JP2004338042A - ロータリカッタ装置及び切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反りを有する可動刃や固定刃により切断の際に生じる問題を解決する。
【解決手段】回動駆動される可動刃18とこの可動刃18に向けて付勢される固定刃17とを備える。固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃17の可動刃18に対する食い込み角度を可変に固定刃17を保持する固定刃保持部50を備える。これにより、切断動作の際には、固定刃17及び可動刃18の形状に応じて固定刃17が可動刃18に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃17や可動刃18に反りが合った場合でも固定刃17と可動刃18との位置関係が補正される。
【選択図】 図3
【解決手段】回動駆動される可動刃18とこの可動刃18に向けて付勢される固定刃17とを備える。固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃17の可動刃18に対する食い込み角度を可変に固定刃17を保持する固定刃保持部50を備える。これにより、切断動作の際には、固定刃17及び可動刃18の形状に応じて固定刃17が可動刃18に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃17や可動刃18に反りが合った場合でも固定刃17と可動刃18との位置関係が補正される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙などを切断するロータリカッタ装置及び切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レシート用紙等の長尺紙を用いるレシートプリンタ、ファクシミリ装置等では、印字後の用紙を適当な長さに切断するためのカッタ装置を印字部から見て用紙搬送方向下流側に備えたものが多い。このようなカッタ装置の一例としては、ロータリカッタ装置がある(例えば、特許文献1参照)。従来のロータリカッタ装置を図19に示す。
【0003】
ロータリカッタ装置100は、用紙全幅に渡る長さを有する板状の可動刃101と、同じく用紙全幅に渡る長さを有する板状の固定刃102とを備えている。可動刃101は、回転自在に設けられ、駆動部(図示せず)により駆動されて固定刃に対して揺動する。固定刃102は、回転自在に設けられ、スプリング103により可動刃101に向けて付勢されて可動刃101に接触している。
【0004】
可動刃101と固定刃102とは、それらの刃部101a,102aが平行位置から僅かに傾斜するように位置決めされている。詳しくは、可動刃101は、図20に示すように、刃部101aが可動刃傾き角度θxを有して可動刃101の回転軸104から傾斜するように位置決めされており、固定刃102は、初期状態で図21に示すように、刃部102aの切り終わり側が固定刃食い込み角度θyを有して可動刃101の回動軌跡内に食い込むように位置決めされている。これらの可動刃傾き角度θx及び固定刃食い込み角度θyにより、図19に示す可動刃101と固定刃102とのせん断角度θzが決定される。
【0005】
可動刃101及び固定刃102は、それらの回転軸心に対して正確に位置決めされている。これにより可動刃傾き角度θx及び固定刃食い込み角度θyは、切断動作中も一定となり、これによりせん断角度θzも切断動作中一定となる。
【0006】
このようなロータリカッタ装置100では、可動刃101を固定刃102に対して回動させて互いの刃部101a,102aを鋏のように噛み合せることにより、互いの刃部101a,102aの間に位置する用紙(例えば、レシート用紙等)を切断する。このロータリカッタ装置100は、簡単な構造でありながら用紙の確実な切断を実現している。
【0007】
【特許文献1】
特許第2930498号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロータリカッタ装置100では、可動刃101や固定刃102を薄く成形して熱処理を施したりすると、例えば、図22に示すように、互いの中央部が近づくような反りが発生してしまうことがある。
【0009】
このような反りが可動刃101や固定刃102に発生してしまうと、切り始め側ではせん断角度θzが小さくなってしまい、可動刃101を回動させても用紙を折り曲げるだけで用紙を切断することができなくなってしまうという問題が生じることがある。
【0010】
また、切り終わり側では可動刃101と固定刃102とが離れてしまい両刃101,102が接触することができなくなり用紙を切断することができなくなってしまうという問題が生じることがある。
【0011】
また、両刃101,102の中央部では、両刃101,102が近くなりすぎて固定刃102の回動に対する抵抗が大きくなり切断に要するトルクが増大してしまうという問題が生じてしまう。
【0012】
本発明の目的は、反りを有する可動刃や固定刃により切断の際に生じる問題を解決することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定刃の可動刃に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃の可動刃に対する食い込み角度を可変に固定刃を保持する固定刃保持部を備える。
【0014】
したがって、切断動作の際には、固定刃及び可動刃の形状に応じて固定刃が可動刃に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図18に基づいて説明する。本実施の形態のロータリカッタ装置は、商品販売データ処理装置であるPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末等に備えられるレシートプリンタのロータリカッタ装置に適用されている。
【0016】
ここで、図1は本実施の形態のレシートプリンタ1を概略的に示す縦断側面図、図2はその一部を分離して示す縦断側面図である。図1に示すように、レシートプリンタ1は、用紙収納部2、用紙ガイド3、印字部4及びロータリカッタ装置5などから構成されている。用紙収納部2は、円弧状に形成された底部を有し、切断対象物であるロール状に巻回された長尺状の用紙7を収納保持するものである。また、用紙ガイド3は、用紙収納部2と印字部4との間に設けられ、用紙収納部2に収納されている用紙7を印字部4へと案内するものである。すなわち、このレシートプリンタ1には、用紙収納部2を始点として印字部4を経由しロータリカッタ装置5へ至る用紙搬送経路6が形成されている。
【0017】
印字部4は、図示しないモータにより回転駆動されるプラテン8とこのプラテン8に対向する印字ヘッドであるサーマルヘッド9を主体に構成されている。サーマルヘッド9は、平板状のヘッド保持部材14に取り付けられている。このヘッド保持部材14は、支点15を中心としてプラテン8に近接離反する方向に回動自在に設けられており、後述するフック部材39との間に設けられ圧縮バネとして機能するコイルバネ16によってプラテン8に向けて付勢されている。これによりサーマルヘッド9がプラテン8に当接する。そして、印字部4では、プラテン8とサーマルヘッド9との間に介在する用紙7に対し、サーマルヘッド9によって印字がなされる。また、プラテン8がモータにより回転駆動されることにより用紙7が用紙搬送経路6に沿って搬送される。ここに、印字部4は、用紙7を搬送する搬送部としても機能する。
【0018】
印字部4の用紙搬送方向下流側に設けられたロータリカッタ装置5は、共に略平板状に形成された固定刃17と可動刃18とを組み合わせて構成されている。
【0019】
ここで、図3はロータリカッタ装置5の構成を概略的に示す斜視図である。図3に示すように、可動刃18は、略平板状に形成され、その一面18eのエッジを刃部18aとしている。可動刃18には、熱処理、具体的には焼入れが施されている。このような可動刃18は、可動刃保持部18cに着脱自在とされている。可動刃保持部18cは、弾性を有する樹脂製であって棒状に形成され、その軸心方向をプラテン8の軸心方向と平行とされている。可動刃保持部18cの両端部には、後述する本体フレーム23に回動自在に支持される支軸18bがそれぞれ形成されており、一方の支軸18bは、モータ(図示せず)の駆動力を伝達する駆動力伝達機構19(図10参照)に連設されている。
【0020】
可動刃保持部18cには、両支軸18bの間の断面を略半円形状とすることで可動刃18を支持するための平面部分(図示せず)が形成されており、この平面部分の両端部であって両支軸18bの内側には、可動刃18の両端部が摺動自在に嵌合可能な溝18dがそれぞれ形成されている。なお、これらの溝18dの底部には、溝18dに挿入された可動刃18の下端を支持して位置決めする位置決め部(図示せず)が形成されている。
【0021】
また、図4に示すように、可動刃保持部18cの溝18dは、挿入された可動刃18が可動刃保持部18cの軸心方向から僅かに傾斜するように形成されている。
【0022】
一方、固定刃17も図3に示すように略平板状に形成され、その一面17eのエッジを刃部17aとしている。固定刃17には、可動刃18の刃部18aを固定刃17の刃部17aとの噛み合せ位置に案内するための案内部17cが形成されている。より詳細には、この案内部17cは、固定刃17の刃部17aから外れた位置に当該刃部17aから連続し突出している。固定刃17には、熱処理、具体的には焼入れが施されている。
【0023】
このような固定刃17は、固定刃17及び可動刃18が図6(組み合わせ状態は図22と同様)に示すように刃部17a,18aの中央部が両端部よりも突出する反り量α,β(例えば両方とも約0.1mm)の反りを有している場合でもロータリカッタ装置5が用紙7を確実に切断でき、また、反りによる切断トルクの増大を防止できるように保持されている。具体的には、固定刃17は、刃部17aとは反対側に位置する短手方向端部側が図5に示すようなこの字形状の別体フレーム25に対して固定刃保持部50(図3参照)により支持されている。
【0024】
詳しくは、固定刃17の刃部17aとは反対側に位置する短手方向端部側の両端部(切り始め側及び切り終わり側)には、図3及び図7に示すように、一対の支軸挿入部51,52が設けられている。これらの切り始め側及び切り終わり側の支軸挿入部51,52には、長孔51a,52aが形成されている。これらの長孔51a,52aには、別体フレーム25に設けられた断面円状の固定刃支軸53が遊嵌されている。ここに、長孔51a,52a及び固定刃支軸53により遊嵌構造が実現されている。このとき、固定刃17は、固定刃支軸53に対して回動自在に取り付けられている。
【0025】
ここで、図19に示した従来のロータリカッタ装置100では、反りがない状態の固定刃17及び可動刃18に対して、初期状態の固定刃17が所定の食い込み角度θy(図21参照)を有するように、支軸挿入部51,52には、図7に仮想線で示すような固定刃支軸53の径と略同じ径の丸孔111,112が形成されていた。このような反りがない状態の固定刃17及び可動刃18に対しての固定刃17の食い込み角度θyを基準食い込み角度とする。本実施の形態では、切り始め側の長孔51aは、固定刃17の一面17eに対して直交する方向であって丸孔111に対して下側(刃部17a側)を大きくされている。この長孔51aの長さ方向は、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向である。ここで、食い込み方向とは、固定刃17の刃部17aが可動刃18の回動軌跡内に食い込む方向である。
【0026】
一方、切り終わり側の長孔52aは、固定刃17の一面17eに対して直交する方向であって丸孔112に対して上側(刃部17aとは逆側)を大きくされている。この長孔52aの長さ方向も、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向である。これらの長孔51a,52aは、丸孔111,112に対して、図8に示すように、固定刃17及び可動刃18の反り量=α+βと略同じ長さ分だけ長くされている。
【0027】
固定刃17と別体フレーム25との間には、図1及び図3に示すように、付勢部材であるスプリング10が備えられており、固定刃17はスプリング10によって可動刃18に向けて付勢されている。このスプリング10は、固定刃17の切り終わり側に配置され、固定刃17の切り終わり側を押している。
【0028】
このような固定刃17は、初期状態では切り始め側の案内部17cが図3に示すように可動刃18に押し上げられ、切り終わり側がスプリング10により押し下げられ、可動刃18に対して所定の食い込み角度θy(>基準食い込み角度θy)を有して傾斜する(図13(a)参照)。これにより、切り始め側では、図9(b)に示すように長孔51aの下部に固定刃支軸53が位置して長孔51aの上部に空間が形成される状態となり、切り終わり側では、図9(a)に示すように長孔52aの上部に固定刃支軸53が位置して長孔52aの下部に空間が形成される状態となる。
【0029】
このような固定刃17の刃部17aと可動刃18の刃部18aとは平行位置からは僅かに傾斜して位置決めされることになるので、図3に示すように、固定刃17の刃部17aと可動刃18の刃部18aとの間にはV字形状の切断対象物経路Zが形成される。この切断対象物経路Zは、用紙搬送経路6の一部である。
【0030】
次に、駆動力伝達機構19について図10を参照しつつ簡単に説明する。駆動力伝達機構19は、可動刃18の支軸18bに連結されてこの支軸18bを支点として揺動自在に軸支されるカッタアーム20と、本体フレーム23に取り付けられておりモータに連結されるギヤ列21と、本体フレーム23に回動自在に取り付けられておりギヤ列21に連結されてカッタアーム20とともにカム機構を構成する駆動クランク22とで構成されている。カッタアーム20には、初期位置では上下方向に長い長孔20aが形成されており、このカッタアーム20の長孔20aには、駆動クランク22の偏心ピン22aが係合している。つまり、駆動クランク22の偏心ピン22aは、ギヤ列21から伝達されるモータからの駆動力による駆動クランク22の回転に伴い、カッタアーム20の長孔20aの内部を移動することになる。そして、このように駆動クランク22の偏心ピン22aがカッタアーム20の長孔20aの内部を移動することにより、カッタアーム20が可動刃18の支軸18bを支点として揺動することになる。
【0031】
このようにしてカッタアーム20が揺動されることにより、可動刃18は支軸18bを中心に回動する。そして、可動刃18は、その回動に伴って固定刃17の案内部17cを押圧することになる。この際、固定刃17は、固定刃17と別体フレーム25とを連結するスプリング10の復帰力により、その回動方向とは逆方向に反力を持つことになる。すなわち、固定刃17と可動刃18とは平行位置からは僅かに傾斜して位置決めされていることから、可動刃18の回動と固定刃17の反力とによりV字形状の切断対象物経路Zが徐々に移動して小さくなることにより、それぞれの刃部17a,18aが鋏のように噛み合うことになる。つまり、ロータリカッタ装置5は、用紙搬送経路6を搬送される切断対象物である用紙7を、固定刃17の刃部17aと可動刃18の刃部18aとを噛み合せることにより切断する。
【0032】
図1及び図2に示すように、上述した、用紙収納部2、用紙ガイド3、サーマルヘッド9、可動刃18などは、レシートプリンタ1の本体フレーム23に設けられており、これらによって、レシートプリンタ1の第一のユニットである下ユニット24が構成されている。一方、プラテン8及び固定刃17は、本体フレーム23とは独立して設けられたコの字形状の別体フレーム25に設けられており、これらによってレシートプリンタ1の第二のユニットである上ユニット26が構成されている。なお、可動刃18を駆動するモータ及び駆動力伝達機構19と、プラテン8を駆動するモータとは、本体フレーム23に取り付けられている。上ユニット26は、下ユニット24に対して独立しており、下ユニット24に対して着脱自在(接離自在)とされている。
【0033】
下ユニット24と上ユニット26とは、連結手段である連結機構27によりに連結される。連結機構27は、図1及び図2に示すように、上ユニット26の別体フレーム25に取り付けられた連結軸28及びプラテン8と、下ユニット24の本体フレーム23に形成され連結軸28が嵌合可能な第一の支持部としての溝29と、下ユニット24の本体フレーム23に形成されプラテン8の両端部が嵌合可能な第二の支持部としてのU字形状の溝30とから構成されている。そして、連結軸28及びプラテン8が溝29,30に嵌合することにより上ユニット26が下ユニット24に対して位置決めされて、上ユニット26と下ユニット24とが連結される。この状態では、上ユニット26の下ユニット24に対する回動が規制される。ここで、プラテン8は、連結軸としても機能している。そして、この連結状態では、プラテン8とサーマルヘッド9とが対向し、また、可動刃18と固定刃17とが用紙7を切断可能な位置に位置付けられる。
【0034】
また、図11に示すように、下ユニット24には、溝30に嵌合したプラテン8の両支持軸8aにそれぞれ係脱自在である2つのフック部38が形成されたフック部材39が設けられている。このフック部材39は、フック部38とこのフック部38に一体に形成された平板状の平板部40とから構成されている。フック部材39は、支点15を中心としてフック部38がプラテン8の両支持軸8aに係脱する方向に回動自在とされている。このフック部材39は、ヘッド保持部材14との間に設けられたコイルバネ16によってプラテン8の両支持軸8aを係合する方向(図11中の矢印aの方向)に付勢されている。フック部38には、上ユニット26が下ユニット24に連結される際にプラテン8の両支持軸8aに当接しつつその干渉をフック部材39の回動作用で逃すための傾斜部38aが形成されている。そして、上ユニット26が下ユニット24に連結される際には、プラテン8の両支持軸8aに対するフック部材39の干渉がコイルバネ16の付勢力に抗してのフック部材39の回動動作によって逃がされながら、最終的にはプラテン8の両支持軸11にフック部38が係合し、上ユニット26の下ユニット24に対する上方向への移動がロックされる。ここで、上ユニット26が下ユニット24に連結されていない状態では、コイルバネ16に付勢されているフック部材39とヘッド保持部材14とは、本体フレーム23に形成された位置決め面41,42にそれぞれ当接して位置決めされている。
【0035】
このような構成において、レシートプリンタ1に用紙7をセットするには、フック部材39を解除方向(図11中に矢印bで示す方向)に回動させてフック部材39によるプラテン8のロックを解除し、上ユニット26を上方へ向けて移動させることにより連結機構27の連結を解除し上ユニット26を下ユニット24から取り外す。この状態で、用紙7を用紙収納部2に収納して、用紙7を可動刃18よりも用紙搬送方向下流側に引き出し、上ユニット26の連結軸28及びプラテン8が溝29,30にそれぞれ嵌合するように上ユニット26を下ユニット24に向けて移動させて上ユニット26と下ユニット24とを連結させる。このとき、フック部材39によりプラテン8のロックが行われる。そして、このように上ユニット26と下ユニット24とが連結されることにより、用紙7が、連結軸28と用紙ガイド3との間、サーマルヘッド9とプラテン8との間及び固定刃17と可動刃18との間に通された状態となる。
【0036】
このように、本実施の形態においては、可動刃18を有する第一のユニットである下ユニット24と、固定刃17を有し下ユニット24に対して接離自在に設けられた第二のユニットである上ユニット26と、を備えることにより、ロータリカッタ装置5への用紙7のセットを簡単に行うことができる。
【0037】
次に、ロータリカッタ装置5の切断動作における固定刃17の動きを図13ないし図15に基づいて詳しく説明する。まず、固定刃17及び可動刃18に反りが無い状態での動きを説明する。
【0038】
初期状態では、上述したように固定刃17は、切り始め側の案内部17cが可動刃18に押し上げられ、切り終わり側がスプリング10により押し下げられ、可動刃18に対して基準食い込み角度よりも大きい所定の食い込み角度θyを有して傾斜する(図13(a)参照)。図13中において、固定刃17と可動刃18との接触位置c、及び、固定刃17に対するスプリング10の押圧位置dをそれぞれ矢印で示す。
【0039】
ここで、図14は固定刃17の食い込み角度θyを基準食い込み角度と比較して示す説明図である。図4中の破線は従来の丸孔111,112における従来の固定刃の刃部を模式的に示し、一点鎖線は本実施の形態の固定刃17の刃部17aを模式的に示している。図4(a)は切り始め状態を示しており、図4中の角度Aは、切り始め状態における固定刃17の食い込み角度θyの基準食い込み角度からの傾斜角度である。つまり、切り始めの状態では、固定刃17の食い込み角度θyは、基準食い込み角度に比べて角度Aだけ大きくなっている。
【0040】
この初期状態から可動刃18が回動すると、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)が、高さ位置を一定に保ちながら切り終わり側へ移動し始める。これにより、固定刃17は切り始め側を支点として切り終わり側が上方に移動する。接触位置cが刃部17a,18aの略中央部に位置したときの固定刃17の状態を図13(b)に示す。このときの固定刃17の食い込み角度θyは、基準食い込み角度に比べて角度B(<角度A)だけ大きくなっている。
【0041】
この状態からさらに可動刃18が回動して、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)がスプリング10の押圧位置dを通過する際に、その接触位置cを支点として固定刃17の切り終わり側が下がり切り終わり側が上がる方向に固定刃17が回動する。これにより、切り始め側では、長孔51aの上部に固定刃支軸53が位置して長孔51aの下部に空間が形成される状態となり(図13(c)参照)、切り終わり側では、長孔52aの下部に固定刃支軸53が位置して長孔52aの下部に空間が形成される状態となる(図13(c)参照)。そして、固定刃17の食い込み角度θyは、図14(c)に示すように基準食い込み角度と同じになる。
【0042】
さらに可動刃18が回動して固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)が切り終わり側に位置した場合には、図13(c)に示すように、固定刃17の刃部17aは支持軸53の軸心と平行となる。このときの固定刃17の食い込み角度θyは、図14(c)に示すように基準食い込み角度と同じである。
【0043】
次に、固定刃17及び可動刃18に図6に示したような反りが有る場合の切断動作について説明する。固定刃17及び可動刃18に、図6に示したような反りが有る場合には、従来では切り始め側ではせん断角度が小さくなってしまうが、本実施の形態では、上述したように切り始め側では食い込み角度θyが基準食い込み角度に比べ大きくなっており、その分せん断角度が大きくなるので、固定刃17及び可動刃18に図6に示すような反りがあっても用紙7を確実に切断することができる。
【0044】
次に、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)が刃部17a,18aの中央部に位置した場合には、図13(b)及び図14(b)に示す状態よりも固定刃17の切り終わり側が上方へ逃げる。このとき、固定刃17の切り始め側は、従来のものよりも上方へ逃げているので、固定刃17の全体が上方へ移動する、つまり可動刃18から逃げることになる。これにより、両刃17,18の距離が適正に保たれる。よって、両刃17,18が近くなりすぎて固定刃17の回動に対する抵抗が大きくなり切断に要するトルクが増大してしまうという問題の発生が防止される。
【0045】
次に、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18bのかみ合い部)が切り終わり側に位置した場合には、図15(a)及び図15(b)に示すように、固定刃17の切り終わり側が、図13(c)及び図14(c)の状態よりも固定刃17及び可動刃18の反り量に応じて下がり、食い込み角度θyが基準食い込み角度よりも角度Dだけ大きくなる。これにより、刃部17aが刃部18aに近づき噛み合いを保つ。したがって、切り終わり側においても用紙7が確実に切断される。
【0046】
ここで、固定刃17及び可動刃18に図6に示すような反りがあっても切り始め側や切り終わり側において用紙7を確実に切断するために、従来のロータリカッタ装置100において単に固定刃102の食い込み角度θyを大きくしただけの場合を考える。この場合には、刃部101a,102aの噛み合い位置が切り終わり側に位置したときのスプリング103の押圧力が、食い込み角度を大きくする前の状態に比べて強くなってしまい、切断トルクが増大してしまう。この点、本実施の形態では、食い込み角度θyは、切り始め側では基準食い込み角度よりも大きいが、刃部17a,18aの噛み合い位置が切り終わり側へ移動するに従い基準食い込み角度に近づき、切り終わり側、詳しくは噛み合い位置がスプリング10の押圧位置dを通過してからは基準食い込み角度と同じになるので、切断トルクの増大が防止されている。これにより、切断動作がスムーズになる。
【0047】
このように本実施の形態では、切断動作の際には、固定刃17及び可動刃18の反りに応じて固定刃17が可動刃18に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃17や可動刃18に反りが合った場合でも固定刃17と可動刃18との位置関係が補正され、上述したように、反りを有する可動刃18や固定刃17により用紙切断の際に生じる問題を解決することができる。これにより、切断動作の動きがスムーズになる。
【0048】
また、固定刃17の食い込み角度θyが変化するので、様々な厚さの用紙7を切断することができる。
【0049】
また、固定刃17及び可動刃18の間への用紙7の進入経路としては、図16に示すように可動刃の一面18eに平行な進入経路61が理想的であり、この場合には用紙7が固定刃17の一面17eに対して垂直となり切断し易くなるが、本実施の形態では固定刃17の上下位置に自由度があるので、可動刃18の一面18eに角度を有する進入経路62であっても用紙7を容易に切断することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、固定刃保持部50を固定刃支軸53と長孔51a,52aとにより構成した例を説明したがこれに限るものではなく、固定刃保持部50としては、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃17の可動刃18に対する食い込み角度θyを可変に固定刃17を保持する構造であればよい。例えば、図17に示すように、固定刃17の両端部から延出して設けられた一対の突出部71,72と、別体フレーム25に設けられ突出部71,72が遊嵌される孔部73,74とにより固定刃保持部50を構成してもよい。
【0051】
このように本実施の形態においては、固定刃保持部50は、固定刃17を回動自在に保持していることにより、固定刃17と可動刃18とをスムーズに噛み合わせることができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、固定刃保持部50の遊嵌構造の遊びの量は、固定刃17の反り量αと可動刃18の反り量βとを加えた量以上であることにより、固定刃17及び可動刃18の反りに応じて固定刃17を移動させることができる。
【0053】
また、本実施の形態においては、固定刃17及び可動刃18には、熱処理が施されていることにより、可動刃18及び固定刃17の強度が強くなる。
【0054】
また、本実施の形態においては、略平板状であって一面のエッジを刃部18aとする可動刃18と、略平板状であって一面のエッジを刃部17aとし可動刃18に向けて付勢部材であるスプリング10により付勢される固定刃17とを備えるロータリカッタ装置5を用いての、可動刃18の回動に伴う可動刃18の刃部18aと固定刃17の刃部17aとの噛み合い位置の移動によって切断対象物である用紙7を切断する切断方法において、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃17及び可動刃18の形状に応じて固定刃17の可動刃18に対する食い込み角度θyを変更しながら用紙7を切断することにより、切断動作の際には、固定刃17及び可動刃18の反りに応じて固定刃17が可動刃18に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃17や可動刃18に反りが合った場合でも固定刃17と可動刃18との位置関係が補正され、上述したように、反りを有する可動刃や固定刃により用紙7の切断の際に生じる問題を解決することができる。
【0055】
次に、本実施の形態の変形例を図18に基づいて説明する。図18に示すように、本変形例ではスプリング10が固定刃17の刃部17aの切り始め側と切り終わり側との間の中央部に配置されている。
【0056】
このように本変形例においては、付勢部材であるスプリング10は、固定刃17の切り始め側と切り終わり側との間の略中央部を付勢する位置に位置付けられていることにより、固定刃17がスプリング10の押圧位置dを支点に回動する際のその支点が固定刃17の略中央部となるので固定刃17の動きがよりスムーズになる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、固定刃の可動刃に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃の可動刃に対する食い込み角度を可変に固定刃を保持する固定刃保持部を備えることにより、切断動作の際には、固定刃及び可動刃の形状に応じて固定刃が可動刃に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃や可動刃に反りが合った場合でも固定刃と可動刃との位置関係が補正され、これにより、反りを有する可動刃や固定刃により切断の際に生じる問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のレシートプリンタを概略的に示す縦断側面図である。
【図2】その一部を分離して示す縦断側面図である。
【図3】ロータリカッタ装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】ロータリカッタ装置の可動刃を概略的に示す平面図である。
【図5】別体フレームに取り付けられた固定刃を概略的に示す斜視図である。
【図6】反りが有るカッタ刃を示し、(a)は固定刃を示す側面図、(b)は可動刃を示す側面図である。
【図7】固定刃の長孔を示し、(a)は切り終わり側の長孔を示す側面図、(b)は切り始め側の長孔を示す側面図である。
【図8】長孔の大きさを説明するための説明図である。
【図9】長孔と支持軸との関係を示し、(a)は切り終わり側を示す側面図、(b)は切り始め側を示す側面図である。
【図10】駆動力伝達機構の構成を概略的に示す側面図である。
【図11】サーマルヘッド及びフック部材の取り付け構造を示す縦断側面図である。
【図12】固定刃と可動刃とを示し、(a)は両刃が切り始め側で接触している状態を示す斜視図、(b)は両刃が両刃の中央部で接触している状態を示す斜視図、(c)は両刃が切り終わり側で接触している状態を示す斜視図である。
【図13】固定刃と支持軸とを示し、(a)は固定刃が切り始め側で可動刃と接触している状態を示す背面図、(b)は固定刃が固定刃の中央部で可動刃と接触している状態を示す背面図、(c)は固定刃が切り終わり側で可動刃と接触している状態を示す背面図である。
【図14】固定刃の食い込み角度の大きさを説明するための説明図であり、(a)は固定刃が切り始め側で可動刃と接触している状態を示す説明図、(b)は固定刃が固定刃の中央部で可動刃と接触している状態を示す説明図、(c)は固定刃が切り終わり側で可動刃と接触している状態を示す説明図である。
【図15】固定刃と可動刃とに反りが有る場合の両刃が切り終わり側で接触している状態の固定刃と支持軸とを示し、(a)は固定刃を支持軸とともに示す背面図、(b)は固定刃の食い込み角度を説明するための説明図である。
【図16】固定刃と可動刃との間への用紙の進入経路を示す側面図である。
【図17】保持部の別の例を示す斜視図である。
【図18】本発明のロータリカッタ装置の変形例を示す斜視図である。
【図19】従来のロータリカッタ装置を斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
【図20】固定刃と可動刃とを示す平面図である。
【図21】固定刃と可動刃とを示す背面図である。
【図22】反りが有る固定刃と可動刃とを示す斜視図である。
【符号の説明】
5…ロータリカッタ装置、7…用紙(切断対象物)、10…スプリング(付勢部材)、17…固定刃、17a…刃部、18…可動刃、18a…刃部、24…下ユニット(第一のユニット)、26…上ユニット(第二のユニット)、50…固定刃保持部
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙などを切断するロータリカッタ装置及び切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レシート用紙等の長尺紙を用いるレシートプリンタ、ファクシミリ装置等では、印字後の用紙を適当な長さに切断するためのカッタ装置を印字部から見て用紙搬送方向下流側に備えたものが多い。このようなカッタ装置の一例としては、ロータリカッタ装置がある(例えば、特許文献1参照)。従来のロータリカッタ装置を図19に示す。
【0003】
ロータリカッタ装置100は、用紙全幅に渡る長さを有する板状の可動刃101と、同じく用紙全幅に渡る長さを有する板状の固定刃102とを備えている。可動刃101は、回転自在に設けられ、駆動部(図示せず)により駆動されて固定刃に対して揺動する。固定刃102は、回転自在に設けられ、スプリング103により可動刃101に向けて付勢されて可動刃101に接触している。
【0004】
可動刃101と固定刃102とは、それらの刃部101a,102aが平行位置から僅かに傾斜するように位置決めされている。詳しくは、可動刃101は、図20に示すように、刃部101aが可動刃傾き角度θxを有して可動刃101の回転軸104から傾斜するように位置決めされており、固定刃102は、初期状態で図21に示すように、刃部102aの切り終わり側が固定刃食い込み角度θyを有して可動刃101の回動軌跡内に食い込むように位置決めされている。これらの可動刃傾き角度θx及び固定刃食い込み角度θyにより、図19に示す可動刃101と固定刃102とのせん断角度θzが決定される。
【0005】
可動刃101及び固定刃102は、それらの回転軸心に対して正確に位置決めされている。これにより可動刃傾き角度θx及び固定刃食い込み角度θyは、切断動作中も一定となり、これによりせん断角度θzも切断動作中一定となる。
【0006】
このようなロータリカッタ装置100では、可動刃101を固定刃102に対して回動させて互いの刃部101a,102aを鋏のように噛み合せることにより、互いの刃部101a,102aの間に位置する用紙(例えば、レシート用紙等)を切断する。このロータリカッタ装置100は、簡単な構造でありながら用紙の確実な切断を実現している。
【0007】
【特許文献1】
特許第2930498号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロータリカッタ装置100では、可動刃101や固定刃102を薄く成形して熱処理を施したりすると、例えば、図22に示すように、互いの中央部が近づくような反りが発生してしまうことがある。
【0009】
このような反りが可動刃101や固定刃102に発生してしまうと、切り始め側ではせん断角度θzが小さくなってしまい、可動刃101を回動させても用紙を折り曲げるだけで用紙を切断することができなくなってしまうという問題が生じることがある。
【0010】
また、切り終わり側では可動刃101と固定刃102とが離れてしまい両刃101,102が接触することができなくなり用紙を切断することができなくなってしまうという問題が生じることがある。
【0011】
また、両刃101,102の中央部では、両刃101,102が近くなりすぎて固定刃102の回動に対する抵抗が大きくなり切断に要するトルクが増大してしまうという問題が生じてしまう。
【0012】
本発明の目的は、反りを有する可動刃や固定刃により切断の際に生じる問題を解決することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定刃の可動刃に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃の可動刃に対する食い込み角度を可変に固定刃を保持する固定刃保持部を備える。
【0014】
したがって、切断動作の際には、固定刃及び可動刃の形状に応じて固定刃が可動刃に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図18に基づいて説明する。本実施の形態のロータリカッタ装置は、商品販売データ処理装置であるPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末等に備えられるレシートプリンタのロータリカッタ装置に適用されている。
【0016】
ここで、図1は本実施の形態のレシートプリンタ1を概略的に示す縦断側面図、図2はその一部を分離して示す縦断側面図である。図1に示すように、レシートプリンタ1は、用紙収納部2、用紙ガイド3、印字部4及びロータリカッタ装置5などから構成されている。用紙収納部2は、円弧状に形成された底部を有し、切断対象物であるロール状に巻回された長尺状の用紙7を収納保持するものである。また、用紙ガイド3は、用紙収納部2と印字部4との間に設けられ、用紙収納部2に収納されている用紙7を印字部4へと案内するものである。すなわち、このレシートプリンタ1には、用紙収納部2を始点として印字部4を経由しロータリカッタ装置5へ至る用紙搬送経路6が形成されている。
【0017】
印字部4は、図示しないモータにより回転駆動されるプラテン8とこのプラテン8に対向する印字ヘッドであるサーマルヘッド9を主体に構成されている。サーマルヘッド9は、平板状のヘッド保持部材14に取り付けられている。このヘッド保持部材14は、支点15を中心としてプラテン8に近接離反する方向に回動自在に設けられており、後述するフック部材39との間に設けられ圧縮バネとして機能するコイルバネ16によってプラテン8に向けて付勢されている。これによりサーマルヘッド9がプラテン8に当接する。そして、印字部4では、プラテン8とサーマルヘッド9との間に介在する用紙7に対し、サーマルヘッド9によって印字がなされる。また、プラテン8がモータにより回転駆動されることにより用紙7が用紙搬送経路6に沿って搬送される。ここに、印字部4は、用紙7を搬送する搬送部としても機能する。
【0018】
印字部4の用紙搬送方向下流側に設けられたロータリカッタ装置5は、共に略平板状に形成された固定刃17と可動刃18とを組み合わせて構成されている。
【0019】
ここで、図3はロータリカッタ装置5の構成を概略的に示す斜視図である。図3に示すように、可動刃18は、略平板状に形成され、その一面18eのエッジを刃部18aとしている。可動刃18には、熱処理、具体的には焼入れが施されている。このような可動刃18は、可動刃保持部18cに着脱自在とされている。可動刃保持部18cは、弾性を有する樹脂製であって棒状に形成され、その軸心方向をプラテン8の軸心方向と平行とされている。可動刃保持部18cの両端部には、後述する本体フレーム23に回動自在に支持される支軸18bがそれぞれ形成されており、一方の支軸18bは、モータ(図示せず)の駆動力を伝達する駆動力伝達機構19(図10参照)に連設されている。
【0020】
可動刃保持部18cには、両支軸18bの間の断面を略半円形状とすることで可動刃18を支持するための平面部分(図示せず)が形成されており、この平面部分の両端部であって両支軸18bの内側には、可動刃18の両端部が摺動自在に嵌合可能な溝18dがそれぞれ形成されている。なお、これらの溝18dの底部には、溝18dに挿入された可動刃18の下端を支持して位置決めする位置決め部(図示せず)が形成されている。
【0021】
また、図4に示すように、可動刃保持部18cの溝18dは、挿入された可動刃18が可動刃保持部18cの軸心方向から僅かに傾斜するように形成されている。
【0022】
一方、固定刃17も図3に示すように略平板状に形成され、その一面17eのエッジを刃部17aとしている。固定刃17には、可動刃18の刃部18aを固定刃17の刃部17aとの噛み合せ位置に案内するための案内部17cが形成されている。より詳細には、この案内部17cは、固定刃17の刃部17aから外れた位置に当該刃部17aから連続し突出している。固定刃17には、熱処理、具体的には焼入れが施されている。
【0023】
このような固定刃17は、固定刃17及び可動刃18が図6(組み合わせ状態は図22と同様)に示すように刃部17a,18aの中央部が両端部よりも突出する反り量α,β(例えば両方とも約0.1mm)の反りを有している場合でもロータリカッタ装置5が用紙7を確実に切断でき、また、反りによる切断トルクの増大を防止できるように保持されている。具体的には、固定刃17は、刃部17aとは反対側に位置する短手方向端部側が図5に示すようなこの字形状の別体フレーム25に対して固定刃保持部50(図3参照)により支持されている。
【0024】
詳しくは、固定刃17の刃部17aとは反対側に位置する短手方向端部側の両端部(切り始め側及び切り終わり側)には、図3及び図7に示すように、一対の支軸挿入部51,52が設けられている。これらの切り始め側及び切り終わり側の支軸挿入部51,52には、長孔51a,52aが形成されている。これらの長孔51a,52aには、別体フレーム25に設けられた断面円状の固定刃支軸53が遊嵌されている。ここに、長孔51a,52a及び固定刃支軸53により遊嵌構造が実現されている。このとき、固定刃17は、固定刃支軸53に対して回動自在に取り付けられている。
【0025】
ここで、図19に示した従来のロータリカッタ装置100では、反りがない状態の固定刃17及び可動刃18に対して、初期状態の固定刃17が所定の食い込み角度θy(図21参照)を有するように、支軸挿入部51,52には、図7に仮想線で示すような固定刃支軸53の径と略同じ径の丸孔111,112が形成されていた。このような反りがない状態の固定刃17及び可動刃18に対しての固定刃17の食い込み角度θyを基準食い込み角度とする。本実施の形態では、切り始め側の長孔51aは、固定刃17の一面17eに対して直交する方向であって丸孔111に対して下側(刃部17a側)を大きくされている。この長孔51aの長さ方向は、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向である。ここで、食い込み方向とは、固定刃17の刃部17aが可動刃18の回動軌跡内に食い込む方向である。
【0026】
一方、切り終わり側の長孔52aは、固定刃17の一面17eに対して直交する方向であって丸孔112に対して上側(刃部17aとは逆側)を大きくされている。この長孔52aの長さ方向も、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向である。これらの長孔51a,52aは、丸孔111,112に対して、図8に示すように、固定刃17及び可動刃18の反り量=α+βと略同じ長さ分だけ長くされている。
【0027】
固定刃17と別体フレーム25との間には、図1及び図3に示すように、付勢部材であるスプリング10が備えられており、固定刃17はスプリング10によって可動刃18に向けて付勢されている。このスプリング10は、固定刃17の切り終わり側に配置され、固定刃17の切り終わり側を押している。
【0028】
このような固定刃17は、初期状態では切り始め側の案内部17cが図3に示すように可動刃18に押し上げられ、切り終わり側がスプリング10により押し下げられ、可動刃18に対して所定の食い込み角度θy(>基準食い込み角度θy)を有して傾斜する(図13(a)参照)。これにより、切り始め側では、図9(b)に示すように長孔51aの下部に固定刃支軸53が位置して長孔51aの上部に空間が形成される状態となり、切り終わり側では、図9(a)に示すように長孔52aの上部に固定刃支軸53が位置して長孔52aの下部に空間が形成される状態となる。
【0029】
このような固定刃17の刃部17aと可動刃18の刃部18aとは平行位置からは僅かに傾斜して位置決めされることになるので、図3に示すように、固定刃17の刃部17aと可動刃18の刃部18aとの間にはV字形状の切断対象物経路Zが形成される。この切断対象物経路Zは、用紙搬送経路6の一部である。
【0030】
次に、駆動力伝達機構19について図10を参照しつつ簡単に説明する。駆動力伝達機構19は、可動刃18の支軸18bに連結されてこの支軸18bを支点として揺動自在に軸支されるカッタアーム20と、本体フレーム23に取り付けられておりモータに連結されるギヤ列21と、本体フレーム23に回動自在に取り付けられておりギヤ列21に連結されてカッタアーム20とともにカム機構を構成する駆動クランク22とで構成されている。カッタアーム20には、初期位置では上下方向に長い長孔20aが形成されており、このカッタアーム20の長孔20aには、駆動クランク22の偏心ピン22aが係合している。つまり、駆動クランク22の偏心ピン22aは、ギヤ列21から伝達されるモータからの駆動力による駆動クランク22の回転に伴い、カッタアーム20の長孔20aの内部を移動することになる。そして、このように駆動クランク22の偏心ピン22aがカッタアーム20の長孔20aの内部を移動することにより、カッタアーム20が可動刃18の支軸18bを支点として揺動することになる。
【0031】
このようにしてカッタアーム20が揺動されることにより、可動刃18は支軸18bを中心に回動する。そして、可動刃18は、その回動に伴って固定刃17の案内部17cを押圧することになる。この際、固定刃17は、固定刃17と別体フレーム25とを連結するスプリング10の復帰力により、その回動方向とは逆方向に反力を持つことになる。すなわち、固定刃17と可動刃18とは平行位置からは僅かに傾斜して位置決めされていることから、可動刃18の回動と固定刃17の反力とによりV字形状の切断対象物経路Zが徐々に移動して小さくなることにより、それぞれの刃部17a,18aが鋏のように噛み合うことになる。つまり、ロータリカッタ装置5は、用紙搬送経路6を搬送される切断対象物である用紙7を、固定刃17の刃部17aと可動刃18の刃部18aとを噛み合せることにより切断する。
【0032】
図1及び図2に示すように、上述した、用紙収納部2、用紙ガイド3、サーマルヘッド9、可動刃18などは、レシートプリンタ1の本体フレーム23に設けられており、これらによって、レシートプリンタ1の第一のユニットである下ユニット24が構成されている。一方、プラテン8及び固定刃17は、本体フレーム23とは独立して設けられたコの字形状の別体フレーム25に設けられており、これらによってレシートプリンタ1の第二のユニットである上ユニット26が構成されている。なお、可動刃18を駆動するモータ及び駆動力伝達機構19と、プラテン8を駆動するモータとは、本体フレーム23に取り付けられている。上ユニット26は、下ユニット24に対して独立しており、下ユニット24に対して着脱自在(接離自在)とされている。
【0033】
下ユニット24と上ユニット26とは、連結手段である連結機構27によりに連結される。連結機構27は、図1及び図2に示すように、上ユニット26の別体フレーム25に取り付けられた連結軸28及びプラテン8と、下ユニット24の本体フレーム23に形成され連結軸28が嵌合可能な第一の支持部としての溝29と、下ユニット24の本体フレーム23に形成されプラテン8の両端部が嵌合可能な第二の支持部としてのU字形状の溝30とから構成されている。そして、連結軸28及びプラテン8が溝29,30に嵌合することにより上ユニット26が下ユニット24に対して位置決めされて、上ユニット26と下ユニット24とが連結される。この状態では、上ユニット26の下ユニット24に対する回動が規制される。ここで、プラテン8は、連結軸としても機能している。そして、この連結状態では、プラテン8とサーマルヘッド9とが対向し、また、可動刃18と固定刃17とが用紙7を切断可能な位置に位置付けられる。
【0034】
また、図11に示すように、下ユニット24には、溝30に嵌合したプラテン8の両支持軸8aにそれぞれ係脱自在である2つのフック部38が形成されたフック部材39が設けられている。このフック部材39は、フック部38とこのフック部38に一体に形成された平板状の平板部40とから構成されている。フック部材39は、支点15を中心としてフック部38がプラテン8の両支持軸8aに係脱する方向に回動自在とされている。このフック部材39は、ヘッド保持部材14との間に設けられたコイルバネ16によってプラテン8の両支持軸8aを係合する方向(図11中の矢印aの方向)に付勢されている。フック部38には、上ユニット26が下ユニット24に連結される際にプラテン8の両支持軸8aに当接しつつその干渉をフック部材39の回動作用で逃すための傾斜部38aが形成されている。そして、上ユニット26が下ユニット24に連結される際には、プラテン8の両支持軸8aに対するフック部材39の干渉がコイルバネ16の付勢力に抗してのフック部材39の回動動作によって逃がされながら、最終的にはプラテン8の両支持軸11にフック部38が係合し、上ユニット26の下ユニット24に対する上方向への移動がロックされる。ここで、上ユニット26が下ユニット24に連結されていない状態では、コイルバネ16に付勢されているフック部材39とヘッド保持部材14とは、本体フレーム23に形成された位置決め面41,42にそれぞれ当接して位置決めされている。
【0035】
このような構成において、レシートプリンタ1に用紙7をセットするには、フック部材39を解除方向(図11中に矢印bで示す方向)に回動させてフック部材39によるプラテン8のロックを解除し、上ユニット26を上方へ向けて移動させることにより連結機構27の連結を解除し上ユニット26を下ユニット24から取り外す。この状態で、用紙7を用紙収納部2に収納して、用紙7を可動刃18よりも用紙搬送方向下流側に引き出し、上ユニット26の連結軸28及びプラテン8が溝29,30にそれぞれ嵌合するように上ユニット26を下ユニット24に向けて移動させて上ユニット26と下ユニット24とを連結させる。このとき、フック部材39によりプラテン8のロックが行われる。そして、このように上ユニット26と下ユニット24とが連結されることにより、用紙7が、連結軸28と用紙ガイド3との間、サーマルヘッド9とプラテン8との間及び固定刃17と可動刃18との間に通された状態となる。
【0036】
このように、本実施の形態においては、可動刃18を有する第一のユニットである下ユニット24と、固定刃17を有し下ユニット24に対して接離自在に設けられた第二のユニットである上ユニット26と、を備えることにより、ロータリカッタ装置5への用紙7のセットを簡単に行うことができる。
【0037】
次に、ロータリカッタ装置5の切断動作における固定刃17の動きを図13ないし図15に基づいて詳しく説明する。まず、固定刃17及び可動刃18に反りが無い状態での動きを説明する。
【0038】
初期状態では、上述したように固定刃17は、切り始め側の案内部17cが可動刃18に押し上げられ、切り終わり側がスプリング10により押し下げられ、可動刃18に対して基準食い込み角度よりも大きい所定の食い込み角度θyを有して傾斜する(図13(a)参照)。図13中において、固定刃17と可動刃18との接触位置c、及び、固定刃17に対するスプリング10の押圧位置dをそれぞれ矢印で示す。
【0039】
ここで、図14は固定刃17の食い込み角度θyを基準食い込み角度と比較して示す説明図である。図4中の破線は従来の丸孔111,112における従来の固定刃の刃部を模式的に示し、一点鎖線は本実施の形態の固定刃17の刃部17aを模式的に示している。図4(a)は切り始め状態を示しており、図4中の角度Aは、切り始め状態における固定刃17の食い込み角度θyの基準食い込み角度からの傾斜角度である。つまり、切り始めの状態では、固定刃17の食い込み角度θyは、基準食い込み角度に比べて角度Aだけ大きくなっている。
【0040】
この初期状態から可動刃18が回動すると、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)が、高さ位置を一定に保ちながら切り終わり側へ移動し始める。これにより、固定刃17は切り始め側を支点として切り終わり側が上方に移動する。接触位置cが刃部17a,18aの略中央部に位置したときの固定刃17の状態を図13(b)に示す。このときの固定刃17の食い込み角度θyは、基準食い込み角度に比べて角度B(<角度A)だけ大きくなっている。
【0041】
この状態からさらに可動刃18が回動して、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)がスプリング10の押圧位置dを通過する際に、その接触位置cを支点として固定刃17の切り終わり側が下がり切り終わり側が上がる方向に固定刃17が回動する。これにより、切り始め側では、長孔51aの上部に固定刃支軸53が位置して長孔51aの下部に空間が形成される状態となり(図13(c)参照)、切り終わり側では、長孔52aの下部に固定刃支軸53が位置して長孔52aの下部に空間が形成される状態となる(図13(c)参照)。そして、固定刃17の食い込み角度θyは、図14(c)に示すように基準食い込み角度と同じになる。
【0042】
さらに可動刃18が回動して固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)が切り終わり側に位置した場合には、図13(c)に示すように、固定刃17の刃部17aは支持軸53の軸心と平行となる。このときの固定刃17の食い込み角度θyは、図14(c)に示すように基準食い込み角度と同じである。
【0043】
次に、固定刃17及び可動刃18に図6に示したような反りが有る場合の切断動作について説明する。固定刃17及び可動刃18に、図6に示したような反りが有る場合には、従来では切り始め側ではせん断角度が小さくなってしまうが、本実施の形態では、上述したように切り始め側では食い込み角度θyが基準食い込み角度に比べ大きくなっており、その分せん断角度が大きくなるので、固定刃17及び可動刃18に図6に示すような反りがあっても用紙7を確実に切断することができる。
【0044】
次に、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18aの噛み合い位置)が刃部17a,18aの中央部に位置した場合には、図13(b)及び図14(b)に示す状態よりも固定刃17の切り終わり側が上方へ逃げる。このとき、固定刃17の切り始め側は、従来のものよりも上方へ逃げているので、固定刃17の全体が上方へ移動する、つまり可動刃18から逃げることになる。これにより、両刃17,18の距離が適正に保たれる。よって、両刃17,18が近くなりすぎて固定刃17の回動に対する抵抗が大きくなり切断に要するトルクが増大してしまうという問題の発生が防止される。
【0045】
次に、固定刃17及び可動刃18の接触位置c(刃部17a,18bのかみ合い部)が切り終わり側に位置した場合には、図15(a)及び図15(b)に示すように、固定刃17の切り終わり側が、図13(c)及び図14(c)の状態よりも固定刃17及び可動刃18の反り量に応じて下がり、食い込み角度θyが基準食い込み角度よりも角度Dだけ大きくなる。これにより、刃部17aが刃部18aに近づき噛み合いを保つ。したがって、切り終わり側においても用紙7が確実に切断される。
【0046】
ここで、固定刃17及び可動刃18に図6に示すような反りがあっても切り始め側や切り終わり側において用紙7を確実に切断するために、従来のロータリカッタ装置100において単に固定刃102の食い込み角度θyを大きくしただけの場合を考える。この場合には、刃部101a,102aの噛み合い位置が切り終わり側に位置したときのスプリング103の押圧力が、食い込み角度を大きくする前の状態に比べて強くなってしまい、切断トルクが増大してしまう。この点、本実施の形態では、食い込み角度θyは、切り始め側では基準食い込み角度よりも大きいが、刃部17a,18aの噛み合い位置が切り終わり側へ移動するに従い基準食い込み角度に近づき、切り終わり側、詳しくは噛み合い位置がスプリング10の押圧位置dを通過してからは基準食い込み角度と同じになるので、切断トルクの増大が防止されている。これにより、切断動作がスムーズになる。
【0047】
このように本実施の形態では、切断動作の際には、固定刃17及び可動刃18の反りに応じて固定刃17が可動刃18に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃17や可動刃18に反りが合った場合でも固定刃17と可動刃18との位置関係が補正され、上述したように、反りを有する可動刃18や固定刃17により用紙切断の際に生じる問題を解決することができる。これにより、切断動作の動きがスムーズになる。
【0048】
また、固定刃17の食い込み角度θyが変化するので、様々な厚さの用紙7を切断することができる。
【0049】
また、固定刃17及び可動刃18の間への用紙7の進入経路としては、図16に示すように可動刃の一面18eに平行な進入経路61が理想的であり、この場合には用紙7が固定刃17の一面17eに対して垂直となり切断し易くなるが、本実施の形態では固定刃17の上下位置に自由度があるので、可動刃18の一面18eに角度を有する進入経路62であっても用紙7を容易に切断することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、固定刃保持部50を固定刃支軸53と長孔51a,52aとにより構成した例を説明したがこれに限るものではなく、固定刃保持部50としては、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃17の可動刃18に対する食い込み角度θyを可変に固定刃17を保持する構造であればよい。例えば、図17に示すように、固定刃17の両端部から延出して設けられた一対の突出部71,72と、別体フレーム25に設けられ突出部71,72が遊嵌される孔部73,74とにより固定刃保持部50を構成してもよい。
【0051】
このように本実施の形態においては、固定刃保持部50は、固定刃17を回動自在に保持していることにより、固定刃17と可動刃18とをスムーズに噛み合わせることができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、固定刃保持部50の遊嵌構造の遊びの量は、固定刃17の反り量αと可動刃18の反り量βとを加えた量以上であることにより、固定刃17及び可動刃18の反りに応じて固定刃17を移動させることができる。
【0053】
また、本実施の形態においては、固定刃17及び可動刃18には、熱処理が施されていることにより、可動刃18及び固定刃17の強度が強くなる。
【0054】
また、本実施の形態においては、略平板状であって一面のエッジを刃部18aとする可動刃18と、略平板状であって一面のエッジを刃部17aとし可動刃18に向けて付勢部材であるスプリング10により付勢される固定刃17とを備えるロータリカッタ装置5を用いての、可動刃18の回動に伴う可動刃18の刃部18aと固定刃17の刃部17aとの噛み合い位置の移動によって切断対象物である用紙7を切断する切断方法において、固定刃17の可動刃18に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃17及び可動刃18の形状に応じて固定刃17の可動刃18に対する食い込み角度θyを変更しながら用紙7を切断することにより、切断動作の際には、固定刃17及び可動刃18の反りに応じて固定刃17が可動刃18に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃17や可動刃18に反りが合った場合でも固定刃17と可動刃18との位置関係が補正され、上述したように、反りを有する可動刃や固定刃により用紙7の切断の際に生じる問題を解決することができる。
【0055】
次に、本実施の形態の変形例を図18に基づいて説明する。図18に示すように、本変形例ではスプリング10が固定刃17の刃部17aの切り始め側と切り終わり側との間の中央部に配置されている。
【0056】
このように本変形例においては、付勢部材であるスプリング10は、固定刃17の切り始め側と切り終わり側との間の略中央部を付勢する位置に位置付けられていることにより、固定刃17がスプリング10の押圧位置dを支点に回動する際のその支点が固定刃17の略中央部となるので固定刃17の動きがよりスムーズになる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、固定刃の可動刃に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、固定刃の可動刃に対する食い込み角度を可変に固定刃を保持する固定刃保持部を備えることにより、切断動作の際には、固定刃及び可動刃の形状に応じて固定刃が可動刃に対して位置を変更したり、食い込み角度を変更するので、固定刃や可動刃に反りが合った場合でも固定刃と可動刃との位置関係が補正され、これにより、反りを有する可動刃や固定刃により切断の際に生じる問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のレシートプリンタを概略的に示す縦断側面図である。
【図2】その一部を分離して示す縦断側面図である。
【図3】ロータリカッタ装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】ロータリカッタ装置の可動刃を概略的に示す平面図である。
【図5】別体フレームに取り付けられた固定刃を概略的に示す斜視図である。
【図6】反りが有るカッタ刃を示し、(a)は固定刃を示す側面図、(b)は可動刃を示す側面図である。
【図7】固定刃の長孔を示し、(a)は切り終わり側の長孔を示す側面図、(b)は切り始め側の長孔を示す側面図である。
【図8】長孔の大きさを説明するための説明図である。
【図9】長孔と支持軸との関係を示し、(a)は切り終わり側を示す側面図、(b)は切り始め側を示す側面図である。
【図10】駆動力伝達機構の構成を概略的に示す側面図である。
【図11】サーマルヘッド及びフック部材の取り付け構造を示す縦断側面図である。
【図12】固定刃と可動刃とを示し、(a)は両刃が切り始め側で接触している状態を示す斜視図、(b)は両刃が両刃の中央部で接触している状態を示す斜視図、(c)は両刃が切り終わり側で接触している状態を示す斜視図である。
【図13】固定刃と支持軸とを示し、(a)は固定刃が切り始め側で可動刃と接触している状態を示す背面図、(b)は固定刃が固定刃の中央部で可動刃と接触している状態を示す背面図、(c)は固定刃が切り終わり側で可動刃と接触している状態を示す背面図である。
【図14】固定刃の食い込み角度の大きさを説明するための説明図であり、(a)は固定刃が切り始め側で可動刃と接触している状態を示す説明図、(b)は固定刃が固定刃の中央部で可動刃と接触している状態を示す説明図、(c)は固定刃が切り終わり側で可動刃と接触している状態を示す説明図である。
【図15】固定刃と可動刃とに反りが有る場合の両刃が切り終わり側で接触している状態の固定刃と支持軸とを示し、(a)は固定刃を支持軸とともに示す背面図、(b)は固定刃の食い込み角度を説明するための説明図である。
【図16】固定刃と可動刃との間への用紙の進入経路を示す側面図である。
【図17】保持部の別の例を示す斜視図である。
【図18】本発明のロータリカッタ装置の変形例を示す斜視図である。
【図19】従来のロータリカッタ装置を斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
【図20】固定刃と可動刃とを示す平面図である。
【図21】固定刃と可動刃とを示す背面図である。
【図22】反りが有る固定刃と可動刃とを示す斜視図である。
【符号の説明】
5…ロータリカッタ装置、7…用紙(切断対象物)、10…スプリング(付勢部材)、17…固定刃、17a…刃部、18…可動刃、18a…刃部、24…下ユニット(第一のユニット)、26…上ユニット(第二のユニット)、50…固定刃保持部
Claims (7)
- 略平板状であって刃部を有し回動駆動される可動刃と、略平板状であって刃部を有し前記可動刃に向けて付勢部材により付勢される固定刃とを備え、前記可動刃の回動に伴う前記可動刃の前記刃部と前記固定刃の前記刃部との噛み合い位置の移動によって切断対象物を切断するロータリカッタ装置において、
前記固定刃の前記可動刃に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、前記固定刃の前記可動刃に対する食い込み角度を可変に前記固定刃を保持する固定刃保持部を備えることを特徴とするロータリカッタ装置。 - 前記固定刃保持部は、前記固定刃を回動自在に保持していることを特徴とする請求項1記載のロータリカッタ装置。
- 前記固定刃保持部の前記遊嵌構造の遊びの量は、前記固定刃の反り量と前記可動刃の反り量とを加えた量以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のロータリカッタ装置。
- 前記固定刃及び前記可動刃には、熱処理が施されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のロータリカッタ装置。
- 前記可動刃を有する第一のユニットと、
前記固定刃を有し前記第一のユニットに対して接離自在に設けられた第二のユニットと、
を備えることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のロータリカッタ装置。 - 前記付勢部材は、前記固定刃の切り始め側と切り終わり側との間の略中央部を付勢する位置に位置付けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のロータリカッタ装置。
- 略平板状であって一面のエッジを刃部とする可動刃と、略平板状であって一面のエッジを刃部とし前記可動刃に向けて付勢部材により付勢される固定刃とを備えるロータリカッタ装置を用いての、前記可動刃の回動に伴う前記可動刃の前記刃部と前記固定刃の前記刃部との噛み合い位置の移動によって切断対象物を切断する切断方法において、
前記固定刃の前記可動刃に対する食い込み方向及びその反対方向への遊びを持った遊嵌構造により、前記固定刃及び前記可動刃の形状に応じて前記固定刃の前記可動刃に対する食い込み角度を変更しながら切断対象物を切断することを特徴とする切断方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003137809A JP2004338042A (ja) | 2003-05-15 | 2003-05-15 | ロータリカッタ装置及び切断方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007210750A (ja) * | 2006-02-09 | 2007-08-23 | Hinix Kk | 断裁排出装置 |
JP2012157927A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Brother Industries Ltd | ロータリーカッタ装置 |
JP2012157928A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Brother Industries Ltd | ロータリーカッタ装置 |
-
2003
- 2003-05-15 JP JP2003137809A patent/JP2004338042A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
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