JP4213485B2 - 通気性複合材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」と表記する)多孔質膜と通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PTFE多孔質膜は、通気性、撥水性、微小粒子の捕集性などに優れており、従来、フィルタなどの様々な分野で利用されている。実際の使用にあたっては、強度などの観点から、PTFE多孔質膜を単独で用いるのではなく、不織布など通気性支持材との積層体として用いられることが多い。例えば、エアフィルタ濾材としては、プリーツ加工時のPTFE多孔質膜へのダメージを防ぐため、PTFE多孔質膜の両面に通気性支持材を積層した通気性複合材が用いられる。PTFE多孔質膜と通気性支持材との積層方法としては、通気性支持材を加熱ロールに接触させることによりその融点以上に加熱し、PTFE多孔質膜と一体化する熱ラミネート法が知られている。
【0003】
従来の熱ラミネート法では、図7に示すように、帯状の通気性支持材1と、同じく帯状のPTFE多孔質膜2とを、通気性支持材1がPTFE多孔質膜2を挟み込むようにガイドロール3を通して重ね合わせて積層体とし、引き続き、この積層体を加熱ロール9に接触させながら加熱する。そして、加熱ロール9とニップロール6との間で狭持して、通気性支持材1とPTFE多孔質膜2とを接合し、一体化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の熱ラミネート法では、融点以上にまで加熱された通気性支持材1が加熱ロール9から分離するときに、この加熱ロール9に部分的に貼り付くことがあった。この貼り付きは、通気性複合材の機能を損なわないまでも、通気性複合材の表面に毛羽立ちなどの欠陥を誘発する。
【0005】
この欠陥を防止するべく、図8に示すように、熱ロール9ではなく赤外線ヒータ5を用いて非接触加熱を行ったところ、ロール4の温度を通気性支持材1が貼り付かない程度にまで下げて一体化を行うことができた。しかし、図8に示した加熱方法では、一体化すべき層の数が多くなるにつれて、積層体の表裏面での温度差が大きくなった。このため、裏面側の通気性支持材の温度が上がらず、ひいてはこの支持材と積層体残部とを強く接合できなかった。裏面側の温度を上げるために強く加熱すると、表面側の通気性支持材の温度が高くなりすぎてこの支持材が溶け出したり、変色したりする事態となった。赤外線ヒータによる加熱は、加熱ロールによる従来の接触加熱よりは優れているが、改善の余地がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、PTFE多孔質膜と複数の通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法であって、上記複数の通気性支持材から選ばれる2以上の通気性支持材にそれぞれ赤外線照射装置から赤外線を照射することを特徴とする通気性複合材の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、その別の側面から、PTFE多孔質膜と複数の通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法であって、上記複数の通気性支持材の少なくとも1つを含み、上記通気性複合材の少なくとも一部となる積層体の表裏面に、それぞれ赤外線照射装置から赤外線を照射することを特徴とする通気性複合材の製造方法を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、また別の側面から、PTFE多孔質膜と複数の通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法であって、上記複数の通気性支持材から選ばれる2以上の通気性支持材をロールとの接触により加熱し、その後、上記2以上の通気性支持材から選ばれる少なくとも1つに赤外線照射装置から赤外線を照射することを特徴とする通気性複合材の製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、毛羽立ちなどの表面欠陥を抑制しながらPTFE多孔質膜と通気性支持材とを一体化した通気性複合材を製造できる。本発明によれば、均一性に優れた加熱が可能になるため、表面欠陥を防止しながら、接合特性に優れた通気性複合材を製造できる。
【0010】
本発明の第1の側面によれば、複数の通気性支持材から選ばれる2以上の通気性支持材にそれぞれ赤外線照射装置から赤外線が照射される。2以上の通気性支持材への照射により、加熱は均一化される。赤外線の照射は、通気性支持材単体、通気性支持材の積層体、通気性支持材とPTFE多孔質膜とを含む積層体のいずれに対して行ってもよい。赤外線を照射する通気性支持材は、例えば、通気性複合材の表層として配置されることになる一対の支持材としてもよい。
【0011】
PTFE多孔質膜を含まない状態で上記2以上の通気性支持材にそれぞれ赤外線を照射し、その後、上記2以上の通気性支持材とPTFE多孔質膜とを重ね合わせれば、通気性支持材のみを効率的に加熱できる。
【0012】
本発明の第2の側面によれば、複数の通気性支持材の少なくとも1つを含み、通気性複合材の少なくとも一部となる積層体の表裏面に、それぞれ赤外線照射装置から赤外線が照射される。表裏面への照射により、加熱は均一化される。赤外線の照射は、通気性支持材の積層体、通気性支持材とPTFE多孔質膜とを含む積層体のいずれに対して行ってもよい。赤外線を照射する積層体の表裏面は、PTFE多孔質膜ではなく通気性支持材により構成されていることが好ましい。
【0013】
表裏面への赤外線の照射は、同時に行ってもよく、表裏面の一方に赤外線を照射し、その後、表裏面の他方に赤外線を照射してもよい。同時に照射すれば、効率的に加熱できる。順次照射すれば、非照射面が外気により冷却されるため、温度制御が容易になる。
【0014】
本発明の第3の側面によれば、複数の通気性支持材から選ばれる2以上の通気性支持材をロールとの接触により加熱し、その後、当該2以上の通気性支持材から選ばれる少なくとも1つに赤外線照射装置から赤外線が照射される。ロールによる予備的な接触加熱により、加熱は均一化される。赤外線は、本発明の第1、第2の側面として述べた上記態様により照射してもよい。
【0015】
通気性支持材およびPTFE多孔質膜の積層数に制限はない。ただし、本発明は、3以上の通気性支持材を含む通気性複合材の製造、2以上のPTFE多孔質膜を含む通気性複合材の製造において、その効果が顕著となる。
【0016】
赤外線による加熱に際しては、赤外線を照射することにより、この赤外線が照射される通気性支持材を構成する少なくとも1つの材料の融点以上に当該通気性支持材を加熱するとよい。通気性支持材の少なくとも1つは、融点が30℃以上、好ましくは60℃以上異なる2つの材料を含むことが好ましく、少なくともこの通気性支持材に赤外線を照射するとよい。
【0017】
本発明の製造方法では、通気性複合材の表面に配置される通気性支持材を、上記赤外線を照射して加熱した状態で凹凸を有する表面に押しつけることにより、当該通気性支持材に、この表面に由来する凹凸を付与してもよい。表裏面の識別性を高めるためである。
【0018】
以下、本発明の製造方法の実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1の製造装置では、帯状の通気性支持材1と、帯状のPTFE多孔質膜2とがガイドロール3を経由して交互に重ね合わせた積層体となる。この積層体は、その表裏の面に、それぞれ赤外線ヒータ5a,5bから赤外線が照射され、加熱される。加熱された積層体は、回転ロール4に沿ってさらに進行しつつ、このロール4とニップロール6との間で押圧されて一体化され、ロール4から離れた後は、ガイドロール3により所定方向へと導かれる。
【0020】
このように、通気性支持材の帯状体とPTFE多孔質膜の帯状体とを連続して繰り出し、これら帯状体に本発明を適用して連続して一体化し、一体化した帯状体を連続して巻き取ると、効率的に通気性複合材を製造できる。
【0021】
通気性支持材の加熱温度は、進行スピードを調節したり、赤外線ヒータと通気性支持材との間の距離を調節したりすることにより制御できる。赤外線ヒータと通気性支持材との間の距離は0.5〜100mm、特に1〜10mmが好ましい。赤外線ヒータを近づけすぎると通気性支持材と接触するおそれがあり、離しすぎると通気性支持材を均一に加熱することが困難となる。通気性支持材は、構成材料の少なくとも1つの融点以上にまで加熱するとよい。
【0022】
ニップロール6による加圧は、必須ではないが、接着力の向上に効果がある。ニップロール6を配置すると、繰出し側のテンションおよび巻取り側のテンションを制御することも可能となる。
【0023】
この製造装置では、回転ロール4により積層体の温度を調節してもよい。回転ロール4から積層体を分離する位置では、積層体は、通気性支持材1の融点未満(複数の構成材料を含む場合には当該材料の融点のいずれよりも低い温度)にまで冷却されていることが好ましい。通気性支持材1の部分的な貼り付きを確実に回避するためである。自然放冷で足りなければ、通気性支持材の冷却のために、回転ロール4、さらにはニップロール6にも、冷却装置を配置するとよい。
【0024】
図2〜図6に例示した装置によっても本発明を実施できる。図2の装置では、2つの赤外線ヒータ5a、5bが異なる位置で積層体の表裏面を順次加熱する。照射位置をずらすと、冷却効率が上がるため、温度制御が容易となる。
【0025】
図3の装置では、複数組の回転/ニップロールが配置され、複数回の加熱/一体化を実施できる。この装置では、赤外線ヒータ5a(5b)により加熱された面を回転ロール4a(4b)に沿わせ、通気性支持材の表面を平滑化している。
【0026】
この場合、回転ロール4a(4b)の一方を用いて積層体の表面に所定パターンを付与してもよい。所定パターンを付与しておくと、積層体の表裏を区別しやすくなる。表裏の区別は、断面方向についてその構成が非対称の複合材、例えばPTFE多孔質膜2,2の特性が相違する複合材、において必要になることがある。例えば、回転ロール4aの表面に、図9に示したような格子状の凹凸パターン10を形成しておくと、このパターン10が通気性支持材1aに転写される。転写されたパターンは、ロール4bにより平滑される他方の表面との対比により、表裏の区別を容易とする。
【0027】
図4に示したように、通気性支持材1およびPTFE多孔質膜2を一体化して得た積層体に、別の通気性支持材1bおよびPTFE多孔質膜2bを重ね合わせ、これを赤外線ヒータ5bで加熱して一体化してもよい。赤外線ヒータ5bに代えて、またはこれととともに、赤外線ヒータ5cを用いてもよい。
【0028】
図4の装置では、別の通気性支持材7が通気性支持材1bと重なるように供給され、一体化される。これら通気性支持材1b,7は、加熱された通気性支持材1bにより接合される。加熱の必要がない通気性支持材7は、融点、構成材料などについての制約が少なく、その選定の幅が広い。このように、通気性複合材は、例えば最外層に、赤外線を照射しない通気性支持材7を重ね合わせ、赤外線を照射して加熱した通気性支持材1bと接合して一体化した構成としてもよい。
【0029】
図5の装置では、赤外線ヒータ5a、5bからの赤外線が、通気性支持材1単体に照射されている。この装置を用いると、通気性支持材1を高温にまで加熱する必要がある場合でも、PTFE多孔質膜2の過熱を避けやすい。装置自体の構成も簡単となる。赤外線の照射は、ヒータ5bによるように貼り合わせ面としてもよく、ヒータ5aによるようにその反対面でもよい。貼り合わせ面に照射すると、耐熱性が低い支持材について加熱範囲を最小限にとどめることができる。
【0030】
図6の装置では、予熱ロール8により、通気性支持材1とPTFE多孔質膜2との積層体が予め加熱される。予熱ロール8の表面温度は、通気性支持材1を構成する材料の融点(材料が複数ある場合にはすべての融点未満)に保持しておくとよい。図6では、積層体の表裏面に赤外線を照射して加熱の均一性を高めているが、いずれかの赤外線ヒータのみを用いてもよい。この場合は、ヒータ5aを用いて予熱ロールに接しない面に赤外線を照射するとよい。
【0031】
上記のように、本発明では、赤外線の照射により通気性支持材が加熱され、この通気性支持材とPTFE多孔質膜などとが接合され、通気性複合材が一体化される。通気性支持材は、単独で加熱した後にPTFE多孔質膜などと接合してもよく、PTFE多孔質膜などと重ね合わせた後に加熱してもよい。少なくとも加熱の後半を、赤外線照射による非接触加熱とすることにより、表面に毛羽などの欠陥が少ない通気性複合材を安定して製造できる。
【0032】
加熱に赤外線を用いることでさらなる利点も生じる。例えば、
1)設備を予熱することなく素早い加熱が可能で、温度調節も容易である。
2)加熱に要するエネルギーのロスが少なく、低コストである。
3)非接触加熱のため、加熱ムラが起きにくく、均一な加熱が可能である。
【0033】
赤外線照射装置、例えば赤外線ヒータは、通気性支持材を必要な温度にまで加熱できるものであれば特に制限はなく、例えば、中波長ヒータ、短波長ヒータ、カーボンヒータなどを用いればよい。照射される赤外線のピーク波長は、特に制限はないが、1μm〜4μm程度とするとよい。
【0034】
PTFE多孔質膜は、例えば、シート状のPTFE成形体を作製し、これを2軸延伸して多孔質化する方法(例えば特表平6−816802号公報、特開平7−196831号公報)など公知の方法により製造できる。
【0035】
必要に応じて、PTFE多孔質膜として、複数のPTFE多孔質膜が積層した構造を有するPTFE複層多孔質膜を用いても構わない。PTFE複層多孔質膜の製法としては特に限定されないが、次に示すような幾つかの方法が提案されている。例えば、
1)液状潤滑剤の混合された分子量の異なるPTFEファインパウダーを、層状に分布させたのちに、層構造を保ったまま押出して圧延し、さらに延伸することでPTFE複層多孔質膜を得る方法(例:特開平3−179038号公報)、
2)液状潤滑剤を含んだPTFE圧延シートを重ねて圧延し、さらに延伸することでPTFE複層多孔質膜を得る方法(例:特開昭59−49935号公報)、
3)孔径の異なる未焼成のPTFE多孔質膜を圧着することにより積層化し、PTFEの融点以上の温度で焼成することでPTFE複層多孔質膜を得る方法(例:特開昭54−97686号公報)、などが挙げられる。
【0036】
通気性支持材は、PTFE多孔質膜より通気性に優れていればよく、例えば、不織布、織布、メッシュ、その他の多孔質材料などを用いることができる。通気性支持材は、材質、構造、形態などを特に限定する必要はないが、強度や柔軟性、作業性の観点からは不織布が好ましい。さらに、PTFE多孔質膜との接着が容易であることなどから、不織布を構成する一部あるいは全部の繊維が芯鞘構造の複合繊維であり、芯成分が鞘成分より相対的に融点が高い合成繊維であることがより好ましい。なお、通気性支持材の材料としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、芳香族ポリアミド、またはこれらの複合材を含むものなどを用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。特性の評価方法は以下のとおりとした。
【0038】
[剥離強度]
本実施例における剥離強度の測定について図10を用いて説明する。
【0039】
通気性複合材を、MD(Machine Direction−PTFEシートの長手方向)100mm×CD(Cross Direction−PTFEシートの幅方向)25mmの大きさにサンプリングし、ステンレス板14に両面テープ15(No.500日東電工製)を用いて貼りつける。引張試験機の一方のチャック16に、上記サンプリングした通気性複合材11をステンレス板14ごと取り付け、もう一方のチャック17に、通気性複合材11の一方の面を構成する通気性支持材13を、複合材11より約60mm剥離して取り付ける。このとき、複合材11のCD方向、すなわち短辺をそれぞれのチャックに取り付ける。複合材11のMD方向に剥離強度試験が行なわれることになる。その後、チャック16に取り付けたPTFE多孔質膜12と、チャック17に取り付けた通気性支持材11との界面を、チャック速度300mm/minで180°ピーリングを行って剥離させ、剥離強度を測定した。チャートに連続的に記録された引張強度の平均値をサンプルの剥離強度とする。
【0040】
[外観]
目視により、通気性複合材の表面に異常がないかを確認する。
【0041】
[表裏面の識別性]
表裏を明示した通気性複合のサンプルとともに、表裏を不明とした通気性複合材5枚を準備し、被験者に、目視および指触により表裏を判別させた。
【0042】
(実施例1)
PTFEファインパウダー(フルオンCD−123、旭硝子社製)100重量部に対して液状潤滑剤(流動パラフィン)30重量部を均一に混合し、この混合物を20kg/cm2の条件で予備成形した。続いてこれをロッド状に押出成形し、さらにこのロッド状押出物を1対の金属製圧延ロール間に通すことで圧延し、厚さ0.2mmの長尺のシート状成形体を得た。次に、このシート状成形体を、ノルマルデカンを用いた抽出法を用いて液状潤滑剤を除去した後に、管状の芯体に巻き、ロール状にした。このシート状成形体を、ロール延伸法を用い、250℃にて長手方向に20倍の延伸を行なった。続いて、テンターを用い、100℃にて幅方向に5倍の延伸を行い、未焼成状態のPTFE多孔質膜を得た。この未焼成PTFE多孔質膜を380℃で30秒間加熱して焼成を行い、PTFE多孔質膜を得た。
【0043】
上記の方法で得られたPTFE多孔質膜に積層させる通気性支持材として、目付けが30g/m2のPET/PE芯鞘不織布(T0303WDO ユニチカ社製 鞘部PEの融点129℃、芯部PETの融点261℃)を準備し、図1に示す装置を用いて2層のPTFE多孔質膜2と3層の通気性支持材1との交互積層を行い、5層の通気性複合材(PTFE多孔質膜複合材)を得た。赤外線ヒータ5a,5bには、ピーク波長が2.0〜2.5μmである中波長カーボンヒータ(ヘレウス社製)を使用した。通気性支持材1と赤外線ヒータ5a,5bとの距離は3mmとし、回転ロール4の速度を3m/minとして積層を行った。このとき、通気性支持材1の加熱温度は、150℃であった。
【0044】
得られた通気性複合材について、通気性支持材1とPTFE多孔質膜2との界面の剥離強度測定および表面外観の確認を行った。
【0045】
(実施例2)
図2に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。ただし、積層数は実施例1と同様の5層とした。
【0046】
(実施例3)
図3に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。
【0047】
(実施例3B)
回転ロール4aの表面に図9に示した凹凸を付した以外は、実施例3と同様にして通気性複合材を得た。
【0048】
(実施例4)
図4に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。ただし、積層数は実施例1と同様の5層とした。
【0049】
(実施例4B)
通気性支持材7としてさらにPP不織布を積層した以外は、実施例4と同様にして通気性複合材を得た。
て通気性支持材
(実施例5)
図5に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。ただし、積層数は実施例1と同様の5層とした。
【0050】
(実施例6)
図6に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。ただし、積層数は実施例1と同様の5層とした。予熱ロール8の温度は120℃とした。通気性支持材1と赤外線ヒータ5a,5bとの距離は5mmとした。
【0051】
(比較例1)
図7に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。加熱ロール9の表面温度は150℃、加熱ロールの回転速度は3m/minとした。
【0052】
(比較例2)
図8に示した装置を用いた以外は実施例1と同様にして通気性複合材を得た。このとき、照射面と反対側の(積層体の裏面の)通気性支持材の温度は130℃であった。
【0053】
(実施例7)
比較例2により得た通気性複合材の表裏を逆にして、再度、図8の装置を用いて加熱、一体化した。この通気性複合材では、表裏面に一回ずつ赤外線が照射されたことになる。
【0054】
(比較例2B)
最外側にPP不織布をさらに重ね合わせた以外は比較例2と同様にして、通気性複合材を得た。赤外線照射面に重ね合わせるとPP不織布が融けたため、照射面と反対側の面にPP不織布を積層した。
【0055】
各実施例および各比較例(実施例4B、比較例2Bを除く)から得た通気性複合材についてそれぞれ測定した、表面および裏面についての剥離強度、外観および識別性(認識性)を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
比較例1による通気性複合材を除けば(加熱ロールによる接触加熱を除いては)、毛羽は発生しなかった。比較例1では、通気性支持材に含まれる繊維の一部が加熱ロールに付着した。比較例2による通気性複合材では裏面側の剥離強度が低くなった。これを解消するべく裏面温度を上げるために各ロールの回転速度を落とすと、通気性支持材の表面が融けてしまって通気性複合材を製造できなかった。
【0058】
実施例3Bによる通気性複合材により抜群の表裏識別性が得られた。比較例1における良好な識別性は毛羽の発生を反映した結果である。実施例5および比較例2による通気性複合材についても、ある程度の識別性が得られた。これは、表裏面の温度差を反映して平滑性に差が生じたためである。
【0059】
さらに、実施例4Bから得た通気性複合材と、比較例2Bから得た通気性複合材とについて、PP不織布の剥離強度を測定した。前者ではPP不織布が破壊し、この不織布の強度を上回る剥離強度が確認できた。後者の測定値は、0.13N/25mmにとどまった。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表面に欠陥が少なく、剥離強度に偏りがなく十分に一体化した通気性複合材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の通気性複合材を製造するための装置の一例の構成を示す図である。
【図2】 本発明の通気性複合材を製造するための装置の別の一例の構成を示す図である。
【図3】 本発明の通気性複合材を製造するための装置のまた別の一例の構成を示す図である。
【図4】 本発明の通気性複合材を製造するための装置のさらに別の一例の構成を示す図である。
【図5】 本発明の通気性複合材を製造するための装置の別の一例の構成を示す図である。
【図6】 本発明の通気性複合材を製造するための装置のまた別の一例の構成を示す図である。
【図7】 通気性複合材を製造するための従来の装置の構成を示す図である。
【図8】 赤外線ヒータを一つのみ用いる通気性複合材を製造するための装置の構成を示す図である。
【図9】 本発明の装置に用いうるロールの表面の凹凸の例を示す図である。
【図10】 実施例における剥離強度の測定方法を示すための断面図である。
【符号の説明】
1,13 通気性支持材
2,12 PTFE多孔質膜
3 ガイドロール
4 回転ロール
5 赤外線ヒータ
6 ニップロール
9 加熱ロール
10 凹凸パターン
11 通気性複合材
14 ステンレス板
15 両面テープ
16,17 チャック
Claims (11)
- ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と複数の通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法であって、前記複数の通気性支持材から選ばれる2以上の通気性支持材にそれぞれ赤外線照射装置から赤外線を照射することを特徴とする通気性複合材の製造方法。
- 前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を含まない状態で前記2以上の通気性支持材にそれぞれ前記赤外線を照射し、その後、前記2以上の通気性支持材と前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜とを重ね合わせる請求項1に記載の通気性複合材の製造方法。
- ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と複数の通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法であって、前記複数の通気性支持材の少なくとも1つを含み、前記通気性複合材の少なくとも一部となる積層体の表裏面に、それぞれ赤外線照射装置から赤外線を照射することを特徴とする通気性複合材の製造方法。
- 前記表裏面に前記赤外線を同時に照射する請求項3に記載の通気性複合材の製造方法。
- 前記表裏面の一方に前記赤外線を照射し、その後、前記表裏面の他方に前記赤外線を照射する請求項3に記載の通気性複合材の製造方法。
- ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と複数の通気性支持材とを一体化する通気性複合材の製造方法であって、前記複数の通気性支持材から選ばれる2以上の通気性支持材をロールとの接触により加熱し、その後、前記2以上の通気性支持材から選ばれる少なくとも1つに赤外線照射装置から赤外線を照射することを特徴とする通気性複合材の製造方法。
- 前記複数の通気性支持材が3以上の通気性支持材である請求項1〜6のいずれかに記載の通気性複合材の製造方法。
- 2以上のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を含む請求項1〜7のいずれかに記載の通気性複合材の製造方法。
- 前記赤外線を照射することにより、この赤外線が照射される通気性支持材を構成する少なくとも1つの材料の融点以上に当該通気性支持材を加熱する請求項1〜8のいずれかに記載の通気性複合材の製造方法。
- 前記通気性支持材の少なくとも1つが、融点が30℃以上異なる2つの材料を含む請求項1〜9のいずれかに記載の通気性複合材の製造方法。
- 前記通気性複合材の表面に配置される通気性支持材を、前記赤外線を照射して加熱した状態で凹凸を有する表面に押しつけることにより、当該通気性支持材に、前記表面に由来する凹凸を付与する請求項1〜10のいずれかに記載の通気性複合材の製造方法。
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