JP2004347717A - フォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法 - Google Patents

フォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パターン形成の露光時間を短縮させて生産性の向上を図り、露光後の後処理が必要でなく、パターン精度を良好にできるフォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法を提供する。
【解決手段】フォトマスク基板の少なくとも光透過パターン領域に定サイズの光触媒微粒子を飛翔付着させた光触媒膜を有するフォトマスクである。フォトマスク基板の光透過パターン領域を帯電させ、光触媒溶液のミストを逆極性に帯電させて前記フォトマスクに向けて飛翔させ、ミスト中の溶媒を飛翔中に蒸発させて前記光透過パターン領域に光触媒微粒子を付着させて成膜する。触媒溶液のミストを発生させる手段と、前記ミストを帯電させる手段と、フォトマスク基板全体もしくは部分的に前記ミストとは逆極性に帯電させる手段とを有し、フォトマスク基板の少なくとも光透過パターン領域に光触媒膜を成膜可能としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法に係り、特に半導体回路パターンを形成する際に用いられるフォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや液晶デバイスなどのデバイスにおいては、素子や配線などの微細なパターンが高密度に形成されている。従来、このような微細なパターンは、特許文献1に記載されているように、一般にフォトリソグラフィー技術を利用したエッチング(フォトエッチング)法によって形成していた。すなわち、例えば配線パターンを形成する場合、まず絶縁膜の表面にスパッタリングや蒸着またはCVDなどによって金属薄膜を形成する。その後、金属薄膜の上にフォトレジストを塗布してレジスト膜を形成し、これを露光、現像してレジスト膜をパターニングする。さらに、パターニングしたレジスト膜をマスクとして金属薄膜をプラズマエッチングなどによりエッチングし、不要な部分の金属薄膜を除去する。その後、レジスト膜をアッシングして除去することにより、絶縁膜の表面に所定の配線パターンが形成される。
【0003】
【特許文献1】特開平5−144775号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のパターンの形成は、薄膜の形成→マスクの形成→薄膜のエッチング→マスクの除去、という多くの工程を経て形成される。このため、従来のパターン形成方法は、多くの手間と時間とを必要とする。また、従来のパターン形成方法においては、薄膜の形成や薄膜のエッチングを真空中で行なっており、高価な真空装置を必要とするとともに、高い真空度にして保持するために多くのエネルギーと時間とを必要とする。これらは、半導体デバイスや液晶デバイスなどの生産効率を高めるための障害となっており、生産コスト低減の妨げとなっている。しかも、真空装置の洗浄にCHFやCFなどの温暖化係数の高いハイドロフルオロカーボン類(HFC)やパーフルオロカーボン類(PFC)を使用するため、環境への負荷が大きい。
【0005】
この点に関し、マスクの下地をエッチングで除去するという手法からマスクパターンによって形成された溝や穴からなる凹部を埋める手法に変換すれば、埋め込む材料を液相状態で簡単に塗布することができ、大気圧下で簡単にパターン形成ができる可能性がある。かかる手法では露光処理によってパターニングが完成する。これは撥液膜を基板に形成し、マスクを介して露光することで光照射部分が分解して親液性となることを利用する。しかし、この場合、パターニングの際の露光に時間を要してしまい、上述の有益性をうまく利用することができないものとなっている。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に着目し、パターン形成の露光時間を短縮させて生産性の向上を図ることができるようなフォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。また露光後の後処理が必要でなく、パターン精度を良好にできるフォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るフォトマスクは、フォトマスク基板の少なくとも光透過パターン領域に定サイズの光触媒微粒子を飛翔付着させた光触媒膜を有することを特徴とする。また、マスクパターンが形成されたマスク基板と、前記マスクパターンの少なくとも反転パターン領域部分に定サイズの光触媒微粒子を飛翔付着させた光触媒膜を成膜した透明基板とを積層一体化してなることを特徴とする。これらの場合において、前記光触媒微粒子は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、硫化モリブテン、硫化亜鉛及び硫化カドミウムから選択される1種または2種以上の金属や金属化合物とすることができる。
【0008】
本発明に係るフォトマスクの製造方法は、フォトマスク基板の光透過パターン領域を帯電させ、光触媒溶液のミストを逆極性に帯電させて前記フォトマスクに向けて飛翔させ、ミスト中の溶媒を飛翔中に蒸発させて前記光透過パターン領域に光触媒微粒子を付着させて成膜することを特徴とする。フォトマスク基板の光透過パターン領域を帯電させ、光触媒溶液のミストを逆極性に帯電させて前記フォトマスクに向けて噴霧し、ミスト噴霧による飛翔でのアニール効果によって微粒子化した光触媒微粒子を前記光透過パターン領域に付着させて成膜するようにしてもよい。
【0009】
更に、本発明に係るフォトマスク製造装置は、光触媒溶液のミストを発生させる手段と、前記ミストを帯電させる手段と、フォトマスク基板全体もしくは部分的に前記ミストとは逆極性に帯電させる手段とを有してフォトマスク基板の少なくとも光透過パターン領域に光触媒膜を成膜可能としてなることを特徴とする。この場合、前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域にはミスト加熱手段を設けるように構成できる。また、前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域を真空にし、あるいは前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域を酸化雰囲気にするようにしてもよい。
【0010】
本発明に係るパターン形成方法は、基板の表面に撥液膜を設け、形成パターンを有するフォトマスクと、このフォトマスクには選択的に光透過パターン部分に成膜された前記撥液膜の分解用光触媒膜を設け、前記基板とフォトマスクを積層して露光することによりパターニングを行い、親液部分に少なくとも金属を含む溶液を塗布して焼成するようにすればよい。パターン形成基板の表面に撥液膜を設け、形成パターンに対応したパターン形状に成膜された前記撥液膜の分解用光触媒膜を透明基板に成膜して、この透明基板を介して露光することによりパターニングを行い、撥液膜の分解用光触媒膜の成膜領域と非成膜領域の分解速度相違を利用してパターニングするようにできる。更に、光透過型のパターン形成基板の表面に撥液膜を設け、形成パターンを有するフォトマスクにおける前記形成パターン表面部に前記撥液膜の分解用光触媒膜を成膜し、前記光透過型のパターン形成基板側から撥液膜分解用光を照射することにより前記形成パターンによる反射光を併用して光量を増加せしめて撥液膜を露光することによりパターニングするようにしてもよい。
【0011】
本発明に利用されるエアロゾル(気相)プロセスは、新しいナノ粒子の配列技術であり液相中のナノ粒子を静電噴霧法(エレクトロスプレー)によってエアロゾル化し、正または負に帯電させエアロゾル化したナノ粒子を直接基板上へ配列するものである。この技術を用いてマスクに光触媒膜を形成することにより、マスク全面もしくは選択的(マスクパターンのCrに電界を印加させれば当該箇所に付かなくなる)に成膜可能という利点を有する。特に光触媒膜を有しているマスクを撥液膜上に接触させ露光することにより、撥液膜の分解性を向上させ露光時間の短縮化を図ることができ、かつ露光後の後処理が必要でなく、更に、パターン精度が良好になるという利点を有する。特徴的な作用は、粒径制御ができるので粒径を一定に整えることができ、また、部分的に光触媒膜を成膜できる。
【0012】
この技術を用いてフォトマスクに光触媒膜を成膜することにより、マスク全面もしくは選択的に成膜可能という利点が得られる。また、光触媒膜を有しているマスクを撥液膜上に接触させ露光することにより、撥液膜の分解性を向上(露光時間の短縮)、露光後の後処理が必要でなくなり、パターン精度良好という利点を有するものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るフォトマスクおよびその製造方法、フォトマスク製造装置、並びにパターン形成方法の具体的実施の形態を、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は実施形態に係るフォトマスク製造装置の概略構成図である。図1において、フォトマスク製造装置10は、マスク基板12を配置する成膜チャンバ14を有する。マスク基板12は、例えばガラス板や樹脂板またはシリコンウエハなどの絶縁体または半導体から構成してある。そして、マスク基板12には、図1(2)に示すように、Crなどによるマスクパターン18が形成され、このパターン形成領域と光透過領域が互いに逆極性となるように帯電させてある。実施形態ではマスクパターン18をプラスに帯電させ、それ以外の光透過領域をマイナスに帯電させている。帯電方法としてはマスク基板12を全体的に予めマイナス帯電させ、マスクパターン18に直流電源を接続してプラス極性となるように調整することで実現できる。
【0014】
成膜チャンバ14の内部には噴霧手段16が設けられている。この噴霧手段16は、成膜チャンバ14の一側に配置してあり、それに対向させてマスク基板12を対向配置させている。そして、マスク基板12のマスクパターン18には後述するように、可変直流電源38が接続されている。
【0015】
噴霧手段16は、液体供給手段20に接続している。液体供給手段20は、噴霧手段16に光触媒成膜材料22を供給する。そして、噴霧手段16は、液体供給手段20から供給された光触媒成膜材料22を噴射してミスト(エアロゾル)24にする。また、噴霧手段16は、帯電手段である可変直流電源26に接続してあって、噴霧手段16から噴射されたミスト24をマスク基板12のマスクパターン18と同極性、すなわちプラスに帯電できるようになっている。したがって、マスク基板12の光透過領域とは逆極性に帯電することになる。なお、光触媒成膜材料22は、一部を模式的な拡大図(図1(1))として示したように、溶媒28の中に溶質である酸化チタン金属などの光触媒金属の微粒子30が分散させてある。この光触媒金属微粒子30としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、硫化モリブテン、硫化亜鉛及び硫化カドミウムから選択される1種または2種以上の金属、金属化合物を用いることができる。更に、微粒子30の大きさが、実施形態の場合、粒径が数nm〜数100nm程度のものとなるように濃度が設定された溶液が使用される。溶媒28は、微粒子30を分散可能なものであれば、有機溶媒でも無機溶媒でも何でもよい。また、光触媒成膜材料22は、金属などの無機物質を酸やアルカリに溶解させたものや、有機金属化合物を有機溶媒に溶解させたものであってもよい。
【0016】
成膜チャンバ14内の適宜の位置には、赤外線ヒータやレーザ光源などのような加熱手段32が設けてあって、飛翔するミスト24を加熱してミスト24中の溶媒28を容易に蒸発させることができるようになっている。また、成膜チャンバ14には、マスク基板12の前方側に図示しないガス導入口が設けてあって、矢印34のように窒素などのキャリアガスを成膜チャンバ14内に導入できるようにしてある。さらに、成膜チャンバ14には、マスク基板12の背面側に排気口(図示せず)が設けてあり、この排気口から成膜チャンバ14内のガスを矢印36のように排気できるようなっている。これにより、キャリアガス34は、マスク基板12の前方において成膜チャンバ14に導入され、マスク基板12に向けた気流を形成し、噴霧手段16から噴射されたミスト24を気流に乗せてマスク基板12に向けて搬送する。
【0017】
マスク基板12上のマスクパターン18は、実施形態の場合、Cr金属などの導電性材料によって構成してあって、帯電手段である可変直流電源38に接続してある。この可変直流電源38は、回路配線となる部分に相当するマスクパターン18をミスト24の極性と同じ極性であるプラスに帯電させ、それ以外の光透過領域がミスト24の極性と逆の極性に帯電させるようにしている。
【0018】
このようになっている実施形態に係るフォトマスク製造装置10によるマスク基板12への光触媒膜31の成膜は、次のようにして行なう。
まず、ガラス基板や半導体基板などのマスク基板12に予め回路パターンをCrなどにより形成しておく。これは例えば、上述したフォトマスク製造装置を利用してマスクパターンを形成するようにしてもよく、公知の手法を用いてパターン形成してもよい。
【0019】
このようにマスクパターン18を形成したマスク基板12を成膜チャンバ14の内部にセットし、マスク基板12をEB(電子ビーム)帯電手段、イオン帯電手段、あるいは電圧印加による帯電手段によってプラス帯電させておいた状態で、マスクパターン18に可変直流電源38に接続してオンにし、マスクパターン18をプラスに帯電させる。また、噴霧手段16に接続した可変直流電源26をオンにし、噴霧手段16にプラスの直流電圧を印加する。さらに、窒素などの不活性ガスからなるキャリアガス34を成膜チャンバ14内に供給するとともに、矢印36のように成膜チャンバ14内を排気し、マスク基板12に向かう気流を形成する。そして、液体供給手段20から光触媒成膜材料22を噴霧手段16に供給し、噴霧手段16から光触媒成膜材料22をマスク基板12に向けて噴射し、光触媒成膜材料22からなるミスト24をマスク基板12に向けて飛翔させる。
【0020】
噴霧手段16から噴射されたミスト24は、噴霧手段16が可変直流電源26によってプラスの直流電源が印加されているため、マスクパターン18の形成領域と同極性のプラスに帯電する。そして、ミスト24は、キャリアガス34の気流によってマスク基板12に向けて搬送される。このとき、加熱手段32によってミスト24を加熱する。これにより、ミスト24は、マスク基板12に向けて飛翔する間に溶媒28が蒸発し、プラスに帯電した溶質である光触媒微粒子30となる。この光触媒微粒子30は、マスクパターン18形成領域から静電斥力を受けると同時にそれ以外の光透過領域のマイナス帯電領域から静電引力を受ける。このため、光触媒微粒子30は、マスクパターン18の形成領域を避けて、マスク基板12の光透過領域に選択的に付着し、図1(3)に示しているように、堆積されて光触媒膜31を形成する。
【0021】
なお、前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域を真空にすることができる。これにより、キャリアガスを必要とせず基板に光触媒を成膜することが可能となる。さらに、容易にミストの溶媒を蒸発することから加熱を必要とせず成膜を行うことが可能となる(熱をかけられない材料などに有用である)。あるいは、前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域を酸化雰囲気にするようにしてもよい。これにより、前記光触媒物質の化学量論比にあった物質を合成することができ、後に加熱等による再酸化処理が必要でなくなる。
【0022】
なお、実施形態の場合、噴霧手段16とマスク基板12との距離は、約30cmとなっていて、通常の無機酸や有機溶媒は、加熱手段32による加熱を行なわなくとも、飛翔中のミスト24の溶媒28を容易に蒸発させることができる。しかし、加熱手段32によりミスト24の加熱を行なうと、沸点の高い溶媒などを蒸発させることができ、光触媒成膜材料22の選択の自由度を高めることができ、種々の材料を用いたパターンを形成することができる。
【0023】
このように実施の形態においては、マスク基板12のマスクパターン18形成領域をミストと同極性に帯電させるとともに光透過パターン領域を逆極性に帯電させておき、予め濃度などを調整した光触媒成膜材料22をミスト24にしてマスク基板12に向けて飛翔させるだけで光透過パターン領域上に一定サイズの光触媒微粒子30からなる光触媒膜31を形成することができる。光触媒微粒子30のサイズは濃度の調整によって任意に設定でき、φ20nm〜100nmの一定サイズの光触媒微粒子30が整然と配列した膜層を形成できるのである。
【0024】
このようにして作製されたフォトマスクを用いたパターンの形成工程を図2に示す。上述した方法により作製された光触媒膜31が選択的に光透過パターン領域上に形成されたフォトマスクを準備し、図2(1)に示されるように、パターン形成面に撥液膜40が塗布されたパターン形成基板42を対向配置させる。そして、図2(2)に示しているように撥液膜40側に光触媒膜31側が対面するようにしてフォトマスクを積層し、当該フォトマスクを介して紫外線などを照射する。照射する光はEB、X線など撥液膜を分解させるようなビーム光でよい。この撥液膜分解ビーム光を照射することにより撥液膜は分解されるが、照射領域には酸化チタンなどの光触媒膜31が位置しているため、図2(3)に示されるように、この触媒効果によって分解が促進される。そして、光触媒膜31が設けられているフォトマスクをパターン形成基板42から分離することにより、基板42に例えば回路パターン44が形成されるのである。
【0025】
このように、実施形態に係るフォトマスク製造装置10とこれを利用したパターン形成方法を用いることにより、基板上にトランジスタなどの素子や配線などのパターンを特に露光時間を大幅に短縮して容易に形成することができ、これらのパターンを有する半導体デバイスや液晶デバイス、有機ELデバイスなどの電子デバイスを得ることができる。
【0026】
実施形態では、マスク基板12の光透過パターン形成領域を帯電させ、噴射したミストを基板に向けて飛翔させるだけでよいため、パターン形成工程を大幅に簡素化することができ、パターンを容易に形成することができる。しかも、フォトマスク製造装置10は、光触媒成膜材料22を噴射してミスト24を基板に向けて飛翔するだけでよいため、光触媒膜31による分解作用によりパターンを形成するための時間を大幅に短縮することができる。そして、実施形態においては、光触媒成膜材料22をミスト24にして飛翔させるようにしており、高価な真空装置などを必要とせず、パターン形成のための消費エネルギーを大幅に節減することができ、HFC、PFCなどによる洗浄が不要で、環境への負荷を低減することができる。
【0027】
また、実施形態においては、キャリアガス34の気流によってミスト24をマスク基板12に向けて搬送するようにしているため、大気中で浮遊するようなミスト24、溶質の光触媒微粒子30を確実にマスク基板12に到達させることができ、光触媒膜31を選択的にパターン形成するための効率を高めることができる。さらに、実施の形態においては、マスク基板12の非パターン形成領域であるマスクパターン18をミスト24と同極性に帯電させているため、マスクパターン18形成領域への光触媒微粒子30の付着を確実に防止でき、同時に光透過パターン領域を逆極性に帯電して光触媒微粒子30の付着効果を高めている。これにより、パターンの形状静度が向上してナノメータサイズの微細なパターンを形成することが可能となる。
【0028】
図3〜7は他の実施形態を示している。上述した実施形態ではマスク基板12の光透過パターンに限って光触媒を成膜したが、図3に示すように、マスク基板12の全面に光触媒膜31を成膜してもよい。この実施形態に係るフォトマスクでは、光触媒膜31は透過光によって機能が発揮されるので、マスクパターン18による光遮蔽部分では実質的に光触媒作用を発揮し得ないから問題はない。
【0029】
図4は更に他の実施形態に係るフォトマスクの例を示している。これは、マスク基板12と別に透明基板46を準備し、この透明基板46の片面全面に光触媒膜31を成膜した上で、透明基板46とマスク基板12とを貼り合わせ積層して一体化したものである。あるいは、図5は透明基板46を用いた他の実施形態に係るフォトマスクを示している。これはマスクパターン18が形成されたマスク基板12と、前記マスクパターン18の少なくとも反転パターン領域部分すなわち光透過領域部分に定サイズの光触媒微粒子を飛翔付着させた光触媒膜31を成膜した透明基板46とを積層一体化して形成したものである。これら透明基板46を用いた実施形態では、直接マスク基板12に光触媒膜31を付けずに透明基板46に付けるようにしているので、光触媒膜31とマスクパターン18の干渉を抑えることができる。
【0030】
図6は更に他の実施形態を示しており、これは透明基板46に光触媒膜31をパターン化して使用するようにしている。つまり、マスクパターン18が形成されたマスク基板12を省略し、透明基板46に付けられた光触媒膜31のパターン領域とそのネガパターン領域とで光照射に伴う撥液膜40の分解速度の違いを利用してパターンを形成させるようにしたものである。この例ではマスクパターンを省略できる利点が得られる。
【0031】
図7はまた別の実施形態を示している。マスク基板12にマスクパターン18が形成されているが、このマスクパターン18の表面部分に光触媒膜31を成膜するようにしたものである。このフォトマスクはパターン形成基板42側の下方から光を照射して、パターン形成を行わせる。すなわち、フォトマスクの光遮光部(Cr)のみに光触媒膜31を成膜してパターン形成基板42の下側から露光処理する。この場合は、パターン形成基板42の下側から光を照射するので、当該基板42が光の波長に対して透明であることが条件となる。Crによる光の反射効果により光量が2倍となるので、光触媒膜31の接している部分の分解性が良好となりパターン形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るフォトマスク製造装置の概略構成図である。
【図2】実施形態に係るフォトマスクを用いたパターン形成の工程図である。
【図3】他の実施形態に係る光触媒膜全面成膜型のフォトマスクの説明断面図である。
【図4】同透明基板に光触媒膜膜を全面成膜した実施形態に係る貼り合せ型のフォトマスクの説明断面図である。
【図5】同透明基板に光触媒膜膜をパターン成膜した実施形態に係る貼り合せ型のフォトマスクの説明断面図である。
【図6】マスクパターン省略型フォトマスクの説明断面図である。
【図7】マスクパターン表面に光触媒膜を成膜したフォトマスクの説明断面図である。
【符号の説明】
10………フォトマスク製造装置、12………マスク基板、14………成膜チャンバ、16………噴霧手段、18………マスクパターン、20………液体供給手段、22………光触媒成膜材料、24………ミスト、26………可変直流電源、28………溶媒、30………溶質(微粒子)、31………光触媒膜、32………加熱手段、34………キャリアガス、38………可変直流電源、40………撥液膜、42………パターン形成基板、44………回路パターン、46………透明基板。

Claims (12)

  1. フォトマスク基板の少なくとも光透過パターン領域に定サイズの光触媒微粒子を飛翔付着させた光触媒膜を有することを特徴とするフォトマスク。
  2. マスクパターンが形成されたマスク基板と、前記マスクパターンの少なくとも反転パターン領域部分に定サイズの光触媒微粒子を飛翔付着させた光触媒膜を成膜した透明基板とを積層一体化してなることを特徴とするフォトマスク。
  3. 前記光触媒微粒子は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、硫化モリブテン、硫化亜鉛及び硫化カドミウムから選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1または2記載のフォトマスク。
  4. フォトマスク基板の光透過パターン領域を帯電させ、光触媒溶液のミストを逆極性に帯電させて前記フォトマスクに向けて飛翔させ、ミスト中の溶媒を飛翔中に蒸発させて前記光透過パターン領域に光触媒微粒子を付着させて成膜することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
  5. フォトマスク基板の光透過パターン領域を帯電させ、光触媒溶液のミストを逆極性に帯電させて前記フォトマスクに向けて噴霧し、ミスト噴霧による飛翔でのアニール効果によって微粒子化した光触媒微粒子を前記光透過パターン領域に付着させて成膜することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
  6. 光触媒溶液のミストを発生させる手段と、前記ミストを帯電させる手段と、フォトマスク基板全体もしくは部分的に前記ミストとは逆極性に帯電させる手段とを有してフォトマスク基板の少なくとも光透過パターン領域に光触媒膜を成膜可能としてなることを特徴とするフォトマスク製造装置。
  7. 前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域にはミスト加熱手段を設けてなることを特徴とする請求項6記載のフォトマスク製造装置。
  8. 前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域を真空にすることを特徴とする請求項6記載のフォトマスク製造装置。
  9. 前記ミスト発生手段とフォトマスク基板の間のミスト飛翔領域を酸化雰囲気にすることを特徴とする請求項6記載のフォトマスク製造装置。
  10. パターン形成基板の表面に撥液膜を設け、形成パターンを有するフォトマスクと、このフォトマスクには少なくとも光透過パターン部分に成膜された前記撥液膜の分解用光触媒膜を設け、前記基板とフォトマスクを積層して露光することによりパターニングを行い、親液部分に少なくとも金属を含む溶液を塗布して焼成することを特徴とするパターン形成方法。
  11. パターン形成基板の表面に撥液膜を設け、形成パターンに対応したパターン形状に成膜された前記撥液膜の分解用光触媒膜を透明基板に成膜して、この透明基板を介して露光することによりパターニングを行い、撥液膜の分解用光触媒膜の成膜領域と非成膜領域の分解速度相違を利用してパターニングすることを特徴とするパターン形成方法。
  12. 光透過型のパターン形成基板の表面に撥液膜を設け、形成パターンを有するフォトマスクにおける前記形成パターン表面部に前記撥液膜の分解用光触媒膜を成膜し、前記光透過型のパターン形成基板側から撥液膜分解用光を照射することにより前記形成パターンによる反射光を併用して光量を増加せしめて撥液膜を露光することによりパターニングすることを特徴とするパターン形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100428429C (zh) * 2005-08-22 2008-10-22 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 用电化学沉积制备锰掺杂的氧化锌纳米柱的方法
CN100552099C (zh) * 2007-08-17 2009-10-21 中国科学院上海硅酸盐研究所 改进的电化学沉积工艺制备单一c轴取向氧化锌薄膜方法
CN112445062A (zh) * 2019-09-05 2021-03-05 台湾积体电路制造股份有限公司 反射性光罩及其制造方法

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