JP2004342650A - 配線形成方法及び配線形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般的な基板に対して容易に配線材料を転写させることが可能な配線形成装置、配線形成方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る配線形成装置は、配線パターンを形成するように配置された配線材料11を基板10に転写する転写版15と、転写版15に対して配線材料11を供給する材料供給手段2と、材料供給手段2により転写版15に供給された配線材料11に対してエネルギーを供給するエネルギー供給手段6、7とを備えている。エネルギー供給手段6、7によって供給されるエネルギーによって、材料供給手段2から転写版15へ供給されるときの配線材料11の粘度は、転写版15から基板10へ転写されるときの粘度と異なる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る配線形成装置は、配線パターンを形成するように配置された配線材料11を基板10に転写する転写版15と、転写版15に対して配線材料11を供給する材料供給手段2と、材料供給手段2により転写版15に供給された配線材料11に対してエネルギーを供給するエネルギー供給手段6、7とを備えている。エネルギー供給手段6、7によって供給されるエネルギーによって、材料供給手段2から転写版15へ供給されるときの配線材料11の粘度は、転写版15から基板10へ転写されるときの粘度と異なる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写版に供給された配線材料を基板に転写させることが可能な配線形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基板上に配線やカラーフィルター等のパターンを形成する技術として、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成技術が知られている。このパターン形成技術は、微細なパターン形成を行う際に主に使用されている技術であり、特に半導体の回路形成においては不可欠な技術となっている。また、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成技術は、半導体よりも大きな基板に対して配線を形成する場合(例えば、プリント基板への配線形成等)においても用いられている。例えば、FR−4 (銅張ガラスエポキシ)等の樹脂基板上に銅はくが接着された基板に対してパターン形成を行う場合には、フォトリソグラフィーを用いて基板表面をエッチングすることによりパターンの形成を行う。
しかし、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成技術を用いた場合、パターン形成の際にエッジング処理等により不要な材料や廃液が生じるため、廃棄物の処理設備及び処理労力が要求されるという問題がある。この廃棄物処理問題を解決するため方法の1つとして、転写版に配線パターンを形成した後に、このパターンを基板上に転写させてパターン形成処理を行う方法が知られている。基板上にパターンを形成する場合、一般的な基板は保水性に乏しいため印刷性及び転写性を両立させた材料を用いるとともに適切なプロセスを経る必要が生じる。例えば、版面上のインキを被印刷体に転写するにあたり、外場(電場、磁場)に感応して粘度が上昇して半固体状あるいは固体状となるインキを版面上の所定箇所に配置し、版面上の所定箇所に配置されたインキの形状を保持した状態でインキを被印刷体に転写しうるように版面上に配置した後にインキに外場を印加して、インキを半固体状あるいは固体状に保持したまま被印刷体に転写する転写方法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−187927号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように外場によりインクの粘度を変化させる方法を用いる場合には、外場で粘性が変化する材料を配線材料として適用する必要がある。このような配線材料で配線が形成された場合、配線を流れる電流値によって配線の抵抗値が変動してしまうおそれがあるので、回路設計上問題がある。また、この問題は電気回路における配線処理だけに限定されるわけではなく、基板上に光配線を布線する場合にも配光が変化したり、磁場により変化する素材によっては透光性が低下したりする等の問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、抵抗値が変化しにくい配線材料を用いて、転写版への配線材料の印刷時と転写版から基板への配線材料の転写時とに配線材料の粘度を変化させることによって、一般的な基板に対して容易に配線材料を転写させることが可能な配線形成装置、配線形成方法を提供することを特徴とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、配線パターンを形成するように配置された配線材料を基板に転写する転写版と、該転写版に対して前記配線材料を供給する材料供給手段と、該材料供給手段により前記転写版に供給された前記配線材料に対してエネルギーを供給するエネルギー供給手段とを備え、前記エネルギー供給手段によって供給される前記エネルギーによって、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度が、前記転写版から前記基板へ転写されるときの粘度と異なる配線形成装置であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときよりも前記転写版から前記基板へ転写されるときの方が増粘していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記増粘した時にゲル状態となることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギー供給手段により供給されたエネルギーにより加熱されることによって増粘することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギー供給手段により供給されたエネルギーにより冷却されることによって増粘することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、可溶性セルロースを含んでいることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載の配線形成装置において、前記エネルギー供給手段が、前記転写版を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の配線形成装置において、前記エネルギー供給手段が、前記配線材料をセ氏50度〜70度に加熱することを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項4に記載の配線形成装置において、前記エネルギー供給手段が、前記基板を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギーにより加熱されて固体化することを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項3に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、化学反応により架橋結合して前記ゲル状態となることを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギー供給手段により前記エネルギーとして光を照射されることにより、化学反応を起こして架橋結合することを特徴とする。
【0018】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の配線形成装置において、前記転写版が、円柱状ローラーの外面に設置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の配線形成装置において、前記転写版が、浸水部と疎水部とにより配線パターンが形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項15に係る発明は、材料供給手段により配線パターンを形成するように転写版に供給された配線材料に対して、エネルギー供給手段によりエネルギーを供給し、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度を、前記転写版から前記基板へ転写されるときと異なる粘度にする配線形成方法であることを特徴とする。
【0021】
請求項16に係る発明は、請求項15に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度よりも、前記転写版から前記基板へ転写されるとき粘度の方を増粘させることを特徴とする。
【0022】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料をゲル状態に変化させて増粘させることを特徴とする。
【0023】
請求項18に係る発明は、請求項16または請求項17に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を加熱して増粘させることを特徴とする。
【0024】
請求項19に係る発明は、請求項16または請求項17に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を冷却して増粘させることを特徴とする。
【0025】
請求項20に係る発明は、請求項18に記載の配線形成方法において、前記配線材料が、可溶性セルロースを含んでいることを特徴とする。
【0026】
請求項21に係る発明は、請求項18に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記転写版を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0027】
請求項22に係る発明は、請求項21に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記配線材料をセ氏50度〜70度に加熱することを特徴とする。
【0028】
請求項23に係る発明は、請求項18に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記基板を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0029】
請求項24に係る発明は、請求項23に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を固体化させることを特徴とする。
【0030】
請求項25に係る発明は、請求項17に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより前記配線材料を、化学反応により架橋結合させて前記ゲル状態に変化させることを特徴とする。
【0031】
請求項26に係る発明は、請求項25に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記エネルギーとして光を前記配線材料に照射することにより、前記配線材料を前記光の作用によって化学反応を起こさせて架橋結合させることを特徴とする。
【0032】
請求項27に係る発明は、請求項15乃至請求項26のいずれか1項に記載の配線形成方法において、前記転写版を、円柱状ローラーの外面に設置することを特徴とする。
【0033】
請求項28に係る発明は、請求項15乃至請求項27のいずれか1項に記載の配線形成方法において、前記転写版上に浸水部と疎水部とを形成することによって配線パターンを形成することを特徴とする。
【0034】
本発明に係る配線形成装置及び配線形成方法を用いることによって、エネルギー供給手段により供給されるエネルギーを用いて、配線材料の粘度を、配線材料が転写版から基板へ転写させるときと材料供給手段から転写版に供給されるときとで変化させることによって、基板に容易に配線材料を転写させることが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る配線形成装置を、図面を用いて説明する。
【0036】
[実施例1]
以下、図面を用いて本発明に係る配線形成装置について説明する。
【0037】
図1に示すように、本発明に係る配線形成装置1は、インク供給タンク2と、練りローラー3と、供給ローラー4と、版胴ローラー5と、ヒートブロック6、7と、搬送ステージ8と、オーブン9とを備えている。
【0038】
インク供給タンク2は、基板10に配線パターンを転写させるための配線材料11が収納される収納タンクであり、タンクの底部に形成される供給開口2aより、適量の配線材料11が練りローラー3へ供給される。
【0039】
練りローラー3は、配線材料11が供給ローラー4により版胴ローラー5に供給される際に、配線材料11が均一な膜厚で塗布されるように配線材料11を十分に練り込む役割を有している。練りローラー3により練り込まれた配線材料11は、供給ローラー4により配線形成に適した均一の厚さに延伸された後に、版胴ローラー5に供給される。
【0040】
版胴ローラー5は、熱伝導性を抑えるためにステンレスを母材として構成されており、ローラーの外面には、親水部13と疎水部14とによって配線パターンが形成された転写版15が取り付けられている。
【0041】
転写版15において配線パターンを形成するために、まず、PETフィルム上に親水性を有する感熱材料(含フッ素アクリレートTG−702 ダイキン工業株式会社製)を塗布し、セ氏90度のエチレングリコール中に30秒浸漬させて全面親水処理を行った。その後、半導体レーザ(松下電子工業株式会社製 LN9830)を用いてフィルム上に配線パターンを描画して疎水部を形成した。この処理を行うことによってPETフィルム上に親疎水性のパターンを形成することができ、親水部13の線幅を約20μmの線状のパターンとすることが可能となる。処理の行われたフィルムは、転写版15として版胴ローラー5に貼り付けられる。
【0042】
配線材料11は、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102日本ペイント株式会社製)を400μlに対して、5wt%セルロース水溶液(信越化学工業株式会社製メトローズを使用)10μlを増粘剤として混入したものを用いた。この配線材料11は、常温では液状であるが、加熱されるとゲル状態に変化する。ここでいうゲル状態とは、配線材料11が転写版15に供給される時には液状で存在し、基板10に転写されるときには粘弾性が大きくなり、良好なパターンが得られる状態を示しており、従来の印刷処理等において添加されるゲル化剤とは用途が異なる。転写版15上へ配線材料11を供給する前には、転写版15の親疎水性を利用して、または転写版15表面の凹凸に応じて形成される配線パターンに対して液状となった配線材料11を塗布することが可能であり、その後に配線材料11の粘弾性を上げることによって、基板10に配線材料11を転写するときに粘着性を利用して配線材料11を基板10に付着させて配線パターンを保持することが可能な状態となる。
【0043】
液状の配線材料11を版胴ローラー5に供給することによって、版胴ローラー5上の疎水部14には配線材料11が付着させずに親水部13のみに配線材料11を付着させることができ、転写処理において良好な配線パターンを基板10上に形成することが出来る。
【0044】
ヒーターブロック6は、版胴ローラー5内側の基板との当接部近傍に設置されており、版胴ローラー5から顕微鏡用プレパラートガラスよりなる基板10に対して配線材料11aを転写する際(図1において、ゲル状態に変化した配線材料は符号11aで示されている。)に配線材料11を加熱することによって材料の粘性を変化させる役割を有している。版胴ローラー5のヒーターブロック6設置箇所近傍は、セ氏70度程度に加熱されている。
【0045】
搬送ステージ8は、配線パターンを転写させるための基板10を版胴ローラー5へと搬送し、版胴ローラー5により配線パターンが転写された後に、基板10をオーブン9へと導く役割を有している。搬送ステージ8の版胴ローラー5近傍には基板10を底面側から加熱するためのヒーターブロック7が設けられており、配線材料11aが転写されるときに基板10が十分な温度(本発明の場合にはセ氏80度)となるように、ヒーターブロック7は搬送ステージ8を加熱する。
【0046】
オーブン9は、基板10に転写された配線パターンを基板10に定着させるために、パターン転写済の基板10を加熱する役割を有している。
【0047】
次に、基板10に配線パターンが形成されるまでの配線形成処理を説明する。
【0048】
まず、インク供給タンク2に蓄えられた配線材料11が供給開口2aより練りローラー3に供給されると、練りローラー3では、供給ローラー4とともに配線材料11を挟み込んで配線材料11を一定の厚みまで引き延ばして供給ローラー4に送る。供給ローラー4は、受け取った配線材料11をより薄く引き伸ばして版胴ローラー5に供給する。
【0049】
版胴ローラー5に供給された配線材料11は、ヒーターブロック6で加熱されてゲル状態に変化し、材料の粘度を上昇させる。具体的には、配線材料11が加熱されてメトローズ中のセルロース置換部が分子間で疎水和して架橋点を形成して流動性がなくなることによりゲル状態に変化する。
【0050】
ゲル状態に変化した配線材料11aは、版胴ローラー5によって搬送ステージ8上を走行する80度の基板10に転写される。搬送ステージ8には、ヒートブロック7が設けられているので、ヒートブロック6により加熱された配線材料11aは、基板10上に転写された後も増粘性を保つ。このため、転写時に配線パターンの形状が安定するとともに、転写版15上に残った配線材料11aの変化を少なくすることが可能となり、転写処理の連続性を高めることが可能となる。
【0051】
配線材料11aが転写された基板10は、その後搬送ステージ8によってオーブン9に搬送されて、200度で30分加熱されて硬化し、基板10に配線パターンが形成される。
【0052】
以上説明したように、本発明に係る配線形成装置1を用いることによって、転写時に配線材料11の粘度を上げて配線パターンの形状保持性を向上させることができる。特に、配線材料11に硬化剤が含まれている場合には、配線材料11を加熱させることによって架橋点を増大させることができるので、配線パターンの形状を容易に保持させることが可能となる。例えば、配線材料11が低粘度のペーストの場合、転写版15上で形成された配線パターンを基板10に転写させるときに配線材料11が濡れ広がることによってパターン形状が崩れてしまうことを防止することができる。
【0053】
また、配線材料11には可溶性のセルロース水溶液が混入されているため、配線材料11に特別な添加剤を混入したり特殊な処理手順を追加したりすることなく、加熱によって配線材料11を増粘させることができる。また、配線材料11として、メチルセルロースやたんぱく質類を用いた場合も同様に熱変性によって増粘させることが可能である。さらに、セルロースは、材料として環境にもやさしいものであるため、配線形成装置1への負荷を小さくすることができる。
【0054】
特に、本発明のように配線材料11に可溶性セルロースを混入させた場合には、セ氏50度以上に加熱すると配線材料11がゲル状態に変化する。転写版15上に配線材料11を供給した後に配線材料11をゲル状態に変化させることによって、微細な配線パターンに対して追従性の良い配線パターン形成を行うことができ、その後基板10に転写する際にゲル化にてパターン形状を保持することが容易となる。
【0055】
一方で、配線材料11の温度が高くなりすぎると配線材料11における溶媒の揮発が進行してしまい、溶媒として水を用いている場合には、温度がセ氏70度を超えたあたりから揮発性が高くなって気化時にパターン形状が崩れてしまうおそれがある。さらに、温度が高すぎる場合には、ゲル状態の配線材料11a中に含まれている水分が揮発してしまうため、配線材料11aが乾燥してしまい、転写ができなくなる場合もある、このため、配線材料11aの加熱温度はセ氏50度〜70度の温度で有ることが望ましい。
【0056】
また、加熱することによってゲル状態に変化した配線材料11aは、冷却によって材料の粘度が低下し、配線パターンの形状が崩れてしまうおそれがある。このため、基板10に転写された配線材料11aは、ゲル状態に変化したままの状態で乾燥もしくは硬化させることが望ましく、本発明のように基板10を加熱するヒーターブロック7を設置することによって、配線パターンを崩すことなく配線材料11aを乾燥または硬化させることが可能となる。
【0057】
また、ゲル状態に変化した配線材料11aは、化学反応によって架橋点が形成されているため、物理的に形成されるゲル状態に比べ材料選択性に優れるという利点を有している。このようなゲル化反応を行うものとして、アクリルアミドとN,N‘−メチレンビスアクリルアミドのように架橋と重合とが同時に行われるものやポリビニルアルコールのように高分子鎖を架橋するものが知られている。重合や反応を行う手法として、ラジカルを形成することで行うものや紫外線のような光を利用するもの、放射線による反応を利用するもの、その他プラズマやイオンによる反応を利用するもの等を用いることも可能である。
【0058】
また、転写版15が版胴ローラー5に設置されているので、転写時の接触面積を低く抑えることができ、転写ギャップの制御が容易になる。
【0059】
さらに、転写版15上に親疎水のパターンが構成されている場合には吸水性の差を利用して、疎水部14には配線材料を付着させず親水部13のみに付着させることができるので、転写版15の表面の凹凸を最小限に抑えつつ、微細な配線パターンを容易に形成することが可能となる。
【0060】
また、配線材料11aの粘度が高い状態で基板10の表面に配線材料11aが転写されるので、基板10表面に転写された配線材料11aの断面は、中央部に対して周辺部の厚みが大きくなった凹凸断面形状となる。凹凸断面形状の場合、高周波領域において電流密度が周辺に集中し易くなるので、抵抗値の上昇を低減させることが可能となる。
【0061】
なお、配線材料11は上述のものに限定されず、ナノ粒子を含んだ材料であるハリマ化成株式会社製ナノペーストNPS−Jを用いた場合であっても同様に配線パターンを形成することができ、この材料を用いた場合にはセ氏250度で1時間加熱することによって硬化処理を行うことができる。また、配線パターンを形成する転写版15に関しても、上述したものに限定されることはなく、同様なものとしてはPrestek社製の水無し転写版や酸化チタンを用いた親疎水性を有する転写版を用いることも有効である。さらに、転写版15は、版胴ローラー5に設置可能なもので有れば、平板、凸版、凹版を用いることが可能である。
【0062】
ヒーターブロック6、7の使用に関しても、上述した方式は一つの実施例に過ぎずこれに限定されるものではなく、配線材料を直接・間接に関わらず加熱すること可能であれば特定のヒートブロック以外の機器を用いて同様の効果を奏することが可能である。例えば、配線材料11に樹脂を含む場合には、マイクロ波による加熱方式を用いることができ、電磁誘導加熱を用いて版胴ローラー5を加熱する場合等には、セラミックヒーター等を用いることができる。さらに、赤外線や光ビーム、レーザ光源を用いて加熱することも可能である。
【0063】
基板10は、表面が粗い方が、配線材料11aが基板10上に転写されやすくてなって好ましいが、粗すぎるとその分配線パターンの厚みが大きくなるため、配線の厚みを考えると表面粗さが10nm以上200nm以下であることが望ましい。基板10の表面を粗くすることによって、配線材料11aが基板の粗面のくぼみに沿って密着するためアンカー効果が生じて配線パターン−の密着力を向上させることができる。
【0064】
また、配線材料11を構成する金属粒子は、100nm以下であることが望ましい。金属粒子が小さくなることによって、金属粒子表面積が大きくなるため、見かけ上の金属粒子の活性力が大きくなり、金属粒子同士の融着が低温にて発生することになる。特に粒子径が100nm以下の場合、セ氏150〜250度の加熱条件下において融着が進行する。
【0065】
配線材料11が微細な粒子により構成されている場合、粒間に存在する粒界の抵抗値が問題となる。粒子径は、できる限り大きいことが望ましいが、平均粒子径が50nm以下の粒子の場合には配線の厚さを確保することが難しくなるとともに、配線抵抗を低くすることも難しくなる。また、平均粒子径が300nmを超える場合には、粒子の肥大化に伴って空洞部が多くなり、配線密度が低下するため同様に配線の抵抗を低くすることが難しくなる。そのため、配線を構成する金属粒子の算術平均粒径は、50〜300nm位であることが望ましい。
【0066】
溶液状態で配線材料11を転写版15上に供給する場合、粘度が大きいと配線材料11の粘着力が作用して疎水部14にも配線パターンが形成されてしまったり、配線パターンが太くなってしまったりするおそれがあり、配線の絶縁性が低下してしまうという問題がある。このため、転写版15に配線材料11を転写する場合には、配線材料11の粘度が2mPa・s以下であることが望ましい。
【0067】
一方、基板10に対して転写された配線材料11aの粘度が低いと、配線パターンの形状が崩れて所望のパターンを得ることができなくおそれがある。特に、基板10表面の親水性がとても強い場合には配線材料11aが濡れ広がる可能性があり、また、基板10表面の疎水性がとても強い場合には配線材料11aを弾く箇所が多く発生してしまい、断線もしくは配線の太さが著しく不均一となってしまうおそれがある。このため、基板10に対して配線材料11aを転写する場合には、配線材料11aの粘度が1Pa・s以上であることが望ましい。
【0068】
なお、配線形成装置1において用いられる配線材料11は、電気配線に適用されるものに限定されるわけではなく、基板10上に光配線を布線する場合にも適用することが可能である。また電気配線に適用する場合も金属材料には限定されず、半導体材料や絶縁材料も含まれる。半導体材料は抵抗等のインピーダンスを特に必要としない領域や、機能部品の一部として利用することが可能であり、絶縁材料は高周波の導波路や電気的に隔離したい個所へのパターン形成において利用することが可能である。
【0069】
[実施例2]
図2は、本発明に係る第2の実施例を示した構成図である。
【0070】
実施例1においてすでに説明した構成と同様の構成または役割を奏する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。実施例2に係る配線形成装置1aは、実施例1において説明した配線形成装置1に対して、版胴ローラー5及び搬送ステージ8に設置されていたヒーターブロック6、7が設置されておらず、練りローラー3と供給ローラー4とにヒーターブロック20、21が設置されている点で相違する。練りローラー3及び供給ローラー4はヒーターブロック20、21によりともにセ氏80度に熱せられている。
【0071】
版胴ローラー5には、実施例1と同様に親疎水パターンが形成されたPETフィルムが転写版15として貼り付けられている。配線材料18は、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102 日本ペイント株式会社製)を400μlに対して、10wt%のポリビニルアルコール水溶液を増粘剤として10μl混入したものを用いた。
【0072】
実施例1と同様に、インク供給タンク2に蓄えられた配線材料18が供給開口2aより練りローラー3に供給されると、練りローラー3では、供給ローラー4とともに配線材料18を挟み込んで配線材料18を一定の厚みになるように引き延ばして供給ローラー4へ送る。供給ローラー4は、受け取った配線材料18をより薄く引き伸ばして版胴ローラー5に供給する。なお、配線材料18は練りローラー3及び供給ローラー4に設置されたヒーターブロック20、21により加熱されて、液状化状態となって粘度が低くなる。
【0073】
転写版15に供給された配線材料18は、版胴ローラー5にヒーターブロックが設置されていないため冷却される。冷却された配線材料18は、−OH基がポリマー間の分子と水素結合することによって架橋点を形成し、ゲル状態に変化する。冷却させることによって物理的なゲル状態に変化する材料として、水酸基を多く有する天然高分子である多糖類やたんぱく質が知られており、実施例2において使用した配線材料18に含まれるポリビニルアルコールや、寒天、ゼラチン等がこれに該当する。これらの材料は冷却させることで水素結合による架橋点を形成するため冷却によりゲル状態に変化させることが可能となる。このため、供給ローラー4から版胴ローラー5に配線材料18を供給する場合には、配線材料18を加熱することによって低粘度化させ、版胴ローラー5から基板10上に転写を行うときには配線材料18を急冷させることにより、すばやくゲル化を進行させて配線パターンの崩れを防止することが可能となる。
【0074】
基板10への転写後に、配線パターンの定着を図るためには、冷却されてゲル化した配線材料18aをゲル状態のまま揮発させて配線材料18aを乾燥させる必要がある。このため、ゲル状態に変化した配線材料18aは、基板10に転写された後に乾燥をして水分を揮発させる処理を行い、水分の揮発処理の後に基板をセ氏200度のオーブン9で30分程度加熱することによって硬化させて配線パターンを基板10上に定着させた。
【0075】
以上説明したように、配線材料18を基板10に転写する際に配線材料18をゲル状態に変化させることにより、実施例1に示したのと同様に、転写時に配線材料18aの粘度を上げて配線パターンの形状保持性を向上させることができる。
【0076】
なお、上述のように配線材料18aの揮発処理を行う方法を用いるのではなく、オーブン9の温度をステップ状に変化させ、セ氏80度でプリベークし乾燥させてから200度の温度で加熱して硬化させてもよい。インラインタイプのオーブンの場合にはオーブン内の複数個のヒーターを個々に最適な温度に設定することで同様に行うことが可能となる。
【0077】
また、配線材料18として、低粘度のペースト粘度からなる材料を用いることによって、微細な配線パターンに追従するように配線パターン形状を作製することができる。例えば、転写版15に親水部13と疎水部14とが形成されている場合、配線材料18aの粘着力によって疎水部14に配線材料18aが残らないようにするために配線材料18aの粘度を低くすることが望ましい。一方、転写時には配線材料18aに高い流動性が必要である。本発明に係る配線形成装置1aは、転写時に配線材料18aの粘度を高くすることが可能となるため、材料としてはタック性が必要とされる。
【0078】
[実施例3]
図3は、本発明に係る第3の実施例を示した構成図である。
【0079】
実施例1及び実施例2においてすでに説明した構成と同様の構成または役割を奏する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。実施例3に係る配線形成装置1bは、実施例1において説明した配線形成装置1に対して、版胴ローラー5及び搬送ステージ8に設置されていたヒーターブロック6、7が設置されておらず、版胴ローラー5へ供給された配線材料23に対して遮光ケース25と低圧水銀灯26とドクターブレード27とが設置されている点において相違する。
【0080】
版胴ローラー5には、実施例1と同様にして作製した親疎水パターンを付したPETフィルムを転写版15として貼り付けた。配線材料23として、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102日本ペイント株式会社製)を40mlに対して、アクリルアミドを10mg、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド1mgを混入したもの用い、この配線材料23をインク供給タンク2に入れた。インク供給タンク2に供給された配線材料23は、実施例1と同様にして版胴ローラー5に送られる。版胴ローラー5は、一部が遮光ケース25により遮光された状態となっており、遮光ケース25内に搬送された配線材料23には、低圧水銀灯26により発せられる照射波長0.254μmの紫外線が照射される。遮光ケース25は、低圧水銀灯26の紫外光が外部に漏れることを防止している。配線材料23は、紫外線を受けることによってゲル状態に変化する性質を有しており、版胴ローラー5の回転により遮光ケース25内を移動する配線材料23は、紫外線を浴びてゲル化した状態で基板10に転写される。基板10に転写された配線材料23aは、セ氏200度のオーブンで30分加熱されて基板10上に硬化定着させられる。
【0081】
このように、紫外線等の光照射により粘度が変わる配線材料23を用いて基板10への転写処理を行うことによって、実施例1、2と同様に、基板10に対して容易に配線材料23を転写させることが可能となる。また、基板10を加熱することにより転写直後に配線材料23aの発揮処理を行うことができるので配線パターンの形状保持性を向上させることができる。
【0082】
なお、配線形成装置1bにおいて、外光により配線材料23がゲル状態に変化するおそれもあるため、インク供給タンク2、練りローラー3、供給ローラー4を遮光ケース25内に収納して、十分に遮光した上で上述の処理を行うことも可能であり、このようにすることによって、外光による配線材料23のゲル化を防ぐことが可能となる。
【0083】
また、上記の方法による配線材料23のゲル化反応は、不可逆的に発生するため、使用時間が経つにつれてゲル化した材料量が増加して配線パターンの形状が崩れたり、配線材料の粘度が高くなったりする問題があるが、基板10に転写後にドクターブレード27を設けて転写版15上の余分なインクを除去することで解決することが出来る。
【0084】
[実施例4]
図4は、本発明に係る第1の実施例を示した構成図である。
【0085】
なお、実施例1乃至実施例3においてすでに説明した構成と同様の構成または役割を奏する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。実施例4に係る配線形成装置1cは、実施例1において説明した配線形成装置1に対して、版胴ローラー5に設置されていたヒーターブロック6を取り去ったものに該当する。
【0086】
版胴ローラー5には、実施例1と同様に親疎水パターンを付したPETフィルムを貼り付けた。配線材料30は、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102日本ペイント製)400μlを用いた。この配線材料30をインク供給タンク2に入れ、実施例1と同様に版胴ローラー5上に配線材料30を供給した。
【0087】
搬送ステージ8において、配線材料30が版胴ローラー5から基板10に対して転写される箇所近傍には、ヒートブロック7が設けられており、このヒートブロック7により転写処理前の基板10はセ氏70度程度まで加熱されている。基板10の表面に配線材料30が接触すると同時に配線材料30中の溶媒である水が揮発し、基板10上に銀ナノ粒子のみ付着する。その後、銀ナノ粒子のみが付着された基板10は、セ氏200度に加熱されたオーブン9で約30分加熱されて基板10上に配線パターンが定着硬化される。
【0088】
このように実施例4に係る配線形成装置1cを用いることによって、実施例1〜3と同様に、基板10に対して容易に配線材料30を転写させることが可能となる。また、転写時に配線材料30中の溶媒を揮発させて配線パターンの形状保持性を向上させることができる。
【0089】
なお、必ずしも、ヒートブロック7を搬送ステージ8に設ける必要はなく、配線材料30が基板10に接触したときに揮発すればよいので、搬送ローラー8で搬送させる前に、基板10を十分に加熱しておく方法を用いた場合にも、同様の効果を奏することが可能である。
【0090】
ちなみに、30度の温度状態にある基板10に対して、配線材料30を転写させた場合には、基板10上にナノ粒子を付着することはできなかった。また基板10を90℃に加熱した場合には、水が急速に気化するため、基板10上に転写されるパターン形状が崩れ、良好な配線パターンは得られなかった。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る配線形成装置及び配線形成方法を用いて、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度と、前記転写版より前記基板へ転写されるときの粘度とを変化させることによって、配線材料が低粘度のペーストの場合には、転写時に配線材料を増粘することにより基板上への転写処理を容易に行うことが可能となり、また、配線材料が高粘度のペーストの場合には、配線材料を低粘にすることにより基板への転写処理が容易となる。
【0092】
特に、増粘時に配線材料がゲル形状に変化することによって配線材料の粘弾性が大きくなり、配線材料が転写された基板における配線パターンの形状保持性能が向上する。配線材料を加熱し、または冷却することによって配線材料を増粘させることによって、特別な添加剤を加えたり特殊な処理を行ったりすることなく増粘させることができるので、簡易な構成からなる配線形成装置を用いて転写処理を容易に行うことが可能となる。
【0093】
また、エネルギー供給手段を用いて配線材料を冷却させて増粘させる場合には、基板への配線材料の転写時には加熱して低粘度にしてから転写を行い、基板上で急冷させることによってすばやくゲル化を進行させて配線パターンのパターン崩れを防止することができる。
【0094】
なお、配線材料に可溶性セルロースを混合させることにより、加熱することで配線材料を容易に増粘することができるとともに、材料としても環境にもやさしいため、配線形成装置への負荷も小さくすることができる。
【0095】
転写版を加熱して転写版の温度を上げておくことによって、転写時に転写版上の配線材料をゲル状態に変化させて粘度を増粘させることによって、基板上に対して配線パターンの形成された配線材料を、配線パターン形状を保ったまま転写することが容易となる。特に、配線材料の温度をセ氏50度〜70度に加熱することによって、パターン形状が崩れ難くなる。また、基板を加熱して基板に転写された配線材料の粘度を増粘させることによって、基板において安定した配線パターン形状を保つことが可能となるとともに、転写版上に残る配線材料の量を変化させることができるので、転写処理の連続性を向上させることが可能となる。さらに、基板に転写された配線材料を基板の熱により固体化することにより、配線材料を基板に転写後すぐに硬化させて配線パターン形状を基板に維持することが容易となる。
【0096】
なお、配線材料として化学反応により架橋結合してゲル状体に変化するものを用いることにより、材料選択性を広げることができ、さらに光反応・重合を利用して配線材料を架橋結合させることによって、転写処理中に配線材料を容易にゲル化させることが可能となる。
【0097】
また、円柱状ローラーの外面に転写版を設置することにより、転写時に転写版と基板との接触面積を低く抑えることができ、転写ギャップの制御を容易に行うことができる。さらに、転写版の配線パターンを親水部と疎水部とにより形成することによって、材料供給手段により配線材料が転写版に供給された場合に、親水部のみに配線材料を付着させて転写処理を行うことができるので、版表面の凹凸が小さくなり微細な配線パターンを形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【図2】図2は、実施例2に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【図3】図3は、実施例3に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【図4】図4は、実施例4に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 配線形成層値
2 インク供給タンク
3 練りローラー
4 供給ローラー
5 版胴ローラー
6、7、20、21 ヒーターブロック
8 搬送ステージ
9 オーブン
10 基板
11、11a、18、18a、23、23a、30 配線材料
13 親水部
14 疎水部
15 転写版
25 遮光ケース
26 低圧水銀灯
27 ドクターブレード
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写版に供給された配線材料を基板に転写させることが可能な配線形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基板上に配線やカラーフィルター等のパターンを形成する技術として、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成技術が知られている。このパターン形成技術は、微細なパターン形成を行う際に主に使用されている技術であり、特に半導体の回路形成においては不可欠な技術となっている。また、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成技術は、半導体よりも大きな基板に対して配線を形成する場合(例えば、プリント基板への配線形成等)においても用いられている。例えば、FR−4 (銅張ガラスエポキシ)等の樹脂基板上に銅はくが接着された基板に対してパターン形成を行う場合には、フォトリソグラフィーを用いて基板表面をエッチングすることによりパターンの形成を行う。
しかし、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成技術を用いた場合、パターン形成の際にエッジング処理等により不要な材料や廃液が生じるため、廃棄物の処理設備及び処理労力が要求されるという問題がある。この廃棄物処理問題を解決するため方法の1つとして、転写版に配線パターンを形成した後に、このパターンを基板上に転写させてパターン形成処理を行う方法が知られている。基板上にパターンを形成する場合、一般的な基板は保水性に乏しいため印刷性及び転写性を両立させた材料を用いるとともに適切なプロセスを経る必要が生じる。例えば、版面上のインキを被印刷体に転写するにあたり、外場(電場、磁場)に感応して粘度が上昇して半固体状あるいは固体状となるインキを版面上の所定箇所に配置し、版面上の所定箇所に配置されたインキの形状を保持した状態でインキを被印刷体に転写しうるように版面上に配置した後にインキに外場を印加して、インキを半固体状あるいは固体状に保持したまま被印刷体に転写する転写方法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−187927号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように外場によりインクの粘度を変化させる方法を用いる場合には、外場で粘性が変化する材料を配線材料として適用する必要がある。このような配線材料で配線が形成された場合、配線を流れる電流値によって配線の抵抗値が変動してしまうおそれがあるので、回路設計上問題がある。また、この問題は電気回路における配線処理だけに限定されるわけではなく、基板上に光配線を布線する場合にも配光が変化したり、磁場により変化する素材によっては透光性が低下したりする等の問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、抵抗値が変化しにくい配線材料を用いて、転写版への配線材料の印刷時と転写版から基板への配線材料の転写時とに配線材料の粘度を変化させることによって、一般的な基板に対して容易に配線材料を転写させることが可能な配線形成装置、配線形成方法を提供することを特徴とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、配線パターンを形成するように配置された配線材料を基板に転写する転写版と、該転写版に対して前記配線材料を供給する材料供給手段と、該材料供給手段により前記転写版に供給された前記配線材料に対してエネルギーを供給するエネルギー供給手段とを備え、前記エネルギー供給手段によって供給される前記エネルギーによって、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度が、前記転写版から前記基板へ転写されるときの粘度と異なる配線形成装置であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときよりも前記転写版から前記基板へ転写されるときの方が増粘していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記増粘した時にゲル状態となることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギー供給手段により供給されたエネルギーにより加熱されることによって増粘することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギー供給手段により供給されたエネルギーにより冷却されることによって増粘することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、可溶性セルロースを含んでいることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載の配線形成装置において、前記エネルギー供給手段が、前記転写版を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の配線形成装置において、前記エネルギー供給手段が、前記配線材料をセ氏50度〜70度に加熱することを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項4に記載の配線形成装置において、前記エネルギー供給手段が、前記基板を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギーにより加熱されて固体化することを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項3に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、化学反応により架橋結合して前記ゲル状態となることを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の配線形成装置において、前記配線材料が、前記エネルギー供給手段により前記エネルギーとして光を照射されることにより、化学反応を起こして架橋結合することを特徴とする。
【0018】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の配線形成装置において、前記転写版が、円柱状ローラーの外面に設置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の配線形成装置において、前記転写版が、浸水部と疎水部とにより配線パターンが形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項15に係る発明は、材料供給手段により配線パターンを形成するように転写版に供給された配線材料に対して、エネルギー供給手段によりエネルギーを供給し、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度を、前記転写版から前記基板へ転写されるときと異なる粘度にする配線形成方法であることを特徴とする。
【0021】
請求項16に係る発明は、請求項15に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度よりも、前記転写版から前記基板へ転写されるとき粘度の方を増粘させることを特徴とする。
【0022】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料をゲル状態に変化させて増粘させることを特徴とする。
【0023】
請求項18に係る発明は、請求項16または請求項17に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を加熱して増粘させることを特徴とする。
【0024】
請求項19に係る発明は、請求項16または請求項17に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を冷却して増粘させることを特徴とする。
【0025】
請求項20に係る発明は、請求項18に記載の配線形成方法において、前記配線材料が、可溶性セルロースを含んでいることを特徴とする。
【0026】
請求項21に係る発明は、請求項18に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記転写版を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0027】
請求項22に係る発明は、請求項21に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記配線材料をセ氏50度〜70度に加熱することを特徴とする。
【0028】
請求項23に係る発明は、請求項18に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記基板を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする。
【0029】
請求項24に係る発明は、請求項23に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段で前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を固体化させることを特徴とする。
【0030】
請求項25に係る発明は、請求項17に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより前記配線材料を、化学反応により架橋結合させて前記ゲル状態に変化させることを特徴とする。
【0031】
請求項26に係る発明は、請求項25に記載の配線形成方法において、前記エネルギー供給手段により前記エネルギーとして光を前記配線材料に照射することにより、前記配線材料を前記光の作用によって化学反応を起こさせて架橋結合させることを特徴とする。
【0032】
請求項27に係る発明は、請求項15乃至請求項26のいずれか1項に記載の配線形成方法において、前記転写版を、円柱状ローラーの外面に設置することを特徴とする。
【0033】
請求項28に係る発明は、請求項15乃至請求項27のいずれか1項に記載の配線形成方法において、前記転写版上に浸水部と疎水部とを形成することによって配線パターンを形成することを特徴とする。
【0034】
本発明に係る配線形成装置及び配線形成方法を用いることによって、エネルギー供給手段により供給されるエネルギーを用いて、配線材料の粘度を、配線材料が転写版から基板へ転写させるときと材料供給手段から転写版に供給されるときとで変化させることによって、基板に容易に配線材料を転写させることが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る配線形成装置を、図面を用いて説明する。
【0036】
[実施例1]
以下、図面を用いて本発明に係る配線形成装置について説明する。
【0037】
図1に示すように、本発明に係る配線形成装置1は、インク供給タンク2と、練りローラー3と、供給ローラー4と、版胴ローラー5と、ヒートブロック6、7と、搬送ステージ8と、オーブン9とを備えている。
【0038】
インク供給タンク2は、基板10に配線パターンを転写させるための配線材料11が収納される収納タンクであり、タンクの底部に形成される供給開口2aより、適量の配線材料11が練りローラー3へ供給される。
【0039】
練りローラー3は、配線材料11が供給ローラー4により版胴ローラー5に供給される際に、配線材料11が均一な膜厚で塗布されるように配線材料11を十分に練り込む役割を有している。練りローラー3により練り込まれた配線材料11は、供給ローラー4により配線形成に適した均一の厚さに延伸された後に、版胴ローラー5に供給される。
【0040】
版胴ローラー5は、熱伝導性を抑えるためにステンレスを母材として構成されており、ローラーの外面には、親水部13と疎水部14とによって配線パターンが形成された転写版15が取り付けられている。
【0041】
転写版15において配線パターンを形成するために、まず、PETフィルム上に親水性を有する感熱材料(含フッ素アクリレートTG−702 ダイキン工業株式会社製)を塗布し、セ氏90度のエチレングリコール中に30秒浸漬させて全面親水処理を行った。その後、半導体レーザ(松下電子工業株式会社製 LN9830)を用いてフィルム上に配線パターンを描画して疎水部を形成した。この処理を行うことによってPETフィルム上に親疎水性のパターンを形成することができ、親水部13の線幅を約20μmの線状のパターンとすることが可能となる。処理の行われたフィルムは、転写版15として版胴ローラー5に貼り付けられる。
【0042】
配線材料11は、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102日本ペイント株式会社製)を400μlに対して、5wt%セルロース水溶液(信越化学工業株式会社製メトローズを使用)10μlを増粘剤として混入したものを用いた。この配線材料11は、常温では液状であるが、加熱されるとゲル状態に変化する。ここでいうゲル状態とは、配線材料11が転写版15に供給される時には液状で存在し、基板10に転写されるときには粘弾性が大きくなり、良好なパターンが得られる状態を示しており、従来の印刷処理等において添加されるゲル化剤とは用途が異なる。転写版15上へ配線材料11を供給する前には、転写版15の親疎水性を利用して、または転写版15表面の凹凸に応じて形成される配線パターンに対して液状となった配線材料11を塗布することが可能であり、その後に配線材料11の粘弾性を上げることによって、基板10に配線材料11を転写するときに粘着性を利用して配線材料11を基板10に付着させて配線パターンを保持することが可能な状態となる。
【0043】
液状の配線材料11を版胴ローラー5に供給することによって、版胴ローラー5上の疎水部14には配線材料11が付着させずに親水部13のみに配線材料11を付着させることができ、転写処理において良好な配線パターンを基板10上に形成することが出来る。
【0044】
ヒーターブロック6は、版胴ローラー5内側の基板との当接部近傍に設置されており、版胴ローラー5から顕微鏡用プレパラートガラスよりなる基板10に対して配線材料11aを転写する際(図1において、ゲル状態に変化した配線材料は符号11aで示されている。)に配線材料11を加熱することによって材料の粘性を変化させる役割を有している。版胴ローラー5のヒーターブロック6設置箇所近傍は、セ氏70度程度に加熱されている。
【0045】
搬送ステージ8は、配線パターンを転写させるための基板10を版胴ローラー5へと搬送し、版胴ローラー5により配線パターンが転写された後に、基板10をオーブン9へと導く役割を有している。搬送ステージ8の版胴ローラー5近傍には基板10を底面側から加熱するためのヒーターブロック7が設けられており、配線材料11aが転写されるときに基板10が十分な温度(本発明の場合にはセ氏80度)となるように、ヒーターブロック7は搬送ステージ8を加熱する。
【0046】
オーブン9は、基板10に転写された配線パターンを基板10に定着させるために、パターン転写済の基板10を加熱する役割を有している。
【0047】
次に、基板10に配線パターンが形成されるまでの配線形成処理を説明する。
【0048】
まず、インク供給タンク2に蓄えられた配線材料11が供給開口2aより練りローラー3に供給されると、練りローラー3では、供給ローラー4とともに配線材料11を挟み込んで配線材料11を一定の厚みまで引き延ばして供給ローラー4に送る。供給ローラー4は、受け取った配線材料11をより薄く引き伸ばして版胴ローラー5に供給する。
【0049】
版胴ローラー5に供給された配線材料11は、ヒーターブロック6で加熱されてゲル状態に変化し、材料の粘度を上昇させる。具体的には、配線材料11が加熱されてメトローズ中のセルロース置換部が分子間で疎水和して架橋点を形成して流動性がなくなることによりゲル状態に変化する。
【0050】
ゲル状態に変化した配線材料11aは、版胴ローラー5によって搬送ステージ8上を走行する80度の基板10に転写される。搬送ステージ8には、ヒートブロック7が設けられているので、ヒートブロック6により加熱された配線材料11aは、基板10上に転写された後も増粘性を保つ。このため、転写時に配線パターンの形状が安定するとともに、転写版15上に残った配線材料11aの変化を少なくすることが可能となり、転写処理の連続性を高めることが可能となる。
【0051】
配線材料11aが転写された基板10は、その後搬送ステージ8によってオーブン9に搬送されて、200度で30分加熱されて硬化し、基板10に配線パターンが形成される。
【0052】
以上説明したように、本発明に係る配線形成装置1を用いることによって、転写時に配線材料11の粘度を上げて配線パターンの形状保持性を向上させることができる。特に、配線材料11に硬化剤が含まれている場合には、配線材料11を加熱させることによって架橋点を増大させることができるので、配線パターンの形状を容易に保持させることが可能となる。例えば、配線材料11が低粘度のペーストの場合、転写版15上で形成された配線パターンを基板10に転写させるときに配線材料11が濡れ広がることによってパターン形状が崩れてしまうことを防止することができる。
【0053】
また、配線材料11には可溶性のセルロース水溶液が混入されているため、配線材料11に特別な添加剤を混入したり特殊な処理手順を追加したりすることなく、加熱によって配線材料11を増粘させることができる。また、配線材料11として、メチルセルロースやたんぱく質類を用いた場合も同様に熱変性によって増粘させることが可能である。さらに、セルロースは、材料として環境にもやさしいものであるため、配線形成装置1への負荷を小さくすることができる。
【0054】
特に、本発明のように配線材料11に可溶性セルロースを混入させた場合には、セ氏50度以上に加熱すると配線材料11がゲル状態に変化する。転写版15上に配線材料11を供給した後に配線材料11をゲル状態に変化させることによって、微細な配線パターンに対して追従性の良い配線パターン形成を行うことができ、その後基板10に転写する際にゲル化にてパターン形状を保持することが容易となる。
【0055】
一方で、配線材料11の温度が高くなりすぎると配線材料11における溶媒の揮発が進行してしまい、溶媒として水を用いている場合には、温度がセ氏70度を超えたあたりから揮発性が高くなって気化時にパターン形状が崩れてしまうおそれがある。さらに、温度が高すぎる場合には、ゲル状態の配線材料11a中に含まれている水分が揮発してしまうため、配線材料11aが乾燥してしまい、転写ができなくなる場合もある、このため、配線材料11aの加熱温度はセ氏50度〜70度の温度で有ることが望ましい。
【0056】
また、加熱することによってゲル状態に変化した配線材料11aは、冷却によって材料の粘度が低下し、配線パターンの形状が崩れてしまうおそれがある。このため、基板10に転写された配線材料11aは、ゲル状態に変化したままの状態で乾燥もしくは硬化させることが望ましく、本発明のように基板10を加熱するヒーターブロック7を設置することによって、配線パターンを崩すことなく配線材料11aを乾燥または硬化させることが可能となる。
【0057】
また、ゲル状態に変化した配線材料11aは、化学反応によって架橋点が形成されているため、物理的に形成されるゲル状態に比べ材料選択性に優れるという利点を有している。このようなゲル化反応を行うものとして、アクリルアミドとN,N‘−メチレンビスアクリルアミドのように架橋と重合とが同時に行われるものやポリビニルアルコールのように高分子鎖を架橋するものが知られている。重合や反応を行う手法として、ラジカルを形成することで行うものや紫外線のような光を利用するもの、放射線による反応を利用するもの、その他プラズマやイオンによる反応を利用するもの等を用いることも可能である。
【0058】
また、転写版15が版胴ローラー5に設置されているので、転写時の接触面積を低く抑えることができ、転写ギャップの制御が容易になる。
【0059】
さらに、転写版15上に親疎水のパターンが構成されている場合には吸水性の差を利用して、疎水部14には配線材料を付着させず親水部13のみに付着させることができるので、転写版15の表面の凹凸を最小限に抑えつつ、微細な配線パターンを容易に形成することが可能となる。
【0060】
また、配線材料11aの粘度が高い状態で基板10の表面に配線材料11aが転写されるので、基板10表面に転写された配線材料11aの断面は、中央部に対して周辺部の厚みが大きくなった凹凸断面形状となる。凹凸断面形状の場合、高周波領域において電流密度が周辺に集中し易くなるので、抵抗値の上昇を低減させることが可能となる。
【0061】
なお、配線材料11は上述のものに限定されず、ナノ粒子を含んだ材料であるハリマ化成株式会社製ナノペーストNPS−Jを用いた場合であっても同様に配線パターンを形成することができ、この材料を用いた場合にはセ氏250度で1時間加熱することによって硬化処理を行うことができる。また、配線パターンを形成する転写版15に関しても、上述したものに限定されることはなく、同様なものとしてはPrestek社製の水無し転写版や酸化チタンを用いた親疎水性を有する転写版を用いることも有効である。さらに、転写版15は、版胴ローラー5に設置可能なもので有れば、平板、凸版、凹版を用いることが可能である。
【0062】
ヒーターブロック6、7の使用に関しても、上述した方式は一つの実施例に過ぎずこれに限定されるものではなく、配線材料を直接・間接に関わらず加熱すること可能であれば特定のヒートブロック以外の機器を用いて同様の効果を奏することが可能である。例えば、配線材料11に樹脂を含む場合には、マイクロ波による加熱方式を用いることができ、電磁誘導加熱を用いて版胴ローラー5を加熱する場合等には、セラミックヒーター等を用いることができる。さらに、赤外線や光ビーム、レーザ光源を用いて加熱することも可能である。
【0063】
基板10は、表面が粗い方が、配線材料11aが基板10上に転写されやすくてなって好ましいが、粗すぎるとその分配線パターンの厚みが大きくなるため、配線の厚みを考えると表面粗さが10nm以上200nm以下であることが望ましい。基板10の表面を粗くすることによって、配線材料11aが基板の粗面のくぼみに沿って密着するためアンカー効果が生じて配線パターン−の密着力を向上させることができる。
【0064】
また、配線材料11を構成する金属粒子は、100nm以下であることが望ましい。金属粒子が小さくなることによって、金属粒子表面積が大きくなるため、見かけ上の金属粒子の活性力が大きくなり、金属粒子同士の融着が低温にて発生することになる。特に粒子径が100nm以下の場合、セ氏150〜250度の加熱条件下において融着が進行する。
【0065】
配線材料11が微細な粒子により構成されている場合、粒間に存在する粒界の抵抗値が問題となる。粒子径は、できる限り大きいことが望ましいが、平均粒子径が50nm以下の粒子の場合には配線の厚さを確保することが難しくなるとともに、配線抵抗を低くすることも難しくなる。また、平均粒子径が300nmを超える場合には、粒子の肥大化に伴って空洞部が多くなり、配線密度が低下するため同様に配線の抵抗を低くすることが難しくなる。そのため、配線を構成する金属粒子の算術平均粒径は、50〜300nm位であることが望ましい。
【0066】
溶液状態で配線材料11を転写版15上に供給する場合、粘度が大きいと配線材料11の粘着力が作用して疎水部14にも配線パターンが形成されてしまったり、配線パターンが太くなってしまったりするおそれがあり、配線の絶縁性が低下してしまうという問題がある。このため、転写版15に配線材料11を転写する場合には、配線材料11の粘度が2mPa・s以下であることが望ましい。
【0067】
一方、基板10に対して転写された配線材料11aの粘度が低いと、配線パターンの形状が崩れて所望のパターンを得ることができなくおそれがある。特に、基板10表面の親水性がとても強い場合には配線材料11aが濡れ広がる可能性があり、また、基板10表面の疎水性がとても強い場合には配線材料11aを弾く箇所が多く発生してしまい、断線もしくは配線の太さが著しく不均一となってしまうおそれがある。このため、基板10に対して配線材料11aを転写する場合には、配線材料11aの粘度が1Pa・s以上であることが望ましい。
【0068】
なお、配線形成装置1において用いられる配線材料11は、電気配線に適用されるものに限定されるわけではなく、基板10上に光配線を布線する場合にも適用することが可能である。また電気配線に適用する場合も金属材料には限定されず、半導体材料や絶縁材料も含まれる。半導体材料は抵抗等のインピーダンスを特に必要としない領域や、機能部品の一部として利用することが可能であり、絶縁材料は高周波の導波路や電気的に隔離したい個所へのパターン形成において利用することが可能である。
【0069】
[実施例2]
図2は、本発明に係る第2の実施例を示した構成図である。
【0070】
実施例1においてすでに説明した構成と同様の構成または役割を奏する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。実施例2に係る配線形成装置1aは、実施例1において説明した配線形成装置1に対して、版胴ローラー5及び搬送ステージ8に設置されていたヒーターブロック6、7が設置されておらず、練りローラー3と供給ローラー4とにヒーターブロック20、21が設置されている点で相違する。練りローラー3及び供給ローラー4はヒーターブロック20、21によりともにセ氏80度に熱せられている。
【0071】
版胴ローラー5には、実施例1と同様に親疎水パターンが形成されたPETフィルムが転写版15として貼り付けられている。配線材料18は、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102 日本ペイント株式会社製)を400μlに対して、10wt%のポリビニルアルコール水溶液を増粘剤として10μl混入したものを用いた。
【0072】
実施例1と同様に、インク供給タンク2に蓄えられた配線材料18が供給開口2aより練りローラー3に供給されると、練りローラー3では、供給ローラー4とともに配線材料18を挟み込んで配線材料18を一定の厚みになるように引き延ばして供給ローラー4へ送る。供給ローラー4は、受け取った配線材料18をより薄く引き伸ばして版胴ローラー5に供給する。なお、配線材料18は練りローラー3及び供給ローラー4に設置されたヒーターブロック20、21により加熱されて、液状化状態となって粘度が低くなる。
【0073】
転写版15に供給された配線材料18は、版胴ローラー5にヒーターブロックが設置されていないため冷却される。冷却された配線材料18は、−OH基がポリマー間の分子と水素結合することによって架橋点を形成し、ゲル状態に変化する。冷却させることによって物理的なゲル状態に変化する材料として、水酸基を多く有する天然高分子である多糖類やたんぱく質が知られており、実施例2において使用した配線材料18に含まれるポリビニルアルコールや、寒天、ゼラチン等がこれに該当する。これらの材料は冷却させることで水素結合による架橋点を形成するため冷却によりゲル状態に変化させることが可能となる。このため、供給ローラー4から版胴ローラー5に配線材料18を供給する場合には、配線材料18を加熱することによって低粘度化させ、版胴ローラー5から基板10上に転写を行うときには配線材料18を急冷させることにより、すばやくゲル化を進行させて配線パターンの崩れを防止することが可能となる。
【0074】
基板10への転写後に、配線パターンの定着を図るためには、冷却されてゲル化した配線材料18aをゲル状態のまま揮発させて配線材料18aを乾燥させる必要がある。このため、ゲル状態に変化した配線材料18aは、基板10に転写された後に乾燥をして水分を揮発させる処理を行い、水分の揮発処理の後に基板をセ氏200度のオーブン9で30分程度加熱することによって硬化させて配線パターンを基板10上に定着させた。
【0075】
以上説明したように、配線材料18を基板10に転写する際に配線材料18をゲル状態に変化させることにより、実施例1に示したのと同様に、転写時に配線材料18aの粘度を上げて配線パターンの形状保持性を向上させることができる。
【0076】
なお、上述のように配線材料18aの揮発処理を行う方法を用いるのではなく、オーブン9の温度をステップ状に変化させ、セ氏80度でプリベークし乾燥させてから200度の温度で加熱して硬化させてもよい。インラインタイプのオーブンの場合にはオーブン内の複数個のヒーターを個々に最適な温度に設定することで同様に行うことが可能となる。
【0077】
また、配線材料18として、低粘度のペースト粘度からなる材料を用いることによって、微細な配線パターンに追従するように配線パターン形状を作製することができる。例えば、転写版15に親水部13と疎水部14とが形成されている場合、配線材料18aの粘着力によって疎水部14に配線材料18aが残らないようにするために配線材料18aの粘度を低くすることが望ましい。一方、転写時には配線材料18aに高い流動性が必要である。本発明に係る配線形成装置1aは、転写時に配線材料18aの粘度を高くすることが可能となるため、材料としてはタック性が必要とされる。
【0078】
[実施例3]
図3は、本発明に係る第3の実施例を示した構成図である。
【0079】
実施例1及び実施例2においてすでに説明した構成と同様の構成または役割を奏する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。実施例3に係る配線形成装置1bは、実施例1において説明した配線形成装置1に対して、版胴ローラー5及び搬送ステージ8に設置されていたヒーターブロック6、7が設置されておらず、版胴ローラー5へ供給された配線材料23に対して遮光ケース25と低圧水銀灯26とドクターブレード27とが設置されている点において相違する。
【0080】
版胴ローラー5には、実施例1と同様にして作製した親疎水パターンを付したPETフィルムを転写版15として貼り付けた。配線材料23として、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102日本ペイント株式会社製)を40mlに対して、アクリルアミドを10mg、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド1mgを混入したもの用い、この配線材料23をインク供給タンク2に入れた。インク供給タンク2に供給された配線材料23は、実施例1と同様にして版胴ローラー5に送られる。版胴ローラー5は、一部が遮光ケース25により遮光された状態となっており、遮光ケース25内に搬送された配線材料23には、低圧水銀灯26により発せられる照射波長0.254μmの紫外線が照射される。遮光ケース25は、低圧水銀灯26の紫外光が外部に漏れることを防止している。配線材料23は、紫外線を受けることによってゲル状態に変化する性質を有しており、版胴ローラー5の回転により遮光ケース25内を移動する配線材料23は、紫外線を浴びてゲル化した状態で基板10に転写される。基板10に転写された配線材料23aは、セ氏200度のオーブンで30分加熱されて基板10上に硬化定着させられる。
【0081】
このように、紫外線等の光照射により粘度が変わる配線材料23を用いて基板10への転写処理を行うことによって、実施例1、2と同様に、基板10に対して容易に配線材料23を転写させることが可能となる。また、基板10を加熱することにより転写直後に配線材料23aの発揮処理を行うことができるので配線パターンの形状保持性を向上させることができる。
【0082】
なお、配線形成装置1bにおいて、外光により配線材料23がゲル状態に変化するおそれもあるため、インク供給タンク2、練りローラー3、供給ローラー4を遮光ケース25内に収納して、十分に遮光した上で上述の処理を行うことも可能であり、このようにすることによって、外光による配線材料23のゲル化を防ぐことが可能となる。
【0083】
また、上記の方法による配線材料23のゲル化反応は、不可逆的に発生するため、使用時間が経つにつれてゲル化した材料量が増加して配線パターンの形状が崩れたり、配線材料の粘度が高くなったりする問題があるが、基板10に転写後にドクターブレード27を設けて転写版15上の余分なインクを除去することで解決することが出来る。
【0084】
[実施例4]
図4は、本発明に係る第1の実施例を示した構成図である。
【0085】
なお、実施例1乃至実施例3においてすでに説明した構成と同様の構成または役割を奏する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。実施例4に係る配線形成装置1cは、実施例1において説明した配線形成装置1に対して、版胴ローラー5に設置されていたヒーターブロック6を取り去ったものに該当する。
【0086】
版胴ローラー5には、実施例1と同様に親疎水パターンを付したPETフィルムを貼り付けた。配線材料30は、銀コロイド水溶液(ファインスフィアSVW102日本ペイント製)400μlを用いた。この配線材料30をインク供給タンク2に入れ、実施例1と同様に版胴ローラー5上に配線材料30を供給した。
【0087】
搬送ステージ8において、配線材料30が版胴ローラー5から基板10に対して転写される箇所近傍には、ヒートブロック7が設けられており、このヒートブロック7により転写処理前の基板10はセ氏70度程度まで加熱されている。基板10の表面に配線材料30が接触すると同時に配線材料30中の溶媒である水が揮発し、基板10上に銀ナノ粒子のみ付着する。その後、銀ナノ粒子のみが付着された基板10は、セ氏200度に加熱されたオーブン9で約30分加熱されて基板10上に配線パターンが定着硬化される。
【0088】
このように実施例4に係る配線形成装置1cを用いることによって、実施例1〜3と同様に、基板10に対して容易に配線材料30を転写させることが可能となる。また、転写時に配線材料30中の溶媒を揮発させて配線パターンの形状保持性を向上させることができる。
【0089】
なお、必ずしも、ヒートブロック7を搬送ステージ8に設ける必要はなく、配線材料30が基板10に接触したときに揮発すればよいので、搬送ローラー8で搬送させる前に、基板10を十分に加熱しておく方法を用いた場合にも、同様の効果を奏することが可能である。
【0090】
ちなみに、30度の温度状態にある基板10に対して、配線材料30を転写させた場合には、基板10上にナノ粒子を付着することはできなかった。また基板10を90℃に加熱した場合には、水が急速に気化するため、基板10上に転写されるパターン形状が崩れ、良好な配線パターンは得られなかった。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る配線形成装置及び配線形成方法を用いて、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度と、前記転写版より前記基板へ転写されるときの粘度とを変化させることによって、配線材料が低粘度のペーストの場合には、転写時に配線材料を増粘することにより基板上への転写処理を容易に行うことが可能となり、また、配線材料が高粘度のペーストの場合には、配線材料を低粘にすることにより基板への転写処理が容易となる。
【0092】
特に、増粘時に配線材料がゲル形状に変化することによって配線材料の粘弾性が大きくなり、配線材料が転写された基板における配線パターンの形状保持性能が向上する。配線材料を加熱し、または冷却することによって配線材料を増粘させることによって、特別な添加剤を加えたり特殊な処理を行ったりすることなく増粘させることができるので、簡易な構成からなる配線形成装置を用いて転写処理を容易に行うことが可能となる。
【0093】
また、エネルギー供給手段を用いて配線材料を冷却させて増粘させる場合には、基板への配線材料の転写時には加熱して低粘度にしてから転写を行い、基板上で急冷させることによってすばやくゲル化を進行させて配線パターンのパターン崩れを防止することができる。
【0094】
なお、配線材料に可溶性セルロースを混合させることにより、加熱することで配線材料を容易に増粘することができるとともに、材料としても環境にもやさしいため、配線形成装置への負荷も小さくすることができる。
【0095】
転写版を加熱して転写版の温度を上げておくことによって、転写時に転写版上の配線材料をゲル状態に変化させて粘度を増粘させることによって、基板上に対して配線パターンの形成された配線材料を、配線パターン形状を保ったまま転写することが容易となる。特に、配線材料の温度をセ氏50度〜70度に加熱することによって、パターン形状が崩れ難くなる。また、基板を加熱して基板に転写された配線材料の粘度を増粘させることによって、基板において安定した配線パターン形状を保つことが可能となるとともに、転写版上に残る配線材料の量を変化させることができるので、転写処理の連続性を向上させることが可能となる。さらに、基板に転写された配線材料を基板の熱により固体化することにより、配線材料を基板に転写後すぐに硬化させて配線パターン形状を基板に維持することが容易となる。
【0096】
なお、配線材料として化学反応により架橋結合してゲル状体に変化するものを用いることにより、材料選択性を広げることができ、さらに光反応・重合を利用して配線材料を架橋結合させることによって、転写処理中に配線材料を容易にゲル化させることが可能となる。
【0097】
また、円柱状ローラーの外面に転写版を設置することにより、転写時に転写版と基板との接触面積を低く抑えることができ、転写ギャップの制御を容易に行うことができる。さらに、転写版の配線パターンを親水部と疎水部とにより形成することによって、材料供給手段により配線材料が転写版に供給された場合に、親水部のみに配線材料を付着させて転写処理を行うことができるので、版表面の凹凸が小さくなり微細な配線パターンを形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【図2】図2は、実施例2に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【図3】図3は、実施例3に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【図4】図4は、実施例4に示した配線形成装置の構成を示した概略図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 配線形成層値
2 インク供給タンク
3 練りローラー
4 供給ローラー
5 版胴ローラー
6、7、20、21 ヒーターブロック
8 搬送ステージ
9 オーブン
10 基板
11、11a、18、18a、23、23a、30 配線材料
13 親水部
14 疎水部
15 転写版
25 遮光ケース
26 低圧水銀灯
27 ドクターブレード
Claims (28)
- 配線パターンを形成するように配置された配線材料を基板に転写する転写版と、該転写版に対して前記配線材料を供給する材料供給手段と、該材料供給手段により前記転写版に供給された前記配線材料に対してエネルギーを供給するエネルギー供給手段とを備え、前記エネルギー供給手段によって供給される前記エネルギーによって、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度が、前記転写版から前記基板へ転写されるときの粘度と異なることを特徴とする配線形成装置。
- 前記配線材料は、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときよりも前記転写版から前記基板へ転写されるときの方が増粘していることを特徴とする請求項1に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、前記増粘した時にゲル状態となることを特徴とする請求項2に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、前記エネルギー供給手段により供給されたエネルギーにより加熱されることによって増粘することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、前記エネルギー供給手段により供給されたエネルギーにより冷却されることによって増粘することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、可溶性セルロースを含んでいることを特徴とする請求項4に記載の配線形成装置。
- 前記エネルギー供給手段は、前記転写版を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする請求項4に記載の配線形成装置。
- 前記エネルギー供給手段は、前記配線材料をセ氏50度〜70度に加熱することを特徴とする請求項7に記載の配線形成装置。
- 前記エネルギー供給手段は、前記基板を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする請求項4に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、前記エネルギーにより加熱されて固体化することを特徴とする請求項9に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、化学反応により架橋結合して前記ゲル状態となることを特徴とする請求項3に記載の配線形成装置。
- 前記配線材料は、前記エネルギー供給手段により前記エネルギーとして光を照射されることにより、化学反応を起こして架橋結合することを特徴とする請求項11に記載の配線形成装置。
- 前記転写版は、円柱状ローラーの外面に設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の配線形成装置。
- 前記転写版は、浸水部と疎水部とにより配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の配線形成装置。
- 材料供給手段により配線パターンを形成するように転写版に供給された配線材料に対して、エネルギー供給手段によりエネルギーを供給し、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度を、前記転写版から前記基板へ転写されるときと異なる粘度にすることを特徴とする配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記材料供給手段から前記転写版へ供給されるときの前記配線材料の粘度よりも、前記転写版から前記基板へ転写されるとき粘度の方を増粘させることを特徴とする請求項15に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、
前記配線材料をゲル状態に変化させて増粘させることを特徴とする請求項16に記載の配線形成方法。 - 前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を加熱して増粘させることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を冷却して増粘させることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の配線形成方法。
- 前記配線材料は、可溶性セルロースを含んでいることを特徴とする請求項18に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段で前記転写版を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする請求項18に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段で前記配線材料をセ氏50度〜70度に加熱することを特徴とする請求項21に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段で前記基板を加熱することにより前記配線材料に前記エネルギーを供給することを特徴とする請求項18に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段で前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより、前記配線材料を固体化させることを特徴とする請求項23に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段により前記配線材料に前記エネルギーを供給することにより前記配線材料を、化学反応により架橋結合させて前記ゲル状態に変化させることを特徴とする請求項17に記載の配線形成方法。
- 前記エネルギー供給手段により前記エネルギーとして光を前記配線材料に照射することにより、前記配線材料を前記光の作用によって化学反応を起こさせて架橋結合させることを特徴とする請求項25に記載の配線形成方法。
- 前記転写版を、円柱状ローラーの外面に設置することを特徴とする請求項15乃至請求項26のいずれか1項に記載の配線形成方法。
- 前記転写版上に浸水部と疎水部とを形成することによって配線パターンを形成することを特徴とする請求項15乃至請求項27のいずれか1項に記載の配線形成方法。
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