JP2004344266A - 核磁気共鳴撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】静磁場不均一が大きい環境下で再構成画像の画質を向上できる核磁気共鳴撮影装置を提供する。
【解決手段】不均一分布の計測では、xy面に磁気格子点を付与した後、1組の三次元画像(画像1は、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする三次元画像、画像2は、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする三次元画像)を取得する(工程1)。画像1の磁気格子点(第1の磁気格子点)と画像2の磁気格子点(第2の磁気格子点)とを対応付け(工程2)、第1と第2の磁気格子点の座標を組み合わせて、第3の磁気格子点の座標を導出し(工程3)、第1から第3の磁気格子点の座標と、工程1のリードアウト方向の傾斜磁場強度を用いて、静磁場不均一を導出する(工程4)。
【効果】不均一分布を高精度に計測でき、歪除去補正した画像を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】不均一分布の計測では、xy面に磁気格子点を付与した後、1組の三次元画像(画像1は、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする三次元画像、画像2は、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする三次元画像)を取得する(工程1)。画像1の磁気格子点(第1の磁気格子点)と画像2の磁気格子点(第2の磁気格子点)とを対応付け(工程2)、第1と第2の磁気格子点の座標を組み合わせて、第3の磁気格子点の座標を導出し(工程3)、第1から第3の磁気格子点の座標と、工程1のリードアウト方向の傾斜磁場強度を用いて、静磁場不均一を導出する(工程4)。
【効果】不均一分布を高精度に計測でき、歪除去補正した画像を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MRI装置の静磁場分布の計測及び静磁場不均一に起因する画像歪の補正に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下の説明では、MRI装置の静磁場不均一を、単に、「不均一」という。静磁場不均一による位相歪がエコー信号間で累積しない撮影法として、スピンエコー法が周知である(例えば、非特許文献1(従来技術1)を参照)。不均一分布計測法(静磁場分布計測)として、以下の方法が知られている。第1の方法として、磁場空間内に設置された微小コイルを用いて共鳴周波数を計測する一般的な方法がある(従来技術2)。第2の方法として、再構成画像を用いて不均一を計測する方法が知られている(特許文献1(従来技術3))。スライス面内の画像歪除去を行なう画像歪補正法(不均一に起因する画像歪補正)は、周知である(例えば、特許文献2(従来技術4))。磁気標識を付与するシーケンスとして、振幅比を2項係数の比とする高周波磁場パルスを用いるSPAMM(Spatial Modulation of Magnetization)法(非特許文献2(従来技術5))、時間軸上で等間隔に形成され振幅がsinc関数により変調された複数のサブパルスからなる高周波バーストパルス(振幅変調バーストパルス)を用いる振幅変調BURST法(特許文献3(従来技術6))が周知である。
【0003】
【特許文献1】
特許第1849055号公報
【特許文献2】
特許第1756316号公報
【特許文献3】
特開平2001−231764号公報
【非特許文献1】
「 Advanced Imaging Techniques 」, vol.2, p.41−46(1983), edited by T.H. Newton and D.G. Potts, ( CLAVADEL PRESS )
【非特許文献2】
L.Axel, et al., 「 Hert Wall Motion: Improved Method of Spatial Modulation of Magnetization for MR Imaging 」, Radiology, vol.172, p.349−350(1989)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術2では、不均一の分布を計測するために、微小コイルの位置を変更して共鳴周波数を計測する必要がある。計測精度は微小コイルの設置精度に大きく依存するため、専用装置を用いるのが一般的であるが、この専用装置を設置するためにはMRI装置から患者用ベッドを撤去する必要がある。専用装置の設置・位置の移動などは自動化が困難であり、新たな静磁場不均一計測法が求められていた。
【0005】
従来技術3では、簡便に不均一分布が計測できる一方で、スライスプロファイルの歪については考慮されていない欠点を有する。また、不均一が大きいほど計測精度が低下する欠点を有しており、広い開口部を有するオープン型MRIの様に不均一の大きい装置への適用は困難であった。
【0006】
従来技術4では、スライス面内の画像歪除去について述べられているが、スライスプロファイルの歪については考慮されていない。近年注目されている、Interventional MRIの分野では、MRI画像を手術時のガイドとして使用するため、スライスプロファイルの歪を含む、画像歪の補正技術が求められていている。
【0007】
本発明の目的は、静磁場不均一が大きい環境下において、再構成画像の画質を向上できる核磁気共鳴撮影装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、(1)磁気標識を付与した三次元画像による高精度な不均一分布の計測、(2)スライスプロファイルの歪を含む画像歪の補正を行なう。
【0009】
本発明のMRI装置の静磁場不均一に起因する画像歪について説明する。
【0010】
MRIにおける位置情報は核磁化の位相に付与されるので、画像歪は不均一により核磁化の位相に歪が生じたと言い換えることが出来る。以下、核磁化の位相に不均一の及ぼす影響を説明する。まず、高周波磁場照射により励起された核磁化の位相に着目する。核磁化の位相値は、励起後の各方向傾斜磁場印加による位相変調と静磁場不均一による位相歪との総和であり、(数1)により表現できる。
【0011】
【数1】
(数1)において、F(tx、ty、tz)はエコー信号、ρ(x、y、z)は核磁化のスピン密度分布、E(x、y、z)は不均一分布、Gx、Gy、Gzは各方向の傾斜磁場強度、tx、ty、tzは各方向の傾斜磁場印加期間である。ここで、不均一を含まない場合の座標(x、y、z)で、不均一による歪を含む画像上の座標(x’、y’、z’)を表現する。両座標の対応付けは(数2)で表現され、また、(数2)を(数1)に代入し座標軸を変換すると、(数3)が得られる。
【0012】
【数2】
【数3】
ここで、スピンエコー法(例えば、従来技術1を参照)に代表される、静磁場不均一による位相歪がエコー信号間で累積しない撮影法を仮定する。
【0013】
図11は、従来技術のスピンエコー法のシーケンスを示す図である。図11では、画像歪みの機序を明確にする目的のため、シーケンスを励起プロセスと位置情報付与のプロセスに二分割してシーケンスを示している。実際には、励起プロセスのRF波と位置情報付与のプロセスのRF波とは、同一のものである。図11に示したスピンエコー法の撮影条件を(数3)に適用すると、(数4)が導出される。
【0014】
【数4】
(数4)において、t0は励起からの経過時間(TE+ε)を表す。また、画像上の座標(x’、y’、z’)は不均一を含まない場合の座標(x、y、z)と傾斜磁場強度及び不均一分布を用いて、(数5)により表すことが出来る。
【0015】
【数5】
以上により、画像歪はリードアウト方向にのみ出現することが分かる。
【0016】
次に、高周波磁場照射時のスライスプロファイルに注目する。スライス面は等周波数面であり、励起周波数に着目することにより、スライス面の位置ずれを導出することが可能である。核磁化の励起周波数は、静磁場とスライス方向傾斜磁場及び静磁場不均一の総和、磁気回転比との積であり、(数6)により表現できる。
【0017】
【数6】
以上に示す様に、スライスプロファイルの歪(数6)も、位置情報付与のプロセスで生じる画像歪(数5)と同様の式で表すことが可能である。
【0018】
以下の説明では、撮影対象の核磁化が飽和されない領域(不飽和領域)は格子点状に分布し、画像上では輝点となるが、本発明では、この輝点を磁気格子点と定義する。
【0019】
本発明による不均一分布の計測では、まず、xy面に磁気格子点を付与した後、1組の三次元画像(画像1、画像2:画像1は、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。画像2は、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。)を取得する(工程1)。
【0020】
次に、画像1の磁気格子点(第1の磁気格子点)と画像2の磁気格子点(第2の磁気格子点)とを対応付け(工程2)、第1と第2の磁気格子点の座標を組み合わせて、第3の磁気格子点の座標を導出し(工程3)、第1から第3の磁気格子点の座標と、工程1のリードアウト方向の傾斜磁場強度を用いて、静磁場不均一を導出する(工程4)。
【0021】
工程4では、第1から第3の磁気格子点を用いて、不均一分布を導出する。(数5)及び(数6)における、座標(x、y、z)は第3の磁気格子点の位置座標、座標(x’、y’、z’)は、第1及び第2の磁気格子点の位置座標に相当する。従って、第1から第3の磁気格子点における対応する磁気格子点の距離と、リードアウト方向傾斜磁場とを用いて、座標(x、y、z)である第3の磁気格子点における不均一を導出可能である。
【0022】
本発明の画像歪の補正では、不均一分布をMRI装置のメモリ上に読み込み(工程5)、撮影法と撮影条件を指定し(工程6)、不均一分布と撮影法・撮影条件を用いて、画像歪ベクトルを要素とする遷移行列とその逆行列を導出し(工程7)、工程6で指定した撮影法及び撮影条件を用いて、撮影対象のMRI画像を取得し(工程8)、工程7で導出した逆行列を用いて、工程8で取得されたMRI画像に適用して、画像歪を除去する(工程9)。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図12は、本発明が適用されるMRI装置の代表的な構成例を示す図である。図12において、101は静磁場を発生する磁石、102は患者などの検査対象、103は検査対象102を載せるベッド、104は高周波磁場を発生させるとともに検査対象102から生じるエコー信号を検出するための高周波磁場コイル、108、109、110は、それぞれx、y、z方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイルである。105、106、107は、それぞれ傾斜磁場発生コイル108、109、110に電流を供給するための傾斜磁場電源である。115はシーケンサであり、傾斜磁場電源105、106、107及びシンセサイザ111、変調装置112、増幅器113、受信器114などの周辺装置に命令を送り、MRI装置の動作制御を行なう。116は撮影条件などのデータを格納する記憶媒体である。117は計算機であり、受信器114から入力されたMR信号と記憶媒体116内のデータを参照して画像再構成を行なう。118は計算機117で行った画像再構成結果を表示するディスプレイである。
【0025】
図13は、本発明が適用されるMRI装置の他の構成例を示す図である。図14は、図13に示すMRI装置の斜視図である。図13は、開口部を広げたMRI装置の代表例を示す。図12とは装置レイアウトが大きく異なる図13の装置に対しても、本発明は適用可能である。
【0026】
図13において、121は静磁場を発生手段及び鉛直方向の傾斜磁場を発生するコイルを具備する磁場発生装置、122は鉛直方向に直交する2方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル、123は傾斜磁場コイル122に電流を供給する傾斜磁場電源である。124は照射用コイル、125は照射用コイル124に電流を供給するRFパワーアンプ、126は高周波磁場発生器である。127は撮影対象であり、128は撮影対象127を設置するためのベッドである。129は検査対象127のMR信号を受信するための受信用コイル、130は受信器である。131は磁場均一度を向上するためのシムコイル、132はシムコイル131に電流を供給するシム電源である。133は周辺装置に命令を送りMRI装置の動作制御を行なうシーケンサであり、134は撮影条件などのデータを格納する記憶媒体である。135は計算機であり、受信器130から入力されたMR信号と記憶媒体134内のデータを参照して画像再構成を行なう。136は計算機135で行った画像再構成結果を表示するディスプレイである。
【0027】
次に、図13のMRI装置を用いて撮影を行なう場合の、動作手順の一例を説明する。オペレータにより指定された撮影条件に従い、シーケンサ133は、傾斜磁場電源123とRFパルス発生器126に命令を送り、鉛直方向に直交する2方向の傾斜磁場を傾斜磁場コイル122より発生させ、RFパワーアンプ125により増幅されたRFパルスを照射用コイル124より発生させる。RFパルスは検査対象127に印加される。検査対象127から発生したMR信号は、受信用コイル129により受波された後、受信器130によりA/D変換(サンプリング)、検波が行われる。検波の基準とする中心周波数(磁気共鳴周波数)は、シーケンサ133によりセットされる。検波された信号は計算機135に送られ、リサンプリング処理された後、画像再構成等の信号処理が行われる。画像再構成等の結果はディスプレイ136に表示される。
【0028】
必要に応じて、記憶媒体134に信号や測定条件を記憶させることもできる。静磁場均一度を調整する必要がある時は、シムコイル131を使う。シムコイル131は複数のチャネルからなり、シム電源132により電流が供給される。静磁場均一度の調整時には、複数のチャネルの各コイルに流れる電流をシーケンサ133により制御する。シーケンサ133はシム電源132に命令を送り、静磁場の不均一を補正する付加的な磁場をシムコイル131より発生させる。また、記憶媒体134に記憶された信号を、計算機135で行われる画像再構成に利用することもできる。例えば、高強度の傾斜磁場の連続印加に伴う渦電流の影響を低減する場合、最も高強度である方向の傾斜磁場のみを印加して参照用のMR信号を受信し、渦電流に起因するMR信号の歪みを抽出する。抽出された歪みの情報は、記憶媒体134上に保持される。その後、所定の傾斜磁場を印加して撮影用のMR信号を受信する。計算機135において画像再構成を行なう際に、記憶媒体134上に保持された歪みの情報を参照し、撮影用のMR信号から歪みを除去した後、画像再構成を行なう。
【0029】
上述したMRI装置における本発明の実施の形態について説明する。既に説明した様に、本発明は、不均一分布の計測と、不均一に起因する画像歪みの補正で構成される。不均一分布の計測は、例えば、定期的なメンテナンスの作業時、或いは、MRI装置の起動時に実行される。計測の際には診断時に使用する撮影領域より大きな模擬試料を用い、計測結果は記憶媒体に格納される。不均一分布計測及び不均一に起因する画像歪みの補正は、図14に示すMRI装置の様に大きな不均一分布を有する装置で特に有効である。画像歪みの補正は、患者を撮影した際に適用される。患者を設置した場所、撮影に使用したシーケンスと撮影条件及び事前に計測した不均一分布の計測結果を利用して、画像歪みを補正する。不均一分布の計測結果としては、本発明による計測結果を用いることが望ましいが、他の方法による計測結果、例えば、従来技術2による微小コイルを用いた計測結果を適用することも可能である。
【0030】
本発明の実施例における、不均一分布の計測と、不均一に起因する画像歪みの補正について、以下、説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施例の不均一分布の計測における処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0032】
(工程1)は、xy面に磁気格子点を付与した後、1組の三次元画像(画像1、画像2)を取得する工程である。画像1は、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。画像2は、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。
【0033】
工程1では、磁気格子点を付与された2枚の三次元画像を取得する。x方向とy方向に磁気標識をそれぞれ付与することにより、両磁気標識の交点である磁気格子点が作成される。その後、z方向をスライス方向とする三次元画像を2枚撮影する。第1の三次元画像(画像1)と第2の三次元画像(画像2)とでは、リードアウト方向と位相エンコード方向とを変更して撮影する。既に述べたように、不均一に起因する画像歪はリードアウト方向に出現する。また、上記2組の三次元画像は、磁気格子点を作成する際には共通の条件を適用され、三次元画像の撮影ではリードアウト方向を変更して撮影されている。従って、第1の三次元画像の磁気格子点(以下、第1の磁気格子点)と第2の三次元画像の磁気格子点(以下、第2の磁気格子点)とでは、同一条件で付与された磁気格子点が、リードアウト方向の差異を反映し、異なる位置に現れる。
【0034】
(工程2)は、画像1の磁気格子点(第1の磁気格子点)と画像2の磁気格子点(第2の磁気格子点)とを対応付ける工程である。工程2では、異なる位置に現れる第1の磁気格子点と第2の磁気格子点とを対応付ける。
【0035】
(工程3)は、第1と第2の磁気格子点の座標を組み合わせて、第3の磁気格子点の座標を導出する工程である。工程3では、不均一の存在しない環境下での磁気格子点を導出する。リードアウト方向を変更しても、磁気格子点は新たに発生したり、消滅したりすることはないので、第1の磁気格子点と第2の磁気格子点とは1対1に対応付けることが可能である。
【0036】
また、三次元画像を撮影した場合、スライス方向、位相エンコード方向に画像歪は発生しない。従って、リードアウト方向の異なる2枚の三次元画像を用いることで、三次元画像を撮影時に静磁場が均一である場合の、磁気格子点(以下、第3の磁気格子点)の位置を求めることができる。
【0037】
(工程4)は、第1から第3の磁気格子点の座標と、工程1のリードアウト方向の傾斜磁場強度を用いて、静磁場不均一を導出する工程である。工程4では、第1から第3の磁気格子点を用いて、不均一分布を導出する。(数5)及び(数6)における、座標(x、y、z)は第3の磁気格子点の位置座標、座標(x’、y’、z’)は第1及び第2の磁気格子点の位置座標に相当する。従って、第1から第3の磁気格子点における対応する磁気格子点の距離と、リードアウト方向傾斜磁場とを用いて、座標(x、y、z)である第3の磁気格子点における不均一を導出可能である。
【0038】
図1に示した各工程に関して詳細に説明する。
【0039】
図2は、図1の工程1の処理手順を示すフローチャートであり、2種類の三次元画像を取得する代表的な手順を示す。
【0040】
図3は、本発明の実施例で得られる磁気標識、磁気格子点の例を示す図である。
【0041】
図4は、本発明の実施例で使用される、従来技術における磁気標識を付与するシーケンスの例を示す図である。図4は、図3(A)に示したx方向に直交する磁気標識を付与するシーケンスの一例であり、図4(A)SPAMM法(従来技術5)、図4(B)振幅変調BURST法(従来技術6)である。
【0042】
図5は、本発明の実施例の静磁場不均一分布計測に関わるシーケンスの例を示す図であり、図5(A)は、磁気標識付与シーケンスと第1の三次元撮影撮影シーケンス、図5(B)は、磁気標識付与シーケンスと第2の三次元撮影撮影シーケンスを示す。
【0043】
(工程1−1)は、撮影対象全体を含む領域を撮影空間として指定する工程である。
【0044】
(工程1−2)は、x方向に垂直な磁気標識とy方向に垂直な磁気標識により、xy平面上に磁気格子点を付与する工程である。x方向傾斜磁場の印加期間中に高周波磁場を照射し、撮影対象の核磁化を変調し、x方向に直交する磁気標識を付与(図3(A)を参照)し、同様に、y方向傾斜磁場の印加期間中に高周波磁場を照射し、撮影対象の核磁化を変調(図3(Bを参照)し、y方向に直交する磁気標識を付与する。工程1−2により、撮影対象の核磁化が飽和されない領域(不飽和領域)は格子点状に分布し、画像上では輝点となる(図3(C)を参照)。本発明では、この輝点を磁気格子点と定義している。
【0045】
(工程1−3)は、z方向をスライス方向、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする、第1の三次元画像(画像1)を再構成する工程である。工程1−3では、第1の三次元画像を取得する。
図5(A)は、振幅変調BURSTによる磁気格子点付与のシーケンスと、第1の三次元画像の撮影シーケンスを示している。第1の三次元画像の撮影シーケンスでは、z方向をスライス方向として、磁気格子点をスライス面内に取り込んでいる。次いでy方向を位相エンコード方向に、x方向をリードアウト方向に設定しMR信号を受信している。
【0046】
(工程1−4)は、工程1−2と同一条件下で、撮影対象に対して磁気格子点を付与する工程である。工程1−4は、工程1−2と同一の工程である。
【0047】
(工程1−5)は、z方向をスライス方向、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする、第2の三次元画像(画像2)を再構成する工程である。工程1−5では、第2の三次元画像を取得する。
【0048】
図5(B)は、振幅変調BURST法による磁気格子点付与のシーケンスと、第2の三次元画像の撮影シーケンスを示している。第2の三次元画像の撮影シーケンスは、x方向を位相エンコード方向に、y方向をリードアウト方向に設定している点で、第1の三次元画像の撮影シーケンスと異なる。これにより、既に説明した様に、同一条件で付与された第1の磁気格子点と第2の磁気格子点は、リードアウト方向の差異を反映し、それぞれの三次元画像上で異なる位置に現れる。
【0049】
図1の工程2(第1の磁気格子点と第2の磁気格子点との対応付けに関する処理)の代表的な手順を以下に説明する。
【0050】
図6は、図5のシーケンスで得られる三次元画像の例を示す図であり、図6(A)は、第1の三次元撮影シーケンスによる三次元画像の例、図6(B)は、第2の三次元撮影シーケンスによる三次元画像の例である。
【0051】
図7は、本発明の実施例における磁気格子点への番号付けの一例を示す図である。
図6(A)、図6(B)に示すように、不均一の影響により、撮影対象である模擬試料はリードアウト方向に歪んでおり、その結果、第1の磁気格子点と第2の磁気格子点とは異なる位置に現れる。これに対し、例えば、図7に示す様に、x方向、y方向の磁気標識に番号を付与する。
【0052】
z方向の番号は、三次元画像のスライス方向マトリクスの番号を適用する。これにより、任意の磁気格子点を、x方向の磁気標識番号、y方向の磁気標識番号、スライス方向マトリクスの番号で識別できる。以下の説明では、磁気格子点をpi(xn、yn、zn)と表現する。iは三次元画像番号であり、iが1の場合は第1の三次元画像を、iが2の場合は第2の三次元画像を指す。
【0053】
xn、ynはそれぞれx方向の磁気標識番号、y方向の磁気標識番号であり、znはスライス方向マトリクス番号である。撮影対象が静止している場合、磁気標識の交差、或いはその順序の入れ替わりは、発生しない。従って、2方向の識別番号とスライス方向マトリクス番号の一致する、第1の磁気格子点p1(xn、yn、zn)と第2の磁気格子点p2(xn、yn、zn)とを対応付ければ良い。
【0054】
次に、図1の工程3(第3の磁気格子点を導出する処理)について説明する。
【0055】
第3の磁気格子点は、三次元画像の撮影時に、静磁場が均一となった場合の磁気格子点である。既に述べたように、第1及び第2の磁気格子点は、それぞれ第1及び第2の三次元画像を撮影する際の、リードアウト方向のみに画像が歪んでおり、スライス方向、位相エンコード方向には画像歪みは生じていない。従って、「第1の磁気格子点のy座標とz座標」、「第2の磁気格子点のx座標とz座標」は、三次元画像撮影時に静磁場が均一となった場合の磁気格子点の位置座標と一致することになる。
【0056】
以下、磁気格子点の座標をCm(r)の様に表現する。mは第mの磁気格子点を表し、rはx、y、z方向の位置ベクトルである。この表現を用いると、第3の磁気格子点の座標C3(r)は、C3(x)=C2(x)、C3(y)=C1(y)、C3(z)=C1(z)またはC2(z)のように表示できる。第1及び第2の磁気格子点に対して上記処理を施すことにより、第3の磁気格子点を容易に導出できる。
【0057】
次に、図1の工程4(不均一分布を導出する工程)について説明する。
【0058】
(数5)より、不均一分布E(x、y、z)は、リードアウト傾斜磁場強度及び静磁場不均一下での位置と、それに対応する静磁場均一下での位置を用いて導出される。ここで、リードアウト傾斜磁場強度は第1及び第2の三次元画像の撮影条件より既知量である。また、静磁場不均一下での位置は第1及び第2の磁気格子点の位置座標に、それに対応する静磁場均一下での位置は第3の磁気格子点の位置座標に相当する。従って、一連の式に従って不均一分布の導出が可能である。
【0059】
図8は、本発明の実施例における静磁場不均一分布の導出手順を示すフローチャートである。
【0060】
(工程4−1)は、第3の磁気格子点と第1の磁気格子点との距離ΔC31を導出する工程である。第1の磁気格子点はx方向に歪んでいるので、距離ΔC31は、ΔC31=C1(x)−C3(x)で表される。
【0061】
(工程4−2)は、ΔC31と画像1の撮影時のリードアウト方向の傾斜磁場強度との積を求め、不均一分布E1(x、y、z)を導出する工程である。
【0062】
(工程4−3)は、第3の磁気格子点と第2の磁気格子点との距離ΔC32を導出する工程である。距離ΔC32を、ΔC31=C2(y)−C3(y)により求める。
【0063】
(工程4−4)は、ΔC32と画像2の撮影時のリードアウト方向の傾斜磁場強度との積を求め、不均一分布E2(x、y、z)を導出する工程である。
【0064】
(工程4−5)は、E1(x、y、z)とE2(x、y、z)との平均値E(x、y、z)を導出する工程である。工程4−2で導出した不均一分布と工程4−4で導出した不均一分布とは、SN比が有限であるため同一値にはならない。そこで、2つの平均値E(x、y、z)を求めて、不均一分布の精度を向上させる。
【0065】
(工程4−6)は、E(x、y、z)に補間処理を施し、Ed(x、y、z)を算出する工程である。工程4−5で得られた不均一分布は、数mmから数cm間隔で付与された第3の磁気格子点の位置における磁場強度である。そこで、工程4−5で得られた不均一分布に補間処理を施し、より詳細な不均一分布Ed(x、y、z)を導出することも可能である。不均一分布Ed(x、y、z)は、例えば、三次元空間に1mm間隔で静磁場不均一観測点を設置し、観測点での静磁場不均一の大きさを保存した三次元配列と考えることが可能である。この結果は、図12、図13に示す記憶媒体116、134に保存される。
【0066】
以上、本発明に実施例による静磁場不均一計測法の一例を説明した。なお、本発明の実施例は、説明した例に限定されない。例えば、磁気格子点の作成に関わるシーケンスとして、図4においてSPAMMとBURSTパルスを用いる方法を示したが、他の方法を用いることも可能である。また、図5において、三次元画像撮影シーケンスとして高速スピンエコー法を例に示したが、他の撮影法を本発明に適用することも可能である。
【0067】
図9は、本発明の実施例において、磁気格子点の4角(境界点−1、境界点−2、境界点−3、境界点−4)に対する番号付けの一例を示す図である。
【0068】
第1から第3の磁気格子点に適用した不均一分布導出に関わる処理を、例えば、図9に示すように、磁気格子点の4角の画素を用いて実行することも可能である。磁気格子点の間隔は数mmから数cm間隔なので、磁気格子点の4角の画素に対して処理を適用することで、より正確な不均一分布を得ることが可能になる。
【0069】
次に、静磁場不均一に起因する画像歪の補正について説明する。所定の撮影シーケンスで撮影した画像に対し、既に述べた方法で導出した静磁場不均一マップEd(x、y、z)を用いて画像歪を補正する。
【0070】
図10は、本発明の実施例において、画像歪み除去手順の代表的な一例を示すフローチャートである。
【0071】
(工程5)は、不均一分布をMRI装置のメモリ上に読み込む工程である。工程4−6で導出した不均一分布Ed(x、y、z)を、図12、図13に示した記憶媒体からMRI装置のメモリ上に読み込む。
【0072】
(工程6)は、撮影法と撮影条件を指定する。画像撮影に使用する撮影法と撮影条件を指定する工程である。
【0073】
(工程7)は、不均一分布と撮影法・撮影条件を用いて、画像歪ベクトルを要素とする遷移行列とその逆行列を導出する工程である。指定された撮影条件と不均一分布Ed(x、y、z)とを用いて、スライスプロファイルの歪み及びスライス面内の画像歪みを導出する。
【0074】
(工程8)は、工程6で指定した撮影法及び撮影条件を用いて、撮影対象のMRI画像を取得する工程である。工程6で指定した撮影条件から、スライス方向、位相エンコード方向、リードアウト方向を識別して、スライス選択傾斜磁場強度、リードアウト方向傾斜磁場強度を抽出する。これら磁場強度と、工程5でロードされた不均一分布Ed(x、y、z)を、既に示した(数5)及び(数6)に代入し、画像歪み導出する。導出結果は、不均一分布Ed(x、y、z)で想定されている観測点の各々に関して、観測点の座標から画像歪により位置ずれが生じた観測点への方向ベクトルを、遷移行列として保持する。これと同時にその逆行列も導出する。工程6で指定された撮影法及び撮影条件でMRI画像を取得する。
【0075】
(工程9)は、工程7で導出した逆行列を用いて、工程8で取得されたMRI画像に適用して、画像歪を除去する工程である。工程7で導出した遷移行列の逆行列を用いて、取得されたMRI画像の歪みを除去する。
【0076】
歪み除去に関する処理は、従来技術4において、具体的な方向が示されている。即ち、スライスプロファイルの歪が生じない三次元撮影及びスライスプロファイルの歪を補正不能な二次元シングルスライス撮影により画像を撮影した場合、画像歪はリードアウト方向にのみ生じると見なすせる。従って、従来技術4を適用することにより、画像歪の除去が可能である。
【0077】
一方、二次元マルチスライス撮影により画像を撮影した場合、スライスプロファイルの歪みとリードアウト方向の画像歪が生じる。これらの画像歪みの補正に関しては、従来技術4を適用できない。本発明の実施例における画像歪の補正では、スライスプロファイルの歪みもスライス面内の画像歪みと同様の式で表現される解析結果に基づき、事前にデータ変換を施すことにより従来技術4を適用可能とした。
【0078】
以下、スライス方向をz方向、位相エンコード方向をy方向、リードアウト方向をx方向とし、x方向とz方向に画像歪みを有する場合の処理手順について説明する。
【0079】
まず、二次元マルチスライス画像を三次元画像に変換する。二次元マルチスライス画像が、z方向にMz枚のスライス数を有するMx×My画素のxy平面画像で構成される場合、三次元画像はMx×My×Mz画素で構成される。次いで、画像歪が生じない位相エンコード方向を仮想スライス面に想定し、三次元画像を、新たな二次元マルチスライス画像に変換する。位相エンコード方向はy方向なので、新たな二次元マルチスライス画像は、y方向にMy枚のスライス数を有するMx×Mz画素のxz平面画像で構成される。この処理により、リードアウト方向であるx方向の歪とスライス方向であるz方向の歪が一枚のスライス面に含まれることになる。変換後の二次元マルチスライスデータに対し、従来技術4の処理を施し、xy平面の二次元マルチスライスに変換することにより、リードアウト方向の画像歪とスライスプロファイルの歪みを除去できる。
【0080】
以上、本発明の実施例である、静磁場不均一に起因する画像歪み除去法の一例を説明した。なお、本発明の実施例は、説明した例に限定されない。例えば、工程5で読み込む不均一分布は、磁石設計時の磁場シミュレーションにより得られる不均一分布を用いても良い。或いは、従来技術2における微小コイルを用いた計測結果を利用する事も可能である。
【0081】
以上説明したように、不均一が大きい環境下でも不均一分布を高精度に計測でき歪除去補正を行ない、再構成画像の画質向上を実現できる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、静磁場不均一が大きい環境下において、再構成画像の画質を向上できる核磁気共鳴撮影装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の不均一分布の計測における処理手順の概要を示すフローチャート。
【図2】図1の工程1の処理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例で得られる磁気標識、磁気格子点の例を示す図。
【図4】本発明の実施例で使用される、従来技術における磁気標識を付与するシーケンスの例を示す図。
【図5】本発明の実施例の静磁場不均一分布計測に関わるシーケンスの例を示す図。
【図6】図5のシーケンスで得られる三次元画像の例を示す図。
【図7】本発明の実施例における磁気格子点への番号付けの一例を示す図。
【図8】本発明の実施例における静磁場不均一分布の導出手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例において、磁気格子点の4角に対する番号付けの一例を示す図。
【図10】本発明の実施例において、画像歪み除去手順の一例を示すフローチャート。
【図11】従来技術のスピンエコー法のシーケンスを示す図。
【図12】本発明が適用されるMRI装置の代表的な構成例を示す図。
【図13】本発明が適用されるMRI装置の他の構成例を示す図。
【図14】図13のMRI装置の斜視図。
【符号の説明】
101…静磁場発生磁石、102…検査対象、103…ベッド、104…高周波磁場コイル、105…x方向傾斜磁場用電源、106…y方向傾斜磁場用電源、107…z方向傾斜磁場用電源、108…x方向傾斜磁場コイル、109…y方向傾斜磁場コイル、110…z方向傾斜磁場コイル、111…シンセサイザ、112…変調装置、113…増幅器、114…受信器、115…シーケンサ、116…記憶媒体、117…計算機、118…ディスプレイ、121…磁場発生装置、122…傾斜磁場コイル、123…傾斜磁場電源、124…照射用コイル、125…RFパワーアンプ、126…RFパルス発生器、127…撮影対象、128…ベッド、129…受信用コイル、130…受信器、131…シムコイル、132…シム電源、133…シーケンサ、134…記憶媒体、135…計算機、136…ディスプレイ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、MRI装置の静磁場分布の計測及び静磁場不均一に起因する画像歪の補正に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下の説明では、MRI装置の静磁場不均一を、単に、「不均一」という。静磁場不均一による位相歪がエコー信号間で累積しない撮影法として、スピンエコー法が周知である(例えば、非特許文献1(従来技術1)を参照)。不均一分布計測法(静磁場分布計測)として、以下の方法が知られている。第1の方法として、磁場空間内に設置された微小コイルを用いて共鳴周波数を計測する一般的な方法がある(従来技術2)。第2の方法として、再構成画像を用いて不均一を計測する方法が知られている(特許文献1(従来技術3))。スライス面内の画像歪除去を行なう画像歪補正法(不均一に起因する画像歪補正)は、周知である(例えば、特許文献2(従来技術4))。磁気標識を付与するシーケンスとして、振幅比を2項係数の比とする高周波磁場パルスを用いるSPAMM(Spatial Modulation of Magnetization)法(非特許文献2(従来技術5))、時間軸上で等間隔に形成され振幅がsinc関数により変調された複数のサブパルスからなる高周波バーストパルス(振幅変調バーストパルス)を用いる振幅変調BURST法(特許文献3(従来技術6))が周知である。
【0003】
【特許文献1】
特許第1849055号公報
【特許文献2】
特許第1756316号公報
【特許文献3】
特開平2001−231764号公報
【非特許文献1】
「 Advanced Imaging Techniques 」, vol.2, p.41−46(1983), edited by T.H. Newton and D.G. Potts, ( CLAVADEL PRESS )
【非特許文献2】
L.Axel, et al., 「 Hert Wall Motion: Improved Method of Spatial Modulation of Magnetization for MR Imaging 」, Radiology, vol.172, p.349−350(1989)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術2では、不均一の分布を計測するために、微小コイルの位置を変更して共鳴周波数を計測する必要がある。計測精度は微小コイルの設置精度に大きく依存するため、専用装置を用いるのが一般的であるが、この専用装置を設置するためにはMRI装置から患者用ベッドを撤去する必要がある。専用装置の設置・位置の移動などは自動化が困難であり、新たな静磁場不均一計測法が求められていた。
【0005】
従来技術3では、簡便に不均一分布が計測できる一方で、スライスプロファイルの歪については考慮されていない欠点を有する。また、不均一が大きいほど計測精度が低下する欠点を有しており、広い開口部を有するオープン型MRIの様に不均一の大きい装置への適用は困難であった。
【0006】
従来技術4では、スライス面内の画像歪除去について述べられているが、スライスプロファイルの歪については考慮されていない。近年注目されている、Interventional MRIの分野では、MRI画像を手術時のガイドとして使用するため、スライスプロファイルの歪を含む、画像歪の補正技術が求められていている。
【0007】
本発明の目的は、静磁場不均一が大きい環境下において、再構成画像の画質を向上できる核磁気共鳴撮影装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、(1)磁気標識を付与した三次元画像による高精度な不均一分布の計測、(2)スライスプロファイルの歪を含む画像歪の補正を行なう。
【0009】
本発明のMRI装置の静磁場不均一に起因する画像歪について説明する。
【0010】
MRIにおける位置情報は核磁化の位相に付与されるので、画像歪は不均一により核磁化の位相に歪が生じたと言い換えることが出来る。以下、核磁化の位相に不均一の及ぼす影響を説明する。まず、高周波磁場照射により励起された核磁化の位相に着目する。核磁化の位相値は、励起後の各方向傾斜磁場印加による位相変調と静磁場不均一による位相歪との総和であり、(数1)により表現できる。
【0011】
【数1】
(数1)において、F(tx、ty、tz)はエコー信号、ρ(x、y、z)は核磁化のスピン密度分布、E(x、y、z)は不均一分布、Gx、Gy、Gzは各方向の傾斜磁場強度、tx、ty、tzは各方向の傾斜磁場印加期間である。ここで、不均一を含まない場合の座標(x、y、z)で、不均一による歪を含む画像上の座標(x’、y’、z’)を表現する。両座標の対応付けは(数2)で表現され、また、(数2)を(数1)に代入し座標軸を変換すると、(数3)が得られる。
【0012】
【数2】
【数3】
ここで、スピンエコー法(例えば、従来技術1を参照)に代表される、静磁場不均一による位相歪がエコー信号間で累積しない撮影法を仮定する。
【0013】
図11は、従来技術のスピンエコー法のシーケンスを示す図である。図11では、画像歪みの機序を明確にする目的のため、シーケンスを励起プロセスと位置情報付与のプロセスに二分割してシーケンスを示している。実際には、励起プロセスのRF波と位置情報付与のプロセスのRF波とは、同一のものである。図11に示したスピンエコー法の撮影条件を(数3)に適用すると、(数4)が導出される。
【0014】
【数4】
(数4)において、t0は励起からの経過時間(TE+ε)を表す。また、画像上の座標(x’、y’、z’)は不均一を含まない場合の座標(x、y、z)と傾斜磁場強度及び不均一分布を用いて、(数5)により表すことが出来る。
【0015】
【数5】
以上により、画像歪はリードアウト方向にのみ出現することが分かる。
【0016】
次に、高周波磁場照射時のスライスプロファイルに注目する。スライス面は等周波数面であり、励起周波数に着目することにより、スライス面の位置ずれを導出することが可能である。核磁化の励起周波数は、静磁場とスライス方向傾斜磁場及び静磁場不均一の総和、磁気回転比との積であり、(数6)により表現できる。
【0017】
【数6】
以上に示す様に、スライスプロファイルの歪(数6)も、位置情報付与のプロセスで生じる画像歪(数5)と同様の式で表すことが可能である。
【0018】
以下の説明では、撮影対象の核磁化が飽和されない領域(不飽和領域)は格子点状に分布し、画像上では輝点となるが、本発明では、この輝点を磁気格子点と定義する。
【0019】
本発明による不均一分布の計測では、まず、xy面に磁気格子点を付与した後、1組の三次元画像(画像1、画像2:画像1は、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。画像2は、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。)を取得する(工程1)。
【0020】
次に、画像1の磁気格子点(第1の磁気格子点)と画像2の磁気格子点(第2の磁気格子点)とを対応付け(工程2)、第1と第2の磁気格子点の座標を組み合わせて、第3の磁気格子点の座標を導出し(工程3)、第1から第3の磁気格子点の座標と、工程1のリードアウト方向の傾斜磁場強度を用いて、静磁場不均一を導出する(工程4)。
【0021】
工程4では、第1から第3の磁気格子点を用いて、不均一分布を導出する。(数5)及び(数6)における、座標(x、y、z)は第3の磁気格子点の位置座標、座標(x’、y’、z’)は、第1及び第2の磁気格子点の位置座標に相当する。従って、第1から第3の磁気格子点における対応する磁気格子点の距離と、リードアウト方向傾斜磁場とを用いて、座標(x、y、z)である第3の磁気格子点における不均一を導出可能である。
【0022】
本発明の画像歪の補正では、不均一分布をMRI装置のメモリ上に読み込み(工程5)、撮影法と撮影条件を指定し(工程6)、不均一分布と撮影法・撮影条件を用いて、画像歪ベクトルを要素とする遷移行列とその逆行列を導出し(工程7)、工程6で指定した撮影法及び撮影条件を用いて、撮影対象のMRI画像を取得し(工程8)、工程7で導出した逆行列を用いて、工程8で取得されたMRI画像に適用して、画像歪を除去する(工程9)。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図12は、本発明が適用されるMRI装置の代表的な構成例を示す図である。図12において、101は静磁場を発生する磁石、102は患者などの検査対象、103は検査対象102を載せるベッド、104は高周波磁場を発生させるとともに検査対象102から生じるエコー信号を検出するための高周波磁場コイル、108、109、110は、それぞれx、y、z方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイルである。105、106、107は、それぞれ傾斜磁場発生コイル108、109、110に電流を供給するための傾斜磁場電源である。115はシーケンサであり、傾斜磁場電源105、106、107及びシンセサイザ111、変調装置112、増幅器113、受信器114などの周辺装置に命令を送り、MRI装置の動作制御を行なう。116は撮影条件などのデータを格納する記憶媒体である。117は計算機であり、受信器114から入力されたMR信号と記憶媒体116内のデータを参照して画像再構成を行なう。118は計算機117で行った画像再構成結果を表示するディスプレイである。
【0025】
図13は、本発明が適用されるMRI装置の他の構成例を示す図である。図14は、図13に示すMRI装置の斜視図である。図13は、開口部を広げたMRI装置の代表例を示す。図12とは装置レイアウトが大きく異なる図13の装置に対しても、本発明は適用可能である。
【0026】
図13において、121は静磁場を発生手段及び鉛直方向の傾斜磁場を発生するコイルを具備する磁場発生装置、122は鉛直方向に直交する2方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル、123は傾斜磁場コイル122に電流を供給する傾斜磁場電源である。124は照射用コイル、125は照射用コイル124に電流を供給するRFパワーアンプ、126は高周波磁場発生器である。127は撮影対象であり、128は撮影対象127を設置するためのベッドである。129は検査対象127のMR信号を受信するための受信用コイル、130は受信器である。131は磁場均一度を向上するためのシムコイル、132はシムコイル131に電流を供給するシム電源である。133は周辺装置に命令を送りMRI装置の動作制御を行なうシーケンサであり、134は撮影条件などのデータを格納する記憶媒体である。135は計算機であり、受信器130から入力されたMR信号と記憶媒体134内のデータを参照して画像再構成を行なう。136は計算機135で行った画像再構成結果を表示するディスプレイである。
【0027】
次に、図13のMRI装置を用いて撮影を行なう場合の、動作手順の一例を説明する。オペレータにより指定された撮影条件に従い、シーケンサ133は、傾斜磁場電源123とRFパルス発生器126に命令を送り、鉛直方向に直交する2方向の傾斜磁場を傾斜磁場コイル122より発生させ、RFパワーアンプ125により増幅されたRFパルスを照射用コイル124より発生させる。RFパルスは検査対象127に印加される。検査対象127から発生したMR信号は、受信用コイル129により受波された後、受信器130によりA/D変換(サンプリング)、検波が行われる。検波の基準とする中心周波数(磁気共鳴周波数)は、シーケンサ133によりセットされる。検波された信号は計算機135に送られ、リサンプリング処理された後、画像再構成等の信号処理が行われる。画像再構成等の結果はディスプレイ136に表示される。
【0028】
必要に応じて、記憶媒体134に信号や測定条件を記憶させることもできる。静磁場均一度を調整する必要がある時は、シムコイル131を使う。シムコイル131は複数のチャネルからなり、シム電源132により電流が供給される。静磁場均一度の調整時には、複数のチャネルの各コイルに流れる電流をシーケンサ133により制御する。シーケンサ133はシム電源132に命令を送り、静磁場の不均一を補正する付加的な磁場をシムコイル131より発生させる。また、記憶媒体134に記憶された信号を、計算機135で行われる画像再構成に利用することもできる。例えば、高強度の傾斜磁場の連続印加に伴う渦電流の影響を低減する場合、最も高強度である方向の傾斜磁場のみを印加して参照用のMR信号を受信し、渦電流に起因するMR信号の歪みを抽出する。抽出された歪みの情報は、記憶媒体134上に保持される。その後、所定の傾斜磁場を印加して撮影用のMR信号を受信する。計算機135において画像再構成を行なう際に、記憶媒体134上に保持された歪みの情報を参照し、撮影用のMR信号から歪みを除去した後、画像再構成を行なう。
【0029】
上述したMRI装置における本発明の実施の形態について説明する。既に説明した様に、本発明は、不均一分布の計測と、不均一に起因する画像歪みの補正で構成される。不均一分布の計測は、例えば、定期的なメンテナンスの作業時、或いは、MRI装置の起動時に実行される。計測の際には診断時に使用する撮影領域より大きな模擬試料を用い、計測結果は記憶媒体に格納される。不均一分布計測及び不均一に起因する画像歪みの補正は、図14に示すMRI装置の様に大きな不均一分布を有する装置で特に有効である。画像歪みの補正は、患者を撮影した際に適用される。患者を設置した場所、撮影に使用したシーケンスと撮影条件及び事前に計測した不均一分布の計測結果を利用して、画像歪みを補正する。不均一分布の計測結果としては、本発明による計測結果を用いることが望ましいが、他の方法による計測結果、例えば、従来技術2による微小コイルを用いた計測結果を適用することも可能である。
【0030】
本発明の実施例における、不均一分布の計測と、不均一に起因する画像歪みの補正について、以下、説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施例の不均一分布の計測における処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0032】
(工程1)は、xy面に磁気格子点を付与した後、1組の三次元画像(画像1、画像2)を取得する工程である。画像1は、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。画像2は、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする三次元画像である。
【0033】
工程1では、磁気格子点を付与された2枚の三次元画像を取得する。x方向とy方向に磁気標識をそれぞれ付与することにより、両磁気標識の交点である磁気格子点が作成される。その後、z方向をスライス方向とする三次元画像を2枚撮影する。第1の三次元画像(画像1)と第2の三次元画像(画像2)とでは、リードアウト方向と位相エンコード方向とを変更して撮影する。既に述べたように、不均一に起因する画像歪はリードアウト方向に出現する。また、上記2組の三次元画像は、磁気格子点を作成する際には共通の条件を適用され、三次元画像の撮影ではリードアウト方向を変更して撮影されている。従って、第1の三次元画像の磁気格子点(以下、第1の磁気格子点)と第2の三次元画像の磁気格子点(以下、第2の磁気格子点)とでは、同一条件で付与された磁気格子点が、リードアウト方向の差異を反映し、異なる位置に現れる。
【0034】
(工程2)は、画像1の磁気格子点(第1の磁気格子点)と画像2の磁気格子点(第2の磁気格子点)とを対応付ける工程である。工程2では、異なる位置に現れる第1の磁気格子点と第2の磁気格子点とを対応付ける。
【0035】
(工程3)は、第1と第2の磁気格子点の座標を組み合わせて、第3の磁気格子点の座標を導出する工程である。工程3では、不均一の存在しない環境下での磁気格子点を導出する。リードアウト方向を変更しても、磁気格子点は新たに発生したり、消滅したりすることはないので、第1の磁気格子点と第2の磁気格子点とは1対1に対応付けることが可能である。
【0036】
また、三次元画像を撮影した場合、スライス方向、位相エンコード方向に画像歪は発生しない。従って、リードアウト方向の異なる2枚の三次元画像を用いることで、三次元画像を撮影時に静磁場が均一である場合の、磁気格子点(以下、第3の磁気格子点)の位置を求めることができる。
【0037】
(工程4)は、第1から第3の磁気格子点の座標と、工程1のリードアウト方向の傾斜磁場強度を用いて、静磁場不均一を導出する工程である。工程4では、第1から第3の磁気格子点を用いて、不均一分布を導出する。(数5)及び(数6)における、座標(x、y、z)は第3の磁気格子点の位置座標、座標(x’、y’、z’)は第1及び第2の磁気格子点の位置座標に相当する。従って、第1から第3の磁気格子点における対応する磁気格子点の距離と、リードアウト方向傾斜磁場とを用いて、座標(x、y、z)である第3の磁気格子点における不均一を導出可能である。
【0038】
図1に示した各工程に関して詳細に説明する。
【0039】
図2は、図1の工程1の処理手順を示すフローチャートであり、2種類の三次元画像を取得する代表的な手順を示す。
【0040】
図3は、本発明の実施例で得られる磁気標識、磁気格子点の例を示す図である。
【0041】
図4は、本発明の実施例で使用される、従来技術における磁気標識を付与するシーケンスの例を示す図である。図4は、図3(A)に示したx方向に直交する磁気標識を付与するシーケンスの一例であり、図4(A)SPAMM法(従来技術5)、図4(B)振幅変調BURST法(従来技術6)である。
【0042】
図5は、本発明の実施例の静磁場不均一分布計測に関わるシーケンスの例を示す図であり、図5(A)は、磁気標識付与シーケンスと第1の三次元撮影撮影シーケンス、図5(B)は、磁気標識付与シーケンスと第2の三次元撮影撮影シーケンスを示す。
【0043】
(工程1−1)は、撮影対象全体を含む領域を撮影空間として指定する工程である。
【0044】
(工程1−2)は、x方向に垂直な磁気標識とy方向に垂直な磁気標識により、xy平面上に磁気格子点を付与する工程である。x方向傾斜磁場の印加期間中に高周波磁場を照射し、撮影対象の核磁化を変調し、x方向に直交する磁気標識を付与(図3(A)を参照)し、同様に、y方向傾斜磁場の印加期間中に高周波磁場を照射し、撮影対象の核磁化を変調(図3(Bを参照)し、y方向に直交する磁気標識を付与する。工程1−2により、撮影対象の核磁化が飽和されない領域(不飽和領域)は格子点状に分布し、画像上では輝点となる(図3(C)を参照)。本発明では、この輝点を磁気格子点と定義している。
【0045】
(工程1−3)は、z方向をスライス方向、x方向をリードアウト方向、y方向を位相エンコード方向とする、第1の三次元画像(画像1)を再構成する工程である。工程1−3では、第1の三次元画像を取得する。
図5(A)は、振幅変調BURSTによる磁気格子点付与のシーケンスと、第1の三次元画像の撮影シーケンスを示している。第1の三次元画像の撮影シーケンスでは、z方向をスライス方向として、磁気格子点をスライス面内に取り込んでいる。次いでy方向を位相エンコード方向に、x方向をリードアウト方向に設定しMR信号を受信している。
【0046】
(工程1−4)は、工程1−2と同一条件下で、撮影対象に対して磁気格子点を付与する工程である。工程1−4は、工程1−2と同一の工程である。
【0047】
(工程1−5)は、z方向をスライス方向、y方向をリードアウト方向、x方向を位相エンコード方向とする、第2の三次元画像(画像2)を再構成する工程である。工程1−5では、第2の三次元画像を取得する。
【0048】
図5(B)は、振幅変調BURST法による磁気格子点付与のシーケンスと、第2の三次元画像の撮影シーケンスを示している。第2の三次元画像の撮影シーケンスは、x方向を位相エンコード方向に、y方向をリードアウト方向に設定している点で、第1の三次元画像の撮影シーケンスと異なる。これにより、既に説明した様に、同一条件で付与された第1の磁気格子点と第2の磁気格子点は、リードアウト方向の差異を反映し、それぞれの三次元画像上で異なる位置に現れる。
【0049】
図1の工程2(第1の磁気格子点と第2の磁気格子点との対応付けに関する処理)の代表的な手順を以下に説明する。
【0050】
図6は、図5のシーケンスで得られる三次元画像の例を示す図であり、図6(A)は、第1の三次元撮影シーケンスによる三次元画像の例、図6(B)は、第2の三次元撮影シーケンスによる三次元画像の例である。
【0051】
図7は、本発明の実施例における磁気格子点への番号付けの一例を示す図である。
図6(A)、図6(B)に示すように、不均一の影響により、撮影対象である模擬試料はリードアウト方向に歪んでおり、その結果、第1の磁気格子点と第2の磁気格子点とは異なる位置に現れる。これに対し、例えば、図7に示す様に、x方向、y方向の磁気標識に番号を付与する。
【0052】
z方向の番号は、三次元画像のスライス方向マトリクスの番号を適用する。これにより、任意の磁気格子点を、x方向の磁気標識番号、y方向の磁気標識番号、スライス方向マトリクスの番号で識別できる。以下の説明では、磁気格子点をpi(xn、yn、zn)と表現する。iは三次元画像番号であり、iが1の場合は第1の三次元画像を、iが2の場合は第2の三次元画像を指す。
【0053】
xn、ynはそれぞれx方向の磁気標識番号、y方向の磁気標識番号であり、znはスライス方向マトリクス番号である。撮影対象が静止している場合、磁気標識の交差、或いはその順序の入れ替わりは、発生しない。従って、2方向の識別番号とスライス方向マトリクス番号の一致する、第1の磁気格子点p1(xn、yn、zn)と第2の磁気格子点p2(xn、yn、zn)とを対応付ければ良い。
【0054】
次に、図1の工程3(第3の磁気格子点を導出する処理)について説明する。
【0055】
第3の磁気格子点は、三次元画像の撮影時に、静磁場が均一となった場合の磁気格子点である。既に述べたように、第1及び第2の磁気格子点は、それぞれ第1及び第2の三次元画像を撮影する際の、リードアウト方向のみに画像が歪んでおり、スライス方向、位相エンコード方向には画像歪みは生じていない。従って、「第1の磁気格子点のy座標とz座標」、「第2の磁気格子点のx座標とz座標」は、三次元画像撮影時に静磁場が均一となった場合の磁気格子点の位置座標と一致することになる。
【0056】
以下、磁気格子点の座標をCm(r)の様に表現する。mは第mの磁気格子点を表し、rはx、y、z方向の位置ベクトルである。この表現を用いると、第3の磁気格子点の座標C3(r)は、C3(x)=C2(x)、C3(y)=C1(y)、C3(z)=C1(z)またはC2(z)のように表示できる。第1及び第2の磁気格子点に対して上記処理を施すことにより、第3の磁気格子点を容易に導出できる。
【0057】
次に、図1の工程4(不均一分布を導出する工程)について説明する。
【0058】
(数5)より、不均一分布E(x、y、z)は、リードアウト傾斜磁場強度及び静磁場不均一下での位置と、それに対応する静磁場均一下での位置を用いて導出される。ここで、リードアウト傾斜磁場強度は第1及び第2の三次元画像の撮影条件より既知量である。また、静磁場不均一下での位置は第1及び第2の磁気格子点の位置座標に、それに対応する静磁場均一下での位置は第3の磁気格子点の位置座標に相当する。従って、一連の式に従って不均一分布の導出が可能である。
【0059】
図8は、本発明の実施例における静磁場不均一分布の導出手順を示すフローチャートである。
【0060】
(工程4−1)は、第3の磁気格子点と第1の磁気格子点との距離ΔC31を導出する工程である。第1の磁気格子点はx方向に歪んでいるので、距離ΔC31は、ΔC31=C1(x)−C3(x)で表される。
【0061】
(工程4−2)は、ΔC31と画像1の撮影時のリードアウト方向の傾斜磁場強度との積を求め、不均一分布E1(x、y、z)を導出する工程である。
【0062】
(工程4−3)は、第3の磁気格子点と第2の磁気格子点との距離ΔC32を導出する工程である。距離ΔC32を、ΔC31=C2(y)−C3(y)により求める。
【0063】
(工程4−4)は、ΔC32と画像2の撮影時のリードアウト方向の傾斜磁場強度との積を求め、不均一分布E2(x、y、z)を導出する工程である。
【0064】
(工程4−5)は、E1(x、y、z)とE2(x、y、z)との平均値E(x、y、z)を導出する工程である。工程4−2で導出した不均一分布と工程4−4で導出した不均一分布とは、SN比が有限であるため同一値にはならない。そこで、2つの平均値E(x、y、z)を求めて、不均一分布の精度を向上させる。
【0065】
(工程4−6)は、E(x、y、z)に補間処理を施し、Ed(x、y、z)を算出する工程である。工程4−5で得られた不均一分布は、数mmから数cm間隔で付与された第3の磁気格子点の位置における磁場強度である。そこで、工程4−5で得られた不均一分布に補間処理を施し、より詳細な不均一分布Ed(x、y、z)を導出することも可能である。不均一分布Ed(x、y、z)は、例えば、三次元空間に1mm間隔で静磁場不均一観測点を設置し、観測点での静磁場不均一の大きさを保存した三次元配列と考えることが可能である。この結果は、図12、図13に示す記憶媒体116、134に保存される。
【0066】
以上、本発明に実施例による静磁場不均一計測法の一例を説明した。なお、本発明の実施例は、説明した例に限定されない。例えば、磁気格子点の作成に関わるシーケンスとして、図4においてSPAMMとBURSTパルスを用いる方法を示したが、他の方法を用いることも可能である。また、図5において、三次元画像撮影シーケンスとして高速スピンエコー法を例に示したが、他の撮影法を本発明に適用することも可能である。
【0067】
図9は、本発明の実施例において、磁気格子点の4角(境界点−1、境界点−2、境界点−3、境界点−4)に対する番号付けの一例を示す図である。
【0068】
第1から第3の磁気格子点に適用した不均一分布導出に関わる処理を、例えば、図9に示すように、磁気格子点の4角の画素を用いて実行することも可能である。磁気格子点の間隔は数mmから数cm間隔なので、磁気格子点の4角の画素に対して処理を適用することで、より正確な不均一分布を得ることが可能になる。
【0069】
次に、静磁場不均一に起因する画像歪の補正について説明する。所定の撮影シーケンスで撮影した画像に対し、既に述べた方法で導出した静磁場不均一マップEd(x、y、z)を用いて画像歪を補正する。
【0070】
図10は、本発明の実施例において、画像歪み除去手順の代表的な一例を示すフローチャートである。
【0071】
(工程5)は、不均一分布をMRI装置のメモリ上に読み込む工程である。工程4−6で導出した不均一分布Ed(x、y、z)を、図12、図13に示した記憶媒体からMRI装置のメモリ上に読み込む。
【0072】
(工程6)は、撮影法と撮影条件を指定する。画像撮影に使用する撮影法と撮影条件を指定する工程である。
【0073】
(工程7)は、不均一分布と撮影法・撮影条件を用いて、画像歪ベクトルを要素とする遷移行列とその逆行列を導出する工程である。指定された撮影条件と不均一分布Ed(x、y、z)とを用いて、スライスプロファイルの歪み及びスライス面内の画像歪みを導出する。
【0074】
(工程8)は、工程6で指定した撮影法及び撮影条件を用いて、撮影対象のMRI画像を取得する工程である。工程6で指定した撮影条件から、スライス方向、位相エンコード方向、リードアウト方向を識別して、スライス選択傾斜磁場強度、リードアウト方向傾斜磁場強度を抽出する。これら磁場強度と、工程5でロードされた不均一分布Ed(x、y、z)を、既に示した(数5)及び(数6)に代入し、画像歪み導出する。導出結果は、不均一分布Ed(x、y、z)で想定されている観測点の各々に関して、観測点の座標から画像歪により位置ずれが生じた観測点への方向ベクトルを、遷移行列として保持する。これと同時にその逆行列も導出する。工程6で指定された撮影法及び撮影条件でMRI画像を取得する。
【0075】
(工程9)は、工程7で導出した逆行列を用いて、工程8で取得されたMRI画像に適用して、画像歪を除去する工程である。工程7で導出した遷移行列の逆行列を用いて、取得されたMRI画像の歪みを除去する。
【0076】
歪み除去に関する処理は、従来技術4において、具体的な方向が示されている。即ち、スライスプロファイルの歪が生じない三次元撮影及びスライスプロファイルの歪を補正不能な二次元シングルスライス撮影により画像を撮影した場合、画像歪はリードアウト方向にのみ生じると見なすせる。従って、従来技術4を適用することにより、画像歪の除去が可能である。
【0077】
一方、二次元マルチスライス撮影により画像を撮影した場合、スライスプロファイルの歪みとリードアウト方向の画像歪が生じる。これらの画像歪みの補正に関しては、従来技術4を適用できない。本発明の実施例における画像歪の補正では、スライスプロファイルの歪みもスライス面内の画像歪みと同様の式で表現される解析結果に基づき、事前にデータ変換を施すことにより従来技術4を適用可能とした。
【0078】
以下、スライス方向をz方向、位相エンコード方向をy方向、リードアウト方向をx方向とし、x方向とz方向に画像歪みを有する場合の処理手順について説明する。
【0079】
まず、二次元マルチスライス画像を三次元画像に変換する。二次元マルチスライス画像が、z方向にMz枚のスライス数を有するMx×My画素のxy平面画像で構成される場合、三次元画像はMx×My×Mz画素で構成される。次いで、画像歪が生じない位相エンコード方向を仮想スライス面に想定し、三次元画像を、新たな二次元マルチスライス画像に変換する。位相エンコード方向はy方向なので、新たな二次元マルチスライス画像は、y方向にMy枚のスライス数を有するMx×Mz画素のxz平面画像で構成される。この処理により、リードアウト方向であるx方向の歪とスライス方向であるz方向の歪が一枚のスライス面に含まれることになる。変換後の二次元マルチスライスデータに対し、従来技術4の処理を施し、xy平面の二次元マルチスライスに変換することにより、リードアウト方向の画像歪とスライスプロファイルの歪みを除去できる。
【0080】
以上、本発明の実施例である、静磁場不均一に起因する画像歪み除去法の一例を説明した。なお、本発明の実施例は、説明した例に限定されない。例えば、工程5で読み込む不均一分布は、磁石設計時の磁場シミュレーションにより得られる不均一分布を用いても良い。或いは、従来技術2における微小コイルを用いた計測結果を利用する事も可能である。
【0081】
以上説明したように、不均一が大きい環境下でも不均一分布を高精度に計測でき歪除去補正を行ない、再構成画像の画質向上を実現できる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、静磁場不均一が大きい環境下において、再構成画像の画質を向上できる核磁気共鳴撮影装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の不均一分布の計測における処理手順の概要を示すフローチャート。
【図2】図1の工程1の処理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例で得られる磁気標識、磁気格子点の例を示す図。
【図4】本発明の実施例で使用される、従来技術における磁気標識を付与するシーケンスの例を示す図。
【図5】本発明の実施例の静磁場不均一分布計測に関わるシーケンスの例を示す図。
【図6】図5のシーケンスで得られる三次元画像の例を示す図。
【図7】本発明の実施例における磁気格子点への番号付けの一例を示す図。
【図8】本発明の実施例における静磁場不均一分布の導出手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例において、磁気格子点の4角に対する番号付けの一例を示す図。
【図10】本発明の実施例において、画像歪み除去手順の一例を示すフローチャート。
【図11】従来技術のスピンエコー法のシーケンスを示す図。
【図12】本発明が適用されるMRI装置の代表的な構成例を示す図。
【図13】本発明が適用されるMRI装置の他の構成例を示す図。
【図14】図13のMRI装置の斜視図。
【符号の説明】
101…静磁場発生磁石、102…検査対象、103…ベッド、104…高周波磁場コイル、105…x方向傾斜磁場用電源、106…y方向傾斜磁場用電源、107…z方向傾斜磁場用電源、108…x方向傾斜磁場コイル、109…y方向傾斜磁場コイル、110…z方向傾斜磁場コイル、111…シンセサイザ、112…変調装置、113…増幅器、114…受信器、115…シーケンサ、116…記憶媒体、117…計算機、118…ディスプレイ、121…磁場発生装置、122…傾斜磁場コイル、123…傾斜磁場電源、124…照射用コイル、125…RFパワーアンプ、126…RFパルス発生器、127…撮影対象、128…ベッド、129…受信用コイル、130…受信器、131…シムコイル、132…シム電源、133…シーケンサ、134…記憶媒体、135…計算機、136…ディスプレイ。
Claims (21)
- 静磁場を発生する手段と、前記静磁場に置かれる検査対象に高周波磁場を印加する手段と、前記静磁場に重畳する、互いに直交する第1、第2、第3方向の傾斜磁場を発生する手段と、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する手段と、前記傾斜磁場及び前記高周波磁場の発生と前記核磁気共鳴信号の検出とを制御する制御手段と、検出された前記核磁気共鳴信号の演算処理を行なう演算処理手段とを有し、前記制御手段は、(1)前記第1方向の傾斜磁場と磁気標識用の第1の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与すること、及び、前記第2方向の傾斜磁場と磁気標識用の第2の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与することの制御と、(2)前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に前記核磁気共鳴信号を検出する第1のパルスシーケンスの制御と、(3)再び、前記(1)を実行することの制御と、(4)前記位相エンコード方向の位置情報を付与する前記傾斜磁場の印加の方向と前記リードアウト方向の位置情報を付与する前記傾斜磁場の印加の方向とを入れ換えて、前記(2)を実行する第2のパルスシーケンスの制御とを行ない、前記演算処理手段は、(a)前記第1のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第1の3次元画像を再構成すること、(b)前記第2のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第2の3次元画像を再構成すること、(c)前記第1、第2の3次元画像における磁気標識の位置座標を用いて、前記静磁場が均一な場合に得られるべき第3の3次元画像における磁気標識の位置座標を導出すること、(d)前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の位置座標と、前記第1、第2のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度とを用いて、静磁場不均一の3次元分布を求めること、の演算処理を行なうことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項1に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の位置座標がそれぞれ、前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標であることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項1に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2の高周波磁場は、時間軸上で等間隔に形成され、振幅がsinc関数により変調された複数のサブパルスからなることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 静磁場を発生する手段と、前記静磁場に置かれる検査対象に高周波磁場を印加する手段と、前記静磁場に重畳する、互いに直交する第1、第2、第3方向の傾斜磁場を発生する手段と、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する手段と、前記傾斜磁場及び前記高周波磁場の発生と前記核磁気共鳴信号の検出とを制御する制御手段と、検出された前記核磁気共鳴信号の演算処理を行なう演算処理手段とを有し、前記制御手段は、(1−1)前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第1の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与すること、(1−2)前記第2方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第2の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与すること、(1−3)前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に前記核磁気共鳴信号を検出する第1のパルスシーケンスの制御と、(2−1)前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第1の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与すること、(2−2)前記第2方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第2の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与すること、(2−3)前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加の期間中に前記核磁気共鳴信号を検出する第2のパルスシーケンスの制御とを行ない、前記演算処理手段は、(a)前記第1のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第1の3次元画像を再構成すること、(b)前記第2のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第2の3次元画像を再構成すること、(c)前記第1、第2の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を用いて、前記静磁場が均一な場合に得られるべき第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を導出すること、(d)前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標と、前記第1、第2のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度とを用いて、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標での静磁場不均一分布を求めること、の演算処理を行なうことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項4に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記演算処理手段は、前記第1の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標から、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の、前記第2方向と前記第3方向の座標値を抽出する第1の演算と、前記第2の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標から、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の、前記第1方向と前記第3方向の座標値を抽出する第2の演算と、前記第1、第2の演算により導出された前記第1、第2、第3方向の座標値を用いて、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を導出することを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項4に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記静磁場不均一分布を求める演算は、前記第1、第3の3次元画像における磁気標識の交点の前記第1方向の位置座標の差分と、前記第1のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度と、磁気回転比との積を導出する演算と、前記第2、第3の3次元画像における磁気標識の交点の前記第2方向の位置座標の差分と、前記第2のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度と、磁気回転比との積を導出する演算の、少なくとも一方の演算を行なうことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項4に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2の高周波磁場は、時間軸上で等間隔に形成され、振幅がsinc関数により変調された複数のサブパルスからなることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 静磁場を発生する手段と、前記静磁場に置かれる検査対象に高周波磁場を印加する手段と、前記静磁場に重畳する、互いに直交する第1、第2、第3方向の傾斜磁場を発生する手段と、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する手段と、前記傾斜磁場及び前記高周波磁場の発生と前記核磁気共鳴信号の検出とを制御する制御手段と、検出された前記核磁気共鳴信号の演算処理を行なう演算処理手段とを有し、前記制御手段は、(1−1)前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第1の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与すること、(1−2)前記第2方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第2の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与すること、(1−3)前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に前記核磁気共鳴信号を検出する第1のパルスシーケンスの制御と、(2−1)前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第1の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与すること、(2−2)前記第2方向の傾斜磁場の印加の期間中に、磁気標識用の第2の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与すること、(2−3)前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加の期間中に前記核磁気共鳴信号を検出する第2のパルスシーケンスの制御と、(3)前記第1、第2、第3方向の傾斜磁場を印加して、前記スライス方向、前記位相エンコード方向、前記リードアウト方向の各方向の位置情報を付与し、前記検査対象から発生する前記核磁気共鳴信号を検出する所定の条件下で実行される第3のパルスシーケンスの制御とを行ない、前記演算処理手段は、(a)前記第1のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第1の3次元画像を再構成すること、(b)前記第2のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第2の3次元画像を再構成すること、(c)前記第3のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、前記検査対象の診断用画像を再構成すること、(d)前記第1、第2の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を用いて、前記静磁場が均一な場合に得られるべき第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を導出すること、(e)前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標と、前記第1、第2のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度とを用いて、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標での静磁場不均一分布を求めること、(f)前記第3のパルスシーケンスの前記所定の条件、及び、前記静磁場不均一分布を用いた前記診断用画像の歪を低減すること、の演算処理を行なうことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2のパルシーケンスで、1回の核磁化の励起について1個の核磁気共鳴信号が検出されることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2のパルシーケンスで、1回の核磁化の励起を行った後に、核磁化反転用の高周波磁場の印加と核磁気共鳴信号の検出とを、複数回繰り返すことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記演算処理手段は、前記第1の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標から、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の、前記第2方向と前記第3方向の座標値を抽出する第1の演算と、前記第2の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標から、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の、前記第1方向と前記第3方向の座標値を抽出する第2の演算と、前記第1、第2の演算により導出された前記第1、第2、第3方向の座標値を用いて、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を導出することを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記静磁場不均一分布を求める演算は、前記第1、第3の3次元画像における磁気標識の交点の前記第1方向の位置座標の差分と、前記第1のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度と、磁気回転比との積を導出する演算と、前記第2、第3の3次元画像における磁気標識の交点の前記第2方向の位置座標の差分と、前記第2のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度と、磁気回転比との積を導出する演算の、少なくとも一方の演算を行なうことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記診断用画像の歪を低減する演算は、前記第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標を終点座標とし、前記静磁場不均一分布と前記第3のパルスシーケンスの前記所定の条件とから導出される、前記終点座標の前記診断用画像における位置座標を始点座標とし、前記終点座標と前記始点座標の変換を表す逆関数を導出する演算と、前記診断用画像の各画素に対して前記逆関数適用して画像歪を低減する演算とを含むことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第3のパルスシーケンスが、3次元撮影又は2次元シングルスライス撮影を行なうためのパルスシーケンスである場合、前記診断用画像の歪を低減する演算は、前記リードアウト方向の補間演算であることを特徴とする特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第3のパルスシーケンスが、2次元マルチスライス撮影を行なうためのパルスシーケンスである場合、前記診断用画像の歪を低減する演算は、前記診断用画像の前記スライス方向を前記位相エンコード方向に変換し、前記診断用画像の前記位相エンコード方向を前記スライス方向に変換する変換演算と、該変換演算後のスライス面において画像歪を低減する補間演算と、該補間演算後の画像の前記スライス方向を前記診断用画像の前記位相エンコード方向に変換し、前記補間演算後の画像の前記位相エンコード方向を前記診断用画像の前記スライス方向に再変換する再変換演算とを含むことを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項8に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2の高周波磁場は、時間軸上で等間隔に形成され、振幅がsinc関数により変調された複数のサブパルスからなることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 静磁場を発生する手段と、前記静磁場に置かれる検査対象に高周波磁場を印加する手段と、前記静磁場に重畳する、互いに直交する第1、第2、第3方向の傾斜磁場を発生する手段と、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する手段と、前記傾斜磁場及び前記高周波磁場の発生と前記核磁気共鳴信号の検出とを制御する制御手段と、検出された前記核磁気共鳴信号の演算処理を行なう演算処理手段とを有し、前記制御手段は、(1)前記第1方向の傾斜磁場と磁気標識用の第1の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与し、前記第2方向の傾斜磁場と磁気標識用の第2の高周波磁場を印加し、前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与する標識シーケンスの制御と、(2)前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第2方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を付与し、前記第1方向の傾斜磁場の印加の期間中に前記核磁気共鳴信号を検出する第1のパルスシーケンスの制御と、(3)再び、前記標識シーケンスを実行することの制御と、(4)前記位相エンコード方向の位置情報を付与する前記傾斜磁場の印加の方向と前記リードアウト方向の位置情報を付与する前記傾斜磁場の印加の方向とを入れ換えて、前記(2)を実行する第2のパルスシーケンスの制御とを行ない、前記演算処理手段は、前記第1のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第1の3次元画像を再構成し、前記第2のパルスシーケンスで検出される前記核磁気共鳴信号から、第2の3次元画像を再構成し、前記第1、第2の3次元画像における磁気標識の位置座標を用いて、静磁場不均一の3次元分布を求めることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項17に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記演算処理手段は、前記第1、第2の3次元画像における磁気標識の位置座標を用いて、前記静磁場が均一な場合に得られるべき第3の3次元画像における磁気標識の位置座標を導出し、前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の位置座標と、前記第1、第2のパルシーケンスで前記リードアウト方向に印加された前記傾斜磁場の強度とを用いて、静磁場不均一の3次元分布を求めることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 請求項18に記載の核磁気共鳴撮影装置において、前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の位置座標がそれぞれ、前記第1、第2、第3の3次元画像における磁気標識の交点の位置座標であることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 静磁場を発生する手段と、前記静磁場に置かれる検査対象に高周波磁場を印加する手段と、前記静磁場に重畳する、互いに直交する第1、第2、第3方向の傾斜磁場を発生する手段と、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する手段と、前記傾斜磁場及び前記高周波磁場の発生と前記核磁気共鳴信号の検出とを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記第1方向の傾斜磁場と磁気標識用の第1の高周波磁場を印加して前記検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与し、前記第2方向の傾斜磁場と磁気標識用の第2の高周波磁場を印加して前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与する標識シーケンスの制御と、前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第1、第2方向の傾斜磁場の印加により、位相エンコード方向、リードアウト方向の位置情報を付与し、前記核磁気共鳴信号を検出するパルスシーケンスの制御とを行ない、前記標識シーケンスを実行した後、前記第2方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を、前記第1方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を、それぞれ付与し、第1の3次元画像の再構成に使用する前記核磁気共鳴信号の検出を行なう前記パルスシーケンスを実行し、次いで、前記標識シーケンスを実行した後、前記第1方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を、前記第2方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を、それぞれ付与し、第2の3次元画像の再構成に使用する前記核磁気共鳴信号の検出を行なう前記パルスシーケンスを実行し、再構成された前記第1、第2の3次元画像における磁気標識の位置座標を用いて、静磁場不均一の3次元分布を求めることを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
- 第1方向の傾斜磁場と磁気標識用の第1の高周波磁場を印加して検査対象の核磁化を変調し前記第1方向に垂直な磁気標識を付与し、前記第1方向に直交する第2方向の傾斜磁場と磁気標識用の第2の高周波磁場を印加して前記検査対象の核磁化を変調し前記第2方向に垂直な磁気標識を付与する標識シーケンスの制御と、前記検査対象の核磁化を励起状態にした後、前記第1及び第2方向に直交する第3方向の傾斜磁場の印加によりスライス方向の位置情報を付与し、前記第1、第2方向の傾斜磁場の印加により、位相エンコード方向、リードアウト方向の位置情報を付与し、前記検査対象からの核磁気共鳴信号を検出するパルスシーケンスの制御とを行なう制御手段を有し、静磁場不均一の3次元分布を求めるために、前記制御手段は、前記標識シーケンスを実行した後、前記第2方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を、前記第1方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を、それぞれ付与し、前記核磁気共鳴信号の検出を行なう前記パルスシーケンスを実行し、次いで、前記標識シーケンスを実行した後、前記第1方向の傾斜磁場の印加により位相エンコード方向の位置情報を、前記第2方向の傾斜磁場の印加によりリードアウト方向の位置情報を、それぞれ付与し、前記核磁気共鳴信号の検出を行なう前記パルスシーケンスを実行することを特徴とする核磁気共鳴撮影装置。
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US8933698B2 (en) | 2010-04-01 | 2015-01-13 | Regents Of The University Of Minnesota | Pulse gap cycling for improved swift |
-
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- 2003-05-21 JP JP2003142833A patent/JP2004344266A/ja active Pending
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