JP2004337030A - ヒト血管内皮増殖因子トランスジェニックウサギ - Google Patents

ヒト血管内皮増殖因子トランスジェニックウサギ Download PDF

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照男 渡邊
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江霖 范
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Abstract

【課題】ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)に起因する各種疾病の病態解明、予防法、治療法、新規治療薬のスクリーニングなどに用いることができるトランスジェニックウサギを提供すること。
【解決手段】過剰排卵処理したドナーウサギ卵管より受精卵を採取し、ヒトα1アンチトリプシンプロモーターにより発現誘導されるヒト血管内皮増殖因子cDNAを含むDNA構築物が導入された受精卵を偽妊娠(仮親)雌ウサギの卵管内に移植し、生まれた仔ウサギから前記ヒトVEGFcDNAを有する仔ウサギを選択することにより、トランスジェニックウサギを作製する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子が導入され、ヒトVEGFを発現することができるトランスジェニックウサギの作製及びその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
血管新生は、胎生初期の心臓をはじめとする循環器・脈管系の形成や各組織の形態形成に密接に関与している。また、胚の発生などの他にも糖尿病性網膜症、慢性関節リュウマチ、癌の転移、動脈硬化、創傷治癒、糸球体疾患、不妊症等多くの疾患、病理学的状態とも関係している。これら血管新生に関与する血管形成促進因子としてもっとも重要なものとして血管内皮増殖因子(VEGF)が報告されている。VEGFは分子量約20kDのサブユニット2個が結合した2量体構造の蛋白質で、Ferraraらにより1989年に見出されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
これまでに知られているVEGFの重要な生物学的活性としては、血管内皮細胞の増殖促進活性(例えば、非特許文献1参照。)、血管新生活性(例えば、非特許文献2参照。)、及び血管透過性亢進活性(例えば、非特許文献3参照。)を挙げることができる。また、この他にも内皮細胞の遊走や、プラスミノーゲンアクチベーターなどの蛋白質分解酵素や、その阻害蛋白質の発現誘導や、単球・マクロファージ系の遊走促進や血球系細胞のアポトーシス阻害なども報告されている。
【0004】
VEGFはこれまでに5種類の異なったアイソフォームとして、VEGF121,VEGF145,VEGF165,VEGF189,VEGF206が知られており、それらはひとつの遺伝子から選択的スプライシングにより生ずると考えられている(例えば、非特許文献4参照。)。アイソフォームのうちVEGF121,VEGF165,VEGF189は多くの組織に共通して発現しているが、VEGF145は生殖組織に、VEGF206は胎盤組織にそれぞれ局在している。
【0005】
VEGFは上皮系細胞から間葉系細胞まで様々な種類の細胞で発現している。正常組織では、VEGFは胎生期の早期から発現が見られるが、特に心臓の形成が進展する時期に胸郭で強い発現がみられる。その後、肺、腎、脳などで強く発現し、組織形成に関与していることが示唆されている。また、VEGF遺伝子をジーンターゲッティングにより片方のアレルを破壊し、VEGFの発現を正常の半分にすると胎生致死を示し、卵黄嚢の血島とその周囲の血管系、胎児の心臓や動脈は一応形成されるものの背側大動脈の形成不全、心臓と大動脈の結合不全など様々な異常を生じることがマウスで報告されている。
【0006】
血管新生を伴う疾患の中では、癌の増殖もしくは転移、糖尿病性網膜症、慢性関節リュウマチなどの病態形成にVEGFが深く関与していることが知られている。癌においては、これまでに腎癌、乳癌、脳腫瘍、消化器癌、卵巣癌などの多くのヒト腫瘍組織におけるVEGFの産生が報告されている。これらのヒト腫瘍組織から産生されるVEGFが腫瘍内での血管新生を促進することにより、腫瘍細胞への栄養供給、さらには形成された血管を通して転移の促進に働くと考えられている。糖尿病性網膜症では、糖尿病により末梢血管に生じた低酸素状態が、特に眼底では網膜のグリア細胞におけるVEGFの産生亢進を引き起こし、その結果生じた血管新生の異常が網膜剥離やガラス体出血を起こして失明にいたると考えられている。慢性関節リュウマチでは、関節炎の病態進展に際し血管新生を伴うが、その際関節液中に高濃度のVEGFが存在することが報告されている。この他にもVEGFは血管透過性亢進活性を有し、胸水、腹水貯留の主要な因子であること、さらには腎臓の糸球体疾患との関連等も指摘されている。
【0007】
これらのことから、VEGFは胎生初期の心臓をはじめとする循環器・脈管系の正常な形態形成に密接に関与しているのみならず、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リュウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、創傷治癒、不妊症等多くの疾患、病理学的状態とも関係している重要な増殖因子のひとつである。しかし、これら病的状態における生体内でのVEGFの役割についてはいまだ不明な点が多く、有用なヒト疾患モデルの開発ならびに今後の解析が待たれている。
【0008】
一方、近年の発生工学の発展でヒト遺伝子を導入したトランスジェニックマウスがヒト疾患モデルとしてよく使用されており、血管内皮増殖因子B(VEGF−B)遺伝子からの修飾ヌクレオチド配列を有する組換えDNAを含むトランスジェニック動物が見い出されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、マウスは小型の動物であり、ヒト疾患モデルとして使用するにはいくつかの欠点がある。例えば、脂質代謝系がヒトと異なる点、すなわちコレステロールエステル転送蛋白(CETP)の活性が低いため、血清の主要なリポ蛋白は高密度リポ蛋白(HDL)である点や、カイロミクロンの構成成分であるアポ蛋白B48はヒトやウサギの場合は小腸のみで合成されるが、マウスでは肝臓においても産生されている点、さらに、レムナントやHDLの代謝において重要な酵素である肝リパーゼの局在パターンにも差があり、ヒトとウサギでは肝細胞や内皮細胞表面糖蛋白と結合しているのが、マウスでは70%以上の肝リパーゼが細胞表面に結合せずに血中に放出され遊離状態となっている点である。また、体が小さいため、冠状動脈や大動脈といった動脈硬化の好発臓器の病理学的観察や定量的分析が非常に困難である上、様々な疾病の評価項目の測定に必要な試料を十分量確保することが難しいといった欠点もある。
【0009】
他方、ウサギはおとなしいため実験動物として扱いやすく、手頃な大きさであるため、外科的処置を容易に行うことができる。また、様々な評価項目の測定に必要な試料を十分量確保することができる等、マウスには無い利点を有する。例えば、試料として血液を採取する場合を考えると、マウスでは一匹から採取できる血液は1ml以下であり、頻回採血は困難であるが、ウサギでは一回の採血に1〜2ml採取することが容易であり、この程度の血液量であれば頻回採取することも可能である。ヒト疾患モデル動物として予防薬剤、症状改善剤、新規治療剤等のスクリーニング等に用いる場合、血液中の様々な評価項目の変動を検討することはもっとも重要なことであり、ウサギのように必要かつ十分量の血液を頻回採取できる実験動物は非常に有用である。
【0010】
さらに、近年ではマウスとウサギに同じヒト遺伝子を導入した場合でも、その表現形はマウスとウサギで異なるケースがあることが知られている。これは、前記のようにマウスとヒトでは脂質代謝系が異なる(ウサギはヒトに近い)など動物種間の生理学的背景の違いを反映したものと考えられる。したがって、ヒト疾患モデルをヒトの疾病、病理的状態を動物に再現させたものとして考えた場合、生理学的特徴がよりヒトに近い動物種を選択するのが適当である。
【0011】
なお、本発明者らは高脂質血症やアテローム性動脈硬化症、エイズ等の病因の解明、治療に有用なトランスジェニックウサギの重要性を予見しており(例えば、非特許文献5参照。)、実際これまでに、ヒトLPLを過剰発現することができる、脂質代謝及び動脈硬化研究用モデルトランスジェニックウサギ(例えば、特許文献2参照。)や、MMP−12に起因する動脈硬化等の疾患に対する予防法、治療法、新規治療薬のスクリーニング等に用いることができるトランスジェニックウサギ(例えば、特許文献3参照。)を見い出している。
【0012】
【特許文献1】
特表2001−500385号公報
【特許文献2】
特開2002−000122号公報
【特許文献3】
特開2002−209472号公報
【非特許文献1】
Ferrara et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.1989:161;851−858
【非特許文献2】
Asahara et al., Circulation 1985:92;365−371
【非特許文献3】
Senger et al., Science 1983:219;983−985
【非特許文献4】
Tischer et al., J. Biol. Chem. 1991, 266:11947−11954
【非特許文献5】
Fan et al., Pathology International 1999;49:583−594
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、血管内皮増殖因子(VEGF)は胎生初期の心臓をはじめとする循環器・脈管系の正常な形態形成に密接に関与しているのみならず、癌、糖尿病性網膜症、関節リュウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、創傷治癒、不妊症等多くの疾患、病理学的状態とも関係している重要な増殖因子のひとつである。しかしながら、これら病的状態における生体内でのVEGFの役割についてはいまだ不明な点が多く、有用なヒト疾患モデルの開発ならびに今後の解析が待たれている。すなわち本発明の課題は、ヒトVEGFに起因する各種疾病の病態解明、予防法、治療法、新規治療薬のスクリーニングなどに用いることができるヒト疾患モデル動物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、新たなヒト疾患モデル動物としてヒトVEGFを発現するトランスジェニックウサギの作製を試みた。トランスジェニックウサギの作製は、トランスジェニックマウスの作製に比べて高レベルの技術と飼育環境が必要であり、たとえこれらの条件が整っていたとしても、マウスに比較すると成功率が低く、陽性トランスジェニックウサギの割合が極めて低いのが現状である。特に高純度で発現効率の高いDNA構築物の作製、ホルモン投与などによる採卵技術や高い確率で妊娠させる技術、あるいは遺伝子を注入した胚の分裂能力の向上などの基本技術を整備するには特別の工夫と技術の開発が必要である。そこで本発明者らは、これまでに本発明者らが多数のウサギを用いて開発してきたトランスジェニックウサギ作製技術(Fan et al., Pathology International 1999;49:583−594、特開2002−000122号公報、特開2002−209472号公報)を駆使し、過剰排卵処理したドナーウサギ卵管より受精卵を採取し、ヒトα1アンチトリプシンプロモーターにより発現誘導されるヒト血管内皮増殖因子(VEGF)cDNAを含むDNA構築物が導入された受精卵を偽妊娠(仮親)雌ウサギの卵管内に移植し、生まれた仔ウサギから前記ヒトVEGFcDNAを有する仔ウサギを選択することにより、トランスジェニックウサギを作製した。また、導入遺伝子の存在及びその発現をそれぞれサザンブロット法、ノーザンブロット法で確認し、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰発現するトランスジェニックウサギを樹立できることや、かかるトランスジェニックウサギが脾臓において髄外造血を惹起することや、肝臓において異形性肝細胞が形成され、血管腫を形成することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)をコードするDNAを含むDNA構築物が染色体上に導入された、ヒト血管内皮増殖因子を発現することを特徴とするトランスジェニックウサギの作製方法(請求項1)や、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)が肝臓及び脾臓に強発現することを特徴とする請求項1記載のトランスジェニックウサギの作製方法(請求項2)や、脾臓において髄外造血を惹起することを特徴とする請求項1又は2記載のトランスジェニックウサギの作製方法(請求項3)や、肝臓において血管腫が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法(請求項4)や、肝臓において異形性肝細胞が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法(請求項5)や、DNA構築物が、ヒトα1アンチトリプシンプロモータ、ウサギβ−グロビンイントロン、ヒトVEGFcDNA、ウサギβ−グロビンポリAシグナルを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法(請求項6)に関する。
【0016】
また本発明は、請求項1〜6のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法より得られるトランスジェニックウサギ(請求項7)や、請求項7記載のトランスジェニックウサギと被験物質とを用いることを特徴とするヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法(請求項8)や、請求項7記載のトランスジェニックウサギ由来の組織、器官又は細胞と被験物質とを用いることを特徴とするヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法(請求項9)や、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病が、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、不妊症であることを特徴とする請求項8又は9記載の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法(請求項10)や、請求項7〜10のいずれか記載のスクリーニング方法から得られることを特徴とするヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤(請求項11)に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のトランスジェニックウサギとしては、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)をコードするDNA構築物が染色体上に導入された、ヒトVEGFを発現することができるウサギ系統であれば特に制限されるものではないが、ヒトα1アンチトリプシンプロモーター、ウサギβ−グロビンイントロン、ヒト血管内皮増殖因子cDNA、ウサギβ−グロビンポリAシグナルを含むDNA構築物が導入されたヒトVEGFを肝臓及び脾臓に発現することができるトランスジェニックウサギ、中でも脾臓において髄外造血を惹起し、また肝臓において血管腫や異形性肝細胞が形成されるトランスジェニックウサギを好適に例示することができる。これらトランスジェニックウサギは、佐賀医科大学医学部附属動物実験施設において継代されており、一定の条件下で関係者は分譲を受けることができる。
【0018】
本発明のトランスジェニックウサギの樹立法としては、本発明者らにより報告されている方法(Fan et al., Proc. Natl. Acad. USA 1994;91:8727−8728,Fan et al., Arterioscl. Thromb. Vasc. Biol. 1995;15:1889−1899)等に準じて行うことができる。具体的には、ヒトVEGFcDNA(例えば、GeneBank アクセッションナンバー XM#004512、NM003376、AF008594、AF008593、U43369、U43368、AF041084等)を、例えばヒトα1アンチトリプシンプロモーター及びウサギβ−グロビンイントロンの下流に、かつウサギβ−グロビンポリAシグナルの上流に挿入した導入遺伝子を構築し、このDNA構築物をウサギ受精卵にマイクロインジェクションし、偽妊娠(仮親)雌ウサギの卵管内に移植し、生まれた仔ウサギから前記ヒトVEGFcDNAを有する仔ウサギを選択することによりトランスジェニックウサギを作製することができる。そして、ヒトVEGFcDNAを有する仔ウサギの選択は、ウサギの耳等よりゲノムDNAを抽出し、導入したヒトVEGFcDNAに特異的な標識化プローブを用いたサザンブロット法や、特異的なプライマーを用いたPCR法等により行うことができる。
【0019】
上記DNA構築物におけるヒトVEGF遺伝子を発現するためのプロモーターとしてはヒトα1アンチトリプシンプロモーターに制限されるものではなく、例えば、ヒトα1アンチトリプシンプロモーターの他、ヒトマクロファージスカベンジャーレセプタープロモーター、トリβ−アクチンプロモーター、ヒトCMVプロモーター、マウスフォンヴィルブラントファクタープロモーター等を用いることができるが、ヒトVEGF遺伝子を肝臓や脾臓で主に発現させるためにはヒトα1アンチトリプシンプロモーターを用いることが好ましく、また各種臓器で全身性に発現させるにはトリβ−アクチンプロモーターを用いることが好ましい。上記DNA構築物において、とくにヒトα1アンチトリプシンプロモーターやトリβ−アクチンプロモーターを用いてヒトVEGF遺伝子の発現調節を行う際には、ヒトVEGFcDNAの上流域にウサギβ−グロビンイントロンを挿入することにより発現効率を安定して高めることができる。そして、受精卵への該DNA構築物をの導入方法はとくに限定されるものではなく、上記マイクロインジェクション法の代わりにエレクトロポレーション法等を用いてもよく、また本発明者らにより開発されている体細胞核移植法(范 江霖:病理と臨床,17:324,1999)等も用いることができる。
【0020】
本発明のトランスジェニックウサギとしては、上記本発明のトランスジェニックウサギの作製方法より得られるトランスジェニックウサギであれば特に制限されるものではなく、具体的には、肝臓及び脾臓にヒトVEGFを強発現するトランスジェニックウサギや、各種臓器で全身性にヒトVEGFを発現するトランスジェニックウサギや、肝臓及び脾臓の腫大するトランスジェニックウサギや、胸腔内に胸水が貯留するトランスジェニックウサギや、肝臓における類同の拡張、髄外造血、肉眼的に海綿状を呈していた部分に一致して血管腫の形成ならびに肉眼的に白色結節として認められた部位に一致して肝細胞の異型性が観察されるトランスジェニックウサギや、脾臓における髄外造血が顕著なトランスジェニックウサギや、腎臓糸球体において毛細血管の増生、拡張が観察されるトランスジェニックウサギや、これらの諸性質を2以上併せ持つトランスジェニックウサギを例示することができる。
【0021】
本発明のヒトVEGFを過剰又は低発現することに起因する疾病、例えば肝臓癌や血管腫瘍などの各種癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、不妊症等の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法としては、本発明のトランスジェニックウサギと被験物質とを用いるスクリーニング方法や、本発明のトランスジェニックウサギ由来の組織、器官又は細胞と被験物質とを用いるスクリーニング方法であれば特に限定されるものではないが、被験物質の薬理効果を確認し、選別することのできるスクリーニング方法が好ましい。トランスジェニックウサギと被験物質とを用いる方法としては、被験物質を直接投与する方法や、被験物質を過剰発現するトランスジェニックウサギを作製し、本発明のトランスジェニックウサギと交配することにより、ヒトVEGFの発現量の測定・評価する方法を挙げることができる。トランスジェニックウサギ由来の組織、器官又は細胞と被験物質とを用いるスクリーニング方法としては、トランスジェニックウサギ由来の組織、器官又は細胞を被験物質の存在下で培養し、該組織、器官又は細胞のヒトVEGFの発現量を測定・評価する方法を挙げることができる。上記ヒトVEGFの発現量の測定・評価方法としては、ヒトVEGFに特異的な抗体を用いたELISA法、ドットブロット法、ウエスタンブロット法によるヒトVEGF蛋白量を定量する方法や、ヒトVEGFcDNA特異的プローブを用いたノーザンブロット法によるmRNA発現量を定量する方法を挙げることができる。ヒトVEGFの発現量の測定・評価に代えて、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、不妊症等の疾病に関連する各種症状に対する影響の測定・評価、例えば病理学的検査による形態変化の測定・評価を用いることもできる。これらの測定・評価に際しては、本発明のヒトVEGFトランスジェニックウサギと同種の野生型ウサギを同時に用いることが、個体レベルで正確な比較実験をすることができることから好ましい。
【0022】
本発明のヒトVEGFを過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤を医薬品として用いる場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。また、これら予防薬及び/又は症状改善剤は、経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。また、非経口投与剤として注射剤、経皮製剤あるいは座薬等とすることができる。これらの製剤は活性成分に薬理学的、製剤学的に認容される助剤を加えることにより常法に従って製造することができる。また、投与量は、対象疾患の種類、患者の年齢、性別、体重、症状、投与形態に応じて適宜決定することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1(トランスジェニックウサギの作製)
トランスジェニックウサギは文献(Fan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994;91:8724−8728, Hammer et al.,1985, Taylor and Fan, 1997)記載の方法に準じて作製した。特定の病原体に汚染されていない(SPF)日本白色種ウサギ(バイオテック社製;日本エスエルシー社製)159羽を使用した。第1日目、ドナーウサギ(4〜6ヶ月齢)に妊馬血清(Sigma社製)150Uを筋肉内注射して過剰排卵させた。第4日目、ドナーウサギを繁殖力のある雄ウサギと一緒にして、ヒト絨毛ゴナドトロピン(Sigma社製)150Uを静脈注射し、17〜19時間後、受精卵を卵管から採取した。
【0024】
ヒトα1アンチトリプシンプロモーター(Araki et al., Eur. J. Immunol 1995, 25:2401−2407)、ウサギβ−グロビンイントロン、ヒトVEGFcDNA(アクセッションナンバー AB021221)、ウサギβ−グロビンポリAシグナルからなる2.98kbの発現ベクターを構築し(図1参照)、10mMのTris(pH7.5)及び0.25mMのEDTAを含む緩衝液中に4〜8ng/μlとなるように懸濁した。倒立微分干渉顕微鏡(オリンパス社製「IX70」)を使用し、200倍の視野下、上記受精卵(1940個)にマイクロインジェクションし、偽妊娠(仮親)雌ウサギの卵管に移植したところ、137羽の仔ウサギが生まれた。なお、上記ヒトVEGFcDNAは、VEGF発現プラスミドベクターpUC−CAGGS/hVEGF165を用いて調製した。
【0025】
実施例2(サザンブロット法によるヒト血管内皮増殖因子遺伝子の検出)
ゲノムDNAを単離するために、生後1ヶ月のウサギの耳から生検用組織を切除し、消化緩衝液(50mM Tris−HCl、100mM EDTA、200μg/mLプロテイナーゼKを含む0.5% SDS)において55℃で一晩かけて消化させ、フェノール:クロロフォルム:イソアミルアルコール(ライフテックオリエンタル社製)を用いて抽出・精製した。得られたゲノムDNAをSacI及びXhoIにより切断し、さらにEcoRIにより切断することによって得られた10μgのゲノムDNAを1%アガロースゲルで電気泳動し、ターボブロッターシステム(Shleicher and Schunell社製)によってナイロン膜に移した。
【0026】
次に該膜上に固定したゲノム断片と、Prime−It IIランダム・プライマ・ラベリングキット(Stratgene社製)により合成された32Pラベルのヒト血管内皮増殖因子cDNAプローブとのハイブリダーゼーションを行い、オートラジオグラフィーにより外来導入遺伝子を検出した。
【0027】
生まれた137羽中6羽が、サザンブロット法により外来遺伝子が導入されたトランスジェニックウサギであることが明らかとなった(図2参照)。生存しているトランスジェニックファウンダーウサギは、2羽が雄(V58,V112)で1羽が雌(V50)であった。また、トランスジェニックファウンダーウサギを正常JW系統野生型ウサギと交配することによって得られたF1ウサギの耳から生検用組織を採取し、上記と同様の方法でサザンブロット解析を行ったところ、V50はモザイクのため外来遺伝子が遺伝されなかったが、V58、V112は正常な繁殖能力を持ち系統化されていることが確認された。なお、これらトランスジェニックウサギは佐賀医科大学医学部附属動物実験施設において継代されており、一定の条件下で関係者は分譲を受けることができる。
【0028】
実施例3(RT−PCR法によるヒト血管内皮増殖因子の発現解析)
ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)のmRNAの発現はヒトとウサギのVEGFが区別できるプライマー(human VEGF primer:forward:5’− GGC AGA ATC ATC ACG AAG −3’(配列番号1)、Reverse:5’− CAG GAT GGC TTG AAG ATG −3’(配列番号2))を用いてRT−PCR法で検査した。サーマルサイクルのプログラムは、最初のみ94℃で2分間変性させ、その後94℃で1分間熱変性させ、52℃で1分間アニーリングさせ、72℃で2分間伸張するというサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で10分間伸張を行い、4℃で保管した。その後、上記トランスジェニックファウンダーV112より得られたF1ウサギの種々の組織(肝臓、脾臓、腎臓、肺、脳、膵臓、副腎など)から全RNAを分離し、ヒトVEGFcDNAを合成した。RT−PCRの産物を1.2%アガロースゲル電気泳動にて分離し、280nmの紫外線照射によりバンドを観察した。内部標準としてウサギのβ−アクチン cDNAを用いた。RT−PCRの結果を図3に示す。RT−PCR法の結果より、ヒトVEGFmRNAが肝臓と脾臓で発現することが明らかとなった。
【0029】
実施例4(トランスジェニックウサギの病理学的解析)
(肉眼的所見)
本発明において作出したトランスジェニックファウンダーウサギV112より得られたF1ウサギを解剖したところ、トランスジェニックウサギ全例が肝臓及び脾臓の腫大する特徴を示した(図4A、参考写真1A)。特に肝臓は,正常JW系統野生型ウサギの2〜3倍の重量を示した。ホルマリン固定後の肝臓の割面には、結節状の白色部分と海綿状を呈する部分が観察された(図4B参考写真1B)。この他、トランスジェニックウサギの1例に胸腔内に胸水の貯留が観察された。
【0030】
(組織学的所見)
上述の変化について病理組織学的に検索を行った。肝臓では類同の拡張、髄外造血、肉眼的に海綿状を呈していた部分に一致して血管腫の形成(図4C、参考写真1C)ならびに肉眼的に白色結節として認められた部位に一致して肝細胞の異型性が観察された(図4D、参考写真1D)。また、脾臓では髄外造血が顕著であった(図4E、参考写真1E)。この他、腎臓糸球体において毛細血管の増生、拡張が観察された(図4F、参考写真1F)。
【0031】
病理学的解析より、トランスジェニックウサギの検索した臓器において血管の増生を主体とした変化を生じていることが明らかとなった。これらの変化はVEGFの生物学的活性を反映したものであることが示唆される。特に、肝臓での所見は、腫瘍細胞においてVEGF産生の増加が生じているというこれまでの報告に対して、VEGFの過剰産生が腫瘍形成の原因となり得ることを示唆するものであり興味深い。また、肝細胞の異型性は前癌病変として知られるものであり、VEGFの過剰発現との直接もしくは間接的な関連性について非常に興味が持たれる。さらに、脾臓、肝臓で観察された髄外造血の亢進とVEGFの過剰発現との間に何らかの関連性があるともの思われるが、脾臓で観察された髄外造血は予想し得ないものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明のヒト血管内皮増殖因子を過剰発現するトランスジェニックウサギは、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、不妊症などの研究用ヒト疾患モデルとしても有用であるであるばかりでなく、動物における初期発生、形態形成などの発生及び成長過程、創傷治癒、血管新生等の生理的過程の研究にも有用である。また、ヒトVEGFを過剰発現することができるので、ヒトVEGFを過剰、又は低発現することに起因する疾病や症状に対する予防薬剤、症状改善剤、新規治療剤等のスクリーニング等に用いることができる。
【0033】
【配列表】
Figure 2004337030
Figure 2004337030

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトランスジェニックウサギを作製するために用いたDNA構築物を模式的に示す図である。
【図2】本発明のトランスジェニックウサギ及び野生型ウサギにおけるゲノムのサザンブロットの結果を示す図である。
【図3】本発明のトランスジェニックウサギ及び野生型ウサギの肝臓、脾臓、腎臓、肺、脳、膵臓、副腎におけるRT−PCRの結果を示す図である。
【図4】本発明のトランスジェニックウサギにおける肉眼的及び組織学的病理所見を示す図である。
(A)肝臓の腫大を示す。
(B)肝臓のホルマリン固定後の割面を示し,矢印は海綿状を呈する部位を示す。(C)肝臓における血管腫の形成を示す。
(D)肝細胞の異型性を示す(*)。
(E)脾臓における髄外造血の亢進を示す。
(F)腎糸球体における毛細血管の増生を示す。

Claims (11)

  1. ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)をコードするDNAを含むDNA構築物が染色体上に導入された、ヒト血管内皮増殖因子を発現することを特徴とするトランスジェニックウサギの作製方法。
  2. ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)が肝臓及び脾臓に強発現することを特徴とする請求項1記載のトランスジェニックウサギの作製方法。
  3. 脾臓において髄外造血を惹起することを特徴とする請求項1又は2記載のトランスジェニックウサギの作製方法。
  4. 肝臓において血管腫が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法。
  5. 肝臓において異形性肝細胞が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法。
  6. DNA構築物が、ヒトα1アンチトリプシンプロモータ、ウサギβ−グロビンイントロン、ヒトVEGFcDNA、ウサギβ−グロビンポリAシグナルを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載のトランスジェニックウサギの作製方法より得られるトランスジェニックウサギ。
  8. 請求項7記載のトランスジェニックウサギと被験物質とを用いることを特徴とするヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法。
  9. 請求項7記載のトランスジェニックウサギ由来の組織、器官又は細胞と被験物質とを用いることを特徴とするヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法。
  10. ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病が、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、糸球体疾患、動脈硬化、不妊症であることを特徴とする請求項8又は9記載の予防薬及び/又は症状改善剤のスクリーニング方法。
  11. 請求項7〜10のいずれか記載のスクリーニング方法から得られることを特徴とするヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を過剰又は低発現することに起因する疾病の予防薬及び/又は症状改善剤。
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