JP2004346246A - 硬化性組成物の製造方法 - Google Patents

硬化性組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な短い製造工程で、容易に低コストでかつ製造時にゲル化を起こさず、しかも得られる硬化性組成物が貯蔵安定性及び低温硬化性に優れ、ワキやピンホールのような塗膜欠陥を生じることなく、平滑性、ツヤ、光沢、鮮映性、透明性等の外観、美粧性に優れ、耐水性、耐酸性、耐溶剤性、耐擦り傷性、耐候性、接着性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成するような、硬化性組成物の製造方法、硬化性組成物、及び塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)、脂肪族トリカルボン酸、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液を、重合体(a)と脂肪族トリカルボン酸とが実質的に硬化反応を起こさない温度で噴霧乾燥させることにより硬化性組成物を製造する。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ基を有する重合体、脂肪族トリカルボン酸、及び有機溶剤を含む原料溶液を噴霧乾燥させる硬化性組成物の製造方法、及びこの製造方法により製造された硬化性組成物に関する。更に詳しくは、粉体塗料又は水分散系スラリー塗料の製造に好適に使用できる、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体、脂肪族トリカルボン酸、及び有機溶剤を含む原料溶液を噴霧乾燥させる硬化性組成物の製造方法、及びこの製造方法により製造された硬化性組成物に関する。また、この製造方法により製造された粉体塗料又は水分散系スラリー塗料をトップコート塗料として使用する塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料及び水分散系スラリー塗料は、塗装時に有機溶剤を大気中に揮散することのない、環境調和型塗料として金属塗装全般に広く使用されている。
通常、粉体塗料は、主剤樹脂を製造後、粗粉砕し、硬化剤、各種添加剤をドライブレンド後、溶融混練、冷却、再度粉砕、分級を経て製造される。また、水分散系スラリー塗料は、粉体塗料を更に水に分散させて製造される。従って粉体塗料及び水分散系スラリー塗料は、溶剤系塗料に比べると製造工程が長く複雑であり、製造コストが高くなる。また、主剤樹脂と硬化剤の混合が不十分になり、塗膜外観が溶剤系塗料に比べ劣り、自動車用をはじめとする高塗膜外観が必要とされる用途への使用が困難であるという問題があった。
この問題を解決するため、原料である主剤樹脂、硬化剤、各種添加剤を溶剤中に溶解あるいは分散した原料溶液を調製しておき、溶剤を除去することにより、直接粉体塗料を得ようとする試みが行われている。
【0003】
特許文献1には、特定の連続式減圧脱溶剤装置を使用して比較的低温で溶剤を除去して粉体塗料を得る方法が示されている。しかしながら、得られる粉体塗料は塊状であり、塗料として使用するためには、微粉砕及び分級工程が必要になる。また、脱溶剤時に装置内部の局部加熱によるゲル物発生の可能性もある。
一方、超臨界流体を利用して、粉体塗料原料溶液から溶剤を除去する方法も提案されている(特許文献2、特許文献3)が、この方法では高圧力の条件で操作を行わなければならないために、製造のための設備が非常に高価になるという問題がある。
溶剤を除去する方法として、特許文献4には、凍結乾燥法により粉体塗料を得る方法も開示されてはいるが、この方法による場合にも、エネルギーコストが高く、生産性も低いという問題がある。
【0004】
これらの方法の他に、噴霧乾燥を溶剤の除去に利用する提案もなされている。例えば、特許文献5には、水中に分散した粉体塗料原料液を噴霧乾燥して粉体化する方法が開示されている。しかしながら、この方法による場合には、粉体塗料原料を水中に分散させる為に分散剤等の使用が必要であり、原料費が上昇するばかりでなく、塗料の貯蔵安定性の低下、形成された塗膜の耐水性、耐薬品性の低下を招く恐れもある。また、水を媒体に使用するために、乾燥に要する熱エネルギーコストが非常に高くなるという問題がある。
【0005】
一方、特許文献6には、主剤と溶剤からなる原液を乾燥する方法が示されている。しかしながら、当該製造方法による場合には、熱源ガスとして過熱蒸気状態まで加熱された高温の溶剤ガスを使用するため、主剤樹脂と硬化剤からなる系では硬化反応が起こり、塗料のゲル化が進行して粉体塗料として使用できない恐れがある。
特許文献7では、主剤、硬化剤、及び有機溶剤からなる原液を実質的に硬化反応を起こさない温度で噴霧乾燥する方法が示されている。しかし、噴霧乾燥法では中空粒子が生成し易いという問題があり、塗装条件によっては塗膜にワキ、ピンホール等の塗膜欠陥が発生する場合があるという問題がある。
特許文献8には、主剤、硬化剤、及び高沸点有機溶剤からなる原液を実質的に硬化反応を起こさない温度で噴霧乾燥する方法が示されている。この方法では、ワキやピンホールのような塗膜欠陥を生じることなく平滑性に優れる塗膜が形成されるが、鮮映性や透明性は不十分で、かつ比較的高温での焼き付けを必要とする。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−53729号公報
【特許文献2】
特開平8−113652号公報
【特許文献3】
特公平8−503721号公報
【特許文献4】
特開平9−255895号公報
【特許文献5】
特開平3−192128号公報
【特許文献6】
特開昭63−267402号公報
【特許文献7】
特開2000−103866号公報
【特許文献8】
特開2001−279189号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡単な短い製造工程で、容易に低コストでかつ製造時にゲル化を起こさず、しかも得られる硬化性組成物が貯蔵安定性及び低温硬化性に優れ、ワキやピンホールのような塗膜欠陥を生じることなく、平滑性、ツヤ、光沢、鮮映性、透明性等の外観、美粧性に優れ、耐水性、耐酸性、耐溶剤性、耐擦り傷性、耐候性、接着性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成するような、硬化性組成物の製造方法、硬化性組成物、及び塗膜形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)、脂肪族トリカルボン酸、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液の噴霧乾燥がその目的に適合することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
即ち、本発明の第1は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)、硬化剤(b)、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液を、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)と硬化剤(b)とが実質的に硬化反応を起こさない温度で噴霧乾燥させる硬化性組成物の製造方法において、硬化剤(b)が脂肪族トリカルボン酸である硬化性組成物の製造方法である。
【0009】
本発明の第2は、硬化剤(b)が式(1)で表される本発明第1の硬化性組成物の製造方法である。
【0010】
【化2】
Figure 2004346246
【0011】
〔p,r,sは0〜8の整数、qは1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9かつ{r<sまたは(r=sかつp≦q)}〕
本発明の第3は、式(1)のp+q+r+s=3である本発明第2の硬化性組成物の製造方法である。
本発明の第4は、式(1)のp=1、q=2、r=s=0である本発明第2の硬化性組成物の製造方法である。
本発明の第5は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)がエポキシ基含有アクリル系樹脂重合体である本発明1〜4のいずれかの硬化性組成物の製造方法である。
本発明の第6は、本発明第1〜5のいずれかの製造方法により製造された硬化性組成物である。
本発明の第7は、本発明第6の硬化性組成物からなる粉体塗料又は水分散系スラリー塗料である。
本発明の第8は、被塗物上に単層または複層の塗膜を形成する塗膜形成方法において、本発明第7の粉体塗料又は水分散系スラリー塗料をトップコート塗料として使用することを特徴とする、塗膜形成方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明の硬化性組成物の製造方法では、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)、硬化剤(b)、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液を用いる。
まず、本発明で用いる分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)について説明する。
【0013】
本発明でいうエポキシ基とは、エポキシ構造(炭素−酸素−炭素からなる3員環構造)を有する結合基であり、炭素−炭素部は直鎖又は分岐した炭化水素構造の一部でも良いし、5員環や6員環等の環状構造を形成した炭化水素構造の一部であってもよい。又これら炭化水素構造にはフッ素、塩素、臭素等のハロゲンや、水酸基、ニトリル基等の官能基が結合していても良い。さらに、エポキシ構造を形成する炭素原子には、メチル基等のアルキル基や、ハロゲン等が結合していても良い。これらエポキシ基としてはグリシジル基や、下式(2)で表される結合基が挙げられる。特にグリシジル基が、アリルアルコールやエピクロルヒドリンから工業的に製造され、入手が容易なため好ましい。
【0014】
【化3】
Figure 2004346246
【0015】
(式中、R及びRは炭素数1〜12の炭化水素基を、mは0〜3の整数を表す。)
本発明で用いられる分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)とは、末端、側鎖又は分岐鎖中にグリシジル基等のエポキシ基を有し、例えばポリエステル骨格を有する重合体、ポリアミド骨格を有する重合体、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−混合トリアルキル酢酸ビニルエステル系、エチレン酢ビ系、シリコーン系、ポリブタジエン系、スチレンブタジエン系、NBR系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、塩化ビニリデン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系、スチレン−無水マレイン酸系等の重合体等が挙げられ、シリコーン変性アクリル系、フッ素−アクリル系、アクリルシリコン系、エポキシ−アクリル系等の変性重合体等も含まれ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、ポリ(メタ)アクリレート系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系、シリコーン変性アクリル系、フッ素−アクリル系、アクリルシリコン系、エポキシ−アクリル系等のエポキシ基含有アクリル系樹脂重合体を好適に使用できる。本発明で表現する(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0016】
該重合体(a)は、エポキシ基を有する重合性単量体の1種又は2種以上の重合体、又はエポキシ基を有する重合性単量体1種又は2種以上とエポキシ基を有しない重合性単量体1種又は2種以上の共重合体である。エポキシ基を有する重合性単量体は、例えばグリシジル基や下式(3)で表されるメチルグリシジル基を有する化合物が特に好適に使用できる。
【0017】
【化4】
Figure 2004346246
【0018】
上記エポキシ基を有する重合性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、アリルアルコールのグリシジルエーテルやメチルグリシジルエーテル、N−グリシジルアクリル酸アミド、ビニルスルホン酸グリシジル等を挙げることができる。中でも、グリシジルメタクリレートが産業上入手が容易であり、これを用いた共重合体であるグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂が、得られる硬化体の耐候性や耐摩耗性等の耐久性に優れ、本発明の硬化性組成物を塗料用途に用いる場合には特に好ましい。
【0019】
エポキシ基を有する重合性単量体は、全重合性単量体の5〜70質量%の範囲で使用することが好ましい。
上記エポキシ基を有する重合性単量体と共重合できる、エポキシ基を有しない重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド系単量体、シアン化ビニル類等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
【0022】
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等があり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリル等がある。
【0023】
又、エポキシ基を有しない重合性単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を使用してもよい。その例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸、フマル酸、マレイン酸の半エステル等があげられる。
更に、カチオン基を持つエチレン性不飽和単量体を使用してもよい。その例として、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル及びその塩、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド及びその塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びその塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びその塩、ビニルピリジン、等が挙げられる。
【0024】
また上記以外のエポキシ基を有しない重合性単量体の具体例として、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、混合トリアルキル酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系化合物、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等のエステル類、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、メタクリル酸アシッドホスホオキシエチル、メタクリル酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ビニルオキサゾリン、ラウリルビニルエーテル、ハロゲン含有ビニル単量体、ケイ素含有ビニル単量体、イソシアネート基含有ビニル系単量体、共重合可能な不飽和結合を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0025】
本発明においては、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸グリシジルを主成分とする共重合体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、及びスチレンを主成分とする共重合体、更には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ブチル、及びスチレンを主成分とする共重合体、等のグリシジル基含有アクリル系樹脂重合体が、耐候性や耐摩耗性等の耐久性に優れ、塗料分野、特に粉体塗料及び水分散系スラリー塗料分野に用いるに際し、特に好ましく使用できる。
本発明で用いられる重合体(a)は、どんな方法により得られたものであってもよい。通常は、エポキシ基を有する重合性単量体、エポキシ基を有しない重合性単量体、開始剤、及び還元剤等を適宜使用して重合される。ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等により得られる。
【0026】
また、本発明で用いられる分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)は、酸性リン酸エステル等で変成されていてもよいし、その水酸基がジイソシアネート化合物等で変性されていてもよい。
上記、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)の数平均分子量は1,000〜12,000の範囲が好ましい。更に好ましくは、1,500〜10,000であり、最も好ましくは2,000〜9,000である。数平均分子量が1,000以上で、得られる粉体塗料の粒子同士の融着を防止でき、耐ブロッキング性が優れ、かつ耐候性等の塗膜性能も優れる。また、数平均分子量が12,000以下で塗膜の平滑性等の仕上り外観が優れるので好ましい。
【0027】
また、重合体(a)のエポキシ当量は200〜3,000g/当量の範囲が好ましい。更に好ましくは、200〜2,800g/当量の範囲であり、最も好ましくは、300〜2,600g/当量の範囲である。エポキシ当量が200g/当量以上で粉体塗料の貯蔵安定性及び、塗膜の仕上り外観が優れ、3,000g/当量以下で、塗膜性能が優れる。
また、重合体(a)のメルトインデックスは20〜100g/10分の範囲が好ましい。更に好ましくは、30〜100g/10分の範囲であり、最も好ましくは、30〜90g/10分の範囲である。メルトインデックスが20g/10分以上で塗膜の仕上り外観が優れ、100g/10分以下で、粉体塗料の貯蔵安定性が優れる。
【0028】
更に、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)のTg(ガラス転移温度)は30〜100℃の範囲が好ましい。更に好ましくは、40〜90℃であり、最も好ましくは、40〜80℃である。ガラス転移温度が30℃以上で重合体(a)の粘着性が低下し耐ブロッキング性が優れ、ガラス転移温度が100℃以下で重合体(a)の溶融フロー性が優れ、塗膜の仕上り外観が優れるので好ましい。
本発明においては、各種用途や所望の物性に応じて、上記エポキシ化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の混合物で用いてもよい。
【0029】
本発明において、硬化剤(b)とはエポキシ基と反応し、架橋構造を形成しうる化合物を意味する。本発明で用いられる硬化剤は、脂肪族トリカルボン酸であり、直鎖又は分岐した炭化水素に3つのカルボキシル基が結合した化合物を意味する。直鎖状のものとして、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3−ブタントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,3−ペンタントリカルボン酸、1,2,4−ペンタントリカルボン酸、1,2,5−ペンタントリカルボン酸、1,3,4−ペンタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、2,3,4−ペンタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,1,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3,3−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ヘキサントリカルボン酸、2,4,4−ヘキサントリカルボン酸、1,4,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3,4−ヘキサントリカルボン酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸、1,4,8−オクタントリカルボン酸、1,5,10−ノナントリカルボン酸、1,6,12−ドデカントリカルボン酸、1,7,13−トリデカントリカルボン酸等が、分岐鎖状のものとして、2−カルボキシメチル−1,3−プロパンジカルボン酸、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸、3−カルボキシエチル−1,5−ペンタンジカルボン酸、3−カルボキシエチル−1,6−ヘキサンジカルボン酸等があげられる。なかでも、式(1)で表される脂肪族トリカルボン酸であることが好ましい。
【0030】
【化5】
Figure 2004346246
【0031】
〔p,r,sは0〜8の整数、qは1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9かつ{r<sまたは(r=sかつp≦q)}〕
式(1)で表される脂肪族トリカルボン酸には、例えば、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,4−ペンタントリカルボン酸、1,2,5−ペンタントリカルボン酸、1,3,4−ペンタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ヘキサントリカルボン酸、1,4,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3,4−ヘキサントリカルボン酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸、1,4,8−オクタントリカルボン酸、1,5,10−ノナントリカルボン酸、1,6,12−ドデカントリカルボン酸等が挙げられる。なかでも、1,2,5−、1,3,5−、1,2,6−、1,2,4−、1,4,5−、1,3,4−、及び1,3,6−ヘキサントリカルボン酸が熱安定性が高いため好ましい。特に1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は約110℃の融点を有し、エポキシ基を有する重合体(a)への混合が容易であり、各種エポキシ基を有する重合体(a)への相溶性が高く、また水に対し高い親和性を有し、さらに硬化特性が優れているなど物性が優れている点に加えて、下記に述べるように工業的に容易に入手できる点で最も好ましい。
【0032】
本発明においては、上記脂肪族トリカルボン酸を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において使用する脂肪族トリカルボン酸の製造法は特に制限はない。1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は、例えば、工業的に大規模に生産されているアクリロニトリルを3量化させたり、アクリロニトリルの電解2量化によりアジポニトリルを製造する際に得られるトリニトリル化合物を硫酸等の酸や苛性ソーダ等のアルカリを用いて加水分解したりすることにより、容易に得られる。
【0033】
また、本発明において、脂肪族トリカルボン酸以外の硬化剤、例えば、カルボキシル基含有化合物、酸無水物、又はこれら以外のエポキシ基と反応し架橋構造を形成しうる一般的なエポキシ樹脂の硬化剤等の1種又は2種以上を、各種用途に応じて、脂肪族トリカルボン酸と併用してもよい。
脂肪族トリカルボン酸以外の硬化剤として用いることができるカルボキシル基含有化合物としては、分子内に2個以上のカルボキシル基を有する化合物が好適に使用でき、特に脂肪族、芳香族、脂環族の多価カルボン酸等が好適に使用できる。
【0034】
脂肪族多価カルボン酸としては、例えばグルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、アイコサンジカルボン酸及びテトラアイコサンジカルボン酸、アクリル酸やメタクリル酸を成分とする共重合体、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。また、芳香族多価カルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸等が挙げられる。更に、脂環族多価カルボン酸としては、例えばヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。
【0035】
また、上記酸無水物としては、上記記載の脂肪族、芳香族、及び脂環族の多価カルボン酸の無水物、及びこれら多価カルボン酸と1価カルボン酸の無水物等が挙げられる。
更に、エポキシ基と反応し架橋構造を形成しうる一般的なエポキシ樹脂の硬化剤としては、ジシアンジアミド類、ジヒドラジド類、イミダゾ−ル類、ポリ酸無水物類等があげられる。また、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン等のトリアジン、オルガノシリル基を包含するポリカルボン酸、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するアクリル樹脂、又はポリエステル樹脂等の樹脂等も脂肪族トリカルボン酸以外の硬化剤として使用できる。
【0036】
本発明の硬化性組成物を、粉体塗料や水分散系スラリー塗料に使用する場合には、併用するその他の硬化剤として、セバシン酸、デカンジカルボン酸、等の脂肪族多価カルボン酸や、これらの無水物が特に好適に使用できる。
硬化性組成物の製造において硬化剤は、その固体粒子を、ポリアミド、エポキシポリマー、ポリウレタン、及びグリシジル基含有のモノマーと不飽和エチレン性モノマーとの共重合により得られるグリシジル基含有のアクリル酸ポリマー等のポリマーを含む被覆材料で被覆したものを使用してもよい。
【0037】
本発明で用いる硬化剤全量中における、脂肪族トリカルボン酸の含有量は0.1〜100質量%である。好ましくは、1〜100質量%であり、特に好ましくは10〜100質量%、最も好ましくは50〜100質量%である。脂肪族トリカルボン酸の含有量が0.1質量%以上で、硬化速度が優れ、硬化性組成物の水への分散性が優れ、さらには得られる硬化物の機械的物性が優れる。
本発明において、用いる脂肪族トリカルボン酸量は、エポキシ基を有する重合体(a)のエポキシ基に対し、脂肪族トリカルボン酸のカルボキシル基を0.01〜5当量で用いることが好ましい。特に、脂肪族トリカルボン酸の硬化性や得られる組成物の水への親和性を顕著に発現させ、また架橋密度を向上させた機械的特性の優れる硬化体を得るには、0.1〜3当量がより好ましく、さらには0.3〜2.5当量、特に好ましくは0.5〜2当量である。脂肪族トリカルボン酸を他の硬化剤と併用する場合には、エポキシ基を有する重合体(a)のエポキシ基に対し、脂肪族トリカルボン酸のカルボキシル基と他の硬化剤のカルボキシル基又はエポキシ基と反応し架橋構造を形成しうる基の合計を0.01〜5当量で用いることが好ましい。
【0038】
一般的に、エポキシ化合物とカルボキシル基含有化合物からなる硬化性組成物は、エポキシ基に対し、カルボキシル基を当量比が1、またはその近傍の組成比で用いられ、当量比が1を大きくはずれた場合には、硬化物のゲル分率が低下する傾向にある。本発明の硬化性組成物において、硬化剤として1,3,6−ヘキサントリカルボン酸のみを用いた場合には、当量比が1から大きくずれた場合においても、短時間の硬化で十分なゲル分率を示す。
【0039】
本発明において、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)が、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する場合には、水酸基又はカルボキシル基と反応し得る少なくとも1個の官能基を有する補助交叉結合剤、又は変性剤を添加する事ができる。これらには、ブロックイソシアネート、アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキル化グリコルリル樹脂、ヒダントインエポキシド類、トリグリシジルイソシアヌレート、脂肪族グリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエステル、環式脂肪族エポキシド、水素化ビスフェノールA及びエピクロロヒドリンから導かれたエポキシ樹脂、オキサゾリン、2〜4官能性β−ヒドロキシアルキルアミド等が含まれる。
【0040】
本発明で用いられる有機溶剤(c)は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)及び/又は脂肪族トリカルボン酸を溶解することができる任意の有機溶剤を使用することができるが、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)及び脂肪族トリカルボン酸を溶解することができる有機溶剤が好ましい。重合体(a)が溶液重合で得られる場合には、重合体(a)の重合の際に用いた有機溶剤をそのまま有機溶剤(c)の一部又は全てとして使用することもできる。
【0041】
本発明で用いられる原料溶液は、 噴霧乾燥する際の温度以下、好ましくは噴霧乾燥する際の温度より低い温度、例えば常温において、重合体(a)と硬化剤(b)が有機溶剤(c)
に完全に溶解した状態にあることが好ましい。重合体(a)と硬化剤(b)が有機溶剤(c)に完全に溶解している場合には、溶融混練による混合に比べ、重合体(a)と硬化剤(b)がより均一に混合され、塗膜外観をはじめとする各種塗膜物性に優れる塗膜を形成する硬化性組成物を得ることができる。
重合体(a)及び硬化剤(b)の両方を溶解しないような有機溶剤であっても、原料溶液の保存安定性を損なわない範囲であれば、有機溶剤(c)として使用することができる。
【0042】
これらの有機溶剤(c)として例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸アルキルエステル、ステアリン酸アルキルエステル、安息香酸アルキルエステル、アジピン酸ジアルキルエステル、フタル酸ジアルキルエステル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ジプロピルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、エクソンアロマティックナフサNo.2、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(いずれも米国エクソン社製)等の芳香族炭化水素を含有する混合炭化水素類、エクソンナフサNo.3、エクソンナフサNo.5、エクソンナフサNo.6、エクソンソルベントNo.7、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD90、エクソールD110、エクソールDSP100/140(いずれも米国エクソン社製)、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPソルベント2028(出光石油化学社製)、メルベイユ20、メルベイユ30、メルベイユ40(昭和シェル石油社製)、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル等のエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルグリコール、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類、グリセリンアルキルエーテル類、グリセリンアルキルエステル類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート、クロロホルム、ジクロロメタン等がある。また、上記の2種以上を混合して使用しても良い。
重合体(a)、脂肪族トリカルボン酸、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液の調製は、上記の重合体(a)、脂肪族トリカルボン酸、及び有機溶剤(c)を用いて、任意の方法で行うことができる。
【0043】
また、本発明においては、本願の効果を損なわない範囲で、分子内に1個のエポキシ基を有する化合物、1個のカルボキシル基及び/又は1個又は2個以上の水酸基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、又はその他の重合体、及び室温で液状である樹脂等の化合物を添加することもできる。
上記化合物の添加方法に特に制限はなく、重合体(a)、硬化剤(b)、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液に溶解あるいは分散させても良いし、原料溶液を噴霧乾燥後、慣用の配合方法で配合させてもよいが、原料溶液に溶解混合させることが好ましい。
【0044】
更に、本発明においては、各種用途に応じて通常塗料等に配合される添加剤、例えば、硬化促進剤(硬化触媒)、反応希釈剤、充填剤や強化剤、顔料、離型剤や流動調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤等の紫外線によるコーティングの劣化を阻止し得る薬剤、光安定剤、酸化防止剤等を添加することができる。
硬化促進剤としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジアミノメチル)フェノールなどの第3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などのジアザビシクロアルケン類およびそれらの塩類、オクチル酸亜鉛、アルキルチタネート化合物、オクチル酸錫、モノアルキル錫酸等の錫化合物、アルミニウムアセチルアセトン錯体などの有機金属化合物、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン系化合物、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、トリフェニルボレートなどのホウ素系化合物、塩化亜鉛、塩化第二錫などの金属ハロゲン化物、第4級アンモニウム化合物、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタンのナトリウムアルコレートなどのアルカリ金属アルコレート類、アナカルド酸及びその塩、カルドール、カルダノール、フェノール、ノニルフェノール、クレゾールなどのフェノール類、ブロックされた強酸触媒等が挙げられる。
【0045】
反応希釈剤としては、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3級カルボン酸グリシジルエステル、等が挙げられる。
充填剤や強化剤としては、例えばコールタール、瀝青、織布、ガラス繊維、アスベスト繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、アラミド繊維、鉱物シリケート、雲母、石英粉、水酸化アルミニウム、ベントナイト、カオリン、珪酸エアロゲル、アルミニウム粉や鉄粉などの金属粉などが挙げられる。
【0046】
顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、塩基性染めつけレーキ、酸性染めつけレーキ、媒染染料系顔料、建設染料系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、カーボンブラック、クロム酸塩、フェロシアン化物、酸化チタン、硫化セレン化合物、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩、金属粉末、等の着色顔料や、硫酸バリウム、炭酸バリウム、石膏、アルミナ白、クレー、シリカ、タルク、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の体質顔料が挙げられる。
【0047】
また、離型剤や流動調整剤としては、例えばシリコーン、エアロジル、コロイド性含水珪酸アルミニウム、ワックス、ステアリン酸塩、炭酸カルシウム、タルクなどが挙げられる。
さらに、可塑剤としてはパイン油、低粘度液状高分子、ゴム状物、タール、ポリサルファイド、ウレタンプレポリマー、ポリオール、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、エピクロルヒドリンの重合物、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられる。
【0048】
また、紫外線吸収剤としてチヌビン(Tinuvin、チバスペシャリティケミカルス社から市販)が、立体障害アミン系光安定剤やフェノール系酸化防止剤として、例えば、チヌビン144や、イルガノックス1010又はイルガフォスP−EPQ(いずれもチバスペシャリティケミカルス社から市販)が挙げられる。紫外線吸収剤と立体障害アミン系光安定剤とを組み合わせて用いることもできる。
【0049】
更に、ナフテン酸コバルト等のドライヤー、メトキシフェノール、シクロヘキサンオキシム等の皮張り防止剤、高重合アマニ油、有機ベントナイト、シリカ等の増粘剤、ベンゾイン等のわき防止剤、モダフロー(Modaflow、モンサント社製)、レジフロー(Resiflow、Worlee社製)、アクロナール(Acronal、BASF社製)、等の流れ調整剤、三酸化アンチモン、ブロム化合物、水酸化アルミニウムなどの難燃剤、染料、ワックス、酸化防止剤(抗酸化剤)、、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、消泡剤、脱気剤(脱ガス化剤)、アクリルオリゴマー等のレベリング剤、、流展剤、着色剤、二酸化チタン、粘性調整剤、pH調整剤、防腐剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、湿潤剤、成膜助剤、防錆剤、表面調整剤、艶消し剤、エポキシ樹脂、ビスマス系化合物、微粉末シリカ、焼セッコウ、イミダゾリン化合物類、架橋樹脂微粒子、ポリエステル樹脂系粉体塗料、熱潜在性カチオン重合開始剤、ハイドロタルサイト類化合物、及びその他の各種添加剤等を添加することができる。これら添加剤は、1種または2種以上を、本発明の効果を損なわない範囲の適用量で任意に適用することができる。
【0050】
上記の添加剤を配合する方法に特に制限はなく、重合体(a)、硬化剤(b)、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液に溶解あるいは分散させても良いし、原料溶液を噴霧乾燥後、慣用の配合方法で配合させてもよいが、原料溶液に溶解混合させることが好ましい。
噴霧乾燥に用いる装置は、噴霧された原料溶液から有機溶剤を除去することのできるものであればよく、通常は噴霧された原料溶液を熱源ガスと接触させて有機溶剤を揮発させる噴霧乾燥装置を使用するが、有機溶剤を揮発させることから、装置は防爆仕様であることが好ましい。また、噴霧された原料溶液を乾燥させるために使用される熱源ガス中の有機溶剤の蒸気含有量を低く保つという観点からは、溶剤回収装置を備えることが好ましい。
【0051】
原料溶液と熱源ガスの接触方式は特に限定されず、通常用いられているような、並流式、向流式、並流・向流混合式のようないずれの方式でもよい。
原料溶液の噴霧方式についても、回転円盤式、二流体ノズル式、圧力ノズル式など、公知のものがいずれも使用できる。噴霧する際の、粒子径をコントロールするための因子としては、回転円盤式においては、円盤の回転速度、二流体ノズル式においては、ノズルからの吐出速度、原料溶液と混合して使用される圧縮空気と原料溶液の混合比、圧力ノズル式においては、吐出圧力等があるが、これらの値については、目標とする粒子径に応じて適宜決定すればよい。
【0052】
原料溶液の供給速度、熱源ガスの流量についても、目標とする粒子径にあわせて、適宜決定すれば良いが、噴霧乾燥中に原料溶液の供給速度や熱源ガスの流量が変化すると、得られる粒子の粒子径、粒子径分布や不揮発分の値も変化するため、噴霧乾燥中は一定に保つことが好ましい。
通常、噴霧乾燥により得られた粒子を含む熱源ガスは、引き続き、サイクロンに代表される分級装置へ導かれ、粒子の捕集・分級が行われる。
【0053】
熱源ガスとしては、不活性ガスが好ましい。なかでもコスト等の点からは窒素ガスの使用が好ましい。熱源ガスの温度は、原料溶液の重合体(a)と硬化剤(b)が実質的に硬化反応を起こさないような温度に適宜決定すればよい。硬化剤(b)の融点より10℃程度高くてもかまわないが、硬化剤(b)の融点程度であることが好ましく、硬化剤(b)の融点より10℃程度低いことがより好ましい。熱源ガスの温度の下限については特に制限はないが、効率よく溶剤を蒸発させるためには、30℃以上、より好ましくは40℃以上とすることが好ましい。通常は、熱源ガスの温度は30〜160℃、より好ましくは30〜130℃の範囲で適宜決定される。
【0054】
熱源ガスの流量及び原料溶液の供給速度は、得られる粒子の不揮発分が99質量%以上となるような条件下で、目的とする粒子径に合わせて適宜調整すれば良い。装置内の圧力は、常圧でも、減圧あるいは加圧でも特に制限されない。
また、噴霧乾燥を行う際の原料溶液の不揮発分濃度は、噴霧乾燥装置の仕様、噴霧乾燥する条件に応じて適宜決定すればよい。
さらに溶剤の蒸発をより効率的に行わせるために、原料溶液を、噴霧乾燥する前に予備加熱しても良い。その際に予備加熱する温度は、原料溶液のゲル化を防止するため、70℃以下であることが好ましく、また予備加熱後できるだけ速やかに噴霧乾燥することが好ましい。
【0055】
このようにして得られた硬化性組成物は、そのままで使用することができるが、さらに、必要に応じて、真空乾燥等の他の乾燥方法で二次乾燥させてもよい。その際には、ゲル化を防止するため、二次乾燥は約70℃以下の温度で行うことが好ましい。
上記の方法で製造された硬化性組成物粒子について、更に圧縮したり、粉砕したり、造粒したり、分級したりして粒子径を調整してもよいし、熱気流と接触させて粒子を球状にしたりして粒子の形状を調整してもよい。また、これらの操作を任意に組み合せたり、繰り返したりしてもよい。
【0056】
本発明の硬化性組成物は、注型成形剤、半導体封止剤、絶縁塗料、及び積層板等の電気絶縁材、複合材料のマトリックス樹脂、接着剤、シーリング剤、塗料等に好適に使用できるが、塗料として特に好ましく用いることができる。とりわけ、粉体塗料及び水分散系スラリー塗料の形態で用いることができる。
粉体塗料の平均粒子径は、1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、10〜30μmが更に好ましい。平均粒径が1μm以上で貯蔵安定性が良好となり、100μm以下で平滑性等の塗膜の外観が優れる。
【0057】
本発明の水分散系スラリー塗料は、上記した粉体塗料及び水性成分からなる。水性成分には、分散剤、分散助剤、カルボキシ官能性分散剤、非イオン性増粘剤、触媒、助剤、消泡剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、殺生剤、殺生物剤、殺菌剤、微少量の溶剤、流展剤、流展助剤、レベリング剤、中和剤、アミン、保水剤等を必要に応じて含有させることができる。
分散剤としては、ポリカルボン酸のアルカリ金属塩、アミン塩及びアンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンソルビタン脂肪酸エステル、及びアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩等があげられ、水分散系スラリー塗料の0.1〜10質量%配合される。
【0058】
本発明の水分散系スラリー塗料の固体含量は10〜60質量%であることが好ましく、粘度は10〜1000mPa・sであることが好ましい。
本発明の水分散系スラリー塗料は、上記の方法で製造された粉体塗料を水性成分に懸濁させる方法、又は上記の方法で製造された粉体塗料を水性成分に懸濁させた後、更に粉砕する等の方法により製造される。
本発明の粉体塗料または水分散系スラリー塗料から得られた塗膜は、耐候性等の耐久性に優れ、金属、コンクリート駆体、木材、プラスチック材等の保護材として、家電製品、電気機器、自動車部品、自動車外板、船舶、鋼製家具、水道資材、缶、道路・建設・土建資材等に好適に適用できる。とりわけ、顔料成分を含有しないクリアー塗膜として、例えば自動車中塗り用、自動車上塗り用、自動車部品用、建材用、家電製品用、自動販売機、道路資材、アルミホイール、各種金属製品用等に広範に利用することができる。
【0059】
本発明の粉体塗料及び水分散系スラリー塗料は、被塗物上に単層または複層の塗膜を形成する塗膜形成方法において、トップコート塗料として使用でき、特にクリアートップコート塗料として好適に使用できる。
例えば、下塗り又は下塗り及び中塗りを施した塗装板上にベース塗料を塗装し、その硬化前にクリヤー塗料を塗装し、ベース塗料とクリヤー塗料を同時に硬化させる、いわゆる2コート1ベークの自動車上塗り塗装のクリヤー塗料に使用できる。
【0060】
下塗り又は下塗り及び中塗りを施した塗装板上に第1ベース塗料を塗装して硬化させ、更に第2ベース塗料を塗装し、その硬化前にクリヤー塗料を塗装し、第2ベース塗料とクリヤー塗料を同時に硬化させる、いわゆる3コート2ベークの自動車上塗り塗装のクリヤー塗料にも使用できる。
下塗り又は下塗り及び中塗りを施した塗装板上に第1ベース塗料を塗装し、その硬化前に第2ベース塗料を塗装し、更にその硬化前にクリヤー塗料を塗装し、第1ベース塗料、第2ベース塗料、及びクリヤー塗料を同時に硬化させる、いわゆる3コート1ベークの自動車上塗り塗装のクリヤー塗料にも使用できる。
【0061】
下塗りを施した塗装板上に中塗り塗料を塗装し、その硬化前にベース塗料を塗装し、更にその硬化前にクリヤー塗料を塗装し、中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料を同時に焼き付ける、いわゆる3コート1ベークの自動車中塗り・上塗り塗装のクリヤー塗料にも使用できる。
下塗り、中塗り、及び上塗り(ベース及びクリヤー)を施した塗装板上又は、下塗り及び上塗り(ベース及びクリヤー)を施した塗装板上に、更にオーバーコートクリヤー塗料を塗装して硬化させる自動車上塗り塗装のオーバーコートクリヤー塗料にも使用できる。
【0062】
本発明の硬化性組成物を粉体塗料として塗装する場合は、流動浸漬、静電流動浸漬、コロナ帯電ガン、摩擦帯電ガン等の通常行われている塗装方法が用いられる。また、水分散系スラリー塗料として塗装する場合は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装等の通常行われている塗装方法が用いられる。
本発明の硬化性組成物は熱、紫外線、電子線等のエネルギーで硬化させることができ、例えば、加熱により硬化させる場合、通常150〜250℃の範囲で硬化反応を行うが、150℃以下の近年望まれている低温硬化温度範囲においても実用的な硬化時間範囲で良好な物性の塗膜を得ることができる。硬化時間は、該組成にも左右されるが、通常、20分〜200時間の範囲であるが、20分以下でも可能である。
本発明の硬化性組成物を塗料として用いることにより得られる塗膜の厚みは、1〜1000μmが好ましい。
【0063】
【実施例】
以下、実施例、比較例及び製造例により本発明を説明する。実施例、比較例及び製造例中の部は、質量部を表す。
実施例、比較例及び製造例中に用いられる各種物性の測定方法は、下記の通りである。
[1]数平均分子量:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン標品検量線より求めた。測定試料は、各サンプルをテトラヒドロフランに溶解し、0.5〜1質量%の濃度とした。
Figure 2004346246
【0064】
[2]エポキシ当量
100ml三角フラスコに試料を0.1〜1.0g精秤し、撹拌子を入れた。続いて、n−プロピルアルコール約50ml、ベンジルアルコール約4ml、0.04%ブロムチモールブルー指示薬約3mlを加え、還流冷却器を取り付けて、ホットプレート付きスターラー上で撹拌しながら還流させた。更に、還流下、3.0gのヨウ化カリウムを10mlの水に溶かして加えた(青色になる)。還流下、1N又は0.2N塩酸で滴定し、30秒間黄色を保った時を終点とし、次の式によりエポキシ当量を求めた。
エポキシ当量(g/eq)=試料質量(g)×1000/(塩酸規定度(N)×滴定量(ml))
【0065】
[3]メルトインデックス(MI)
メルトインデクサー(東洋精機製、C−5059D−1型)を用い、JIS K7210に準じて測定した。装置を125℃に昇温後、内径2.095±0.005mmのオリフィスを入れ、乾燥させた試料5gを入れ、プランジャーを差込み、オリフィスの出口にストッパーをつけ、225gの荷重を乗せ5分間保持した。5分後に1935gの荷重を加え(合計荷重2160g)、ストッパーを解除してプランジャーが2.5cm動いた時の時間t(秒)をタイマーで測定した。流出した樹脂を回収して質量W(g)を測定し、次の式によりメルトインデックス(g/10min)を求めた。
MI(g/10min)=W(g)×600(秒)/t(秒)
【0066】
[4]ガラス転移温度(Tg)
DSC(示差走査熱量測定)で得られた示差熱曲線から求めた。DSC測定は、約5.0mgのサンプルを用いて、窒素雰囲気下において、−10℃で1分間保持後、10℃/分の昇温速度で130℃まで昇温することにより測定した。
Figure 2004346246
【0067】
[5]不揮発分
1gの樹脂溶液をアルミ皿上にサンプリングし、160℃で1時間乾燥させたときの不揮発分の比率。
[6]貯蔵安定性
粉体塗料を50mlのサンプル瓶に入れ、30℃で2ヶ月放置した後取り出し、塗料の凝集状態を評価した。凝集のないものを○印、凝集の存在するものを×印とした。
また、放置後の160℃硬化開始時間(分)及び硬化時間(分)を測定した。
[7]粉体塗料のゲル分率
粉体塗料を1,2−ジメトキシエタン中に入れ、振とう機で1時間振とう後ろ過する。40℃で5時間乾燥後質量を測定し、不溶部分の質量分率をゲル分率(%)とした。
[8]塗膜のゲル分率
焼き付けられた塗膜を、アセトンを溶媒としたソックスレー抽出試験器に8時間かけ、不溶部分の質量分率をゲル分率(%)とした。
[9]塗膜の平滑性及びツヤ
塗膜表面を肉眼で評価し、良好なものを○印、不良を×印とした。
【0068】
[10]鏡面光沢度
光沢計GM−268(ミノルタ(株)製)を使用して、60度−60度鏡面反射率(%)を測定した。
[11]鮮映性
塗膜表面を肉眼で評価し、良好なものを○印、やや不良を△印、不良を×印とした。
[12]透明性
塗料をガラス板に塗装し、透明性を肉眼で評価した。良好なものを○印、やや不良を△印、不良を×印とした。
[13]耐水性
試験片を水に18時間浸漬した後取り出し、目視観察で、しわ、膨れ、割れ、はがれ等の異常の有無を評価した。異常なしを○印、わずかに異常ありを△印、異常ありを×印で表した。
【0069】
[14]耐酸性
40質量%の硫酸を試験塗板に0.4ml滴下し、85℃に加熱したホットプレート上で15分間加熱した後、水洗し、塗面を観察し、次の基準で評価した。
◎:目視観察で全く変化がない。
○:滴下部と非滴下部にわずかな差が見られるがエッチングはない。
△:滴下部と非滴下部の境界にわずかな段差がみとめられるもの。
×:目視観察ではっきりとしたエッチングが認められるもの。
[15]耐溶剤性
キシロールをしみ込ませた綿棒で塗面を往復50回強くこすり、塗面状態を肉眼で評価し、良好なものを○印、不良を×印とした。
【0070】
[16]耐擦り傷性
ルーフに試験用塗板を張り付けした自動車を洗車機で5回洗車した後の該塗装板の塗面状態を観察した。洗車機はヤスイ産業製「PO20FWRC」を用いた。評価基準は次の通りである。
◎:目視観察でほとんど擦り傷が見つからない。
○:少し擦り傷は見つかるが、その程度は軽い。
△:目視観察で擦り傷が目立つ。
×:目視観察ではっきりと著しい擦り傷が判る。
[17]耐候性
Wether−O−meter ci35(ATLAS ELECTRIC DEVICE Co.社製)を用い、ブラックパネル63℃、60W/m、降雨条件において、250時間キセノンアーク照射を行った。照射前後の硬化体表面の60゜の光沢(グロス)を測定し、光沢保持率(照射後の照射前に対する百分率)を求めた。
【0071】
[18]接着性
JIS規格K5400に従った、碁盤目テープ法により、塗膜の付着状態を目視で観察した。実際には、塗膜に対し、約1mm×1mmのます目をカッターナイフで100個作製し、「テープで剥がれなかったますの数/100ます」を評価結果とした。
[19]水への分散性
得られた水分散系スラリー塗料の外観を目視で観察し、均一にスラリー状である場合を○印、下層に明らかに粉体の含有量の少ない水相がみうけられる場合を×印とした。
【0072】
[カラーベース塗料B]
水酸基含有ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、チタン白顔料及びアルミニウムフレークを含有する白色系有機溶剤型塗料。有機溶剤として沸点約80〜110℃のトルエン/キシレン/メタノール/酢酸エチル混合溶剤を使用した。塗膜のマンセルカラーチャートN値8.0、固形分含有率35質量%、粘度12秒/フォードカップ#4/20℃。
【0073】
[パールベース塗料C]
水酸基含有ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及び酸化チタン被覆雲母フレークを含有する光干渉性有機溶剤型塗料。有機溶剤として沸点約80〜110℃のトルエン/キシレン/メタノール/酢酸エチル混合溶剤を使用した。固形分含有率35質量%、粘度12秒/フォードカップ#4/20℃。
【0074】
[エポキシ基含有アクリル系樹脂重合体]
〔実施例1〕
メタクリル酸メチル465部、メタクリル酸n−ブチル37部、メタクリル酸グリシジル49部、スチレン450部、及びアゾビスイソブチロニトリル17部からなる単量体及び重合開始剤の混合物を110℃のトルエン1000部中に約30分かけて滴下した。更に内温を110℃に保ちながら滴下終了から5時間重合させて、数平均分子量が11,500、エポキシ当量が2,900g/当量、不揮発分が51%のグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液A’を得た。得られた溶液の一部を減圧にして溶剤を除去し、グリシジル基含有メタクリル樹脂Aを得た。MIが95g/10分、Tgが95℃であった。
【0075】
〔実施例2〕
メタクリル酸メチル150部、メタクリル酸n−ブチル411部、メタクリル酸グリシジル142部、スチレン297部、及びアゾビスイソブチロニトリル68部を用いて、実施例1と同様に重合し、数平均分子量が4,700、エポキシ当量が1,030g/当量、不揮発分が52%のグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液B’とグリシジル基含有メタクリル樹脂Bを得た。MIが63g/10分、Tgが55℃であった。
【0076】
〔実施例3〕
メタクリル酸メチル74部、アクリル酸n−ブチル115部、メタクリル酸グリシジル693部、スチレン118部、及びアゾビスイソブチロニトリル105部を用いて、実施例1と同様に重合し、数平均分子量が1,050、エポキシ当量が205g/当量、不揮発分が53%のグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液C’とグリシジル基含有メタクリル樹脂Cを得た。MIが25g/10分、Tgが35℃であった。
【0077】
[原料溶液の作製]
〔実施例4〕
溶解槽にメチルエチルケトン458部を仕込み、撹拌機で攪拌しながら、1,2,5−ペンタントリカルボン酸10部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)15部、ベンゾイン2.5部、及びレベリング剤(ニカライトXK−81)2.5部、及び実施例1で得られたグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液A’961部を加え、更に攪拌して、原料溶液(S−1)を得た。この溶液(S−1)の配合と不揮発分を表1に示す。
【0078】
【表1】
Figure 2004346246
【0079】
〔実施例5〕
溶解槽にメチルエチルケトン632部を仕込み、撹拌機で攪拌しながら、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸33部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)15部、ベンゾイン2.5部、及びレベリング剤(ニカライトXK−81)2.5部、及び実施例2で得られたグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液B’898部を加え、更に攪拌して、原料溶液(S−2)を得た。この溶液(S−2)の配合と不揮発分を表1に示す。
【0080】
〔実施例6〕
溶解槽にイソプロピルアルコール601部を仕込み、撹拌機で攪拌しながら、1,6,12−ドデカントリカルボン酸175部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)15部、ベンゾイン2.5部、及びレベリング剤(ニカライトXK−81)2.5部、及び実施例3で得られたグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液C’613部を加え、更に攪拌して、原料溶液(S−3)を得た。この溶液(S−3)の配合と不揮発分を表1示す。
【0081】
〔比較例1〕
溶解槽にテトラヒドロフラン465部を仕込み、撹拌機で攪拌しながら、ドデンカン二酸17部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)15部、ベンゾイン2.5部、及びレベリング剤(ニカライトXK−81)2.5部、及び実施例1で得られたグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液A’947部を加え、更に攪拌して、原料溶液(R−1)を得た。この溶液(R−1)の配合と不揮発分を表1に示す。
【0082】
〔比較例2〕
溶解槽にテトラヒドロフラン648部を仕込み、撹拌機で攪拌しながら、ドデカン二酸50部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)15部、ベンゾイン2.5部、及びレベリング剤(ニカライトXK−81)2.5部、及び実施例2で得られたグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液B’865部を加え、更に攪拌して、原料溶液(R−2)を得た。この溶液(R−2)の配合と不揮発分を表1に示す。
【0083】
〔比較例3〕
溶解槽にジメチルホルムアミド615部を仕込み、撹拌機で攪拌しながら、ドデカン二酸191部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)15部、ベンゾイン2.5部、及びレベリング剤(ニカライトXK−81)2.5部、及び実施例3で得られたグリシジル基含有メタクリル樹脂溶液C’583部を加え、更に攪拌して、原料溶液(R−3)を得た。この溶液(R−3)の配合と不揮発分を表1に示す。
【0084】
[噴霧乾燥による粉体塗料の作製]
〔実施例7〕
垂直下降並流式噴霧乾燥装置を用いて回転円盤式で粉体塗料を製造した。円盤の回転速度を15,000rpmとし、 熱源ガスとしては窒素ガスを用い、原料溶液と熱源ガスを垂直下降並流式で接触させた。ガスの温度は90℃ に設定した。30℃に予備加熱した原料溶液(S−1)を供給速度0.5kg/hrで噴霧乾燥装置中に噴霧し、装置内で乾燥された粉体塗料の粒子をサイクロンで捕集することによって、平均粒子径15μmの粉体塗料(P−1)を得た。粉体塗料の評価結果を表2に示す。更に、SPCC鋼板及びガラス板(透明性評価用のみ)に厚さが約60μmになるように静電塗装し、140℃又は120℃で20分間焼き付けた。塗膜の評価結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
Figure 2004346246
【0086】
〔実施例8,9〕
原料溶液(S−1)の代わりに原料溶液(S−2)、(S−3)を用い、原料溶液の予備加熱温度と、熱源ガスの温度を第2表に示すように変更した以外は実施例7と同様にして、粉体塗料(P−2)、(P−3)を得た。これらの粉体塗料の評価結果を表2に示す。更に、実施例7と同様にして塗装・焼き付けした塗膜の評価結果を表2に示す。
【0087】
〔比較例4〜6〕
原料溶液(S−1)の代わりに原料溶液(R−1)〜(R−3)を用い、原料溶液の予備加熱温度と、熱源ガスの温度を第2表に示すように変更した以外は実施例7と同様にして、粉体塗料(Q−1)〜(Q−3)を得た。これらの粉体塗料の評価結果を表2に示す。更に、実施例7と同様にして塗装・焼き付けした塗膜の評価結果を表2に示す。
【0088】
[水分散系スラリー塗料の作製]
〔実施例10〜12、比較例7〜9〕
水400部中に、消泡剤(トロイキドD777)0.6部、分散助剤(オタロン731K)0.6部、湿潤剤(スルフィノールTMN6)0.06部、及び増粘剤(ローム・アンド・ハース社製RM8)16.5部を分散させた。次いで実施例7〜9の粉体塗料(P−1)〜(P−3)または比較例4〜6の粉体塗料(Q−1)〜(Q−3)94部をそれぞれ撹拌混入した。引き続き、再度、消泡剤(トロイキドD777)0.6部、分散助剤(オタロン731K)0.6部、湿潤剤(スルフィノールTMN6)0.06部、及び増粘剤(ローム・アンド・ハース社製RM8)16.5部を混入分散させた。引き続き、少量ずつ同じ粉体塗料94部をそれぞれ撹拌混入した。これをサンドミル中で3.5時間磨砕し、50μmフィルターでろ過し、レベリング剤(ビク345)0.05部を加えた。これらの水分散系スラリー塗料の評価結果を表3に示す。更に、SPCC鋼板及びガラス板(透明性評価用のみ)に厚さが約40μmになるように静電塗装し、140℃又は120℃で20分間焼き付けた。塗膜の評価結果を表3に示す。
【0089】
【表3】
Figure 2004346246
【0090】
[溶融混練法による粉体塗料・水分散スラリー塗料の作製]
〔比較例10〕
実施例1のグリシジル基含有メタクリル樹脂A1959部、1,2,5−ペンタントリカルボン酸41部、エポキシ樹脂(旭化成製AER−6071)60部、ベンゾイン10部、レベリング剤(ニカライトXK−81)10部をヘンシェルミキサーで混合してから、90℃設定の2軸押出機で溶融混練し、ロールで引き伸ばし、冷却した。シリカ粉2部を加えて、ヘンシェルミキサー、続いて粉砕機で粉砕し、100μmのふるいを通して粉体塗料を得た。粉体塗料の評価結果を表4に示す。更に、SPCC鋼板及びガラス板(透明性評価用のみ)に厚さが約60μmになるように静電塗装し、140℃又は120℃で20分間焼き付けた。塗膜の評価結果を表4に示す。
【0091】
【表4】
Figure 2004346246
【0092】
〔比較例11〜15〕
表4に記載のグリシジル基含有メタクリル樹脂、硬化剤、及び添加剤を用いて、比較例10と同様にして、それぞれ粉体塗料を得た。これらの粉体塗料の評価結果を表4に示す。比較例11において、2軸押出機出口での樹脂溶融物の温度は110℃であった。更に、比較例10と同様にして塗装・焼き付けした塗膜の評価結果を表4に示す。
【0093】
〔比較例16〜21〕
水400部中に、消泡剤(トロイキドD777)0.6部、分散助剤(オタロン731K)0.6部、湿潤剤(スルフィノールTMN6)0.06部、及び増粘剤(ローム・アンド・ハース社製RM8)16.5部を分散させた。次いで比較例10〜15の粉体塗料(Q−4)〜(Q−9)94部をそれぞれ撹拌混入した。引き続き、再度、消泡剤(トロイキドD777)0.6部、分散助剤(オタロン731K)0.6部、湿潤剤(スルフィノールTMN6)0.06部、及び増粘剤(ローム・アンド・ハース社製RM8)16.5部を混入分散させた。引き続き、少量ずつ同じ粉体塗料94部をそれぞれ撹拌混入した。これをサンドミル中で3.5時間磨砕し、50μmフィルターでろ過し、レベリング剤(ビク345)0.05部を加えた。
これらの水分散系スラリー塗料の評価結果を表5に示す。更に、実施例10と同様にして塗装・焼き付けした塗膜の評価結果を表5に示す。
【0094】
【表5】
Figure 2004346246
【0095】
[複層塗膜の作製]
〔実施例13〕
下塗り及び中塗りを施した基板上に、水性ベース塗料(日本ペイント社製スーパーラックM260シルバー)をエアスプレーによって乾燥膜厚が20μmになるように塗装した。3分間のセッティング時間をおいて、実施例7の粉体クリヤー塗料(P−1)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるように塗装した。得られた基板を熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。焼き付けは、140℃20分、120℃20分の2条件で行った。複層塗膜の評価結果を表6に示した。
【0096】
〔実施例14〕
下塗り及び中塗りを施した基板上に、カラーベース塗料Bを静電塗装によって乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、160℃に設定された熱風型乾燥炉で20分間焼き付け処理した。次に、この上にパールベース塗料Cを静電塗装によって乾燥膜厚が20μmになるように塗装した。3分間のセッティング時間をおいて、実施例8の粉体クリヤー塗料(P−2)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるように塗装した。得られた基板を熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表6に示した。
【0097】
〔実施例15〕
下塗り及び中塗りを施した基板上に、カラーベース塗料Bを静電塗装によって乾燥膜厚が20μmになるように塗装した。3分間のセッティング時間をおいて、パールベース塗料Cを静電塗装によって乾燥膜厚が20μmになるように塗装した。3分間のセッティング時間をおいて、実施例9の粉体クリヤー塗料(P−3)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるように塗装した。得られた基板を熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表6に示した。
【0098】
〔実施例16〕
下塗りを施した基板上に、粉体スラリー中塗り塗料(関西ペイント社製PS100プライマー)を静電ベル塗装によって乾燥膜厚が45μmになるように塗装し、60℃の温風で5分のブローオフを実施した。次に、その上に水性ベース塗料(関西ペイント社製WT−500シルバーメタリック)を静電ベル塗装によって乾燥膜厚が13μmになるように塗装し、80℃の温風で約3分間ブローオフを実施した。更にその上に、実施例8の粉体クリヤー塗料(P−2)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるように塗装した。得られた基板をまず90℃に設定された熱風乾燥炉で10分間処理した後、140℃20分又は120℃20分の2条件で焼き付け処理し、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表6に示した。
【0099】
【表6】
Figure 2004346246
【0100】
〔実施例17〕
実施例13において、粉体クリヤー塗料(P−1)のかわりに、実施例10の水分散系スラリークリヤー塗料(W−1)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表7に示した。
【0101】
〔実施例18〕
実施例14において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、実施例11の水分散系スラリークリヤー塗料(W−2)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表7に示した。
【0102】
〔実施例19〕
実施例15において、粉体クリヤー塗料(P−3)のかわりに、実施例12の水分散系スラリークリヤー塗料(W−3)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表7に示した。
【0103】
〔実施例20〕
実施例16において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、実施例11の水分散系スラリークリヤー塗料(W−2)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表7に示した。
【0104】
【表7】
Figure 2004346246
【0105】
〔比較例22〕
実施例13において、粉体クリヤー塗料(P−1)のかわりに、比較例4の粉体クリヤー塗料(Q−1)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表8に示した。
【0106】
〔比較例23〕
実施例14において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例5の粉体クリヤー塗料(Q−2)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表8に示した。
【0107】
〔比較例24〕
実施例15において、粉体クリヤー塗料(P−3)のかわりに、比較例6の粉体クリヤー塗料(Q−3)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表8に示した。
【0108】
〔比較例25〕
実施例16において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例5の粉体クリヤー塗料(Q−2)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表8に示した。
【0109】
【表8】
Figure 2004346246
【0110】
〔比較例26〕
実施例13において、粉体クリヤー塗料(P−1)のかわりに、比較例7の水分散系スラリークリヤー塗料(X−1)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表9に示した。
【0111】
〔比較例27〕
実施例14において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例8の水分散系スラリークリヤー塗料(X−2)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表9に示した。
【0112】
〔比較例28〕
実施例15において、粉体クリヤー塗料(P−3)のかわりに、比較例9の水分散系スラリークリヤー塗料(X−3)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表9に示した。
【0113】
〔比較例29〕
実施例16において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例8の水分散系スラリークリヤー塗料(X−2)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表9に示した。
【0114】
【表9】
Figure 2004346246
【0115】
〔比較例30〕
実施例13において、粉体クリヤー塗料(P−1)のかわりに、比較例10の粉体クリヤー塗料(Q−4)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表10に示した。
【0116】
〔比較例31〕
実施例14において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例12の粉体クリヤー塗料(Q−6)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表10に示した。
【0117】
〔比較例32〕
実施例15において、粉体クリヤー塗料(P−3)のかわりに、比較例13の粉体クリヤー塗料(Q−7)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表10に示した。
【0118】
〔比較例33〕
実施例16において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例15の粉体クリヤー塗料(Q−9)を用いて、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表10に示した。
【0119】
【表10】
Figure 2004346246
【0120】
〔比較例34〕
実施例13において、粉体クリヤー塗料(P−1)のかわりに、比較例16の水分散系スラリークリヤー塗料(X−4)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表11に示した。
【0121】
〔比較例35〕
実施例14において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例18の水分散系スラリークリヤー塗料(X−6)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表11に示した。
【0122】
〔比較例36〕
実施例15において、粉体クリヤー塗料(P−3)のかわりに、比較例19の水分散系スラリークリヤー塗料(X−7)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表11に示した。
【0123】
〔比較例37〕
実施例16において、粉体クリヤー塗料(P−2)のかわりに、比較例21の水分散系スラリークリヤー塗料(X−9)を用いて、乾燥膜厚40μmとなるように塗装して、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表11に示した。
【0124】
【表11】
Figure 2004346246
【0125】
〔実施例21〕
比較例22で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、粉体クリヤー塗料(P−1)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。焼き付けは、140℃20分及び120℃20分の2条件で行った。得られた複層塗膜の評価結果を表12に示した。
【0126】
〔実施例22〕
比較例35で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、水分散系スラリークリヤー塗料(W−1)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚40μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜の評価結果を表12に示した。
【0127】
〔実施例23〕
実施例16で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、粉体クリヤー塗料(P−2)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜の評価結果を表12に示した。
【0128】
〔実施例24〕
実施例19で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、水分散系スラリークリヤー塗料(W−2)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚40μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜の評価結果を表12に示した。
【0129】
【表12】
Figure 2004346246
【0130】
〔比較例38〕
実施例13で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、比較例4の粉体クリヤー塗料(Q−1)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜の評価結果を表13に示した。
【0131】
〔比較例39〕
実施例18で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、比較例9の水分散系スラリークリヤー塗料(X−3)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚40μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表13に示した。
【0132】
〔比較例40〕
比較例32で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、比較例13の粉体クリヤー塗料(Q−7)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚60μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表13に示した。
【0133】
〔比較例41〕
比較例29で得られた140℃20分焼き付けの複層塗膜に、比較例21の水分散系スラリークリヤー塗料(X−9)を静電スプレー塗装にて乾燥膜厚40μmとなるようにオーバーコートクリヤー塗装した。得られた基板を、実施例21と同様に熱風型乾燥炉に投入し、焼き付け処理し、複層塗膜を得た。複層塗膜の評価結果を表13に示した。
【0134】
【表13】
Figure 2004346246
【0135】
〔実施例25〕
原料溶液(S−1)の代わりに原料溶液(S−2)を用い、原料溶液の予備加熱温度を40℃、熱源ガスの温度を160℃に変更した以外は実施例7と同様にして、粉体塗料(P−4)を得た。これらの粉体塗料の評価結果を表14に示す。更に、実施例7と同様にして塗装・焼き付けした塗膜の評価結果を表14に示す。
【0136】
〔比較例42〕
原料溶液(S−1)の代わりに原料溶液(S−2)を用い、原料溶液の予備加熱温度を40℃、熱源ガスの温度を170℃に変更した以外は実施例7と同様にして、粉体塗料(Q−10)を得た。これらの粉体塗料の評価結果を表14に示す。更に、実施例7と同様にして塗装・焼き付けした塗膜の評価結果を表14に示す。
【0137】
【表14】
Figure 2004346246
【0138】
本発明の硬化性組成物の製造方法は、簡単な短い製造工程で、容易に低コストでかつ製造時にゲル化を起こさなかった。また、本発明の硬化性組成物は、貯蔵安定性及び低温硬化性に優れ、本発明の塗膜形成方法により得られた塗膜は、ワキやピンホールのような塗膜欠陥を生じることなく、平滑性、ツヤ、光沢、鮮映性、透明性等の外観、美粧性に優れ、耐水性、耐酸性、耐溶剤性、耐擦り傷性、耐候性、接着性等に優れていた。
【0139】
【発明の効果】
本発明は、簡単な短い製造工程で、容易に低コストでかつ製造時にゲル化を起こさず、しかも得られる硬化性組成物が貯蔵安定性及び低温硬化性に優れ、ワキやピンホールのような塗膜欠陥を生じることなく、平滑性、ツヤ、光沢、鮮映性、透明性等の外観、美粧性に優れ、耐水性、耐酸性、耐溶剤性、耐擦り傷性、耐候性、接着性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成するような、硬化性組成物の製造方法、硬化性組成物、及び塗膜形成方法を提供する。

Claims (8)

  1. 分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)、硬化剤(b)、及び有機溶剤(c)を含む原料溶液を、分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)と硬化剤(b)とが実質的に硬化反応を起こさない温度で噴霧乾燥させる硬化性組成物の製造方法において、硬化剤(b)が脂肪族トリカルボン酸であることを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
  2. 硬化剤(b)が式(1)で表される請求項1に記載の硬化性組成物の製造方法。
    Figure 2004346246
    〔p,r,sは0〜8の整数、qは1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9かつ{r<sまたは(r=sかつp≦q)}〕
  3. 式(1)のp+q+r+s=3である請求項2に記載の硬化性組成物の製造方法。
  4. 式(1)のp=1、q=2、r=s=0である請求項2に記載の硬化性組成物の製造方法。
  5. 分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合体(a)がエポキシ基含有アクリル系樹脂重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造された硬化性組成物。
  7. 請求項6に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする粉体塗料又は水分散系スラリー塗料。
  8. 被塗物上に単層または複層の塗膜を形成する塗膜形成方法において、請求項7に記載の粉体塗料又は水分散系スラリー塗料をトップコート塗料として使用することを特徴とする、塗膜形成方法。
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