JP2004336926A - ノイズ抑圧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータなどの電力変換に伴うノイズの低減をコモンモードチョークコイルを用いることなく実現し、電力変換器を小型化する。
【解決手段】機器の筐体と単相交流電源線との間のそれぞれの電位差を検出し、検出した電位差の振幅が小さい方を電位差の検出値として採用し、得られた電位差を反転増幅して、電気機器の電力形態変換部から前記電気機器の筐体へと電力を供給することによって、小型で伝導ノイズや漏洩電流の少ない電気機器を実現する。
【選択図】 図1
【解決手段】機器の筐体と単相交流電源線との間のそれぞれの電位差を検出し、検出した電位差の振幅が小さい方を電位差の検出値として採用し、得られた電位差を反転増幅して、電気機器の電力形態変換部から前記電気機器の筐体へと電力を供給することによって、小型で伝導ノイズや漏洩電流の少ない電気機器を実現する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータエアコンなどのように、家庭の商用電源からの電力をスイッチング素子を用いて、任意の周波数や電圧などに変換して動力などを発生する電気機器における、機器から電源ラインへの伝導ノイズや電気機器から大地への漏洩電流を減少させる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インバータエアコンなど、インバータ回路を用いてモータ可変速駆動を行う場合には、インバータ回路中、特に、三相ブリッジ回路102のスイッチングによるコモンモード成分の変動には、図4に示すように、電源105とモータ駆動回路全体との間にノイズフィルタ108を挿入し、3相ブリッジ回路102により発生した伝導ノイズを商用電源側に伝達しないように減衰遮断していた(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
また、電子的にノイズを抑圧制御する方法も提案されており、図5に示すように、ノイズフィルタと同様の効果を有するコモンモードチョークをトランス化して、コモンモードトランス7として、コモンモードトランス7の二次側でノイズの基本成分であるコモンモード成分を検出して、ハーフブリッジ回路8を駆動し、ハーフブリッジ回路8の出力からコンデンサ9を介して、機器のシャーシ(筐体)との間の電位差を制御する。この制御を行うことにより、機器のシャーシとの間に生じているコモンモード成分が抑圧され、コモンモード成分に起因する漏洩電流や伝導ノイズが抑圧される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、コモンモードトランス7の挿入位置としては整流ダイオードブリッジ4の手前以外にも、整流ダイオードブリッジ4と平滑コンデンサ3との間であっても同様の効果が得られる。
【0005】
【非特許文献1】
山村昌監修、大野栄一編著「パワーエレクトロニクス入門(改訂2版)」(第8章2節 図8・4)、平成3年発行、オーム社
【特許文献1】
特許第3044650号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、ノイズフィルタの主要部品であるコモンモードチョークコイルが極めて大型になってしまうという課題を有していた。また、インバータ回路全体を小型化しづらいという課題を有していた。
【0007】
また、伝導ノイズは電源端子と大地との間のノイズとして測定されるので、電源端子と大地との間の電位差を直接検出して、第二例と同様の制御を行うことも考えられるが、電源端子の片方と大地との間には基本成分として、過大な振幅100Vの電源電圧が基本成分として存在し、また、電源端子のどちら側が大地と同じ電位であるのか、どちら側が電源電圧を含んでいるのかは、必ずしも規定されていないので、電源電圧が含まれている側の端子と大地との間からは、ノイズ成分を実用的に検出して抑圧することは困難である。また、三相交流電源などでよく用いられる方法と同様に、電源端子の仮想中性点を回路で構成し、この仮想中性点と大地との間の電位差を検出する方法も考えられるが、家庭用の電源で用いる場合、電源電圧成分の振幅が半分になるものの、ノイズの振幅に対して過大である状況には殆ど変わりがない。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、コモンモードチョークコイルを必要としない電子制御式のノイズ抑圧装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、2本の線の内の片方が大地と略同電位にて供給される単相交流電源から得られた電力をスイッチング素子により所望の電力形態に変換する電力形態変換部をもつ電気機器において、前記電気機器の筐体と前記単相交流電源の2本の線との間の電位差をそれぞれ検出し、検出した電位差の振幅が小さい方の電位差を反転増幅して、前記電気機器の電力形態変換部から前記電気機器の筐体へと前記反転増幅結果に略比例する電力を供給するものである。
【0010】
また本発明は、電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力に対して、正の電位の第一のしきい値と、負の電位の第二のしきい値を設け、第一のしきい値を超え、且つ第二のしきい値を下回っている状態を検出したとき、前記増幅出力とは逆の増幅出力を前記電位差の検出値として採用するものである。
【0011】
また本発明は、電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力の中心電位に対して正方向および負方向のピーク電圧を保持する回路をそれぞれ設け、前記2つの回路の出力の差が少ない方の増幅出力を前記電位差の検出値として採用するものである。
【0012】
また本発明は、電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力を全波整流して、整流出力レベルを比較し、前記整流出力レベルが小さい方の増幅出力を前記電位差の検出値として採用するものである。
【0013】
また本発明は、電位差検出回路、振幅検出回路、反転増幅回路へのそれぞれの電源は、前記単相交流電源とは略絶縁された電位関係もしくは、大地に対し所定の電位をもつよう構成されているものである。
【0014】
この構成をなすことにより、大地と略同電位のラインと大地との間では、ノイズ成分が検出され、もう一方のラインと大地との間では、商用電源の基本電力成分すなわち50Hzもしくは60Hzの100Vの振幅の大きい電圧にノイズ成分が重畳されているため、上記振幅は大地と略同電位のラインとの振幅は小さくなり、もう一方の振幅は大きく検出されることとなり、基本電力成分の影響が殆どないラインの弁別が可能になり、ノイズ成分が容易に抽出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の回路図である。同図において、家庭へと供給される商用電源は、ブロック5のように、L線、N線による単相交流であるとともに、N線の方は、大地Gと同一電位になるように接地されている。しかし、実際の機器側での給電においては、どちらがLかNかは機械構造的には区別がつかない場合が多い。L線およびN線による単相電源線は、インバータエアコンなどの電気機器においては、整流ダイオードブリッジ4と平滑コンデンサ3により略直流に変換され、三相ブリッジ回路2と制御回路(図示せず)により、疑似三相交流に変換され、モータ1を駆動する。
【0017】
一方、電気機器のシャーシとはコンデンサ9を介して図1に示す電気機器の回路部10と結合されている。この回路部10は、交流電源からトランス18で絶縁された後、直流定電圧電源20により一定の電圧に調整された電源により動作する。回路部10において、比較増幅回路11aの一方の入力はシャーシに接続され、もう一方の入力端は、コンデンサ19aを介して単相電源のL側に接続され、比較増幅回路11bも同様に、一方の入力はシャーシに接続され、もう一方の入力端はコンデンサ19bを介して単相電源のN側に接続されている。したがって、比較増幅回路11a、11bでは、電源端子と大地との間の電位差を検出することができる。ただし、L線とシャーシとの間の場合には、許容される大きさが小さいノイズ成分に対して、100Vの電源電圧が重畳されており、比較増幅回路11aの出力は電源電圧の成分で飽和している状態になる。そこで、比較増幅回路11a、11bで得られた電源端子と大地との間の電位差情報は、振幅検出回路13a、13bに送られ、それぞれの振幅情報に変換される。得られた振幅情報は比較回路14に送られ、どちらの振幅が大きいか、すなわち振幅差を調べる。得られた振幅差は反転回路15を経由して選択回路12に送られる。選択回路12では、比較増幅回路11a、11bのいずれかの出力を選択するように動作する。ここでは、反転回路15があるため、振幅の少ない方が選択されるように動作する。選択回路12の出力は反転増幅回路16および絶縁増幅器17を経由してハーフブリッジ回路8を構成するトランジスタの共通ベースに入力される。ハーフブリッジ回路8の2つのコレクタはインバータ回路の中間直流部分に接続されており、ハーフブリッジ回路8の共通ベースを操作することにより、出力の共通エミッタ電位は、インバータ回路の中間直流部分の電位の幅まで変化することができ、コンデンサ9を経由してシャーシに接続されているため、結果として、シャーシに対する回路部分の電位を調整し、電源線における電位変動を抑圧することができる。
【0018】
図2は本実施における振幅検出回路13a、13bの実施例を示す回路ブロック図である。同図において、入力は比較回路41aおよび41bに入力される。比較回路41aでは、プラス側の電源より少し低い電位を上回っていないかどうかを判断する。上回っていれば、RSフリップフロップ42aをセットする。同様に、比較回路41bではマイナス側の電源より少し高い電位を下回っていないかどうかを判断する。下回っていれば、RSフリップフロップ42bをセットする。RSフリップフロップ42a、42bの出力はそれぞれ、2入力AND回路44に入力されているので、2つのRSフリップフロップ42a、42bがともにセットされたときのみ、2入力AND回路44の出力は「1」になる。つまり、入力が、プラス側の電源より少し低い電位を上回ることがあり、かつ、マイナス側の電源より少し高い電位を下回ることもある場合、すなわち、入力振幅が大きいときに2入力AND回路44の出力が「1」になる。
【0019】
なお、振幅検出回路の実施例としては、他に、比較増幅回路11a、11bの出力を比較増幅回路出力の中心電位を基準に正方向および負方向のピークホールド回路をおのおの設け、2つのピークホールド回路出力の差を用いても振幅は検出できる。あるいは、比較増幅回路11a、11bの出力をそれぞれ全波整流してレベル信号に変換し、得られたレベルの大小をもって検出した振幅とする方法も可能である。
【0020】
なお、図1で回路部10の電源供給を、トランス18および直流定電圧電源20にて構成したが、一般の電気機器でボタン操作など人が操作するなどの可能性がある部分は、トランスにて絶縁される回路構成をとることが既に行われており、このトランスを兼用することができる。
【0021】
また、回路部10での電源を交流電源からトランス結合で構成する方法で説明したが、整流ダイオードブリッジ4を経て得られた略直流部分を高周波スイッチングしてトランス結合で絶縁した後で整流する、いわゆるスイッチング電源の構成でも、回路部10の電源とすることができることは、容易に推察できる。
【0022】
(実施の形態2)
図3は、回路部30、すなわち、電位差検出のための比較増幅回路11a、11b、選択回路12、振幅検出回路13a、13b、比較回路14、反転回路15、反転増幅回路16の電源をハーフブリッジ回路8の電源と同一系統でまかなう場合の回路構成である。この場合、電源電位は大地に対しては100V程度の電位差を持つことになるので、シャーシの電位を検出するために、コンデンサ19cを挿入し、シャーシに電源電圧成分が漏洩しないようにする。また、反転増幅回路16とハーフブリッジ回路8との間の絶縁増幅器17、電源トランス18、直流定電圧電源20は不要になる。
【0023】
また、実施形態1および2の説明において、整流ブリッジダイオード部分を全波整流形式として説明したが、倍電圧整流回路を用いても同様の効果を得ることができることはいうまでもないし、整流回路がダイオードだけによるもの以外のトランジスタなどによるアクティブな素子を用いて電源力率を向上させる構成のものでも同様の効果を得ることができる。
【0024】
なお、本発明におけるノイズ抑圧はフィードバック制御によって成り立っており、制御が安定であるかぎり、制御系のパラメータが多少変動していても、その影響は殆ど現われない。また、制御系をより安定に構成するために、位相補償などの手法が実施されるが、本発明では、例えば、反転増幅回路16のところで、制御系の位相補償などを行えば制御系の特性改善を実現できることは容易に推察できる。また、実施形態1では、反転増幅回路16と絶縁増幅器17を複合したものでも実現できることも容易に推察できる。
【0025】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明によれば、電源ライン上の伝導ノイズを、電源ラインの片方とシャーシとの電位差をもって検出し、検出した結果により、キャンセルするように、インバータ回路の直流部分からシャーシへと、逆位相で注入することにより、回路側の電位がシャーシに対して一定に保つよう動作するもので、この構成によれば、容積の大きくなるコモンモードトランスを必要としなくなるので、インバータなどの電気機器を小型化できるという効果を奏する。
【0026】
なお、本発明の実施の形態の説明にあたっては、電力の形態を変換してモータを駆動する例で説明したが、交流の電力を略直流に変換した後、別の形態に変換するうもので、ノイズや漏洩電流が発生するものであれば、本発明が適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態における振幅検出回路のブロック回路図
【図3】本発明の実施の形態2のブロック回路図
【図4】従来の回路図
【図5】従来の回路図
【符号の説明】
1 モータ
2 三相ブリッジ回路
4 整流ダイオードブリッジ
8 ハーフブリッジ回路
11a、11b、比較増幅回路
12 選択回路
13a、13b 振幅検出回路
14 比較回路
16 反転増幅回路
17 絶縁増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータエアコンなどのように、家庭の商用電源からの電力をスイッチング素子を用いて、任意の周波数や電圧などに変換して動力などを発生する電気機器における、機器から電源ラインへの伝導ノイズや電気機器から大地への漏洩電流を減少させる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インバータエアコンなど、インバータ回路を用いてモータ可変速駆動を行う場合には、インバータ回路中、特に、三相ブリッジ回路102のスイッチングによるコモンモード成分の変動には、図4に示すように、電源105とモータ駆動回路全体との間にノイズフィルタ108を挿入し、3相ブリッジ回路102により発生した伝導ノイズを商用電源側に伝達しないように減衰遮断していた(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
また、電子的にノイズを抑圧制御する方法も提案されており、図5に示すように、ノイズフィルタと同様の効果を有するコモンモードチョークをトランス化して、コモンモードトランス7として、コモンモードトランス7の二次側でノイズの基本成分であるコモンモード成分を検出して、ハーフブリッジ回路8を駆動し、ハーフブリッジ回路8の出力からコンデンサ9を介して、機器のシャーシ(筐体)との間の電位差を制御する。この制御を行うことにより、機器のシャーシとの間に生じているコモンモード成分が抑圧され、コモンモード成分に起因する漏洩電流や伝導ノイズが抑圧される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、コモンモードトランス7の挿入位置としては整流ダイオードブリッジ4の手前以外にも、整流ダイオードブリッジ4と平滑コンデンサ3との間であっても同様の効果が得られる。
【0005】
【非特許文献1】
山村昌監修、大野栄一編著「パワーエレクトロニクス入門(改訂2版)」(第8章2節 図8・4)、平成3年発行、オーム社
【特許文献1】
特許第3044650号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、ノイズフィルタの主要部品であるコモンモードチョークコイルが極めて大型になってしまうという課題を有していた。また、インバータ回路全体を小型化しづらいという課題を有していた。
【0007】
また、伝導ノイズは電源端子と大地との間のノイズとして測定されるので、電源端子と大地との間の電位差を直接検出して、第二例と同様の制御を行うことも考えられるが、電源端子の片方と大地との間には基本成分として、過大な振幅100Vの電源電圧が基本成分として存在し、また、電源端子のどちら側が大地と同じ電位であるのか、どちら側が電源電圧を含んでいるのかは、必ずしも規定されていないので、電源電圧が含まれている側の端子と大地との間からは、ノイズ成分を実用的に検出して抑圧することは困難である。また、三相交流電源などでよく用いられる方法と同様に、電源端子の仮想中性点を回路で構成し、この仮想中性点と大地との間の電位差を検出する方法も考えられるが、家庭用の電源で用いる場合、電源電圧成分の振幅が半分になるものの、ノイズの振幅に対して過大である状況には殆ど変わりがない。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、コモンモードチョークコイルを必要としない電子制御式のノイズ抑圧装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、2本の線の内の片方が大地と略同電位にて供給される単相交流電源から得られた電力をスイッチング素子により所望の電力形態に変換する電力形態変換部をもつ電気機器において、前記電気機器の筐体と前記単相交流電源の2本の線との間の電位差をそれぞれ検出し、検出した電位差の振幅が小さい方の電位差を反転増幅して、前記電気機器の電力形態変換部から前記電気機器の筐体へと前記反転増幅結果に略比例する電力を供給するものである。
【0010】
また本発明は、電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力に対して、正の電位の第一のしきい値と、負の電位の第二のしきい値を設け、第一のしきい値を超え、且つ第二のしきい値を下回っている状態を検出したとき、前記増幅出力とは逆の増幅出力を前記電位差の検出値として採用するものである。
【0011】
また本発明は、電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力の中心電位に対して正方向および負方向のピーク電圧を保持する回路をそれぞれ設け、前記2つの回路の出力の差が少ない方の増幅出力を前記電位差の検出値として採用するものである。
【0012】
また本発明は、電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力を全波整流して、整流出力レベルを比較し、前記整流出力レベルが小さい方の増幅出力を前記電位差の検出値として採用するものである。
【0013】
また本発明は、電位差検出回路、振幅検出回路、反転増幅回路へのそれぞれの電源は、前記単相交流電源とは略絶縁された電位関係もしくは、大地に対し所定の電位をもつよう構成されているものである。
【0014】
この構成をなすことにより、大地と略同電位のラインと大地との間では、ノイズ成分が検出され、もう一方のラインと大地との間では、商用電源の基本電力成分すなわち50Hzもしくは60Hzの100Vの振幅の大きい電圧にノイズ成分が重畳されているため、上記振幅は大地と略同電位のラインとの振幅は小さくなり、もう一方の振幅は大きく検出されることとなり、基本電力成分の影響が殆どないラインの弁別が可能になり、ノイズ成分が容易に抽出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の回路図である。同図において、家庭へと供給される商用電源は、ブロック5のように、L線、N線による単相交流であるとともに、N線の方は、大地Gと同一電位になるように接地されている。しかし、実際の機器側での給電においては、どちらがLかNかは機械構造的には区別がつかない場合が多い。L線およびN線による単相電源線は、インバータエアコンなどの電気機器においては、整流ダイオードブリッジ4と平滑コンデンサ3により略直流に変換され、三相ブリッジ回路2と制御回路(図示せず)により、疑似三相交流に変換され、モータ1を駆動する。
【0017】
一方、電気機器のシャーシとはコンデンサ9を介して図1に示す電気機器の回路部10と結合されている。この回路部10は、交流電源からトランス18で絶縁された後、直流定電圧電源20により一定の電圧に調整された電源により動作する。回路部10において、比較増幅回路11aの一方の入力はシャーシに接続され、もう一方の入力端は、コンデンサ19aを介して単相電源のL側に接続され、比較増幅回路11bも同様に、一方の入力はシャーシに接続され、もう一方の入力端はコンデンサ19bを介して単相電源のN側に接続されている。したがって、比較増幅回路11a、11bでは、電源端子と大地との間の電位差を検出することができる。ただし、L線とシャーシとの間の場合には、許容される大きさが小さいノイズ成分に対して、100Vの電源電圧が重畳されており、比較増幅回路11aの出力は電源電圧の成分で飽和している状態になる。そこで、比較増幅回路11a、11bで得られた電源端子と大地との間の電位差情報は、振幅検出回路13a、13bに送られ、それぞれの振幅情報に変換される。得られた振幅情報は比較回路14に送られ、どちらの振幅が大きいか、すなわち振幅差を調べる。得られた振幅差は反転回路15を経由して選択回路12に送られる。選択回路12では、比較増幅回路11a、11bのいずれかの出力を選択するように動作する。ここでは、反転回路15があるため、振幅の少ない方が選択されるように動作する。選択回路12の出力は反転増幅回路16および絶縁増幅器17を経由してハーフブリッジ回路8を構成するトランジスタの共通ベースに入力される。ハーフブリッジ回路8の2つのコレクタはインバータ回路の中間直流部分に接続されており、ハーフブリッジ回路8の共通ベースを操作することにより、出力の共通エミッタ電位は、インバータ回路の中間直流部分の電位の幅まで変化することができ、コンデンサ9を経由してシャーシに接続されているため、結果として、シャーシに対する回路部分の電位を調整し、電源線における電位変動を抑圧することができる。
【0018】
図2は本実施における振幅検出回路13a、13bの実施例を示す回路ブロック図である。同図において、入力は比較回路41aおよび41bに入力される。比較回路41aでは、プラス側の電源より少し低い電位を上回っていないかどうかを判断する。上回っていれば、RSフリップフロップ42aをセットする。同様に、比較回路41bではマイナス側の電源より少し高い電位を下回っていないかどうかを判断する。下回っていれば、RSフリップフロップ42bをセットする。RSフリップフロップ42a、42bの出力はそれぞれ、2入力AND回路44に入力されているので、2つのRSフリップフロップ42a、42bがともにセットされたときのみ、2入力AND回路44の出力は「1」になる。つまり、入力が、プラス側の電源より少し低い電位を上回ることがあり、かつ、マイナス側の電源より少し高い電位を下回ることもある場合、すなわち、入力振幅が大きいときに2入力AND回路44の出力が「1」になる。
【0019】
なお、振幅検出回路の実施例としては、他に、比較増幅回路11a、11bの出力を比較増幅回路出力の中心電位を基準に正方向および負方向のピークホールド回路をおのおの設け、2つのピークホールド回路出力の差を用いても振幅は検出できる。あるいは、比較増幅回路11a、11bの出力をそれぞれ全波整流してレベル信号に変換し、得られたレベルの大小をもって検出した振幅とする方法も可能である。
【0020】
なお、図1で回路部10の電源供給を、トランス18および直流定電圧電源20にて構成したが、一般の電気機器でボタン操作など人が操作するなどの可能性がある部分は、トランスにて絶縁される回路構成をとることが既に行われており、このトランスを兼用することができる。
【0021】
また、回路部10での電源を交流電源からトランス結合で構成する方法で説明したが、整流ダイオードブリッジ4を経て得られた略直流部分を高周波スイッチングしてトランス結合で絶縁した後で整流する、いわゆるスイッチング電源の構成でも、回路部10の電源とすることができることは、容易に推察できる。
【0022】
(実施の形態2)
図3は、回路部30、すなわち、電位差検出のための比較増幅回路11a、11b、選択回路12、振幅検出回路13a、13b、比較回路14、反転回路15、反転増幅回路16の電源をハーフブリッジ回路8の電源と同一系統でまかなう場合の回路構成である。この場合、電源電位は大地に対しては100V程度の電位差を持つことになるので、シャーシの電位を検出するために、コンデンサ19cを挿入し、シャーシに電源電圧成分が漏洩しないようにする。また、反転増幅回路16とハーフブリッジ回路8との間の絶縁増幅器17、電源トランス18、直流定電圧電源20は不要になる。
【0023】
また、実施形態1および2の説明において、整流ブリッジダイオード部分を全波整流形式として説明したが、倍電圧整流回路を用いても同様の効果を得ることができることはいうまでもないし、整流回路がダイオードだけによるもの以外のトランジスタなどによるアクティブな素子を用いて電源力率を向上させる構成のものでも同様の効果を得ることができる。
【0024】
なお、本発明におけるノイズ抑圧はフィードバック制御によって成り立っており、制御が安定であるかぎり、制御系のパラメータが多少変動していても、その影響は殆ど現われない。また、制御系をより安定に構成するために、位相補償などの手法が実施されるが、本発明では、例えば、反転増幅回路16のところで、制御系の位相補償などを行えば制御系の特性改善を実現できることは容易に推察できる。また、実施形態1では、反転増幅回路16と絶縁増幅器17を複合したものでも実現できることも容易に推察できる。
【0025】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明によれば、電源ライン上の伝導ノイズを、電源ラインの片方とシャーシとの電位差をもって検出し、検出した結果により、キャンセルするように、インバータ回路の直流部分からシャーシへと、逆位相で注入することにより、回路側の電位がシャーシに対して一定に保つよう動作するもので、この構成によれば、容積の大きくなるコモンモードトランスを必要としなくなるので、インバータなどの電気機器を小型化できるという効果を奏する。
【0026】
なお、本発明の実施の形態の説明にあたっては、電力の形態を変換してモータを駆動する例で説明したが、交流の電力を略直流に変換した後、別の形態に変換するうもので、ノイズや漏洩電流が発生するものであれば、本発明が適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態における振幅検出回路のブロック回路図
【図3】本発明の実施の形態2のブロック回路図
【図4】従来の回路図
【図5】従来の回路図
【符号の説明】
1 モータ
2 三相ブリッジ回路
4 整流ダイオードブリッジ
8 ハーフブリッジ回路
11a、11b、比較増幅回路
12 選択回路
13a、13b 振幅検出回路
14 比較回路
16 反転増幅回路
17 絶縁増幅器
Claims (6)
- 2本の線の内の片方が大地と略同電位にて供給される単相交流電源から得られた電力をスイッチング素子により所望の電力形態に変換する電力形態変換部をもつ電気機器において、前記電気機器の筐体と前記単相交流電源の2本の線との間の電位差をそれぞれ検出し、検出した電位差の振幅が小さい方の電位差を反転増幅して、前記電気機器の電力形態変換部から前記電気機器の筐体へと前記反転増幅結果に略比例する電力を供給することを特徴とするノイズ抑圧装置。
- 電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力に対して、正の電位の第一のしきい値と、負の電位の第二のしきい値を設け、第一のしきい値を超え、且つ第二のしきい値を下回っている状態を検出したとき、前記増幅出力とは逆の増幅出力を前記電位差の検出値として採用することを特徴とする、請求項1記載のノイズ抑圧装置。
- 電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力の中心電位に対して正方向および負方向のピーク電圧を保持する回路をそれぞれ設け、前記2つの回路の出力の差が少ない方の増幅出力を前記電位差の検出値として採用することを特徴とする、請求項1記載のノイズ抑圧装置。
- 電気機器の筐体と単相交流電源の2本の線のうちのいずれかとの間の電位差を検出増幅し、前記増幅出力を全波整流して、前記整流出力レベルを比較し、整流出力レベルが小さい方の増幅出力を前記電位差の検出値として採用することを特徴とする、請求項1記載のノイズ抑圧装置。
- 電位差検出回路、振幅検出回路、反転増幅回路へのそれぞれの電源は、前記単相交流電源とは略絶縁された電位関係もしくは、大地に対し所定の電位をもつよう構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいづれかに記載のノイズ抑圧装置。
- 電気機器の電力形態変換部に整流回路を含み、整流回路の出力から、電位差検出回路、反転増幅回路、反転増幅出力に略比例する電力を供給する手段のそれぞれの電源を構成することを特徴とする、請求項1〜4のいづれかに記載のノイズ抑圧装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003131353A JP2004336926A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | ノイズ抑圧装置 |
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JP2003131353A JP2004336926A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | ノイズ抑圧装置 |
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JP2004336926A true JP2004336926A (ja) | 2004-11-25 |
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ID=33506548
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JP (1) | JP2004336926A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011228394A (ja) * | 2010-04-16 | 2011-11-10 | Fuji Electric Co Ltd | コモンモードトランス |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003131353A patent/JP2004336926A/ja active Pending
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JP2011228394A (ja) * | 2010-04-16 | 2011-11-10 | Fuji Electric Co Ltd | コモンモードトランス |
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