JP2004351752A - 樹脂製ジョイントブーツの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】工程数の削減、余分な手間の削除及び冷却時間の短縮によって成形サイクルをアップし高寸法精度の大径口部を有する樹脂製ジョイントブーツを効率良く製造する。
【解決手段】円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6から補助ノズル口金8により形成される円錐環状形の通路14を経て引出し装置9のキャビティ11内に溶融樹脂5を射出することで、まず最初に蛇腹状中空部2一端の大径口部3を射出成形し、その後、引出し装置9を移動させて管状パリソン15を引き出し形成し、続いて、ブロー成形割型10を用いて蛇腹状中空部2及びその他端の小径口部4を一体にブロー成形する。
【選択図】 図3
【解決手段】円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6から補助ノズル口金8により形成される円錐環状形の通路14を経て引出し装置9のキャビティ11内に溶融樹脂5を射出することで、まず最初に蛇腹状中空部2一端の大径口部3を射出成形し、その後、引出し装置9を移動させて管状パリソン15を引き出し形成し、続いて、ブロー成形割型10を用いて蛇腹状中空部2及びその他端の小径口部4を一体にブロー成形する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車のトリポートタイプの等速ジョイントブーツなどに用いられるもので、蛇腹状中空部及びその両端の接続用口部を含めて全体を熱可塑性樹脂により一体に成形する樹脂製ジョイントブーツの製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の樹脂製ジョイントブーツは、自動車のトリポートタイプの等速ジョイント部への塵埃や水等の進入を防止したり、封入したグリースが漏れ出さないように保持したりするために、蛇腹状中空部の一端側に、従動シャフト側の端部に設けたアウターケースにバンド等を介して締付け固定される大径口部を有するとともに、蛇腹状中空部の他端側に、伝動シャフトにバンド等を介して締付け固定される小径口部とを有している。このような形態の樹脂製ジョイントブーツを製造する手段として、従来一般に、小径口部を射出成形により成形した後、その他の蛇腹状中空部及び大径口部をブロー成形により成形する製造方法及びそのための製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ノズルコアと該コアを同心的に包囲してコアとの間に溶融樹脂を押し出す出口ギャップを形成するノズル口金とにより形成される円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に小径口部形成用キャビティを有する引出し装置を当接させて出口ギャップから引出し装置のキャビティ内に熱可塑性の溶融樹脂を射出することにより小径口部を成形した後、前記出口ギャップを通して溶融樹脂を更に押し出しつつ引出し装置を円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状のパリソンを引き出し形成し、次いで、前記出口ギャップを形成していたノズル口金の最上部をブロー成形割型と入れ替えて管状パリソンをブロー成形することで蛇腹状中空部を形成した後、ノズル口金の下位部に形成されている大径口部形成用キャビティに溶融樹脂を射出することにより大径口部を形成するといったように、射出成形による小径口部の形成→管状パリソンの引き出し形成→ブロー成形による蛇腹状中空部の形成→射出成形による大径口部の形成、という順の工程を経て所定の樹脂製ジョイントブーツを連続的に成形する製造方法及びそのための製造装置も従来より知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2556647号公報
【特許文献2】
特開2002−361715公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示されている従来一般の製造手段の場合は、一端の小径口部のみが射出成形されるものであるから、肉厚が円周方向で任意に変化する異径形状の小径口部であっても容易かつ高精度に形成することが可能である反面、それ以外の蛇腹状中空部及び大径口部はブロー成形されるものであるために、それら蛇腹状中空部及び大径口部は全て円周方向の肉厚が均一またはほぼ均一なものとなり、一般的な自動車用等速ジョイントブーツを製造することしかできず、例えば自動車のトリポートタイプの等速ジョイント用ブーツのように、大径口部を、その外周面が真円状で、内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状とした異径形状にすることが望まれる樹脂製ジョイントブーツは製造することができないという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されている従来の製造手段の場合は、小径口部も大径口部も射出成形されるものであるから、それら両端口部を共に異径形状に容易かつ高精度に成形することが可能で、トリポートタイプの等速ジョイント用ブーツの製造も可能である。しかしながら、特許文献2に開示されている従来の製造手段の場合は、既述したように、射出成形による小径口部の形成→管状パリソンの引き出し形成→ブロー成形による蛇腹状中空部の形成→射出成形による大径口部の形成、といった多くの工程を要するだけでなく、小径口部の成形時に必要であったノズル口金の最上部をブロー成形時にはブロー成形割型と入れ替える手間を要する。その上、寸法的に最も大きいことから、寸法精度の要求が最も高くて成形しにくい大径口部を最後に射出成形するものであるから、その大径口部全周の収縮率を均一かつ安定化させるためにはその射出成形後の冷却に十分な時間をかける必要があり、これらのことから成形サイクル、ひいては、製造効率の上昇にも自ずと限界があるという課題を有していた。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、工程数の削減、余分な手間の削除及び冷却時間の短縮によって成形サイクルをアップして寸法精度が非常に高い大径口部を有する樹脂製ジョイントブーツを効率良く製造することができる樹脂製ジョイントブーツの製造方法及び製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る樹脂製ジョイントブーツの製造方法は、蛇腹状中空部の一端に大径口部を有するとともに、他端に小径口部を有するジョイントブーツを熱可塑性樹脂により一体成形する樹脂製ジョイントブーツの製造方法であって、前記ジョイントブーツの小径口部に相当する径を有し、熱可塑性溶融樹脂を押し出し可能な出口ギャップが形成されている円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に、前記ジョイントブーツの大径口部形成用キャビティを有する引出し装置のキャビティを、両者間に前記出口ギャップから引出し装置のキャビティに向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路を形成する補助ノズル口金を介在させて当接させ、この状態で円環状オリフィスノズルの出口ギャップから円錐環状形の溶融樹脂通路を通して引出し装置のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、ジョイントブーツの大径口部を成形する工程と、前記補助ノズル口金を側方に移動退避した上、成形された大径口部を保冷した状態で、円環状オリフィスノズルの出口ギャップを通して溶融樹脂を押し出しつつ前記引出し装置を円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状パリソンを引き出し形成する工程と、前記引出し装置が円環状オリフィスノズルに対し所定ストロークだけ離間移動されたとき、ブロー成形割形を側方より管状パリソン側に近接移動させて型締めする工程と、前記管状パリソン内部に圧縮気体を吹き込んで該パリソンをブロー成形割型の内面形状に沿った形にブロー成形してジョイントブーツの蛇腹状中空部及び小径口部を一体に成形する工程と、前記ブロー成形割型を側方へ移動させて型開きし、かつ、大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型を分解して大径口部を取り出す工程とを、備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る樹脂製ジョイントブーツの製造装置は、蛇腹状中空部の一端に大径口部を有するとともに、他端に小径口部を有するジョイントブーツを熱可塑性樹脂により一体成形する樹脂製ジョイントブーツの製造装置であって、前記ジョイントブーツの小径口部に相当する径を有し、熱可塑性溶融樹脂を押し出し可能な出口ギャップが形成されている円環状オリフィスノズルと、
この円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に当接配置させた状態と円環状オリフィスノズルの側方に移動退避させた状態とに切替可能で、出口ギャップ上に当接配置させた状態では該出口キャップから外方へ向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路を形成する補助ノズル口金と、この補助ノズル口金の円錐環状形の溶融樹脂通路を介して前記円環状オリフィスノズルの出口ギャップに接続可能な大径口部形成用キャビティを有し、そのキャビティ内に溶融樹脂を射出してジョイントブーツの大径口部を成形した後に円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状パリソンを引き出し形成する引出し装置と、この引出し装置が円環状オリフィスノズルに対し所定ストロークだけ離間移動されたとき、管状パリソン側に近接移動させて型締めし、前記管状パリソン内部に圧縮気体を吹き込んで該パリソンを所定形状にブロー成形してジョイントブーツの蛇腹状中空部及び小径口部を一体に成形するブロー成形割型とを、備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、ジョイントブーツのうち、最も成形しにくい上に最も高い寸法精度が要求される大径口部をまず射出成形により成形し、その成形された大径口部を保冷状態としてその全周の収縮率を均一かつ安定化した状態で、管状パリソンを引き出し形成し、その後、ブロー成形割型を用いて蛇腹状中空部及び小径口部を一体にブロー成形するものであるから、外周面が真円状で、かつ、内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状とした異径形状の大径口部を有することが望まれる自動車用の等速ジョイントブーツであっても、その大径口部が高い寸法精度に成形された高品質の樹脂製ジョイントブーツを製造することが可能である。また、大径口部の射出成形、管状パリソンの引き出し、蛇腹状中空部及び小径口部の一体ブロー成形といったように、特許文献2に開示されている従来の製造手段に比べて、工程数の削減が図れるとともに、ノズル口金とブロー成形割型との入れ替えの手間も不要であり、さらに、ブロー成形の終了とほぼ同時にジョイントブーツ全体の冷却が完了しており、大径口部を最後に射出成形する場合のように、その大径口部の冷却に余分な時間をかけずに済むことから、成形サイクルのアップが図れて高精度、高品質な樹脂製ジョイントブーツの製造効率を著しく改善することができる。
【0011】
特に、本発明に係る樹脂製ジョイントブーツの製造装置において、前記引出し装置における大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型として、引出し装置本体の先端部に形成された凹入部に対して該装置の引出し移動方向に挿入固定及び引抜可能な内側金型と、前記凹入部周りの環状本体部分より形成される外側金型とから構成することにより、この分割金型を引出し装置と別個に設ける場合に比べて、金型構造が簡単となり、製造装置全体の設備コストを低減しつつ、内側金型を交換使用することで、種々の異径形状の大径口部を選択的に成形することができる。
【0012】
また、本発明に係る樹脂製ジョイントブーツの製造装置において、前記大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型に、射出成形された大径口部を冷却保持する冷却水配管を設けることが好ましい。この場合は、最初に射出成形された大径口部を急速かつ均一に冷却し安定化して次工程のパリソン引き出し工程に早く移行することが可能で、成形サイクルの一層のアップを図ることができるとともに、管状パリソンの引き出し時にも大径口部を確実に保冷して変形等の精度の悪化を防ぐことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1及び図2は、本発明が成形対象とする樹脂製ジョイントブーツの代表例であるところの、自動車用のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツの縦断面図及びその底面図である。
【0014】
この自動車用のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1は、蛇腹状中空部2の一端に大径口部3を有するとともに、他端に小径口部4を有し、これらを熱可塑性樹脂により一体成形してなるもので、一端の大径口部3は、図2に示すように、その外周面3aが真円状に形成され、かつ、内周面3bが周方向の複数箇所(図面上は周方向に等間隔を隔てた三箇所で示すが、二箇所でも四箇所以上でもよい)に径内方への突出部3cを有する凹凸状に形成されている。この内周面3bの突出部3cは、大径口部3を図示省略する従動シャフト側の端部に設けたアウターケースにバンド等を介して締付け固定する際、両者間のシール性を確保するためにアウターケースの外周面に形成されている凹状部に嵌合される。
【0015】
上記のようなトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1の製造装置は、大きく分けると、図3〜図8に示すように、樹脂製ブーツ1の小径口部4の内径dに相当する径を有し、図示省略した加圧ピストンにより圧送されてくる熱可塑性溶融樹脂5を押し出し可能な出口キャップ6が形成されている円環状オリフィスノズル7と、この円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6上に着座させた状態とオリフィスノズル7の側方へ退避させた状態とに移動切替可能な周方向分割式の補助ノズル口金8と、前記円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6に対して近接離間する矢印a−b方向に駆動移動可能な引出し装置9と、樹脂製ブーツ1の大径口部3を射出成形するためのキャビティ11を構成する内外分割金型12と、後述する管状パリソンに対し側方から近接離間する矢印c−d方向に駆動移動可能な周方向分割式のブロー成形割型10とから構成されている。
【0016】
前記引出し装置9における引出し装置本体9Aの先端には凹入部9aが形成されており、この凹入部9aに対して引出し装置9の移動方向に挿入固定及び引抜可能な内側金型12Aと前記凹入部9a周りの環状本体部分より形成される外側金型12Bとから前記キャビティ11を有する内外分割金型12が構成されている。この内外分割金型12の内側金型12Aの中心部には円錐状外面を有するノズルコア13が同心状に固定保持されており、このノズルコア13の円錐状外面と前記補助ノズル口金8を円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6上に着座させたとき、それ(円錐状外面)に対向する補助ノズル口金8側の円錐状内面との間に出口ギャップ6からキャビティ11に向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路14を形成するように構成されている。
【0017】
前記ブロー成形割型10は、樹脂製ブーツ1の蛇腹状中空部2の外面形状に対応する蛇腹形状の成形部10aとその一端において樹脂製ブーツ1の小径口部4の外面形状に相応する環状円錐形状の成形部10bとを有する内面形状に形成されている。また、前記内外分割金型12の内側金型12A及び外側金型12Bにはそれぞれ冷却水配管(図示省略する)が内蔵されている。さらに、前記円環状オリフィスノズル7は、加圧ピストンにより圧送されてくる熱可塑性溶融樹脂5を出口ギャップ6から押し出す状態と、溶融樹脂5に代えてブロー成形用の圧縮気体を送り出す状態とに切替え可能に構成されている。
【0018】
次に、上記構成の製造装置を用いてトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1を製造する方法を工程順に列記して説明する。
(1)図3に示すように、円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6上に、補助ノズル口金8を側方から移動させ着座させて円錐環状形の溶融樹脂通路14を形成するとともに、その補助ノズル口金8上に引出し装置9における本体9Aの先端を当接させることにより、出口ギャップ6と大径口部形成用キャビティ11とを前記溶融樹脂通路14を介して接続させる。この状態で、加圧ピストンにより圧送されてくる熱可塑性溶融樹脂5を円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6から溶融樹脂通路14を通して引出し装置9側のキャビティ11内に溶融樹脂5を射出することにより、まず樹脂製ブーツ1の大径口部3を成形する。その射出成形直後には、冷却水配管に冷却水が流通されており、全周の収縮率が均一で、かつ、寸法的に安定した精度の大径口部3を成形することができる。
【0019】
(2)次いで、図4に示すように、補助ノズル口金8を矢印dで示すように側方へ移動退避させ、かつ、射出成形された大径口部3の保冷状態は維持したままで、円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6から熱可塑性溶融樹脂5を押し出しつつ、引出し装置9を円環状オリフィスノズル7から矢印bで示すように上方へ離間移動させることにより、管状のパリソン15を引き出し形成する。
【0020】
(3)そして、前記引出し装置9が所定ストロークだけ離間移動されたとき、すなわち、所定長さの管状パリソン15が引き出し形成されたとき、ブロー成形割型10を、図5に示すように、側方から矢印cで示すように管状パリソン15側に近接移動させて型締めする。
(4)続いて、図6に示すように、前記円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6からは熱可塑性溶融樹脂5に代えて、ブロー成形用の圧縮気体(一般的にはエアー)eを管状パリソン15内に吹き込んで該パリソン15をブロー成形割型10の内面形状に沿った形、すなわち、蛇腹形状成形部10a及び環状円錐形状成形部10bに沿った形状にブロー成形することにより、樹脂製ブーツ1の蛇腹状中空部2及び小径口部4を一体に形成する。このとき、パリソン15はその全周に亘って均等に延伸されることになり、蛇腹状中空部2及び小径口部4共に肉厚精度の高い均質なものに成形される。
【0021】
(5)このブロー成形が終了するとほぼ同時にブーツ1全体の冷却は完了しているため、ブロー成形後は直ちにブロー成形割型10を、図7の矢印dで示すように、側方へ移動させた型開きし、かつ、大径口部形成用キャビティ11を構成する内外分割金型12のうち、内側金型12Aを凹入部9aから抜き出して外側金型12Bと分解することにより、最初に射出成形されている大径口部3を分割金型12から取り出す。これによって、蛇腹状中空部2の一端に大径口部3が、他端に小径口部4が一体成形された所定形状のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1を効率よく製造することができる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、トリポートタイプの等速ジョイントに用いられる樹脂製ブーツについて説明したが、これに限定されることなく、大径口部が異径形状のジョイントブーツであれば有効に適用可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ジョイントブーツのうち、最も成形しにくい上に最も高い寸法精度が要求される大径口部を最初に射出成形し、その成形された大径口部の保冷状態で管状パリソンの引き出し形成及び蛇腹状中空部及び小径口部を一体ブロー成形するものであるから、外周面が真円状で、かつ、内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状の異径形状の大径口部を有する自動車用の等速ジョイントブーツ等を成形対象とする場合であっても、収縮率が安定して非常に寸法精度の高い大径口部を有する高品質の樹脂製ジョイントブーツを製造することができる。その上、大径口部の射出成形、管状パリソンの引き出し、蛇腹状中空部及び小径口部の一体ブロー成形といったように、従来に比べて工程数を少なくできるとともに、ノズル口金とブロー成形割型との入れ替え等の余分な手間も要さず、さらに、ブロー成形の終了とほぼ同時にジョイントブーツ全体の冷却が完了しており、大径口部の冷却に余分な時間をかけずに済むことが相俟って、成形サイクルをアップすることができる。したがって、高寸法精度、高品質な樹脂製ジョイントブーツの製造効率を著しく改善することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂製ジョイントブーツの代表例である自動車用のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツの縦断面図である。
【図2】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツの底面図である。
【図3】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツの大径口部に成形状態を示す要部の縦断面図である。
【図4】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツの管状パリソンの引き出し形成状態を示す要部の縦断面図である。
【図5】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツのブロー成形前の型締め状態を示す要部の縦断面図である。
【図6】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツのブロー成形状態を示す要部の縦断面図である。
【図7】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツのブロー成形完了後の型開き状態を示す要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 等速ジョイント用樹脂製ブーツ
2 蛇腹状中空部
3 大径口部
3a 真円状外周面
3b 凹凸状内周面
3c 径内方への突出部
4 小径口部
5 熱可塑性溶融樹脂
6 出口ギャップ
7 円環状オリフィスノズル
8 補助ノズル口金
9 引出し装置
9A 引出し装置本体
9a 凹入部
10 ブロー成形割型
11 大径口部成形用キャビティ
12 内外分割金型
12A 内側金型
12B 外側金型
14 溶融樹脂通路
15 管状パリソン
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車のトリポートタイプの等速ジョイントブーツなどに用いられるもので、蛇腹状中空部及びその両端の接続用口部を含めて全体を熱可塑性樹脂により一体に成形する樹脂製ジョイントブーツの製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の樹脂製ジョイントブーツは、自動車のトリポートタイプの等速ジョイント部への塵埃や水等の進入を防止したり、封入したグリースが漏れ出さないように保持したりするために、蛇腹状中空部の一端側に、従動シャフト側の端部に設けたアウターケースにバンド等を介して締付け固定される大径口部を有するとともに、蛇腹状中空部の他端側に、伝動シャフトにバンド等を介して締付け固定される小径口部とを有している。このような形態の樹脂製ジョイントブーツを製造する手段として、従来一般に、小径口部を射出成形により成形した後、その他の蛇腹状中空部及び大径口部をブロー成形により成形する製造方法及びそのための製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ノズルコアと該コアを同心的に包囲してコアとの間に溶融樹脂を押し出す出口ギャップを形成するノズル口金とにより形成される円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に小径口部形成用キャビティを有する引出し装置を当接させて出口ギャップから引出し装置のキャビティ内に熱可塑性の溶融樹脂を射出することにより小径口部を成形した後、前記出口ギャップを通して溶融樹脂を更に押し出しつつ引出し装置を円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状のパリソンを引き出し形成し、次いで、前記出口ギャップを形成していたノズル口金の最上部をブロー成形割型と入れ替えて管状パリソンをブロー成形することで蛇腹状中空部を形成した後、ノズル口金の下位部に形成されている大径口部形成用キャビティに溶融樹脂を射出することにより大径口部を形成するといったように、射出成形による小径口部の形成→管状パリソンの引き出し形成→ブロー成形による蛇腹状中空部の形成→射出成形による大径口部の形成、という順の工程を経て所定の樹脂製ジョイントブーツを連続的に成形する製造方法及びそのための製造装置も従来より知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2556647号公報
【特許文献2】
特開2002−361715公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示されている従来一般の製造手段の場合は、一端の小径口部のみが射出成形されるものであるから、肉厚が円周方向で任意に変化する異径形状の小径口部であっても容易かつ高精度に形成することが可能である反面、それ以外の蛇腹状中空部及び大径口部はブロー成形されるものであるために、それら蛇腹状中空部及び大径口部は全て円周方向の肉厚が均一またはほぼ均一なものとなり、一般的な自動車用等速ジョイントブーツを製造することしかできず、例えば自動車のトリポートタイプの等速ジョイント用ブーツのように、大径口部を、その外周面が真円状で、内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状とした異径形状にすることが望まれる樹脂製ジョイントブーツは製造することができないという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されている従来の製造手段の場合は、小径口部も大径口部も射出成形されるものであるから、それら両端口部を共に異径形状に容易かつ高精度に成形することが可能で、トリポートタイプの等速ジョイント用ブーツの製造も可能である。しかしながら、特許文献2に開示されている従来の製造手段の場合は、既述したように、射出成形による小径口部の形成→管状パリソンの引き出し形成→ブロー成形による蛇腹状中空部の形成→射出成形による大径口部の形成、といった多くの工程を要するだけでなく、小径口部の成形時に必要であったノズル口金の最上部をブロー成形時にはブロー成形割型と入れ替える手間を要する。その上、寸法的に最も大きいことから、寸法精度の要求が最も高くて成形しにくい大径口部を最後に射出成形するものであるから、その大径口部全周の収縮率を均一かつ安定化させるためにはその射出成形後の冷却に十分な時間をかける必要があり、これらのことから成形サイクル、ひいては、製造効率の上昇にも自ずと限界があるという課題を有していた。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、工程数の削減、余分な手間の削除及び冷却時間の短縮によって成形サイクルをアップして寸法精度が非常に高い大径口部を有する樹脂製ジョイントブーツを効率良く製造することができる樹脂製ジョイントブーツの製造方法及び製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る樹脂製ジョイントブーツの製造方法は、蛇腹状中空部の一端に大径口部を有するとともに、他端に小径口部を有するジョイントブーツを熱可塑性樹脂により一体成形する樹脂製ジョイントブーツの製造方法であって、前記ジョイントブーツの小径口部に相当する径を有し、熱可塑性溶融樹脂を押し出し可能な出口ギャップが形成されている円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に、前記ジョイントブーツの大径口部形成用キャビティを有する引出し装置のキャビティを、両者間に前記出口ギャップから引出し装置のキャビティに向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路を形成する補助ノズル口金を介在させて当接させ、この状態で円環状オリフィスノズルの出口ギャップから円錐環状形の溶融樹脂通路を通して引出し装置のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、ジョイントブーツの大径口部を成形する工程と、前記補助ノズル口金を側方に移動退避した上、成形された大径口部を保冷した状態で、円環状オリフィスノズルの出口ギャップを通して溶融樹脂を押し出しつつ前記引出し装置を円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状パリソンを引き出し形成する工程と、前記引出し装置が円環状オリフィスノズルに対し所定ストロークだけ離間移動されたとき、ブロー成形割形を側方より管状パリソン側に近接移動させて型締めする工程と、前記管状パリソン内部に圧縮気体を吹き込んで該パリソンをブロー成形割型の内面形状に沿った形にブロー成形してジョイントブーツの蛇腹状中空部及び小径口部を一体に成形する工程と、前記ブロー成形割型を側方へ移動させて型開きし、かつ、大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型を分解して大径口部を取り出す工程とを、備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る樹脂製ジョイントブーツの製造装置は、蛇腹状中空部の一端に大径口部を有するとともに、他端に小径口部を有するジョイントブーツを熱可塑性樹脂により一体成形する樹脂製ジョイントブーツの製造装置であって、前記ジョイントブーツの小径口部に相当する径を有し、熱可塑性溶融樹脂を押し出し可能な出口ギャップが形成されている円環状オリフィスノズルと、
この円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に当接配置させた状態と円環状オリフィスノズルの側方に移動退避させた状態とに切替可能で、出口ギャップ上に当接配置させた状態では該出口キャップから外方へ向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路を形成する補助ノズル口金と、この補助ノズル口金の円錐環状形の溶融樹脂通路を介して前記円環状オリフィスノズルの出口ギャップに接続可能な大径口部形成用キャビティを有し、そのキャビティ内に溶融樹脂を射出してジョイントブーツの大径口部を成形した後に円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状パリソンを引き出し形成する引出し装置と、この引出し装置が円環状オリフィスノズルに対し所定ストロークだけ離間移動されたとき、管状パリソン側に近接移動させて型締めし、前記管状パリソン内部に圧縮気体を吹き込んで該パリソンを所定形状にブロー成形してジョイントブーツの蛇腹状中空部及び小径口部を一体に成形するブロー成形割型とを、備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、ジョイントブーツのうち、最も成形しにくい上に最も高い寸法精度が要求される大径口部をまず射出成形により成形し、その成形された大径口部を保冷状態としてその全周の収縮率を均一かつ安定化した状態で、管状パリソンを引き出し形成し、その後、ブロー成形割型を用いて蛇腹状中空部及び小径口部を一体にブロー成形するものであるから、外周面が真円状で、かつ、内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状とした異径形状の大径口部を有することが望まれる自動車用の等速ジョイントブーツであっても、その大径口部が高い寸法精度に成形された高品質の樹脂製ジョイントブーツを製造することが可能である。また、大径口部の射出成形、管状パリソンの引き出し、蛇腹状中空部及び小径口部の一体ブロー成形といったように、特許文献2に開示されている従来の製造手段に比べて、工程数の削減が図れるとともに、ノズル口金とブロー成形割型との入れ替えの手間も不要であり、さらに、ブロー成形の終了とほぼ同時にジョイントブーツ全体の冷却が完了しており、大径口部を最後に射出成形する場合のように、その大径口部の冷却に余分な時間をかけずに済むことから、成形サイクルのアップが図れて高精度、高品質な樹脂製ジョイントブーツの製造効率を著しく改善することができる。
【0011】
特に、本発明に係る樹脂製ジョイントブーツの製造装置において、前記引出し装置における大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型として、引出し装置本体の先端部に形成された凹入部に対して該装置の引出し移動方向に挿入固定及び引抜可能な内側金型と、前記凹入部周りの環状本体部分より形成される外側金型とから構成することにより、この分割金型を引出し装置と別個に設ける場合に比べて、金型構造が簡単となり、製造装置全体の設備コストを低減しつつ、内側金型を交換使用することで、種々の異径形状の大径口部を選択的に成形することができる。
【0012】
また、本発明に係る樹脂製ジョイントブーツの製造装置において、前記大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型に、射出成形された大径口部を冷却保持する冷却水配管を設けることが好ましい。この場合は、最初に射出成形された大径口部を急速かつ均一に冷却し安定化して次工程のパリソン引き出し工程に早く移行することが可能で、成形サイクルの一層のアップを図ることができるとともに、管状パリソンの引き出し時にも大径口部を確実に保冷して変形等の精度の悪化を防ぐことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1及び図2は、本発明が成形対象とする樹脂製ジョイントブーツの代表例であるところの、自動車用のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツの縦断面図及びその底面図である。
【0014】
この自動車用のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1は、蛇腹状中空部2の一端に大径口部3を有するとともに、他端に小径口部4を有し、これらを熱可塑性樹脂により一体成形してなるもので、一端の大径口部3は、図2に示すように、その外周面3aが真円状に形成され、かつ、内周面3bが周方向の複数箇所(図面上は周方向に等間隔を隔てた三箇所で示すが、二箇所でも四箇所以上でもよい)に径内方への突出部3cを有する凹凸状に形成されている。この内周面3bの突出部3cは、大径口部3を図示省略する従動シャフト側の端部に設けたアウターケースにバンド等を介して締付け固定する際、両者間のシール性を確保するためにアウターケースの外周面に形成されている凹状部に嵌合される。
【0015】
上記のようなトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1の製造装置は、大きく分けると、図3〜図8に示すように、樹脂製ブーツ1の小径口部4の内径dに相当する径を有し、図示省略した加圧ピストンにより圧送されてくる熱可塑性溶融樹脂5を押し出し可能な出口キャップ6が形成されている円環状オリフィスノズル7と、この円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6上に着座させた状態とオリフィスノズル7の側方へ退避させた状態とに移動切替可能な周方向分割式の補助ノズル口金8と、前記円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6に対して近接離間する矢印a−b方向に駆動移動可能な引出し装置9と、樹脂製ブーツ1の大径口部3を射出成形するためのキャビティ11を構成する内外分割金型12と、後述する管状パリソンに対し側方から近接離間する矢印c−d方向に駆動移動可能な周方向分割式のブロー成形割型10とから構成されている。
【0016】
前記引出し装置9における引出し装置本体9Aの先端には凹入部9aが形成されており、この凹入部9aに対して引出し装置9の移動方向に挿入固定及び引抜可能な内側金型12Aと前記凹入部9a周りの環状本体部分より形成される外側金型12Bとから前記キャビティ11を有する内外分割金型12が構成されている。この内外分割金型12の内側金型12Aの中心部には円錐状外面を有するノズルコア13が同心状に固定保持されており、このノズルコア13の円錐状外面と前記補助ノズル口金8を円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6上に着座させたとき、それ(円錐状外面)に対向する補助ノズル口金8側の円錐状内面との間に出口ギャップ6からキャビティ11に向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路14を形成するように構成されている。
【0017】
前記ブロー成形割型10は、樹脂製ブーツ1の蛇腹状中空部2の外面形状に対応する蛇腹形状の成形部10aとその一端において樹脂製ブーツ1の小径口部4の外面形状に相応する環状円錐形状の成形部10bとを有する内面形状に形成されている。また、前記内外分割金型12の内側金型12A及び外側金型12Bにはそれぞれ冷却水配管(図示省略する)が内蔵されている。さらに、前記円環状オリフィスノズル7は、加圧ピストンにより圧送されてくる熱可塑性溶融樹脂5を出口ギャップ6から押し出す状態と、溶融樹脂5に代えてブロー成形用の圧縮気体を送り出す状態とに切替え可能に構成されている。
【0018】
次に、上記構成の製造装置を用いてトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1を製造する方法を工程順に列記して説明する。
(1)図3に示すように、円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6上に、補助ノズル口金8を側方から移動させ着座させて円錐環状形の溶融樹脂通路14を形成するとともに、その補助ノズル口金8上に引出し装置9における本体9Aの先端を当接させることにより、出口ギャップ6と大径口部形成用キャビティ11とを前記溶融樹脂通路14を介して接続させる。この状態で、加圧ピストンにより圧送されてくる熱可塑性溶融樹脂5を円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6から溶融樹脂通路14を通して引出し装置9側のキャビティ11内に溶融樹脂5を射出することにより、まず樹脂製ブーツ1の大径口部3を成形する。その射出成形直後には、冷却水配管に冷却水が流通されており、全周の収縮率が均一で、かつ、寸法的に安定した精度の大径口部3を成形することができる。
【0019】
(2)次いで、図4に示すように、補助ノズル口金8を矢印dで示すように側方へ移動退避させ、かつ、射出成形された大径口部3の保冷状態は維持したままで、円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6から熱可塑性溶融樹脂5を押し出しつつ、引出し装置9を円環状オリフィスノズル7から矢印bで示すように上方へ離間移動させることにより、管状のパリソン15を引き出し形成する。
【0020】
(3)そして、前記引出し装置9が所定ストロークだけ離間移動されたとき、すなわち、所定長さの管状パリソン15が引き出し形成されたとき、ブロー成形割型10を、図5に示すように、側方から矢印cで示すように管状パリソン15側に近接移動させて型締めする。
(4)続いて、図6に示すように、前記円環状オリフィスノズル7の出口ギャップ6からは熱可塑性溶融樹脂5に代えて、ブロー成形用の圧縮気体(一般的にはエアー)eを管状パリソン15内に吹き込んで該パリソン15をブロー成形割型10の内面形状に沿った形、すなわち、蛇腹形状成形部10a及び環状円錐形状成形部10bに沿った形状にブロー成形することにより、樹脂製ブーツ1の蛇腹状中空部2及び小径口部4を一体に形成する。このとき、パリソン15はその全周に亘って均等に延伸されることになり、蛇腹状中空部2及び小径口部4共に肉厚精度の高い均質なものに成形される。
【0021】
(5)このブロー成形が終了するとほぼ同時にブーツ1全体の冷却は完了しているため、ブロー成形後は直ちにブロー成形割型10を、図7の矢印dで示すように、側方へ移動させた型開きし、かつ、大径口部形成用キャビティ11を構成する内外分割金型12のうち、内側金型12Aを凹入部9aから抜き出して外側金型12Bと分解することにより、最初に射出成形されている大径口部3を分割金型12から取り出す。これによって、蛇腹状中空部2の一端に大径口部3が、他端に小径口部4が一体成形された所定形状のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツ1を効率よく製造することができる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、トリポートタイプの等速ジョイントに用いられる樹脂製ブーツについて説明したが、これに限定されることなく、大径口部が異径形状のジョイントブーツであれば有効に適用可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ジョイントブーツのうち、最も成形しにくい上に最も高い寸法精度が要求される大径口部を最初に射出成形し、その成形された大径口部の保冷状態で管状パリソンの引き出し形成及び蛇腹状中空部及び小径口部を一体ブロー成形するものであるから、外周面が真円状で、かつ、内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状の異径形状の大径口部を有する自動車用の等速ジョイントブーツ等を成形対象とする場合であっても、収縮率が安定して非常に寸法精度の高い大径口部を有する高品質の樹脂製ジョイントブーツを製造することができる。その上、大径口部の射出成形、管状パリソンの引き出し、蛇腹状中空部及び小径口部の一体ブロー成形といったように、従来に比べて工程数を少なくできるとともに、ノズル口金とブロー成形割型との入れ替え等の余分な手間も要さず、さらに、ブロー成形の終了とほぼ同時にジョイントブーツ全体の冷却が完了しており、大径口部の冷却に余分な時間をかけずに済むことが相俟って、成形サイクルをアップすることができる。したがって、高寸法精度、高品質な樹脂製ジョイントブーツの製造効率を著しく改善することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂製ジョイントブーツの代表例である自動車用のトリポートタイプの等速ジョイント用樹脂製ブーツの縦断面図である。
【図2】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツの底面図である。
【図3】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツの大径口部に成形状態を示す要部の縦断面図である。
【図4】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツの管状パリソンの引き出し形成状態を示す要部の縦断面図である。
【図5】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツのブロー成形前の型締め状態を示す要部の縦断面図である。
【図6】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツのブロー成形状態を示す要部の縦断面図である。
【図7】同上等速ジョイント用樹脂製ブーツのブロー成形完了後の型開き状態を示す要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 等速ジョイント用樹脂製ブーツ
2 蛇腹状中空部
3 大径口部
3a 真円状外周面
3b 凹凸状内周面
3c 径内方への突出部
4 小径口部
5 熱可塑性溶融樹脂
6 出口ギャップ
7 円環状オリフィスノズル
8 補助ノズル口金
9 引出し装置
9A 引出し装置本体
9a 凹入部
10 ブロー成形割型
11 大径口部成形用キャビティ
12 内外分割金型
12A 内側金型
12B 外側金型
14 溶融樹脂通路
15 管状パリソン
Claims (5)
- 蛇腹状中空部の一端に大径口部を有するとともに、他端に小径口部を有するジョイントブーツを熱可塑性樹脂により一体成形する樹脂製ジョイントブーツの製造方法であって、
前記ジョイントブーツの小径口部に相当する径を有し、熱可塑性溶融樹脂を押し出し可能な出口ギャップが形成されている円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に、前記ジョイントブーツの大径口部形成用キャビティを有する引出し装置のキャビティを、両者間に前記出口ギャップから引出し装置のキャビティに向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路を形成する補助ノズル口金を介在させて当接させ、この状態で円環状オリフィスノズルの出口ギャップから円錐環状形の溶融樹脂通路を通して引出し装置のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、ジョイントブーツの大径口部を成形する工程と、
前記補助ノズル口金を側方に移動退避した上、成形された大径口部を保冷した状態で、円環状オリフィスノズルの出口ギャップを通して溶融樹脂を押し出しつつ前記引出し装置を円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状パリソンを引き出し形成する工程と、
前記引出し装置が円環状オリフィスノズルに対し所定ストロークだけ離間移動されたとき、ブロー成形割型を側方より管状パリソン側に近接移動させて型締めする工程と、
前記管状パリソン内部に圧縮気体を吹き込んで該パリソンをブロー成形割型の内面形状に沿った形にブロー成形してジョイントブーツの蛇腹状中空部及び小径口部を一体に成形する工程と、
前記ブロー成形割型を側方へ移動させて型開きし、かつ、大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型を分解して大径口部を取り出す工程とを、
備えていることを特徴とする樹脂製ジョイントブーツの製造方法。 - 成形対象となる樹脂製ジョイントブーツが、蛇腹状中空部一端の大径口部の外周面が略真円状に形成され、かつ、その内周面が周方向の複数箇所に径内方への突出部を有する凹凸状に形成されたものである請求項1に記載の樹脂製ジョイントブーツの製造方法。
- 蛇腹状中空部の一端に大径口部を有するとともに、他端に小径口部を有するジョイントブーツを熱可塑性樹脂により一体成形する樹脂製ジョイントブーツの製造装置であって、
前記ジョイントブーツの小径口部に相当する径を有し、熱可塑性溶融樹脂を押し出し可能な出口ギャップが形成されている円環状オリフィスノズルと、
この円環状オリフィスノズルの出口ギャップ上に当接配置させた状態と円環状オリフィスノズルの側方に移動退避させた状態とに切替可能で、出口ギャップ上に当接配置させた状態では該出口キャップから外方へ向けて漸次径が大きくなる円錐環状形の溶融樹脂通路を形成する補助ノズル口金と、
この補助ノズル口金の円錐環状形の溶融樹脂通路を介して前記円環状オリフィスノズルの出口ギャップに接続可能な大径口部形成用キャビティを有し、そのキャビティ内に溶融樹脂を射出してジョイントブーツの大径口部を成形した後に円環状オリフィスノズルから離間移動させることにより管状パリソンを引き出し形成する引出し装置と、
この引出し装置が円環状オリフィスノズルに対し所定ストロークだけ離間移動されたとき、管状パリソン側に近接移動させて型締めし、前記管状パリソン内部に圧縮気体を吹き込んで該パリソンを所定形状にブロー成形してジョイントブーツの蛇腹状中空部及び小径口部を一体に成形するブロー成形割型とを、
備えていることを特徴とする樹脂製ジョイントブーツの製造装置。 - 前記引出し装置における大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型は、引出し装置本体の先端部に形成された凹入部に対して該装置の引出し移動方向に挿入固定及び引抜可能な内側金型と、前記凹入部周りの環状本体部分より形成される外側金型とから構成されている請求項3に記載の樹脂製ジョイントブーツの製造装置。
- 前記大径口部形成用キャビティを構成する内外分割金型には、射出成形されたジョイントブーツの大径口部を冷却保持する冷却水配管が設けられている請求項3または4に記載の樹脂製ジョイントブーツの製造装置。
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JP2003152339A JP2004351752A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 樹脂製ジョイントブーツの製造方法及び製造装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009298087A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Kojima Press Industry Co Ltd | 中空樹脂成形品の製造装置及び製造方法 |
CN109016305A (zh) * | 2018-09-06 | 2018-12-18 | 陈烈 | 一种耐高压的管道衬里成型装置及其成型方法 |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152339A patent/JP2004351752A/ja not_active Withdrawn
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