しかし、近年では、高車速時であっても音や振動の発生が低減されており、高車速時であっても音や振動等の発生をより抑制することが望まれる。また、低車速時であっても、良好な操舵応答性が必要な場合がある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、車速のみに基づき比例ゲイン又は積分ゲインを変更するものではなく、より適切に音や振動の発生を低減すると共に良好な操舵応答性が必要な時にはより適切に対応することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、操舵トルクのトルク微分値,エンジン回転数,路面摩擦係数等に基づき比例ゲイン又は積分ゲインを変更することを思いつき、本発明を完成するに至った。
第1の電動パワーステアリング装置は、第1の電動パワーステアリング装置は、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。ここで、アシスト電動機は、操舵力を補助する電動機である。操舵トルク検出手段は、ステアリング軸にかかる操舵トルクを検出して、操舵トルク信号を生成する手段である。目標電流設定手段は、操舵トルク信号に基づき、アシスト電動機に供給する目標電流を設定して、目標電流信号を生成する手段である。電動機電流検出手段は、アシスト電動機に流れる電動機電流を検出して、電動機電流信号を生成する手段である。電動機制御手段は、目標電流信号と電動機電流信号との偏差に基づき、少なくとも比例要素若しくは積分要素を含み、アシスト電動機を制御する手段である。電動機制御手段は、比例要素及び積分要素の他、微分要素を含ませてもよい。
そして、第1の電動パワーステアリング装置の特徴的な構成は、さらに、トルク微分値算出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。トルク微分値算出手段は、操舵トルク信号を微分したトルク微分値を算出して、トルク微分値信号を生成する手段である。なお、トルク微分値は、所定時間当たりの操舵トルクの変動量である。ゲイン変更設定手段は、トルク微分値信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第1の電動パワーステアリング装置によれば、トルク微分値に基づき比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、トルク微分値は、操舵応答性に非常に大きく関わりを持っている。例えば、トルク微分値が大きい場合には、比例ゲイン又は積分ゲインを大きくするのが望ましい。一方、トルク微分値が小さい場合には、トルク微分値が大きい場合に比べて、操舵応答性が要求されない。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、トルク微分値が小さくなるにつれて、比例ゲイン若しくは積分ゲインが小さくなるトルク微分値−ゲイン関係に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。つまり、トルク微分値が小さい場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを小さくし、トルク微分値が大きい場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを大きくするようにする。
このようにトルク微分値に基づきゲインを変更することにより、例えば、トルク微分値が大きい場合には良好な操舵応答性を維持することができると共に、トルク微分値が小さい場合には保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。なお、高車速時であっても、単なる直線走行の場合等のハンドル操作があまり行われない場合には、ハンドル操作時に比べて操舵応答性はそれほど要求されない。すなわち、ハンドル操作が行われない場合とは、トルク微分値が小さい場合であり、本発明によれば、このような場合におけるハンドル保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。なお、トルク微分値−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第2の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、エンジン回転数検出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、エンジン回転数検出手段は、車両を駆動するエンジンの回転数を検出して、エンジン回転数信号を生成する手段である。ゲイン変更設定手段は、エンジン回転数信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第2の電動パワーステアリング装置によれば、エンジン回転数に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、エンジン回転数は、音や振動の発生に大きく関わりを持っている。例えば、エンジン回転数が高い場合には、エンジンの動作により発生する音や振動が大きくなる。一方、エンジン回転数が低い場合には、エンジンの動作により発生する音や振動は小さくなる。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、エンジン回転数が小さくなるにつれて、比例ゲイン若しくは積分ゲインが小さくなる回転数−ゲイン関係に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。つまり、エンジン回転数が低い場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを小さくし、エンジン回転数が高い場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを大きくするようにする。
このようにエンジン回転数に基づきゲインを変更することにより、例えば、エンジン回転数が大きい場合には、比例ゲイン若しくは積分ゲインを大きくしたとしても、このことにより発生する音や振動が、エンジンの動作により発生する音や振動によりマスキングされる。従って、エンジン回転数が大きい場合には、乗員にとってゲインによる音や振動が気にならず、良好な操舵応答性を維持することができる。一方、エンジン回転数が小さい場合には、エンジンの動作により発生する音や振動が小さくなったとしても、ゲインにより発生する音や振動も抑制できる。なお、低車速時であっても、高加速時等の場合には、良好な操舵応答性が要求される場合がある。すなわち、高加速時の場合とは、エンジン回転数が高い場合であり、本発明によれば、このような場合であっても音や振動に気にならずに操舵応答性を良好な状態とすることができる。なお、回転数−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第3の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、上述したトルク微分値算出手段と、エンジン回転数検出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、エンジン回転数検出手段は、車両を駆動するエンジンの回転数を検出して、エンジン回転数信号を生成する手段である。ゲイン変更設定手段は、トルク微分値信号及びエンジン回転数信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第3の電動パワーステアリング装置によれば、トルク微分値及びエンジン回転数に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、トルク微分値と操舵応答性との関係、及び、エンジン回転数と音や振動の発生との関係は、上述したとおりである。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、トルク微分値−第1ゲイン関係と、回転数−第2ゲイン関係と、第1ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係とに基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。ここで、トルク微分値−第1ゲイン関係とは、トルク微分値が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第1比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第1積分ゲインが小さくなる関係である。回転数−第2ゲイン関係とは、エンジン回転数が小さくなるにつれて前記比例ゲインに対応する第2比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第2積分ゲインが小さくなる関係である。第1ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係とは、第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲイン,第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲイン及び前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインの関係を示す関係である。
すなわち、トルク微分値が小さい場合に第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを小さくし、トルク微分値が大きい場合に第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを大きくするようにする。また、エンジン回転数が低い場合に第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインを小さくし、エンジン回転数が高い場合に第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインを大きくするようにする。そして、これら第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲイン及び第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインに基づき、前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインを算出する。この算出は、例えば、第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインと、第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインとを乗算することにより行ってもよいし、両者を加算することにより行ってもよいし、両者の大きい方を採用してもよいし、両者の小さい方を採用してもよい。
また、ゲイン変更設定手段が、トルク微分値−回転数−ゲイン関係に基づき、前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにしてもよい。ここで、トルク微分値−回転数−ゲイン関係とは、トルク微分値及びエンジン回転数が小さくなるにつれて、比例ゲイン若しくは積分ゲインが小さくなる関係である。つまり、トルク微分値及びエンジン回転数が小さい場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを小さくし、トルク微分値及びエンジン回転数が大きい場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを大きくするようにする。
このようにトルク微分値及びエンジン回転数に基づきゲインを変更することにより、例えば、トルク微分値が大きい場合又はエンジン回転数が大きい場合には、良好な操舵応答性を維持することができる。一方、トルク微分値が小さい場合又はエンジン回転数が小さい場合には、保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。なお、トルク微分値−第1ゲイン関係、回転数−第2ゲイン関係、又は第1ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。また、トルク微分値−回転数−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第4の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、路面摩擦係数検出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、路面摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数を検出する手段である。この路面摩擦係数とは、車両の走行路面の摩擦係数である。なお、路面摩擦係数は、例えば特開2000−55790号公報等により、車速に基づき推定することは公知である。ゲイン変更設定手段は、検出された路面摩擦係数に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第4の電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数に基づき比例ゲイン又は積分ゲインを変更している。ここで、路面摩擦係数は、操舵応答性に非常に大きく関わりを持っている。例えば、路面摩擦係数が小さい場合には、操舵追従性が良好であることが望ましい。すなわち、路面摩擦係数が小さい場合には、比例ゲイン又は積分ゲインを大きくするのが望ましい。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、路面摩擦係数が小さくなるにつれて比例ゲイン若しくは積分ゲインが大きくなる路面摩擦係数−第3ゲイン関係に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。つまり、この路面摩擦係数−第3ゲイン関係により、路面摩擦係数が小さい場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを大きくし、路面摩擦係数が大きい場合に比例ゲイン若しくは積分ゲインを小さくするようになる。
このように路面摩擦係数に基づきゲインを変更することにより、路面摩擦係数が小さい場合の操舵応答性を良好にすることができる。一方、路面摩擦係数が大きい場合には、路面摩擦係数が小さい場合に比べて良好な操舵応答性が要求されない。そこで、路面摩擦係数が大きい場合には、ゲインを小さくすることにより、ハンドル保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。なお、路面摩擦係数−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第5の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、上述した路面摩擦係数検出手段と、車速検出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、路面摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数を検出する手段である。車速検出手段は、車速を検出して車速信号を生成する手段である。ゲイン変更設定手段は、路面摩擦係数及び車速信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第5の電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数及び車速に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、路面摩擦係数と操舵応答性との関係は上述したとおりである。車速は、操舵応答性及びハンドル保舵時の音や振動の発生に大きく関わりを持っている。例えば、高速時には、良好な操舵応答性が望まれる。一方、低速時には、高速時に比べてそれほど良好な操舵応答性は望まれないが、ハンドル保舵時の音や振動の低減が望まれる。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、路面摩擦係数−第3ゲイン関係と、車速−第4ゲイン関係と、第3ゲイン−第4ゲイン−ゲイン関係とに基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。ここで、路面摩擦係数−第3ゲイン関係とは、路面摩擦係数が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第3比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第3積分ゲインが大きくなる関係である。車速−第4ゲイン関係とは、車速が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第4比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第4積分ゲインが小さくなる関係である。第3ゲイン−第4ゲイン−ゲイン関係とは、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン,第4比例ゲイン若しくは第4積分ゲイン及び前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインの関係を示す関係である。
すなわち、路面摩擦係数が小さい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを大きくし、路面摩擦係数が大きい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを小さくするようにする。また、低速の場合に第4比例ゲイン若しくは第4積分ゲインを小さくし、高速の場合に第4比例ゲイン若しくは第4積分ゲインを大きくするようにする。そして、これら第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン及び第4比例ゲイン若しくは第4積分ゲインに基づき、前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインを算出する。この算出は、例えば、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインと、第4比例ゲイン若しくは第4積分ゲインとを乗算することにより行ってもよいし、両者を加算することにより行ってもよいし、両者の大きい方を採用してもよいし、両者の小さい方を採用してもよい。
このように路面摩擦係数及び車速に基づくゲインを変更することにより、上述した路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、及び、以下の車速に基づきゲインを変更する効果の双方を奏することができる。ここで、車速に基づきゲインを変更することにより、高速時には操舵応答性を良好にすることができると共に、低速時にはハンドル保舵時の音や振動を抑制することができる。
なお、路面摩擦係数が小さい場合であって、低速時には、前者によりゲインは大きく作用するのに対して、後者によりゲインが小さく作用する。また、路面摩擦係数が大きい場合であって、高速時には、前者によりゲインは小さく作用するのに対して、後者によりゲインが大きく作用する。このような場合には、例えば、路面摩擦係数による効果を大きく発揮させたい場合には、路面摩擦係数に基づくゲインの値を車速に基づくゲインの値に比べて大きく設定すればよい。また、車速による効果を大きく発揮させたい場合には、上記とは逆に、路面摩擦係数に基づくゲインの値を車速に基づくゲインの値に比べて小さく設定すればよい。これにより、例えば、路面摩擦係数が小さい場合であって、低速時には、低速であることにより単に小さなゲインが採用されるのではなく、路面摩擦係数を考慮して大きくなったゲインが採用されることになる。すなわち、車速のみによりゲインを変更する場合に比べて、路面摩擦係数が小さい場合には操舵応答性をある程度良好にすることができるので、操舵フィーリングを良好に維持することができる。なお、路面摩擦係数−第3ゲイン関係、車速−第4ゲイン関係、第3ゲイン−第4ゲイン−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第6の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、上述した路面摩擦係数検出手段と、上述したトルク微分値算出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、路面摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数を検出する手段である。トルク微分値算出手段は、操舵トルク信号を微分したトルク微分値を算出してトルク微分値信号を生成する手段である。ゲイン変更設定手段は、路面摩擦係数及びトルク微分値信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第6の電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数及びトルク微分値に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、路面摩擦係数と操舵応答性との関係、トルク微分値と操舵応答性との関係は、上述したとおりである。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、路面摩擦係数−第3ゲイン関係と、トルク微分値−第1ゲイン関係と、第3ゲイン−第1ゲイン−ゲイン関係とに基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。ここで、路面摩擦係数−第3ゲイン関係とは、路面摩擦係数が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第3比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第3積分ゲインが大きくなる関係である。トルク微分値−第1ゲイン関係とは、トルク微分値が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第1比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第1積分ゲインが小さくなる関係である。第3ゲイン−第1ゲイン−ゲイン関係とは、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン,第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲイン及び前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインの関係を示す関係である。
すなわち、路面摩擦係数が小さい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを大きくし、路面摩擦係数が大きい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを小さくするようにする。また、トルク微分値が小さい場合に第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを小さくし、トルク微分値が大きい場合に第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを大きくするようにする。そして、これら第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン及び第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインに基づき、前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインを算出する。この算出は、例えば、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインと、第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインとを乗算することにより行ってもよいし、両者を加算することにより行ってもよいし、両者の大きい方を採用してもよいし、両者の小さい方を採用してもよい。
このように路面摩擦係数及びトルク微分値に基づきゲインを変更することにより、上述した路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、及び、トルク微分値に基づきゲインを変更する効果の双方を奏することができる。すなわち、路面摩擦係数が小さい場合の操舵応答性を良好にすることができる。路面摩擦係数が大きい場合には、路面摩擦係数が小さい場合に比べて良好な操舵応答性が要求されない。そこで、路面摩擦係数が大きい場合には、ゲインを小さくすることにより、ハンドル保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。さらに、トルク微分値が大きい場合には操舵応答性を良好にすることができると共に、トルク微分値が小さい場合にはハンドル保舵時の音や振動を抑制することができる。
なお、路面摩擦係数及びトルク微分値が小さい場合には、前者によりゲインは大きく作用するのに対して、後者によりゲインが小さく作用する。また、路面摩擦係数及びトルク微分値が大きい場合には、前者によりゲインは小さく作用するのに対して、後者によりゲインが大きく作用する。このような場合には、例えば、路面摩擦係数による効果を大きく発揮させたい場合には、路面摩擦係数に基づくゲインの値をトルク微分値に基づくゲインの値に比べて大きく設定すればよい。また、トルク微分値による効果を大きく発揮させたい場合には、上記とは逆に、路面摩擦係数に基づくゲインの値をトルク微分値に基づくゲインの値に比べて小さく設定すればよい。つまり、例えば、路面摩擦係数及びトルク微分値が小さい場合には、トルク微分値が小さいことにより単に小さなゲインが採用されるのではなく、路面摩擦係数を考慮して大きくなったゲインが採用されることになる。なお、路面摩擦係数−第3ゲイン関係、トルク微分値−第1ゲイン関係、第3ゲイン−第1ゲイン−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第7の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、上述した路面摩擦係数検出手段と、上述したエンジン回転数検出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、路面摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数を検出する手段である。エンジン回転数検出手段は、車両を駆動するエンジンの回転数を検出してエンジン回転数信号を生成する手段である。ゲイン変更設定手段は、路面摩擦係数及びエンジン回転数信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第7の電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数及びエンジン回転数に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、路面摩擦係数と操舵応答性との関係、エンジン回転数と音や振動の発生との関係は、上述したとおりである。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、路面摩擦係数−第3ゲイン関係と、回転数−第2ゲイン関係と、第3ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係とに基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。ここで、路面摩擦係数−第3ゲイン関係とは、路面摩擦係数が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第3比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第3積分ゲインが大きくなる関係である。回転数−第2ゲイン関係とは、エンジン回転数が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第2比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第2積分ゲインが小さくなる関係である。第3ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係とは、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン,第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲイン及び前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインの関係を示す関係である。
すなわち、路面摩擦係数が小さい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを大きくし、路面摩擦係数が大きい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを小さくするようにする。また、エンジン回転数が小さい場合に第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインを小さくし、エンジン回転数が大きい場合に第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインを大きくするようにする。そして、これら第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン及び第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインに基づき、前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインを算出する。この算出は、例えば、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインと、第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインとを乗算することにより行ってもよいし、両者を加算することにより行ってもよいし、両者の大きい方を採用してもよいし、両者の小さい方を採用してもよい。
このように路面摩擦係数及びエンジン回転数に基づきゲインを変更することにより、上述した路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、及び、エンジン回転数に基づきゲインを変更する効果の双方を奏することができる。すなわち、路面摩擦係数が小さい場合の操舵応答性を良好にすることができる。路面摩擦係数が大きい場合には、路面摩擦係数が小さい場合に比べて良好な操舵応答性が要求されない。そこで、路面摩擦係数が大きい場合には、ゲインを小さくすることにより、ハンドル保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。さらに、エンジン回転数が大きい場合には操舵応答性を良好にすることができると共に、エンジン回転数が小さい場合にはハンドル保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。
なお、路面摩擦係数及びエンジン回転数が小さい場合には、前者によりゲインは大きく作用するのに対して、後者によりゲインが小さく作用する。また、路面摩擦係数及びエンジン回転数が大きい場合には、前者によりゲインは小さく作用するのに対して、後者によりゲインが大きく作用する。このような場合には、例えば、路面摩擦係数による効果を大きく発揮させたい場合には、路面摩擦係数に基づくゲインの値をエンジン回転数に基づくゲインの値に比べて大きく設定すればよい。また、エンジン回転数による効果を大きく発揮させたい場合には、上記とは逆に、路面摩擦係数に基づくゲインの値をエンジン回転数に基づくゲインの値に比べて小さく設定すればよい。つまり、例えば、路面摩擦係数及びエンジン回転数が小さい場合には、エンジン回転数が小さいことにより単に小さなゲインが採用されるのではなく、路面摩擦係数を考慮して大きくなったゲインが採用されることになる。なお、路面摩擦係数−第3ゲイン関係、回転数−第2ゲイン関係、第3ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
また、第8の電動パワーステアリング装置は、上述した、アシスト電動機と、操舵トルク検出手段と、目標電流設定手段と、電動機電流検出手段と、電動機制御手段とを備える。そして、本発明の特徴的な構成は、さらに、上述した路面摩擦係数検出手段と、上述したトルク微分値算出手段と、上述したエンジン回転数検出手段と、ゲイン変更設定手段とを備えたことである。ここで、路面摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数を検出する手段である。トルク微分値算出手段は、操舵トルク信号を微分したトルク微分値を算出してトルク微分値信号を生成する手段である。エンジン回転数検出手段は、車両を駆動するエンジンの回転数を検出してエンジン回転数信号を生成する手段である。ゲイン変更設定手段は、路面摩擦係数,トルク微分値信号及びエンジン回転数信号に基づき、比例要素の比例ゲイン若しくは積分要素の積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定する手段である。
つまり、第8の電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数,トルク微分値及びエンジン回転数に基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインが変更される。ここで、路面摩擦係数と操舵応答性との関係、トルク微分値と操舵応答性との関係、エンジン回転数と音や振動の発生との関係は、上述したとおりである。そこで、例えば、ゲイン変更設定手段が、路面摩擦係数−第3ゲイン関係と、トルク微分値−第1ゲイン関係と、回転数−第2ゲイン関係と、第3ゲイン−第1ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係とに基づき、比例ゲイン若しくは積分ゲインの少なくとも一方を変更して設定するようにするとよい。ここで、路面摩擦係数−第3ゲイン関係とは、路面摩擦係数が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第3比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第3積分ゲインが大きくなる関係である。トルク微分値−第1ゲイン関係とは、トルク微分値が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第1比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第1積分ゲインが小さくなる関係である。回転数−第2ゲイン関係とは、エンジン回転数が小さくなるにつれて、前記比例ゲインに対応する第2比例ゲイン若しくは前記積分ゲインに対応する第2積分ゲインが小さくなる関係である。第3ゲイン−第1ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係とは、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン,第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲイン,第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲイン及び前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインの関係を示す関係である。
すなわち、路面摩擦係数が小さい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを大きくし、路面摩擦係数が大きい場合に第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインを小さくするようにする。また、トルク微分値が小さい場合に第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを小さくし、トルク微分値が大きい場合に第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを大きくするようにする。さらに、エンジン回転数が小さい場合に第2比例ゲイン若しくは第1積分ゲインを小さくし、エンジン回転数が大きい場合に第2比例ゲイン若しくは第2比例ゲインを大きくするようにする。そして、これら第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲイン,第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲイン及び第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインに基づき、前記比例ゲイン若しくは前記積分ゲインを算出する。この算出は、例えば、第3比例ゲイン若しくは第3積分ゲインと、第1比例ゲイン若しくは第1積分ゲインと、第2比例ゲイン若しくは第2積分ゲインとを乗算することにより行ってもよいし、各ゲインを加算することにより行ってもよいし、各ゲインの大きい方を採用してもよいし、各ゲインの小さい方を採用してもよい。
このように路面摩擦係数,トルク微分値及びエンジン回転数に基づきゲインを変更することにより、上述した路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、トルク微分値に基づきゲインを変更する効果、及びエンジン回転数に基づきゲインを変更する効果の全てを奏することができる。すなわち、路面摩擦係数が小さい場合の操舵応答性を良好にすることができる。路面摩擦係数が大きい場合には、路面摩擦係数が小さい場合に比べて良好な操舵応答性が要求されない。そこで、路面摩擦係数が大きい場合には、ゲインを小さくすることにより、ハンドル保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。さらに、トルク微分値が大きい場合には操舵応答性を良好にすることができると共に、トルク微分値及びエンジン回転数が小さい場合にはハンドル保舵時の音や振動を抑制することができる。さらに、エンジン回転数が大きい場合にも操舵応答性を良好にすることができると共に、エンジン回転数が小さい場合にはハンドル保舵時の音や振動を抑制することができる。
なお、路面摩擦係数,トルク微分値及びエンジン回転数が小さい場合には、路面摩擦係数が小さいことによりゲインは大きく作用するのに対して、トルク微分値及びエンジン回転数が小さいことによりゲインが小さく作用する。また、路面摩擦係数,トルク微分値及びエンジン回転数が大きい場合には、路面摩擦係数が大きいことによりゲインは小さく作用するのに対して、トルク微分値及びエンジン回転数が大きいことによりゲインが大きく作用する。このような場合には、例えば、路面摩擦係数による効果を大きく発揮させたい場合には、路面摩擦係数に基づくゲインの値をトルク微分値及びエンジン回転数に基づくゲインの値に比べて大きく設定すればよい。また、トルク微分値及びエンジン回転数による効果を大きく発揮させたい場合には、上記とは逆に、路面摩擦係数に基づくゲインの値をトルク微分値及びエンジン回転数に基づくゲインの値に比べて小さく設定すればよい。つまり、例えば、路面摩擦係数,トルク微分値及びエンジン回転数が小さい場合には、トルク微分値及びエンジン回転数が小さいことにより単に小さなゲインが採用されるのではなく、路面摩擦係数を考慮して大きくなったゲインが採用されることになる。なお、路面摩擦係数−第3ゲイン関係、トルク微分値−第1ゲイン関係、エンジン回転数−第2ゲイン関係、第3ゲイン−第1ゲイン−第2ゲイン−ゲイン関係は、上述の場合に限られることなく、適宜変更することが可能である。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態における電動パワーステアリング装置の全体構成のブロック図を図1に示す。図1に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)1と、車速センサ(車速検出手段)2と、目標電流設定部(目標電流設定手段)3と、比例・積分ゲイン設定部(トルク微分値算出手段、ゲイン変更設定手段)4と、減算器(電動機制御手段)5と、比例制御部(電動機制御手段)6と、積分制御部(電動機制御手段)7と、加算器(電動機制御手段)8と、制御信号発生部(電動機制御手段)9と、電動機駆動部(電動機制御手段)10と、電動機電流検出部(電動機電流検出手段)11と、アシスト電動機12とから構成される。
操舵トルクセンサ1は、ステアリング軸(図示せず)にかかる操舵トルクを検出して、操舵トルク信号Tsを目標電流設定部3に出力するセンサである。具体的には、ステアリングホイールにステアリング軸が連結されており、このステアリング軸は、トーションバーを備えている。このトーションバーに操舵トルクセンサ1が取り付けられている。そして、ステアリングホイールが回転することによりトーションバーに回転力が加わり、その加わった回転力に応じてトーションバーが捻れる。そして、このトーションバーの捻れに対応するステアリング軸にかかる操舵トルクが、操舵トルクセンサ1により検出される。車速センサ2は、車両の走行速度を検出して、車速信号Vsを目標電流設定部3に出力するセンサである。この車速センサ2は、車両の前輪に取り付けられている。
目標電流設定部3は、入力された操舵トルク信号Tsの位相補償処理を行う。そして、位相補償処理が行われた操舵トルク信号Tsと車速信号Vsとに基づき、アシスト電動機12に供給する目標電流値に対応する目標電流信号Itを設定する。この目標電流信号Itの設定は、予め記憶された操舵トルク信号Ts及び車速信号Vsに対する目標電流信号Itの関係を示す目標電流マップに基づき行われる。
比例・積分ゲイン設定部4は、後述する比例制御部(比例要素)6の比例ゲインKpと積分制御部(積分要素)7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部4の処理について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。図3(a)は、トルク微分値に対する比例ゲインの関係(トルク微分値−比例ゲイン関係)を示す図である。図3(b)は、トルク微分値に対する積分ゲインの関係(トルク微分値−積分ゲイン関係)を示す図である。
まず、操舵トルクセンサ1から出力された操舵トルク信号Tsを読み込み、記憶する(ステップS1)。この操舵トルク信号Tsの読み込みは、予め設定された所定時間T1毎に行う。また、読み込まれた操舵トルク信号Tsは、所定時間T2間の操舵トルク信号Tsを記憶し、逐次更新していく。続いて、今回(時刻n)読み込まれた操舵トルク信号Ts1と前回(時刻n−T1)読み込まれた操舵トルク信号Ts2とに基づき、今回(時刻n)の操舵トルク信号Ts1から前回(時刻n−T1)の操舵トルク信号Ts2の差に相当するトルク微分値ΔTsを算出する(ステップS2)。このトルク微分値ΔTsは、時刻n−T1から時刻nにおける操舵トルクの変化量である。
続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(a)に示すトルク微分値−比例ゲイン関係(トルク微分値−比例ゲインマップ)とに基づき、比例ゲインKpを決定する(ステップS3)。この決定された比例ゲインKpは、後述する比例制御部6のバッファに格納される。ここで、トルク微分値−比例ゲイン関係について説明する。図3(a)に示すように、トルク微分値−比例ゲイン関係は、トルク微分値Tsが所定値以下において、トルク微分値Tsと比例ゲインKpとは一次の関係を有する。すなわち、トルク微分値Tsが所定値以下においては、トルク微分値Tsが小さくなるにつれて、比例ゲインKpが小さくなる関係を有する。トルク微分値Tsが所定値以上においては、トルク微分値Tsに関わらず比例ゲインKpは一定の関係を有する。
続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(b)に示すトルク微分値−積分ゲイン関係(トルク微分値−積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKiを決定する(ステップS4)。この決定された積分ゲインKiは、後述する積分制御部7のバッファに格納される。ここで、トルク微分値−積分ゲイン関係について説明する。図3(b)に示すように、トルク微分値−積分ゲイン関係は、トルク微分値Tsが所定値以下において、トルク微分値Tsと積分ゲインKiとは一次の関係を有する。すなわち、トルク微分値Tsが所定値以下においては、トルク微分値Tsが小さくなるにつれて、積分ゲインKiが小さくなる関係を有する。トルク微分値Tsが所定値以上においては、トルク微分値Tsに関わらず積分ゲインKiは一定の関係を有する。そして、この処理はリターンする。
減算器5は、目標電流設定部3にて設定された目標電流信号Itから後述する電動機電流検出部11にて検出された電動機電流信号Idを減算した、いわゆる偏差電流信号(偏差)ΔI(=It−Id)を算出する。
比例制御部6は、減算器5にて算出された偏差電流信号ΔIに比例・積分ゲイン設定部4にて決定され比例制御部6のバッファに格納された比例ゲインKpを乗算して得られる比例電流信号Ip(=ΔI×Kp)を算出する。積分制御部7は、減算器5にて算出された偏差電流信号ΔIに比例・積分ゲイン設定部4にて決定され積分制御部7のバッファに格納された積分ゲインKiを乗算して得られる積分電流信号Ii(=ΔI×Ki)を算出する。そして、加算器8は、比例制御部6にて算出された比例電流信号Ipと積分制御部7にて算出された積分電流信号Iiとを加算して、比例積分電流信号Ipi(=Ip+Ii)を算出する。
制御信号発生部9は、比例積分電流信号Ipiに基づきPWM信号を算出して、電動機駆動部10に出力する。そして、電動機駆動部10は、制御信号発生部9から出力されたPWM信号に基づき、アシスト電動機12に電流が供給される。このアシスト電動機に電流が供給されることにより、操舵補助力を発生させる。電動機電流検出部11は、アシスト電動機12に流れる電動機電流を検出して、電動機電流信号Idを減算器5に出力する。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、トルク微分値ΔTsに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。そして、トルク微分値ΔTsが小さい場合には比例ゲインKp及び積分ゲインKiを小さな値とし、トルク微分値ΔTsが大きい場合には比例ゲインKp及び積分ゲインKiを大きな値とする。つまり、良好な操舵応答性が要求されるトルク微分値ΔTsが大きい場合には、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを大きくするので、操舵フィーリングが向上する。一方、操舵応答性が比較的に要求されないトルク微分値ΔTsが小さい場合には、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを小さくするので、保舵時の音や振動等を確実に抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における電動パワーステアリング装置について図4を参照して説明する。図4に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)13と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)14と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
エンジン回転数センサ13は、車両を駆動するエンジン(図示せず)の回転数を検出して、エンジン回転数信号NEを出力するセンサである。そして、比例・積分ゲイン設定部14は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部14の処理について図5及び図6を参照して説明する。図5は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。図6(a)は、エンジン回転数に対する比例ゲインの関係(回転数−比例ゲイン関係)を示す図である。図6(b)は、エンジン回転数に対する積分ゲインの関係(回転数−積分ゲイン関係)を示す図である。
まず、エンジン回転数センサ13から出力されたエンジン回転数信号NE(min-1)を読み込み、記憶する(ステップS11)。このエンジン回転数信号NEの読み込みは、予め設定された所定時間T1毎に行う。読み込まれたエンジン回転数信号NEと図6(a)に示す回転数−比例ゲイン関係(回転数−比例ゲインマップ)とに基づき、比例ゲインKpを決定する(ステップS12)。この決定された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納する。ここで、回転数−比例ゲイン関係について説明する。図6(a)に示すように、回転数−比例ゲイン関係は、エンジン回転数NEが所定値以下において、エンジン回転数NEと比例ゲインKpとは一次の関係を有する。すなわち、エンジン回転数NEが所定値以下においては、エンジン回転数NEが小さくなるにつれて、比例ゲインKpが小さくなる関係を有する。エンジン回転数NEが所定値以上においては、エンジン回転数NEに関わらず比例ゲインKpは一定の関係を有する。
続いて、読み込まれたエンジン回転数NEと図6(b)に示す回転数−積分ゲイン関係(回転数−積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKiを決定する(ステップS13)。この決定された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。ここで、回転数−積分ゲイン関係について説明する。図6(b)に示すように、回転数−積分ゲイン関係は、エンジン回転数NEが所定値以下において、エンジン回転数NEと積分ゲインKiとは一次の関係を有する。すなわち、エンジン回転数NEが所定値以下においては、エンジン回転数NEが小さくなるにつれて、積分ゲインKiが小さくなる関係を有する。エンジン回転数NEが所定値以上においては、エンジン回転数NEに関わらず積分ゲインKiは一定の関係を有する。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、エンジン回転数NEに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。そして、エンジン回転数NEが大きい場合には、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを大きな値としても、ゲインが大きいことにより発生する音や振動は、エンジンの動作により発生する音や振動によりマスキングされる。従って、エンジン回転数NEが大きい場合には、乗員にとってゲインによる音や振動が気にならず、良好な操舵応答性を維持することができる。一方、エンジン回転数NEが小さい場合には、エンジンの動作により発生する音や振動が小さくなったとしても、ゲインにより発生する音や振動も抑制できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における電動パワーステアリング装置について図7を参照して説明する。図7に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、エンジン回転数センサ13と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)15と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態及び第2実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
比例・積分ゲイン設定部15は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部15の処理について図3、図6及び図8を参照して説明する。図8は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。また、ここでは、図3(a)は、トルク微分値に対する第1比例ゲインの関係(トルク微分値−第1比例ゲイン関係)を示す図とする。図3(b)は、トルク微分値に対する第1積分ゲインの関係(トルク微分値−第1積分ゲイン関係)を示す図とする。図6(a)は、エンジン回転数に対する第2比例ゲインの関係(回転数−第2比例ゲイン関係)を示す図である。図6(b)は、エンジン回転数に対する第2積分ゲインの関係(回転数−第2積分ゲイン関係)を示す図である。
まず、操舵トルクセンサ1から出力された操舵トルク信号Tsを読み込み、記憶する(ステップS21)。この操舵トルク信号Tsの読み込み及び記憶は、第1実施形態において説明したものと同様である。続いて、エンジン回転数センサ13から出力されたエンジン回転数信号NEを読み込み、記憶する(ステップS22)。このエンジン回転数信号NEの読み込み及び記憶は、第2実施形態において説明したものと同様である。
続いて、今回(時刻n)読み込まれた操舵トルク信号Ts1と前回(時刻n−T1)読み込まれた操舵トルク信号Ts2とに基づき、今回(時刻n)の操舵トルク信号Ts1から前回(時刻n−T1)の操舵トルク信号Ts2の差に相当するトルク微分値ΔTsを算出する(ステップS23)。続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(a)に示すトルク微分値−第1比例ゲイン関係(トルク微分値−第1比例ゲインマップ)とに基づき、第1比例ゲインKp1を決定する(ステップS24)。続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(b)に示すトルク微分値−第1積分ゲイン関係(トルク微分値−第1積分ゲインマップ)とに基づき、第1積分ゲインKi1を決定する(ステップS25)。なお、第1比例ゲインKp1及び第1積分ゲインKi1は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、読み込まれたエンジン回転数信号NEと図6(a)に示す回転数−第2比例ゲイン関係(回転数−第2比例ゲインマップ)とに基づき、第2比例ゲインKp2を決定する(ステップS26)。続いて、読み込まれたエンジン回転数NEと図6(b)に示す回転数−第2積分ゲイン関係(回転数−第2積分ゲインマップ)とに基づき、第2積分ゲインKi2を決定する(ステップS27)。なお、第2比例ゲインKp2及び第2積分ゲインKi2は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、ステップS24にて決定された第1比例ゲインKp1とステップS26にて決定された第2比例ゲインKp2とを乗算した比例ゲインKp(=Kp1×Kp2)を算出する(第1比例ゲイン−第2比例ゲイン−比例ゲイン関係)(ステップS28)。この算出された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納される。続いて、ステップS25にて決定された第1積分ゲインKi1とステップS27にて決定された第2積分ゲインKi2とを乗算した積分ゲインKi(=Ki1×Ki2)を算出する(第1積分ゲイン−第2積分ゲイン−積分ゲイン関係)(ステップS29)。この算出された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、トルク微分値ΔTs及びエンジン回転数NEに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。そして、トルク微分値ΔTsが大きい場合又はエンジン回転数NEが大きい場合には、良好な操舵応答性を維持することができる。一方、トルク微分値ΔTsが小さい場合又はエンジン回転数NEが小さい場合には、保舵時の音や振動をより適切に抑制することができる。
なお、上記実施形態における第1ゲイン−第2ゲイン−比例・積分ゲイン関係は、ゲインK(Kp,Ki)が第1ゲインK1(Kp1,Ki1)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とを乗算した関係として説明したが、これに限られるものではない。例えば、ゲインK(Kp,Ki)が、第1ゲインK1(Kp1,Ki1)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とを加算した関係であってもよいし、第1ゲインK1(Kp1,Ki1)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とのうち大きい方を選択する関係等であってもよい。
また、上記実施形態においては、トルク微分値−第1比例ゲイン関係、トルク微分値−第1積分ゲイン関係、回転数−第2比例ゲイン関係、及び回転数−第2積分ゲイン関係とを用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを算出したが、これに限られるものではない。例えば、予め、トルク微分値−回転数−比例ゲイン関係、及びトルク微分値−回転数−積分ゲイン関係を用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを決定してもよい。なお、トルク微分値−回転数−比例ゲイン関係、及びトルク微分値−回転数−積分ゲイン関係は、それぞれ3次元的な関係を有するものである。この場合、トルク微分値−回転数−比例・積分ゲイン関係は、例えば、トルク微分値ΔTs及びエンジン回転数NEが小さくなるにつれて、比例ゲインKp若しくは積分ゲインKiが小さくなる関係等とする。そして、比例・積分ゲイン設定処理は、ステップS24,S26,S28とが一つとなり、ステップS25,S27,S29が一つになる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態における電動パワーステアリング装置について図9を参照して説明する。図9に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、路面摩擦係数算出部(路面摩擦係数検出手段)16と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)17と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
路面摩擦係数算出部16は、車両が走行している路面の摩擦係数μを算出する。この路面摩擦係数μは、例えば、特開2000−55790号公報等により、車速に基づき推定することは公知である。そして、比例・積分ゲイン設定部17は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部17の処理について図10及び図11を参照して説明する。図10は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。図11(a)は、路面摩擦係数μに対する比例ゲインの関係(路面摩擦係数−比例ゲイン関係)を示す図である。図11(b)は、路面摩擦係数μに対する積分ゲインの関係(路面摩擦係数−積分ゲイン関係)を示す図である。
まず、路面摩擦係数算出部16から出力された路面摩擦係数μを読み込み、記憶する(ステップS31)。この路面摩擦係数μの読み込みは、予め設定された所定時間T1毎に行う。読み込まれた路面摩擦係数μと図11(a)に示す路面摩擦係数−比例ゲイン関係(路面摩擦係数−比例ゲインマップ)とに基づき、比例ゲインKpを決定する(ステップS32)。この決定された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納する。ここで、路面摩擦係数−比例ゲイン関係について説明する。図11(a)に示すように、路面摩擦係数−比例ゲイン関係は、路面摩擦係数μが所定値以下において、路面摩擦係数μと比例ゲインKpとは一次の関係を有する。すなわち、路面摩擦係数μが所定値以下においては、路面摩擦係数μが小さくなるにつれて、比例ゲインKpが大きくなる関係を有する。路面摩擦係数μが所定値以上においては、路面摩擦係数μに関わらず比例ゲインKpは一定の関係を有する。
続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(b)に示す路面摩擦係数−積分ゲイン関係(路面摩擦係数−積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKiを決定する(ステップS33)。この決定された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。ここで、路面摩擦係数−積分ゲイン関係について説明する。図11(b)に示すように、路面摩擦係数−積分ゲイン関係は、路面摩擦係数μが所定値以下において、路面摩擦係数μと積分ゲインKiとは一次の関係を有する。すなわち、路面摩擦係数μが所定値以下においては、路面摩擦係数μが小さくなるにつれて、積分ゲインKiが大きくなる関係を有する。路面摩擦係数μが所定値以上においては、路面摩擦係数μに関わらず積分ゲインKiは一定の関係を有する。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数μに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。そして、路面摩擦係数μが小さい場合には、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを大きな値とする。つまり、良好な操舵応答性が要求される路面摩擦係数μが小さい場合に、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを大きくするので、操舵フィーリングが向上する。一方、操舵応答性が比較的に要求されない路面摩擦係数μが大きい場合には、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを小さくするので、ハンドル保舵時の音や振動等を確実に抑制することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態における電動パワーステアリング装置について図12を参照して説明する。図12に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、路面摩擦係数算出部(路面摩擦係数検出手段)16と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)18と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態及び第4実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
比例・積分ゲイン設定部18は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部18の処理について図11、図13及び図14を参照して説明する。図13は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。図14(a)は、車速に対する比例ゲインの関係(車速−比例ゲイン関係)を示す図である。図14(b)は、車速に対する積分ゲインの関係(車速−積分ゲイン関係)を示す図である。
まず、路面摩擦係数算出部16から出力された路面摩擦係数μを読み込み、記憶する(ステップS41)。この路面摩擦係数μの読み込み及び記憶は、第4実施形態において説明したものと同様である。続いて、車速センサ2から出力された車速信号Vsを読み込み、記憶する(ステップS42)。この車速信号Vsの読み込みは、予め設定された所定時間T1毎に行う。
続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(a)に示す路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係(路面摩擦係数−第3比例ゲインマップ)とに基づき、第3比例ゲインKp3を決定する(ステップS43)。続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(b)に示す路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係(路面摩擦係数−第3積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKi3を決定する(ステップS44)。なお、第3比例ゲインKp3及び第3積分ゲインKi3は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、読み込まれた車速信号Vsと図14に示す車速−第4比例ゲイン関係(車速−第4比例ゲインマップ)とに基づき、第4比例ゲインKp4を決定する(ステップS45)。続いて、読み込まれた車速信号Vsと図14(b)に示す車速−第4積分ゲイン関係(車速−第4積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKi4を決定する(ステップS46)。なお、第4比例ゲインKp4及び第4積分ゲインKi4は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、ステップS43にて決定された第3比例ゲインKp3とステップS45にて決定された第4比例ゲインKp4とを乗算した比例ゲインKp(=Kp3×Kp4)を算出する(第3比例ゲイン−第4比例ゲイン−比例ゲイン関係)(ステップS47)。この算出された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納される。続いて、ステップS44にて決定された第3積分ゲインKi3とステップS46にて決定された第4積分ゲインKi4とを乗算した積分ゲインKi(=Ki3×Ki4)を算出する(第3積分ゲイン−第4積分ゲイン−積分ゲイン関係)(ステップS48)。この算出された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数μ及び車速Vsに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。すなわち、路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、及び、以下の車速に基づきゲインを変更する効果の双方の効果を奏することができる。ここで、車速に基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更することにより、高速時には操舵応答性を良好にすることができると共に、低速時にはハンドル保舵時の音や振動を抑制することができる。また、低速時に路面摩擦係数μが小さい場合には、低速であることにより単に比例ゲインKp及び積分ゲインKiを小さくさせるのではなく、路面摩擦係数μが小さいことにより比例ゲインKp及び積分ゲインKiを大きくさせるようにする。すなわち、低速時であっても路面摩擦係数が小さい場合には、操舵フィーリングを良好にすることができる。
なお、上記実施形態における第3ゲイン−第4ゲイン−比例・積分ゲイン関係は、ゲインK(Kp,Ki)が第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第4ゲインK4(Kp4,Ki4)とを乗算した関係として説明したが、これに限られるものではない。例えば、ゲインK(Kp,Ki)が、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第4ゲインK4(Kp4,Ki4)とを加算した関係であってもよいし、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第4ゲインK4(Kp4,Ki4)とのうち大きい方を選択する関係等であってもよい。
また、上記実施形態においては、路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係、路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係、車速−第4比例ゲイン関係、及び車速−第4積分ゲイン関係とを用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを算出したが、これに限られるものではない。例えば、予め、路面摩擦係数−車速−比例ゲイン関係、及び路面摩擦係数−車速−積分ゲイン関係を用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを決定してもよい。なお、路面摩擦係数−車速−比例ゲイン関係、及び路面摩擦係数−車速−積分ゲイン関係は、それぞれ3次元的な関係を有するものである。この場合、比例・積分ゲイン設定処理は、ステップS43,S45,S47とが一つの処理となり、ステップS44,S46,S48が一つの処理になる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態における電動パワーステアリング装置について図15を参照して説明する。図15に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、路面摩擦係数算出部(路面摩擦係数検出手段)16と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)19と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態及び第4実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
比例・積分ゲイン設定部19は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部19の処理について図3、図11及び図16を参照して説明する。図16は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。
まず、路面摩擦係数算出部16から出力された路面摩擦係数μを読み込み、記憶する(ステップS51)。この路面摩擦係数μの読み込み及び記憶は、第4実施形態において説明したものと同様である。続いて、操舵トルクセンサ1から出力された操舵トルク信号Tsを読み込み、記憶する(ステップS52)。この操舵トルク信号Tsの読み込み及び記憶は、第1実施形態において説明したものと同様である。
続いて、今回(時刻n)読み込まれた操舵トルク信号Ts1と前回(時刻n−T1)読み込まれた操舵トルク信号Ts2とに基づき、今回(時刻n)の操舵トルク信号Ts1から前回(時刻n−T1)の操舵トルク信号Ts2の差に相当するトルク微分値ΔTsを算出する(ステップS53)。
続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(a)に示す路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係(路面摩擦係数−第3比例ゲインマップ)とに基づき、第3比例ゲインKp3を決定する(ステップS54)。続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(b)に示す路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係(路面摩擦係数−第3積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKi3を決定する(ステップS55)。なお、第3比例ゲインKp3及び第3積分ゲインKi3は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(a)に示すトルク微分値−第1比例ゲイン関係(トルク微分値−第1比例ゲインマップ)とに基づき、第1比例ゲインKp1を決定する(ステップS56)。続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(b)に示すトルク微分値−第1積分ゲイン関係(トルク微分値−第1積分ゲインマップ)とに基づき、第1積分ゲインKi1を決定する(ステップS57)。なお、第1比例ゲインKp1及び第1積分ゲインKi1は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、ステップS54にて決定された第3比例ゲインKp3とステップS56にて決定された第1比例ゲインKp1とを乗算した比例ゲインKp(=Kp3×Kp1)を算出する(第3比例ゲイン−第1比例ゲイン−比例ゲイン関係)(ステップS58)。この算出された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納される。続いて、ステップS55にて決定された第3積分ゲインKi3とステップS57にて決定された第1積分ゲインKi1とを乗算した積分ゲインKi(=Ki3×Ki1)を算出する(第3積分ゲイン−第1積分ゲイン−積分ゲイン関係)(ステップS59)。この算出された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数μ及びトルク微分値Tsに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。すなわち、路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、及び、トルク微分値Tsに基づきゲインを変更する効果の双方の効果を奏することができる。
なお、上記実施形態における第3ゲイン−第1ゲイン−比例・積分ゲイン関係は、ゲインK(Kp,Ki)が第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第1ゲインK1(Kp1,Ki1)とを乗算した関係として説明したが、これに限られるものではない。例えば、ゲインK(Kp,Ki)が、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第1ゲインK1(Kp1,Ki1)とを加算した関係であってもよいし、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第1ゲインK1(Kp1,Ki1)とのうち大きい方を選択する関係等であってもよい。
また、上記実施形態においては、路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係、路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係、トルク微分値−第1比例ゲイン関係、及びトルク微分値−第1積分ゲイン関係とを用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを算出したが、これに限られるものではない。例えば、予め、路面摩擦係数−トルク微分値−比例ゲイン関係、及び路面摩擦係数−トルク微分値−積分ゲイン関係を用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを決定してもよい。なお、路面摩擦係数−トルク微分値−比例ゲイン関係、及び路面摩擦係数−トルク微分値−積分ゲイン関係は、それぞれ3次元的な関係を有するものである。この場合、比例・積分ゲイン設定処理は、ステップS54,S56,S58とが一つの処理となり、ステップS55,S57,S59が一つの処理になる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態における電動パワーステアリング装置について図17を参照して説明する。図17に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、エンジン回転数センサ13と、路面摩擦係数算出部16と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)20と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
比例・積分ゲイン設定部20は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部20の処理について図6、図11及び図18を参照して説明する。図18は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。
まず、路面摩擦係数算出部16から出力された路面摩擦係数μを読み込み、記憶する(ステップS61)。この路面摩擦係数μの読み込み及び記憶は、第4実施形態において説明したものと同様である。続いて、エンジン回転数センサ13から出力されたエンジン回転数信号NEを読み込み、記憶する(ステップS62)。このエンジン回転数信号NEの読み込み及び記憶は、第2実施形態において説明したものと同様である。
続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(a)に示す路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係(路面摩擦係数−第3比例ゲインマップ)とに基づき、第3比例ゲインKp3を決定する(ステップS63)。続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(b)に示す路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係(路面摩擦係数−第3積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKi3を決定する(ステップS64)。なお、第3比例ゲインKp3及び第3積分ゲインKi3は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、読み込まれたエンジン回転数信号NEと図6(a)に示す回転数−第2比例ゲイン関係(回転数−第2比例ゲインマップ)とに基づき、第2比例ゲインKp2を決定する(ステップS65)。続いて、読み込まれたエンジン回転数NEと図6(b)に示す回転数−第2積分ゲイン関係(回転数−第2積分ゲインマップ)とに基づき、第2積分ゲインKi2を決定する(ステップS66)。なお、第2比例ゲインKp2及び第2積分ゲインKi2は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、ステップS63にて決定された第3比例ゲインKp3とステップS65にて決定された第2比例ゲインKp2とを乗算した比例ゲインKp(=Kp3×Kp2)を算出する(第3比例ゲイン−第2比例ゲイン−比例ゲイン関係)(ステップS67)。この算出された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納される。続いて、ステップS64にて決定された第3積分ゲインKi3とステップS66にて決定された第2積分ゲインKi2とを乗算した積分ゲインKi(=Ki3×Ki2)を算出する(第3積分ゲイン−第2積分ゲイン−積分ゲイン関係)(ステップS68)。この算出された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数μ及びエンジン回転数NEに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。すなわち、路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、及び、エンジン回転数NEに基づきゲインを変更する効果の双方の効果を奏することができる。
なお、上記実施形態における第3ゲイン−第2ゲイン−比例・積分ゲイン関係は、ゲインK(Kp,Ki)が第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とを乗算した関係として説明したが、これに限られるものではない。例えば、ゲインK(Kp,Ki)が、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とを加算した関係であってもよいし、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とのうち大きい方を選択する関係等であってもよい。
また、上記実施形態においては、路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係、路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係、回転数−第2比例ゲイン関係、及び回転数−第2積分ゲイン関係とを用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを算出したが、これに限られるものではない。例えば、予め、路面摩擦係数−回転数−比例ゲイン関係、及び路面摩擦係数−回転数−積分ゲイン関係を用いて、比例ゲインKp及び積分ゲインKiを決定してもよい。なお、路面摩擦係数−回転数−比例ゲイン関係、及び路面摩擦係数−回転数−積分ゲイン関係は、それぞれ3次元的な関係を有するものである。この場合、比例・積分ゲイン設定処理は、ステップS63,S65,S67とが一つの処理となり、ステップS64,S66,S68が一つの処理になる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態における電動パワーステアリング装置について図19を参照して説明する。図19に示すように、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ1と、車速センサ2と、エンジン回転数センサ13と、路面摩擦係数算出部16と、目標電流設定部3と、比例・積分ゲイン設定部(ゲイン変更設定手段)21と、減算器5と、比例制御部6と、積分制御部7と、加算器8と、制御信号発生部9と、電動機駆動部10と、電動機電流検出部11と、アシスト電動機12とから構成される。なお、第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態における電動パワーステアリング装置と同一構成のものは、同一符号を付して説明を省略する。
比例・積分ゲイン設定部21は、比例制御部6の比例ゲインKpと積分制御部7の積分ゲインKiを設定する。ここで、比例・積分ゲイン設定部21の処理について図3、図6、図11及び図20を参照して説明する。図20は、比例・積分ゲイン設定処理を示すフローチャートである。
まず、路面摩擦係数算出部20から出力された路面摩擦係数μを読み込み、記憶する(ステップS71)。この路面摩擦係数μの読み込み及び記憶は、第4実施形態において説明したものと同様である。続いて、操舵トルクセンサ1から出力された操舵トルク信号Tsを読み込み、記憶する(ステップS72)。この操舵トルク信号Tsの読み込み及び記憶は、第1実施形態において説明したものと同様である。続いて、エンジン回転数センサ13から出力されたエンジン回転数信号NEを読み込み、記憶する(ステップS73)。このエンジン回転数信号NEの読み込み及び記憶は、第2実施形態において説明したものと同様である。
続いて、今回(時刻n)読み込まれた操舵トルク信号Ts1と前回(時刻n−T1)読み込まれた操舵トルク信号Ts2とに基づき、今回(時刻n)の操舵トルク信号Ts1から前回(時刻n−T1)の操舵トルク信号Ts2の差に相当するトルク微分値ΔTsを算出する(ステップS74)。
続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(a)に示す路面摩擦係数−第3比例ゲイン関係(路面摩擦係数−第3比例ゲインマップ)とに基づき、第3比例ゲインKp3を決定する(ステップS75)。続いて、読み込まれた路面摩擦係数μと図11(b)に示す路面摩擦係数−第3積分ゲイン関係(路面摩擦係数−第3積分ゲインマップ)とに基づき、積分ゲインKi3を決定する(ステップS76)。なお、第3比例ゲインKp3及び第3積分ゲインKi3は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(a)に示すトルク微分値−第1比例ゲイン関係(トルク微分値−第1比例ゲインマップ)とに基づき、第1比例ゲインKp1を決定する(ステップS77)。続いて、算出されたトルク微分値ΔTsと図3(b)に示すトルク微分値−第1積分ゲイン関係(トルク微分値−第1積分ゲインマップ)とに基づき、第1積分ゲインKi1を決定する(ステップS78)。なお、第1比例ゲインKp1及び第1積分ゲインKi1は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、読み込まれたエンジン回転数信号NEと図6(a)に示す回転数−第2比例ゲイン関係(回転数−第2比例ゲインマップ)とに基づき、第2比例ゲインKp2を決定する(ステップS79)。続いて、読み込まれたエンジン回転数NEと図6(b)に示す回転数−第2積分ゲイン関係(回転数−第2積分ゲインマップ)とに基づき、第2積分ゲインKi2を決定する(ステップS80)。なお、第2比例ゲインKp2及び第2積分ゲインKi2は、それぞれ比例制御部6の比例ゲインKpに対応するゲイン及び積分制御部7の積分ゲインKiに対応するゲインである。
続いて、ステップS75にて決定された第3比例ゲインKp3とステップS77にて決定された第1比例ゲインKp1とステップS79にて決定された第2比例ゲインKp2とを乗算した比例ゲインKp(=Kp3×Kp1×Kp2)を算出する(第3比例ゲイン−第1比例ゲイン−第2比例ゲイン−比例ゲイン関係)(ステップS81)。この算出された比例ゲインKpは、比例制御部6のバッファに格納される。続いて、ステップS76にて決定された第3積分ゲインKi3とステップS78にて決定された第1積分ゲインKi1とステップS80にて決定された第2積分ゲインKi2とを乗算した積分ゲインKi(=Ki3×Ki1×Ki2)を算出する(第3積分ゲイン−第1積分ゲイン−第2積分ゲイン−積分ゲイン関係)(ステップS82)。この算出された積分ゲインKiは、積分制御部7のバッファに格納される。そして、この処理はリターンする。
このように構成された電動パワーステアリング装置によれば、路面摩擦係数μ,トルク微分値Ts及びエンジン回転数NEに基づき比例ゲインKp及び積分ゲインKiを変更できる。すなわち、路面摩擦係数に基づきゲインを変更する効果、トルク微分値Tsに基づきゲインを変更する効果、及びエンジン回転数NEに基づきゲインを変更する効果の全ての効果を奏することができる。
なお、上記実施形態における第3ゲイン−第1ゲイン−第2ゲイン−比例・積分ゲイン関係は、ゲインK(Kp,Ki)が第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第1ゲインK1(Kp1,Ki1)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とを乗算した関係として説明したが、これに限られるものではない。例えば、ゲインK(Kp,Ki)が、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第1ゲインK1(Kp1,Ki1)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)とを加算した関係であってもよいし、第3ゲインK3(Kp3,Ki3)と第1ゲインK1(Kp1,Ki1)と第2ゲインK2(Kp2,Ki2)のうち大きい方を選択する関係等であってもよい。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態における図3(a)(b)に示すトルク微分値−比例・積分ゲイン関係、図6(a)(b)に示す回転数−比例・積分ゲイン関係、図11(a)(b)に示す路面摩擦係数−比例・積分ゲイン関係、図14(a)(b)に示す車速−比例・積分ゲイン関係において、トルク微分値ΔTs、エンジン回転数NE、路面摩擦係数、及び車速が所定値以下の場合に一次の関係としたが、これに限られるものではない。例えば、トルク微分値ΔTs、エンジン回転数NE、路面摩擦係数、又は車速に対して、比例ゲインKp又は積分ゲインKiが二次の関係等を有するようにしてもよい。また、上記実施形態においては、比例ゲインKp及び積分ゲインKiの双方について変更設定したが、何れか一方のゲインを変更設定するようにしてもよい。