JP2004346746A - 車両制御システムの異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて車両制御システムの異常の有無をより適切に検出することのできる車両制御システムの異常検出装置を提供する。
【解決手段】メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ割り込み要求IRQが出力される際、メインマイクロコンピュータ10においてA/D変換データを取得する。また、この割り込み要求IRQに応答してサブマイクロコンピュータ20において値の比較されるA/D変換データを取得させるようにする。そして、これら取得されたA/D変換データは、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20の少なくとも一方において、その値が比較される。
【選択図】 図1
【解決手段】メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ割り込み要求IRQが出力される際、メインマイクロコンピュータ10においてA/D変換データを取得する。また、この割り込み要求IRQに応答してサブマイクロコンピュータ20において値の比較されるA/D変換データを取得させるようにする。そして、これら取得されたA/D変換データは、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20の少なくとも一方において、その値が比較される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のマイクロコンピュータを備えて車両制御システムの異常の有無を検出する車両制御システムの異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関により駆動力を得る車両にあっては、同内燃機関の制御の自由度の向上を図ること等を目的として、電子スロットルシステムを搭載するものも実用化されている。この電子スロットルシステムの信頼性は、車両走行時の安全性を大きく左右するものであるため、この信頼性についての要求は極めて高いものとなっている。したがって、同電子スロットルシステムの異常の有無を検出する異常検出装置についても、その検出が極めて高精度にて行われることが要求されている。
【0003】
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、上記電子スロットルシステムのうち、特に重要なスロットルセンサやアクセルセンサを2つずつ備えてこれらの異常の有無を検出するものも提案されている。詳しくは、例えば、各スロットルセンサの検出信号を各別のマイクロコンピュータにおいてA/D変換するとともに、各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データの値同士を比較することで、スロットルセンサの異常の有無を検出する。
【0004】
このように2つのセンサを用いることで、これらセンサの異常の有無を精度よく検出することができるようになる。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−202793号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1記載の技術では、一方のマイクロコンピュータで取得したA/D変換データを他方のマイクロコンピュータに送信し、同他方のマイクロコンピュータで取得されたA/D変換データと互いの値を比較することで上記異常の有無の検出を行っている。したがって、値の比較されるA/D変換データの取得タイミングには差が生じ、ひいては、これによって異常がある旨の誤判定がなされるおそれがある。そして、こうした誤判定を回避するためには、異常がある旨の検出に際してのA/D変換データ同士の値の差について、取得タイミングのずれを考慮した許容範囲が設定される必要がある。
【0007】
ただし、急なアクセルペダルの踏み込み等の運転者の急な操作や、スリップ検出時のトラクション制御等の車両制御によって、アクセルペダルやスロットルバルブが急激に変化すると、上記取得タイミングのずれに起因したA/D変換データ同士の値の差も自ずと大きなものなる。したがって、上記許容範囲は、こうしたアクセルペダルやスロットルバルブの急激な変化を考慮した値に設定される必要がある。
【0008】
しかし、このようにアクセルペダルやスロットルバルブの急激な変化を考慮した許容範囲の設定がなされると、同アクセルペダルやスロットルバルブが急激に変化しておらず且つこれらに異常があるときに、その異常が検出されるまでの時間が長期化する。
【0009】
なお、上記各センサの異常の有無の検出に限らず、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて車両制御システムの異常の有無を検出する際には、取得タイミングのずれに起因したこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて車両制御システムの異常の有無をより適切に検出することのできる車両制御システムの異常検出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成すべく、請求項1記載の車両制御システムの異常検出装置では、各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき前記センサの異常の有無を検出する検出手段と、前記検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングを前記複数のマイクロコンピュータ間で同期させる同期手段とを備えた。
【0012】
このように同期手段を備えることで、各マイクロコンピュータで取得され互いに値が比較されるA/D変換データ同士の値から、取得タイミングの差に起因した値の差を好適に抑制することができる。したがって、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて上記センサの異常の有無をより適切に検出することができるようになる。
【0013】
また、請求項2記載の車両制御システムの異常検出装置では、各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき前記A/D変換器の異常の有無を検出する検出手段と、前記検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングを前記複数のマイクロコンピュータ間で同期させる同期手段とを備えた。
【0014】
このように同期手段を備えることで、各マイクロコンピュータで取得され互いに値が比較されるA/D変換データ同士から、取得タイミングの差に起因した値の差を好適に抑制することができる。したがって、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて上記A/D変換器の異常の有無をより適切に検出することができるようになる。
【0015】
また、請求項3記載の車両制御システムの異常検出装置では、通信の割り込み要求は、メインマイクロコンピュータから前記サブマイクロコンピュータへ所定周期で出力されているものである。そして、この通信の割り込み要求を利用して、メインマイクロコンピュータにて取得されるA/D変換データと値の比較されるA/D変換データをサブマイクロコンピュータに取得させている。
【0016】
このようにメインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータ間の通信のために所定周期で出力される割り込み要求を利用することで、同期手段を構成する手段から、同期手段のみに用いられる手段を極力低減することができる。
【0017】
また、請求項4記載の車両制御システムの異常検出装置では、検出手段は、前記A/D変換データの受信されるマイクロコンピュータにおいて、次回のデータの送受信に先立って前記異常の有無を検出する。
【0018】
このように次回のデータの送受信に先立って異常の有無の検出を行うことで、値の比較されるA/Dデータを格納する記憶領域を低減することができる。
また、請求項5記載の車両制御システムの異常検出装置では、同期手段を、前記メインマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得に同期して、同メインマイクロコンピュータから前記サブマイクロコンピュータへ前記A/D変換を行うよう指示する割り込み要求を出力するものとした。
【0019】
上記構成では、メインマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得に同期して、A/D変換を行うよう指示する割り込み要求が出力されるために、サブマイクロコンピュータではこの割り込み要求に応じてA/D変換が行われる。したがって、値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得タイミングのみならず、A/D変換タイミングそのものをも同期させることができる。
【0020】
また、請求項6記載の車両制御システムの異常検出装置では、前記サブマイクロコンピュータが単一のマイクロコンピュータからなり、前記検出手段は、前記メインマイクロコンピュータ及び前記サブマイクロコンピュータの少なくとも一方のマイクロコンピュータから前記値が比較されるA/D変換データが送信されることで、該A/D変換データを受信するマイクロコンピュータにおいて異常の有無を検出するものであって、且つ次回のA/D変換データの受信に先立って前記異常の有無を検出するようにした。
【0021】
このように次回のA/D変換データの受信に先立って異常の有無の検出を行うことで、値の比較されるA/Dデータを格納する記憶領域を低減することができる。
【0022】
また、請求項7記載の車両制御システムの異常検出装置では、前記検出手段を、前記取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データをメモリに一旦格納するとともに、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに前記異常の有無の検出を行うものとした。
【0023】
上記構成では、格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出を行うために、異常の有無の検出にかかる処理の実行頻度を低下させることができる。
【0024】
なお、上記各請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両制御システムの異常検出装置は、請求項8記載の車両制御システムの異常検出装置によるように、前記センサを、電子スロットルシステムにおいて用いられるものとしてもよい。
【0025】
こうした電子スロットルシステムにあっては、異常の有無の検出を極めて高い精度にて行うことが要求されるため、同システムの異常の有無の検出に上記請求項1〜7記載の異常検出装置を用いることは特に有効である。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる車両制御システムの異常検出装置を電子スロットルシステムの異常検出装置に適用した第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に、上記電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示す。
同図1に示されるように、本実施形態では、電子スロットルシステムの各種制御及び各種演算処理を行うマイクロコンピュータとして、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20からなる2つのマイクロコンピュータを備えている。
【0028】
上記メインマイクロコンピュータ10は、中央処理装置11及びランダムアクセスメモリ(RAM)12及びリードオンリーメモリ(ROM)13を備えている。ここで中央処理装置11は、燃料噴射制御や点火制御、電子スロットルシステムのスロットルバルブの開度演算等を行う。また、RAM12は、中央処理装置11にて演算されるデータ等を記憶するメモリである。更に、ROM13は、中央処理装置11において実行される各種演算や制御にかかる処理の手順を示すプログラム等を格納するメモリである。
【0029】
また、サブマイクロコンピュータ20は、中央処理装置21及びランダムアクセスメモリ(RAM)22及びリードオンリーメモリ(ROM)23を備えている。ここで中央処理装置21は、電子スロットルシステムの制御等を行う。また、RAM22は、中央処理装置21にて演算されるデータ等を記憶するメモリである。更に、ROM23は、中央処理装置21において実行される各種演算や制御にかかる処理の手順を示すプログラム等を格納するメモリである。
【0030】
上記メインマイクロコンピュータ10とサブマイクロコンピュータ20とはインターフェース14、24を通じて互いにデータの通信を行っており、これにより互いの取得したデータや演算したデータ等を交換しあい、自身の制御において用いている。すなわち、例えばメインマイクロコンピュータ10において演算されたスロットルバルブの要求開度がサブマイクロコンピュータ20に送信され、同サブマイクロコンピュータ20では、送信されたスロットルバルブの要求開度に基づきスロットルバルブの制御を行う。
【0031】
特に、本実施形態では、上記インターフェース14、24として、SPI(同期式シリアル通信インターフェース)を採用している。ここで、これらインターフェース14、24を通じたメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信態様について詳述する。
【0032】
図1に示されるように、メインマイクロコンピュータ10に備えられるインターフェース14とサブマイクロコンピュータ20に備えられるインターフェース24とは5つの信号線L1〜L5を介して互いに通信を行っている。
【0033】
すなわち、メインマイクロコンピュータ10では、所定周期(例えば「8ms」)毎に、割り込み要求IRQを要求送信端子TDから出力する。この割り込み要求IRQは、信号線L4及び要求受信端子Tdを介して、サブマイクロコンピュータ20に取り込まれる。
【0034】
これに対し、サブマイクロコンピュータ20では、メインマイクロコンピュータ10とのデータの送受信にかかる処理を行う。そして、このデータの送受信にかかる処理が完了すると、サブマイクロコンピュータ20は、要求送信端子Teから割り込み要求IRQを出力する。この割り込み要求IRQは、信号線L5及び要求受信端子TEを介して、メインマイクロコンピュータ10に取り込まれる。
【0035】
こうしてサブマイクロコンピュータ20から出力される割り込み要求IRQがメインマイクロコンピュータ10に取り込まれると、これらメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20では、信号線L1及びL2を介して同時にデータの送信を開始する。
【0036】
この際、メインマイクロコンピュータ10では、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間のデータの送受信に用いるクロックSCLKを、クロック端子TCから出力する。そして、このクロックSCLKは、信号線L3及びクロック端子Tcを介して、サブマイクロコンピュータ20へ取り込まれ、サブマイクロコンピュータ20では、このクロックSCLKに同期してデータの送受信を行う。
【0037】
このデータの送受信は、メインマイクロコンピュータ10のデータ送信端子TAからデータが送信されるとともに、サブマイクロコンピュータ20の送信端子Tbからデータが送信されることで行われる。そして、メインマイクロコンピュータ10のデータ送信端子TAから送信されるデータは、信号線L1及びデータ受信端子Taを介してサブマイクロコンピュータ20に取り込まれる。また、サブマイクロコンピュータ20の送信端子Tbから送信されるデータは、信号線L2及びのデータ受信端子TBを介して、メインマイクロコンピュータ10に取り込まれる。
【0038】
このように、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間では、メインマイクロコンピュータ10から所定周期毎に出力される割り込み要求IRQに応じてデータの送受信が周期的に行われている。
【0039】
次に、上記メインマイクロコンピュータ10やサブマイクロコンピュータ20に外部から入力される信号について説明する。
これらメインマイクロコンピュータ10やサブマイクロコンピュータ20への信号の入力系としては、アクセルペダルの踏み込み量を検出する第1及び第2のアクセルセンサ31、32と、スロットルバルブの開度を検出する第1及び第2のスロットルセンサ33、34とがある。
【0040】
詳しくは、メインマイクロコンピュータ10には、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32及び第1のスロットルセンサ33の検出信号が取り込まれる。そして、これら各検出信号は、同検出信号を出力するポートP1〜P3が各別のタイミングでA/D変換器15と接続されることでそれぞれA/D変換され、これらA/D変換されたデータであるA/D変換データは、中央処理装置11に取り込まれる。なお、これら各検出信号のA/D変換は、それぞれ所定のサンプリング周期(例えば「2ms」)で行われる。
【0041】
また、サブマイクロコンピュータ20では、第1のアクセルセンサ31及び第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の検出信号が取り込まれる。そして、これら各検出信号は、同検出信号を出力するポートp1〜p3が各別のタイミングでA/D変換器25と接続されることでそれぞれA/D変換され、これらA/D変換されたデータであるA/D変換データは、中央処理装置21に取り込まれる。なお、これら各検出信号のA/D変換は、それぞれ所定のサンプリング周期(例えば「2ms」)で行われる。
【0042】
次に、本実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常の有無の検出について詳述する。
本実施形態では、上記第1のアクセルセンサ31や第2のアクセルセンサ32、第1のスロットルセンサ33、第2のスロットルセンサ34、A/D変換器15、25の異常の有無を以下のようにして検出する。
【0043】
第1及び第2のスロットルセンサ33、34の少なくとも一方の異常の有無については、第1のスロットルセンサ33の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データと、第2のスロットルセンサ34の検出信号のA/D変換器25によるA/D変換データとの値の比較に基づき検出する。
【0044】
また、第1及び第2のアクセルセンサ31、32の少なくとも一方の異常の有無については、第1のアクセルセンサ31の検出信号のA/D変換器25によるA/D変換データと、第2のアクセルセンサ32の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データとの値の比較に基づき検出する。
【0045】
また、A/D変換器15及びA/D変換器25の少なくとも一方の異常の有無は、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際と、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際との2系統の異常の有無として以下の態様にて検出する。なお、これら各異常の有無は、実際にはメインマイクロコンピュータ10又はサブマイクロコンピュータ20における上記各検出信号の入力端子からA/D変換器15又はA/D変換器25の内部にあってA/D変換データを一旦格納するレジスタまでの異常の有無を意味する。
【0046】
すなわち、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15、25の異常の有無については、これらによって第1のスロットルセンサ33の検出信号がA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき検出する。
【0047】
また、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15、25の異常の有無については、これらによって第1のアクセルセンサ31の検出信号がA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき検出する。
【0048】
このように、上記各異常の有無の検出は、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20のそれぞれで取得されるA/D変換データ同士の値の比較に基づいて行われる。そして、本実施形態では、これら値の比較されるA/D変換データの取得タイミングを、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させることで、取得タイミングの差に起因したこれらA/Dデータの値の差の抑制を図る。
【0049】
詳しくは、本実施形態では、メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ上記割り込み要求IRQが出力される際、メインマイクロコンピュータ10においてA/D変換データを取得する。また、この割り込み要求IRQに応答してサブマイクロコンピュータ20において値の比較されるA/D変換データを取得させるようにする。このように、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信に用いられる上記割り込み要求IRQを流用することで、新たに信号線等を設けることなく、A/D変換データの取得タイミングをメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させることができる。
【0050】
そして、この割り込み要求IRQを用いることで、各異常の有無の検出のために値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間での取得タイミングのずれは抑制されるようになる。
【0051】
ここで、こうした異常の有無の検出にかかる通信処理のうち、まず第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無の処理を取りあげて詳細に説明する。
【0052】
<スロットルセンサの異常の有無の検出>
図2に、メインマイクロコンピュータ10において、上記通信についての割り込み要求IRQを出力する処理及び同処理と同一の周期(図中、「8ms」と例示)で繰り返し実行される異常の有無の検出に関する処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において実行される。
【0053】
この一連の処理においては、まずステップ100において、第1及び第2のスロットルセンサ33、34の少なくとも一方の異常の有無を検出する処理、及び第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15、25の異常の有無を検出する処理を行う。
【0054】
続くステップ200では、次回のステップ100の処理時に用いるA/D変換データを取得する。すなわち、上記A/D変換器15のA/D変換データを取得する。
【0055】
このステップ200の処理としては、例えば図3に示すものがある。同図3は、先の図2に示した上記ステップ200の処理として、メインマイクロコンピュータ10において実行される処理を示す。すなわち、ここでは、ステップ211において、第1のスロットルセンサ33の検出信号がA/D変換器15によって変換されたデータであるA/D変換データを、RAM12に格納する。そして、この処理が終了すると、先の図2に示したステップ200に戻る。
【0056】
更にステップ300では、上記通信についての割り込み要求IRQをサブマイクロコンピュータ20に出力する。そして、このステップ300の処理が終了すると、この一連の処理を一旦終了する。
【0057】
なお、これらステップ100〜ステップ300の各処理は、必ずしも単一のプログラムにて記述されていなくてもよく、各処理が同一の処理周期で繰り返し実行されるものであって且つ図2にて示される順番に実行されるように設定がなされていればよい。また、実際には、ステップ300における処理の前提となる処理としては、A/D変換データの取得にかかる処理の他、メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ送信する他のデータの取得にかかる処理等が含まれる。
【0058】
一方、図4に、上記ステップ300に応じて上記サブマイクロコンピュータ20にて実行される割り込み処理の手順を示す。
この一連の処理においては、まずステップ400において、各種割り込み処理を実行する。すなわち、上記メインマイクロコンピュータ10から出力される通信についての割り込み要求IRQが取り込まれたことをトリガとして、サブマイクロコンピュータ20及びメインマイクロコンピュータ10間の通信の準備に関連した処理を行う。
【0059】
上記通信に関連した処理としては、例えば図5に示すものがある。図5は、先の図4に示した上記ステップ400の処理として、サブマイクロコンピュータ20内の中央処理装置21において実行される処理を示す。
【0060】
この一連の処理においては、まず、ステップ411において、第2のスロットルセンサ34のA/D変換器25による変換データであるA/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。そして、ステップ412において、上記ステップ411にて取得されたA/D変換データを上記RAM22のうち、上記メインマイクロコンピュータ10に送信するデータの格納される領域である送信バッファにセットする。
【0061】
そして、図5に例示するような通信に関連した各種データの送信バッファへのセットが終了すると、先の図4に示すステップ500に移行する。このステップ500においては、上記メインマイクロコンピュータ10にデータの通信を開始する旨の要求(割り込み要求IRQ)を出力し、この一連の処理を一旦終了する。
【0062】
そして、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10に対して割り込み要求IRQが出力されると、上述した態様にてこれらサブマイクロコンピュータ20及びメインマイクロコンピュータ10間でデータの授受が行われる。そしてこの際、先の図5に示した処理によってサブマイクロコンピュータ20において取得されたA/D変換データは、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10へ送信されることとなる。
【0063】
これに対し、メインマイクロコンピュータ10では、図6に示す処理によって、サブマイクロコンピュータ20から送信された上記A/D変換データを受信する。なお、この処理は、上記データの送受信の完了をトリガとする処理である。
【0064】
この一連の処理においては、ステップ711において、上記サブマイクロコンピュータ20から送信された上記A/D変換データを取得し、上記RAM12に格納する。次に、ステップ712において、上記A/D変換データの受信が完了した旨を知らせる受信完了情報をセットし、この一連の処理を一旦終了する。
【0065】
こうして第1及び第2のスロットルセンサ33、34のA/D変換データを取得した後、先の図2に示したステップ100により第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無を検出する処理を行う。このステップ100の処理の詳細な手順を図7に示す。
【0066】
図7は、上記ステップ100の処理としてメインマイクロコンピュータ10内の中央処理装置11にて実行される処理を示している。
この一連の処理においては、まず、ステップ111において、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信に異常があるか否かを判断する。そして、異常がないと判断されると、ステップ112に移行する。
【0067】
このステップ112では、サブマイクロコンピュータ20から送信されるA/D変換データの受信が完了しているか否かを判断する。これは、先の図2に示す処理によって割り込み要求IRQが出力されてから、再度同図2に示す処理が実行されるまでの間に必ずしもサブマイクロコンピュータ20にて取得されるA/D変換データの受信が完了しているとは限らないために行う処理である。すなわち、サブマイクロコンピュータ20内で他の割り込み処理が実施されているために、先の図4に示した一連の処理の終了が遅れることがある。また、たとえサブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10へA/D変換データが送信されたとしても、メインマイクロコンピュータ10内の各種処理の実行状況によっては、先の図6に示した処理が迅速に行われないことがある。
【0068】
そして、上記ステップ112において、A/Dデータの受信が完了していないと判断されると、上記ステップ100に戻る。すなわち、A/Dデータの受信が完了していない場合には、第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無の検出を適切に行うことができないことから、同検出にかかる処理を行わない。
【0069】
一方、ステップ112において、A/D変換データの受信が完了していると判断されると、ステップ113に移行する。このステップ113においては、先の図3のステップ211にて取得されたA/D変換データと、先の図5のステップ411にて取得されたA/D変換データとの差の絶対値が比較判定値α以下であるか否かを判断する。この比較判定値αは、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方に異常がある旨の検出をする際の許容誤差範囲を設定するものである。
【0070】
そしてステップ113において上記絶対値が比較判定値αよりも大きいと判断されると、ステップ114に移行する。このステップ114においては、上記ステップ113において上記絶対値が比較判定値αよりも大きいと判断された期間をカウントするカウンタのカウント値Cをインクリメントする。続くステップ115においては、同カウント値Cが所定値βよりも大きいか否かを判断する。そして、ステップ115において、カウント値Cが所定値βよりも大きいと判断されると、ステップ116において第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方に異常がある旨検出する。
【0071】
ここで、所定値βは、ノイズ等の影響により上記絶対値が比較判定値αよりも大きくなることによって異常がある旨の誤検出をすることを回避するように設定される。すなわち、本実施形態によれば、異常がある旨の検出を、(ア)上記差の絶対値が比較判定値αよりも大きいことと、(イ)上記差の絶対値が比較判定値αよりも大きいと判断されている期間が所定値βよりも大きいこととの論理積によって行っている。これにより、上記比較判定値αをノイズによっては生じ得ないほど大きな値とすることなく、的確に異常の有無の検出を行うことができる。
【0072】
一方、上記ステップ111によりマイクロコンピュータ間の通信に異常があると判断されたときや、ステップ113により上記差の絶対値が比較判定値α以下であると判断されるときには、ステップ117に移行する。このステップ117においては、上記カウント値Cを初期化する。すなわち、これらの場合には、それ以前のカウント値Cの履歴を消去することで、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方の異常の有無の検出の処理に関する履歴を消去する。
【0073】
そして、ステップ117の処理やステップ116の処理が終了した場合や、ステップ115においてカウント値が所定値β以下であると判断されたときにはステップ118に移行する。このステップ118においては、先の図6のステップ712においてセットされたA/Dデータの受信完了情報をクリアする。そしてステップ118の処理が終了すると、先の図2のステップ100に戻る。
【0074】
このように本実施形態では、割り込み要求IRQを用いることで、異常の有無の検出のために値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20のそれぞれにおける取得タイミングを同期させる。ここで、こうしたメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20におけるA/D変換データの取得タイミングについて図8を用いて更に説明する。
【0075】
図8(a)〜図8(c)は、本実施形態のA/D変換データの取得態様を示すタイムチャートである。
ここで、メインマイクロコンピュータ10におけるA/D変換データの取得(図8(a))に引き続いて、メインマイクロコンピュータ10側から割り込み要求IRQが出力される(図8(b))。そして、この割り込み要求IRQに応じてサブマイクロコンピュータ20における割り込み処理が行われることにより、サブマイクロコンピュータ20でもA/D変換データが取得される(図8(c))。このため、メインマイクロコンピュータ10におけるA/D変換データの取得からサブマイクロコンピュータ20でのA/D変換データの取得までの期間Δtを、極めて小さな値とすることができる。なお、この期間Δtを小さな値とするためには、上記A/D変換器15、25におけるサンプリング周期を、メインマイクロコンピュータ10から割り込み要求IRQを出力する処理の周期よりも短くすることが望ましい。
【0076】
これに対し、図8(d)〜図8(h)は、同期処理を行わない場合のA/D変換データの取得態様を示すタイムチャートである。ここでは、メインマイクロコンピュータ10側で取得されたデータをサブマイクロコンピュータ20側に送信するとともに、同サブマイクロコンピュータ20において異常の有無の検出を行う場合を想定している。
【0077】
ここでも、メインマイクロコンピュータ10におけるA/D変換データの取得(図8(d))に引き続いて、メインマイクロコンピュータ10側から割り込み要求IRQが出力される(図8(e))。そして、この割り込み要求IRQに応じてサブマイクロコンピュータ20における割り込み処理が行われ、その完了とともにサブマイクロコンピュータ20から割り込み要求IRQが出力される(図8(f))。ただし、このサブマイクロコンピュータ20からの割り込み要求IRQの出力タイミングは、サブマイクロコンピュータ20内の各種処理の実行状況によって変化する。すなわち、サブマイクロコンピュータ20内において、通信割り込みよりも優先度の高い処理の実行要求が生じるなどすると、サブマイクロコンピュータ20から割り込み要求IRQが出力されるまでの期間Δxが長期化する。
【0078】
一方、サブマイクロコンピュータ20からの割り込み要求IRQが出力されると、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で、所定の期間Δyを要してデータの送受信が行われる(図8(g))。そしてこれにより、メインマイクロコンピュータ10から送信されたA/D変換データがサブマイクロコンピュータ20において受信されると、サブマイクロコンピュータ20では異常の有無の検出処理の実行に際してA/D変換データを取得する。
【0079】
ただし、メインマイクロコンピュータ10から送信されたA/D変換データがサブマイクロコンピュータ20において受信されたとしても、サブマイクロコンピュータ20における各種処理の実行状況によっては、A/D変換データが取得されるまでの期間Δzが長期化することがある。
【0080】
そして、これら図8(d)〜図8(h)に示す例の場合、メインマイクロコンピュータ10によってA/D変換データが取得されてからサブマイクロコンピュータ20においてA/D変換データが取得されるまでの期間ΔTは、上記各期間Δx、Δy、Δzを合計したものとなる。
【0081】
これに対し、本実施形態の場合に要する上記期間Δtは、下記のように期間ΔTよりも小さなものとすることができる。
Δt<Δx<Δx+Δy+Δz=ΔT
このため、先の図7のステップ113にて用いた比較判定値αについても、その値を十分に小さな値とすることができる。以下、これについて、図9を用いて更に説明する。
【0082】
同図9においては、第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34についてのA/D変換データの値を便宜上わずかにずらして記した。
ここで、図9(a)は、先の図8(a)〜図8(c)に示した態様にて同期処理を行う場合を示している。ここでは、メインマイクロコンピュータ10によってA/D変換データが取得されてからサブマイクロコンピュータ20においてA/D変換データが取得されるまでの期間Δtに起因して互いのA/D変換値に差Δdが生じている。
【0083】
これに対し、図9(b)は、同期処理を行わない場合である先の図8(d)〜図8(h)に示した場合を示している。ここでは、メインマイクロコンピュータ10によってA/D変換データが取得されてからサブマイクロコンピュータ20においてA/D変換データが取得されるまでの期間ΔTに起因して互いのA/D変換値に差ΔDが生じている。
【0084】
これら図9(a)及び図9(b)に示されるように、同期処理を行う場合にA/D変換値に生じる差Δdは、同期処理を行わない場合にA/D変換値に生じる差ΔDよりも小さなものとすることができる。このため、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方に異常がある旨の判断をする際の許容誤差範囲を設定する比較判定値αを、同期処理を行う場合の方が行わない場合よりも小さな値とすることができる。
【0085】
次に、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理について説明する。
【0086】
<A/D変換器の異常の有無の検出:スロットルセンサ系>
この異常の有無の検出も、基本的に、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との異常の有無の検出と同様である。すなわち、サブマイクロコンピュータ20では、先の図4に示したステップ400において、先の図5の処理と同様の処理により第1のスロットルセンサ33の検出信号についてのA/D変換器25によるA/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。一方、メインマイクロコンピュータ10では、先の図6に示した処理と同様の処理によって、第1のスロットルセンサ33の検出信号についてのA/D変換器25によるA/D変換データを取得し、受信完了情報をセットする。
【0087】
更に、メインマイクロコンピュータ10では、先の図2に示したステップ100において、先の図7に示した処理と同様の処理手順によりA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を行う。ただし、ここで、ステップ112、118に対応する処理においては、第1のスロットルセンサ33のA/D変換器25によるA/D変換データの受信完了情報に対する処理を行う。また、ステップ113に示す処理においては、第1のスロットルセンサ33についてのA/D変換器15及びA/D変換器25のA/D変換データの値の差の絶対値を比較判定値と比較する。なお、ここでの比較判定値やステップ115に対応する処理における所定値は、上記比較判定値αや所定値βと必ずしも等しくなくてもよい。
【0088】
次に、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理について説明する。
【0089】
<A/D変換器の異常の有無の検出:アクセルセンサ系>
本実施形態では、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を、サブマイクロコンピュータ20において行う。このため、A/D変換器15によるA/D変換データをメインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20に送信する。
【0090】
詳しくは、まずメインマイクロコンピュータ10において、先の図2のステップ200における処理として、図10に示す処理を行う。この図10に示す処理は、上記中央処理装置11によって実行される。
【0091】
この一連の処理においては、まず、ステップ221において、第1のアクセルセンサ31の検出信号がA/D変換器15によって変換されたデータであるA/D変換データを、上記RAM12に格納する。続いて、ステップ222において、上記ステップ221において取得されたA/D変換データを上記RAM12内の送信バッファにセットする。そしてステップ222の処理の後、先の図2に示したステップ200に戻る。
【0092】
一方、サブマイクロコンピュータ20においては、先の図4のステップ400の処理として、図11に示す処理を行う。ここでは、ステップ421において、第1のアクセルセンサ31のA/D変換器25による変換データであるA/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。そして、この処理を終了すると、先の図4のステップ400に戻る。
【0093】
これら図10及び図11の処理を含んだ先の図2、図4に示す処理が終了し、上述したようにメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間でデータの送受信が行われる際、サブマイクロコンピュータ20では、先の図10において取得されたA/D変換データを受信する。そして、この受信に伴い、図12に示す処理を行う。
【0094】
図12に示す処理は、上記送受信の終了をトリガとする処理である。
この一連の処理においては、まず、ステップ721において、上記メインマイクロコンピュータ10から送信された上記A/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。次に、ステップ722において受信完了情報をセットし、この一連の処理を一旦終了する。
【0095】
こうしてメインマイクロコンピュータ10から送信された上記A/D変換データを取得した後、サブマイクロコンピュータ20では、図13に示す態様にて、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を行う。
【0096】
図13に示す処理は、上記中央処理装置21によって所定周期で繰り返し実行される。この図13に示す各ステップ811〜818の処理は、先の図7に示した各ステップ111〜118の処理とそれぞれ対応している。ただし、ここで、ステップ812、818に対応する処理においては、第1のアクセルセンサ31の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データの受信完了情報に対する処理を行う。また、ステップ813に示す処理においては、第1のアクセルセンサ31についてのA/D変換器15及びA/D変換器25によるA/D変換データの値の差の絶対値を比較判定値γと比較する。そして、ステップ815の処理では、上記絶対値が比較判定値γよりも大きい期間をカウントするカウンタのカウント値Cを所定値εと比較する。
【0097】
なお、これら比較判定値γや所定値εの設定は、先の図7に示した比較判定値αや所定値βの設定と同様の点を考慮して行うことができる。
次に、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の異常の有無の検出にかかる処理について説明する。
【0098】
<アクセルセンサの異常の有無の検出>
この異常の有無の検出も、基本的に、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理と同様である。すなわち、メインマイクロコンピュータ10では、先の図2に示したステップ200において、先の図10の処理と同様の処理により第2のアクセルセンサ32の検出信号についてのA/D変換器15によるA/D変換データを取得し、上記RAM12内の送信バッファにセットする。一方、サブマイクロコンピュータ20では、先の図12に示す処理と同様の処理によって、第2のアクセルセンサ32の検出信号についてのA/D変換器15によるA/D変換データを取得し、受信完了情報をセットする。
【0099】
更に、サブマイクロコンピュータ20では、先の図13に示した処理と同様の処理手順により第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の異常の有無の検出を行う。ただし、ここで、ステップ812、818に対応する処理においては、第2のアクセルセンサ32の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データの受信完了情報に対する処理を行う。また、ステップ813に示す処理においては、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の検出信号についてのA/D変換器15及びA/D変換器25によるA/D変換データの値の差の絶対値を比較判定値と比較する。なお、ここでの比較判定値やステップ815に対応する処理における所定値は、上記比較判定値γや所定値εと必ずしも等しくなくてもよい。
【0100】
以上のように本実施形態では、第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無の検出と、第1及び第2のアクセルセンサ31、32の異常の有無の検出に関する処理を互いに同等のプログラムにて記述されるものとした。また、スロットルセンサの検出信号とアクセルセンサの検出信号とのそれぞれのA/D変換に際してのA/D変換器15、25の異常の有無の検出に関する処理を互いに同等のプログラムにて記述されるものとした。更に、これら各検出にかかる処理を、スロットルセンサについてはメインマイクロコンピュータ10において行い、またアクセルセンサについてはサブマイクロコンピュータ20において行った。
【0101】
このように、これらスロットルセンサ及びアクセルセンサ間で上記検出にかかる処理を略対称的に行うようにすることで、これら各処理を記述するプログラムの構築にかかる工数を低減することができる。また、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で送受信されるデータも対称的なものとなり、送受信されるデータ量にかたよりが生じることを回避することもできる。
【0102】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)異常の有無の検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングをメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させた。これにより、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20のそれぞれで取得され互いに値が比較されるA/D変換データ同士から、取得タイミングの差に起因した値の差を好適に抑制することができる。
【0103】
(2)メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ所定周期で繰り返し出力される通信についての割り込み要求IRQを利用して、メインマイクロコンピュータ10にて取得されるA/D変換データと値の比較されるA/D変換データをサブマイクロコンピュータ20に取得させた。これにより、値が比較されるA/D変換データの取得タイミングをメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させる手段を、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信に用いる手段を流用して構成することができる。
【0104】
(3)スロットルセンサの異常の有無の検出やスロットルセンサの検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10への次回のA/D変換データの送信に先立って行った。これにより、値の比較されるA/Dデータを格納する記憶領域を低減することができる。
【0105】
(4)スロットルセンサ及びアクセルセンサに関する異常の有無の検出をそれぞれメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20にて行うとともに、これらメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20で行う処理を互いに略対称的なものとした。これにより、これら一連の処理を記述するプログラムの構築等を簡易に行うことができるようになる。
【0106】
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかる車両制御システムの異常検出装置を電子スロットルシステムの異常検出装置に適用した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0107】
上記第1の実施形態では、第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の異常の有無の検出等、スロットルセンサ系の異常の有無の検出を、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10への次回のA/D変換データの送信に先立って行った。これに対し、本実施形態では、取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データをメインマイクロコンピュータ10内のRAM12に一旦格納する。そして、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに上記異常の有無の検出を行う。
【0108】
ここでは、こうした態様にて行われる異常の有無の検出にかかる処理として第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の異常の有無の検出を例にとって説明する。ちなみに、第1のスロットルセンサ33の検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理も同様であるため、その説明を割愛する。
【0109】
図14は、先の図2に対応し、本実施形態において、上記通信についての割り込み要求を出力する処理及び同処理と同一周期で繰り返し実行される異常の有無の検出に関する処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において実行される。同図14に示すように、ここでは、先の図2のステップ200及びステップ300と同一の処理を行い、この処理を一旦終了する。すなわち、本実施形態では、先の図2のステップ100にかかる処理を行わない。
【0110】
また、図15に、本実施形態にかかるA/D変換データのRAM12への格納にかかる処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において実行される。ちなみに、この処理は、サブマイクロコンピュータ20から送信されるデータの受信にかかる処理の終了をトリガとして起動される。
【0111】
この一連の処理においては、まずステップ821において、先の図3に示した処理によって取得されるA/D変換データと先の図5に示した処理によって取得されるA/D変換データとを互いに値を比較するデータとして同一のタイムスタンプを付与する。そして、これら1組のA/D変換データを上記タイムスタンプとともに上記RAM12内に格納する。
【0112】
そして、ステップ821の処理が終了すると、ステップ822において、RAM12に格納されているA/D変換データの組をカウントするカウンタのカウント値Pをインクリメントし、この一連の処理を一旦終了する。
【0113】
更に、図16に、本実施形態にかかる異常の有無の検出の処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理においては、まずステップ831において、上記カウント値Pが所定値η以上となったか否かを判断する。このηは、上記所定の複数組に対応する数であり、カウント値Pがこの所定値η以上となることにより、ステップ832において、上記タイムスタンプによって互いに対応付けられたA/D変換データ同士の値を比較する。そして、このステップ832においては、各A/D変換データ同士の値の差の絶対値が比較判定値αとなる組のうち時系列的に連続した組の数が所定値θよりも大きいか否かを判断する。
【0114】
ここで、比較判定値αは、先の図7に示したものである。一方、所定値θは、ノイズ等の影響により上記絶対値が比較判定値αよりも大きくなることによって異常がある旨の誤判定を回避することができるように設定される。すなわち、例えばこの所定値θを先の図7に示したβとしてもよい。これにより、先の図7と略同等な精度で異常の有無の検出を行うことができる。
【0115】
そして、ステップ832において上記組数が所定値θよりも大きいと判断されると、ステップ833において、第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の少なくとも一方に異常がある旨検出する。また、ステップ832において上記組数が所定値θ未満であると判断される場合や、上記ステップ833の処理が終了した場合にはステップ834において上記カウント値Pを初期化する。
【0116】
更に、上記ステップ831においてカウント値Pが所定値η以下と判断された場合やステップ834の処理が終了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0117】
このように、本実施形態では、A/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出にかかる処理を行うことで、この検出の処理にかかる負荷を低減することが可能となる。すなわち、例えば図16に示した一連の処理の行われる周期を通信についての割り込み要求IRQにかかる処理よりも長く設定することで、中央処理装置11において実行されるタスクの混雑の度合いを緩和させることができる。
【0118】
なお、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の異常の有無の検出や第1のアクセルセンサ31の検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出についても、上記と同様にして行うようにすることが望ましい。これは、先の図15及び図16に示した処理と同様の処理をサブマイクロコンピュータ20にて実行するようにして行うことができる。
【0119】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の上記(1)及び(2)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(5)A/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出にかかる処理を行うことで、この異常の有無の検出の処理にかかる負荷を低減することができるようになる。
【0120】
(第3の実施形態)
次に、本発明にかかる車両制御システムの異常検出装置を電子スロットルシステムの異常検出装置に適用した第3の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0121】
上記第1の実施形態では、メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ所定周期で繰り返し出力される通信についての割り込み要求IRQを利用して、取得タイミングを同期させた。すなわち、割り込み要求IRQを出力する際に、メインマイクロコンピュータ10にてA/D変換データを取得するとともに、該取得するA/D変換データと値の比較されるA/D変換データをサブマイクロコンピュータ20に取得させた。これに対し、本実施形態では、メインマイクロコンピュータ10における異常の有無の検出に用いられるA/D変換データの取得に同期して、サブマイクロコンピュータ20にA/D変換を行うように指示する割り込み要求(A/Dタイミング信号)を出力する。そして、こうしてA/D変換されたA/D変換データを上記メインマイクロコンピュータ10において取得されたA/D変換データと値の比較されるA/D変換データとする。
【0122】
図17に、本実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示す。なお、同図17において、先の図1に示した部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付した。
【0123】
同図17に示されるように、本実施形態においては、メインマイクロコンピュータ10のタイミング指令端子TFから上記A/Dタイミング信号が出力され、このA/Dタイミング信号がタイミング受信端子Tf及び信号線L6を介してサブマイクロコンピュータ20に取り込まれる構成となっている。
【0124】
更に、サブマイクロコンピュータ20において、第1のアクセルセンサ31、第1のスロットルセンサ33、及び第2のスロットルセンサ34のそれぞれとA/D変換器25とを選択的に接続するためのポートがそれぞれ2つずつ備えられている。すなわち、先の図1に示したポートp1〜p3に加えて、ポートp1′〜p3′を備えており、これらは上記A/Dタイミング信号に応じて用いられるものとなっている。例えば第1のアクセルセンサ31の検出信号は、所定周期(例えば「8ms」)毎にポートp1を通じたA/D変換が行われるのに加えて、A/Dタイミング信号に応じてポートp1′を通じたA/D変換が行われる。
【0125】
ここで、こうした構成を有する本実施形態における異常の有無の検出の処理手順を図18及び図19を用いて詳細に説明する。
図18は、先の図2に示したステップ200の処理として行われる処理を示している。
【0126】
この一連の処理においては、まずステップ231において、先の図3のステップ211や図10のステップ211等と同様、A/D変換データを取得する。次にステップ232においてはサブマイクロコンピュータ20に対しA/Dタイミング信号を出力する。そしてこのステップ232の処理の終了後、先の図2のステップ200に戻る。
【0127】
これに対し、図19は、上記A/Dタイミング信号をトリガとしてサブマイクロコンピュータ20において実行される処理の手順を示す。
上記A/Dタイミング信号がサブマイクロコンピュータ20に取り込まれると、ステップ911において、A/D変換処理を行う。すなわち、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する場合には、ポートP1′とA/D変換器25とを接続することで同検出信号をA/D変換する。また、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する場合には、ポートP2′とA/D変換器25とを接続することで同検出信号をA/D変換する。更に、第2のスロットルセンサ34の検出信号をA/D変換する場合には、ポートP3′とA/D変換器25とを接続することで同検出信号をA/D変換データする。
【0128】
そして、ステップ912においては、ステップ911においてA/D変換されたA/D変換データを上記RAM22に格納する。そしてこのステップ912の処理の後、この一連の処理を一旦終了する。
【0129】
上記ステップ231においてRAM12に格納されたA/D変換データやステップ912においてRAM22に格納されたA/D変換データは、以下のようにして用いられる。
【0130】
すなわち、上記A/D変換データがスロットルセンサに関するものである場合には、上記ステップ912においてRAM22に格納されたA/D変換データが、例えば先の図4に示したステップ400の処理においてRAM22内の送信バッファにセットされる。そして、この送信バッファにセットされたA/D変換データは、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の送受信時にメインマイクロコンピュータ10に送信される。
【0131】
一方、上記A/D変換データがアクセルセンサに関するものである場合には、上記ステップ231においてRAM12に格納されたA/D変換データが、例えばサブマイクロコンピュータ20へ割り込み要求IRQを出力するに先立ってRAM12内の送信バッファにセットされる。そして、この送信バッファにセットされたA/D変換データは、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の送受信時にサブマイクロコンピュータ20に送信される。
【0132】
このように、本実施形態では、メインマイクロコンピュータ10によるA/D変換データの取得に同期して、A/Dタイミング信号が出力されるために、サブマイクロコンピュータではこのA/Dタイミング信号に応じてA/D変換が行われる。したがって、互いに値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20によるA/D変換タイミングそのものを同期させることができる。したがって、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20の双方とも所定のサンプリング周期でA/D変換を行っていた場合に生じ得るA/D変換周期のずれによるA/D変換タイミングのずれを回避でき、より精度の高い異常の有無の検出を行うことができる。
【0133】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)の効果に加えて更に以下の効果が得られるようになる。
(6)メインマイクロコンピュータ10によるA/D変換データの取得に同期してA/Dタイミング信号が出力されるようにした。これにより、互いに値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20によるA/D変換タイミングそのものを同期させることができる。
【0134】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1及び第3の実施形態において、アクセルセンサの異常の有無の検出や、アクセルセンサの検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を、メインマイクロコンピュータ10からの次回のA/D変換データの送信に先立って行うようにしてもよい。これは、例えば先の図13に示した処理を、メインマイクロコンピュータ10からの割り込み要求IRQの出力時に先の図11に示した処理に先立って行うようにするか、各マイクロコンピュータ間のデータの送受信の完了をトリガとする処理とすることで行うようにすればよい。
【0135】
なお、マイクロコンピュータ間のデータの送受信の完了をトリガとする処理とすることで行う場合には、先の図7に示す処理についても同送受信の完了をトリガとする処理とすることが望ましい。これにより、スロットルセンサ及びアクセルセンサに関する異常の有無の検出にかかる処理を各マイクロコンピュータ間で対称的に行うことができる。
【0136】
・上記第2の実施形態において、スロットルセンサの異常の有無の検出や、スロットルセンサの検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器の異常の有無の検出を、メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータの双方にて行ってもよい。すなわち、上記RAM12には、取得タイミングの同期した各A/D変換データ同士の対応関係を示すタイムスタンプが付与されていることから、これをサブマイクロコンピュータ20に送信することで同サブマイクロコンピュータ20においても異常の有無の検出を行うことができる。これにより、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20における各異常の有無の検出結果を比較することで、異常の有無の検出の精度を更に向上させることができる。
【0137】
また、アクセルセンサの異常の有無の検出や、アクセルセンサの検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器の異常の有無の検出を、メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータの双方にて行ってもよい。
【0138】
・取得タイミングの同期した各A/D変換データ同士の対応関係を示す情報としては、上記タイムスタンプに限らない。例えばRAM12の特定の記憶領域をリングバッファとして利用するとともに、リングバッファ内へのデータの記憶順序自体をA/D変換データ同士の対応関係を示す情報としてもよい。
【0139】
・上記第3の実施形態について、異常の有無の検出に用いるA/D変換データのメインマイクロコンピュータ10における取得タイミングは、通信の割り込み処理と一致させなくてもよい。逆に、これらを一致させるなら、必ずしもA/Dタイミング信号を用いることなく、サブマイクロコンピュータ20での割り込み要求IRQの受信に応じてA/D変換器25によるA/D変換を行うようにしてもよい。
【0140】
・上記第3の実施形態について、上記第2の実施形態やその変形例に示すように、取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データを例えばメインマイクロコンピュータ10内のRAM12に一旦格納するようにしてもよい。これにより、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出を行うことができる。
【0141】
・マイクロコンピュータは、メインマイクロコンピュータとサブマイクロコンピュータとの2つからなる場合に限らない。マイクロコンピュータが3つ以上あって且つ各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき上記各異常の有無の検出を行う際には、各マイクロコンピュータにおけるA/D変換データの取得タイミングを同期させる同期手段を備えることは有効である。これは、例えば単一のメインマイクロコンピュータにおいてA/D変換データを取得する際に、複数のサブマイクロコンピュータへ順に通信割り込み要求を出力し、これらサブマイクロコンピュータでは通信割り込み要求をトリガとして値の比較されるA/D変換データを取得するようにすればよい。
【0142】
・車両制御システムの異常の有無を検出する検出手段としては、電子スロットルシステムの異常の有無の検出をするものに限らない。要は、車両制御システムにあって車両の特定箇所の状態を検出するセンサや該センサの検出信号をA/D変換するA/D変換器の異常の有無を複数のマイクロコンピュータにて取得されたA/D変換データを用いて検出するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における通信割り込み要求の出力にかかる処理の手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータでのスロットルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態における通信割り込み処理の手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータでのスロットルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータ側におけるA/D変換データの受信処理の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態の異常検出の処理手順を示すフローチャート。
【図8】A/D変換データの取得タイミングを示すタイムチャート。
【図9】A/D変換データの取得タイミングの差とA/D変換データの値の差との関係を示すタイムチャート。
【図10】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータでのアクセルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図11】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータでのアクセルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図12】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータ側におけるA/D変換データの受信処理の手順を示すフローチャート。
【図13】同実施形態の異常検出の処理手順を示すフローチャート。
【図14】第2の実施形態における通信割り込み要求の出力にかかる処理の手順を示すフローチャート。
【図15】同実施形態におけるA/D変換データの格納にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図16】同実施形態の異常検出の処理手順を示すフローチャート。
【図17】第3の実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示すブロック図。
【図18】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータでのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図19】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータでのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…メインマイクロコンピュータ、11…中央処理装置、12…RAM、13…ROM、14…インターフェース、15…A/D変換器、20…サブマイクロコンピュータ、21…中央処理装置、22…RAM、23…ROM、24…インターフェース、25…A/D変換器、31…第1のアクセルセンサ、32…第2のアクセルセンサ、33…第1のスロットルセンサ、34…第2のスロットルセンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のマイクロコンピュータを備えて車両制御システムの異常の有無を検出する車両制御システムの異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関により駆動力を得る車両にあっては、同内燃機関の制御の自由度の向上を図ること等を目的として、電子スロットルシステムを搭載するものも実用化されている。この電子スロットルシステムの信頼性は、車両走行時の安全性を大きく左右するものであるため、この信頼性についての要求は極めて高いものとなっている。したがって、同電子スロットルシステムの異常の有無を検出する異常検出装置についても、その検出が極めて高精度にて行われることが要求されている。
【0003】
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、上記電子スロットルシステムのうち、特に重要なスロットルセンサやアクセルセンサを2つずつ備えてこれらの異常の有無を検出するものも提案されている。詳しくは、例えば、各スロットルセンサの検出信号を各別のマイクロコンピュータにおいてA/D変換するとともに、各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データの値同士を比較することで、スロットルセンサの異常の有無を検出する。
【0004】
このように2つのセンサを用いることで、これらセンサの異常の有無を精度よく検出することができるようになる。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−202793号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1記載の技術では、一方のマイクロコンピュータで取得したA/D変換データを他方のマイクロコンピュータに送信し、同他方のマイクロコンピュータで取得されたA/D変換データと互いの値を比較することで上記異常の有無の検出を行っている。したがって、値の比較されるA/D変換データの取得タイミングには差が生じ、ひいては、これによって異常がある旨の誤判定がなされるおそれがある。そして、こうした誤判定を回避するためには、異常がある旨の検出に際してのA/D変換データ同士の値の差について、取得タイミングのずれを考慮した許容範囲が設定される必要がある。
【0007】
ただし、急なアクセルペダルの踏み込み等の運転者の急な操作や、スリップ検出時のトラクション制御等の車両制御によって、アクセルペダルやスロットルバルブが急激に変化すると、上記取得タイミングのずれに起因したA/D変換データ同士の値の差も自ずと大きなものなる。したがって、上記許容範囲は、こうしたアクセルペダルやスロットルバルブの急激な変化を考慮した値に設定される必要がある。
【0008】
しかし、このようにアクセルペダルやスロットルバルブの急激な変化を考慮した許容範囲の設定がなされると、同アクセルペダルやスロットルバルブが急激に変化しておらず且つこれらに異常があるときに、その異常が検出されるまでの時間が長期化する。
【0009】
なお、上記各センサの異常の有無の検出に限らず、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて車両制御システムの異常の有無を検出する際には、取得タイミングのずれに起因したこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて車両制御システムの異常の有無をより適切に検出することのできる車両制御システムの異常検出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成すべく、請求項1記載の車両制御システムの異常検出装置では、各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき前記センサの異常の有無を検出する検出手段と、前記検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングを前記複数のマイクロコンピュータ間で同期させる同期手段とを備えた。
【0012】
このように同期手段を備えることで、各マイクロコンピュータで取得され互いに値が比較されるA/D変換データ同士の値から、取得タイミングの差に起因した値の差を好適に抑制することができる。したがって、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて上記センサの異常の有無をより適切に検出することができるようになる。
【0013】
また、請求項2記載の車両制御システムの異常検出装置では、各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき前記A/D変換器の異常の有無を検出する検出手段と、前記検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングを前記複数のマイクロコンピュータ間で同期させる同期手段とを備えた。
【0014】
このように同期手段を備えることで、各マイクロコンピュータで取得され互いに値が比較されるA/D変換データ同士から、取得タイミングの差に起因した値の差を好適に抑制することができる。したがって、複数のマイクロコンピュータ間で通信されるデータを用いて上記A/D変換器の異常の有無をより適切に検出することができるようになる。
【0015】
また、請求項3記載の車両制御システムの異常検出装置では、通信の割り込み要求は、メインマイクロコンピュータから前記サブマイクロコンピュータへ所定周期で出力されているものである。そして、この通信の割り込み要求を利用して、メインマイクロコンピュータにて取得されるA/D変換データと値の比較されるA/D変換データをサブマイクロコンピュータに取得させている。
【0016】
このようにメインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータ間の通信のために所定周期で出力される割り込み要求を利用することで、同期手段を構成する手段から、同期手段のみに用いられる手段を極力低減することができる。
【0017】
また、請求項4記載の車両制御システムの異常検出装置では、検出手段は、前記A/D変換データの受信されるマイクロコンピュータにおいて、次回のデータの送受信に先立って前記異常の有無を検出する。
【0018】
このように次回のデータの送受信に先立って異常の有無の検出を行うことで、値の比較されるA/Dデータを格納する記憶領域を低減することができる。
また、請求項5記載の車両制御システムの異常検出装置では、同期手段を、前記メインマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得に同期して、同メインマイクロコンピュータから前記サブマイクロコンピュータへ前記A/D変換を行うよう指示する割り込み要求を出力するものとした。
【0019】
上記構成では、メインマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得に同期して、A/D変換を行うよう指示する割り込み要求が出力されるために、サブマイクロコンピュータではこの割り込み要求に応じてA/D変換が行われる。したがって、値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得タイミングのみならず、A/D変換タイミングそのものをも同期させることができる。
【0020】
また、請求項6記載の車両制御システムの異常検出装置では、前記サブマイクロコンピュータが単一のマイクロコンピュータからなり、前記検出手段は、前記メインマイクロコンピュータ及び前記サブマイクロコンピュータの少なくとも一方のマイクロコンピュータから前記値が比較されるA/D変換データが送信されることで、該A/D変換データを受信するマイクロコンピュータにおいて異常の有無を検出するものであって、且つ次回のA/D変換データの受信に先立って前記異常の有無を検出するようにした。
【0021】
このように次回のA/D変換データの受信に先立って異常の有無の検出を行うことで、値の比較されるA/Dデータを格納する記憶領域を低減することができる。
【0022】
また、請求項7記載の車両制御システムの異常検出装置では、前記検出手段を、前記取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データをメモリに一旦格納するとともに、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに前記異常の有無の検出を行うものとした。
【0023】
上記構成では、格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出を行うために、異常の有無の検出にかかる処理の実行頻度を低下させることができる。
【0024】
なお、上記各請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両制御システムの異常検出装置は、請求項8記載の車両制御システムの異常検出装置によるように、前記センサを、電子スロットルシステムにおいて用いられるものとしてもよい。
【0025】
こうした電子スロットルシステムにあっては、異常の有無の検出を極めて高い精度にて行うことが要求されるため、同システムの異常の有無の検出に上記請求項1〜7記載の異常検出装置を用いることは特に有効である。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる車両制御システムの異常検出装置を電子スロットルシステムの異常検出装置に適用した第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に、上記電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示す。
同図1に示されるように、本実施形態では、電子スロットルシステムの各種制御及び各種演算処理を行うマイクロコンピュータとして、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20からなる2つのマイクロコンピュータを備えている。
【0028】
上記メインマイクロコンピュータ10は、中央処理装置11及びランダムアクセスメモリ(RAM)12及びリードオンリーメモリ(ROM)13を備えている。ここで中央処理装置11は、燃料噴射制御や点火制御、電子スロットルシステムのスロットルバルブの開度演算等を行う。また、RAM12は、中央処理装置11にて演算されるデータ等を記憶するメモリである。更に、ROM13は、中央処理装置11において実行される各種演算や制御にかかる処理の手順を示すプログラム等を格納するメモリである。
【0029】
また、サブマイクロコンピュータ20は、中央処理装置21及びランダムアクセスメモリ(RAM)22及びリードオンリーメモリ(ROM)23を備えている。ここで中央処理装置21は、電子スロットルシステムの制御等を行う。また、RAM22は、中央処理装置21にて演算されるデータ等を記憶するメモリである。更に、ROM23は、中央処理装置21において実行される各種演算や制御にかかる処理の手順を示すプログラム等を格納するメモリである。
【0030】
上記メインマイクロコンピュータ10とサブマイクロコンピュータ20とはインターフェース14、24を通じて互いにデータの通信を行っており、これにより互いの取得したデータや演算したデータ等を交換しあい、自身の制御において用いている。すなわち、例えばメインマイクロコンピュータ10において演算されたスロットルバルブの要求開度がサブマイクロコンピュータ20に送信され、同サブマイクロコンピュータ20では、送信されたスロットルバルブの要求開度に基づきスロットルバルブの制御を行う。
【0031】
特に、本実施形態では、上記インターフェース14、24として、SPI(同期式シリアル通信インターフェース)を採用している。ここで、これらインターフェース14、24を通じたメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信態様について詳述する。
【0032】
図1に示されるように、メインマイクロコンピュータ10に備えられるインターフェース14とサブマイクロコンピュータ20に備えられるインターフェース24とは5つの信号線L1〜L5を介して互いに通信を行っている。
【0033】
すなわち、メインマイクロコンピュータ10では、所定周期(例えば「8ms」)毎に、割り込み要求IRQを要求送信端子TDから出力する。この割り込み要求IRQは、信号線L4及び要求受信端子Tdを介して、サブマイクロコンピュータ20に取り込まれる。
【0034】
これに対し、サブマイクロコンピュータ20では、メインマイクロコンピュータ10とのデータの送受信にかかる処理を行う。そして、このデータの送受信にかかる処理が完了すると、サブマイクロコンピュータ20は、要求送信端子Teから割り込み要求IRQを出力する。この割り込み要求IRQは、信号線L5及び要求受信端子TEを介して、メインマイクロコンピュータ10に取り込まれる。
【0035】
こうしてサブマイクロコンピュータ20から出力される割り込み要求IRQがメインマイクロコンピュータ10に取り込まれると、これらメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20では、信号線L1及びL2を介して同時にデータの送信を開始する。
【0036】
この際、メインマイクロコンピュータ10では、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間のデータの送受信に用いるクロックSCLKを、クロック端子TCから出力する。そして、このクロックSCLKは、信号線L3及びクロック端子Tcを介して、サブマイクロコンピュータ20へ取り込まれ、サブマイクロコンピュータ20では、このクロックSCLKに同期してデータの送受信を行う。
【0037】
このデータの送受信は、メインマイクロコンピュータ10のデータ送信端子TAからデータが送信されるとともに、サブマイクロコンピュータ20の送信端子Tbからデータが送信されることで行われる。そして、メインマイクロコンピュータ10のデータ送信端子TAから送信されるデータは、信号線L1及びデータ受信端子Taを介してサブマイクロコンピュータ20に取り込まれる。また、サブマイクロコンピュータ20の送信端子Tbから送信されるデータは、信号線L2及びのデータ受信端子TBを介して、メインマイクロコンピュータ10に取り込まれる。
【0038】
このように、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間では、メインマイクロコンピュータ10から所定周期毎に出力される割り込み要求IRQに応じてデータの送受信が周期的に行われている。
【0039】
次に、上記メインマイクロコンピュータ10やサブマイクロコンピュータ20に外部から入力される信号について説明する。
これらメインマイクロコンピュータ10やサブマイクロコンピュータ20への信号の入力系としては、アクセルペダルの踏み込み量を検出する第1及び第2のアクセルセンサ31、32と、スロットルバルブの開度を検出する第1及び第2のスロットルセンサ33、34とがある。
【0040】
詳しくは、メインマイクロコンピュータ10には、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32及び第1のスロットルセンサ33の検出信号が取り込まれる。そして、これら各検出信号は、同検出信号を出力するポートP1〜P3が各別のタイミングでA/D変換器15と接続されることでそれぞれA/D変換され、これらA/D変換されたデータであるA/D変換データは、中央処理装置11に取り込まれる。なお、これら各検出信号のA/D変換は、それぞれ所定のサンプリング周期(例えば「2ms」)で行われる。
【0041】
また、サブマイクロコンピュータ20では、第1のアクセルセンサ31及び第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の検出信号が取り込まれる。そして、これら各検出信号は、同検出信号を出力するポートp1〜p3が各別のタイミングでA/D変換器25と接続されることでそれぞれA/D変換され、これらA/D変換されたデータであるA/D変換データは、中央処理装置21に取り込まれる。なお、これら各検出信号のA/D変換は、それぞれ所定のサンプリング周期(例えば「2ms」)で行われる。
【0042】
次に、本実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常の有無の検出について詳述する。
本実施形態では、上記第1のアクセルセンサ31や第2のアクセルセンサ32、第1のスロットルセンサ33、第2のスロットルセンサ34、A/D変換器15、25の異常の有無を以下のようにして検出する。
【0043】
第1及び第2のスロットルセンサ33、34の少なくとも一方の異常の有無については、第1のスロットルセンサ33の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データと、第2のスロットルセンサ34の検出信号のA/D変換器25によるA/D変換データとの値の比較に基づき検出する。
【0044】
また、第1及び第2のアクセルセンサ31、32の少なくとも一方の異常の有無については、第1のアクセルセンサ31の検出信号のA/D変換器25によるA/D変換データと、第2のアクセルセンサ32の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データとの値の比較に基づき検出する。
【0045】
また、A/D変換器15及びA/D変換器25の少なくとも一方の異常の有無は、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際と、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際との2系統の異常の有無として以下の態様にて検出する。なお、これら各異常の有無は、実際にはメインマイクロコンピュータ10又はサブマイクロコンピュータ20における上記各検出信号の入力端子からA/D変換器15又はA/D変換器25の内部にあってA/D変換データを一旦格納するレジスタまでの異常の有無を意味する。
【0046】
すなわち、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15、25の異常の有無については、これらによって第1のスロットルセンサ33の検出信号がA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき検出する。
【0047】
また、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15、25の異常の有無については、これらによって第1のアクセルセンサ31の検出信号がA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき検出する。
【0048】
このように、上記各異常の有無の検出は、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20のそれぞれで取得されるA/D変換データ同士の値の比較に基づいて行われる。そして、本実施形態では、これら値の比較されるA/D変換データの取得タイミングを、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させることで、取得タイミングの差に起因したこれらA/Dデータの値の差の抑制を図る。
【0049】
詳しくは、本実施形態では、メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ上記割り込み要求IRQが出力される際、メインマイクロコンピュータ10においてA/D変換データを取得する。また、この割り込み要求IRQに応答してサブマイクロコンピュータ20において値の比較されるA/D変換データを取得させるようにする。このように、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信に用いられる上記割り込み要求IRQを流用することで、新たに信号線等を設けることなく、A/D変換データの取得タイミングをメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させることができる。
【0050】
そして、この割り込み要求IRQを用いることで、各異常の有無の検出のために値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間での取得タイミングのずれは抑制されるようになる。
【0051】
ここで、こうした異常の有無の検出にかかる通信処理のうち、まず第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無の処理を取りあげて詳細に説明する。
【0052】
<スロットルセンサの異常の有無の検出>
図2に、メインマイクロコンピュータ10において、上記通信についての割り込み要求IRQを出力する処理及び同処理と同一の周期(図中、「8ms」と例示)で繰り返し実行される異常の有無の検出に関する処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において実行される。
【0053】
この一連の処理においては、まずステップ100において、第1及び第2のスロットルセンサ33、34の少なくとも一方の異常の有無を検出する処理、及び第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15、25の異常の有無を検出する処理を行う。
【0054】
続くステップ200では、次回のステップ100の処理時に用いるA/D変換データを取得する。すなわち、上記A/D変換器15のA/D変換データを取得する。
【0055】
このステップ200の処理としては、例えば図3に示すものがある。同図3は、先の図2に示した上記ステップ200の処理として、メインマイクロコンピュータ10において実行される処理を示す。すなわち、ここでは、ステップ211において、第1のスロットルセンサ33の検出信号がA/D変換器15によって変換されたデータであるA/D変換データを、RAM12に格納する。そして、この処理が終了すると、先の図2に示したステップ200に戻る。
【0056】
更にステップ300では、上記通信についての割り込み要求IRQをサブマイクロコンピュータ20に出力する。そして、このステップ300の処理が終了すると、この一連の処理を一旦終了する。
【0057】
なお、これらステップ100〜ステップ300の各処理は、必ずしも単一のプログラムにて記述されていなくてもよく、各処理が同一の処理周期で繰り返し実行されるものであって且つ図2にて示される順番に実行されるように設定がなされていればよい。また、実際には、ステップ300における処理の前提となる処理としては、A/D変換データの取得にかかる処理の他、メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ送信する他のデータの取得にかかる処理等が含まれる。
【0058】
一方、図4に、上記ステップ300に応じて上記サブマイクロコンピュータ20にて実行される割り込み処理の手順を示す。
この一連の処理においては、まずステップ400において、各種割り込み処理を実行する。すなわち、上記メインマイクロコンピュータ10から出力される通信についての割り込み要求IRQが取り込まれたことをトリガとして、サブマイクロコンピュータ20及びメインマイクロコンピュータ10間の通信の準備に関連した処理を行う。
【0059】
上記通信に関連した処理としては、例えば図5に示すものがある。図5は、先の図4に示した上記ステップ400の処理として、サブマイクロコンピュータ20内の中央処理装置21において実行される処理を示す。
【0060】
この一連の処理においては、まず、ステップ411において、第2のスロットルセンサ34のA/D変換器25による変換データであるA/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。そして、ステップ412において、上記ステップ411にて取得されたA/D変換データを上記RAM22のうち、上記メインマイクロコンピュータ10に送信するデータの格納される領域である送信バッファにセットする。
【0061】
そして、図5に例示するような通信に関連した各種データの送信バッファへのセットが終了すると、先の図4に示すステップ500に移行する。このステップ500においては、上記メインマイクロコンピュータ10にデータの通信を開始する旨の要求(割り込み要求IRQ)を出力し、この一連の処理を一旦終了する。
【0062】
そして、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10に対して割り込み要求IRQが出力されると、上述した態様にてこれらサブマイクロコンピュータ20及びメインマイクロコンピュータ10間でデータの授受が行われる。そしてこの際、先の図5に示した処理によってサブマイクロコンピュータ20において取得されたA/D変換データは、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10へ送信されることとなる。
【0063】
これに対し、メインマイクロコンピュータ10では、図6に示す処理によって、サブマイクロコンピュータ20から送信された上記A/D変換データを受信する。なお、この処理は、上記データの送受信の完了をトリガとする処理である。
【0064】
この一連の処理においては、ステップ711において、上記サブマイクロコンピュータ20から送信された上記A/D変換データを取得し、上記RAM12に格納する。次に、ステップ712において、上記A/D変換データの受信が完了した旨を知らせる受信完了情報をセットし、この一連の処理を一旦終了する。
【0065】
こうして第1及び第2のスロットルセンサ33、34のA/D変換データを取得した後、先の図2に示したステップ100により第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無を検出する処理を行う。このステップ100の処理の詳細な手順を図7に示す。
【0066】
図7は、上記ステップ100の処理としてメインマイクロコンピュータ10内の中央処理装置11にて実行される処理を示している。
この一連の処理においては、まず、ステップ111において、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信に異常があるか否かを判断する。そして、異常がないと判断されると、ステップ112に移行する。
【0067】
このステップ112では、サブマイクロコンピュータ20から送信されるA/D変換データの受信が完了しているか否かを判断する。これは、先の図2に示す処理によって割り込み要求IRQが出力されてから、再度同図2に示す処理が実行されるまでの間に必ずしもサブマイクロコンピュータ20にて取得されるA/D変換データの受信が完了しているとは限らないために行う処理である。すなわち、サブマイクロコンピュータ20内で他の割り込み処理が実施されているために、先の図4に示した一連の処理の終了が遅れることがある。また、たとえサブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10へA/D変換データが送信されたとしても、メインマイクロコンピュータ10内の各種処理の実行状況によっては、先の図6に示した処理が迅速に行われないことがある。
【0068】
そして、上記ステップ112において、A/Dデータの受信が完了していないと判断されると、上記ステップ100に戻る。すなわち、A/Dデータの受信が完了していない場合には、第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無の検出を適切に行うことができないことから、同検出にかかる処理を行わない。
【0069】
一方、ステップ112において、A/D変換データの受信が完了していると判断されると、ステップ113に移行する。このステップ113においては、先の図3のステップ211にて取得されたA/D変換データと、先の図5のステップ411にて取得されたA/D変換データとの差の絶対値が比較判定値α以下であるか否かを判断する。この比較判定値αは、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方に異常がある旨の検出をする際の許容誤差範囲を設定するものである。
【0070】
そしてステップ113において上記絶対値が比較判定値αよりも大きいと判断されると、ステップ114に移行する。このステップ114においては、上記ステップ113において上記絶対値が比較判定値αよりも大きいと判断された期間をカウントするカウンタのカウント値Cをインクリメントする。続くステップ115においては、同カウント値Cが所定値βよりも大きいか否かを判断する。そして、ステップ115において、カウント値Cが所定値βよりも大きいと判断されると、ステップ116において第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方に異常がある旨検出する。
【0071】
ここで、所定値βは、ノイズ等の影響により上記絶対値が比較判定値αよりも大きくなることによって異常がある旨の誤検出をすることを回避するように設定される。すなわち、本実施形態によれば、異常がある旨の検出を、(ア)上記差の絶対値が比較判定値αよりも大きいことと、(イ)上記差の絶対値が比較判定値αよりも大きいと判断されている期間が所定値βよりも大きいこととの論理積によって行っている。これにより、上記比較判定値αをノイズによっては生じ得ないほど大きな値とすることなく、的確に異常の有無の検出を行うことができる。
【0072】
一方、上記ステップ111によりマイクロコンピュータ間の通信に異常があると判断されたときや、ステップ113により上記差の絶対値が比較判定値α以下であると判断されるときには、ステップ117に移行する。このステップ117においては、上記カウント値Cを初期化する。すなわち、これらの場合には、それ以前のカウント値Cの履歴を消去することで、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方の異常の有無の検出の処理に関する履歴を消去する。
【0073】
そして、ステップ117の処理やステップ116の処理が終了した場合や、ステップ115においてカウント値が所定値β以下であると判断されたときにはステップ118に移行する。このステップ118においては、先の図6のステップ712においてセットされたA/Dデータの受信完了情報をクリアする。そしてステップ118の処理が終了すると、先の図2のステップ100に戻る。
【0074】
このように本実施形態では、割り込み要求IRQを用いることで、異常の有無の検出のために値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20のそれぞれにおける取得タイミングを同期させる。ここで、こうしたメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20におけるA/D変換データの取得タイミングについて図8を用いて更に説明する。
【0075】
図8(a)〜図8(c)は、本実施形態のA/D変換データの取得態様を示すタイムチャートである。
ここで、メインマイクロコンピュータ10におけるA/D変換データの取得(図8(a))に引き続いて、メインマイクロコンピュータ10側から割り込み要求IRQが出力される(図8(b))。そして、この割り込み要求IRQに応じてサブマイクロコンピュータ20における割り込み処理が行われることにより、サブマイクロコンピュータ20でもA/D変換データが取得される(図8(c))。このため、メインマイクロコンピュータ10におけるA/D変換データの取得からサブマイクロコンピュータ20でのA/D変換データの取得までの期間Δtを、極めて小さな値とすることができる。なお、この期間Δtを小さな値とするためには、上記A/D変換器15、25におけるサンプリング周期を、メインマイクロコンピュータ10から割り込み要求IRQを出力する処理の周期よりも短くすることが望ましい。
【0076】
これに対し、図8(d)〜図8(h)は、同期処理を行わない場合のA/D変換データの取得態様を示すタイムチャートである。ここでは、メインマイクロコンピュータ10側で取得されたデータをサブマイクロコンピュータ20側に送信するとともに、同サブマイクロコンピュータ20において異常の有無の検出を行う場合を想定している。
【0077】
ここでも、メインマイクロコンピュータ10におけるA/D変換データの取得(図8(d))に引き続いて、メインマイクロコンピュータ10側から割り込み要求IRQが出力される(図8(e))。そして、この割り込み要求IRQに応じてサブマイクロコンピュータ20における割り込み処理が行われ、その完了とともにサブマイクロコンピュータ20から割り込み要求IRQが出力される(図8(f))。ただし、このサブマイクロコンピュータ20からの割り込み要求IRQの出力タイミングは、サブマイクロコンピュータ20内の各種処理の実行状況によって変化する。すなわち、サブマイクロコンピュータ20内において、通信割り込みよりも優先度の高い処理の実行要求が生じるなどすると、サブマイクロコンピュータ20から割り込み要求IRQが出力されるまでの期間Δxが長期化する。
【0078】
一方、サブマイクロコンピュータ20からの割り込み要求IRQが出力されると、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で、所定の期間Δyを要してデータの送受信が行われる(図8(g))。そしてこれにより、メインマイクロコンピュータ10から送信されたA/D変換データがサブマイクロコンピュータ20において受信されると、サブマイクロコンピュータ20では異常の有無の検出処理の実行に際してA/D変換データを取得する。
【0079】
ただし、メインマイクロコンピュータ10から送信されたA/D変換データがサブマイクロコンピュータ20において受信されたとしても、サブマイクロコンピュータ20における各種処理の実行状況によっては、A/D変換データが取得されるまでの期間Δzが長期化することがある。
【0080】
そして、これら図8(d)〜図8(h)に示す例の場合、メインマイクロコンピュータ10によってA/D変換データが取得されてからサブマイクロコンピュータ20においてA/D変換データが取得されるまでの期間ΔTは、上記各期間Δx、Δy、Δzを合計したものとなる。
【0081】
これに対し、本実施形態の場合に要する上記期間Δtは、下記のように期間ΔTよりも小さなものとすることができる。
Δt<Δx<Δx+Δy+Δz=ΔT
このため、先の図7のステップ113にて用いた比較判定値αについても、その値を十分に小さな値とすることができる。以下、これについて、図9を用いて更に説明する。
【0082】
同図9においては、第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34についてのA/D変換データの値を便宜上わずかにずらして記した。
ここで、図9(a)は、先の図8(a)〜図8(c)に示した態様にて同期処理を行う場合を示している。ここでは、メインマイクロコンピュータ10によってA/D変換データが取得されてからサブマイクロコンピュータ20においてA/D変換データが取得されるまでの期間Δtに起因して互いのA/D変換値に差Δdが生じている。
【0083】
これに対し、図9(b)は、同期処理を行わない場合である先の図8(d)〜図8(h)に示した場合を示している。ここでは、メインマイクロコンピュータ10によってA/D変換データが取得されてからサブマイクロコンピュータ20においてA/D変換データが取得されるまでの期間ΔTに起因して互いのA/D変換値に差ΔDが生じている。
【0084】
これら図9(a)及び図9(b)に示されるように、同期処理を行う場合にA/D変換値に生じる差Δdは、同期処理を行わない場合にA/D変換値に生じる差ΔDよりも小さなものとすることができる。このため、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との少なくとも一方に異常がある旨の判断をする際の許容誤差範囲を設定する比較判定値αを、同期処理を行う場合の方が行わない場合よりも小さな値とすることができる。
【0085】
次に、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理について説明する。
【0086】
<A/D変換器の異常の有無の検出:スロットルセンサ系>
この異常の有無の検出も、基本的に、第1のスロットルセンサ33と第2のスロットルセンサ34との異常の有無の検出と同様である。すなわち、サブマイクロコンピュータ20では、先の図4に示したステップ400において、先の図5の処理と同様の処理により第1のスロットルセンサ33の検出信号についてのA/D変換器25によるA/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。一方、メインマイクロコンピュータ10では、先の図6に示した処理と同様の処理によって、第1のスロットルセンサ33の検出信号についてのA/D変換器25によるA/D変換データを取得し、受信完了情報をセットする。
【0087】
更に、メインマイクロコンピュータ10では、先の図2に示したステップ100において、先の図7に示した処理と同様の処理手順によりA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を行う。ただし、ここで、ステップ112、118に対応する処理においては、第1のスロットルセンサ33のA/D変換器25によるA/D変換データの受信完了情報に対する処理を行う。また、ステップ113に示す処理においては、第1のスロットルセンサ33についてのA/D変換器15及びA/D変換器25のA/D変換データの値の差の絶対値を比較判定値と比較する。なお、ここでの比較判定値やステップ115に対応する処理における所定値は、上記比較判定値αや所定値βと必ずしも等しくなくてもよい。
【0088】
次に、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理について説明する。
【0089】
<A/D変換器の異常の有無の検出:アクセルセンサ系>
本実施形態では、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を、サブマイクロコンピュータ20において行う。このため、A/D変換器15によるA/D変換データをメインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20に送信する。
【0090】
詳しくは、まずメインマイクロコンピュータ10において、先の図2のステップ200における処理として、図10に示す処理を行う。この図10に示す処理は、上記中央処理装置11によって実行される。
【0091】
この一連の処理においては、まず、ステップ221において、第1のアクセルセンサ31の検出信号がA/D変換器15によって変換されたデータであるA/D変換データを、上記RAM12に格納する。続いて、ステップ222において、上記ステップ221において取得されたA/D変換データを上記RAM12内の送信バッファにセットする。そしてステップ222の処理の後、先の図2に示したステップ200に戻る。
【0092】
一方、サブマイクロコンピュータ20においては、先の図4のステップ400の処理として、図11に示す処理を行う。ここでは、ステップ421において、第1のアクセルセンサ31のA/D変換器25による変換データであるA/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。そして、この処理を終了すると、先の図4のステップ400に戻る。
【0093】
これら図10及び図11の処理を含んだ先の図2、図4に示す処理が終了し、上述したようにメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間でデータの送受信が行われる際、サブマイクロコンピュータ20では、先の図10において取得されたA/D変換データを受信する。そして、この受信に伴い、図12に示す処理を行う。
【0094】
図12に示す処理は、上記送受信の終了をトリガとする処理である。
この一連の処理においては、まず、ステップ721において、上記メインマイクロコンピュータ10から送信された上記A/D変換データを取得し、上記RAM22に格納する。次に、ステップ722において受信完了情報をセットし、この一連の処理を一旦終了する。
【0095】
こうしてメインマイクロコンピュータ10から送信された上記A/D変換データを取得した後、サブマイクロコンピュータ20では、図13に示す態様にて、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を行う。
【0096】
図13に示す処理は、上記中央処理装置21によって所定周期で繰り返し実行される。この図13に示す各ステップ811〜818の処理は、先の図7に示した各ステップ111〜118の処理とそれぞれ対応している。ただし、ここで、ステップ812、818に対応する処理においては、第1のアクセルセンサ31の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データの受信完了情報に対する処理を行う。また、ステップ813に示す処理においては、第1のアクセルセンサ31についてのA/D変換器15及びA/D変換器25によるA/D変換データの値の差の絶対値を比較判定値γと比較する。そして、ステップ815の処理では、上記絶対値が比較判定値γよりも大きい期間をカウントするカウンタのカウント値Cを所定値εと比較する。
【0097】
なお、これら比較判定値γや所定値εの設定は、先の図7に示した比較判定値αや所定値βの設定と同様の点を考慮して行うことができる。
次に、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の異常の有無の検出にかかる処理について説明する。
【0098】
<アクセルセンサの異常の有無の検出>
この異常の有無の検出も、基本的に、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理と同様である。すなわち、メインマイクロコンピュータ10では、先の図2に示したステップ200において、先の図10の処理と同様の処理により第2のアクセルセンサ32の検出信号についてのA/D変換器15によるA/D変換データを取得し、上記RAM12内の送信バッファにセットする。一方、サブマイクロコンピュータ20では、先の図12に示す処理と同様の処理によって、第2のアクセルセンサ32の検出信号についてのA/D変換器15によるA/D変換データを取得し、受信完了情報をセットする。
【0099】
更に、サブマイクロコンピュータ20では、先の図13に示した処理と同様の処理手順により第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の異常の有無の検出を行う。ただし、ここで、ステップ812、818に対応する処理においては、第2のアクセルセンサ32の検出信号のA/D変換器15によるA/D変換データの受信完了情報に対する処理を行う。また、ステップ813に示す処理においては、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の検出信号についてのA/D変換器15及びA/D変換器25によるA/D変換データの値の差の絶対値を比較判定値と比較する。なお、ここでの比較判定値やステップ815に対応する処理における所定値は、上記比較判定値γや所定値εと必ずしも等しくなくてもよい。
【0100】
以上のように本実施形態では、第1及び第2のスロットルセンサ33、34の異常の有無の検出と、第1及び第2のアクセルセンサ31、32の異常の有無の検出に関する処理を互いに同等のプログラムにて記述されるものとした。また、スロットルセンサの検出信号とアクセルセンサの検出信号とのそれぞれのA/D変換に際してのA/D変換器15、25の異常の有無の検出に関する処理を互いに同等のプログラムにて記述されるものとした。更に、これら各検出にかかる処理を、スロットルセンサについてはメインマイクロコンピュータ10において行い、またアクセルセンサについてはサブマイクロコンピュータ20において行った。
【0101】
このように、これらスロットルセンサ及びアクセルセンサ間で上記検出にかかる処理を略対称的に行うようにすることで、これら各処理を記述するプログラムの構築にかかる工数を低減することができる。また、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で送受信されるデータも対称的なものとなり、送受信されるデータ量にかたよりが生じることを回避することもできる。
【0102】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)異常の有無の検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングをメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させた。これにより、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20のそれぞれで取得され互いに値が比較されるA/D変換データ同士から、取得タイミングの差に起因した値の差を好適に抑制することができる。
【0103】
(2)メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ所定周期で繰り返し出力される通信についての割り込み要求IRQを利用して、メインマイクロコンピュータ10にて取得されるA/D変換データと値の比較されるA/D変換データをサブマイクロコンピュータ20に取得させた。これにより、値が比較されるA/D変換データの取得タイミングをメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間で同期させる手段を、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の通信に用いる手段を流用して構成することができる。
【0104】
(3)スロットルセンサの異常の有無の検出やスロットルセンサの検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10への次回のA/D変換データの送信に先立って行った。これにより、値の比較されるA/Dデータを格納する記憶領域を低減することができる。
【0105】
(4)スロットルセンサ及びアクセルセンサに関する異常の有無の検出をそれぞれメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20にて行うとともに、これらメインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20で行う処理を互いに略対称的なものとした。これにより、これら一連の処理を記述するプログラムの構築等を簡易に行うことができるようになる。
【0106】
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかる車両制御システムの異常検出装置を電子スロットルシステムの異常検出装置に適用した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0107】
上記第1の実施形態では、第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の異常の有無の検出等、スロットルセンサ系の異常の有無の検出を、サブマイクロコンピュータ20からメインマイクロコンピュータ10への次回のA/D変換データの送信に先立って行った。これに対し、本実施形態では、取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データをメインマイクロコンピュータ10内のRAM12に一旦格納する。そして、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに上記異常の有無の検出を行う。
【0108】
ここでは、こうした態様にて行われる異常の有無の検出にかかる処理として第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の異常の有無の検出を例にとって説明する。ちなみに、第1のスロットルセンサ33の検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出にかかる処理も同様であるため、その説明を割愛する。
【0109】
図14は、先の図2に対応し、本実施形態において、上記通信についての割り込み要求を出力する処理及び同処理と同一周期で繰り返し実行される異常の有無の検出に関する処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において実行される。同図14に示すように、ここでは、先の図2のステップ200及びステップ300と同一の処理を行い、この処理を一旦終了する。すなわち、本実施形態では、先の図2のステップ100にかかる処理を行わない。
【0110】
また、図15に、本実施形態にかかるA/D変換データのRAM12への格納にかかる処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において実行される。ちなみに、この処理は、サブマイクロコンピュータ20から送信されるデータの受信にかかる処理の終了をトリガとして起動される。
【0111】
この一連の処理においては、まずステップ821において、先の図3に示した処理によって取得されるA/D変換データと先の図5に示した処理によって取得されるA/D変換データとを互いに値を比較するデータとして同一のタイムスタンプを付与する。そして、これら1組のA/D変換データを上記タイムスタンプとともに上記RAM12内に格納する。
【0112】
そして、ステップ821の処理が終了すると、ステップ822において、RAM12に格納されているA/D変換データの組をカウントするカウンタのカウント値Pをインクリメントし、この一連の処理を一旦終了する。
【0113】
更に、図16に、本実施形態にかかる異常の有無の検出の処理の手順を示す。この処理は、中央処理装置11において所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理においては、まずステップ831において、上記カウント値Pが所定値η以上となったか否かを判断する。このηは、上記所定の複数組に対応する数であり、カウント値Pがこの所定値η以上となることにより、ステップ832において、上記タイムスタンプによって互いに対応付けられたA/D変換データ同士の値を比較する。そして、このステップ832においては、各A/D変換データ同士の値の差の絶対値が比較判定値αとなる組のうち時系列的に連続した組の数が所定値θよりも大きいか否かを判断する。
【0114】
ここで、比較判定値αは、先の図7に示したものである。一方、所定値θは、ノイズ等の影響により上記絶対値が比較判定値αよりも大きくなることによって異常がある旨の誤判定を回避することができるように設定される。すなわち、例えばこの所定値θを先の図7に示したβとしてもよい。これにより、先の図7と略同等な精度で異常の有無の検出を行うことができる。
【0115】
そして、ステップ832において上記組数が所定値θよりも大きいと判断されると、ステップ833において、第1のスロットルセンサ33及び第2のスロットルセンサ34の少なくとも一方に異常がある旨検出する。また、ステップ832において上記組数が所定値θ未満であると判断される場合や、上記ステップ833の処理が終了した場合にはステップ834において上記カウント値Pを初期化する。
【0116】
更に、上記ステップ831においてカウント値Pが所定値η以下と判断された場合やステップ834の処理が終了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0117】
このように、本実施形態では、A/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出にかかる処理を行うことで、この検出の処理にかかる負荷を低減することが可能となる。すなわち、例えば図16に示した一連の処理の行われる周期を通信についての割り込み要求IRQにかかる処理よりも長く設定することで、中央処理装置11において実行されるタスクの混雑の度合いを緩和させることができる。
【0118】
なお、第1のアクセルセンサ31及び第2のアクセルセンサ32の異常の有無の検出や第1のアクセルセンサ31の検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出についても、上記と同様にして行うようにすることが望ましい。これは、先の図15及び図16に示した処理と同様の処理をサブマイクロコンピュータ20にて実行するようにして行うことができる。
【0119】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の上記(1)及び(2)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(5)A/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出にかかる処理を行うことで、この異常の有無の検出の処理にかかる負荷を低減することができるようになる。
【0120】
(第3の実施形態)
次に、本発明にかかる車両制御システムの異常検出装置を電子スロットルシステムの異常検出装置に適用した第3の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0121】
上記第1の実施形態では、メインマイクロコンピュータ10からサブマイクロコンピュータ20へ所定周期で繰り返し出力される通信についての割り込み要求IRQを利用して、取得タイミングを同期させた。すなわち、割り込み要求IRQを出力する際に、メインマイクロコンピュータ10にてA/D変換データを取得するとともに、該取得するA/D変換データと値の比較されるA/D変換データをサブマイクロコンピュータ20に取得させた。これに対し、本実施形態では、メインマイクロコンピュータ10における異常の有無の検出に用いられるA/D変換データの取得に同期して、サブマイクロコンピュータ20にA/D変換を行うように指示する割り込み要求(A/Dタイミング信号)を出力する。そして、こうしてA/D変換されたA/D変換データを上記メインマイクロコンピュータ10において取得されたA/D変換データと値の比較されるA/D変換データとする。
【0122】
図17に、本実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示す。なお、同図17において、先の図1に示した部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付した。
【0123】
同図17に示されるように、本実施形態においては、メインマイクロコンピュータ10のタイミング指令端子TFから上記A/Dタイミング信号が出力され、このA/Dタイミング信号がタイミング受信端子Tf及び信号線L6を介してサブマイクロコンピュータ20に取り込まれる構成となっている。
【0124】
更に、サブマイクロコンピュータ20において、第1のアクセルセンサ31、第1のスロットルセンサ33、及び第2のスロットルセンサ34のそれぞれとA/D変換器25とを選択的に接続するためのポートがそれぞれ2つずつ備えられている。すなわち、先の図1に示したポートp1〜p3に加えて、ポートp1′〜p3′を備えており、これらは上記A/Dタイミング信号に応じて用いられるものとなっている。例えば第1のアクセルセンサ31の検出信号は、所定周期(例えば「8ms」)毎にポートp1を通じたA/D変換が行われるのに加えて、A/Dタイミング信号に応じてポートp1′を通じたA/D変換が行われる。
【0125】
ここで、こうした構成を有する本実施形態における異常の有無の検出の処理手順を図18及び図19を用いて詳細に説明する。
図18は、先の図2に示したステップ200の処理として行われる処理を示している。
【0126】
この一連の処理においては、まずステップ231において、先の図3のステップ211や図10のステップ211等と同様、A/D変換データを取得する。次にステップ232においてはサブマイクロコンピュータ20に対しA/Dタイミング信号を出力する。そしてこのステップ232の処理の終了後、先の図2のステップ200に戻る。
【0127】
これに対し、図19は、上記A/Dタイミング信号をトリガとしてサブマイクロコンピュータ20において実行される処理の手順を示す。
上記A/Dタイミング信号がサブマイクロコンピュータ20に取り込まれると、ステップ911において、A/D変換処理を行う。すなわち、第1のアクセルセンサ31の検出信号をA/D変換する場合には、ポートP1′とA/D変換器25とを接続することで同検出信号をA/D変換する。また、第1のスロットルセンサ33の検出信号をA/D変換する場合には、ポートP2′とA/D変換器25とを接続することで同検出信号をA/D変換する。更に、第2のスロットルセンサ34の検出信号をA/D変換する場合には、ポートP3′とA/D変換器25とを接続することで同検出信号をA/D変換データする。
【0128】
そして、ステップ912においては、ステップ911においてA/D変換されたA/D変換データを上記RAM22に格納する。そしてこのステップ912の処理の後、この一連の処理を一旦終了する。
【0129】
上記ステップ231においてRAM12に格納されたA/D変換データやステップ912においてRAM22に格納されたA/D変換データは、以下のようにして用いられる。
【0130】
すなわち、上記A/D変換データがスロットルセンサに関するものである場合には、上記ステップ912においてRAM22に格納されたA/D変換データが、例えば先の図4に示したステップ400の処理においてRAM22内の送信バッファにセットされる。そして、この送信バッファにセットされたA/D変換データは、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の送受信時にメインマイクロコンピュータ10に送信される。
【0131】
一方、上記A/D変換データがアクセルセンサに関するものである場合には、上記ステップ231においてRAM12に格納されたA/D変換データが、例えばサブマイクロコンピュータ20へ割り込み要求IRQを出力するに先立ってRAM12内の送信バッファにセットされる。そして、この送信バッファにセットされたA/D変換データは、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20間の送受信時にサブマイクロコンピュータ20に送信される。
【0132】
このように、本実施形態では、メインマイクロコンピュータ10によるA/D変換データの取得に同期して、A/Dタイミング信号が出力されるために、サブマイクロコンピュータではこのA/Dタイミング信号に応じてA/D変換が行われる。したがって、互いに値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20によるA/D変換タイミングそのものを同期させることができる。したがって、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20の双方とも所定のサンプリング周期でA/D変換を行っていた場合に生じ得るA/D変換周期のずれによるA/D変換タイミングのずれを回避でき、より精度の高い異常の有無の検出を行うことができる。
【0133】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)の効果に加えて更に以下の効果が得られるようになる。
(6)メインマイクロコンピュータ10によるA/D変換データの取得に同期してA/Dタイミング信号が出力されるようにした。これにより、互いに値の比較されるA/D変換データについて、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20によるA/D変換タイミングそのものを同期させることができる。
【0134】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1及び第3の実施形態において、アクセルセンサの異常の有無の検出や、アクセルセンサの検出信号をA/D変換する際のA/D変換器15及びA/D変換器25の異常の有無の検出を、メインマイクロコンピュータ10からの次回のA/D変換データの送信に先立って行うようにしてもよい。これは、例えば先の図13に示した処理を、メインマイクロコンピュータ10からの割り込み要求IRQの出力時に先の図11に示した処理に先立って行うようにするか、各マイクロコンピュータ間のデータの送受信の完了をトリガとする処理とすることで行うようにすればよい。
【0135】
なお、マイクロコンピュータ間のデータの送受信の完了をトリガとする処理とすることで行う場合には、先の図7に示す処理についても同送受信の完了をトリガとする処理とすることが望ましい。これにより、スロットルセンサ及びアクセルセンサに関する異常の有無の検出にかかる処理を各マイクロコンピュータ間で対称的に行うことができる。
【0136】
・上記第2の実施形態において、スロットルセンサの異常の有無の検出や、スロットルセンサの検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器の異常の有無の検出を、メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータの双方にて行ってもよい。すなわち、上記RAM12には、取得タイミングの同期した各A/D変換データ同士の対応関係を示すタイムスタンプが付与されていることから、これをサブマイクロコンピュータ20に送信することで同サブマイクロコンピュータ20においても異常の有無の検出を行うことができる。これにより、メインマイクロコンピュータ10及びサブマイクロコンピュータ20における各異常の有無の検出結果を比較することで、異常の有無の検出の精度を更に向上させることができる。
【0137】
また、アクセルセンサの異常の有無の検出や、アクセルセンサの検出信号のA/D変換に際してのA/D変換器の異常の有無の検出を、メインマイクロコンピュータ及びサブマイクロコンピュータの双方にて行ってもよい。
【0138】
・取得タイミングの同期した各A/D変換データ同士の対応関係を示す情報としては、上記タイムスタンプに限らない。例えばRAM12の特定の記憶領域をリングバッファとして利用するとともに、リングバッファ内へのデータの記憶順序自体をA/D変換データ同士の対応関係を示す情報としてもよい。
【0139】
・上記第3の実施形態について、異常の有無の検出に用いるA/D変換データのメインマイクロコンピュータ10における取得タイミングは、通信の割り込み処理と一致させなくてもよい。逆に、これらを一致させるなら、必ずしもA/Dタイミング信号を用いることなく、サブマイクロコンピュータ20での割り込み要求IRQの受信に応じてA/D変換器25によるA/D変換を行うようにしてもよい。
【0140】
・上記第3の実施形態について、上記第2の実施形態やその変形例に示すように、取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データを例えばメインマイクロコンピュータ10内のRAM12に一旦格納するようにしてもよい。これにより、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに異常の有無の検出を行うことができる。
【0141】
・マイクロコンピュータは、メインマイクロコンピュータとサブマイクロコンピュータとの2つからなる場合に限らない。マイクロコンピュータが3つ以上あって且つ各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき上記各異常の有無の検出を行う際には、各マイクロコンピュータにおけるA/D変換データの取得タイミングを同期させる同期手段を備えることは有効である。これは、例えば単一のメインマイクロコンピュータにおいてA/D変換データを取得する際に、複数のサブマイクロコンピュータへ順に通信割り込み要求を出力し、これらサブマイクロコンピュータでは通信割り込み要求をトリガとして値の比較されるA/D変換データを取得するようにすればよい。
【0142】
・車両制御システムの異常の有無を検出する検出手段としては、電子スロットルシステムの異常の有無の検出をするものに限らない。要は、車両制御システムにあって車両の特定箇所の状態を検出するセンサや該センサの検出信号をA/D変換するA/D変換器の異常の有無を複数のマイクロコンピュータにて取得されたA/D変換データを用いて検出するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における通信割り込み要求の出力にかかる処理の手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータでのスロットルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態における通信割り込み処理の手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータでのスロットルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータ側におけるA/D変換データの受信処理の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態の異常検出の処理手順を示すフローチャート。
【図8】A/D変換データの取得タイミングを示すタイムチャート。
【図9】A/D変換データの取得タイミングの差とA/D変換データの値の差との関係を示すタイムチャート。
【図10】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータでのアクセルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図11】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータでのアクセルセンサのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図12】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータ側におけるA/D変換データの受信処理の手順を示すフローチャート。
【図13】同実施形態の異常検出の処理手順を示すフローチャート。
【図14】第2の実施形態における通信割り込み要求の出力にかかる処理の手順を示すフローチャート。
【図15】同実施形態におけるA/D変換データの格納にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図16】同実施形態の異常検出の処理手順を示すフローチャート。
【図17】第3の実施形態にかかる電子スロットルシステムの異常検出装置の全体構成を示すブロック図。
【図18】同実施形態におけるメインマイクロコンピュータでのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図19】同実施形態におけるサブマイクロコンピュータでのA/D変換データの取得にかかる処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…メインマイクロコンピュータ、11…中央処理装置、12…RAM、13…ROM、14…インターフェース、15…A/D変換器、20…サブマイクロコンピュータ、21…中央処理装置、22…RAM、23…ROM、24…インターフェース、25…A/D変換器、31…第1のアクセルセンサ、32…第2のアクセルセンサ、33…第1のスロットルセンサ、34…第2のスロットルセンサ。
Claims (8)
- 車両の特定箇所の状態を検出する複数のセンサについて、これら各センサの検出信号を各別にA/D変換するA/D変換器がそれぞれ割り振られた複数のマイクロコンピュータと、
これら各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき前記センサの異常の有無を検出する検出手段と、
前記検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングを前記複数のマイクロコンピュータ間で同期させる同期手段とを備える
ことを特徴とする車両制御システムの異常検出装置。 - 車両の特定箇所の状態を検出する単一のセンサの検出信号を各別にA/D変換するA/D変換器がそれぞれ設けられた複数のマイクロコンピュータと、
これら各マイクロコンピュータにおいてA/D変換されたデータであるA/D変換データ同士の値の比較に基づき前記A/D変換器の異常の有無を検出する検出手段と、
前記検出に際して値が比較されるA/D変換データの取得タイミングを前記複数のマイクロコンピュータ間で同期させる同期手段とを備える
ことを特徴とする車両制御システムの異常検出装置。 - 前記複数のマイクロコンピュータは、所定周期で前記マイクロコンピュータ間の通信の割り込み要求を出力する単一のメインマイクロコンピュータと、前記通信の割り込み要求に応じて同通信の準備にかかる処理を行う1乃至複数のサブマイクロコンピュータとからなり、且つ
前記同期手段は、前記メインマイクロコンピュータから前記サブマイクロコンピュータへ通信割り込み要求が出力される際に前記メインマイクロコンピュータにおいて前記値の比較されるA/D変換データを取得させるとともに、前記通信割り込み要求をトリガとして前記サブマイクロコンピュータにおいて前記値の比較されるA/D変換データを取得させるものである
請求項1又は2記載の車両制御システムの異常検出装置。 - 前記サブマイクロコンピュータが単一のマイクロコンピュータからなるとともに、前記通信割り込み要求に対応して行われる前記メインマイクロコンピュータ及び前記サブマイクロコンピュータ間のデータの送受信に際し、前記メインマイクロコンピュータ及び前記サブマイクロコンピュータの少なくとも一方のマイクロコンピュータから前記値が比較されるA/D変換データが送信され、且つ
前記検出手段は、前記A/D変換データの受信されるマイクロコンピュータにおいて、次回のデータの送受信に先立って前記異常の有無を検出する
請求項3記載の車両制御システムの異常検出装置。 - 前記複数のマイクロコンピュータは、所定のサンプリング周期で前記A/D変換を行うA/D変換器を備える単一のメインマイクロコンピュータと、それ以外のマイクロコンピュータである1乃至複数のサブマイクロコンピュータとからなり、
前記同期手段は、前記メインマイクロコンピュータによるA/D変換データの取得に同期して、同メインマイクロコンピュータから前記サブマイクロコンピュータへ前記A/D変換を行うよう指示する割り込み要求を出力するものである
請求項1又は2記載の車両制御システムの異常検出装置。 - 前記サブマイクロコンピュータが単一のマイクロコンピュータからなり、
前記検出手段は、前記メインマイクロコンピュータ及び前記サブマイクロコンピュータの少なくとも一方のマイクロコンピュータから前記値が比較されるA/D変換データが送信されることで、該A/D変換データを受信するマイクロコンピュータにおいて異常の有無を検出するものであって、且つ次回のA/D変換データの受信に先立って前記異常の有無を検出する
請求項5記載の車両制御システムの異常検出装置。 - 前記検出手段は、前記取得タイミングの同期したA/D変換データ同士の対応関係を示す対応情報とともに、これらA/D変換データをメモリに一旦格納するとともに、この格納されるA/D変換データが所定の複数組以上となるときに前記異常の有無の検出を行うものである
請求項3又は5記載の車両制御システムの異常検出装置。 - 前記センサは、電子スロットルシステムにおいて用いられるものである
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両制御システムの異常検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003141111A JP2004346746A (ja) | 2003-05-19 | 2003-05-19 | 車両制御システムの異常検出装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7612464B2 (en) | 2005-06-23 | 2009-11-03 | Denso Corporation | Electronic control system with malfunction monitor |
US7826962B2 (en) | 2005-06-23 | 2010-11-02 | Denso Corporation | Electronic control apparatus |
JP2016111503A (ja) * | 2014-12-05 | 2016-06-20 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 自動車用電子制御装置 |
-
2003
- 2003-05-19 JP JP2003141111A patent/JP2004346746A/ja active Pending
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