JP2004347984A - プロジェクタ - Google Patents

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Toshiyuki Hosaka
俊幸 保坂
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Abstract

【課題】背面投射方式および前面投射方式でそれぞれ表示される各画像の左右が反転して表示される事態を確実に防止する。
【解決手段】本体部2における開口部2aの開閉を可能に構成された透過型スクリーン7と、画像G1を透過型スクリーン7に表示可能な背面投射用の投射光および画像G1に対して左右非反転の画像を反射型スクリーンに表示可能な前面投射用の投射光を切り替えて投射可能に構成された投射部とを備えたプロジェクタ1であって、透過型スクリーンによる開口部2aの開閉を検出するための検出信号を出力する検出手段と、検出信号に基づいて開口部2aの開閉を判別すると共に、投射部に対して、開口部2aの閉塞を判別したときに背面投射用の投射光を投射させ、かつ開口部2aの開放を判別したときに前面投射用の投射光を投射させる制御部とを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型スクリーンの背面に背面投射用の投射光を投射することによって画像を表示すると共に、反射型スクリーンの前面に前面投射用の投射光を投射することによって画像を表示可能に構成されたプロジェクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のプロジェクタとして、出願人は、透過型スクリーン(光透過スクリーン)の脱着および交換が可能なプロジェクタ(リア型プロジェクタ)を特開平3−83036号公報に開示している。このプロジェクタは、筐体(12)、透過型の小型スクリーン(309)、透過型の大型スクリーン(309)、および投写ユニット(300)を備えて構成されている。この場合、小型スクリーン(309)および大型スクリーン(309)は、筐体(12)にそれぞれ脱着可能に構成されている。このため、このプロジェクタでは、小型スクリーン(309)および大型スクリーン(309)のうちのいずれか一方を選択して(交換して)筐体(12)に装着することが可能になっている。また、投写ユニット(300)は、筐体(12)の内部に収容されて、筐体(12)に装着された小型スクリーン(309)または大型スクリーン(309)の背面に投射光(投写光)を投射することによってスクリーンサイズに応じたサイズの画像を背面投射方式(リアプロジェクション方式)で表示可能に構成されている。
【0003】
一方、このプロジェクタでは、小型スクリーン(309)および大型スクリーン(309)のいずれもが装着されていない状態では、筐体(12)の正面の開口部から例えば大型の反射型スクリーン(309)の前面に投射光を投射することにより、大画面の画像を前面投射方式(フロントプロジェクション方式)で表示することが可能になっている。したがって、このプロジェクタでは、互いにサイズの異なる3つのスクリーンの中から選択したスクリーンにそのスクリーンサイズに応じたサイズの画像を表示させることができるため、例えば、少人数向けのビデオ上映や多人数向けのプレゼンテーションなどの数多くの利用形態に対応することが可能になっている。
【0004】
この場合、背面投射方式では、透過型スクリーンの背面に投射した投射光を前面側に拡散させつつ透過させることで画像を表示している。一方、前面投射方式では、反射型スクリーンの前面に投射した投射光を前面側に拡散させつつ反射させることで画像を表示している。したがって、同じ投射光を投射したときには、両スクリーンにそれぞれ表示される画像は、その左右が互いに反転することとなる。このため、一般的には、この種のプロジェクタでは、切替ボタンが配設されており、この切替ボタンを操作することにより、各々に施された陰影の左右を互いに反転させた背面投射用の投射光と前面投射用の投射光とを切り替えて投射可能に構成されている。したがって、背面投射方式で表示される画像(上記のプロジェクタでは、小型スクリーン(309)や大型スクリーン(309)に表示される画像)と、前面投射方式で表示される画像(上記のプロジェクタでは、反射型スクリーン(309)に表示される画像)との左右反転を防止することが可能となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−83036号公報(第2−3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種のプロジェクタには、以下の改善すべき課題がある。すなわち、この種のプロジェクタでは、背面投射用の投射光と前面投射用の投射光とを切り替えて投射するためには、切替ボタンの手動操作が必要となっている。この場合、左右の方向を認識可能な図柄(例えば文字)が含まれていない画像を表示したときには、たとえ切替ボタンを操作し忘れて左右が反転したとしても、そのことを認識するのが困難なことがある。したがって、この種のプロジェクタには、切替ボタンを操作し忘れたときに左右反転した画像が表示されるという不都合があり、これを改善するのが好ましい。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、背面投射方式および前面投射方式でそれぞれ表示される各画像の左右が反転して表示される事態を確実に防止し得るプロジェクタを提供することを主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係るプロジェクタは、その正面側に開口部が形成された本体部と、前記開口部の開閉を可能に構成された透過型スクリーンと、当該透過型スクリーンの背面に投射されることによって画像を表示可能な背面投射用の投射光および反射型スクリーンの前面に投射されることによって前記画像に対して左右非反転の画像を表示可能な前面投射用の投射光を切り替えて投射可能に構成されると共に前記本体部に収容された投射部とを備えたプロジェクタであって、前記透過型スクリーンによる前記開口部の開閉を検出するための検出信号を出力する検出手段と、前記検出信号に基づいて前記開口部の開閉を判別すると共に、前記投射部に対して、前記開口部の閉塞を判別したときに前記背面投射用の投射光を投射させ、かつ前記開口部の開放を判別したときに前記前面投射用の投射光を投射させる制御部とを備えている。
【0009】
このプロジェクタでは、検出手段が、透過型スクリーンによる開口部の開閉(開放および閉塞)を検出するための検出信号を出力し、制御部が、検出信号に基づいて開口部の開閉を判別する。この場合、制御部は、投射部に対して、開口部の閉塞を判別したときに背面投射用の投射光を投射させ、開口部の開放を判別したときに前面投射用の投射光を投射させる。これにより、開口部が閉塞されているときには、透過型スクリーンの背面に背面投射用の投射光が投射されて画像が表示される。また、開口部が開放されているときには、例えば開口部の前方に配設された反射型スクリーンの前面に前面投射用の投射光が投射されて、透過型スクリーンに表示される画像に対して左右非反転の画像が表示される。この場合、従来のプロジェクタとは異なり、切替ボタンを操作することなく透過型スクリーンを開閉するだけで、背面投射用の投射光および前面投射用の投射光が制御部の制御によって自動的に切り替えて投射される。したがって、例えば切替ボタンの操作のし忘れによって透過型スクリーンおよび反射型スクリーンに表示される各画像(つまり、背面投射方式で表示される画像および前面投射方式で表示される画像)の左右が反転するという不都合を確実に防止することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係るプロジェクタは、上記のプロジェクタにおいて、前記投射部は、対向する前記透過型スクリーンおよび前記反射型スクリーンのいずれかとの間の距離を検出して前記検出信号としての距離検出信号を出力する距離検出部を前記検出手段として備えると共に、前記距離検出信号に基づく自動焦点調整を実行可能に構成され、前記制御部は、前記距離検出信号に基づいて前記開口部の開閉を判別する。
【0011】
このプロジェクタでは、投射部内の距離検出部が、対向する透過型スクリーンおよび反射型スクリーンのいずれかとの間の距離を検出して距離検出信号を出力し、投射部が、距離検出信号に基づいて自動焦点調整を実行する。このため、手動で焦点調整を行うことなく画像を鮮明に表示することが可能となる。また、制御部が、距離検出部から出力された距離検出信号に基づいて開口部の開閉を判別する。このため、開口部の開閉を検出する専用の検出手段を設けることなく、自動焦点調整用の距離検出部を利用して背面投射用の投射光および前面投射用の投射光を切り替えて投射することができるため、その分だけプロジェクタを簡易かつ安価に構成することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るプロジェクタは、上記のプロジェクタにおいて、前記制御部は、前記距離検出信号によって特定される距離に応じた光量で前記投射部に対して前記投射光を投射させる。
【0013】
このプロジェクタでは、制御部が、距離検出信号によって特定される距離に応じた光量で投射部に対して背面投射用の投射光または前面投射用の投射光のいずれかを投射させる。このため、手動で光量調整を行うことなく確実かつ容易に背面投射画像および前面投射画像を見易い明るさで表示させることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るプロジェクタの好適な実施の形態について説明する。
【0015】
最初に、プロジェクタ1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示すプロジェクタ1は、本発明に係るプロジェクタの一例であって、背面投射方式で例えば同図に示す画像G1をスクリーンパネル7に表示し、かつ、図7に示すように、前面投射方式で例えば画像G2をスクリーンパネル8に表示可能に構成されている。具体的には、プロジェクタ1は、図2に示すように、本体部2、投射部3、ROM4、制御部5、画像データ処理部6およびスクリーンパネル7,8を備えて構成されている。なお、プロジェクタ1は、実際には、音声信号処理部およびスピーカ等を備えているが、本発明についての理解を容易とするために、これらについての図示および説明を省略する。本体部2は、図1,5に示すように、全体として箱形に形成されて、正面側(同図では右側)に開口部2aが形成されている。この場合、本体部2には、投射部3、ROM4、制御部5および画像データ処理部6が収容されている。
【0016】
投射部3は、図2に示すように、光変調ユニット11、投射レンズ12および距離センサ13を備えている。この場合、投射部3は、図4,6に示すように、本体部2の内部における背面側に配設されて、背面投射用の投射光L1や前面投射用の投射光L2(以下、区別しないときには「投射光L」ともいう)を前方に投射する。光変調ユニット11は、図3に示すように、光源21、光分離光学系22、光変調光学系23、およびプリズム24を備えて構成されている。光源21は、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等の光源ランプ、リフレクタ、および集光レンズを備えて構成されて、白色光を射出する。光分離光学系22は、一例として、複数のダイクロイックミラー、および複数の全反射ミラーを備えて構成されて、光源21から射出された白色光を赤色光、緑色光および青色光に分離して光変調光学系23に案内する。光変調光学系23は、光分離光学系22によって分離された赤色光、緑色光および青色光に対して制御部5から出力される画像データD1,D2(図2参照)に基づく陰影をそれぞれ施すことによって光変調する3つの液晶ライトバルブを備えて構成されている。この場合、各液晶ライトバルブにおける光の入射側および射出側には、図示しない入射側偏光板および射出側偏光板がそれぞれ配設されている。プリズム24は、光変調光学系23の各液晶ライトバルブによって光変調された赤色光、緑色光および青色光を合成して投射光Lを射出する。
【0017】
投射レンズ12は、一例として、オートフォーカス機能を備えた(自動焦点調整を実行可能な)ズームレンズであって、複数のレンズおよび駆動機構を備えて構成されている。この場合、投射レンズ12は、制御部5の制御下で、投射光L1,L2を所定の拡大率で拡大すると共に、スクリーンパネル7,8に表示する画像の自動焦点調整を実行する。
【0018】
距離センサ13は、本発明における距離検出部に相当し、一例として、対向する測定対象体(この場合、スクリーンパネル7,8)との間の距離を赤外線方式で検出する。この場合、距離センサ13は、赤外線Rs(図2,4,6参照)を出力する赤外線光源と、スクリーンパネル7,8で反射した赤外線Rsの反射光Rr(同図参照)を受光してスクリーンパネル7,8と距離センサ13との間の距離(検出距離)を特定可能な距離検出信号S2を出力する赤外線センサとを備えて構成されている。
【0019】
ROM4は、制御部5の動作プログラムなどを記憶する。また、ROM4は、本体部2の開口部2aを閉塞した状態(閉じられた状態)におけるスクリーンパネル7と距離センサ13との距離(規定距離)を示す規定距離データD3を記憶する。さらに、ROM4は、画像を見易い明るさ(適正な明るさ)で表示するための光源ランプの発光量(投射光Lの光量)や、スクリーンパネル7,8の全域に亘って画像を大きく(適正な大きさで)表示するための投射光Lの拡大率などを特定可能な適正値データD4を記憶する。この適正値データD4には、距離センサ13とスクリーンパネル7,8との間の距離に対応させられた発光量および拡大率に関する複数のデータが含まれている。この場合、一例として、発光量は距離に比例するように規定され、拡大率は距離に反比例するように規定されている。
【0020】
制御部5は、プロジェクタ1の各部を総括的に制御する。また、制御部5は、図外の光源ランプ駆動部を制御して、光源21の光源ランプを発光させる。この場合、制御部5は、距離センサ13から出力される距離検出信号S2によって特定される検出距離に対応する発光量をROM4に記憶されている適正値データD4に基づいて特定して、その発光量で光源ランプを発光させる。また、制御部5は、距離検出信号S2によって特定される検出距離と、ROM4に記憶されている規定距離データD3によって示される規定距離とを比較することによって開口部2aの開閉(スクリーンパネル7の開閉)を判別する。具体的には、制御部5は、検出距離が規定距離以下のときには、開口部2aが閉塞されていると判別し、検出距離が規定距離よりも長いときには、開口部2aが開放されていると判別する。この場合、制御部5は、開口部2aが閉塞されていると判別したときには、画像データ処理部6から出力される画像データD1を投射部3(光変調光学系23の各液晶ライトバルブ)に転送することにより、背面投射用の投射光L1を投射させる。一方、制御部5は、開口部2aが開放されていると判別したときには、画像データD1を変換して生成した画像データD2を投射部3に出力することにより、前面投射用の投射光L2を投射させる。この場合、制御部5は、画像データD1,D2に基づく各陰影(液晶ライトバルブによって光に施される陰影)の左右が互いに反転するように画像データD1を画像データD2に変換する。
【0021】
また、制御部5は、投射部3の投射レンズ12に対して投射光Lの拡大、および画像の焦点調整を実行させる。この場合、制御部5は、距離センサ13から出力される距離検出信号S2によって特定される検出距離に対応する拡大率をROM4に記憶されている適正値データD4に基づいて特定して、その拡大率で投射光Lを拡大させる。画像データ処理部6は、プロジェクタ1の外部から入力した画像信号S1を変換して画像データD1を出力する。
【0022】
スクリーンパネル7は、透過型のスクリーンであって、一例として、光を平行光に変換するフレネルレンズ、およびフレネルレンズによって変換された平行光を拡散しつつ透過するレンチキュラレンズを備えて構成されて、その背面に投射された投射光L1を前面側に拡散することによって前面側から視認可能な画像(例えば図1に示す画像G1)を表示(結像)する。また、スクリーンパネル7は、本体部2の開口部2aよりもやや大きめの長方形の板状に形成されると共に、図1,5に示すように、開口部2aの縁部に例えば蝶番を介して開口部2aを開閉(開放または閉塞)可能に取り付けられている。
【0023】
スクリーンパネル8は、反射型の大形スクリーンであって、一例として、樹脂(例えば塩化ビニール)製のシートにアルミニウムの微粒子を塗布して形成されて、その前面に投射された投射光L2を前面側(投射側)に拡散しつつ反射することによって前面側から視認可能な画像を表示(結像)する。
【0024】
次に、プロジェクタ1の全体的な動作について、図面を参照して説明する。このプロジェクタ1では、スクリーンパネル7に画像を表示させる際には、まず、スクリーンパネル7を閉じて(開口部2aを閉塞して)電源を投入する。これに応じて、投射部3の距離センサ13が、図4に示すように、赤外線Rsを射出する。この際に、赤外線Rsがスクリーンパネル7で反射して、その反射光Rrが距離センサ13に入射する。この際に、距離センサ13は、例えば反射光Rrの強度に応じた距離検出信号S2を出力する。以後、距離センサ13は、所定の周期で赤外線Rsの射出および距離検出信号S2の出力を繰り返して実行する。次いで、制御部5が、距離センサ13から出力された距離検出信号S2によって特定される検出距離と、ROM4に記憶されている規定距離データD3によって示される規定距離とを比較することにより、スクリーンパネル7の開閉を判別する。この場合、制御部5は、検出距離と規定距離とが同じため、スクリーンパネル7が閉じられていると判別する。
【0025】
続いて、制御部5は、図外の光源ランプ駆動部に対して光源21に電流を供給させることによって光源ランプを発光させると共に、画像データ処理部6から出力された画像データD1を光変調光学系23に転送する。これに応じて、光源21の光源ランプが発光して白色光を射出する。この際に、制御部5は、ROM4に記憶されている適正値データD4に基づいて検出距離に対応する発光量を特定して、その発光量で光源ランプを発光させる。したがって、画像を見易い明るさで表示するのに十分な光量の白色光が光源21から射出される。次に、光源21から射出された白色光は、光分離光学系22によって赤色光、緑色光および青色光に分光されて光変調光学系23の各液晶ライトバルブに案内される。次いで、光変調光学系23の各液晶ライトバルブが、制御部5によって転送された画像データD1に基づく陰影を赤色光、緑色光および青色光に施して光変調する。
【0026】
続いて、プリズム24が、各液晶ライトバルブによって光変調された赤色光、緑色光および青色光を合成して投射光L1を射出する。続いて、投射レンズ12が、プリズム24から射出された投射光L1を拡大してスクリーンパネル7に投射する。この際に、投射レンズ12は、制御部5の制御に従い、スクリーンパネル7までの距離(検出距離)に対応する拡大率で投射光L1を拡大すると共に、焦点調整を実行する。これにより、図1に示すように、スクリーンパネル7に画像G1が表示される。この場合、光源21が十分な発光量で発光している(投射光L1が十分な光量で投射されている)ため、画像G1が見易い明るさで表示される。また、投射レンズ12によって焦点調整がされているため、画像G1が鮮明に表示される。さらに、投射光L1が検出距離に対応する適正な拡大率で拡大されているため、画像G1がスクリーンパネル7の全域に亘って表示される。なお、光源ランプの光量調整、および画像の焦点調整を手動操作で行うこともできる。
【0027】
一方、スクリーンパネル8に画像を表示させる際には、図7に示すように、まず、スクリーンパネル8を本体部2の前方(開口部2aの前方)に設置する。次に、図5に示すようにスクリーンパネル7を開放する。この際に、距離センサ13は、図6に示すように、赤外線Rsを射出すると共に、スクリーンパネル8で反射した赤外線Rsの反射光Rrを受光して距離検出信号S2を制御部5に出力する。続いて、制御部5は、距離検出信号S2によって特定される検出距離と規定距離とを比較する。この場合、制御部5は、検出距離が規定距離よりも長いため、開口部2aが開放されている(スクリーンパネル8が開けられている)と判別する。
【0028】
次いで、制御部5は、光源ランプ駆動部に対して光源21に電流を供給させることによって光源ランプを発光させる。この際に、制御部5は、ROM4に記憶されている適正値データD4に基づいて投射部3とスクリーンパネル8との間の距離(検出距離)に対応する発光量を特定して、その発光量で光源ランプを発光させる。この場合、発光量は、投射部3とスクリーンパネル8との間の距離に比例して規定されている。したがって、たとえ投射部3とスクリーンパネル8との間の距離が長い場合であったとしても、画像を見易い明るさで表示するのに十分な光量の白色光が光源21から射出される。続いて、制御部5は、画像データD1を変換することにより、投射光L2を投射させるための画像データD2を生成して出力する。次に、光変調光学系23の各液晶ライトバルブが、光分離光学系22によって分離された赤色光、緑色光および青色光を画像データD2に基づく陰影を施した赤色光、緑色光および青色光にそれぞれ光変調する。この場合、画像データD2に基づく陰影は、画像データD1に基づく陰影とはその左右が反転している。このため、これらの赤色光、緑色光および青色光には、投射光L1を構成する赤色光、緑色光および青色光に施された陰影とはその左右が反転した陰影が施される。
【0029】
次いで、プリズム24が、光変調された赤色光、緑色光および青色光を合成して投射光L2を射出する。続いて、投射レンズ12が、投射光L2を拡大してスクリーンパネル8の前面に投射する。この際に、投射レンズ12は、制御部5の制御に従い、スクリーンパネル8までの距離(検出距離)に対応する拡大率で投射光L2を拡大すると共に、焦点調整を実行する。次に、スクリーンパネル8に投射された投射光L2は、スクリーンパネル8によって前面側に拡散されつつ反射される。これにより、図7に示すように、スクリーンパネル8に画像G2が表示される。この場合、投射光L2を構成する赤色光、緑色光および青色光に施された陰影は、投射光L1を構成する赤色光、緑色光および青色光に施された陰影とはその左右が反転している。このため、同図に示すように、画像G2は、画像G1に対して左右非反転で表示される。また、光源21が十分な発光量で発光している(投射光L2が十分な光量で投射されている)ため、画像G2が見易い明るさで表示される。また、投射レンズ12によって焦点調整がされているため、画像G2が鮮明に表示される。さらに、投射光L2が検出距離に対応する適正な拡大率で拡大されているため、画像G2がスクリーンパネル8の全域に亘って最も大きく表示される。
【0030】
一方、このプロジェクタ1では、プロジェクタ1の作動中に(例えばスクリーンパネル7に画像G1を表示させている状態で)、スクリーンパネル7に対する画像表示からスクリーンパネル8に対する画像表示に切り替えたり、これとは逆にスクリーンパネル8に対する画像表示からスクリーンパネル7に対する画像表示に切り替えたりすることもできる。この場合、例えばスクリーンパネル7に対する画像表示からスクリーンパネル8に対する画像表示に切り替える際には、スクリーンパネル8を本体部2の前方に設置した後に、スクリーンパネル7を開いて開口部2aを開放する。次に、上記した処理と同様にして、制御部5が、距離センサ13によって出力された距離検出信号S2によって特定される検出距離と規定距離とを比較する。この場合、制御部5は、検出距離が規定距離よりも長いため、開口部2aが開放されていると判別する。次いで、制御部5は、検出距離に対応する発光量で光源21を発光させると共に、画像データD1に代えて画像データD2を光変調光学系23に出力する。これにより、投射部3は、投射光L1に代えて、投射光L2を投射する。この際に、投射レンズ12は、制御部5の制御に従い、検出距離に対応する拡大率で投射光L2を拡大すると共に、焦点調整を実行する。これにより、見易い明るさでかつ鮮明な画像G2がスクリーンパネル8全域に亘って表示される。
【0031】
これに対して、スクリーンパネル8に対する画像表示からスクリーンパネル7に対する画像表示に切り替える際には、スクリーンパネル7を閉じて開口部2aを閉塞する。次に、上記した処理と同様にして、制御部5が、検出距離と規定距離とを比較する。この場合、制御部5は、検出距離が規定距離と同じため、開口部2aが閉塞されていると判別して、検出距離に対応する発光量で光源21を発光させると共に、画像データD2に代えて画像データD1を光変調光学系23に出力する。これにより、投射部3が、投射光L2に代えて、投射光L1を投射する。この際に、投射レンズ12は、制御部5の制御に従い、検出距離に対応する適正な拡大率で投射光L1を拡大すると共に、焦点調整を実行する。これにより、見易い明るさでかつ鮮明な画像G1がスクリーンパネル7の全域に亘って表示される。
【0032】
このように、このプロジェクタ1によれば、制御部5が、開口部2aの開閉(開放および閉塞)を判別すると共に、投射部3に対して、閉塞を判別したときに投射光L1を投射させ、開放を判別したときに投射光L2を投射させることにより、手動による切替操作を行うことなく、スクリーンパネル7の開閉だけで投射光L1および投射光L2を自動で切り替えることができる。したがって、例えば切替ボタンの操作し忘れに起因して左右反転した画像を表示するという不都合を確実に防止することができる。
【0033】
また、オートフォーカス機能を有する投射レンズ12を備えた投射部3を採用したことにより、手動による焦点調整を行うことなく確実かつ容易に画像G1,G2を鮮明に表示させることができる。また、制御部5が、投射部3の距離センサ13から出力された距離検出信号S2に基づいて開口部2aの開閉を判別することにより、距離検出用の専用スイッチ等を設けることなくオートフォーカス用の距離センサ13を利用して投射光L1および投射光L2を切り替えて投射させることができるため、その分だけプロジェクタ1を簡易かつ安価に構成することができる。
【0034】
さらに、制御部5が、距離センサ13から出力された距離検出信号S2に基づく検出距離(投射部3とスクリーンパネル7またはスクリーンパネル8との間の距離)に対応する適正な(十分な)光量で光源21を発光させることにより、手動による光量調整を行うことなく確実かつ容易に画像G1,G2を見易い明るさで表示させることができる。
【0035】
なお、本発明は、上記した本発明の実施の形態に限定されない。例えば、本発明の実施の形態では、スクリーンパネル7を本体部2に開閉可能に取り付けた例について説明したが、これに限定されず、本体部2の正面側に対して脱着可能でかつ開口部2aの開閉(開放および閉塞)を可能に構成した透過型スクリーンパネルを採用することもできる。また、本発明の実施の形態では、制御部5が、距離センサ13から出力される距離検出信号S2に基づいて開口部2aの開閉を判別する例について説明したが、例えば本体部2の開口部2aの縁部にスクリーンパネル7の開閉によってオン/オフするドアスイッチを配設して、そのドアスイッチのスイッチ信号に基づいて開口部2aの開閉を判別させることもできる。
【0036】
また、投射部3の距離センサ13としては、赤外線方式に限定されず、例えば超音波方式の距離センサなどの各種距離センサを採用することができる。さらに、投射レンズ12としては、必ずしもオートフォーカス機能を有している必要はなく、焦点調整を手動操作でのみ実行可能な投射レンズを採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロジェクタ1の斜視図である。
【図2】プロジェクタ1の構成を示すブロック図である。
【図3】光変調ユニット11の概略構成を示す平面図である。
【図4】プロジェクタ1の概略構成を示す断面図である。
【図5】スクリーンパネル7を開放した状態のプロジェクタ1の斜視図である。
【図6】スクリーンパネル8に投射光L2を投射している状態のプロジェクタ1の断面図である。
【図7】スクリーンパネル8に画像G2を投射表示している状態のプロジェクタ1およびスクリーンパネル8の斜視図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ、2 本体部、2a 開口部、3 投射部、5 制御部、7,8 スクリーンパネル、13 距離センサ、21 光源、S2 距離検出信号、G1,G2 画像、L1,L2 投射光

Claims (3)

  1. その正面側に開口部が形成された本体部と、前記開口部の開閉を可能に構成された透過型スクリーンと、当該透過型スクリーンの背面に投射されることによって画像を表示可能な背面投射用の投射光および反射型スクリーンの前面に投射されることによって前記画像に対して左右非反転の画像を表示可能な前面投射用の投射光を切り替えて投射可能に構成されると共に前記本体部に収容された投射部とを備えたプロジェクタであって、
    前記透過型スクリーンによる前記開口部の開閉を検出するための検出信号を出力する検出手段と、前記検出信号に基づいて前記開口部の開閉を判別すると共に、前記投射部に対して、前記開口部の閉塞を判別したときに前記背面投射用の投射光を投射させ、かつ前記開口部の開放を判別したときに前記前面投射用の投射光を投射させる制御部とを備えているプロジェクタ。
  2. 前記投射部は、対向する前記透過型スクリーンおよび前記反射型スクリーンのいずれかとの間の距離を検出して前記検出信号としての距離検出信号を出力する距離検出部を前記検出手段として備えると共に、前記距離検出信号に基づく自動焦点調整を実行可能に構成され、
    前記制御部は、前記距離検出信号に基づいて前記開口部の開閉を判別する請求項1記載のプロジェクタ。
  3. 前記制御部は、前記距離検出信号によって特定される距離に応じた光量で前記投射部に対して前記投射光を投射させる請求項2記載のプロジェクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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