JP2004337243A - 消毒容器 - Google Patents

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新太郎 三上
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Abstract

【課題】電子レンジ中においては、適切に内部の圧力を抜くことができ、消毒後においては、内部の水を容易に抜くことができ、使い勝手に優れた消毒容器を提供すること。
【解決手段】同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部Aを設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合された底面接合部B1,B2を設けて、前記本体と前記底部とを有する袋体18を構成し、袋体内部に消毒対象物を収容した状態にて起立可能とされた消毒容器であって、開口部と、開口部の近傍に設けた開閉手段19と、通気孔21とを備え、前記通気孔21が、前記底面接合部に近接した箇所に形成され、かつ前記底面接合部の前記通気孔21と近接した箇所が、前記側縁半部どうしを重ねるようにして部分的に接合した部分接合部35を備える消毒容器。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば哺乳瓶等を収容して、電子レンジ内において消毒するための柔軟な袋体でなる消毒容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子レンジを利用する消毒容器は、例えば図8に示すように構成されていた(特許文献1参照)。
図8に示すように、消毒容器1は、シート体で形成した前壁部2と後壁部3 が、各シート体の側縁部の上部領域をa,aの箇所にて接合して形成されており、これらの両側縁部の下部領域に底面部4を構成するシート体両側縁部をb1,b2の箇所で接合することで、全体として袋体5を構成している。
袋体5の上端は開放されており、その開口付近には、ジッパー形式のファスナー(チャック)でなる開閉部6が設けられている。
【0003】
この開閉部6を開けて、図示するように、消毒対象となる哺乳瓶のボトルBO1,BO2を少量の水とともに収容し、電子レンジの庫内に入れて、加熱することにより、これらの、ボトルB1,B2は電子レンジによるマイクロ波と、水蒸気により消毒される。また袋体5の内部で発生した水蒸気は、袋体5の上述した接合部を貫通した孔7,7から抜けることで、危険な圧力にならないようにされている。
そして、消毒後においては、孔7,7の一方が下になるように手で持って水を抜き、その後ボトルBO1,BO2を抜き取った後で、リング状の掛止部8を用いて、消毒容器1を吊るすことによって、反対の端部に設けた孔7から、完全に内部の水を抜くことができるようにされている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−152150
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような消毒容器1では、比較的大径のBO1,BO2を収容すると、図9に示すような問題が生じていた。
図9(a)は消毒容器1の左側面図、図9(b)は消毒容器1の部分斜視図である。図9(a)に示されているように、消毒容器1の側面においては、接合部aと接合部b1,b2が中心Cに関して、放射状に位置している。
この状態で袋体5に、比較的大径のボトルBO1,BO2を並べて収容すると、壁部2と壁部3の下部領域では、矢印A,Aに示す方向に引っ張る力が働く。この状態では、底部4が図において左右の方向に引っ張られて、その力は中心Cよりも高い位置では、壁部2と壁部3を構成する各シートの両側面の接合部分aを矢印B,Bの方向に押しつけるように働くことから、孔7が閉じてしまう。
【0006】
このため、消毒中においては、袋体5内の圧力を適切に抜くことができない。また、消毒後において、孔7内を利用して、袋体5内の水を抜こうとしても、孔7が十分開かないことから、袋体5内に水が残留してしまうという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、電子レンジ中においては、適切に内部の圧力を抜くことができ、消毒後においては、内部の水を容易に抜くことができ、使い勝手に優れた消毒容器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明にあっては、耐熱性の柔軟な材料にて形成された同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部を設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合されてなる底面接合部を設けることで、前記本体と前記底部とを有する袋体を構成しており、この袋体内部に消毒対象物を収容した状態にて起立可能とされ、かつ前記消毒対象物を取り出した状態では、前記底部を折り込んで、底面が互いに対向するように折り畳めるようにした消毒容器であって、前記各壁部の上端が開放された開口部と、この開口部の近傍に設けた開閉手段と、前記各壁部における少なくとも一方の側縁部の上部領域の一部を未接合として形成した水切り兼用の通気孔とを備えており、前記通気孔が、前記各壁部の少なくともいずれかの側縁部であって、前記底面接合部に近接した箇所に形成されており、かつ前記底面接合部の前記通気孔と近接した箇所が、前記側縁半部どうしを重ねるようにして部分的に接合した部分接合部を備える消毒容器により、達成される。
【0009】
請求項1の構成によれば、同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部を設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合されてなる底面接合部を設けることで、前記本体と前記底部とを有する袋体を形成している。このため、袋体を側面からみると、ひとつの垂直に延びる本体接合部と、この本体接合部の下端を始端として両側に斜めに延びるふたつの底面接合部が形成される。そして、前記各壁部の少なくともいずれかの側縁部であって、前記底面接合部に近接した箇所、すなわち、前記した本体接合部と底面接合部の放射状となった中心に近接して上側に、水切り兼用の通気孔を形成している。さらに、この中心に近接して下側に前記側縁半部どうしを重ねるようにして部分的に接合した部分接合部を形成している。このことにより、袋体の内部に消毒対象物を収容した際には、底部が拡がる方向に力が加えられるが、この力は前記部分接合部により支えられると共に、通気孔が前記中心に近接した位置とされることにより、力の影響を受けにくいので、前記中心に近接した上側に位置する前記通気孔を閉じる方向に働く力が緩和される。このため、通気孔が閉じてしまうことが有効に防止され、消毒中は適切に圧力が調整され、消毒後においては、内部の水を簡単に抜くことができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記接合部は、前記各シート体の対応する側縁部を溶着することにより形成されており、前記通気孔が、前記接合部よりも内側に達する深さとされて、曲線的な孔形とされたことを特徴とする。
請求項2の構成によれば、前記通気孔が内側に深く形成されるほど、孔径が大きくなり、前記袋体内部に消毒対象物を収容した際に、前記通気孔の実質的な開口面積を大きくすることができる。この場合、通気孔の孔径が大きいと、開孔縁部に力が加えられた際に破断しやすくなるが、開孔縁を曲線状に、すなわち、丸孔、楕円孔等とすることで、応力が集中しやすい角部がなくなり、強い構造とすることができる。また、単純に開口面積を大きくすると、収容物の蒸気消毒を行うために必要な蒸気が不要に漏れ出てしまい、確実な消毒を行うことができなくなるが、通気孔の深さを調整すると共に、曲線形状とすることにより、通常の状態では開口している面積が小さく、蒸気による加圧や水切り時の水圧により、適切に開口面積を大きくすることができる。
【0011】
請求項3の発明は請求項1または2のいずれかの発明の構成において、前記通気孔の上側および下側の領域は、少なくとも前記接合部の内側の境界が、前記通気孔を外側に突出する頂点とするように傾斜して形成されていることを特徴とする。
請求項3の構成によれば、内部の水を抜く際に、通気孔を下に向ければ、前記傾斜は、通気孔に向かって下がり勾配となることから、内部に水を残さないように抜くことが可能となる。
【0012】
請求項4の発明は請求項1ないし3のいずれかの発明の構成において、前記本体の前記両側縁部の少なくとも一方に前記通気孔を設け、他方の側縁部の前記通気孔と対応する位置に、外方に突出する掛止部を備えるとともに、前記通気孔側の側縁部を底面に向かって内側に傾斜するようにした傾斜縁部とすることを特徴とする。
請求項4の構成によれば、前記掛止部で吊るすか、把持して宙吊り状態とした場合には、前記通気孔は下方に開口する。しかも、掛止部が突出しているため、例え加熱後、十分冷えていない状態でも、掛止部を把持して水切りを行い易いだけでなく、前記傾斜縁部が前記通気孔に向かって内部の水を案内する傾斜面となるので、内部の水を抜きやすくなる。
【0013】
上記目的は、請求項5の発明にあっては、耐熱性の柔軟な材料にて形成された同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部を設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合されてなる底面接合部を設けることで、前記本体と前記底部とを有する袋体を構成しており、この袋体内部に消毒対象物を収容した状態にて起立可能とされ、かつ前記消毒対象物を取り出した状態では、前記底部を折り込んで、底面が互いに対向するように折り畳めるようにした消毒容器であって、前記各壁部の上端が開放された開口部と、この開口部の近傍に設けた開閉手段と、前記各壁部における少なくとも一方の側縁部の上部領域の一部を未接合として形成した水切り兼用の通気孔とを備えており、前記通気孔が、前記本体接合部と前記底面接合部との境界部に開口を形成することにより形成されている消毒容器により、達成される。
【0014】
請求項5の構成によれば、同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部を設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合されてなる底面接合部を設けることで、前記本体と前記底部とを有する袋体を形成している。このため、袋体を側面からみると、ひとつの垂直に延びる本体接合部と、この本体接合部の下端を始端として両側に斜めに延びるふたつの底面接合部が形成される。そして、前記本体接合部と前記底面接合部との境界部、すなわち、これらの各接合部が放射状となっている仮想の中心位置に、開口を形成して、前記通気孔とする。これにより、袋体の内部に消毒対象物を収容した際には、底部が拡がる方向に力が加えられるが、この力は前記仮想の中心よりも上では、前壁部と後壁部の側縁部を閉じる方向に働くが、前記開口は前記境界に形成されているので、この開口の上部は閉じられても、下部は開くことから、結局、通気孔が閉じられることが回避できる。このため消毒中は適切に圧力が調整され、消毒後においては、内部の水を簡単に抜くことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による消毒容器の全体を示す概略分解斜視図である。
図1において、消毒容器(以下、単に「容器」という)10は、図示のように3枚のシート体の側縁部を互いに固定することにより袋体を形成してなっている。これらのシート体は、例えば柔軟な材質を有し、電子レンジにより必要な出力を所定時間与えられても、溶解しない耐熱性を備えた合成樹脂材料,例えばナイロンやポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン等が適している。本実施形態においては、例えば外側に約12ミクロンの厚みのPETを配し、内側にCPP(ポリプロピレン)の厚み約50ミクロンの層を配したラミネート材料が用いられている。このように、異なる材料を積層して、適度な強度やコシ、耐熱性等を持たせることが好ましい。
【0017】
上記第1のシート体11と第2のシート体12とは同一の形状を有するシート体で、消毒対象の大きさに応じてそのサイズが決定され、例えば縦×横が168mm×285mm程度に形成されることで、主として市販の種々の哺乳瓶を消毒するのに適するようにされている。つまり哺乳瓶等の比較的長い消毒対象物を横にした状態で、後述する袋体の下部に収容できる大きさとされている。
上記第1及び第2のシート体11,12の両側縁部には、幅約10mm程度の固定しろ11a,11a,11b,11bと、12a,12a,12b,12bが形成されており、11a,11bと12a,12bはそれぞれ、各シートの上部領域及び下部領域に対応している。また、各シート体11及び12は、下縁に沿って固定しろ11c,12cをそれぞれ備えている。
【0018】
第3のシート体13は、上記第1及び第2のシート体11,12と同様の材料で形成され、これらの大きさに対応して、その大きさが決められている。この第3のシート体13の周縁に沿って13b−1,13b−2,13c,13c,13a−1,13a−2の各固定しろを備えている。
このうち、固定しろ13b−1,13b−2は、第3のシート体13の手前側の側縁の各半部を構成している。固定しろ13a−1,13a−2は、第3のシート体13の奥側の側縁の各半部を構成している。
【0019】
第1及び第2のシート体11,12は、上記固定しろ11aと11bの境界付近どうしを結んだ仮想線L1に沿って下側を外側に折り返し、それぞれ起立部17,16と折り返し片(折り返し部)14,15とする。仮想線L1より上が上部領域、仮想線L1より下が下部領域となる。
そして、第1及び第2のシート体11,12の折り返し部14及び15の周縁部と、第3のシート体13の周縁部をそれぞれの固定しろにおいて、例えば、加熱手段を圧着するもしくは溶着する等してヒートシール等の手段により固定する。この場合、第3のシート体13の側縁半部である固定しろ13b−1は第1のシート体14の固定しろ11bと、他の側縁半部である固定しろ13b−2は第2のシート体15の固定しろ12bとそれぞれ固定される。
同様にして、第1のシート体11の起立部16と、第2のシート体12の起立部17にあたる対向する固定しろ11aと12aを、それぞれヒートシール等の手段により固定する。
このようにして、図2に示すような、袋体18でなる消毒容器10が形成される。
また、第3のシート体13は第1及び第2のシート11,12における仮想線L1にあたる仮想線L2を中心として、底面(外面)が互いに対向するように内側に折り返されることによって、折り畳まれた状態とすることができる。なお、例えば、図1において、第1のシート11の下縁部には、第3のシート13が接合でなく一体にされていて、かつ第2のシート12の下縁部には、第3のシート13が接合でなく一体にされていれば、第1ないし第3のシートは一枚のシートで構成することも可能である。
【0020】
図2ないし図4は、消毒容器10の全体を示しており、図3は消毒容器10の前面から見た正面図、図2は消毒容器10の左側から見た概略斜視図、図4は消毒容器10の右側から見た概略斜視図である。
図2において袋体18は、第1,第2,第3のシート体11,12,13が上記の各周縁部の固定しろを固定されることにより形成され、第3のシート体13は、水平に拡がった状態で固定されることにより、底部13となる。第1及び第2のシート体11,12は、それぞれ前の壁部12−1と後の壁部11−1をとなって袋体18の本体を構成する。
【0021】
すなわち、この袋体18内に図2のように哺乳瓶等のボトルBO1,BO2を収容すると、図1の第3のシート体13は、上記固定後においては、固定しろ13b−1と固定しろ13b−2の境界C1付近が、図2及び図4において袋体18の中央付近まで上がって袋体18の側面の一部を構成する。
図2に示されているように袋体18の側面(左側面)においては、上記第1および第2のシート体11,12の固定しろ11a,12aの固定されたへり状となった部分は、本体接合部Aとして、第1のシート体11の固定しろ11bと第3のシート体13の固定しろ13b−1とのへり状となった固定部分は底面接合部B1として、同様に第2のシート体12の固定しろ12bと第3のシート体13の固定しろ13b−2とのへり状となった固定部分は、底面接合部B2として表れている。
【0022】
かくして、袋体18にあっては、ボトルBO1,BO2を収容することにより、上記第3のシート体13の幅に対応して、これと一致する幅と、シート体13の長さよりやや短い長さを備える平らな底部13が形成されるので、これにより袋体18は自立可能となる。
また、袋体18の下部は、底部13により広げられて、広い内部空間を有しており、ボトルBO1,BO2の収容部Sとなっている。この収容部Sが、第1及び第2のシート体11,12の下部に対応し、これより所定距離の高い位置に開閉手段19が設けられている。つまり、上述のように、シート体11,12は例えば縦の距離が168.5mm程度あり、その下部が袋体18の収容部Sに対応し、開閉手段19は、各シート体11,12の上端付近に形成されている。このため、収容部Sと開閉手段19はかなりの距離を隔てられている。
【0023】
この開閉手段19は、例えばシート体11及び12の一方の内面に設けた凸条と、これと向かい合う他方の内面に設けられ、前記凸条が緊密に入り込む溝との組み合わせによるジッパー形式のファスナーにより形成されている。このファスナー19は、シート体11及び12の内面に一体に形成しても、あるいはシート体11及び12の内面にファスナー部材を取り付けることにより形成してもよい。
これによって、消毒容器10の上端付近において、上方に開口できる開閉手段を設けることができる。
【0024】
また、図2に示すように、袋体18の上端付近の好ましくは両側縁、具体的には、上述した本体接合部Aに、この実施形態ではひとつの通気孔が設けられている。
この通気孔21は、具体的には、図2および図3に示されているように、境界C1に近接して、これよりも僅かに上の位置において、上記本体接合部Aの2枚のシート体11及び12の固定しろの間を貫通して設けられている。この通気孔21については、後でさらに詳しく説明する。
【0025】
図3において、袋体18の下部の収容部Sは、上部に開閉手段19が形成されていないで、袋体18の一部だけが側方(右側方)に突出した領域を有している。つまり、収容部Sはこの突出分である図3のW1だけ、袋体18の上部より長く形成されている。
【0026】
この収容部Sは、図2のボトルBO1,BO2等の消毒対象物を収容するのに必要な長さを備えているが、開閉手段19に対応した袋体18の上部領域はこれよりも短くされている。つまり、収容部S内に消毒対象物を差し入れるときには、これを斜めにして入れて、袋体18内部で、その長さ方向を収容部Sの最大の長さ方向に揃えることで、消毒対象物の出し入れを行うことができるようになっている。
【0027】
一方、開閉手段19は、袋体18の上部を相対的に短くした分だけ、収容部Sの長さより短くなるので、この消毒容器10の販売の際には、図3の点線MLに沿って製品を折り曲げることが可能となる。つまり、開閉手段19が上記のようにジッパー形式の開閉可能なフォスナー等で構成されていると、これを途中で折り曲げることで、性能を損なう場合がある。
しかしながら、この消毒容器10では、上記点線MLに沿って製品を折り畳んでも、開閉手段19を折り曲げることにはならないので、開閉手段19の機能を損なうことなくコンパクトに収容して、輸送や保管等をすることが可能となる。
【0028】
図3に示すように、底部13の隅部には、掛止部22が設けられている。この掛止部22は、例えば図1に示した第2のシート体12の折り返し片15の奥側の下端隅部と第3のシート体13の奥側の隅部をやや突出させて、突出部に掛止孔を設けること等により形成されている。
また、図3に示されているように、通気孔21の上側の領域25と下側の領域26は、少なくとも固定による接合部(本体接合部Aおよび底面接合部B1,B2の箇所に相当)の内側の境界が、傾斜して形成されている。なお、この実施形態では、内側の境界だけでなく、本体接合部A及び底面接合部B1,B2全体が通気孔21が頂点となるように、上側の領域25と下側の領域26が傾斜して形成されている。
【0029】
次に、消毒容器10の通気孔21について説明する。
上述したように、通気孔21は、具体的には、図2および図3に示されているように、境界C1に近接して、これよりも僅かに上の位置において、上記本体接合部Aの2枚のシート体11及び12の固定しろの間を貫通して設けられている。
つまり、通気孔21は、図3に示すように、固定しろを溶着等により接合した本体接合部Aの内側に達するような曲線Rを備える孔形とされている。
この場合、通気孔21は、本体接合部Aよりも内側(収容部S側)に深く形成されるほど、孔径が大きくなり、袋体18内部に消毒対象物を収容した際に、通気孔21の実質的な開口面積を大きくすることができる。また、通気孔21の孔径が大きいと、開孔縁部に力が加えられた際に破断しやすくなるが、開孔縁を図3のような曲線状に、すなわち、丸孔、楕円孔等とすることで、応力が集中しやすい角部がなくなり、強い構造とすることができる。
また、単純に開口面積を大きく、すなわち孔径を大きくすると、収容物の蒸気消毒を行うために必要な蒸気が不要に漏れ出てしまい、確実な消毒を行うことができなくなる。そこで、この実施形態のように、通気孔の深さを調整するとともに、曲線形状とすることにより、通常の状態では、開口している部分の面積が小さくなるようにし、蒸気により大きな圧力が加わったり、水切り時にかかる水圧によって、適切に開口面積が調整されるようにすることができる。
この時、通気孔21は、中心点である境界C1から35mmまでの範囲に、外部と連通する開口の上端が入るように形成することが好ましく、35mmを超えた範囲に形成した場合には、袋体18の広がりに追随して、前壁部12−1と後壁部11−1が近づいてしまい通気孔21を閉じる力が作用してしまう。
【0030】
ここで、図3に示されているように、袋体18の収容部S内にボトルBO1,BO2を収容して、消毒容器10を起立させた状態では、固定しろ同士を溶着等により接合した本体接合部Aと底面接合部B1,B2は上述した境界C1に関して、放射状に位置している。すなわち、本体接合部AはC1から上方に垂直に延びており、底面接合部B1,B2は、C1から対称な形態で、互いに斜め下方に拡がるように延びている。
【0031】
この場合、上述したように、底面接合部B1,B2は、これらのC1に近い箇所で、図2のD1で示した領域を内方に寄せて、互いに重ね合わせ、符号35で示す部分を接合して部分接合部としている。部分接合部35の形成手法としては、例えば、図1で説明したように、第3のシート体13の固定しろ13b−1,13b−2は手前側となる通気孔21側の側縁の各半部を構成しており、固定しろ13a−1,13a−2は、第3のシート体13の奥側となる掛止部22側の側縁の各半部を構成していて、これらと、第1のシ−ト体11の固定しろ11bである側縁半部と、第2のシート体12の固定しろ12bである側縁半部とが、それぞれ接合されることで、上述の底面接合部B1,B2が形成されている。
【0032】
この場合、底面接合部B1,B2をそのまま重ね合わせて溶着すると、4枚のシートを溶着する必要が生じる。そこで、図1に示すように、第3のシート体13の手前側の側縁の各半部を構成する固定しろ13a−1,13a−2について、それぞれ、35a,35bで示す領域を予め除くことによって、この部分に関しては、第1のシート体11の固定しろ11bおよび第2のシート体12の固定しろ12bの2枚だけを溶着すれば、部分接合部35が形成される。これにより、加熱溶着すべきシートが2枚だけとなるので、製造工程中においても、無理なく長時間を要することがなく部分接合部35を形成することができる。
なお、このような部分接合部35は、中心点である境界C1から30mmまでの範囲に接合の下端が入るように形成することが好ましい。接合の下端を中心点である境界C1から30mmを超えた範囲に形成した場合には、第3のシート体13が広がりにくくなり、底部13の露出が少なくなるため、安定した起立状態を維持できなくなってしまう。
【0033】
さらに、本体接合部Aの通気孔21のやや上の位置に、凹部31が形成されている。この凹部31は、消毒容器10を使用後に、収容部S内の水を通気孔21を利用して、抜く場合に、通気孔21から垂れた湯滴が、開閉手段19側に移動し、さらに開口部まで回ろうとしても、湯滴が開閉手段19の手前の凹部31に遮られ、下方に滴下することになる。このため、凹部31は、図示のような凹形状だけでなく、凸形状等のように、本体接合部Aの沿面の形態を変化させることで湯滴の水切り部とすることができる。
【0034】
本発明の実施形態による消毒容器10は以上のように構成されており、その使用方法とともに作用を説明する。
図1ないし図4で説明した消毒容器10の開閉手段19を開いて、ボトルBO1,BO2を図2や図4に示されているように、ボトルBO1,BO2の開口が通気孔21側に配置されるように、横にした状態で袋体18の下部に収容するとともに、図示しない人工乳首やキャップ等を一緒に入れると、第3のシート体13が各ボトルBO1,BO2の長さ方向に力を受けるとともに、両ボトルBO1,BO2のそれぞれの太さの方向に広げられるので、袋体18は下部がひろがり、開閉手段19を上に臨ませて起立する状態となる。
さらに、袋体18の収容部S内に水を例えば50cc程度入れて、開閉手段19を閉じる。
【0035】
次いで、図2に示されている状態で、図示しない電子レンジの庫内に差し入れて、例えば3分程度加熱する。これにより、各ボトルBO1,BO2人工乳首は、電子レンジによるマイクロ波により加熱消毒される。また、このマイクロ波は、収容部S内に入れた水を沸騰させて水蒸気を発生し、各ボトルBO1,BO2等を高温殺菌消毒する。この時、収容部S内にて蒸気の発生や加熱された空気により高まった高温の空気と蒸気は、収容部S内を上昇して、破裂する前に通気孔21から外部に排出される。
【0036】
すなわち、図2や図3で説明した消毒容器10の左側の側面には、図2の部分拡大図である図5に示すように、袋体を側面からみると、ひとつの垂直に延びる本体接合部Aと、この本体接合部の下端である境界C1を始端として両側に斜めに延びるふたつの底面接合部B1,B2が形成されている。そして、本体接合部Aと底面接合部B1,B2の放射状となった中心である境界C1に近接して上側に、水切り兼用の通気孔21を形成している。さらに、この中心C1に近接して下側に、上述した部分接合部35を形成している。このことにより、袋体の内部に消毒対象物を収容した際には、底部が拡がる方向F1,F1に力が加えられるが、この力は部分接合部35により支えられるので、上記中心C1に近接した上側に位置する通気孔21を閉じる方向に働く力が緩和される。このため、図2や図3のようにボトルBO1,BO2を収容することによって、通気孔21が閉じてしまうことが有効に防止される。これにより、内部の気圧が極端に高まって、袋体18を破損させることが防止されると共に、適切に収容部S内の密閉状態を保ち、確実に蒸気消毒を行うことができる。
【0037】
次いで、電子レンジが停止したら、使用者は、袋体18の上端付近の把持領域FPを持って外へ出す。このとき、開閉手段19付近は、収容部Sよりも図3のh1で示す距離だけ高い位置にあり、蒸気を発生させるために入れた水は収容部Sの下の方にボトルBO1,BO2等とともにある。このため、袋体18の上端付近には、高温の水もないことから、加熱した水によりこの付近が異常に高温となっておらず、図3に示す把持領域FPを掴んで取り出すことや開閉手段19を開封することができるため、取り扱いの上で火傷を負う危険がない。しかも、電子レンジ停止直後に消毒容器10を外に出すと、消毒容器10の内部にはまだ蒸気が存在するが、この高温の蒸気は貫通孔21a,21aから側方に排出されるから、袋体18の上端付近に高温の蒸気が吹きつけることがなく、この点においても安全である。
【0038】
次いで、ボトルBO1,BO2等を直ぐに使用する場合には、開閉手段19を開いて、ボトルBO1,BO2等を注意して取り出し、あるいは開閉手段19を開いて、温度の低い外気に触れさせてひやしてから、ボトルBO1,BO2等を取り出す。
このように、本実施形態の消毒容器10では、消毒容器10を電子レンジから取り出す際に火傷を負う危険がなく、きわめて安全であり、消毒後、迅速に消毒対象物を利用できる。
【0039】
さらに、上記ボトルBO1,BO2等を直ぐに利用しない場合には、消毒容器10内の温水を、通気孔21が下を向くように、突出した掛止部22や把持領域FPを手で持って、通気孔21を介して、台所のシンク内等に棄てて、その後、図3で説明した掛止部22を利用して台所等のシンク上のフック等を利用して掛け止める。
したがって、消毒容器10を熱処理後、高温の水を捨ててから、直ちに上述のように掛止すれば、水切りした状態で、ボトルBO1,BO2等の使用時まで清潔かつ簡単に保管できる。
【0040】
図6は消毒容器10の変形例を示しており、図3の消毒容器と比較すると、掛止部の構成だけが相違しており、その他の構成は同じである。
図6に示すように、底部13から通気孔21とほぼ同じ高さであって、反対の側縁部に掛止部32が設けられている。この掛止部32は、図3の場合と同じ構造で、設けた位置が異なるだけである。
【0041】
ここで、図6に示されているように、本体接合部Aおよび底面接合部B1,B2の箇所の内側の境界25と26が、通気孔21を外側に突出する頂点(図6の場合、左側に突出する頂点)とするように傾斜して形成されている。これにより、掛止部32を掛止したり把持したりして、ここを上端として保持した状態で、収容部Sの内部の水を抜く際に、通気孔21を下に向ければ、上述した各傾斜が、通気孔21に向かって下がり勾配となることから、内部に水を残さないように抜くことが可能となる。
特に、図6に示されているように、収容部Sの底部に近接した底面接合部B1,B2の部分もしくはその内側に境界26の部分は、境界25よりも大きな傾斜とされている。このため、収容部Sの底部の水を適切に抜くことができるようになっている。
【0042】
図7は、消毒容器10のさらに別の変形例を示している。
図7(a)は変形例に係る消毒容器10の左側面図、図7(b)は消毒容器10の部分斜視図である。
図7(a)に示されているように、消毒容器1の側面においては、本体接合部Aが垂直に位置しており、その下端よりも下の位置で、底面接合部B1とB2が斜め外方へ拡がるように傾斜しながら延びている。
そして、本体接合部Aと底面接合部B1,B2との境界部、すなわち、各接合部が放射状となっている仮想の中心位置として、図2や図3で説明した境界C1に相当する箇所に開口を形成して、比較的大きな通気孔41としている。
【0043】
このため、通気孔41では、本例では、図7(a)に示されているように、ひとつの頂点が垂直に上方に向く三角形状に開口している。このため、図示のようにボトルBO1,BO2を袋体18の内部に収容した際には、底部13が拡がる方向に力が加えられる。
この場合、この力は、通気孔41に関して、下部では三角形の底辺の方向に矢印F3,F3に示すように作用し、上部では、前壁部12−1と後壁部11−1の側縁部を閉じる方向に働く。このため、通気孔41の三角形状は適切に位置されて、特に通気孔41の下部が確実に開くことから、通気孔41が閉じられることが回避できる。このため消毒中は適切に圧力が調整され、消毒後においては、内部の水を簡単に抜くことができる。
【0044】
この発明は上述の実施形態に限定されない。
消毒容器の袋体は、3枚のシートだけでなく、上述にように1枚のシートで形成してもよく、あるいは第1ないし第3の各シートをさらに複数枚のシートに分離して構成してもよい。
なお、第1のシート体と第2のシート体を略長方形として、開口部を大きく形成してもよい。
また、上述の消毒容器に使用回数ゲージや温度を知るための着色を施してもよい。
さらに、開閉手段は上述と異なる種々の構成を適用してもよい。
さらにまた、掛止部は、貫通孔とされた掛止孔だけなく、貫通孔にリング等を通して構成してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電子レンジ中においては、適切に内部の圧力を抜くことができ、消毒後においては、内部の水を容易に抜くことができ、使い勝手に優れた消毒容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による消毒容器の実施の形態の構造を示す概略分解斜視図。
【図2】図1の消毒容器の概略斜視図。
【図3】図1の消毒容器の概略正面図。
【図4】図1の消毒容器の概略斜視図。
【図5】図2の消毒容器の側面部の部分拡大図。
【図6】図1の消毒容器の変形例を示す概略正面図。
【図7】図1の消毒容器の他の変形例を示す図であり、(a)は消毒容器左側面図、(b)は消毒容器の部分斜視図。
【図8】従来の消毒容器の一例を示す斜視図である。
【図9】図8の消毒容器の他の変形例を示す図であり、(a)は消毒容器左側面図、(b)は消毒容器の部分斜視図。
【符号の説明】
10・・・消毒容器、11・・・第1のシート体、12・・・第2のシート体、13・・・第3のシート体、18・・・袋体、19・・・開閉手段、21,41・・・通気孔、A・・・本体接合部、B1,B2・・・底面接合部。

Claims (5)

  1. 耐熱性の柔軟な材料にて形成された同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部を設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合されてなる底面接合部を設けることで、前記本体と前記底部とを有する袋体を構成しており、この袋体内部に消毒対象物を収容した状態にて起立可能とされ、かつ前記消毒対象物を取り出した状態では、前記底部を折り込んで、底面が互いに対向するように折り畳めるようにした消毒容器であって、
    前記各壁部の上端が開放された開口部と、
    この開口部の近傍に設けた開閉手段と、
    前記各壁部における少なくとも一方の側縁部の上部領域の一部を未接合として形成した水切り兼用の通気孔と
    を備えており、
    前記通気孔が、前記各壁部の少なくともいずれかの側縁部であって、前記底面接合部に近接した箇所に形成されており、かつ前記底面接合部の前記通気孔と近接した箇所が、前記側縁半部どうしを重ねるようにして部分的に接合した部分接合部を備える
    ことを特徴とする消毒容器。
  2. 前記接合部は、前記各シート体の対応する側縁部を溶着することにより形成されており、前記通気孔が、前記接合部よりも内側に達する深さとされて、曲線的な孔形とされたことを特徴とする、請求項1に記載の消毒容器。
  3. 前記通気孔の上側および下側の領域は、少なくとも前記接合部の内側の境界が、前記通気孔を外側に突出する頂点とするように傾斜して形成されていることを特徴とする、請求項1または2にのいずれかに記載の消毒容器。
  4. 前記本体の前記両側縁部の少なくとも一方に前記通気孔を設け、他方の側縁部の前記通気孔と対応する位置に、外方に突出する掛止部を備えるとともに、前記通気孔側の側縁部を底面に向かって内側に傾斜するようにした傾斜縁部とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の消毒容器。
  5. 耐熱性の柔軟な材料にて形成された同形のシート体でなる前後の壁部の両側縁部の上部領域が互いに接合されてなる本体接合部を設けることで本体を形成し、さらに前記各壁部の前記両側縁部の下部領域が、底部を構成するシート体の各側縁半部とそれぞれ接合されてなる底面接合部を設けることで、前記本体と前記底部とを有する袋体を構成しており、この袋体内部に消毒対象物を収容した状態にて起立可能とされ、かつ前記消毒対象物を取り出した状態では、前記底部を折り込んで、底面が互いに対向するように折り畳めるようにした消毒容器であって、
    前記各壁部の上端が開放された開口部と、
    この開口部の近傍に設けた開閉手段と、
    前記各壁部における少なくとも一方の側縁部の上部領域の一部を未接合として形成した水切り兼用の通気孔と
    を備えており、
    前記通気孔が、前記本体接合部と前記底面接合部との境界部に開口を形成することにより形成されている
    ことを特徴とする消毒容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012148820A (ja) * 2010-12-27 2012-08-09 Showa Denko Packaging Co Ltd 包装袋

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