JP2004349169A - 有機電界発光素子及びその製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004349169A
JP2004349169A JP2003146528A JP2003146528A JP2004349169A JP 2004349169 A JP2004349169 A JP 2004349169A JP 2003146528 A JP2003146528 A JP 2003146528A JP 2003146528 A JP2003146528 A JP 2003146528A JP 2004349169 A JP2004349169 A JP 2004349169A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
derivatives
organic
electrodes
cathode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003146528A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Saito
祐弘 齋藤
Tomoyoshi Tateishi
朋美 立石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2003146528A priority Critical patent/JP2004349169A/ja
Publication of JP2004349169A publication Critical patent/JP2004349169A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】保存耐久性が高く、発光性能に優れた薄膜化した有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】一対の、電極を有する電極基板と、電極間に少なくとも発光層を含む有機層とを有し、一対の電極及び有機層を有する発光体を封止するように一対の電極基板を接着する封止層を有し、少なくとも一方の電極基板は、所定のパターン領域毎に配置された複数の電極と、該電極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有する有機電界発光素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター等の光源アレイ等に有効に利用できる有機電界発光(EL)素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物質からなる薄膜層を電極間に設けた有機電界発光素子には、薄膜層の形成方法で大別すると、塗布型素子、蒸着型素子があるが、いずれも十分な耐久性を有するものが得られていない。その大きな要因の一つとして水分を挙げることができる。発光素子内に水分が存在すると、電気分解により水が酸素と水素に分解され、発生した酸素と水素が耐久性悪化の原因となる。また水が陰極と反応することも耐久性悪化の原因となる。
【0003】
水分を取り除く方法として、例えば、素子を封止容器により封止して、封止素子内に乾燥剤を入れる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では封止素子の雰囲気中の水分を取り除くことはできるが、有機薄膜を含む発光体から隔離した場所に乾燥剤粉末を入れるため製造負荷が大きく、封止容器も大きくなる問題がある。
また、アルカリ土類過酸化物を出発原料として乾燥剤を膜として封止素子内に入れる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、アルカリ土類過酸化物を出発原料として製膜するため、電子ビーム法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など、他の層の製膜法と異なる製膜法で、製膜装置も異なるため、製造工程数が増える問題が残る。
【0004】
このため、製造負荷が小さく、封止素子を小型化し、耐久性を向上させる素子の実現が強く望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−148066号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献2】
特開2000−260562号公報(請求項2、図1及び図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター等の光源アレイ等に有効に利用でき、耐久性と発光性能に優れた有機電界発光素子を提供することを目的とする。詳しくは、製造負荷を増大させることなく、発光体の水分による劣化を防止し保存耐久性を向上させ、発光性能に優れた薄膜化した有機電界発光素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、陽極、有機層及び陰極からなる発光体を一対の電極基板と封止層とにより封止した有機電界発光素子において、一対の電極基板と発光体とで積層体を形成させ、基板、発光体及び封止層からなる閉空間内の、所定のパターン領域毎に設けられた電極間の間隙に、水分吸収層を設けることで、保存耐久性に優れ、薄膜化が可能な有機電界発光素子が得られることを見出し、本発明に到った。
即ち、上記課題は下記の手段により解決される。
【0008】
(1)一対の、電極を有する電極基板と、電極間に少なくとも発光層を含む有機層とを有し、一対の電極及び有機層を有する発光体を封止するように一対の電極基板を接着する封止層を有し、少なくとも一方の電極基板は、所定のパターン領域毎に配置された複数の電極と、該電極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有することを特徴とする有機電界発光素子。
(2)所定のパターン領域毎に配置された複数の電極を有する電極基板が、該複数の電極の上にさらに発光層を有する電極基板であることを特徴とする上記(1)に記載の有機電界発光素子。
(3)少なくとも一方の電極基板は、所定のパターン領域毎に配置された複数の陰極と、該陰極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有する陰極基板であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の有機電界発光素子。
(4)有機層と電極との界面、及び隣接する少なくとも一組の有機層同士の界面の少なくとも一つが、転写又は貼り合わせにより接合されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0009】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法であって、
少なくとも一層の有機層を有する転写材料と、
所定のパターン領域毎に配置された複数の電極と、該電極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有する電極基板とを対面させて、
加熱処理及び加圧処理の少なくとも一つによって、前記電極基板の電極側に前記少なくとも一層の有機層を転写する工程を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
(6)所定のパターン領域毎に配置された複数の電極を有する電極基板が、該複数の電極の上にさらに発光層を有する電極基板であることを特徴とする上記(5)に記載の製造方法。
(7)前記有機層を転写する工程の後に、少なくとも電極を有する電極基板を貼り合わせる工程をさらに有することを特徴とする上記(5)又は(6)に記載の製造方法。
【0010】
本発明の有機電界発光素子では、基板、発光体及び封止層から形成される閉空間内の、所定のパターン領域毎に設けられた電極間の間隙に存在する水分吸収層により浸入した水分を水分吸収層が吸収させることができる。水分吸収層が上記閉空間内に間隙を保ち存在するので、水分の吸収により水分吸収層が膨潤しても発光体に影響を与えることがない。そのため、発光性能を劣化させることなく素子の保存耐久性を向上させることができる。水分吸収層の材料としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物が好ましく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であることがより好ましい。
【0011】
また、本発明の有機電界発光素子は、陽極基板、陽極、有機層、陰極、陰極基板がこの順で積層され、一対の基板と、陽極、有機層及び陰極からなる発光体とが積層体を形成するので、薄膜化した素子を得ることができる。この積層体は、陽極及び陰極をそれぞれ設けた基板を貼り合わせることにより容易に得ることができる。水分吸収層は、両基板を貼り合わせる前に、電極層(陽極、陰極)や有機層と前後して連続する工程のなかで設けることができるので、製造コストも低減することができる。
【0012】
なお、本発明における「所定のパターン領域」とは、他の領域とは独立に励起されて発光することができる画像の最小構成単位である。特に単色又はゾーンカラーのディスプレイの場合にはピクセルを意味し、マルチカラー、フルカラーディスプレイの場合にはサブピクセルであることが好ましい。所定のパターン領域の形状は、特に限定されないが、矩形上(正方形状、ストライプ状を含む)、多角形状、円形状、楕円形状が例示される。本発明において、発光層は画素であることが好ましく、各々独立に発光色が同一又は異なってもよい。特にフルカラーディスプレイの場合に、所定のパターン領域は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各々の画素であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る有機電界発光素子の一実施形態について、その概略断面図を図1に示す。
図1に示す有機電界発光素子は、陽極基板1、陽極3、有機層4、陰極5及び陰極基板6がこの順に積層された積層体14、封止層7、及び水分吸収層2を有し、さらに電圧印加のためのリード12を有する。
【0014】
基板1,6は、封止層7により接着され、基板1,6及び封止層7により、陽極3、有機層4及び陰極5からなる発光体13が封止される。封止する際に、基板1,6、封止層7及び発光体13から形成される閉空間15内に、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスまたは不活性液体を充填することができる。これにより、発光体13が外部の空気と遮断され、素子の保存耐久性が向上する。
【0015】
本発明において、陰極基板6上で、パターン形成された陰極5の該パターン間の領域16に複数層の水分吸収層2を有する。水分吸収層2は、基板1,6、封止層7及び発光体13から形成される閉空間15内に設けられる。これにより、素子に浸入した水分を、発光体13に悪影響を与えることなく水分吸収層2にて吸収させることができる。また、水分吸収層2の材料として、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの活性のものであっても安定して取り扱うことが可能となる。さらに、陰極を形成する時に、蒸着法で水分吸収層2を形成することが可能となり好ましい。
【0016】
図2に本実施形態の他の態様を示す。
図2に示すように、パターン形成された陰極5上にさらに発光層(有機層4)を有する。有機層4は、陰極5と同一パターンを形成している。水分吸収層2は、有機層4と陰極5のパターン間の領域16に設けられている。
なお、有機層4は単色を発光する層であってもよいし、複数色(例えば、R(赤),G(緑),B(青)(図2参照))を発光するように発光色ごとに領域が分かれるようにパターン形成されていてもよい。
【0017】
発光体13の構成層(陽極3、有機層4及び陽極5)は、通常、画素形成などのためにパターン形成されることが多い。例えば、典型的な例として、陽極3をストライプ状にパターン形成し、該ストライプ状の陽極3と互いに直交するように陰極5をストライプ状にパターン形成し、その交差部分に単位画素を形成する例が挙げられる。その際、発光体13のパターン間の領域16に水分吸収層2を設けることで、浸入水分の吸収率を上げ、素子の保存耐久性をさらに向上させることができる。
水分吸収層2の厚み(発光面の垂直方向)は、電極の厚みと同じであってもよいし、それより薄くてもよく、適宜の厚みでよいが、電極より薄い方が材料コストや水分吸収性の観点から好ましい。
【0018】
本発明に係る有機電界発光素子の他の実施形態について、その概略断面図を図3に示す。図3に示す有機電界発光素子は、陽極基板1上で、パターン形成された陽極3の該パターン間の領域16に複数層の水分吸収層2を有する素子である。
また、本実施形態の他の態様としては、図4に示すように、陽極3と有機層4との二層を同一パターンで形成し、該パターン間の領域16に水分吸収層2が設けられる素子が挙げられる。
【0019】
以下に、本発明の有機電界発光素子を構成する各層について説明する。
−水分吸収層−
本発明の水分吸収層に用いられる材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、有機物などが挙げられる。
【0020】
前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Csが挙げられる。前記アルカリ金属酸化物としては、NaO、KOなどが挙げられる。前記アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられる。前記アルカリ土類金属酸化物としては、MgO、CaO、SrO、BaOなどが挙げられる。前記硫酸塩としては、LiSO、NaSO、CaSO、MgSO、CoSO、Ga(SO、Ti(SO、NiSOなどが挙げられる。前記金属ハロゲン化物としては、LiF、LiCl、CaCl、MgCl、SrCl、ZnCl、CaBr、MgBr、BaIなどが挙げられる。前記過塩素酸塩としては、Mg(ClO、Ba(ClOなどが挙げられる。前記有機物としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0021】
水分吸収層の形成方法は特に限定されることはないが、なかでも真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム法などが好ましく、陰極の形成法と同じ方法で形成することが好ましい。陰極の形成法と同じ方法で水分吸収層を形成することにより、水分吸収層と陰極とを順不同で連続して形成することができ、工程を簡略化することができる。このため、水分吸収層の材料としては、陰極と同じ材料であるアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルカリ金属酸化物が好ましく、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属が特に好ましい。
【0022】
水分吸収層の厚みは特に限定されることはないが、水分、酸素を吸収する充分な量の水分吸収材料が含まれる厚みであればよい。具体的には、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上であり、この範囲の厚みにすると水分吸収能力を具備できる。また、上限としては好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下であり、この範囲に抑えることで、製膜時間が短く製造コストを低減できる。
【0023】
水分吸収層と電極(またはさらに有機層を有する電極)との間隔は、隣接する電極間の間隔に対して1乃至40%であることが好ましく、10乃至30%であることがより好ましい。
【0024】
本発明の有機電界発光素子では、電極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層を配置することにより、電極と水分吸収層との距離、又は発光層などの有機層を含む電極と水分吸収層との距離が極めて近くなり、陰極又は有機層よりも先に水分吸収層が水分を吸収することにより、陰極や有機層の劣化を防ぐことが可能となる。この結果、長寿命の有機電界発光素子が得られる。さらに水分吸収層を陰極に有する有機電界発光素子の場合、水分吸収層は陰極より吸湿性の高い材料であることが好ましい。
【0025】
−封止層−
封止層の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルメタクリレート,ポリイミド,ポリユリア,ポリテトラフルオロエチレン,ポリクロロトリフルオロエチレン,ポリジクロロジフルオロエチレン,クロロトリフルオロエチレン及びジクロロジフルオロエチレンから選択される2種以上の共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,Tl,Ni等の金属、MgO,SiO,SiO,Al,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe,Y,TiO等の金属酸化物、MgF,LiF,AlF,CaF等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0026】
さらに本発明においては、基板、発光体及び封止層から形成される閉空間内に、水分吸収剤、不活性ガスまたは不活性液体を設けることができる。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等が挙げられる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0027】
封止層は、陽極側と陰極側の両基板を接着し発光体を封止できれば、その厚みや形状は特に限定されない。また、封止層は、上記材料を塗布するなどして、容易に形成することができる。
【0028】
−基板−
本発明で使用する陽極側、陰極側の基板の具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリイミド、等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0029】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、板状の形状が好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、二種以上の部材で形成されていてもよい。
【0030】
基板は、無色透明であってもよいし、不透明であってもよい。通常、光を取り出す側の基板は透明であることが好ましい。
基板には、その表面または裏面(電極層を設ける側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基板には、さらに必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0031】
−陰極−
陰極としては、通常、有機層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。さらに、他の層を陰極が複合して有していてもよい。
【0032】
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0033】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
ここで、アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独またはアルミニウムと0.01〜10重量%のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属との合金もしくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0034】
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳しく、ここに記載のものを本発明でも適宜利用できる。
【0035】
陰極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、本発明においては真空機器内で行うことが好ましい。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記陰極材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、前記陰極の材料として金属等を選択する場合には、その一種または二種以上を同時または順次にスパッタリング法等に従って陰極を基板上に形成することができる。
【0036】
なお、陰極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタリング等により行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0037】
また、陰極と有機層との間に前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。該誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0038】
陰極の厚みとしては、前記陰極材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
【0039】
−有機層−
本発明において、有機層は、少なくとも発光層を含む一層以上の有機化合物からなる層である
【0040】
−−有機層の構成−−
有機層の具体的な層構成としては、発光体(陽極、有機層及び陰極)としての積層構成で記載すると、陽極/発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極等が挙げられる。
【0041】
−−発光層−−
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材を含み、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材としては特に限定されることはなく、蛍光発光性化合物または燐光発光性化合物であれば用いることができる。例えば、蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0042】
燐光発光性化合物としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、またはポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0043】
前記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を含む前記有機層は、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0044】
前記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。
前記オルトメタル化金属錯体は、前記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0045】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は、Inorg. Chem., 1991年, 30号, 1685頁、同1988年, 27号, 3464頁、同1994年, 33号, 545頁、Inorg. Chim. Acta, 1991年, 181号, 245頁、J. Organomet. Chem., 1987年, 335号, 293頁、J. Am. Chem. Soc., 1985年, 107号, 1431頁等、種々の公知の手法で合成することができる。
前記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
前記燐光発光性の化合物は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、前記蛍光発光性化合物と燐光発光性化合物を同時に用いてもよい。
本発明においては、発光輝度、発光効率の点から、前記燐光発光性化合物を用いることが好ましい。
【0046】
前記正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、高分子正孔輸送材いずれも用いることができ、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば限定されることはなく、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80重量%である。
【0047】
前記電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、例えば、以下の材料を挙げることができる。トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。
前記電子輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80重量%である。
【0048】
前記ホスト化合物とは、その励起状態から蛍光発光性化合物または燐光発光性の化合物へエネルギー移動を起こし、その結果、該蛍光発光性または燐光発光性の化合物を発光させる機能を有する化合物のことである。
前記ホスト材としては励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動させることのできる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾ−ル誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
【0049】
前記ホスト化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ホスト化合物の発光層における含有量としては0〜99.9重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜99.0重量%である。
【0050】
発光層に含有させることのできるその他の成分として、必要に応じて、電気的に不活性なポリマーバインダーなどを用いることができる。
この不活性なポリマーバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
発光層が前記ポリマーバインダーを含有していると、該発光層を湿式製膜法により容易にかつ大面積に塗布形成することができる点で有利である。
【0051】
−−他の有機層−−
本発明においては、必要に応じて他の有機層を設けてもよい。例えば、陽極と発光層との間に正孔注入層や正孔輸送層、発光層と陰極との間に電子輸送層や電子注入層を設けてもよい。
【0052】
正孔輸送層、正孔注入層には、前記正孔輸送材が、電子輸送層、電子注入層には前記電子輸送材が好適に用いられる。
【0053】
−−有機層の形成−−
有機層は、蒸着法やスパッタリング法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
【0054】
なかでも、湿式製膜法による塗布形成の場合、有機層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られる点で有利である。なお、これらの製膜法の選択は、有機層の材料に応じて適宜行うことができる。
【0055】
湿式製膜法により製膜した場合は、製膜した後、適宜乾燥を行うことができ、該乾燥の条件としては特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度等を採用することができる。
【0056】
有機層を湿式製膜法で塗布形成する場合、該有機層には、バインダー樹脂を添加することができる。
この場合、該バインダー樹脂としてはポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。
これらは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0057】
また、有機層を湿式製膜法により塗布形成する場合、該有機層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、例えば前記正孔輸送材、前記オルトメタル化錯体、前記ホスト材、前記ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン形容剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
【0058】
なお、塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量としては、特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0059】
また、例えばストライプ状やマトリクス状のパターン状の有機層を形成することもできる。
この場合、パターン状有機層は、(i)微細パターン状の開口部を有するマスク(微細マスク)を使用して形成してもよいし、(ii)凹凸パターンが形成された転写材料の表面を基板に重ね合わせ、転写材料の凸部に形成された有機層を基板上に転写することで形成してもよい。凹凸パターンを転写材料の表面に形成するのは、仮支持体上に有機層を形成した転写材料の表面に所定のパターンの凹凸が形成された押圧部材を押圧することにより可能である。
なお、この(ii)の転写法による微細パターン状の有機層の作製については、特願2002−211120等に詳しく記載されている。
また、(i)の方法で用いるマスクの材質は特に限定されないが、金属、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂等の耐久性があって安価なものが好ましい。またこれらの材料を組み合わせて使用することもできる。また機械的強度及び有機層の転写精度の観点から、マスクの厚さは2〜100μmであるのが好ましく、5〜60μmがより好ましい。
【0060】
−陽極−
陽極としては、通常、有機層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。さらに、適宜他の層を陽極が複合して有していてもよい。
【0061】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO),酸化錫,酸化亜鉛,酸化インジウム,酸化インジウム錫(ITO),酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金,銀,クロム,ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅,硫化銅などの無機導電性物質、前記半導性金属酸化物または金属化合物の分散物、ポリアニリン,ポリチオフェン,ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0062】
陽極は、例えば、本真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
【0063】
なお、陽極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタリング等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0064】
陽極の厚みとしては、前記陽極材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。10Ω/□以下の場合、さらにバスライン電極を設置することにより性能の優れた大面積発光素子を得ることができる。
【0065】
陽極は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。
光を取り出す側の電極は、その可視光域の平均透過率が60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この平均透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。通常、陽極側から光を取り出すことが好ましい。
【0066】
−その他の層−
その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層などが挙げられる。
保護層としては、例えば、特開平7−85974号公報、同7−192866号公報、同8−22891号公報、同10−275682号公報、同10−106746号公報等に記載のものが好適に挙げられる。
保護層の形状、大きさ、厚み等については、適宜選択することができ、その材料としては、水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものを該発光素子内に侵入乃至透過させるのを抑制する機能を有していれば特に制限はなく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム、等が挙げられる。
【0067】
保護層の形成方法としては、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子センエピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法、などが挙げられる。
【0068】
−積層体の形成−
本発明の有機電界発光素子における、陽極基板、陽極、有機層、陰極及び陰極基板がこの順に積層されてなる積層体は、陰極基板上に少なくとも陰極を有する陰極側材料と、陽極基板上に少なくとも陽極を有する陽極側材料とを、少なくとも一方の電極層上に有機層を設けて貼り合わせることにより形成することが好ましい。
この場合、有機層面と陽極もしくは陰極の電極面、または有機層面同士を対面させ、加熱及び/又は加圧することにより、貼り合わせることができる。
【0069】
貼り合わせにおける加熱は、一般に公知の方法を用いることができ、例えば、ラミネータ、赤外線ヒータ、レーザー、熱ヘッド、ヒートローラ等を用いて行うことができる。大面積の素子の際には、加熱手段はラミネータ、赤外線ヒータ、ヒートローラ等が好ましく用いられる。熱ヘッドとしては、例えばファーストラミネータVA−400III(大成ラミネータ(株)製)や、熱転写プリント用の熱ヘッド等を用いることができる。加熱温度は特に限定的でなく、有機層や電極層の材質や加熱部材によって変更することができるが、一般に40〜250℃が好ましく、更に50〜200℃が好ましく、特に60〜180℃が好ましい。
【0070】
貼り合わせにおける加圧の大きさは、0.1〜10MPaが好ましく、0.1〜0.5MPaがより好ましい、0.3MPa程度が特に好ましい。
また、貼り合わせは、減圧雰囲気下で行うこともできる。減圧雰囲気の圧力は、素子の製造装置により適宜好適な圧力を選択することができるが、1×10−3Pa以上1×10−5Pa以下が好ましい。
【0071】
−素子の駆動方法−
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
【0072】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0073】
実施例1
陽極基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極/陰極基板からなる有機EL素子の作製
(A)陰極基板/陰極/電子輸送層(基板A)の作製
厚み50μmのポリイミドシート(ユ−ピレックス50S、宇部興産(株)製)にSiOを厚さ1μmとなるようにスパッタリング法で製膜し、25mm×30mmに裁断して陰極基板とした。
【0074】
この陰極基板に、パターニングした蒸着用のマスクを設置し、0.1mPaの減圧雰囲気中でAuを蒸着し、膜厚0.1μmのリード線を形成した(図5(a))。次いで、パターニングした蒸着用のマスク(0.2mm間隔で0.2mm幅蒸着)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.2μmの陰極を形成した(図5(b))。次に、電子注入材料としてLiFを陰極と同パターンで蒸着し、膜厚3nmの電子注入層を製膜した。
次に、上記マスクを交換し、Al(陰極)およびLiF(電子注入層)蒸着層がパターニングされていない場所にCaを蒸着し、0.2μmの水分吸収層を形成した(図5(c))。
【0075】
次に、蒸着用マスクを交換し、約0.1mPaの減圧雰囲気中で下記構造を有する電子輸送材料を蒸着し、厚さ36nmの電子輸送層を製膜した(図5(d))。
【0076】
【化1】
Figure 2004349169
【0077】
(B)陰極基板/陰極/電子輸送層/発光層(部分積層B)の作製
厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製)からなる4cm角の仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光層用塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ40nmの発光層を仮支持体上に形成した。
【0078】
Figure 2004349169
【0079】
上記(A)で作成した基板Aの電子輸送層面に、この仮支持体上に設けた発光層面を重ね、さらに0.2mm角の凸部が0.2mm間隔で並ぶガラス板の凸部面を仮支持体上に重ねて加熱プレス機を用い160℃、0.3MPa、10秒間加圧した後、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Aの電子輸送層側に発光層を転写して部分積層体Bを作製した(図5(e))。
【0080】
(c)陽極基板/陽極/正孔輸送層(部分積層体C)の作製
0.7mm(厚み)×25mm×30mmのガラス板を陽極基板とし、この陽極基板を真空チャンバー内に導入し、SnO含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板の温度250℃、酸素圧1×10−3Pa)により、厚さ0.2μmのITO薄膜からなるリード線と陽極を形成した(図6(a))。陽極の表面抵抗は10Ω/□であった。この陽極を形成した陽極基板を洗浄容器に入れ、イソプロピルアルコールにより洗浄した後、酸素プラズマ処理を行った。処理した透明電極の表面に、下記組成の正孔輸送層用塗布液をスピンコートした後、縁部をジクロロエタンで拭き、室温で乾燥し、厚さ100nmの正孔輸送層を製膜し、部分積層体Cを作製した(図6(b))。:
【0081】
(正孔輸送層用塗布液)
ホール輸送性化合物(PTPDES): 40質量部
添加剤(TBPA): 10質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
【0082】
【化2】
Figure 2004349169
【0083】
【化3】
Figure 2004349169
【0084】
(D)接着剤(封止層)の塗布
2液硬化型のエポキシ系接着剤20X−325C(スリーボンド(株)製)を用い、部分積層体Cにディスペンサーを用いて、塗布した。この際、部分積層体Bと部分積層体Cが図6(c)に示すように重ねたときに、上記接着剤からなる封止層が、その厚さLが2mmで図6(c)の位置にくるように塗布した。
【0085】
(E)有機電界発光素子(陰極基板/陰極/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/陽極/陽極基板)の作製
上記で得られた部分積層体Bの発光層および部分積層体Cの正孔輸送層を対面させ、図6(c)に示す位置関係になるように重ね合せ、一対の熱ローラを用いて160℃に加熱し、0.3MPaに加圧して、0.05m/minでローラを移動させ、部分積層体Bと部分積層体Cを貼り合せた。
【0086】
(F)有機電界発光素子の評価
上記のようにして得られた有機電界発光素子を以下の方法で評価した。
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機電界発光素子に印加し発光させ、その時の最高輝度Lmaxと、Lmaxが得られた時の電圧Vmaxを求めた。さらに200Cd/m時の発光効率(η200)を求めた。
また、この有機電界発光素子を85℃、95%RHの条件で、30日放置し、30日保存後の発光性能(Lmax max η200)を測定して、耐久性を試験した。
結果を表1に示す。
【0087】
実施例2
実施例1において、水分吸収層の原料をカルシウムの替わりに酸化カルシウムとし、電子ビーム法で成膜したこと以外は、実施例1と同じ方法で有機電界発光素子を作成し、実施例1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
比較例1
実施例1において、カルシウムからなる水分吸収層を蒸着しないこと以外は、実施例1と同じ方法で有機電界発光素子を作成し、評価した。
【0089】
【表1】
Figure 2004349169
【0090】
表1より、本発明の有機電界発光素子は、30日保存後でも発光性能の低下が少ないことが分かる。また、本発明の有機電界発光素子は、比較例1のものと比べ、30日保存後でも暗点部(水分等による画素欠陥)の発生も少なかった。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源に有効に利用でき、耐久性が優れ、高輝度で発光効率が極めて高い、薄膜の有機電界発光素子を提供することができる。
【0092】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概略断面図である。
【図2】図1に示した素子の他の態様を示す概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の概略断面図である。
【図4】図3に示した素子の態様を示す概略断面図である。
【図5】実施例1の素子製造における各製造段階での部分積層体の上面図である。
【図6】実施例1の素子製造における各製造段階での部分積層体の上面図である。
【符号の説明】
1 陽極基板
2 水分吸収層
3 陽極
4 有機層
5 陰極
6 陰極基板
7 封止層
8 正孔輸送層
9 発光層
10 電子輸送層
11 電子注入層
12 リード線
13 発光体
14 積層体
15 閉空間
16 パターン形成された電極間の領域

Claims (7)

  1. 一対の、電極を有する電極基板と、電極間に少なくとも発光層を含む有機層とを有し、一対の電極及び有機層を有する発光体を封止するように一対の電極基板を接着する封止層を有し、少なくとも一方の電極基板は、所定のパターン領域毎に配置された複数の電極と、該電極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 所定のパターン領域毎に配置された複数の電極を有する電極基板が、該複数の電極の上にさらに発光層を有する電極基板であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 少なくとも一方の電極基板は、所定のパターン領域毎に配置された複数の陰極と、該陰極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有する陰極基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 有機層と電極との界面、及び隣接する少なくとも一組の有機層同士の界面の少なくとも一つが、転写又は貼り合わせにより接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法であって、
    少なくとも一層の有機層を有する転写材料と、
    所定のパターン領域毎に配置された複数の電極と、該電極間の間隙の一部又は全部に水分吸収層とを有する電極基板とを対面させて、
    加熱処理及び加圧処理の少なくとも一つによって、前記電極基板の電極側に前記少なくとも一層の有機層を転写する工程を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  6. 所定のパターン領域毎に配置された複数の電極を有する電極基板が、該複数の電極の上にさらに発光層を有する電極基板であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記有機層を転写する工程の後に、少なくとも電極を有する電極基板を貼り合わせる工程をさらに有することを特徴とする請求項5又は6に記載の製造方法。
JP2003146528A 2003-05-23 2003-05-23 有機電界発光素子及びその製造方法 Pending JP2004349169A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003146528A JP2004349169A (ja) 2003-05-23 2003-05-23 有機電界発光素子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003146528A JP2004349169A (ja) 2003-05-23 2003-05-23 有機電界発光素子及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004349169A true JP2004349169A (ja) 2004-12-09

Family

ID=33533355

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003146528A Pending JP2004349169A (ja) 2003-05-23 2003-05-23 有機電界発光素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004349169A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009238474A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Tokai Rubber Ind Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPWO2008023626A1 (ja) * 2006-08-25 2010-01-07 コニカミノルタホールディングス株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
US10403838B2 (en) 2014-09-22 2019-09-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Photoelectric conversion device

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2008023626A1 (ja) * 2006-08-25 2010-01-07 コニカミノルタホールディングス株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP2009238474A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Tokai Rubber Ind Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
US10403838B2 (en) 2014-09-22 2019-09-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Photoelectric conversion device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6767807B2 (en) Method for producing organic thin film device and transfer material used therein
JP3942017B2 (ja) 発光素子
JP4382961B2 (ja) 発光素子
JP4010845B2 (ja) 発光素子
JP4112800B2 (ja) 発光素子及びその製造方法
US20040164671A1 (en) Organic light emitting diode
JP2004079301A (ja) 発光素子およびその製造方法
JP2004296219A (ja) 発光素子
JP2004055333A (ja) 発光素子用塗布液及び発光素子の製造方法
JP2005521209A (ja) 有機薄膜素子及びその製造方法
JP2006302636A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、表示装置および照明装置
JP2003297561A (ja) 有機薄膜素子の製造方法及び有機薄膜素子
JP2003133080A (ja) 発光素子
JP4187149B2 (ja) 有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子
JP2004342407A (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
JP2004079300A (ja) 発光素子及びその製造方法
JP2004349169A (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
WO2010110347A1 (ja) 有機電界発光素子及び有機電界発光素子の製造方法
JP2002260854A (ja) 転写材料及び有機薄膜素子の製造方法
JP4119084B2 (ja) 発光素子の製造方法
JP2007103093A (ja) 有機電界発光素子
JP4270361B2 (ja) 転写材料及び有機薄膜素子の製造方法
JP2012084534A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2003297563A (ja) 有機薄膜素子の製造方法及び有機薄膜素子
JP4112799B2 (ja) 発光素子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060325