JP2004346953A - 液体封入式マウント - Google Patents

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Keiichi Sasaki
啓一 佐々木
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Abstract

【課題】第二取付部材に取付られているエンジンマウントに大振幅の振動が入力された場合であって、マウントサブアッシ部材を構成しているマウントケース部材が第一取付部材と干渉したときでも、異雑音の発生を防止することができる液体封入式マウントを提供する。
【解決手段】本体弾性体30と、前記本体弾性体30と圧着されているマウントケース部材40と、前記ケース部材40に封着されているダイアフラム41と、前記本体弾性体30と前記ダイアフラム41の間に配置され前記本体弾性体30側の主液室52と前記ダイアフラム41側の副液室53を画成する隔壁51と、前記各液室52,53間を連通したオリフィス54を備えたマウントサブアッシ50の外周であって、第一取付部材10と接する部位にシール弾性体60を止着することとした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振技術に属するものであって、例えば自動車のエンジン等の防振支持手段として用いられ、液体の共振を利用して動的ばね定数を低減させる液体封入式マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンは、その振動が車体へ伝達されるのを極力防止するため、防振支持装置であるマウントを介して車体に弾性的に支持されており、このようなマウントの一種として、振動減衰に流路内での液体の流動抵抗を利用し、且つ液体の共振を利用して動的ばね定数を低減させることにより防振効果を発揮する液体式封入マウントがある。
【0003】
図4は、従来の技術による液体封入マウントの一例を示す断面図であって、金属性のマウントケース101と、その内周に配置され一体的に設けられた円周方向に連続した弾性体102と、マウントケース101に一体的に設けられたダイアフラム103と、マウントケース101の内周に設けられて弾性側の主液室とダイアフラム側の副液室との間を仕切る隔壁104とを備えたマウントサブアッシ105が形成される。隔壁104には、主液室と副液室とを連通するオリフィス106が形成されていて、液室には被圧縮性流体が封入されている。前記マウントサブアッシを第一取付部材の内周に圧入・嵌着し、マウントサブアッシの内周には第二取付部材が挿着される。第二取付部材に取付けられているエンジンに振動変位が入力されると、弾性体が変形・振動し、その振動に伴い主液室に体積変化が生じ内部に封入された流体がオリフィスを通り副液室に移動される。オリフィス流路内の内封液を振動マス、主液室と副液室にて構成されるばね要素にて液柱共振系が形成され、所定の入力振動数にて共振現象を生じ、大きな減衰力がえられるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術による液体封入式マウントにおいては、突起乗り越しなどによりエンジン側に大振幅の振動入力された場合、マウントサブアッシ部材を形成している金属性のマウントケース部材が弾性変形して金属性の第一取付部材と干渉することで異雑音を発生するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題とするところは、第二取付部材に取付られているエンジンマウントに大振幅の振動が入力された場合であって、マウントサブアッシ部材を構成しているマウントケース部材が第一取付部材と干渉したときでも、異雑音の発生を防止することができる液体封入式マウントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1の発明に係る液体封入式マウントは、本体弾性体と、内周が前記本体弾性体と圧着されているマウントケース部材と、前記ケース部材に封着されているダイアフラムと、前記本体弾性体と前記ダイアフラムの間に配置され主液室と副液室を画成する隔壁と、前記各液室間をお互いに連通したオリフィスを備えたマウントサブアッシであって、前記マウントサブアッシの外周に止着されたシール弾性体が第一取付部材への圧入時に前記第一取付部材と接する部位にあることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の発明に係る液体式マウントにおいて、前記シール弾性体が前記本体弾性体と一体成形されていることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る液体封入式マウントを図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明に係る液体封入式マウントにおけるマウントサブアッシを第一取付部材に圧入後、上下方向の中心線を通る平面で切断して示す断面図である。図2は、図1に示す圧入後のX部分におけるシール弾性体の部分の部分拡大断面図である。図3は、圧入前のシール弾性体の部分の部分拡大断面図である。
【0009】
図1において、本発明の実施例に係る液体封入式マウントは、本体弾性体と、内周が前記本体弾性体と圧着されているマウントケース部材と、前記ケース部材に封着されているダイアフラムと、前記本体弾性体と前記ダイアフラムの間に配置され前記本体弾性体側の主液室と前記ダイアフラム側の副液室を画成する隔壁と、前記各室間をお互いに連通したオリフィスとで形成されるマウントサブアッシ、および前記本体弾性体に一体成形されているシール弾性体と、マウントサブアッシが嵌着される第一取付部材と、マウントサブアッシに挿着される第二取付部材を備えている。
【0010】
参照符号10は、金属からなる第一取付部材である。第一取付部材10は、図示されていない車体フレーム側に取り付けられるものであって上下方向の投影形状がドーナツ形をなして形成されている。
【0011】
参照符号20は、第一取付部材10の内周側に同心的に配置され金属からなる第二取付部材である。第二取付部材20の外周が、後述する本体弾性体30の内周に同心的に接着されている本体部21と、本体部と一体になっていて被支持体であるエンジン側に連結される取付部22とを備える。
【0012】
参照符号30は、本体弾性体であってゴム等の可撓性のある材質からなっていて、第一取付部材10の内周に同心的に配置されている。本体弾性体30は内周側が上方に向けて高くなる円錐環状をなし、内周部がセンターボス部材33の外周面に加硫接着されている主弾性部31と、外周部が金属性のマウントケース部材40の内周面に加硫接着されている円筒弾性部32から形成されている。主弾性体は31、被支持体であるエンジン側の荷重を弾性的に支持する主体であるため、その肉厚がマウントケース部材に圧着されている円筒弾性部32より十分に厚く、これによって、エンジン荷重に対する所要力の支持が与えられると共に、単位面積あたりの歪が均一になるように内側ほど肉厚に形成されている。
【0013】
ダイアフラム41はマウントケース部材40の一端に封着されていて、本体弾性体30とでマウントサブアッシ50の外壁を構成している。ダイアフラムの外周縁は、マウントケース部材40の外周縁と後述する隔壁51の端部との間で密封的に挟着されている。
【0014】
弾性体30とダイアフラム41とで形成されている密封空間は隔壁51により本体弾性体30側の主液室52とダイアフラム41側の副液室53とに上下に二分されている。隔壁51は、外周部がマウントケース部材40のカシメ部とダイアフラム41の外周縁と共に軸方向にお互いに重合した状態で接着されている環状の第一リング55及び第二リング56と、その内周に封着されたサブダイアフラム57とで構成される。
【0015】
隔壁51における第一リング55及び第二リング56の対向面間には、荷重方向入力用オリフィスとして、円周方向に対して有端のオリフィス54が形成されており、このオリフィス54は、一方の端部が第一リングに開設された開口部55aを通じて主液室52に開放され、他方の端部が、第二リングに開設された開口部56aを通じて副液室53に開放されている。したがって、主液室52と副液室53は、オリフィス54を介してお互いに連通している。
【0016】
主液室52および副液室53の密封空間には、例えばシリコーンオイル等の適当な粘性を有する非圧縮性の作動流体が充填されている。
【0017】
マウントサブアッシ50を第一取付部材10に圧入時に、マウントサブアッシを構成しているマウントケース部材40が第一取付部材10と径方向に接する部位には本体弾性体30と一体に加硫成形されたシール弾性体が形成されている。
【0018】
本形態の液体封入式マウントは、液体を封入したマウントサブアッシ50を第一取付部材10に圧入した後に、第二取付部材20を組み付ける。第一取付部材側には車体フレームが連結され、第二取付部材側にはエンジンが連結される。
【0019】
ここで、車体フレーム側とエンジン側との間で荷重方向(上下方向)に振動が入力されると、第一取付部材10と第二取付部材20が上下方向に反復して相対変位されるので、両者間で本体弾性体30が反復変形を受ける。そして、この上下方向の振動が、例えばエンジンの機関振動当による中・高周波域の継続的な振動である場合は、オリフィス54内の作動液体は、その液柱慣性が大きくなるので殆ど流動しないが、本体弾性体30が上下方向に反復変形されることによる主液室52の繰り返しの液圧変化は、隔壁54におけるサブダイアフラム57の肉厚方向への拡張変形によって有効に吸収される。このため、上下方向の動的ばね定数が小さくなり、中・高周波領域の上下方向振動の伝達を有効に絶縁することができる。
【0020】
また、上下方向の振動が、例えば車両走行時におけるバウンド等のように、主液室52の大きな液圧変化を発生させる低周波域の大振幅の振動である場合は、マウントサブアッシ50を構成しているマウントケース部材40が弾性変形することにより均衡を維持していた両液室内の液圧が相対的に変わるため、オリフィス54内に充満している作動液体が、ダイアフラム41の変位を伴いながら、主液室52と副液室53のうち相対的に低圧となる側に向けて、液柱共振により反復移動される。したがって、この時のオリフィス54内の流動抵抗による高減衰を発生し、良好な緩衝性を得ると共に、前記入力振動による第一取付部材10と第二取付部材20の相対的な反復変位を短時間で制止する。
【0021】
そして、上下方向の振動が車両走行時におけるバウンド等のように大振幅の振動の場合、マウントケース部材40が弾性変形するとともに、本体弾性体30が上下方向に大きく反復変形されることにより、マウントケース部材40が第一取付部材10と干渉することになるが、本体弾性体30と一体成形されたシール弾性体60が第一取付部材10への圧入時に、第一取付部10との径方向に接する部位に介在していることにより、マウントケース部材40が第一取付部材10と干渉したときであっても異雑音の発生を防止することができる。
【0022】
本実施例では、シール弾性体60が本体弾性体30に一体成形されている場合であるが、シール弾性体60が本体弾性体30と一体成形されずにマウントケース部材40に止着されている場合を問わない。また、シール弾性体60がマウントケース部材40に止着されている部位は、第一取付部材10と径方向に接する部位だけでなく、軸方向に接する部位に止着されている場合を問わない。
【0023】
尚、シール弾性体60の材質については、ゴム、軟質樹脂等の可撓性材料であることが望ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0025】
すなわち、上記構成を備えた本発明の液体封入式マウントは、突起乗り越し等による上下方向の大きな振動が車両走行時に入力されマウントサブアッシを構成しているマウントケース部材が大きく弾性変形するような場合であって、マウントケース部材が第一取付部材に干渉するときでも、シール弾性体がマウントケース部材と第一取付部材の間に介在していることにより、異雑音の発生を防止することができる。
【0026】
また、シール弾性体が本体弾性体と一体成形されている場合には、加硫成形方法が容易であると共に、シール弾性体が本体弾性体と一体となっているためにシール弾性体がマウントケース部材から脱落しにくくなるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る液体封入式マウントにおけるマウントサブアッシを第一取付部材に圧入後の断面図である。
【図2】図1に示す圧入後のシール弾性体の部分における部分拡大断面図である。
【図3】図1に示す圧入前のシール弾性体の部分における部分拡大断面図である。
【図4】従来例に係る液体封入式マウントの断面図
【符号の説明】
10 第一取付部材
20 第二取付部材
21 本体部
22 取付部
30 本体弾性体
31 主弾性部
32 円筒弾性部
40 マウントケース部材
41 ダイアフラム
50 マウントサブアッシ
51 隔壁
52 主液室
53 副液室
54 オリフィス
60 シール弾性体

Claims (2)

  1. 本体弾性体と、内周が前記本体弾性体と圧着されているマウントケース部材と、前記ケース部材に封着されているダイアフラムと、前記本体弾性体と前記ダイアフラムの間に配置され主液室と副液室を画成する隔壁と、前記各液室間をお互いに連通したオリフィスを備えたマウントサブアッシであって、前記マウントサブアッシの外周に止着されたシール弾性体が第一取付部材への圧入時に前記第一取付部材と接する部位にあることを特徴とする液体封入式マウント。
  2. 前記シール弾性体が前記本体弾性体と一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の液体封入式マウント。
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