JP2004353584A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体噴射用チャンバー内の気泡の排出を確実に行い、液体噴射空間に対し噴射される液体の微粒子化を確実に達成することができる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】液体噴射装置10は、液体噴射用チャンバー30を備える。液体噴射用チャンバー30は、加圧ポンプにより加圧された液体(燃料)を導入する液体導入部30a、液体導入部に連接され同導入された液体を通流させるとともに同通流する液体を液体噴射空間に噴射するための液体噴射孔30b1を有する液体通流部30b及び同液体通流部に連接され同液体を排出する液体排出部30cを有する。液体通流部に配設された圧力振動付与手段31により、液体に圧力振動が付与され、噴射される液体が微粒子化される。液体通流部内に発生した気泡は、液体排出部を介して液体噴射用チャンバーから排出される。
【選択図】 図2
【解決手段】液体噴射装置10は、液体噴射用チャンバー30を備える。液体噴射用チャンバー30は、加圧ポンプにより加圧された液体(燃料)を導入する液体導入部30a、液体導入部に連接され同導入された液体を通流させるとともに同通流する液体を液体噴射空間に噴射するための液体噴射孔30b1を有する液体通流部30b及び同液体通流部に連接され同液体を排出する液体排出部30cを有する。液体通流部に配設された圧力振動付与手段31により、液体に圧力振動が付与され、噴射される液体が微粒子化される。液体通流部内に発生した気泡は、液体排出部を介して液体噴射用チャンバーから排出される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴射する液体を微粒子化するように構成された液体噴射装置に関する。
【0002】
図8に記載したように、従来から知られるこの種の液体噴射装置300は、圧電素子301により容積が変更せしめられるとともに液体噴射孔302を備えたチャンバー303と、液体導入孔304と、液体供給通路305とを備えている。液体は、液体供給通路305内に供給され、次いで、液体導入孔304を介してチャンバー303内に導入される。そして、液体は、チャンバー303内において圧電素子301の作動により加圧され、液体噴射孔302から噴射される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−279796号公報(第2頁、第3頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置は、圧電素子301の発生する加圧力のみで液体を噴射しようとするため、液体を噴射する空間(液体噴射空間)の温度及び圧力等が激しく変動する周囲環境下で使用された場合、液体噴射のための加圧力が不足して液体が噴射できなくなったり、逆に、加圧力を高めると一回の圧電素子301の作動による液体の吐出量が過大となって液体を微粒子化できないという問題がある。
【0005】
また、このような液体噴射装置は、チャンバー303内において気泡が発生すると、圧電素子301の作動による圧力変動をチャンバー303内の液体に効率的に付与できなくなり、噴射及び噴射される液体の微粒子化が達成できないという問題もある。
【0006】
従って、本発明の目的は、チャンバー内の気泡の排出を確実に行い、環境が激しく変動する液体噴射空間に対しても液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる液体噴射装置を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明による液体噴射装置は、貯蔵された液体を加圧するとともに同加圧された液体を吐出する加圧手段と、前記加圧された液体を導入する液体導入部、同液体導入部に連接され同導入された液体を通流させるとともに同通流する液体を液体噴射空間に噴射するための液体噴射孔を有する液体通流部及び同液体通流部に連接され同液体を排出する液体排出部を有するチャンバーと、前記液体通流部に配設され前記液体通流部内を通流する液体に圧力振動(圧力変動、振動エネルギー)を付与する圧力振動付与手段と、前記液体通流部内を通流する液体の流量を制御する流量制御手段とを備え、前記同液体を前記液体噴射孔から噴射するとともに同噴射される液体を前記圧力振動付与手段により付与する圧力振動により微粒子化するように構成されている。
【0008】
なお、本明細書において、「液体噴射孔」は「壁等に設けられた中空円筒状の貫通孔(即ち、流れの方向に断面積を変化させていない流路)」のみでなく、「液体のもつ圧力や熱のエネルギーを運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向に断面積を変化させた流路(即ち、ノズル)」をも含む用語として使用される。
【0009】
この液体噴射装置によれば、液体が液体噴射孔を介して噴射されるのに必要な圧力は加圧手段により発生され、液体が微粒子化するための圧力振動は圧力振動付与手段により付与される。従って、上記液体噴射装置は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0010】
更に、上記液体噴射装置は、液体を、チャンバーの液体通流部において通流させながら液体噴射孔から噴射する。従って、チャンバー内に気泡が発生しても、液体の通流により同気泡を液体とともに液体排出部から排出することができる。その結果、圧力振動付与手段によって液体に圧力振動が確実に付与されるので、噴射される液体の微粒子化を安定して達成することができる。
【0011】
この場合、前記流量制御手段は、前記液体導入部と前記加圧手段との間に配設された上流側制御弁と、前記液体排出部の下流側に配設された下流側制御弁とを含むことが望ましい。
【0012】
これによれば、チャンバーの液体通流部を通流する液体の流量及び同液体通流部の液体の圧力(平均圧力)を精密に制御することが容易にできるので、所望量の液体を噴射することができる。
【0013】
この場合、前記圧力振動付与手段は、駆動信号に応答して繰り返し伸縮する圧電体と同圧電体の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備え、前記液体通流部内を通流する液体に対して同粗密波により前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0014】
これによれば、圧電体の伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、圧電体を高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動を粗密波(縦波)によって確実に液体通流部内の液体に付与することが可能となる。その結果、噴射する液体の流量が大量となっても、同液体を確実に微粒子化することができる。
【0015】
また、前記圧力振動付与手段は駆動信号に応答して繰り返し変形する圧電体を備え、且つ、前記液体通流部は薄板部を含むとともに、同圧電体は同薄板部に固定され、同圧電体の作動により同薄板部を変形させることにより同液体通流部内を通流する前記液体に前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0016】
これによれば、圧電体に付与する電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部を容易に変形させることができるので、液体通流部内の液体に圧力振動を確実に付与することができる。従って、電力消費量の小さい液体噴射装置を提供することができる。
【0017】
また、上記液体噴射装置にあっては、前記液体導入部と前記液体通流部の接続部に絞り部を備えることが好適であり、更に、前記液体通流部と前記液体排出部の接続部にも絞り部を備えることが好適である。
【0018】
これによれば、圧力振動付与手段により与えられる圧力振動が、絞り部の存在により、液体導入部側或いは液体排出部側に伝播してしまう割合が減少する。従って、圧力振動付与手段に与える電力量を小さくしても、噴射される液体に確実に圧力振動を付与することができる。その結果、電力消費量の小さい液体噴射装置を提供することができる。
【0019】
また、前記流量制御手段は、前記液体が前記液体通流部内を通流する状態及び通流しない状態を発生し得るように構成され、前記圧力振動付与手段は、前記流量制御手段により前記液体が前記液体通流部内を通流する状態とされているときにのみ作動して前記液体に圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0020】
これによれば、液体が液体通流部を通流して液体噴射がなされる場合にのみ圧力振動付与手段が作動するので、無駄な電力消費を回避することができる。また、噴射が行われる際には液体が液体通流部を通流していて、同液体通流部に発生する気泡が液体排出部から排出されるので、噴射される液体に圧力振動を確実に付与することができる。
【0021】
また、上記液体噴射装置は、前記加圧手段と前記液体導入部の間に配設され前記液体噴射空間の圧力に応じて同液体導入部に導入される液体の圧力を調整する圧力調整手段を備えることが好適である。
【0022】
これによれば、液体噴射空間の圧力が変動しても所望の量の液体を同液体噴射空間に向けて噴射することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液体噴射装置(液体噴霧装置、液体供給装置、液滴吐出装置)の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置10は、図1の概略構成図に示したように、例えば、微粒子化された液体(液体燃料、例えばガソリン、以下、単に「燃料」又は「第1液体」と云うこともある。)を必要とする機械装置としての内燃機関EGに対する電子式燃料噴射制御装置(電子式液体噴射制御装置)として使用される。電子式燃料噴射制御装置は、内燃機関の吸気管(又は吸気ポート)等により形成される液体噴射空間(燃料噴射空間)に、微粒子化された液体を噴射するようになっている。
【0025】
電子式燃料噴射制御装置である液体噴射装置10は、加圧手段としての加圧ポンプ(燃料ポンプ)21、燃料タンク(液体貯蔵タンク)22、第1液体供給管(第1燃料供給管)23、圧力調整弁(プレッシャレギュレータ、圧力調整手段)24、第2液体供給管(第2燃料供給管)25、電磁式流量制御弁(上流側制御弁、上流側吐出弁)26、第1液体リターン管(第1燃料リターン管)27、第2液体リターン管(第2燃料リターン管)28、配管29、液体噴射用チャンバー30及び電気制御装置40を含んでいる。
【0026】
加圧ポンプ21は、燃料タンク22の底部に配置されている。加圧ポンプ21は、導入部21aと吐出部21bとを備えている。導入部21aはフィルタFに接続されている。吐出部21bは第1液体供給管23の一端に接続されている。加圧ポンプ21は、燃料タンク22内の燃料をフィルタFを介して導入部21aから導入し、その燃料を加圧し、加圧した燃料を吐出部21bから吐出するようになっている。
【0027】
加圧ポンプ21は、仮に液体噴射用チャンバー30の圧電/電歪素子が作動されていない場合であっても、燃料が液体噴射空間に対し噴射され得る圧力(この圧力を「加圧ポンプ吐出圧」と云う。)以上の圧力となるように同燃料を加圧してから吐出するようになっている。
【0028】
圧力調整弁24は、第1液体供給管23の他端と第2液体供給管25の一端とに接続されている。第2液体供給管25の他端は電磁式流量制御弁26に接続されている。また、圧力調整弁24は、第1液体リターン管27と第2液体リターン管28の接続部及び配管29の一端にも接続されている。配管29の他端は、液体噴射空間に接続されている。
【0029】
圧力調整弁24は、配管29を介して与えられる液体噴射空間の圧力に基づいて加圧ポンプ21から第1液体供給管23を介して供給された燃料の圧力を調圧(減圧)するようになっている。圧力調整弁24は、調圧後の燃料を第2液体供給管25に送出するとともに、余剰の燃料を第1液体リターン管27を介して燃料タンク22に排出するようになっている。この結果、圧力調整弁24と電磁式流量制御弁26との間の第2液体供給管25内の燃料の圧力は、液体噴射空間内の圧力よりも所定(一定)圧力だけ高い圧力(この圧力を「調整圧」と云う。)となるように調整される。
【0030】
電磁式流量制御弁26は、図2に示したように、第2液体供給管25が接続されて圧力調整弁24(の吐出側)に連通した液体導入口26aと、同液体導入口26aに連通した液体通路26bを形成する外筒部26cと、弁体26dと、外筒部26cの先端に形成されるとともに弁体26dの先端により通路断面積が制御される吐出孔26eと、弁体26dを駆動する図示しない電磁機構とを備えている。
【0031】
電磁式流量制御弁26の液体通路26bは、吐出孔26eを介して液体噴射用チャンバー30に接続されている。これにより、電磁式流量制御弁26は、吐出孔26eが弁体26dにより開放されたとき、圧力調整弁24を介して加圧ポンプ21から供給される加圧された燃料を液体通路26b及び吐出孔26eを介して液体噴射用チャンバー30に供給するようになっている。液体噴射空間内の圧力と第2液体供給管25内の燃料の圧力の差圧は、圧力調整弁24により一定になるように制御されているから、液体噴射用チャンバー30に供給される燃料の流量は吐出孔26eの通路断面積に基づいて決定されるようになっている。
【0032】
液体噴射用チャンバー30は、液体導入部30a、液体通流部30b及び液体排出部30cを備えている。液体噴射用チャンバー30は、ステンレス(例えば、SUS304又はSUS316)により形成されている。液体導入部30aは円筒状密閉空間を形成していて、電磁式流量制御弁26の外筒部26cが挿入されている。
【0033】
液体通流部30bは、互いに直交するX,Y及びZ軸にそれぞれ平行な辺を有する略直方体形状の密閉空間を形成している。液体通流部30bの一端側には液体導入部30aが連接(接続)され、他端側には液体排出部30cが連接(接続)されている。液体通流部30bの一つの壁(下壁)であって、液体導入部30aが連接された一端と液体排出部30cが連接された他端との間の壁には、複数の液体噴射孔30b1が形成されている。液体噴射孔30b1が形成された壁の下面は液体噴射空間に露呈している。複数の液体噴射孔30b1はマトリクス状に配設されている。
【0034】
液体排出部30cは、円筒状密閉空間を形成していて、第2液体リターン管28に接続されている。液体排出部30cは、液体通流部30bと第2液体リターン管28との間に絞り部30c1を備えている。
【0035】
これにより、液体導入部30aから液体通流部30bに導入された燃料は、液体通流部30bを通流して液体排出部30cから排出されるようになっている。また、液体通流部30bを通流する燃料の一部は、液体噴射孔30b1を介して液体噴射空間に噴射されるようになっている。
【0036】
液体通流部30bの密閉空間を形成している壁の一つであって、液体噴射孔30b1が形成されている壁と対向する壁(以下、便宜上「上壁」と称呼する。)の外面には、圧力振動付与手段31が配設されている。圧力振動付与手段31は、図2の1−1線に沿った平面にて液体噴射用チャンバー30及び圧力振動付与手段31を切断して得られる断面図である図3に示したように、圧電/電歪素子(圧電体)31aと、加振用チャンバーを構成する固定部31b及び蓋部31cとを備えている。
【0037】
圧電/電歪素子31aは、互いに直交するX,Y及びZ軸にそれぞれ平行な辺を有する直方体形状を有していて、一対の電極及び圧電/電歪層からなっている。一対の電極のそれぞれは、Z−Y平面に沿って形成された共通電極と、その共通電極に接続されるとともにX−Y平面に平行な面に沿って広がる複数の層状電極とを備えている。一つの共通電極に接続された任意の層状電極は、圧電/電歪層を介して他の共通電極に接続された一対の層状電極のそれぞれに対向している。
【0038】
前述した層状電極は、圧電/電歪層のY軸方向略中央部にのみ設けられ、圧電/電歪層のY軸方向両端部には設けられていない。圧電/電歪層のうち、層状電極が形成されている部分は、これらの層状電極により電界が付与される活性部を形成している。また、圧電/電歪層のうち層状電極が形成されていない部分は、圧電/電歪層に電界が付与されない不活性部を形成している。
【0039】
即ち、圧電/電歪素子31aは、一対の電極間に周期的に電圧が変化する圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されたとき、その活性部に周期的に変化する電界が加わり、その活性部がY軸方向に縮みZ軸方向に延びることにより(伸縮することにより)振動するようになっている。
【0040】
固定部31b及び蓋部31cからなる加振用チャンバーは、絶縁性の樹脂(例えば、アクリル系樹脂、peek系樹脂、又はポリカーボネイト系樹脂等)からなっていて、全体としてX,Y及びZ軸に対して平行に延びる各辺を有する略直方体形状を有している。固定部31bは、その上面及び下面が開放された中空の略直方体形状の枠体である。固定部31bの下面は液体噴射用チャンバーの上壁の上面に接着により固定されている。固定部31bの側壁の上側には切り込み部が形成されている。蓋部31cは、上面が閉塞され下面が開放された中空の略直方体形状を有している。蓋部31cの側壁の下側には切り込み部が形成されている。
【0041】
圧力振動付与手段31は、固定部31bの切り込み部と蓋部31cの切り込み部との間に、圧電/電歪素子31aの不活性部である圧電/電歪素子31aのY軸方向両端部を挟み込み、圧電/電歪素子31aを保持するようになっている。圧電/電歪素子31a、固定部31b及び蓋部31cは、互いに接着性ゴム等により固着されている。この結果、圧力振動付与手段31は、液体噴射用チャンバーの上壁とともに、その内部に圧電/電歪素子31aの活性部を備えた密閉空間31dを形成するようになっている。
【0042】
密閉空間31dには非導電性の液体(絶縁性液体、第2液体)が収容されている。この非導電性の液体は不燃性の液体であり、圧電/電歪素子31aの活性部の伸縮に伴う振動を、粗密波(縦波)として液体噴射用チャンバー30の上壁を介して液体通流部30b内の燃料に付与する。換言すると、圧力振動付与手段31は、駆動信号に応答して繰り返し伸縮する圧電体31aと同圧電体31aの伸縮運動を粗密波に変換する変換手段(加振用チャンバーと非導電性の液体)とを備え、液体通流部30b内を通流する燃料に対して同粗密波により圧力振動を付与するようになっている。
【0043】
液体噴射用チャンバー30は、単に「チャンバー」とも称呼される。また、液体噴射用チャンバー30及び圧力振動付与手段31は、「液体微粒子化手段」又は「液体噴射デバイス」と称呼されることもある。
【0044】
電気制御装置40は、マイクロコンピュータを含む回路であり、図1に示したように、エンジン回転速度センサ41及び吸気管圧力センサ42等のセンサと接続されている。電気制御装置40は、これらのセンサからエンジン回転速度Nや吸気管圧力Pを入力して内燃機関に必要な燃料量及び噴射開始タイミングを決定するとともに、同決定した燃料量及び噴射開始タイミングに応じて電磁式流量制御弁26の電磁機構に流量制御弁駆動電圧信号INJを供給し、液体通流部30bを通流する燃料の流量(液体噴射用チャンバー30内の燃料圧力)を制御するようになっている。また、電気制御装置40は、圧電/電歪素子31aの電極間に駆動周波数fで0(V)とVmax(V)との間を変化する圧電/電歪素子駆動電圧信号を供給するようになっている。
【0045】
以上の構成により、電磁式流量制御弁26の吐出孔26eから吐出された燃料は、液体噴射用チャンバー30の液体通流部30b内を通流するとともに、液体噴射孔30b1から液体噴射空間内に噴射される。このとき、圧電/電歪素子31aによる振動エネルギー(周波数fの振動)が、非導電性液体と液体噴射用チャンバー30の上壁(振動伝達板)を介して噴射される燃料に加えられている。従って、噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。
【0046】
この結果、均一で精細に微粒子化された燃料が液体噴射空間に噴射される。なお、以下に述べる他の実施形態に係る液体噴射装置も、上述した液体噴射装置10の作動と実質的に同様に作動する。
【0047】
以上、説明したように、液体噴射装置10によれば、液体(燃料)が液体噴射孔30b1を介して噴射されるために必要な圧力は加圧ポンプ21と圧力調整弁24とにより発生され、噴射される燃料が微粒子化するための振動は圧力振動付与手段31により付与される。従って、液体噴射装置10は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、燃料の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0048】
更に、液体噴射装置10は、燃料を、液体噴射用チャンバー30の液体通流部30bにおいて通流させながら液体噴射孔30b1から噴射する。従って、液体噴射用チャンバー30内に気泡が発生しても、燃料の通流により同気泡を燃料とともに液体排出部30cから排出することができる。その結果、圧力振動付与手段31によって液体通流部30bの燃料に圧力振動が確実に付与されるので、噴射される燃料の微粒子化を安定して達成することができる。
【0049】
更に、圧力振動付与手段31は、圧電体31aの伸縮運動による圧力振動を粗密波に伝達するようになっているから、その伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、圧電体を高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動による圧力振動を確実に液体通流部30b内の燃料に付与することが可能となる。その結果、噴射する燃料の流量が大量となっても、同燃料を確実に微粒子化することができる。
【0050】
加えて、圧力振動付与手段31は、その不活性部にて固定部31b及び蓋部31cに接着・固定されるとともに、固定部31bが液体噴射用チャンバー30に接着・固定されているので、接着部が振動することがない。従って、接着部が破損する可能性が極めて小さいから、長寿命の液体噴射装置10が提供される。
【0051】
なお、電気制御装置40は、電磁式流量制御弁26の電磁機構に流量制御弁駆動電圧信号INJを供給することにより、燃料が液体通流部30bを通流している場合にのみ、圧電/電歪素子31aの電極間に圧電/電歪素子駆動電圧信号を供給するように構成することが好適である。これによれば、燃料が液体通流部30bを通流して噴射がなされる場合にのみ圧力振動付与手段31が作動するので、無駄な電力消費を回避することができる。
【0052】
また、液体噴射装置10は、圧力調整手段としての圧力調整弁24を備えているので、液体噴射空間の圧力が変動しても所望の量の燃料を同液体噴射空間に向けて噴射することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置50について、図4を参照しながら説明する。液体噴射装置50は、第1実施形態に係る液体噴射装置10の液体噴射用チャンバー30を液体噴射用チャンバー51に置換するとともに、排出側電磁式流量制御弁(下流側制御弁)52を備えている点のみにおいて同液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0054】
液体噴射用チャンバー51は、液体噴射用チャンバー30と同様に、液体導入部30a及び液体通流部30bを備えている。また、液体噴射用チャンバー51は、液体排出部30cに代わる液体排出部51aを備えている。液体排出部51aは、円筒状密閉空間を形成している。ただし、液体排出部51aには絞り部は設けられていない。
【0055】
排出側電磁式流量制御弁52は、電磁式流量制御弁(導入側電磁式流量制御弁、即ち、上流側制御弁)26と同一の構成を備えている。排出側電磁式流量制御弁52の液体導入口52aは液体排出部51aと接続され、吐出孔52eは第2液体リターン管28に接続されている。
【0056】
排出側電磁式流量制御弁52の図示しない電磁機構は、電気制御装置40と電気的に接続され、電気制御装置40から排出側流量制御弁駆動信号が供給されるようになっている。この駆動信号により、排出側電磁式流量制御弁52は、吐出孔52eが弁体52dにより開放されたとき、液体噴射用チャンバー30内の燃料を液体通路52b及び吐出孔52eを介して第2液体リターン管28に排出するようになっている。
【0057】
以上の構成により、液体噴射装置50は、液体通流部30b内を通流する燃料の流量を導入側電磁式流量制御弁26及び排出側電磁式流量制御弁52により制御しながら、液体通流部30b内を通流する燃料の一部を液体噴射孔30b1から液体噴射空間に噴射する。
【0058】
従って、液体噴射用チャンバー30内に気泡が発生しても、燃料の通流により同気泡を燃料とともに液体排出部30cから排出することができる。その結果、圧力振動付与手段31によって液体通流部30bの燃料に圧力変動が確実に付与されるので、噴射される燃料の微粒子化を安定して達成することができる。
【0059】
また、導入側電磁式流量制御弁26及び排出側電磁式流量制御弁52により液体通流部30b内を通流する燃料の流量及び同液体通流部30bの燃料の圧力(平均圧力)を精密に制御することが容易にできるので、所望量の燃料を噴射することができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置60について、図5を参照しながら説明する。液体噴射装置60は、第1実施形態に係る液体噴射装置10の液体噴射用チャンバー30を液体噴射用チャンバー61に置換した点のみにおいて同液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、図5において、導入側電磁式流量制御弁26は図示されていない。また、液体噴射装置60は、第2実施形態の液体噴射装置50と同様に、導入側電磁式流量制御弁26に加え、排出側電磁式流量制御弁52を備えていてもよい。
【0061】
液体噴射用チャンバー61は、液体噴射用チャンバー30と同様の構成を備えている。即ち、液体噴射用チャンバー61は、液体導入部30aと同一構成の液体導入部61a、液体通流部30bに代わる液体通流部61b及び液体排出部30cに代わる液体排出部61cを備えている。
【0062】
液体通流部61bは、液体導入部61aと液体通流部61bとの接続部及び液体排出部61cと液体通流部61bとの接続部に、それぞれ絞り部61d,61eを備えている。絞り部61d,61eは、液体通流部61bを形成する壁であって液体噴射孔61b1が形成されている壁からZ軸方向に立設され、Y軸方向に長手方向を有する角柱形状を有している。絞り部61d,61eにおける流路断面積は、液体通流部61bの(X軸方向略中央部の)流路断面積よりもそれぞれ小さくなっている。
【0063】
以上の構成の液体噴射装置60は、液体噴射装置10と同様の利点を有する。また、圧力振動付与手段31により液体通流部61b内を通流する燃料に与えられる圧力振動が、絞り部61d,61eの存在により、液体導入部61a側或いは液体排出部61c側に伝播してしまう割合が減少する。従って、圧電/電歪素子31aの一対の電極間に与える電力量を小さくしても、噴射される燃料に確実に圧力振動を付与することができる。その結果、電力消費量の小さい液体噴射装置60を提供することができる。
【0064】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置70について、図6を参照しながら説明する。液体噴射装置70は、第3実施形態に係る液体噴射装置60の液体噴射用チャンバー61に代えて液体噴射用チャンバー71を採用するとともに、圧力振動付与手段31に代えて圧電/電歪素子からなる圧力振動付与手段32を採用した点のみにおいて同液体噴射装置60と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、図6において、導入側電磁式流量制御弁26は図示されていない。また、液体噴射装置60は、第2実施形態の液体噴射装置50と同様に、導入側電磁式流量制御弁26に加え、排出側電磁式流量制御弁52を備えていてもよい。
【0065】
液体噴射用チャンバー71は、液体噴射用チャンバー61に対し、液体通流部61bの液体噴射孔61b1が形成された下壁に対向する壁(上壁)に薄板部61b2を備えている点のみにおいて、液体噴射用チャンバー61と相違している。
【0066】
圧力振動付与手段32は、上壁の薄板部61b2の上面に配設(固着)されている。圧力振動付与手段32は、互いに直交するX,Y及びZ軸にそれぞれ平行な辺を有する直方体形状を有していて、一対の電極及び圧電/電歪層からなっている。一対の電極のそれぞれは、Z−X平面に沿って形成された共通電極と、その共通電極に接続されるとともにX−Y平面に平行な面に沿って広がる複数の層状電極とを備えている。一つの共通電極に接続された任意の層状電極は、圧電/電歪層を介して、他の共通電極に接続された一対の層状電極に対向している。
【0067】
即ち、圧力振動付与手段32は、層状の圧電/電歪素子と層状の電極とを交互に多層にわたり積層することで形成された「横効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ(圧電体)」である。圧力振動付与手段32は、一対の電極間に周期的に電圧が変化する圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されたとき、この駆動電圧信号に応答して薄板部61b2を周期的に(繰り返し)屈曲変形せしめ、これにより液体通流部61b内を通流する燃料を周期的に加圧及び減圧し、この燃料に圧力振動を付与するようになっている。
【0068】
以上の構成の液体噴射装置70は、液体噴射装置10と同様の利点を有する。また、圧力振動付与手段32は、圧電/電歪素子駆動電圧信号の電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部61b2を容易に変形させることができるので、液体通流部61b内の燃料に圧力振動を確実に付与することができる。従って、電力消費量の小さい液体噴射装置70を提供することができる。
【0069】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置80について、図7を参照しながら説明する。液体噴射装置80は、第3実施形態に係る液体噴射装置60の液体噴射用チャンバー61を液体噴射用チャンバー81に置換した点のみにおいて同液体噴射装置60と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、図7において、導入側電磁式流量制御弁26は図示されていない。また、液体噴射装置80は、第2実施形態の液体噴射装置50と同様に、導入側電磁式流量制御弁26に加え、排出側電磁式流量制御弁52を備えていてもよい。
【0070】
液体噴射用チャンバー81は、液体噴射用チャンバー61に対し、絞り部61d及び61eに代えて絞り部81a及び絞り部81bを採用した点のみにおいて液体噴射用チャンバー61と相違している。
【0071】
絞り部81aは、液体導入部61aと液体通流部61bとの接続部近傍の液体通流部61bに設けらた角柱部81a1により形成されている。角柱部81a1をZ−X平面と平行な平面で切断した断面の形状は略長方形である。角柱部81a1は、Y軸と平行な方向に延びている。角柱部81a1のY軸方向両端部は、液体通流部61bのZ−X平面と平行な一対の壁面に支持されている。
【0072】
絞り部81aは、この角柱部81a1と液体通流部61bの下壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分と、角柱部81a1と液体通流部61bの上壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分とにより構成されている。
【0073】
絞り部81bは、液体導入部61aと液体通流部61bとの接続部近傍の液体通流部61bに設けらた角柱部81b1により形成されている。角柱部81b1は角柱部81a1と同様な構成を備えている。絞り部81bは、この角柱部81b1と液体通流部61bの下壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分と、角柱部81b1と液体通流部61bの上壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分とにより構成されている。
【0074】
以上の構成の液体噴射装置80は、液体噴射装置10と同様の利点を有する。また、液体噴射装置80においては、液体噴射装置60と同様に、圧力振動付与手段31により液体通流部61b内を通流する燃料に与えられる圧力振動が、絞り部81a,81bの存在により、液体導入部61a側或いは液体排出部61c側に伝播してしまう割合が減少する。従って、圧電/電歪素子31aの一対の電極間に与える電力量を小さくしても、噴射される燃料に確実に圧力変動を付与することができる。その結果、電力消費量の小さい液体噴射装置80を提供することができる。
【0075】
以上、説明したように、本発明による液体噴射装置の各実施形態によれば、液体噴射用チャンバー内の気泡が速やかに排出されるので、圧力振動付与手段による圧力振動を液体(燃料)に確実に加えることができ、その結果、燃料の微粒子化を確実に行うことができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態の液体噴射装置は、吸気管(吸気ポート)内に燃料を噴射する形式のガソリン内燃機関のみでなく、気筒内に燃料を直接噴射する所謂「直噴式ガソリン内燃機関」に適用することもできる。更に、上記各実施形態の液体噴射装置を、ディーゼルエンジン用の直噴インジェクタとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関に適用した本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略を示した図である。
【図2】図1に示した液体噴射装置の液体噴射用チャンバー、圧力振動付与手段及び電磁式流量制御弁の断面図である。
【図3】図2に示した液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段を1−1線に平行な平面で切断した断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー、圧力振動付与手段及び電磁式流量制御弁の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段の断面図である。
【図8】従来の液体噴射装置の断面図である。
【符号の説明】
21…加圧ポンプ、22…燃料タンク、24…圧力調整弁、30…液体噴射用チャンバー、30a…液体導入部、30b…液体通流部、30b1…液体噴射孔、30c…液体排出部、31…圧力振動付与手段、31a…圧電/電歪素子(圧電体)、40…電気制御装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴射する液体を微粒子化するように構成された液体噴射装置に関する。
【0002】
図8に記載したように、従来から知られるこの種の液体噴射装置300は、圧電素子301により容積が変更せしめられるとともに液体噴射孔302を備えたチャンバー303と、液体導入孔304と、液体供給通路305とを備えている。液体は、液体供給通路305内に供給され、次いで、液体導入孔304を介してチャンバー303内に導入される。そして、液体は、チャンバー303内において圧電素子301の作動により加圧され、液体噴射孔302から噴射される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−279796号公報(第2頁、第3頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置は、圧電素子301の発生する加圧力のみで液体を噴射しようとするため、液体を噴射する空間(液体噴射空間)の温度及び圧力等が激しく変動する周囲環境下で使用された場合、液体噴射のための加圧力が不足して液体が噴射できなくなったり、逆に、加圧力を高めると一回の圧電素子301の作動による液体の吐出量が過大となって液体を微粒子化できないという問題がある。
【0005】
また、このような液体噴射装置は、チャンバー303内において気泡が発生すると、圧電素子301の作動による圧力変動をチャンバー303内の液体に効率的に付与できなくなり、噴射及び噴射される液体の微粒子化が達成できないという問題もある。
【0006】
従って、本発明の目的は、チャンバー内の気泡の排出を確実に行い、環境が激しく変動する液体噴射空間に対しても液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる液体噴射装置を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明による液体噴射装置は、貯蔵された液体を加圧するとともに同加圧された液体を吐出する加圧手段と、前記加圧された液体を導入する液体導入部、同液体導入部に連接され同導入された液体を通流させるとともに同通流する液体を液体噴射空間に噴射するための液体噴射孔を有する液体通流部及び同液体通流部に連接され同液体を排出する液体排出部を有するチャンバーと、前記液体通流部に配設され前記液体通流部内を通流する液体に圧力振動(圧力変動、振動エネルギー)を付与する圧力振動付与手段と、前記液体通流部内を通流する液体の流量を制御する流量制御手段とを備え、前記同液体を前記液体噴射孔から噴射するとともに同噴射される液体を前記圧力振動付与手段により付与する圧力振動により微粒子化するように構成されている。
【0008】
なお、本明細書において、「液体噴射孔」は「壁等に設けられた中空円筒状の貫通孔(即ち、流れの方向に断面積を変化させていない流路)」のみでなく、「液体のもつ圧力や熱のエネルギーを運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向に断面積を変化させた流路(即ち、ノズル)」をも含む用語として使用される。
【0009】
この液体噴射装置によれば、液体が液体噴射孔を介して噴射されるのに必要な圧力は加圧手段により発生され、液体が微粒子化するための圧力振動は圧力振動付与手段により付与される。従って、上記液体噴射装置は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0010】
更に、上記液体噴射装置は、液体を、チャンバーの液体通流部において通流させながら液体噴射孔から噴射する。従って、チャンバー内に気泡が発生しても、液体の通流により同気泡を液体とともに液体排出部から排出することができる。その結果、圧力振動付与手段によって液体に圧力振動が確実に付与されるので、噴射される液体の微粒子化を安定して達成することができる。
【0011】
この場合、前記流量制御手段は、前記液体導入部と前記加圧手段との間に配設された上流側制御弁と、前記液体排出部の下流側に配設された下流側制御弁とを含むことが望ましい。
【0012】
これによれば、チャンバーの液体通流部を通流する液体の流量及び同液体通流部の液体の圧力(平均圧力)を精密に制御することが容易にできるので、所望量の液体を噴射することができる。
【0013】
この場合、前記圧力振動付与手段は、駆動信号に応答して繰り返し伸縮する圧電体と同圧電体の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備え、前記液体通流部内を通流する液体に対して同粗密波により前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0014】
これによれば、圧電体の伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、圧電体を高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動を粗密波(縦波)によって確実に液体通流部内の液体に付与することが可能となる。その結果、噴射する液体の流量が大量となっても、同液体を確実に微粒子化することができる。
【0015】
また、前記圧力振動付与手段は駆動信号に応答して繰り返し変形する圧電体を備え、且つ、前記液体通流部は薄板部を含むとともに、同圧電体は同薄板部に固定され、同圧電体の作動により同薄板部を変形させることにより同液体通流部内を通流する前記液体に前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0016】
これによれば、圧電体に付与する電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部を容易に変形させることができるので、液体通流部内の液体に圧力振動を確実に付与することができる。従って、電力消費量の小さい液体噴射装置を提供することができる。
【0017】
また、上記液体噴射装置にあっては、前記液体導入部と前記液体通流部の接続部に絞り部を備えることが好適であり、更に、前記液体通流部と前記液体排出部の接続部にも絞り部を備えることが好適である。
【0018】
これによれば、圧力振動付与手段により与えられる圧力振動が、絞り部の存在により、液体導入部側或いは液体排出部側に伝播してしまう割合が減少する。従って、圧力振動付与手段に与える電力量を小さくしても、噴射される液体に確実に圧力振動を付与することができる。その結果、電力消費量の小さい液体噴射装置を提供することができる。
【0019】
また、前記流量制御手段は、前記液体が前記液体通流部内を通流する状態及び通流しない状態を発生し得るように構成され、前記圧力振動付与手段は、前記流量制御手段により前記液体が前記液体通流部内を通流する状態とされているときにのみ作動して前記液体に圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0020】
これによれば、液体が液体通流部を通流して液体噴射がなされる場合にのみ圧力振動付与手段が作動するので、無駄な電力消費を回避することができる。また、噴射が行われる際には液体が液体通流部を通流していて、同液体通流部に発生する気泡が液体排出部から排出されるので、噴射される液体に圧力振動を確実に付与することができる。
【0021】
また、上記液体噴射装置は、前記加圧手段と前記液体導入部の間に配設され前記液体噴射空間の圧力に応じて同液体導入部に導入される液体の圧力を調整する圧力調整手段を備えることが好適である。
【0022】
これによれば、液体噴射空間の圧力が変動しても所望の量の液体を同液体噴射空間に向けて噴射することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液体噴射装置(液体噴霧装置、液体供給装置、液滴吐出装置)の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置10は、図1の概略構成図に示したように、例えば、微粒子化された液体(液体燃料、例えばガソリン、以下、単に「燃料」又は「第1液体」と云うこともある。)を必要とする機械装置としての内燃機関EGに対する電子式燃料噴射制御装置(電子式液体噴射制御装置)として使用される。電子式燃料噴射制御装置は、内燃機関の吸気管(又は吸気ポート)等により形成される液体噴射空間(燃料噴射空間)に、微粒子化された液体を噴射するようになっている。
【0025】
電子式燃料噴射制御装置である液体噴射装置10は、加圧手段としての加圧ポンプ(燃料ポンプ)21、燃料タンク(液体貯蔵タンク)22、第1液体供給管(第1燃料供給管)23、圧力調整弁(プレッシャレギュレータ、圧力調整手段)24、第2液体供給管(第2燃料供給管)25、電磁式流量制御弁(上流側制御弁、上流側吐出弁)26、第1液体リターン管(第1燃料リターン管)27、第2液体リターン管(第2燃料リターン管)28、配管29、液体噴射用チャンバー30及び電気制御装置40を含んでいる。
【0026】
加圧ポンプ21は、燃料タンク22の底部に配置されている。加圧ポンプ21は、導入部21aと吐出部21bとを備えている。導入部21aはフィルタFに接続されている。吐出部21bは第1液体供給管23の一端に接続されている。加圧ポンプ21は、燃料タンク22内の燃料をフィルタFを介して導入部21aから導入し、その燃料を加圧し、加圧した燃料を吐出部21bから吐出するようになっている。
【0027】
加圧ポンプ21は、仮に液体噴射用チャンバー30の圧電/電歪素子が作動されていない場合であっても、燃料が液体噴射空間に対し噴射され得る圧力(この圧力を「加圧ポンプ吐出圧」と云う。)以上の圧力となるように同燃料を加圧してから吐出するようになっている。
【0028】
圧力調整弁24は、第1液体供給管23の他端と第2液体供給管25の一端とに接続されている。第2液体供給管25の他端は電磁式流量制御弁26に接続されている。また、圧力調整弁24は、第1液体リターン管27と第2液体リターン管28の接続部及び配管29の一端にも接続されている。配管29の他端は、液体噴射空間に接続されている。
【0029】
圧力調整弁24は、配管29を介して与えられる液体噴射空間の圧力に基づいて加圧ポンプ21から第1液体供給管23を介して供給された燃料の圧力を調圧(減圧)するようになっている。圧力調整弁24は、調圧後の燃料を第2液体供給管25に送出するとともに、余剰の燃料を第1液体リターン管27を介して燃料タンク22に排出するようになっている。この結果、圧力調整弁24と電磁式流量制御弁26との間の第2液体供給管25内の燃料の圧力は、液体噴射空間内の圧力よりも所定(一定)圧力だけ高い圧力(この圧力を「調整圧」と云う。)となるように調整される。
【0030】
電磁式流量制御弁26は、図2に示したように、第2液体供給管25が接続されて圧力調整弁24(の吐出側)に連通した液体導入口26aと、同液体導入口26aに連通した液体通路26bを形成する外筒部26cと、弁体26dと、外筒部26cの先端に形成されるとともに弁体26dの先端により通路断面積が制御される吐出孔26eと、弁体26dを駆動する図示しない電磁機構とを備えている。
【0031】
電磁式流量制御弁26の液体通路26bは、吐出孔26eを介して液体噴射用チャンバー30に接続されている。これにより、電磁式流量制御弁26は、吐出孔26eが弁体26dにより開放されたとき、圧力調整弁24を介して加圧ポンプ21から供給される加圧された燃料を液体通路26b及び吐出孔26eを介して液体噴射用チャンバー30に供給するようになっている。液体噴射空間内の圧力と第2液体供給管25内の燃料の圧力の差圧は、圧力調整弁24により一定になるように制御されているから、液体噴射用チャンバー30に供給される燃料の流量は吐出孔26eの通路断面積に基づいて決定されるようになっている。
【0032】
液体噴射用チャンバー30は、液体導入部30a、液体通流部30b及び液体排出部30cを備えている。液体噴射用チャンバー30は、ステンレス(例えば、SUS304又はSUS316)により形成されている。液体導入部30aは円筒状密閉空間を形成していて、電磁式流量制御弁26の外筒部26cが挿入されている。
【0033】
液体通流部30bは、互いに直交するX,Y及びZ軸にそれぞれ平行な辺を有する略直方体形状の密閉空間を形成している。液体通流部30bの一端側には液体導入部30aが連接(接続)され、他端側には液体排出部30cが連接(接続)されている。液体通流部30bの一つの壁(下壁)であって、液体導入部30aが連接された一端と液体排出部30cが連接された他端との間の壁には、複数の液体噴射孔30b1が形成されている。液体噴射孔30b1が形成された壁の下面は液体噴射空間に露呈している。複数の液体噴射孔30b1はマトリクス状に配設されている。
【0034】
液体排出部30cは、円筒状密閉空間を形成していて、第2液体リターン管28に接続されている。液体排出部30cは、液体通流部30bと第2液体リターン管28との間に絞り部30c1を備えている。
【0035】
これにより、液体導入部30aから液体通流部30bに導入された燃料は、液体通流部30bを通流して液体排出部30cから排出されるようになっている。また、液体通流部30bを通流する燃料の一部は、液体噴射孔30b1を介して液体噴射空間に噴射されるようになっている。
【0036】
液体通流部30bの密閉空間を形成している壁の一つであって、液体噴射孔30b1が形成されている壁と対向する壁(以下、便宜上「上壁」と称呼する。)の外面には、圧力振動付与手段31が配設されている。圧力振動付与手段31は、図2の1−1線に沿った平面にて液体噴射用チャンバー30及び圧力振動付与手段31を切断して得られる断面図である図3に示したように、圧電/電歪素子(圧電体)31aと、加振用チャンバーを構成する固定部31b及び蓋部31cとを備えている。
【0037】
圧電/電歪素子31aは、互いに直交するX,Y及びZ軸にそれぞれ平行な辺を有する直方体形状を有していて、一対の電極及び圧電/電歪層からなっている。一対の電極のそれぞれは、Z−Y平面に沿って形成された共通電極と、その共通電極に接続されるとともにX−Y平面に平行な面に沿って広がる複数の層状電極とを備えている。一つの共通電極に接続された任意の層状電極は、圧電/電歪層を介して他の共通電極に接続された一対の層状電極のそれぞれに対向している。
【0038】
前述した層状電極は、圧電/電歪層のY軸方向略中央部にのみ設けられ、圧電/電歪層のY軸方向両端部には設けられていない。圧電/電歪層のうち、層状電極が形成されている部分は、これらの層状電極により電界が付与される活性部を形成している。また、圧電/電歪層のうち層状電極が形成されていない部分は、圧電/電歪層に電界が付与されない不活性部を形成している。
【0039】
即ち、圧電/電歪素子31aは、一対の電極間に周期的に電圧が変化する圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されたとき、その活性部に周期的に変化する電界が加わり、その活性部がY軸方向に縮みZ軸方向に延びることにより(伸縮することにより)振動するようになっている。
【0040】
固定部31b及び蓋部31cからなる加振用チャンバーは、絶縁性の樹脂(例えば、アクリル系樹脂、peek系樹脂、又はポリカーボネイト系樹脂等)からなっていて、全体としてX,Y及びZ軸に対して平行に延びる各辺を有する略直方体形状を有している。固定部31bは、その上面及び下面が開放された中空の略直方体形状の枠体である。固定部31bの下面は液体噴射用チャンバーの上壁の上面に接着により固定されている。固定部31bの側壁の上側には切り込み部が形成されている。蓋部31cは、上面が閉塞され下面が開放された中空の略直方体形状を有している。蓋部31cの側壁の下側には切り込み部が形成されている。
【0041】
圧力振動付与手段31は、固定部31bの切り込み部と蓋部31cの切り込み部との間に、圧電/電歪素子31aの不活性部である圧電/電歪素子31aのY軸方向両端部を挟み込み、圧電/電歪素子31aを保持するようになっている。圧電/電歪素子31a、固定部31b及び蓋部31cは、互いに接着性ゴム等により固着されている。この結果、圧力振動付与手段31は、液体噴射用チャンバーの上壁とともに、その内部に圧電/電歪素子31aの活性部を備えた密閉空間31dを形成するようになっている。
【0042】
密閉空間31dには非導電性の液体(絶縁性液体、第2液体)が収容されている。この非導電性の液体は不燃性の液体であり、圧電/電歪素子31aの活性部の伸縮に伴う振動を、粗密波(縦波)として液体噴射用チャンバー30の上壁を介して液体通流部30b内の燃料に付与する。換言すると、圧力振動付与手段31は、駆動信号に応答して繰り返し伸縮する圧電体31aと同圧電体31aの伸縮運動を粗密波に変換する変換手段(加振用チャンバーと非導電性の液体)とを備え、液体通流部30b内を通流する燃料に対して同粗密波により圧力振動を付与するようになっている。
【0043】
液体噴射用チャンバー30は、単に「チャンバー」とも称呼される。また、液体噴射用チャンバー30及び圧力振動付与手段31は、「液体微粒子化手段」又は「液体噴射デバイス」と称呼されることもある。
【0044】
電気制御装置40は、マイクロコンピュータを含む回路であり、図1に示したように、エンジン回転速度センサ41及び吸気管圧力センサ42等のセンサと接続されている。電気制御装置40は、これらのセンサからエンジン回転速度Nや吸気管圧力Pを入力して内燃機関に必要な燃料量及び噴射開始タイミングを決定するとともに、同決定した燃料量及び噴射開始タイミングに応じて電磁式流量制御弁26の電磁機構に流量制御弁駆動電圧信号INJを供給し、液体通流部30bを通流する燃料の流量(液体噴射用チャンバー30内の燃料圧力)を制御するようになっている。また、電気制御装置40は、圧電/電歪素子31aの電極間に駆動周波数fで0(V)とVmax(V)との間を変化する圧電/電歪素子駆動電圧信号を供給するようになっている。
【0045】
以上の構成により、電磁式流量制御弁26の吐出孔26eから吐出された燃料は、液体噴射用チャンバー30の液体通流部30b内を通流するとともに、液体噴射孔30b1から液体噴射空間内に噴射される。このとき、圧電/電歪素子31aによる振動エネルギー(周波数fの振動)が、非導電性液体と液体噴射用チャンバー30の上壁(振動伝達板)を介して噴射される燃料に加えられている。従って、噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。
【0046】
この結果、均一で精細に微粒子化された燃料が液体噴射空間に噴射される。なお、以下に述べる他の実施形態に係る液体噴射装置も、上述した液体噴射装置10の作動と実質的に同様に作動する。
【0047】
以上、説明したように、液体噴射装置10によれば、液体(燃料)が液体噴射孔30b1を介して噴射されるために必要な圧力は加圧ポンプ21と圧力調整弁24とにより発生され、噴射される燃料が微粒子化するための振動は圧力振動付与手段31により付与される。従って、液体噴射装置10は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、燃料の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0048】
更に、液体噴射装置10は、燃料を、液体噴射用チャンバー30の液体通流部30bにおいて通流させながら液体噴射孔30b1から噴射する。従って、液体噴射用チャンバー30内に気泡が発生しても、燃料の通流により同気泡を燃料とともに液体排出部30cから排出することができる。その結果、圧力振動付与手段31によって液体通流部30bの燃料に圧力振動が確実に付与されるので、噴射される燃料の微粒子化を安定して達成することができる。
【0049】
更に、圧力振動付与手段31は、圧電体31aの伸縮運動による圧力振動を粗密波に伝達するようになっているから、その伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、圧電体を高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動による圧力振動を確実に液体通流部30b内の燃料に付与することが可能となる。その結果、噴射する燃料の流量が大量となっても、同燃料を確実に微粒子化することができる。
【0050】
加えて、圧力振動付与手段31は、その不活性部にて固定部31b及び蓋部31cに接着・固定されるとともに、固定部31bが液体噴射用チャンバー30に接着・固定されているので、接着部が振動することがない。従って、接着部が破損する可能性が極めて小さいから、長寿命の液体噴射装置10が提供される。
【0051】
なお、電気制御装置40は、電磁式流量制御弁26の電磁機構に流量制御弁駆動電圧信号INJを供給することにより、燃料が液体通流部30bを通流している場合にのみ、圧電/電歪素子31aの電極間に圧電/電歪素子駆動電圧信号を供給するように構成することが好適である。これによれば、燃料が液体通流部30bを通流して噴射がなされる場合にのみ圧力振動付与手段31が作動するので、無駄な電力消費を回避することができる。
【0052】
また、液体噴射装置10は、圧力調整手段としての圧力調整弁24を備えているので、液体噴射空間の圧力が変動しても所望の量の燃料を同液体噴射空間に向けて噴射することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置50について、図4を参照しながら説明する。液体噴射装置50は、第1実施形態に係る液体噴射装置10の液体噴射用チャンバー30を液体噴射用チャンバー51に置換するとともに、排出側電磁式流量制御弁(下流側制御弁)52を備えている点のみにおいて同液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0054】
液体噴射用チャンバー51は、液体噴射用チャンバー30と同様に、液体導入部30a及び液体通流部30bを備えている。また、液体噴射用チャンバー51は、液体排出部30cに代わる液体排出部51aを備えている。液体排出部51aは、円筒状密閉空間を形成している。ただし、液体排出部51aには絞り部は設けられていない。
【0055】
排出側電磁式流量制御弁52は、電磁式流量制御弁(導入側電磁式流量制御弁、即ち、上流側制御弁)26と同一の構成を備えている。排出側電磁式流量制御弁52の液体導入口52aは液体排出部51aと接続され、吐出孔52eは第2液体リターン管28に接続されている。
【0056】
排出側電磁式流量制御弁52の図示しない電磁機構は、電気制御装置40と電気的に接続され、電気制御装置40から排出側流量制御弁駆動信号が供給されるようになっている。この駆動信号により、排出側電磁式流量制御弁52は、吐出孔52eが弁体52dにより開放されたとき、液体噴射用チャンバー30内の燃料を液体通路52b及び吐出孔52eを介して第2液体リターン管28に排出するようになっている。
【0057】
以上の構成により、液体噴射装置50は、液体通流部30b内を通流する燃料の流量を導入側電磁式流量制御弁26及び排出側電磁式流量制御弁52により制御しながら、液体通流部30b内を通流する燃料の一部を液体噴射孔30b1から液体噴射空間に噴射する。
【0058】
従って、液体噴射用チャンバー30内に気泡が発生しても、燃料の通流により同気泡を燃料とともに液体排出部30cから排出することができる。その結果、圧力振動付与手段31によって液体通流部30bの燃料に圧力変動が確実に付与されるので、噴射される燃料の微粒子化を安定して達成することができる。
【0059】
また、導入側電磁式流量制御弁26及び排出側電磁式流量制御弁52により液体通流部30b内を通流する燃料の流量及び同液体通流部30bの燃料の圧力(平均圧力)を精密に制御することが容易にできるので、所望量の燃料を噴射することができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置60について、図5を参照しながら説明する。液体噴射装置60は、第1実施形態に係る液体噴射装置10の液体噴射用チャンバー30を液体噴射用チャンバー61に置換した点のみにおいて同液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、図5において、導入側電磁式流量制御弁26は図示されていない。また、液体噴射装置60は、第2実施形態の液体噴射装置50と同様に、導入側電磁式流量制御弁26に加え、排出側電磁式流量制御弁52を備えていてもよい。
【0061】
液体噴射用チャンバー61は、液体噴射用チャンバー30と同様の構成を備えている。即ち、液体噴射用チャンバー61は、液体導入部30aと同一構成の液体導入部61a、液体通流部30bに代わる液体通流部61b及び液体排出部30cに代わる液体排出部61cを備えている。
【0062】
液体通流部61bは、液体導入部61aと液体通流部61bとの接続部及び液体排出部61cと液体通流部61bとの接続部に、それぞれ絞り部61d,61eを備えている。絞り部61d,61eは、液体通流部61bを形成する壁であって液体噴射孔61b1が形成されている壁からZ軸方向に立設され、Y軸方向に長手方向を有する角柱形状を有している。絞り部61d,61eにおける流路断面積は、液体通流部61bの(X軸方向略中央部の)流路断面積よりもそれぞれ小さくなっている。
【0063】
以上の構成の液体噴射装置60は、液体噴射装置10と同様の利点を有する。また、圧力振動付与手段31により液体通流部61b内を通流する燃料に与えられる圧力振動が、絞り部61d,61eの存在により、液体導入部61a側或いは液体排出部61c側に伝播してしまう割合が減少する。従って、圧電/電歪素子31aの一対の電極間に与える電力量を小さくしても、噴射される燃料に確実に圧力振動を付与することができる。その結果、電力消費量の小さい液体噴射装置60を提供することができる。
【0064】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置70について、図6を参照しながら説明する。液体噴射装置70は、第3実施形態に係る液体噴射装置60の液体噴射用チャンバー61に代えて液体噴射用チャンバー71を採用するとともに、圧力振動付与手段31に代えて圧電/電歪素子からなる圧力振動付与手段32を採用した点のみにおいて同液体噴射装置60と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、図6において、導入側電磁式流量制御弁26は図示されていない。また、液体噴射装置60は、第2実施形態の液体噴射装置50と同様に、導入側電磁式流量制御弁26に加え、排出側電磁式流量制御弁52を備えていてもよい。
【0065】
液体噴射用チャンバー71は、液体噴射用チャンバー61に対し、液体通流部61bの液体噴射孔61b1が形成された下壁に対向する壁(上壁)に薄板部61b2を備えている点のみにおいて、液体噴射用チャンバー61と相違している。
【0066】
圧力振動付与手段32は、上壁の薄板部61b2の上面に配設(固着)されている。圧力振動付与手段32は、互いに直交するX,Y及びZ軸にそれぞれ平行な辺を有する直方体形状を有していて、一対の電極及び圧電/電歪層からなっている。一対の電極のそれぞれは、Z−X平面に沿って形成された共通電極と、その共通電極に接続されるとともにX−Y平面に平行な面に沿って広がる複数の層状電極とを備えている。一つの共通電極に接続された任意の層状電極は、圧電/電歪層を介して、他の共通電極に接続された一対の層状電極に対向している。
【0067】
即ち、圧力振動付与手段32は、層状の圧電/電歪素子と層状の電極とを交互に多層にわたり積層することで形成された「横効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ(圧電体)」である。圧力振動付与手段32は、一対の電極間に周期的に電圧が変化する圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されたとき、この駆動電圧信号に応答して薄板部61b2を周期的に(繰り返し)屈曲変形せしめ、これにより液体通流部61b内を通流する燃料を周期的に加圧及び減圧し、この燃料に圧力振動を付与するようになっている。
【0068】
以上の構成の液体噴射装置70は、液体噴射装置10と同様の利点を有する。また、圧力振動付与手段32は、圧電/電歪素子駆動電圧信号の電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部61b2を容易に変形させることができるので、液体通流部61b内の燃料に圧力振動を確実に付与することができる。従って、電力消費量の小さい液体噴射装置70を提供することができる。
【0069】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置80について、図7を参照しながら説明する。液体噴射装置80は、第3実施形態に係る液体噴射装置60の液体噴射用チャンバー61を液体噴射用チャンバー81に置換した点のみにおいて同液体噴射装置60と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として説明する。なお、図7において、導入側電磁式流量制御弁26は図示されていない。また、液体噴射装置80は、第2実施形態の液体噴射装置50と同様に、導入側電磁式流量制御弁26に加え、排出側電磁式流量制御弁52を備えていてもよい。
【0070】
液体噴射用チャンバー81は、液体噴射用チャンバー61に対し、絞り部61d及び61eに代えて絞り部81a及び絞り部81bを採用した点のみにおいて液体噴射用チャンバー61と相違している。
【0071】
絞り部81aは、液体導入部61aと液体通流部61bとの接続部近傍の液体通流部61bに設けらた角柱部81a1により形成されている。角柱部81a1をZ−X平面と平行な平面で切断した断面の形状は略長方形である。角柱部81a1は、Y軸と平行な方向に延びている。角柱部81a1のY軸方向両端部は、液体通流部61bのZ−X平面と平行な一対の壁面に支持されている。
【0072】
絞り部81aは、この角柱部81a1と液体通流部61bの下壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分と、角柱部81a1と液体通流部61bの上壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分とにより構成されている。
【0073】
絞り部81bは、液体導入部61aと液体通流部61bとの接続部近傍の液体通流部61bに設けらた角柱部81b1により形成されている。角柱部81b1は角柱部81a1と同様な構成を備えている。絞り部81bは、この角柱部81b1と液体通流部61bの下壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分と、角柱部81b1と液体通流部61bの上壁との間に形成された部分であって液体通流部61bのX軸方向略中央部における流路面積よりも小さい流路面積を有する部分とにより構成されている。
【0074】
以上の構成の液体噴射装置80は、液体噴射装置10と同様の利点を有する。また、液体噴射装置80においては、液体噴射装置60と同様に、圧力振動付与手段31により液体通流部61b内を通流する燃料に与えられる圧力振動が、絞り部81a,81bの存在により、液体導入部61a側或いは液体排出部61c側に伝播してしまう割合が減少する。従って、圧電/電歪素子31aの一対の電極間に与える電力量を小さくしても、噴射される燃料に確実に圧力変動を付与することができる。その結果、電力消費量の小さい液体噴射装置80を提供することができる。
【0075】
以上、説明したように、本発明による液体噴射装置の各実施形態によれば、液体噴射用チャンバー内の気泡が速やかに排出されるので、圧力振動付与手段による圧力振動を液体(燃料)に確実に加えることができ、その結果、燃料の微粒子化を確実に行うことができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態の液体噴射装置は、吸気管(吸気ポート)内に燃料を噴射する形式のガソリン内燃機関のみでなく、気筒内に燃料を直接噴射する所謂「直噴式ガソリン内燃機関」に適用することもできる。更に、上記各実施形態の液体噴射装置を、ディーゼルエンジン用の直噴インジェクタとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関に適用した本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略を示した図である。
【図2】図1に示した液体噴射装置の液体噴射用チャンバー、圧力振動付与手段及び電磁式流量制御弁の断面図である。
【図3】図2に示した液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段を1−1線に平行な平面で切断した断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー、圧力振動付与手段及び電磁式流量制御弁の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の液体噴射用チャンバー及び圧力振動付与手段の断面図である。
【図8】従来の液体噴射装置の断面図である。
【符号の説明】
21…加圧ポンプ、22…燃料タンク、24…圧力調整弁、30…液体噴射用チャンバー、30a…液体導入部、30b…液体通流部、30b1…液体噴射孔、30c…液体排出部、31…圧力振動付与手段、31a…圧電/電歪素子(圧電体)、40…電気制御装置。
Claims (8)
- 貯蔵された液体を加圧するとともに同加圧された液体を吐出する加圧手段と、
前記加圧された液体を導入する液体導入部、同液体導入部に連接され同導入された液体を通流させるとともに同通流する液体を液体噴射空間に噴射するための液体噴射孔を有する液体通流部及び同液体通流部に連接され同液体を排出する液体排出部を有するチャンバーと、
前記液体通流部に配設され前記液体通流部内を通流する液体に圧力振動を付与する圧力振動付与手段と、
前記液体通流部内を通流する液体の流量を制御する流量制御手段とを備え、
前記液体を前記液体噴射孔から噴射するとともに同噴射される液体を前記圧力振動付与手段により付与する圧力振動により微粒子化するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記流量制御手段は、前記液体導入部と前記加圧手段との間に配設された上流側制御弁と、前記液体排出部の下流側に配設された下流側制御弁とを含む液体噴射装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記圧力振動付与手段は、駆動信号に応答して繰り返し伸縮する圧電体と同圧電体の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備え、前記液体通流部内を通流する液体に対して同粗密波により前記圧力振動を付与するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記圧力振動付与手段は駆動信号に応答して繰り返し変形する圧電体を備え、且つ、前記液体通流部は薄板部を含むとともに、同圧電体は同薄板部に固定され、同圧電体の作動により同薄板部を変形させることにより同液体通流部内を通流する前記液体に前記圧力振動を付与するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記液体導入部と前記液体通流部の接続部に絞り部を備えた液体噴射装置。 - 請求項5に記載の液体噴射装置であって、
前記液体通流部と前記液体排出部の接続部に絞り部を備えた液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記流量制御手段は、前記液体が前記液体通流部内を通流する状態及び通流しない状態を発生し得るように構成され、
前記圧力振動付与手段は、前記流量制御手段により前記液体が前記液体通流部内を通流する状態とされているときにのみ作動して前記液体に前記圧力振動を付与するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記加圧手段と前記液体導入部の間に配設され前記液体噴射空間の圧力に応じて同液体導入部に導入される液体の圧力を調整する圧力調整手段を備えた液体噴射装置。
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Cited By (1)
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JP2008545252A (ja) * | 2005-05-10 | 2008-12-11 | ダウ コーニング コーポレイシヨン | サブミクロンのデカール転写リソグラフィ |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003153376A patent/JP2004353584A/ja active Pending
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