JP2004340874A - 中性子吸収棒及び端栓溶接方法並びに溶接装置 - Google Patents

中性子吸収棒及び端栓溶接方法並びに溶接装置 Download PDF

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紀昭 後藤
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Abstract

【課題】被覆管と端栓とをレーザ溶接するに際し、その溶接部へのポロシティの発生を抑制することができ、十分な耐圧強度を確保することができる中性子吸収棒及び端栓溶接方法並びに溶接装置を提供する。
【解決手段】中空の被覆管6と、この被覆管6に充填された中性子吸収材7と、被覆管6の開口した両端部に嵌合された端栓8と、この端栓8と被覆管6との嵌合周部37の全周に亘って形成され、そのビード幅Wが被覆管6の肉厚tの1.5倍〜2.2倍、溶け込み深さHが肉厚tの1.1倍〜1.5倍の溶け込み形状を有する溶接部9とを備えた中性子吸収棒を提供する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉に用いる中性子吸収棒及びその端栓溶接方法並びに溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉の炉心に配備される制御棒は、一般に、十字型のタイロッドに4枚取付けた各シースの内部に、それぞれ複数の中性子吸収棒を装荷して構成されている。この制御棒に装荷する中性子吸収棒は、通常、中空で両端が開口した被覆管に中性子吸収材(例えば、炭化ホウ素:BC)やヘリウムガス等を充填したもので、その製造工程において、最終的に被覆管の両端部は端栓を溶接することにより密封される。
【0003】
従来から、こうした中性子吸収棒の端栓溶接には、TIG溶接やプラズマアーク溶接等が用いられているが、温度や湿度等の環境による影響を受け易く、またアーク長を一定に保つことも難しいことから溶接品質が安定せず、また十分な溶け込み深さを得ようとすると入熱量が過大になり、端栓の端面の溶け落ち等といった不具合が発生することがあった。それに対し、中性子吸収棒の端栓を溶接するものではないが、これに類似した技術として、入熱量が少ないYAGレーザ溶接を用いた燃料棒の端栓溶接方法がある(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−239381号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
他の溶接手法でもほぼ同様であるが、YAGレーザ溶接を含めたいわゆるレーザ溶接においても、溶接中、溶接部の酸化防止等を目的として溶接箇所にシールドガスを噴き付けるのが通常であり、例えば、上記特許文献1の記載技術においては、シールドガスとして不活性ガスを用いている(YAGレーザ溶接においては、一般にアルゴンガスやヘリウムアシストガスをシールドガスに用いる)。そのため、高圧で噴き付けられるシールドガスが急冷する溶融池内に深く入り込み、気泡が残存したまま溶融金属が硬化してしまうことから、溶接部にはいわゆるポロシティ等といった不具合が発生し易い。中性子吸収棒においては、その温度環境等によって充填したヘリウムガスの内圧が変動するので、十分な耐圧強度を確保し信頼性の高いものとするためには、端栓溶接部におけるポロシティの発生を極力防止しなければばらない。
【0006】
本発明は、被覆管と端栓とをレーザ溶接するに際し、その溶接部へのポロシティの発生を抑制することができ、十分な耐圧強度を確保することができる中性子吸収棒及び端栓溶接方法並びに溶接装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、被覆管及び端栓の嵌合周部の全周を、窒素ガスを噴き付けながらレーザ溶接することにより、ビード幅が被覆管の肉厚の1.5倍〜2.2倍、溶け込み深さが被覆管の肉厚の1.1倍〜1.5倍の溶接部を嵌合周部の全周に亘って形成する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の中性子吸収棒を用いた沸騰水型原子炉用制御棒の構造を表す一部破断斜視図、図2は図1中A−A断面による水平横断面図である。
図1及び図2において、制御棒1は、沸騰水型原子炉炉心の各セルにおいて、図示しない複数(例えば4つ)の燃料集合体の間隙部分に配置され、燃料集合体間の間隙を上下動するものであり、中性子吸収材(例えばBC)を充填した複数の中性子吸収棒2を一列に配置し、これらをシース3内に収容している。シース3は、制御棒1の中央部を貫通する十字型のタイロッド4に溶接されており、また、制御棒1の先端部には、制御棒1を炉外に取り出すためのハンドル5が取り付けてある。
【0009】
図3は中性子吸収棒2の側断面図、図4は中性子吸収棒2の端部を拡大して表す図3中のX矢視による矢視図、図5は図4中のB−B断面による断面図である。
これら図3乃至図5において、中性子吸収棒2は、例えばステンレス鋼管製の細長い中空の被覆管6と、この被覆管6に充填された中性子吸収材7と、被覆管6の開口した両端部に嵌合された端栓8と、これら端栓8と被覆管6との嵌合周部の全周に亘って形成され、そのビード幅Wが被覆管6の肉厚tの1.5倍〜2.2倍、溶け込み深さHが被覆管6の肉厚tの1.1倍〜1.5倍の溶け込み形状を有する溶接部9とを備えている。
【0010】
中性子吸収材7は、本実施形態ではBCの粉末としたが、例えばカドミウム等に代えても良く、特にBCに限られず、中性子を吸収し易い中性子吸収物質であれば足りる。また、被覆管6中において、この中性子吸収材7の間隙には、Heガス(ヘリウムガス)が充填してある。被覆管6の内部は、例えばステンレス鋼製の複数(本例では9個)の鋼球10によって上下方向(図3では左右方向)に複数(本例では10)の領域に区画されており、場合によっては、これら鋼球10により仕切られた各領域毎に異なる種類の中性子吸収材7を充填することも可能である。
【0011】
上記被覆管6は、その両端部に、絞り加工(スエジング)を施して小径部6aを形成しており、この小径部6a近傍には、スチールウール11が挿入してある。そして、この小径部6aには、上記の如き溶け込み形状の溶接部9が形成されるよう、嵌合させた上記端栓8が溶接してある。これにより、中性子吸収材7、鋼球10、及び中性子吸収材7の間隙に充填されたHeガスが、被覆管6内に封詰されている。また、中性子吸収棒2は実際には原子炉内に縦向きに配備されるが、稼働中に中性子吸収材7が被覆管6の片側へ沈降することを防止するため、被覆管6には、鋼球10の挿入位置の両側部分表面に、凹状のディンプリング6bを点加工してある。なお、被覆管6の外径寸法は、規格により、外径約5.6mmのものと、外径約4.8mmのものとが存在する。
【0012】
図6は、中性子吸収棒2の製造工程を概略的に表すフローチャートであり、続いてこの図6を用いて中性子吸収棒2の製造工程について説明すると、まず、工程S1で被覆管6の長手方向ほぼ中央位置にディンプリング6b(センターディンプリング)を形成する。続いて工程S2に移り、被覆管6をほぼ垂直に立てた状態で上部側から被覆管6に鋼球10を挿入し、センターディンプリング6bによって支持された鋼球10を被覆管6ごと振動させつつ、更に被覆管6の上部側から中性子吸収材7を適量充填する。この工程S2では、以上の鋼球10の挿入及び中性子吸収材7の充填をさらに4回繰り返し行い、被覆管6の片側(立てた状態で上側)半分に、中性子吸収材7が鋼球10によって5つの領域に区切られた状態で充填される。
【0013】
次に、工程S3では、中性子吸収材7が充填された側の被覆管6の端部に、スチールウール11を挿入し、工程S4に移って、スチールウール11が挿入された側の被覆管6端部にスエジング加工を施して小径部6aを形成する。そして、工程S5において、スチールウール11を挿入した開口端部(小径部6a)に、被覆管6の外径(約4.8mm又は約5.6mm)に応じたサイズの端栓8を嵌合し、被覆管6と端栓8との嵌合周部の全周をレーザ溶接する(詳細は後述)。
【0014】
工程S6では、中性子吸収材7を充填し終わった方を下にして被覆管6をほぼ垂直に立て、再び振動させつつ適量の中性子吸収材7を充填する。その後の工程S7では、先の工程S2と同じ要領で、鋼球10の挿入、中性子吸収材7の充填を4回繰り返し行い、被覆管6の内部に、9つの鋼球10によって合計10領域に区切られた状態で中性子吸収材7を充填する。工程S8に移り、スチールウール11を挿入した上で、工程S9にて被覆管6端部にスエジング加工を施して小径部6aを形成し、工程S10で充填した中性子吸収材7の隙間にHeガスを充填する。その後、工程S11に移り、先の工程S5と同じ要領で小径部6aに端栓8を嵌合しレーザ溶接する(詳細は後述)。最後に、工程S12において、被覆管6表面における各鋼球10の両側位置にディンプリング6bを形成し、中性子吸収棒2を完成させる。
【0015】
本願発明者等は、上記工程S5,S11における端栓溶接において、まず溶接部の溶け込み形状と中性子吸収棒の信頼性との相関関係について種々試験し、上記溶接部9の溶け込み深さHの適正範囲について検討した結果、図7(a)に示すように、溶け込み深さHが被覆管6の肉厚の1.1倍(1.1t)以下であると溶け込み量が不足して十分な強度が得られず、図7(b)のように、1.5倍(1.5t)以上であると溶接部9へのポロシティの発生率が増大し、これらの場合に十分な耐圧強度が得られないことを見出した。
【0016】
一方、原子炉用の中性子吸収棒における端栓の全周溶接部、すなわち上記溶接部9のビード幅Wについては、被覆管6の肉厚tの1.5倍(1.5t)以下であると(図7(a)参照)、溶け込み不良が生じ耐圧強度が不十分となる。また、中性子吸収棒を挿入するシース2(図1参照)と被覆管6の長さの制約から、端栓8の長手寸法は制限され、図7(b)のように溶接部9のビード幅Wが被覆管6の肉厚tの2.2倍(2.2t)以上になると、端栓8の端面に溶け落ち9aが発生したり材質変化が生じたりする。
【0017】
以上の検討を基に、本願発明者等は、前述の如く被覆管6と端栓8との嵌合周部を溶着する溶接部9の溶け込み形状を、被覆管6の肉厚をtとしたとき、ビード幅Wが1.5t〜2.2t、溶け込み深さHが1.1t〜1.5tとすることで、被覆管6と端栓8との嵌合周部に、溶け込み不良がなく、しかもポロシティの発生率を低減させることができ、耐圧強度の向上した高品質な中性子吸収棒を提供し得ることを知見した。
【0018】
しかしながら、上記溶け込み形状の溶接部9を、従来から用いられてきたTIG(タングステンイナートガス)溶接やプラズマアーク溶接といった入熱量の大きな手法で実現することは難しい。例えば、TIG溶接を例に挙げると、タングステン電極と母材との間に生じるアークのエネルギー密度が低いため、材料(被覆管6及び端栓8)を瞬時に溶融させることができず、溶け込みが浅くなる。適正な溶け込み深さ(1.1t〜1.5t)を確保するために長時間熱を加えると、余剰の熱が横方向に広がり、得られるビード幅が1.5tを超えてしまう。また、従来のTIG溶接やプラズマアーク溶接等の技術的課題として、温度や湿度の周囲環境からの影響を受け易く、外乱による電圧変化等によりアーク長を一定に保てない場合もままあり、溶接手法そのものを見直す必要も生じてきている。
【0019】
それに対し、レーザ溶接は、エネルギー密度の高いレーザ光を小さなスポットに集中照射することにより、熱が拡散し難く、少ない入熱量で溶け込みの深い溶接が可能である。また、レーザ出力やレーザの集光状態を一定とすれば、電圧や電流の変化による溶接品質への影響もなく、入熱量も安定する。そこで、本願発明者等は、レーザ溶接を用いて被覆管6及び端栓8を接合し、ビード幅が1.5t〜2.2t、溶け込み深さが1.1t〜1.5tの溶接部9を得るための溶接条件を見出すべく、YAGレーザ溶接において種々条件下で被覆管6及び端栓8の溶接試験を実施した。この溶接試験の概要を以下に説明する。
【0020】
図8は、本溶接試験に用いたYAG溶接装置の概略構造を表す斜視図である。
この図8に示した溶接装置(YAG溶接装置)20は、本発明の溶接装置の一実施の形態を構成するもので、レーザ光(YAGレーザ光)21を発振するレーザ発振器(YAGレーザ発振器)22と、このレーザ発振器22からのレーザ光21を伝送するレーザ伝送手段としての光ファイバ23と、この光ファイバ23により伝送されたレーザ光21を、被覆管6及び端栓8の嵌合周部に対しほぼ垂直に照射する加工ヘッド24と、レーザ光21とこのレーザ光21によって被覆管6及び端栓8の嵌合周部に形成された溶融池とを覆い、溶接雰囲気中への空気の侵入を防止する窒素ガス(シールドガス)25を噴き付けるノズル26と、排気開口27を有し、少なくとも溶接雰囲気を覆うカバー体28とを備えている。なお、窒素ガス25の噴射ノズルは、レーザ光21の側方から窒素ガス25を噴き付けるノズル26だけでなく、加工ヘッド24の先端部にも設けられており、この加工ヘッド24の先端に設けたノズルからレーザ光21を覆うように窒素ガスが噴射される。
【0021】
上記カバー体28は、ベース29上に治具30とともに固定されている。この溶接装置20に設けた治具30は、被覆管6をエアチャック等で把持し、把持した被覆管6を図示しない駆動モータ等によって軸心周りに回転(自転)させるとともに、また、それ自体は被覆管6の軸線方向に進退可能な構成であって、把持した被覆管6をその軸線方向に移動させる機能も有する。治具30とカバー体28とは、ベローズ31を介して接続しており、治具30に把持された被覆管6は、このベローズ31を介し、端栓8との嵌合周部が加工ヘッド24の直下に位置するよう、カバー体28内に挿入される。
【0022】
加工ヘッド24は、水平スライダ32に固定された支持部材33に摺動可能に支持され、支持部材33にガイドされる形で、図示しない駆動装置によって被覆管6の幅方向(言い換えれば嵌合周部の接線方向、すなわち矢印アの方向)に移動可能である。また水平スライダ32自体も、垂直スライダ34に固定されたレール35に摺動可能に支持され、内蔵した駆動装置(図示せず)によってレール35に沿って被覆管6の軸方向(言い換えれば嵌合周部の中心線方向、すなわち矢印ウの方向)に移動可能な構成となっている。こうした構成により、加工ヘッド24の位置を、嵌合周部の接線方向及び中心線方向に調整可能としている。
【0023】
また、上記垂直スライダ34は、ベース29に立設した支持棒36に摺動可能に支持され、内蔵の駆動装置(図示せず)により支持棒36に沿って上下方向(矢印イの方向)に移動可能な構成となっており、レーザ光の焦点位置をレーザ光光軸方向に調整する焦点位置調整手段としても機能する。加工ヘッド24は、これら支持構造によって図8中の矢印ア〜ウの3方向に位置調整が可能となっており、その先端部が、カバー体28上面に設けた上記排気開口27を介し、カバー体28内へ挿入されている。
【0024】
また、この図8では特に図示していないが、YAGレーザ溶接装置20には、制御装置を介し操作盤が接続しており、制御装置によって、操作盤からの操作信号に応じた指令信号が対応機器に出力されるようになっている。これにより、操作者は、操作盤において所定の操作を行うことにより対応の駆動装置を駆動させ、加工ヘッドを図8中の矢印ア方向、矢印イ方向、矢印ウ方向に移動させたり、レーザ発振器22によるレーザ出力を調整したり、また、治具30による被覆管6の位置や回転数を調整したりできるようになっている。
【0025】
以上の構成の溶接装置20を用い、操作者は、以下の手順で先の図6の工程S5,S11における端栓8の溶接を行う。
図9は、当該端栓溶接工程における設定レーザ出力の時間変化を表わす図であり、まず操作者は、操作盤を適宜操作し、被覆管6の外径に応じて予め較正した範囲内の値に、YAGレーザ出力及び治具30の回転数を設定する。YAGレーザ出力は、図9に示すように、出力開始から0.3秒の間は一定出力値で、その後の1秒間は一定出力値から出力ゼロまで直線的にスロープダウンするよう設定する。一定出力値は、被覆管6の外径が約5.6mmの場合は1200W〜1300Wの間の値、被覆管6の外径が約4.8mmの場合は1100W〜1200Wの間の値とする。また、治具30による被覆管6の回転数は、YAGレーザ出力が一定の0.3秒間に被覆管6を一回転させるように設定する。本例では、治具30に内蔵したモータの回転数を、被覆管6の外径が約5.6mmの場合は200rpm、被覆管6の外径約4.8mmの場合は250rpmとした。
【0026】
図10は上記YAGレーザ溶接装置20による被覆管6と端栓8との溶接部付近を拡大して表した斜視図である。
上記のようにレーザ出力と回転数を設定したら、この図10において、操作盤を適宜操作して治具30を被覆管6の軸方向に移動させることにより、図8中のカバー体28内に挿入された、溶接線を為す被覆管6と端栓8との嵌合周部37を被覆管6の軸方向(図10中矢印エの方向)に移動させ、レーザ光21の光軸21aの被覆管6に対する軸方向位置(狙い位置)を調節する。このときの狙い位置は、光軸21aの嵌合周部37から端栓8側(図10中左側)へのずれ量を(−)側に、被覆管6側(図10中右側)へのずれ量を(+)側にとったとき、被覆管6の外径が約5.6mmの場合は、−0.3mm〜0.3mm、被覆管6の外径が約4.8mmの場合は、−0.1mm〜0.2mmとなるように調節する。また、この際、操作盤を適宜操作し、光軸21aと被覆管6の中心軸(回転中心)とが重なるよう、加工ヘッド24の位置を図8中矢印アの方向に移動させ調節する。
以上の被覆管6及び加工ヘッド24の位置調節が終了したら、治具30(図8参照)によって被覆管6を回転させ、嵌合周部37の回転ぶれがないことを確認する。
【0027】
次に、操作者は、操作盤を適宜操作し、上記垂直スライダ34を駆動させ、加工ヘッド24をYAGレーザ光21の光軸21aの方向(矢印イの方向)に移動させることにより、レーザ光21の焦点21bの位置(焦点深さ)を、嵌合周部37の表面近傍位置に調節する。このときの焦点深さは、嵌合周部37の表面から被覆管6の外側方向(図10中上方向)への焦点21bのずれ量を(−)側、内側方向(図10中下方向)へのずれ量を(+)側にとる場合、被覆管6の外径が約4.8mm、約5.6mmの場合のいずれも、−0.5mm〜0.5mmとなるように調節する。
【0028】
焦点位置の調節が完了したら、レーザ光21を照射する加工ヘッド24を静止させ、その加工ヘッド24に相対して被覆管6を自転させてレーザ溶接を開始する。この際、まず操作者は、操作盤を適宜操作し、治具30(図8参照)に内蔵したモータを駆動させ嵌合周部37を自転させた状態で、ガスノズル26及び加工ヘッド24の先端部からシールドガス(Nガス)を流量30L/min以上で噴き付けつつ、YAGレーザ光21を出力させる。治具30による嵌合周部37の回転数を上記の如く設定したことにより、レーザ溶接開始後の0.3秒の間に一定のレーザ出力で嵌合周部37が一回り全周溶接され初層溶接が完了する。そして、続く1秒の間に嵌合周部37は更に約3周し、この間、出力ゼロまで一定に減少するレーザ出力で溶接層が重畳される。このように嵌合周部37を複数周回溶接することにより、嵌合周部37の各部において、溶接部9の溶け込み深さHやビード幅W、及び入熱分布が均一化され、被覆管6の肉厚tに対し、溶接ビード幅Wが1.5t〜2.2t、溶接溶け込み深さHが1.1t〜1.5tとした溶け込み形状の溶接部9が嵌合周部37の全周に亘って形成される。
【0029】
以上の手順において、溶接ビード幅Wが1.5t〜2.2t、溶接溶け込み深さHが1.1t〜1.5tの溶接部9を形成するために、本願発明者等が見出した上述の溶接施行条件を、図11に整理してまとめた。
この図11にまとめた溶接条件について説明すると、まず、本願発明者等は、YAGレーザ出力値に関し、図9における一定値部分(0s〜0.3s)のレーザ出力値が、被覆管6の外径が約5.6mmの場合は1200W〜1300W、被覆管6の外径が約4.8mmの場合は1100W〜1200Wとしたときに、先に図5に示したように、溶け込み深さHが1.1t〜1.5tの範囲に収まり、かつビード幅Wが1.5t〜2.2tの範囲で端栓8端部の溶け落ちの無い溶接が可能となることを、種々条件を模索して試験を行った結果、確認した。
【0030】
試験では、YAGレーザ出力値が上記範囲より小さい場合、先の図7(a)に示したように、溶け込み深さHは被覆管6の肉厚tより浅くなるか、ビード幅Wが1.5tより小さくなり、溶接部9を嵌合周部37の全周に亘って完全に溶け込んだ状態にできないことが確認された。逆に、YAGレーザ出力値が上記範囲より大きい場合は、図7(b)に示したように、溶け込み深さHが1.5tより大きくなったり、ビード幅が2.2tより大きくなり、端栓8の端部に溶け落ち9aが生じることが確認された。
【0031】
また、嵌合周部37が1周する間だけYAGレーザ出力を上記設定値で一定に保つことにより、嵌合周部37の初層溶接の溶け込み深さが一定に保たれる。YAGレーザ出力を上記設定値で一定に保つ間(0.3s間)に、嵌合周部37が1周しきらないと、当然ながら一定時間経過時点の溶接点から溶接開始点までの間において、レーザ出力が弱まるために溶け込み深さが被覆管6の肉厚tよりも浅くなり、溶接部9の溶け込み深さが不均一となってしまう。逆に、一定時間内に嵌合周部37が1周以上回転してしまうと、溶接開始点から一定時間経過時点の溶接点までの間において、入熱量過大となるから端栓8の端部が溶け落ちる。したがって、本実施形態においては、一定のレーザ出力を保つ初層溶接におけるレーザ照射時間として、0.3秒間を適当な値として設定し、この間に嵌合周部37が丁度1周するよう、治具30に内蔵した被覆管6を回転駆動させるモータの回転数を、被覆管6の外径が約5.6mmの場合は250rpm、約4.8mmの場合は200rpmと設定した。
【0032】
図9におけるYAGレーザ出力値のスロープダウン部について説明すると、溶接開始点と接合する一定出力の最後の部分(溶接部の初層がつながる部分)で溶け込みが不安定となるため、このスロープダウン部を設けない場合、溶け込み深さが被覆管6の肉厚tより浅くなったり、端栓8の溶け落ちが生じる場合があり、またビード幅も不安定になる傾向がある。したがって、一定出力で丁度1周嵌合周部37を全周溶接した後、レーザ出力をスロープダウンさせつつ連続的に溶接を継続することにより、溶接部9の溶け込み形状や入熱量を均一化するようにした。本実施例では、レーザ出力がゼロになるまでの間に、上記の設定回転数で嵌合周部37が約3周するよう、スロープダウン部の時間を1秒間とした。
【0033】
シールドガスについて説明すると、本願発明者等は、通常レーザ溶接において用いられることのない窒素ガスを、敢えてシールドガスとして用い、これにより、溶接部9のポロシティの発生率が減少することを知見した。これは次の原理によるものと考えられる。通常、YAGレーザ溶接においては、アルゴン(Ar)ガス等が使用されることが多いが、このArガスを始めとする不活性ガスを用いた場合、高圧で噴射されたシールドガスが、レーザ溶接特有の深い溶融池に多量に入り込み、内部に残存したまま溶融池が硬化してしまうことにより、ポロシティが発生し易かった。それに対し、窒素ガスを用いた場合、溶接中、窒素ガスは不活性ガスに比べて溶融金属に溶け込み易く、溶融池内に残存しても溶融金属内にある程度拡散するので、溶接部9内に発生する気泡が減少し、ポロシティの発生率が減少する。
【0034】
また、シールドガスの噴射量については、試験により、シールドガス流量が30L/min以下である場合、溶接部9の表面に酸化が認められた。また、シールドガス流量が30L/min以上であっても、図8に示したカバー体28を用いない場合には、溶接部9の表面の酸化が認められた。したがって、シールドガス流量は、30L/min以上に設定し、なおかつ噴射したシールドガスが溶接部9の酸化防止に有効に作用するよう、カバー体28を用いて溶接部の機密性をある程度確保することとした。
【0035】
被覆管6と端栓8との嵌合周部37からYAGレーザ光光軸21aまでの距離については、端栓8へ向かう方向を負、被覆管6へ向かう方向を正としたとき、被覆管6の外径が約5.6mmであれば−0.3mm〜0.3mmのとき、被覆管6の外径が約4.8mmであれば−0.1mm〜0.2mmのときに、被覆管6と端栓8との嵌合周部37の全周に亘って完全溶け込みが得られることが確認された。この範囲よりも、光軸21aを負の方へずらした場合、端栓8の端部の溶け落ちが起こり、正の方へずらした場合、嵌合周部37の一部において溶け込み深さが被覆管6の肉厚tより浅くなるか、図7(c)に示したように、被覆管6と端栓8とに対する入熱状態が不均一となり、溶け分かれ9bが生じてしまい、嵌合周部37の全周に亘る完全溶け込みが得られなかった。
【0036】
溶接部表面からのYAGレーザ光焦点21bの深さについては、被覆管6の径方向外側へ向かう方向を負、内側へ向かう方向を正としたとき、被覆管6の外径が約5.6mmの場合、被覆管6の外径が約4.8mmの場合、いずれの場合も、−0.5mm〜0.5mmのときに、被覆管6の肉厚tに対して1.1t〜1.5tの範囲となる十分な溶け込み深さが得られた。レーザ光焦点21bの深さが上述の範囲を外れた場合、被覆管6と端栓8との嵌合周部37へのYAGレーザ光21のエネルギー集約が十分でなくなり、図7(a)のように溶け込み深さが被覆管6の肉厚tよりも浅くなったり、図7(c)のように溶け別れ9bが生じたりする。
【0037】
ここで、以上で説明した端栓溶接方法を適用し、実際に製作した中性子吸収棒の断面写真を図12に示した。図12(a)は端栓溶接部全体の断面写真、図12(b)は図12(a)のB部の拡大写真、図12(c)は図12(a)のC部拡大写真、図12(d)は図12(b)のD部拡大写真、図12(e)は図12(c)のE部拡大写真である。
【0038】
これら図12(a)〜図12(e)の写真に示した中性子吸収棒は、被覆管の外径が約5.6mmのもので、図8の溶接装置を用い、図11の表に従って、
YAGレーザ出力:1250[W]
溶接時間:1.3[s](一定出力:0.3秒、スロープダウン1.0秒)
シールドガス:Nガス
シールドガス流量:30[L/min]
嵌合周部からYAGレーザ光光軸までの距離:0[mm]
嵌合周部表面からのYAGレーザ光焦点深さ:0[mm]
嵌合周部回転数:250[rpm]
という条件で端栓溶接を施行した。
【0039】
図12(a)を見て分かるように、上記条件で端栓溶接を施した結果、ビード幅が被覆管の肉厚の1.5倍〜2.2倍、溶け込み深さが被覆管の肉厚の1.1倍〜1.5倍の溶け込み形状の溶接部が得られている。また、端栓の溶け落ちも認められず、図12(b)及び図12(c)を見て分かるように、被覆管と端栓との付き合わせ面は完全に溶着しており、溶け込み状態が極めて良好であることが確認できる。
【0040】
図12(b)及び図12(c)を見ると、レーザ溶接特有の高エネルギーのレーザによって深さ方向に溶け込みが伝わり、1250Wの一定出力下での初層溶接において、被覆管及び端栓の突き合せ面が完全に溶融していることが分かる。また、続くスロープダウン出力で全周溶接を継続したことにより、ほぼ一定の間隔で溶接層が重畳していることが確認できる。出力を下げながら複数周回に亘ってYAGレーザを照射させたことにより、入熱状態を安定させつつ、徐々に浅くなる溶接層が重畳されている。表面に近付くに従って入熱量が増して溶融幅が広まっており、最終的に肉厚の1.1倍〜1.5倍のビード幅が得られている。また、図12(d)及び図12(e)を見て分かるように、この試料における溶接部には、ポロシティはほとんど確認されなかった。
【0041】
ここで、本発明を適用した中性子吸収棒における端栓溶接部のポロシティ及び溶け込み不良の発生率を従来例と比較したグラフを図13に示す。この図13においては、被覆管の外径が約5.6mmの中性子吸収棒を製作した場合を比較しており、従来例としては、この種の溶接に一般に用いられるプラズマアーク溶接により端栓溶接した例を挙げた。なお、ここでのポロシティの発生率とは、(ポロシティの発生した溶接試験回数)/(全溶接試験回数)を意味する。
【0042】
プラズマアーク溶接やTIG溶接においても、前述したように入熱量が大きいため、溶接部にポロシティや溶け込み不良等といった不良の発生率が高いことが問題であった。それに対し、図13から分かるように、従来例により製作した中性子吸収棒と比較して、本発明を適用した中性子吸収棒においては、ポロシティ発生率が大きく低減しており、しかも溶け込み不良に至ってはほとんど認められなかった。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態の中性子吸収棒によれば、被覆管6と端栓8との嵌合周部37の全周に亘って、被覆管6の肉厚をtとしたとき、ビード幅Wが1.5t〜2.2t、溶け込み深さHが1.1t〜1.5tの溶け込み形状を有する溶接部9を形成することにより、溶け込み不良がなく、端栓溶接部9に対するポロシティの発生率を低減させることができる。また、端栓8の材質変化を抑制することができ、端栓8の端部の溶け落ちの発生をも防止することができる。したがって、中性子吸収棒として、十分な耐圧強度を有する信頼性の高いものとすることができる。
【0044】
また、その端栓溶接方法として、シールドガスに窒素ガスを用いることにより、従来に比してポロシティの発生率を低減させることができる。また、レーザ出力や嵌合周部37の回転数を、被覆管6の外径に応じて上記の如く較正した設定とすることにより、ビード幅Wが1.5t〜2.2t、溶け込み深さHが1.1t〜1.5tの溶け込み形状を有する溶接部9を形成することができる。また、上記の如く、嵌合周部37と加工ヘッド24との相対的な位置関係を調整したことも、適正なビード幅及び溶け込み深さを有する溶接部9を嵌合周部37の全周に亘って得ることに有効である。このように、本実施の形態に開示した端栓溶接方法によって、ポロシティの発生率を低減させた、十分な耐圧強度を有する信頼性の高い中性子吸収棒を提供することができる。
【0045】
また、レーザ溶接の適用によって、従来のTIG溶接やプラズマアーク溶接に比べ、溶接時間や段取り時間を飛躍的に短縮することができるので、中性子吸収棒の製造工数を削減することができる。更に、TIG溶接やプラズマアーク溶接に比べ、レーザ溶接においては、小さいスポットにレーザが集中照射されるため、溶接部において熱が拡散し難く、溶け込みが縦方向(深さ方向)に伝わるため、歪や焼け焦げが減少する。そして、これにより溶接部の盛り上がりも小さくなることから、その溶接部の盛り上がりを除去する研磨工程の負担も軽減することができる。これらのことから、上記端栓溶接方法を適用することにより、高品質にして安価な中性子吸収棒を提供できる。
【0046】
また、図8に示した本実施の形態の溶接装置を用いるにより、上記した各効果が得られることは勿論であるが、特に、カバー体28を設けることにより、このカバー体28が溶接チャンバーの役割を果たすので、溶接部9の酸化防止に寄与する。また、カバー体28に排気開口27を設けたことにより、排気専用の装置を特別に設けずとも、溶接中に生じる煙を極簡単な構成で排気することができる。特に、この排気開口27は、加工ヘッド24を挿入している関係上、溶接部の上方に位置し、効果的に溶接中に生じる煙をカバー体28外に排出することができる。仮にカバー体28中に煙が充満してしまうと、レーザ光21が煙により減衰してしまい、設定したレーザ出力のエネルギーが溶接部分に十分に伝わらず、上記した溶接形状の溶接部9を形成できなくなってしまう可能性があるが、こうして煙を円滑に排出できるので、高品質な中性子吸収棒を製作することができる。
【0047】
なお、以上において、レーザ溶接としてYAGレーザを用いたYAGレーザ溶接を適用した場合を例に挙げて説明してきたが、これに限られず、例えばCOレーザ等といった他のレーザを用いたレーザ溶接や、レーザ溶接の一種である電子ビーム溶接も適用可能である。但し、電子ビーム溶接の場合、図8に示した溶接装置20に、溶接部付近に真空空間を作り出すための真空ポンプ等の装置を追設する必要がある。これらの場合も同様の効果を得る。
【0048】
また、以上においては、シールドガスに窒素ガスを用いたが、シールドガスとしての役割を果たし、なおかつ溶融金属内に拡散する性質をもつガスであれば、窒素ガスに代えて適用することも可能である。また、嵌合周部37を全周溶接するに際し、静止した加工ヘッド24に対し被覆管6を自転させる構成としたが、逆に、被覆管6を静止させ、加工ヘッドを嵌合周部37周りに回転(公転)させる構成としても良い。また、嵌合周部37の回転数に合わせ、レーザ出力一定の初層溶接(第1周目溶接)を0.3秒間としたが、これは嵌合周部37を回転させる治具30内の駆動モータの回転数との兼ね合いもあり、必ずしもこの設定に限定されるものではない。これらの場合も同様の効果を得る。
【0049】
また、嵌合周部37の加工ヘッド24に対する軸方向位置を調整するために、被覆管6を把持した治具30自体が被覆管6の軸方向に進退する構成としたが、これに限られず、治具30に被覆管6を軸方向に送り戻しする装置を設ける構成としても良い。また、水平スライダ32による加工ヘッド24の軸方向位置の調整機能で足りる場合には、必ずしも治具30に被覆管6を軸方向に移動させる機能を持たせる必要はない。また、水平スライダ32及び支持部材33によって、加工ヘッド24が嵌合周部37の接線方向(図8中矢印ア方向)及び中心線方向(図8中矢印ウ方向)に移動可能な構成としたが、治具30による被覆管6の芯出し精度や軸方向位置の調整精度(図8中矢印エ方向の微動精度)が十分であれば、接線方向又は中心線方向のいずれかに移動する構成、或いは上下方向(図8中矢印イ方向)にしか移動しない構成としても良い。これらの場合も同様の効果を得る。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、被覆管と端栓と嵌合周部において、ポロシティや溶け込み不良等といった不具合の発生率を低減することができ、よって、十分な耐圧強度を有し信頼性の高い中性子吸収棒及びその端栓溶接方法並びに溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中性子吸収棒を用いた沸騰水型原子炉用制御棒の構造を表す一部破断斜視図である。
【図2】図1中A−A断面による水平横断面図である。
【図3】本発明の中性子吸収棒の一実施形態の側断面図である。
【図4】図3中のX矢視による矢視図である。
【図5】図4中のB−B断面による断面図である。
【図6】本発明の中性子吸収棒の製造工程を概略的に表すフローチャートである。
【図7】端栓溶接部の溶け込み不良の各例を表す図である。
【図8】本発明の溶接装置の一実施形態の概略構造を表す斜視図である。
【図9】端栓溶接工程における設定レーザ出力の時間変化を表わす図である。
【図10】本発明の溶接装置の一実施形態による被覆管と端栓との溶接部付近を拡大して表した斜視図である。
【図11】本発明の端栓溶接方法の一実施形態における溶接施行条件を示す表である。
【図12】本発明を適用して製作した中性子吸収棒の断面写真である。
【図13】本発明を適用した中性子吸収棒における端栓溶接部のポロシティ及び溶け込み不良の発生率を従来例と比較したグラフである。
【符号の説明】
2 中性子吸収棒
6 被覆管
7 中性子吸収材
8 端栓
9 溶接部
20 レーザ溶接装置
21 レーザ光
21a 光軸
21b 焦点位置
22 レーザ発振器
23 光ファイバ(レーザ伝送手段)
24 加工ヘッド
26 ノズルと
27 排気開口
28 カバー体
30 治具
32 水平スライダ(ヘッド位置調整手段)
33 支持部材(ヘッド位置調整手段)
34 垂直スライダ(焦点位置調整手段)
37 嵌合周部
t 肉厚
H 溶け込み深さ
W ビード幅

Claims (15)

  1. 中空の被覆管と、
    この被覆管に充填された中性子吸収材と、
    前記被覆管の開口した両端部に嵌合された端栓と、
    この端栓と前記被覆管との嵌合周部の全周に亘って形成され、そのビード幅が前記被覆管の肉厚の1.5倍〜2.2倍、溶け込み深さが前記肉厚の1.1倍〜1.5倍の溶け込み形状を有する溶接部と
    を備えたことを特徴とする中性子吸収棒。
  2. 中空の被覆管の開口端部に端栓を嵌合する手順と、
    溶接線を為す前記被覆管と前記端栓との嵌合周部の全周を、窒素ガスを噴き付けつつ、レーザ溶接する手順と
    を有することを特徴とする端栓溶接方法。
  3. 中空の被覆管の開口端部に端栓を嵌合する手順と、
    前記端栓を嵌合した前記被覆管を、レーザ溶接装置に設けた治具に固定する手順と、
    前記レーザ溶接装置によるレーザ出力を、前記被覆管の外径に応じて予め較正した範囲内の値に設定する手順と、
    溶接線を為す前記被覆管と前記端栓との嵌合周部の全周を、窒素ガスを噴き付けつつ、前記設定したレーザ出力でレーザ溶接する手順と
    を有することを特徴とする端栓溶接方法。
  4. 外径約5.6mm又は外径約4.8mmの中空の被覆管の開口端部に、対応する端栓を嵌合する手順と、
    前記端栓を嵌合した前記被覆管を、レーザ溶接装置に設けた治具に固定する手順と、
    前記レーザ溶接装置によるレーザ出力を、前記被覆管が外径約5.6mmの場合1200〜1300Wに、外径約4.8mmの場合1100〜1200Wに設定する手順と、
    溶接線を為す前記被覆管と前記端栓との嵌合周部の全周を、窒素ガスを噴き付けつつ、前記設定したレーザ出力でレーザ溶接する手順と
    を有することを特徴とする端栓溶接方法。
  5. 外径約5.6mm又は外径約4.8mmの中空の被覆管の開口端部に、対応する端栓を嵌合する手順と、
    前記端栓を嵌合した前記被覆管を、レーザ溶接装置に設けた治具に固定する手順と、
    前記レーザ溶接装置により照射されるレーザ光の焦点位置を、前記被覆管と前記端栓との嵌合周部表面付近に合わせる手順と、
    前記レーザ光のレーザ出力を、前記被覆管が外径約5.6mmの場合1200〜1300Wに、外径約4.8mmの場合1100〜1200Wに設定する手順と、
    溶接線を為す前記嵌合周部の全周を、窒素ガスを噴き付けつつ、前記設定したレーザ出力でレーザ溶接する手順と
    を有することを特徴とする端栓溶接方法。
  6. 請求項2記載の端栓溶接方法において、前記レーザ溶接する手順では、一周目は一定値を保ち、それ以降は、その一定値からスロープダウンするよう設定したレーザ出力で、前記嵌合周部を連続的に複数周回レーザ溶接することを特徴とする端栓溶接方法。
  7. 請求項2記載の端栓溶接方法において、前記レーザ溶接する手順では、レーザ光を照射する加工ヘッドを静止させ、その加工ヘッドに相対し前記嵌合周部を自転させることを特徴とする端栓溶接方法。
  8. 請求項2記載の端栓溶接方法において、前記レーザ溶接する手順では、前記嵌合周部表面に対し、レーザ光をほぼ垂直方向から照射することを特徴とする端栓溶接方法。
  9. レーザ光を発振するレーザ発振器と、
    このレーザ発振器からのレーザ光を伝送するレーザ伝送手段と、
    このレーザ伝送手段により伝送したレーザ光を、被覆管及びこれに嵌合した端栓の嵌合周部に照射する加工ヘッドと、
    この加工ヘッドから照射される前記レーザ光とこのレーザ光によって前記嵌合周部に形成された溶融池とを覆うことにより、溶接雰囲気中への空気の侵入を防止する窒素ガスを噴き付けるノズルと
    を備えたことを特徴とする溶接装置。
  10. レーザ光を発振するレーザ発振器と、
    このレーザ発振器からのレーザ光を伝送するレーザ伝送手段と、
    このレーザ伝送手段により伝送されたレーザ光を、被覆管及びこれに嵌合した端栓の嵌合周部に対しほぼ垂直に照射する加工ヘッドと、
    この加工ヘッドから照射される前記レーザ光とこのレーザ光によって前記嵌合周部に形成された溶融池とを覆うことにより、溶接雰囲気中への空気の侵入を防止する窒素ガスを噴き付けるノズルと、
    排気開口を有するとともに、少なくとも前記溶接雰囲気を覆うカバー体と
    を備えたことを特徴とする溶接装置。
  11. 請求項9記載の溶接装置において、前記レーザ光の焦点位置をその光軸方向に調整する焦点位置調整手段を備えたことを特徴とする溶接装置。
  12. 請求項9記載の溶接装置において、前記被覆管を把持し、この把持した被覆管を自転させる治具を備えたことを特徴とする溶接装置。
  13. 請求項12に記載の溶接装置において、前記治具は、把持した前記被覆管を、その軸線方向に移動させる機能を有することを特徴とする溶接装置。
  14. 請求項9記載の溶接装置において、前記加工ヘッドの位置を、前記嵌合周部の中心線方向又は接線方向の少なくとも一方に調整可能なヘッド位置調整手段を備えたことを特徴とする溶接装置。
  15. 請求項2乃至14のいずれかに記載の端栓溶接方法又は溶接装置を用い、前記嵌合周部の全周に亘り、ビード幅が前記被覆管の肉厚の1.5倍〜2.2倍、溶け込み深さが前記肉厚の1.1倍〜1.5倍の溶け込み形状を有する溶接部が形成されていることを特徴とする中性子吸収棒。
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