JP2004347081A - 蒸気損失評価方法、蒸気損失評価及び蒸気損失評価プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチームトラップから流出する排出物(ドレン及び漏洩蒸気)と冷却水との間で熱交換器を介して熱交換を行い、この熱交換で前記冷却水に伝達された熱量と、前記熱交換後の前記排出物が持つ熱量とを用いて排出物熱量を計測し、この排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気使用機器等に設置されるスチームトラップの保守管理等に用いられる蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、蒸気輸送菅や蒸気使用機器に設置されるスチームトラップは、蒸気を漏らさず、ドレンだけを選択的に排出する自動制御弁の一種であって、このスチームトラップが劣化して正常に動作しない場合には、ドレンだけでなく、蒸気も同時に排出してしまい、蒸気使用機器の動作効率やエネルギの利用効率等を低下させる原因になる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−50493号公報
この特許文献1には、スチームトラップがドレンと共に蒸気を排出するのをスチームトラップの振動を検出することにより検知し、その後の一定期間における予想蒸気損失量を予測することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような振動計は高価であり、しかも漏洩蒸気量を推定するものであるから、精度に欠けるきらいがあった。
【0005】
このような課題について、特許文献1を参照すると、スチームトラップの蒸気漏洩不良等の対策についての開示はあるものの、係る技術を用いても本発明が解決しようとする課題を解決できるものではない。
【0006】
本発明は、スチームトラップにおける蒸気損失の評価精度を高めることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
係る課題を解決した本発明の蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムの構成は次の通りである。
【0008】
本発明の蒸気損失評価方法は、スチームトラップから流出する排出物の持ち出し熱量を計測し、この持ち出し熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価することを特徴とする。
【0009】
即ち、排出物(ドレンと漏洩蒸気)熱量は、例えば、その流量及び温度で把握することができる。また、スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量を把握し、この顕熱量に対する排出物熱量の比率を見れば、スチームトラップからの排出物による蒸気損失を知ることができる。
【0010】
本発明の蒸気損失評価方法は、スチームトラップから流出する排出物と冷却水との間で熱交換を行い、この熱交換で前記冷却水に伝達された熱量と、前記熱交換後の前記排出物が持つ熱量とを用いて排出物熱量を計測し、この排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価することを特徴とする。
【0011】
即ち、排出物熱量を熱交換によって冷却水に伝達すれば、冷却水側で排出物熱量を計測することができる。この場合、熱交換前の冷却水の初期熱量をQ1 、熱交換後のその熱量Q2 、熱交換後の排出物(漏洩蒸気はドレンとなっている)が持つ熱量Q3 とすれば、排出物の熱交換前の熱量、即ち、排出物熱量QO は、
QO =Q2 −Q1 +Q3 ・・・(1)
から求められる。このような熱交換処理を併用すれば、高温度のドレンを低温度の冷却水への温度変換により、排出物熱量QO を容易に計測することができ、冷却水の温度上昇を温度検出手段で検出し、その流量を流量検出手段で検出し、変換熱量ΔQ(=Q2 −Q1 )を容易に算出することができる。また、熱交換後の排出物の熱量Q3 についても、温度検出手段でドレン温度、その流量を流量検出手段で検出することで容易に算出することができる。このようにして計測された排出物熱量と、スチームトラップに入る蒸気から把握した顕熱量とを比較すれば、スチームトラップからのドレンによる蒸気損失を知ることができる。
【0012】
本発明の蒸気損失評価方法においては、スチームトラップの性能や交換時期等を知ることができる。
【0013】
本発明の蒸気損失評価方法において、前記蒸気損失をコストに換算して評価することを特徴とする。即ち、計測した排出物熱量は必要エネルギに要するコストに換算でき、換算されたコストをもって蒸気損失の多寡を知ることができる。
【0014】
本発明の蒸気損失評価装置は、スチームトラップからの排出物の熱量を計測する手段と、この計測手段で計測された前記排出物熱量と、前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする。係る装置は、前記蒸気損失評価方法に使用するものである。即ち、計測手段では、スチームトラップから流出する排出物の熱量が計測され、その計測方法は既述の通りである。また、評価手段は、排出物熱量と、スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較する比較処理と、その比較結果に基づいて、蒸気損失を評価する評価処理とを行うものである。
【0015】
例えば、この評価手段は、アナログコンピュータやディジタルコンピュータ等で構成することができる。
【0016】
本発明の蒸気損失評価装置は、スチームトラップからの排出物を熱交換器を介して冷却水との間で熱交換を行う熱交換手段と、この熱交換手段による前記冷却水が持つ第一の熱量、前記熱交換後の前記冷却水が持つ第二の熱量、前記熱交換後の前記排出物が持つ第三の熱量を用いてスチームトラップから流出する排出物の熱量を計測し、この排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
即ち、この蒸気損失評価装置では、熱交換手段を用いて排出物と冷却水との熱交換を行い、その熱交換熱量と、熱交換後に排出物が持つ熱量とからスチームトラップから流出する排出物熱量を計測する。このように、冷却水に熱量を伝達させて排出物熱量を計測すれば、スチームトラップから流出する排出物熱量を直接計測する場合に比較して計測が容易になるとともに、計測精度を高めることができる。しかも、熱交換手段の熱交換効率は既知であるから、計測値にその熱交換率を反映させることで計測誤差を抑制することができる。
【0018】
本発明の蒸気損失評価装置において、スチームトラップから流出する排出物と冷却水との間で熱交換をする熱交換手段と、この熱交換手段による熱交換前の前記冷却水が持つ第1の熱量、前記熱交換後の前記冷却水が持つ第2の熱量、前記熱交換後の前記排出物が持つ第3の熱量を用いて蒸気使用機器から流出する排出物熱量を計測し、この排出物熱量と、前記蒸気使用機器の蒸気圧が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
即ち、この蒸気損失評価装置では、熱交換手段を用いて排出物と冷却水との熱交換を行い、その熱交換熱量と、熱交換後に排出物が持つ熱量とからスチームトラップから流出する排出物熱量を計測する。
【0020】
このように、冷却水に熱量を伝達させて排出物熱量を計測すれば、スチームトラップから流出する排出物熱量を直接計測する場合に比較し、計測が容易になるとともに、計測精度を高めることができる。しかも、熱交換手段の熱交換効率は既知であるから、計測値にその熱交換率を反映させることで計測誤差を抑制することができる。
【0021】
本発明の蒸気損失評価装置において、前記冷却水の流量を検出する第1の流量検出手段と、前記熱交換前の前記冷却水の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記熱交換後の排出物の流量を検出する第2の流量検出手段と、前記熱交換後の前記冷却水の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記熱交換後の前記排出物の温度を検出する第3の温度検出手段と、を備え、前記第1の熱量又は前記第2の熱量は、前記冷却水の流量と温度の積、前記第3の熱量は、前記排出物の流量と温度の積で算出されたことを特徴とする。
【0022】
即ち、第1の流量検出手段で冷却水の流量が検出され、第1及び第2の温度検出手段で同様に温度が検出され、これら流量及び温度の検出情報から排出物から冷却水に伝達された熱量が算出される。また、第3の流量検出手段で熱交換後の排出物の流量、第3の温度検出手段で同様に温度が検出され、これら流量及び温度で排出物の熱交換後の熱量が算出される。このような熱量情報を用いれば、蒸気使用機器から流出する排出物熱量を容易且つ高精度に計測することができる。
【0023】
本発明の蒸気損失評価装置において、前記評価手段の評価出力情報を送信する情報送信装置を備えたことを特徴とする。このような情報送信装置を備えれば、評価結果を遠隔地で受信することができ、蒸気使用機器やスチームトラップに対する迅速な対応に寄与することができる。これにより、遠隔地で連続的に蒸気損失の評価を行うことができるので、省エネ効果の連続的検証及び管理が可能となり、遠隔連続監視システムへの適用に好適である。
【0024】
本発明の蒸気損失評価プログラムは、スチームトラップから流出する排出物による蒸気損失の評価をする蒸気損失評価プログラムであって、前記排出物の流量情報と温度情報とを用いて排出物熱量を演算する機能と、前記排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較し、蒸気損失を評価する機能と、を備え、これらの機能を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0025】
このような蒸気損失評価プログラムを用いれば、本発明に係る蒸気損失評価方法を実現でき、スチームトラップから流出する排出物による蒸気損失を容易且つ迅速に、しかも、高精度に評価することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムの第1の実施の形態に係る蒸気損失評価システムを示している。
【0027】
この実施の形態では、ボイラ1で蒸気を発生させ、生成した蒸気を蒸気輸送管3で蒸気使用機器2に輸送する途中で、放熱のために一部凝縮して生成したドレンを排出する為に、分岐管5を設け、ドレンが分岐管に流れるようにされている。分岐管にはバルブ6を介してスチームトラップ8が設けられている。図では分岐菅とスチームトラップが1個づつ設置されているが、分岐管とスチームトラップは必要に応じて複数個設けても良い。そしてスチームトラップ8には蒸気損失評価システム4が設置されている。なお、図示していないが、スチームトラップに入る蒸気の圧力を正確に知るために、分岐管等に圧力センサを設けても良い。
【0028】
この蒸気損失評価システム4は、例えば、スチームトラップ8から排出される排出物(即ちドレン及び漏洩蒸気)12と冷却水14との間で熱交換を行う熱交換手段としての熱交換器16が設置されている。そこで、熱交換器16は、冷却水14を流す冷却水流路18とスチームトラップ8から流出する排出12を導く排出物流路20とに跨って設置されている。
【0029】
冷却水流路18には、熱交換器16の上流側にバルブ22、第1の温度検出手段として温度センサ24、第1の流量検出手段として流量センサ26、熱交換器16の下流側に第2の温度検出手段として温度センサ28が設置されている。この場合、温度センサ24及び流量センサ26は、冷却水14の熱交換前の初期熱量即ち、第1の熱量Q1 を検出するための熱量検出手段を構成し、温度センサ28は、冷却水14の熱交換後の熱量即ち、第2の熱量Q2 を検出するための熱量検出手段を構成している。これら熱量Q1 、Q2 の熱量差ΔQが排出物12から冷却水14が受けた交換熱量QC である。
【0030】
また、排出物流路20には、熱交換器16の上流側にバルブ32、熱交換器16の下流側に第3の温度検出手段として温度センサ34、第2の流量検出手段として流量センサ36が設置されている。この場合、温度センサ34及び流量センサ36は、排出物12の熱交換後の熱量即ち、第3の熱量Q3 を検出するための熱量検出手段を構成しており、熱量Q3 が熱交換による放熱で生じたドレン水38によって排出される損失熱量の一部である。
【0031】
そして、温度センサ24、28、34、流量センサ26、36等の各検出出力は演算情報として演算処理部40に加えられている。演算処理部40は、例えば、コンピュータで構成され、演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit )を備え、ROM(Read Only Memory)に格納されている蒸気損失評価プログラム等の各種プログラムの実行により、蒸気損失の評価に必要な演算処理等を行う。演算処理部40には、実行すべき各種プログラムや演算途上のデータを展開する手段としてRAM(Random Acess Memory )等が設けられ、情報や各種制御出力の入出力を行う入出力部が備えられている。
【0032】
また、各種演算処理に当たって各種データや装置のID等の個別情報を入力する手段として入力部42が設置され、入力情報、演算途上のデータ、演算結果、評価結果等の各種情報を提示する情報提示手段として表示部44が設けられている。この表示部44は、CRT表示器等の視覚的表示を行う手段、プリンタ等の印刷出力手段等の各種表示出力手段を包含するものであり、この表示部44には、演算結果として例えば、スチームトラップ出口の排出物熱量〔kcal〕や排出量〔kg/分〕等の情報が表示される。
【0033】
そして、図2に示すフローチャートを参照し、蒸気損失評価方法及び蒸気損失評価プログラムの一例を説明する。本発明に係る蒸気損失評価方法は、スチームトラップ8から流出する排出物12が持つ排出物熱量Qdを熱交換器16の熱交換によって冷却水14に伝達し、冷却水14に伝達された交換熱量QCと、熱交換後のドレン水38が持つ熱量Q3 との加算から求め、排出物12による損失熱量を算定し、評価するものである。
【0034】
そこで、このフローチャートにおいて、ステップS1で排出物12の捕集を行う。この排出物12の捕集にはドレンと漏洩蒸気の捕集を含むものであり、バルブ32を開いて排出物流路20を通じてスチームトラップ8から排出物12を熱交換器16に流す。また、このとき、バルブ22を開いて冷却水流路18に冷却水14を通流させる。この冷却水14の必要量は例えば、排出物量が30〔kg/h〕とすれば、冷却水14が60〔℃〕の場合、約500〔kg/h〕(8.3〔リットル/分〕)である。
【0035】
損失熱量を取り込むに際し、一定の測定時間が設定され、この測定時間は、例えば、熱交換器16で熱交換を行う時間、即ち、冷却水14又は排出物12のいずれか一方、又は双方を流す時間である。そこで、ステップS2ではこの測定時間が完了したか否かを判定し、測定時間中、熱交換を実行する。
【0036】
この測定時間内において、冷却水14の温度として熱交換前の第1の温度T1 〔℃〕、熱交換後の第2の温度T2 〔℃〕、排出物12の熱交換後の第3の温度T3 〔℃〕、冷却水14の流量として熱交換前の第1の流量F1〔kg/分〕、排出物12の熱交換後の第2の流量F3 〔kg/分〕が演算処理部40に取り込まれる。流量F2は流量F1と等しい。この場合、温度T1 〔℃〕は温度センサ24、温度T2〔℃〕は温度センサ28、温度T3 〔℃〕は温度センサ34、流量F1 〔kg/分〕は流量センサ26、流量F3 〔kg/分〕は流量センサ36の検出出力である。この場合、各測定値は入力部42を通じて演算処理部40に入力してもよい。
【0037】
ステップS4では、スチームトラップ8から流出した排出物熱量QをステップS3で取り込まれた流量情報や温度情報を用いて演算する。この場合、冷却水14の熱交換前の初期熱量である第1の熱量をQ1 とすると、熱量Q1 は、
Q1 =F1 ×T1 ・・・(1)
であり、冷却水14の熱交換後の第2の熱量をQ2 とすると、熱量Q2 は、
Q2 =F1 ×T2 ・・・(2)
である。ここで、熱交換後の流量F2 は、流量センサ26の検出出力F1 と同一であるので、F1 とする。また、ドレン等12の熱交換後の第3の熱量をQ3 とすると、熱量Q3 は、
Q3 =F3 ×T3 ・・・(3)
である。そこで、熱交換器16により排出物12から冷却水14に移動した熱量、即ち、交換熱量QC は、
QC =Q2 −Q1 ・・・(4)
となる。従って、排出物熱量Qd は、交換熱量QC に熱量Q3 を加算した値であるから、
Qd =QC +Q3 =Q2 −Q1 +Q3 ・・・(5)
となる。この式(5)から、スチームトラップ8の出口における単位重量当たりの排出物熱量qd は、
となる。
【0038】
そして、ステップS5では、ステップS4で算出された排出物熱量Qd又はqdとスチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量Pとを比較し、スチームトラップ8の蒸気損失SLを評価することができる。また、表示部44には、演算によって得られたスチームトラップ8の出口側の蒸気損失SL〔kcal〕や排出物量〔kg/分〕等の計測情報を表示する。
【0039】
このフローチャートにおいて、ステップS3〜S5の処理、ステップS2の測定時間の処理についてはプログラムによって構成することができる。
【0040】
従って、係る蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムによれば、スチームトラップ8からの蒸気損失の評価処理を刻々と変化する実測値に基づいて容易且つ迅速に行うことができ、精度の高い蒸気損失の評価を実現することができる。この場合、表示部44に表示された蒸気損失SL〔kcal〕やドレン量〔kg/分〕等の計測情報を確認することができ、スチームトラップ8の交換処理等、信頼性の高い管理を実現することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムを例えば、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
この実施の形態では、ステップS11において、測定時間の到来を監視し、測定時間が到来したか否かを判定する。例えば、15分間の周期で測定時間を設定することができる。測定時間が到来すると、ステップS12で排出物12の捕集、ステップS13では一定の測定時間、例えば、5分間の測定時間が完了したか否かを判定する。例えば、5分間の測定時間において、ステップS14では冷却水14の温度及び流量、ドレン等12の温度及び流量を取り込み、ステップS15では取り込まれた温度及び流量情報に基づき、前記式(1) 〜(6) の演算により排出物熱量Qd の演算処理を行う。
【0043】
そして、ステップS16では、排出物熱量Qd の演算処理が所定回数Nに到達したか否かを判定し、予め設定された所定回数Nに到達するまで、ステップS11〜S16の処理が行われる。ステップS17では、所定回数Nの排出物熱量Qdの演算処理によって得られた排出物熱量Qd をQd1、Qd2・・・QdN、これらの加算値をΣQd とすると、平均値である排出物熱量Qdaは、
Qda=ΣQd /N ・・・(7)
となる。この排出物熱量Qdaと、スチームトラップ8に入る蒸気が持つ顕熱量Pとを比較し、スチームトラップ8の蒸気損失SLを評価することができる。
【0044】
このように、平均値による排出物熱量Qdaを用いれば、より精度の高い蒸気損失SLを知ることができ、スチームトラップ8の劣化等の性能評価の精度を高めることができる。
【0045】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムを例えば、図4に示す蒸気損失評価システム及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0046】
この実施の形態に係る蒸気損失評価システム4には、演算処理部40に演算結果等の各種データを送信する送信手段としてデータ送信装置46が設置されている。このデータ送信装置46は、例えば、インターネット等の伝送媒体48を介して管理者側のコンピュータ50が接続されている。この蒸気損失評価システム4において、他の構成は図1に示す構成と同様である。この実施の形態では、伝送媒体48として有線を例に取って説明しているが、無線によるデータ送信であってもよい。
【0047】
このような蒸気損失評価システム4によれば、例えば、図5に示すように、ステップS21〜ステップS27(図3に示すフローチャートのステップS11〜ステップS17の処理と同様)の処理の後、ステップS28において、演算処理部40で得られた評価処理結果をデータ送信装置46からコンピュータ50に伝送することができる。このような処理によれば、管理者側のコンピュータ50において、その評価処理結果を知ることができ、その評価処理結果に基づいて、スチームトラップ8の劣化等の性能評価及び管理を行い、迅速かつ適正な処理を実現することができる。このような本実施例のシステムは遠隔地で連続的に蒸気損失の評価を行うことができるので、コンピュータ50を遠隔地に設けた遠隔監視システムへの適用に好適であり、これにより省エネ効果の連続的検証及び監視が可能となる。
【0048】
また、この実施の形態において、評価処理結果をコンピュータ50に送信しているが、処理途上のデータ、例えば、ステップS24で得られた冷却水の温度及び流量、排出物(ドレン)の温度及び流量、又はステップS25で得られた排出物熱量を演算処理部からデータ送信装置46を通してコンピュータ50に送信し、情報処理装置としてのコンピュータ50上でステップS25〜ステップS28の処理を実行するようにしてもよい。
【0049】
なお、実施の形態では、流量、温度、熱量を用いて蒸気損失の評価を行ったが、この蒸気損失を投入されたエネルギの実勢価格を用いて蒸気損失を評価してもよく、係る評価によれば、実勢価格による経済的な評価を行うことができる。
【0050】
また、実施の形態では、流量センサ26を用いて熱交換前の冷却水14の流量を検出しているが、流量センサ26で熱交換後の冷却水14の流量を検出してもよい。
【0051】
以上説明した本発明に係る蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムによってスチームトラップのモニタリング装置を構成した場合、人件費の削減とともに、信頼性の高い評価及び保守が実現できることが確認された。
【0052】
なお、図1〜図5に実施の形態として説明した事項は本発明の一例であって、本発明は係る実施の形態に限定されるものではない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
【0054】
(1) スチームトラップからの排出物の損失熱量を排出物の実測に基づいて算出し、その評価を行うので、蒸気使用機器の蒸気損失の評価を容易かつ迅速にしかも高精度に行うことができる。
【0055】
(2) 排出物熱量を冷却水に熱交換して蒸気損失を計測するので、排出物の熱量を直接計測する場合に比較し、容易かつ安全に計測することができ、しかも高精度に計測することができ、スチームトラップの蒸気損失の評価の簡易化及び高精度化を図ることができる。
【0056】
(3) スチームトラップの経年変化や性能を排出物の実測により評価することができる。
【0057】
(4) 蒸気損失をコストに変換して評価すれば、実勢価格で経済的な評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムの第1の実施の形態に係る蒸気損失評価システムを示す図である。
【図2】蒸気損失評価方法及び蒸気損失評価プログラムの第1の実施の形態を示すフローチャートである。
【図3】蒸気損失評価方法及び蒸気損失評価プログラムの第2の実施の形態を示すフローチャートである。
【図4】本発明の蒸気損失評価方法、蒸気損失評価装置及び蒸気損失評価プログラムの第3の実施の形態に係る蒸気損失評価システムを示す図である。
【図5】蒸気損失評価方法及び蒸気損失評価プログラムの第3の実施の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ボイラ
2 蒸気使用機器
4 蒸気損失評価システム
8 スチームトラップ
12 排出物(ドレン及び蒸気)
14 冷却水
16 熱交換器
24 第1の温度センサ
26 第1の流量センサ
28 第2の温度センサ
34 第3の温度センサ
36 第2の流量センサ
40 演算処理部
Claims (9)
- スチームトラップから流出する排出物の持ち出し熱量を計測し、この持ち出し熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価することを特徴とする蒸気損失評価方法。
- スチームトラップから流出する排出物を熱交換器を介して冷却水との間で熱交換し、この熱交換によって冷却水に伝達された熱量と、前記熱交換後の前記排出物が持つ熱量とを用いて排出物熱量を計測し、この排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価することを特徴とする蒸気損失評価方法。
- 前記蒸気損失は、コストに換算して評価することを特徴とする請求項1又は2記載の蒸気損失評価方法。
- スチームトラップからの排出物の熱量を計測する手段と、この計測手段で計測された前記排出物熱量と、前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする蒸気損失評価装置。
- スチームトラップからの排出物を熱交換器を介して冷却水との間で熱交換を行う熱交換手段と、この熱交換手段による前記冷却水が持つ第一の熱量、前記熱交換後の前記冷却水が持つ第二の熱量、前記熱交換後の前記排出物が持つ第三の熱量を用いてスチームトラップから流出する排出物の熱量を計測し、この排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する処理手段と、を備えたことを特徴とする蒸気損失評価装
置。 - スチームトラップからの流出物と冷却水との間で熱交換をする熱交換手段と、この熱交換手段による熱交換前の前記冷却水が持つ第1の熱量、前記熱交換後の前記冷却水が持つ第2の熱量、前記熱交換後の前記排出物が持つ第3の熱量を用いてスチームトラップからの排出物熱量を計測し、この排出物熱量と、前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較して蒸気損失を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする蒸気損失評価装置。
- 前記冷却水の流量を検出する第1の流量検出手段と、
前記熱交換前の前記冷却水の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記熱交換後の排出物の流量を検出する第2の流量検出手段と、
前記熱交換後の前記冷却水の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記熱交換後の前記排出物の温度を検出する第3の温度検出手段と、
を備え、前記第1の熱量又は前記第2の熱量は、前記冷却水の流量と温度の積、前記第3の熱量は、前記排出物の流量と温度の積で算出されたことを特徴とする請求項5又は6記載の蒸気損失評価装置。 - 前記評価手段の評価出力情報を送信する情報送信装置を備えたことを特徴とする請求項5、6又は7記載の蒸気損失評価装置。
- スチームトラップから流出する排出物による蒸気損失の評価をする蒸気損失評価プログラムであって、
前記排出物の流量情報と温度情報とを用いて排出物熱量を演算する機能と、
前記排出物熱量と前記スチームトラップに入る蒸気が持つ顕熱量とを比較し、蒸気損失を評価する機能と、
を備え、これらの機能を情報処理装置に実行させることを特徴とする蒸気損失評価プログラム。
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