JP2004339076A - ブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物および脂環式ポリイソシアネート化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】無黄変で且つ毒性のない、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料として有用なポリイソシアネート化合物を提供する。
【解決手段】一分子中に芳香環を2個以上有し且つ数平均分子量が280以上である芳香族ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が活性水素含有化合物によりブロック化され、該ブロック化物の芳香環の80%以上が水素化されてなるブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物。
【選択図】 なし
【解決手段】一分子中に芳香環を2個以上有し且つ数平均分子量が280以上である芳香族ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が活性水素含有化合物によりブロック化され、該ブロック化物の芳香環の80%以上が水素化されてなるブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物および脂環式ポリイソシアネート化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソシアネート化合物は、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料モノマーとして広く用いられている。その中でも脂肪族イソシアネートは無黄変性イソシアネートとして有用である。
脂肪族イソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート(以降HDIと略記)やイソホロンジイソシアネート(以降IPDIと略記)のような、もともと主鎖が脂肪族であるものに加えて、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以降HMDIと略記)のような、対応する芳香族アミン化合物であるジフェニルメタンジアミン(以降MDAと略記)のベンゼン環を水素化(核水素化)することにより誘導されるものがある。
【0003】
芳香族ポリイソシアネート化合物の水素化方法として、N−アリールカーバメートの芳香環を、水素及びVIII族遷移金属水素化触媒を用い接触水素化する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら特許文献1に記載の方法では、水添率が十分でなかった。
また、トリレンジイソシアネート(以降TDIと略記)やジフェニルメタンジイソシアネート(以降MDIと略記)等の芳香族イソシアネート類をカプロラクタム類でブロックし、ロジウム触媒を用いて芳香環を接触水素化する方法が開示されている(特許文献2参照)。しかしながらこの方法では水添率が60〜70%と低いものであった。
【0004】
さらに、アニリンを酸触媒の存在下ホルムアルデヒドと反応させ、得られるポリアミン混合物を、金属触媒存在下に水素化することからなる工程により緩和に還元し、その後ポリイソシアネートとすることにより、ブロック化を経由せずに脂肪族ポリイソシアネート化合物を製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法によっても上記と同様、水添率は非常に低いものであった。
【0005】
一方、上記の文献において記載されているイソシアネートモノマーは蒸気圧が低く、毒性があるため、イソシアネートモノマーをオリゴマー変性したポリイソシアネート誘導体も使用されている。
該変性ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(別名;ポリメリックMDI、以降PMDIと略記)、HDI−トリメチロールプロパン付加体、HDI3量体、IPDI−トリメチロールプロパン付加体、IPDI3量体、HMDI−トリメチロールプロパン付加体、HMDI3量体等が知られているのみであった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−33653号公報
【特許文献2】
特開昭56−16455号公報
【特許文献3】
特開平5−320296号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無黄変で且つ毒性の無い、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料として有用な新規なイソシアネート化合物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記PMDI、TDI−トリメチロールプロパン付加物等の多環芳香族ポリイソシアネート化合物の芳香環が十分に水素化され、無黄変で毒性の無い新規なイソシアネート化合物を効率よく得ることができ本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明の第1の要旨は、一分子中に芳香環を2個以上有し且つ数平均分子量が280以上である芳香族ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が活性水素含有化合物によりブロック化され、該ブロック化物の芳香環の80%以上が水素化されてなるブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物、に存する。
本発明の第2の要旨は、上記ブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物を脱ブロック化してなる脂環式ポリイソシアネート化合物、に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
<芳香族ポリイソシアネート化合物>
一分子中に芳香環を2個以上有し且つ数平均分子量が280以上である芳香族ポリイソシアネート化合物とは、例えば、(1)芳香族イソシアネート化合物がオリゴマー化してなる芳香族ポリメリックイソシアネート化合物、(2)芳香族イソシアネート化合物の3量化によりイソシアヌレート環が導入(イソシアヌレート化反応)されてなる芳香族ポリイソシアヌレート化合物、(3)芳香族イソシアネート化合物と多官能活性水素化合物との反応により得られるイソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物、(4)芳香族イソシアネート化合物と水または短鎖ジアミンとの反応により得られるイソシアネート基末端芳香族ポリウレアポリイソシアネート化合物、(5)芳香族トリイソシアネート、が挙げられる。
【0011】
芳香族ポリイソシアネート化合物に含有される芳香環の数は、下限が2個以上、好ましくは3個以上であり、上限が通常、20個以下、好ましくは、15個以下、さらに好ましくは10個以下である。また、数平均分子量の下限は、通常280以上、好ましくは、350以上、さらに好ましくは、500以上であり、上限は、通常10000以下、好ましくは3000以下、さらに好ましくは1500以下である。この分子量が大きすぎると、架橋分子量が長くなり塗膜強度が落ちたり、粘度が高くなりすぎ作業性が低下したり、ポリオールなどとの相溶性が低下しこれらと混合した時に分離,沈殿するなど、実用上問題となる場合がある。
【0012】
(1)芳香族ポリメリックイソシアネート化合物
芳香族ポリメリックイソシアネート化合物とは、芳香族イソシアネート化合物がオリゴマー化した構造を有するものである。芳香族イソシアネート化合物とは、2,4−TDI、2,6−TDI、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、4,4′−MDI、2,4′−MDI、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、MDIのカルボジイミド変性体及びウレトンイミン変性体等が挙げられる。
【0013】
本発明において、芳香族ポリメリックイソシアネート化合物とは、通常、芳香環を、下限が2個以上、上限が通常、20個以下、好ましくは、15個以下、さらに好ましくは10個以下有するものである。
中でも、MDIをオリゴマー化した構造を有するPMDI、TDIをオリゴマー化した構造を有するポリメリックTDI(別名クルードTDIともいう)が好ましく、特にPMDIが好ましい。
【0014】
このPMDIは、アニリンとホルムアルデヒドの縮合を行い、その後ホスゲンによりイソシアネート基とする際に、ジフェニルメタンジイソシアネートとともに、下記式(1)で表される構造を有するオリゴマー(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)が生成する。
【0015】
【化2】
【0016】
式(1)中、nは1以上であり、上限が、通常、13以下、好ましくは、8以下、最も好ましくは、5以下の整数である。この数が大きすぎると増粘したり固化したりする傾向がある。本発明において、PMDIは、この混合物全量中、上記nの値が1〜5のものが通常、15モル%以上、好ましくは、35モル%以上、であることが好ましい。また、n=0のMDIを混合物全量中、通常、85モル%以下、好ましくは、65モル%以下の割合で含有されていても良い。
【0017】
また、本発明における“ポリメリック”とは、上記[ ]で表される単位が直列に結合している場合、また、分岐して結合している場合の何れの場合も対象とする。この生成物は通常淡黄色ないし黒褐色の粘調な液体であり、また、結合位置は、オルト、メタ、パラの混合物となる。
(2)芳香族ポリイソシアヌレート化合物
芳香族ポリイソシアヌレート化合物の製造に用いられる芳香族イソシアネート化合物とは、上記と同様のものが用いられる。中でも2,4−TDI,1,4−キシリレンジイソシアネート,p−フェニレンジイソシアネート,4,4’−MDIなどが好ましい。
【0018】
これらの3量化する方法は、従来公知の製造方法により製造することが可能であり、通常、有機ジイソシアネートをイソシアヌレート化触媒の存在下で反応させることにより行われる。イソシアヌレート化触媒としては従来公知のものが使用可能であり、具体例としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチルフェノール)、トリエチルアミン、N,N’,N’’−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン等の3級アミン類、テトラエチルアンモニウム等の第4級アルキルアンモニウムのハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム塩類、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等のカルボン酸の金属塩類などが挙げられる。中でも、N,N’,N’’トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン等の第3級アミン類、酢酸ナトリウム等のカルボン酸金属塩類が好ましい。
【0019】
イソシアヌレート触媒の濃度は、使用する触媒および反応温度により異なるが、通常ポリイソシアネート化合物に対して0.01重量%以上10重量%以下の範囲から選択される。
上記触媒の他に助触媒として、メタノール等の脂肪族アルコール類等をポリイソシアネートに対して通常0.05重量%以上10重量%以下の範囲で併用することが好ましい。
【0020】
イソシアヌレート化の反応温度は通常0℃以上であり、上限は通常200℃以下、好ましくは100℃以下の範囲から選ばれる。
イソシアヌレート化反応には溶剤を用いても用いなくても良い。使用される溶剤としてはポリウレタン製造に常用の不活性溶剤、たとえばトルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤を1種または2種以上使用することができる。そして所定のNCO含有量あるいはイソシアヌレート化率に達した時点で、使用した触媒の種類に適した重合停止剤で反応を停止する。この反応停止剤としては塩酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。反応停止剤の添加量は添加触媒量と当量から2倍量の範囲が好ましい。また、未反応の芳香族イソシアネート化合物が多量に残存し使用上悪影響を及ぼす場合には、薄膜蒸留等を用いてこれを除去することも可能である。
【0021】
(3)イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物
イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物とは、芳香族イソシアネート化合物と多官能活性水素化合物との反応により得られるものである。芳香族イソシアネート化合物は、前記と同様のものが用いられる。
多官能活性水素化合物としては、代表的には多官能ヒドロキシ化合物が挙げられる。具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−ヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。
【0022】
また、これらが高分子量化したポリオール、例えば、ジプロピレングリコール,グリセリン,ビスフエノールA等とエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとの付加物であるポリエーテルポリオール、アジピン酸,テレフタル酸等の有機ジカルボン酸等と1,4−ブタンジオール等のグリコール類とのエステル化反応により得られるポリエステルポリオール、前記ポリエーテルポリオール類と前記有機ジカルボン酸等とのエステル化反応により得られるポリエーテルエステルポリオール、1,6−ヘキサンジオール等の短鎖ジオール類とジメチルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールや、メチルメタアクリレート等のアクリル酸誘導化合物やスチレン等と2−ヒドロキシエチルメタアクリレートなどの水酸基を有するアクリル酸誘導化合物が共重合して得られるポリアクリルポリオール等のポリオール類も同様に挙げられる。これら多官能活性水素化合物としてのポリオール成分の最適分子量は数平均分子量で35〜5000程度である。この分子量が大きすぎると架橋密度が下がり、塗膜強度が落ちることがある。反応条件は、後述のブロック化反応と同様である。また、未反応の芳香族イソシアネート化合物が多量に残存し使用上悪影響を及ぼす場合には、薄膜蒸留等を用いてこれを除去することも可能である。
【0023】
(4)イソシアネート基末端芳香族ポリウレアポリイソシアネート化合物
イソシアネート基末端芳香族ポリウレアポリイソシアネート化合物とは、芳香族イソシアネート化合物と水またはエチレンジアミン等の短鎖ジアミンとの反応により得られるものである。通常、芳香族イソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対して水または短鎖ジアミンを0.1〜0.5当量加えて反応させる。反応条件は、後述のブロック化反応と同様である。
【0024】
(5)芳香族トリイソシアネート化合物
芳香族トリイソシアネート化合物としては、トリフェニルメタントリイソシアネート,トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートなどの化合物が挙げられる。
上記の(1)〜(5)の中でも、(1)芳香族ポリメリックイソシアネート化合物、(2)芳香族ポリイソシアヌレート化合物、(3)イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物及び(5)芳香族トリイソシアネート化合物が好ましく、(1)芳香族ポリメリックイソシアネート化合物、及び(3)イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0025】
<活性水素含有化合物>
本発明において、イソシアネート基をブロック化するために用いる活性水素含有化合物(以下、ブロック化剤という)としては、イソシアネート基に付加し、加熱により容易に脱離し(脱ブロック化)イソシアネートが再生するものであるか、または脱ブロック化をしなくてもエステル交換により容易にポリウレタン化反応が進行するものであれば何でも使用できる。
【0026】
また、後の核水素化反応において、ブロック化剤の部分及びブロック化剤と芳香族ポリイソシアネートの間のウレタン結合が水添または還元等の変化を受けないものが望ましいが、変化を受けても後段の熱解離による脱ブロック化が可能であるものであれば使用できる。
このようなブロック化剤としてはホルムアミドオキシム、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノール、ο−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、チモール、p−ナフトール、p−ニトロフェノール、p−クロロフェノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセルソルブ、メチレンカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセルソルブ、フルフリルアルコール等のアルコール類、ε−カプロラクタム、アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミド、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド類が挙げられる。
【0027】
更に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等のエステル類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等のジケトン類、ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド類、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン類、エチレンイミン、プロピレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン類、フェニルカルバミン酸フェニル、2−オキサゾリジン等のカルバメート系、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩系等のブロック剤も挙げることができる。これらの中で、酸アミド類、ジケトン類、エステル類、アルコール類及びカルバメート類が好ましく、中でも酸アミド類、その中でラクタム類が特に好ましく、具体的にはγ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタムが特に好適に用いられる。
【0028】
<ブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物の製造方法>
ブロック化反応は、従来公知の方法(例えば特開昭56−16455号)により容易に上述の芳香族ポリイソシアネート化合物とブロック化剤とから製造することが可能である。
用いる溶媒としては芳香族ポリイソシアネート化合物及びブロック化剤を溶解し、かつポリイソシアネート及び、ブロック化剤と反応しない物であれば使用できる。この様な溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が用いられるが、炭化水素溶媒が好ましく、その中でもトルエンが好適に用いられる。ブロック化剤が反応温度で液体であれば、ブロック化剤を溶媒と兼ねても良い。
【0029】
溶媒の使用量はブロック化剤と所定の芳香族ポリイソシアネート化合物合計の濃度が下限が通常、1重量%以上、好ましくは4重量%以上であり、上限が100重量%、好ましくは80重量%である。
また芳香族ポリイソシアネート化合物は水と反応するため、ブロック化反応系中の含水量が、ポリイソシアネート中の水と反応したイソシアネート基が全イソシアネート基の通常6%以下、好ましくは4%以下、更に好ましくは2%以下となるような水の存在下でブロック化反応を実施する。
【0030】
ブロック化剤の添加量は活性イソシアネート基1当量に対して、下限が、通常1当量以上、好ましくは1.05当量以上であり、上限が通常、2当量以下、好ましくは1.5当量以下である。この量が少なすぎると、活性イソシアネート基が残存し、また多すぎるとと未反応のブロック化剤が多量に残存し、悪影響を及ぼす可能性がある。
【0031】
ブロック化の反応温度としては、下限が通常、25℃以上であり、上限が通常200℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは100℃以下で実施される。
反応時間は、その生産性から、24時間以内、好ましくは12時間以内、更に好ましくは6時間以内で目的のブロック化率になるような反応条件で反応を実施する。
【0032】
また反応触媒は特に必要としないが、場合によってはジブチルスズジラウレートやジブチルチンジオクトエート等の有機錫系触媒、オクタン酸鉛等の有機鉛系触媒、あるいはトリエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン系化合物のウレタン化触媒を使用することも効果的である。
【0033】
反応圧力は、減圧、常圧、加圧、のどの条件でも実施しできるが、その操作性から、常圧〜1MPa未満、更に好ましくは0.5MPa以下で実施される。
この様にして得られたブロック化芳香族ポリイソシアネート中に含まれる未反応のイソシアネートの量は全イソシアネートの通常、3モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下になるようにする。
【0034】
しかし、用いる芳香族ポリイソシアネート化合物やブロック化剤によってはブロック化が不十分になることがあるが、ブロック化しなかったイソシアネート基はその後の水素化反応を阻害するため未反応のイソシアネート基が多い場合は、さらにブロック化反応を実施し、2段階でブロック化を実施する。
2段階目のブロック化工程において用いられるブロック化剤はアミン類、アルコール類、及び水から選ばれる少なくとも1種である。つまり、活性水素を有する化合物であって、1段目に使用したブロック剤に比較してpKaが大きく、サイズ的にイソシアネートとの反応性が十分高いブロック剤を使用する。このようなブロック剤としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜20のアルコール類、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ(n−ブチル)アミン、ジ(イソプロピル)アミン、アニリン、ピペリジンなどのアミン類、水などが挙げられる。これらは単独で使用しても混合して用いても良い。中でもアルコール、水が用いられ、炭素数5以下の脂肪族アルコール、水が特に好ましい。
【0035】
2段階目において用いられるブロック化剤の量は、残存イソシアネート基に対して少なくとも当量以上、好ましくは、10当量以上であり、上限として好ましくは10000当量以下で実施される。反応溶媒としては、原料のブロック化芳香族イソシアネートを溶解しうる溶媒が用いられるが、ブロック化剤を溶媒と兼ねて使用することもできる。好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、ジクロロメタン、クロロホルムなどの有機ハロゲン溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル溶剤であり、原料重量の通常、下限が1倍以上、好ましくは1.2倍以上であり、上限が100倍以下、好ましくは20倍量以下使用する。
【0036】
2段階目のブロック化反応の温度は、通常下限が20以上、好ましくは40℃以上であり、上限が通常、150℃以下、好ましくは90℃以下で行われる。ブロック化時間は、通常、下限が0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、上限が通常、10時間以下、好ましくは3時間以下であり、反応物を通常の赤外分光分析により分析し、2280cm−1付近に現れる残存イソシアネート基の吸収が見られなくなるまで行う。
【0037】
処理後のブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物は、ろ過、再結晶、溶媒除去などの公知方法により回収することができる。また、後段の水素化反応で使用できる溶媒を用いる場合には、ブロック化芳香族イソシアネートを分離回収することなく混合物のまま次の水素化反応に供することができる。
以上の二段階のブロック化方法は、第1工程終了後の反応物を分離した後、第2工程のブロック化を行っても良いし、第1工程終了後に生成物を単離することなく同一の反応器内で連続して実施することも可能である。
【0038】
この2段階のブロック化を行うことにより、残存イソシアネート基が低減し、後の核水素化を効率的に行うことができる。
上記のようにして得られるブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物は、数平均分子量が下限が通常、350以上、好ましくは500以上、上限が通常、12000以下、好ましくは4000以下である。数平均分子量が大きすぎると架橋分子量が長くなり塗膜強度が落ちたり、粘度が高くなりすぎ作業性が低下することがある。
【0039】
<ブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物の製造方法>
ブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物の芳香環の核水素化反応は、通常、周期表8〜10族金属触媒存在下実施される。8〜10族金属の中でもRh、Ruが好適に用いられる。触媒は金属単独で用いても良いが担体に担持させた担持型触媒として用いるのが好ましい。担体としては、活性炭、アルミナ、シリカ、ジルコニア、グラファイト、チタニア、ケイソウ土等通常担体として用いられている物なら使用できるが、中でも活性炭が好ましい。金属の担持量は下限が通常、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、上限が通常、20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。触媒の使用量は反応形式により大きく異なるが、反応基質/触媒の重量比で下限が通常0.01以上、好ましくは0.02以上、上限が通常200以下、好ましくは100以下である。
【0040】
本反応では酸の存在下で実施することで、更に反応活性が上がると共に、触媒の再反応での活性の維持が達成される。水素化反応時に添加される酸性化合物は、水溶液中で酸性を示す物質であれば何でも良く、水溶液中で示す酸解離指数(pKa)が5以下であるものがより好ましい。酸性化合物を2種類以上組み合わせて同時に使用することもできる。酸性化合物が液体の場合にはこれを溶媒として使用することも可能である。酸性化合物を例示すると、硫酸、ピロ硫酸、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、りん酸、ピロりん酸、過塩素酸、タングステン酸、ヘテロポリ酸などの無機酸類、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、オクタン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸、ニコチン酸、バルビツール酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸類、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウムなどの酸性塩類、ゼオライト類の固体酸類やナフィオンの如きイオン交換樹脂類が挙げられる。この中で、硫酸、ピロ硫酸、塩化水素酸、臭化水素酸、りん酸、ピロりん酸、過塩素酸、タングステン酸、ヘテロポリ酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、マロン酸、クエン酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化アンモニウムが好ましく、さらに好ましくは、硫酸、ピロ硫酸、塩化水素酸、りん酸、ピロりん酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化アンモニウムである。
【0041】
酸性化合物の添加量は、水素化反応速度、選択率に対して用いる酸のpKaにより最適値が大きく異なるが、使用する触媒金属に対して下限が通常0.001当量以上、好ましくは0.01当量以上、上限が通常10000当量以下、好ましくは1000当量以下である。
水素化反応は上記触媒存在下、液相中で実施される。用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、n−ヘキサノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルセロソルブなどのセロソルブ類、酢酸エチル、炭酸ジメチルなどの有機酸エステル類、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸類などがありこれらを単独で又は複数の溶媒を混ぜて使用することができる。この中でもイソプロピルアルコール、メタノールが好適に用いられる。
【0042】
核水素化反応温度は、高すぎるとブロックがはずれ触媒活性を低下させるため、下限が通常、40℃以上、上限が通常170℃以下、好ましくは50℃以上150℃以下、更に好ましくは60℃以上130℃以下で実施される。反応圧力は下限が通常、1MPa以上、好ましくは2MPa以上、上限が通常25MPa以下、好ましくは20MPa以下、更に好ましくは15MPa以下で実施される。
【0043】
核水素化反応時間は特に制限は無いが、その生産性から、10時間以内、好ましくは7時間以内、更に好ましくは5時間以内で実施する。反応は連続反応、回分反応のいずれでも良く、また反応形式としては液相懸濁反応、固定床流通反応のいずれも採用することができる。
反応終了後は、濾過操作により触媒を分離し、溶媒を蒸留等の操作で除去し、さらに必要に応じて水洗等で水素化反応時に添加した酸を除去することで、水素化されたブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物を得ることができる。
【0044】
以上の結果、芳香環の水素化率が80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上が達成され、難黄変又は無黄変イソシアネート化合物として使用することができる。
得られたブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物はウレタンの原料としてそのまま使用することができるが、必要であればこのものを適当な溶媒下に加熱することによりブロック化剤を熱解離させることにより遊離のイソシアナート基を再生させウレタンの原料として使用することができる。
【0045】
<脂環式ポリイソシアネート化合物の製造方法>
脱ブロック化反応は、ブロック化脂環式イソシアネートを適当な溶媒中若しくは無溶媒下に加熱することにより実施することができる。用いる溶媒は、ブロック化剤の解離温度よりも高い沸点を有し、かつ、イソシアネートと反応しないものであれば何でも良いが、中でも、沸点の下限値が通常250℃以上、好ましくは280℃以上であり、上限値が通常600℃以下、好ましくは沸点500℃以下のパラフィン類が好適に用いられる。
【0046】
用いられる溶媒の量は、ブロック化脂環式イソシアネートの重量に対して下限値が通常0.5倍以上、好ましくは1倍以上であり、上限値が通常1000倍以下、好ましくは100倍量以下である。
反応温度は、用いるブロック剤と脂環式イソシアネート類の組合せにもよるが、低すぎると脱ブロック化が進行せず、高すぎるとイソシアネート基の分解が起こる傾向があるので、下限値が通常80℃以上、好ましくは120℃以上であり、上限値が通常350℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。
【0047】
反応時間は、反応温度により影響を受けるが、反応時間を長くすると、遊離するイソシアネート基の変質や分解が起こりやすくなるので、通常5時間以下、好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下でなるべく短時間で実施する条件を用いる。
また本脱ブロック化反応は、無触媒で実施できるが必要に応じて触媒存在下で実施できる。触媒の種類はスズ、鉛、ビスマス、亜鉛、バリウム、ジルコニウム、コバルト、マグネシウムなどの金属系触媒もしくはジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの第三級アミン類が用いられ、好ましくはスズまたは鉛系触媒であり、より好ましくはジブチル錫ジカルボン酸塩類である。用いられる触媒の量はブロック化脂環式イソシアネートの重量に対して、下限値が通常1ppb以上、好ましくは0.1ppm以上であり、上限値が通常50%以下、好ましくは5%以下である。分解後に遊離した脂環式ポリイソシアネートとブロック剤および溶媒を、減圧蒸留や再結晶により分離することも可能である。用いたブロック化剤および溶媒は回収され、繰り返し使用することができる。
【0048】
本発明における脱ブロック化工程は、最終生成物の使用目的にもよるが、第1および第2でブロック化されたブロック剤をすべて脱ブロック化させてもよく、あるいは一部を脱ブロック化させずに残存させたままでもよい。
【0049】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
コンデンサ付丸底フラスコに、トルエン 27.65g、ε−カプロラクタム(東京化成工業株式会社製)18.43gを60℃で溶解した。フラスコを60℃に保ちながらPMDI(ダウ・ポリウレタン日本株式会社製、 商品名:PAPI*135 NCO含有量:31.1重量%、数平均分子量:350、淡褐色粘調液体、上記式(1)のn=1〜5の含有量:37モル%)20gをトルエン300mlに溶解した溶液を約1時間で滴下した。滴下終了後80℃で12時間攪拌した。その結果NCO基のブロック化率は99.7%となった。その後冷却し、エバポレーターにより60℃で溶媒を除去した後、60℃、5mmHgで5時間減圧乾燥した。得られた固体を粉砕し、200mlの水中に懸濁させ攪拌し濾過して水を除く操作を3回実施し、60℃、5mmHgで3時間乾燥してε−カプロラクタムブロック化−PMDI淡黄色粉末を得た。
【0050】
得られた粉末4g、トルエン40ml、メタノール8mlで1.5時間リフラックスを実施し、エバポレーターを用い50℃でMeOHを除去後、60℃、5mmHgで3時間真空乾燥した。
このε−カプロラクタムブロック−PMDI0.5g、メタノール5ml、5%Rh/C触媒(エヌ・イー ケムキャット製)0.2g、KHSO4(キシダ化学株式会社製)0.16mmolを70mlオートクレーブにスピンナーと共に仕込み、水素置換後、室温下10MPaの水素を張り、攪拌下80℃で2時間、核水素化反応を実施した。
その結果、紫外吸収スペクトルで測定した水素化率は95.9%であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明のポリイソシアネート化合物は、無黄変性で且つ毒性がないため、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物および脂環式ポリイソシアネート化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソシアネート化合物は、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料モノマーとして広く用いられている。その中でも脂肪族イソシアネートは無黄変性イソシアネートとして有用である。
脂肪族イソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート(以降HDIと略記)やイソホロンジイソシアネート(以降IPDIと略記)のような、もともと主鎖が脂肪族であるものに加えて、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以降HMDIと略記)のような、対応する芳香族アミン化合物であるジフェニルメタンジアミン(以降MDAと略記)のベンゼン環を水素化(核水素化)することにより誘導されるものがある。
【0003】
芳香族ポリイソシアネート化合物の水素化方法として、N−アリールカーバメートの芳香環を、水素及びVIII族遷移金属水素化触媒を用い接触水素化する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら特許文献1に記載の方法では、水添率が十分でなかった。
また、トリレンジイソシアネート(以降TDIと略記)やジフェニルメタンジイソシアネート(以降MDIと略記)等の芳香族イソシアネート類をカプロラクタム類でブロックし、ロジウム触媒を用いて芳香環を接触水素化する方法が開示されている(特許文献2参照)。しかしながらこの方法では水添率が60〜70%と低いものであった。
【0004】
さらに、アニリンを酸触媒の存在下ホルムアルデヒドと反応させ、得られるポリアミン混合物を、金属触媒存在下に水素化することからなる工程により緩和に還元し、その後ポリイソシアネートとすることにより、ブロック化を経由せずに脂肪族ポリイソシアネート化合物を製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法によっても上記と同様、水添率は非常に低いものであった。
【0005】
一方、上記の文献において記載されているイソシアネートモノマーは蒸気圧が低く、毒性があるため、イソシアネートモノマーをオリゴマー変性したポリイソシアネート誘導体も使用されている。
該変性ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(別名;ポリメリックMDI、以降PMDIと略記)、HDI−トリメチロールプロパン付加体、HDI3量体、IPDI−トリメチロールプロパン付加体、IPDI3量体、HMDI−トリメチロールプロパン付加体、HMDI3量体等が知られているのみであった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−33653号公報
【特許文献2】
特開昭56−16455号公報
【特許文献3】
特開平5−320296号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無黄変で且つ毒性の無い、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料として有用な新規なイソシアネート化合物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記PMDI、TDI−トリメチロールプロパン付加物等の多環芳香族ポリイソシアネート化合物の芳香環が十分に水素化され、無黄変で毒性の無い新規なイソシアネート化合物を効率よく得ることができ本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明の第1の要旨は、一分子中に芳香環を2個以上有し且つ数平均分子量が280以上である芳香族ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が活性水素含有化合物によりブロック化され、該ブロック化物の芳香環の80%以上が水素化されてなるブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物、に存する。
本発明の第2の要旨は、上記ブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物を脱ブロック化してなる脂環式ポリイソシアネート化合物、に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
<芳香族ポリイソシアネート化合物>
一分子中に芳香環を2個以上有し且つ数平均分子量が280以上である芳香族ポリイソシアネート化合物とは、例えば、(1)芳香族イソシアネート化合物がオリゴマー化してなる芳香族ポリメリックイソシアネート化合物、(2)芳香族イソシアネート化合物の3量化によりイソシアヌレート環が導入(イソシアヌレート化反応)されてなる芳香族ポリイソシアヌレート化合物、(3)芳香族イソシアネート化合物と多官能活性水素化合物との反応により得られるイソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物、(4)芳香族イソシアネート化合物と水または短鎖ジアミンとの反応により得られるイソシアネート基末端芳香族ポリウレアポリイソシアネート化合物、(5)芳香族トリイソシアネート、が挙げられる。
【0011】
芳香族ポリイソシアネート化合物に含有される芳香環の数は、下限が2個以上、好ましくは3個以上であり、上限が通常、20個以下、好ましくは、15個以下、さらに好ましくは10個以下である。また、数平均分子量の下限は、通常280以上、好ましくは、350以上、さらに好ましくは、500以上であり、上限は、通常10000以下、好ましくは3000以下、さらに好ましくは1500以下である。この分子量が大きすぎると、架橋分子量が長くなり塗膜強度が落ちたり、粘度が高くなりすぎ作業性が低下したり、ポリオールなどとの相溶性が低下しこれらと混合した時に分離,沈殿するなど、実用上問題となる場合がある。
【0012】
(1)芳香族ポリメリックイソシアネート化合物
芳香族ポリメリックイソシアネート化合物とは、芳香族イソシアネート化合物がオリゴマー化した構造を有するものである。芳香族イソシアネート化合物とは、2,4−TDI、2,6−TDI、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、4,4′−MDI、2,4′−MDI、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、MDIのカルボジイミド変性体及びウレトンイミン変性体等が挙げられる。
【0013】
本発明において、芳香族ポリメリックイソシアネート化合物とは、通常、芳香環を、下限が2個以上、上限が通常、20個以下、好ましくは、15個以下、さらに好ましくは10個以下有するものである。
中でも、MDIをオリゴマー化した構造を有するPMDI、TDIをオリゴマー化した構造を有するポリメリックTDI(別名クルードTDIともいう)が好ましく、特にPMDIが好ましい。
【0014】
このPMDIは、アニリンとホルムアルデヒドの縮合を行い、その後ホスゲンによりイソシアネート基とする際に、ジフェニルメタンジイソシアネートとともに、下記式(1)で表される構造を有するオリゴマー(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)が生成する。
【0015】
【化2】
【0016】
式(1)中、nは1以上であり、上限が、通常、13以下、好ましくは、8以下、最も好ましくは、5以下の整数である。この数が大きすぎると増粘したり固化したりする傾向がある。本発明において、PMDIは、この混合物全量中、上記nの値が1〜5のものが通常、15モル%以上、好ましくは、35モル%以上、であることが好ましい。また、n=0のMDIを混合物全量中、通常、85モル%以下、好ましくは、65モル%以下の割合で含有されていても良い。
【0017】
また、本発明における“ポリメリック”とは、上記[ ]で表される単位が直列に結合している場合、また、分岐して結合している場合の何れの場合も対象とする。この生成物は通常淡黄色ないし黒褐色の粘調な液体であり、また、結合位置は、オルト、メタ、パラの混合物となる。
(2)芳香族ポリイソシアヌレート化合物
芳香族ポリイソシアヌレート化合物の製造に用いられる芳香族イソシアネート化合物とは、上記と同様のものが用いられる。中でも2,4−TDI,1,4−キシリレンジイソシアネート,p−フェニレンジイソシアネート,4,4’−MDIなどが好ましい。
【0018】
これらの3量化する方法は、従来公知の製造方法により製造することが可能であり、通常、有機ジイソシアネートをイソシアヌレート化触媒の存在下で反応させることにより行われる。イソシアヌレート化触媒としては従来公知のものが使用可能であり、具体例としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチルフェノール)、トリエチルアミン、N,N’,N’’−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン等の3級アミン類、テトラエチルアンモニウム等の第4級アルキルアンモニウムのハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム塩類、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等のカルボン酸の金属塩類などが挙げられる。中でも、N,N’,N’’トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン等の第3級アミン類、酢酸ナトリウム等のカルボン酸金属塩類が好ましい。
【0019】
イソシアヌレート触媒の濃度は、使用する触媒および反応温度により異なるが、通常ポリイソシアネート化合物に対して0.01重量%以上10重量%以下の範囲から選択される。
上記触媒の他に助触媒として、メタノール等の脂肪族アルコール類等をポリイソシアネートに対して通常0.05重量%以上10重量%以下の範囲で併用することが好ましい。
【0020】
イソシアヌレート化の反応温度は通常0℃以上であり、上限は通常200℃以下、好ましくは100℃以下の範囲から選ばれる。
イソシアヌレート化反応には溶剤を用いても用いなくても良い。使用される溶剤としてはポリウレタン製造に常用の不活性溶剤、たとえばトルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤を1種または2種以上使用することができる。そして所定のNCO含有量あるいはイソシアヌレート化率に達した時点で、使用した触媒の種類に適した重合停止剤で反応を停止する。この反応停止剤としては塩酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。反応停止剤の添加量は添加触媒量と当量から2倍量の範囲が好ましい。また、未反応の芳香族イソシアネート化合物が多量に残存し使用上悪影響を及ぼす場合には、薄膜蒸留等を用いてこれを除去することも可能である。
【0021】
(3)イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物
イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物とは、芳香族イソシアネート化合物と多官能活性水素化合物との反応により得られるものである。芳香族イソシアネート化合物は、前記と同様のものが用いられる。
多官能活性水素化合物としては、代表的には多官能ヒドロキシ化合物が挙げられる。具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−ヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。
【0022】
また、これらが高分子量化したポリオール、例えば、ジプロピレングリコール,グリセリン,ビスフエノールA等とエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとの付加物であるポリエーテルポリオール、アジピン酸,テレフタル酸等の有機ジカルボン酸等と1,4−ブタンジオール等のグリコール類とのエステル化反応により得られるポリエステルポリオール、前記ポリエーテルポリオール類と前記有機ジカルボン酸等とのエステル化反応により得られるポリエーテルエステルポリオール、1,6−ヘキサンジオール等の短鎖ジオール類とジメチルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールや、メチルメタアクリレート等のアクリル酸誘導化合物やスチレン等と2−ヒドロキシエチルメタアクリレートなどの水酸基を有するアクリル酸誘導化合物が共重合して得られるポリアクリルポリオール等のポリオール類も同様に挙げられる。これら多官能活性水素化合物としてのポリオール成分の最適分子量は数平均分子量で35〜5000程度である。この分子量が大きすぎると架橋密度が下がり、塗膜強度が落ちることがある。反応条件は、後述のブロック化反応と同様である。また、未反応の芳香族イソシアネート化合物が多量に残存し使用上悪影響を及ぼす場合には、薄膜蒸留等を用いてこれを除去することも可能である。
【0023】
(4)イソシアネート基末端芳香族ポリウレアポリイソシアネート化合物
イソシアネート基末端芳香族ポリウレアポリイソシアネート化合物とは、芳香族イソシアネート化合物と水またはエチレンジアミン等の短鎖ジアミンとの反応により得られるものである。通常、芳香族イソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対して水または短鎖ジアミンを0.1〜0.5当量加えて反応させる。反応条件は、後述のブロック化反応と同様である。
【0024】
(5)芳香族トリイソシアネート化合物
芳香族トリイソシアネート化合物としては、トリフェニルメタントリイソシアネート,トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートなどの化合物が挙げられる。
上記の(1)〜(5)の中でも、(1)芳香族ポリメリックイソシアネート化合物、(2)芳香族ポリイソシアヌレート化合物、(3)イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物及び(5)芳香族トリイソシアネート化合物が好ましく、(1)芳香族ポリメリックイソシアネート化合物、及び(3)イソシアネート基末端芳香族ポリウレタンポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0025】
<活性水素含有化合物>
本発明において、イソシアネート基をブロック化するために用いる活性水素含有化合物(以下、ブロック化剤という)としては、イソシアネート基に付加し、加熱により容易に脱離し(脱ブロック化)イソシアネートが再生するものであるか、または脱ブロック化をしなくてもエステル交換により容易にポリウレタン化反応が進行するものであれば何でも使用できる。
【0026】
また、後の核水素化反応において、ブロック化剤の部分及びブロック化剤と芳香族ポリイソシアネートの間のウレタン結合が水添または還元等の変化を受けないものが望ましいが、変化を受けても後段の熱解離による脱ブロック化が可能であるものであれば使用できる。
このようなブロック化剤としてはホルムアミドオキシム、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノール、ο−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、チモール、p−ナフトール、p−ニトロフェノール、p−クロロフェノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセルソルブ、メチレンカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセルソルブ、フルフリルアルコール等のアルコール類、ε−カプロラクタム、アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミド、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド類が挙げられる。
【0027】
更に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等のエステル類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等のジケトン類、ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド類、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン類、エチレンイミン、プロピレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン類、フェニルカルバミン酸フェニル、2−オキサゾリジン等のカルバメート系、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩系等のブロック剤も挙げることができる。これらの中で、酸アミド類、ジケトン類、エステル類、アルコール類及びカルバメート類が好ましく、中でも酸アミド類、その中でラクタム類が特に好ましく、具体的にはγ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタムが特に好適に用いられる。
【0028】
<ブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物の製造方法>
ブロック化反応は、従来公知の方法(例えば特開昭56−16455号)により容易に上述の芳香族ポリイソシアネート化合物とブロック化剤とから製造することが可能である。
用いる溶媒としては芳香族ポリイソシアネート化合物及びブロック化剤を溶解し、かつポリイソシアネート及び、ブロック化剤と反応しない物であれば使用できる。この様な溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が用いられるが、炭化水素溶媒が好ましく、その中でもトルエンが好適に用いられる。ブロック化剤が反応温度で液体であれば、ブロック化剤を溶媒と兼ねても良い。
【0029】
溶媒の使用量はブロック化剤と所定の芳香族ポリイソシアネート化合物合計の濃度が下限が通常、1重量%以上、好ましくは4重量%以上であり、上限が100重量%、好ましくは80重量%である。
また芳香族ポリイソシアネート化合物は水と反応するため、ブロック化反応系中の含水量が、ポリイソシアネート中の水と反応したイソシアネート基が全イソシアネート基の通常6%以下、好ましくは4%以下、更に好ましくは2%以下となるような水の存在下でブロック化反応を実施する。
【0030】
ブロック化剤の添加量は活性イソシアネート基1当量に対して、下限が、通常1当量以上、好ましくは1.05当量以上であり、上限が通常、2当量以下、好ましくは1.5当量以下である。この量が少なすぎると、活性イソシアネート基が残存し、また多すぎるとと未反応のブロック化剤が多量に残存し、悪影響を及ぼす可能性がある。
【0031】
ブロック化の反応温度としては、下限が通常、25℃以上であり、上限が通常200℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは100℃以下で実施される。
反応時間は、その生産性から、24時間以内、好ましくは12時間以内、更に好ましくは6時間以内で目的のブロック化率になるような反応条件で反応を実施する。
【0032】
また反応触媒は特に必要としないが、場合によってはジブチルスズジラウレートやジブチルチンジオクトエート等の有機錫系触媒、オクタン酸鉛等の有機鉛系触媒、あるいはトリエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン系化合物のウレタン化触媒を使用することも効果的である。
【0033】
反応圧力は、減圧、常圧、加圧、のどの条件でも実施しできるが、その操作性から、常圧〜1MPa未満、更に好ましくは0.5MPa以下で実施される。
この様にして得られたブロック化芳香族ポリイソシアネート中に含まれる未反応のイソシアネートの量は全イソシアネートの通常、3モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下になるようにする。
【0034】
しかし、用いる芳香族ポリイソシアネート化合物やブロック化剤によってはブロック化が不十分になることがあるが、ブロック化しなかったイソシアネート基はその後の水素化反応を阻害するため未反応のイソシアネート基が多い場合は、さらにブロック化反応を実施し、2段階でブロック化を実施する。
2段階目のブロック化工程において用いられるブロック化剤はアミン類、アルコール類、及び水から選ばれる少なくとも1種である。つまり、活性水素を有する化合物であって、1段目に使用したブロック剤に比較してpKaが大きく、サイズ的にイソシアネートとの反応性が十分高いブロック剤を使用する。このようなブロック剤としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜20のアルコール類、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ(n−ブチル)アミン、ジ(イソプロピル)アミン、アニリン、ピペリジンなどのアミン類、水などが挙げられる。これらは単独で使用しても混合して用いても良い。中でもアルコール、水が用いられ、炭素数5以下の脂肪族アルコール、水が特に好ましい。
【0035】
2段階目において用いられるブロック化剤の量は、残存イソシアネート基に対して少なくとも当量以上、好ましくは、10当量以上であり、上限として好ましくは10000当量以下で実施される。反応溶媒としては、原料のブロック化芳香族イソシアネートを溶解しうる溶媒が用いられるが、ブロック化剤を溶媒と兼ねて使用することもできる。好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、ジクロロメタン、クロロホルムなどの有機ハロゲン溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル溶剤であり、原料重量の通常、下限が1倍以上、好ましくは1.2倍以上であり、上限が100倍以下、好ましくは20倍量以下使用する。
【0036】
2段階目のブロック化反応の温度は、通常下限が20以上、好ましくは40℃以上であり、上限が通常、150℃以下、好ましくは90℃以下で行われる。ブロック化時間は、通常、下限が0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、上限が通常、10時間以下、好ましくは3時間以下であり、反応物を通常の赤外分光分析により分析し、2280cm−1付近に現れる残存イソシアネート基の吸収が見られなくなるまで行う。
【0037】
処理後のブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物は、ろ過、再結晶、溶媒除去などの公知方法により回収することができる。また、後段の水素化反応で使用できる溶媒を用いる場合には、ブロック化芳香族イソシアネートを分離回収することなく混合物のまま次の水素化反応に供することができる。
以上の二段階のブロック化方法は、第1工程終了後の反応物を分離した後、第2工程のブロック化を行っても良いし、第1工程終了後に生成物を単離することなく同一の反応器内で連続して実施することも可能である。
【0038】
この2段階のブロック化を行うことにより、残存イソシアネート基が低減し、後の核水素化を効率的に行うことができる。
上記のようにして得られるブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物は、数平均分子量が下限が通常、350以上、好ましくは500以上、上限が通常、12000以下、好ましくは4000以下である。数平均分子量が大きすぎると架橋分子量が長くなり塗膜強度が落ちたり、粘度が高くなりすぎ作業性が低下することがある。
【0039】
<ブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物の製造方法>
ブロック化芳香族ポリイソシアネート化合物の芳香環の核水素化反応は、通常、周期表8〜10族金属触媒存在下実施される。8〜10族金属の中でもRh、Ruが好適に用いられる。触媒は金属単独で用いても良いが担体に担持させた担持型触媒として用いるのが好ましい。担体としては、活性炭、アルミナ、シリカ、ジルコニア、グラファイト、チタニア、ケイソウ土等通常担体として用いられている物なら使用できるが、中でも活性炭が好ましい。金属の担持量は下限が通常、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、上限が通常、20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。触媒の使用量は反応形式により大きく異なるが、反応基質/触媒の重量比で下限が通常0.01以上、好ましくは0.02以上、上限が通常200以下、好ましくは100以下である。
【0040】
本反応では酸の存在下で実施することで、更に反応活性が上がると共に、触媒の再反応での活性の維持が達成される。水素化反応時に添加される酸性化合物は、水溶液中で酸性を示す物質であれば何でも良く、水溶液中で示す酸解離指数(pKa)が5以下であるものがより好ましい。酸性化合物を2種類以上組み合わせて同時に使用することもできる。酸性化合物が液体の場合にはこれを溶媒として使用することも可能である。酸性化合物を例示すると、硫酸、ピロ硫酸、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、りん酸、ピロりん酸、過塩素酸、タングステン酸、ヘテロポリ酸などの無機酸類、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、オクタン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸、ニコチン酸、バルビツール酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸類、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウムなどの酸性塩類、ゼオライト類の固体酸類やナフィオンの如きイオン交換樹脂類が挙げられる。この中で、硫酸、ピロ硫酸、塩化水素酸、臭化水素酸、りん酸、ピロりん酸、過塩素酸、タングステン酸、ヘテロポリ酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、マロン酸、クエン酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化アンモニウムが好ましく、さらに好ましくは、硫酸、ピロ硫酸、塩化水素酸、りん酸、ピロりん酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化アンモニウムである。
【0041】
酸性化合物の添加量は、水素化反応速度、選択率に対して用いる酸のpKaにより最適値が大きく異なるが、使用する触媒金属に対して下限が通常0.001当量以上、好ましくは0.01当量以上、上限が通常10000当量以下、好ましくは1000当量以下である。
水素化反応は上記触媒存在下、液相中で実施される。用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、n−ヘキサノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルセロソルブなどのセロソルブ類、酢酸エチル、炭酸ジメチルなどの有機酸エステル類、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸類などがありこれらを単独で又は複数の溶媒を混ぜて使用することができる。この中でもイソプロピルアルコール、メタノールが好適に用いられる。
【0042】
核水素化反応温度は、高すぎるとブロックがはずれ触媒活性を低下させるため、下限が通常、40℃以上、上限が通常170℃以下、好ましくは50℃以上150℃以下、更に好ましくは60℃以上130℃以下で実施される。反応圧力は下限が通常、1MPa以上、好ましくは2MPa以上、上限が通常25MPa以下、好ましくは20MPa以下、更に好ましくは15MPa以下で実施される。
【0043】
核水素化反応時間は特に制限は無いが、その生産性から、10時間以内、好ましくは7時間以内、更に好ましくは5時間以内で実施する。反応は連続反応、回分反応のいずれでも良く、また反応形式としては液相懸濁反応、固定床流通反応のいずれも採用することができる。
反応終了後は、濾過操作により触媒を分離し、溶媒を蒸留等の操作で除去し、さらに必要に応じて水洗等で水素化反応時に添加した酸を除去することで、水素化されたブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物を得ることができる。
【0044】
以上の結果、芳香環の水素化率が80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上が達成され、難黄変又は無黄変イソシアネート化合物として使用することができる。
得られたブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物はウレタンの原料としてそのまま使用することができるが、必要であればこのものを適当な溶媒下に加熱することによりブロック化剤を熱解離させることにより遊離のイソシアナート基を再生させウレタンの原料として使用することができる。
【0045】
<脂環式ポリイソシアネート化合物の製造方法>
脱ブロック化反応は、ブロック化脂環式イソシアネートを適当な溶媒中若しくは無溶媒下に加熱することにより実施することができる。用いる溶媒は、ブロック化剤の解離温度よりも高い沸点を有し、かつ、イソシアネートと反応しないものであれば何でも良いが、中でも、沸点の下限値が通常250℃以上、好ましくは280℃以上であり、上限値が通常600℃以下、好ましくは沸点500℃以下のパラフィン類が好適に用いられる。
【0046】
用いられる溶媒の量は、ブロック化脂環式イソシアネートの重量に対して下限値が通常0.5倍以上、好ましくは1倍以上であり、上限値が通常1000倍以下、好ましくは100倍量以下である。
反応温度は、用いるブロック剤と脂環式イソシアネート類の組合せにもよるが、低すぎると脱ブロック化が進行せず、高すぎるとイソシアネート基の分解が起こる傾向があるので、下限値が通常80℃以上、好ましくは120℃以上であり、上限値が通常350℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。
【0047】
反応時間は、反応温度により影響を受けるが、反応時間を長くすると、遊離するイソシアネート基の変質や分解が起こりやすくなるので、通常5時間以下、好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下でなるべく短時間で実施する条件を用いる。
また本脱ブロック化反応は、無触媒で実施できるが必要に応じて触媒存在下で実施できる。触媒の種類はスズ、鉛、ビスマス、亜鉛、バリウム、ジルコニウム、コバルト、マグネシウムなどの金属系触媒もしくはジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの第三級アミン類が用いられ、好ましくはスズまたは鉛系触媒であり、より好ましくはジブチル錫ジカルボン酸塩類である。用いられる触媒の量はブロック化脂環式イソシアネートの重量に対して、下限値が通常1ppb以上、好ましくは0.1ppm以上であり、上限値が通常50%以下、好ましくは5%以下である。分解後に遊離した脂環式ポリイソシアネートとブロック剤および溶媒を、減圧蒸留や再結晶により分離することも可能である。用いたブロック化剤および溶媒は回収され、繰り返し使用することができる。
【0048】
本発明における脱ブロック化工程は、最終生成物の使用目的にもよるが、第1および第2でブロック化されたブロック剤をすべて脱ブロック化させてもよく、あるいは一部を脱ブロック化させずに残存させたままでもよい。
【0049】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
コンデンサ付丸底フラスコに、トルエン 27.65g、ε−カプロラクタム(東京化成工業株式会社製)18.43gを60℃で溶解した。フラスコを60℃に保ちながらPMDI(ダウ・ポリウレタン日本株式会社製、 商品名:PAPI*135 NCO含有量:31.1重量%、数平均分子量:350、淡褐色粘調液体、上記式(1)のn=1〜5の含有量:37モル%)20gをトルエン300mlに溶解した溶液を約1時間で滴下した。滴下終了後80℃で12時間攪拌した。その結果NCO基のブロック化率は99.7%となった。その後冷却し、エバポレーターにより60℃で溶媒を除去した後、60℃、5mmHgで5時間減圧乾燥した。得られた固体を粉砕し、200mlの水中に懸濁させ攪拌し濾過して水を除く操作を3回実施し、60℃、5mmHgで3時間乾燥してε−カプロラクタムブロック化−PMDI淡黄色粉末を得た。
【0050】
得られた粉末4g、トルエン40ml、メタノール8mlで1.5時間リフラックスを実施し、エバポレーターを用い50℃でMeOHを除去後、60℃、5mmHgで3時間真空乾燥した。
このε−カプロラクタムブロック−PMDI0.5g、メタノール5ml、5%Rh/C触媒(エヌ・イー ケムキャット製)0.2g、KHSO4(キシダ化学株式会社製)0.16mmolを70mlオートクレーブにスピンナーと共に仕込み、水素置換後、室温下10MPaの水素を張り、攪拌下80℃で2時間、核水素化反応を実施した。
その結果、紫外吸収スペクトルで測定した水素化率は95.9%であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明のポリイソシアネート化合物は、無黄変性で且つ毒性がないため、エラストマー原料、塗料、接着剤等のポリウレタンの原料として有用である。
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