JP2004351347A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】噴射される液滴を確実に微粒子化することができるとともに、高温となる或いは冷熱サイクルが激しい機械装置に適用された場合でも、極めて長い寿命を有する液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】液体噴射装置10は、圧電/電歪素子を備えた圧力振動付与部20、加圧ポンプ31、液体供給管33、圧力調整弁34、電磁開閉式吐出弁35及び噴射チャンバー37を含んでいる。液体が噴射チャンバー37から噴射されるために必要な圧力は加圧ポンプにより発生される。液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部により発生される。圧力振動付与部は、液体噴射空間から噴射チャンバー及び電磁開閉式吐出弁だけ離れた位置の液体供給間に配設され、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材から圧力振動付与部への熱伝達量が小さくなっている。
【選択図】 図1
【解決手段】液体噴射装置10は、圧電/電歪素子を備えた圧力振動付与部20、加圧ポンプ31、液体供給管33、圧力調整弁34、電磁開閉式吐出弁35及び噴射チャンバー37を含んでいる。液体が噴射チャンバー37から噴射されるために必要な圧力は加圧ポンプにより発生される。液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部により発生される。圧力振動付与部は、液体噴射空間から噴射チャンバー及び電磁開閉式吐出弁だけ離れた位置の液体供給間に配設され、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材から圧力振動付与部への熱伝達量が小さくなっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴射する液体を微粒子化するように構成された液体噴射装置に関する。
【0002】
従来から知られるこの種の液体噴射装置は、図9に記載したように、圧電素子301により容積が変更せしめられるとともに液体噴射孔302を備えたチャンバー303と、液体導入孔304と、液体供給通路305とを備えている。液体は、液体供給通路305内に供給され、次いで、液体導入孔304を介してチャンバー303内に導入される。そして、液体は、チャンバー303内において圧電素子301の作動により加圧され、液体噴射孔304から噴射される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−279796号公報(第2頁、第3頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置は、圧電/電歪素子301の発生する加圧力のみで液体を噴射しようとするため、液体を噴射する空間(液体噴射空間)の温度及び圧力等が激しく変動する周囲環境下で使用された場合、液体を確実に微粒子化しながら噴射することが困難となる場合がある。
【0005】
また、このような液体噴射装置を、例えば、内燃機関の燃料噴射装置として使用した場合、液体噴射空間である吸気通路や同装置の取り付け部位である吸気管等の温度が極めて高くなったり、同温度が低温から高温へ又はその逆へと短時間内に変化するので、圧電体や反強誘電体材料膜等のアクチュエータを含む圧力振動付与部の熱に対する耐久性を高める必要がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、噴射される液滴を確実に微粒子化することができるとともに、高温となる或いは冷熱サイクルが激しい機械装置に適用された場合でも、極めて長い寿命を有する液体噴射装置を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明による液体噴射装置は、貯蔵された液体を加圧するとともに同加圧された液体を吐出する加圧手段と、前記加圧手段に接続されて前記加圧された液体を導入するとともに同液体の圧力を所定の調整圧力に調整して送出する調圧手段と、液体通路と同液体通路を開閉する開閉弁と液体噴射空間に一端が露呈するとともに他端が同液体通路の一端に連通された液体噴射孔とを有する噴射手段と、前記調圧手段と前記噴射手段の液体通路の他端とを連結して同調圧手段から送出された前記液体を同噴射手段の液体通路に通流する連結部と、を備え前記噴射手段の開閉弁が前記液体通路を開放したときに前記液体噴射孔から前記液体を前記液体噴射空間に噴射するように構成された液体噴射装置であって、前記連結部に配設されるとともに駆動電圧信号に応答して同連結部内の前記液体に圧力振動を付与するアクチュエータを含んでなる圧力振動付与部を備え、同液体に付与される圧力振動により前記液体噴射孔から噴射される液体を微粒子化するように構成されている。
【0008】
なお、本明細書において、「液体噴射孔」は「壁等に設けられた中空円筒状の貫通孔(即ち、流れの方向に断面積を変化させていない流路)」のみでなく、「液体のもつ圧力や熱のエネルギーを運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向に断面積を変化させた流路(即ち、ノズル)」をも含む用語として使用される。
【0009】
この液体噴射装置によれば、液体が液体噴射孔を介して噴射されるために必要な圧力は加圧手段と調圧手段とにより発生され、液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部により付与される。従って、上記液体噴射装置は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0010】
また、圧力振動付与部は、液体噴射空間とは少なくとも噴射手段だけ離れた位置である前記連結部に配設されている。従って、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材(例えば、液体噴射装置が内燃機関に適用されていれば、内燃機関の吸気管)から圧力振動付与部への熱伝達量が小さい。この結果、圧力振動付与部のアクチュエータの耐久性を高めることができる。
【0011】
この場合、前記噴射手段は、電子制御式燃料噴射制御装置に広く使用されているような吐出弁(電磁開閉式噴射弁)であってもよく、前記液体通路及び前記開閉弁を有する吐出弁と、同吐出弁に連結されるとともに前記液体噴射孔を有する噴射チャンバーとを含んで構成されていてもよい。特に、後者のように、噴射チャンバーを吐出弁とは別に備えれば、微小な径の液体噴射孔を多数備えることができるので、より微細な粒径の液滴を大量に噴射することができる。
【0012】
この場合、前記圧力振動付与部は、駆動電圧信号に応答して繰り返し伸縮する前記アクチュエータとしての圧電体と同圧電体の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備え、前記連結部内の液体に対して同粗密波により前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0013】
これによれば、アクチュエータの伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、アクチュエータを高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動を粗密波(縦波)によって確実に連結部内の液体に付与することが可能となる。その結果、噴射する液体の流量が大量となっても、同液体を確実に微粒子化することができる。
【0014】
また、前記圧力振動付与部は駆動電圧信号に応答して繰り返し変形する圧電体を前記アクチュエータとして備え、且つ、前記連結部は薄板部を含むとともに、同圧電体は同薄板部に固定され、同圧電体の作動により同薄板部を変形させることにより同連結部内の前記液体に前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0015】
これによれば、圧電体に付与する電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部を容易に変形させることができるので、連結部内の液体に圧力振動を確実に付与することができる。従って、電力消費量の小さい液体噴射装置を提供することができる。
【0016】
また、前記連結部は、前記液体の流線方向に直交する断面の面積が大きい大断面積部と同流線方向に直交する断面の面積が同大断面積部よりも小さい小面積部とを有し、前記圧力振動付与部は、前記小面積部に配設されることが好適である。
【0017】
これによれば、圧力振動付与部が粗密波を用いて液体に圧力振動を付与するか、連結部の薄板部の変形を用いて液体に圧力振動を付与するか等に関係なく、圧力振動付与部のアクチュエータの動きに基づくエネルギーを噴射される液体全体に与えることができる。従って、本装置は、より安定して微粒子化を行うことができる。
【0018】
また、前記連結部は、前記噴射手段の液体通路の他端から前記調圧手段側に略直線状に延びる直線部と同直線部から屈曲して延びる曲線部とを有し、前記圧力振動付与部は、前記直線部に配設されることが好適である。また、前記連結部は、前記圧力振動付与部が配設された位置よりも前記調圧手段側の位置に、同圧力振動付与部が配設された位置における前記液体の流線方向に直交する断面の面積よりも小さい断面積を有する絞り部を備えることが好適である。
【0019】
これらによれば、曲線部又は絞り部の存在により、連結部内で与えられた圧力振動の多くが調圧手段に向けて伝播する(所謂、圧逃げする)ことを阻止できる。従って、液体噴射装置は、より確実に液体の微粒子化を行うことができる。
【0020】
また、本液体噴射装置は、内燃機関の燃料噴射装置として好適に使用できる。即ち、前記液体は内燃機関の液体燃料であり、前記液体噴射空間は同機関の吸気通路又は燃焼室とすることができる。
【0021】
これによれば、内燃機関の燃焼に望ましい霧状の燃料噴射を行うことができ、且つ、内燃機関の発生する熱に対しても耐久性に優れる燃料噴射装置を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液体噴射装置(液体噴霧装置、液体供給装置、液滴吐出装置)の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置10は、図1の概略構成図に示したように、例えば、微粒子化された液体(燃料)を必要とする機械装置としての内燃機関EGに対する電子式燃料噴射制御装置(電子式液体噴射制御装置)として使用される。
【0024】
電子式燃料噴射制御装置としての液体噴射装置10は、内燃機関の吸気管(又は吸気ポート)等により形成される燃料噴射空間(液体噴射空間)に、微粒子化された液体(液体燃料、例えばガソリン、以下、単に「燃料」又は「第1液体」と云うこともある。)を噴射するようになっている。
【0025】
この液体噴射装置10は、アクチュエータとして機能する圧電/電歪素子(圧電体)を備えた圧力振動付与デバイス(圧力振動付与部)20、加圧手段としての加圧ポンプ(燃料ポンプ)31、燃料タンク(液体貯蔵タンク)32、燃料供給管(液体供給管、燃料配管)33、圧力調整弁(プレッシャレギュレータ、圧力調整手段)34、電磁開閉式吐出弁(吐出弁、開閉弁)35、燃料リターン管36、噴射チャンバー37及び電気制御装置40を含んでいる。電磁開閉式吐出弁35及び噴射チャンバー37は、噴射手段を構成している。
【0026】
加圧ポンプ31は、燃料タンク32の底部に配置され、燃料の導入部31aと吐出部31bとを備えている。導入部31aはフィルタFに接続され、吐出部31bは燃料供給管33を介して圧力調整弁34に接続されている。加圧ポンプ31は、燃料タンク32内の燃料をフィルタFを介して導入部31aから導入し、その燃料を加圧し、加圧した燃料を吐出部31bから吐出するようになっている。
【0027】
加圧ポンプ31は、仮に圧力振動付与部20の圧電/電歪素子が作動されていない場合であっても、燃料が圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35と噴射チャンバー37とを介して液体噴射空間に対し噴射され得る圧力以上の圧力(この圧力を「加圧ポンプ吐出圧」と云う。)になるように同燃料を加圧するようになっている。
【0028】
圧力調整弁34は、図示しない配管により液体噴射空間(吸気管)内の圧力が与えられている。圧力調整弁34は、この液体噴射空間の圧力に基づいて加圧ポンプ31により加圧された燃料の圧力を減圧(又は、調圧)し、余剰の燃料を燃料リターン管36を介して燃料タンク32に排出するようになっている。
【0029】
この結果、圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35との間の燃料供給管33内の燃料の圧力は、液体噴射空間内の圧力よりも所定(一定)圧力だけ高い圧力(この圧力を「調整圧」と云う。)となるように調整される。従って、電磁開閉式吐出弁35が所定時間だけ開弁されると、同所定時間に略比例した燃料量の燃料が液体噴射空間内の圧力に拘らず同液体噴射空間内に噴射される。
【0030】
電磁開閉式吐出弁35は、従来から内燃機関の電子式燃料噴射制御装置に広く採用されている周知のフューエルインジェクタ(電磁噴射弁)である。図1及び図2に示したように、電磁開閉式吐出弁35は、燃料供給管33が接続されて圧力調整弁34(の吐出側)に連通した液体導入口35aと、同液体導入口35aに連通した液体通路35bを形成する外筒部35cと、電磁式開閉弁として作動する開閉弁(ニードル弁)35dと、外筒部35cの先端に形成されるとともに開閉弁35dの先端により開閉される吐出孔35eと、開閉弁35dを駆動する図示しない電磁機構とを備えている。
【0031】
電磁開閉式吐出弁35の液体通路35bは吐出孔35eを介して噴射チャンバー37に接続されている。これにより、電磁開閉式吐出弁35は、液体通路35b(吐出孔35e)が開閉弁35dにより開放されたとき、圧力調整弁34を介して加圧ポンプ31から供給される加圧された燃料を同液体通路35b及び吐出孔35eを介して噴射チャンバー37に供給するようになっている。
【0032】
噴射チャンバー37は、略直方体形状の空間を形成している。噴射チャンバー37の下壁には、複数の液体噴射孔(液体噴射用ノズル)37aがマトリクス状に形成されている。噴射チャンバー37の下壁の下面は、液体噴射空間に露呈している。
【0033】
圧力振動付与部20は、圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35との間の燃料供給管33の周囲に固定されている。この圧力振動付与部20が設けられている圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35とを連結する燃料供給管33は、「連結部」とも称呼される。
【0034】
圧力振動付与部20は環状の圧電/電歪素子であって、図示しない電極に駆動電圧信号が付与されると、燃料供給管33を径方向に収縮変形させるようになっている。なお、燃料供給管33の圧力振動付与部20が配置されている部分(即ち、連結部)は、比較的剛性が小さい材質から形成されている。
【0035】
電気制御装置40は、マイクロコンピュータを含む回路であり、図1に示したように、エンジン回転速度センサ41及び吸気管圧力センサ42等のセンサと接続されている。電気制御装置40は、これらのセンサからエンジン回転速度Nや吸気管圧力Pを入力して内燃機関に必要な燃料量及び噴射開始タイミングを決定するとともに、同決定した燃料量及び噴射開始タイミングに応じて電磁開閉式吐出弁35の電磁機構に吐出弁駆動電圧信号INJを供給するようになっている。
【0036】
また、電気制御装置40は、少なくとも吐出弁駆動電圧信号INJが供給及び供給停止されることにより噴射チャンバー37の液体の圧力が上昇及び下降している期間、圧力振動付与部20の圧電/電歪素子の電極に駆動周波数fで0(V)とVmax(V)との間を変化する圧電素子駆動電圧信号DVを送出するようになっている。
【0037】
以上の構成により、電磁開閉式吐出弁35の吐出孔35eから吐出された燃料は、噴射チャンバー37内に導入される。そして、噴射チャンバー37内に導入された液体は液体噴射孔37aを介し液体噴射空間内に押し出される(噴射される)。このとき、噴射される燃料には圧力振動付与部20による振動エネルギー(周波数fの圧力変動)が加えられている。従って、噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。
【0038】
この結果、均一で精細に微粒子化された燃料が液体噴射空間の燃料噴射空間内に噴射される。なお、以下に述べる他の実施形態に係る液体噴射装置についても、上述した液体噴射装置10の作動と同様に作動する。
【0039】
以上、説明したように、液体噴射装置10によれば、液体が液体噴射孔37aを介して噴射されるために必要な圧力は加圧ポンプ(加圧手段)21と圧力調整弁(調圧手段)34とにより発生され、噴射される液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部(圧電/電歪素子)20により付与される。従って、液体噴射装置10は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0040】
また、圧力振動付与部20は、液体噴射空間から少なくとも電磁開閉式吐出弁35及び噴射チャンバー37(即ち、噴射手段)だけ離れた位置の燃料供給管(連結部)33に配設されている。従って、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材(例えば、液体噴射装置が内燃機関に適用されていれば、内燃機関の吸気管)から圧力振動付与部20への熱伝達量が小さい。この結果、圧力振動付与部(圧電/電歪素子)20の耐久性を高め、圧力振動付与部20の寿命を長くすることができる。
【0041】
更に、電子制御式燃料噴射制御装置に広く使用されているような吐出弁(電磁開閉式噴射弁)35と、同電磁開閉式の吐出弁35に連結されるとともに液体噴射孔37aを有する噴射チャンバー37とにより噴射手段が構成されている。従って、噴射チャンバー37に微小な径の液体噴射孔37aを多数備えることができるので、より微細な粒径の液滴を大量に噴射することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置50について説明する。液体噴射装置50は、第1実施形態に係る液体噴射装置10の圧力振動付与部20を図3に示した圧力振動付与部60に置換した点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を主として図3を参照しながら説明する。なお、図3の(A)は圧力振動付与部60の断面図であり、図3の(B)は図3の(A)の1−1線に沿った平面にて圧力振動付与部60を切断した断面図である。
【0043】
圧力振動付与部60は、アクチュエータとしての圧電/電歪素子(圧電体)61と加振用チャンバー62とからなっている。圧電/電歪素子61は、略直方体形状を有していて、一対の電極61a,61b及び圧電/電歪層61cからなっている。一対の電極61a,61bは、それぞれの共通電極から互いに平行に延びる複数の櫛歯状電極(電極層)を備えている。電極61aの複数の櫛歯状電極と電極61bの複数の櫛歯状電極とは交互に対向している。対向する櫛歯状電極間のそれぞれには、圧電/電歪層61cが存在している。
【0044】
図3の(B)に示したように、一対の電極61a,61bの櫛歯状電極は、圧電/電歪層61cの略中央部にのみ設けられ、圧電/電歪層61cの両端部には設けられていない。圧電/電歪層61cの櫛歯状電極が形成されている部分は、これらの電極により電界が付与される活性部61ksを形成している。また、圧電/電歪層61cの櫛歯状電極が形成されていない部分は、圧電/電歪層61cに電界が付与されない不活性部61fkを形成している。
【0045】
即ち、圧電/電歪素子61は、層状の圧電/電歪素子と層状の電極とを交互に多層にわたり積層することで形成された「横効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ」であり、一対の電極61a,61bに周期的に電圧が変化する駆動電圧が付与されたとき、その活性部61ksに周期的に変化する電界が加わり、その活性部61ksが伸縮して振動するようになっている。
【0046】
加振用チャンバー62は、略直方体形状を有している。加振用チャンバー62は、絶縁性の樹脂(例えば、アクリル系樹脂、peek系樹脂、又はポリカーボネイト系樹脂等)からなる固定部62a及び蓋部62bを備えている。
【0047】
固定部62aは、一面とこれに対向する他の一面が開放された中空の角柱状枠体であって、燃料供給管33に接着により固定されている。固定部62aの側壁には切り込み部が形成されている。蓋部62bは、一面が閉塞され同一面に対向する他の一面が開放された中空の角柱状枠体であって、側壁には切り込み部が形成されている。
【0048】
加振用チャンバー62は、固定部62aの切り込み部と蓋部62bの切り込み部との間に、圧電/電歪素子61の両端部に形成された不活性部61fkを挟み込み、これにより圧電/電歪素子61を保持するようになっている。固定部62a、圧電/電歪素子61及び蓋部62bは、互いに接着性ゴム等により固着されている。この結果、加振用チャンバー62は、燃料供給管33の外壁とともに、その内部に圧電/電歪素子61の活性部61ksを備えた密閉空間62cを形成するようになっている。
【0049】
加振用チャンバー62の密閉空間62cには、液体が収容されている。この液体を便宜上「第2液体」と称呼する。第2液体は非導電性で、且つ、不燃性の液体である。この第2液体は、圧電/電歪素子61の伸縮に伴う振動を、粗密波(縦波)として燃料供給管33及びその内部を通過する燃料等に伝達するようになっている。
【0050】
このように、加振用チャンバー62は、駆動電圧信号に応答して繰り返し伸縮するアクチュエータとしての圧電/電歪素子(圧電体)61と同圧電/電歪素子61の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備えている。
【0051】
この第2実施形態の液体噴射装置50によれば、圧電/電歪素子61の伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、圧電/電歪素子61を高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動を粗密波(縦波)によって確実に連結部(燃料供給管33)内の液体に付与することが可能となる。その結果、噴射する液体の流量が大量となっても、同液体を確実に微粒子化することができる。
【0052】
なお、加振用チャンバー62は、例えばSUS或いはアルミニウム合金等の金属を絶縁膜で被覆した材質により構成してもよい。また、固定部62a、圧電/電歪素子61及び蓋部62bを互いに絶縁性の接着性ゴムにより接着したり、或いは、固定部62a及び蓋部62bと圧電/電歪素子61との間にゴム等の絶縁性部材を介在させるように構成すれば、加振用チャンバー62自体を絶縁膜を有さない金属のみで構成することもできる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置70について説明する。液体噴射装置70は、図4に示したように、第1実施形態に係る液体噴射装置10の噴射チャンバー37を排除し、電磁開閉式吐出弁35から液体噴射空間に液体を直接噴射するように構成した点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。
【0054】
即ち、この液体噴射装置70においては、電磁開閉式吐出弁35の液体通路35b(吐出孔35e)が開閉弁35dにより開放されたとき、圧力調整弁34を介して加圧ポンプ31から供給される加圧された燃料が液体噴射空間に液体噴射孔として機能する吐出孔35eから噴射される。この場合、噴射チャンバー37を必要としないから、液体噴射装置70を廉価なものとすることができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置80について説明する。液体噴射装置80は、図5に示したように、第1実施形態に係る液体噴射装置10の圧力振動付与部20を圧力振動付与部81に置換するとともに燃料供給管33に薄板部33aを設けた点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を主として図5を参照しながら説明する。
【0056】
圧力振動付与部81は、積層型の圧電/電歪素子である。圧力振動付与部81の一面は燃料供給管33に設けられた薄板部33aに固着されている。薄板部33aは、圧力振動付与部81の発生する力により容易に変形する振動板を構成している。
【0057】
従って、圧力振動付与部81の図示しない電極に上述した圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されると、圧力振動付与部81は薄板部33aを繰り返し屈曲変形させる。これにより、燃料供給管33(連結部)中を流れる燃料に振動エネルギーが付与される。
【0058】
以上の構成により、電磁開閉式吐出弁35の吐出孔35eから吐出された燃料は、噴射チャンバー37内に導入される。そして、噴射チャンバー37内に導入された液体は液体噴射孔37aを介し液体噴射空間内に押し出される(噴射される)。このとき、噴射される燃料には圧力振動付与部81による振動エネルギー(周波数fの圧力変動)が加えられている。従って、噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。
【0059】
このように、液体噴射装置80においては、圧力振動付与部81に付与する電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部33aを容易に変形させることができるので、連結部(燃料供給管33)内の液体に圧力振動を確実に付与することができる。従って、液体噴射装置80は小さな電力消費量で噴射される液体を微粒子化することができる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置90について説明する。液体噴射装置90は、図6に示したように、燃料供給管33(連結部)に小径部33bを設けるとともに、圧力振動付与部20に代えて図5に示した圧力振動付与部81を採用した点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。
【0061】
即ち、燃料供給管33の連結部は、燃料の流線方向に直交する断面の面積が大きい大断面積部33cと同流線方向に直交する断面の面積が同大断面積部よりも小さい小面積部33bとを有している。そして、圧力振動付与部81は、小面積部33bの外周に配設されている。また、圧力振動付与部81が固着された小面積部33bの壁33b1は圧力振動付与部81の発生する力により屈曲変形せしめられるようになっている。
【0062】
従って、圧力振動付与部81の図示しない電極に上述した圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されると、圧力振動付与部81は小径部33bの断面積を増減し、流路抵抗を増減する。その結果、燃料供給管33中を流れる燃料に振動エネルギーが付与される。
【0063】
これによれば、圧力振動付与部81の圧電/電歪素子(圧電体)の動きに基づくエネルギーを噴射される液体全体に与えることができる。従って、液体噴射装置90は、より安定して微粒子化を行うことができる。
【0064】
なお、液体噴射装置90の圧力振動付与部81を、図3に示した圧力振動付与部60に置換してもよい。この場合においても、燃料供給管33の連結部が小面積部33bを有していて、その周囲に圧力振動付与部60が配置されることになるから、圧力振動付与部60から粗密波として伝達される圧電/電歪素子(圧電体)の動きに基づく振動エネルギーが噴射される液体全体に与えられ得る。
【0065】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置100について説明する。液体噴射装置100は、図7に示したように、図5に示した液体噴射装置80に対し、燃料供給管33(連結部)が電磁開閉式吐出弁35の軸線と平行に同電磁開閉式吐出弁35(電磁開閉式吐出弁35の液体通路の他端)から圧力調整弁34側に略直線状に延びる直線部33dと同直線部から屈曲して延びる曲線部33eとを有し、圧力振動付与部81がその直線部33dに配設されている点のみにおいて、液体噴射装置80と相違している。
【0066】
この液体噴射装置100によれば、曲線部33eの存在により、圧力振動付与部81により与えられた圧力振動の多くが圧力調整弁34に向けて伝播する(所謂、圧逃げする)ことを阻止できる。従って、液体噴射装置100は、より確実に液体の微粒子化を行うことができる。
【0067】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係る液体噴射装置110について説明する。液体噴射装置110は、図5に示した液体噴射装置80に対し、燃料供給管33(連結部)であって圧力振動付与部20が配設された部分よりも圧力調整弁34側に絞り部33fを備えた点のみにおいて、液体噴射装置80と相違している。
【0068】
この液体噴射装置110によれば、絞り部33fの存在により、圧力振動付与部81により与えられた圧力振動の多くが圧力調整弁34に向けて伝播する(所謂、圧逃げする)ことを阻止できる。従って、液体噴射装置110は、より確実に液体の微粒子化を行うことができる。
【0069】
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る液体噴射装置は、液体が液体噴射孔を介して噴射されるために必要な圧力は加圧手段と調圧手段とにより発生され、液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部により発生される。従って、各液体噴射装置は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0070】
また、圧力振動付与部は、液体噴射空間とは少なくとも噴射手段だけ離れた位置である前記連結部に配設されている。従って、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材(例えば、液体噴射装置が内燃機関に適用されていれば、内燃機関の吸気管)から圧力振動付与部への熱伝達量が小さい。この結果、圧力振動付与部のアクチュエータの耐久性を高めることができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態の液体噴射装置は、吸気管(吸気ポート)内に燃料を噴射する形式のガソリン内燃機関に適用されていたが、本発明による液体噴射装置を、気筒内に燃料を直接噴射する所謂「直噴式ガソリン内燃機関」に適用することもできる。更に、本発明による液体噴射装置を、ディーゼルエンジン用の直噴インジェクタとして用いることも有効である。
【0072】
また、圧力振動付与部のアクチュエータとしては、圧電/電歪素子に代えて、反強誘電体膜からなる膜型圧電素子を使用することもできる。さらに、マイクロマシン研究で盛んに研究されている、ギャップを介して対向する電極間に生じる静電力や、通電加熱により形状記憶合金に生じる変形力を、圧電/電歪素子の発生する力に代えて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関に適用した本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略を示した図である。
【図2】図1に示した圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図3】(A)は本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部の断面図、(B)は(A)の1−1線に沿った平面にて圧力振動付与部を切断した断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部及び電磁開閉式吐出弁の断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図8】本発明の第7実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図9】従来の液体噴射装置の断面図である。
【符号の説明】
10…液体噴射装置、12…加振用チャンバー、20…圧力振動付与部、31…加圧ポンプ、32…燃料タンク、33…燃料供給管、34…圧力調整弁、35…電磁開閉式吐出弁、35b…液体通路、35d…開閉弁、35e…吐出孔、37…噴射チャンバー、37a…液体噴射孔、40…電気制御装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴射する液体を微粒子化するように構成された液体噴射装置に関する。
【0002】
従来から知られるこの種の液体噴射装置は、図9に記載したように、圧電素子301により容積が変更せしめられるとともに液体噴射孔302を備えたチャンバー303と、液体導入孔304と、液体供給通路305とを備えている。液体は、液体供給通路305内に供給され、次いで、液体導入孔304を介してチャンバー303内に導入される。そして、液体は、チャンバー303内において圧電素子301の作動により加圧され、液体噴射孔304から噴射される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−279796号公報(第2頁、第3頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置は、圧電/電歪素子301の発生する加圧力のみで液体を噴射しようとするため、液体を噴射する空間(液体噴射空間)の温度及び圧力等が激しく変動する周囲環境下で使用された場合、液体を確実に微粒子化しながら噴射することが困難となる場合がある。
【0005】
また、このような液体噴射装置を、例えば、内燃機関の燃料噴射装置として使用した場合、液体噴射空間である吸気通路や同装置の取り付け部位である吸気管等の温度が極めて高くなったり、同温度が低温から高温へ又はその逆へと短時間内に変化するので、圧電体や反強誘電体材料膜等のアクチュエータを含む圧力振動付与部の熱に対する耐久性を高める必要がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、噴射される液滴を確実に微粒子化することができるとともに、高温となる或いは冷熱サイクルが激しい機械装置に適用された場合でも、極めて長い寿命を有する液体噴射装置を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明による液体噴射装置は、貯蔵された液体を加圧するとともに同加圧された液体を吐出する加圧手段と、前記加圧手段に接続されて前記加圧された液体を導入するとともに同液体の圧力を所定の調整圧力に調整して送出する調圧手段と、液体通路と同液体通路を開閉する開閉弁と液体噴射空間に一端が露呈するとともに他端が同液体通路の一端に連通された液体噴射孔とを有する噴射手段と、前記調圧手段と前記噴射手段の液体通路の他端とを連結して同調圧手段から送出された前記液体を同噴射手段の液体通路に通流する連結部と、を備え前記噴射手段の開閉弁が前記液体通路を開放したときに前記液体噴射孔から前記液体を前記液体噴射空間に噴射するように構成された液体噴射装置であって、前記連結部に配設されるとともに駆動電圧信号に応答して同連結部内の前記液体に圧力振動を付与するアクチュエータを含んでなる圧力振動付与部を備え、同液体に付与される圧力振動により前記液体噴射孔から噴射される液体を微粒子化するように構成されている。
【0008】
なお、本明細書において、「液体噴射孔」は「壁等に設けられた中空円筒状の貫通孔(即ち、流れの方向に断面積を変化させていない流路)」のみでなく、「液体のもつ圧力や熱のエネルギーを運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向に断面積を変化させた流路(即ち、ノズル)」をも含む用語として使用される。
【0009】
この液体噴射装置によれば、液体が液体噴射孔を介して噴射されるために必要な圧力は加圧手段と調圧手段とにより発生され、液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部により付与される。従って、上記液体噴射装置は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0010】
また、圧力振動付与部は、液体噴射空間とは少なくとも噴射手段だけ離れた位置である前記連結部に配設されている。従って、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材(例えば、液体噴射装置が内燃機関に適用されていれば、内燃機関の吸気管)から圧力振動付与部への熱伝達量が小さい。この結果、圧力振動付与部のアクチュエータの耐久性を高めることができる。
【0011】
この場合、前記噴射手段は、電子制御式燃料噴射制御装置に広く使用されているような吐出弁(電磁開閉式噴射弁)であってもよく、前記液体通路及び前記開閉弁を有する吐出弁と、同吐出弁に連結されるとともに前記液体噴射孔を有する噴射チャンバーとを含んで構成されていてもよい。特に、後者のように、噴射チャンバーを吐出弁とは別に備えれば、微小な径の液体噴射孔を多数備えることができるので、より微細な粒径の液滴を大量に噴射することができる。
【0012】
この場合、前記圧力振動付与部は、駆動電圧信号に応答して繰り返し伸縮する前記アクチュエータとしての圧電体と同圧電体の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備え、前記連結部内の液体に対して同粗密波により前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0013】
これによれば、アクチュエータの伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、アクチュエータを高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動を粗密波(縦波)によって確実に連結部内の液体に付与することが可能となる。その結果、噴射する液体の流量が大量となっても、同液体を確実に微粒子化することができる。
【0014】
また、前記圧力振動付与部は駆動電圧信号に応答して繰り返し変形する圧電体を前記アクチュエータとして備え、且つ、前記連結部は薄板部を含むとともに、同圧電体は同薄板部に固定され、同圧電体の作動により同薄板部を変形させることにより同連結部内の前記液体に前記圧力振動を付与するように構成されることが好適である。
【0015】
これによれば、圧電体に付与する電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部を容易に変形させることができるので、連結部内の液体に圧力振動を確実に付与することができる。従って、電力消費量の小さい液体噴射装置を提供することができる。
【0016】
また、前記連結部は、前記液体の流線方向に直交する断面の面積が大きい大断面積部と同流線方向に直交する断面の面積が同大断面積部よりも小さい小面積部とを有し、前記圧力振動付与部は、前記小面積部に配設されることが好適である。
【0017】
これによれば、圧力振動付与部が粗密波を用いて液体に圧力振動を付与するか、連結部の薄板部の変形を用いて液体に圧力振動を付与するか等に関係なく、圧力振動付与部のアクチュエータの動きに基づくエネルギーを噴射される液体全体に与えることができる。従って、本装置は、より安定して微粒子化を行うことができる。
【0018】
また、前記連結部は、前記噴射手段の液体通路の他端から前記調圧手段側に略直線状に延びる直線部と同直線部から屈曲して延びる曲線部とを有し、前記圧力振動付与部は、前記直線部に配設されることが好適である。また、前記連結部は、前記圧力振動付与部が配設された位置よりも前記調圧手段側の位置に、同圧力振動付与部が配設された位置における前記液体の流線方向に直交する断面の面積よりも小さい断面積を有する絞り部を備えることが好適である。
【0019】
これらによれば、曲線部又は絞り部の存在により、連結部内で与えられた圧力振動の多くが調圧手段に向けて伝播する(所謂、圧逃げする)ことを阻止できる。従って、液体噴射装置は、より確実に液体の微粒子化を行うことができる。
【0020】
また、本液体噴射装置は、内燃機関の燃料噴射装置として好適に使用できる。即ち、前記液体は内燃機関の液体燃料であり、前記液体噴射空間は同機関の吸気通路又は燃焼室とすることができる。
【0021】
これによれば、内燃機関の燃焼に望ましい霧状の燃料噴射を行うことができ、且つ、内燃機関の発生する熱に対しても耐久性に優れる燃料噴射装置を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液体噴射装置(液体噴霧装置、液体供給装置、液滴吐出装置)の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置10は、図1の概略構成図に示したように、例えば、微粒子化された液体(燃料)を必要とする機械装置としての内燃機関EGに対する電子式燃料噴射制御装置(電子式液体噴射制御装置)として使用される。
【0024】
電子式燃料噴射制御装置としての液体噴射装置10は、内燃機関の吸気管(又は吸気ポート)等により形成される燃料噴射空間(液体噴射空間)に、微粒子化された液体(液体燃料、例えばガソリン、以下、単に「燃料」又は「第1液体」と云うこともある。)を噴射するようになっている。
【0025】
この液体噴射装置10は、アクチュエータとして機能する圧電/電歪素子(圧電体)を備えた圧力振動付与デバイス(圧力振動付与部)20、加圧手段としての加圧ポンプ(燃料ポンプ)31、燃料タンク(液体貯蔵タンク)32、燃料供給管(液体供給管、燃料配管)33、圧力調整弁(プレッシャレギュレータ、圧力調整手段)34、電磁開閉式吐出弁(吐出弁、開閉弁)35、燃料リターン管36、噴射チャンバー37及び電気制御装置40を含んでいる。電磁開閉式吐出弁35及び噴射チャンバー37は、噴射手段を構成している。
【0026】
加圧ポンプ31は、燃料タンク32の底部に配置され、燃料の導入部31aと吐出部31bとを備えている。導入部31aはフィルタFに接続され、吐出部31bは燃料供給管33を介して圧力調整弁34に接続されている。加圧ポンプ31は、燃料タンク32内の燃料をフィルタFを介して導入部31aから導入し、その燃料を加圧し、加圧した燃料を吐出部31bから吐出するようになっている。
【0027】
加圧ポンプ31は、仮に圧力振動付与部20の圧電/電歪素子が作動されていない場合であっても、燃料が圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35と噴射チャンバー37とを介して液体噴射空間に対し噴射され得る圧力以上の圧力(この圧力を「加圧ポンプ吐出圧」と云う。)になるように同燃料を加圧するようになっている。
【0028】
圧力調整弁34は、図示しない配管により液体噴射空間(吸気管)内の圧力が与えられている。圧力調整弁34は、この液体噴射空間の圧力に基づいて加圧ポンプ31により加圧された燃料の圧力を減圧(又は、調圧)し、余剰の燃料を燃料リターン管36を介して燃料タンク32に排出するようになっている。
【0029】
この結果、圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35との間の燃料供給管33内の燃料の圧力は、液体噴射空間内の圧力よりも所定(一定)圧力だけ高い圧力(この圧力を「調整圧」と云う。)となるように調整される。従って、電磁開閉式吐出弁35が所定時間だけ開弁されると、同所定時間に略比例した燃料量の燃料が液体噴射空間内の圧力に拘らず同液体噴射空間内に噴射される。
【0030】
電磁開閉式吐出弁35は、従来から内燃機関の電子式燃料噴射制御装置に広く採用されている周知のフューエルインジェクタ(電磁噴射弁)である。図1及び図2に示したように、電磁開閉式吐出弁35は、燃料供給管33が接続されて圧力調整弁34(の吐出側)に連通した液体導入口35aと、同液体導入口35aに連通した液体通路35bを形成する外筒部35cと、電磁式開閉弁として作動する開閉弁(ニードル弁)35dと、外筒部35cの先端に形成されるとともに開閉弁35dの先端により開閉される吐出孔35eと、開閉弁35dを駆動する図示しない電磁機構とを備えている。
【0031】
電磁開閉式吐出弁35の液体通路35bは吐出孔35eを介して噴射チャンバー37に接続されている。これにより、電磁開閉式吐出弁35は、液体通路35b(吐出孔35e)が開閉弁35dにより開放されたとき、圧力調整弁34を介して加圧ポンプ31から供給される加圧された燃料を同液体通路35b及び吐出孔35eを介して噴射チャンバー37に供給するようになっている。
【0032】
噴射チャンバー37は、略直方体形状の空間を形成している。噴射チャンバー37の下壁には、複数の液体噴射孔(液体噴射用ノズル)37aがマトリクス状に形成されている。噴射チャンバー37の下壁の下面は、液体噴射空間に露呈している。
【0033】
圧力振動付与部20は、圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35との間の燃料供給管33の周囲に固定されている。この圧力振動付与部20が設けられている圧力調整弁34と電磁開閉式吐出弁35とを連結する燃料供給管33は、「連結部」とも称呼される。
【0034】
圧力振動付与部20は環状の圧電/電歪素子であって、図示しない電極に駆動電圧信号が付与されると、燃料供給管33を径方向に収縮変形させるようになっている。なお、燃料供給管33の圧力振動付与部20が配置されている部分(即ち、連結部)は、比較的剛性が小さい材質から形成されている。
【0035】
電気制御装置40は、マイクロコンピュータを含む回路であり、図1に示したように、エンジン回転速度センサ41及び吸気管圧力センサ42等のセンサと接続されている。電気制御装置40は、これらのセンサからエンジン回転速度Nや吸気管圧力Pを入力して内燃機関に必要な燃料量及び噴射開始タイミングを決定するとともに、同決定した燃料量及び噴射開始タイミングに応じて電磁開閉式吐出弁35の電磁機構に吐出弁駆動電圧信号INJを供給するようになっている。
【0036】
また、電気制御装置40は、少なくとも吐出弁駆動電圧信号INJが供給及び供給停止されることにより噴射チャンバー37の液体の圧力が上昇及び下降している期間、圧力振動付与部20の圧電/電歪素子の電極に駆動周波数fで0(V)とVmax(V)との間を変化する圧電素子駆動電圧信号DVを送出するようになっている。
【0037】
以上の構成により、電磁開閉式吐出弁35の吐出孔35eから吐出された燃料は、噴射チャンバー37内に導入される。そして、噴射チャンバー37内に導入された液体は液体噴射孔37aを介し液体噴射空間内に押し出される(噴射される)。このとき、噴射される燃料には圧力振動付与部20による振動エネルギー(周波数fの圧力変動)が加えられている。従って、噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。
【0038】
この結果、均一で精細に微粒子化された燃料が液体噴射空間の燃料噴射空間内に噴射される。なお、以下に述べる他の実施形態に係る液体噴射装置についても、上述した液体噴射装置10の作動と同様に作動する。
【0039】
以上、説明したように、液体噴射装置10によれば、液体が液体噴射孔37aを介して噴射されるために必要な圧力は加圧ポンプ(加圧手段)21と圧力調整弁(調圧手段)34とにより発生され、噴射される液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部(圧電/電歪素子)20により付与される。従って、液体噴射装置10は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0040】
また、圧力振動付与部20は、液体噴射空間から少なくとも電磁開閉式吐出弁35及び噴射チャンバー37(即ち、噴射手段)だけ離れた位置の燃料供給管(連結部)33に配設されている。従って、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材(例えば、液体噴射装置が内燃機関に適用されていれば、内燃機関の吸気管)から圧力振動付与部20への熱伝達量が小さい。この結果、圧力振動付与部(圧電/電歪素子)20の耐久性を高め、圧力振動付与部20の寿命を長くすることができる。
【0041】
更に、電子制御式燃料噴射制御装置に広く使用されているような吐出弁(電磁開閉式噴射弁)35と、同電磁開閉式の吐出弁35に連結されるとともに液体噴射孔37aを有する噴射チャンバー37とにより噴射手段が構成されている。従って、噴射チャンバー37に微小な径の液体噴射孔37aを多数備えることができるので、より微細な粒径の液滴を大量に噴射することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置50について説明する。液体噴射装置50は、第1実施形態に係る液体噴射装置10の圧力振動付与部20を図3に示した圧力振動付与部60に置換した点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を主として図3を参照しながら説明する。なお、図3の(A)は圧力振動付与部60の断面図であり、図3の(B)は図3の(A)の1−1線に沿った平面にて圧力振動付与部60を切断した断面図である。
【0043】
圧力振動付与部60は、アクチュエータとしての圧電/電歪素子(圧電体)61と加振用チャンバー62とからなっている。圧電/電歪素子61は、略直方体形状を有していて、一対の電極61a,61b及び圧電/電歪層61cからなっている。一対の電極61a,61bは、それぞれの共通電極から互いに平行に延びる複数の櫛歯状電極(電極層)を備えている。電極61aの複数の櫛歯状電極と電極61bの複数の櫛歯状電極とは交互に対向している。対向する櫛歯状電極間のそれぞれには、圧電/電歪層61cが存在している。
【0044】
図3の(B)に示したように、一対の電極61a,61bの櫛歯状電極は、圧電/電歪層61cの略中央部にのみ設けられ、圧電/電歪層61cの両端部には設けられていない。圧電/電歪層61cの櫛歯状電極が形成されている部分は、これらの電極により電界が付与される活性部61ksを形成している。また、圧電/電歪層61cの櫛歯状電極が形成されていない部分は、圧電/電歪層61cに電界が付与されない不活性部61fkを形成している。
【0045】
即ち、圧電/電歪素子61は、層状の圧電/電歪素子と層状の電極とを交互に多層にわたり積層することで形成された「横効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ」であり、一対の電極61a,61bに周期的に電圧が変化する駆動電圧が付与されたとき、その活性部61ksに周期的に変化する電界が加わり、その活性部61ksが伸縮して振動するようになっている。
【0046】
加振用チャンバー62は、略直方体形状を有している。加振用チャンバー62は、絶縁性の樹脂(例えば、アクリル系樹脂、peek系樹脂、又はポリカーボネイト系樹脂等)からなる固定部62a及び蓋部62bを備えている。
【0047】
固定部62aは、一面とこれに対向する他の一面が開放された中空の角柱状枠体であって、燃料供給管33に接着により固定されている。固定部62aの側壁には切り込み部が形成されている。蓋部62bは、一面が閉塞され同一面に対向する他の一面が開放された中空の角柱状枠体であって、側壁には切り込み部が形成されている。
【0048】
加振用チャンバー62は、固定部62aの切り込み部と蓋部62bの切り込み部との間に、圧電/電歪素子61の両端部に形成された不活性部61fkを挟み込み、これにより圧電/電歪素子61を保持するようになっている。固定部62a、圧電/電歪素子61及び蓋部62bは、互いに接着性ゴム等により固着されている。この結果、加振用チャンバー62は、燃料供給管33の外壁とともに、その内部に圧電/電歪素子61の活性部61ksを備えた密閉空間62cを形成するようになっている。
【0049】
加振用チャンバー62の密閉空間62cには、液体が収容されている。この液体を便宜上「第2液体」と称呼する。第2液体は非導電性で、且つ、不燃性の液体である。この第2液体は、圧電/電歪素子61の伸縮に伴う振動を、粗密波(縦波)として燃料供給管33及びその内部を通過する燃料等に伝達するようになっている。
【0050】
このように、加振用チャンバー62は、駆動電圧信号に応答して繰り返し伸縮するアクチュエータとしての圧電/電歪素子(圧電体)61と同圧電/電歪素子61の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備えている。
【0051】
この第2実施形態の液体噴射装置50によれば、圧電/電歪素子61の伸縮運動の周期を極めて短くしても(即ち、圧電/電歪素子61を高周波数にて伸縮運動させても)、同伸縮運動を粗密波(縦波)によって確実に連結部(燃料供給管33)内の液体に付与することが可能となる。その結果、噴射する液体の流量が大量となっても、同液体を確実に微粒子化することができる。
【0052】
なお、加振用チャンバー62は、例えばSUS或いはアルミニウム合金等の金属を絶縁膜で被覆した材質により構成してもよい。また、固定部62a、圧電/電歪素子61及び蓋部62bを互いに絶縁性の接着性ゴムにより接着したり、或いは、固定部62a及び蓋部62bと圧電/電歪素子61との間にゴム等の絶縁性部材を介在させるように構成すれば、加振用チャンバー62自体を絶縁膜を有さない金属のみで構成することもできる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置70について説明する。液体噴射装置70は、図4に示したように、第1実施形態に係る液体噴射装置10の噴射チャンバー37を排除し、電磁開閉式吐出弁35から液体噴射空間に液体を直接噴射するように構成した点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。
【0054】
即ち、この液体噴射装置70においては、電磁開閉式吐出弁35の液体通路35b(吐出孔35e)が開閉弁35dにより開放されたとき、圧力調整弁34を介して加圧ポンプ31から供給される加圧された燃料が液体噴射空間に液体噴射孔として機能する吐出孔35eから噴射される。この場合、噴射チャンバー37を必要としないから、液体噴射装置70を廉価なものとすることができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置80について説明する。液体噴射装置80は、図5に示したように、第1実施形態に係る液体噴射装置10の圧力振動付与部20を圧力振動付与部81に置換するとともに燃料供給管33に薄板部33aを設けた点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を主として図5を参照しながら説明する。
【0056】
圧力振動付与部81は、積層型の圧電/電歪素子である。圧力振動付与部81の一面は燃料供給管33に設けられた薄板部33aに固着されている。薄板部33aは、圧力振動付与部81の発生する力により容易に変形する振動板を構成している。
【0057】
従って、圧力振動付与部81の図示しない電極に上述した圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されると、圧力振動付与部81は薄板部33aを繰り返し屈曲変形させる。これにより、燃料供給管33(連結部)中を流れる燃料に振動エネルギーが付与される。
【0058】
以上の構成により、電磁開閉式吐出弁35の吐出孔35eから吐出された燃料は、噴射チャンバー37内に導入される。そして、噴射チャンバー37内に導入された液体は液体噴射孔37aを介し液体噴射空間内に押し出される(噴射される)。このとき、噴射される燃料には圧力振動付与部81による振動エネルギー(周波数fの圧力変動)が加えられている。従って、噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。
【0059】
このように、液体噴射装置80においては、圧力振動付与部81に付与する電力量(エネルギー)が小さくても、薄板部33aを容易に変形させることができるので、連結部(燃料供給管33)内の液体に圧力振動を確実に付与することができる。従って、液体噴射装置80は小さな電力消費量で噴射される液体を微粒子化することができる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置90について説明する。液体噴射装置90は、図6に示したように、燃料供給管33(連結部)に小径部33bを設けるとともに、圧力振動付与部20に代えて図5に示した圧力振動付与部81を採用した点のみにおいて、液体噴射装置10と異なっている。
【0061】
即ち、燃料供給管33の連結部は、燃料の流線方向に直交する断面の面積が大きい大断面積部33cと同流線方向に直交する断面の面積が同大断面積部よりも小さい小面積部33bとを有している。そして、圧力振動付与部81は、小面積部33bの外周に配設されている。また、圧力振動付与部81が固着された小面積部33bの壁33b1は圧力振動付与部81の発生する力により屈曲変形せしめられるようになっている。
【0062】
従って、圧力振動付与部81の図示しない電極に上述した圧電/電歪素子駆動電圧信号が付与されると、圧力振動付与部81は小径部33bの断面積を増減し、流路抵抗を増減する。その結果、燃料供給管33中を流れる燃料に振動エネルギーが付与される。
【0063】
これによれば、圧力振動付与部81の圧電/電歪素子(圧電体)の動きに基づくエネルギーを噴射される液体全体に与えることができる。従って、液体噴射装置90は、より安定して微粒子化を行うことができる。
【0064】
なお、液体噴射装置90の圧力振動付与部81を、図3に示した圧力振動付与部60に置換してもよい。この場合においても、燃料供給管33の連結部が小面積部33bを有していて、その周囲に圧力振動付与部60が配置されることになるから、圧力振動付与部60から粗密波として伝達される圧電/電歪素子(圧電体)の動きに基づく振動エネルギーが噴射される液体全体に与えられ得る。
【0065】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置100について説明する。液体噴射装置100は、図7に示したように、図5に示した液体噴射装置80に対し、燃料供給管33(連結部)が電磁開閉式吐出弁35の軸線と平行に同電磁開閉式吐出弁35(電磁開閉式吐出弁35の液体通路の他端)から圧力調整弁34側に略直線状に延びる直線部33dと同直線部から屈曲して延びる曲線部33eとを有し、圧力振動付与部81がその直線部33dに配設されている点のみにおいて、液体噴射装置80と相違している。
【0066】
この液体噴射装置100によれば、曲線部33eの存在により、圧力振動付与部81により与えられた圧力振動の多くが圧力調整弁34に向けて伝播する(所謂、圧逃げする)ことを阻止できる。従って、液体噴射装置100は、より確実に液体の微粒子化を行うことができる。
【0067】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係る液体噴射装置110について説明する。液体噴射装置110は、図5に示した液体噴射装置80に対し、燃料供給管33(連結部)であって圧力振動付与部20が配設された部分よりも圧力調整弁34側に絞り部33fを備えた点のみにおいて、液体噴射装置80と相違している。
【0068】
この液体噴射装置110によれば、絞り部33fの存在により、圧力振動付与部81により与えられた圧力振動の多くが圧力調整弁34に向けて伝播する(所謂、圧逃げする)ことを阻止できる。従って、液体噴射装置110は、より確実に液体の微粒子化を行うことができる。
【0069】
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る液体噴射装置は、液体が液体噴射孔を介して噴射されるために必要な圧力は加圧手段と調圧手段とにより発生され、液体が微粒子化するための振動は圧力振動付与部により発生される。従って、各液体噴射装置は、液体噴射空間の環境が激しく変化しても、液体の噴射及び微粒子化を確実に達成することができる。
【0070】
また、圧力振動付与部は、液体噴射空間とは少なくとも噴射手段だけ離れた位置である前記連結部に配設されている。従って、液体噴射空間及び同液体噴射空間を構成する部材(例えば、液体噴射装置が内燃機関に適用されていれば、内燃機関の吸気管)から圧力振動付与部への熱伝達量が小さい。この結果、圧力振動付与部のアクチュエータの耐久性を高めることができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態の液体噴射装置は、吸気管(吸気ポート)内に燃料を噴射する形式のガソリン内燃機関に適用されていたが、本発明による液体噴射装置を、気筒内に燃料を直接噴射する所謂「直噴式ガソリン内燃機関」に適用することもできる。更に、本発明による液体噴射装置を、ディーゼルエンジン用の直噴インジェクタとして用いることも有効である。
【0072】
また、圧力振動付与部のアクチュエータとしては、圧電/電歪素子に代えて、反強誘電体膜からなる膜型圧電素子を使用することもできる。さらに、マイクロマシン研究で盛んに研究されている、ギャップを介して対向する電極間に生じる静電力や、通電加熱により形状記憶合金に生じる変形力を、圧電/電歪素子の発生する力に代えて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関に適用した本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略を示した図である。
【図2】図1に示した圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図3】(A)は本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部の断面図、(B)は(A)の1−1線に沿った平面にて圧力振動付与部を切断した断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部及び電磁開閉式吐出弁の断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図8】本発明の第7実施形態に係る液体噴射装置の圧力振動付与部、電磁開閉式吐出弁及び噴射チャンバーの断面図である。
【図9】従来の液体噴射装置の断面図である。
【符号の説明】
10…液体噴射装置、12…加振用チャンバー、20…圧力振動付与部、31…加圧ポンプ、32…燃料タンク、33…燃料供給管、34…圧力調整弁、35…電磁開閉式吐出弁、35b…液体通路、35d…開閉弁、35e…吐出孔、37…噴射チャンバー、37a…液体噴射孔、40…電気制御装置。
Claims (8)
- 貯蔵された液体を加圧するとともに同加圧された液体を吐出する加圧手段と、
前記加圧手段に接続されて前記加圧された液体を導入するとともに同液体の圧力を所定の調整圧力に調整して送出する調圧手段と、
液体通路と同液体通路を開閉する開閉弁と液体噴射空間に一端が露呈するとともに他端が同液体通路の一端に連通された液体噴射孔とを有する噴射手段と、
前記調圧手段と前記噴射手段の液体通路の他端とを連結して同調圧手段から送出された前記液体を同噴射手段の液体通路に通流する連結部と、
を備え前記噴射手段の開閉弁が前記液体通路を開放したときに前記液体噴射孔から前記液体を前記液体噴射空間に噴射するように構成された液体噴射装置であって、
前記連結部に配設されるとともに駆動電圧信号に応答して同連結部内の前記液体に圧力振動を付与するアクチュエータを含んでなる圧力振動付与部を備え、同液体に付与される圧力振動により前記液体噴射孔から噴射される液体を微粒子化するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記噴射手段は、前記液体通路及び前記開閉弁を有する吐出弁と、同吐出弁に連結されるとともに前記液体噴射孔を有する噴射チャンバーとを含む液体噴射装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記圧力振動付与部は、駆動電圧信号に応答して繰り返し伸縮する前記アクチュエータとしての圧電体と同圧電体の伸縮運動を粗密波に変換する変換手段とを備え、前記連結部内の液体に対して同粗密波により前記圧力振動を付与するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記圧力振動付与部は駆動電圧信号に応答して繰り返し変形する圧電体を前記アクチュエータとして備え、且つ、前記連結部は薄板部を含むとともに、同圧電体は同薄板部に固定され、同圧電体の作動により同薄板部を変形させることにより同連結部内の前記液体に前記圧力振動を付与するように構成された液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記連結部は、前記液体の流線方向に直交する断面の面積が大きい大断面積部と同流線方向に直交する断面の面積が同大面積部よりも小さい小面積部とを有し、
前記圧力振動付与部は、前記小面積部に配設された液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記連結部は、前記噴射手段の液体通路の他端から前記調圧手段側に略直線状に延びる直線部と同直線部から屈曲して延びる曲線部とを有し、
前記圧力振動付与部は、前記直線部に配設された液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記連結部は、前記圧力振動付与部が配設された位置よりも前記調圧手段側の位置に、同圧力振動付与部が配設された位置における前記液体の流線方向に直交する断面の面積よりも小さい断面積を有する絞り部を備えた液体噴射装置。 - 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記液体は内燃機関の液体燃料であり、前記液体噴射空間は同機関の吸気通路又は燃焼室である液体噴射装置。
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CN109127186A (zh) * | 2018-08-01 | 2019-01-04 | 黔西南州万宏机械制造有限责任公司 | 一种新型喷雾装置 |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003153347A patent/JP2004351347A/ja active Pending
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