JP2004346915A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加速要求を検出する加速要求検出手段6と、検出された回転数NEに基づいて回転変動量DNEを算出する回転変動量算出手段3と、回転変動量DNEに基づいて回転変動量微分値DDNEを算出する回転変動量微分値算出手段3と、回転変動量微分値DDNEを内燃機関2の回転数に応じて補正することにより、補正回転変動量微分値を算出する補正回転変動量微分値算出手段3と、加速要求が検出されたときに、回転変動量DNEおよび補正回転変動量微分値に基づいて、点火時期IGLOGを遅角側に補正する遅角補正を実行する遅角補正実行手段3と、を備えている。
【選択図】 図13
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関し、特に加速時における急激なトルク変動に起因する車両前後振動を低減するために点火時期を遅角側に制御する点火時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の加速時には、内燃機関のトルクの急激な増加に対して駆動輪が追従できないために、内燃機関から駆動輪へトルクを伝達する駆動系、特にドライブシャフトにねじれが生じ、それに起因する内燃機関の変位をマウントで吸収する際に加速変動が起き、車両前後振動が発生することがある。このような車両前後振動が発生すると、加速感を悪化させるとともに、走行安定性を損なう。このような問題を解決するための従来の点火時期制御装置として、例えば、本出願人が提案した特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この点火時期制御装置では、加速時において、内燃機関の回転変動量が所定量よりも大きく、かつ回転変動量微分値が所定値よりも小さいときに、点火時期の遅角補正が実行される。このように、点火時期の遅角補正の実行タイミングを、内燃機関の回転変動量および回転変動量微分値に基づいて決定するのは、加速時の車両前後振動の発生原因が車両駆動力の変動に他ならないとともに、内燃機関の回転変動量が、車両駆動力の増加時には減少し、車両駆動力の減少時には増加するという挙動を示し、車両駆動力とは互いに逆位相の関係を有するためである。したがって、内燃機関の回転変動量が所定量よりも大きく、かつ回転変動量微分値が所定値よりも小さいとき、例えば回転数が増加していて、回転変動量が減少しているときに、遅角補正量による点火時期の遅角補正を実行することによって、車両駆動力が増加しているときに、内燃機関のトルクを適切なタイミングで低減できる。その結果、加速変動の発生原因である車両駆動力の変動を効果的に抑制でき、加速性能を損なうことなく、車両前後振動を効果的に抑制することができる。
【0004】
また、上記の内燃機関の回転変動量および回転変動量微分値は、次のようにして算出される。すなわち、クランク角センサの設置誤差、微細な回転変動やノイズ成分の影響を除去するために、クランク角センサから所定のクランク角(例えば30度)ごとに出力されるクランク角信号の発生時間間隔をそれぞれ求め、これらの複数の発生時間間隔に基づき、TDC信号が発生するごとに、エンジン回転数NEが算出される。このTDC信号は、所定のクランク角(4気筒の場合180度)ごとに出力される。また、回転変動量DNEおよび回転変動量微分値DDNEの算出も、TDC信号を基準とし、その発生ごとに行われ、DNE=NE(n)−NE(n−1)として、DDNE=DNE(n)−DNE(n−1)=(NE(n)−NE(n−1))−(NE(n−1)−NE(n−2))として、それぞれ算出される。添え字のn、n−1およびn−2は、今回値、前回値および前々回値をそれぞれ表す。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−65196号公報(図10)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の点火時期制御装置では、内燃機関の回転変動量および回転変動量微分値が、上記のようにTDC信号を基準として算出されるので、回転変動量の算出にはTDC信号の2回の発生(1TDC時間)が必要であり、回転変動量微分値の算出にはTDC信号の3回の発生(2TDC時間)が必要であり、不可避的な時間遅れを伴う。このTDC時間は、回転数に応じて変化し、回転数が低いほど大きいため、それに応じて、算出遅れも回転数が低いほど大きくなる。このため、算出した回転変動量微分値が所定値よりも小さくなったタイミングで、点火時期の遅角補正を実行したとしても、その実行タイミングは、回転変動量微分値が実際に所定値よりも小さくなったタイミングからすでに遅れているため、遅角補正を、車両駆動力が実際に増加し始める最適なタイミングで行うことができず、その結果、車両前後振動を効果的に抑制できない。
【0007】
また、内燃機関の回転変動には、発生トルクの増減による回転変動に加えて、これとは無関係に圧縮行程の影響によって発生する回転変動(以下「圧縮行程変動」という)が含まれる。このため、算出した回転変動量微分値にこのような圧縮行程変動分が含まれることで、回転変動量微分値の変動の振幅中心(軸)がずれてしまう。また、回転変動量微分値がTDC基準で算出される結果、その振幅中心のずれの大きさは、圧縮行程変動量が一定であっても、TDC時間に応じて変化し、回転変動量微分値は、回転数が低いほど、大きな値として算出される。その結果、算出した回転変動量微分値と所定値との比較に基づいて決定された遅角補正の実行タイミングが、やはり最適なタイミングからずれてしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、加速時における点火時期の遅角補正を、実際の車両駆動力の変動に応じた適切なタイミングで実行でき、それにより、加速性能を確保しながら、トルク変動による車両前後振動を効果的に抑制することができる内燃機関の点火時期制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、加速時に点火時期を遅角側に制御する内燃機関の点火時期制御装置であって、内燃機関2に対する加速要求を検出する加速要求検出手段(実施形態における(以下、本項において同じ)スロットル開度センサ6)と、内燃機関2の回転数(エンジン回転数NE)を検出する回転数検出手段(クランク角センサ15、ECU3)と、検出された回転数に基づいて内燃機関2の回転変動量DNEを算出する回転変動量算出手段(ECU3、図5のステップ61)と、算出された回転変動量DNEに基づいて内燃機関2の回転変動量微分値DDNEを算出する回転変動量微分値算出手段(ECU3、図5のステップ62)と、算出された回転変動量微分値DDNEを内燃機関2の回転数に応じて補正することにより、補正回転変動量微分値(補償エンジン信号値AES、補正DDNE)を算出する補正回転変動量微分値算出手段(ECU3、図3のステップ31、図20のステップ31B)と、点火時期IGLOGを遅角側に補正するための遅角補正量(加速リタード補正量IGACCR)を算出する遅角補正量算出手段(ECU3、図4のステップ60)と、加速要求が検出されたときに、回転変動量DNEおよび補正回転変動量微分値に基づいて、遅角補正量による補正を実行する遅角補正実行手段(ECU3、図13のステップ81〜83、85)と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
この内燃機関の点火時期制御装置によれば、遅角補正量算出手段によって、点火時期の遅角補正量が算出される。また、検出された内燃機関の回転数に基づいて、その回転変動量、さらに回転変動量微分値が算出されるとともに、算出された回転変動量微分値を内燃機関の回転数に応じて補正することによって、補正回転変動量微分値が算出される。そして、加速要求が検出されたときに、点火時期の遅角補正の実行タイミングが、算出した回転変動量および補正回転変動量微分値に基づいて決定される。このように、点火時期の遅角補正の実行タイミングを、基本的に内燃機関の回転変動量および回転変動量微分値に基づいて決定するのは、特許文献1で述べたのと同じ理由からであり、すなわち、加速時の車両前後振動の発生原因が車両駆動力の変動に他ならず、また、内燃機関の回転変動量が、車両駆動力の増加時には減少し、車両駆動力の減少時には増加するという挙動を示し、車両駆動力とは互いに逆位相の関係を有するためである。
【0011】
また、本発明によれば、遅角補正の実行タイミングを決定するための回転変動量微分値を表すパラメータとして、回転変動量から直接、算出される回転変動量微分値に代えて、この回転変動量微分値を回転数に応じて補正した補正回転変動量微分値が用いられる。前述したように、回転変動量微分値は、TDC信号基準で算出する場合、時間的な遅れを伴って算出されるとともに、圧縮行程変動による振幅中心のずれを含み、これらの算出遅れおよび振幅中心ずれの度合は、回転数に応じて変化する。したがって、回転変動量微分値を回転数に応じて補正し、それにより得られた補正回転変動量微分値に基づき、遅角補正の実行タイミングを決定することによって、加速時における点火時期の遅角補正を、回転変動量微分値への回転数の影響を補償しながら、実際の車両駆動力の変動に応じた適切なタイミングで実行できる。その結果、加速変動の発生原因である車両駆動力の変動を効果的に抑制でき、それにより、加速性能を確保しながら、トルク変動による車両前後振動を効果的に抑制することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、補正回転変動量微分値は、回転変動量微分値DDNEを、その振幅中心のずれおよび算出遅れを補償するように、内燃機関2の回転数に応じて補正することによって算出された第1補正回転変動量微分値(補償エンジン信号値AES)であり、遅角補正実行手段は、回転変動量DNEが第1所定量よりも大きく、かつ算出された第1補正回転変動量微分値が第1所定値よりも小さいときに、遅角補正量による補正を実行する(図13のステップ81、83、85)ことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、回転変動量微分値を、その振幅中心ずれおよび算出遅れを補償するように、内燃機関の回転数に応じて補正することによって、補正回転変動量微分値として第1補正回転変動量微分値が算出される。そして、回転変動量が第1所定量よりも大きく、かつ算出した第1補正回転変動量微分値が第1所定値よりも小さいときに、遅角補正量による補正が実行される。したがって、回転変動量微分値の振幅中心ずれおよび算出遅れを補償しながら、例えば回転数が増加し、かつ回転変動量が実際に減少しているタイミングで、遅角補正量による点火時期の遅角補正を実行でき、それにより、車両駆動力が実際に増加している最適なタイミングで、内燃機関のトルクを低減できる。その結果、加速性能を損なうことなく、車両前後振動を最も効果的に抑制することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、遅角補正実行手段は、回転変動量DNEおよび第1補正回転変動量微分値の少なくとも一方の絶対値が所定の第1しきい値(しきい値#DNEACCRP、#AESACCRP)以上のときに、遅角補正量による補正を実行する(図13のステップ82、図18のステップ82A)ことを特徴とする。
【0015】
前述したように、請求項2の発明では、回転変動量と第1所定量との比較結果、および第1補正回転変動量微分値と第1所定値との比較結果に基づいて、点火時期の遅角補正を実行すべきか否かが決定される。一方、検出される内燃機関の回転数には、燃焼変動などによるノイズ成分が含まれ、このことは、回転数に基づいて算出される回転変動量および第1補正回転変動量微分値についても同様である。この構成によれば、回転変動量および/または第1補正回転変動量微分値の絶対値が所定の第1しきい値以上であることをさらなる条件として、点火時期の遅角補正を実行するので、これらのパラメータへのノイズ成分の影響を排除でき、したがって、ノイズに起因する遅角補正の誤作動やハンチングを適切に回避することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、遅角補正量算出手段は、第1補正回転変動量微分値に応じて遅角補正量を算出する(図4のステップ54、図36)ことを特徴とする。
【0017】
回転変動量微分値は回転変動量の増加または減少の度合(傾き)を表し、また、前述したように、回転変動量は車両駆動力とは互いに逆位相の関係を有する。したがって、回転変動量微分値は、車両駆動力の増減度合を表す。また、第1補正回転変動量微分値は、回転変動量微分値に対して圧縮行程変動による振幅中心ずれを補償したものであるため、車両駆動力の増減度合を正確に反映する。したがって、遅角補正量を第1補正回転変動量微分値に応じて設定することによって、遅角補正量を、車両駆動力の実際の増加度合に応じ、車両駆動力の増加を相殺するのに最適な値に設定でき、それにより、車両前後振動をさらに効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、補正回転変動量微分値は、回転変動量微分値DDNEを、その振幅中心のずれを補償するように、内燃機関2の回転数に応じて補正することによって算出された第2補正回転変動量微分値(補正DDNE)であり、遅角補正実行手段は、内燃機関2の回転数が所定回転数#NETRG未満の場合には、回転変動量DNEが第2所定量よりも大きいときに、内燃機関2の回転数が所定回転数#NETRG以上の場合には、第2補正回転変動量微分値が第2所定値よりも小さいときに、遅角補正量による補正を実行する(図22のステップ81B、83B、85、83BB、85B)ことを特徴とする。
【0019】
前述したように、TDC信号基準による場合、回転変動量の算出には1TDC時間が、回転変動量微分値の算出には2TDC時間がそれぞれ必要であり、それらの算出遅れは、回転数が低いほど大きくなる。このため、算出遅れを補償しない場合、回転変動量微分値の算出タイミング(算出された回転変動量微分値が減少し始めるタイミング)は、車両駆動力が実際に増加し始める最適タイミングに対して遅れ、その遅れ時間は、回転数が低いほど大きくなる。これに対して、回転変動量は、その微分値である回転変動量微分値に対して位相が90度遅れた関係にあるため、その正負を逆にした(−)回転変動量は逆に、回転変動量微分値に対して位相が90度進んだ関係にある。このため、(−)回転変動量の算出タイミング(算出された(−)回転変動量が減少し始めるタイミング)は、その算出遅れがあることで、回転数が低いほど、最適タイミングに近づき、ある回転数以下では、回転変動量微分値の算出タイミングよりもむしろ最適タイミングに近い関係になる。
【0020】
このような関係から、本発明では、最適タイミングに対する両算出タイミングのずれが等しくなるような内燃機関の回転数を所定回転数として設定するとともに、回転数がこの所定回転数未満の場合には、回転変動量が第2所定量よりも大きくなったとき(最適タイミングにより近い(−)回転変動量が上記第2所定量に対応する所定量よりも小さくなったとき)に、回転数が所定回転数以上の場合には、最適タイミングにより近い第2補正回転変動量微分値に基づき、その値が第2所定値よりも小さいときに、遅角補正を実行する。このように、内燃機関の回転数に応じ、最適タイミングに対して算出ずれの小さい方のパラメータを用いて、遅角補正の実行タイミングを決定するので、遅角補正を大きなずれを伴うことなく実行でき、車両前後振動の抑制効果を支障なく得ることができる。また、回転変動量を表すパラメータとして第2補正回転変動量微分値を採用することによって、振幅中心ずれを補償した効果を維持できる。さらに、第2補正回転変動量微分値の採用により、算出遅れを併せて補償した第1補正回転変動量微分値を用いる場合と比較して、演算処理の負荷を軽減できることで、点火時期制御の簡便化を図ることができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、遅角補正実行手段は、回転変動量DNEの絶対値が所定の第2しきい値(しきい値#DNEACCRP)以上のときに、遅角補正量による補正を実行する(図27のステップ82C、図18のステップ82CC)ことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、請求項3に係る発明と同様、回転数の検出ノイズ成分による回転変動量への影響を排除でき、ノイズに起因する遅角補正の誤作動やハンチングを適切に回避することができる。
【0023】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、遅角補正量算出手段は、第2補正回転変動量微分値に応じて遅角補正量を算出する(図4のステップ54、図36)ことを特徴とする。
【0024】
第2補正回転変動量微分値は、回転変動量微分値に対して振幅中心ずれのみを補償したものである。したがって、この構成によれば、遅角補正量を第2補正回転変動量微分値に応じて設定することにより、請求項4に係る発明と同様、遅角補正量を、車両駆動力の実際の増加度合に応じ、車両駆動力の増加を相殺するのに最適な値に設定でき、車両前後振動をさらに効果的に抑制することができる。
【0025】
また、前記目的を達成するため、請求項8に係る発明は、加速時に点火時期を遅角側に制御する内燃機関の点火時期制御装置であって、内燃機関2に対する加速要求を検出する加速要求検出手段(スロットル開度センサ6)と、内燃機関2の回転数(エンジン回転数NE)を検出する回転数検出手段(クランク角センサ15、ECU3)と、検出された回転数に基づいて内燃機関2の回転変動量DNEを算出する回転変動量算出手段(ECU3、図31のステップ111)と、内燃機関2に連結された変速機の変速比を検出する変速比検出手段(ギヤ位置センサ20)と、算出された回転変動量DNEを、内燃機関2の回転数および検出された変速比に応じた所定の位相遅れを有するように補正することにより、補正回転変動量CEAを算出する補正回転変動量算出手段(ECU3、図30のステップ31D、図31のステップ114)と、点火時期IGLOGを遅角側に補正するための遅角補正量(加速リタード補正量IGACCR)を算出する遅角補正量算出手段(ECU3、図4のステップ60)と、加速要求が検出された場合において、補正回転変動量CEAが第3所定値よりも大きいときに、遅角補正量による補正を実行する遅角補正実行手段(ECU3、図34のステップ83D、85)と、を備えていることを特徴とする。
【0026】
請求項5に係る発明の説明で述べたように、回転変動量を正負逆にした(−)回転変動量は、回転変動量微分値に対して位相が90度進んだ関係にあるとともに、その算出遅れは、回転数が低いほど大きくなる。また、変速機の変速比が変わると、内燃機関から駆動輪までの駆動系の固有振動数が変化するため、それに応じて最適タイミングも変化する。したがって、この構成によれば、回転変動量を回転数および変速機の変速比に応じた所定の位相遅れを有するように補正するとともに、得られた補正回転変動量が第3所定量よりも大きくなったとき(所定の位相遅れをもたせた(−)回転変動量が上記第3所定量に対応する所定量よりも小さくなったとき)に、遅角補正を実行することによって、遅角補正を、車両駆動力が実際に増加し始める最適タイミングに近いタイミングで実行でき、それにより、車両前後振動を効果的に抑制することができる。また、本発明では、請求項1の発明などと異なり、回転変動量微分値の算出が不要になるので、その分、演算処理の負荷を軽減でき、点火時期制御の簡便化を図ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態による点火時期制御装置1、およびこれを適用した内燃機関2の概略構成を示している。
【0028】
この内燃機関(以下「エンジン」という)2は、図示しない車両に搭載された、例えば4気筒4サイクルエンジンである。また、この車両は、図示しない手動変速機(変速機)を搭載したMT車である。エンジン2の吸気管4には、スロットル弁5が設けられている。このスロットル弁5の開度(以下「スロットル開度」という)THは、スロットル開度センサ6(加速要求検出手段、スロットル開度検出手段)によって検出され、その検出信号は、後述するECU3に出力される。
【0029】
吸気管4のスロットル弁5よりも下流側でかつ吸気弁(図示せず)のすぐ上流側には、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)7が気筒ごとに設けられている(1つのみ図示)。各インジェクタ7は、燃料ポンプ(図示せず)に接続されるとともに、ECU3に電気的に接続されていて、その開弁時間(燃料噴射時間)TOUTは、ECU3からの駆動信号によって制御される。
【0030】
また、エンジン2の各気筒には、点火プラグ8(1つのみ図示)が設けられており、ディストリビュータ9を介してECU3に接続されている。各点火プラグ8は、ECU3からの駆動信号により点火時期IGLOGに応じたタイミングで高電圧が加えられ、次に遮断されることによって放電し、それにより、各気筒内で混合気の点火が行われる。
【0031】
一方、吸気管4のスロットル弁5よりも下流側には、吸気管内絶対圧センサ10が配置されている。この吸気管内絶対圧センサ10は、吸気管4内の絶対圧である吸気管内絶対圧PBAを検出し、その検出信号をECU3に出力する。また、吸気管4には、吸気管内絶対圧センサ10の下流側に、吸気温センサ11が取り付けられており、吸気管4内の吸気温TAを検出し、その検出信号をECU3に出力する。さらに、エンジン2の本体には、エンジン水温センサ12が取り付けられており、エンジン2の本体内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出し、その検出信号をECU3に出力する。
【0032】
一方、エンジン2のクランクシャフト(図示せず)の周囲には、気筒判別センサ13、TDCセンサ14およびクランク角センサ15(回転数検出手段)が設けられている。これらのセンサ13〜15は、マグネットロータやMREピックアップなど(いずれも図示せず)で構成され、それぞれの所定クランク角度位置でパルス信号を発生し、ECU3に出力する。具体的には、気筒判別センサ13は、特定の気筒の所定のクランク角度位置で、気筒判別信号CYL(以下「CYL信号」という)を発生する。TDCセンサ14は、各気筒の吸気行程開始時のTDC(上死点)よりも少し前の所定のクランク角度位置で、TDC信号を発生する。4気筒タイプの本例では、TDC信号はクランク角180度ごとに1パルスが出力される。また、クランク角センサ15は、TDC信号よりも短い所定のクランク角度の周期(例えば30度ごと)で、クランク角信号CRK(以下「CRK信号」という)を発生する。
【0033】
ECU3は、これらのCYL信号、TDC信号およびCRK信号に基づき、気筒ごとのクランク角度位置を判別するとともに、CRK信号に基づき、エンジン2の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
【0034】
エンジン2の排気管16には三元触媒17が配置されており、排気ガス中のHC、CO、NOx などの成分の浄化を行う。また、排気管16の三元触媒17よりも上流側には、酸素濃度センサ18が設けられており、排気ガス中の酸素濃度を検出し、その検出信号をECU3に出力する。
【0035】
ECU3にはさらに、車速センサ19から、車両の速度(車速)VPを表す検出信号が、ギヤ位置センサ20(変速比検出手段)から、手動変速機のギヤ位置に対応するギヤ位置番号NGRを表す検出信号が、それぞれ出力される。このギヤ位置番号NGRは、第1速〜第5速のギヤ位置に対して、それぞれ値1〜5が割り当てられている。また、ECU3には、空調装置(以下「エアコン」という)22のコンプレッサ(図示せず)とエンジン2との間を接続・遮断する電磁式のエアコンクラッチ21が電気的に接続されていて、ECU3からの駆動信号によって、エアコンクラッチ21の接続・遮断が制御される。
【0036】
ECU3は、本実施形態において、加速要求検出手段、回転数検出手段、回転変動量算出手段、回転変動量微分値算出手段、補正回転変動量微分値算出手段、遅角補正量算出手段、遅角補正実行手段、および補正回転変動量算出手段を構成するものである。ECU3は、CPU、RAM、ROMおよび入出力インターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されている。
【0037】
CPUは、上述した各種のセンサで検出されたエンジンパラメータ信号に基づいて、エンジン2の運転状態を判別するとともに、その判別結果に応じ、TDC信号の発生に同期して、燃料噴射時間TOUTおよび点火時期IGLOGを演算し、その演算結果に基づく駆動信号をインジェクタ7およびディストリビュータ9に出力する。また、車両の加速時には、点火時期IGLOGの加速リタード制御を後述するように実行する。
【0038】
図2は、点火時期IGLOGの算出処理のメインフローを示すフローチャートである。本処理は、TDC信号の発生に同期して実行される。まず、ステップ21(「S21」と図示。以下同じ)において、前述した各種センサで検出された運転パラメータを読み込む。次いで、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAに応じ、マップ(図示せず)を検索することによって、基本点火時期IGMAPを決定する(ステップ22)。
【0039】
次に、加速リタード補正量IGACCRを算出する(ステップ23)。この加速リタード補正量IGACCRは、車両の加速時に実行される加速リタード制御において算出されるものであり、その詳細については後述する。
【0040】
次いで、算出した加速リタード補正量IGACCRを用い、次式(1)によって、点火時期IGLOGを算出する(ステップ24)。
IGLOG=IGMAP−IGACCR+IGCRO ・・・(1)
ここで、IGCROは、IGACCR以外の補正量であり、例えば、エンジン水温TWに応じて決定される水温進角補正量、吸気温TAに応じて決定される吸気温進角補正量や、低温始動時における暖機向上のための暖機向上進角量などが含まれる。
【0041】
そして、算出した点火時期IGLOGに基づく駆動信号をディストリビュータ9に出力する(ステップ25)ことによって、各気筒の点火時期を制御し、本プログラムを終了する。
【0042】
図3および図4は、図2のステップ23で実行される加速リタード補正量IGACCRの算出処理を示している。なお、以下の説明では、ECU3のROMに記憶されているデータについては、その先頭に「#」を付することで、随時、検出または更新される他のデータと区別して表すものとする。この処理ではまず、ステップ31において、補償エンジン信号値AES(第1補正回転変動量微分値)を算出する。この補償エンジン信号値AESは、以下に述べるように、エンジン回転数NEの2回微分値である回転変動量微分値DDNEを、その振幅中心ずれおよび算出遅れを補償するように補正したものである。
【0043】
図5は、この補償エンジン信号値AESの算出サブルーチンを示している。この処理ではまず、エンジン回転数NEの今回値NE(n)と前回値NE(n−1)との差(=NE(n)−NE(n−1))を、回転変動量DNEとして算出する(ステップ61)とともに、回転変動量の今回値DNE(n)と前回値DNE(n−1)との差(=DNE(n)−DNE(n−1))を、回転変動量微分値DDNEとして算出する(ステップ62)。
【0044】
次いで、エンジン回転数NEに応じ、図6に示すテーブルからテーブル値#DDNEK/dtNを検索し、振幅中心ずれ補償項DDNEK/dtとして設定する(ステップ63)。この振幅中心ずれ補償項DDNEK/dtは、圧縮行程変動の影響による回転変動量微分値DDNEの振幅中心ずれK/dtを補償するためのものである。この振幅中心ずれK/dtは、エンジン回転数NEが低いほど、TDC時間(サンプリング時間)が長くなることで、より大きくなるので、これに応じ、テーブル値#DDNEK/dtNは、エンジン回転数NEが低いほど、より大きな値に設定されている。次に、算出した振幅中心ずれ補償項DDNEK/dtを回転変動量微分値DDNEから減算することによって、第2補正回転変動量微分値(以下「補正DDNE」という)を算出する(ステップ64)。
【0045】
次いで、エンジン回転数NEに応じ、図7に示すテーブルからテーブル値#DDNETDCNを検索し、算出遅れ補償項DDNETDCとして設定する(ステップ65)。この算出遅れ補償項DDNETDCは、TDC信号基準による回転変動量微分値DDNEの算出遅れを補償するためのものであり、このため、テーブル値#DDNETDCNは、エンジン回転数NEに反比例するように設定されている。次に、算出した算出遅れ補償項DDNETDCを、ステップ64で求めた補正DDNEから減算することによって、補償エンジン信号値AESを算出し(ステップ66)、本サブルーチンを終了する。
【0046】
図3に戻り、ステップ31に続くステップ32では、加速リタード制御の実行領域判定処理を行う。この処理は、エンジン2が加速リタード制御の実行に適した運転領域にあるか否かを判定するものであり、図8に示すサブルーチンに従って実行される。この処理ではまず、エンジン回転数NEに応じ、図9に示すテーブルからテーブル値#THACCRNを検索し、スロットル開度判定値THACCRとして設定する(ステップ71)。同図に示すように、このテーブル値#THACCRNは、エンジン回転数NEの4つの格子点NE1〜NE4に対して、NE値が大きいほど、より大きな値になるように設定されており、格子点間では補間計算によって求められる。
【0047】
スロットル開度判定値THACCRが上記のように設定されるのは、次の理由による。後述するように、本実施形態の加速リタード制御では、スロットル弁5が前回時に低開度状態にあることが、加速リタード制御の開始条件の1つになっていて、その判定にスロットル開度判定値THACCRが用いられる。一方、加速変動による車両前後振動は、エンジン回転数NEが大きいほど、エンジン2のトルクが大きいことで生じやすい傾向にあるので、低開度状態と判定されるスロットル開度領域を拡大することで、加速リタード制御の頻度を高くするためである。
【0048】
次に、スロットル開度の今回値TH(n)と前回値TH(n−1)との差(TH(n)−TH(n−1))を、スロットル開度変化量DTHACRとして算出する(ステップ72)。
【0049】
次いで、エンジン水温TWが、その下限値#TWIGACCR(例えば70℃)よりも高いか否か(ステップ73)、車速VPがその下限値#VIGACCRL(例えば5km/h)と上限値#VIGACCRH(例えば180km/h)との間にあるか否か(ステップ74)、およびエンジン回転数NEがその下限値#NIGACCRL(例えば1000rpm)と上限値#NIGACCRH(例えば7000rpm)との間にあるか否か(ステップ75)をそれぞれ判別する。
【0050】
これらの答のいずれかがNOのときには、エンジン2が加速リタード制御の実行に適した運転領域にないとして、加速リタード許可フラグF_IGACCRを「0」にセットし(ステップ76)、加速リタード制御を禁止する。一方、前記ステップ73〜75の答がいずれもYESで、エンジン水温TW、車速VPおよびエンジン回転数NEがそれぞれの所定の範囲内にあるときには、エンジン2が加速リタード制御の実行に適した運転領域にあるとして、加速リタード許可フラグF_IGACCRを「1」にセットし(ステップ77)、加速リタード制御を許可し、本サブルーチンを終了する。
【0051】
図3に戻り、ステップ32に続くステップ33〜46では、加速リタード制御の開始条件が成立しているか否かを判定する。まず、加速リタード許可フラグF_IGACCRが「1」であるか否かを判別する。この答がNOで、図8の判定処理によって加速リタード制御が禁止されているときには、後述する回転数低下フラグF_ACCR、エアコン停止フラグF_IGACCNおよびエアコン作動フラグF_IGACCANをそれぞれ「0」にセットする(ステップ34〜36)とともに、図4のステップ47および48において、後述する加速リタード算出量IGACCRAMおよび加速リタード補正量IGACCRをそれぞれ値0に設定し、本プログラムを終了する。
【0052】
一方、ステップ33の答がYESで、加速リタード制御が許可されているときには、回転数低下フラグF_ACCRが「1」であるか否かを判別する(ステップ37)。前記ステップ34の実行によって、加速リタード制御が許可された直後にはこの答がNOになるので、その場合にはステップ38に進み、加速リタード算出量IGACCRAMが値0であるか否かを判別する。前記ステップ47の実行によって、加速リタード制御が許可された直後にはこの答がYESになるので、その場合にはステップ39以降に進む。
【0053】
このステップ39では、スロットル開度の前回値TH(n−1)が、図8のステップ71で設定したスロットル開度判定値の今回値THACCR(n)よりも小さいか否かを判定し、また、ステップ40では、図8のステップ72で算出したスロットル開度変化量DTHACRが、その判定値#DTHACCR(例えば10度)よりも大きいか否かを判別する。これらの答のいずれかがNOのとき、すなわちスロットル弁5が前回時の低開度状態から急開されていないときには、加速要求が高くなく、加速リタード制御の開始条件が成立していないとして、加速リタード算出量IGACCRAMが値0であるか否かを判別する(ステップ41)。この答がYES、すなわち加速リタード制御中でないときには、前記ステップ35以降に進み、加速リタード制御の開始を保留する一方、ステップ41の答がNOで、加速リタード制御中のときには、後述するステップ60の加速リタード補正量IGACCRの算出処理に進む。
【0054】
一方、前記ステップ39および40の答がいずれもYESのときには、前記ステップ31で算出した補償エンジン信号値AESが値0よりも大きいか否かを判別する(ステップ42)。この答がYESのとき、すなわちスロットル弁5が低開度状態から急開されていて、加速要求が高く、かつ前回時と今回時の間で回転変動量DNEが増加しているときには、回転数低下フラグF_ACCRを「0」にセットする(ステップ43)とともに、加速リタード制御の開始条件が成立しているとして、図4の後述するステップ49以降に進み、加速リタード量算出値IGACCRAMを算出する。
【0055】
前記ステップ42の答がNOで、回転変動量DNEが増加していないときには、補償エンジン信号値の絶対値|AES|が判定値#AESCCR0(例えば10rpm)よりも大きいか否かを判別する(ステップ44)。この答がNOのとき、すなわち回転変動量DNEが減少している場合でも、その減少度合が小さいときには、前記ステップ43を実行するとともに、加速リタード制御の開始条件が成立しているとして、ステップ49以降に進む。
【0056】
一方、前記ステップ44の答がYESのとき、すなわち回転変動量DNEが減少しており、且つその減少度合が大きいときには、回転数低下フラグF_ACCRを「1」にセットする(ステップ45)とともに、加速リタード制御の開始条件が成立していないとして、図4の前記ステップ47、48を実行し、加速リタード算出量IGACCRAMおよび加速リタード補正量をそれぞれ値0に設定する。このように回転数低下フラグF_ACCRが「1」にセットされると、前記ステップ37の答がYESになり、その場合には、前記ステップ42以降に進む。すなわち、スロットル弁5が急開された場合において、回転変動量DNEが減少していて、その減少度合が大きいときには、加速リタード制御の開始を保留し、その後、回転変動量DNEが増加側に転じるのを待って、加速リタード制御が開始される。
【0057】
また、前記ステップ38の答がNOで、加速リタード制御中のときには、後述するリタード終了タイマのタイマ値TACCREが値0であるか否かを判別し(ステップ46)、その答がYESのときには、前記ステップ39以降に進む一方、NOのときにはステップ60に進む。
【0058】
前記ステップ42または44により加速リタード制御の開始条件が成立していると判定されたときには、ステップ43に続く図4のステップ49〜59において、加速リタード量算出値IGACCRAMを設定する。
【0059】
まず、ステップ49および50において、エアコン作動フラグF_IGACCANおよびエアコン停止フラグF_IGACCNが「1」であるか否かをそれぞれ判別する。それらの答のいずれもがNOのときには、エアコンクラッチ21(ACCL)が接続(ON)状態であるか否かを判別し(ステップ51)、その答がNOのときにはエアコン停止フラグF_IGACCNを「1」にセットし(ステップ52)、YESのときにはエアコン作動フラグF_IGACCANを「1」にセットする(ステップ53)。また、前記ステップ50の答がYESで、エアコン停止フラグF_IGACCNがすでに「1」にセットされているときには、前記ステップ52に進み、その値を保持し、同様に、前記ステップ49の答がYESで、エアコン作動フラグF_IGACCANがすでに「1」にセットされているときには、前記ステップ53に進み、その値を保持する。このように、エアコン停止・作動フラグF_IGACCN、F_IGACCANは、エアコンクラッチ21の遮断・接続状態に応じて一旦、セットされると、以降はその値に保持される。
【0060】
エアコン22が停止中のときには、前記ステップ52に続くステップ54において、エンジン回転数NEに応じ、図10(a)に示すテーブルから、エアコン停止時用のテーブル値#IGACCRNを検索し、加速リタード量基本値IGACCRXとして設定する。同図に示すように、このテーブル値#IGACCRNは、エンジン回転数NEの5つの格子点NE1〜NE5に対して、NE値が大きいほど、より大きな値になるように設定されている。これは、前述したように、エンジン回転数NEが高いほど、エンジン2のトルクが大きいことで、車両前後振動が生じやすいので、加速リタード量基本値IGACCRXをより大きな値に設定することによって、遅角補正によるエンジン2のトルクダウン量をより大きくするためである。
【0061】
一方、エアコン22が作動中のときには、前記ステップ53に続くステップ55において、エンジン回転数NEに応じ、図10(b)に示すテーブルから、エアコン作動時用のテーブル値#IGACCRANを検索し、加速リタード量基本値IGACCRXとして設定する。同図に示すように、このテーブル値#IGACCRANは、エアコン停止時用のテーブル値#IGACCRNと同様、エンジン回転数NEの5つの格子点NE1〜NE5に対して、NE値が大きいほど大きな値に設定されるとともに、テーブル値#IGACCRNよりも低い値に設定されている。これは、エアコン22の作動に伴うエンジン2の負荷の増大に対応して、エンジン2のトルクを確保するためである。
【0062】
前記ステップ54または55に続くステップ56では、スロットル開度THに応じ、図11に示すテーブルからテーブル値#KTHACRNを検索し、スロットル開度補正係数KTHACRとして設定する。同図に示すように、このテーブル値#KTHACRNは、スロットル開度THの4つの格子点TH1〜TH4に対して、TH値が大きいほど、より大きな値になるように設定されている。これは、スロットル開度THが大きいほど、エンジン2のトルクが大きいことで、車両前後振動が生じやすいので、スロットル開度補正係数KTHACRをより大きな値に設定することによって、エンジン2のトルクダウン量をより大きくするためである。
【0063】
次に、ステップ57に進み、ギヤ位置番号NGRに応じ、図12に示すテーブルからテーブル値#KGRNを検索し、ギヤ位置補正係数KGRとして設定する。このテーブルでは、テーブル値#KGRNは、ギヤ位置番号NGRが小さいほど、すなわちギヤ比が低いほど、より大きな値に設定されている。これは、ギヤ比が低いほど、加速時における駆動輪側からの反動が大きいことで、車両前後振動が生じやすいので、ギヤ位置補正係数KGRをより大きな値に設定することによって、エンジン2のトルクダウン量をより大きくするためである。
【0064】
次いで、ステップ58に進み、前記ステップ54または55で設定した加速リタード量基本値IGACCRXに、前記ステップ56および57でそれぞれ設定したスロットル開度補正係数KTHACRおよびギヤ位置補正係数KGRを乗算した値を、加速リタード量算出値IGACCRAMとして設定する。
【0065】
次に、ステップ59において、後述する加速リタード実行フラグF_IGACCRDの反転の有無を判定するためのダウンカウント式のF_IGACCRD反転タイマTACCRDE、および加速リタード終了タイマTACCREに、それぞれの所定時間#TMACCRDE(例えば200ms)、#TMACCRE(例えば1500ms)をセットし、これらをスタートさせるとともに、後述する初回加速リタード指示フラグF_IGACCR1を「1」にセットし、初回加速リタード中フラグF_IGACCR1Aおよび加速リタード実行フラグF_IGACCRDを、それぞれ「0」にセットする。
【0066】
次いで、ステップ60に進み、加速リタード補正量IGACCRの算出処理を行う。図13および図14は、そのサブルーチンを示している。まず、回転変動量DNEが値0(第1所定量)よりも大きいか否かを判別する(ステップ81)。この答がYESで、DNE>0のとき、すなわち前回時と今回時との間でエンジン回転数NEが上昇しているときには、補償エンジン信号値の絶対値|AES|が回転上昇側のしきい値#AESACCRP(第1しきい値、例えば10rpm)以上であるか否かを判別する(ステップ82)。この答がNOで、|AES|<#AESACCRPのときには、後述するステップ95以降に進む。この判別は、エンジン2の燃焼変動により補償エンジン信号値AES中に含まれるノイズ成分の影響を排除し、それに起因する加速リタードの誤作動を防止するためである。
【0067】
前記ステップ82の答がYESで、|AES|≧#AESACCRPのときには、補償エンジン信号値AESが値0(第1所定値)以上であるか否かを判別する(ステップ83)。この答がYESで、AES≧0のとき、すなわち回転変動量DNEが減少していないときには、加速リタードの実行条件が成立していないとして、ステップ95に進む。一方、ステップ83の答がNOで、AES<0のとき、すなわち前回時と今回時との間で、エンジン回転数NEが上昇し、かつ回転変動量DNEが減少しているときには、車両駆動力が増加しており、加速リタードの実行条件が成立しているとして、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが「1」であるか否かを判別する(ステップ84)。そして、この答がNOのときには、加速リタード実行フラグF_IGACCRDを「1」にセットする(ステップ85)一方、この答がYESで、すでに加速リタードの実行中であるときには、ステップ95に進む。
【0068】
次いで、初回加速リタード指示フラグF_IGACCR1が「1」であるか否かを判別する(ステップ86)。図4の前記ステップ59の実行により、加速リタード制御が開始された直後にはこの答がYESになるので、その場合にはステップ87に進み、初回加速リタード中フラグF_IGACCR1Aを「1」にセットした後、F_IGACCRD反転タイマTACCRDEに所定時間#TMACCRDEをセットし、これをスタートさせる(ステップ88)。一方、前記ステップ86の答がNOで、F_IGACCR1=0のとき、すなわち加速リタード制御の開始直後でないときには、前記ステップ87をスキップして、前記ステップ88に進む。
【0069】
一方、前記ステップ81の答がNOで、回転変動量DNE≦0のとき、すなわちエンジン回転数NEが低下しているか又は変化していないときには、補償エンジン信号値の絶対値|AES|が回転低下側のしきい値#AESACCRM(例えば5rpm)以上であるか否かを判別する(ステップ89)。この答がNOで、|AES|<#AESACCRMのときには、ステップ95に進む。ステップ89の答がYESで、|AES|≧#AESACCRMのときには、補償エンジン信号値AESが値0以上であるか否かを判別する(ステップ90)。この答がNOで、AES<0のとき、すなわち回転変動量DNEが減少しているときには、ステップ95に進む。
【0070】
一方、ステップ90の答がYESで、AES≧0のとき、すなわちエンジン回転数NEが低下しており、かつ回転変動量DNEが減少していないときには、車両駆動力が増加しておらず、加速リタードの停止条件が成立しているとして、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが「1」であるか否かを判別する(ステップ91)。そして、この答がYESで、加速リタードの実行中であるときには、加速リタード実行フラグF_IGACCRDを「0」にセットする(ステップ92)一方、この答がNOで、すでに加速リタードの停止中であるときには、ステップ95に進む。
【0071】
次いで、初回加速リタード中フラグF_IGACCR1Aが「1」であるか否かを判別する(ステップ93)。この答がYES、すなわち初回加速リタードの実行中であるときには、初回加速リタード指示フラグF_IGACCR1および初回加速中リタードフラグF_IGACCR1Aをいずれも「0」にセットした(ステップ94)後、前記ステップ88に進み、F_IGACCRD反転タイマTACCRDEをスタートさせる。また、ステップ93の答がNOで、初回以外の加速リタードの実行中であるときには、ステップ94をスキップして、前記ステップ88に進む。
【0072】
以上のように、前回時と今回時との間において、エンジン回転数NEが上昇しており(DNE>0)、かつ補償エンジン信号値AESが減少している(AES<0、|AES|≧#AESACCRP)ときには、車両駆動力が増加しており、加速リタードの実行条件が成立しているとして、加速リタードが実行される。一方、エンジン回転数NEが上昇しておらず(DNE≦0)、かつ回転変動量DNEが減少していない(AES≧0、|AES|≧#AESACCRM)ときには、車両駆動力が増加しておらず、加速リタードの停止条件が成立しているとして、加速リタードが停止される。また、上記の2つの条件がいずれも成立していないときには、前回時の制御状態が保持される。
【0073】
次いで、前記ステップ88などに続く図11のステップ95では、スロットル開度THが、図8の前記ステップ71で設定したスロットル開度判定値THACCRよりも小さいか否かを判定する。この答がNOで、スロットル開度THが低開度状態でないときには、F_IGACCRD反転タイマTACCRDEおよび加速リタード終了タイマTACCREの各タイマ値が0であるか否かを判別する(ステップ96、97)。両ステップ96、97の答がいずれもNOのときには、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが「1」であるか否かを判別する(ステップ98)。
【0074】
このステップ98の答がYESで、加速リタードの実行条件が成立しているときには、初回加速リタード中フラグF_IGACCR1Aが「1」であるか否かを判別する(ステップ99)。この答がYES、すなわち今回が加速リタード制御開始後の初回の加速リタードであるときには、図4の前記ステップ58で設定した加速リタード量算出値IGACCRAMに、値1.0よりも大きな初回時補正係数#KIGACCR1(例えば1.5)を乗算した値を、加速リタード補正量IGACCRとして設定する(ステップ100)。また、ステップ99の答がNO、すなわち今回の加速リタードが2回目以降であるときには、加速リタード量算出値IGACCRAMをそのまま、加速リタード補正量IGACCRとして設定する(ステップ101)。一方、前記ステップ98の答がNOで、F_IGACCRD=0のとき、すなわち加速リタードの停止条件が成立しているときには、加速リタード補正量IGACCRを値0に設定し(ステップ102)、本サブルーチンを終了する。
【0075】
以上のように、この加速リタード制御では、加速リタード実行フラグF_IGACCRD=1のとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇し且つ回転変動量DNEが減少しているときの加速リタードの実行と、F_IGACCRD=0のとき、すなわちエンジン回転数NEが低下し且つ回転変動量DNEが減少していないときの加速リタードの停止とが、切り換えながら交互に行われる。また、初回の加速リタード時にのみ、初回時補正係数#KIGACCR1が適用されることで、加速リタード補正量IGACCRがより大きな値に設定される。
【0076】
一方、前記ステップ97の答がYESで、加速リタード終了タイマTACCREのタイマ値=0のとき、すなわち加速リタード制御の開始後、所定時間#TMACCREが経過したときには、加速リタード制御の終了モードに移行し、加速リタード量算出値IGACCRAMからリタード戻し量#DIGACCR(例えば0.2度)を差し引いた値を、新たなIGACCRAM値として設定する(ステップ103)。このように加速リタード終了タイマTACCREが値0になった後には、図3のステップ46の答がYESになることで、ステップ39以降に進むので、スロットル弁5が急開操作されない限り、ステップ41の答がNOになるまで、すなわち加速リタード量算出値IGACCRAMが値0になるまで、上記ステップ103が繰り返し実行される。これにより、加速リタード補正量IGACCRが漸減されるとともに、その値が0になったときに加速リタード制御が終了する。
【0077】
また、前記ステップ96の答がYESで、F_IGACCRD反転タイマTACCRDEのタイマ値=0のとき、すなわち加速リタード実行フラグF_IGACCRDが、所定時間#TMACCRDEの間、反転しなかったときには、車両前後振動が収束したことで、加速リタード制御を終了すべきとして、加速リタード終了タイマTACCREのタイマ値を値0にリセットし(ステップ104)、次いで前記ステップ103に進む。これにより、加速リタード制御が強制的に終了モードに移行され、加速リタード補正量IGACCRが漸減される。
【0078】
さらに、前記ステップ95の答がYESで、TH<THACCRのときには、スロットル開度変化量DTHACRが値0よりも小さく、かつその絶対値|DTHACR|が判定値#DTHACCRよりも大きいか否かを判別する(ステップ105)。この答がNOのときには、前記ステップ96に進む一方、YESのとき、すなわちスロットル弁5が急閉されたときには、前記ステップ104に進み、加速リタード終了タイマTACCREのタイマ値を0にリセットすることによって、加速リタード制御が強制的に終了モードに移行される。
【0079】
以上のように、加速リタード制御は、その開始から所定時間#TMACCREが経過したとき、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが所定時間#TMACCRDEの間、反転しなかったとき、あるいはスロットル弁5が急閉されたときに、加速リタード補正量IGACCRを漸減する終了モードを経て、終了する。また、この終了モードの実行中および実行終了後には、図3のステップ46および38の答がそれぞれYESになることで、ステップ39以降に進むので、この状態でスロットル弁5が再度、急開され、実行条件が成立した場合には、加速リタード制御が再開される。
【0080】
図15は、これまでに述べた加速リタード制御による動作例を示している。すなわち、スロットル弁5が急開されることで、エンジン回転数NEが上昇し、補償エンジン信号値AESが上昇し始めると(図3のステップ42:YES)、加速リタード制御が開始され(時刻t1)、図4のステップ49〜59の実行によって、加速リタード量算出値IGACCRAMが算出されるとともに、F_IGACCRD反転タイマTACCRDEおよび加速リタード終了タイマTACCREがスタートし、初回加速リタード指示フラグF_IGACCR1が「1」にセットされる。
【0081】
その後、回転変動量DNE>0、補償エンジン信号値AES<0で、かつ|AES|≧#AESACCRPが成立したとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇していて、回転変動量DNEが減少し始めたとき(時刻t2)に、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが「1」にセットされ(図13のステップ84)、それに応じて加速リタードが実行される。すなわち、加速リタード補正量IGACCRが、加速リタード量算出値IGACCRAMに設定される(図14のステップ101)とともに、式(1)に従って、基本点火時期IGMAPなど(IGMAP+IGCRO)から加速リタード補正量IGACCRを減算した値が、点火時期IGLOGとして設定される。なお、初回の加速リタード時のみは、初回加速リタード中フラグF_IGACCR1Aが「1」にセットされるのに応じて、加速リタード補正量IGACCRが、加速リタード量算出値IGACCRAMに初回時補正係数#KIGACCR1を乗算した割増された値に設定される(ステップ100)。
【0082】
その後、DNE≦0、AES≧0で、かつ|AES|≧#AESACCRMが成立したとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇しておらず、かつ回転変動量DNEが増加し始めたとき(時刻t3)に、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが「0」にセットされ(図13のステップ92)、それに応じて加速リタード補正量IGACCRが値0に設定される(図14のステップ102)ことで、加速リタードが停止される。
【0083】
その後は、回転変動量DNEおよび補償エンジン信号値AESの変化に応じて、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが「1」「0」間で切り換えられるごとに(時刻t4〜t7)、加速リタードの実行と停止が交互に行われる。
【0084】
そして、上記のような加速リタード制御によって加速変動Gが次第に小さくなり、車両前後振動が収束することで、加速リタード実行フラグF_IGACCRDが、所定時間#TMACCRDEの間、反転しない状態になると、F_IGACCRD反転タイマTACCRDEのタイマ値が値0になり(時刻t8)、それに応じて加速リタード終了タイマTACCREが強制的に値0にリセットされる(ステップ104)ことで、終了モードに移行する。この終了モードでは、スロットル弁5の急開操作がなされない限り、加速リタード量算出値IGACCRAMからのリタード戻し量#DIGACCRの減算(ステップ103)が繰り返し実行されることで、加速リタード補正量IGACCRが値0になるまで漸減される。なお、加速リタード制御の途中で、エンジン2の運転領域が実行領域から外れたときには、加速リタード補正量IGACCRが値0に設定される(図4のステップ48)ことで、加速リタード制御が直ちに終了される。図15は、そのようなエンジン2の実行領域からの逸脱が、終了モードの途中(時刻t9)で生じた例を示している。
【0085】
以上のように、本実施形態によれば、スロットル弁5が急開された場合において、エンジン2の回転変動量DNE>0で、かつ補償エンジン信号値AES<0が成立したとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇していて、回転変動量DNEが減少し始めたときに、加速リタード補正量IGACCRによる加速リタードを実行する。また、この補償エンジン信号値AESは、回転変動量微分値DDNEを、圧縮行程変動の影響による振幅中心ずれ、およびTDC信号基準で算出することによる算出遅れを補償するように補正した値である。したがって、車両駆動力が実際に増加している最適なタイミングで、加速リタードを実行でき、それにより、内燃機関のトルクを最適に低減でき、その結果、車両前後振動を最も効果的に抑制することができる。
【0086】
図16は、本実施形態の加速リタード制御による上述した車両前後振動の抑制効果を確認するために実施した試験の結果を示している。同図(a)は本実施形態による実施例を、(b)は、加速リタードの実行タイミングを決定するパラメータとして、本実施形態の補償エンジン信号値AESに代えて、回転変動量微分値DDNEを用いた場合の比較例を、それぞれ示している。両図の比較から明らかなように、比較例では、エンジン回転数NEの変動および車両前後振動の振幅がいずれも大きく、車両前後振動が十分に抑制されていないのに対し、実施例では、加速リタードの実行タイミングが補償エンジン信号値AESに基づいて最適に決定される結果、エンジン回転数NEの変動および車両前後振動の振幅がいずれも小さく、車両前後振動を十分に抑制できることが確認された。
【0087】
また、本実施形態では、補償エンジン信号値AESの絶対値がしきい値#AESACCRP以上であることをさらなる条件として、加速リタードを実行するので、補償エンジン信号値AESへのノイズ成分の影響を排除でき、したがって、ノイズに起因する加速リタードの誤作動やハンチングを適切に回避することができる。
【0088】
さらに、DNE≦0で、かつAES≧0が成立したとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇しておらず、かつ回転変動量DNEが増加し始めたときに、加速リタードを停止するので、車両駆動力が減少している状態でのエンジン2の不要なトルクダウンを回避でき、より高い加速性能を得ることができる。また、この場合にも、補償エンジン信号値AESの絶対値がしきい値#AESACCRM以上であることを条件として、加速リタードを停止するので、補償エンジン信号値AESへのノイズ成分の影響を排除でき、これに起因する加速リタードの誤停止やハンチングを適切に回避することができる。また、加速リタードを停止するだけで、進角補正は行わないので、ノッキングの発生を確実に防止することができる。
【0089】
また、加速リタード補正量IGACCRを、エンジン回転数NEおよび変速機のギヤ比、さらにはスロットル開度THおよびエアコン22の作動状態に応じて設定するので、加速リタードによるエンジン2のトルクダウン量を、加速変動の度合に応じて適切に制御でき、その結果、車両駆動力の変動およびそれに起因する車両前後振動をより良く抑制することができる。また、エアコン22の作動に伴う負荷の増大に対応して、エンジン2のトルクを適切に確保することができる。
【0090】
さらに、初回の加速リタード時に、加速リタード補正量IGACCRを、初回時補正係数#KIGACCR1によって、より大きな値に設定するので、特に加速の立ち上がり時におけるトルクダウンを強化でき、それにより、車両前後振動の収束性を高めることができる。
【0091】
次に、図17〜図19を参照しながら、本発明の第2実施形態による加速リタード制御について説明する。なお、本実施形態および後述する実施形態は、第1実施形態と比較して、加速リタード制御の一部のステップの実行内容のみが異なるので、以下では、同じ実行内容のステップについては、共通のステップ番号を付し、異なる実行内容のステップを中心として説明を行うものとする。
【0092】
図17は、第1実施形態の図3に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出処理の前半部を示しており、図4と同じ処理内容の後半部は省略されている。図3との比較から明らかなように、本実施形態の算出処理は、第1実施形態と比較し、そのステップ42および44に対応するステップ42Aおよび44Aの実行内容のみが異なっており、加速リタード制御の開始条件の成立を判定するパラメータの1つとして、第1実施形態の補償エンジン信号値AESに代えて、回転変動量DNEを用いたものである。具体的には、スロットル弁5が急開されているとき(ステップ39および40:YES)などに、ステップ42Aにおいて、回転変動量DNEが値0よりも大きいか否かを判別し、その答がYESのときには、加速要求が高く、エンジン回転数NEが上昇しているとして、加速リタード制御の開始条件が成立していると判定する。また、ステップ42Aの答がNOのときには、ステップ44Aにおいて、回転変動量の絶対値|DNE|が判定値#DNECCR0(例えば10rpm)よりも大きいか否かを判別し、その答がYESのときには、エンジン回転数NEが大きな低下量で低下しているとして、加速リタード制御の開始条件が成立していないと判定する。
【0093】
図18は、第1実施形態の図13に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示し、図14と同じ処理内容の後半部は省略されている。図13との比較から明らかなように、本実施形態の算出処理は、第1実施形態と比較し、そのステップ82および89に対応するステップ82Aおよび89Aの実行内容のみが異なるものである。具体的には、回転変動量DNE>0(ステップ81:YES)で、エンジン回転数NEが上昇しているときには、ステップ82Aにおいて、回転変動量の絶対値|DNE|が回転上昇側のしきい値#DNEACCRP(第1しきい値、例えば10rpm)以上であるか否かを判別する。そして、この答がNOで、|DNE|<#DNEACCRPのときには、加速リタードの実行条件が成立していないと判定する。また、回転変動量DNE≦0(ステップ81:NO)で、エンジン回転数NEが上昇していないときには、ステップ89Aにおいて、回転変動量の絶対値|DNE|が回転低下側のしきい値#DNEACCRM(例えば5rpm)以上であるか否かを判別する。そして、この答がNOで、|DNE|<#DNEACCRMのときには、加速リタードの停止条件が成立していないと判定する。
【0094】
図19は、本実施形態による加速リタード制御の動作例を示している。すなわち、スロットル弁5が急開されることで、エンジン回転数NEが上昇し、回転変動量>0が成立すると(ステップ42A:YES)、加速リタード制御が開始される(時刻t1)。その後、DNE>0、|DNE|≧#DNEACCRPで、かつ補償エンジン信号値AES<0が成立したとき(ステップ82A:YES)、すなわちエンジン回転数NEが上昇していて、回転変動量DNEが減少し始めたときに、加速リタードが実行される(時刻t2)。また、その後、DNE≦0、|DNE|≧#DNEACCRMで、かつAES≧0が成立したとき(ステップ89A:YES)、すなわちエンジン回転数NEが上昇しておらず、かつ回転変動量DNEが増加し始めたときに、加速リタードが停止される(時刻t3)。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、スロットル弁5が急開された場合において、回転変動量DNEと、回転変動量微分値DDNEの振幅中心ずれおよび算出遅れを補償した補償エンジン信号値AESとに基づき、DNE>0、かつAES<0が成立したとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇していて、回転変動量DNEが減少し始めたときに、加速リタードを実行する。したがって、第1実施形態と同様、車両駆動力が実際に増加している最適なタイミングで、加速リタードを実行でき、車両前後振動を最も効果的に抑制することができる。また、DNE≦0で、かつAES≧0が成立したとき、すなわちエンジン回転数NEが上昇しておらず、かつ回転変動量DNEが増加し始めたときに、加速リタードを停止するので、第1実施形態と同様、車両駆動力が減少している状態でのエンジン2の不要なトルクダウンを回避でき、より高い加速性能を得ることができる。さらに、回転変動量DNEの絶対値がしきい値#DNEACCRPまたは#DNEACCRM以上であることを条件として、加速リタードを実行および停止するので、回転変動量DNEへのノイズ成分の影響を排除することによって、加速リタードの誤作動やハンチングを適切に回避できるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
次に、図20〜図26を参照しながら、本発明の第3実施形態による加速リタード制御について説明する。図20は、第1実施形態の図3および第2実施形態の図17に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出処理の前半部を示しており、図4と同じ処理内容の後半部は省略されている。図17との比較から明らかなように、本実施形態の算出処理は、第2実施形態と比較し、そのステップ31に対応するステップ31Bの実行内容のみが異なっている。すなわち、このステップ31Bでは、第1および第2実施形態の補償エンジン信号間AESに代えて、補正DDNEが算出される。図21は、その算出サブルーチンを示しており、ステップ61B〜64Bにおいて、図5のステップ61〜64とまったく同様にして、検出されたエンジン回転数NEに基づき、回転変動量DNE、回転変動量微分値DDNE、振幅中心ずれ補償項DDNEK/dtおよび補正DDNEを順次、算出する。すなわち、この補正DDNEの算出処理では、補償エンジン信号値AESの算出は省略され、回転変動量微分値DDNEに対して、圧縮行程変動による振幅中心ずれK/dtのみが補償される。
【0097】
図22は、第1実施形態の図13および第2実施形態の図18に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示しており、図14と同じ処理内容の後半部は省略されている。この算出処理では、まずエンジン回転数NEが所定回転数#NETRG(例えば2000rpm)以上であるか否かを判別する(ステップ81B)。この答がYESで、NE≧#NETRGのときには、前記ステップ31Bで算出した補正DDNEが、値0(第2所定値)よりも小さいか否かを判別する(ステップ83B)。そして、この答がYESで、補正DDNE<0のときには、加速リタードの実行条件が成立しているとして、第1実施形態などと同様にステップ84〜88に進み、加速リタードを実行する。一方、前記ステップ83Bの答がNOで、補正DDNE≧0のときには、加速リタードの実行条件が成立していないとして、第1実施形態などと同様にステップ91〜94に進み、加速リタードを停止する。
【0098】
一方、前記ステップ81Bの答がNOで、NE<#NETRGのときには、回転変動量DNEが値0(第2所定量)よりも大きいか否かを判別する(ステップ83BB)。そして、この答がYESで、DNE>0のときには、加速リタードの実行条件が成立しているとして、前記ステップ84〜88と同様のステップ84B〜88Bを実行し、加速リタードを実行する。一方、前記ステップ83BBの答がNOで、DNE≦0のときには、加速リタードの実行条件が成立していないとして、前記ステップ91〜94と同様のステップ91B〜94Bを実行し、加速リタードを停止する。
【0099】
以上のように、本実施形態では、エンジン回転数NEが所定回転数#NETRG以上のときには、補正DDNEに基づいて、エンジン回転数NEが所定回転数#NETRG未満のときには、回転変動量DNEに基づいて、加速リタードの実行および停止が決定される。これは、次の理由による。前述したように、回転変動量DNEの算出には1TDC時間が、回転変動量微分値DDNEの算出には2TDC時間がそれぞれ必要であり、それらの算出遅れは、回転数が低いほど大きくなる。このため、算出遅れを補償しない場合、回転変動量微分値DDNEの算出タイミング(算出された回転変動量微分値DDNEが減少し始めるタイミング)は、図23に示すように、車両駆動力が実際に増加し始める最適タイミングに対して遅れ、その遅れ時間は、エンジン回転数NEが低いほど、より大きい。
【0100】
これに対して、回転変動量DNEは、その微分値である回転変動量微分値DDNEに対して位相が90度遅れた関係にあるため、その正負を逆にした(−)回転変動量(以下「−DNE」という)は、逆に回転変動量微分値DDNEに対して位相が90度進んだ関係にある。同図に示すように、この−DNEの算出タイミング(算出された−DNEが減少し始めるタイミング)の進み時間は、回転変動量DNEのTDC時間に応じた算出遅れにより、エンジン回転数NEが低いほど、より小さくなり、その結果、−DNEの算出タイミングは、エンジン回転数NEが#NE0のときに最適タイミングに一致し、#NE0未満では最適タイミングよりも遅れるようになる。なお、同図中の点線LRおよびLAは、加速リタードの制御性に支障を及ぼさないような限界値に相当する許容遅れ時間および許容進み時間を表す。
【0101】
図24は、このような回転変動量微分値DDNEの算出タイミングの遅れ時間、および−DNEの算出タイミングの進み時間または遅れ時間を、算出タイミングの「ずれ時間」として捉え、共通に描いたものである。同図から分かるように、エンジン回転数NEが所定回転数#NETRGのときに、両算出タイミングのずれ時間は等しく、NE>#NETRGのときには、回転変動量微分値DDNEの算出タイミングが最適タイミングにより近く、NE<#NETRGのときには逆に、−DNEの算出タイミングが最適タイミングにより近い関係にある。
【0102】
このような関係に基づき、本実施形態では、前述したように、エンジン回転数NEがこの所定回転数#NETRG未満の場合には、回転変動量DNEが値0よりも大きいとき(最適タイミングにより近い−DNEが値0よりも小さいとき)に、エンジン回転数NEが所定回転数#NETRG以上の場合には、最適タイミングにより近い補正DDNEが値0よりも小さいときに、回転変動量DNEが減少しており、車両駆動力が増加しているとして、加速リタードを実行する。
【0103】
図25および図26は、本実施形態による加速リタード制御の動作例を、エンジン2が高回転域(NE≧#NETRG)および低回転域(NE<#NETRG)にある場合について、それぞれ示している。エンジン2が高回転域にある場合には、スロットル弁5の急開に伴ってエンジン回転数NEが上昇した後、補正DDNE<0が成立したとき(ステップ83B:YES)に、回転変動量DNEが減少しているとして、加速リタードが実行される(時刻t2)。また、その後、補正DDNE≧0になったとき(ステップ83B:NO)に、回転変動量DNEが増加しているとして、加速リタードが停止される(時刻t3)。一方、図26に示すように、エンジン2が低回転域にある場合には、スロットル弁5の急開に伴ってエンジン回転数NEが上昇した後、回転変動量DNE>0が成立したとき(ステップ83BB:YES)に、回転変動量DNEが減少しているとして、加速リタードが実行される(時刻t2)。また、その後、回転変動量≦0になったとき(ステップ83BB:NO)に、回転変動量DNEが増加しているとして、加速リタードが停止される(時刻t3)。
【0104】
以上のように、本実施形態によれば、補正DDNEと回転変動量DNEのうち、エンジン回転数NEに応じ、最適タイミングに対して算出タイミングずれの小さい方を用いて、加速リタードの実行タイミングを決定するので、加速リタードを、大きなタイミングずれを伴うことなく、許容ずれ時間L(図24参照)の範囲内において実行でき、車両前後振動の抑制効果を支障なく得ることができる。また、回転変動量微分値を表すパラメータとして、補正DDNEを採用することによって、振幅中心ずれを補償した効果を維持できる。さらに、補正DDNEの採用により、算出遅れを併せて補償した補正エンジン信号値AESを用いる第1および第2実施形態と比較して、演算処理の負荷を軽減できることで、点火時期制御の簡便化を図ることができる。
【0105】
次に、図27〜図29を参照しながら、本発明の第4実施形態による加速リタード制御を説明する。図27は、第3実施形態の図22に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示している。図22との比較から明らかなように、本実施形態の算出処理は、第3実施形態に対し、回転変動量DNEへのノイズ成分の影響を排除するために、その絶対値|DNE|の判別処理(ステップ82C、89C、82CCおよび89CC)を付加した点のみが異なるものである。具体的には、エンジン回転数NE≧所定回転数#NETRGで、補正DDNE<0(ステップ81B:YES)のときには、ステップ82Cにおいて、回転変動量の絶対値|DNE|が回転上昇側のしきい値#DNEACCRP(第2しきい値、例えば10rpm)以上であるか否かを判別する。この答がNOで、|DNE|<#DNEACCRPのときには、加速リタードの実行条件が成立していないと判定する。一方、補正DDNE≧0(ステップ81B:NO)のときには、ステップ89Cにおいて、回転変動量の絶対値|DNE|が回転低下側のしきい値#DNEACCRM(例えば5rpm)以上であるか否かを判別する。そして、この答がNOで、|DNE|<#DNEACCRMのときには、加速リタードの停止条件が成立していないと判定する。また、エンジン回転数NE<所定回転数#NETRGで、回転変動量DNE>0(ステップ81B:YES)のとき、またはDNE≦0のときには、ステップ89Cまたはステップ89CCにおいて、同様の判別が行われる。
【0106】
図28および図29は、本実施形態による加速リタード制御の動作例を、エンジン2が高回転域(NE≧#NETRG)および低回転域(NE<#NETRG)にある場合について、それぞれ示している。エンジン2が高回転域にある場合には、スロットル弁5の急開に伴ってエンジン回転数NEが上昇した後、補正DDNE<0で、かつ回転変動量の絶対値|DNE|≧#DNEACCRPが成立したとき(ステップ82C:YES)に、加速リタードが実行される(時刻t2)。また、その後、補正DDNE≧0で、かつ|DNE|≧#DNEACCRMが成立したとき(ステップ89C:YES)に、加速リタードが停止される(時刻t3)。一方、図29に示すように、エンジン2が低回転域にある場合には、スロットル弁5の急開に伴ってエンジン回転数NEが上昇した後、回転変動量DNE>0で、かつ|DNE|≧#DNEACCRPが成立したとき(ステップ82CC:YES)に、加速リタードが実行される(時刻t2)。また、その後、DNE≦0で、かつ|DNE|≧#DNEACCRMが成立したとき(ステップ89CC:YES)に、加速リタードが停止される(時刻t3)。
【0107】
以上のように、本実施形態は、第3実施形態に対して、上述したような回転変動量の絶対値|DNE|の判別処理を付加したものであるので、第3実施形態による前述した効果を同様に得ることができるとともに、回転変動量DNEへのノイズ成分の影響を排除でき、加速リタードの誤作動やハンチングを適切に回避することができる。
【0108】
次に、図30〜図35を参照しながら、本発明の第5実施形態による加速リタード制御について説明する。図30は、第1実施形態の図3に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出処理の前半部を示しており、図4と同じ処理内容の後半部は省略されている。図3との比較から明らかなように、本実施形態の算出処理は、第1実施形態と比較し、そのステップ31、42および44に対応するステップ31D、42Dおよび44Dの実行内容のみが異なっており、回転変動を表すパラメータとして、第1実施形態の補償エンジン信号値AESに代えて、補正回転変動量CEAを用いたものである。この補正回転変動量CEAは、以下に述べるように、回転変動量DNEを、エンジン回転数NEおよび変速機のギヤ比(変速比)に応じた位相遅れを有するように補正したものである。
【0109】
ステップ31Dでは、この補正回転変動量CEAが算出される。図31は、その算出サブルーチンを示しており、まず、エンジン回転数NEに基づいて、回転変動量DNEを算出する(ステップ111)。次に、エンジン回転数NEに応じ、図32に示すテーブルからテーブル値#DNETDCNを検索し、TDC補正項DNETDCとして設定する(ステップ112)。このTDC補正項DNETDCは、回転変動量DNEの位相を、最適タイミングに対する−DNEの進み時間の分だけ遅らせるためのものである。このため、このテーブル値#DNETDCNは、図23の−DNE曲線と基本的に同じであり、エンジン回転数NEが高いほど、より大きな値に設定されている。
【0110】
次いで、変速機のギヤ位置に応じ、図33に示すテーブルからテーブル値#DNEGEARNを検索し、ギヤ位置補正項DNEGEARとして設定する(ステップ113)。このギヤ位置補正項DNETDCは、ギヤ比に応じて駆動系の固有振動数が変化することで、最適タイミングが変化するため、回転変動量DNEの位相を、この変化分だけ遅らせるためのものである。この例では、テーブル値#DNEGEARNは、変速機のギヤ比が高いほど、より大きな値に設定されている。次に、回転変動量DNEから、算出したTDC補正項DNETDCおよびギヤ位置補正項DNEGEARを減算することによって、補正回転変動量CEAを算出し(ステップ114)、本サブルーチンを終了する。
【0111】
また、図30のステップ42Dでは、算出した補正回転変動量CEAが値0よりも大きいか否かを判別し、その答がYESのときには、加速要求が高く、エンジン回転数NEが上昇しているとして、加速リタード制御の開始条件が成立していると判定する。また、ステップ42Dの答がNOのときには、ステップ44Dにおいて、補正回転変動量の絶対値|CEA|がその判定値#CEACCR0(例えば10rpm)よりも大きいか否かを判別し、その答がYESのときには、エンジン回転数NEが大きな低下量で低下しているとして、加速リタード制御の開始条件が成立していないと判定する。第1実施形態の補償エンジン信号値AESに代えて、補正回転変動量CEAが用いられる。
【0112】
図34は、第1実施形態の図13に対応する、加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示し、図14と同じ処理内容の後半部は省略されている。図13との比較から明らかなように、本実施形態の算出処理は、第1実施形態と比較し、そのステップ82、83、89および90に対応するステップ82D、83D、89Dおよび90Dの実行内容のみが異なるものである。具体的には、回転変動量DNE>0(ステップ81:YES)で、エンジン回転数NEが上昇しているときに、補正回転変動量の絶対値|CEA|が回転上昇側のしきい値#CEAACCRP(例えば10rpm)以上であるか否かを判別する(ステップ82D)とともに、補正回転変動量CEAが値0(第3所定量)よりも大きいか否かを判定する(ステップ83D)。これらの答がいずれもYESで、|CEA|≧#CEAACCRP、かつCEA>0のときには、加速リタードの実行条件が成立していると判定する一方、これらの答のいずれかがNOのときには、加速リタードの実行条件が成立していないと判定する。
【0113】
また、回転変動量DNE≦0(ステップ81:NO)で、エンジン回転数NEが上昇していないときには、補正回転変動量の絶対値|CEA|が回転低下側のしきい値#CEAACCRM(例えば5rpm)以上であるか否かを判別する(ステップ89D)とともに、補正回転変動量CEAが値0よりも小さいか否かを判定する(ステップ90D)。これらの答がいずれもYESで、|CEA|≧#CEAACCRM、かつCEA<0のときには、加速リタードの停止条件が成立していると判定する一方、これらの答のいずれかがNOのときには、加速リタードの停止条件が成立していないと判定する。
【0114】
図35は、本実施形態による加速リタード制御の動作例を示している。すなわち、スロットル弁5が急開されることで、エンジン回転数NEが上昇し、補正回転変動量CEA>0が成立すると(ステップ42D:YES)、加速リタード制御が開始される(時刻t1)。その後、回転変動量DNE>0、|CEA|≧#CEAACCRPで、かつCEA>0が成立したとき(ステップ83D:YES)、すなわちエンジン回転数NEが上昇していて、回転変動量DNEが減少し始めたときに、加速リタードが実行される(時刻t2)。また、その後、DNE≦0、|CEA|≧#CEAACCRMで、かつCEA<0が成立したとき(ステップ90D:YES)、すなわちエンジン回転数NEが上昇しておらず、かつ回転変動量DNEが増加し始めたときに、加速リタードが停止される(時刻t3)。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、回転変動量DNEをエンジン回転数NEおよび変速機のギヤ比に応じた所定の位相遅れを有するように補正することによって、補正回転変動量CEAを算出し、この補正回転変動量CEAが値0よりも大きくなったとき(所定の位相遅れをもたせた−DNEが値0よりも小さくなったとき)に、加速リタードを実行する。したがって、加速リタードを、車両駆動力が実際に増加し始める最適タイミングに近いタイミングで実行でき、それにより、車両前後振動を効果的に抑制することができる。また、本実施形態では、他の実施形態と異なり、回転変動量微分値DDNEの算出が不要になるので、その分、演算処理の負荷を軽減でき、点火時期制御の簡便化を図ることができる。さらに、補正回転変動量の絶対値|CEA|が、しきい値#CEAACCRPまたは#CEAACCRM以上であることを条件として、加速リタードを実行または停止するので、回転変動量DNEへのノイズ成分の影響を排除でき、加速リタードの誤作動やハンチングを適切に回避することができる。
【0116】
図36は、図4のステップ54で用いられる、加速リタード量基本値IGACCRXを設定するためのエアコン停止時用の#IGACCRNテーブルの他の例を示している。前述した図10の#IGACCRNテーブルでは、そのパラメータとしてエンジン回転数NEを用いているのに対し、このテーブルでは、補償エンジン信号値AESまたは補正DDNEが用いられている。前述したように、回転変動量微分値DDNEは、回転変動量DNEの増加または減少の度合(傾き)を表し、また、回転変動量DNEは、車両駆動力とは互いに逆位相の関係を有するため、回転変動量微分値は、車両駆動力の増減度合を表す。また、補償エンジン信号値AESおよび補正DDNEは、回転変動量微分値DDNEに対して圧縮行程変動による振幅中心ずれを補償したものであるため、車両駆動力の増減度合を正確に反映する。
【0117】
したがって、上記のように加速リタード量基本値IGACCRXを補償エンジン信号値AESまたは補正DDNEに応じて設定することによって、加速リタード量基本値IGACCRXを、車両駆動力の実際の増加度合に応じ、車両駆動力の増加を相殺するのに最適な値に設定でき、それにより、車両前後振動をさらに効果的に抑制することができる。なお、図36はエアコン停止時用の#IGACCRNテーブルの例であるが、エアコン作動時用の#IGACCRANテーブルを同様に構成してもよいことはもちろんである。
【0118】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、加速リタードの実行および停止を決定するために、補償エンジン信号値AES、補正DDNEおよび補正回転変動量CEAとそれぞれ比較される第1〜第3所定値、ならびに回転変動量DNEと比較される第1〜第2所定量が、すべて値0に設定されているが、これらの第1〜第3所定値および第1〜第2所定量を0以外の適当な値に設定してもよい。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明の内燃機関の点火時期制御装置は、加速時における点火時期の遅角補正を、実際の車両駆動力の変動に応じた適切なタイミングで実行でき、それにより、加速性能を確保しながら、トルク変動による車両前後振動を効果的に抑制することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による点火時期制御装置、およびこれを適用した内燃機関の概略構成図である。
【図2】図1の制御装置により実行される点火時期の算出処理のメインフローを示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態による加速リタード補正量の算出処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の算出処理の後半部を示すフローチャートである。
【図5】補償エンジン信号値AESの算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】振幅中心ずれ補償項DDNEK/dtを設定するための#DDNEK/dtNテーブルの一例である。
【図7】算出遅れ補償項DDNETDCを設定するための#DDNETDCNテーブルの一例である。
【図8】図3のステップ32で実行される加速リタード制御の実行領域判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】スロットル開度判定値THACCRを設定するための#THACCRNテーブルの一例である。
【図10】加速リタード量基本値IGACCRXを設定するための(a)エアコン停止時用の#IGACCRNテーブルおよび(b)エアコン作動時用の#IGACCRANテーブルの一例である。
【図11】スロットル開度補正係数KTHACRを設定するための#KTHACRNテーブルの一例である。
【図12】ギヤ位置補正係数KGRを設定するための#KGRNテーブルの一例である。
【図13】図4のステップ60で実行される加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】図13の算出処理の後半部を示すフローチャートである。
【図15】第1実施形態の加速リタード制御によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図16】第1実施形態の加速リタード制御を適用して実施した試験の結果を示す図である。
【図17】第2実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出処理の前半部を示す、図3に対応するフローチャートである。
【図18】第2実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示す、図13に対応するフローチャートである。
【図19】第2実施形態の加速リタード制御によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図20】第3実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出処理の前半部を示す、図3に対応するフローチャートである。
【図21】補正DDNEの算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】第3実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示す、図13に対応するフローチャートである。
【図23】加速リタードの最適タイミングと回転変動量および回転変動量微分値との位相の関係を示す図である。
【図24】加速リタードの最適タイミングに対する回転変動量および回転変動量微分値のずれ時間を示す図である。
【図25】第3実施形態の加速リタード制御により、エンジンが高回転域にある場合に得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図26】第3実施形態の加速リタード制御により、エンジンが低回転域にある場合に得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図27】第4実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示す、図13に対応するフローチャートである。
【図28】第4実施形態の加速リタード制御により、エンジンが高回転域にある場合に得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図29】第3実施形態の加速リタード制御により、エンジンが低回転域にある場合に得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図30】第4実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出処理の前半部を示す、図3に対応するフローチャートである。
【図31】補正回転変動量CEAの算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図32】TDC補正項DNETDCを設定するための#DNETDCNテーブルの一例である。
【図33】ギヤ位置補正項DNEGEARを設定するための#DNEGEARNテーブルの一例である。
【図34】第5実施形態による加速リタード補正量IGACCRの算出サブルーチンの前半部を示す、図13に対応するフローチャートである。
【図35】第5実施形態の加速リタード制御によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図36】加速リタード量基本値IGACCRXを設定するためのエアコン停止時用の#IGACCRNテーブルの他の例である。
【符号の説明】
1 点火時期制御装置
2 内燃機関
3 ECU(加速要求検出手段、回転数検出手段、回転変動量算出手段、回転変動量微分値算出手段、補正回転変動量微分値算出手段、遅角補正量算出手段、遅角補正実行手段、補正回転変動量算出手段)
6 スロットル開度センサ(加速要求検出手段)
15 クランク角センサ(回転数検出手段)
20 ギヤ位置センサ(変速比検出手段)
NE エンジン回転数
DNE 回転変動量
DDNE 回転変動量微分値
AES 補償エンジン信号値(第1補正回転変動量微分値)
補正DDNE 第2補正回転変動量微分値
CEA 補正回転変動量
IGLOG 点火時期
IGACCR 加速リタード補正量(遅角補正量)
#AESACCRP しきい値(第1しきい値)
#DNEACCRP しきい値(第1しきい値、第2しきい値)
Claims (8)
- 加速時に点火時期を遅角側に制御する内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記内燃機関に対する加速要求を検出する加速要求検出手段と、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
当該検出された回転数に基づいて前記内燃機関の回転変動量を算出する回転変動量算出手段と、
当該算出された回転変動量に基づいて前記内燃機関の回転変動量微分値を算出する回転変動量微分値算出手段と、
当該算出された回転変動量微分値を前記内燃機関の回転数に応じて補正することにより、補正回転変動量微分値を算出する補正回転変動量微分値算出手段と、
点火時期を遅角側に補正するための遅角補正量を算出する遅角補正量算出手段と、
前記加速要求が検出されたときに、前記回転変動量および補正回転変動量微分値に基づいて、前記遅角補正量による補正を実行する遅角補正実行手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 前記補正回転変動量微分値は、前記回転変動量微分値を、その振幅中心のずれおよび算出遅れを補償するように、前記内燃機関の回転数に応じて補正することによって算出された第1補正回転変動量微分値であり、
前記遅角補正実行手段は、前記回転変動量が第1所定量よりも大きく、かつ前記算出された第1補正回転変動量微分値が第1所定値よりも小さいときに、前記遅角補正量による補正を実行することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置。 - 前記遅角補正実行手段は、前記回転変動量および前記第1補正回転変動量微分値の少なくとも一方の絶対値が所定の第1しきい値以上のときに、前記遅角補正量による補正を実行することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
- 前記遅角補正量算出手段は、前記第1補正回転変動量微分値に応じて前記遅角補正量を算出することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
- 前記補正回転変動量微分値は、前記回転変動量微分値を、その振幅中心のずれを補償するように、前記内燃機関の回転数に応じて補正することによって算出された第2補正回転変動量微分値であり、
前記遅角補正実行手段は、前記内燃機関の回転数が所定回転数未満の場合には、前記回転変動量が第2所定量よりも大きいときに、前記内燃機関の回転数が前記所定回転数以上の場合には、前記第2補正回転変動量微分値が第2所定値よりも小さいときに、前記遅角補正量による補正を実行することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置。 - 前記遅角補正実行手段は、前記回転変動量の絶対値が所定の第2しきい値以上のときに、前記遅角補正量による補正を実行することを特徴とする、請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
- 前記遅角補正量算出手段は、前記第2補正回転変動量微分値に応じて前記遅角補正量を算出することを特徴とする、請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
- 加速時に点火時期を遅角側に制御する内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記内燃機関に対する加速要求を検出する加速要求検出手段と、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
当該検出された回転数に基づいて前記内燃機関の回転変動量を算出する回転変動量算出手段と、
前記内燃機関に連結された変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
前記算出された回転変動量を、前記内燃機関の回転数および前記検出された変速比に応じた所定の位相遅れを有するように補正することにより、補正回転変動量を算出する補正回転変動量算出手段と、
点火時期を遅角側に補正するための遅角補正量を算出する遅角補正量算出手段と、
前記加速要求が検出された場合において、前記補正回転変動量が第3所定値よりも大きいときに、前記遅角補正量による補正を実行する遅角補正実行手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
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