JP2004353945A - 対人地雷処理機 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的に、確実、かつ安全に地雷を処理できる処理構造を備えた対人地雷処理機を提供する。
【解決手段】対人地雷処理用の作業機(10)のロータ(11)を、進行方向と同一方向に回転可能にする。ロータ(11)を覆うロータカバー(20)の前方開放部(24)に、油圧シリンダ(35)により開閉可能なバスケット(30)を設け、ロータ(11)により収集され、前方開放部(24)に向けて放出される地雷の破片等を捕獲する。これにより対人地雷の爆破、破壊、収集、捕獲、運搬の一連の処理作業を1つの工程で完結可能とし、作業効率を向上する。又、ロータカバー(20)の上面板(22)の下面と、後部の斜板(26)の内側とに、反撥板(28a,28b)を設け、ロータ(11)により跳ね飛ばされて衝突することにより対人地雷(50)の破壊を促進する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対人地雷を効率的に、かつ安全に処理できる、対人地雷処理機に関する。
【0002】
【従来の技術】
対人地雷処理機については従来、各種のものが提案されているが、例えば特許文献1には、作業車両の前部に地雷掃討用の前部構造体を設けた無限軌道車がある。
【0003】
図5は上記の前部構造体の構成を示す側面図である。図5において、作業車両60の前方に、液圧シリンダ61により揺動自在に取り付けられた台枠62の先端部には、前部構造体70が取り付けられている。前部構造体70は前方および下方が開いているボックス71と、この中に走行方向に対して横方向に、回転自在に設けられたフライスドラム72と、ボックス71の前端部に、保護シールドとして揺動自在に設けられたフラップ板74とを備えている。フライスドラム72の外周部には切削兼破砕工具73が取り付けられており、フライスドラム72は正逆回転可能である。
【0004】
地雷掃討作業に当っては、図5に示すように、作業車両60を前進させながらフライスドラム72を進行方向の反対方向(矢印方向)に回転させ、台枠62を押し下げて地雷を探査すべき地面に切削兼破砕工具73を切り込ませる。このときフラップ板74は前方に傾斜して、即ち上方へと突出した状態で固定される。地雷81は切削兼破砕工具73によって捕捉され、フライスドラム72の前方に送られた土砂80内で、そこでこの地雷81に加えられる圧力により爆発されるとしている。さらに必要な場合には、フラップ板74の先端部を下げてボックス71の前面を覆うこともできる。これによりフラップ板74は保護シールドの働きをなし、破片の飛散等が有効に回避できるとしている。又、フライスドラム72を進行方向に回転させることにより爆発されない地雷はボックス71又はフライスドラム72の領域から外に運び出されるとしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−71898号公報(第4頁、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては以下のような問題点がある。
掘削された土砂内で地雷を爆発させ、そのまま移動するため、土砂内に地雷の破片が残留する。又、フライスドラムの回転により爆発されない地雷は、フライスドラムの回転を逆にすることにより地雷をボックスまたはフライスドラムの領域の外に排出される。これらの破片や未処理地雷は別工程であらためて収集し、安全な場所に運搬する等して処理する必要があり、多大の工数を必要とする。土砂の圧力により地雷を爆発させることとなっているが、土砂による圧力が低くい場合には地雷が爆発しないことがある。又、フライスドラムを進行方向の反対方向に回転させるため地雷を掘り起こすこととなり、地雷に打撃を与える機会が少なく、地雷は爆発あるいは破壊されない場合があり、処理作業の信頼度が低い。
【0007】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、効率的に、確実、かつ安全に対人地雷を処理できる処理構造を備えた対人地雷処理機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、対人地雷処理機において、自走車の前方に、地中に埋設された対人地雷を処理する作業機を備え、前記作業機は、前記自走車の進行方向と同一方向に回転可能なロータと、前記ロータを覆う、前方および下方が開放された箱状のロータカバーとを有し、前記ロータカバーの前方開放部に、地雷の破片や未処理の地雷を捕獲するためのバスケットを設けた構成としている。
【0009】
第1発明によると、ロータを自走車の進行方向と同一方向に回転可能としたため、土砂内の地雷やその破片等はロータに掻き揚げられてロータカバー内の上方から前方へと跳ね飛ばされる。これらの地雷や破片等はロータカバーの前方開放部に設けたバスケットに捕獲される。したがって、ロータにより地雷を爆破、破壊し、バスケットにより破片等を収集、捕獲し、自走車により運搬することができる。すなわち、一連の対人地雷処理作業を1つの工程で完結することができて作業効率の向上が図れる。
【0010】
第2発明は、第1発明において、前記バスケットは、前記ロータカバーに回動自在に取り付けられ、開閉駆動手段により前記ロータカバーの前方開放部を開閉可能に構成されている。
【0011】
第2発明によると、バスケットは、開閉駆動手段により開閉可能としたため、地雷の破片や、未処理地雷を安全に、かつ容易に、適正な場所まで運搬、投下し、処理することができる。
【0012】
第3発明は、対人地雷処理機において、自走車の前方に、地中に埋設された対人地雷を処理する作業機を備え、前記作業機は、前記自走車の進行方向と同一方向に回転可能なロータと、前記ロータを覆う、前方および下方が開放された箱状のロータカバーとを有し、前記ロータカバーの内部に、少なくとも1個の、地雷の破壊を促進する反撥板を設けた構成としている。
【0013】
第3発明によると、ロータカバー内に反撥板を設けたため、地雷がロータカバー内を通過して前方に送られる際に、この反撥板に衝突することにより破壊が促進され、地雷処理を確実にすることができる。
【0014】
第4発明は、対人地雷処理機において、自走車の前方に、地中に埋設された対人地雷を処理する作業機を備え、前記作業機は、前記自走車の進行方向と同一方向に回転可能なロータと、前記ロータを覆う、前方および下方が開放された箱状のロータカバーと、前記ロータカバーの前方開口部に設けられた、地雷の破片や未処理の地雷を捕獲するためのバスケットと、前記ロータカバーの内部に設けられた、少なくとも1個の、地雷の破壊を促進する反撥板とを有する構成としている。
【0015】
第4発明によると、ロータカバーの前方開放部にバスケットを設け、かつロータカバーの内部に反撥板を設けた。そのため、地雷がロータカバー内を通過して前方に送られる際に反撥板に衝突し、破壊が促進される。又、土砂内の地雷の破片や、爆発、破壊されずにロータカバーの前方に放出された地雷を、容易に、かつ確実に捕獲できる。したがって、1つの工程で地雷の爆破、破壊、収集、捕獲、運搬の一連の対人地雷処理作業を完結することができ、作業効率の向上が図れるとともに、地雷処理を確実に行うことができ、信頼度が向上する。
【0016】
第5発明は、第1〜4のいずれかの発明において、前記ロータカバーの後端部の下方に、地雷の破片等の飛散を防止する保護部材を設けた構成としている。
【0017】
第5発明によると、ロータカバーの後端、下部に保護部材を設けたため、土砂や地雷の破片等が車体側に飛び散ることが防止され、安全であると共に、走行体の前に土砂等が堆積しないため、作業に支障を来たすことはない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る対人地雷処理機の実施形態について、図面を参照して詳述する。
【0019】
図1は対人地雷処理機1の側面図である。図1において、自走車2の車体3には下部に左右一対の走行履帯4,4が取り付けられ、前部に運転室5が搭載され、後部にエンジンルーム6が搭載されている。エンジンルーム6には図示しないエンジン、油圧装置が収納され、走行履帯4,4や、後述する作業機に供給する動力源となっている。車体3の前端部には対人地雷を処理する作業機10が取り付けられている。作業機10は基端部を車体3に、図示しないピンにより回動自在に取り付けられ、車体3に取り付けられた油圧シリンダ7により上下方向に揺動可能である。作業機10は自走車2の左右方向に配置されたロータ11と、ロータ11を覆う、前方および下方が開口した箱状のロータカバー20とを備えている。ロータ11のロータ軸12には、放射状に複数個のビット13が取り付けられている。ロータ軸12はロータカバー20に取り付けられたロータ駆動装置14により回転駆動され、ロータ軸12は自走車2の進行方向と同一方向(矢印方向)に回転可能である。ロータカバー20の前端部には地雷の破片や未処理の地雷を捕獲するためのバスケット30が設けられている。又、後端部の下部には、地雷の破片や土砂等の飛散を防止する保護部材40の一例である暖簾式チェーン41が取り付けられている。
【0020】
図2は作業機10の側面図であり、図3は平面図である。図1と同一部材には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。図2、図3において、ロータカバー20は後面板21と、上面板22と、左右一対の側面板23,23とから箱状に構成され、前方に前方開放部24を、下方に下方開放部25を備えている。ロータカバー20の内部の後部には斜板26が設けられてロータ室27を形成している。上面板22の下面と、斜板26のロータ室27側の下部には反撥板28a,28bが固設されている。反撥板28a,28bは左右側面板23,23の間の全幅にわたって設けられている。ロータカバー20の前方開放部24の前方にはバスケット30が配置されている。バスケット30は一側に開口部31を有する網状の箱であり、開口部31はロータカバー20の前方開放部24に相対し、開口部31の一側32はロータカバー20の上面板22にピン33,33,33により回動自在に支持されている。バスケット30の幅は左右側面板23,23の間隔より少し大きく設定されている。したがって、ロータカバー20の前方開放部24はバスケット30により覆われている。バスケット30は開閉駆動手段34の一例である油圧シリンダ35,35によりロータカバー20と連結され、油圧シリンダ35,35を縮小することにより2点鎖線aに示すように回動して開く。ロータカバー20の後端部の下方には暖簾式チェーン41が設けられている。暖簾式チェーン41は図示しないが、ロータカバー20の全幅にわたって並列に、隙間無く、密に取り付けられ、保護壁を形成している。
【0021】
図4は作業機10による対人地雷処理作業を説明するための側面断面図である。図4において、図示しない自走車2を前進させながらロータ11を進行方向と同じ白矢印の方向に回転駆動し、作業機10を、図2に示した油圧シリンダ7で押し下げ、ビット13を地表面GLにダウンカットさせる。図示しない地中に埋設された対人地雷はビット13により更に深く埋め込まれると同時に、信管を打撃されて爆発破壊される。爆発は深い土中で行われるため、周囲への影響は少ない。爆発しないものもビット13に打撃されて破壊される。爆発しなかった地雷、あるいは十分に破壊されなかった対人地雷50は図に示すようにビット13により持ち上げられ、第1の反撥板28bに衝突して破壊される。これでも十分に破壊されなかったものはロータ室27内を移動して第2の反撥板28aに衝突して破壊される。破壊された破片、または爆発されなかった地雷等51はロータカバー20の前方に放出され、前方開放部24、捕獲バスケット30の開口部31を通過してバスケット30内に投入される。また、地中で爆発した地雷の破片はビット13で掻き揚げられ、バスケット30内に投入される。バスケット30内の地雷または破片は所定の場所に運搬され、そこで油圧シリンダ35を縮小してバスケット30を2点鎖線に示す位置に開き、内容物を投下する。作業中、ビット13により後方に跳ね飛ばされる土砂や破片は、ロータカバー20の後端下部に設けられた暖簾式チェーン41により止められ、図示しない自走車2に向けて飛散することはない。
【0022】
本発明の対人地雷処理機は上記のような処理構造を備えた構成としたため、以下のような効果が得られる。
ロータカバーの前方開放部にバスケットを設けたため、土砂内の地雷の破片や、破砕されずにロータカバーの前方に放出された未処理地雷等を捕獲できる。したがって、ロータにより地雷を爆破、破壊し、バスケットにより破片等を収集、捕獲し、自走車により運搬することができ、一連の対人地雷処理作業を1つの工程で完結することができて作業効率の向上が図れる。又、バスケットを開閉する開閉駆動手段を設けたため、バスケット内の破片等の投下作業が容易に、かつ安全に行える。
ロータカバー内に反撥板を設けたため、地雷がロータカバー内を通過して前方に送られる際に、この反撥板に衝突することにより破壊が促進され、地雷処理を確実にすることができ、信頼度が向上する。
ロータカバーの後端下部に保護部材を設けたため、土砂や地雷の破片等が車体側に飛び散ることが防止され、安全であると共に、走行体の前に土砂等が堆積しないため、作業に支障を来たすことはない。
【0023】
上記の実施形態では、バスケットの開閉駆動手段を油圧シリンダとしたが、空圧シリンダや、電動式、あるいはウインチ等の機械式のものであっても良い。また、反撥板は2個としたが、1個あるいは3個以上であっても差し支えない。さらに、ロータカバー後部に設けた保護部材は、暖簾式チェーンにしたが、例えば短冊形の鋼板であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対人地雷処理機の全体側面図である。
【図2】本発明の対人地雷処理機の作業機の側面図である。
【図3】同、平面図である。
【図4】本発明の対人地雷処理機の作業機の作用を説明するための側面断面図である。
【図5】従来の地雷処理機の前部構造体の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1…対人地雷処理機、2…自走車、10…作業機、11…ロータ、20…ロータカバー、24…前方開放部、28a,28b…反撥板、30…バスケット、34…開閉駆動手段、35…油圧シリンダ、40…保護部材、41…暖簾式チェーン。

Claims (5)

  1. 対人地雷処理機(1)において、
    自走車(2)の前方に、地中に埋設された対人地雷を処理する作業機(10)を備え、前記作業機(10)は、前記自走車(2)の進行方向と同一方向に回転可能なロータ(11)と、
    前記ロータ(11)を覆う、前方および下方が開放された箱状のロータカバー(20)とを有し、
    前記ロータカバー(20)の前方開放部(24)に、地雷の破片や未処理の地雷を捕獲するためのバスケット(30)を設けた
    ことを特徴とする対人地雷処理機。
  2. 請求項1記載の対人地雷処理機において、
    前記バスケット(30)は、前記ロータカバー(20)に回動自在に取り付けられ、開閉駆動手段(34)により前記ロータカバー(20)の前方開放部(24)を開閉可能に構成されている
    ことを特徴とする対人地雷処理機。
  3. 対人地雷処理機(1)において、
    自走車(2)の前方に、地中に埋設された対人地雷を処理する作業機(10)を備え、前記作業機(10)は、前記自走車(2)の進行方向と同一方向に回転可能なロータ(11)と、
    前記ロータ(11)を覆う、前方および下方が開放された箱状のロータカバー(20)とを有し、
    前記ロータカバー(20)の内部に、少なくとも1個の、地雷の破壊を促進する反撥板(28a,28b)を設けた
    ことを特徴とする対人地雷処理機。
  4. 対人地雷処理機(1)において、
    自走車(2)の前方に、地中に埋設された対人地雷を処理する作業機(10)を備え、前記作業機(10)は、前記自走車(2)の進行方向と同一方向に回転可能なロータ(11)と、
    前記ロータ(11)を覆う、前方および下方が開放された箱状のロータカバー(20)と、
    前記ロータカバー(20)の前方開放部(24)に設けられた、地雷の破片や未処理の地雷を捕獲するためのバスケット(30)と、
    前記ロータカバー(20)の内部に設けられた、少なくとも1個の、地雷の破壊を促進する反撥板(28a,28b)とを有する
    ことを特徴とする対人地雷処理機。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の対人地雷処理機において、前記ロータカバー(20)の後端部の下方に、地雷の破片や土砂の飛散を防止する保護部材(40)を設けた
    ことを特徴とする対人地雷処理機。
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