JP2004352914A - ラテックスポリマーの調製法及び静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
ラテックスポリマーの調製法及び静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】粒径が制御されたラテックスポリマーを調製する。
【解決手段】ラテックスポリマーの調製法であって、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、重合により得られた種ポリマーに後添加して乳化重合を完了させ、ラテックスポリマーを生成するラテックスポリマーの調製方法、及びこのラテックスポリマーの調製方法により得られたラテックスポリマーを樹脂微粒子として用い静電荷像現像用トナーを製造する方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】ラテックスポリマーの調製法であって、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、重合により得られた種ポリマーに後添加して乳化重合を完了させ、ラテックスポリマーを生成するラテックスポリマーの調製方法、及びこのラテックスポリマーの調製方法により得られたラテックスポリマーを樹脂微粒子として用い静電荷像現像用トナーを製造する方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半連続式乳化重合法によりラテックスポリマーを生成する調製法、及び、このラテックスポリマーを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
当該技術においては、バッチ式又は半連続式乳化重合により生成したラテックスポリマーと、着色剤とを凝集させてトナーとする方法が知られている。例えば、特許文献1は、種ポリマーの生成後にラテックスを調製する半連続式乳化重合法に関するもので、より詳細には次の工程を含む製法を述べている。
【0003】
(i)モノマー類と、連鎖移動剤と、ジスルホン酸界面活性剤(類)と、必要に応じて開始剤を含む、モノマー類の乳化を行う工程と、
(ii)(i)で調製したモノマーエマルションの約0.5〜約50重量%、望ましくは約1〜約25重量%のモノマーエマルション部分(a)と、ラテックスポリマーの調製に用いる全開始剤の約0.5〜約100重量%、望ましくは約3〜約100重量%の遊離基開始剤(b)とを含む混合物を、約35〜約125℃の温度で乳化重合して、種粒子ラテックスを調製する工程と、
(iii)生成した種粒子を、約35〜約125℃の温度に加熱し、(i)で調製したモノマーエマルションの約50〜約99.5重量%、望ましくは約75〜約97重量%の残りのモノマーエマルションと、必要に応じて、ラテックスポリマーの調製に用いる全開始剤の約0〜約99.5重量%、望ましくは約0〜約97重量%の遊離基開始剤とを加える工程と、
(iv)上記の反応器中の内容物を、約35〜約125℃の温度で、ラテックスポリマーの生成に効果的な時間、例えば約0.5〜約8時間、望ましくは約1.5〜約6時間保持した後、放冷する工程と、を含む。
【0004】
また、エマルション凝集によるトナー粒子の調製に用いるラテックスを、アニオン性界面活性剤の添加量を調節し、非イオン性界面活性剤を使用せずに調製する調製方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、上記調製法により得られたラテックスは、次のような方法でトナーの調製に用いられる。上述した方法で調製したラテックスポリマーと、少なくとも着色剤を含む複数種の分散液に、必要に応じて凝集剤及び/又は電荷添加剤及び/又は他の添加剤を混合し、得られた混合物をラテックスポリマーのTg近辺の温度、望ましくはラテックスポリマーのTg±10℃で効果的な時間、例えば1〜8時間加熱して、トナー大の凝集体を生成する。次に、凝集体懸濁液を、ラテックスポリマーのTg又はそれより高い温度、例えば約60〜約120℃に加熱して合体又は融合すると共にトナー形状を制御する。この際、トナー形状の制御性は、粒子表面の親水性度、すなわちラテックス粒子表面の親水性度に影響される。この、ラテックス粒子表面の親水性度を調整するため、ラテックス生成の際のモノマーエマルション中に不飽和脂肪族カルボン酸エステルモノマー(例えば、エチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー)を存在させる方法が用いられている。この様にして造粒されたトナー粒子は、ろ過などの手段で母液から分離して、必要に応じてイオン交換水などで洗浄した後、乾燥する。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,853,943号明細書
【特許文献2】
特開2001−247607号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
既知の半連続式乳化重合法では、エマルションを反応槽に添加して随時反応させる形態をとるが、使用する不飽和脂肪族カルボン酸エステルモノマーの種類、そのロットによっては、しばしばラテックス粒子径の増大、粗大粒子の多発生などの問題があった。この粒子径が増大したものや粗大粒子が多発生してしまったラテックスを用いたトナーは、OHP透過性の悪化等、重大な問題を生じる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不飽和脂肪族カルボン酸エステル類のラテックス粒子径、粗大粉発生量に影響を及ぼす工程が、主に種ポリマー作製工程にあることをつきとめ、この工程と不飽和脂肪族カルボン酸エステル類の存在を種ポリマー作製工程から分離する手法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記構成により上記課題を解決する方法と、この方法により得られたラテックスを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【0010】
(1)ラテックスポリマーの調製法であって、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、重合により得られた種ポリマーに後添加して乳化重合を完了させ、ラテックスポリマーを生成することを特徴とするラテックスポリマーの調製方法。
【0011】
(2)ラテックスポリマーの調製法であって、(i)アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する工程と、(ii)アニオン性界面活性剤を用いてモノマー類の水性エマルションを調製する工程と、(iii)前記モノマーエマルションの一部を前記水相に加え、重合を開始して種ポリマーを生成する工程と、(iv)前記工程(iii)で生成した組成物に前記モノマーエマルションを追加して乳化重合を完了し、ラテックスポリマーを生成する工程とを含む調製法において、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、前記工程(iv)以降のモノマーエマルション中にのみ存在させることを特徴とする調製方法。
【0012】
(3)モノマーエマルション中に存在させるモノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を分割もしくは連続的に添加することを特徴とする上記、(1)又は(2)に記載の調製方法。
【0013】
(4)少なくとも樹脂微粒子を分散させてなる分散液中で前記微粒子を凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱して前記凝集粒子を融合する静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記樹脂微粒子が(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の調製方法で得られた樹脂粒子であることを特徴とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
[ラテックスポリマーの製造方法]
本発明の製法は、モノマーの水性エマルションの調製を含む。エマルションを生成するには、通常モノマーとアニオン性界面活性剤とを水に加え、攪拌してエマルションとする。このモノマーエマルションには、遊離基開始剤を加えても良い。
【0015】
モノマーエマルションが生成したら、モノマーエマルションの25重量%以下と遊離基開始剤とを、水相に加えて混合し、所望の反応温度で種重合を開始する。遊離基開始剤は、モノマーエマルションの前または後で加えても良いし、同時でも良い。
【0016】
種粒子の生成後、この組成物にモノマーエマルションを追加し、規定の温度で所望の時間、重合を続けて重合を完了し、ラテックスポリマーを生成する。このモノマーエマルションの追加、重合の間に、遊離基開始剤を追加しても良い。
【0017】
ラテックスポリマーが生成したら、着色剤とともに凝集させて凝集体粒子とし、次にこれを融合させてトナー粒子とする。
【0018】
本発明ではラテックスポリマーの生成に2種以上のモノマーを使用する。適当であればどのようなモノマーも使用できる。本発明に有用なモノマー類は、アクリル酸及びメタクリル酸エステル類、スチレン、脂肪酸のビニルエステル類、エチレン性不飽和カルボン酸類、既知の架橋剤などであり、これらに限るものではないが、トナー形状制御性の観点から、エチレン性不飽和カルボン酸類を含ませることが好ましい。適当なエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)等である。より具体的には、スチレン、アクリル酸n−ブチル、及びβ−CEAを含むモノマー類が望ましい。
【0019】
生成するラテックスポリマーは、架橋していてもしていなくても良い。適当であればどのような架橋剤も使用できる。適当な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアクリル酸エステル類、ジメタクリル酸エステル類、等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0020】
そして、上述したモノマーの内、後述する種重合により種ポリマーを生成させるモノマーとしては、上述のアクリル酸及びメタクリル酸エステル類、スチレン、脂肪酸のビニルエステル類、エチレン性不飽和カルボン酸類、既知の架橋剤などであり、これらに限るものではないが、トナー形状制御性の観点から、エチレン性不飽和カルボン酸類を含ませることが好ましく、適当なエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等である。より具体的には、スチレン、アクリル酸n−ブチルを含むモノマー類が望ましい。
【0021】
また、上述したモノマーの内、種ポリマーに後添加する「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」としては、モノマー構造式中の親水基に例えばカルボキシル基、水酸基の少なくとも一方を有するものであって、例えば、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)、アクリル酸カルボキシメチル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、アクリル酸4−カルボキシブチル、メタクリル酸2−カルボキシエチル、メタクリル酸カルボキシメチル、メタクリル酸3−カルボキシプロピル、メタクリル酸4−カルボキシブチルなどが挙げられる。
【0022】
上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」を、アニオン性界面活性剤を用いて、他のモノマー類と共に水性エマルション中に存在させ、このモノマーエマルションの一部を水相に加えて種重合を開始し種ポリマーを生成させると、種ポリマー生成時に種ポリマーの総数が著しく少なくなり、種ポリマーの粒子径自体も大きく成長してしまう。そのため、この種ポリマーにモノマーを追加して重合を完了させると、結果的に、粒子径の増大したラテックスポリマーが生成し、更に、この際副産物として粗大粒子が多数生成してしまう。
【0023】
上記現象は、上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」が、モノマーと水相との乳化及びその安定化のために用いるアニオン性界面活性剤(特に、後述するテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス 2A1(登録商標))とインターラクションを生じ、アニオン界面活性剤、特に上記「ダウファックス 2A1」(登録商標)の乳化機能を不安定化させ、その結果、水相におけるミセル形成が阻害され、生成するミセルが巨大化することに起因するものと推定される。
【0024】
更に、上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」の種類、ロットの相違によっても、上記ミセルの巨大化現象の影響度は異なる。
【0025】
したがって、上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」の添加は、種ポリマー生成後のモノマーエマルションに添加することが望ましい。
【0026】
乳化は一般に、約5〜約40℃の温度で行うが、より高い温度でもエマルションは生成する。エマルションを生成するため、通常この混合物を適当な混合装置、例えば通常の攪拌機、ホモジナイザなどの高速攪拌機、あるいはインライン混合装置を含む外部ループを取り付けた容器などを用いて攪拌する。エマルションの生成に必要な混合速度は、使用する装置の種類や界面活性剤の量によって決まるが、速い速度で混合するほど小粒径のエマルションが生成し、安定性が高まる。また、エマルションの生成に要する時間は、より高い速度で攪拌すれば短くなるが、5分から60分程度である。
【0027】
モノマーエマルションの生成に用いるアニオン性界面活性剤は、所望の乳化液及びラテックスを生じ、かつ、トナーの性能に悪影響を及ぼさなければどのようなアニオン性界面活性剤でも良い。使用されるアニオン性界面活性剤としては、ジフェニルオキシドジスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び硫酸塩類等、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限るものではない。本発明の望ましい実施の形態で用いる界面活性剤は、ダウ・ケミカルより入手可能な、ダウファクスシリーズなどの、市販のジフェニルオキシドジスルホン酸塩類である。
【0028】
更に、生成するポリマーの分子量を調整するため、モノマーエマルションに連鎖移動剤を加えることが望ましい。本発明で用いる連鎖移動剤としては、ドデカンチオール、ブタンチオール、3−メルカプトプロピオン酸イソオクチル(IOMP)、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、四塩化炭素、四臭化炭素、等が挙げられるが、これらに限るものではない。連鎖移動剤は効果的な量、例えばモノマーエマルション中のモノマーの約0.1〜約10重量%を用いる。
【0029】
種ポリマーを生成するため、モノマーエマルションの一部を水相に加える。この段階で用いるモノマーエマルションは前述の如く、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を含まないモノマーエマルションである。
【0030】
水相に含まれるアニオン性界面活性剤は、ラテックスポリマーの生成に用いるアニオン性界面活性剤の全量の20重量%以下である。望ましくは、水相に含まれるのは、ラテックスポリマーの生成に用いるアニオン性界面活性剤の全量の0.5〜10重量%である。水相には、上記のもの等どのようなアニオン性界面活性剤を用いても良く、水相中のアニオン性界面活性剤は、モノマーエマルションの生成に用いるアニオン性界面活性剤と同じでも、あるいは異なるものでも良い。
【0031】
種ポリマーの生成に用いるモノマー部分は、通常ラテックスポリマーの調製に用いるモノマーの全量の約0.25〜約25重量%である。望ましくは、種ポリマーの生成に用いるモノマー量は、ラテックスポリマーの生成に用いるモノマーの全量の約0.5〜10重量%、より望ましくは約0.5〜3重量%である。
【0032】
適当な開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過亜硫酸アンモニウム、過亜硫酸カリウム、過亜硫酸ナトリウム、重硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが挙げられるが、これらに限るものではない。望ましい開始剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の、過硫酸開始剤である。開始剤は、通常水溶液として加える。
【0033】
ラテックスポリマーの生成に用いる開始剤の量は、通常重合すべきモノマーの約0.1〜約10重量%である。ラテックスポリマーの調製に用いる開始剤の全量の5〜100重量%、望ましくは30〜100重量%を、種重合段階で加える。
【0034】
種ポリマーの生成では、通常約35〜約150℃、望ましくは約50〜約95℃の温度で乳化重合を行う。系の安定性を保つため、開始剤は通常、ゆっくりとエマルションに加える。例えば5分以上、望ましくは10分以上かけて開始剤を加える。
【0035】
次に、種ポリマーにモノマーを追加して重合を完了する。追加モノマーは前述の如く水中に乳化して、エマルションの形態としても良いが、モノマーのままでも良い。本発明では、この段階で追加モノマーに、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を混合する。この際、追加モノマーに対して、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を分割し、種ポリマーにモノマーを追加している途中で複数回混合しても良いし、種ポリマーにモノマーを追加している際に連続的に、上記モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を混合していく形態でも良い。実施の形態では、追加モノマーはポリマーの生成に一部を使用したモノマーエマルションの残りである。乳化重合は通常約35〜約150℃、望ましくは約50〜約95℃の温度で行う。追加モノマーは、通常効果的な時間、例えば0.5〜8時間、望ましくは2〜6時間かけてこの組成物に加える。
【0036】
更に、種重合の後に開始剤を追加しても良い。反応のこの段階で開始剤を追加する場合、開始剤は、種ポリマーの生成で加えたものと同じ種類でも、あるいはそうでなくても良い。この工程で有用な開始剤は、前述の開始剤類の他、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、p−メタンヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルペルオキシド、クミルペルオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などが挙げられるが、これらに限るものではない。
【0037】
本発明の製法で生成するラテックスポリマーの具体例としては、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、上記の分枝/部分架橋共重合体、等の既知のポリマー類が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0038】
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
上記調製法により得られたラテックスは、次のような方法でトナーの調製に用いられる。本件に述べる方法で調製したラテックスポリマーと、少なくとも着色剤を含む複数種の分散液に、必要に応じて凝集剤及び/又は電荷添加剤及び/又は他の添加剤を混合し、得られた混合物をラテックスポリマーのTg近辺の温度、望ましくはラテックスポリマーのTg±10℃で効果的な時間、例えば1〜8時間加熱して、トナー大の凝集体を生成する。次に、凝集体懸濁液を、ラテックスポリマーのTg又はそれより高い温度、例えば約60〜約120℃に加熱して合体又は融合させてトナー粒子を造粒し、このトナー粒子をろ過などの手段で母液から分離して、必要に応じてイオン交換水などで洗浄した後、乾燥する。
【0039】
ラテックスポリマーは、通常トナーの約75〜約98重量%存在する。本発明の製法に適したラテックスポリマーの大きさは、例えば、マイクロトラックで測定した体積平均粒径で、約0.05〜約1μmであり、望ましくは50〜250nmである。実施の形態では、これ以外の大きさや効果的な量のラテックスポリマーを用いることもできる。
【0040】
着色剤は、通常トナー中に効果的な量、例えばトナーの約1〜約15重量%、望ましくは約3〜約10重量%存在する。
【0041】
本発明の製法で使用する、着色剤としては特に限定されず、公知の着色剤を使用することができ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、キノリンイエロー、クロームイエロー、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
【0042】
さらに、マピコブラック(登録商標)とシアン成分との混合物などの着色マグネタイトも、本発明の製法の顔料として使用できる。
【0043】
凝集剤は効果的な量、例えばトナーの約0.01〜約10重量%を用いる。使用する凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、(ジアルキル)フェニルアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、(アルキルベンジル)メチルアンモニウムクロリド、(アルキル)(ベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、塩化ベンザルコニウム、セチルピリジニウムブロマイド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロマイド類、4級化ポリオキシエチレンアルキルアミン類のハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、アルカリル・ケミカル社(Alkaril Chemical Company)より入手可能な、ミラポール(MIRAPOL)(登録商標)及びアルカクワット(ALKAQUAT)(登録商標)、花王化学(Kao Chemicals)より入手可能なサニゾール(SANIZOL)(登録商標)(塩化ベンザルコニウム)、等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0044】
帯電制御剤も効果的な量、例えばトナーの0.1〜5重量%を使用しても良い。適当な帯電制御剤としては、アルキルピリジニウムハロゲン化物類、重硫酸塩類、ジステアリルジメチルアンモニウム=メチル硫酸塩帯電制御剤を用いるトナーについて述べた、米国特許第3,944,493号、米国特許第4,007,293号、米国特許第4,079,014号、米国特許第4,394,430号、米国特許第4,560,635号(その内容は全て本件に引用して援用する)の帯電制御剤類、アルミニウム錯体のような陰帯電制御剤、等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0045】
使用する他の添加剤としては、離型剤として働くワックス類などが挙げられるが、これに限るものではない。
【0046】
次の実施例は、本発明の詳細な実施の形態を示すものである。当業者には、特定の製品特性とするために、必要に応じて適当な試薬、成分比/濃度とすることは理解されよう。特に記載のない限り、部は全て重量比である。
【0047】
【実施例】
[実施例1]
ラテックス1の調製
アニオン性界面活性剤としてテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス 2A1(登録商標))、開始剤として過硫酸アンモニウム、架橋剤としてジアクリル酸デカンジオール(A−DOD(登録商標))、連鎖移動剤としてドデカンチオールを用いた乳化重合法により、組成比76.5/23.5/3の、スチレン/アクリル酸n−ブチル/β−CEA共重合体を含む、ラテックスを合成した。
【0048】
ジャケット付き反応器に、556部の脱イオン水と、0.9部のダウファクス2A1とを入れ160rpmにて攪拌し、温度を75℃に上げた。これとは別の乳化槽で、モノマー混合物(460部のスチレンと、140部のアクリル酸n−ブチルと4.5部のジアクリル酸デカンジオール(A−DOD)と、2部の1−ドデカンチオールと、250部の脱イオン水に12部のダウファクス2A1を加えたものとを、室温で1180rpmで60分間混合して、モノマーエマルションを調製した。次いで、このモノマーエマルションから9部の種用モノマーエマルションを取り、2分間かけてポンプで反応器に入れた。5分後、9部の過硫酸アンモニウムを43部の脱イオン水に溶解して調製した開始剤溶液を、10分かけて加えた。更に30分間攪拌を続け、種粒子を生成させた。残りのモノマーエマルションに18部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を加え、10分間攪拌した後、3部/分で反応器に加えた。モノマーエマルションの残りが、全モノマーエマルションの50%に達した時、モノマーエマルションに新たに5部の1−ドデカンチオールを加え、10分間攪拌した後、4部/分の速度で反応器へと全量添加した。モノマー添加後、この組成物を75℃で180分間後加熱して反応を完了し、放冷した。反応の間、反応系には窒素気流を流し、脱酸素化した。
【0049】
この結果、Mw38,000、Mn11,500、オンセットTg53℃、平均粒子径220nmのラテックスが得られた。このラテックス中に粗大粉は殆ど含まれなかった。
【0050】
[実施例2]
ラテックス2の合成
下記の事項以外は実施例1と同様の方法でラテックス2を合成した。
【0051】
種形成後の残りのモノマーエマルションに9部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を加え、10分間攪拌した後、3部/分で反応器に加えた。モノマーエマルションの残りが、全モノマーエマルションの50%に達した時、モノマーエマルションに新たに9部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)と5部の1−ドデカンチオールを加え、10分間攪拌した後、4部/分の速度で反応器へと全量添加した。
【0052】
この結果、Mw37,000、Mn11,300、オンセットTg53℃、平均粒子径215nmのラテックスが得られた。このラテックス中に粗大粉は殆ど含まれなかった。
【0053】
[実施例3]
ラテックス3の合成
下記の事項以外は実施例1と同様の方法でラテックス3を合成した。
【0054】
種形成後の残りのモノマーエマルションを3部/分で反応器に加えた。この際、モノマーエマルションの攪拌を継続し、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を0.02部/分でモノマーエマルションに加えた。モノマーエマルションの残りが、全モノマーエマルションの50%に達した時、モノマーエマルションに新たに5部の1−ドデカンチオールを加え、10分間攪拌した後、4部/分の速度で反応器へと全量添加した。この際、モノマーエマルションの攪拌と、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)の0.02部/分によるモノマーエマルションへの添加は継続していた。
【0055】
この結果、Mw37,500、Mn11,400、オンセットTg53℃、平均粒子径225nmのラテックスが得られた。このラテックス中に粗大粉は殆ど含まれなかった。
【0056】
[比較例1]
ラテックス4の合成
18部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)をモノマーエマルション調製初期から加えることによって、種形成時にアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を含有するモノマーエマルションを用い、一方、種形成後の残りのモノマーエマルションに新たにアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でラテックス4を合成した。
【0057】
この結果、Mw42,700、Mn12,300、オンセットTg53℃、平均粒子径280nmのラテックスが得られた。このラテックス中には多数の粗大粉が含まれていた。
【0058】
トナーの調製
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1で得たラテックスを用いて、次の手法によりそれぞれトナーを調製した。イオン交換水600部に、ラテックス250部と20%カーボンブラック分散液(リーガル 330(登録商標))70部と、30%ワックス分散液60部(ポリエチレン P725ワックス)とを加え、ホモジナイザで5分間混合した。この混合物に、調節した量の10%のポリ塩化アルミニウム溶液を加えて、再び5分間混合した後、攪拌しながら50℃に加熱して、粒子を凝集させた。凝集体の粒径が5.0μmに達した時、新たにラテックス120部を追加して外殻を形成し、30分凝集させた後、1%のNaOHを用いてスラリーのpHを6.0に調整して、反応器の温度を95℃に上げた。
この温度で6時間置いた後、混合物を放冷し、ろ過して母液から粒子を分離した後、洗浄・乾燥を行った。
【0059】
この様にして得られたトナーに外添を施し、キャリアと混合して、富士ゼロックス社製V500改造機にて画質評価を行なった結果を、表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
上記発明により、OHP透過性等所望の画質特性を満たすポリマーラテックスを、安定かつ効率的に生産することができ、これにより、高品質の乳化重合凝集法トナーを得ることができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半連続式乳化重合法によりラテックスポリマーを生成する調製法、及び、このラテックスポリマーを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
当該技術においては、バッチ式又は半連続式乳化重合により生成したラテックスポリマーと、着色剤とを凝集させてトナーとする方法が知られている。例えば、特許文献1は、種ポリマーの生成後にラテックスを調製する半連続式乳化重合法に関するもので、より詳細には次の工程を含む製法を述べている。
【0003】
(i)モノマー類と、連鎖移動剤と、ジスルホン酸界面活性剤(類)と、必要に応じて開始剤を含む、モノマー類の乳化を行う工程と、
(ii)(i)で調製したモノマーエマルションの約0.5〜約50重量%、望ましくは約1〜約25重量%のモノマーエマルション部分(a)と、ラテックスポリマーの調製に用いる全開始剤の約0.5〜約100重量%、望ましくは約3〜約100重量%の遊離基開始剤(b)とを含む混合物を、約35〜約125℃の温度で乳化重合して、種粒子ラテックスを調製する工程と、
(iii)生成した種粒子を、約35〜約125℃の温度に加熱し、(i)で調製したモノマーエマルションの約50〜約99.5重量%、望ましくは約75〜約97重量%の残りのモノマーエマルションと、必要に応じて、ラテックスポリマーの調製に用いる全開始剤の約0〜約99.5重量%、望ましくは約0〜約97重量%の遊離基開始剤とを加える工程と、
(iv)上記の反応器中の内容物を、約35〜約125℃の温度で、ラテックスポリマーの生成に効果的な時間、例えば約0.5〜約8時間、望ましくは約1.5〜約6時間保持した後、放冷する工程と、を含む。
【0004】
また、エマルション凝集によるトナー粒子の調製に用いるラテックスを、アニオン性界面活性剤の添加量を調節し、非イオン性界面活性剤を使用せずに調製する調製方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、上記調製法により得られたラテックスは、次のような方法でトナーの調製に用いられる。上述した方法で調製したラテックスポリマーと、少なくとも着色剤を含む複数種の分散液に、必要に応じて凝集剤及び/又は電荷添加剤及び/又は他の添加剤を混合し、得られた混合物をラテックスポリマーのTg近辺の温度、望ましくはラテックスポリマーのTg±10℃で効果的な時間、例えば1〜8時間加熱して、トナー大の凝集体を生成する。次に、凝集体懸濁液を、ラテックスポリマーのTg又はそれより高い温度、例えば約60〜約120℃に加熱して合体又は融合すると共にトナー形状を制御する。この際、トナー形状の制御性は、粒子表面の親水性度、すなわちラテックス粒子表面の親水性度に影響される。この、ラテックス粒子表面の親水性度を調整するため、ラテックス生成の際のモノマーエマルション中に不飽和脂肪族カルボン酸エステルモノマー(例えば、エチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー)を存在させる方法が用いられている。この様にして造粒されたトナー粒子は、ろ過などの手段で母液から分離して、必要に応じてイオン交換水などで洗浄した後、乾燥する。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,853,943号明細書
【特許文献2】
特開2001−247607号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
既知の半連続式乳化重合法では、エマルションを反応槽に添加して随時反応させる形態をとるが、使用する不飽和脂肪族カルボン酸エステルモノマーの種類、そのロットによっては、しばしばラテックス粒子径の増大、粗大粒子の多発生などの問題があった。この粒子径が増大したものや粗大粒子が多発生してしまったラテックスを用いたトナーは、OHP透過性の悪化等、重大な問題を生じる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不飽和脂肪族カルボン酸エステル類のラテックス粒子径、粗大粉発生量に影響を及ぼす工程が、主に種ポリマー作製工程にあることをつきとめ、この工程と不飽和脂肪族カルボン酸エステル類の存在を種ポリマー作製工程から分離する手法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記構成により上記課題を解決する方法と、この方法により得られたラテックスを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【0010】
(1)ラテックスポリマーの調製法であって、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、重合により得られた種ポリマーに後添加して乳化重合を完了させ、ラテックスポリマーを生成することを特徴とするラテックスポリマーの調製方法。
【0011】
(2)ラテックスポリマーの調製法であって、(i)アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する工程と、(ii)アニオン性界面活性剤を用いてモノマー類の水性エマルションを調製する工程と、(iii)前記モノマーエマルションの一部を前記水相に加え、重合を開始して種ポリマーを生成する工程と、(iv)前記工程(iii)で生成した組成物に前記モノマーエマルションを追加して乳化重合を完了し、ラテックスポリマーを生成する工程とを含む調製法において、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、前記工程(iv)以降のモノマーエマルション中にのみ存在させることを特徴とする調製方法。
【0012】
(3)モノマーエマルション中に存在させるモノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を分割もしくは連続的に添加することを特徴とする上記、(1)又は(2)に記載の調製方法。
【0013】
(4)少なくとも樹脂微粒子を分散させてなる分散液中で前記微粒子を凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱して前記凝集粒子を融合する静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記樹脂微粒子が(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の調製方法で得られた樹脂粒子であることを特徴とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
[ラテックスポリマーの製造方法]
本発明の製法は、モノマーの水性エマルションの調製を含む。エマルションを生成するには、通常モノマーとアニオン性界面活性剤とを水に加え、攪拌してエマルションとする。このモノマーエマルションには、遊離基開始剤を加えても良い。
【0015】
モノマーエマルションが生成したら、モノマーエマルションの25重量%以下と遊離基開始剤とを、水相に加えて混合し、所望の反応温度で種重合を開始する。遊離基開始剤は、モノマーエマルションの前または後で加えても良いし、同時でも良い。
【0016】
種粒子の生成後、この組成物にモノマーエマルションを追加し、規定の温度で所望の時間、重合を続けて重合を完了し、ラテックスポリマーを生成する。このモノマーエマルションの追加、重合の間に、遊離基開始剤を追加しても良い。
【0017】
ラテックスポリマーが生成したら、着色剤とともに凝集させて凝集体粒子とし、次にこれを融合させてトナー粒子とする。
【0018】
本発明ではラテックスポリマーの生成に2種以上のモノマーを使用する。適当であればどのようなモノマーも使用できる。本発明に有用なモノマー類は、アクリル酸及びメタクリル酸エステル類、スチレン、脂肪酸のビニルエステル類、エチレン性不飽和カルボン酸類、既知の架橋剤などであり、これらに限るものではないが、トナー形状制御性の観点から、エチレン性不飽和カルボン酸類を含ませることが好ましい。適当なエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)等である。より具体的には、スチレン、アクリル酸n−ブチル、及びβ−CEAを含むモノマー類が望ましい。
【0019】
生成するラテックスポリマーは、架橋していてもしていなくても良い。適当であればどのような架橋剤も使用できる。適当な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアクリル酸エステル類、ジメタクリル酸エステル類、等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0020】
そして、上述したモノマーの内、後述する種重合により種ポリマーを生成させるモノマーとしては、上述のアクリル酸及びメタクリル酸エステル類、スチレン、脂肪酸のビニルエステル類、エチレン性不飽和カルボン酸類、既知の架橋剤などであり、これらに限るものではないが、トナー形状制御性の観点から、エチレン性不飽和カルボン酸類を含ませることが好ましく、適当なエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等である。より具体的には、スチレン、アクリル酸n−ブチルを含むモノマー類が望ましい。
【0021】
また、上述したモノマーの内、種ポリマーに後添加する「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」としては、モノマー構造式中の親水基に例えばカルボキシル基、水酸基の少なくとも一方を有するものであって、例えば、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)、アクリル酸カルボキシメチル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、アクリル酸4−カルボキシブチル、メタクリル酸2−カルボキシエチル、メタクリル酸カルボキシメチル、メタクリル酸3−カルボキシプロピル、メタクリル酸4−カルボキシブチルなどが挙げられる。
【0022】
上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」を、アニオン性界面活性剤を用いて、他のモノマー類と共に水性エマルション中に存在させ、このモノマーエマルションの一部を水相に加えて種重合を開始し種ポリマーを生成させると、種ポリマー生成時に種ポリマーの総数が著しく少なくなり、種ポリマーの粒子径自体も大きく成長してしまう。そのため、この種ポリマーにモノマーを追加して重合を完了させると、結果的に、粒子径の増大したラテックスポリマーが生成し、更に、この際副産物として粗大粒子が多数生成してしまう。
【0023】
上記現象は、上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」が、モノマーと水相との乳化及びその安定化のために用いるアニオン性界面活性剤(特に、後述するテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス 2A1(登録商標))とインターラクションを生じ、アニオン界面活性剤、特に上記「ダウファックス 2A1」(登録商標)の乳化機能を不安定化させ、その結果、水相におけるミセル形成が阻害され、生成するミセルが巨大化することに起因するものと推定される。
【0024】
更に、上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」の種類、ロットの相違によっても、上記ミセルの巨大化現象の影響度は異なる。
【0025】
したがって、上記「モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類」の添加は、種ポリマー生成後のモノマーエマルションに添加することが望ましい。
【0026】
乳化は一般に、約5〜約40℃の温度で行うが、より高い温度でもエマルションは生成する。エマルションを生成するため、通常この混合物を適当な混合装置、例えば通常の攪拌機、ホモジナイザなどの高速攪拌機、あるいはインライン混合装置を含む外部ループを取り付けた容器などを用いて攪拌する。エマルションの生成に必要な混合速度は、使用する装置の種類や界面活性剤の量によって決まるが、速い速度で混合するほど小粒径のエマルションが生成し、安定性が高まる。また、エマルションの生成に要する時間は、より高い速度で攪拌すれば短くなるが、5分から60分程度である。
【0027】
モノマーエマルションの生成に用いるアニオン性界面活性剤は、所望の乳化液及びラテックスを生じ、かつ、トナーの性能に悪影響を及ぼさなければどのようなアニオン性界面活性剤でも良い。使用されるアニオン性界面活性剤としては、ジフェニルオキシドジスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び硫酸塩類等、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限るものではない。本発明の望ましい実施の形態で用いる界面活性剤は、ダウ・ケミカルより入手可能な、ダウファクスシリーズなどの、市販のジフェニルオキシドジスルホン酸塩類である。
【0028】
更に、生成するポリマーの分子量を調整するため、モノマーエマルションに連鎖移動剤を加えることが望ましい。本発明で用いる連鎖移動剤としては、ドデカンチオール、ブタンチオール、3−メルカプトプロピオン酸イソオクチル(IOMP)、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、四塩化炭素、四臭化炭素、等が挙げられるが、これらに限るものではない。連鎖移動剤は効果的な量、例えばモノマーエマルション中のモノマーの約0.1〜約10重量%を用いる。
【0029】
種ポリマーを生成するため、モノマーエマルションの一部を水相に加える。この段階で用いるモノマーエマルションは前述の如く、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を含まないモノマーエマルションである。
【0030】
水相に含まれるアニオン性界面活性剤は、ラテックスポリマーの生成に用いるアニオン性界面活性剤の全量の20重量%以下である。望ましくは、水相に含まれるのは、ラテックスポリマーの生成に用いるアニオン性界面活性剤の全量の0.5〜10重量%である。水相には、上記のもの等どのようなアニオン性界面活性剤を用いても良く、水相中のアニオン性界面活性剤は、モノマーエマルションの生成に用いるアニオン性界面活性剤と同じでも、あるいは異なるものでも良い。
【0031】
種ポリマーの生成に用いるモノマー部分は、通常ラテックスポリマーの調製に用いるモノマーの全量の約0.25〜約25重量%である。望ましくは、種ポリマーの生成に用いるモノマー量は、ラテックスポリマーの生成に用いるモノマーの全量の約0.5〜10重量%、より望ましくは約0.5〜3重量%である。
【0032】
適当な開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過亜硫酸アンモニウム、過亜硫酸カリウム、過亜硫酸ナトリウム、重硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが挙げられるが、これらに限るものではない。望ましい開始剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の、過硫酸開始剤である。開始剤は、通常水溶液として加える。
【0033】
ラテックスポリマーの生成に用いる開始剤の量は、通常重合すべきモノマーの約0.1〜約10重量%である。ラテックスポリマーの調製に用いる開始剤の全量の5〜100重量%、望ましくは30〜100重量%を、種重合段階で加える。
【0034】
種ポリマーの生成では、通常約35〜約150℃、望ましくは約50〜約95℃の温度で乳化重合を行う。系の安定性を保つため、開始剤は通常、ゆっくりとエマルションに加える。例えば5分以上、望ましくは10分以上かけて開始剤を加える。
【0035】
次に、種ポリマーにモノマーを追加して重合を完了する。追加モノマーは前述の如く水中に乳化して、エマルションの形態としても良いが、モノマーのままでも良い。本発明では、この段階で追加モノマーに、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を混合する。この際、追加モノマーに対して、モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を分割し、種ポリマーにモノマーを追加している途中で複数回混合しても良いし、種ポリマーにモノマーを追加している際に連続的に、上記モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を混合していく形態でも良い。実施の形態では、追加モノマーはポリマーの生成に一部を使用したモノマーエマルションの残りである。乳化重合は通常約35〜約150℃、望ましくは約50〜約95℃の温度で行う。追加モノマーは、通常効果的な時間、例えば0.5〜8時間、望ましくは2〜6時間かけてこの組成物に加える。
【0036】
更に、種重合の後に開始剤を追加しても良い。反応のこの段階で開始剤を追加する場合、開始剤は、種ポリマーの生成で加えたものと同じ種類でも、あるいはそうでなくても良い。この工程で有用な開始剤は、前述の開始剤類の他、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、p−メタンヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルペルオキシド、クミルペルオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などが挙げられるが、これらに限るものではない。
【0037】
本発明の製法で生成するラテックスポリマーの具体例としては、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、上記の分枝/部分架橋共重合体、等の既知のポリマー類が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0038】
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
上記調製法により得られたラテックスは、次のような方法でトナーの調製に用いられる。本件に述べる方法で調製したラテックスポリマーと、少なくとも着色剤を含む複数種の分散液に、必要に応じて凝集剤及び/又は電荷添加剤及び/又は他の添加剤を混合し、得られた混合物をラテックスポリマーのTg近辺の温度、望ましくはラテックスポリマーのTg±10℃で効果的な時間、例えば1〜8時間加熱して、トナー大の凝集体を生成する。次に、凝集体懸濁液を、ラテックスポリマーのTg又はそれより高い温度、例えば約60〜約120℃に加熱して合体又は融合させてトナー粒子を造粒し、このトナー粒子をろ過などの手段で母液から分離して、必要に応じてイオン交換水などで洗浄した後、乾燥する。
【0039】
ラテックスポリマーは、通常トナーの約75〜約98重量%存在する。本発明の製法に適したラテックスポリマーの大きさは、例えば、マイクロトラックで測定した体積平均粒径で、約0.05〜約1μmであり、望ましくは50〜250nmである。実施の形態では、これ以外の大きさや効果的な量のラテックスポリマーを用いることもできる。
【0040】
着色剤は、通常トナー中に効果的な量、例えばトナーの約1〜約15重量%、望ましくは約3〜約10重量%存在する。
【0041】
本発明の製法で使用する、着色剤としては特に限定されず、公知の着色剤を使用することができ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、キノリンイエロー、クロームイエロー、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
【0042】
さらに、マピコブラック(登録商標)とシアン成分との混合物などの着色マグネタイトも、本発明の製法の顔料として使用できる。
【0043】
凝集剤は効果的な量、例えばトナーの約0.01〜約10重量%を用いる。使用する凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、(ジアルキル)フェニルアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、(アルキルベンジル)メチルアンモニウムクロリド、(アルキル)(ベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、塩化ベンザルコニウム、セチルピリジニウムブロマイド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロマイド類、4級化ポリオキシエチレンアルキルアミン類のハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、アルカリル・ケミカル社(Alkaril Chemical Company)より入手可能な、ミラポール(MIRAPOL)(登録商標)及びアルカクワット(ALKAQUAT)(登録商標)、花王化学(Kao Chemicals)より入手可能なサニゾール(SANIZOL)(登録商標)(塩化ベンザルコニウム)、等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0044】
帯電制御剤も効果的な量、例えばトナーの0.1〜5重量%を使用しても良い。適当な帯電制御剤としては、アルキルピリジニウムハロゲン化物類、重硫酸塩類、ジステアリルジメチルアンモニウム=メチル硫酸塩帯電制御剤を用いるトナーについて述べた、米国特許第3,944,493号、米国特許第4,007,293号、米国特許第4,079,014号、米国特許第4,394,430号、米国特許第4,560,635号(その内容は全て本件に引用して援用する)の帯電制御剤類、アルミニウム錯体のような陰帯電制御剤、等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0045】
使用する他の添加剤としては、離型剤として働くワックス類などが挙げられるが、これに限るものではない。
【0046】
次の実施例は、本発明の詳細な実施の形態を示すものである。当業者には、特定の製品特性とするために、必要に応じて適当な試薬、成分比/濃度とすることは理解されよう。特に記載のない限り、部は全て重量比である。
【0047】
【実施例】
[実施例1]
ラテックス1の調製
アニオン性界面活性剤としてテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス 2A1(登録商標))、開始剤として過硫酸アンモニウム、架橋剤としてジアクリル酸デカンジオール(A−DOD(登録商標))、連鎖移動剤としてドデカンチオールを用いた乳化重合法により、組成比76.5/23.5/3の、スチレン/アクリル酸n−ブチル/β−CEA共重合体を含む、ラテックスを合成した。
【0048】
ジャケット付き反応器に、556部の脱イオン水と、0.9部のダウファクス2A1とを入れ160rpmにて攪拌し、温度を75℃に上げた。これとは別の乳化槽で、モノマー混合物(460部のスチレンと、140部のアクリル酸n−ブチルと4.5部のジアクリル酸デカンジオール(A−DOD)と、2部の1−ドデカンチオールと、250部の脱イオン水に12部のダウファクス2A1を加えたものとを、室温で1180rpmで60分間混合して、モノマーエマルションを調製した。次いで、このモノマーエマルションから9部の種用モノマーエマルションを取り、2分間かけてポンプで反応器に入れた。5分後、9部の過硫酸アンモニウムを43部の脱イオン水に溶解して調製した開始剤溶液を、10分かけて加えた。更に30分間攪拌を続け、種粒子を生成させた。残りのモノマーエマルションに18部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を加え、10分間攪拌した後、3部/分で反応器に加えた。モノマーエマルションの残りが、全モノマーエマルションの50%に達した時、モノマーエマルションに新たに5部の1−ドデカンチオールを加え、10分間攪拌した後、4部/分の速度で反応器へと全量添加した。モノマー添加後、この組成物を75℃で180分間後加熱して反応を完了し、放冷した。反応の間、反応系には窒素気流を流し、脱酸素化した。
【0049】
この結果、Mw38,000、Mn11,500、オンセットTg53℃、平均粒子径220nmのラテックスが得られた。このラテックス中に粗大粉は殆ど含まれなかった。
【0050】
[実施例2]
ラテックス2の合成
下記の事項以外は実施例1と同様の方法でラテックス2を合成した。
【0051】
種形成後の残りのモノマーエマルションに9部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を加え、10分間攪拌した後、3部/分で反応器に加えた。モノマーエマルションの残りが、全モノマーエマルションの50%に達した時、モノマーエマルションに新たに9部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)と5部の1−ドデカンチオールを加え、10分間攪拌した後、4部/分の速度で反応器へと全量添加した。
【0052】
この結果、Mw37,000、Mn11,300、オンセットTg53℃、平均粒子径215nmのラテックスが得られた。このラテックス中に粗大粉は殆ど含まれなかった。
【0053】
[実施例3]
ラテックス3の合成
下記の事項以外は実施例1と同様の方法でラテックス3を合成した。
【0054】
種形成後の残りのモノマーエマルションを3部/分で反応器に加えた。この際、モノマーエマルションの攪拌を継続し、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を0.02部/分でモノマーエマルションに加えた。モノマーエマルションの残りが、全モノマーエマルションの50%に達した時、モノマーエマルションに新たに5部の1−ドデカンチオールを加え、10分間攪拌した後、4部/分の速度で反応器へと全量添加した。この際、モノマーエマルションの攪拌と、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)の0.02部/分によるモノマーエマルションへの添加は継続していた。
【0055】
この結果、Mw37,500、Mn11,400、オンセットTg53℃、平均粒子径225nmのラテックスが得られた。このラテックス中に粗大粉は殆ど含まれなかった。
【0056】
[比較例1]
ラテックス4の合成
18部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)をモノマーエマルション調製初期から加えることによって、種形成時にアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を含有するモノマーエマルションを用い、一方、種形成後の残りのモノマーエマルションに新たにアクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA)を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でラテックス4を合成した。
【0057】
この結果、Mw42,700、Mn12,300、オンセットTg53℃、平均粒子径280nmのラテックスが得られた。このラテックス中には多数の粗大粉が含まれていた。
【0058】
トナーの調製
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1で得たラテックスを用いて、次の手法によりそれぞれトナーを調製した。イオン交換水600部に、ラテックス250部と20%カーボンブラック分散液(リーガル 330(登録商標))70部と、30%ワックス分散液60部(ポリエチレン P725ワックス)とを加え、ホモジナイザで5分間混合した。この混合物に、調節した量の10%のポリ塩化アルミニウム溶液を加えて、再び5分間混合した後、攪拌しながら50℃に加熱して、粒子を凝集させた。凝集体の粒径が5.0μmに達した時、新たにラテックス120部を追加して外殻を形成し、30分凝集させた後、1%のNaOHを用いてスラリーのpHを6.0に調整して、反応器の温度を95℃に上げた。
この温度で6時間置いた後、混合物を放冷し、ろ過して母液から粒子を分離した後、洗浄・乾燥を行った。
【0059】
この様にして得られたトナーに外添を施し、キャリアと混合して、富士ゼロックス社製V500改造機にて画質評価を行なった結果を、表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
上記発明により、OHP透過性等所望の画質特性を満たすポリマーラテックスを、安定かつ効率的に生産することができ、これにより、高品質の乳化重合凝集法トナーを得ることができた。
Claims (2)
- ラテックスポリマーの調製法であって、
モノマー構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を、重合により得られた種ポリマーに後添加して乳化重合を完了させ、ラテックスポリマーを生成することを特徴とするラテックスポリマーの調製法。 - 少なくとも樹脂微粒子を分散させてなる分散液中で前記微粒子を凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱して前記凝集粒子を融合する静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記樹脂微粒子が請求項1に記載のラテックスポリマーの調製法で得られた樹脂微粒子であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003154133A JP2004352914A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | ラテックスポリマーの調製法及び静電荷像現像用トナーの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008297548A (ja) * | 2007-05-31 | 2008-12-11 | Xerox Corp | トナー組成物 |
CN114929756A (zh) * | 2019-12-20 | 2022-08-19 | 巴斯夫欧洲公司 | 种子树脂稳定的高固含量乳液聚合物 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003154133A patent/JP2004352914A/ja active Pending
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