JP2004351881A - ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法 Download PDF

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喜久 古田
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Abstract

【課題】表面に毛羽等の欠陥が少なく、初期の接合部分において接合不良が抑制されたPTFE多孔質膜複合材を提供する。
【解決手段】PTFE多孔質膜と通気性支持材との積層体を含むPTFE多孔質膜複合材の製造方法であって、赤外線の照射により通気性支持材を加熱する工程を含み、この工程において、赤外線発生源30と赤外線発生源30を覆い赤外線の照射方向に開口31aを備えたカバー部材31とを含む赤外線照射装置7を用い、開口31aをシールドにより覆った状態で赤外線発生源30を点灯して赤外線照射装置7内の空気を所定の温度に加熱した後、少なくとも開口31aからシールド32を取り除いて加熱された上記空気を用いて、通気性支持材の加熱を開始することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」という)多孔質膜と通気性支持材との積層体を含むPTFE多孔質膜複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PTFE多孔質膜は、通気性、撥水性、微小粒子の捕集性等に優れており、従来よりフィルタ等の様々な分野に使用されている。実際の使用では、その強度等の観点からPTFE多孔質膜は単独では使用されず、不織布等の通気性を有する支持体(以下「通気性支持材」という)と接合され、複合材とされてから用いられる場合が多い。例えばエアフィルタ用濾材では、プリーツ加工時のPTFE多孔質膜へのダメージ低減、またはプリーツの形状保持等の目的から、PTFE多孔質膜の両面または片面に通気性支持材が接合される。
【0003】
PTFE多孔質膜と通気性支持材との一般的な接合方法として、通気性支持材を加熱ロールに接触させてその融点以上に加熱し、その通気性支持材とPTFE多孔質膜とを接着する熱ラミネート法が知られている。熱ラミネート法では、図5に示すように、帯状の通気性支持材21と同じく帯状のPTFE多孔質膜22とをガイドロール23に沿わせながら重ね合わせて積層体とし、この積層体を加熱ロール24に接触させながら加熱し、加熱ロール24とニップロール25との間で狭持して、通気性支持材21とPTFE多孔質膜22とを接合する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−218899号公報(4−6頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
熱ラミネート法では、融点以上に加熱された通気性支持材21が、加熱ロール24から分離するときに、加熱ロール24に部分的に貼り付くことがあり、複合材の機能を損なわないまでも複合材の表面に毛羽立ち等が発生する問題があった。この問題点を解決する方法として、熱ロール24にかえて、赤外線ヒーター等からの赤外線の照射によりPTFE多孔体質膜と通気性支持材とを接着する方法が考えられるが、赤外線の照射によりPTFE多孔質膜と通気性支持材とが接合されたPTFE多孔質膜複合材の初期の接合部分では、PTFE多孔質膜と通気性支持材との接着強度が低く、接合不良が生じるという問題があった。赤外線ヒーターの予熱時間を例えば1時間としても、初期の積層部分の接着力が低いことに変わりは無かった。赤外線ヒーターの温度をより高い温度に設定すると、初期の接合部分においてPTFE多孔質膜と通気性支持材との接着力は向上したが、時間経過とともに積層体の温度が上がりすぎ、通気性支持材が溶けたり、変色してしまうという問題があった。赤外線の照射によりPTFE多孔質膜と通気性支持材とを接合して得たPTFE多孔質膜複合材から、接着強度が低い初期の接合部分を除去することは可能であるが、接着強度が不十分な部分と十分な部分とは外観上において大差なく、接着強度が不十分な部分が残ることを避けるために、PTFE多孔質膜複合材から接着強度が不十分と思われる部分を必要以上に長く除去しなければならず、生産性が悪いという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のPTFE多孔質膜複合材の製造方法は、PTFE多孔質膜と通気性支持材との積層体を含むPTFE多孔質膜複合材の製造方法であって、赤外線の照射により前記通気性支持材を加熱する工程を含み、前記工程において、赤外線発生源と前記赤外線発生源を覆い赤外線の照射方向に開口を備えたカバー部材とを含む赤外線照射装置を用い、前記開口をシールドにより覆った状態で前記赤外線発生源を点灯して前記赤外線照射装置内の空気を所定の温度に加熱した後、少なくとも前記開口から前記シールドを取り除いて加熱された前記空気を用いて、前記通気性支持材の加熱を開始することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、PTFE多孔質膜複合材の初期の接合部分が接合不良となるのは、PTFE多孔質膜と通気性支持材とを含む積層体(未接合)と赤外線ヒーターとの間の空気層の温度が低いことが原因の一つであることを発見した。
【0008】
そこで本発明者らは、赤外線の照射により通気性支持材を加熱する工程において、赤外線の積層体への照射を開始する前に、積層体への赤外線の照射を開始する際に赤外線発生源と積層体(未接合)との間に配置されることとなる空気層を所定温度に加熱しておき、積層体への赤外線の照射を開始するとともに、この加熱された空気層により積層体を加熱することに到達した。
【0009】
すなわち、本実施の形態のPTFE多孔質膜複合材の製造方法では、図1に示すように、PTFE多孔質膜と通気性支持材との積層体5を含むPTFE多孔質膜複合材の製造方法であって、赤外線の照射により通気性支持材を加熱する工程を含み、この工程において、図1(a)に示すように、赤外線発生源30と赤外線発生源30を覆い赤外線の照射方向に開口31aを備えたカバー部材31とを含む赤外線照射装置7を用い、開口31aをシールド32により覆った状態で赤外線発生源30を点灯して赤外線照射装置7内の空気を所定の温度に加熱した後、図1(b)に示すように、開口31aからシールド32を取り除いて、少なくともその加熱された空気により通気性支持材の加熱を開始することを特徴とする。開口31aをシールド32により覆った状態で赤外線発生源30を点灯して赤外線照射装置7内の空気を所定の温度に加熱した後、開口31aからシールド32を取り除いて、少なくともその加熱された空気により通気性支持材の加熱を開始するので、積層体5への赤外線の照射を開始する際に赤外線発生源30と積層体5との間に配置されることとなる空気層33を所望の温度にすることができ、PTFE多孔質膜複合材の初期の接合部分において、赤外線発生源30と積層体5との間に配置された空気層33の温度が低いことによる接合不良を低減できる。
【0010】
また、加熱の方法に赤外線を用いることで下記の利点も生じる。例えば、▲1▼熱ロールと比較して予熱時間が短く、温度調節も容易である。▲2▼加熱に要するエネルギーのロスが少ないため、低コストで生産を行うことができる。▲3▼非接触の加熱方法であるため、加熱ムラが起きにくく、全体に均一な加熱を行うことができる。
【0011】
次に、本発明のPTFE多孔質膜複合材の製造方法の一例を、図1および図2を用いて説明する。
【0012】
図2に示すように、帯状の通気性支持材1と同じく帯状のPTFE多孔質膜2とを、通気性支持材1によってPTFE多孔質膜2を挟み込むようにガイドロール3に沿わせながら重ね、さらに回転ロール4へと繰り出す。ガイドロール3から回転ロール4へと繰り出された積層体5には、ガイドロール3と回転ロール4との間に配置された赤外線照射装置7から赤外線が照射される。
【0013】
図1(b)および図2に示した例において、赤外線を積層体5に照射している最中の赤外線発生源30と積層体5との距離は、0.5〜100mmが好ましく、1〜20mmがより好ましい。赤外線発生源30と積層体5とを近づけすぎると赤外線発生源30と積層体5とが接触する恐れがあり、離しすぎると積層体を均一に加熱することが難しくなるからである。
【0014】
図1(a)は、赤外線を積層体5に照射する前(予熱段階)における赤外線照射装置7の様子を示し、図1(b)は、赤外線を積層体5に照射している最中の赤外線照射装置7の様子を示している。図1(a)(b)に示すように、赤外線発生源30は、カバー部材31によって覆われているので、照射エネルギーを効率良く積層体5に照射できるとともに、作業者のやけど等の事故がないように安全性が確保されている。
【0015】
図1(a)に示すように、予熱段階では、まず、開口31aをシールド32により覆った状態で赤外線発生源30を点灯し、赤外線発生源30から発生した赤外線によって赤外線照射装置7内の空気を加熱する。開口31aをシールド32により覆った状態で赤外線発生源30を点灯するので、赤外線照射装置7内の空気を効率的に加熱でき、加熱された空気が開口31aから赤外線照射装置7の外へ逃げることを抑制できる。
【0016】
赤外線発生源30の点灯は、積層体5−赤外線発生源30間の距離を、赤外線を積層体5に照射している最中における積層体5−赤外線発生源30間の距離よりも大きくとった状態で行うことが好ましい。積層体5と赤外線発生源30とを十分に離しておけば、積層体5の繰り出しを止めても積層体5の温度が通気性支持材1(図2参照)に含まれる少なくとも1つの材料の融点を超えることはないので、通気性支持材1が溶けて無駄になることがなく、繰り出しによるロスも抑制できる。
【0017】
赤外線照射装置7内において加熱される空気の温度は、赤外線発生源30の出力や、積層体5の繰り出し速度、開口31aの面積等を考慮した上で決定されるが、赤外線照射装置7内の空気を、通気性支持材1に含まれる少なくとも1つの材料の融点以上に加熱することが好ましい。図1(b)に示すように、開口31aからシールド32を取り除き、積層体5への赤外線の照射を開始すれば、空気層33によって、通気性支持材1(図2参照)を、通気性支持材1に含まれる少なくとも1つの材料の融点以上に加熱することができ、通気性支持材1−PTFE多孔質膜2間の接合強度が高いPTFE多孔質膜複合材を提供できるからである。
【0018】
シールド32を開口31aから取り除いた後、加熱された空気層33の温度が低下する場合は、その温度低下を見越して、赤外線照射装置7内の空気をより高い温度に加熱しておくことが好ましい。また、赤外線照射装置7を移動可能とし、積層体5と赤外線発生源30との距離を調節して、積層体5の加熱温度が所望の温度となるようにしてもよい。
【0019】
開口31aをシールド32によって完全に覆った状態で予熱を行ってもよいが、図1(a)に示すように、むしろ開口31aとシールド32との間に隙間ができるように、開口31aをシールド32により覆ったり、図3に示すように、通気孔32aを有するシールド32により開口31aを覆った状態で予熱を行うことが好ましい。シールドによって開口31aを完全に覆い赤外線照射装置7を密閉した状態で赤外線発生源30を点灯すると、赤外線発生源30が、例えば、赤外線ヒーターである場合、赤外線ヒーター自体が非常に高温(数100〜1000℃程度)となるため、点灯から短時間で赤外線照射装置7内の温度が通気性支持材に含まれる少なくとも1つの材料の融点以上に上昇してしまい、赤外線照射装置7内の温度管理が難しいからである。開口31aとシールド32との間に隙間ができるように、開口31aをシールド32により覆ったり、通気孔32aが設けられたシールド32により開口31aを覆った状態で予熱を行えば、赤外線照射装置7内の温度管理が容易となる。
【0020】
通気孔32aが設けられたシールド32には、通気孔32aを開閉自在とする開閉部材、例えはシャッターを備えていることが好ましい。温度管理がさらに容易となるからである。シールド32に複数の通気孔32aが形成されており、その通気孔32aを個別に開閉可能とする開閉部材を備えていれば、温度管理をより柔軟に行うことができ、通気性支持材の材料変更にも容易に対応できる。
【0021】
赤外線発生源30としては、その放射により、通気性支持材1を必要な温度にまで加熱できるものであれば、特に制限はないが、なかでも赤外線のピーク波長が1〜4μmの範囲にあることが好ましい。通気性支持材1の材料として多く用いられている高分子材料の赤外吸収スペクトルが、1〜4μmの範囲に多く存在するからである。
【0022】
赤外線発生源30としては、一般的に広く使用されている赤外線ヒーター等を用いることが好ましい。具体的には特に限定されないが、例えば、中波長ヒーター、短波長ヒーター、カーボンヒーターなどである。
【0023】
図2に示した例において、回転ロール4は、温度調節機能を備えていてもよい。加熱された積層体5の温度を、回転ロール4上で通気性支持材1に含まれる材料の融点以下にまで冷却すれば、回転ロール4から積層体を分離させたときに回転ロール4上に通気性支持材1の一部が貼り付く問題を抑制できる。また、ニップロール6についても、回転ロール4と同様に、温度調節機能を備えていてもよい。
【0024】
本発明のPTFE多孔質膜複合材の製造方法に用いられるPTFE多孔質膜2は、例えば、シート状のPTFE成形体を作製し、これを2軸延伸して多孔質化する方法(例えば、特表平6−816802号公報、特開平7−196831号公報に記載)等の公知の方法により製造できる。
【0025】
また、必要に応じて、PTFE多孔質膜2として、複数枚のPTFE多孔質膜を積層した構造のPTFE複層多孔質膜を用いても構わない。PTFE複層多孔質膜の製法としては特に限定されないが、下記に示すような幾つかの方法が提案されている。例えば、▲1▼液状潤滑剤が混合された分子量の異なるPTFEファインパウダーを層状に分布させたのちに、層構造を保ったまま押出して圧延し、さらに延伸することでPTFE複層多孔質膜を得る方法(例えば、特開平3−179038号公報に記載)、▲2▼液状潤滑剤を含んだPTFE圧延シートを重ねて圧延し、さらに延伸することでPTFE複層多孔質膜を得る方法(例えば、特開昭59−49935号公報に記載)、▲3▼孔径の異なる未焼成のPTFE多孔質膜を圧着することにより積層化し、PTFEの融点以上の温度で焼成することでPTFE複層多孔質膜を得る方法(例えば、特開昭54−97686号公報に記載)等が挙げられる。
【0026】
通気性支持材1は、PTFE多孔質膜2より通気性に優れていればよく、例えば、不織布、織布、メッシュ、その他の多孔質材料等を用いることができる。通気性支持材1は、材質、構造、形態等について特に限定されないが、強度や柔軟性、作業性の観点からは不織布が好ましい。さらに、PTFE多孔質膜との接着が容易であること等から、不織布を構成する一部あるいは全部の繊維が芯鞘構造の複合繊維であり、芯成分が鞘成分より相対的に融点が高い合成繊維であることがより好ましい。なお、通気性支持材1の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、芳香族ポリアミド、またはこれらの複合材を含むもの等を用いることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を図1および図2を用いて実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0028】
実施例におけるPTFE多孔質膜複合材の剥離強度の測定、外観観察、赤外線照射直後の積層体の温度測定は下記に示す方法で行った。
【0029】
[剥離強度] 剥離強度の測定方法について図4を用いて説明する。PTFE多孔質膜複合材(以下「複合材」と略す)11を、MD(Machine Direction−PTFEシートの長手方向)100mm×CD(Cross Direction−PTFEシートの幅方向)25mmの大きさにサンプリングし、ステンレス板14に両面テープ15(日東電工製、No.500)を用いて貼り付ける。引張試験機の一方のチャック16に、サンプリングした複合材11をステンレス板14とともに取り付け、もう一方のチャック17に、複合材11の一方の面を構成する通気性支持材1を、複合材11より約60mm剥離して取り付ける。このとき、複合材11のCD方向、すなわち短辺をそれぞれのチャックに取り付ける。複合材11のMD方向に剥離強度試験が行なわれることになる。その後、チャック16に取り付けたPTFE多孔質膜2と、チャック17に取り付けた通気性支持材1との界面を、速度300mm/min、温度25℃で180度ピーリングを行って剥離させ、剥離強度を測定した。チャートに連続的に記録された引張強度の平均値をサンプルの剥離強度とする。
【0030】
[外観観察] 目視により、複合材の表面に異常がないかを確認する。
【0031】
[温度測定] 赤外線照射装置7を通過した直後の積層体5の赤外線照射装置7側の表面温度を放射温度計を用いて測定した。
【0032】
(実施例1)
PTFEファインパウダー(フルオンCD−123、旭硝子社製)100重量部に対して液状潤滑剤(流動パラフィン)30重量部を均一に混合し、この混合物を20kg/cmの条件で予備成形した。続いてこれをロッド状に押出成形し、さらにこのロッド状押出物を1対の金属製圧延ロール間に通すことで圧延し、厚さ0.2mmの長尺のシート状成形体を得た。次に、このシート状成形体について、ノルマルデカンを用いた抽出法を用いて液状潤滑剤を除去した後に、管状の芯体に巻き、ロール状にした後、ロール延伸法を用い、250℃にて長手方向に20倍の延伸を行った。続いて、テンターを用い、100℃にて幅方向に5倍の延伸を行い、未焼成状態のPTFE多孔質膜を得た。この未焼成PTFE多孔質膜を380℃で30秒間加熱して焼成を行い、焼成されたPTFE多孔質膜を得た。
【0033】
上記の方法で得られたPTFE多孔質膜2に積層させる通気性支持材1として、目付けが30g/mのPET/PE芯鞘不織布(ユニチカ社製、TO303WDO、鞘部PEの融点129℃、芯部PETの融点261℃)を準備した(図2参照)。
【0034】
一方、図2に示す赤外線照射装置7の開口31a(面積800cm)(図1参照)をシールド32によって覆い、赤外線ヒーター30を点灯して、赤外線照射装置7内を15分間予熱し、赤外線照射装置7内の温度を約250℃とした。赤外線照射装置7内の温度は熱電対温度計にて測定した。赤外線ヒーター30には、ピーク波長が2.0〜2.5μmである中波長カーボンヒーター(ヘレウス社製、「BSG1800/900」)を使用した。シールド32には、長さ15cm、幅1cmの通気孔が6箇所設けられた厚さ2mmのステンレス板を用いた。
【0035】
次に、開口31aからシールド32を取り除いて、積層体5と赤外線ヒーター30との距離を4mmとして、3m/minの速度で繰り出された積層体5を、加熱された空気層33により加熱しながら、積層体5に赤外線ヒーター30から赤外線を照射した後、積層体5を回転ロール4とニップロール6(図2参照)との間を通して、3層構造のPTFE多孔質膜複合材を得た。尚、回転ロール4とニップロール6内には冷却水を流した。
【0036】
(比較例1)
予熱されていない赤外線照射装置7を用いて積層体5に赤外線を照射したこと以外は実施例と同様にして、3層構造のPTFE多孔質膜複合材を得た。
【0037】
(比較例2)
シールド32により開口31aを覆わない状態で赤外線照射装置7の予熱を5分間行い、ヒーター出力を安定させた。その赤外線照射装置7を用いて積層体5に赤外線を照射したこと以外は実施例と同様にして、3層構造のPTFE多孔質膜複合材を得た。
【0038】
(比較例3)
シールド32により開口31aを覆わない状態で赤外線照射装置7の予熱を1時間行い、ヒーター出力を安定させた。その赤外線照射装置7を用いて積層体5に赤外線を照射したこと以外は実施例と同様にして、3層構造のPTFE多孔質膜複合材を得た。
【0039】
(比較例4)
予熱されていない赤外線照射装置を用い、赤外線ヒーター30と積層体5との距離を4mmから2mmに代えたこと以外は実施例と同様にして、3層構造のPTFE多孔質膜複合材を得た。
【0040】
(比較例5)
図5に示した装置を用いてPTFE多孔質膜複合材を得た。加熱ロール24の表面温度は150℃、加熱ロール24の回転速度は3m/minとした。
【0041】
実施例、比較例1〜5で得られたPTFE多孔質膜複合材について、通気性支持材への加熱開始1分後、5分後、15分後の各箇所の赤外線照射装置7側の表面温度を放射温度計を用いて測定し、同時にマーキングを行い位置を特定できるようにした。その後マーキングされた箇所について通気性支持材1とPTFE多孔質膜2との界面の剥離強度および表面外観の確認を行った。その結果を表1に示している。
【0042】
【表1】
Figure 2004351881
【0043】
実施例では、加熱開始1分後、5分後、15分後のいずれの箇所においても、外観および接着性の良いPTFE多孔質膜複合材が得られた。比較例1では、外観には毛羽等の発生はないが、加熱開始初期の接着強度が不十分であった。また、接着強度が十分な箇所と不十分な箇所は外観上区別できなかった。比較例2では、加熱開始5分後の箇所では十分な接着強度が得られているが、比較例1と同様、接着強度が十分な箇所と不十分な箇所は外観上区別できなかった。比較例3では、非常に長い予熱を行ったが、接着性についての結果は比較例2と変わらなかった。比較例4では、初期から良好な接着性が得られたが、時間の経過とともに温度が高くなり通気性支持材1が融け、通気性支持材1に穴が開く等の不具合が生じた。毛羽の発生は認められなかった。比較例5では、初期から良好な接着性が得られたが、加熱開始15分後の箇所では毛羽が発生していた。
【0044】
表1に示した結果から、赤外線発生源30と赤外線発生源30を覆い赤外線の照射方向に開口31aを備えたカバー部材31とを含む赤外線照射装置7を用い、開口31aをシールド32により覆った状態で赤外線発生源30を点灯して赤外線照射装置7内の空気を所定の温度に加熱した後、少なくともその加熱された空気により通気性支持材1の加熱を開始すれば、初期の接合部分においてもPTFE多孔質膜2と通気性支持材1との接着強度が十分なPTFE多孔質膜複合材を作製できることが確認できた。また、赤外線による非接触加熱により積層体5を通気性支持材1に含まれる少なくとも一つの材料の融点以上に加熱すれば、表面に毛羽等の欠陥の少ないPTFE多孔質膜複合材を作製できることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、表面に毛羽等の欠陥が少なく、初期の接合部分において接合不良が抑制されたPTFE多孔質膜複合材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、本発明のPTFE多孔質膜複合材の製造方法において、通気性支持材を加熱する工程の一例を説明する図
【図2】本発明のPTFE多孔質膜複合材の製造方法の一例を説明する図
【図3】シールドの平面図
【図4】実施例における、PTFE多孔質膜複合材の剥離強度の測定方法を説明する断面図
【図5】従来のPTFE多孔質膜複合材の製造方法の一例を説明する図
【符号の説明】
1 通気性支持材
2 PTFE多孔質膜
3 ガイドロール
4 回転ロール
5 積層体
6 ニップロール
7 赤外線照射装置
30 赤外線発生源
31 カバー部材
31a 開口
32 シールド
32a 通気孔
33 空気層

Claims (4)

  1. ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と通気性支持材との積層体を含むポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法であって、赤外線の照射により前記通気性支持材を加熱する工程を含み、前記工程において、赤外線発生源と前記赤外線発生源を覆い赤外線の照射方向に開口を備えたカバー部材とを含む赤外線照射装置を用い、前記開口をシールドにより覆った状態で前記赤外線発生源を点灯して前記赤外線照射装置内の空気を所定の温度に加熱した後、少なくとも前記開口から前記シールドを取り除いて加熱された前記空気を用いて、前記通気性支持材の加熱を開始することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法。
  2. 前記通気性支持材を加熱する工程において、前記赤外線照射装置内の空気を、前記通気性支持材に含まれる少なくとも1つの材料の融点以上に加熱する請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法。
  3. 前記通気性支持材を加熱する工程において、前記開口と前記シールドとの間に隙間ができるように、前記開口を前記シールドにより覆う請求項1または2に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法。
  4. 前記通気性支持材を加熱する工程において、通気孔を有する前記シールドにより前記開口を覆う請求項1〜3のいずれかの項に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法。
JP2003155371A 2003-05-30 2003-05-30 ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜複合材の製造方法 Withdrawn JP2004351881A (ja)

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