JP2004353896A - コジェネレーションシステム - Google Patents

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克広 今井
Yuichi Nakamori
勇一 中森
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Abstract

【課題】簡単な構成で貯湯槽内の温度を検出して熱電併給装置の起動と停止を行い、効率良い運転が可能なコジェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】電力と熱とを生成する熱電併給装置として燃料電池1を備えており、電力を電気負荷4に出力すると共に、熱で加熱された媒体を循環配管11を介して貯湯槽10に蓄熱し、貯湯槽から給湯配管12を介して給湯負荷15に出力するコジェネレーションシステムは、循環配管11、給湯配管12に、温度センサT1,T2を備えており、温度センサの検出結果に基づいて燃料電池1を起動、停止する制御装置20を備える。循環配管11の下部の温度センサT1の検出温度が第1の所定値より高いときに燃料電池1を停止し、給湯配管12の上部の温度センサT2の検出温度が第2の所定値より低いときに燃料電池1を起動する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力と熱を生成するコジェネレーションシステムに係り、特に、生成された熱を蓄熱する貯湯槽の配管に設置した温度センサの出力に基づいて熱電併給装置を起動、停止するコジェネレーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、燃料電池等を使用したコジェネレーションシステムは、電力と熱を発生し、高効率な運用が可能なシステムである。したがって、電力と熱の需要のバランスが良い場合には、その設置によって、商用電力および燃料の購入コストの低減等の経済的なメリットと、二酸化炭素排出量の低減などの環境的なメリットが見込まれる。
【0003】
しかしながら、特に、住宅等では、電力と熱の需要が必ずしもバランスよく発生するとは限らず、商用電力および燃料の購入コストの低減等の経済的なメリット、また、二酸化炭素排出量の低減等の環境的なメリットを生み出すには、何らかの制御をすることで電力と熱の需要に合わせた運転とする必要がある。このため、運転方法としても、24時間の連続運転を行う場合や、電力や熱の需要に合わせた間欠運転を行う場合など、様々なものが考えられている。
【0004】
そして、従来の温水供給システムは、温水供給装置と、該温水供給装置で生じた温水を貯蔵する貯湯槽と、該貯湯槽内部に設けられた温度センサと、該温度センサの検出結果に基づいて蓄熱余裕の有無を判断して温水供給装置に制御信号を出力する制御手段とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開2002−349965号公報(特許請求の範囲、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記構造のコジェネレーションシステムは、貯湯槽内に複数の温度センサを設置する必要があり、施工が複雑になったり、コストがかかったりという問題があった。また、貯湯式の給湯システムの場合、貯湯槽から出湯した後で温水を設定温度にするため、水との混合等の必要がある。このため出湯した温水温度を検出する温度センサを備えており、構成が複雑となっている。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡単な構成で熱電併給装置の起動と停止を行い、熱の無駄を無くして効率良い運転が可能なコジェネレーションシステムを提供することにある。すなわち、貯湯槽内に新たな温度センサを設置することなく、貯湯槽から出湯した温水温度を検出するための既存の温度センサによって、蓄熱余裕の有無を判定し、熱余りを無くして効率の良い運転を可能としたコジェネレーションシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係るコジェネレーションシステムは、電力と熱とを生成する熱電併給装置を備えており、該電力を電気負荷に出力すると共に、前記熱で加熱された媒体を第1の配管を介して貯湯槽に蓄熱し、貯湯槽から第2の配管を介して給湯負荷に出力するシステムであり、第1及び第2の配管は、それぞれ温度センサを備えており、該温度センサの検出結果に基づいて熱電併給装置を起動、停止する制御装置を備えることを特徴とする。すなわち、供給された燃料ガスを用いて熱電併給装置で電力と熱を生成し、生成した熱を、第1の配管内を流通する水を介して蓄熱し、第1及び第2の配管に設置した温度センサで貯湯槽の蓄熱余裕を判断して熱電併給装置の起動、停止を制御している。
【0008】
前記のごとく構成された本発明のコジェネレーションシステムは、貯湯槽の配管に設置した温度センサの出力に基づいて蓄熱余裕の有無を判定して熱電併給装置を起動、停止するように構成し、温水の温度が高いときには熱電併給装置を停止して熱余りを防止し、温水の温度が低いときには熱電併給装置を起動して蓄熱するため、効率の良い運転を達成することができる。
【0009】
また、本発明に係るコジェネレーションシステムの好ましい具体的な態様としては、前記温度センサは、第1の配管の貯湯槽の下部から熱電併給装置に接続される配管に設置される第1の温度センサと、第2の配管の貯湯槽の上部から給湯負荷に接続される配管に設置される第2の温度センサとから構成され、制御装置は、第1の温度センサの検出温度が第1の所定値より高いときに熱電併給装置を停止し、第2の温度センサの検出温度が第2の所定値より低いときに熱電併給装置を起動することを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、貯湯槽と熱電併給装置とを接続する循環配管の温度を検出して蓄熱余裕を判断し、温度が低いときには熱電併給装置を起動することにより蓄熱することができる。また、貯湯槽と給湯負荷とを接続する給湯配管の温度を検出して蓄熱余裕を判断し、温度が高いときには熱電併給装置を停止するため、熱余りを防止してシステムの効率を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコジェネレーションシステムの一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るコジェネレーションシステムの概略構成を示す模式図であり、熱電併給装置として燃料電池を用いたコジェネレーションシステムである。なお、熱電併給装置は燃料電池に限らず、ディーゼルエンジン等を用いた他の熱電併給装置であってもよい。
【0012】
図1において、コジェネレーションシステムは、燃料電池1と、貯湯槽10とを備えており、燃料電池1は供給される都市ガス等の燃料ガス(図示せず)から電力と熱とを生成し、この電力を分電盤2を介して商用電源3に供給して電気負荷4に出力すると共に、燃料電池1で発生する熱を循環配管11を流れる水(熱媒)を介して貯湯槽10に蓄熱し、給湯配管12を流れる温水を給湯負荷15に出力するように構成されている。燃料電池1は図示していないが、燃料ガスから水素を改質する改質装置、水素と酸素を化学反応させて電力と水を生成する燃料電池スタック、生成させた電力を交流に変換するインバータ、改質装置および燃料電池スタックから発生する熱を集める熱交換器等を備えている。
【0013】
燃料電池1で生じた温水を貯蔵する貯湯槽10は、温度成層式であり、貯湯槽内部は上層部が高温で下層部が低温の温度勾配を持った湯が貯められるように構成されている。そして、貯湯槽内下部の比較的低温の水を燃料電池1へ供給するための配管11aと、燃料電池1で生じた温水を貯湯槽10へ供給するための配管11bと、水を貯湯槽10から燃料電池1へ循環させるためのポンプ13により循環配管11を構成している。この循環配管11の貯湯槽10下部の低温側配管には温度センサT1が設置されている。
【0014】
また、給湯配管12は、貯湯槽10下部へ上水源14から上水を供給するための配管12a、貯湯槽10上部から住宅内の給湯負荷15で利用する給湯用の温水を出すための配管12bにより構成され、この給湯配管12の出湯側の貯湯槽10上部には高温側の温度センサT2が設置されている。そして、このシステムは、2つの温度センサT1,T2の検出結果に基づいて蓄熱余裕の有無を判断して燃料電池1に制御信号を出力する制御装置20を備えている。
【0015】
さらに、住宅内で利用する温水の温度を設定温度としたとき、貯湯槽上部から出た温水の温度が設定温度より高い場合、これを設定温度とするために上水と混合するためのミキシングバルブ16が配管12bに設置され、上水が流れる配管14aが合流している。また、配管12bには貯湯槽上部から出た温水の温度が設定温度より低い場合、これを設定温度とするために加熱する補助熱源としてガス給湯器17も備えている。
【0016】
コジェネレーションシステムは、住宅におけるエネルギー需要に応じて運転しているが、貯湯槽10内が温水で満たされた場合は燃料電池1の運転を停止し、貯湯槽10内の温水が少なくなった場合に燃料電池1を起動することで効率の良い運転が可能となる。このような運転を実現するために、制御装置20は前記2つの温度センサT1,T2の検出結果に基づいて蓄熱余裕の有無を判断して燃料電池1に制御信号を出力する。すなわち、温度センサT1で貯湯槽10の底部の温度を計測し、温度センサT2で貯湯槽10の上部の温度を計測し、これらの温度に基づいて燃料電池1の運転を制御している。
【0017】
前記の如く構成された本実施形態のコジェネレーションシステムにおいて実施される制御について、図2,3のフローチャートを参照して以下に説明する。図2はコジェネレーションシステムの停止制御フローチャートで、図3はコジェネレーションシステムの起動制御フローチャートである。図中、停止温度、起動温度とは、蓄熱余裕の有無を判断するための基準となる温度である。
【0018】
例えば、コジェネレーションシステムが住宅内の電気負荷4に応じた発電を行うと、これに伴い燃料電池1からは熱も得られる。すなわち、燃料電池1には、燃料ガスが供給され、供給された燃料ガスは改質装置にて水素に変換され、燃料電池スタックに送られる。燃料電池スタック内では水素と酸素を反応させて直流の電気と熱が発生する。出力される直流電力はインバータにて交流電力に変換され、商用電源3に分電盤2を介して供給される。
【0019】
また、改質装置及び燃料電池スタックで発生する熱は、循環配管11により熱交換器内を循環する水に供給され、貯湯槽10に蓄熱される。したがって、貯湯槽10下部の例えば10℃の水は、燃料電池1内の熱交換器で加熱され、昇温して例えば60℃の温水となり、貯湯槽10上部に流入する。このため貯湯槽10は上部から徐々に60℃の温水で満たされ、下部の10℃の水が減少して蓄熱量が増加する。
【0020】
貯湯槽10全体が温水で満たされてくると、貯湯槽下部より燃料電池1に供給される水の温度が10℃より徐々に上昇する。燃料電池1が稼働状態であるとき、貯湯槽10より燃料電池1に供給される水の温度は、温度センサT1において常時検出しており、この検出結果に基づき制御装置20において、図2のように燃料電池1の停止の判断を行う。すなわち、温度センサT1の検出結果を読み取り(ステップS1)、温度センサT1の検出結果を停止温度(第1の所定値)と比較し(ステップS2)、検出結果が停止温度より高い場合は制御装置20より停止信号を出力して燃料電池1を停止し(ステップS3)、停止温度よりも低い場合は燃料電池1を停止しない(ステップS4)で運転し続ける。
【0021】
この停止温度は、燃料電池1からの排熱温度が例えば60℃であれば、40℃など60℃よりも低い温度で設定されるもので、予め設定されていたり、運転する中で日々使用する給湯量などを学習し、季節や曜日によって日々変更されたりするものであってもよい。この温度を高めにすれば、貯湯槽内はより多くの温水を保有することになるが、燃料電池1から温水を取得する際の効率は低くなる。一方、この温度を低めにすれば、貯湯槽内の温水は少なくなるが、燃料電池1から温水を取得する際の効率は高くなる。
【0022】
このような制御によって燃料電池1の運転を停止した後、住宅内では洗顔や、入浴に伴い温水の利用があり、貯湯槽内の60℃の温水は上部から出水されて減少し、下部より10℃の上水が上水源14から流入してくる。前記の燃料電池1の停止判断の基準となった停止温度が40℃であれば、貯湯槽内は上部が約60℃、下部が約10℃、その間が約40℃となっており、貯湯槽上部から出ていく給湯用の温水温度は、約60℃より徐々に低下していく。
【0023】
この貯湯槽10より流出していく温水の温度は、温度センサT2において常時検出しており、この検出結果に基づき制御装置20において図3のように燃料電池1の起動の判断を行う。すなわち、温度センサT2の検出結果を読み取り(ステップS10)、温度センサT2の検出結果を起動温度(第2の所定値)と比較し(ステップS11)、検出温度が起動温度より低い場合は制御装置20より起動信号を出力して燃料電池1を起動し(ステップS12)、起動温度よりも高い場合は燃料電池1を起動しない(ステップS13)で停止し続ける。この起動温度は、給湯で利用する温水の温度が40℃前後であることを考えると、40℃以下に設定するとガス給湯器17による加熱を行ってしまい、別途光熱費が発生してしまうため、60℃から40℃の間で例えば、50℃などに設定されるのが好ましい。
【0024】
この温度は、停止温度と同様に、予め設定されていたり、運転する中で給湯利用の設定温度などを学習し、季節や曜日によって日々変更されたりするものであってもよい。この温度を高めにすれば、ガス給湯器による加熱の可能性が減少するが、燃料電池の起動・停止が頻繁に行われて起動損が多くなり効率が悪くなる可能性がある。一方、この温度を低めにすれば、ガス給湯器による加熱の可能性が増加するが、燃料電池1の起動・停止が減少し効率的な運用実現の可能性がある。
【0025】
前記のとおり、コジェネレーションシステムは電力と熱を発生し、電力と熱の需要のバランスが良い場合には、高効率な運用が可能なシステムである。しかしながら、実際の住宅内の電気需要、熱需要は日々変動し、また、邸別に需要の大きさは異なり、電気と熱のバランスも異なる。したがって、商用電力および燃料の購入コストの低減などの経済的なメリット、また、二酸化炭素排出量の低減などの環境的なメリットを生み出すには、何らかの制御をすることで電力と熱の需要に合わせた運転とする必要があり、複雑な制御が検討されている。
【0026】
しかしながら、本発明のコジェネレーションシステムでは、日別、季節別、邸別のスケジュール設定など特別なことを行わず、同一の仕様で、簡単に、給湯需要が大きい日、大きい季節、大きい邸では、自動的に24時間連続運転となり、給湯需要が小さい日、小さい季節、小さい邸では、自動的に必要な時間だけ運転する間欠運転が実現できる。このように、本発明のコジェネレーションシステムにおける制御は、簡易で、かつ日、季節、邸別などの電気需要、熱需要の変動に対応可能なシステムを実現できる。
【0027】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、給湯配管に設置された補助熱源としてのガス給湯器は、電気ヒータ等の他の熱源機器でもよい。また、燃料電池に供給される燃料は、都市ガスやLPガス等の他、純水素、石油系燃料、アルコール系燃料等、適宜の燃料を使用することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明のコジェネレーションシステムは、貯湯槽内に新たな温度センサを設置することなく、貯湯槽上部から出湯した温水温度や、燃料電池に供給される貯湯槽下部の水温を検出するための既存の温度センサによって、蓄熱余裕の有無を判定し、コジェネレーションシステムを起動することができる。また、日別、季節別、邸別のスケジュール設定など特別なことを行わず、同一の仕様で、簡易で、かつ、日、季節、邸別などの電気需要、熱需要の変動に対応可能なシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコジェネレーションシステムの一実施形態の概略構成を示す模式図。
【図2】図1のコジェネレーションシステムの停止制御フローチャート。
【図3】図1のコジェネレーションシステムの起動制御フローチャート。
【符号の説明】
1…燃料電池(熱電併給装置)、3…商用電源、4…電気負荷、10…貯湯槽、11…循環配管、12…給湯配管、15…給湯負荷、20…制御装置、T1,T2…温度センサ

Claims (2)

  1. 電力と熱とを生成する熱電併給装置を備えており、該電力を電気負荷に出力すると共に、前記熱で加熱された媒体を第1の配管を介して貯湯槽に蓄熱し、該貯湯槽から第2の配管を介して給湯負荷に出力するコジェネレーションシステムであって、
    前記第1及び第2の配管は、それぞれ温度センサを備えており、該温度センサの検出結果に基づいて前記熱電併給装置を起動、停止する制御装置を備えることを特徴とするコジェネレーションシステム。
  2. 前記温度センサは、前記第1の配管の前記貯湯槽の下部から前記熱電併給装置に接続される配管に設置される第1の温度センサと、前記第2の配管の前記貯湯槽の上部から前記給湯負荷に接続される配管に設置される第2の温度センサとから構成され、
    前記制御装置は、前記第1の温度センサの検出温度が第1の所定値より高いときに前記熱電併給装置を停止し、前記第2の温度センサの検出温度が第2の所定値より低いときに前記熱電併給装置を起動することを特徴とする請求項1に記載のコジェネレーションシステム。
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