステップと、前記ディスクに対する前記記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力する模擬運動信号出力ステップと、前記誤差信号出力ステップで出力されたトラッキング誤差信号または前記模擬運動信号出力ステップで出力された模擬運動信号のいずれかに対応して、前記記録再生部に前記ディスクへのトラッキングを行わせる制御ステップと、を具備することを特徴とする。
【0011】
トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号と、ディスクに対する記録再生部の相対運動の模擬運動結果を表わす模擬運動信号のいずれかに対応して、ディスクへのトラッキング制御を行うことができる。これらの信号を使い分けることで、記録再生部のディスクのトラックへの引き込み処理をより安定して行うことができる。
【0012】
ここで、トラッキング制御方法が、前記トラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された前記変位および速度の少なくともいずれかに基づいて、前記モデルの状態を更新するモデル更新ステップと、をさらに具備してもよい。
トラッキング誤差信号に基づいてモデルの状態を更新して、モデルを実態と一致させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置100の構成を表すブロック図である。
光ディスク装置100は、光ディスク110に情報を記録、再生する装置であり、ディスク保持部121,スピンドルモータ122,ヘッド130,プリアンプ141,増幅・演算回路142,A/D変換器143,ディジタルコントローラ150,D/A変換器144,ドライバ回路145を有する。
【0014】
光ディスク110は、ディスク表面111の下層に情報を記録、再生する記録層112を有する。この記録層112には、光ディスク110の回転中心を中心とするリング状のトラックが形成され、情報の記録再生はこのトラックに対して行われる。
ディスク保持部121は,光ディスク110を保持する。
スピンドルモータ122は,ディスク保持部121ひいては光ディスク110を回転させるモータであり、ディスクを回転させるディスク回転部として機能する。
【0015】
ヘッド130は、対物レンズ131、アクチュエータ132、発光素子133、ビームスプリッタ134,受光素子135を有し、光ディスク110の半径方向に全体として図示しない移動機構により移動できる。この移動は発光素子133から光ディスク110に照射されるレーザ光のビームスポットの位置の粗調に用いられる。本実施形態では、この粗調についての詳細は省略するが、粗調は後述するビームスポットの位置の微調とほぼ同様の機構を利用することができる。
【0016】
対物レンズ131は,光ディスク110を対向し、光ディスク110に発光素子133からのレーザ光を集光し、また光ディスク110から反射されたレーザ光を受光素子135に導くためのレンズであり、ディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部として機能する。対物レンズ131から出射したレーザ光が光ディスク110上にビームスポットを形成することで、ディスクへの情報の記録、再生を行える。
アクチュエータ132は,対物レンズ131をヘッド130に対して移動することで、対物レンズ131ひいてはビームスポットを光ディスク110の半径方向(トラックを横切る方法)に移動するための移動機構である。これは前述のヘッド130全体の移動に対して、ビームスポットの位置の微調として位置づけることができる。本実施形態では、この微調についてのトラッキング制御を後述する。
発光素子133には、レーザダイオード(LD)等のレーザ光源を利用できる。
ビームスプリッタ134は、発光素子133からのレーザ光を透過すると共に、光ディスク110からの反射光を反射して光路を変換する。
受光素子135は、フォトディテクタ等の光電変換素子を利用できる。
【0017】
プリアンプ141は,受光素子135から出力された光信号を増幅するアンプである。
増幅・演算回路142は,プリアンプ141で増幅された光信号を増幅、および演算処理することで、光ディスク110上のトラックとビームスポットとの相対距離を表すトラッキング誤差信号を生成する回路であり、トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部として機能する。なお、トラッキング誤差信号の詳細は後述する。
A/D変換器143は,増幅・演算回路142から出力されたトラッキング誤差信号をディジタル信号へと変換する。
ディジタルコントローラ150は,ディジタル化されたトラッキング誤差信号を入力して、アクチュエータ132を動作するための制御信号をディジタル出力する制御装置である。なお、この詳細は後述する。
D/A変換器144は,ディジタルコントローラ150から出力された制御信号をアナログの電圧値に変換する。
ドライバ回路145は、D/A変換器144から出力された電圧値に応じた電流値をアクチュエータ132に出力する。
【0018】
(トラッキング誤差信号の詳細)
ここでは、ディジタルコントローラ150の詳細を説明するに先だって、トラッキング誤差信号(「トラッキングエラー信号」、「サーボ誤差信号」ともいう)の詳細を説明する。
光ディスク装置100では、光ディスク110からの反射光から生成されたトラッキング誤差信号を用いて、トラッキングサーボを行う。この結果、光ディスク110の偏心などに起因して、トラックがディスク半径方向に変位した場合でも、光ディスク110上のトラックと対物レンズ131との相対距離が一定誤差範囲内に保たれる。
【0019】
トラッキング誤差信号は、位相差検出法あるいはプッシュプル法などを用いて生成できる。位相差検出法(Differential Phase Detection)では、受光素子135を4分割し、4分割された受光素子135からの信号出力を演算することで、トラッキング誤差信号が生成される。また、プッシュプル法では、受光素子135を2分割して、プッシュプル演算処理することで、トラッキング誤差信号が生成される。
【0020】
図2は、光ディスク110のトラックの中心Cとトラッキング誤差信号の対応関係を表す模式図である。
トラッキング誤差信号は、一般にトラックの中心CとビームスポットBSとの相対距離に対してサイン関数の形状となる。ビームスポットBSがトラック中心Cの近傍にあるとき、トラッキング誤差信号はこの相対距離に比例する(線形領域)。しかし、ビームスポットBSがトラック中心Cから半トラック離れると、光学干渉の関係で、トラッキング誤差信号はビームスポットBSとの相対距離との変化とは逆の傾きを持つ(非線形領域)。ビームスポットBSが隣接するトラックに至ると、再び線形なトラッキング誤差信号が得られる。
このように、トラッキング誤差信号は、トラック中心Cからある範囲内の線形領域でのみビームスポットBSとの相対距離を正しく反映する。このため、基本的には、この線形領域内で目標トラックへのサーボ引き込みを完結させることが求められる。
【0021】
図3はサーボ動作中における、ビームスポットBSの変位とトラッキング誤差信号の関係を表す図である。時間と共にビームスポットBSが移動し、各トラックのトラック中心Cに近づく。なお、本来は光ディスク110の偏心の影響で絶対位置も変動するが、この例では話しを判りやすくするために、光ディスク110の中心からトラックまでの距離を固定している。
トラッキング誤差信号はビームスポットBSが光ディスク110のトラックを横切るごとに位相が360°変化するサイン波で表される。このサイン波は、ビームスポットBSがトラックを横切る速度が速いときは周波数が高く、遅いときは周波数が低くなる。即ち、トラッキング誤差信号の強度でビームスポットBSの相対変位をトラッキング誤差信号の周波数でビームスポットBSの相対速度が表される。
【0022】
以上から判るように、トラッキング誤差信号からビームスポットBS(対物レンズ131)の変位y、速度vを求めることができる。
変位yは、式(1)に示すようにトラッキング誤差信号の強度Pから算出できる。
y= P/P0・D/2 ……式(1)
ここで、
P0:トラッキング誤差信号の振幅(最大強度)
D:トラック間の距離
である。
また、ビームスポットBSが複数のトラックを横切って移動するときの変位yは、次の式(2)により算出
y=m・D + P/P0・D/2 ……式(2)
ここで、 m:ビームスポットBSがトラックを横切った数 である。
【0023】
図2,3から判るように、式(1)、(2)は、トラッキング誤差信号が線形領域にあるときにのみ適用できる。特にビームスポットBSがトラックの中心近傍のときに(トラッキング誤差信号がゼロ近傍のときに)、式(1)、(2)から算出される変位yの精度が良好となる。ビームスポットBSがトラックの中心近傍のときに、トラッキング誤差信号の形状が直線に近いからである。
【0024】
ビームスポットBS(対物レンズ131)の速度vは、次の式(3)に基づき、トラッキング誤差信号の周波数f、トラック間距離Dから算出できる。
v=D・f ……式(3)
また、変位ynの測定が連続的に行われる場合、速度vは次の式(4)に基づき、今回測定された変位ynと前回測定された変位y(n−1)との差から算出することも可能である。
v=[yn−y(n−1)]/Δt ……式(4)
ここで、 Δt:前回と今回の時刻の差 である。
式(1)、(2)と同様に、ビームスポットBSがトラックの中心近傍のときに、式(3)、(4)から算出される速度vの精度が良好となる。
【0025】
なお、ビームスポットBSが、目標トラックを越えて線形領域外に出た場合に対物レンズ131に逆方向への力を加えるBang−Bang的な動作を行って、非線形領域での抑止力とすることが考えられる。しかし、ビームスポットBSが目標トラックに近接する時の相対速度が大きい場合には、十分なブレーキをかけることができない。これは、線形領域とブレーキ領域である非線形領域の混在する制御系において、相対的に非線形領域の占める割合が大きくなることにより起こる。すなわち、線形領域で、変位、速度、加速度の情報履歴が十分に蓄積できないため、効果的なブレーキをかけることができない。
【0026】
非線形領域でもうまく減速をかけるために、飛び出した速度に応じてブレーキをかける方法がある。具体的には、ブレーキパルス幅や振幅を速度の関数として与えるなどである。この方法は調整によっては効果的であるが、パルス状のブレーキでは計測速度の変動に対してロバストでなく、また、非パルス状の任意波形を用いたブレーキでは、調整のための指針が得にくく、調整が困難である。
【0027】
(ディジタルコントローラ150の詳細)
前述のように、トラッキング誤差信号には、トラックとビームスポットとの相対距離と信号の強度とが対応しない非線形領域がある。ディジタルコントローラ150は、この非線形領域のダイナミクスを模擬するモデルを有し、トラッキング誤差信号が非線形領域の場合(あるいは、トラッキング誤差信号による引き込み処理が行えない場合)には、実際のトラッキング誤差信号に換えてそのモデルからの出力に基づくトラッキング制御(いわば、疑似的なセンサ出力に基づくトラッキング制御)を可能とする。
【0028】
ディジタルコントローラ150は、スイッチ151,制御フィルタ153,モデル154,帰還部155を有する。
スイッチ151は、ディジタルコントローラ150の動作を実測制御側、モデル制御側とで切換える切換手段である。即ち、スイッチ151は、A/D変換器143から入力されるトラッキング誤差信号が線形領域、非線形領域のいずれであるか(あるいはトラッキング誤差信号に基づく引き込み処理が可能か否か)を判定する判定手段152を有する。そして、この判定手段152の判定結果に基づき、制御フィルタ153への入力の切換を行う。
【0029】
トラッキング誤差信号が線形領域であると判定されたときには、制御フィルタ153への入力はA/D変換器143からのトラッキング誤差信号となる。トラッキング誤差信号が非線形領域と判定されたときには、制御フィルタ153への入力はモデル154から帰還部155を経由するモデル帰還信号(模擬運動信号に対応)となる。トラッキング誤差信号が線形領域では制御フィルタ153と制御対象たる対物レンズ131が閉ループを構成し、トラッキング誤差信号が非線形領域においては、制御フィルタ153とモデル154とが閉ループを構成する。
【0030】
判定手段152は、実測制御からモデル制御への切換、モデル制御から実測制御への切換を異なる基準に基づいて行うこともできる。例えば、トラッキング誤差信号が線形領域から外れたときに実測制御からモデル制御への切換を行い、実測制御による引き込み処理が可能と判断したときにモデル制御から実測制御への切換を行うことができる。
【0031】
既述のように、線形領域であるか否かはビームスポットBSとトラックの中心との距離、即ち変位yによって判断できる。例えば、変位yが目標トラックの中心からトラック間距離Dの1/2以内のときに線形領域と判断し、変位yが目標トラックの中心からトラック間距離Dの1/2を越えたときに非線形領域と判断することができる。
また、トラッキング誤差信号の傾きとビームスポットの移動方向との対応関係によって、線形領域か否かを判断することもできる。ビームスポットの移動方向が同一の場合、線形領域と非線形領域では、トラッキング誤差信号の傾きの正負が異なるからである。
【0032】
引き込み処理が可能か否かは、線形領域であることに加えて、速度vの大きさが所定値v0より小さいか否かによって判断できる。ビームスポットの速度vが大きいと、引き込み処理中にビームスポットが線形領域を越え、大きなオーバーシュートが生じ易くなる。この場合には、ビームスポットが目標トラックの付近で振動し、目標トラックに到達できない(引き込み処理が失敗する)可能性が生じる。
以上のように、線形領域であり、かつ速度vが所定値v0以下である場合に引き込み処理可能と判断することができる。
【0033】
線形領域から外れたとき(非線形領域のとき)にモデル制御を開始し、引き込み処理可能と判断したときに実測制御を開始する場合を示したが、これに換えて他の基準を採用することも可能である。例えば、引き込み処理不能と判断したときにモデル制御を開始し、引き込み処理可能と判断したときに実測制御を開始することもできる。また、線形領域から外れたときにモデル制御を開始し、線形領域に入ったときに実測制御を開始することもできる。
以上のように、ビームスポットの変位y、速度v、さらには他のパラメータを用いて、実測制御とモデル制御の切換条件を種々に設定することができる。また、この変位y、速度vには、トラッキング誤差信号を用いて計測された変位、速度、モデル154で算出された変位、速度を適宜に切り換えて用いることができる。
【0034】
制御フィルタ153は、これらの閉ループによるサーボ制御の安定化のための演算手段である。例えば、トラッキング誤差信号(あるいは、モデル154からの出力)から必要な周波数成分を抽出(強調)し、減衰することで、アクチュエータ132による対物レンズ131の駆動に適した制御信号を出力する。トラッキング誤差信号がゼロ、すなわちビームスポットが光ディスク110の目標トラックの中心Cに追従するように制御される。
周波数成分の抽出としては、トラッキング誤差信号から高周波成分(ノイズ)を除去するためのローパスフィルタリング処理が挙げられる。
【0035】
制御フィルタ153はDSP(ディジタルシグナルプロセッサ: Digital Signal Processor)を用いたデジタルフィルタ回路として構成できる。DSPによる数値演算によって制御フィルタ演算が実行される。
なお、制御フィルタ153による処理は、実測制御、モデル制御それぞれに適するように、切換の際に変更することも可能であるが、実測制御、モデル制御で同様の処理を行わせても差し支えない。
【0036】
モデル154は、アクチュエータ132により対物レンズ131が駆動されるときの実際の動作(実ダイナミクス)をシミュレーションし、その結果(ビームスポットBSの変位)を出力する。
モデル154はDSP(ディジタルシグナルプロセッサ: Digital Signal Processor)を用いたデジタルフィルタ回路として構成できる。DSPによる数値演算によってモデル演算が実行される。
【0037】
モデル154でのモデル演算の内容は例えば、次の式(10)のような数式で表現できる。
Y(S)=[K/(S2+2・ξ・ωn・S+ωn 2)]・U(S)……式(10)
ここで、
y:変位(ビームスポットBSと目標トラック中心Cの相対距離)
K:入力感度
ξ:減衰係数
ωn:固有振動数
S:ラプラス変数
u:入力(例えば、アクチュエータ132に印加される電流)
Y(S):yをラプラス変換したもの
U(S):uをラプラス変換したもの
である。
【0038】
入力感度K、減衰係数ξ、固有振動数ωnは、定数であり、例えば、対物レンズ131の実際の動作に基づいて定めることができる。入力uは、例えば、アクチュエータ132に印加される電流ないし、制御信号として制御フィルタ153からD/A変換器144に出力される電圧値である。入力感度Kは、この入力uが変位yに与える影響を表すファクタであり、アクチュエータ132によって対物レンズ131を移動させたときの移動状態に基づいて定めることができる。以上のように、入力感度K、減衰係数ξ、固有振動数ωn、入力感度Kは、対物レンズ131の実際の動作に合致するように、適宜に変更、調整することが可能である。
【0039】
ラプラス変数Sが微分演算を意味することから、式(1)は変位yの2階微分方程式(S・y、S2・yがそれぞれ、速度、加速度)を意味する。この2階微分方程式では、初期値として変位、速度を与えることで、時間に応じて変化する変位を算出できる。即ち、モデル154は変位・速度を状態量として持つフィルタである。変位、速度の初期値は既述のようにトラッキング誤差信号から求めることができる。
【0040】
(光ディスク装置100のトラッキング動作)
図4は光ディスク装置100でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。また、図5は光ディスク装置100のトラッキング動作の際のビームスポットの軌跡(図5(A))、トラッキング誤差信号(図5(B))、制御フィルタ153への入力(図5(C))を対比して表す図である。以下、図4,5に基づき光ディスク装置100のトラッキング動作を説明する。
【0041】
(1)ヘッド130の移動開始(ステップS101)
目標トラックの中心に向かいヘッド130が移動を開始する。ヘッド130が移動することは、対物レンズ131、ひいてはビームスポットBSの移動を意味する。既述のように、この移動はビームスポットの位置の粗調に対応する。このヘッド130の移動もトラッキングのためのものであり、トラッキング中にサーボ制御が行われる。
本実施形態では、ヘッド130の全体的な移動についてはこれ以上説明しないが、以下のステップにおいてもヘッド130は適宜にサーボ制御で移動されているものとする。
【0042】
(2)対物レンズ131の移動開始(ステップS102)
アクチュエータ132により、目標トラックの中心に向かい対物レンズ131が移動を開始する。対物レンズ131の移動に伴って、ビームスポットBSも移動する。既述のように、この対物レンズ131の移動は、ヘッド130の全体的な移動に対して、位置の微調を意味する。
以後のサーボ制御の説明は、この微調のための制御を意味するものとする。
【0043】
(3)サーボ動作の開始(ステップS103、図5の時刻t1)
ビームスポットが、目標トラックの中心を通過することで、対物レンズ131の移動のサーボ制御が開始される。即ち、A/D変換器143から入力されるトラッキング誤差信号に基づくフィードバック処理が開始される。
【0044】
(4)トラッキング誤差信号が線形領域か否かが判断される(ステップS104)。
この判断は、既述のように、変位yがトラック間距離Dの1/2以内か否かによって行える。また、「線形領域か否か」に換えて他の基準、例えば、「引き込み処理が可能か否か」を適用してもよい。
【0045】
(5)ステップS103で線形領域でないと判断された場合、スイッチ151がモデル制御側に切り替わりモデル154によるフィードバック処理が開始される(ステップS105、図5の時刻t2)。図5では、時刻t2でオーバーシュートが発生することで、線形領域から外れている。
この切換の際に、トラッキング誤差信号から算出された変位y、速度vが初期値としてモデル154に入力され、モデル154によるビームスポットの変位の経時的な算出が可能となる。なお、モデル154が動作を開始した後は、モデル154自身で算出した変位y、速度vに基づき、変位の時間的な変化が算出される。
【0046】
(6)モデル154による処理が行われているときには、モデル154によるモデル演算(ステップS106)、モデル154からの出力に基づく制御フィルタ153による制御フィルタ演算(ステップS107)が繰り返し行われる(図5の時刻t2〜t3)。
このときのモデル154からの出力は図5(B)に示すように、実際のビームスポットBSの軌跡と対応する。制御フィルタ153への入力はトラッキング誤差信号から、モデル154からの出力に切り替わっている。この入力は、図5(C)に示すように、トラッキング誤差信号の出力範囲を仮想的に広げた(相対変位の測定範囲を広げた)挙動を示す。
モデル154からの出力に基づく制御フィルタ153からの制御フィルタ演算出力によって、アクチュエータ132が駆動され、一旦オーバーシュートしたビームスポットBSが再び目標トラックの中心Cに近づいて行くことになる。
【0047】
1)モデル制御処理中に、引き込み処理が可能か否かが判断される(ステップS109)。既述のように、この判断は、トラッキング誤差信号に基づく制御によってビームスポットBSの位置を目標トラックの中心に収束してゆくことが可能か否かであり、変位yおよび速度vによって引き込み可能か否かを判断できる。なお、「引き込み処理が可能か否か」に換えて他の基準、例えば、「線形領域か否か」を適用してもよい。
【0048】
2)モデル制御処理中に、モデル制御が一定時間を越えて行われているかが判断される(ステップS108)。これは、何らかの理由でいつまでもステップS110での判断が「引き込み可能」とならない場合に、退避・リトライ処理を行うためである(ステップS110)。
退避・リトライ処理では、例えばサーボ動作を一旦解除して、ステップS103から再開される。なお、退避・リトライ処理では、モデル154への実測値の再入力等の他の処理も可能である。
【0049】
(7)ステップS109で「引き込み可能」と判断された場合、スイッチ151が実測制御側に切り替わり、トラッキング誤差信号によるフィードバック処理(引き込み処理)が開始される(ステップS111、図5の時刻t3)。
このときには、「引き込み可能」と判断されていることから、速度vが時刻t1のときよりも小さく、従いオーバーシュートを生じにくいことが期待できる。
【0050】
(8)実測制御による引き込み処理が行われているときには、トラッキング誤差信号に基づく制御フィルタ153の制御フィルタ演算(ステップS113)が繰り返し行われる(図5の時刻t3〜t4)。トラッキング誤差信号に基づく制御フィルタ153の出力によって、アクチュエータ132を駆動し、ビームスポットBSを目標トラックの中心Cに近づけて行く。
【0051】
1)実測制御による引き込み処理中、一定時間毎に引き込みが成功したか否かがが判断される(ステップS114,S115)。引き込み処理が失敗した場合に、退避・リトライ処理を行うためである(ステップS111)。
引き込み処理の成功、不成功は、例えば、変位y(目標トラックの中心とビームスポットとの距離)が所定範囲(制御誤差)以内か否かで判断できる。
退避・リトライ処理では、例えばサーボ動作が一旦解除された後にステップS103からサーボ動作が再開される。
【0052】
2)実測制御による引き込み処理中に、線形領域内か否かが判断される(ステップS104)。そして、このステップS104で、線形領域を出たと判断された場合、スイッチ151がモデル制御側に切り替わりモデル154によるフィードバック処理が再開される(ステップS105)。
【0053】
以上説明したように本実施形態によれば、ヘッド130(対物レンズ131)とメディア(光ディスク110)におけるサーボ引き込み動作において、トラッキング誤差信号の非線形領域でのビームスポットの挙動をモデル154による内部演算で補間している。その結果、サーボ動作が開始されるとき(時刻t1)での相対速度範囲が大きくても引き込み処理が可能となり、リミットサイクル(ビームスポットの振動、暴走)を回避できる。また、より短時間でサーボ引き込み動作を完了することが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置200の構成を表すブロック図である。
光ディスク装置100のようなモデル154に基づく制御手法は、モデルと実物との偏差がある場合に安定性を保証できない可能性がある。このため、本実施形態ではモデルと実物との偏差を最小化するようなフィードバックを用いる。
【0055】
光ディスク装置200では、ディジタルコントローラ250にモデル状態再設定部251が設けられている。
モデル状態再設定部251は、トラッキング誤差信号から得られた変位y、速度vに基づき、モデル154の状態の再設定を行うものであり、モデルの状態を更新するモデル更新部およびトラッキング誤差信号に基づき変位y、速度vを算出する算出部として機能する。なお、トラッキング誤差信号に基づく変位y、速度vの算出は、他で行っても差し支えない。
【0056】
モデル154の状態の再設定は、必ずしも変位y、速度vの双方について行う必要はなく、どちらか一方のみをフィードバックすることも可能である。一方のみのフィードバックでもモデル154の状態を実際の動作に近づけることが可能となる。
既述のように、変位y、速度vはトラッキング誤差信号から式(1)〜(4)に基づき算出可能である。この算出には、トラックをビームスポットが横切るときのトラッキング誤差信号を用いるのが、変位y、速度vを正確に算出する上で好ましい。
その他の構成は、第1の実施形態と本質的に相違する訳ではないので説明を省略する。
【0057】
(光ディスク装置200のトラッキング動作)
図7は光ディスク装置200でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。以下、図7に基づき光ディスク装置200のトラッキング動作を説明する。
ここでは、モデル154による処理が行われているときに、モデル状態再設定部251によりモデル154の状態の再設定が行われる(ステップS201〜S203)。
即ち、トラッキング誤差信号から変位、速度を算出し(ステップS201)、ビームスポットBSがトラックの中心を横切ったと判断されたときに(ステップS202)、モデル154への変位、速度の再設定が行われる(ステップS203)。これは、トラックを横切る瞬間に最も信頼のおける変位、速度が測定できるためである。
モデル154に正確な変位、速度が設定されるため、モデル154からの出力の信頼性を確保することができる。なお、変位、速度のいずれかのみを再設定してもよい。
その他の動作では、第1の実施形態と本質的に相違する訳ではないので説明を省略する。
【0058】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は既述の実施形態には限られず、拡張、変更できる。拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、光ディスクの対物レンズの移動についてモデルによる制御を適用したが、ヘッド全体の移動についてモデルによる制御を適用することが可能である。
また、光ディスクのトラッキングサーボ引き込みに限らず、磁気ディスク、光磁気ディスク等種々のディスク(メディア)へのトラッキング引き込み動作にモデルによる制御を適用できる。メディアに対するヘッドの相対速度、初期変位、さらには変位検出の非線形性等の関係で、サーボ引き込みに困難性が生じる場合に、モデル制御を適用して、サーボ引き込みを容易にすることが可能となる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、より安定にトラッキングを行えるディスク装置およびトラッキング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を表すブロック図である。
【図2】光ディスクのトラックの中心とトラッキング誤差信号の対応関係を表す模式図である。
【図3】サーボ動作中における、ビームスポットの変位とトラッキング誤差信号の関係を表す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置のトラッキング動作の際のビームスポットの軌跡、トラッキング誤差信号、制御フィルタへの入力を対比して表す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置の構成を表すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。
【符号の説明】
100…光ディスク装置、110…光ディスク、111…ディスク表面、112…記録層、121…ディスク保持部、122…スピンドルモータ、130…ヘッド、131…対物レンズ、132…アクチュエータ、133…発光素子、134…ビームスプリッタ、135…受光素子、141…プリアンプ、142…増幅・演算回路、143…A/D変換器、144…D/A変換器、145…ドライバ回路、150…ディジタルコントローラ、151…スイッチ、152…判定手段、153…制御フィルタ、154…モデル、155…帰還部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光、磁気等を用いてディスクに情報を記録、再生するディスク装置及びトラッキング制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク(CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスク、HD(Hard Disk)などの磁気ディスク、光磁気ディスク等)への情報の記録、再生を行うディスク装置がある。情報の記録、再生はディスクのトラックに対して行われることから、ディスクへの情報の記録、再生の際に、ディスクへの記録再生を行う記録再生部とトラックとのディスク半径方向の相対距離を一定に保つ、いわゆるトラッキングが行われる。
例えば、光ディスクでは、対物レンズによってディスク記録面上にレーザ光を集光させてビームスポットを形成している。そして、ディスクからの戻り光から生成されるトラッキング誤差信号を用いてビームスポットとトラック中心との相対距離を検知して、トラッキングを行っている。即ち、ビームスポットが目標とするトラックに近づくと、トラッキング誤差信号に基づくサーボ動作が開始され、ビームスポットが目標トラックの中心に近づいて行く(引き込み処理)。
【0003】
ところで、この引き込み処理が正常に行われない場合がある。これは、トラックに対するビームスポットの相対速度が大きく、ビームスポットが目標トラックを大きく通り過ぎ(オーバーシュートが大きい)、隣のトラックに突入するような場合に発生する。このとき、ビームスポットは目標トラックに戻ろうとするが、戻りすぎて、逆方向のオーバーシュートが発生し、逆方向の隣のトラックへ突入する。このように、ビームスポットが目標トラックに対して正逆方向にオーバーシュートを繰り返すと引き込み処理が正常に行われない。
引き込み処理が正常に行われないと、対物レンズが暴走し、ディスクへのアクセスに大きな時間を要する可能性がある。また、最悪の場合には対物レンズを駆動するアクチュエータが破損したり、ディスクに衝突したりするおそれもある。
引き込み処理の失敗を回避するために、ビームスポットとトラック中心との相対速度が一定値以下であることを確認してから引き込み処理を開始することが多い。なお、引き込み処理に用いる信号についての技術開発も進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−92901号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ディスクに対する記録再生部の相対速度を精度良く検出するのは必ずしも容易ではない。また、近年のディスクアクセスの高速化への要求からディスクの回転速度の増加が、ディスクの記録密度の高密度化への要求からトラック間隔の狭小化が、それぞれ進められている。従い、トラックへの引き込みが可能な速度範囲が狭められる傾向にあり、サーボ引き込み動作失敗の危険が増してきている。このため、記録再生部がトラックをオーバーシュートしたときの影響を低減することが求められている。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、より安定にトラッキングを行えるディスク装置およびトラッキング方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
A.上記目的を達成するために本発明に係るディスク装置は、情報を記録、再生するディスクを回転させるディスク回転部と、前記ディスク回転部で回転されるディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部と、前記記録再生部を前記ディスクの半径方向に移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動するドライバ回路と、前記ディスクに対する前記記録再生部のトラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、前記ディスクに対する前記記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルと、前記信号発生部から出力されたトラッキング誤差信号または前記モデルから出力された模擬運動信号のいずれかに対応して、前記ドライバ回路を制御する制御信号を出力し、前記記録再生部に前記ディスクへのトラッキングを行わせる制御フィルタと、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るディスク装置は、トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、ディスクに対する記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルとを有し、トラッキング誤差信号または模擬運動信号のいずれかに対応して、ディスクへのトラッキング制御を行うことができる。即ち、トラッキング誤差信号と模擬運動信号とを使い分けることで、記録再生部のディスクのトラックへの引き込み処理をより安定して行うことができる。例えば、トラッキング誤差信号が非線形領域のときに、モデルを用いてより安定に制御を行える。
【0008】
(1)ディスク装置が、前記トラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記変位および速度の少なくともいずれかに基づいて、前記モデルの状態を更新するモデル更新部と、をさらに具備してもよい。
トラッキング誤差信号に基づいてモデルの状態を更新して、モデルを実態と一致させることができる。
このときに、記録再生部が前記ディスクのトラックを横切るときのトラッキング誤差信号を用いることで、記録再生部の変位および速度を精密に算出することができる
【0009】
(2)ディスク装置が、ディスクに対する前記記録再生部の変位または速度の少なくともいずれかに基づいて、前記制御フィルタに入力される信号を前記トラッキング誤差信号と前記模擬運動信号とで切り換える信号切換部、をさらに具備してもよい。
変位または速度の少なくともいずれかに基づいて、トラッキング誤差信号が線形領域であるか、トラッキング誤差信号に基づいて引き込み処理を行えるか否かを判断し、用いる信号を的確に切り換えることができる。
この変位または速度の算出は、トラッキング誤差信号あるいはモデルからの模擬運動信号のいずれかにより行える。
【0010】
B.本発明に係るトラッキング制御方法は、ディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部の移動を開始する移動開始ステップと、前記ディスクに対する前記記録再生部のトラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する誤差信号出力ステップと、前記ディスクに対する前記記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力する模擬運動信号出力ステップと、前記誤差信号出力ステップで出力されたトラッキング誤差信号または前記模擬運動信号出力ステップで出力された模擬運動信号のいずれかに対応して、前記記録再生部に前記ディスクへのトラッキングを行わせる制御ステップと、を具備することを特徴とする。
【0011】
トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号と、ディスクに対する記録再生部の相対運動の模擬運動結果を表わす模擬運動信号のいずれかに対応して、ディスクへのトラッキング制御を行うことができる。これらの信号を使い分けることで、記録再生部のディスクのトラックへの引き込み処理をより安定して行うことができる。
【0012】
ここで、トラッキング制御方法が、前記トラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された前記変位および速度の少なくともいずれかに基づいて、前記モデルの状態を更新するモデル更新ステップと、をさらに具備してもよい。
トラッキング誤差信号に基づいてモデルの状態を更新して、モデルを実態と一致させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置100の構成を表すブロック図である。
光ディスク装置100は、光ディスク110に情報を記録、再生する装置であり、ディスク保持部121,スピンドルモータ122,ヘッド130,プリアンプ141,増幅・演算回路142,A/D変換器143,ディジタルコントローラ150,D/A変換器144,ドライバ回路145を有する。
【0014】
光ディスク110は、ディスク表面111の下層に情報を記録、再生する記録層112を有する。この記録層112には、光ディスク110の回転中心を中心とするリング状のトラックが形成され、情報の記録再生はこのトラックに対して行われる。
ディスク保持部121は,光ディスク110を保持する。
スピンドルモータ122は,ディスク保持部121ひいては光ディスク110を回転させるモータであり、ディスクを回転させるディスク回転部として機能する。
【0015】
ヘッド130は、対物レンズ131、アクチュエータ132、発光素子133、ビームスプリッタ134,受光素子135を有し、光ディスク110の半径方向に全体として図示しない移動機構により移動できる。この移動は発光素子133から光ディスク110に照射されるレーザ光のビームスポットの位置の粗調に用いられる。本実施形態では、この粗調についての詳細は省略するが、粗調は後述するビームスポットの位置の微調とほぼ同様の機構を利用することができる。
【0016】
対物レンズ131は,光ディスク110を対向し、光ディスク110に発光素子133からのレーザ光を集光し、また光ディスク110から反射されたレーザ光を受光素子135に導くためのレンズであり、ディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部として機能する。対物レンズ131から出射したレーザ光が光ディスク110上にビームスポットを形成することで、ディスクへの情報の記録、再生を行える。
アクチュエータ132は,対物レンズ131をヘッド130に対して移動することで、対物レンズ131ひいてはビームスポットを光ディスク110の半径方向(トラックを横切る方法)に移動するための移動機構である。これは前述のヘッド130全体の移動に対して、ビームスポットの位置の微調として位置づけることができる。本実施形態では、この微調についてのトラッキング制御を後述する。
発光素子133には、レーザダイオード(LD)等のレーザ光源を利用できる。
ビームスプリッタ134は、発光素子133からのレーザ光を透過すると共に、光ディスク110からの反射光を反射して光路を変換する。
受光素子135は、フォトディテクタ等の光電変換素子を利用できる。
【0017】
プリアンプ141は,受光素子135から出力された光信号を増幅するアンプである。
増幅・演算回路142は,プリアンプ141で増幅された光信号を増幅、および演算処理することで、光ディスク110上のトラックとビームスポットとの相対距離を表すトラッキング誤差信号を生成する回路であり、トラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部として機能する。なお、トラッキング誤差信号の詳細は後述する。
A/D変換器143は,増幅・演算回路142から出力されたトラッキング誤差信号をディジタル信号へと変換する。
ディジタルコントローラ150は,ディジタル化されたトラッキング誤差信号を入力して、アクチュエータ132を動作するための制御信号をディジタル出力する制御装置である。なお、この詳細は後述する。
D/A変換器144は,ディジタルコントローラ150から出力された制御信号をアナログの電圧値に変換する。
ドライバ回路145は、D/A変換器144から出力された電圧値に応じた電流値をアクチュエータ132に出力する。
【0018】
(トラッキング誤差信号の詳細)
ここでは、ディジタルコントローラ150の詳細を説明するに先だって、トラッキング誤差信号(「トラッキングエラー信号」、「サーボ誤差信号」ともいう)の詳細を説明する。
光ディスク装置100では、光ディスク110からの反射光から生成されたトラッキング誤差信号を用いて、トラッキングサーボを行う。この結果、光ディスク110の偏心などに起因して、トラックがディスク半径方向に変位した場合でも、光ディスク110上のトラックと対物レンズ131との相対距離が一定誤差範囲内に保たれる。
【0019】
トラッキング誤差信号は、位相差検出法あるいはプッシュプル法などを用いて生成できる。位相差検出法(Differential Phase Detection)では、受光素子135を4分割し、4分割された受光素子135からの信号出力を演算することで、トラッキング誤差信号が生成される。また、プッシュプル法では、受光素子135を2分割して、プッシュプル演算処理することで、トラッキング誤差信号が生成される。
【0020】
図2は、光ディスク110のトラックの中心Cとトラッキング誤差信号の対応関係を表す模式図である。
トラッキング誤差信号は、一般にトラックの中心CとビームスポットBSとの相対距離に対してサイン関数の形状となる。ビームスポットBSがトラック中心Cの近傍にあるとき、トラッキング誤差信号はこの相対距離に比例する(線形領域)。しかし、ビームスポットBSがトラック中心Cから半トラック離れると、光学干渉の関係で、トラッキング誤差信号はビームスポットBSとの相対距離との変化とは逆の傾きを持つ(非線形領域)。ビームスポットBSが隣接するトラックに至ると、再び線形なトラッキング誤差信号が得られる。
このように、トラッキング誤差信号は、トラック中心Cからある範囲内の線形領域でのみビームスポットBSとの相対距離を正しく反映する。このため、基本的には、この線形領域内で目標トラックへのサーボ引き込みを完結させることが求められる。
【0021】
図3はサーボ動作中における、ビームスポットBSの変位とトラッキング誤差信号の関係を表す図である。時間と共にビームスポットBSが移動し、各トラックのトラック中心Cに近づく。なお、本来は光ディスク110の偏心の影響で絶対位置も変動するが、この例では話しを判りやすくするために、光ディスク110の中心からトラックまでの距離を固定している。
トラッキング誤差信号はビームスポットBSが光ディスク110のトラックを横切るごとに位相が360°変化するサイン波で表される。このサイン波は、ビームスポットBSがトラックを横切る速度が速いときは周波数が高く、遅いときは周波数が低くなる。即ち、トラッキング誤差信号の強度でビームスポットBSの相対変位をトラッキング誤差信号の周波数でビームスポットBSの相対速度が表される。
【0022】
以上から判るように、トラッキング誤差信号からビームスポットBS(対物レンズ131)の変位y、速度vを求めることができる。
変位yは、式(1)に示すようにトラッキング誤差信号の強度Pから算出できる。
y= P/P0・D/2 ……式(1)
ここで、
P0:トラッキング誤差信号の振幅(最大強度)
D:トラック間の距離
である。
また、ビームスポットBSが複数のトラックを横切って移動するときの変位yは、次の式(2)により算出
y=m・D + P/P0・D/2 ……式(2)
ここで、 m:ビームスポットBSがトラックを横切った数 である。
【0023】
図2,3から判るように、式(1)、(2)は、トラッキング誤差信号が線形領域にあるときにのみ適用できる。特にビームスポットBSがトラックの中心近傍のときに(トラッキング誤差信号がゼロ近傍のときに)、式(1)、(2)から算出される変位yの精度が良好となる。ビームスポットBSがトラックの中心近傍のときに、トラッキング誤差信号の形状が直線に近いからである。
【0024】
ビームスポットBS(対物レンズ131)の速度vは、次の式(3)に基づき、トラッキング誤差信号の周波数f、トラック間距離Dから算出できる。
v=D・f ……式(3)
また、変位ynの測定が連続的に行われる場合、速度vは次の式(4)に基づき、今回測定された変位ynと前回測定された変位y(n−1)との差から算出することも可能である。
v=[yn−y(n−1)]/Δt ……式(4)
ここで、 Δt:前回と今回の時刻の差 である。
式(1)、(2)と同様に、ビームスポットBSがトラックの中心近傍のときに、式(3)、(4)から算出される速度vの精度が良好となる。
【0025】
なお、ビームスポットBSが、目標トラックを越えて線形領域外に出た場合に対物レンズ131に逆方向への力を加えるBang−Bang的な動作を行って、非線形領域での抑止力とすることが考えられる。しかし、ビームスポットBSが目標トラックに近接する時の相対速度が大きい場合には、十分なブレーキをかけることができない。これは、線形領域とブレーキ領域である非線形領域の混在する制御系において、相対的に非線形領域の占める割合が大きくなることにより起こる。すなわち、線形領域で、変位、速度、加速度の情報履歴が十分に蓄積できないため、効果的なブレーキをかけることができない。
【0026】
非線形領域でもうまく減速をかけるために、飛び出した速度に応じてブレーキをかける方法がある。具体的には、ブレーキパルス幅や振幅を速度の関数として与えるなどである。この方法は調整によっては効果的であるが、パルス状のブレーキでは計測速度の変動に対してロバストでなく、また、非パルス状の任意波形を用いたブレーキでは、調整のための指針が得にくく、調整が困難である。
【0027】
(ディジタルコントローラ150の詳細)
前述のように、トラッキング誤差信号には、トラックとビームスポットとの相対距離と信号の強度とが対応しない非線形領域がある。ディジタルコントローラ150は、この非線形領域のダイナミクスを模擬するモデルを有し、トラッキング誤差信号が非線形領域の場合(あるいは、トラッキング誤差信号による引き込み処理が行えない場合)には、実際のトラッキング誤差信号に換えてそのモデルからの出力に基づくトラッキング制御(いわば、疑似的なセンサ出力に基づくトラッキング制御)を可能とする。
【0028】
ディジタルコントローラ150は、スイッチ151,制御フィルタ153,モデル154,帰還部155を有する。
スイッチ151は、ディジタルコントローラ150の動作を実測制御側、モデル制御側とで切換える切換手段である。即ち、スイッチ151は、A/D変換器143から入力されるトラッキング誤差信号が線形領域、非線形領域のいずれであるか(あるいはトラッキング誤差信号に基づく引き込み処理が可能か否か)を判定する判定手段152を有する。そして、この判定手段152の判定結果に基づき、制御フィルタ153への入力の切換を行う。
【0029】
トラッキング誤差信号が線形領域であると判定されたときには、制御フィルタ153への入力はA/D変換器143からのトラッキング誤差信号となる。トラッキング誤差信号が非線形領域と判定されたときには、制御フィルタ153への入力はモデル154から帰還部155を経由するモデル帰還信号(模擬運動信号に対応)となる。トラッキング誤差信号が線形領域では制御フィルタ153と制御対象たる対物レンズ131が閉ループを構成し、トラッキング誤差信号が非線形領域においては、制御フィルタ153とモデル154とが閉ループを構成する。
【0030】
判定手段152は、実測制御からモデル制御への切換、モデル制御から実測制御への切換を異なる基準に基づいて行うこともできる。例えば、トラッキング誤差信号が線形領域から外れたときに実測制御からモデル制御への切換を行い、実測制御による引き込み処理が可能と判断したときにモデル制御から実測制御への切換を行うことができる。
【0031】
既述のように、線形領域であるか否かはビームスポットBSとトラックの中心との距離、即ち変位yによって判断できる。例えば、変位yが目標トラックの中心からトラック間距離Dの1/2以内のときに線形領域と判断し、変位yが目標トラックの中心からトラック間距離Dの1/2を越えたときに非線形領域と判断することができる。
また、トラッキング誤差信号の傾きとビームスポットの移動方向との対応関係によって、線形領域か否かを判断することもできる。ビームスポットの移動方向が同一の場合、線形領域と非線形領域では、トラッキング誤差信号の傾きの正負が異なるからである。
【0032】
引き込み処理が可能か否かは、線形領域であることに加えて、速度vの大きさが所定値v0より小さいか否かによって判断できる。ビームスポットの速度vが大きいと、引き込み処理中にビームスポットが線形領域を越え、大きなオーバーシュートが生じ易くなる。この場合には、ビームスポットが目標トラックの付近で振動し、目標トラックに到達できない(引き込み処理が失敗する)可能性が生じる。
以上のように、線形領域であり、かつ速度vが所定値v0以下である場合に引き込み処理可能と判断することができる。
【0033】
線形領域から外れたとき(非線形領域のとき)にモデル制御を開始し、引き込み処理可能と判断したときに実測制御を開始する場合を示したが、これに換えて他の基準を採用することも可能である。例えば、引き込み処理不能と判断したときにモデル制御を開始し、引き込み処理可能と判断したときに実測制御を開始することもできる。また、線形領域から外れたときにモデル制御を開始し、線形領域に入ったときに実測制御を開始することもできる。
以上のように、ビームスポットの変位y、速度v、さらには他のパラメータを用いて、実測制御とモデル制御の切換条件を種々に設定することができる。また、この変位y、速度vには、トラッキング誤差信号を用いて計測された変位、速度、モデル154で算出された変位、速度を適宜に切り換えて用いることができる。
【0034】
制御フィルタ153は、これらの閉ループによるサーボ制御の安定化のための演算手段である。例えば、トラッキング誤差信号(あるいは、モデル154からの出力)から必要な周波数成分を抽出(強調)し、減衰することで、アクチュエータ132による対物レンズ131の駆動に適した制御信号を出力する。トラッキング誤差信号がゼロ、すなわちビームスポットが光ディスク110の目標トラックの中心Cに追従するように制御される。
周波数成分の抽出としては、トラッキング誤差信号から高周波成分(ノイズ)を除去するためのローパスフィルタリング処理が挙げられる。
【0035】
制御フィルタ153はDSP(ディジタルシグナルプロセッサ: Digital Signal Processor)を用いたデジタルフィルタ回路として構成できる。DSPによる数値演算によって制御フィルタ演算が実行される。
なお、制御フィルタ153による処理は、実測制御、モデル制御それぞれに適するように、切換の際に変更することも可能であるが、実測制御、モデル制御で同様の処理を行わせても差し支えない。
【0036】
モデル154は、アクチュエータ132により対物レンズ131が駆動されるときの実際の動作(実ダイナミクス)をシミュレーションし、その結果(ビームスポットBSの変位)を出力する。
モデル154はDSP(ディジタルシグナルプロセッサ: Digital Signal Processor)を用いたデジタルフィルタ回路として構成できる。DSPによる数値演算によってモデル演算が実行される。
【0037】
モデル154でのモデル演算の内容は例えば、次の式(10)のような数式で表現できる。
Y(S)=[K/(S2+2・ξ・ωn・S+ωn 2)]・U(S)……式(10)
ここで、
y:変位(ビームスポットBSと目標トラック中心Cの相対距離)
K:入力感度
ξ:減衰係数
ωn:固有振動数
S:ラプラス変数
u:入力(例えば、アクチュエータ132に印加される電流)
Y(S):yをラプラス変換したもの
U(S):uをラプラス変換したもの
である。
【0038】
入力感度K、減衰係数ξ、固有振動数ωnは、定数であり、例えば、対物レンズ131の実際の動作に基づいて定めることができる。入力uは、例えば、アクチュエータ132に印加される電流ないし、制御信号として制御フィルタ153からD/A変換器144に出力される電圧値である。入力感度Kは、この入力uが変位yに与える影響を表すファクタであり、アクチュエータ132によって対物レンズ131を移動させたときの移動状態に基づいて定めることができる。以上のように、入力感度K、減衰係数ξ、固有振動数ωn、入力感度Kは、対物レンズ131の実際の動作に合致するように、適宜に変更、調整することが可能である。
【0039】
ラプラス変数Sが微分演算を意味することから、式(1)は変位yの2階微分方程式(S・y、S2・yがそれぞれ、速度、加速度)を意味する。この2階微分方程式では、初期値として変位、速度を与えることで、時間に応じて変化する変位を算出できる。即ち、モデル154は変位・速度を状態量として持つフィルタである。変位、速度の初期値は既述のようにトラッキング誤差信号から求めることができる。
【0040】
(光ディスク装置100のトラッキング動作)
図4は光ディスク装置100でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。また、図5は光ディスク装置100のトラッキング動作の際のビームスポットの軌跡(図5(A))、トラッキング誤差信号(図5(B))、制御フィルタ153への入力(図5(C))を対比して表す図である。以下、図4,5に基づき光ディスク装置100のトラッキング動作を説明する。
【0041】
(1)ヘッド130の移動開始(ステップS101)
目標トラックの中心に向かいヘッド130が移動を開始する。ヘッド130が移動することは、対物レンズ131、ひいてはビームスポットBSの移動を意味する。既述のように、この移動はビームスポットの位置の粗調に対応する。このヘッド130の移動もトラッキングのためのものであり、トラッキング中にサーボ制御が行われる。
本実施形態では、ヘッド130の全体的な移動についてはこれ以上説明しないが、以下のステップにおいてもヘッド130は適宜にサーボ制御で移動されているものとする。
【0042】
(2)対物レンズ131の移動開始(ステップS102)
アクチュエータ132により、目標トラックの中心に向かい対物レンズ131が移動を開始する。対物レンズ131の移動に伴って、ビームスポットBSも移動する。既述のように、この対物レンズ131の移動は、ヘッド130の全体的な移動に対して、位置の微調を意味する。
以後のサーボ制御の説明は、この微調のための制御を意味するものとする。
【0043】
(3)サーボ動作の開始(ステップS103、図5の時刻t1)
ビームスポットが、目標トラックの中心を通過することで、対物レンズ131の移動のサーボ制御が開始される。即ち、A/D変換器143から入力されるトラッキング誤差信号に基づくフィードバック処理が開始される。
【0044】
(4)トラッキング誤差信号が線形領域か否かが判断される(ステップS104)。
この判断は、既述のように、変位yがトラック間距離Dの1/2以内か否かによって行える。また、「線形領域か否か」に換えて他の基準、例えば、「引き込み処理が可能か否か」を適用してもよい。
【0045】
(5)ステップS103で線形領域でないと判断された場合、スイッチ151がモデル制御側に切り替わりモデル154によるフィードバック処理が開始される(ステップS105、図5の時刻t2)。図5では、時刻t2でオーバーシュートが発生することで、線形領域から外れている。
この切換の際に、トラッキング誤差信号から算出された変位y、速度vが初期値としてモデル154に入力され、モデル154によるビームスポットの変位の経時的な算出が可能となる。なお、モデル154が動作を開始した後は、モデル154自身で算出した変位y、速度vに基づき、変位の時間的な変化が算出される。
【0046】
(6)モデル154による処理が行われているときには、モデル154によるモデル演算(ステップS106)、モデル154からの出力に基づく制御フィルタ153による制御フィルタ演算(ステップS107)が繰り返し行われる(図5の時刻t2〜t3)。
このときのモデル154からの出力は図5(B)に示すように、実際のビームスポットBSの軌跡と対応する。制御フィルタ153への入力はトラッキング誤差信号から、モデル154からの出力に切り替わっている。この入力は、図5(C)に示すように、トラッキング誤差信号の出力範囲を仮想的に広げた(相対変位の測定範囲を広げた)挙動を示す。
モデル154からの出力に基づく制御フィルタ153からの制御フィルタ演算出力によって、アクチュエータ132が駆動され、一旦オーバーシュートしたビームスポットBSが再び目標トラックの中心Cに近づいて行くことになる。
【0047】
1)モデル制御処理中に、引き込み処理が可能か否かが判断される(ステップS109)。既述のように、この判断は、トラッキング誤差信号に基づく制御によってビームスポットBSの位置を目標トラックの中心に収束してゆくことが可能か否かであり、変位yおよび速度vによって引き込み可能か否かを判断できる。なお、「引き込み処理が可能か否か」に換えて他の基準、例えば、「線形領域か否か」を適用してもよい。
【0048】
2)モデル制御処理中に、モデル制御が一定時間を越えて行われているかが判断される(ステップS108)。これは、何らかの理由でいつまでもステップS110での判断が「引き込み可能」とならない場合に、退避・リトライ処理を行うためである(ステップS110)。
退避・リトライ処理では、例えばサーボ動作を一旦解除して、ステップS103から再開される。なお、退避・リトライ処理では、モデル154への実測値の再入力等の他の処理も可能である。
【0049】
(7)ステップS109で「引き込み可能」と判断された場合、スイッチ151が実測制御側に切り替わり、トラッキング誤差信号によるフィードバック処理(引き込み処理)が開始される(ステップS111、図5の時刻t3)。
このときには、「引き込み可能」と判断されていることから、速度vが時刻t1のときよりも小さく、従いオーバーシュートを生じにくいことが期待できる。
【0050】
(8)実測制御による引き込み処理が行われているときには、トラッキング誤差信号に基づく制御フィルタ153の制御フィルタ演算(ステップS113)が繰り返し行われる(図5の時刻t3〜t4)。トラッキング誤差信号に基づく制御フィルタ153の出力によって、アクチュエータ132を駆動し、ビームスポットBSを目標トラックの中心Cに近づけて行く。
【0051】
1)実測制御による引き込み処理中、一定時間毎に引き込みが成功したか否かがが判断される(ステップS114,S115)。引き込み処理が失敗した場合に、退避・リトライ処理を行うためである(ステップS111)。
引き込み処理の成功、不成功は、例えば、変位y(目標トラックの中心とビームスポットとの距離)が所定範囲(制御誤差)以内か否かで判断できる。
退避・リトライ処理では、例えばサーボ動作が一旦解除された後にステップS103からサーボ動作が再開される。
【0052】
2)実測制御による引き込み処理中に、線形領域内か否かが判断される(ステップS104)。そして、このステップS104で、線形領域を出たと判断された場合、スイッチ151がモデル制御側に切り替わりモデル154によるフィードバック処理が再開される(ステップS105)。
【0053】
以上説明したように本実施形態によれば、ヘッド130(対物レンズ131)とメディア(光ディスク110)におけるサーボ引き込み動作において、トラッキング誤差信号の非線形領域でのビームスポットの挙動をモデル154による内部演算で補間している。その結果、サーボ動作が開始されるとき(時刻t1)での相対速度範囲が大きくても引き込み処理が可能となり、リミットサイクル(ビームスポットの振動、暴走)を回避できる。また、より短時間でサーボ引き込み動作を完了することが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置200の構成を表すブロック図である。
光ディスク装置100のようなモデル154に基づく制御手法は、モデルと実物との偏差がある場合に安定性を保証できない可能性がある。このため、本実施形態ではモデルと実物との偏差を最小化するようなフィードバックを用いる。
【0055】
光ディスク装置200では、ディジタルコントローラ250にモデル状態再設定部251が設けられている。
モデル状態再設定部251は、トラッキング誤差信号から得られた変位y、速度vに基づき、モデル154の状態の再設定を行うものであり、モデルの状態を更新するモデル更新部およびトラッキング誤差信号に基づき変位y、速度vを算出する算出部として機能する。なお、トラッキング誤差信号に基づく変位y、速度vの算出は、他で行っても差し支えない。
【0056】
モデル154の状態の再設定は、必ずしも変位y、速度vの双方について行う必要はなく、どちらか一方のみをフィードバックすることも可能である。一方のみのフィードバックでもモデル154の状態を実際の動作に近づけることが可能となる。
既述のように、変位y、速度vはトラッキング誤差信号から式(1)〜(4)に基づき算出可能である。この算出には、トラックをビームスポットが横切るときのトラッキング誤差信号を用いるのが、変位y、速度vを正確に算出する上で好ましい。
その他の構成は、第1の実施形態と本質的に相違する訳ではないので説明を省略する。
【0057】
(光ディスク装置200のトラッキング動作)
図7は光ディスク装置200でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。以下、図7に基づき光ディスク装置200のトラッキング動作を説明する。
ここでは、モデル154による処理が行われているときに、モデル状態再設定部251によりモデル154の状態の再設定が行われる(ステップS201〜S203)。
即ち、トラッキング誤差信号から変位、速度を算出し(ステップS201)、ビームスポットBSがトラックの中心を横切ったと判断されたときに(ステップS202)、モデル154への変位、速度の再設定が行われる(ステップS203)。これは、トラックを横切る瞬間に最も信頼のおける変位、速度が測定できるためである。
モデル154に正確な変位、速度が設定されるため、モデル154からの出力の信頼性を確保することができる。なお、変位、速度のいずれかのみを再設定してもよい。
その他の動作では、第1の実施形態と本質的に相違する訳ではないので説明を省略する。
【0058】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は既述の実施形態には限られず、拡張、変更できる。拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、光ディスクの対物レンズの移動についてモデルによる制御を適用したが、ヘッド全体の移動についてモデルによる制御を適用することが可能である。
また、光ディスクのトラッキングサーボ引き込みに限らず、磁気ディスク、光磁気ディスク等種々のディスク(メディア)へのトラッキング引き込み動作にモデルによる制御を適用できる。メディアに対するヘッドの相対速度、初期変位、さらには変位検出の非線形性等の関係で、サーボ引き込みに困難性が生じる場合に、モデル制御を適用して、サーボ引き込みを容易にすることが可能となる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、より安定にトラッキングを行えるディスク装置およびトラッキング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を表すブロック図である。
【図2】光ディスクのトラックの中心とトラッキング誤差信号の対応関係を表す模式図である。
【図3】サーボ動作中における、ビームスポットの変位とトラッキング誤差信号の関係を表す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置のトラッキング動作の際のビームスポットの軌跡、トラッキング誤差信号、制御フィルタへの入力を対比して表す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置の構成を表すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置でのトラッキング動作の手順を表すフロー図である。
【符号の説明】
100…光ディスク装置、110…光ディスク、111…ディスク表面、112…記録層、121…ディスク保持部、122…スピンドルモータ、130…ヘッド、131…対物レンズ、132…アクチュエータ、133…発光素子、134…ビームスプリッタ、135…受光素子、141…プリアンプ、142…増幅・演算回路、143…A/D変換器、144…D/A変換器、145…ドライバ回路、150…ディジタルコントローラ、151…スイッチ、152…判定手段、153…制御フィルタ、154…モデル、155…帰還部
Claims (9)
- 情報を記録、再生するディスクを回転させるディスク回転部と、
前記ディスク回転部で回転されるディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部と、
前記記録再生部を前記ディスクの半径方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動するドライバ回路と、
前記ディスクに対する前記記録再生部のトラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する信号出力部と、
前記ディスクに対する前記記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力するモデルと、
前記信号発生部から出力されたトラッキング誤差信号または前記モデルから出力された模擬運動信号のいずれかに対応して、前記ドライバ回路を制御する制御信号を出力し、前記記録再生部に前記ディスクへのトラッキングを行わせる制御フィルタと、
を具備することを特徴とするディスク装置。 - 前記トラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記変位および速度の少なくともいずれかに基づいて、前記モデルの状態を更新するモデル更新部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。 - 前記算出部が、前記記録再生部が前記ディスクのトラックを横切るときのトラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する
ことを特徴とする請求項2記載のディスク装置。 - 前記ディスクに対する前記記録再生部の変位または速度の少なくともいずれかに基づいて、前記制御フィルタに入力される信号を前記トラッキング誤差信号と前記模擬運動信号とで切り換える信号切換部、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。 - 前記記録再生部の変位または速度が、前記信号出力部から出力されたトラッキング誤差信号に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項4記載のディスク装置。 - 前記トラッキング誤差信号が、前記記録再生部が前記ディスクのトラックを横切るときのトラッキング誤差信号である
ことを特徴とする請求項5記載のディスク装置。 - 前記記録再生部の変位または速度が、前記モデルから出力された模擬運動信号に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項4記載のディスク装置。 - ディスクへの情報の記録または再生の少なくともいずれかを行う記録再生部の移動を開始する移動開始ステップと、
前記ディスクに対する前記記録再生部のトラッキングの状態を表すトラッキング誤差信号を出力する誤差信号出力ステップと、
前記ディスクに対する前記記録再生部の相対運動を模擬し、模擬運動結果を表わす模擬運動信号を出力する模擬運動信号出力ステップと、
前記誤差信号出力ステップで出力されたトラッキング誤差信号または前記模擬運動信号出力ステップで出力された模擬運動信号のいずれかに対応して、前記記録再生部に前記ディスクへのトラッキングを行わせる制御ステップと、
を具備することを特徴とするトラッキング制御方法。 - 前記トラッキング誤差信号に基づいて、前記ディスクに対する前記記録再生部の変位および速度の少なくともいずれかを算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された前記変位および速度の少なくともいずれかに基づいて、前記モデルの状態を更新するモデル更新ステップと、
をさらに具備することを特徴とする請求項8記載のトラッキング制御方法。
Priority Applications (1)
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JP2003152235A JP2004355718A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | ディスク装置、およびトラッキング制御方法 |
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JP2003152235A JP2004355718A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | ディスク装置、およびトラッキング制御方法 |
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JP2003152235A Abandoned JP2004355718A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | ディスク装置、およびトラッキング制御方法 |
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2003
- 2003-05-29 JP JP2003152235A patent/JP2004355718A/ja not_active Abandoned
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