JP2004340059A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
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Abstract

【課題】空燃比の高い制御精度を確保してCNGエンジンの排気ガス性能を向上する。
【解決手段】圧縮天然ガスを燃料とすると共に、排気系に触媒装置12を備えるエンジンの空燃比制御装置において、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段16,17と、運転状態に応じて目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段15と、排気系の触媒装置12の上流側に設置された、広域空燃比センサ13とCNG用酸素センサ14と、広域空燃比センサ13およびCNG用酸素センサ14の出力に応じてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比制御手段15とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧縮天然ガス(CNG)を燃料とするエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気系に配置した触媒装置(三元触媒)の上流側および下流側に空燃比センサを設け、これらの空燃比センサの出力に応じてエンジンに供給される混合気の空燃比をフィードバック制御することにより、排気ガス性能の向上を図るようにしたものがある(特許文献1)。
【0003】
一方、CNGを燃料とするトラック車両等のエンジンにおいて、排気ガス中の酸素濃度を検出するセンサに、水素ならびにメタンを多く含有する排気ガスにあって酸素濃度の検出性能を高めるように水素ならびにメタンの耐性を高めたCNG用酸素センサがある(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−332896
【特許文献2】
特開平11−160273号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の各センサは、目標空燃比(理論空燃比)を境界にオン、オフつまり出力が急変する酸素センサであり、そのため空燃比を触媒装置(三元触媒)の狭いウィンドウ内に収めるようにフィードバック制御する精度はそれほど高くはない。
【0006】
酸素センサには、排気ガス中の酸素濃度に比例した出力を発生する広域空燃比センサがあるが、水素ならびにメタンを多く含有する場合には検出にズレを生じる。
【0007】
したがって、CNGエンジンにあって、精度の良い空燃比制御を得にくく、排気ガス性能をそれほど向上できなかった。
【0008】
CNG車両は、もともと排気ガス性能が良いが、排気ガス性能の一段の向上が望まれている。
【0009】
この発明は、このような課題に注目してなされたものであり、CNG用酸素センサと広域空燃比センサとを併用して、空燃比の高い制御精度を確保してCNGエンジンの排気ガス性能の向上を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、圧縮天然ガスを燃料とすると共に、排気系に触媒装置を備えるエンジンの空燃比制御装置において、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、運転状態に応じて目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段と、排気系の触媒装置の上流側に設置され、排気ガス中の酸素濃度に比例した出力を発生する広域空燃比センサと、同じく排気系の触媒装置の上流側に設置され、排気ガス中の酸素濃度に対して出力の急変点を持つ、水素ならびにメタンの耐性を高めたCNG用酸素センサと、広域空燃比センサおよびCNG用酸素センサの出力に応じてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比制御手段とを備える。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記空燃比制御手段は、広域空燃比センサの出力に応じてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、CNG用酸素センサの出力に応じて目標空燃比を補正制御する目標空燃比補正制御手段とを備える。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記目標空燃比補正制御手段は、CNG用酸素センサの出力がリーン基準値よりも低い状態を所定時間継続した場合、エンジンに供給される混合気の空燃比が触媒装置のウィンドウ内にないリーンと判定して目標空燃比を漸減補正する一方、CNG用酸素センサの出力がリッチ基準値よりも高い状態を所定時間継続した場合、エンジンに供給される混合気の空燃比が触媒装置のウィンドウ内にないリッチと判定して目標空燃比を漸増補正する。
【0013】
【発明の効果】
第1〜第3の発明においては、精密な空燃比フィードバック制御が可能な広域空燃比センサの使用に対して、CNGエンジンに特有の空燃比のズレを抑えて、空燃比を制御でき、CNG用酸素センサの出力によって目標空燃比を補正することで、空燃比制御の高い精度を確保して、触媒装置の狭いウィンドウ内に実空燃比を制御することができ、CNGエンジンの排気ガス性能を大幅に向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態のシステム構成図を示す。
【0015】
図1において、1は圧縮天然ガス(CNG)を燃料とするエンジンであり、エンジン1の吸気通路2には、図示しないアクセルペダルに連動して、供給混合気量、空気量を制御するスロットル弁3が設けられる。
【0016】
スロットル弁3の上流には、CNGの噴射装置4の噴射ノズル5が配設される。噴射装置4には、図示しないガスボンベから所定圧のCNGが導かれ、噴射装置4の開弁制御に対応した量のCNGが噴射ノズル5から噴射される。
【0017】
スロットル弁3をバイパスするバイパス通路6には、アイドル制御弁7が配置される。
【0018】
エンジン1の燃焼室8には、混合気に点火する点火栓10が設けられる。
【0019】
エンジン1の排気通路11には、触媒装置(三元触媒)12が配設され、触媒装置12の上流には、排気ガス中の酸素濃度に比例した出力を発生する広域空燃比センサ13と、排気ガス中の酸素濃度に対して出力の急変点を持つ、水素ならびにメタンの耐性を高め、検出性能を高めたCNG用酸素センサ14とが設置される。
【0020】
噴射装置4等を制御するエンジンコントロールユニット15が備えられ、エンジンコントロールユニット15には、エンジン1の運転状態を検出する手段として、エンジン回転速度、クランク角度を検出するクランク角センサ16、スロットル弁3下流の吸気管圧力(エンジン負荷)を検出する吸気管圧力センサ17、および広域空燃比センサ13、CNG用酸素センサ14等からの信号が入力される。
【0021】
エンジンコントロールユニット15は、クランク角センサ16からのエンジン回転速度信号と吸気管圧力センサ17からの吸気管圧力信号と広域空燃比センサ13からの信号とCNG用酸素センサ14からの信号とに基づいて、目標空燃比(目標λ)を設定、補正する目標空燃比補正制御手段30と、噴射装置4の噴射ノズル5からのCNGの基本噴射量を演算する基本燃料噴射量制御手段31と、エンジン1に供給する混合気の空燃比が目標λになるように、基本噴射量をフィードバック補正つまり噴射装置4の噴射ノズル5からのCNGの噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段32等から構成される。
【0022】
次に、エンジンコントロールユニット15による空燃比制御を説明する。
【0023】
図2は目標空燃比(目標λ)の補正制御を表しており、S1においては、所定時間TOSTAFD(秒)におけるエンジン1の回転変化量ΔNが規定値NOFSTAFD内かを見る。
【0024】
S2においては、同じく所定時間TOSTAFD(秒)における吸気管圧力変化量ΔPが規定値PBOFSTAFD内かを見る。
【0025】
S3においては、広域空燃比センサ13の出力が規定範囲内(MNSTOAFNOW<、<MXSTOAFNOW)かを見る。
【0026】
S4においては、広域空燃比センサ13の出力に基づく目標λへの空燃比フィードバック制御に入って、所定時間TSTORMD(秒)が経過したかを見る。
【0027】
エンジン1の回転、負荷の変化が規定内、広域空燃比センサ13の出力が規定範囲内、かつ、広域空燃比センサ13の出力に基づく空燃比フィードバック制御に入って所定時間TSTORMD(秒)が経過した場合、S5、S6に進み、CNG用酸素センサ14の出力を見る。
【0028】
CNG用酸素センサ14の出力(電圧)が所定のリーン基準電圧O2THLNよりも低い状態を所定時間TO2THLN継続した場合、S5からS7に進む。
【0029】
CNG用酸素センサ14の出力(電圧)が所定のリッチ基準電圧O2THRCよりも高い状態を所定時間TO2THRC継続した場合、S6からS8に進む。
【0030】
S7においては、エンジン1への供給混合気の空燃比が触媒装置12のウィンドウ(酸化、還元を行える範囲)内にないリーンと判定して、目標λを減少補正する。
【0031】
この場合、目標λに対して、実行周期DTOFSTAFL(秒)毎に、オフセット値OFSETAFLの所定分(例えば、1/100)を減算補正していく。
【0032】
S8においては、エンジン1への供給混合気の空燃比が触媒装置12のウィンドウ(酸化、還元を行える範囲)内にないリッチと判定して、目標λを増加補正する。
【0033】
この場合、目標λに対して、実行周期DTOFSTAFR(秒)毎に、オフセット値OFSETAFRの所定分(例えば、1/100)を加算補正していく。
【0034】
これらの目標λの補正のタイミングチャートを図3に示す。
【0035】
空燃比フィードバック制御は、目標λと広域空燃比センサ13の出力との差異に応じて、噴射装置4の噴射ノズル5からのCNGの噴射量を比例制御、積分制御する。空燃比の制御幅は、目標λを中心とした所定幅に設定している。
【0036】
したがって、空燃比フィードバック制御領域に入って、広域空燃比センサ13の出力に基づく目標λへの空燃比フィードバック制御中に、CNG用酸素センサ14の出力によってエンジン1への供給混合気の空燃比が触媒装置12のウィンドウ内にないリーンと判定されると、目標λが減少つまりリッチ方向に補正され、このリッチ方向への補正によって、広域空燃比センサ13の出力による空燃比フィードバック制御において、噴射装置4の噴射ノズル5からのCNGの噴射量が増加補正され、エンジン1への供給混合気の空燃比がリッチ方向に補正される。
【0037】
また、広域空燃比センサ13の出力に基づく目標λへの空燃比フィードバック制御中に、CNG用酸素センサ14の出力によってエンジン1への供給混合気の空燃比が触媒装置12のウィンドウ内にないリッチと判定されると、目標λが増加つまりリーン方向に補正され、このリーン方向への補正によって、広域空燃比センサ13の出力による空燃比フィードバック制御において、噴射装置4の噴射ノズル5からのCNGの噴射量が減少補正され、エンジン1への供給混合気の空燃比がリーン方向に補正される。
【0038】
すなわち、精密な空燃比フィードバック制御が可能な広域空燃比センサ13の使用に対して、CNGエンジンに特有の空燃比のズレを抑えることが可能となり、触媒装置12の狭いウィンドウ内に実空燃比を制御することができ、特に、CNG用酸素センサ14の出力によって目標λを補正することで、空燃比制御の高い精度を確保することができ、この結果CNGエンジンの排気ガス性能を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表すシステム構成図である。
【図2】目標空燃比の補正制御のフローチャートである。
【図3】目標空燃比の補正制御のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
3 スロットル弁
4 噴射装置
11 排気通路
12 触媒装置
13 広域空燃比センサ
14 CNG用酸素センサ
15 エンジンコントロールユニット
16 クランク角センサ
17 吸気管圧力センサ
30 目標空燃比補正制御手段
31 基本燃料噴射量制御手段
32 空燃比フィードバック制御手段

Claims (3)

  1. 圧縮天然ガスを燃料とすると共に、排気系に触媒装置を備えるエンジンの空燃比制御装置において、
    エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    運転状態に応じて目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段と、
    排気系の触媒装置の上流側に設置され、排気ガス中の酸素濃度に比例した出力を発生する広域空燃比センサと、
    同じく排気系の触媒装置の上流側に設置され、排気ガス中の酸素濃度に対して出力の急変点を持つ、水素ならびにメタンの耐性を高めたCNG用酸素センサと、
    広域空燃比センサおよびCNG用酸素センサの出力に応じてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比制御手段とを備えたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 前記空燃比制御手段は、
    広域空燃比センサの出力に応じてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
    CNG用酸素センサの出力に応じて目標空燃比を補正制御する目標空燃比補正制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  3. 前記目標空燃比補正制御手段は、CNG用酸素センサの出力がリーン基準値よりも低い状態を所定時間継続した場合、エンジンに供給される混合気の空燃比が触媒装置のウィンドウ内にないリーンと判定して目標空燃比を漸減補正する一方、CNG用酸素センサの出力がリッチ基準値よりも高い状態を所定時間継続した場合、エンジンに供給される混合気の空燃比が触媒装置のウィンドウ内にないリッチと判定して目標空燃比を漸増補正することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの空燃比制御装置。
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