JP2004345151A - 保水体の製造方法 - Google Patents

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Atsushi Uchida
惇 内田
Ken Uchida
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Abstract

【課題】本発明は、木材から生じる鉋屑を保水体として使用するもので、使用後は土に戻る材料としているので環境上優れた保水体を提供するものである。
【解決手段】
下記の工程より成る保水体の製造方法
1.木材から削り取られた廃材となる鉋屑を、上方が開口した金属製箱内に挿入する。
2.該金属製箱内に配置した鉋屑に水分を補給し、その含水率を30%〜70%とする。
3.該金属箱を80℃〜180℃の範囲内で加熱する。
4.該金属製箱の加熱を保持した状態で、該鉋屑にプレス機により20t/m〜100t/mの範囲内で押圧力をかける。
5.上記4の工程の押圧力により押し潰された鉋屑の上に新たな鉋屑を配置し、上記2,3,4の工程を行う。
6.上記5の工程を繰り返すことにより鉋屑の塊状体を得る。

Description

【発明が属する技術分野】
本発明は、鉋屑より保水体を得る保水体の製造方法に関する。特に、植物の育成に必要となる水分を保水する保水体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉢植の植物、温室での植物或いは家庭菜園等における庭先や他の場所での植物の育成において、自然現象の雨等からだけでは、水分の補給が不足し、植物の育成に必要となる水量が確保できない場合が生じる。また、中長期にわたって植物育成の責任者の不在等により水を補給することができない場合においても水分不足が生じることになる。
【0003】
上記のような場合、所定の時間毎に散水機により散水したり、他者にお願いして水分を補給してもらったりしている。また、スポンジや合成樹脂材料等を保水体として利用し、一定期間水量を確保することも行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、何らかの理由により水分を補給できない場合、植物を枯らす原因となるが、所定時間毎に散水器を可動させる装置を設けることは大規模な植物の育成にあっては可能でも、通常の規模ではその設備を備えることは高価であり一般的ではない。また、他者に水分の補給をお願いすることは煩わしい面があった。更に、スポンジ等の化学素材を使用することは可能であるが、当該材料は劣化した後、土に戻ることはなく、そのままの状態で土壌中に残存し、土中に異物が存在し続けることとなり、環境上好ましいものではなく、取り除いて廃棄する必要があった。
【0005】
本発明は、木材から生じる鉋屑を保水体として使用するもので、使用後は土に戻る材料である。本発明はその保水体の製造方法をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、木材を加工する工場或いは木材の作業現場において、従来廃棄物としていた鉋屑を保水体とするものであり、該鉋屑に水分を付与し、且つ熱及び圧力をかけることにより、塊状或いはシート状、マット状の保水体を製造するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、鉋屑をその材料としている。鉋屑は、木材を製材し、その表面を鉋により仕上げる時に生じるもので、手動或いは自動を問わず木材を仕上げ材として使用する場合には必ず鉋屑が発生する。
【0008】
従来、上記木材の表面仕上げは、その加工場所、或いは使用場所等で行われるが、その時に生じる鉋屑は、当該場所で焼却処分するか、袋詰めして運搬し、所定の場所で処分していた。該鉋屑は紙状の薄い木片がカール状に湾曲して形成されるのが主で、袋詰めとするとなると多くの量を詰め込むことは困難であり、収納効率が悪く、量のかさばる運搬をよぎなくされていた。
【0009】
本発明は、上記のように廃材となる鉋屑を固め、且つ保水体として利用するものである。
【0010】
まず、該鉋屑を上方の開放した鉄製やステンレス製等の金属製箱内に入れる。更に、該鉋屑には水分を補給することになるので、該補給した水が箱内より外部へ適切に排出されるように、該箱の底板には貫通孔を形成する。該貫通孔は適宜箇所に設けることができる。
また、上記貫通孔に替えて、網状の底板とすることもできる。
【0011】
上記箱内に鉋屑を入れ、該鉋屑に水分を補給する。水分は鉋屑の含水率が30%〜70%となる範囲内で付与する。また、該金属製箱は80℃〜180℃の範囲内で温める。
上記箱内に入れられた鉋屑は水分が補給され、温められた状態で、該箱の内寸法とほぼ同一のプレス板を有するプレス機械により、該箱の開放部より該鉋屑を押し付ける。該プレス機械の押圧力は20t/m〜100t/mの範囲で使用される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施の態様を具体例をもって説明する。
40cm(縦)×40cm(横)×40cm(高さ)の鉄製箱で、側面部は四方の側壁により囲まれ、上方部は開口部が形成され、底部はパンチングメタル等の有孔網板により構成されている。
該鉄製箱内には、木材から削り取られた鉋屑を該開口部より挿入し、鉋屑の含水率が50%となるように水分を補給する。
【0013】
更に、該鉄製箱を加熱し、箱内の鉋屑の表面温度が120℃になるように設定する。該温度は積層された鉋屑のほぼ表面側を測定した。その後、所定場所に据え付けられた該鉄製箱の開口部上方よりプレス機により、該鉄製箱の内寸法とほぼ一致したプレス板により該鉋屑に50t/mの押圧力をかける。
該プレス機による50t/mの圧力を約10分間かけることにより、該鉄製箱内の高さいっぱいに詰められた鉋屑は、約30mmの高さに押し潰され、相互に密着されることになる。
【0014】
上記押し潰された鉋屑の上に更に木材から削り取られた新しい鉋屑を鉄製箱内に詰め込む。
上記同様、鉋屑の含水率が50%となるように水分を補給し、箱を加熱し、プレス機により50t/mの押圧力を約10分間かける。これにより鉋屑は押し潰される。上記工程を繰り返すことにより、鉄製箱の高さに相当する鉋屑の塊を造ることが可能となる。
【0015】
上記のように水分と熱が加えられ、プレス機により押し潰された鉋屑は、その鉋屑が持つ密着性により、接着剤を投与することなく一つの塊状体を得ることが可能となる。
また、上記塊状体は、必要に応じて切断することにより、シート状、マット状等の薄手或いは小片のものに形成することもできる。
【0016】
上記のように水分が与えられ、熱が加えられた鉋屑の塊は、その後乾燥してもその塊状体を保持することができる。上記工程により製造された保水体を水分の多い地域の土壌中に挿入すると、その周囲の水を吸収し、該土壌内の余分な水分を吸収し、土壌の含水率を低めることができる。
【0017】
逆に、乾燥或いは通常の土壌の状態下において、上記保水体に水分を十分に浸け込ませて土壌中に挿入すると、該周辺の土壌から水分を吸収する植物は、その後も、該保水体から水が供給されることになり、周辺の土壌が乾燥しても該植物が水不足によって枯れることはない。
【0018】
上記鉋屑は、木材をスライスしたものを固めているので、その保水能力には極めて優れたものがある。また、反復使用により劣化しても、土に戻すことができるので、環境上も極めて優れたものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明によって製造された保水体は、従来廃棄物とされた鉋屑を利用することができるもので、それら鉋屑を廃棄する必要がなくなった。
また、従来の保水体と比較して、原料が安く、安価な保水体を得ることが可能となった。
【0020】
更に、木材を削った鉋屑を自身が有している密着力を利用して塊状体に固めたもので、別途有機性の接着剤等を何等使用することがないので、劣化した後、土に戻っても、環境上悪影響を与えることがない保水体を得ることができる。
【0021】
また、本発明の製造方法は簡単な手段により鉋屑から保水体を得ることができ、植物育成のための水分の補給手段や水分の抜き取り手段として有効な保水体が得られる。
【0022】
更に、木材の持つ抗菌作用により、土壌中の雑菌を処理することも可能である。
また、ヒノキ材やヒバ材、杉材等を使用することにより、芳香作用もあり、室内の鉢植え植物の土壌等に使用する場合、好ましい芳香を漂わせてくれることも可能となった。

Claims (1)

  1. 下記の工程より成る保水体の製造方法
    1.木材から削り取られた廃材となる鉋屑を、上方が開口した金属製箱内に挿入する。
    2.該金属製箱内に配置した鉋屑に水分を補給し、その含水率を30%〜70%とする。
    3.該金属箱を80℃〜180℃の範囲内で加熱する。
    4.該金属製箱の加熱を保持した状態で、該鉋屑にプレス機により20t/m〜100t/mの範囲内で押圧力をかける。
    5.上記4の工程の押圧力により押し潰された鉋屑の上に新たな鉋屑を配置し、上記2,3,4の工程を行う。
    6.上記5の工程を繰り返すことにより鉋屑の塊状体を得る。
    【0001】
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102267155A (zh) * 2011-07-18 2011-12-07 浙江安吉双虎竹木业有限公司 一种集成板生产方法

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