JP2004338539A - 自動車用バンパ装置 - Google Patents

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真一 羽田
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Abstract

【課題】自動車のバンパ装置を構成するエネルギー吸収体を断面略コの字状の板物としたとき、このエネルギー吸収体をバンパリィンフォースに固定するのに溶接又はボルトを用いる。溶接する場合にはエネルギー吸収体の材質制約があり、ボルト止めの場合には作業工数が増大する。
【解決手段】バンパリィンフォース(2)の前壁部(3)と上下壁部(5,6)との間に平坦面(10)を有する段部(8)と、上下壁部(5,6)に係止片(11)とを設ける。エネルギー吸収体(14)の段部(15)をバンパリィンフォース(2)の段部(8)に係合させ、係止片(11)の当接面(13)を段部(15)に圧接させ、エネルギー吸収体(14)をバンパリィンフォース(2)にかしめた形で固定させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギー吸収体とバンパリィンフォースとの結合部を改良した自動車用バンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
対壁、対車両等の衝突時の安全に加えて、自動車が歩行者と接触した際、歩行者の安全を確保するために、低い衝撃(荷重)エネルギーであっても効率よく吸収する必要がある。即ち、低い衝撃(荷重)であっても、歩行者に障害を与えることなくその衝撃エネルギーをより効率よく吸収する必要がある。
【0003】
この要求に応じて、自動車のサイドメンバーに固定されるバンパリィンフォースの前方部に発泡樹脂材からなるエネルギー吸収体を配することが採用される。
【0004】
しかし、高剛性、高発泡密度の合成樹脂材の発泡体からなるエネルギー吸収体で問題となるのは発泡体の潰れ残りである。公知例の発泡体はポリプロピレン(PP)をポーラス状に変形したものであるが、衝撃が作用すると気孔のポーラス部が潰され、完全に密な圧縮体としての潰れ残りが出る。潰れ残りは、発泡体の容積の約1/3程の完全に密な又は高密度の弾性に欠けた圧縮体であり、衝撃エネルギーの吸収機能を有していない。
【0005】
前述した潰れ残りは、より低い衝撃力でより多くの衝突エネルギーを吸収するために、潰れ残りを見込んでエネルギー吸収体の厚みを大とさせる必要が生じ、自動車の設計の自由度を制約しかつ自動車の最小回転半径を増加させている。
【0006】
このため、特開平11−342812号公報は、鋼板又は樹脂で一体成形したエネルギー吸収ビームをバンパリィンフォースに溶接又はボルト止めすることを提案する。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−342812号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特開平11−342812号公報は、上部より下部を前方へ突き出した形状のエネルギー吸収体をバンパリィンフォースに溶接又はボルト止めすることを提案するが、溶接はエネルギー吸収体とバンパリィンフォースを同材質とする必要があり、さらに、エネルギー吸収体に変形が生じ、エネルギー吸収体を交換する際、溶接を切る等の作業が必要で煩わしい。
【0009】
ボルト止めという作業はエネルギー吸収体のバンパリィンフォースへの取付作業の工数を増加させる。
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的には、バンパリィンフォースに段部と係止片を設け、段部の平坦面と係止片の当接面との間にエネルギー吸収体の端部を介在させ、エネルギー吸収体をバンパリィンフォースに固定させる手段を用いる。
【0011】
この手段の採用は、係止片のエネルギー吸収体への係合作業のみで、溶接又はボルト止め作業を必要とせず、エネルギー吸収体のバンパリィンフォースへの組付作業の工数を大幅に少なくさせることができる。
【0012】
本発明によれば、車幅方向に延在しかつ上下壁部と該上下壁部と連結した前後壁部を有する中空のバンパリィンフォースが上壁部と前壁部との連結部に形成した段部と、該段部が前方に向きかつ上下方向に延在する平坦面を有し、さらに、該平坦面と離間対向する当接面を有する係止片とを備える自動車用バンパ装置が提供される。
【0013】
さらに、本発明は、車幅方向に延在しかつ上下壁部と該上下壁部と連結した前後壁部を有する中空のバンパリィンフォースが下壁部と前壁部との連結部に形成した段部と、該段部が前方に向きかつ上下方向に延在する平坦面を有し、さらに、該平坦面と離間対向する当接面を有する係止片とを備える自動車用バンパ装置を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
自動車用バンパ装置1を構成しかつ車幅方向に延在する中空のバンパリィンフォース2は、前壁部3,後壁部4、上壁部5、下壁部6、及び連結壁部7を有するアルミニウム合金の押出形材より成形される。図示例のバンパリィンフォース2は断面日の字状であるが、断面形状は図示例に限定されない。
【0015】
前壁部3と上下壁部5,6の結合部に段部8を形成する。段部8は、車両前後方向の平坦面9と上下方向の平坦面10とからなり、平坦面9は上下壁部5,6の外面より内方に位置しかつ平坦面10は前壁部3より後方に位置する。
【0016】
段部8の平坦面10より後方に係止片11を取り付ける。係止片11は、好ましくは、バンパリィンフォース2と一体に成形される。
係止片11は、上下壁部5,6に沿う本体12と、本体12の前部であって段部8の平坦面10と離間対向する当接面13とを有する断面カギ形に形成され、係止片11の後端部がバンパリィンフォース2と一体であり、係止片11はその後端部を中心に回動自在である。
係止片11の本体12の内面と上下壁部5,6の外面との間は離間対向する。
【0017】
車幅方向にバンパリィンフォース2に沿って延在するエネルギー吸収体14は、鋼板又は合成樹脂材で成形され、その端部は、バンパリィンフォース2の段部8と対応する段部15と、係止片11の内面とバンパリィンフォース2の外面との間に延在する平坦部16とからなる。
【0018】
エネルギー吸収体14のバンパリィンフォース2への取り付けは、エネルギー吸収体14の上下の段部15を、バンパリィンフォース2の段部8の平坦面10に当接させかつ平坦部16を上下壁部5,6の外表面に沿わせる。次いで、図2に示すように、バンパリィンフォース2の係止片11の当接面13をエネルギー吸収体14の段部15の外側面に係止させ、エネルギー吸収体14をバンパリィンフォース2へ固定させる。
【0019】
図3に示す例は、エネルギー吸収体14の端部の平坦部16を除き、段部15のみとした例で、係止片11の当接面13を段部15に接触させ、段部15を平坦面10に圧接させることで、エネルギー吸収体14をバンパリィンフォース2に固定させる。係止片11を別成形し、その端部をバンパリィンフォース2の溝(図示なし)に圧入して、係止片11をバンパリィンフォース2に固定してもよい。
【0020】
図4に示す例は、バンパリィンフォース2の上下壁部5,6の何れか一方の係止片11をカギ形のフック部17としたものである。この場合、フック部17に対応するエネルギー吸収体14の端部は断面コの字状の係合部18とする。
エネルギー吸収体14のバンパリィンフォース2への取り付けに際しては、フック部17に係合部18を、図4に示す如く、係合させた状態で、エネルギー吸収体14の段部15と平坦部16をバンパリィンフォース2の段部8と上壁部5の外表面に沿わせ、係止片11の当接面を、図2に示すように、エネルギー吸収体14の段部15に嵌め込み、段部15を平坦面10に密着させる。
かくして、エネルギー吸収体14がバンパリィンフォース2に固定される。
【0021】
自動車の軽量化の要望に応じて、バンパリィンフォースをアルミニウム合金製、エネルギー吸収体を合成樹脂製としても、即ち異種材の組合せであっても、エネルギー吸収体のバンパリィンフォースへの固定作業は容易である。
係止片はその端部を中心に折り曲げられエネルギー吸収体の端部の段部に、その当接面を圧接させているが、この作業に際し、前壁部がダイスの働きをするので、取付作業のための特殊工具を必要としない。
【0022】
エネルギー吸収体は係止片によりバンパリィンフォースの段部にかしめられるが、塑性変形はなく、エネルギー吸収体をバンパリィンフォースとは異種金属で製作しても、電食等の問題はない。
エネルギー吸収体の端部は係止片によりバンパリィンフォースにかしめられ、両者の結合強度は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の断面図である。
【図2】エネルギー吸収体のバンパリィンフォースへの取付状態を示す断面図である。
【図3】エネルギー吸収体の端部より平坦部を除いた例を示す部分断面図である。
【図4】フック部を用いた例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
2 バンパリィンフォース
3 前壁部
5,6 上下壁部
8 段部
9,10 平坦面
11 係止片
13 当接面
14 エネルギー吸収体
15 段部
16 平坦部
17 フック部
18 係合部

Claims (8)

  1. 車幅方向に延在しかつ上下壁部と該上下壁部と連結した前後壁部を有する中空のバンパリィンフォースが上壁部と前壁部との連結部に形成した段部と、該段部が前方に向きかつ上下方向に延在する平坦面を有し、さらに、該平坦面と離間対向する当接面を有する係止片とを備える自動車用バンパ装置。
  2. 車幅方向に延在しかつ上下壁部と該上下壁部と連結した前後壁部を有する中空のバンパリィンフォースが下壁部と前壁部との連結部に形成した段部と、該段部が前方に向きかつ上下方向に延在する平坦面を有し、さらに、該平坦面と離間対向する当接面を有する係止片とを備える自動車用バンパ装置。
  3. 係止片の一端がバンパリィンフォースと一体に結合されている請求項1又は2記載の自動車用バンパ装置。
  4. エネルギー吸収体の端部が段部に接する部分と、該部分から係止片とバンパリィンフォースとの結合部へとつづく平坦面とを有し、該端部が係止片とバンパリィンフォースとの間に配される請求項3記載の自動車用バンパ装置。
  5. 係止片の前部がエネルギー吸収体の段部に接する部分の前方に位置し、係止片の抜けを防止する請求項4記載の自動車用バンパ装置。
  6. 下壁部と前壁部との連結部に段部を有する請求項1記載の自動車用バンパ装置。
  7. 下壁部と前壁部との連結部にフック部が形成され、該フック部がエネルギー吸収体の端部に係合可能である請求項1記載の自動車用バンパ装置。
  8. エネルギー吸収体の端部がバンパリィンフォースの段部に当接し、係止片の当接面が端部を段部の平坦面に圧接させる請求項1又は2記載の自動車用バンパ装置。
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