JP2004351490A - 熱伝達部の接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半田付けや加締めなどに依らず、しかも被接合部にメッキや酸化膜除去などを施さなくても、品質の高い接合構造を得る。
【解決手段】ヒートパイプ8にパイプ固定金具12を配置した状態で、パイプ固定金具12に超音波振動を与える。すると、パイプ固定金具12と受熱部6,ヒートパイプ8とパイプ固定金具12,受熱部6とヒートパイプ8との間の各接触部が固相接合される。そのため、半田付けや加締めなどに依らず、しかも受熱部6にメッキや酸化膜除去をわざわざ施さなくても、極めて短時間でしかも品質の高い固相接合による接合構造を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ヒートパイプ8にパイプ固定金具12を配置した状態で、パイプ固定金具12に超音波振動を与える。すると、パイプ固定金具12と受熱部6,ヒートパイプ8とパイプ固定金具12,受熱部6とヒートパイプ8との間の各接触部が固相接合される。そのため、半田付けや加締めなどに依らず、しかも受熱部6にメッキや酸化膜除去をわざわざ施さなくても、極めて短時間でしかも品質の高い固相接合による接合構造を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)内に実装するMPU(マイクロプロセッサユニット)などを冷却するのに好適な冷却モジュールなどに適用され、特にヒートシンクや受熱部や放熱部などの被接合部に、ヒートパイプなどの熱輸送手段を接合して一体化を図る熱伝達部の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型電子機器であるパソコンなどは、内蔵するMPUの高速処理化が進み、MPUと熱的に接続される冷却モジュールの受熱部が受ける熱エネルギーも増加しつつある。他方、この種の薄型電子機器は更なる薄型化の推進が図られており、冷却モジュールの構造は、従来の受熱部や放熱部をヒートシンクと一体にしたものから、熱輸送手段であるヒートパイプを利用して、受熱部や放熱部をヒートシンクと別体にした分離型が求められている。
【0003】
こうした分離型の冷却モジュールに適用されるヒートパイプと被接合部との接合構造は、特許文献1や特許文献2などに開示されている。例えば特許文献1には、金属板上に円形断面のヒートパイプを取付ける熱伝達構造において、湾曲したホールド部と、このホールド部の両端部に固定部とを備えた這わし金具を、ヒートパイプに密着するように装着し、ネジにより固定部を金属板に取付ける際に、這わし金具によりヒートパイプを圧潰変形することで、ヒートパイプが金属板に直接接触する面積を増大させたものが開示されている。
【0004】
また別の引用文献2には、受熱部の一部に形成したヒートパイプ挿入溝にヒートパイプの一端を配置し、断面袋状をなすヒートパイプ挿入溝の上端部分にあるヒートパイプ固定部を、その上方からプレスすることにより、ヒートパイプがヒートパイプ挿入溝に押し付けられて扁平状に変形し、受熱部にヒートパイプが密着接合される放熱装置の受熱部構造が開示されている。さらにこの特許文献2では、受熱部の上面にヒートパイプの一端を配置し、両接触部付近を半田で接合する構造も、従来の技術として提示している。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−159381号公報
【特許文献2】
特許第3010181号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に示す接合構造は、這わし金具を金属板にネジで取付けるときの締め付け力を利用して、ヒートパイプに平面変形部を形成するようにしているが、ネジの締め付け力だけでヒートパイプを金属板に取付け固定しているため、這わし金具や金属板とヒートパイプとの接合強度が不十分で、例えばネジが少し緩んだだけでもヒートパイプが金属板から脱落する虞れがある。
【0007】
また、特許文献2において、受熱部のヒートパイプ挿入溝にヒートパイプを挿入して加締め固定する接合構造も、ヒートパイプと受熱部との間で高い接合強度を得ることが難しく、冷却モジュールなどが要求する熱抵抗の低減に限界があるという問題を有していた。
【0008】
さらに、受熱部を構成する部品の材料は、熱伝導性の良好なアルミニウムや銅を使用しているが、アルミニウムはそもそも半田付けを行う際の濡れ性が悪く、半田付けに不向きな材料であると共に、銅などの材料も酸化が非常に早く、材料表面に酸化膜が生成する問題がある。そのため、特許文献2で提案されている半田付けによる接合を行なう場合は、アルミニウムにメッキ(例えば錫メッキ)を予め施したり、あるいは銅などは表面に精製した酸化膜を何らかの方法で除去するか、さもなければ酸化膜防止用にメッキ(例えば錫メッキ)を予め施すことが必要不可欠となり、生産性に大きな支障を来していた。
【0009】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、被接合部にメッキや酸化膜除去などを施さなくても、品質の高い接合構造を得ることができる熱伝達部の接合方法を提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1における熱伝達部の接合方法では、ヒートパイプなどの熱輸送手段に固定具を配置した状態で、固定具に超音波振動を与えると、固定具と被接合部,固定具と熱輸送手段,および熱輸送手段と被接合部との各接触部が固相接合される。そのため、被接合部にメッキや酸化膜除去をわざわざ施さなくても、被接合部に熱輸送手段を接合する熱伝達部において、極めて短時間でしかも品質の高い固相接合による接合構造を得ることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2における熱伝達部の接合方法では、1個の固定具に対し複数回ではなく1回ずつ超音波振動を与えるようにするので、別な固定具により前回接合した部分が破壊される虞れがなく、個々の固定具を介して確実に超音波接合を行なうことができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明における好ましい実施例について、特に冷却モジュールに適用した熱伝達部の接合構造および接合方法を、添付図面を参照しながら説明する。図1および図2は、いずれも超音波金属接合によりヒートパイプを被接合部に接合した冷却モジュールの各構成を示している。本実施例における冷却モジュールは、いずれもノートパソコンなどの薄型電子機器の筐体内に設けられる。
【0013】
図1において、1は送風装置である回転自在なファンモータ2を備えたヒートシンクであり、このヒートシンク1はファンモータ2の回転軸方向にある一側面に吸気孔3を有すると共に、吸気孔3と直交するファンモータ2の放射方向壁面に排気孔4を有している。なお、図には示していないが、ヒートシンク1の他側開口面には、吸気孔を有する薄板状のカバーが取付け固定される。ヒートシンク1やカバーは、いずれも熱伝導性の良好な例えばアルミニウムなどの材料で形成される。
【0014】
6はMPUなどの発熱部品(図示せず)と熱的に接続する平板状の受熱部であり、図1に示す例では受熱部6とヒートシンク1がそれぞれ別部材で構成される。この受熱部6と、ヒートシンク1の排気孔4側に設けた放熱部7との間には、受熱部6から放熱部7に熱を輸送する熱輸送手段としてのヒートパイプ8が設けられる。ヒートパイプ8は、熱伝導性に優れた銅などの管体内部に微小量の作動液を注入し、この作動液を管体内部で還流させるもので、音速で移動する作動液により極めて優れた熱応答性が得られる。また前記放熱部7は、ファンモータ2からの空気の流れを極力妨げない方向に、複数のフィン9を配置して構成される。前記ヒートパイプ8の他端8Bは、放熱部7の各フィン9を貫通するように取付け固定される。
【0015】
11は、前記受熱部6の上面中心部分に沿って形成された溝部としてのヒートパイプ挿入溝で、このヒートパイプ挿入溝11にヒートパイプ8の一端8Aが挿入される。また、ヒートパイプ挿入溝11の上端両側には、パイプ固定金具12と受熱部6とを固相接合させるための段部としての段付溝13が形成される。パイプ固定金具12は、ヒートパイプ挿入溝11に挿入したヒートパイプ8の一端8Aの上側開放面を覆うように、受熱部6の中心方向に沿って複数並設され、パイプ固定金具12,12間には若干の隙間14が形成される。そして、個々のパイプ固定金具12に対して、パイプ固定金具12の上部から一つずつ超音波振動を与えることにより、ヒートパイプ8の一端8Aと受熱部6との超音波接合(固相接合)が図られる。また15は、パイプ固定金具12の上面に形成された超音波接合による接合痕である。
【0016】
図2は、受熱部6がヒートシンク1と同一部材で形成された例を示している。ここでのヒートシンク1は、ファンモータ2を収容するファンケース部と受熱部6とを兼用しており、このヒートシンク1とヒートパイプ8の一端8Aとを、パイプ固定金具12の上部からの超音波振動によって固相接合している。それ以外の構成は、図1と共通している。
【0017】
図3は、図1や図2に示す冷却モジュールの熱伝達部に関し、超音波金属接合を行なう際の熱伝達部の状態を示している。21は架台であるアンビル、22は底部を凹状に形成した超音波溶着機の振動付与機構としてのホーンで、このホーン22の最底面はローレット状に形成されている。一方、前記パイプ固定金具12は、断面が円形または楕円形をなすヒートパイプ8の外面形状に合わせて上方に膨出した山形部17と、この山形部17の両側部に延設した水平部18とにより構成される。
【0018】
そして、製造に際しては、アンビル21の上面に形成した凹状の受け部23に、予めヒートパイプ8の一端8Aをヒートパイプ挿入溝11に挿入した受熱部6を載置し、受熱部6の段付溝13に水平部18の下面が対向するように、パイプ固定金具12を受熱部6上に配置する。そして、超音波溶着機のホーン22の最底面をパイプ固定金具12の水平部18に接した状態で、ホーン22からパイプ固定金具12,受熱部6およびヒートパイプ8に機械的圧力を加えながら超音波振動を付加し、接合界面に局部的な塑性変形(塑性流動)を生じさせて固相接合する。一例として、このときの振動周波数は19.15kHzであり、振幅は20〜25μmである。また出力は定格1500Wで、最大2000Wまで可能である。
【0019】
図4は、超音波溶着機による超音波接合を行った後の熱伝達部の断面を示している。上述したように、ホーン22の最底面をパイプ固定金具12の水平部18に当てて、ホーン22から超音波振動を与えると、パイプ固定金具12の水平部18と受熱部6の段付溝13との間の接触界面である接触部31のみならず、ホーン22がパイプ固定金具12を押圧する関係で、パイプ固定金具12の山形部17とヒートパイプ8との間の接触界面である接触部32と、受熱部6のヒートパイプ挿入溝11底面とヒートパイプ8との間の接触界面である接触部33にも固相接合が行なわれているのが確認できる。
【0020】
因みに、ヒートパイプ8の引抜き力についての試験を行なったところ、超音波接合によるものは、ヒートパイプ8を引抜くのに120Kgの力を必要とした。これに対し、従来の加締め接合によるものは、40Kgでヒートパイプ8が抜け出し、また半田付け接合によるものは、ヒートパイプ8に150Kgの引抜き力を加えた時点で、ヒートパイプ8が破断した。すなわち、本実施例の超音波接合によれば、半田付け接合によるものと略同等の引抜き強度を得ることができる。また、半田付け接合を行なった場合と、超音波接合を行なった場合の熱抵抗の試験結果を図5に示す。この試験結果からも明らかなように、本実施例の超音波接合によれば、半田付け接合によるものと略同等の熱抵抗を得ることができ、上記各接触部31〜33間で良好な熱伝導性を維持することが可能になる。さらに、本実施例による超音波接合は、短時間(1接合につき約1秒)でしかも低温で行われるため、熱影響を殆ど受けない。また、熱伝導性は良好であるものの半田付けには不適なアルミニウムや銅などの材料であっても、従来のようにメッキや酸化膜除去を施さず、かつ半田付け接合を行なわずに、ヒートパイプ8を受熱部6に良好な状態で接合することが可能になる。
【0021】
また、上述の超音波接合は、どのような金属であっても可能であるが、冷却モジュールとしての使用することを考慮した場合、図1に示す受熱部6や、図2に示すヒートシンク1の材料として、熱伝導性の良好なアルミニウムや銅とするのが好ましい。また、受熱部6とヒートパイプ8のみならず、放熱部7とヒートパイプ8を上述のような方法で超音波接合してもよい。すなわち被接合部としては、冷却モジュールに限らず、ヒートパイプ8との接合が必要なあらゆる部位が含まれる。
【0022】
次に、上記実施例に関連する変形例を順に説明する。図6〜図8には、いずれもより確実な超音波接合を行なうために工夫された受熱部6が示されている。先ず図6に示す変形例では、内壁面をU字状に形成したヒートパイプ挿入溝11の上部内壁間の溝幅W1を、このヒートパイプ挿入溝11に挿入する超音波接合前のヒートパイプ8の横幅W2(潰し加工した扁平状の長手幅やパイプ外径)よりも広く形成し、ヒートパイプ挿入溝11にヒートパイプ8を挿入したときに、ヒートパイプ挿入溝11の上部内壁と、ヒートパイプ8の側部との間にヒートパイプ変形代としての隙間を設けるようにする。こうすると、超音波接合時にホーン22がパイプ固定金具12の山形部17を押すと、この山形部17の下側にあるヒートパイプ8が圧潰変形するが、前記ヒートパイプ変形代によってヒートパイプ挿入溝11の上部内壁に対向するヒートパイプ8の側部は邪魔されることなく変形すると共に、このヒートパイプ8の変形に伴なって、ヒートパイプ挿入溝11の内壁に接触するヒートパイプ8の外面は、より確実にヒートパイプ挿入溝11の内壁側に押し付けられ接触する。したがって、この変形例では超音波接合時におけるヒートパイプ8の変形が円滑に行なわれると同時に、変形後における受熱部6とヒートパイプ8との接触をより確実なものとすることができる。
【0023】
図7に示す変形例では、ヒートパイプ挿入溝11の内壁底面に、R状すなわち円弧状に湾曲する凸部41を形成している。こうすると、超音波接合時にヒートパイプ挿入溝11に挿入したヒートパイプ8の一端8Aが外圧で押され、その断面の扁平形状がある程度進むと、材料内部の伸びと圧縮とによる結果として中央部が湾曲状に凹むようになる。この凹み部の形状に合わせて凸部41を形成すれば、ヒートパイプ8の中央部下面との接触が十分なものとなり、その接触部33においてより確実な超音波接合(固相接合)を得ることができる。
【0024】
図8に示す変形例において、受熱部6には前述のように、パイプ固定金具12を所定位置に配置する段付溝13が形成され、この段付溝13上若しくはヒートパイプ8の一端8A上に載せたパイプ固定金具12によって、ヒートパイプ8の一端8Aを取付け固定するようになっている。また、ここでの段付溝13の横幅W3は、パイプ固定金具12の横幅W4よりも広く形成され、超音波溶接機のホーン22からの伝達エネルギーを伝える振動量(振動領域)よりも広く段付溝13の領域を確保している。
【0025】
図9および図10は、山形部17と水平部18とからなるパイプ固定金具12と、このパイプ固定金具12を利用して、ヒートパイプ8の一端8Aを受熱部6のヒートパイプ挿入溝11に超音波接合したものとを、それぞれ示している。また、図11および図12は、前記山形部に代わるR形状すなわち円弧状の湾曲部44と水平部18とからなるパイプ固定金具12と、このパイプ固定金具12を利用して、ヒートパイプ8の一端8Aを受熱部6のヒートパイプ挿入溝11に超音波接合したものとを、それぞれ示している。
【0026】
図9〜図12に示す各例では、ヒートパイプ8と受熱部6との熱伝達部にパイプ固定金具12を1個ではなく複数個用い、超音波溶接機による超音波接合(固相接合)を、1回につき1個のパイプ固定金具12に行なっている。その理由は、1個のパイプ固定金具12に複数回の超音波振動を与えると、このときの振動エネルギーによって前回接合した部分が破壊される虞れがあるからである。従って、ヒートパイプ8の接合長さにより、複数回の超音波接合が必要な場合は、超音波接合が必要な個数分だけパイプ固定金具12を配置し、それぞれのパイプ固定金具12に対し1回ずつ超音波振動を与えれば、個々のパイプ固定金具12を介して確実に超音波接合を行なうことができる。また、パイプ固定金具12,12の間に形成される隙間14によって、パイプ固定金具12に与えられる超音波振動が、別のパイプ固定金具12に直接的に伝わることの弊害を取り除くことができる。なお、これらの各例におけるパイプ固定金具12は、いずれも熱伝導性の良好な例えばアルミニウムで形成される。また、ヒートパイプ8の一端8Aに対向して、山形部17や湾曲部44以外の各種形状を適宜採用できる。
【0027】
上記各例に示すようなパイプ固定金具12を用いた超音波接合(固相接合)により、ヒートシンク1や受熱部6のメッキ処理(錫メッキなど)が不要になり、熱伝達部の製造工程でメッキ工程を廃止でき、リードタイムの短縮を図れる。また、各接触部31〜33の固相接合によって、冷却モジュールに求められる熱抵抗の改善も図ることができる。
【0028】
以上のように本実施例では、被接合部である受熱部6(図1参照)やヒートシンク1(図2参照)に、熱輸送手段としてのヒートパイプ8を接合するものにおいて、ヒートパイプ8に固定具としてのパイプ固定金具12を配置し、パイプ固定金具12の上部より超音波振動を与えて、接触部31〜33を接合する熱伝達部の接合方法を採用している。すなわち本実施例では、パイプ固定金具12と受熱部6,ヒートパイプ8とパイプ固定金具12,受熱部6とヒートパイプ8との間に、それぞれ超音波接合による接触部31〜33が形成されている。
【0029】
この場合、ヒートパイプ8にパイプ固定金具12を配置した状態で、パイプ固定金具12に超音波振動を与えると、パイプ固定金具12と受熱部6,ヒートパイプ8とパイプ固定金具12,受熱部6とヒートパイプ8との間の各接触部31〜33が固相接合される。そのため、半田付けや加締めなどに依らず、しかも被接合部であるヒートシンク1や受熱部6にメッキや酸化膜除去をわざわざ施さなくても、ヒートシンク1や受熱部6にヒートパイプ8を接合する熱伝達部において、極めて短時間でしかも品質の高い固相接合による接合構造を得ることができる。
【0030】
また本実施例では、パイプ固定金具12が1個ではなく、超音波接合を行なう回数に対応して複数個配置され、個々のパイプ固定金具12に対し1回ずつ超音波振動を与えるような接合方法を採用している。
【0031】
このように、1個のパイプ固定金具12に対し複数回ではなく1回ずつ超音波振動を与えるようにすれば、別なパイプ固定金具12により接合した部分が破壊される虞れがなく、個々のパイプ固定金具12を介して確実に超音波接合を行なうことができる。
【0032】
さらに別な変形例として、例えば図13に示すように、凹凸のない平板状のアルミニウムまたは銅からなる受熱部6(またはヒートシンク1)などの被接合部の平坦上面に、ヒートパイプ8の一端8Aを載せ、このヒートパイプ8の一端8Aの上部に一乃至複数個のパイプ固定金具12を配置して、熱伝達部における超音波接合を行なってもよい。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。実施例中における接合方法は、冷却モジュールに限らず熱輸送手段を取付け固定するあらゆる熱伝達部に対し適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1における熱伝達部の接合方法によれば、半田付けや加締めなどに依らず、しかも被接合部にメッキや酸化膜除去などを施さなくても、品質の高い接合構造を得ることができる。
【0035】
本発明の請求項2における熱伝達部の接合方法によれば、個々の固定具を介して確実に超音波接合を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す受熱部とヒートシンクが別体である冷却モジュールの平面図である。
【図2】同上、受熱部とヒートシンクが一体である冷却モジュールの平面図である。
【図3】同上、超音波接合を行なう際の熱伝達部の状態を示す斜視図である。
【図4】同上、超音波接合を行った後の熱伝達部を示す断面図である。
【図5】同上、超音波接合を行なった場合と、半田付け接合を行なった場合の熱抵抗を示すグラフである。
【図6】同上、第1の変形例を示す受熱部の正面図である。
【図7】同上、第2の変形例を示す受熱部の正面図である。
【図8】同上、第3の変形例を示す受熱部の正面図である。
【図9】同上、パイプ固定金具の一例を示す斜視図である。
【図10】同上、図9に示すパイプ固定金具により超音波接合を行なった状態の熱伝達部の斜視図である。
【図11】同上、パイプ固定金具の一例を示す斜視図である。
【図12】同上、図11に示すパイプ固定金具により超音波接合を行なった状態の熱伝達部の斜視図である。
【図13】同上、別な変形例を示す熱伝達部の断面図である。
【符号の説明】
1 ヒートシンク(被接合部)
6 受熱部(被接合部)
8 ヒートパイプ(熱輸送手段)
12 パイプ固定金具(固定具)
31〜33 接触部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)内に実装するMPU(マイクロプロセッサユニット)などを冷却するのに好適な冷却モジュールなどに適用され、特にヒートシンクや受熱部や放熱部などの被接合部に、ヒートパイプなどの熱輸送手段を接合して一体化を図る熱伝達部の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型電子機器であるパソコンなどは、内蔵するMPUの高速処理化が進み、MPUと熱的に接続される冷却モジュールの受熱部が受ける熱エネルギーも増加しつつある。他方、この種の薄型電子機器は更なる薄型化の推進が図られており、冷却モジュールの構造は、従来の受熱部や放熱部をヒートシンクと一体にしたものから、熱輸送手段であるヒートパイプを利用して、受熱部や放熱部をヒートシンクと別体にした分離型が求められている。
【0003】
こうした分離型の冷却モジュールに適用されるヒートパイプと被接合部との接合構造は、特許文献1や特許文献2などに開示されている。例えば特許文献1には、金属板上に円形断面のヒートパイプを取付ける熱伝達構造において、湾曲したホールド部と、このホールド部の両端部に固定部とを備えた這わし金具を、ヒートパイプに密着するように装着し、ネジにより固定部を金属板に取付ける際に、這わし金具によりヒートパイプを圧潰変形することで、ヒートパイプが金属板に直接接触する面積を増大させたものが開示されている。
【0004】
また別の引用文献2には、受熱部の一部に形成したヒートパイプ挿入溝にヒートパイプの一端を配置し、断面袋状をなすヒートパイプ挿入溝の上端部分にあるヒートパイプ固定部を、その上方からプレスすることにより、ヒートパイプがヒートパイプ挿入溝に押し付けられて扁平状に変形し、受熱部にヒートパイプが密着接合される放熱装置の受熱部構造が開示されている。さらにこの特許文献2では、受熱部の上面にヒートパイプの一端を配置し、両接触部付近を半田で接合する構造も、従来の技術として提示している。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−159381号公報
【特許文献2】
特許第3010181号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に示す接合構造は、這わし金具を金属板にネジで取付けるときの締め付け力を利用して、ヒートパイプに平面変形部を形成するようにしているが、ネジの締め付け力だけでヒートパイプを金属板に取付け固定しているため、這わし金具や金属板とヒートパイプとの接合強度が不十分で、例えばネジが少し緩んだだけでもヒートパイプが金属板から脱落する虞れがある。
【0007】
また、特許文献2において、受熱部のヒートパイプ挿入溝にヒートパイプを挿入して加締め固定する接合構造も、ヒートパイプと受熱部との間で高い接合強度を得ることが難しく、冷却モジュールなどが要求する熱抵抗の低減に限界があるという問題を有していた。
【0008】
さらに、受熱部を構成する部品の材料は、熱伝導性の良好なアルミニウムや銅を使用しているが、アルミニウムはそもそも半田付けを行う際の濡れ性が悪く、半田付けに不向きな材料であると共に、銅などの材料も酸化が非常に早く、材料表面に酸化膜が生成する問題がある。そのため、特許文献2で提案されている半田付けによる接合を行なう場合は、アルミニウムにメッキ(例えば錫メッキ)を予め施したり、あるいは銅などは表面に精製した酸化膜を何らかの方法で除去するか、さもなければ酸化膜防止用にメッキ(例えば錫メッキ)を予め施すことが必要不可欠となり、生産性に大きな支障を来していた。
【0009】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、被接合部にメッキや酸化膜除去などを施さなくても、品質の高い接合構造を得ることができる熱伝達部の接合方法を提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1における熱伝達部の接合方法では、ヒートパイプなどの熱輸送手段に固定具を配置した状態で、固定具に超音波振動を与えると、固定具と被接合部,固定具と熱輸送手段,および熱輸送手段と被接合部との各接触部が固相接合される。そのため、被接合部にメッキや酸化膜除去をわざわざ施さなくても、被接合部に熱輸送手段を接合する熱伝達部において、極めて短時間でしかも品質の高い固相接合による接合構造を得ることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2における熱伝達部の接合方法では、1個の固定具に対し複数回ではなく1回ずつ超音波振動を与えるようにするので、別な固定具により前回接合した部分が破壊される虞れがなく、個々の固定具を介して確実に超音波接合を行なうことができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明における好ましい実施例について、特に冷却モジュールに適用した熱伝達部の接合構造および接合方法を、添付図面を参照しながら説明する。図1および図2は、いずれも超音波金属接合によりヒートパイプを被接合部に接合した冷却モジュールの各構成を示している。本実施例における冷却モジュールは、いずれもノートパソコンなどの薄型電子機器の筐体内に設けられる。
【0013】
図1において、1は送風装置である回転自在なファンモータ2を備えたヒートシンクであり、このヒートシンク1はファンモータ2の回転軸方向にある一側面に吸気孔3を有すると共に、吸気孔3と直交するファンモータ2の放射方向壁面に排気孔4を有している。なお、図には示していないが、ヒートシンク1の他側開口面には、吸気孔を有する薄板状のカバーが取付け固定される。ヒートシンク1やカバーは、いずれも熱伝導性の良好な例えばアルミニウムなどの材料で形成される。
【0014】
6はMPUなどの発熱部品(図示せず)と熱的に接続する平板状の受熱部であり、図1に示す例では受熱部6とヒートシンク1がそれぞれ別部材で構成される。この受熱部6と、ヒートシンク1の排気孔4側に設けた放熱部7との間には、受熱部6から放熱部7に熱を輸送する熱輸送手段としてのヒートパイプ8が設けられる。ヒートパイプ8は、熱伝導性に優れた銅などの管体内部に微小量の作動液を注入し、この作動液を管体内部で還流させるもので、音速で移動する作動液により極めて優れた熱応答性が得られる。また前記放熱部7は、ファンモータ2からの空気の流れを極力妨げない方向に、複数のフィン9を配置して構成される。前記ヒートパイプ8の他端8Bは、放熱部7の各フィン9を貫通するように取付け固定される。
【0015】
11は、前記受熱部6の上面中心部分に沿って形成された溝部としてのヒートパイプ挿入溝で、このヒートパイプ挿入溝11にヒートパイプ8の一端8Aが挿入される。また、ヒートパイプ挿入溝11の上端両側には、パイプ固定金具12と受熱部6とを固相接合させるための段部としての段付溝13が形成される。パイプ固定金具12は、ヒートパイプ挿入溝11に挿入したヒートパイプ8の一端8Aの上側開放面を覆うように、受熱部6の中心方向に沿って複数並設され、パイプ固定金具12,12間には若干の隙間14が形成される。そして、個々のパイプ固定金具12に対して、パイプ固定金具12の上部から一つずつ超音波振動を与えることにより、ヒートパイプ8の一端8Aと受熱部6との超音波接合(固相接合)が図られる。また15は、パイプ固定金具12の上面に形成された超音波接合による接合痕である。
【0016】
図2は、受熱部6がヒートシンク1と同一部材で形成された例を示している。ここでのヒートシンク1は、ファンモータ2を収容するファンケース部と受熱部6とを兼用しており、このヒートシンク1とヒートパイプ8の一端8Aとを、パイプ固定金具12の上部からの超音波振動によって固相接合している。それ以外の構成は、図1と共通している。
【0017】
図3は、図1や図2に示す冷却モジュールの熱伝達部に関し、超音波金属接合を行なう際の熱伝達部の状態を示している。21は架台であるアンビル、22は底部を凹状に形成した超音波溶着機の振動付与機構としてのホーンで、このホーン22の最底面はローレット状に形成されている。一方、前記パイプ固定金具12は、断面が円形または楕円形をなすヒートパイプ8の外面形状に合わせて上方に膨出した山形部17と、この山形部17の両側部に延設した水平部18とにより構成される。
【0018】
そして、製造に際しては、アンビル21の上面に形成した凹状の受け部23に、予めヒートパイプ8の一端8Aをヒートパイプ挿入溝11に挿入した受熱部6を載置し、受熱部6の段付溝13に水平部18の下面が対向するように、パイプ固定金具12を受熱部6上に配置する。そして、超音波溶着機のホーン22の最底面をパイプ固定金具12の水平部18に接した状態で、ホーン22からパイプ固定金具12,受熱部6およびヒートパイプ8に機械的圧力を加えながら超音波振動を付加し、接合界面に局部的な塑性変形(塑性流動)を生じさせて固相接合する。一例として、このときの振動周波数は19.15kHzであり、振幅は20〜25μmである。また出力は定格1500Wで、最大2000Wまで可能である。
【0019】
図4は、超音波溶着機による超音波接合を行った後の熱伝達部の断面を示している。上述したように、ホーン22の最底面をパイプ固定金具12の水平部18に当てて、ホーン22から超音波振動を与えると、パイプ固定金具12の水平部18と受熱部6の段付溝13との間の接触界面である接触部31のみならず、ホーン22がパイプ固定金具12を押圧する関係で、パイプ固定金具12の山形部17とヒートパイプ8との間の接触界面である接触部32と、受熱部6のヒートパイプ挿入溝11底面とヒートパイプ8との間の接触界面である接触部33にも固相接合が行なわれているのが確認できる。
【0020】
因みに、ヒートパイプ8の引抜き力についての試験を行なったところ、超音波接合によるものは、ヒートパイプ8を引抜くのに120Kgの力を必要とした。これに対し、従来の加締め接合によるものは、40Kgでヒートパイプ8が抜け出し、また半田付け接合によるものは、ヒートパイプ8に150Kgの引抜き力を加えた時点で、ヒートパイプ8が破断した。すなわち、本実施例の超音波接合によれば、半田付け接合によるものと略同等の引抜き強度を得ることができる。また、半田付け接合を行なった場合と、超音波接合を行なった場合の熱抵抗の試験結果を図5に示す。この試験結果からも明らかなように、本実施例の超音波接合によれば、半田付け接合によるものと略同等の熱抵抗を得ることができ、上記各接触部31〜33間で良好な熱伝導性を維持することが可能になる。さらに、本実施例による超音波接合は、短時間(1接合につき約1秒)でしかも低温で行われるため、熱影響を殆ど受けない。また、熱伝導性は良好であるものの半田付けには不適なアルミニウムや銅などの材料であっても、従来のようにメッキや酸化膜除去を施さず、かつ半田付け接合を行なわずに、ヒートパイプ8を受熱部6に良好な状態で接合することが可能になる。
【0021】
また、上述の超音波接合は、どのような金属であっても可能であるが、冷却モジュールとしての使用することを考慮した場合、図1に示す受熱部6や、図2に示すヒートシンク1の材料として、熱伝導性の良好なアルミニウムや銅とするのが好ましい。また、受熱部6とヒートパイプ8のみならず、放熱部7とヒートパイプ8を上述のような方法で超音波接合してもよい。すなわち被接合部としては、冷却モジュールに限らず、ヒートパイプ8との接合が必要なあらゆる部位が含まれる。
【0022】
次に、上記実施例に関連する変形例を順に説明する。図6〜図8には、いずれもより確実な超音波接合を行なうために工夫された受熱部6が示されている。先ず図6に示す変形例では、内壁面をU字状に形成したヒートパイプ挿入溝11の上部内壁間の溝幅W1を、このヒートパイプ挿入溝11に挿入する超音波接合前のヒートパイプ8の横幅W2(潰し加工した扁平状の長手幅やパイプ外径)よりも広く形成し、ヒートパイプ挿入溝11にヒートパイプ8を挿入したときに、ヒートパイプ挿入溝11の上部内壁と、ヒートパイプ8の側部との間にヒートパイプ変形代としての隙間を設けるようにする。こうすると、超音波接合時にホーン22がパイプ固定金具12の山形部17を押すと、この山形部17の下側にあるヒートパイプ8が圧潰変形するが、前記ヒートパイプ変形代によってヒートパイプ挿入溝11の上部内壁に対向するヒートパイプ8の側部は邪魔されることなく変形すると共に、このヒートパイプ8の変形に伴なって、ヒートパイプ挿入溝11の内壁に接触するヒートパイプ8の外面は、より確実にヒートパイプ挿入溝11の内壁側に押し付けられ接触する。したがって、この変形例では超音波接合時におけるヒートパイプ8の変形が円滑に行なわれると同時に、変形後における受熱部6とヒートパイプ8との接触をより確実なものとすることができる。
【0023】
図7に示す変形例では、ヒートパイプ挿入溝11の内壁底面に、R状すなわち円弧状に湾曲する凸部41を形成している。こうすると、超音波接合時にヒートパイプ挿入溝11に挿入したヒートパイプ8の一端8Aが外圧で押され、その断面の扁平形状がある程度進むと、材料内部の伸びと圧縮とによる結果として中央部が湾曲状に凹むようになる。この凹み部の形状に合わせて凸部41を形成すれば、ヒートパイプ8の中央部下面との接触が十分なものとなり、その接触部33においてより確実な超音波接合(固相接合)を得ることができる。
【0024】
図8に示す変形例において、受熱部6には前述のように、パイプ固定金具12を所定位置に配置する段付溝13が形成され、この段付溝13上若しくはヒートパイプ8の一端8A上に載せたパイプ固定金具12によって、ヒートパイプ8の一端8Aを取付け固定するようになっている。また、ここでの段付溝13の横幅W3は、パイプ固定金具12の横幅W4よりも広く形成され、超音波溶接機のホーン22からの伝達エネルギーを伝える振動量(振動領域)よりも広く段付溝13の領域を確保している。
【0025】
図9および図10は、山形部17と水平部18とからなるパイプ固定金具12と、このパイプ固定金具12を利用して、ヒートパイプ8の一端8Aを受熱部6のヒートパイプ挿入溝11に超音波接合したものとを、それぞれ示している。また、図11および図12は、前記山形部に代わるR形状すなわち円弧状の湾曲部44と水平部18とからなるパイプ固定金具12と、このパイプ固定金具12を利用して、ヒートパイプ8の一端8Aを受熱部6のヒートパイプ挿入溝11に超音波接合したものとを、それぞれ示している。
【0026】
図9〜図12に示す各例では、ヒートパイプ8と受熱部6との熱伝達部にパイプ固定金具12を1個ではなく複数個用い、超音波溶接機による超音波接合(固相接合)を、1回につき1個のパイプ固定金具12に行なっている。その理由は、1個のパイプ固定金具12に複数回の超音波振動を与えると、このときの振動エネルギーによって前回接合した部分が破壊される虞れがあるからである。従って、ヒートパイプ8の接合長さにより、複数回の超音波接合が必要な場合は、超音波接合が必要な個数分だけパイプ固定金具12を配置し、それぞれのパイプ固定金具12に対し1回ずつ超音波振動を与えれば、個々のパイプ固定金具12を介して確実に超音波接合を行なうことができる。また、パイプ固定金具12,12の間に形成される隙間14によって、パイプ固定金具12に与えられる超音波振動が、別のパイプ固定金具12に直接的に伝わることの弊害を取り除くことができる。なお、これらの各例におけるパイプ固定金具12は、いずれも熱伝導性の良好な例えばアルミニウムで形成される。また、ヒートパイプ8の一端8Aに対向して、山形部17や湾曲部44以外の各種形状を適宜採用できる。
【0027】
上記各例に示すようなパイプ固定金具12を用いた超音波接合(固相接合)により、ヒートシンク1や受熱部6のメッキ処理(錫メッキなど)が不要になり、熱伝達部の製造工程でメッキ工程を廃止でき、リードタイムの短縮を図れる。また、各接触部31〜33の固相接合によって、冷却モジュールに求められる熱抵抗の改善も図ることができる。
【0028】
以上のように本実施例では、被接合部である受熱部6(図1参照)やヒートシンク1(図2参照)に、熱輸送手段としてのヒートパイプ8を接合するものにおいて、ヒートパイプ8に固定具としてのパイプ固定金具12を配置し、パイプ固定金具12の上部より超音波振動を与えて、接触部31〜33を接合する熱伝達部の接合方法を採用している。すなわち本実施例では、パイプ固定金具12と受熱部6,ヒートパイプ8とパイプ固定金具12,受熱部6とヒートパイプ8との間に、それぞれ超音波接合による接触部31〜33が形成されている。
【0029】
この場合、ヒートパイプ8にパイプ固定金具12を配置した状態で、パイプ固定金具12に超音波振動を与えると、パイプ固定金具12と受熱部6,ヒートパイプ8とパイプ固定金具12,受熱部6とヒートパイプ8との間の各接触部31〜33が固相接合される。そのため、半田付けや加締めなどに依らず、しかも被接合部であるヒートシンク1や受熱部6にメッキや酸化膜除去をわざわざ施さなくても、ヒートシンク1や受熱部6にヒートパイプ8を接合する熱伝達部において、極めて短時間でしかも品質の高い固相接合による接合構造を得ることができる。
【0030】
また本実施例では、パイプ固定金具12が1個ではなく、超音波接合を行なう回数に対応して複数個配置され、個々のパイプ固定金具12に対し1回ずつ超音波振動を与えるような接合方法を採用している。
【0031】
このように、1個のパイプ固定金具12に対し複数回ではなく1回ずつ超音波振動を与えるようにすれば、別なパイプ固定金具12により接合した部分が破壊される虞れがなく、個々のパイプ固定金具12を介して確実に超音波接合を行なうことができる。
【0032】
さらに別な変形例として、例えば図13に示すように、凹凸のない平板状のアルミニウムまたは銅からなる受熱部6(またはヒートシンク1)などの被接合部の平坦上面に、ヒートパイプ8の一端8Aを載せ、このヒートパイプ8の一端8Aの上部に一乃至複数個のパイプ固定金具12を配置して、熱伝達部における超音波接合を行なってもよい。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。実施例中における接合方法は、冷却モジュールに限らず熱輸送手段を取付け固定するあらゆる熱伝達部に対し適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1における熱伝達部の接合方法によれば、半田付けや加締めなどに依らず、しかも被接合部にメッキや酸化膜除去などを施さなくても、品質の高い接合構造を得ることができる。
【0035】
本発明の請求項2における熱伝達部の接合方法によれば、個々の固定具を介して確実に超音波接合を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す受熱部とヒートシンクが別体である冷却モジュールの平面図である。
【図2】同上、受熱部とヒートシンクが一体である冷却モジュールの平面図である。
【図3】同上、超音波接合を行なう際の熱伝達部の状態を示す斜視図である。
【図4】同上、超音波接合を行った後の熱伝達部を示す断面図である。
【図5】同上、超音波接合を行なった場合と、半田付け接合を行なった場合の熱抵抗を示すグラフである。
【図6】同上、第1の変形例を示す受熱部の正面図である。
【図7】同上、第2の変形例を示す受熱部の正面図である。
【図8】同上、第3の変形例を示す受熱部の正面図である。
【図9】同上、パイプ固定金具の一例を示す斜視図である。
【図10】同上、図9に示すパイプ固定金具により超音波接合を行なった状態の熱伝達部の斜視図である。
【図11】同上、パイプ固定金具の一例を示す斜視図である。
【図12】同上、図11に示すパイプ固定金具により超音波接合を行なった状態の熱伝達部の斜視図である。
【図13】同上、別な変形例を示す熱伝達部の断面図である。
【符号の説明】
1 ヒートシンク(被接合部)
6 受熱部(被接合部)
8 ヒートパイプ(熱輸送手段)
12 パイプ固定金具(固定具)
31〜33 接触部
Claims (2)
- 被接合部に熱輸送手段を接合する熱伝達部の接合方法において、前記熱輸送手段に固定具を配置し、前記固定具より超音波振動を与えて接触部を接合することを特徴とする熱伝達部の接合方法。
- 前記固定具が複数個配置され、この固定具に1回ずつ超音波振動を与えることを特徴とする請求項1記載の熱伝達部の接合方法。
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