JP2004350474A - 車両駆動用交流電動機 - Google Patents

Abstract

【課題】固定子巻線及び回転子導体の冷却効率の向上を図る。
【解決手段】固定子１及び回転子３の軸方向の一端側から取り込まれた冷却風を、固定子１と回転子３との隙間及び回転子鉄心３ａの通風穴３ｃを経て固定子１及び回転子３の他端側から排出するようにした車両駆動用交流電動機において、固定子１の軸方向の両端に配置された鉄心押さえ８，９間を回転子３の軸中心に対して垂直方向と水平方向のほぼ中間位置近傍の固定子鉄心１ａの外側に配置した接続体１０で接続すると共に、固定子鉄心１ａと接続体１０との間に固定子１及び回転子３の一端側と他端側との間を連通させた導風路１４を形成し、固定子１及び回転子３の一端側から取り込まれた冷却風の一部を導風路１４を経由して固定子１及び回転子３の他端側に導くようにしたものである。
【選択図】 図３

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は、鉄道車両を駆動する車両駆動用交流電動機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の車両駆動用交流電動機においては、固定子に３相交流電力を入力すると回転磁束が発生して回転子に電流が誘起され、回転子にトルクが発生して回転する。そして、回転子と一体のファンが回転されることにより吸気側である固定子及び回転子の一方側から冷却風が取り込まれる。取り込まれた冷却風は固定子と回転子との隙間及び回転子鉄心の通風穴を通って排気側である固定子及び回転子の他方側に流通することにより固定子及び回転子を冷却する。高温になった冷却風は固定子及び回転子の他方側から排出される（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
【特許文献１】
特開平８−２３７９０８号公報（第３頁、図１）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車両駆動用交流電動機では、固定子を構成する固定子鉄心に配置された固定子巻線及び回転子を構成する回転子導体の吸気側である固定子及び回転子の一方側は、取り込まれたばかりの冷却風により効率よく冷却される。しかし、固定子及び回転子の排気側である固定子巻線及び回転子導体の他方側は、固定子及び回転子を冷却して高温になった冷却風により冷却されるので、冷却効率の向上を図るのが困難であるという問題点があった。
【０００５】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、固定子巻線及び回転子導体の冷却効率の向上を図ることができる車両駆動用交流電動機を提供することを目的としたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる車両駆動用交流電動機は、固定子の軸中心に対して一側の上方に設けられ、台車に取り付けられる取付ノーズ及び固定子の軸中心に対して一側の下方に設けられ、台車に取り付けられる取付足を備え、固定子及び回転子の軸方向の一端側から取り込まれた冷却風を、固定子と回転子との隙間及び回転子鉄心の通風穴を経て固定子及び回転子の他端側から排出するようにした車両駆動用交流電動機において、固定子の軸方向の両端に配置された鉄心押さえ間を回転子の軸中心に対して垂直方向と水平方向のほぼ中間位置近傍の固定子鉄心の外側に配置した接続体で接続すると共に、固定子鉄心と接続体との間に固定子及び回転子の一端側と他端側との間を連通させた導風路を形成し、固定子及び回転子の一端側から取り込まれた冷却風の一部を導風路を経由して固定子及び回転子の他端側に導くようにしたものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
実施の形態１．
図１は、この発明の実施の形態１における要部の断面図、図２は図１のＩＩ−ＩＩ線の断面図、及び図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線の断面図である。
図１から図３において、固定子鉄心１ａに固定子巻線１ｂが配置された固定子１内に、回転子軸２と一体化された回転子鉄心３ａに回転子導体３ｂが配置された回転子３が固定子１と所定の間隔で回転自在に配置されている。回転子鉄心３ａには一方側から他方側へ貫通した通風穴３ｃが設けられている。回転子軸２は各端部が軸受４，５を介して排気側ブラケット６及び吸気側ブラケット７により回転自在に支持されている。そして、各ブラケット６，７には排気口６ａ及び吸気口７ａが設けられている。固定子鉄心１ａの両端に鉄心押さえ８，９が配置されている。そして、鉄心押さえ８，９間は固定子鉄心１ａの外側に配置された接続体１０〜１３で接続され、接続体１０〜１３と固定子鉄心１ａとの間に導風路１４〜１７が構成されている。
【０００８】
導風路１４〜１７は回転子３の軸中心に対して垂直方向と水平方向のほぼ中間位置近傍、即ち図２に示すように四隅に配置されて、吸気口７ａ側である固定子１及び回転子３の一端側から排気口６ａ側である固定子１及び回転子３の他端側とを各鉄心押さえ８，９の連通穴８ａ，９ａを介して連通し、固定子１及び回転子の一端側から取り込まれた冷却風の一部が固定子１及び回転子３の他端側へ到達可能に構成されている。なお、導風路１４，１５は後述の取付ノーズ１９及び取付足２０が配置された位置とほぼ同じ位置の固定子鉄心１ａの外周に配置されている。また、回転子軸２の排気口６ａ側に通風ファン１８が取り付けられている。
固定子１の軸中心に対して一側の上方に配置された一対の取付ノーズ１９は、それぞれ鉄心押さえ８，９と一体化されている。また、固定子１の軸中心に対して一側の下方に配置された一対の取付足２０は、それぞれ鉄心押さえ８，９と一体化されている。さらに、固定子１の軸中心に対して取付ノーズ１９に対向した他側の上方に一対の安全ノーズ２１が、それぞれ鉄心押さえ８，９と一体化されている。
【０００９】
次に動作について説明する。図１から図３において、固定子巻線１ｂに三相交流電力が入力されることにより回転子導体３ｂに電流が誘起されて回転トルクが発生する。このとき、固定子１及び回転子３に損失が発生して温度が上昇する。
また、回転子３の回転により回転子軸２に取り付けられた通風ファン１８が回転して吸気口７ａから固定子１及び回転子３の一端側に冷却風が取り込まれる。取り込まれた冷却風は固定子１及び回転子３の一端側の固定子巻線１ｂ及び回転子導体３ｂを冷却し、さらに固定子１と回転子３の隙間部２２及び回転子３の通風穴３ｃを通って固定子１及び回転子３を冷却する。そして、固定子１及び回転子３を冷却して高温になった冷却風は固定子１及び回転子３の他端側を経由して通風ファン１８に誘導されて排気口６ａから排出される。
【００１０】
一方、固定子１及び回転子３の一端側から取り込まれた冷却風の一部は連通穴９ａ、導風路１４〜１７及び連通穴８ａを通して固定子１及び回転子３の他端側へ到達する。そして、固定子１及び回転子３の他端側へ到達した冷却風は固定子１及び回転子３の他端側の固定子巻線１ｂ及び回転子導体３ｂを冷却し、通風ファン１８に誘導されて排気口６ａから排気される。
ここで、図４は車両駆動用交流電動機の取付状態を示す説明図である。図４において、車両駆動用交流電動機２３は車両（図示せず）の床下に配置された台車枠２４に取り付けられる。車両駆動用交流電動機２３は取付ノーズ１９及び取付足２０により台車枠２４に取り付けられている。そして、台車枠２４により回転自在に支持された車軸２５に固定された車輪２６はレール２７上を走行可能に構成されている。なお、車両駆動用交流電動機２３と車軸２５とは歯車装置（図示せず）を介して連結されている。
【００１１】
以上のように、固定子１及び回転子３の一端側から取り込まれた冷却風の一部が固定子鉄心１ａの外側を通って固定子１及び回転子３の他端側へ到達可能な導風路１４〜１７を設けたことにより、固定子１及び回転子３の一端側から取り込んだ低温の冷却風で固定子１及び回転子３の他端側の固定子巻線１ｂ及び回転子導体３ｂを冷却するので、冷却効率の向上を図ることができる。
さらに、車両駆動用交流電動機２３は台車枠２４に配置されるので寸法上の制約が多く、幅方向及び上下方向に拡大することが困難である。しかし、回転子３の軸中心に対して垂直方向と水平方向のほぼ中間位置近傍の固定子鉄心１ａの外側に導風路１４〜１７を設けたことにより、幅方向及び上下方向の寸法を拡大することなく構成することができる。
【００１２】
実施の形態１において、導風路１４〜１７は回転子３の軸中心に対して垂直方向と水平方向のほぼ中間位置近傍の四隅に４箇所配置されたものについて説明したが、どれか１箇所だけに配置しても同様の効果を期待することができる。
また、実施の形態１において、導風路１４，１５が取付ノーズ１９及び取付足２０が配置された位置とほぼ同じ位置の固定子鉄心１ａの外周に配置されているものについて説明したが、取付ノーズ１９及び取付足２０の少なくともいずれか一つが配置された位置とほぼ同じ位置の固定子鉄心１ａの外周に配置されたものについても同様の効果を期待することができる。
さらに、実施の形態１において、回転子軸２に通風ファン１８を取り付けて冷却風を取り込む自己通風冷却方式交流電動機について説明したが、独立して設けた送風機（図示せず）から吸気口７ａに冷却風を強制的に送り込む強制通風冷却方式交流電動機に適用しても同様の効果を期待することができる。
【００１３】
【発明の効果】
この発明によれば、固定子及び回転子の一端側から取り込まれた冷却風の一部が固定子鉄心の外側を通って固定子及び回転子の他端側へ到達可能な導風路を設けたことにより、固定子及び回転子の一端側から取り込んだ低温の冷却風で固定子及び回転子の他端側の固定子巻線及び回転子導体を冷却するので、冷却効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の実施の形態１における要部の断面図である。
【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線の断面図である。
【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線の断面図である。
【図４】車両駆動用交流電動機の取付状態を示す説明図である。
【符号の説明】
１ 固定子、１ａ 固定子鉄心、１ｂ 固定子巻線、３ 回転子、３ａ 回転子鉄心、３ｂ 回転子導体、８，９ 鉄心押さえ、１４〜１７ 導風路、１９ 取付ノーズ、２０ 取付足、２４ 台車。

Claims (3)

1. 固定子の軸中心に対して一側の上方に設けられ、台車に取り付けられる取付ノーズ及び上記固定子の軸中心に対して一側の下方に設けられ、上記台車に取り付けられる取付足を備え、上記固定子及び上記回転子の軸方向の一端側から取り込まれた冷却風を、上記固定子と上記回転子との隙間及び上記回転子鉄心の通風穴を経て上記固定子及び上記回転子の他端側から排出するようにした車両駆動用交流電動機において、上記固定子の軸方向の両端に配置された鉄心押さえ間を上記回転子の軸中心に対して垂直方向と水平方向のほぼ中間位置近傍の上記固定子鉄心の外側に配置した接続体で接続すると共に、上記固定子鉄心と上記接続体との間に上記固定子及び回転子の一端側と他端側との間を連通させた導風路を形成し、上記固定子及び上記回転子の一端側から取り込まれた上記冷却風の一部を上記導風路を経由して上記固定子及び上記回転子の他端側に導くようにしたことを特徴とする車両駆動用交流電動機。
2. 請求項１において、上記導風路は上記取付ノーズ及び上記取付足の少なくともいずれか一つが配置された位置とほぼ同じ上記固定子鉄心の外周位置に配置されていることを特徴とする車両駆動用交流電動機。
3. 請求項１において、上記導風路は上記固定子鉄心外周の四隅に配置されていることを特徴とする車両駆動用交流電動機。

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