JP2004342283A - 多層構成型光記録媒体 - Google Patents

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卓朗 関谷
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Abstract

【課題】従来にない記録容量を実現できる多層構成型光記録媒体用の光透過型記録媒体。
【解決手段】基板上に複数組の記録媒体を積層し、複数組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう多層構成型光記録媒体であって、レーザ光が入射する側から第1の記録層構成体、第2の記録層構成体、…第n(n:3以上の自然数)の記録層構成体と積層し、第1の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<第2の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<…<第nの記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー、とし前記各レーザ光の書き込みパワーを3mW〜30mWの範囲にして記録を行なうとともに、各記録層構成体間には、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成し、隣接記録層構成体の互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらすことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光の照射等の光学的な手段を用いた、高密度、高速度での情報の記録再生および書き換えが可能な大容量の光学情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学情報記録媒体は、記録材料にレーザ光を局所的に照射することによって生じる光学特性の違いを記録状態として利用するものである。この光学特性の変化が可逆的である材料を用いた場合、情報記録の書き換えが可能となる。書き換え型の媒体としては、光磁気型記録媒体や相変化型記録媒体が一般によく知られている。これらの光記録媒体は、大容量の情報を記録することができると共に、高速での記録、再生、及び書き換えが可能であり、かつ、可搬性にも優れているため、高度情報化社会において今後ますますその需要が増加するものと考えられ、さらなる大容量化、高速度化が望まれている。
【0003】
相変化型記録媒体は、特定波長の光に対する反射光量が結晶状態と非晶質状態とで異なることを記録状態として利用するものであり、レーザの出力パワーを変調することにより、記録の消去と上書きの記録とを同時に行なうことができる。このため、容易に高速での情報信号の書き換えを行なうことができる。
【0004】
図8に、従来の相変化型記録媒体の層構成の一例を示す。図8に示すように、従来の相変化型記録媒体は、基板(1)と、基板(1)の上に順次積層された、保護層(2)と、記録層(4)と、保護層(8)と、反射層(6)とにより構成されている。基板(1)としては、ポリカーボネート、PMMA等の樹脂、又はガラス等が用いられ、基板(1)には、レーザ光を導くための案内溝が形成されている。記録層(4)は、光学特性の異なる状態を有し、この状態間を可逆的に変化し得る物質からなる。
【0005】
書き換え型の相変化型光記録材料の場合、記録層(4)の材料としては、Te,Seを主成分とするカルコゲナイド系材料、例えばTe−Sb−Ge,Te−Sn−Ge,Te−Sb−Ge−Se,Te−Sn−Ge−Au,Ag−In−Sb−Te,In−Sb−Se,In−Te−Se等を主成分とする材料が一般的に用いられる。
【0006】
反射層(6)は、一般に、Au,Al,Cr等の金属、又はこれら金属の合金からなり、放熱効果や記録層(4)の効果的な光吸収を目的として設けられている。また、図中では省略しているが、光学情報記録媒体の酸化、腐食やほこり等の付着の防止を目的として、反射層(6)の上にオーバーコート層を設けた構成、あるいは紫外線硬化樹脂を接着剤として用い、ダミー基板を張り合わせた構成が一般的に用いられている。
【0007】
保護層(2),(8)は、記録層(4)の材料の酸化、蒸発や変形を防止するといった記録層(4)の保護機能を担っている。また、保護層(2),(8)の膜厚を調節することにより、記録媒体の吸収率や、記録部と消去部との間の反射率差を調節することができるため、保護層(2),(8)は記録媒体の光学特性の調節機能をも担っている。保護層(2),(8)を構成する材料の条件としては、上記目的を満たすだけではなく、記録層(4)の材料や基板(1)との接着性が良好であること、保護層(2),(8)自身がクラックを生じない耐候性の良い膜であることが不可欠である。また、これらの保護層(2),(8)が記録層(4)に接して用いられる場合には、記録層(4)の材料の光学的変化を損なわない材料でなければならない。保護層(2),(8)の材料としては、ZnS等の硫化物、SiO,Ta,Al等の酸化物、Ge−N,Si,Al等の窒化物、Ge−O−N,Si−O−N,Al−O−N等の窒酸化物のほか、炭化物、弗化物等の誘電体、あるいはこれらの適当な組み合わせが提案されている。一般的には、ZnS−SiOがよく用いられている。
【0008】
従来より、記録の書き換えを行なった場合、書き換え後のマーク位置が微妙にずれ、オーバーライト歪みが生じるといった現象が知られている。この歪みが生じるのは、書き換え前の記録層(4)の状態がアモルファスであるか結晶であるかによって、レーザ光の照射時の温度上昇の様子が異なり、書き換え後のマークが所定の長さよりもずれてしまうからである。すなわち、マークがアモルファス状態であるとすると、書き換え前の状態が結晶であった部分では、アモルファス状態に相変化するための潜熱が必要であるが、書き換え前の状態がアモルファスであった部分ではこれを必要としないため、余った熱量が所定長さ以上の記録層(4)をアモルファス化してしまうのである。
これを解決するために、記録層(4)がアモルファス状態であるときの記録層(4)の光吸収率をAa、記録層(4)が結晶状態であるときの記録層(4)の光吸収率をAcとしたとき、Ac/Aaを1よりも大きいある一定の範囲に保つという、いわゆる吸収補正が可能な構成が採られる。これにより、結晶部分での温度上昇を助けることができるため、書き換え後のマーク領域内での温度上昇が均一となり、マーク歪みが生じ難くなる。
【0009】
Ac/Aa>1を実現する方法としては、いくつかの方法が提案されている。例えば、アモルファス状態の反射率Raを結晶状態の反射率Rcよりも高くする構成(Rc<Ra)が提案されている。この場合には、アモルファス状態と結晶状態との間の反射率差Ra−Rcを大きくとっても、Ac/Aaの値を大きくすることができる。具体的には、例えば図8において基板(1)と保護層(2)との間に別の層を設け、この層の光学定数をある一定の範囲内とすることにより、Rc<Raを実現することができる。
【0010】
また、Rc>Raの場合でも、Ac/Aa>1を実現することができる。この方法としては、主として光透過型と光吸収型が知られている。光透過型は、媒体に透過率を生じさせ、記録層がアモルファス状態であるときの媒体の透過率をTa、記録層が結晶状態であるときの媒体の透過率をTcとしたとき、0<Tc<Taとなる構成を採る方法である。光吸収型は、媒体中に吸収を生じる層を設け、この層での光吸収を、記録層がアモルファス状態であるときAa2、記録層が結晶状態であるときAc2としたとき、0<Ac2<Aa2となる構成を採る方法である。具体的には、光透過型の場合、例えば図8において反射層(6)を薄くし、光透過を生じさせることによって実現することができる。光吸収型の場合には、例えば図8において反射層(6)と保護層(8)との間に光を吸収する層を挿入することによって実現することができる。
【0011】
Rc<Raの反射率構成を有する媒体の場合、上述したように、Ac/Aa>1となる構成を設計し易いという大きな利点があるが、アモルファス部と結晶部の反射率の和が、Rc>Raの反射率構成を有する媒体に比べて概して大きくなるため、信号再生時のノイズが増加し易いという欠点もある。Rc>Raの反射率構成を有する媒体の場合、このような欠点は生じにくいが、Ac/Aaの値をより大きくとるという点では不利である。したがって、必要な媒体に応じてこれらの方法を使い分けるのが望ましい。
【0012】
Rc>Raかつ0<Tc<Taを満たす光透過型の構成に関して、従来より幾つかの改良が提案されている。例えば、特許文献1には、記録層と光透過型の反射層を有し、光透過型反射層の熱拡散を助ける熱拡散補助層を反射層に接して設ける技術が開示されている。しかし、この公報には、熱拡散補助層に積極的に光学的効果を持たせる技術に関する記載はなく、その膜厚は光学設計を妨げない範囲とされている。また、特許文献2には、光透過型反射層の上に誘電体層を設ける技術が記載されている。しかし、この場合、誘電体層は、位相差を低減するために設けられたものであって、この公報には、誘電体層を設けることによる熱的な効果に関する記載はなく、また、その膜厚を調節することによって得られる光学的な効果についての記載もない。
【0013】
光透過型の構成は、媒体中にこもる余分な熱が比較的少ないため、繰り返し特性や隣接消去特性の点で有利である。しかし、反射層が薄いため、記録層が熱せられた後の冷却を急速に行なうことが困難であり、マークが形成されにくいという問題点がある。さらに、特にRc>Raを満たす構成の場合、根本的にAc/Aaの値を非常に大きくとることは困難である。
【0014】
また、光透過型の媒体を応用した例として、2層構成型光記録媒体の技術が知られている。これは、媒体の大容量化を達成するために、2組の記録媒体を透明な分離層を介して設け、片側のみからレーザ光を入射させることによって全ての記録媒体へのアクセスを可能にするというものである。この技術を用いれば、レーザ光の入射方向における記録密度を増大させることができ、2層構成型光記録媒体全体としての容量を増大させることが可能となる。
【0015】
なお、2層構成型光記録媒体を構成するために、レーザ光の入射側に配置される光透過型の媒体を設計する際、従来は透過率を充分大きくとるために記録層の膜厚を薄くする必要があった。しかし、記録層が非常に薄い場合には、結晶化が困難となるため、高透過率と高消去率とを両立させることは困難であった。また、光透過型の媒体の繰り返し記録特性をさらに向上させる技術について考慮した例はなく、さらに繰り返し記録特性を向上させる新たな技術が求められている。
なお、このような2層構成型光記録媒体については、ある程度理論的な検討はなされているものの、実際にどのような構成として実現したらよいのかはまだ検討が不充分である。
またこのような2層構成型光記録媒体を実際に実現する上での製作上の難しさなどは未検討の状態である。またさらにそれ以上の多層構成型光記録媒体についても同様である。
【0016】
【特許文献1】
特開平8−50739号公報
【特許文献2】
特開平9−91755号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は第1に、従来にない記録容量を実現できる多層構成型光記録媒体用の光透過型記録媒体を提供することにある。
また第2に、このような多層記録媒体用の光透過形記録媒体の各層における記録特性がほぼ同じようになるようにすることにある。
さらに第3に、記録容量を従来の2倍とすることができる2層構成型光記録媒体用の光透過型記録媒体を提供することにある。
また第4に、このような記録容量を従来の2倍とすることができる2層構成型光記録媒体用の光透過型記録媒体の他の構成を提供することにある。
さらに第5に、このような記録容量を従来の2倍とすることができる2層構成型光記録媒体用の光透過型記録媒体の記録媒体の冷却能の向上と繰り返し記録特性を向上することにある。
また第6に、このような記録媒体の冷却能の向上と繰り返し記録特性を向上させた2層構成型光記録媒体の他の構成を提供することにある。
さらに第7に、このような2層記録媒体用の光透過形記録媒体の各層における記録特性がほぼ同じようになるようにすることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した基板上に、複数組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、複数組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう多層構成型光記録媒体であって、レーザ光が入射する側から第1の記録層構成体、第2の記録層構成体、…第n(n:3以上の自然数)の記録層構成体と積層し、第1の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<第2の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<…<第nの記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー、とし前記各レーザ光の書き込みパワーを3mW〜30mWの範囲にして記録を行なうとともに、各記録層構成体間には、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成し、隣接記録層構成体の互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この多層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする多層構成型光記録媒体。」、(2)「前記各記録層構成体の厚さは、第1の記録層構成体の厚さ>第2の記録層構成体の厚さ>…>第n(n:3以上の自然数)の記録層構成体の厚さ、としたことを特徴とする前記第(1)項に記載の多層構成型光記録媒体」、(3)「幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した基板上に、2組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記レーザ光の書き込みパワーを3mW〜12mWの範囲にして記録を行なうとともに、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体と、該第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体はほぼ同等の記録層構成体であり、かつ前記第2の記録層構成体への書き込みレーザパワーを前記第1の記録層構成体へのそれより大とし、該第1、第2の記録層構成体は、間に分離層を介して積層される2層構成型光記録媒体であって、前記分離層に、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成するとともに、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体」、(4)「2組の記録媒体を積層し、波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記レーザ光の書き込みパワーを3mW〜12mWの範囲にして記録を行なうとともに、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第1の基板上に記録層を形成してなり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第2の基板上に、前記第1の記録層構成体とほぼ同等の記録層を形成してなり、前記第1、第2の記録層構成体を互いの記録層側が相対するように向かい合わせ、間に分離層を介して積層するとともに、前記第1の記録層構成体側からレーザ光を入射するとともに、前記第2の記録層構成体への書き込みレーザパワーを前記第1の記録層構成体へのそれより大として使用する、2層構成型光記録媒体であって、前記第1,第2の基板の溝は、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体」、(5)「幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した基板上に、2組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、第1のZnS−SiO,Ge−N,Ge−Sb−Te,Ge−N,第2のZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層をレーザ光入射側から順に積層するとともに、前記第2のZnS−SiO層にAgを主たる構成材料とした第1の放熱層をレーザ光入射の反対側に設けてなる構成体であり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、前記第1の放熱層を除いて前記第1の記録層構成体と同様の層構成とし、該層構成体と接し、前記溝を形成した基板と接する部分に金属材料よりなる第2の放熱層を設けてなる構成体であり、前記レーザ光の書き込みパワーは、前記第2の記録層構成体へのそれを前記第1の記録層構成体へのそれより大とし、3mW〜12mWの範囲にして記録を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記第1の記録層構成体の厚さT1と中間放熱層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲にするとともに、前記第1の記録層構成体と第2の記録層構成体は、前記第1の放熱層に接する中間放熱層と該中間放熱層に前記第2の記録層構成体側に接する分離層とを介して積層される2層構成型光記録媒体であって、前記分離層に、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成するとともに、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体」、(6)「2組の記録媒体を積層し、波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第1の基板上に、ZnS−SiO,Ge−N,Ge−Sb−Te,Ge−N,ZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層を前記第1の基板側から順に積層するとともに、前記第2のZnS−SiO層上にAgを主たる構成材料とした第1の放熱層を積層しその上に中間放熱層を積層してなる記録層構成体であり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第2の基板上に金属材料よりなる第2の放熱層を形成し、該第2の放熱層上に、ZnS−SiO,Ge−N,Ge−Sb−Te,Ge−N,ZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層を前記第2の放熱層側から順に積層してなる記録層構成体であり、前記第1、第2の記録層構成体を、前記第1の記録層構成体の中間放熱層と前記第2の記録層構成体のZnS−SiOを主たる構成材料とした層を互いに向かい合わせ、間に分離層を介して積層されるとともに、前記第1の記録層構成体側からレーザ光を入射するとともに、前記第2の記録層構成体への書き込みレーザパワーを前記第1の記録層構成体へのそれより大とし、該書き込みレーザパワーを3mW〜12mWの範囲にして記録を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記第1の記録層構成体の厚さT1と中間放熱層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲にするとともに、前記第1、第2の基板の溝は、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体」、(7)「前記第1の記録層構成体の厚さを前記第2の記録層構成体の厚さより厚くしたことを特徴とする前記第(3)項乃至第(6)項の何れかに記載の2層構成型光記録媒体」によって解決される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明をさらに具体的に説明する。図1は単層の光学情報記録媒体の層構成を示す断面図である。
図1に示すように、単層の光学情報記録媒体は、基板(1)と、基板(1)の上に順次積層された、保護層(2)と、界面層(3)と、記録層(4)と、界面層(5)と、光透過型反射層(6)と、熱拡散層(7)とにより構成されている。ここで、記録層(4)は、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する材料からなっている。
【0020】
なお、このような光学情報記録媒体は上記構成に限定されるものではなく、記録層(4)と、光透過型反射層(6)と、光透過型反射層(6)に接する熱拡散層(7)を備えた構成であればよい。例えば、図1において、界面層(5)と光透過型反射層(6)との間に保護層などの別の層を設けた構成、保護層(2)をすべて界面層(3)で置き換えた構成、あるいは界面層(3)を設けない構成等、種々の構成に本発明を適用することが可能である。
【0021】
基板(1)の材料としては、ポリカーボネート、PMMA等の樹脂、又はガラス等を用いるのが好ましい、また、基板(1)にはレーザ光を導くための案内溝が形成されているのが好ましい。
【0022】
保護層(2)は、記録層(4)での効果的な光吸収を可能にするといった光学特性の調節を主な目的として設けられている。保護層(2)の材料としては、ZnS等の硫化物、SiO,Ta,Al等の酸化物、Ge−N,Si,Al等の窒化物、Ge−O−N,Si−O−N,Al−O−N等の窒酸化物のほか、炭化物、フッ化物等の誘電体、あるいはこれらの適当な組み合わせ(ZnS−SiO等)など、上記目的を達成することが可能な材料が用いられる。
【0023】
界面層(3),(5)は記録層(4)の酸化、腐食、変形等の防止といった記録層(4)を保護する役割を担うと共に、以下に述べるような、記録層(4)に接して設けられることによる重要な2つの役割を担っている。
【0024】
界面層の1つ目の重要な役割は、記録層(4)と保護層(2)との原子拡散、特に保護層(2)中に硫黄又は硫化物が含まれる場合に、これらの成分が記録層(4)へ拡散することを防止するという役割である。この原子拡散を防止することにより、媒体の繰り返し特性が飛躍的に向上する。界面層を設ける位置は、記録層(4)のいずれか一方側であっても両側であってもよいが、原子拡散をより効果的に防止するためには、両側に設けるのが好ましい。記録層(4)のいずれか一方の界面にのみ界面層を設ける場合には、熱の負荷が大きくかかる側、すなわち、記録、消去時において温度上昇が高い側(多くの場合、レーザ光の入射側となる)に設けることにより、原子拡散の抑制効果を高めることができる。なお、界面層中に含有される成分が情報の繰り返し記録後に記録層(4)中に拡散する場合もあり得るが、このような場合であっても、界面層の構成材料として、記録層(4)の光学変化を妨げにくい材料を用いればよい。
【0025】
界面層の2つ目の重要な役割は、記録層(4)に接して設けた場合に、記録マーク(アモルファス部分)の熱的安定性を損なわずに、記録材料の結晶化を促進する効果を発揮するという役割である。界面層がこのような重要な役割を果たすために、さらなる高速消去が可能となる。この効果は特に、界面層を、記録層がレーザ光を照射されて冷却されるときにより冷却が速く進む側の界面、あるいはより結晶核が形成されやすくなる側の界面、すなわち、多くの場合にはレーザ入射側と反対側の記録層界面に設けた場合に顕著となる。
【0026】
以上、界面層の2つの役割を鑑みたとき、高速での良好な書き換え特性と、良好な繰り返し特性の両方を兼ね備えるためには、界面層を記録層(4)の両側に設けるのが好ましい。但し、媒体の記録条件がロースペックでよい場合、例えば低線速、低密度の条件の場合や、良好な繰り返し特性が特に必要とされない場合などには、界面層を特に設けなくてもよい場合もある。
【0027】
界面層(3),(5)を構成する材料は、上記した役割を果たす材料であればよいが、窒化物、窒酸化物、酸化物、炭化物あるいは弗化物を主成分とする材料であるのが好ましい。場合によっては、硫化物あるいはセレン化物を混合してもよい。例えば、窒化物としては、Ge−N,Cr−N,Si−N,Al−N,Nb−N,Mo−N,Ti−N,Zr−N,Ta−N等、窒酸化物としては、Ge−O−N,Cr−O−N,Si−O−N,Al−O−N,Nb−O−N,Mo−O−N,Ti−O−N,Zr−O−N,Ta−O−N等、酸化物としては、SiO,Al,TiO,Ta,Zr−O等、炭化物としてはGe−C,Cr−C,Si−C,Al−C,Ti−C,Zr−C,Ta−C等、弗化物としてはLi−F,Ca−F等を用いることができる。あるいは、これらの適当な混合物としてもよい。また、適量の硫化物やセレン化物を混合する場合には、ZnS,ZnSe等を用いることができる。いずれにせよ、界面層(3),(5)の材料としては、記録層(4)と拡散を起こしにくい材料であるか、又は記録層(4)に拡散した場合であっても記録層(4)の光学変化を妨げにくい材料であり、かつ、記録層(4)と接して設けた場合に、記録層(4)の結晶化を促進する材料を用いればよい。
界面層(3),(5)の膜厚は、1nm以上であるのが好ましい。界面層(3),(5)の膜厚が1nm以下である場合には、原子拡散の防止効果が低下するからである。
【0028】
記録層(4)の材料としては、光学特性が可逆的に変化する材料が用いられる。相変化型記録媒体の場合には、Te,Seを主成分とするカルコゲナイド系材料を用いるのが好ましい。例えば、Ge−Sb−Te,Sb−Te,Sb−Te−Zn,Sb−Te−Ag,Te−Bi−Ge,Sb−Te−Ge−Se,Te−Sn−Ge−Au,Sb−Te−Ag−In,Se−In−Sb,Te−Se−Inを主成分とする材料等が挙げられる。
【0029】
記録層(4)中にはAr,Kr等のスパッタガス成分やH,C,HO等が不純物として含まれることがあるが、その含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。また、種々の目的のために記録層(4)の主成分に他の物質を微量(約10at%以下)添加する場合もあるが、この場合にもその含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。
記録層(4)の膜厚は、3nm以上40nm以下であるのが好ましい。記録層(4)の膜厚が3nm未満の場合には、記録材料が均一な層状になりにくく、アモルファスと結晶との間で効果的な相変化が起こりにくくなるからであり、記録層(4)の膜厚が40nmより大の場合には、記録層膜面内での熱拡散が大きくなるために、高密度で記録を行なった際に隣接消去が生じ易くなるからである。
【0030】
反射層(6)の材料としては、Au,Ag,Cuのうち少なくとも1つを含んだ材料が用いられる。これらの材料を用いるのは、その光学定数がAc/Aaの値を大きくとる上で有利であるからであり、また、熱伝導率が高いために、膜厚が薄くても大きい冷却能を得ることができるからである。また、反射層(6)の材料としては、Au,Ag,Cuのうちの少なくとも1つと、他の材料との混合物、又は合金を用いてもよい。これらの他の材料は、腐食防止やより効果的な光学設計を可能にする目的のために用いられる。具体的には、Cr,Pt,Pd,Al,Mg,W,Ni,Mo,Si,Ge等が挙げられるが、用途に応じて適宜選択された材料を用いればよい。
反射層(6)の膜厚は、1nm以上40nm以下であるのが好ましい。反射層(6)の膜厚が1nm未満の場合には、膜が均一な層状とすることが困難となって、熱的、光学的な反射層の効果が低下するからであり、反射層(6)の膜厚が40nmよりも厚い場合には、媒体の光透過が小さくなるために、既述の光吸収補正(Ac/Aa>1)を実現することが困難となるからである。
【0031】
次に、本発明の特徴をなす主な部分である熱拡散層(7)について説明する。
熱拡散層(7)は2つの重要な役割を担っている。
熱拡散層(7)の役割は、記録層(4)で生じた熱を冷却することである。反射層(6)として光透過型の薄い層を用いる場合、反射層(6)での冷却効果は低下してしまう。これを補うために、媒体としての光学的な特性を損なわずに、すなわち媒体の透過率を保ったまま、熱拡散層(7)において効果的に熱拡散が行なわれる。このため、熱拡散層(7)の記録再生レーザ波長域における吸収はある程度低くなければならない。熱拡散層(7)の、記録再生レーザ波長における複素屈折率をn−ikとおいたとき、吸収係数kはk≦1.5の関係を満たすことが好ましい。また、熱拡散層(7)での冷却効果をより大きなものとするために、熱拡散層(7)を構成する材料の熱伝導率はできるだけ大きい方がよい。目安としては、500Kにおける熱伝導率が0.05W/m・K以上の材料を用いることが好ましい。なお、これらに加えて、熱拡散層(7)がクラックや腐食、剥離等を生じない良好な膜であるべきことは言うまでもない。
この熱拡散層(7)の冷却効果により、記録信号のC/N比を向上させることが可能となる。また、媒体への熱負荷を低下することができるため、繰り返し記録特性も向上させることが可能となる。
【0032】
これらの条件を満たす具体的な材料としては、例えば、Al−N,Al−O−N,Al−C,Si,Si−N,SiO,Si−O−N,Si−C,Ti−N,TiO,Ti−C,Ta−N,Ta,Ta−O−N,Ta−C,Zn−O,ZnS,ZnSe,Zr−N,Zr−O−N,Zr−C,W−Cが挙げられる。あるいは、これらの混合物を用いてもよいし、これらの材料と適量の金属、半金属との混合物、又は合金を用いてもよい。
【0033】
本発明における光学情報記録媒体は、光透過型となるように構成するものであるため、片面からのレーザ光の照射による情報の記録再生が可能な多層記録媒体を構成することができる。これにより、さらに高密度記録が可能な光学情報記録媒体を実現することができる。
【0034】
図2に、2組の媒体によって構成される2層記録媒体の構成例を示す。図2に示すように、この2層記録媒体は、基板(カバー基板)(100)と溝付基板(200)の間に、第1の記録層構成体(101)と、第2の記録層構成体(201)とが挟み込まれた構成となっており、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)とは、中間放熱層(108)と分離層(109)とを間に介して構成されている。ここで、溝付基板(200)は、後述の図4(a)に各部の定義を示すように幅Gが0.1〜0.46μm、深さDが0.01〜0.04μmの溝[211(211’,211”)]をピッチPが0.28〜0.50μmであるように形成した基板であり、その溝[211(211’,211”)]は第2の記録層構成体(201)と接する側に設けている。また、波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光が、基板(カバー基板)(100)側から照射され、書き込み時のパワーは、3mW〜12mWの範囲にして記録を行なうようにしている。
【0035】
第1の記録層構成体(101)は、基板(カバー基板)(100)側から順次積層された、保護層(102)と、界面層(103)と、記録層(104)と、界面層(105)と、保護層(106)と、第1の放熱層(107)とにより構成されている。また、第2の記録層構成体(201)は、分離層(109)側から順次積層された、保護層(202)と、界面層(203)と、記録層(204)と、界面層(205)と、保護層(206)と、第2の放熱層(207)とにより構成されている。
【0036】
なお、本発明のこのような2層記録媒体(図2に示した構成)は、最終的に出来上がった構成を示すものであり、必ずしもその製法(各層の積層の順番)は、上記の順序に限られるものではない。これについては後述する。
【0037】
保護層(102),(106),(202),(206)は、記録層(104),(204)での効果的な光吸収を可能にするといった光学特性の調節を主な目的として設けられている。保護層(102),(106),(202),(206)の材料としては、ZnS等の硫化物、SiO,Ta,Al等の酸化物、Ge−N,Si,Al等の窒化物、Ge−O−N,Si−O−N,Al−O−N等の窒酸化物、炭化物、フッ化物等の誘電体、あるいはこれらの適当な組み合わせ(ZnS−SiO等)など、上記目的を達成することが可能な材料が用いられる。本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、ZnS−SiOが最も良好な性能を示した。
【0038】
界面層(103),(105),(203),(205)は、記録層(104),(204)の酸化、腐食、変形等の防止といった記録層(104),(204)を保護する役割を担うとともに、記録層(104),(204)と保護層(102),(106),(202),(206)との原子拡散、特に保護層(102),(106),(202),(206)中に硫黄又は硫化物が含まれる場合に、これらの成分が記録層(104),(204)へ拡散することを防止するという役割である。この原子拡散を防止することにより、媒体の繰り返し特性が飛躍的に向上する。界面層を設ける位置は、記録層のいずれか一方側であっても両側であってもよいが、原子拡散をより効果的に防止するためには両側に設けるのが好ましい。
【0039】
界面層の他の重要な役割は、記録層に接して設けた場合に、記録マーク(アモルファス部分)の熱的安定性を損なわずに、記録材料の結晶化を促進する効果を発揮するという役割である。界面層がこのような重要な役割を果たすために、さらなる高速消去が可能となる。以上、界面層の2つの役割を鑑みたとき、高速での良好な書き換え特性と、良好な繰り返し特性の両方を兼ね備えるためには、界面層を記録層の両側に設けるのが好ましい。
【0040】
界面層(103),(105),(203),(205)を構成する材料は、上記した役割を果たす材料であればよいが、窒化物、窒酸化物、酸化物、炭化物あるいは弗化物を主成分とする材料であるのが好ましい。場合によっては、硫化物あるいはセレン化物を混合してもよい。例えば、窒化物としては、Ge−N,Cr−N,Si−N,Al−N,Nb−N,Mo−N,Ti−N,Zr−N,Ta−N等、窒酸化物としては、Ge−O−N,Cr−O−N,Si−O−N,Al−O−N,Nb−O−N,Mo−O−N,Ti−O−N,Zr−O−N,Ta−O−N等、酸化物としては、SiO,Al,TiO,Ta,Zr−O等、炭化物としては、Ge−C,Cr−C,Si−C,Al−C,Ti−C,Zr−C,Ta−C等、弗化物としては、Li−F,Ca−F等を用いることができる。あるいは、これらの適当な混合物としてもよい。
【0041】
また、適量の硫化物やセレン化物を混合する場合には、ZnS,ZnSe等を用いることができる。いずれにせよ、界面層の材料としては、記録層と拡散を起こしにくい材料であるか、又は記録層に拡散した場合であっても記録層の光学変化を妨げにくい材料であり、かつ、記録層と接して設けた場合に、記録層の結晶化を促進する材料を用いればよい。
【0042】
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Ge−Nが最も良好な性能を示した。これは、前述のように本発明では、保護層材料としてはZnS−SiOが最も良好な性能を示しており、それとの組み合わせを考えた場合、硫黄の成分が記録層へ拡散することを防止するという役割が特に重要となり、Ge−Nが最も良好な性能を示したものである。
界面層(103),(105),(203),(205)の膜厚は、1nm以上であるのが好ましい。これは界面層の膜厚が1nm未満の場合には、原子拡散の防止効果がほとんどなかったという実験結果に基づいている。
【0043】
記録層(104),(204)の材料としては、光学特性が可逆的に変化する材料が用いられる。相変化型記録媒体の場合には、Te,Seを主成分とするカルコゲナイド系材料を用いるのが好ましい。例えば、Ge−Sb−Te,Sb−Te,Sb−Te−Zn,Sb−Te−Ag,Te−Bi−Ge,Sb−Te−Ge−Se,Te−Sn−Ge−Au,Sb−Te−Ag−In,Se−In−Sb,Te−Se−Inを主成分とする材料等が挙げられる。
【0044】
記録層(104),(204)中にはAr,Kr等のスパッタガス成分やH,C,HO等が不純物として含まれることがあるが、その含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。また、種々の目的のために記録層(104),(204)の主成分に他の物質を微量(約10at%以下)添加する場合もあるが、この場合にもその含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。
【0045】
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Ge−Sb−Teが最も良好な性能を示した。
記録層(104),(204)の膜厚は、3nm以上40nm以下であるのが好ましい。記録層(104),(204)の膜厚が3nm未満の場合には、記録材料が均一な層状になりにくく、アモルファスと結晶との間で効果的な相変化が起こりにくくなるからであり、記録層(104),(204)の膜厚が40nmより大の場合には、記録層膜面内での熱拡散が大きくなるために、高密度で記録を行なった際に隣接消去が生じ易くなるからである。
【0046】
第1の放熱層(107)の材料としては、Au,Ag,Cuのうち少なくとも1つを含んだ材料が用いられる。これらの材料を用いるのは、その光学定数がAc/Aaの値を大きくとる上で有利であるからであり、また、熱伝導率が高いために、膜厚が薄くても大きい冷却能を得ることができるからである。また、第1の放熱層(107)の材料としては、Au,Ag,Cuのうちの少なくとも1つと、他の材料との混合物、又は合金を用いてもよい。これらの他の材料は、腐食防止やより効果的な光学設計を可能にする目的のために用いられる。具体的には、Cr,Pt,Pd,Al,Mg,W,Ni,Mo,Si,Ge等が挙げられるが、用途に応じて適宜選択された材料を用いればよい。
【0047】
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Agを主たる構成材料とした場合に最も良好な性能を示した。
第1の放熱層(107)の膜厚は、1nm以上80nm以下であるのが好ましい。第1の放熱層(107)の膜厚が1nm未満の場合には、膜が均一な層状とすることが困難となって、熱的、光学的な反射層の効果が低下するからであり、第1の放熱層(107)の膜厚が80nmよりも厚い場合には、媒体の光透過が小さくなるために、既述の光吸収補正(Ac/Aa>1)を実現することが困難となるからである。
【0048】
第2の放熱層(207)の材料としては金属材料が用いられ、Al,Au,Ag,Cuのうち少なくとも1つを含んだ材料が用いられる。これらの材料を用いるのは、その光学定数がAc/Aaの値を大きくとる上で有利であるからであり、また、熱伝導率が高いために、膜厚が薄くても大きい冷却能を得ることができるからである。また、第2の放熱層(207)の材料としては、Al,Au,Ag,Cuのうちの少なくとも1つと、他の材料との混合物、又は合金を用いてもよい。これらの他の材料は、腐食防止やより効果的な光学設計を可能にする目的のために用いられる。具体的には、Cr,Pt,Pd,Mg,W,Ni,Mo,Si,Ge等が挙げられるが、用途に応じて適宜選択された材料を用いればよい。
【0049】
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Al合金を主たる構成材料とした場合に最も良好な性能を示した。
第2の放熱層(207)の膜厚は、1nm以上80nm以下であるのが好ましい。第2の放熱層(207)の膜厚が1nm未満の場合には、膜が均一な層状とすることが困難となって、熱的、光学的な反射層の効果が低下するからであり、第2の放熱層(207)の膜厚が80nmよりも厚い場合には、媒体の光透過が小さくなるために、既述の光吸収補正(Ac/Aa>1)を実現することが困難となるからである。
【0050】
次に、本発明の特徴をなす主な部分である中間放熱層(108)について説明する。中間放熱層(108)は2つの重要な役割を担っている。すなわち、第1の記録層構成体(101)で生じた熱を冷却することと、記録再生レーザ光を第2の記録層構成体(201)へ良好に透過することである。
【0051】
第1の放熱層(107)の材料として光透過型の薄い層を用いる場合、第1の放熱層(107)での冷却効果は低下してしまう。これを補うために、媒体としての光学的な特性を損なわずに、すなわち媒体の透過率を保ったまま、中間放熱層(108)において効果的に熱拡散が行なわれる。このため、中間放熱層(108)の記録再生レーザ波長域における吸収はある程度低くなければならない。このような中間放熱層(108)に要求される熱的特性としては、その材料の熱伝導率は一般に0.15〜17W/mK程度のものであるが、安定した熱的特性(放熱特性)はその中間放熱層(108)の熱容量によってほぼ決まる。そしてそれは中間放熱層(108)単独で決められるものではなく、記録層の熱容量も考慮して決められる。なお、熱容量は各層の厚さによってほぼ決まる。
【0052】
なお、このような本発明に適用される中間放熱層としては、上記実施例の他に以下の材料の中から選んでもよい。例えば、Al−N,Al−O−N,Al−C,Si,Si−N,SiO,Si−O−N,Si−C,Ti−N,TiO,Ti−C,Ta−N,Ta,Ta−O−N,Ta−C,Zn−O,ZnS,ZnSe,Zr−N,Zr−O−N,Zr−C,W−Cなどが挙げられる。あるいは、これらの混合物を用いてもよいし、これらの材料と適量の金属、半金属との混合物、又は合金を用いてもよい。
更に他の例として、In−SnO、ZrO−Y、InO−ZrO、Al−ZrOなどが挙げられる。
【0053】
分離層(109)は、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)とを光学的に分離することを主な目的として設けられ、記録再生に用いるレーザ光に対する光吸収ができるだけ小さくなる材料により構成される。例えば、紫外線硬化樹脂や遅効性樹脂等の有機材料からなる樹脂、光ディスク用両面接着シート、SiO,Al,ZnS等の無機誘電体、あるいはガラス材料などを用いることができる。
分離層(109)の厚さは、一方の媒体を記録再生する際に、他方の媒体からのクロストークを無視できる程度に小さく抑えるために、レーザ光の焦点深度△Z以上の厚さとすることが必要である。ここで、焦点深度△Zは、集光点の強度が無収差の場合の80%の点を基準とした場合、近似的に下記の式で標記することができる。
【0054】
【数1】
△Z=λ/[2×(NA)
【0055】
ここで、NAは対物レンズの開口数、λは記録・再生を行なう際のレーザ光の波長である。例えば、λ=400nm,NA=0.60の場合、焦点深度は△Z=0.56μmとなる。したがって、この場合、約±0.60μmの範囲内は焦点深度内となってしまうため、分離層(109)の厚さを少なくとも1.20μmよりも大きい値に設定する必要がある。
また、分離層(109)の厚さは、2つの媒体間の距離が対物レンズの集光可能な範囲となるように、対物レンズの許容可能な公差内とするのが望ましい。
第2の記録層構成体(201)の記録再生は、レーザ光を第1の記録層構成体(101)中を透過させることにより行なわれる。このため、記録再生を行なうレーザ光の波長に対する第1の記録層構成体(101)の透過率をT1、反射率をR1、第2の記録層構成体(201)のみでの反射率をR2としたとき、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を再生する際の反射率r2は下記の式で標記される。
【0056】
【数2】
r2=R2×T1×T1
【0057】
また、信号振幅についても同様に、第2の記録層構成体(201)そのものの反射率差を△R2、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を再生する場合の第2の記録層構成体(201)の反射率差を△r2としたとき、下記の関係式が成り立つ。
【0058】
【数3】
△r2=△R2×T1×T1
【0059】
例えば、△R2=24%,T1=50%のときは、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を再生する場合の第2の記録層構成体(201)の反射率差△r2は、△r2=24%×0.5×0.5=6%となる。
【0060】
以上のことから判るように、第2の記録層構成体(201)から充分な信号を得るためには、第1の記録層構成体(101)の透過率T1をできるだけ高く、第2の記録層構成体(201)の信号振幅をできるだけ大きくとる必要がある。それと同時に、第1の記録層構成体(101)の反射率差をある程度高くする必要があり、かつ、第2の記録層構成体(201)の記録感度を非常に高くする必要がある。第1の記録層構成体(101)、第2の記録層構成体(201)の光学設計は、これらの要因が全てバランスするように定めなければならない。
【0061】
以下に、具体的な光学設計例を示す。一例として、第1の記録層構成体(101)の記録層(104)が結晶状態のときの反射率R1cが7.5%、アモルファス状態のときの反射率R1aが0.5%、第2の記録層構成体(201)の記録層(204)が結晶状態のときの反射率R2cが15%、アモルファス状態のときの反射率R2aが43%、第1の記録層構成体(101)にのみ記録を行なった場合の第1の記録層構成体(101)の透過率が50%となるように設計した。光学設計値の調節は、主に記録層(104)、保護層(102),(106)、第1の放熱層(107)の膜厚を変化させることによって行なった。
【0062】
以上の例の場合、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を記録再生する場合の反射率差は△r2=(43−15)×0.5×0.5=7%、また、第1の記録層構成体(101)の反射率差も7.5−0.5=7%となっている。このように、第1の記録層構成体(101)、第2の記録層構成体(201)の反射率差、すなわち、信号振幅の大きさがほぼ同等となるように設計するのが望ましい。このように設計すれば、記録再生を行なう媒体を第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)との間で切り替える際、信号振幅が極端に変化することによってトラッキングが不安定になるのを防止することができる。
【0063】
また、第1の記録層構成体の高透過率と第2の記録層構成体の高反射率差とを両立させることは大変困難であるため、設計を行なった後の反射率差は比較的小さく、信号振幅が比較的小さくなってしまうことが多い。この場合には、再生光のパワーレベルP3を従来よりもやや大きく設定し、再生信号振幅を大きくとるのが好ましい。但し、P3のレベルを大きく設定し過ぎると、記録マークが熱的に影響を受け、再生信号が劣化してしまうため、この再生光による信号劣化が生じない範囲でP3のレベルを設定しなければならない。また、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)の再生パワーレベルはそれぞれ異なっていても構わない。また、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)の再生を行なうレーザ光の波長は異なっていてもよいが、同一波長のレーザ光を用いるのが一般的である。
【0064】
次に、以上説明した光学情報記録媒体の製造方法について説明する。上記光学情報記録媒体を構成する多層膜を作製する方法としては、スパッタリング法、真空蒸着、CVD等の方法がある。ここでは、スパッタリング法を用いた場合を例に挙げて説明する。図3は成膜装置の一例を示す概略図である。
【0065】
図3に示すように、真空容器(9)には,排気口(15)を介して真空ポンプ(図示せず)が接続されており、これにより真空容器(9)内を高真空に保つことができるようにされている。また、真空容器(9)にはガス供給口(14)が設けられており、このガス供給口(14)から一定流量の希ガス、窒素、酸素、又はこれらの混合ガスを供給することができるようにされている。図3中、(10)は真空容器(9)内に配置された基板であり、この基板(10)は、基板(10)の自転・公転を行なうための駆動装置(11)に取り付けられている。(12)は真空容器(9)内に基板(10)と対向させて複数配置されたスパッタターゲットであり、これらのスパッタターゲット(12)はそれぞれ陰極(13)に接続されている。ここで、陰極(13)は、図示しないスイッチを介して直流電源又は高周波電源(図示せず)に接続されている。また、真空容器(9)を接地することにより、真空容器(9)及び基板(10)は陽極に保たれている。
【0066】
成膜ガスとしては、希ガス、あるいは場合に応じて希ガスに微量の窒素又は酸素等を混合したガスが用いられる。希ガスとしては、Ar,Kr等の成膜可能なガスを用いればよい。一般に、記録層(104),(204)や保護層(102),(106),(202),(206)を成膜する際に、希ガスと微量の窒素又は微量の酸素との混合ガスを用いると、媒体の繰り返し記録時の物質移動を抑制することができ、繰り返し特性が向上することが知られている。
【0067】
界面層(103),(105),(203),(205),あるいは中間放熱層(108)として、窒化物や酸化物を用いる場合、反応性スパッタリング法によってスパッタすると、良好な膜質の膜が得られる。例えば、界面層(103),(105),(203),(205)としてGe−Cr−Nを用いる場合、Ge−Cr,もしくはGeとCrとOとを含む材料をターゲットとし、成膜ガスとして希ガスと窒素との混合ガスを用いる。あるいは、NO,NO,NO,N等の窒素原子を含むガスや、これらの適当な組み合わせと希ガスとの混合ガスを用いてもよい。また、膜が硬質である場合や膜応力が大きい場合等には、必要に応じて微量の酸素を成膜ガス中に混合することにより、良好な膜質の層を得ることができる場合がある。
【0068】
このような2組の媒体によって構成される2層記録媒体は以下のような順序で製作される。
まず第1の製作方法について図4a〜図4eを用いて説明する。この方法は、溝付基板(200)上に順に第2の記録層構成体(201)、第1の記録層構成体(101)を形成していく方法である。
最初に溝付基板(200)を準備する(図4a)。溝の寸法などは前述の通りである。
次に第2の記録層構成体(201)を第2の放熱層(207)、保護層(206)、界面層(205)、記録層(204)、界面層(203)、保護層(202)の順に前述のようなスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の成膜手段によって形成する(図4b)。
次に分離層(109)を形成する(図4c)。ここで分離層(109)は、前述のように紫外線硬化樹脂や遅効性樹脂等の有機材料からなる樹脂などによって形成されるが、樹脂層形成時、あるいは形成後に、溝付基板(200)上にあらかじめ形成されている溝[211(211’,211”)]とほぼ同等の寸法の溝[111(111’,111”)]を形成する。この溝[111(111’,111”)]は後述する第1の記録層構成体(101)において記録/再生を行なう場合のトラッキング溝である。なお、溝[211(211’,211”)]は、第2の記録層構成体(201)において記録/再生を行なう場合のトラッキング溝である。そしてこの溝[111(111’,111”)]は例えば、スタンピング法によって形成される。他にレーザアブレーションなどによって、このような溝を形成してもよい。
【0069】
ここで重要なことは、図2に示しているように、溝付基板(200)上に形成されている溝[211(211’,211”)]によって形成される第2の記録層構成体の溝のセンターライン(210)と,この溝[111(111’,111”)]のセンターライン(110)が一致していない点である。これについては後述する。
【0070】
次に中間放熱層(108)を形成する(図4d)。中間放熱層(108)の厚さについては後述のような最適化により、本発明では、2層のそれぞれの記録層構成体で良好な記録特性を得ている。
次に、第1の記録層構成体(101)を第1の放熱層(107)、保護層(106)、界面層(105)、記録層(104)、界面層(103)、保護層(102)の順に前述のようなスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の成膜手段によって形成する(図4e)。
このあと必要に応じて、図2に示した基板(カバー基板)(100)を設けることにより完成する。なおこの基板(カバー基板)(100)はなくても本発明の2層構成型光記録媒体は機能するが、取り扱い上の容易さを考慮すると設けるほうがよい。
【0071】
このような方法においては、第2の記録層構成体(201)および第1の記録層構成体(101)がほとんど同じ構成であり、また各層を積層していく順序も同じであるため、製作が容易であるという利点がある。
【0072】
次に第2の製作方法について図5a〜図5fを用いて説明する。この方法は、それぞれの記録層構成体部(101),(201)を別々に形成した後、両者を貼り合わせて2層構成型光記録媒体を形成するというものである。
【0073】
最初に溝付基板(200)を準備する(図5a)。溝の寸法などは前述の第1の製作方法の場合と同じであり、完成後の2層構成型光記録媒体の第2の記録層構成体(201)において記録/再生を行なう場合のトラッキング溝である。
次に第2の記録層構成体(201)を第2の放熱層(207)、保護層(206)、界面層(205)、記録層(204)、界面層(203)、保護層(202)の順に前述のようなスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の成膜手段によって形成する(図5b)。
次に基板(100)を準備する(図5c)。これは、最終的に出来上がった場合の図2でいうとカバー基板に相当するものであるが、溝付基板(200)とほぼ同等の寸法の溝を有する。そしてこの溝は、完成後の2層構成型光記録媒体の第1の記録層構成体(101)において記録/再生を行なう場合のトラッキング溝である。
次に第1の記録層構成体(101)を基板(100)上に保護層(102)、界面層(103)、記録層(104)、界面層(105)、保護層(106)、第1の放熱層(107)の順に前述のようなスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の成膜手段によって形成する(図5d)。
【0074】
次に中間放熱層(108)を形成する(図5e)。中間放熱層(108)の厚さについては後述のような最適化により、本発明では、2層のそれぞれの記録層構成体で良好な記録特性を得ている。
次に第2の記録層構成体側の保護層(202)と第1の記録層構成体側に形成した中間放熱層(108)を向かい合わせ、間に分離層(109)を介して両者を貼り合わせて完成する(図5f)。
この方法においても、第1の製作方法の場合と同様に上下の2つの溝のセンターライン(210),(110)と一致していない。これについては後述する。
この方法においては、第2の記録層構成体(201)および第1の記録層構成体(101)の出発材料である基板がともに溝付き基板であり、部品の共通化が図れ、低コスト化が可能であるという利点がある。
【0075】
以上、本発明の2層構成型光記録媒体の制作方法を説明したが、最終的な形態としては、図4e(カバー基板がない例)、もしくは図5fとなる。いずれの場合も、記録/再生に使用するレーザ光は、図2に示したように第1の記録層構成体(101)側から第2の記録層構成体(201)側に入射させて使用する。
【0076】
次に、以上のようにして形成した光学情報記録媒体の記録再生方法、消去方法について説明する。信号の記録再生、消去には、レーザ光源と対物レンズを搭載した光ヘッドと、レーザ光を照射する位置を所定の位置へと導くための駆動装置と、トラック方向及び膜面に垂直な方向の位置を制御するためのトラッキング制御装置及びフォーカシング制御装置と、レーザパワーを変調するためのレーザ駆動装置と、媒体を回転させるための回転制御装置とが用いられる。
【0077】
信号の記録、消去は、まず、媒体を回転制御装置を用いて回転させ、光学系を用いてレーザ光を微小スポットに絞りこんで、媒体へ照射することによって行なわれる。レーザ光の照射によって記録層(4)のうちの局所的な一部分がアモルファス状態へと可逆的に変化し得るアモルファス状態生成パワーレベルをP1、同じくレーザ光の照射によって結晶状態へと可逆的に変化し得る結晶状態生成パワーレベルをP2とし、レーザパワーをP1とP2との間で変調させることによって記録マーク、あるいは消去部分を形成する。これにより、情報の記録、消去、及び上書き記録が行なわれる。P1のパワーを照射する部分は、パルスの列で形成する、いわゆるマルチパルスとするのが一般的である。
【0078】
また、前記P1、P2のいずれのパワーレベルよりも低く、そのパワーレベルでのレーザ光の照射によって記録マークの光学的な状態が影響を受けず、かつその照射によって媒体から記録マークの再生のために充分な反射率が得られるパワーレベルを再生パワーレベルP3とし、P3のパワーのレーザ光を照射することによって得られる媒体からの信号を検出器で読み取ることにより、情報信号の再生が行なわれる。
【0079】
前述のように本発明は図2に示したような2組の媒体によって構成される2層記録媒体である。このように第1の記録層構成体(101)を透過して、第2の記録層構成体(201)に良好に記録を行なうには、放熱特性や透過率などを考慮した構成を検討する必要がある。本発明ではこの点に鑑み、第1の記録層構成体(101)と中間放熱層(108)の厚さを変えた図2の層構成の光学情報記録媒体を製作して、その記録特性を評価した。なおここで中間放熱層(108)は、InOとSnOからなるITOによって形成した。
【0080】
また、このときの第1の記録層構成体(101)の構成および各層の厚さは、第1の記録層構成体(101)全体が210nmの場合に、記録層(104)としてGe−Sb−Teを25nm、保護層(102),(106)としてZnS−SiOをそれぞれ40nm、界面層(103),(105)としてGe−Nをそれぞれ30nm、放熱層(107)としてAgを45nmとしたものである。
なお、第1の記録層構成体(101)全体が320nm、430nmの場合には各層の厚さはほぼ比例して増加した厚さであり、第2の記録層構成体(201)もほぼ同構成およびほぼ比例して減少した厚さである。
【0081】
なお、書き込みレーザパワーは本発明においては3mW〜10mWの範囲が好適に使用されるが、第2の記録層構成体(201)へのレーザ書き込み(記録)は、第1の記録層構成体(101)を透過して行なわれるため、そのパワーロスを考慮して、第2の記録層構成体(201)への書き込みレーザパワー(記録パワー)を第1の記録層構成体(101)へのそれより大としている。
また同様に、第1の記録層構成体(101)はその書き込み時にパワーロスがなく、また第2の記録層構成体(201)への書き込み時のパワーロス分の熱エネルギーが第1の記録層構成体(101)に蓄熱されることもあって、第1の記録層構成体(101)は第2の記録層構成体(201)よりも熱がたまりやすい。そこで、本発明では、第1の記録層構成体(101)の厚さを第2の記録層構成体(201)の厚さより大とし、そのバランスをとっている。すなわち、記録層構成体全体の厚さが厚いほど放熱体としての機能も果たすので、第1の記録層構成体(101)の厚さを第2の記録層構成体(201)の厚さより大とすることにより、第1の記録層構成体(101)の蓄熱を防止し、第2の記録層構成体(201)と同程度の熱容量になるようにして、2つの記録層構成体の記録特性がそろうようにしているのである。
【0082】
以下にこのときのその他の記録条件等を示す。
Figure 2004342283
【0083】
Figure 2004342283
【0084】
以下にその評価結果を示す。表1−1、表1−2は例1の結果、表2−1、表2−2は例2の結果である。ここで記録特性は、実際に実用に供しうるかどうかということで表中に○および×を付けたが、第1の記録層における評価で、○はジッタ特性が10%未満で、記録再生特性が実用に供しうる良好な状態を示している。×は蓄熱により急激にジッタ特性が悪く(15%以上)なり、エラー修復不能な状態になったものである。また、第2の記録層における評価においても、○はジッタ特性が10%未満で、記録再生特性が実用に供しうる良好な状態を示している。×は記録層において良好なアモルファス化ができなかった(=記録ができない)ため、再生特性が実用に供しないレベルにあるものを示している。
【0085】
【表1−1】
Figure 2004342283
【0086】
【表1−2】
Figure 2004342283
【0087】
【表2−1】
Figure 2004342283
【0088】
【表2−2】
Figure 2004342283
【0089】
以上の結果より、第1の記録層構成体と中間放熱層の厚さ比を0.2〜1の範囲にすることによって、第1の記録層構成体で発生した熱が蓄熱されることなく良好に放熱され、良好な記録特性が得られることが判る。よって、本発明のような2層構成とすることにより、記録媒体への熱負荷を低下することができ、繰り返し記録特性も向上し、従来の光記録媒体の2倍の記録容量を実現することが可能となった。
【0090】
ところで、前述のように本発明の2層構成型光記録媒体は、2層のそれぞれの記録層構成体側に、記録/再生用のレーザ光を案内する溝を、幅Gが0.1〜0.46μm、深さDが0.01〜0.04μmの溝[211(211’,211”)]をピッチPが0.28〜0.50μmとなるように形成している。2層のそれぞれの記録層構成体は前述のように、順次積層して形成したり、あるいは、各層を別々に形成後、両者を貼り合わせて形成したりして、2層構成型光記録媒体を完成させている。
【0091】
図6a,図6bは、このような本発明の2層構成型光記録媒体ならびにそのドライブ装置を模式的に示したものである。図中、(308)は2層構成型光記録媒体、(308−1)は第1の記録層構成体、(308−2)は第2の記録層構成体、(309)は2層構成型光記録媒体の中心部分に形成された円状開口、(310)はこのような光記録媒体のランドおよびグルーブ部にレーザ光を照射し、光学的にアクセスしながら、記録ビット情報を記録/再生するピックアップユニット、(311)は光記録媒体を回す回転軸、(312)はドライブ装置を示している。
なおここでは、図5a〜図5fで説明したようなそれぞれの記録層構成体部(101),(201)を別々に形成した後、両者を貼り合わせて2層構成型光記録媒体を形成したものの例で説明する。すなわち、それぞれの記録層構成体部の支持基体となるそれぞれの基板(100),(200)は、Φ120mmの板の中央部にΦ15mmの穴を有するものであり、上記円状開口(309)はこれらの2つの基板貼り合わせ後の開口である。
【0092】
図6aは2層構成型光記録媒体(308)をドライブ装置(312)に装着していない状態であり、図6bは2層構成型光記録媒体(308)の中心部分に形成された円状開口(309)を回転軸(311)に差し込んで2層構成型光記録媒体(308)をドライブ装置(312)に装着した状態を示している。ピックアップユニット(310)は、図の矢印方向に移動しながら、溝(グルーブ)部に記録ビット情報の記録を行なったり、記録された情報を読み出したり(再生)する。
【0093】
ところで本発明者はこのような2層構成型光記録媒体による従来の2倍の容量の光記録媒体の研究開発を通じて、上記のような上下2枚の光記録媒体、すなわち第1の記録層構成体(308−1)、第2の記録層構成体(308−2)を高精度に積層接着し、上下の溝部も完全に一致させるように苦慮しているうちに、あることに気が付いた。
すなわち、記録ビット情報の記録/再生という作業は、ピックアップユニット310によってそれぞれ上下の別々の溝(111),(211)で高精度にトラッキングを行なえばよいので、本発明のような2層構成型光記録媒体自体に上下の互いの溝部(グルーブ部およびランド部)が、高精度に1対1の鏡像関係となるように精度良く一致させて積層させ、その製造コストは非常に高いものとする必要がないことに気付いたのである。
【0094】
それよりもむしろ、本発明のような2層構成型光記録媒体(308)が、ドライブ装置(312)に設置できるようにすることが重要な課題であることに気が付いた。つまり本発明のような2層構成型光記録媒体(308)は、ドライブ装置(312)に設置でき、回転軸(311)によって2層構成型光記録媒体(308)を回転させることができれば、トラッキング制御されたピックアップユニット(310)によって、自由に記録ビット情報の記録/再生ができるので、上下2枚の記録層構成体(308−1),(308−2)を貼り合わせる際に、高精度に積層接着し、上下の溝部も完全に一致させないようにした。図5fはそれを説明するために、一点鎖線で第1の記録層構成体の溝のセンターライン(110)と第2の記録層構成体の溝のセンターライン(210)を示し、それらが一致しないことを示している。
【0095】
図7は、第1の記録層構成体(308−1)と第2の記録層構成体(308−2)の支持基体となるそれぞれの基板(100),(200)の円状開口をずらして積層貼り合わせした例を示したものであり、第1の記録層構成体(308−1)の円状開口(309−1)と第2の記録層構成体(308−2)の円状開口(309−2)の中心点はX方向にΔX,Y方向にΔYずらして積層貼り合わせしたものである。
この場合、それぞれの円状開口(309−1)と(309−2)の直径D1、D2は等しくなるように形成されている(=Φ15mm)ので、2層構成型光記録媒体(308)の円状開口(309)は、D1(もしくはD2)より(ΔX+ΔY)の平方根の値分だけ小さい値となり、それが2層構成型光記録媒体(308)の実質的な円状開口(309)の直径とみなされる。そしてその2層構成型光記録媒体(308)の実質的な円状開口(309)の直径は、ドライブ装置(312)の回転軸(311)の直径とほぼ同じ値となるような円状開口(309−1)と(309−2)の中心点のずれ量とされる。
【0096】
本発明では、このずれ量を、少なくとも第1の記録層構成体(308−1)と第2の記録層構成体(308−2)の互いの基板の相対する溝(111),(211)が1列以上ずれるようにして積層貼り合わせを行なう。つまり、記録ビット情報を記録する溝列の1ピッチ分以上ずれるようにして積層貼り合わせを行なう。具体的には貼り合わせ工程において、分離層(109)として例えば紫外線硬化樹脂や遅効性樹脂等の有機材料からなる樹脂を使用し、その硬化時に樹脂が流動性を示すという性質を利用することによって得られる。
【0097】
またそのずれ量の上限は、このような2層構成型光記録媒体(308)が、ドライブ装置(312)に設置できる範囲内とされる。具体的にはその2層構成型光記録媒体(308)の実質的な円状開口(309)の直径が、ドライブ装置(312)の回転軸(311)の直径とほぼ同じ値であって、実質的な円状開口(309)の内壁と回転軸(311)の外壁が適度なフリクションを持ち、2層構成型光記録媒体(308)がドライブ装置(312)に固定され、回転軸(311)によって、2層構成型光記録媒体(308)が回転軸(311)に対して滑ることなく同じ回転数で回転できるということが設置できる範囲内という意味である。
【0098】
他に重要な点は図6(b)に示したように、矢印方向に移動するピックアップ(310)がフォーカシングやトラッキングでき、追従できるという点である。つまり製作上の低コスト化を図るために、第1の記録層構成体(308−1)と第2の記録層構成体(308−2)の互いの基板の相対する溝(111),(211)のずれ量はできるだけ大きくして、ラフな構成の2層構成型光記録媒体(308)とするわけであるが、そのずれ量の上限は、ピックアップ(310)が追従できる範囲内とすることにより、低コスト化および満足すべき性能の両面が実現できるのである。
【0099】
なお以上の説明は、図5で説明したようなそれぞれの記録層構成体部(101),(201)を別々に形成した後、両者を貼り合わせて2層構成型光記録媒体を形成したものの例で行なったが、図4で説明したような溝付基板(200)上に順に第2の記録層構成体(201)、第1の記録層構成体(101)を形成していく場合においても、同様の考えが適用される。すなわち、溝付基板(200)の溝[211(211’,211”)]と分離層(109)にスタンピング法等によって形成される溝[111(111’,111”)]に互いに一致しないで、溝列の1ピッチ分以上かつピックアップ(310)が追従できる範囲内にずらして形成する。
【0100】
以上の説明より明らかなように、従来は大変高精度な位置合わせ治工具ならびに接着治工具を用い、かつ時間ならびに人手をかけて互いの溝が完全に1対1に一致するようにして2層構成型光記録媒体を製作しようとしていたが、本発明のように、互いの溝をずらすようにしたので、容易にかつ非常に低コストで2層構成型光記録媒体を製作することが可能となった。
【0101】
また、本発明は、説明を簡略化するために、2層構成型光記録媒体として説明したが、レーザ光の書き込みパワーを3mW〜30mWの範囲にして記録を行なうことにより、3層、4層…、n層(多層,nは3以上の自然数)としてこのような光記録媒体を構成することも可能である。ただし無制限に多層化できるわけではなく、最大でも10層にとどめておくのが実用的な範囲である。
その場合、各記録層構成体には、前記のような分離層を入れ、その分離層には、基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成する。そしてこの溝は、隣接記録層構成体の互いの溝列、あるいは基板の溝列とは一致しないようにする。すなわち、レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、この多層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とするのである。
この記録層構成体が多くなればなるほど、本発明のようにトラッキング溝をずらして製作するという考え方がより多くの効果を生み出すことは明らかである。
【0102】
またこのように多層にした場合、各層の書き込みレーザパワーは本発明においては3mW〜30mWの範囲が好適に使用されるが、第2の記録層構成体へのレーザ書き込み(記録)、第3の記録層構成体へのレーザ書き込み(記録)、…第nの記録層構成体へのレーザ書き込み(記録)は、それぞれ各記録層構成体を透過して行なわれるため、そのパワーロスを考慮して、第1の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<第2の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<…<第nの記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー、とする。
【0103】
また同様に、第1の記録層構成体はその書き込み時にパワーロスがなく、また第2の記録層構成体、第3の記録層構成体、…第nの記録層構成体への書き込み時のパワーロス分の熱エネルギーがそれぞれ先にレーザ光が透過した記録層構成体に蓄熱されることもあって、先にレーザ光が透過した記録層構成体は後からレーザ光が透過する記録層構成体よりも熱がたまりやすい。そこで、本発明では、各記録層構成体の厚さは、第1の記録層構成体の厚さ>第2の記録層構成体の厚さ>…>第nの記録層構成体の厚さ、とし、そのバランスをとっている。すなわち、記録層構成体全体の厚さが厚いほど放熱体としての機能も果たすので、第1の記録層構成体の厚さ>第2の記録層構成体の厚さ>…>第nの記録層構成体の厚さ、とすることにより、先にレーザ光が透過した記録層構成体の蓄熱を防止し、後からレーザ光が透過する記録層構成体と同程度の熱容量になるようにして、各層の記録層構成体の記録特性がそろうようにしているのである。
【0104】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明により明らかなように、前記第(1)項に関する効果として、このように多層構成型光記録媒体としたので、従来にはない記録容量の光記録媒体が実現できるようになった。また、第1、第2、…第n(nは3以上の自然数)の記録層構成体はほぼ同等の記録層構成体であるので、製作が容易になった。
さらにこのような大容量の記録容量を実現できる多層構成型光記録媒体の各記録層構成体に対応するトラッキング溝を互いに1列以上ずらし、かつ、この光記録媒体を駆動するドライブ装置のピックアップが追従可能な範囲内のずらし量としたので、ドライブ装置で良好に書き込み/読み取りができ、しかもずらし量の許容範囲をゆるく、かつ、明確にしたので、低コストでこのような多層構成型光記録媒体が実現できるようになった。
【0105】
前記第(2)項に関する効果として、このような多層構成型光記録媒体において、各記録層構成体の厚さを最適化し、放熱のバランスをとるようにしたので、先にレーザ光が透過した記録層構成体の蓄熱を防止でき、各層の記録層構成体の記録特性がそろうようになった。
【0106】
前記第(3)項に関する効果として、このように2層構成型光記録媒体としたので、通常の1層だけのものに対して2倍の記録容量を実現できるようになった。また、第1、第2の記録層構成体はほぼ同等の記録層構成体であるので、製作が容易になった。
さらにこのような2倍の記録容量を実現できる2層構成型光記録媒体の上下のトラッキング溝を1列以上ずらし、かつ、この光記録媒体を駆動するドライブ装置のピックアップが追従可能な範囲内のずらし量としたので、ドライブ装置で良好に書き込み/読み取りができ、しかもずらし量の許容範囲をゆるくかつ明確にしたので、低コストでこのような2層構成型光記録媒体が実現できるようになった。
【0107】
前記第(4)項に関する効果として、このように2層構成型光記録媒体としたので、通常の1層だけのものに対して2倍の記録容量を実現できるようになった。また、上下とも溝付き基板としたので、基板を共通部品化することができ低コスト化が図れるようになった。
さらにこのような2倍の記録容量を実現できる2層構成型光記録媒体の上下のトラッキング溝を1列以上ずらし、かつ、この光記録媒体を駆動するドライブ装置のピックアップが追従可能な範囲内のずらし量としたので、ドライブ装置で良好に書き込み/読み取りができ、しかもずらし量の許容範囲をゆるくかつ明確にしたので、低コストでこのような2層構成型光記録媒体が実現できるようになった。
【0108】
前記第(5)項に関する効果として、このように2層構成型光記録媒体としたので、通常の1層だけのものに対して2倍の記録容量を実現できるようになった。また、第1、第2の記録層構成体はほぼ同等の記録層構成体であるので、製作が容易になった。
さらにこのような2倍の記録容量を実現できる2層構成型光記録媒体の上下のトラッキング溝を1列以上ずらし、かつ、この光記録媒体を駆動するドライブ装置のピックアップが追従可能な範囲内のずらし量としたので、ドライブ装置で良好に書き込み/読み取りができ、しかもずらし量の許容範囲をゆるくかつ明確にしたので、低コストでこのような2層構成型光記録媒体が実現できるようになった。
またこのような2層構成型光記録媒体において、最初にレーザ光が入射する記録層構成体の厚さと中間放熱層の厚さの関係を最適化したので、第1、第2のそれぞれの記録層構成体において良好な記録再生が可能となった。またこの最適化により、記録媒体への熱負荷を低下することができるため、繰り返し記録特性も向上させることが可能となった。
【0109】
前記第(6)項に関する効果として、このように2層構成型光記録媒体としたので、通常の1層だけのものに対して2倍の記録容量を実現できるようになった。また、上下とも溝付き基板としたので、基板を共通部品化することができ、低コスト化が図れるようになった。
さらにこのような2倍の記録容量を実現できる2層構成型光記録媒体の上下のトラッキング溝を1列以上ずらし、かつ、この光記録媒体を駆動するドライブ装置のピックアップが追従可能な範囲内のずらし量としたので、ドライブ装置で良好に書き込み/読み取りができ、しかもずらし量の許容範囲をゆるくかつ明確にしたので、低コストでこのような2層構成型光記録媒体が実現できるようになった。
またこのような2層構成型光記録媒体において、最初にレーザ光が入射する記録層構成体の厚さと中間放熱層の厚さの関係を最適化したので、第1、第2のそれぞれの記録層構成体において良好な記録再生が可能となった。またこの最適化により、記録媒体への熱負荷を低下することができるため、繰り返し記録特性も向上させることが可能となった。
【0110】
前記第(7)項に関する効果として、このような2層構成型光記録媒体において、第1の記録層構成体の厚さを第2の記録層構成体の厚さより厚くし、放熱のバランスをとるようにしたので,先にレーザ光が透過する第1の記録層構成体の蓄熱を防止でき、各層の記録層構成体の記録特性がそろうようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用される光記録媒体の層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の2組の記録媒体によって構成される2層構成型光記録媒体の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明の光記録媒体の製造に用いられる成膜装置の一例を示す概略図である。
【図4a】本発明の2層構成型光記録媒体の製作プロセスの1例を示す図である。
【図4b】本発明の2層構成型光記録媒体の製作プロセスの1例を示す図である。
【図4c】本発明の2層構成型光記録媒体の製作プロセスの1例を示す図である。
【図4d】本発明の2層構成型光記録媒体の製作プロセスの1例を示す図である。
【図4e】本発明の2層構成型光記録媒体の製作プロセスの1例を示す図である。
【図5a】本発明の2層構成型光記録媒体の他の製作プロセスを示す図である。
【図5b】本発明の2層構成型光記録媒体の他の製作プロセスを示す図である。
【図5c】本発明の2層構成型光記録媒体の他の製作プロセスを示す図である。
【図5d】本発明の2層構成型光記録媒体の他の製作プロセスを示す図である。
【図5e】本発明の2層構成型光記録媒体の他の製作プロセスを示す図である。
【図5f】本発明の2層構成型光記録媒体の他の製作プロセスを示す図である。
【図6a】本発明を適用した2層構成型光記録媒体ならびにそのドライブ装置を模式的に示す図である。
【図6b】本発明を適用した2層構成型光記録媒体ならびにそのドライブ装置を模式的に示す図である。
【図7】第1の記録層構成体(308−1)と第2の記録層構成体(308−2)のそれぞれの円状開口をずらして積層貼り合わせした例を示す図である。
【図8】従来の相変化型記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 保護層
3 界面層
4 記録層
5 界面層
6 反射層
7 熱拡散層
9 真空容器
10 基板
11 基板駆動装置
12 ターゲット
13 陰極
14 ガス供給口
15 排気口
100 基板(カバー基板)
101 第1の記録層構成体
102 保護層
103 界面層
104 記録層
105 界面層
106 保護層
107 第1の放熱層
108 中間放熱層
109 分離層
110 第1の記録層構成体の溝のセンターライン
111,111’,111’’ 溝
200 溝付基板
201 第2の記録層構成体
202 保護層
203 界面層
204 記録層
205 界面層
206 保護層
207 第2の放熱層
210 第2の記録層構成体の溝のセンターライン
210’,210’’ 溝のセンターライン
211,211’,211’’ 溝
308 2層構成型光記録媒体
308−1 第1の記録層構成体
308−2 第2の記録層構成体
309 円状開口
310 ピックアップユニット
311 回転軸
312 ドライブ

Claims (7)

  1. 幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した基板上に、複数組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、複数組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう多層構成型光記録媒体であって、レーザ光が入射する側から第1の記録層構成体、第2の記録層構成体、…第n(n:3以上の自然数)の記録層構成体と積層し、第1の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<第2の記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー<…<第nの記録層構成体へのレーザ光の書き込みパワー、とし前記各レーザ光の書き込みパワーを3mW〜30mWの範囲にして記録を行なうとともに、各記録層構成体間には、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成し、隣接記録層構成体の互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この多層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする多層構成型光記録媒体。
  2. 前記各記録層構成体の厚さは、第1の記録層構成体の厚さ>第2の記録層構成体の厚さ>…>第n(n:3以上の自然数)の記録層構成体の厚さ、としたことを特徴とする請求項1に記載の多層構成型光記録媒体。
  3. 幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した基板上に、2組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記レーザ光の書き込みパワーを3mW〜12mWの範囲にして記録を行なうとともに、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体と、該第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体はほぼ同等の記録層構成体であり、かつ前記第2の記録層構成体への書き込みレーザパワーを前記第1の記録層構成体へのそれより大とし、該第1、第2の記録層構成体は、間に分離層を介して積層される2層構成型光記録媒体であって、前記分離層に、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成するとともに、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体。
  4. 2組の記録媒体を積層し、波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記レーザ光の書き込みパワーを3mW〜12mWの範囲にして記録を行なうとともに、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第1の基板上に記録層を形成してなり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第2の基板上に、前記第1の記録層構成体とほぼ同等の記録層を形成してなり、前記第1、第2の記録層構成体を互いの記録層側が相対するように向かい合わせ、間に分離層を介して積層するとともに、前記第1の記録層構成体側からレーザ光を入射するとともに、前記第2の記録層構成体への書き込みレーザパワーを前記第1の記録層構成体へのそれより大として使用する、2層構成型光記録媒体であって、前記第1,第2の基板の溝は、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体。
  5. 幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した基板上に、2組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、第1のZnS−SiO,Ge−N,Ge−Sb−Te,Ge−N,第2のZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層をレーザ光入射側から順に積層するとともに、前記第2のZnS−SiO層にAgを主たる構成材料とした第1の放熱層をレーザ光入射の反対側に設けてなる構成体であり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、前記第1の放熱層を除いて前記第1の記録層構成体と同様の層構成とし、該層構成体と接し、前記溝を形成した基板と接する部分に金属材料よりなる第2の放熱層を設けてなる構成体であり、前記レーザ光の書き込みパワーは、前記第2の記録層構成体へのそれを前記第1の記録層構成体へのそれより大とし、3mW〜12mWの範囲にして記録を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記第1の記録層構成体の厚さT1と中間放熱層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲にするとともに、前記第1の記録層構成体と第2の記録層構成体は、前記第1の放熱層に接する中間放熱層と該中間放熱層に前記第2の記録層構成体側に接する分離層とを介して積層される2層構成型光記録媒体であって、前記分離層に、前記基板に形成された溝とほぼ同等の溝を形成するとともに、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体。
  6. 2組の記録媒体を積層し、波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第1の基板上に、ZnS−SiO,Ge−N,Ge−Sb−Te,Ge−N,ZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層を前記第1の基板側から順に積層するとともに、前記第2のZnS−SiO層上にAgを主たる構成材料とした第1の放熱層を積層しその上に中間放熱層を積層してなる記録層構成体であり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、幅0.1〜0.46μm、深さ0.01〜0.04μmの溝を0.28〜0.50μmピッチで形成した第2の基板上に金属材料よりなる第2の放熱層を形成し、該第2の放熱層上に、ZnS−SiO,Ge−N,Ge−Sb−Te,Ge−N,ZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層を前記第2の放熱層側から順に積層してなる記録層構成体であり、前記第1、第2の記録層構成体を、前記第1の記録層構成体の中間放熱層と前記第2の記録層構成体のZnS−SiOを主たる構成材料とした層を互いに向かい合わせ、間に分離層を介して積層されるとともに、前記第1の記録層構成体側からレーザ光を入射するとともに、前記第2の記録層構成体への書き込みレーザパワーを前記第1の記録層構成体へのそれより大とし、該書き込みレーザパワーを3mW〜12mWの範囲にして記録を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記第1の記録層構成体の厚さT1と中間放熱層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲にするとともに、前記第1、第2の基板の溝は、互いの溝列を前記レーザ光の光軸に対して1列以上ずらし、かつ、この2層構成型光記録媒体を駆動するドライブ装置の書き込み用ピックアップが追従できる範囲内のずらし量とすることを特徴とする2層構成型光記録媒体。
  7. 前記第1の記録層構成体の厚さを前記第2の記録層構成体の厚さより厚くしたことを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の2層構成型光記録媒体。
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