JP2004351342A - 金属複合プラスチック廃棄物処理方法 - Google Patents
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- Y02W30/62—Plastics recycling; Rubber recycling
Abstract
【課題】金属複合プラスチック廃棄物中のプラスチックと無機物との分離が効率よく行える金属複合プラスチック廃棄物処理方法を提供する。
【解決手段】金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてのプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離する金属複合プラスチック廃棄物処理方法において、撹拌動力ε(W/m3)が下式を満たすように不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み撹拌することを特徴とする金属複合プラスチック廃棄物処理方法。
ε=6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)、T:熱媒温度(K)、V:熱媒浴体積(m3)、ρ:熱媒密度(kg/m3)、H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
【選択図】 図1
【解決手段】金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてのプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離する金属複合プラスチック廃棄物処理方法において、撹拌動力ε(W/m3)が下式を満たすように不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み撹拌することを特徴とする金属複合プラスチック廃棄物処理方法。
ε=6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)、T:熱媒温度(K)、V:熱媒浴体積(m3)、ρ:熱媒密度(kg/m3)、H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属複合プラスチック廃棄物、特に、廃自動車、廃家庭電器製品、廃OA機器等から発生するシュレッダーダストのような、プラスチック、繊維、金属類、ガラス等の多種類の材料が混合されている金属複合プラスチック廃棄物を、迅速且つ簡便に分離または減容化することができ、分離により回収されたプラスチックなどの有機分は高炉などの炉の原燃料として、鉄非鉄金属分などは鉄非鉄原材料として利用することができる、金属複合プラスチック廃棄物の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物や一般廃棄物としてプラスチック等の合成樹脂類が増加しており、その処理が社会的に、また環境上、大きな問題になっている。なかでも、高分子系の炭化水素化合物であるプラスチックは、燃焼時に発生する発熱量が高く、これを焼却処理した場合には、焼却炉の炉壁を傷める等の問題がある。従って、プラスチック専用の焼却設備を必要とするために、その多くは、焼却ではなく、ごみ埋立地等で投棄処理されているのが現状である。
【0003】
しかしながら、プラスチック等の投棄は、埋立地の地盤低下をもたらすとともに、環境対策上からも好ましくない。更に、昨今では処理費用の増加とともに、埋立地用の用地不足が社会問題になりつつある。このために、大量の合成樹脂類を、投棄することなく、且つ、処理し得る方法の開発が切望され、各方面で研究されている。
【0004】
金属複合プラスチック廃棄物を処理する一般的方法として、縦型分離槽を用いてプラスチックなどの合成樹脂類とその他無機物とに分離する方法がある。この縦型分離槽装置は、金属複合プラスチック廃棄物を縦型分離槽内上部から投入し、槽内の熱媒油により浮遊物と沈降物に分離して、搬出・回収する廃棄物分離設備であり、金属複合プラスチック廃棄物は、分離槽内に収納されている熱媒浴中を浸漬、落下することにより、比重分離され、プラスチック分は熱媒浴中に浮遊し、無機物は沈降し、そして各々、回収される。
【0005】
上記方法においては、金属複合プラスチック廃棄物からプラスチック分と無機物を分離するためには加熱された熱媒との接触が重要であり、従来の縦型分離槽で処理量を増加させるためには、金属複合プラスチック廃棄物分離のための滞留時間を充分確保する必要があり、金属複合プラスチック廃棄物を極めて遅い速度で移動(落下)させなければならない。しかし、例えば、本発明者が実施した嵩比重が小さく熱媒表面に浮揚して反応が進みにくいウレタンの分解には30分以上の滞留時間を要し、縦型の分離槽でこの移動速度(熱媒、金属複合プラスチック廃棄物の流れ)を管理することは困難であり、充分に分離・回収できず分離効率が悪い。
【0006】
また、金属複合プラスチック廃棄物が、分離槽内に自然落下により投入されるので、軽い物はダンゴ伏に蓄積し易く、不均一に浸漬し、分解する。
【0007】
上記問題点を解決するために、特許文献1では、縦型円筒分離槽内の中心部に円柱堰を設置し、そのまわりを熱媒油および金属複合プラスチック廃棄物を旋回させ、浮遊物および沈降物を回収する装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、縦型円筒分離槽内の中心部に柱堰を設置し、そのまわりを熱媒油および金属複合プラスチック廃棄物を旋回させることにより浮遊物および沈降物を回収する方法において、排出される熱媒油に熱を付与して熱媒油を循環供給する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平2001−179213号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平2001−181441号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、沈降物回収方法にレーキを用いているので、金属複合プラスチック廃棄物中の電線類など長ものが絡みつく問題がある。
【0012】
また、特許文献2に開示される技術では、処理量が多くなった場合、蓄積し、棚つり等を起こす問題がある。
【0013】
さらに、上記いずれの技術も、プラスチック等を分離し、再利用を行うものであるが、例えばプラスチックを再利用するにあたっては塩素を含有している等の問題がある。さらに、経済的に金属複合プラスチック廃棄物を分離回収するには、効率的な分離が不可欠であるが、分離効率及び脱塩素率が低いため、この点についても不充分である。
【0014】
以上のような状況を鑑み、本発明は、上記のような問題点の解決を図り、金属複合プラスチック廃棄物中のプラスチックと無機物との分離が効率よく行える金属複合プラスチック廃棄物処理方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。
【0016】
まず、従来技術のように、分離槽内に円柱堰や柱堰を設置するような方法では分離槽全体が均一に撹拌されず、分離効率が円柱堰や柱堰のまわりと外壁では異なってしまうこと、そして、さらに検討した結果、分離槽全体を均一に撹拌する方法として、不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み、かつ、ある一定以上の動力で撹拌することにより、分離効率及び脱塩素率が大幅に向上することを見出した。
【0017】
本発明は上記のような知見に基づいてなされたものであり、以下のような構成を有する。
【0018】
[1] 金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてのプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離する金属複合プラスチック廃棄物処理方法において、撹拌動力ε(W/m3)が下式を満たすように不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み撹拌することを特徴とする金属複合プラスチック廃棄物処理方法。
ε=6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)
T:熱媒温度(K)
V:熱媒浴体積(m3)
ρ:熱媒密度(kg/m3)
H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の金属複合プラスチック廃棄物処理方法について、詳細に説明する。
【0020】
本発明においては、熱媒浴中で金属複合プラスチック廃棄物を浸漬し分離するにあたり、一定以上の撹拌動力を持って、不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み、撹拌することを特徴とする。不活性ガスを熱媒浴中に吹き込むことにより、分離槽全体を均一に撹拌することが可能となる。
【0021】
金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離処理するにあたり、不活性ガスを熱媒中に吹き込み、撹拌動力を変化させて、撹拌動力と分離効率との関係を調べた。結果を図1に示す。図1より、撹拌動力が4W/m3以上の時に分離効率が向上することがわかる。
【0022】
また、同様に、撹拌動力を変化させて、撹拌動力と脱塩素効率との関係を調べた。結果を図2に示す。図2より、撹拌動力が4W/m3以上の時に脱塩素効率が向上することがわかる。以上より、本発明において、不活性ガスを熱媒浴中に吹き込む時の撹拌動力は4W/m3以上とする。ここで、撹拌動力εとは、撹拌ガス量Q、熱媒温度T、熱媒浴体積V、熱媒密度ρ、撹拌ガス吹き込み深さHによって複合的に示される値であり、式(1)に示すように定義される。
ε:6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4 ……(1)
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)
T:熱媒温度(K)
V:熱媒浴体積(m3)
ρ:熱媒密度(kg/m3)
H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
なお、H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)とは、ガス拭出口から熱媒浴面までの深さである。
【0023】
この時、撹拌動力が4W/m3以上とする方法は特に限定しない。式(1)に示すように、撹拌ガス量、熱媒温度、熱媒浴体積、熱媒密度、撹拌ガス吹き込み深さを設備使用条件等に併せて適宜調整することにより撹拌動力を調整することができる。
【0024】
また、不活性ガスの熱媒浴中への吹き込み方法は特に限定はしない。均一に撹拌し、分離効率を向上させる目的から、一箇所のみの吹き込みではなく、複数の箇所から吹き込むことが好ましい。
【0025】
吹き込み時間は特に限定しないが、断続的に行っても効果は得られるが、連続的に行うことが好ましい。断続的に行う場合、撹拌を行わない時間は撹拌を行う時間よりも短い時間とする。
【0026】
本発明により処理し得る金属複合廃プラスチックの種類については、特に限定されるものではない。例えば、廃自動車、廃家庭電器製品、廃OA機器等の処理が可能である。
【0027】
熱媒(油)としては、金属複合廃プラスチックを浸漬する際に、液体の状態で存在し、分解せず、使用中に粘度等の物理的変化が起こらない等の要件を満たす物であることを要する。具体的には、コールタール系の重質油、ピッチ、石炭液化油、特定の油種(カフジ等芳香成分が多いもの)からの石油系の減圧残油、エチレンボトム油、改質油、FCC油等が挙げられる。熱媒(油)によるS/Dの浸漬温度、処理時間は、金属複合廃プラスチックの分離が充分に進行する状態になるように設定される。また、上記の条件は、金属複合廃プラスチックを構成しているプラスチックの種類及びその使用量によって異なるが、浸漬温度は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは250〜300℃、浸漬時間は、好ましくは10〜30分、さらに好ましくは15〜20分である。
【0028】
熱媒浴中への金属複合プラスチック廃棄物の投入形態は特に限定しない。しかし、分離効率の向上の点から、ある程度の大きさ、例えば、200mm以下にまで切り出し投入することが望ましい。
【0029】
【実施例】
熱媒浴として、沸点350℃以上のコ−ルタ−ル系の重質油を用い、前記コ−ルタ−ル系の重質油100重量部に対して7.5%重量部の金属複合プラスチック廃棄物を、300℃に加熱した上記熱媒浴に15分間浸漬する処理を行った。ここで、浸漬は、表1に示す撹拌動力で、窒素ガスを熱媒浴中に吹き込み、撹拌しながら行った(一部については、窒素ガスによる撹拌は行わず)。次いで、熱処理後、熱媒浴中に浮上しているプラスチック成分と熱媒浴に沈降している無機物とをそれぞれ回収し、それぞれの回収率から、金属複合プラスチック廃棄物からプラスチック成分と無機物への分離効率を求めた。同時に、回収プラスチック成分中の塩素の含有量を測定し、回収プラスチック中の塩素率から脱塩素率を求めた。得られた結果を表1に併せて示す。なお、熱媒浴中からプラスチック成分および無機成分の回収は、スクレ−パを用いて行った。
【0030】
【表1】
【0031】
表1より、撹拌動力が4W/m3以上の本発明例では、比較例に比べ、分離効率、脱塩素効率ともに優れているのがわかる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、金属複合プラスチック廃棄物からプラスチックと鉄非鉄金属を含む無機物とに効率よく分離することができる。
【0033】
さらに、金属複合プラスチック廃棄物から高い除去率で塩素を取り除くことが可能となるため、分離後のプラスチックおよび鉄、非鉄金属を含む無機物を有用物として再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撹拌動力と分離効率との関係を示す図である。
【図2】撹拌動力と脱塩素効率との関係を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は金属複合プラスチック廃棄物、特に、廃自動車、廃家庭電器製品、廃OA機器等から発生するシュレッダーダストのような、プラスチック、繊維、金属類、ガラス等の多種類の材料が混合されている金属複合プラスチック廃棄物を、迅速且つ簡便に分離または減容化することができ、分離により回収されたプラスチックなどの有機分は高炉などの炉の原燃料として、鉄非鉄金属分などは鉄非鉄原材料として利用することができる、金属複合プラスチック廃棄物の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物や一般廃棄物としてプラスチック等の合成樹脂類が増加しており、その処理が社会的に、また環境上、大きな問題になっている。なかでも、高分子系の炭化水素化合物であるプラスチックは、燃焼時に発生する発熱量が高く、これを焼却処理した場合には、焼却炉の炉壁を傷める等の問題がある。従って、プラスチック専用の焼却設備を必要とするために、その多くは、焼却ではなく、ごみ埋立地等で投棄処理されているのが現状である。
【0003】
しかしながら、プラスチック等の投棄は、埋立地の地盤低下をもたらすとともに、環境対策上からも好ましくない。更に、昨今では処理費用の増加とともに、埋立地用の用地不足が社会問題になりつつある。このために、大量の合成樹脂類を、投棄することなく、且つ、処理し得る方法の開発が切望され、各方面で研究されている。
【0004】
金属複合プラスチック廃棄物を処理する一般的方法として、縦型分離槽を用いてプラスチックなどの合成樹脂類とその他無機物とに分離する方法がある。この縦型分離槽装置は、金属複合プラスチック廃棄物を縦型分離槽内上部から投入し、槽内の熱媒油により浮遊物と沈降物に分離して、搬出・回収する廃棄物分離設備であり、金属複合プラスチック廃棄物は、分離槽内に収納されている熱媒浴中を浸漬、落下することにより、比重分離され、プラスチック分は熱媒浴中に浮遊し、無機物は沈降し、そして各々、回収される。
【0005】
上記方法においては、金属複合プラスチック廃棄物からプラスチック分と無機物を分離するためには加熱された熱媒との接触が重要であり、従来の縦型分離槽で処理量を増加させるためには、金属複合プラスチック廃棄物分離のための滞留時間を充分確保する必要があり、金属複合プラスチック廃棄物を極めて遅い速度で移動(落下)させなければならない。しかし、例えば、本発明者が実施した嵩比重が小さく熱媒表面に浮揚して反応が進みにくいウレタンの分解には30分以上の滞留時間を要し、縦型の分離槽でこの移動速度(熱媒、金属複合プラスチック廃棄物の流れ)を管理することは困難であり、充分に分離・回収できず分離効率が悪い。
【0006】
また、金属複合プラスチック廃棄物が、分離槽内に自然落下により投入されるので、軽い物はダンゴ伏に蓄積し易く、不均一に浸漬し、分解する。
【0007】
上記問題点を解決するために、特許文献1では、縦型円筒分離槽内の中心部に円柱堰を設置し、そのまわりを熱媒油および金属複合プラスチック廃棄物を旋回させ、浮遊物および沈降物を回収する装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、縦型円筒分離槽内の中心部に柱堰を設置し、そのまわりを熱媒油および金属複合プラスチック廃棄物を旋回させることにより浮遊物および沈降物を回収する方法において、排出される熱媒油に熱を付与して熱媒油を循環供給する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平2001−179213号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平2001−181441号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、沈降物回収方法にレーキを用いているので、金属複合プラスチック廃棄物中の電線類など長ものが絡みつく問題がある。
【0012】
また、特許文献2に開示される技術では、処理量が多くなった場合、蓄積し、棚つり等を起こす問題がある。
【0013】
さらに、上記いずれの技術も、プラスチック等を分離し、再利用を行うものであるが、例えばプラスチックを再利用するにあたっては塩素を含有している等の問題がある。さらに、経済的に金属複合プラスチック廃棄物を分離回収するには、効率的な分離が不可欠であるが、分離効率及び脱塩素率が低いため、この点についても不充分である。
【0014】
以上のような状況を鑑み、本発明は、上記のような問題点の解決を図り、金属複合プラスチック廃棄物中のプラスチックと無機物との分離が効率よく行える金属複合プラスチック廃棄物処理方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。
【0016】
まず、従来技術のように、分離槽内に円柱堰や柱堰を設置するような方法では分離槽全体が均一に撹拌されず、分離効率が円柱堰や柱堰のまわりと外壁では異なってしまうこと、そして、さらに検討した結果、分離槽全体を均一に撹拌する方法として、不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み、かつ、ある一定以上の動力で撹拌することにより、分離効率及び脱塩素率が大幅に向上することを見出した。
【0017】
本発明は上記のような知見に基づいてなされたものであり、以下のような構成を有する。
【0018】
[1] 金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてのプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離する金属複合プラスチック廃棄物処理方法において、撹拌動力ε(W/m3)が下式を満たすように不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み撹拌することを特徴とする金属複合プラスチック廃棄物処理方法。
ε=6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)
T:熱媒温度(K)
V:熱媒浴体積(m3)
ρ:熱媒密度(kg/m3)
H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の金属複合プラスチック廃棄物処理方法について、詳細に説明する。
【0020】
本発明においては、熱媒浴中で金属複合プラスチック廃棄物を浸漬し分離するにあたり、一定以上の撹拌動力を持って、不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み、撹拌することを特徴とする。不活性ガスを熱媒浴中に吹き込むことにより、分離槽全体を均一に撹拌することが可能となる。
【0021】
金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離処理するにあたり、不活性ガスを熱媒中に吹き込み、撹拌動力を変化させて、撹拌動力と分離効率との関係を調べた。結果を図1に示す。図1より、撹拌動力が4W/m3以上の時に分離効率が向上することがわかる。
【0022】
また、同様に、撹拌動力を変化させて、撹拌動力と脱塩素効率との関係を調べた。結果を図2に示す。図2より、撹拌動力が4W/m3以上の時に脱塩素効率が向上することがわかる。以上より、本発明において、不活性ガスを熱媒浴中に吹き込む時の撹拌動力は4W/m3以上とする。ここで、撹拌動力εとは、撹拌ガス量Q、熱媒温度T、熱媒浴体積V、熱媒密度ρ、撹拌ガス吹き込み深さHによって複合的に示される値であり、式(1)に示すように定義される。
ε:6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4 ……(1)
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)
T:熱媒温度(K)
V:熱媒浴体積(m3)
ρ:熱媒密度(kg/m3)
H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
なお、H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)とは、ガス拭出口から熱媒浴面までの深さである。
【0023】
この時、撹拌動力が4W/m3以上とする方法は特に限定しない。式(1)に示すように、撹拌ガス量、熱媒温度、熱媒浴体積、熱媒密度、撹拌ガス吹き込み深さを設備使用条件等に併せて適宜調整することにより撹拌動力を調整することができる。
【0024】
また、不活性ガスの熱媒浴中への吹き込み方法は特に限定はしない。均一に撹拌し、分離効率を向上させる目的から、一箇所のみの吹き込みではなく、複数の箇所から吹き込むことが好ましい。
【0025】
吹き込み時間は特に限定しないが、断続的に行っても効果は得られるが、連続的に行うことが好ましい。断続的に行う場合、撹拌を行わない時間は撹拌を行う時間よりも短い時間とする。
【0026】
本発明により処理し得る金属複合廃プラスチックの種類については、特に限定されるものではない。例えば、廃自動車、廃家庭電器製品、廃OA機器等の処理が可能である。
【0027】
熱媒(油)としては、金属複合廃プラスチックを浸漬する際に、液体の状態で存在し、分解せず、使用中に粘度等の物理的変化が起こらない等の要件を満たす物であることを要する。具体的には、コールタール系の重質油、ピッチ、石炭液化油、特定の油種(カフジ等芳香成分が多いもの)からの石油系の減圧残油、エチレンボトム油、改質油、FCC油等が挙げられる。熱媒(油)によるS/Dの浸漬温度、処理時間は、金属複合廃プラスチックの分離が充分に進行する状態になるように設定される。また、上記の条件は、金属複合廃プラスチックを構成しているプラスチックの種類及びその使用量によって異なるが、浸漬温度は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは250〜300℃、浸漬時間は、好ましくは10〜30分、さらに好ましくは15〜20分である。
【0028】
熱媒浴中への金属複合プラスチック廃棄物の投入形態は特に限定しない。しかし、分離効率の向上の点から、ある程度の大きさ、例えば、200mm以下にまで切り出し投入することが望ましい。
【0029】
【実施例】
熱媒浴として、沸点350℃以上のコ−ルタ−ル系の重質油を用い、前記コ−ルタ−ル系の重質油100重量部に対して7.5%重量部の金属複合プラスチック廃棄物を、300℃に加熱した上記熱媒浴に15分間浸漬する処理を行った。ここで、浸漬は、表1に示す撹拌動力で、窒素ガスを熱媒浴中に吹き込み、撹拌しながら行った(一部については、窒素ガスによる撹拌は行わず)。次いで、熱処理後、熱媒浴中に浮上しているプラスチック成分と熱媒浴に沈降している無機物とをそれぞれ回収し、それぞれの回収率から、金属複合プラスチック廃棄物からプラスチック成分と無機物への分離効率を求めた。同時に、回収プラスチック成分中の塩素の含有量を測定し、回収プラスチック中の塩素率から脱塩素率を求めた。得られた結果を表1に併せて示す。なお、熱媒浴中からプラスチック成分および無機成分の回収は、スクレ−パを用いて行った。
【0030】
【表1】
【0031】
表1より、撹拌動力が4W/m3以上の本発明例では、比較例に比べ、分離効率、脱塩素効率ともに優れているのがわかる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、金属複合プラスチック廃棄物からプラスチックと鉄非鉄金属を含む無機物とに効率よく分離することができる。
【0033】
さらに、金属複合プラスチック廃棄物から高い除去率で塩素を取り除くことが可能となるため、分離後のプラスチックおよび鉄、非鉄金属を含む無機物を有用物として再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撹拌動力と分離効率との関係を示す図である。
【図2】撹拌動力と脱塩素効率との関係を示す図である。
Claims (1)
- 金属複合プラスチック廃棄物を熱媒浴中に浸漬することにより、金属複合プラスチック廃棄物を、熱媒浴中の浮上物としてのプラスチックと、沈降物として鉄、非鉄金属を含む無機物とに分離する金属複合プラスチック廃棄物処理方法において、撹拌動力ε(W/m3)が下式を満たすように不活性ガスを熱媒浴中に吹き込み撹拌することを特徴とする金属複合プラスチック廃棄物処理方法。
ε=6.18(QT/V){2.3log((10330+ρH)/10330)+(1−298/T)}≧4
Q:撹拌ガス量(Nm3/min)
T:熱媒温度(K)
V:熱媒浴体積(m3)
ρ:熱媒密度(kg/m3)
H:撹拌ガス吹き込み深さ(m)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003153100A JP2004351342A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 金属複合プラスチック廃棄物処理方法 |
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---|---|---|---|
JP2003153100A JP2004351342A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 金属複合プラスチック廃棄物処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004351342A true JP2004351342A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34048151
Family Applications (1)
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JP2003153100A Pending JP2004351342A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 金属複合プラスチック廃棄物処理方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004351342A (ja) |
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2003
- 2003-05-29 JP JP2003153100A patent/JP2004351342A/ja active Pending
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