JP2004346009A - パラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パラヒドロキシ安息香酸類はファインケミカル中間体、エンジニアリングプラスチックの原料として工業的に有用であり、特に液晶高分子の原料モノマーとして重要な化合物である。
【0003】
従来、パラヒドロキシ安息香酸類の製造方法としては、フェノール類のアルカリ金属塩を二酸化炭素と反応させる方法が知られている。例えば、無機炭酸塩と溶融剤の存在下、加圧された二酸化炭素とフェノール類とを反応させて、対応するパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし反応温度が200℃以上の高温を必要とするものである。
【0004】
また、同様のフェノール類のアルカリ金属塩と二酸化炭素との反応を100℃以下の温度条件で行うと、オルト体が多く生成し、目的のパラ体の選択率が劣ることも知られている(特許文献2参照)。
【0005】
一方、フェノール類の第4級ホスホニウム塩に二酸化炭素を作用させる事を特徴とするフェノール類の選択的パラ位カルボキシル化方法が提案されている(特許文献3参照)。140℃と比較的低温での実施例が開示されているが、その収率は低いものであった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−302465号公報
【特許文献2】
特開平11−171819号公報
【特許文献3】
特開平6−92899号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的低温で効率よく、フェノール類からパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の状況に鑑み、鋭意研究を続けた結果、フェノール類のアンモニウム塩と二酸化炭素とを反応させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は式(1)
【化3】
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で示されるフェノール類のアンモニウム塩と二酸化炭素とを反応させることを特徴とする式(2)
【化4】
(R1〜R4は上記と同じものを表す。)
で示されるパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明において用いる式(1)で示されるフェノール類のR1〜R4において、炭素数1〜10のアルキル基は直鎖であっても分岐があってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0012】
かかるフェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、2−ブチルフェノール、3−ブチルフェノール、2−ペンチルフェノール、3−ペンチルフェノール、2−ヘキシルフェノール、3−ヘキシルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等が挙げられる。
【0013】
本発明においてフェノール類はアンモニウム塩として用いられる。アンモニウムイオンとしては、例えば、NH4 +、CH3NH3 +、(CH3)2NH2 +、(CH3)3NH+、(CH3)4N+、C2H5NH3 +、(C2H5)2NH2 +、(C2H5)3NH+、(C2H5)4N+、C3H7NH3 +、(C3H7)2NH2 +、(C3H7)3NH+、(C3H7)4N+、C4H9NH3 +、(C4H9)2NH2 +、(C4H9)3NH+、(C4H9)4N+、C5H11NH3 +、(C5H11)2NH2 +、(C5H11)3NH+、(C5H11)4N+、C6H13NH3 +、(C6H13)2NH2 +、(C6H13)3NH+、(C6H13)4N+等が挙げられる。好ましくは(CH3)4N+、(C2H5)4N+、(C3H7)4N+、(C4H9)4N+、(C5H11)4N+、(C6H13)4N+等のテトラアルキルアンモニウムイオンである。また、これらのアンモニウム塩は複合化して用いることも可能である。
【0014】
フェノール類のアンモニウム塩の調製方法は、特に限定されないが、例えば、フェノール類と水酸化アンモニウムを水溶媒中で反応させた後、水を留去し、乾燥して調製する方法が挙げられる。この際、乾燥により水をできるだけ除去しておくことが好ましい。
【0015】
フェノール類のアンモニウム塩を乾燥する方法については特に制限はないが、凍結乾燥法にて水を十分に取り除くことが好ましい例として挙げられる。例えば、圧力を500〜30000Pa程度の範囲とし、温度が5〜70℃の範囲で大部分の水を除いた後、凍結乾燥条件下にさらに脱水を実施する。凍結乾燥を行う場合の好ましい条件は、圧力が0.1〜100Pa程度の範囲で、温度が−70〜−20℃程度の範囲である。
【0016】
本発明においては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下に反応を行うことが好ましい。それら金属の塩としては例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、塩酸塩などが挙げられるが、特に好ましくは炭酸塩または炭酸水素塩である。
【0017】
かかるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等が挙げられ、炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム等が挙げられるが、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムである。
【0018】
これらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、単独でも、混合物でも使用できる。またこれらは、フェノール類のアンモニウム塩の調製時でも、その前後でも添加することができるが、通常、アンモニウム塩の調製時に添加する。
【0019】
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の添加量は、フェノール類のアンモニウム塩に対して0.01〜50モル倍の範囲で通常実施される。好ましくは0.1〜10モル倍の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜5モル倍程度の範囲である。
【0020】
本発明では溶媒、溶融剤等の反応媒体を使用することもできる。反応媒体としては、原料と反応しないものであれば、特に制限はないが、例えばケロシン、灯油、軽油、重油、n−テトラデカンビフェニル、ビナフチル、水素化トリフェニル等の高沸点溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒などが挙げられる。反応媒体の量は特に限定されるものではないが、一般にフェノール類の0.1〜1000質量倍の範囲で実施される。好ましくは、1〜300質量倍程度の範囲である。
【0021】
本発明の反応条件に特に制限はないが、二酸化炭素が超臨界状態または亜臨界状態になる条件下で反応させることが好ましい。
【0022】
物質には、固有の気体、液体、固体の3態があり、さらに、臨界温度および臨界圧力以上になると、圧力をかけても凝縮(液化)しない流体相がある。この状態を超臨界状態といい、超臨界状態にある物質を超臨界流体という。二酸化炭素は臨界温度が31℃、臨界圧力が7.3MPaなので、31℃以上および7.3MPa以上の状態を超臨界状態という。また、臨界温度を超えているが臨界圧力よりやや低い状態の高圧気体や、臨界圧力を超えているが臨界温度よりやや低い状態の高温液体を亜臨界状態といい、亜臨界状態にある物質を亜臨界流体という。
【0023】
本発明における反応温度は、低すぎると収率が低く、高すぎると副反応が起こりやすくなるため、通常25〜200℃の範囲で実施するが、好ましくは31〜180℃の範囲であり、より好ましくは60〜160℃の範囲である。
【0024】
本発明における圧力は、0.1MPa以上で実施することが好ましい。反応圧力の上限は、反応装置の耐圧を増すためにコストがかかるので、25MPa以下であることが好ましい。より好ましくは1〜15MPaの範囲であり、さらに好ましくは3〜10MPa程度の範囲である。
【0025】
本発明における反応時間は、通常10分〜50時間の範囲である。好ましくは30分〜20時間程度の範囲である。
【0026】
本発明の反応終了後の反応混合物には、未反応の原料や、副生成物が含まれることもある。また、パラヒドロキシ安息香酸類はアンモニウム塩または加えたアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩に対応する金属の塩として存在する。各種の用途に必要な純度まで、目的とするパラヒドロキシ安息香酸類を分離して使用することができる。その方法は特に限定されず、酸の添加や抽出、蒸留等の一般的な方法が適用できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0028】
実施例における生成物の量は、反応物を少量のメタノール水溶液に溶解、塩酸で中和した後、一部をリン酸緩衝液と混合した液について、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製SPD−10A)を用いて検出した各物質のピーク面積をもとに、各物質の215nmにおける吸光度を考慮した面積百分率法を用いて求めた。
(収率)=(生成したパラヒドロキシ安息香酸類のモル数)/(原料として使用したフェノール類のモル数)×100
(選択率)=(生成したパラヒドロキシ安息香酸類のモル数)/(消費されたフェノール類のモル数)×100
【0029】
実施例1
フェノール200mg(和光純薬工業製、特級)と25wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液0.8ml(アルドリッチ製、特級)と炭酸カリウム1.00g(キシダ化学製、特級)を水50mlに溶かして混合した。この時のモル比(炭酸カリウム/フェノール)は3.4であった。これをエバポレーターで水留去、約−50℃、5Paで凍結乾燥して反応無水物を調製した後、内容積200mlのオートクレーブに仕込んだ。二酸化炭素をゲージ圧5.0MPaまで導入した後、昇温して125℃で2時間反応を行った。反応中の圧力はゲージ圧で7.0MPaであった(亜臨界状態)。反応終了後オートクレーブから取り出した反応生成物を上記の方法により定量したところ、収率60%、選択率89%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0030】
実施例2
25wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液0.8mlの代わりに35wt%の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液0.9ml(アルドリッチ製、特級)を用いる以外は実施例1と同様に反応を行ったところ、収率36%、選択率95%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0031】
実施例3
炭酸カリウムを用いないこと以外は実施例1と同様に反応を行ったところ、収率27%、選択率94%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0032】
比較例
フェノール200mg(和光純薬工業製、特級)と水酸化カリウム119mgと炭酸カリウム1.00g(キシダ化学製、特級)を水50mlに溶かして混合した。この時のモル比(炭酸カリウム/フェノール)は3.4であった。これをエバポレーターで水留去、170℃で真空乾燥して反応無水物を調製した後、内容積200mlのオートクレーブに仕込んだ。二酸化炭素をゲージ圧で5.0MPaまで導入した後、昇温して125℃で2時間反応を行った。反応中の圧力はゲージ圧で7.0MPaであった(亜臨界状態)。反応終了後オートクレーブから取り出した反応生成物を上記の方法により定量したところ、収率37%、選択率42%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、比較的低温で効率よく、フェノール類からパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩を製造する方法が提供できる。ここで得られたパラヒドロキシ安息香酸類の塩を分離・精製することによりパラヒドロキシ安息香酸類とし、液晶ポリマーの原料モノマーとして用いることが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パラヒドロキシ安息香酸類はファインケミカル中間体、エンジニアリングプラスチックの原料として工業的に有用であり、特に液晶高分子の原料モノマーとして重要な化合物である。
【0003】
従来、パラヒドロキシ安息香酸類の製造方法としては、フェノール類のアルカリ金属塩を二酸化炭素と反応させる方法が知られている。例えば、無機炭酸塩と溶融剤の存在下、加圧された二酸化炭素とフェノール類とを反応させて、対応するパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし反応温度が200℃以上の高温を必要とするものである。
【0004】
また、同様のフェノール類のアルカリ金属塩と二酸化炭素との反応を100℃以下の温度条件で行うと、オルト体が多く生成し、目的のパラ体の選択率が劣ることも知られている(特許文献2参照)。
【0005】
一方、フェノール類の第4級ホスホニウム塩に二酸化炭素を作用させる事を特徴とするフェノール類の選択的パラ位カルボキシル化方法が提案されている(特許文献3参照)。140℃と比較的低温での実施例が開示されているが、その収率は低いものであった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−302465号公報
【特許文献2】
特開平11−171819号公報
【特許文献3】
特開平6−92899号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的低温で効率よく、フェノール類からパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の状況に鑑み、鋭意研究を続けた結果、フェノール類のアンモニウム塩と二酸化炭素とを反応させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は式(1)
【化3】
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で示されるフェノール類のアンモニウム塩と二酸化炭素とを反応させることを特徴とする式(2)
【化4】
(R1〜R4は上記と同じものを表す。)
で示されるパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明において用いる式(1)で示されるフェノール類のR1〜R4において、炭素数1〜10のアルキル基は直鎖であっても分岐があってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0012】
かかるフェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、2−ブチルフェノール、3−ブチルフェノール、2−ペンチルフェノール、3−ペンチルフェノール、2−ヘキシルフェノール、3−ヘキシルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等が挙げられる。
【0013】
本発明においてフェノール類はアンモニウム塩として用いられる。アンモニウムイオンとしては、例えば、NH4 +、CH3NH3 +、(CH3)2NH2 +、(CH3)3NH+、(CH3)4N+、C2H5NH3 +、(C2H5)2NH2 +、(C2H5)3NH+、(C2H5)4N+、C3H7NH3 +、(C3H7)2NH2 +、(C3H7)3NH+、(C3H7)4N+、C4H9NH3 +、(C4H9)2NH2 +、(C4H9)3NH+、(C4H9)4N+、C5H11NH3 +、(C5H11)2NH2 +、(C5H11)3NH+、(C5H11)4N+、C6H13NH3 +、(C6H13)2NH2 +、(C6H13)3NH+、(C6H13)4N+等が挙げられる。好ましくは(CH3)4N+、(C2H5)4N+、(C3H7)4N+、(C4H9)4N+、(C5H11)4N+、(C6H13)4N+等のテトラアルキルアンモニウムイオンである。また、これらのアンモニウム塩は複合化して用いることも可能である。
【0014】
フェノール類のアンモニウム塩の調製方法は、特に限定されないが、例えば、フェノール類と水酸化アンモニウムを水溶媒中で反応させた後、水を留去し、乾燥して調製する方法が挙げられる。この際、乾燥により水をできるだけ除去しておくことが好ましい。
【0015】
フェノール類のアンモニウム塩を乾燥する方法については特に制限はないが、凍結乾燥法にて水を十分に取り除くことが好ましい例として挙げられる。例えば、圧力を500〜30000Pa程度の範囲とし、温度が5〜70℃の範囲で大部分の水を除いた後、凍結乾燥条件下にさらに脱水を実施する。凍結乾燥を行う場合の好ましい条件は、圧力が0.1〜100Pa程度の範囲で、温度が−70〜−20℃程度の範囲である。
【0016】
本発明においては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下に反応を行うことが好ましい。それら金属の塩としては例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、塩酸塩などが挙げられるが、特に好ましくは炭酸塩または炭酸水素塩である。
【0017】
かかるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等が挙げられ、炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム等が挙げられるが、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムである。
【0018】
これらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、単独でも、混合物でも使用できる。またこれらは、フェノール類のアンモニウム塩の調製時でも、その前後でも添加することができるが、通常、アンモニウム塩の調製時に添加する。
【0019】
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の添加量は、フェノール類のアンモニウム塩に対して0.01〜50モル倍の範囲で通常実施される。好ましくは0.1〜10モル倍の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜5モル倍程度の範囲である。
【0020】
本発明では溶媒、溶融剤等の反応媒体を使用することもできる。反応媒体としては、原料と反応しないものであれば、特に制限はないが、例えばケロシン、灯油、軽油、重油、n−テトラデカンビフェニル、ビナフチル、水素化トリフェニル等の高沸点溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒などが挙げられる。反応媒体の量は特に限定されるものではないが、一般にフェノール類の0.1〜1000質量倍の範囲で実施される。好ましくは、1〜300質量倍程度の範囲である。
【0021】
本発明の反応条件に特に制限はないが、二酸化炭素が超臨界状態または亜臨界状態になる条件下で反応させることが好ましい。
【0022】
物質には、固有の気体、液体、固体の3態があり、さらに、臨界温度および臨界圧力以上になると、圧力をかけても凝縮(液化)しない流体相がある。この状態を超臨界状態といい、超臨界状態にある物質を超臨界流体という。二酸化炭素は臨界温度が31℃、臨界圧力が7.3MPaなので、31℃以上および7.3MPa以上の状態を超臨界状態という。また、臨界温度を超えているが臨界圧力よりやや低い状態の高圧気体や、臨界圧力を超えているが臨界温度よりやや低い状態の高温液体を亜臨界状態といい、亜臨界状態にある物質を亜臨界流体という。
【0023】
本発明における反応温度は、低すぎると収率が低く、高すぎると副反応が起こりやすくなるため、通常25〜200℃の範囲で実施するが、好ましくは31〜180℃の範囲であり、より好ましくは60〜160℃の範囲である。
【0024】
本発明における圧力は、0.1MPa以上で実施することが好ましい。反応圧力の上限は、反応装置の耐圧を増すためにコストがかかるので、25MPa以下であることが好ましい。より好ましくは1〜15MPaの範囲であり、さらに好ましくは3〜10MPa程度の範囲である。
【0025】
本発明における反応時間は、通常10分〜50時間の範囲である。好ましくは30分〜20時間程度の範囲である。
【0026】
本発明の反応終了後の反応混合物には、未反応の原料や、副生成物が含まれることもある。また、パラヒドロキシ安息香酸類はアンモニウム塩または加えたアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩に対応する金属の塩として存在する。各種の用途に必要な純度まで、目的とするパラヒドロキシ安息香酸類を分離して使用することができる。その方法は特に限定されず、酸の添加や抽出、蒸留等の一般的な方法が適用できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0028】
実施例における生成物の量は、反応物を少量のメタノール水溶液に溶解、塩酸で中和した後、一部をリン酸緩衝液と混合した液について、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製SPD−10A)を用いて検出した各物質のピーク面積をもとに、各物質の215nmにおける吸光度を考慮した面積百分率法を用いて求めた。
(収率)=(生成したパラヒドロキシ安息香酸類のモル数)/(原料として使用したフェノール類のモル数)×100
(選択率)=(生成したパラヒドロキシ安息香酸類のモル数)/(消費されたフェノール類のモル数)×100
【0029】
実施例1
フェノール200mg(和光純薬工業製、特級)と25wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液0.8ml(アルドリッチ製、特級)と炭酸カリウム1.00g(キシダ化学製、特級)を水50mlに溶かして混合した。この時のモル比(炭酸カリウム/フェノール)は3.4であった。これをエバポレーターで水留去、約−50℃、5Paで凍結乾燥して反応無水物を調製した後、内容積200mlのオートクレーブに仕込んだ。二酸化炭素をゲージ圧5.0MPaまで導入した後、昇温して125℃で2時間反応を行った。反応中の圧力はゲージ圧で7.0MPaであった(亜臨界状態)。反応終了後オートクレーブから取り出した反応生成物を上記の方法により定量したところ、収率60%、選択率89%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0030】
実施例2
25wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液0.8mlの代わりに35wt%の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液0.9ml(アルドリッチ製、特級)を用いる以外は実施例1と同様に反応を行ったところ、収率36%、選択率95%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0031】
実施例3
炭酸カリウムを用いないこと以外は実施例1と同様に反応を行ったところ、収率27%、選択率94%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0032】
比較例
フェノール200mg(和光純薬工業製、特級)と水酸化カリウム119mgと炭酸カリウム1.00g(キシダ化学製、特級)を水50mlに溶かして混合した。この時のモル比(炭酸カリウム/フェノール)は3.4であった。これをエバポレーターで水留去、170℃で真空乾燥して反応無水物を調製した後、内容積200mlのオートクレーブに仕込んだ。二酸化炭素をゲージ圧で5.0MPaまで導入した後、昇温して125℃で2時間反応を行った。反応中の圧力はゲージ圧で7.0MPaであった(亜臨界状態)。反応終了後オートクレーブから取り出した反応生成物を上記の方法により定量したところ、収率37%、選択率42%でパラヒドロキシ安息香酸の塩が得られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、比較的低温で効率よく、フェノール類からパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩を製造する方法が提供できる。ここで得られたパラヒドロキシ安息香酸類の塩を分離・精製することによりパラヒドロキシ安息香酸類とし、液晶ポリマーの原料モノマーとして用いることが可能となる。
Claims (6)
- 二酸化炭素が超臨界状態または亜臨界状態になる条件下で反応させる請求項1記載のパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法。
- アンモニウム塩が4級アルキルアンモニウム塩である請求項1または2に記載のパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法。
- アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩存在下に反応させる請求項1〜3のいずれかに記載のパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法。
- アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として炭酸塩または炭酸水素塩を用いる請求項4に記載のパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法。
- アルカリ金属の炭酸塩として炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムを用いる請求項5に記載のパラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法。
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JP2003144744A JP2004346009A (ja) | 2003-05-22 | 2003-05-22 | パラヒドロキシ安息香酸類またはその塩の製造方法 |
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JP2009173563A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Chiba Inst Of Technology | 芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法 |
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