JP2004342482A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料極と酸化剤極との差圧制御および、系内の耐圧制御を、これらに対応する二つの弁機構を別々に設けることなく行えるようにする。
【解決手段】水素供給配管11内の圧力が所定値以上となったときに安全弁部43における弁体51が上昇して水素放出口47aから水素を系外へ放出する。一方、差圧弁部45は、水素圧力導入配管65から水素圧力導入空間61に導入する水素の圧力が、空気圧力導入配管67から空気圧力導入空間63に導入する空気の圧力より高くなったときに、ピストン59が上昇して差圧を制御する。この差圧弁部45のピストン59と、安全弁部43の弁体51とを、連結ロッド69および弁体作動用フランジ71によって連結する。弁体作動用フランジ71は弁体51に対して遊びを持って連結しており、空気系と水素系との圧力差に影響を受けることなく、弁体51の作動が可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】水素供給配管11内の圧力が所定値以上となったときに安全弁部43における弁体51が上昇して水素放出口47aから水素を系外へ放出する。一方、差圧弁部45は、水素圧力導入配管65から水素圧力導入空間61に導入する水素の圧力が、空気圧力導入配管67から空気圧力導入空間63に導入する空気の圧力より高くなったときに、ピストン59が上昇して差圧を制御する。この差圧弁部45のピストン59と、安全弁部43の弁体51とを、連結ロッド69および弁体作動用フランジ71によって連結する。弁体作動用フランジ71は弁体51に対して遊びを持って連結しており、空気系と水素系との圧力差に影響を受けることなく、弁体51の作動が可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、酸化剤である空気の供給を受けるとともに、燃料である水素の供給を受けて発電する発電手段を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムにおける発電手段に用いる高分子膜は、燃料極(水素極)と酸化剤極(空気極)との間の差圧によって、発電手段の機能低下を引き起こすことが考えられる。そのため、運転時には燃料極と酸化剤極との間の圧力差を圧力制御弁などで制御する必要がある。
【0003】
このような制御を簡便に行うものとして、燃料極と酸化剤極との圧力差を機械的に制御する弁を設ける方法が、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−81158号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムの圧力制御要素に要求される機能としては、上述の差圧制御の他にも、システム全体の耐圧の制限から、一般に安全弁を系内に設け、系内の圧力が所定値以上に上昇した場合には、機械的に系外へ流体を放出する機能を設ける必要がある。
【0006】
しかし、上述した特許文献1におけるような差圧制御用の弁を設けた場合、燃料極と酸化剤極との間の圧力差による制御は可能であるが、システムの耐圧に対する安全性については確保されないため、差圧制御用の弁とは別に、通常の安全弁を設ける必要があり、このような二つの弁機構を別々に設けることは、部品のレイアウト上課題となる。
【0007】
そこで、この発明は、燃料極と酸化剤極との差圧制御および、系内の耐圧制御を、これらに対応する二つの弁機構を別々に設けることなく行えるようにすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、酸化剤である空気を供給する空気供給手段と、燃料である水素を供給する水素供給手段と、前記空気供給手段から供給される空気および前記水素供給手段から供給される水素を元に発電する発電手段と、前記水素供給手段から供給される水素の圧力が所定値以上になると移動し、水素を系外に放出させる放出口を開口させる弁体を備えた安全弁機構と、をそれぞれ有する燃料電池システムにおいて、前記安全弁機構は、前記空気供給手段から供給する空気の圧力および前記水素供給手段から供給する水素の圧力をそれぞれ導入する圧力導入部と、この圧力導入部に導入した水素および空気の各圧力相互の差圧で移動するピストンと、このピストンと前記弁体とを、前記ピストンが、前記水素の圧力が高まった場合に、前記弁体が前記放出口を開口させる方向に移動するよう接続する接続手段と、をそれぞれ有する構成としてある。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、安全弁機構として、空気と水素との差圧によって移動するピストンと、水素の圧力が所定値以上になると移動し、水素を系外に放出させる放出口を開口させる弁体とを、接続手段を介して接続するようにしたので、燃料電池システム内の異常昇圧時に余剰流体を系外に放出する動作と、空気と水素との差圧によって余剰流体を系外に放出する動作とを、二つの弁機構を別々に設けることなく実施することができ、部品のレイアウト性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、この発明の第1の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。発電手段としての燃料電池1は、酸化剤である空気の供給を受ける空気極3と燃料である水素の供給を受ける水素極5とをそれぞれ備えている。空気極3には、空気供給配管7および空気排出配管9をそれぞれ接続し、水素極5には、水素供給配管11および水素排出配管13をそれぞれ接続する。
【0012】
空気供給配管7には、その上流側から、エアフィルタ15,エアフローメータ17,圧縮機モータ19を備えた圧縮機21,空気側差圧安全弁23をそれぞれ設け、空気排出配管9には空気圧力制御弁25を設ける。上記したエアフィルタ15,エアフローメータ17,圧縮機21により空気供給手段を構成している。
【0013】
一方、水素供給配管11には、その上流側から、水素タンク27,水素圧力制御弁29,水素循環装置31,水素側差圧安全弁33をそれぞれ設けている。水素タンク27,水素圧力制御弁29,水素循環装置31により水素供給手段を構成している。水素排出配管13は、水素循環配管35によって水素循環装置31に接続し、水素極5で消費しきれなかった水素を水素循環装置31によって循環させて水素極5に供給する。
【0014】
また、燃料電池1の運転中に空気極3から水素極5へ空気に含まれる窒素が浸入するので、この窒素を除去するために、水素排出配管13にパージ配管37を接続するとともに、水素循環配管35およびパージ配管37にパージ手段39および41をそれぞれ設ける。
【0015】
なお、上記した空気が通過する部分を空気系、水素が通過する部分を水素系とする。
【0016】
前記した空気供給手段は、エアフィルタ15にて清浄した空気をエアフローメータ17で流量を測定し、所定流量となるよう圧縮機21にて空気を燃料電池1に供給する。このとき、空気圧力制御弁25によって、空気系内の圧力が所定の圧力となるよう弁開度を制御する。
【0017】
一方、水素供給手段は、水素タンク27から供給する高圧水素を水素圧力制御弁29で所定の圧力に減圧した後、燃料電池1に供給する。燃料電池1に供給し水素は、全てが発電に使用される訳ではないため、ポンプなどの水素循環装置31にて水素系内を循環させ、再利用する。
【0018】
また、燃料電池1の運転中に空気極3から水素極5へ、空気に含まれる窒素が浸入すると、この窒素をパージ配管37およびパージ手段39,41が除去して水素循環装置31への流入を防止する。
【0019】
前記した空気系および水素系にそれぞれ設置してある空気側差圧安全弁23および水素側差圧安全弁33は、安全弁機構を構成していて、基本的な構造は同様であり、ここでは水素側差圧安全弁33の内部構造を一例として図2に断面図として示す。
【0020】
この水素側差圧安全弁33は、安全弁部43と差圧弁部45とが一体となっている。
【0021】
安全弁部43は、安全弁ハウジング47を、その内部が水素供給配管11に開口49を通して連通するよう接続している。安全弁ハウジング47内には、弁体51を図2中で上下動可能に収容し、この弁体51を安全弁スプリング53によって開口49側に押し付けている。弁体51と開口49周囲の水素供給配管11との間および、弁体51と安全弁ハウジング47の内壁との間は、弁体51に取り付けてあるシール材55によってシールする。
【0022】
また、安全弁ハウジング47の水素供給配管11近傍には、水素放出口47aを複数設けてあり、水素供給配管11内の圧力が所定値以上となった場合に、弁体51が安全弁スプリング53に抗して移動し、水素放出口47aを開口させて余剰の水素を系外へ放出する。
【0023】
一方、差圧弁部45は、差圧弁ハウジング57内に、ピストン59を図2中で上下動可能に収容し、ピストン59の安全弁部43側に水素圧力導入空間61を、安全弁部43と反対側に空気圧力導入空間63を、圧力導入部としてそれぞれ形成する。ピストン59は、その外周部に取り付けてあるシール材64によって、水素圧力導入空間61と空気圧力導入空間63とを互いにシールしており、水素および空気の各流体が混ざることはない。
【0024】
上記した水素圧力導入空間61に水素圧力導入配管65の一端を接続し、水素圧力導入配管65の他端を、図1に示すように、水素側差圧安全弁33と燃料電池1との間の水素供給配管11に接続する。一方、空気圧力導入空間63には空気圧力導入配管67の一端を接続し、空気圧力導入配管67の他端を、図1に示すように、空気側差圧安全弁23と燃料電池1との間の空気供給配管7に接続する。
【0025】
すなわち、前記したピストン59は、空気供給手段から供給する空気の圧力および水素供給手段から供給する水素の圧力をそれぞれ圧力導入部に導入してこれら両圧力相互間の差圧で移動する。
【0026】
前記したピストン59は、水素圧力導入空間61側に連結ロッド69の一端を連結し、連結ロッド69の他端は、安全弁ハウジング47内に貫通孔47aを通して移動可能に挿入してある。
【0027】
上記した連結ロッド69の安全弁ハウジング47内に挿入した側の端部には、弁体作動用フランジ71を設けてある。一方、前記した弁体51内には、弁体作動用フランジ71が移動できるように、弁体作動用フランジ移動空間51aを形成してある。弁体作動用フランジ移動空間51aは連通孔51bを通して安全弁ハウジング47内に連通しており、この連通孔51bに前記した連結ロッド69を挿入してある。連通孔51bの孔径は、弁体作動用フランジ71の外径より小さくしてあり、連結ロッド69が安全弁ハウジング47の外部に引き出される方向に移動したときに、弁体作動用フランジ71が連通孔51b周囲の上部内壁51cに当接する。
【0028】
図2に示す状態は、空気系と水素系との間の圧力差が所定値未満で、かつ水素系の圧力が所定値未満であり、この状態で、前記した弁体作動用フランジ71は弁体作動用フランジ移動空間51aのほぼ中央に位置し、上部内壁51cおよび下部内壁51dとのいずれに対しても離間している。
【0029】
また、連結ロッド69の周囲にはストッパ73を固定してあり、このストッパ73は、上記図2に示す状態で、安全弁ハウジング47の上部外面に接する位置にある。すなわち、このストッパ73は、空気圧力導入空間63に導入する空気の圧力が高まった場合に、ピストン59が図2の状態より水素圧力導入空間61側へ向かう移動の規制を行う。
【0030】
上記した連結ロッド69および弁体作動用フランジ71は、ピストン59と弁体51とを接続する接続手段を構成している。この接続手段は、前記したように、弁体作動用フランジ71が、弁体作動用フランジ移動空間51aの上下各内壁51c,51dに対して離間していることから、弁体51とピストン59とを、これら両者間にピストン59の移動方向に所定の遊びを持った状態で接続することになる。
【0031】
上記図2においては、水素側差圧安全弁33として説明したが、これを空気側差圧安全弁23として使用する場合は、図2における水素供給配管11が空気供給配管7となり、同水素圧力導入空間61および空気圧力導入空間63が、図1に示すように、それぞれ空気圧力導入空間75および水素圧力導入空間77となる。そして、この空気圧力導入空間75を空気圧力導入配管79により前記した空気圧力導入配管67に接続し、さらに水素圧力導入空間77を水素圧力導入配管81により前記した水素圧力導入配管65に接続する。
【0032】
図3は、水素供給配管11内の水素圧力が所定値以上に上昇した場合の水素側差圧安全弁33の動作を示している。この場合、水素供給配管11内の圧力によって弁体51が安全弁スプリング53に抗して移動し、これによって開口する水素放出口47aから余剰水素を系外へ放出し、系内の圧力を下げる。
【0033】
このとき、弁体51の弁体作動用フランジ移動空間51aにおける下部内壁51dと弁体作動用フランジ71とは、図2に示すように離間した状態にあるので、弁体51が水素圧力の上昇によって図3のように移動しても、空気系と水素系との差圧が所定値未満(燃料電池1の高分子膜に影響が現れない範囲とすることが望ましい)であれば、この差圧に影響されることなく、弁体51は水素供給配管11内の水素圧力によって動作することができる。
【0034】
図4は、水素供給配管11および空気供給配管7内の各圧力が所定未満であるが、水素供給配管11内の水素圧力が空気供給配管7内の空気圧力より所定値以上高くなった場合の水素側差圧安全弁33の動作を示している。
【0035】
このように水素系内の圧力が空気系内の圧力より所定値以上高くなると、ピストン59は、図2の状態から空気圧力導入空間63側に移動する。このピストン59の移動により、弁体作動用フランジ71は弁体作動用フランジ移動空間51aの上部内壁51cに当接し、弁体51を同方向に移動させる。この弁体51の移動により、水素放出口47aが図4に示すように開口し、余剰水素を系外へ放出する。
【0036】
逆に、空気系内の圧力が水素系内の圧力より高くなると、ピストン59は、図2の状態から水素圧力導入空間61側に移動しようとするが、連結ロッド69に固定してあるストッパ73が安全弁ハウジング47の上部外面に接触していることから、この移動を規制し、図2の状態を保持したままとなる。したがって、この場合においても、空気系と水素系との圧力差に影響を受けることなく、弁体51の作動が可能となる。
【0037】
図5は、図1に示した燃料電池システムに対する比較例を示している。これは、空気供給配管7および水素供給配管11に、差圧検出手段83および85をそれぞれ設け、空気系と水素系との差圧が大きい場合には、空気排出配管9および水素排出配管13にそれぞれ設けた差圧制御弁87および89を開として各流体を系外へ放出する。
【0038】
この比較例では、システム電源が切断された場合には動作することができないといった課題がある。
【0039】
また、別の比較例として、図6は、空気供給配管7および水素供給配管11におけるそれぞれの任意の一点での圧力相互を、機械的に同時に釣り合わせる手段91を設けている。この比較例では、システム耐圧に対する系内の圧力上昇には、別途安全弁を設けなければならず、部品のレイアウト上課題となる。
【0040】
これら各比較例に対し、前記図1に示した第1の実施形態では、系内の圧力による余剰流体の系外への放出を行う安全弁部43と、空気系と水素系との差圧による余剰流体の系外への放出を行う差圧弁部45とを、接続手段で接続して一体化している。
【0041】
このため、安全弁機構と差圧制御手段とを個別に設けることなく、すなわち部品のレイアウト上課題となることなく、空気系および水素系の異常圧力上昇、ならびに両系内相互の差圧による余剰流体の系外への放出が可能となる。
【0042】
さらに、機械的な機構によって、差圧による余剰流体の系外への放出を行うため、システム故障時などにシステム電源が切断された状況下においても、確実に余剰流体の系外への放出を行うことができる。
【0043】
また、ピストン59と弁体51とは、遊びを持った状態で接続しているため、常時接続された状態にはならず、空気系と水素系との所定の範囲内での差圧に拘わらず、システム内の圧力によって安全弁51を作動させることができる。
【0044】
また、ピストン59と弁体51とを接続する連結ロッド69にストッパ73を設けているため、弁体51を閉じる方向に差圧が発生した場合でも、弁体51の動作圧力は変化することがなく、所定のシステム内圧力によって弁体51を作動させることができる。
【0045】
図7は、この発明の第2の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。この実施形態は、図1に示した燃料電池システムにおいて、燃料電池1と空気側差圧安全弁23との間の空気供給配管7および、燃料電池1と水素側差圧安全弁33との間の水素供給配管11に、圧力センサ93および95をそれぞれ設けている。この各圧力センサ93,95は、空気供給手段から供給する空気の圧力と水素供給手段から供給する水素の圧力との差圧を検出する差圧検出手段を構成している。
【0046】
そして、図8に示すように、水素側差圧安全弁33における安全弁部43と差圧弁部45との間の連結ロッド69の周囲には、通電によって連結ロッド69を移動させる比例ソレノイド97を設けてある。この比例ソレノイド97は、図示していないが、空気側差圧安全弁23についても同様に設けることができる。
【0047】
上記した比例ソレノイド97は、圧力センサ93,95がそれぞれ検出する空気系と水素系との間の任意の差圧によってピストン59を移動させる移動手段を構成している。その他の構成は、図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0048】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の動作を行うとともに、比例ソレノイド97によってピストン59を移動させて弁体51を安全弁スプリング53に抗して動作させ、余剰流体を積極的に系外へ放出するため、より正確に燃料電池1の機能低下を防ぐことができる。
【0049】
また、弁体51を動かす差圧を任意に設定できるため、システム上最も効率のよい任意の差圧に設定することができる。
【0050】
図9は、この発明の第3の実施形態を示す水素側差圧安全弁33の断面図である。この実施形態は、水素圧力導入空間61におけるピストン59の受圧面積を空気圧力導入空間63における同受圧面積より小さくしている。その他の構成は、図2に示した第1の実施形態と同様である。
【0051】
この場合、水素系の圧力がより高圧時にピストン59を動作させることができ、空気系に比べより高圧となる水素系部分に水素側差圧安全弁33を設けることができる。このように、水素圧力導入空間61および空気導入空間63におけるピストン59の受圧面積を任意に工夫することによって、水素側差圧安全弁33をシステム内の任意の位置に設けることができる。
【0052】
なお、上記したピストン59の受圧面積を変えずに、図2に示した水素側差圧安全弁33の空気圧力導入空間63に、ピストン59を水素圧力導入空間61側に押し付けるスプリングを設けることで、図9に示した第3の実施形態と同様の効果を得ることできる。すなわち、図2の構造において、空気圧力導入空間63にスプリングを設けることで、水素系の圧力がより高圧時にピストン59を動作させることができる。
【0053】
上記した第3の実施形態は、空気側差圧安全弁23についても適用できる。すなわち、この場合には、空気系の圧力がより高圧時にピストン59を動作させることができ、水素系に比べより高圧となる空気系部分に空気側差圧安全弁23を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の燃料電池システムにおける水素側差圧安全弁の内部構造を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態の燃料電池システムにおける水素系の圧力が所定値以上に上昇した場合の水素側差圧安全弁の動作説明図である。
【図4】第1の実施形態の燃料電池システムにおける水素系の圧力が空気系の圧力より所定値以上高くなった場合の水素側差圧安全弁の動作説明図である。
【図5】第1の実施形態に対する比較例を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図6】第1の実施形態に対する他の比較例を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図7】この発明の第2の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図8】第2の実施形態の燃料電池システムにおける水素側差圧安全弁の内部構造を示す断面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態を示す水素側差圧安全弁の断面図である。
【符号の説明】
1 燃料電池(発電手段)
15 エアフィルタ(空気供給手段)
17 エアフローメータ(空気供給手段)
21 圧縮機(空気供給手段)
23 空気側差圧安全弁(安全弁機構)
27 水素タンク(水素供給手段)
29 水素圧力制御弁(水素供給手段)
31 水素循環装置(水素供給手段)
33 水素側差圧安全弁(安全弁機構)
47a 水素放出口(放出口)
51 弁体
59 ピストン
61,77 水素圧力導入空間(圧力導入部)
63,75 空気圧力導入空間(圧力導入部)
69 連結ロッド(接続手段)
71 弁体作動用フランジ(接続手段)
73 ストッパ
93,95 圧力センサ(差圧検出手段)
97 比例ソレノイド(移動手段)
【発明の属する技術分野】
この発明は、酸化剤である空気の供給を受けるとともに、燃料である水素の供給を受けて発電する発電手段を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムにおける発電手段に用いる高分子膜は、燃料極(水素極)と酸化剤極(空気極)との間の差圧によって、発電手段の機能低下を引き起こすことが考えられる。そのため、運転時には燃料極と酸化剤極との間の圧力差を圧力制御弁などで制御する必要がある。
【0003】
このような制御を簡便に行うものとして、燃料極と酸化剤極との圧力差を機械的に制御する弁を設ける方法が、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−81158号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムの圧力制御要素に要求される機能としては、上述の差圧制御の他にも、システム全体の耐圧の制限から、一般に安全弁を系内に設け、系内の圧力が所定値以上に上昇した場合には、機械的に系外へ流体を放出する機能を設ける必要がある。
【0006】
しかし、上述した特許文献1におけるような差圧制御用の弁を設けた場合、燃料極と酸化剤極との間の圧力差による制御は可能であるが、システムの耐圧に対する安全性については確保されないため、差圧制御用の弁とは別に、通常の安全弁を設ける必要があり、このような二つの弁機構を別々に設けることは、部品のレイアウト上課題となる。
【0007】
そこで、この発明は、燃料極と酸化剤極との差圧制御および、系内の耐圧制御を、これらに対応する二つの弁機構を別々に設けることなく行えるようにすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、酸化剤である空気を供給する空気供給手段と、燃料である水素を供給する水素供給手段と、前記空気供給手段から供給される空気および前記水素供給手段から供給される水素を元に発電する発電手段と、前記水素供給手段から供給される水素の圧力が所定値以上になると移動し、水素を系外に放出させる放出口を開口させる弁体を備えた安全弁機構と、をそれぞれ有する燃料電池システムにおいて、前記安全弁機構は、前記空気供給手段から供給する空気の圧力および前記水素供給手段から供給する水素の圧力をそれぞれ導入する圧力導入部と、この圧力導入部に導入した水素および空気の各圧力相互の差圧で移動するピストンと、このピストンと前記弁体とを、前記ピストンが、前記水素の圧力が高まった場合に、前記弁体が前記放出口を開口させる方向に移動するよう接続する接続手段と、をそれぞれ有する構成としてある。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、安全弁機構として、空気と水素との差圧によって移動するピストンと、水素の圧力が所定値以上になると移動し、水素を系外に放出させる放出口を開口させる弁体とを、接続手段を介して接続するようにしたので、燃料電池システム内の異常昇圧時に余剰流体を系外に放出する動作と、空気と水素との差圧によって余剰流体を系外に放出する動作とを、二つの弁機構を別々に設けることなく実施することができ、部品のレイアウト性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、この発明の第1の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。発電手段としての燃料電池1は、酸化剤である空気の供給を受ける空気極3と燃料である水素の供給を受ける水素極5とをそれぞれ備えている。空気極3には、空気供給配管7および空気排出配管9をそれぞれ接続し、水素極5には、水素供給配管11および水素排出配管13をそれぞれ接続する。
【0012】
空気供給配管7には、その上流側から、エアフィルタ15,エアフローメータ17,圧縮機モータ19を備えた圧縮機21,空気側差圧安全弁23をそれぞれ設け、空気排出配管9には空気圧力制御弁25を設ける。上記したエアフィルタ15,エアフローメータ17,圧縮機21により空気供給手段を構成している。
【0013】
一方、水素供給配管11には、その上流側から、水素タンク27,水素圧力制御弁29,水素循環装置31,水素側差圧安全弁33をそれぞれ設けている。水素タンク27,水素圧力制御弁29,水素循環装置31により水素供給手段を構成している。水素排出配管13は、水素循環配管35によって水素循環装置31に接続し、水素極5で消費しきれなかった水素を水素循環装置31によって循環させて水素極5に供給する。
【0014】
また、燃料電池1の運転中に空気極3から水素極5へ空気に含まれる窒素が浸入するので、この窒素を除去するために、水素排出配管13にパージ配管37を接続するとともに、水素循環配管35およびパージ配管37にパージ手段39および41をそれぞれ設ける。
【0015】
なお、上記した空気が通過する部分を空気系、水素が通過する部分を水素系とする。
【0016】
前記した空気供給手段は、エアフィルタ15にて清浄した空気をエアフローメータ17で流量を測定し、所定流量となるよう圧縮機21にて空気を燃料電池1に供給する。このとき、空気圧力制御弁25によって、空気系内の圧力が所定の圧力となるよう弁開度を制御する。
【0017】
一方、水素供給手段は、水素タンク27から供給する高圧水素を水素圧力制御弁29で所定の圧力に減圧した後、燃料電池1に供給する。燃料電池1に供給し水素は、全てが発電に使用される訳ではないため、ポンプなどの水素循環装置31にて水素系内を循環させ、再利用する。
【0018】
また、燃料電池1の運転中に空気極3から水素極5へ、空気に含まれる窒素が浸入すると、この窒素をパージ配管37およびパージ手段39,41が除去して水素循環装置31への流入を防止する。
【0019】
前記した空気系および水素系にそれぞれ設置してある空気側差圧安全弁23および水素側差圧安全弁33は、安全弁機構を構成していて、基本的な構造は同様であり、ここでは水素側差圧安全弁33の内部構造を一例として図2に断面図として示す。
【0020】
この水素側差圧安全弁33は、安全弁部43と差圧弁部45とが一体となっている。
【0021】
安全弁部43は、安全弁ハウジング47を、その内部が水素供給配管11に開口49を通して連通するよう接続している。安全弁ハウジング47内には、弁体51を図2中で上下動可能に収容し、この弁体51を安全弁スプリング53によって開口49側に押し付けている。弁体51と開口49周囲の水素供給配管11との間および、弁体51と安全弁ハウジング47の内壁との間は、弁体51に取り付けてあるシール材55によってシールする。
【0022】
また、安全弁ハウジング47の水素供給配管11近傍には、水素放出口47aを複数設けてあり、水素供給配管11内の圧力が所定値以上となった場合に、弁体51が安全弁スプリング53に抗して移動し、水素放出口47aを開口させて余剰の水素を系外へ放出する。
【0023】
一方、差圧弁部45は、差圧弁ハウジング57内に、ピストン59を図2中で上下動可能に収容し、ピストン59の安全弁部43側に水素圧力導入空間61を、安全弁部43と反対側に空気圧力導入空間63を、圧力導入部としてそれぞれ形成する。ピストン59は、その外周部に取り付けてあるシール材64によって、水素圧力導入空間61と空気圧力導入空間63とを互いにシールしており、水素および空気の各流体が混ざることはない。
【0024】
上記した水素圧力導入空間61に水素圧力導入配管65の一端を接続し、水素圧力導入配管65の他端を、図1に示すように、水素側差圧安全弁33と燃料電池1との間の水素供給配管11に接続する。一方、空気圧力導入空間63には空気圧力導入配管67の一端を接続し、空気圧力導入配管67の他端を、図1に示すように、空気側差圧安全弁23と燃料電池1との間の空気供給配管7に接続する。
【0025】
すなわち、前記したピストン59は、空気供給手段から供給する空気の圧力および水素供給手段から供給する水素の圧力をそれぞれ圧力導入部に導入してこれら両圧力相互間の差圧で移動する。
【0026】
前記したピストン59は、水素圧力導入空間61側に連結ロッド69の一端を連結し、連結ロッド69の他端は、安全弁ハウジング47内に貫通孔47aを通して移動可能に挿入してある。
【0027】
上記した連結ロッド69の安全弁ハウジング47内に挿入した側の端部には、弁体作動用フランジ71を設けてある。一方、前記した弁体51内には、弁体作動用フランジ71が移動できるように、弁体作動用フランジ移動空間51aを形成してある。弁体作動用フランジ移動空間51aは連通孔51bを通して安全弁ハウジング47内に連通しており、この連通孔51bに前記した連結ロッド69を挿入してある。連通孔51bの孔径は、弁体作動用フランジ71の外径より小さくしてあり、連結ロッド69が安全弁ハウジング47の外部に引き出される方向に移動したときに、弁体作動用フランジ71が連通孔51b周囲の上部内壁51cに当接する。
【0028】
図2に示す状態は、空気系と水素系との間の圧力差が所定値未満で、かつ水素系の圧力が所定値未満であり、この状態で、前記した弁体作動用フランジ71は弁体作動用フランジ移動空間51aのほぼ中央に位置し、上部内壁51cおよび下部内壁51dとのいずれに対しても離間している。
【0029】
また、連結ロッド69の周囲にはストッパ73を固定してあり、このストッパ73は、上記図2に示す状態で、安全弁ハウジング47の上部外面に接する位置にある。すなわち、このストッパ73は、空気圧力導入空間63に導入する空気の圧力が高まった場合に、ピストン59が図2の状態より水素圧力導入空間61側へ向かう移動の規制を行う。
【0030】
上記した連結ロッド69および弁体作動用フランジ71は、ピストン59と弁体51とを接続する接続手段を構成している。この接続手段は、前記したように、弁体作動用フランジ71が、弁体作動用フランジ移動空間51aの上下各内壁51c,51dに対して離間していることから、弁体51とピストン59とを、これら両者間にピストン59の移動方向に所定の遊びを持った状態で接続することになる。
【0031】
上記図2においては、水素側差圧安全弁33として説明したが、これを空気側差圧安全弁23として使用する場合は、図2における水素供給配管11が空気供給配管7となり、同水素圧力導入空間61および空気圧力導入空間63が、図1に示すように、それぞれ空気圧力導入空間75および水素圧力導入空間77となる。そして、この空気圧力導入空間75を空気圧力導入配管79により前記した空気圧力導入配管67に接続し、さらに水素圧力導入空間77を水素圧力導入配管81により前記した水素圧力導入配管65に接続する。
【0032】
図3は、水素供給配管11内の水素圧力が所定値以上に上昇した場合の水素側差圧安全弁33の動作を示している。この場合、水素供給配管11内の圧力によって弁体51が安全弁スプリング53に抗して移動し、これによって開口する水素放出口47aから余剰水素を系外へ放出し、系内の圧力を下げる。
【0033】
このとき、弁体51の弁体作動用フランジ移動空間51aにおける下部内壁51dと弁体作動用フランジ71とは、図2に示すように離間した状態にあるので、弁体51が水素圧力の上昇によって図3のように移動しても、空気系と水素系との差圧が所定値未満(燃料電池1の高分子膜に影響が現れない範囲とすることが望ましい)であれば、この差圧に影響されることなく、弁体51は水素供給配管11内の水素圧力によって動作することができる。
【0034】
図4は、水素供給配管11および空気供給配管7内の各圧力が所定未満であるが、水素供給配管11内の水素圧力が空気供給配管7内の空気圧力より所定値以上高くなった場合の水素側差圧安全弁33の動作を示している。
【0035】
このように水素系内の圧力が空気系内の圧力より所定値以上高くなると、ピストン59は、図2の状態から空気圧力導入空間63側に移動する。このピストン59の移動により、弁体作動用フランジ71は弁体作動用フランジ移動空間51aの上部内壁51cに当接し、弁体51を同方向に移動させる。この弁体51の移動により、水素放出口47aが図4に示すように開口し、余剰水素を系外へ放出する。
【0036】
逆に、空気系内の圧力が水素系内の圧力より高くなると、ピストン59は、図2の状態から水素圧力導入空間61側に移動しようとするが、連結ロッド69に固定してあるストッパ73が安全弁ハウジング47の上部外面に接触していることから、この移動を規制し、図2の状態を保持したままとなる。したがって、この場合においても、空気系と水素系との圧力差に影響を受けることなく、弁体51の作動が可能となる。
【0037】
図5は、図1に示した燃料電池システムに対する比較例を示している。これは、空気供給配管7および水素供給配管11に、差圧検出手段83および85をそれぞれ設け、空気系と水素系との差圧が大きい場合には、空気排出配管9および水素排出配管13にそれぞれ設けた差圧制御弁87および89を開として各流体を系外へ放出する。
【0038】
この比較例では、システム電源が切断された場合には動作することができないといった課題がある。
【0039】
また、別の比較例として、図6は、空気供給配管7および水素供給配管11におけるそれぞれの任意の一点での圧力相互を、機械的に同時に釣り合わせる手段91を設けている。この比較例では、システム耐圧に対する系内の圧力上昇には、別途安全弁を設けなければならず、部品のレイアウト上課題となる。
【0040】
これら各比較例に対し、前記図1に示した第1の実施形態では、系内の圧力による余剰流体の系外への放出を行う安全弁部43と、空気系と水素系との差圧による余剰流体の系外への放出を行う差圧弁部45とを、接続手段で接続して一体化している。
【0041】
このため、安全弁機構と差圧制御手段とを個別に設けることなく、すなわち部品のレイアウト上課題となることなく、空気系および水素系の異常圧力上昇、ならびに両系内相互の差圧による余剰流体の系外への放出が可能となる。
【0042】
さらに、機械的な機構によって、差圧による余剰流体の系外への放出を行うため、システム故障時などにシステム電源が切断された状況下においても、確実に余剰流体の系外への放出を行うことができる。
【0043】
また、ピストン59と弁体51とは、遊びを持った状態で接続しているため、常時接続された状態にはならず、空気系と水素系との所定の範囲内での差圧に拘わらず、システム内の圧力によって安全弁51を作動させることができる。
【0044】
また、ピストン59と弁体51とを接続する連結ロッド69にストッパ73を設けているため、弁体51を閉じる方向に差圧が発生した場合でも、弁体51の動作圧力は変化することがなく、所定のシステム内圧力によって弁体51を作動させることができる。
【0045】
図7は、この発明の第2の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。この実施形態は、図1に示した燃料電池システムにおいて、燃料電池1と空気側差圧安全弁23との間の空気供給配管7および、燃料電池1と水素側差圧安全弁33との間の水素供給配管11に、圧力センサ93および95をそれぞれ設けている。この各圧力センサ93,95は、空気供給手段から供給する空気の圧力と水素供給手段から供給する水素の圧力との差圧を検出する差圧検出手段を構成している。
【0046】
そして、図8に示すように、水素側差圧安全弁33における安全弁部43と差圧弁部45との間の連結ロッド69の周囲には、通電によって連結ロッド69を移動させる比例ソレノイド97を設けてある。この比例ソレノイド97は、図示していないが、空気側差圧安全弁23についても同様に設けることができる。
【0047】
上記した比例ソレノイド97は、圧力センサ93,95がそれぞれ検出する空気系と水素系との間の任意の差圧によってピストン59を移動させる移動手段を構成している。その他の構成は、図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0048】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の動作を行うとともに、比例ソレノイド97によってピストン59を移動させて弁体51を安全弁スプリング53に抗して動作させ、余剰流体を積極的に系外へ放出するため、より正確に燃料電池1の機能低下を防ぐことができる。
【0049】
また、弁体51を動かす差圧を任意に設定できるため、システム上最も効率のよい任意の差圧に設定することができる。
【0050】
図9は、この発明の第3の実施形態を示す水素側差圧安全弁33の断面図である。この実施形態は、水素圧力導入空間61におけるピストン59の受圧面積を空気圧力導入空間63における同受圧面積より小さくしている。その他の構成は、図2に示した第1の実施形態と同様である。
【0051】
この場合、水素系の圧力がより高圧時にピストン59を動作させることができ、空気系に比べより高圧となる水素系部分に水素側差圧安全弁33を設けることができる。このように、水素圧力導入空間61および空気導入空間63におけるピストン59の受圧面積を任意に工夫することによって、水素側差圧安全弁33をシステム内の任意の位置に設けることができる。
【0052】
なお、上記したピストン59の受圧面積を変えずに、図2に示した水素側差圧安全弁33の空気圧力導入空間63に、ピストン59を水素圧力導入空間61側に押し付けるスプリングを設けることで、図9に示した第3の実施形態と同様の効果を得ることできる。すなわち、図2の構造において、空気圧力導入空間63にスプリングを設けることで、水素系の圧力がより高圧時にピストン59を動作させることができる。
【0053】
上記した第3の実施形態は、空気側差圧安全弁23についても適用できる。すなわち、この場合には、空気系の圧力がより高圧時にピストン59を動作させることができ、水素系に比べより高圧となる空気系部分に空気側差圧安全弁23を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の燃料電池システムにおける水素側差圧安全弁の内部構造を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態の燃料電池システムにおける水素系の圧力が所定値以上に上昇した場合の水素側差圧安全弁の動作説明図である。
【図4】第1の実施形態の燃料電池システムにおける水素系の圧力が空気系の圧力より所定値以上高くなった場合の水素側差圧安全弁の動作説明図である。
【図5】第1の実施形態に対する比較例を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図6】第1の実施形態に対する他の比較例を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図7】この発明の第2の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。
【図8】第2の実施形態の燃料電池システムにおける水素側差圧安全弁の内部構造を示す断面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態を示す水素側差圧安全弁の断面図である。
【符号の説明】
1 燃料電池(発電手段)
15 エアフィルタ(空気供給手段)
17 エアフローメータ(空気供給手段)
21 圧縮機(空気供給手段)
23 空気側差圧安全弁(安全弁機構)
27 水素タンク(水素供給手段)
29 水素圧力制御弁(水素供給手段)
31 水素循環装置(水素供給手段)
33 水素側差圧安全弁(安全弁機構)
47a 水素放出口(放出口)
51 弁体
59 ピストン
61,77 水素圧力導入空間(圧力導入部)
63,75 空気圧力導入空間(圧力導入部)
69 連結ロッド(接続手段)
71 弁体作動用フランジ(接続手段)
73 ストッパ
93,95 圧力センサ(差圧検出手段)
97 比例ソレノイド(移動手段)
Claims (8)
- 酸化剤である空気を供給する空気供給手段と、燃料である水素を供給する水素供給手段と、前記空気供給手段から供給される空気および前記水素供給手段から供給される水素を元に発電する発電手段と、前記水素供給手段から供給される水素の圧力が所定値以上になると移動し、水素を系外に放出させる放出口を開口させる弁体を備えた安全弁機構と、をそれぞれ有する燃料電池システムにおいて、
前記安全弁機構は、前記空気供給手段から供給する空気の圧力および前記水素供給手段から供給する水素の圧力をそれぞれ導入する圧力導入部と、この圧力導入部に導入した水素および空気の各圧力相互の差圧で移動するピストンと、このピストンと前記弁体とを、前記ピストンが、前記水素の圧力が高まった場合に、前記弁体が前記放出口を開口させる方向に移動するよう接続する接続手段と、をそれぞれ有することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記接続手段は、前記弁体と前記ピストンとを、ピストンの移動方向に所定の遊びを持った状態で接続することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記接続手段は、前記ピストンが、前記空気供給手段が供給する空気の圧力が高まった場合に移動する方向の位置を規制するストッパを備えていることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
- 酸化剤である空気を供給する空気供給手段と、燃料である水素を供給する水素供給手段と、前記空気供給手段から供給される空気および前記水素供給手段から供給される水素を元に発電する発電手段と、前記空気供給手段から供給される空気の圧力が所定値以上になると移動し、空気を系外に放出させる放出口を開口させる弁体を備えた安全弁機構と、をそれぞれ有する燃料電池システムにおいて、
前記安全弁機構は、前記空気供給手段から供給する空気の圧力および前記水素供給手段から供給する水素の圧力をそれぞれ導入する圧力導入部と、この圧力導入部に導入した水素および空気の各圧力相互の差圧で移動するピストンと、このピストンと前記弁体とを、前記ピストンが、前記空気の圧力が高まった場合に、前記弁体が前記放出口を開口させる方向に移動するよう接続する接続手段と、をそれぞれ有することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記接続手段は、前記弁体と前記ピストンとを、ピストンの移動方向に所定の遊びを持った状態で接続することを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
- 前記接続手段は、前記ピストンが、前記水素供給手段が供給する水素の圧力が高まった場合に移動する方向の位置を規制するストッパを備えていることを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
- 前記空気供給手段から供給する空気の圧力と前記水素供給手段から供給する水素の圧力との差圧を検出する差圧検出手段を設け、この差圧検出手段が検出する任意の差圧によって前記ピストンを移動させる移動手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記ピストンの受圧面積を、空気の圧力を導入する圧力導入部側と水素の圧力を導入する圧力導入部側とで変化させたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の燃料電池システム。
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