JP2004340806A - 粒子濃度検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子濃度の検出に際して発光部や受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することのできる粒子濃度検出方法を提供する。
【解決手段】液体を透過した発光部3Lの発光量を受光部3Rで検出し、この検出された透過光量を用いて液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、第1の光路長L1の光について測定された透過光量OUT1と、第2の光路長L2の光について測定された透過光量OUT2との比に基づいて液体の粒子濃度を検出する。
【選択図】 図5
【解決手段】液体を透過した発光部3Lの発光量を受光部3Rで検出し、この検出された透過光量を用いて液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、第1の光路長L1の光について測定された透過光量OUT1と、第2の光路長L2の光について測定された透過光量OUT2との比に基づいて液体の粒子濃度を検出する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体の透過光量に基づいて同液体の粒子濃度を検出する粒子濃度検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば機関潤滑油に混入した煤の濃度等、液体中の粒子濃度をその液体の光透過特性、具体的には同液体を透過可能な透過光の光量に基づいて検出するようにしたものが知られている。この検出方法では発光部から液体に向けて光を照射し、同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出するようにしている。発光部から照射された光の一部は、液体に混入した粒子によって吸収されるため、受光部で検出される透過光量は液中粒子の量に応じたものとなる。従って、この透過光量に基づいて粒子濃度を検出することができる。
【0003】
ところで、図12に例示するように、発光部の発光光量はその環境温度が高くなるほど減少するため、受光部で検出される透過光の光量もこれに応じて減少する傾向にある。従って、粒子濃度を精度よく検出する上では、こうした発光部の温度変化に起因する検出部(発光部及び受光部)の特性変化を抑制するのが望ましい。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の装置では、液体(潤滑油)を収容する容器と発光部との間、及び同容器と受光部との間をそれぞれ光ファイバで接続することにより、潤滑油の熱によって発光部や受光部の温度が変化するのを極力回避するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−74832号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この装置によれば、潤滑油の熱によって検出部の温度が変化するのを回避して、それに起因する検出部の特性変化を抑制することができる。但し、この装置はあくまで潤滑油の熱による悪影響に着目したものであるため、それ以外の要因に起因して検出部の特性変化が生じる場合にはこれに対処することができない。すなわち、上記従来の検出方法にあっては、発光に際して生じる熱や、検出部に付着する汚れ、或いは経時変化等に起因して検出部の特性が変化したような場合にそれによる悪影響が避けきれず、この点においてなお改良の余地を残すものとなっていた。
【0007】
この発明はこうした事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、粒子濃度の検出に際して発光部や受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することのできる粒子濃度検出方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、発光部から液体に光を照射するとともに同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出し、この検出された透過光量に基づいて前記液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、異なる光路長の光について前記透過光量を測定し、この測定される透過光量の差違に基づいて前記液体の粒子濃度を検出することをその要旨とする。
【0009】
まず、上記光路長とは上記発光部と受光部との間の距離をいう。さて、上記構成では、異なる光路長の光についてその透過光量をそれぞれ測定するようにしている。ここで、粒子濃度が高くなるほど各光路長で測定された透過光量は減少するが、一方の光路長と比較して長い光路長で測定された透過光量は、その距離差に含まれる粒子量に相当する分だけ、該一方の光路長(短い光路長)で測定された透過光量よりも多く減衰される。そのため、粒子濃度が高くなるほど、短い光路長で測定された透過光量の低下率と比較して、長い光路長で測定された透過光量の低下率は大きくなる。このように、異なる光路長でそれぞれ測定された透過光量の差違は粒子濃度と相関関係にあるため、これら透過光量の差違に基づいて粒子濃度を検出することができる。
【0010】
ここで、発光部の発光量が変化するとその変化分は各透過光量に同様に反映されるため、透過光量の差違を好適に求めることにより同変化分は容易に除去することができる。換言すれば、透過光量の差違に基づいて粒子濃度を検出することにより、発光部の発光量を知ることなく粒子濃度の検出を行うことができるようになる。そのため、上記構成によれば、粒子濃度の検出に際して発光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。
【0011】
また、受光部の環境温度によってその出力特性等が変化する場合でも、その変化分は各透過光量の検出値に同様に反映されるため、透過光量の差違を好適に求めることにより同変化分は容易に除去することができる。そのため、上記構成によれば粒子濃度の検出に際して受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することもできるようになる。
【0012】
このような透過光量の差違を求める好適な態様としては、請求項2に記載の発明によるように、異なる光路長の光について測定された各透過光量の比に基づいて前記液体の粒子濃度を検出する、といった態様を採用することにより、透過光量を用いた粒子濃度の検出に際して、発光部や受光部の特性変化が粒子濃度の検出に与える悪影響を確実に抑えることができるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、発光部から液体に光を照射するとともに同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出し、この検出された透過光量に基づいて前記液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、異なる光路長の光について前記透過光量を測定し、この測定される各透過光量の比及び各光路長の比から求められる透過率に基づいて前記液体の粒子濃度を検出することをその要旨とする。
【0014】
異なる光路長の比が1:nであるとき、「1」に該当する光路長における透過光量Aは、その光路長における光の透過率を透過率αとした場合に次式(1)で表すことができる。
【0015】
透過光量A=発光部の発光量×(透過率α/100) …(1)
また、「n」に該当する光路長における透過光量Bは、次式(2)で表すことができる。
【0016】
透過光量B=発光部の発光量×(透過率α/100)n …(2)
そして、上記式(1)及び式(2)から次式(3)が得られる。
【0017】
(透過率α/100)n−1=透過光量B/透過光量A …(3)
そして式(3)から次式(4)が得られる。
【0018】
透過率α=(透過光量B/透過光量A)1/n−1×100 …(4)
この式(4)から分かるように、異なる光路長の比が1:nである場合、この各光路長の比、及び各光路長で測定される各透過光量の比を用いて透過率αを求めることができる。そして、周知のように液体における光の透過率と粒子濃度とは相関関係にあるため、透過率を求めることで粒子濃度を求めることができる。
【0019】
このように透過光量の差違に基づいて粒子濃度と相関関係にある値(透過率)を求めると、上述したように発光部や受光部の特性変化が粒子濃度の検出に与える悪影響を抑えることができるようになる。従って、上記請求項3に記載の構成によっても、粒子濃度の検出に際して発光部や受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。
【0020】
なお、上記光路長の比については請求項4に記載の発明によるように、前記異なる光路長の光として少なくとも2種類の光を用い、それら光路長の比が1:2に設定される、といった設定態様を採用することにより、上記透過率を容易に算出することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子濃度検出方法において、駆動機構によって前記発光部または受光部のうちの少なくとも一方を他方に向けて往復移動させて光路長を変更することをその要旨とする。
【0022】
同構成によれば、駆動機構によって発光部または受光部のうちの少なくとも一方が他方に向けて往復移動されることにより、光路長が変更される。そのため、同一の発光部及び受光部を用いて異なる光路長における透過光量を測定することができ、発光部や受光部の個体差が粒子濃度の検出精度に与える影響を排除することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子濃度検出方法において、前記発光部及び受光部で構成される検出部を複数用い、それら各検出部における検出に際して発光部から液体に照射される光の光路長が異なることをその要旨とする。
【0024】
同構成によれば、発光部または受光部のうちの少なくとも一方を移動させることなく、異なる光路長における透過光量を測定することができる。そのため、光路長の変更に際しての発光部や受光部の位置ずれが生じず、光路長の精度を高く維持することができるようになり、もって粒子濃度の検出に際してばらつきを抑制することができるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる粒子濃度検出方法を具体化した第1の実施形態について、図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1は、車載内燃機関に取り付けられた本実施形態における粒子濃度検出装置の構成を示す概略図である。
内燃機関50は、周知のように、吸気通路から吸入される空気及び燃料噴射弁から噴射される燃料からなる混合気をシリンダ及びピストンによって区画形成される燃焼室に吸入する。そして、この混合気は燃焼室に備えられる点火プラグにより点火されて燃焼され、燃焼後は排気ガスとして前記燃焼室から排気通路へ排出される。また、内燃機関50には潤滑油が貯留されており、この潤滑油は潤滑通路51を介して同機関の可動部等に供給される。
【0027】
さて、本実施形態における粒子濃度検出装置は内燃機関50の潤滑油を検査対象液とし、その透過光量を用いて同潤滑油に混入した粒子(例えば煤等)の濃度を検出するようにしている。
【0028】
上記粒子濃度検出装置は、検出機構3、制御装置8、表示部9、及び警報機構10等から構成されている。
検出機構3は検査対象液の透過光量を検出する機構であり、上記潤滑通路51の途中に配設されている。図2は、この検出機構3について、検査対象液の流れ方向における断面を模式的に示している。この図2に示すように、検出機構3は大きく分けてボディー3a、発光部3L、受光部3R、及び駆動機構3i等から構成されている。
【0029】
ボディー3aはその内部に検査対象液が流通する流路3bが形成されており、その開口部には潤滑通路51が接続されている。そして発光部3L及び受光部3Rは流路3bの壁面に互いに対向するように配設されている。
【0030】
発光部3Lは検査光を検査対象液に向けて照射する部分であり、発光素子3c、発光部導光体3d等から構成されている。発光素子3cは検査光を発光する素子であり、上記制御装置8から駆動回路を介して所定の電圧が印加されることにより、一定光量の光を発する。ちなみに本実施形態ではこの発光素子3cとしてLED(発光ダイオード)を用いている。この発光素子3cは発光部導光体3dに囲まれており、この発光部導光体3dにあって流路3b側の先端には発光素子3cから発せられた検査光を平行光にするためのレンズ3eが設けられている。このレンズ3eによって発光素子3cから発せられる検査光のほとんどが発散されることなく検査対象液に向けられる。
【0031】
受光部3Rは発光部3Lから発せられた検査光が検査対象液を透過した後の光量、すなわち検査対象液を透過する透過光の光量である透過光量を検出する部分であり、受光素子3g及び受光部導光体3h等から構成されている。受光素子3gは検査対象液を透過した上記検査光、すなわち透過光を受光してその光量を検出する素子であり、本実施形態ではフォトダイオードを用いている。この受光素子3gでは受光量が増大するほど出力は大きくなるため、透過光量に応じた出力を得ることができる。そして受光素子3gの出力は上記制御装置8の増幅回路に入力される。受光素子3gの流路3b側には受光部導光体3hが設けられている。受光部導光体3hは、検査対象液を透過した透過光を平行光の状態で受光素子3gに到達させるためのレンズになっている。なお、検査対象液を透過した透過光を受光素子3gに集光させる集光レンズを用いてもよい。
【0032】
ちなみに、上記発光部導光体3d及び受光部導光体3hは検査対象液に曝されるため、耐高温性及び耐薬品性に優れた材質が要求される。また、透過光の減衰を極力抑えるために透過率の高いもの、望ましくは発光素子3cから発せられる光の波長において90%以上の透過率を有するものがよい。そこで、本実施形態では発光部導光体3d及び受光部導光体3hの材質として石英ガラスを選定している。
【0033】
上記発光部3Lにおいて流路3bの反対側には駆動機構3iが設けられている。この駆動機構3iは発光部3Lを受光部3Rの方向に向けて移動させることにより同発光部3Lと受光部3Rとの間の距離、すなわち光路長を調整する機構である。なお、本実施形態では、駆動機構3iによってその位置が調整された後の発光部3Lのレンズ3eと受光部導光体3hとの最短距離を便宜的に光路長という。そしてこの駆動機構3iはモータ等のアクチュエータと同アクチュエータの駆動量を発光部3Lに伝達する伝達機構とを備えており、アクチュエータの駆動量は上記制御装置8からの信号によって制御される。このように本実施形態にかかる粒子濃度検出装置では、上記光路長を自由に変更することができるようにしている。
【0034】
他方、本実施形態では光の波長が900nm以上の赤外光を発光するLEDが上記発光素子3cに採用されている。その理由を図3、図4を併せ参照して説明する。
【0035】
図3は、工業用カーボンが0.01wt%混入された潤滑油の透過率と光の波長との関係を模式的に示している。なお、透過率は「(受光素子3gの受光量/発光素子3cの発光量)×100(%)」で表される。
【0036】
この図3に示されるように、波長が短くなるほど透過率は低下する傾向にある。これは検査光の波長が短くなるほど、液中粒子による光の吸収量や散乱量が増大し、受光素子3gに同検査光が届きにくくなるためである。従ってこの図3に示される傾向から、粒子濃度の高い液体の透過光量を検出するには、波長の長い光を利用した方がよいことがわかる。
【0037】
図4は、潤滑油の粒子濃度と透過率との関係について光の波長を種々変更した場合の変化傾向を模式的に示している。この図4に示されるように、波長が長くなるほど粒子濃度に対する透過率は高くなる傾向にあり、検出可能な粒子濃度の範囲は高濃度領域側に広くなる傾向にある。換言すれば検出可能な粒子濃度の上限値が大きくなる傾向にある。
【0038】
一方、波長が短くなるほど、高濃度領域では粒子濃度の差違に起因する透過率の変化は小さくなる。このため波長が短くなるほど高濃度領域にある粒子濃度を検出することは困難になり、検出可能な粒子濃度の範囲は狭くなる。しかし同図4に示されるように、低濃度領域では波長が短くなるほど粒子濃度の差違に起因する透過率の変化は大きくなる傾向にあるため、わずかな粒子濃度の違いにも反応する検出精度の高い検出機構3を得ることができる。すなわち、波長が長くなるほどより高濃度の粒子濃度を検出することができる一方、波長が短くなるほど低濃度領域における粒子濃度の検出精度を向上させることができる。これらの点を考慮し、本実施形態では900nm以上の波長を発光する赤外光LEDを上記発光素子3cに採用することで、幅広い粒子濃度を精度よく検出することができるようにしている。
【0039】
上記制御装置8は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心として構成されている。この制御装置8は検出機構3の検出結果等を演算処理して検査対象液の粒子濃度を算出するとともに、その演算結果、例えば検出された粒子濃度等を表示部9に表示する。また、制御装置8は検出された粒子濃度と所定値とを比較し、場合によっては警報機構10から警報を発する。
【0040】
さて、このように構成された粒子濃度検出装置では、受光部3Rで検出される透過光量を用いて液中の粒子濃度が算出される。ここで、先の図12に示したように、発光素子3cの環境温度が高くなるにつれて、同発光素子3cの発光量は低下するようになる。そのため、粒子濃度がある一定の値であったとしても、発光素子3cの環境温度が変化すれば受光素子3gで検出される透過光量も変化してしまうおそれがある。従って、透過光量を用いた粒子濃度の検出に際してその検出精度を高めるためには、発光素子3cの発光量も取得する必要がある。この発光素子3cの発光量を取得するには、例えば次のようなものが考えられる。
【0041】
取得例1.発光素子3cの環境温度と発光量との関係が設定されたマップを予め用意しておく。そして発光素子3cの環境温度を温度センサ等で測定し、この測定された環境温度と上記マップから発光素子3cの発光量を推定するようにする。
【0042】
取得例2.例えば図13に示すように、発光素子3cから発せられる検査光の一部を反射板130等で反射させて、この反射光の光量を受光素子122で検出するようにする。
【0043】
これら各取得例のようにすれば発光素子3cの発光量を把握することはできる。しかし、上記各取得例では発光量を間接的に取得しており、直接検出しているわけではないため、その精度には自ずと限界がある。従って粒子濃度の検出に際しては、発光量の検出精度や推定精度に起因する誤差が生じるおそれがある。また、温度センサや受光素子122といったセンサ類を別途設ける必要もある。
【0044】
他方、発光部への汚れの付着、発光部の経時劣化等によっても発光部の発光特性は変化するため、この場合にも精度よく粒子濃度を検出することは困難になる。このように、発光素子3cの環境温度の変化、発光部3Lへの汚れの付着、発光部3Lの経時劣化等によって発光部3Lの発光特性が変化すると粒子濃度を精度よく検出することが困難になるおそれがある。
【0045】
そこで本実施形態における粒子濃度検出装置では、発光素子3cの発光量を知ることなく粒子濃度を検出することにより、発光部3Lや受光部3Rの特性が変化する場合であっても、粒子濃度を精度よく検出することができるようにしている。
【0046】
以下、本実施形態における粒子濃度検出装置によって行われる粒子濃度検出方法について、図5を併せ参照して説明する。
まず、発光部3Lの発光量を発光量IN1とし、第1の光路長L1において受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT1とすると、第1の光路長L1における光の透過率α1は次式(5)で表すことができる。
【0047】
α1=(OUT1/IN1)×100 …(5)
そして、第1の光路長L1よりも長い距離が設定された第2の光路長L2(L2>L1)において、受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT2とすると、第2の光路長L2における光の透過率α2は次式(6)で表すことができる。なお、第1の光路長L1で透過光量OUT1を検出した後、引き続き第2の光路長L2で透過光量OUT2を検出すれば、発光部3Lの環境温度がほぼ同一の状態で透過光量OUT1及び透過光量OUT2の検出を行うことができる。そのため、この場合には透過光量OUT1及び透過光量OUT2が検出されるときの発光量IN1もほぼ同一であると考えることができる。
【0048】
α2=(OUT2/IN1)×100 …(6)
そして、上記式(5)及び式(6)から次式(7)が得られる。
【0049】
α2/α1=OUT2/OUT1(=R) …(7)
この式(7)から分かるように、実際に測定することのできる透過光量OUT2と透過光量OUT1との比から、透過率α1と透過率α2との比(以下、式(7)から得られる値を透過比Rという)を求めることができる。
【0050】
ここで、粒子濃度RNが高くなるほど透過光量OUT1及び透過光量OUT2は減少するが、第2の光路長L2は第1の光路長L1よりも距離が長く設定されているため、透過光量OUT2は、この距離差に含まれる粒子量に相当する分だけ透過光量OUT1よりも多く減衰される。そのため、式(5)から求められる透過率α1の低下率と比較して、式(6)から求められる透過率α2の低下率はより大きくなる。従って、この低下率の差違及び式(7)から分かるように、粒子濃度が高くなるほど透過比Rは小さくなる傾向にあり、この透過比Rと粒子濃度RNとは相関関係にあることを本発明者は見出した。
【0051】
さらにこの透過比Rは透過光量OUT1及び透過光量OUT2から算出することができるため、発光量IN1の変化の影響を受けてその値が変化することがない。例えば発光量IN1が光量Cだけ低下した場合の透過光量OUT1及び透過光量OUT2は、それぞれ次式(8)、及び式(9)で表すことができる。
【0052】
OUT1={α1×(IN1−C)}/100 …(8)
OUT2={α2×(IN1−C)}/100 …(9)
そして、式(8)及び式(9)を上記式(7)に代入すると次式(10)が得られる。
【0053】
OUT2/OUT1=α2/α1(=透過比R) …(10)
これら式(8)〜式(10)に示されるように、発光量IN1が変化してもその変化分は透過光量OUT1及び透過光量OUT2に同様に反映されるため、同変化分は透過光量OUT1及び透過光量OUT2の比が算出される際に除外される。すなわち透過比Rは発光量IN1の変化の影響を受けないことがわかる。
【0054】
図6は、本実施形態の粒子濃度検出装置において、第1の光路長L1を0.2mm、第2の光路長L2を1mmに設定し、発光素子3c及び受光素子3gの環境温度を変化させたときの粒子濃度RNと透過比Rとの関係を例示している。この図6に示されるように、粒子濃度RNが高くなるほど透過比Rは小さくなり、粒子濃度RNの変化に対する透過比Rの変化度合いは低濃度領域で大きく、高濃度領域で小さくなる。また、粒子濃度RNに対する透過比Rの値は、環境温度が異なってもほぼ同じになることがわかる。
【0055】
また、図7は、第1の光路長L1を0.2mm、第2の光路長L2を0.5mmに設定した場合において、すなわち図6の実験態様と比較して、第2の光路長L2をより短く設定した場合において、発光素子3c及び受光素子3gの環境温度を変化させたときの粒子濃度RNと透過比Rとの関係を例示している。この図7に示されるように第1の光路長L1と第2の光路長L2との差を小さくすると、粒子濃度RNの変化に対する透過比Rの変化度合いは広い範囲の粒子濃度において安定する、換言すれば線形関係に近づいていく。従って、第1の光路長L1と第2の光路長L2との差を小さくするほど、粒子濃度の検出精度を広範囲にわたって均一化することができる。ただし、上記差を過度に小さくすると粒子濃度RNに依らず透過比Rは一定になってしまう。また、第1の光路長L1と第2の光路長L2との差は同じであっても、第1の光路長L1及び第2の光路長L2が過度に長く、或いは短く設定されている場合には、粒子濃度の検出精度を広範囲にわたって均一化することが困難になるおそれもある。従ってこれらの点を考慮しつつ、粒子濃度RNに対して透過比Rが十分に変化する範囲内で、粒子濃度RNと透過比Rとの関係を線形関係に近づけることのできる値を第1の光路長L1及び第2の光路長L2の値として設定するとよい。ちなみに本実施形態では上述した点を考慮しつつ、第1の光路長L1及び第2の光路長L2を0.2mm〜0.5mmの範囲内で設定すると、粒子濃度の検出精度を広範囲にわたって均一化することができる。
【0056】
次に本実施形態における粒子濃度検出処理について、図8を併せ参照して説明する。
図8は、本実施形態にかかる粒子濃度検出方法の態様について、その検出処理手順を示している。なお本実施形態においてこの粒子濃度検出処理は、上記制御装置8により所定時間毎に実行される。また、第1の光路長L1及び第2の光路長L2は、上述した点を考慮した最適な値が実験等を通じて設定されている。
【0057】
この処理が開始されると、まず、予め設定された第1の光路長L1に光路長Lは設定される(S100)。この第1の光路長L1の設定は、発光部3Lの位置が駆動機構3iを介して制御されることによってなされる。
【0058】
次に、第1の光路長L1の光について透過光量OUT1が検出される(S110)。
次に、予め設定された第2の光路長L2に光路長Lは設定される(S120)。この第2の光路長L2は第1の光路長L1よりも長い距離が設定されている。そして第2の光路長L2への設定も、発光部3Lの位置が駆動機構3iを介して制御されることによってなされる。
【0059】
次に、第2の光路長L2の光について透過光量OUT2が検出され(S130)、これら透過光量OUT1、及び透過光量OUT2を用いて粒子濃度RNが求められる(S140)。すなわち、上記式(7)を用いて透過比Rが算出され、この算出された透過比Rに基づき、上記ROM内に記憶された粒子濃度算出マップから粒子濃度RNが求められる。この粒子濃度算出マップは、透過比Rに対応する粒子濃度RNが種々設定されており、その設定態様は先の図6に示したような態様になっている。従って、透過比Rの値が増大するほどこのマップから求められる粒子濃度RNの値は小さくなる。こうして粒子濃度RNが求められると、本処理は終了される。
【0060】
この粒子濃度検出処理によって、発光素子3cの発光量IN1を知ることなく粒子濃度RNの検出を行うことができる。そのため、発光素子3cの温度特性が粒子濃度の検出に与える影響を抑えることができるようになる。
【0061】
また、受光素子3gの環境温度によってその出力特性が変化する場合であっても、上述した粒子濃度検出処理を行うことによって、受光素子3gの温度特性が粒子濃度の検出に与える影響を同時に抑えることができるようにもなる。すなわち、上記検出処理では受光素子3gの環境温度がほぼ同一になる状態で透過光量OUT1及び透過光量OUT2を検出するようにしている。そのため、透過光量OUT1及び透過光量OUT2に反映される受光素子3gの温度特性の影響もほぼ同じになる。そして上記検出処理では、透過光量OUT1と透過光量OUT2との比である透過比Rを求めるようにしており、この透過比Rの算出によって、透過光量OUT1及び透過光量OUT2に反映された受光素子3gの温度特性の影響分は除去される。例えば、受光素子3gの環境温度が変化することで、その出力がD%変化する場合には、透過光量OUT1は「(1−D/100)×OUT1」で表すことができ、透過光量OUT2は「(1−D/100)×OUT2」で表すことができる。そしてこれらを上記式(7)に代入すると、温度変化に起因する変化分である「(1−D/100)」が消去され、その結果、透過比Rは「OUT2/OUT1」で算出される。
【0062】
このように透過比Rは受光素子3gの温度特性の影響を受けない値であるため、上述した粒子濃度検出処理を行うことで受光素子3gの温度特性が粒子濃度の検出に与える影響を抑えることができるようになる。
【0063】
なお、本実施形態では発光素子3cの発光量が変化しても、その影響を受けることなく粒子濃度を精度よく検出することができる。そのため、発光部3Lへの汚れの付着、発光部3Lの経時劣化等によって発光素子の発光量IN1が変化する場合であってもこれらの影響を抑えることができ、粒子濃度を精度よく検出することができる。
【0064】
また、本実施形態では受光素子3gの出力特性が変化しても、その影響を受けることなく粒子濃度を精度よく検出することができる。そのため、受光部3Rへの汚れの付着、受光部3Rの経時劣化等によって透過光量OUT1や透過光量OUT2が変化する場合であってもこれらの影響を抑えることができ、粒子濃度を精度よく検出することができる。
【0065】
他方、上記検出処理の他に、制御装置8は以下の処理も行う。
すなわち、機関潤滑油の粒子濃度が高くなりその汚濁が進行している状態で内燃機関50の運転が継続されると、同内燃機関50に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、制御装置8は上記粒子濃度検出処理によって検出される潤滑油の粒子濃度RNに基づき、内燃機関50の運転についてその可不可を判断する判断処理を行う。
【0066】
この処理は次のような手順で行われる。まず、上記ROM内には内燃機関50で使用可能な潤滑油の許容濃度Kが記憶されている。そして、上記粒子濃度検出処理によって検出された粒子濃度RNが許容濃度K以下である場合には、内燃機関50の運転が可能である旨の判定がなされる。一方、粒子濃度RNが許容濃度Kを越えている場合には、内燃機関50の運転が不可である旨の判定がなされ、この判定がなされた場合には警報機構10を通じて警報が発せられる。この警報態様としては、例えば警報機構10にランプ等の発光体や警告音を発するスピーカ等を設けておき、同ランプを発光させたり、スピーカから警告音を発するようにしたりすればよい。
【0067】
この他にも、警報機構10に緑色、黄色、及び赤色のランプ等とスピーカとを設けておく。そして粒子濃度RNが許容濃度Kよりも十分に低い場合には緑色のランプを発光させ、粒子濃度RNが許容濃度Kに近づくと黄色のランプを発光させるとともに警報音を出し、粒子濃度RNが許容濃度Kを越えた場合には赤色のランプを発光させるとともにより大きな音量の警報音を出すようにしてもよい。また、赤色のランプが発光される場合には、黄色のランプが発光される場合と比較して、警報音の間隔を短くするようにしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果が得られるようになる。
(1)異なる光路長の光について測定された各透過光量の差違、より具体的には上記透過光量OUT1及び透過光量OUT2の比である上記透過比Rに基づいて粒子濃度の検出を行うようにしている。そのため、発光素子3cの発光量IN1を知ることなく粒子濃度の検出を行うことができる。従って、粒子濃度の検出に際して発光部3Lの特性変化(発光特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。また受光部3Rの特性変化(出力特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することもできるようになる。
【0069】
なお、発光量IN1を知ることなく粒子濃度の検出を行うことができるため、発光量の検出を行うためのセンサ等を設ける必要がない。また、温度補正による発光量の推定や間接的な発光量の検出等を行う必要もないため、発光量の推定精度に起因する粒子濃度の検出誤差も防止することができる。
【0070】
(2)駆動機構によって発光部3Lを移動させることにより、光路長Lを変更するようにしている。従って同一の発光素子3c及び受光素子3gを用いて異なる光路長における透過光量を測定することができ、各素子の個体差が粒子濃度の検出精度に与える影響を排除することができる。また、第1の光路長L1及び第2の光路長L2を任意に変更することができるため、更に好適な光路長への設定変更も容易に行うことができる。
【0071】
(3)上記特性変化の影響が抑えられた状態で検出される粒子濃度RNに基づいて内燃機関50の運転についてその可不可を判断するようにしている。そのため、発光素子3cや受光素子3gの特性変化に起因する誤判定を抑制することができる。また、上記警報機構10を備えているため、内燃機関50の運転について不可である旨の判断がなされたことを運転者等に確実に報知することができる。
【0072】
(4)検出機構3を内燃機関50の潤滑通路51に取り付けるようにしている。そのため、上述した従来の装置のように粒子濃度検出装置が大型化することもなく、容易に内燃機関50に取り付けることができ、ひいては同内燃機関50の運転中でも潤滑油の粒子濃度を検出することができる。
(第2の実施形態)
以下、この発明にかかる粒子濃度検出方法を具体化した第2の実施形態について、図9、図10に基づき説明する。
【0073】
上記第1の実施形態では、異なる光路長の光について測定された各透過光量の比に基づいて粒子濃度を求めるようにした。一方、本実施形態では、異なる光路長の光について測定された各透過光量の比、及び異なる光路長の比から検査対象液の透過率を求めて粒子濃度の検出を行うようにしている。そして、第1の光路長L1及び第2の光路長L2の設定態様、及び先の図8におけるS140での算出方法が異なる以外は、基本的に第1の実施形態と同様である。そこで、以下ではこれら相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0074】
まず、本実施形態にかかる粒子濃度検出方法について、図9を併せ参照して説明する。
まず、発光部3Lの発光量を発光量IN1とし、第1の光路長L1において受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT1とし、第1の光路長L1における光の透過率を透過率αとすると、第1の光路長L1における透過光量OUT1は次式(11)で表すことができる。
【0075】
OUT1=IN1×(α/100) …(11)
そして、第1の光路長L1に対してn倍の距離が設定された第2の光路長L2(L2=n×L1)において、受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT2とすると、第2の光路長L2における透過光量OUT2は次式(12)で表すことができる。なお、第1の光路長L1で透過光量OUT1を検出した後、引き続き第2の光路長L2で透過光量OUT2を検出すれば、発光部3Lの環境温度がほぼ同一の状態で透過光量OUT1及び透過光量OUT2の検出を行うことができる。そのため、この場合には透過光量OUT1及び透過光量OUT2が検出されるときの発光量IN1もほぼ同一であると考えることができる。
【0076】
OUT2=IN1×(α/100)n …(12)
そして、上記式(11)及び式(12)から次式(13)が得られる。
【0077】
(α/100)n−1=OUT2/OUT1 …(13)
そして式(13)から次式(14)が得られる。
【0078】
α=(OUT2/OUT1)1/n−1×100 …(14)
この式(14)から分かるように、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比を1:nにした場合、この光路長の比及び透過光量OUT2と透過光量OUT1との比を用いて透過率αを求めることができる。そして、検査対象液の粒子濃度が高くなるほど同検査対象液の透過率は増大するといったように、粒子濃度と透過率とは相関関係にあるため、透過率を求めることで粒子濃度を求めることができる。
【0079】
ここで、本実施形態では第1の実施形態と同様に、透過光量OUT1及び透過光量OUT2を用いて粒子濃度と相関関係にある値、すなわち透過率を求めることができる。従って、式(14)から求められる透過率αも発光量IN1の変化の影響を受けることがない。すなわち、本実施形態における粒子濃度検出方法でも、粒子濃度の検出に際して発光素子3cの発光特性の変化が与える影響を抑えることができるようになり、粒子濃度を精度よく検出することができる。また、粒子濃度の検出に際して受光素子3gの出力特性の変化が与える影響を抑えることもできる。
【0080】
ちなみに、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比は任意に設定することができるが、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比を1:2に設定すると式(14)は次式(15)のようになり、透過率αを容易に算出することができる。
【0081】
α=(OUT2/OUT1)×100 …(15)
図10は、本実施形態の粒子濃度検出装置において、第1の光路長L1を0.5mm、第2の光路長L2を1mmに設定し、発光素子3c及び受光素子3gの環境温度を変化させたときの粒子濃度RNと透過率αとの関係を例示している。この図10に示されるように、粒子濃度RNが高くなるほど透過率αは小さくなるといった相関関係がある。そして、粒子濃度RNに対する透過率αの値は環境温度が異なってもほぼ同じになることがわかる。
【0082】
この本実施形態にかかる粒子濃度の検出方法では、先の図8で説明した粒子濃度検出処理が以下のように変更されている。
まず、S100の処理で行われる第1の光路長L1の設定、及びS120の処理で行われる第2の光路長L2の設定に際しては、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比が1:2になるように設定されている。そしてS140での粒子濃度の算出に際しては、S110で検出された透過光量OUT1及びS130で検出された透過光量OUT2を用いて、上記式(15)から透過率αを算出される。そして、この算出された透過率αに基づき、上記ROM内に記憶された粒子濃度算出マップから粒子濃度RNを求める。この粒子濃度算出マップは、透過率αに対応する粒子濃度RNが種々設定されており、その設定態様は先の図10に示したような態様になっている。従って、透過率αの値が増大するほどこのマップから求められる粒子濃度RNの値は小さくなる。
【0083】
このように本実施形態によっても第1の実施形態と同様な作用効果が得られるようになり、粒子濃度の検出に際して発光部3Lの特性変化(発光特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。また受光部3Rの特性変化(出力特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することもできるようになる。
【0084】
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記各実施形態において、第2の光路長L2における透過光量OUT2を検出した後に第1の光路長L1における透過光量OUT1を検出するようにしてもよい。
【0085】
・上記第1の実施形態において、透過比Rを次式(16)から求めるようにしてもよい。
R=OUT1/OUT2 …(16)
この場合にも第1の実施形態で説明した検出態様と同様な態様で粒子濃度を検出することができる。
【0086】
・上記各実施形態では光路長Lを2段階で変更させる場合について説明したが、光路長Lを3段階以上変更させてもよい。要するに異なる光路長で検出された透過光量を用いて上述したような態様で粒子濃度を検出するようにすればよい。
【0087】
・上記各実施形態では光路長Lを変更するために発光部3Lを移動させるようにしたが、発光部3Lを固定して受光部3Rを移動させるようにしてもよい。また、発光部3L及び受光部3Rをともに移動させるようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態では光路長Lを変更するために発光部3Lを移動させるようにしたが、発光部3L及び受光部3Rで構成される検出部を複数用い、それら各検出部における検出に際して発光部3Lから検査対象液に照射される光の光路長を異ならせるようにしてもよい。
【0089】
例えば、図11にその一例を示すように、検出機構3’のボディー3a’内に上記発光部3L及び受光部3Rから構成された検出部40a及び40bを配設する。そして、検出部40aの光路長が上述した第1の光路長L1になるように、発光部3L及び受光部3Rをボディー3a’に固定する。また、検出部40bの光路長が上述した第2の光路長L2になるように、発光部3L及び受光部3Rをボディー3a’に固定する。そして、上記制御装置8は粒子濃度RNの検出に際して、検出部40aで測定された透過光量OUT1、及び検出部40bで測定された透過光量OUT2に基づいて検査対象液の粒子濃度を検出するようにする。この場合には上記各実施形態と比較して発光部3Lの位置が変化しないため、光路長Lの変更に際しての位置ずれが生じず、光路長Lの精度を高く維持することができるようになる。従って、粒子濃度RNの検出に際してばらつきを抑制することができるようになる。
【0090】
・上記警報機構10から警報が発せられるとき、すなわち内燃機関50の運転について不可である旨の判断がなされたときには、内燃機関50の機関出力を徐々に低下させて最終的に機関運転を停止させることにより、内燃機関50の故障を確実に防止することもできる。
【0091】
・上記実施形態では内燃機関の潤滑油の粒子濃度を検出する装置に本発明を適用した場合について説明したが、他の液体の粒子濃度を検出する装置にも本発明は同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる粒子濃度検出装置の構成を示す概略図。
【図2】同実施形態における検出機構の構造を示す断面図。
【図3】潤滑油の透過率と光の波長との関係を示すグラフ。
【図4】潤滑油の粒子濃度と透過率との関係について、光の波長を種々変更した場合の態様を示すグラフ。
【図5】同実施形態における粒子濃度検出方法を説明するための概念図。
【図6】同実施形態において、発光素子及び受光素子の環境温度を変化させたときの粒子濃度と透過比との関係を示すグラフ。
【図7】同実施形態において、発光素子及び受光素子の環境温度を変化させたときの粒子濃度と透過比との関係を示すグラフ。
【図8】同実施形態による粒子濃度検出処理の手順を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態における粒子濃度検出方法を説明するための概念図。
【図10】同実施形態で算出される透過率について、発光素子及び受光素子の環境温度を変化させたときの粒子濃度との関係を示すグラフ。
【図11】上記実施形態の変形例における検出機構の構造を示す概念図。
【図12】発光素子の環境温度と発光量との関係を例示するグラフ。
【図13】発光素子の発光量検出態様について、その一例を示す概念図。
【符号の説明】
3、3’…検出機構、3a、3a’…ボディー、3b…流路、3c…発光素子、3d…発光部導光体、3e…レンズ、3g…受光素子、3h…受光部導光体、3i…駆動機構、3L…発光部、3R…受光部、8…制御装置、9…表示部、10…警報機構、40a、40b…検出部、50…内燃機関、51…潤滑通路、122…受光素子、130…反射板。
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体の透過光量に基づいて同液体の粒子濃度を検出する粒子濃度検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば機関潤滑油に混入した煤の濃度等、液体中の粒子濃度をその液体の光透過特性、具体的には同液体を透過可能な透過光の光量に基づいて検出するようにしたものが知られている。この検出方法では発光部から液体に向けて光を照射し、同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出するようにしている。発光部から照射された光の一部は、液体に混入した粒子によって吸収されるため、受光部で検出される透過光量は液中粒子の量に応じたものとなる。従って、この透過光量に基づいて粒子濃度を検出することができる。
【0003】
ところで、図12に例示するように、発光部の発光光量はその環境温度が高くなるほど減少するため、受光部で検出される透過光の光量もこれに応じて減少する傾向にある。従って、粒子濃度を精度よく検出する上では、こうした発光部の温度変化に起因する検出部(発光部及び受光部)の特性変化を抑制するのが望ましい。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の装置では、液体(潤滑油)を収容する容器と発光部との間、及び同容器と受光部との間をそれぞれ光ファイバで接続することにより、潤滑油の熱によって発光部や受光部の温度が変化するのを極力回避するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−74832号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この装置によれば、潤滑油の熱によって検出部の温度が変化するのを回避して、それに起因する検出部の特性変化を抑制することができる。但し、この装置はあくまで潤滑油の熱による悪影響に着目したものであるため、それ以外の要因に起因して検出部の特性変化が生じる場合にはこれに対処することができない。すなわち、上記従来の検出方法にあっては、発光に際して生じる熱や、検出部に付着する汚れ、或いは経時変化等に起因して検出部の特性が変化したような場合にそれによる悪影響が避けきれず、この点においてなお改良の余地を残すものとなっていた。
【0007】
この発明はこうした事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、粒子濃度の検出に際して発光部や受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することのできる粒子濃度検出方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、発光部から液体に光を照射するとともに同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出し、この検出された透過光量に基づいて前記液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、異なる光路長の光について前記透過光量を測定し、この測定される透過光量の差違に基づいて前記液体の粒子濃度を検出することをその要旨とする。
【0009】
まず、上記光路長とは上記発光部と受光部との間の距離をいう。さて、上記構成では、異なる光路長の光についてその透過光量をそれぞれ測定するようにしている。ここで、粒子濃度が高くなるほど各光路長で測定された透過光量は減少するが、一方の光路長と比較して長い光路長で測定された透過光量は、その距離差に含まれる粒子量に相当する分だけ、該一方の光路長(短い光路長)で測定された透過光量よりも多く減衰される。そのため、粒子濃度が高くなるほど、短い光路長で測定された透過光量の低下率と比較して、長い光路長で測定された透過光量の低下率は大きくなる。このように、異なる光路長でそれぞれ測定された透過光量の差違は粒子濃度と相関関係にあるため、これら透過光量の差違に基づいて粒子濃度を検出することができる。
【0010】
ここで、発光部の発光量が変化するとその変化分は各透過光量に同様に反映されるため、透過光量の差違を好適に求めることにより同変化分は容易に除去することができる。換言すれば、透過光量の差違に基づいて粒子濃度を検出することにより、発光部の発光量を知ることなく粒子濃度の検出を行うことができるようになる。そのため、上記構成によれば、粒子濃度の検出に際して発光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。
【0011】
また、受光部の環境温度によってその出力特性等が変化する場合でも、その変化分は各透過光量の検出値に同様に反映されるため、透過光量の差違を好適に求めることにより同変化分は容易に除去することができる。そのため、上記構成によれば粒子濃度の検出に際して受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することもできるようになる。
【0012】
このような透過光量の差違を求める好適な態様としては、請求項2に記載の発明によるように、異なる光路長の光について測定された各透過光量の比に基づいて前記液体の粒子濃度を検出する、といった態様を採用することにより、透過光量を用いた粒子濃度の検出に際して、発光部や受光部の特性変化が粒子濃度の検出に与える悪影響を確実に抑えることができるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、発光部から液体に光を照射するとともに同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出し、この検出された透過光量に基づいて前記液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、異なる光路長の光について前記透過光量を測定し、この測定される各透過光量の比及び各光路長の比から求められる透過率に基づいて前記液体の粒子濃度を検出することをその要旨とする。
【0014】
異なる光路長の比が1:nであるとき、「1」に該当する光路長における透過光量Aは、その光路長における光の透過率を透過率αとした場合に次式(1)で表すことができる。
【0015】
透過光量A=発光部の発光量×(透過率α/100) …(1)
また、「n」に該当する光路長における透過光量Bは、次式(2)で表すことができる。
【0016】
透過光量B=発光部の発光量×(透過率α/100)n …(2)
そして、上記式(1)及び式(2)から次式(3)が得られる。
【0017】
(透過率α/100)n−1=透過光量B/透過光量A …(3)
そして式(3)から次式(4)が得られる。
【0018】
透過率α=(透過光量B/透過光量A)1/n−1×100 …(4)
この式(4)から分かるように、異なる光路長の比が1:nである場合、この各光路長の比、及び各光路長で測定される各透過光量の比を用いて透過率αを求めることができる。そして、周知のように液体における光の透過率と粒子濃度とは相関関係にあるため、透過率を求めることで粒子濃度を求めることができる。
【0019】
このように透過光量の差違に基づいて粒子濃度と相関関係にある値(透過率)を求めると、上述したように発光部や受光部の特性変化が粒子濃度の検出に与える悪影響を抑えることができるようになる。従って、上記請求項3に記載の構成によっても、粒子濃度の検出に際して発光部や受光部の特性変化による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。
【0020】
なお、上記光路長の比については請求項4に記載の発明によるように、前記異なる光路長の光として少なくとも2種類の光を用い、それら光路長の比が1:2に設定される、といった設定態様を採用することにより、上記透過率を容易に算出することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子濃度検出方法において、駆動機構によって前記発光部または受光部のうちの少なくとも一方を他方に向けて往復移動させて光路長を変更することをその要旨とする。
【0022】
同構成によれば、駆動機構によって発光部または受光部のうちの少なくとも一方が他方に向けて往復移動されることにより、光路長が変更される。そのため、同一の発光部及び受光部を用いて異なる光路長における透過光量を測定することができ、発光部や受光部の個体差が粒子濃度の検出精度に与える影響を排除することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子濃度検出方法において、前記発光部及び受光部で構成される検出部を複数用い、それら各検出部における検出に際して発光部から液体に照射される光の光路長が異なることをその要旨とする。
【0024】
同構成によれば、発光部または受光部のうちの少なくとも一方を移動させることなく、異なる光路長における透過光量を測定することができる。そのため、光路長の変更に際しての発光部や受光部の位置ずれが生じず、光路長の精度を高く維持することができるようになり、もって粒子濃度の検出に際してばらつきを抑制することができるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる粒子濃度検出方法を具体化した第1の実施形態について、図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1は、車載内燃機関に取り付けられた本実施形態における粒子濃度検出装置の構成を示す概略図である。
内燃機関50は、周知のように、吸気通路から吸入される空気及び燃料噴射弁から噴射される燃料からなる混合気をシリンダ及びピストンによって区画形成される燃焼室に吸入する。そして、この混合気は燃焼室に備えられる点火プラグにより点火されて燃焼され、燃焼後は排気ガスとして前記燃焼室から排気通路へ排出される。また、内燃機関50には潤滑油が貯留されており、この潤滑油は潤滑通路51を介して同機関の可動部等に供給される。
【0027】
さて、本実施形態における粒子濃度検出装置は内燃機関50の潤滑油を検査対象液とし、その透過光量を用いて同潤滑油に混入した粒子(例えば煤等)の濃度を検出するようにしている。
【0028】
上記粒子濃度検出装置は、検出機構3、制御装置8、表示部9、及び警報機構10等から構成されている。
検出機構3は検査対象液の透過光量を検出する機構であり、上記潤滑通路51の途中に配設されている。図2は、この検出機構3について、検査対象液の流れ方向における断面を模式的に示している。この図2に示すように、検出機構3は大きく分けてボディー3a、発光部3L、受光部3R、及び駆動機構3i等から構成されている。
【0029】
ボディー3aはその内部に検査対象液が流通する流路3bが形成されており、その開口部には潤滑通路51が接続されている。そして発光部3L及び受光部3Rは流路3bの壁面に互いに対向するように配設されている。
【0030】
発光部3Lは検査光を検査対象液に向けて照射する部分であり、発光素子3c、発光部導光体3d等から構成されている。発光素子3cは検査光を発光する素子であり、上記制御装置8から駆動回路を介して所定の電圧が印加されることにより、一定光量の光を発する。ちなみに本実施形態ではこの発光素子3cとしてLED(発光ダイオード)を用いている。この発光素子3cは発光部導光体3dに囲まれており、この発光部導光体3dにあって流路3b側の先端には発光素子3cから発せられた検査光を平行光にするためのレンズ3eが設けられている。このレンズ3eによって発光素子3cから発せられる検査光のほとんどが発散されることなく検査対象液に向けられる。
【0031】
受光部3Rは発光部3Lから発せられた検査光が検査対象液を透過した後の光量、すなわち検査対象液を透過する透過光の光量である透過光量を検出する部分であり、受光素子3g及び受光部導光体3h等から構成されている。受光素子3gは検査対象液を透過した上記検査光、すなわち透過光を受光してその光量を検出する素子であり、本実施形態ではフォトダイオードを用いている。この受光素子3gでは受光量が増大するほど出力は大きくなるため、透過光量に応じた出力を得ることができる。そして受光素子3gの出力は上記制御装置8の増幅回路に入力される。受光素子3gの流路3b側には受光部導光体3hが設けられている。受光部導光体3hは、検査対象液を透過した透過光を平行光の状態で受光素子3gに到達させるためのレンズになっている。なお、検査対象液を透過した透過光を受光素子3gに集光させる集光レンズを用いてもよい。
【0032】
ちなみに、上記発光部導光体3d及び受光部導光体3hは検査対象液に曝されるため、耐高温性及び耐薬品性に優れた材質が要求される。また、透過光の減衰を極力抑えるために透過率の高いもの、望ましくは発光素子3cから発せられる光の波長において90%以上の透過率を有するものがよい。そこで、本実施形態では発光部導光体3d及び受光部導光体3hの材質として石英ガラスを選定している。
【0033】
上記発光部3Lにおいて流路3bの反対側には駆動機構3iが設けられている。この駆動機構3iは発光部3Lを受光部3Rの方向に向けて移動させることにより同発光部3Lと受光部3Rとの間の距離、すなわち光路長を調整する機構である。なお、本実施形態では、駆動機構3iによってその位置が調整された後の発光部3Lのレンズ3eと受光部導光体3hとの最短距離を便宜的に光路長という。そしてこの駆動機構3iはモータ等のアクチュエータと同アクチュエータの駆動量を発光部3Lに伝達する伝達機構とを備えており、アクチュエータの駆動量は上記制御装置8からの信号によって制御される。このように本実施形態にかかる粒子濃度検出装置では、上記光路長を自由に変更することができるようにしている。
【0034】
他方、本実施形態では光の波長が900nm以上の赤外光を発光するLEDが上記発光素子3cに採用されている。その理由を図3、図4を併せ参照して説明する。
【0035】
図3は、工業用カーボンが0.01wt%混入された潤滑油の透過率と光の波長との関係を模式的に示している。なお、透過率は「(受光素子3gの受光量/発光素子3cの発光量)×100(%)」で表される。
【0036】
この図3に示されるように、波長が短くなるほど透過率は低下する傾向にある。これは検査光の波長が短くなるほど、液中粒子による光の吸収量や散乱量が増大し、受光素子3gに同検査光が届きにくくなるためである。従ってこの図3に示される傾向から、粒子濃度の高い液体の透過光量を検出するには、波長の長い光を利用した方がよいことがわかる。
【0037】
図4は、潤滑油の粒子濃度と透過率との関係について光の波長を種々変更した場合の変化傾向を模式的に示している。この図4に示されるように、波長が長くなるほど粒子濃度に対する透過率は高くなる傾向にあり、検出可能な粒子濃度の範囲は高濃度領域側に広くなる傾向にある。換言すれば検出可能な粒子濃度の上限値が大きくなる傾向にある。
【0038】
一方、波長が短くなるほど、高濃度領域では粒子濃度の差違に起因する透過率の変化は小さくなる。このため波長が短くなるほど高濃度領域にある粒子濃度を検出することは困難になり、検出可能な粒子濃度の範囲は狭くなる。しかし同図4に示されるように、低濃度領域では波長が短くなるほど粒子濃度の差違に起因する透過率の変化は大きくなる傾向にあるため、わずかな粒子濃度の違いにも反応する検出精度の高い検出機構3を得ることができる。すなわち、波長が長くなるほどより高濃度の粒子濃度を検出することができる一方、波長が短くなるほど低濃度領域における粒子濃度の検出精度を向上させることができる。これらの点を考慮し、本実施形態では900nm以上の波長を発光する赤外光LEDを上記発光素子3cに採用することで、幅広い粒子濃度を精度よく検出することができるようにしている。
【0039】
上記制御装置8は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心として構成されている。この制御装置8は検出機構3の検出結果等を演算処理して検査対象液の粒子濃度を算出するとともに、その演算結果、例えば検出された粒子濃度等を表示部9に表示する。また、制御装置8は検出された粒子濃度と所定値とを比較し、場合によっては警報機構10から警報を発する。
【0040】
さて、このように構成された粒子濃度検出装置では、受光部3Rで検出される透過光量を用いて液中の粒子濃度が算出される。ここで、先の図12に示したように、発光素子3cの環境温度が高くなるにつれて、同発光素子3cの発光量は低下するようになる。そのため、粒子濃度がある一定の値であったとしても、発光素子3cの環境温度が変化すれば受光素子3gで検出される透過光量も変化してしまうおそれがある。従って、透過光量を用いた粒子濃度の検出に際してその検出精度を高めるためには、発光素子3cの発光量も取得する必要がある。この発光素子3cの発光量を取得するには、例えば次のようなものが考えられる。
【0041】
取得例1.発光素子3cの環境温度と発光量との関係が設定されたマップを予め用意しておく。そして発光素子3cの環境温度を温度センサ等で測定し、この測定された環境温度と上記マップから発光素子3cの発光量を推定するようにする。
【0042】
取得例2.例えば図13に示すように、発光素子3cから発せられる検査光の一部を反射板130等で反射させて、この反射光の光量を受光素子122で検出するようにする。
【0043】
これら各取得例のようにすれば発光素子3cの発光量を把握することはできる。しかし、上記各取得例では発光量を間接的に取得しており、直接検出しているわけではないため、その精度には自ずと限界がある。従って粒子濃度の検出に際しては、発光量の検出精度や推定精度に起因する誤差が生じるおそれがある。また、温度センサや受光素子122といったセンサ類を別途設ける必要もある。
【0044】
他方、発光部への汚れの付着、発光部の経時劣化等によっても発光部の発光特性は変化するため、この場合にも精度よく粒子濃度を検出することは困難になる。このように、発光素子3cの環境温度の変化、発光部3Lへの汚れの付着、発光部3Lの経時劣化等によって発光部3Lの発光特性が変化すると粒子濃度を精度よく検出することが困難になるおそれがある。
【0045】
そこで本実施形態における粒子濃度検出装置では、発光素子3cの発光量を知ることなく粒子濃度を検出することにより、発光部3Lや受光部3Rの特性が変化する場合であっても、粒子濃度を精度よく検出することができるようにしている。
【0046】
以下、本実施形態における粒子濃度検出装置によって行われる粒子濃度検出方法について、図5を併せ参照して説明する。
まず、発光部3Lの発光量を発光量IN1とし、第1の光路長L1において受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT1とすると、第1の光路長L1における光の透過率α1は次式(5)で表すことができる。
【0047】
α1=(OUT1/IN1)×100 …(5)
そして、第1の光路長L1よりも長い距離が設定された第2の光路長L2(L2>L1)において、受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT2とすると、第2の光路長L2における光の透過率α2は次式(6)で表すことができる。なお、第1の光路長L1で透過光量OUT1を検出した後、引き続き第2の光路長L2で透過光量OUT2を検出すれば、発光部3Lの環境温度がほぼ同一の状態で透過光量OUT1及び透過光量OUT2の検出を行うことができる。そのため、この場合には透過光量OUT1及び透過光量OUT2が検出されるときの発光量IN1もほぼ同一であると考えることができる。
【0048】
α2=(OUT2/IN1)×100 …(6)
そして、上記式(5)及び式(6)から次式(7)が得られる。
【0049】
α2/α1=OUT2/OUT1(=R) …(7)
この式(7)から分かるように、実際に測定することのできる透過光量OUT2と透過光量OUT1との比から、透過率α1と透過率α2との比(以下、式(7)から得られる値を透過比Rという)を求めることができる。
【0050】
ここで、粒子濃度RNが高くなるほど透過光量OUT1及び透過光量OUT2は減少するが、第2の光路長L2は第1の光路長L1よりも距離が長く設定されているため、透過光量OUT2は、この距離差に含まれる粒子量に相当する分だけ透過光量OUT1よりも多く減衰される。そのため、式(5)から求められる透過率α1の低下率と比較して、式(6)から求められる透過率α2の低下率はより大きくなる。従って、この低下率の差違及び式(7)から分かるように、粒子濃度が高くなるほど透過比Rは小さくなる傾向にあり、この透過比Rと粒子濃度RNとは相関関係にあることを本発明者は見出した。
【0051】
さらにこの透過比Rは透過光量OUT1及び透過光量OUT2から算出することができるため、発光量IN1の変化の影響を受けてその値が変化することがない。例えば発光量IN1が光量Cだけ低下した場合の透過光量OUT1及び透過光量OUT2は、それぞれ次式(8)、及び式(9)で表すことができる。
【0052】
OUT1={α1×(IN1−C)}/100 …(8)
OUT2={α2×(IN1−C)}/100 …(9)
そして、式(8)及び式(9)を上記式(7)に代入すると次式(10)が得られる。
【0053】
OUT2/OUT1=α2/α1(=透過比R) …(10)
これら式(8)〜式(10)に示されるように、発光量IN1が変化してもその変化分は透過光量OUT1及び透過光量OUT2に同様に反映されるため、同変化分は透過光量OUT1及び透過光量OUT2の比が算出される際に除外される。すなわち透過比Rは発光量IN1の変化の影響を受けないことがわかる。
【0054】
図6は、本実施形態の粒子濃度検出装置において、第1の光路長L1を0.2mm、第2の光路長L2を1mmに設定し、発光素子3c及び受光素子3gの環境温度を変化させたときの粒子濃度RNと透過比Rとの関係を例示している。この図6に示されるように、粒子濃度RNが高くなるほど透過比Rは小さくなり、粒子濃度RNの変化に対する透過比Rの変化度合いは低濃度領域で大きく、高濃度領域で小さくなる。また、粒子濃度RNに対する透過比Rの値は、環境温度が異なってもほぼ同じになることがわかる。
【0055】
また、図7は、第1の光路長L1を0.2mm、第2の光路長L2を0.5mmに設定した場合において、すなわち図6の実験態様と比較して、第2の光路長L2をより短く設定した場合において、発光素子3c及び受光素子3gの環境温度を変化させたときの粒子濃度RNと透過比Rとの関係を例示している。この図7に示されるように第1の光路長L1と第2の光路長L2との差を小さくすると、粒子濃度RNの変化に対する透過比Rの変化度合いは広い範囲の粒子濃度において安定する、換言すれば線形関係に近づいていく。従って、第1の光路長L1と第2の光路長L2との差を小さくするほど、粒子濃度の検出精度を広範囲にわたって均一化することができる。ただし、上記差を過度に小さくすると粒子濃度RNに依らず透過比Rは一定になってしまう。また、第1の光路長L1と第2の光路長L2との差は同じであっても、第1の光路長L1及び第2の光路長L2が過度に長く、或いは短く設定されている場合には、粒子濃度の検出精度を広範囲にわたって均一化することが困難になるおそれもある。従ってこれらの点を考慮しつつ、粒子濃度RNに対して透過比Rが十分に変化する範囲内で、粒子濃度RNと透過比Rとの関係を線形関係に近づけることのできる値を第1の光路長L1及び第2の光路長L2の値として設定するとよい。ちなみに本実施形態では上述した点を考慮しつつ、第1の光路長L1及び第2の光路長L2を0.2mm〜0.5mmの範囲内で設定すると、粒子濃度の検出精度を広範囲にわたって均一化することができる。
【0056】
次に本実施形態における粒子濃度検出処理について、図8を併せ参照して説明する。
図8は、本実施形態にかかる粒子濃度検出方法の態様について、その検出処理手順を示している。なお本実施形態においてこの粒子濃度検出処理は、上記制御装置8により所定時間毎に実行される。また、第1の光路長L1及び第2の光路長L2は、上述した点を考慮した最適な値が実験等を通じて設定されている。
【0057】
この処理が開始されると、まず、予め設定された第1の光路長L1に光路長Lは設定される(S100)。この第1の光路長L1の設定は、発光部3Lの位置が駆動機構3iを介して制御されることによってなされる。
【0058】
次に、第1の光路長L1の光について透過光量OUT1が検出される(S110)。
次に、予め設定された第2の光路長L2に光路長Lは設定される(S120)。この第2の光路長L2は第1の光路長L1よりも長い距離が設定されている。そして第2の光路長L2への設定も、発光部3Lの位置が駆動機構3iを介して制御されることによってなされる。
【0059】
次に、第2の光路長L2の光について透過光量OUT2が検出され(S130)、これら透過光量OUT1、及び透過光量OUT2を用いて粒子濃度RNが求められる(S140)。すなわち、上記式(7)を用いて透過比Rが算出され、この算出された透過比Rに基づき、上記ROM内に記憶された粒子濃度算出マップから粒子濃度RNが求められる。この粒子濃度算出マップは、透過比Rに対応する粒子濃度RNが種々設定されており、その設定態様は先の図6に示したような態様になっている。従って、透過比Rの値が増大するほどこのマップから求められる粒子濃度RNの値は小さくなる。こうして粒子濃度RNが求められると、本処理は終了される。
【0060】
この粒子濃度検出処理によって、発光素子3cの発光量IN1を知ることなく粒子濃度RNの検出を行うことができる。そのため、発光素子3cの温度特性が粒子濃度の検出に与える影響を抑えることができるようになる。
【0061】
また、受光素子3gの環境温度によってその出力特性が変化する場合であっても、上述した粒子濃度検出処理を行うことによって、受光素子3gの温度特性が粒子濃度の検出に与える影響を同時に抑えることができるようにもなる。すなわち、上記検出処理では受光素子3gの環境温度がほぼ同一になる状態で透過光量OUT1及び透過光量OUT2を検出するようにしている。そのため、透過光量OUT1及び透過光量OUT2に反映される受光素子3gの温度特性の影響もほぼ同じになる。そして上記検出処理では、透過光量OUT1と透過光量OUT2との比である透過比Rを求めるようにしており、この透過比Rの算出によって、透過光量OUT1及び透過光量OUT2に反映された受光素子3gの温度特性の影響分は除去される。例えば、受光素子3gの環境温度が変化することで、その出力がD%変化する場合には、透過光量OUT1は「(1−D/100)×OUT1」で表すことができ、透過光量OUT2は「(1−D/100)×OUT2」で表すことができる。そしてこれらを上記式(7)に代入すると、温度変化に起因する変化分である「(1−D/100)」が消去され、その結果、透過比Rは「OUT2/OUT1」で算出される。
【0062】
このように透過比Rは受光素子3gの温度特性の影響を受けない値であるため、上述した粒子濃度検出処理を行うことで受光素子3gの温度特性が粒子濃度の検出に与える影響を抑えることができるようになる。
【0063】
なお、本実施形態では発光素子3cの発光量が変化しても、その影響を受けることなく粒子濃度を精度よく検出することができる。そのため、発光部3Lへの汚れの付着、発光部3Lの経時劣化等によって発光素子の発光量IN1が変化する場合であってもこれらの影響を抑えることができ、粒子濃度を精度よく検出することができる。
【0064】
また、本実施形態では受光素子3gの出力特性が変化しても、その影響を受けることなく粒子濃度を精度よく検出することができる。そのため、受光部3Rへの汚れの付着、受光部3Rの経時劣化等によって透過光量OUT1や透過光量OUT2が変化する場合であってもこれらの影響を抑えることができ、粒子濃度を精度よく検出することができる。
【0065】
他方、上記検出処理の他に、制御装置8は以下の処理も行う。
すなわち、機関潤滑油の粒子濃度が高くなりその汚濁が進行している状態で内燃機関50の運転が継続されると、同内燃機関50に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、制御装置8は上記粒子濃度検出処理によって検出される潤滑油の粒子濃度RNに基づき、内燃機関50の運転についてその可不可を判断する判断処理を行う。
【0066】
この処理は次のような手順で行われる。まず、上記ROM内には内燃機関50で使用可能な潤滑油の許容濃度Kが記憶されている。そして、上記粒子濃度検出処理によって検出された粒子濃度RNが許容濃度K以下である場合には、内燃機関50の運転が可能である旨の判定がなされる。一方、粒子濃度RNが許容濃度Kを越えている場合には、内燃機関50の運転が不可である旨の判定がなされ、この判定がなされた場合には警報機構10を通じて警報が発せられる。この警報態様としては、例えば警報機構10にランプ等の発光体や警告音を発するスピーカ等を設けておき、同ランプを発光させたり、スピーカから警告音を発するようにしたりすればよい。
【0067】
この他にも、警報機構10に緑色、黄色、及び赤色のランプ等とスピーカとを設けておく。そして粒子濃度RNが許容濃度Kよりも十分に低い場合には緑色のランプを発光させ、粒子濃度RNが許容濃度Kに近づくと黄色のランプを発光させるとともに警報音を出し、粒子濃度RNが許容濃度Kを越えた場合には赤色のランプを発光させるとともにより大きな音量の警報音を出すようにしてもよい。また、赤色のランプが発光される場合には、黄色のランプが発光される場合と比較して、警報音の間隔を短くするようにしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果が得られるようになる。
(1)異なる光路長の光について測定された各透過光量の差違、より具体的には上記透過光量OUT1及び透過光量OUT2の比である上記透過比Rに基づいて粒子濃度の検出を行うようにしている。そのため、発光素子3cの発光量IN1を知ることなく粒子濃度の検出を行うことができる。従って、粒子濃度の検出に際して発光部3Lの特性変化(発光特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。また受光部3Rの特性変化(出力特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することもできるようになる。
【0069】
なお、発光量IN1を知ることなく粒子濃度の検出を行うことができるため、発光量の検出を行うためのセンサ等を設ける必要がない。また、温度補正による発光量の推定や間接的な発光量の検出等を行う必要もないため、発光量の推定精度に起因する粒子濃度の検出誤差も防止することができる。
【0070】
(2)駆動機構によって発光部3Lを移動させることにより、光路長Lを変更するようにしている。従って同一の発光素子3c及び受光素子3gを用いて異なる光路長における透過光量を測定することができ、各素子の個体差が粒子濃度の検出精度に与える影響を排除することができる。また、第1の光路長L1及び第2の光路長L2を任意に変更することができるため、更に好適な光路長への設定変更も容易に行うことができる。
【0071】
(3)上記特性変化の影響が抑えられた状態で検出される粒子濃度RNに基づいて内燃機関50の運転についてその可不可を判断するようにしている。そのため、発光素子3cや受光素子3gの特性変化に起因する誤判定を抑制することができる。また、上記警報機構10を備えているため、内燃機関50の運転について不可である旨の判断がなされたことを運転者等に確実に報知することができる。
【0072】
(4)検出機構3を内燃機関50の潤滑通路51に取り付けるようにしている。そのため、上述した従来の装置のように粒子濃度検出装置が大型化することもなく、容易に内燃機関50に取り付けることができ、ひいては同内燃機関50の運転中でも潤滑油の粒子濃度を検出することができる。
(第2の実施形態)
以下、この発明にかかる粒子濃度検出方法を具体化した第2の実施形態について、図9、図10に基づき説明する。
【0073】
上記第1の実施形態では、異なる光路長の光について測定された各透過光量の比に基づいて粒子濃度を求めるようにした。一方、本実施形態では、異なる光路長の光について測定された各透過光量の比、及び異なる光路長の比から検査対象液の透過率を求めて粒子濃度の検出を行うようにしている。そして、第1の光路長L1及び第2の光路長L2の設定態様、及び先の図8におけるS140での算出方法が異なる以外は、基本的に第1の実施形態と同様である。そこで、以下ではこれら相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0074】
まず、本実施形態にかかる粒子濃度検出方法について、図9を併せ参照して説明する。
まず、発光部3Lの発光量を発光量IN1とし、第1の光路長L1において受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT1とし、第1の光路長L1における光の透過率を透過率αとすると、第1の光路長L1における透過光量OUT1は次式(11)で表すことができる。
【0075】
OUT1=IN1×(α/100) …(11)
そして、第1の光路長L1に対してn倍の距離が設定された第2の光路長L2(L2=n×L1)において、受光部3Rで検出される透過光量を透過光量OUT2とすると、第2の光路長L2における透過光量OUT2は次式(12)で表すことができる。なお、第1の光路長L1で透過光量OUT1を検出した後、引き続き第2の光路長L2で透過光量OUT2を検出すれば、発光部3Lの環境温度がほぼ同一の状態で透過光量OUT1及び透過光量OUT2の検出を行うことができる。そのため、この場合には透過光量OUT1及び透過光量OUT2が検出されるときの発光量IN1もほぼ同一であると考えることができる。
【0076】
OUT2=IN1×(α/100)n …(12)
そして、上記式(11)及び式(12)から次式(13)が得られる。
【0077】
(α/100)n−1=OUT2/OUT1 …(13)
そして式(13)から次式(14)が得られる。
【0078】
α=(OUT2/OUT1)1/n−1×100 …(14)
この式(14)から分かるように、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比を1:nにした場合、この光路長の比及び透過光量OUT2と透過光量OUT1との比を用いて透過率αを求めることができる。そして、検査対象液の粒子濃度が高くなるほど同検査対象液の透過率は増大するといったように、粒子濃度と透過率とは相関関係にあるため、透過率を求めることで粒子濃度を求めることができる。
【0079】
ここで、本実施形態では第1の実施形態と同様に、透過光量OUT1及び透過光量OUT2を用いて粒子濃度と相関関係にある値、すなわち透過率を求めることができる。従って、式(14)から求められる透過率αも発光量IN1の変化の影響を受けることがない。すなわち、本実施形態における粒子濃度検出方法でも、粒子濃度の検出に際して発光素子3cの発光特性の変化が与える影響を抑えることができるようになり、粒子濃度を精度よく検出することができる。また、粒子濃度の検出に際して受光素子3gの出力特性の変化が与える影響を抑えることもできる。
【0080】
ちなみに、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比は任意に設定することができるが、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比を1:2に設定すると式(14)は次式(15)のようになり、透過率αを容易に算出することができる。
【0081】
α=(OUT2/OUT1)×100 …(15)
図10は、本実施形態の粒子濃度検出装置において、第1の光路長L1を0.5mm、第2の光路長L2を1mmに設定し、発光素子3c及び受光素子3gの環境温度を変化させたときの粒子濃度RNと透過率αとの関係を例示している。この図10に示されるように、粒子濃度RNが高くなるほど透過率αは小さくなるといった相関関係がある。そして、粒子濃度RNに対する透過率αの値は環境温度が異なってもほぼ同じになることがわかる。
【0082】
この本実施形態にかかる粒子濃度の検出方法では、先の図8で説明した粒子濃度検出処理が以下のように変更されている。
まず、S100の処理で行われる第1の光路長L1の設定、及びS120の処理で行われる第2の光路長L2の設定に際しては、第1の光路長L1と第2の光路長L2との比が1:2になるように設定されている。そしてS140での粒子濃度の算出に際しては、S110で検出された透過光量OUT1及びS130で検出された透過光量OUT2を用いて、上記式(15)から透過率αを算出される。そして、この算出された透過率αに基づき、上記ROM内に記憶された粒子濃度算出マップから粒子濃度RNを求める。この粒子濃度算出マップは、透過率αに対応する粒子濃度RNが種々設定されており、その設定態様は先の図10に示したような態様になっている。従って、透過率αの値が増大するほどこのマップから求められる粒子濃度RNの値は小さくなる。
【0083】
このように本実施形態によっても第1の実施形態と同様な作用効果が得られるようになり、粒子濃度の検出に際して発光部3Lの特性変化(発光特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することができるようになる。また受光部3Rの特性変化(出力特性の変化)による悪影響を抑えて粒子濃度を精度よく検出することもできるようになる。
【0084】
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記各実施形態において、第2の光路長L2における透過光量OUT2を検出した後に第1の光路長L1における透過光量OUT1を検出するようにしてもよい。
【0085】
・上記第1の実施形態において、透過比Rを次式(16)から求めるようにしてもよい。
R=OUT1/OUT2 …(16)
この場合にも第1の実施形態で説明した検出態様と同様な態様で粒子濃度を検出することができる。
【0086】
・上記各実施形態では光路長Lを2段階で変更させる場合について説明したが、光路長Lを3段階以上変更させてもよい。要するに異なる光路長で検出された透過光量を用いて上述したような態様で粒子濃度を検出するようにすればよい。
【0087】
・上記各実施形態では光路長Lを変更するために発光部3Lを移動させるようにしたが、発光部3Lを固定して受光部3Rを移動させるようにしてもよい。また、発光部3L及び受光部3Rをともに移動させるようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態では光路長Lを変更するために発光部3Lを移動させるようにしたが、発光部3L及び受光部3Rで構成される検出部を複数用い、それら各検出部における検出に際して発光部3Lから検査対象液に照射される光の光路長を異ならせるようにしてもよい。
【0089】
例えば、図11にその一例を示すように、検出機構3’のボディー3a’内に上記発光部3L及び受光部3Rから構成された検出部40a及び40bを配設する。そして、検出部40aの光路長が上述した第1の光路長L1になるように、発光部3L及び受光部3Rをボディー3a’に固定する。また、検出部40bの光路長が上述した第2の光路長L2になるように、発光部3L及び受光部3Rをボディー3a’に固定する。そして、上記制御装置8は粒子濃度RNの検出に際して、検出部40aで測定された透過光量OUT1、及び検出部40bで測定された透過光量OUT2に基づいて検査対象液の粒子濃度を検出するようにする。この場合には上記各実施形態と比較して発光部3Lの位置が変化しないため、光路長Lの変更に際しての位置ずれが生じず、光路長Lの精度を高く維持することができるようになる。従って、粒子濃度RNの検出に際してばらつきを抑制することができるようになる。
【0090】
・上記警報機構10から警報が発せられるとき、すなわち内燃機関50の運転について不可である旨の判断がなされたときには、内燃機関50の機関出力を徐々に低下させて最終的に機関運転を停止させることにより、内燃機関50の故障を確実に防止することもできる。
【0091】
・上記実施形態では内燃機関の潤滑油の粒子濃度を検出する装置に本発明を適用した場合について説明したが、他の液体の粒子濃度を検出する装置にも本発明は同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる粒子濃度検出装置の構成を示す概略図。
【図2】同実施形態における検出機構の構造を示す断面図。
【図3】潤滑油の透過率と光の波長との関係を示すグラフ。
【図4】潤滑油の粒子濃度と透過率との関係について、光の波長を種々変更した場合の態様を示すグラフ。
【図5】同実施形態における粒子濃度検出方法を説明するための概念図。
【図6】同実施形態において、発光素子及び受光素子の環境温度を変化させたときの粒子濃度と透過比との関係を示すグラフ。
【図7】同実施形態において、発光素子及び受光素子の環境温度を変化させたときの粒子濃度と透過比との関係を示すグラフ。
【図8】同実施形態による粒子濃度検出処理の手順を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態における粒子濃度検出方法を説明するための概念図。
【図10】同実施形態で算出される透過率について、発光素子及び受光素子の環境温度を変化させたときの粒子濃度との関係を示すグラフ。
【図11】上記実施形態の変形例における検出機構の構造を示す概念図。
【図12】発光素子の環境温度と発光量との関係を例示するグラフ。
【図13】発光素子の発光量検出態様について、その一例を示す概念図。
【符号の説明】
3、3’…検出機構、3a、3a’…ボディー、3b…流路、3c…発光素子、3d…発光部導光体、3e…レンズ、3g…受光素子、3h…受光部導光体、3i…駆動機構、3L…発光部、3R…受光部、8…制御装置、9…表示部、10…警報機構、40a、40b…検出部、50…内燃機関、51…潤滑通路、122…受光素子、130…反射板。
Claims (6)
- 発光部から液体に光を照射するとともに同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出し、この検出された透過光量に基づいて前記液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、
異なる光路長の光について前記透過光量を測定し、この測定される透過光量の差違に基づいて前記液体の粒子濃度を検出する
ことを特徴とする粒子濃度検出方法。 - 異なる光路長の光について測定された各透過光量の比に基づいて前記液体の粒子濃度を検出する
請求項1に記載に粒子濃度検出方法。 - 発光部から液体に光を照射するとともに同液体を透過する透過光の光量を受光部で検出し、この検出された透過光量に基づいて前記液体に混入した粒子の濃度を検出する粒子濃度検出方法において、
異なる光路長の光について前記透過光量を測定し、この測定される各透過光量の比及び各光路長の比から求められる透過率に基づいて前記液体の粒子濃度を検出する
ことを特徴とする粒子濃度検出方法。 - 前記異なる光路長の光として少なくとも2種類の光を用い、それら光路長の比が1:2に設定される
請求項3に記載の粒子濃度検出方法。 - 駆動機構によって前記発光部または受光部のうちの少なくとも一方を他方に向けて往復移動させて光路長を変更する
請求項1〜4のいずれかに記載の粒子濃度検出方法。 - 前記発光部及び受光部で構成される検出部を複数用い、それら各検出部における検出に際して発光部から液体に照射される光の光路長が異なる
請求項1〜4のいずれかに記載の粒子濃度検出方法。
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