JP2004352635A - 消毒および/または殺菌用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主剤であるオラネキシジン酸付加塩と、その溶解補助剤である高級アルコールポリオキシエチレンエーテルおよびアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルよりなる群から選択されるポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤の1種以上とを含有してなる消毒または/および殺菌用組成物。この組成物は、エチルアルコール60〜80W/V%水溶液中に、オラネキシジン酸付加塩0.05〜5W/V%を、前記ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤0.1〜10W/V%により可溶化せしめた液剤として有利に提供し得る。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オラネキシジン酸付加塩を含有する消毒または/および殺菌用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代では、人と物が世界的に頻繁に流通しており、以前には特定地域・国に限定されていた病原性微生物であっても、全世界的に持ち込まれる危険性が高くなっている。また、現代生活では、衛生志向が高まりとともに衛生環境が整備されてきているものの、逆に人の免疫機能は低下する傾向があるといわれている。これらの状況において、人をはじめとする動物を病原性微生物から衛もるために、従来にも増してより効果があり使い易い消毒/殺菌剤の開発が望まれている。
【0003】
オラネキシジン[1−(3,4−dichlorobenzyl)−5−octylbiguanide]またはその塩は、上記の要望に沿うべく開発された消毒殺菌作用を有する化合物であって、それまでに知られていたモノビグアナイド誘導体に比べて、広い抗菌スペクトルを有する(特許文献1参照)。特許文献1には、モノビグアナイド誘導体またはその塩を消毒薬として用いるときには、その所定量を水または有機溶剤に溶解、分散または懸濁し、点眼剤、点鼻剤、含嗽剤、清浄剤、洗滌剤等の外用液剤とすることが挙げられている。オラネキシジンは、塩基性化合物であることから酸付加塩を形成する。
【0004】
【特許文献1】
特許2662343号公報(請求項1、段落[0018]、[0019]、[0067]など)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
オラネキシジンまたはその塩は、上述のように、消毒・殺菌剤として有用であるが、さらに次のような点を改善することによりその利用価値が拡大するものと考えられる。すなわち、消毒・殺菌剤は液剤として汎用されることから、主剤であるオラネキシジンをなるべく高濃度で含有する製剤を調製することができれば、殺菌効果や使い勝手の面から有利となる。高濃度製剤は、より強い殺菌作用を要する場面でそのまま使用してもよいし、原液として利用するときは製剤容量が小さくなり流通上あるいは保管上の立場から有利となる。この高濃度化のためには適当な溶解補助剤を要するが、それによって得られる製剤はオラネキシジンの殺菌作用を低下させることなく安定性に維持され、また皮膚低刺激性が極力抑制されており、使い易いことが要求される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するためにオラネキシジン酸付加塩を対象にそれを可溶化するための溶解補助剤を種々検討したところ、ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤に属する界面活性剤の中から選択された高級アルコールポリオキシエチレンエーテルまたはアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルの存在下、エチルアルコール水溶液でオラネキシジン酸付加塩を可溶化することにより、上記の課題を悉く解決できるとの知見を得た。
【0007】
一方において、エチルアルコール濃度20〜80W/V%の水溶液であれば、上記の界面活性剤を存在させない場合であっても、ある程度量のオラネキシジン酸付加塩を溶解することができて、消毒/殺菌効果が改善されることも合わせて見出したのである。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討して完成されたものである。
すなわち、本発明の消毒または/および殺菌用組成物は、オラネキシジン酸付加塩と、高級アルコールポリオキシエチレンエーテルおよびアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルよりなる群から選択されるポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤とを含有してなることを特徴とする。この組成物を、以下の記載において、単に「本発明の組成物(1)」と称することがある。
【0008】
前記高級アルコールポリオキシエチレンエーテルとしては、式(1):
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、R1は炭素数7〜20のアルキル基を、mは9〜12の整数をそれぞれ表す。)で表されるポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤が挙げられる。
前記アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルとしては、式(2):
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R2は炭素数7〜20のアルキル基を、nは9〜12の整数をそれぞれ表す。)で表されるポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤が挙げられる。
本発明の組成物(1)の好ましい使用形態は、エチルアルコール水溶液中に、前記のポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤0.1〜10W/V%の存在下にオラネキシジン酸付加塩を0.05〜5W/V%、可溶してなる液剤である。ここで、エチルアルコールは、一般に60〜80W/V%の濃度範囲から選択される。
【0013】
本発明はまた、オラネキシジン酸付加塩0.05〜0.5W/V%と、エチルアルコール20〜80W/V%と、残部成分が水であることを特徴とする消毒または/および殺菌用組成物を提供する。この組成物を、以下の記載において、単に「本発明の組成物(2)」と称することがある。この組成物(2)におけるエチルアルコール濃度は、一般に30〜60W/V%の範囲から選択される。
本発明の組成物における各成分の配合量は、全組成物中のW/V%で表されものであり、全容量(100)は水の配合量によって調整される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の消毒または/および殺菌組成物におけるオラネキシジン酸付加塩とは、オラネキシジンと有機酸または無機酸がそれぞれ電離しない形で存在してもよいし、両者が塩を形成して電離していてもよいし、塩を形成してかつ電離していなくてもよく、さらにはこれらの形態が混合した存在状態であってもよい。
かかる塩を形成する酸としては、例えばギ酸、酢酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、α−メルカプトプロピオン酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、フマール酸、コハク酸、コハク酸モノアミド、グルタミン酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、糖酸、アスコルビン酸、ペニシリン、安息香酸、フタール酸、サリチル酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸などがいずれも使用可能であり、とくに制限されるものではない。また、酸付加塩を形成するオラネキシジンと酸との比率も、とくに制限されるものではなく、1:1のほか、1:2等の種々な比率の塩がいずれも使用可能である。
【0015】
当該酸付加塩は、酸とオラネキシジンとを直接混合するか、それらの一方または両方を水等の溶剤に予め溶解させて混合するか、あるいは溶剤中に酸および塩基を投入して溶解混合する等の通常の塩形成方法を採用して製造される。
本発明の組成物(1)におけるオラネキシジン酸付加塩の含有量は、全組成物当たり、0.05〜5W/V%である。この濃度に達しないときは、消毒・殺菌効果が小さくなり、この濃度を超えるとオラネキシジン酸付加塩が可溶化した液の粘度が高くなり使い勝手が悪くなる。オラネキシジン酸付加塩の含有量は、上記の範囲の中でも好ましくは0.05〜3.5W/V%であり、より好ましくは0.05〜2W/V%の範囲である。
【0016】
本発明の組成物(1)において、ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤は、高級アルコールポリオキシエチレンエーテルおよびアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルよりなる群から選択されたものである。
前記の高級アルコールポリオキシエチレンエーテルとしては、前記の式(1)で表される界面活性剤が好ましく、ここにおいてR1で表されるアルキル基は炭素数7〜20、好ましくは炭素数9〜14のものであり、例えば、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基あるいはテトラデシル基が挙げられる。また、これらのアルキル基を有する複数の高級アルコールポリオキシエチレンエーテルの混合物であってもよい。この式中、mはポリエチレンオキサイド(POE)の繰り返し数である。この界面活性剤の具体例としては、POE(9)ラウリルエーテル(例、日光ケミカルズ社の「BL−9EX」)、POE(10)ラウリルエーテル(例、三洋化成社の「エマルミンNL−100」)あるいはPOE(12)アルキルエーテル(三洋化成社の「サンノニックSS−120」)などが挙げられる。
【0017】
前記のアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルとしては、一般式(2)で表される界面活性剤がより好ましく、ここにおいてR2で表される炭素数7〜20、好ましくは炭素数9〜14のアルキル基としては、前記のR1で表されるものと同様の基が挙げられる。この式中、nはポリエチレンオキサイド(POE)の繰り返し数である。この界面活性剤の具体例としては、POE(10)ノニルフェノールエーテルが挙げられる。
【0018】
本発明の組成物(1)において、ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤を含有せしめることにより、オラネキシジン酸付加塩を高い含量で可溶化した液剤を容易に調製することができると共に、皮膚接触時の刺激感が抑制されており、潤滑性のある使用感の良い製剤が得られる。このためには、前記界面活性剤の濃度を、全組成物当たり0.1〜10W/Vとすることが好ましい。当該界面活性剤の濃度範囲にすることにより、オラネキシジン酸付加塩の消毒・殺菌効果を安定に維持することができる。
【0019】
本発明の組成物(1)を液剤とするためには、前記のポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤の存在下、オラネキシジン酸付加塩を可溶化するための溶剤を必要とする。この溶剤としては、エチルアルコール水溶液が好ましく、エチルアルコールの濃度は全組成物当たり60〜80W/V%の濃度範囲とするのが有利である。この濃度範囲とすることにより、前記成分を含む液剤を均一に調製することができ、また使用時における消毒・殺菌作用の迅速化と、使用後の速乾性が付与されて使い勝手が非常に良くなる。
【0020】
本発明の組成物(1)には、上記の成分に加えて、さらに品質改良を目的に各種の成分を配合することができる。
例えば、皮膚保護性と保湿性を改善する観点から、脂肪酸トリグリセライドと適宜、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合しておくことが好ましい。この配合によって、特にエチルアルコールを用いたときの皮膚刺激性を抑制する効果が増強ざれる。
【0021】
前記脂肪酸トリグリセライドは、一般に医薬・消毒薬の分野で用いられているものであれば、特に限定なく使用できる。通常は、1気圧、20℃付近の常温下で液体であるものが好ましく、その例としては脂肪酸がイソオクタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸あるいはリノレン酸であるトリグリセライドが挙げられ、これらの1種を単独、もしくは2種以上を併用して用いる。さらに、オリーブ油や菜種油などの植物油を原料とするトリグリセライドであってもよい。
【0022】
前記の脂肪酸トリグリセライドのなかでも、とりわけイソオクタン酸トリグリセライドは安全性がより高く、また皮膚接触時の刺激抑制作用が顕著であって、ベトツキがない等、使用感が向上する。脂肪酸トリグリセライドは、全組成物当たり0.01〜0.4W/V%の濃度範囲とするのが好ましい。この濃度範囲外では、保湿効果や、皮膚刺激と皮膚荒れなどの抑制効果が十分ではなくなったり、皮膚表面にベタツキが残ったりすることがあり好ましくない。
【0023】
さらに本発明の組成物(1)には、その目的を阻害しない限りにおいて、従来、消毒/殺菌剤に添加されている成分として、例えば特開平11−199476号公報に記載されているように、炭酸プロピレン、N−メチル−2−ピロリドン(薬添規)、プロピレングリコール、ポリソルベート80(日局)、酢酸トコフェロールなどの血行促進剤;アラントイン等の組織修復剤;ハッカ油、1−メントール等の清涼化剤;流動パラフィン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、スクワラン等の油成分:グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール;pH調整剤などを添加することもできる。
【0024】
本発明の組成物(1)のpHは、原液の状態で4〜8であることが好ましく、5〜6であればさらに好ましい。このpH範囲に調整することにより、組成物の安定性がよく、また使用感もよい。
次に、本発明の組成物(2)は、組成物の全体当たり、オラネキシジン酸付加塩0.05〜0.5W/V%と、エチルアルコール20〜80W/V%とを含有し、最終液量100は水量によって調整されてなる液剤である。エチルアルコール濃度は、さらに30〜60W/V%であることが好ましい。この組成物は、前記の組成物(1)とは異なり、ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤が配合されていないことから、オラネキシジン酸付加塩の濃度をそれほど高くできないものの、消毒/殺菌効果の速効性を高め、使用後の速乾性が改善される。
【0025】
本発明の消毒または/および殺菌用組成物は、MRSAなどの各種微生物に対して幅広い抗菌性スペクトルを有すことから、種々の分野において実用上有利に使用できる。例えば、手指など皮膚、医療器具、医療機関内環境あるいは食品製造環境などにおける消毒または/および殺菌剤として適用できる。本発明の消毒または/および殺菌用組成物は、浸漬法、スプレー法あるいは清拭法などの方法をその対象毎に適宜選択すればよい。本発明によって、主剤である塩酸オラネキシジンを高濃度に含む製剤は、原液として使用目的に応じて、適宜、水などにより希釈して用いることもできる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例、対照例を挙げて本発明をさらに具体的説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
塩酸オラネキシジン原末(大塚製薬)0.5gを、95%エチルアルコール(和光純薬)74mlに混合・溶解し、希塩酸を用いてpH6に調整後、水を加えて全量を100mlにすることより、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
【0027】
実施例2
塩酸オラネキシジン原末(大塚製薬)0.1gおよびPOE(10)ノニルフェニルエーテル(日光ケミカルズ社製)0.32gに水を約85ml加えて混合・溶解し、pH5に調整後、さらに水を加えて全量を100mlにすることにより、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
実施例3
塩酸オラネキシジン原末(大塚製薬)0.1gおよびPOE(9)ラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製)0.32gに水を約85ml加えて混合・溶解し、pH5に調整後、さらに水を加えて全量を100mlにすることにより、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
【0028】
実施例4
塩酸オラネキシジン原末(大塚製薬)0.1gおよびPOE(10)ラウリルエーテル(三洋化成工業社製)0.32gに水を約85ml加えて混合・溶解し、pH5に調整後、さらに水を加えて全量を100mlにすることにより、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
実施例5
塩酸オラネキシジン原末(大塚製薬)0.1gおよびPOE(12)アルキルエーテル(三洋化成工業社製)0.41gに水を約85ml加えて混合・溶解し、pH6に調整後、さらに水を加えて全量を100mlにすることにより、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
【0029】
対照例1
20W/V%のグルコン酸クロルヘキヘキシジン液(住友製薬)2.5mlに、消毒用エタノール74mlを加えて充分、混合・溶解し、グルコン酸を用いてpH6.0に調整後、水を加えて全量を100mlにすることにより、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
対照例2
10W/V%の塩化ベンザルコニウム液(日本製薬)2mlに、水を加えて全量を100mlに調製して、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
【0030】
対照例3
20W/V%のグルコン酸クロルヘキヘキシジン液(住友製薬)5mlに、水を加えて全量を100mlに調製して、消毒または/および殺菌用組成物を得た。
[評価方法]
<安全性試験>
上記の実施例および対照例で得た消毒または/および殺菌用組成物について、皮膚局所に対する安全性試験を、ウサギ(雄性NZW)を用いてDraizeの方法に準じて次のとおり行なった。
【0031】
ウサギ背部被毛を剪毛し、アイランドスキンが少なく毛周期が休止期のウサギを選択し、1群6例とした。背部を4区画に分け、その中心に対して点対称となる2箇所を無傷皮膚とし、残りの2箇所は適用日に18G注射針で長さ2.5cmの井桁状の擦過傷を作り有傷皮膚とした。被験液を0.3ml塗布した2.5cm角のリント布をレーヨンテープで適用部位に貼付し、その上からテーピンテープで覆い固定した。適用24時間後にリント布を除去した。適用部位を観察し、Draizeの判定基準に従って紅斑、痂皮と浮腫について評点を求めた。適用24時間後と72時間後の無傷皮膚と有傷皮膚の評点から一次刺激性インデックス(P.I.I.)を算出して刺激性を判定した。その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
インデックス(P.I.I.)により、次の基準で皮膚刺激性を判定した。
0≦P.I.I.≦2:弱い刺激
2≦P.I.I.≦5:中程度の刺激
5< P.I.I. ≦8:強い刺激
この結果、本発明による実施例1〜5の組成物は、既に消毒薬として汎用されている対照例1〜3のものと同等もしくはそれ以下の皮膚刺激性を有し、安全性が高いことを示している。
<抗菌性試験>
試験菌株をMuller−hinton brothを用いて37℃で一夜培養し、続けて3継代培養した前培養菌液を、滅菌蒸留水を用いてOD660nmで0.3に調整して約108cfu/mLとし、さらに滅菌蒸留水で100倍希釈して約106cfu/mLにして試験菌液とした。被験液は、最終試験濃度の2倍となるように滅菌蒸留水で2倍希釈系列を作製し、96穴マイクロプレートの8列縦列ウェルに希釈低濃度順に50μLずつ文注した。被験液を分注した各ウェルに試験菌液を50μLずつ分注してすばやく混合した。混合した反応液から10μL採取し、所定の処理時間で別の96穴マイクロプレートの各ウェルに分注済みの200μLのSCDLP培地(消毒剤不活性化培地)に滴下混合して殺菌活性を停止させた後、37℃で48時間培養した。培養後、各ウェルの菌増殖の有無を培地の濁りで肉眼判定し、「濁りありを増殖あり」、「濁りなしを増殖なし」と判定した。被験液の希釈濃度系列で、菌の増殖が認められない最小濃度を被験液のその試験菌に対する最小殺菌濃度(MBC, Minimum Bactericidal Concentration)とした。
【0034】
抗菌性試験結果を表2および表3に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
表2および表3の結果のとおり、本発明による実施例1〜5の組成物は、幅広い抗菌性スペクトルを示しており、その殺菌効果は従来の消毒剤に比べてもより強いことを示している。しかも、その効果は、表2のとおり、10秒という短時間の殺菌処理であっても強く発揮されることから実用上、極めて有利である。
塩酸オラネキシジン単独の溶解度は、0℃において0.02%であり、例えばこの濃度では殺菌力が、pH、血清、石けん、温度などにより影響を受けやすくなる。本発明の組成物では、塩酸オラネキシジンが高濃度化されていることから、そのような影響は排除される。
【0038】
試験例1
実施例2の組成物[塩酸オラネキシジンとして0.1%(1000μg/mL)]と、塩酸オラネキシジン単独0.02%(200μg/mL)水溶液について、有機物汚染の条件下(牛血清5%存在下)における殺菌力の比較を行なった。被験菌として、Staphylococcus aureus FDA 209P, Esherichia coli NIHJ JC−2 および Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145を用いた。その結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
この結果、実施例2の組成物は有機物の存在下であっても、塩酸オラネキシジン単独よりも短時間で殺菌力を発揮し、実用性が高いことが認められた。
試験例2
マウス背部皮膚をStaphylococcus aureus FDA 209Pで汚染し、その消毒効果を表5に示す各処理群について比較を行なった。
【0041】
【表5】
【0042】
この結果、消毒直後(10秒後)においては、70%エタノール処理群、実施例1の組成物処理群はともに100%の除菌率を、また実施例2の組成物処理群もほぼ100%の除菌率を示した。ところが、消毒2時間後においては、70%エタノール処理群の除菌率は0.773%を示し、無処理群に近くなり、除菌効果が認められなくなった。これに比べて、実施例1および2の各組成物で処理した群はいずれも、消毒2時間後においても除菌率は99.9%以上であり、高い除菌持続効果を示した。この除菌持続効果は、消毒4時間後においても認められた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によると、主剤であるオラネキシジン酸付加塩が上記特定のポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤により可溶化され高濃度化することができる。しかも、その殺菌活性を低下することなく、安定に溶解性が高められており、皮膚刺激性が抑制され、短時間で殺菌効果を発揮する、速乾性のある消毒または/および殺菌用組成物として、幅広く利用することができる。オラネキシジン酸付加塩単独では、溶解性に限度があり、その殺菌力がpH、有機物、石けん、温度などにより影響を受けやすくなるが、本発明によるとこのような影響を排除することが可能であり、実用性がより一層高められている。
Claims (7)
- オラネキシジン酸付加塩と、高級アルコールポリオキシエチレンエーテルおよびアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルよりなる群から選択されるポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤の1種以上とを含有してなることを特徴とする消毒または/および殺菌用組成物。
- エチルアルコール水溶液中に、オラネキシジン酸付加塩0.05〜5W/V%と、前記ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤0.1〜10W/V%とを含有してなる請求項1記載の消毒または/および殺菌用組成物。
- エチルアルコール濃度が60〜80W/V%である請求項4記載の消毒または/および殺菌用組成物。
- オラネキシジン酸付加塩0.05〜0.5W/V%と、エチルアルコール20〜80W/V%とを含有し、残部が水であることを特徴とする消毒または/および殺菌用組成物。
- 前記エチルアルコール濃度が30〜60W/V%である請求項6記載の消毒または/および殺菌用組成物。
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