JP2004336609A - ステレオ化処理回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、小型化および低廉化が図れるとともに、より効果的にステレオ感が得られるようになるステレオ化処理回路を提供することを目的とする。
【解決手段】2つの無指向性マイクの出力信号に基づいて、ステレオ信号を生成するステレオ化処理回路において、減算型ステレオ化処理を行って第1の左チャンネル信号および第1の右チャンネル信号を生成するための第1回路、加算型ステレオ化処理を行って第2の左チャンネル信号および第2の右チャンネル信号を生成するための第2回路、第1の左チャンネル信号と第2の左チャンネル信号とを合成することによって、左チャンネル信号を生成する第3回路、ならびに第1の右チャンネル信号と第2の右チャンネル信号とを合成することによって、右チャンネル信号を生成する第4回路を備えている。
【選択図】 図11
【解決手段】2つの無指向性マイクの出力信号に基づいて、ステレオ信号を生成するステレオ化処理回路において、減算型ステレオ化処理を行って第1の左チャンネル信号および第1の右チャンネル信号を生成するための第1回路、加算型ステレオ化処理を行って第2の左チャンネル信号および第2の右チャンネル信号を生成するための第2回路、第1の左チャンネル信号と第2の左チャンネル信号とを合成することによって、左チャンネル信号を生成する第3回路、ならびに第1の右チャンネル信号と第2の右チャンネル信号とを合成することによって、右チャンネル信号を生成する第4回路を備えている。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等に搭載されるステレオ信号生成回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの無指向性マイクからステレオ信号を生成するための基本的な手法として、減算型ステレオ化処理を行う手法と、加算型ステレオ化処理を行う手法とがよく知られている。まず、減算型ステレオ化について説明する。
【0003】
図1は、減算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示している。
【0004】
右側マイク1の出力信号は、減算器41に送られるとともに、遅延回路11に送られる。遅延回路11の出力信号は、アッテネータ12に送られる。左側マイク2の出力信号は、減算器42に送られるとともに、遅延回路21に送られる。遅延回路21の出力信号は、アッテネータ22に送られる。
【0005】
アッテネータ22の出力信号は、減算器41に送られる。減算器41は、右側マイク1の出力信号からアッテネータ22の出力信号を減算することによって、右チャンネル信号を生成する。
【0006】
アッテネータ12の出力信号は、減算器42に送られる。減算器42は、左側マイク2の出力信号からアッテネータ12の出力信号を減算することによって、左チャンネル信号を生成する。
【0007】
図2、図3を参照して、減算型ステレオ化処理によって得られる指向性について説明する。
【0008】
図2に示すように、左側マイク2と右側マイク1とが、距離Lを隔てて配置されているものとする。左側マイク2と右側マイク1とを結ぶ平面であって前方および後方の境界となる平面に対して、後方の角度θの方向に音源が存在した場合、音源から右側マイク1までの距離は、音源から左側マイク2までの距離より、距離D(=Lcosθ)だけ長くなる。したがって、音の速度をkとすると、音源から右側マイク1に到達する音は、その音が左側マイク2に到達してからD/kに相当する時間だけ遅れて右側マイク1に到達することになる。
【0009】
そこで、左側マイク2に到達した音を遅延回路21によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ22によって減衰させた後、減算器41によって右側マイク1の出力信号から減算して、右チャンネル信号を生成することにより、右チャンネルに関して図2の角度θの後方向に対して死角を生成することが可能となる。この結果、図3に示すようなポーラパターンの指向性を得ることが可能となる。この指向性は、右チャンネルに対応する指向パターンとなる。
【0010】
同様に、右側マイク1に到達した音を遅延回路11によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ12によって減衰させた後、減算器42によって左側マイク2の出力信号から減算して、左チャンネル信号を生成することにより、左チャンネルに対応する指向パターンを得ることが可能となる。このようにして、2つの無指向性マイクからステレオ信号を生成することができる。
【0011】
ところで、小型化が進むビデオカメラ、デジタルカメラにおいては、左右のマイクの間隔を大きくとることが難しい。左右のマイクの間隔が小さい場合、2つのマイクに到達する音の時間差が小さくなるため、ステレオ感が得にくくなる。このため、マイク取り付け方法を工夫したり、マイクの数を増やしたりするといった工夫が行われているが、このような工夫を施した場合、小型化の妨げになる。
【0012】
左右のマイクの間隔が小さい場合に、良好なステレオ感を得るためには、図4に示すように、指向性パターンを、右90度、左90度に構成することが好ましいが、このようにすると、正面方向から到来する音が小さくなってしまう。つまり、いわゆる中抜け状態となる。
【0013】
また、良好なステレオ感を得るためには、アッテネータにおける減衰量を小さく(アッテネータでの倍率を大きく)する必要がある。しかしながら、低い周波数帯の音は、左右のマイク間において位相の差が得られにくいため、アッテネータにおける減衰量を小さくすると、図5に示すように、死角方向と異なる方向から到来する音であっても、低い周波数帯の音が減衰してしまう。なお、図5は、アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0014】
このため、アッテネータによる減衰量を大きく(アッテネータでの倍率を小さく)しなければならないが、そのようにすると、図6に示すように、指向性が弱くなり、ステレオ感が得にくくなる。なお、図6は、アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0015】
次に、加算型ステレオ化処理について説明する。
【0016】
図7は、加算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示している。
【0017】
右側マイク1の出力信号は、加算器32に送られるとともに、遅延回路13に送られる。遅延回路13の出力信号は、アッテネータ14に送られる。左側マイク2の出力信号は、加算器31に送られるとともに、遅延回路23に送られる。遅延回路23の出力信号は、アッテネータ24に送られる。
【0018】
アッテネータ14の出力信号は、加算器31に送られる。加算器31は、左側マイク2の出力信号にアッテネータ14の出力信号を加算することによって、右チャンネル信号を生成する。
【0019】
アッテネータ24の出力信号は、加算器32に送られる。加算器32は、右側マイク1の出力信号にアッテネータ24の出力信号を加算することによって、左チャンネル信号を生成する。
【0020】
図8を参照して、加算型ステレオ化処理によって得られる指向性について説明する。
【0021】
図8に示すように、左側マイク2と右側マイク1とが、距離Lを隔てて配置されているものとする。左側マイク2と右側マイク1とを結ぶ平面であって前方および後方の境界となる平面に対して、前方の角度θの方向に音源が存在した場合、音源から左側マイク2までの距離は、音源から右側マイク1までの距離より、距離D(=Lcosθ)だけ長くなる。したがって、音の速度をkとすると、音源から左側マイク2に到達する音は、その音が右側マイク1に到達してからD/kに相当する時間だけ遅れて左側マイク2に到達することになる。
【0022】
そこで、右側マイク1に到達した音を遅延回路13によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ14によって減衰させた後、加算器31によって左側マイク2の出力信号に加算して右チャンネル信号を生成することにより、右チャンネルに関して、角度θの前方向から到来する音を増幅することができる。図8の角度θ以外の方向から到来した音は、左側マイク2と右側マイク1との間で位相がずれるため、増幅される割合が小さくなる。この結果、右チャンネルに関して、図8の角度θの方向に指向性を生成することが可能となる。
【0023】
同様に、左側マイク2に到達した音を遅延回路23によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ24によって減衰させた後、加算器32によって右側マイク1の出力信号に加算して左チャンネル信号を生成することにより、左チャンネルに対応する指向パターンを得ることが可能となる。このようにして、2つの無指向性マイクからステレオ信号を生成することができる。
【0024】
加算型ステレオ化処理では、減算型ステレオ化処理とは異なる指向性パターンが得られる。低周波数帯の信号は、左側マイク2と右側マイク1との間での位相の差が得にくいため、加算型ステレオ化処理においては、図9に示すように、低周波数帯では指向性が得られにくくなる。
【0025】
なお、図9は、アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。また、図10は、アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0026】
【特許文献1】特開平4−27298号公報
【特許文献2】特開平11−205900号公報
【特許文献3】特開2000−287295号公報
【特許文献4】特開2001−177900号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、小型化が進むビデオカメラやデジタルスチルカメラにおいては、ステレオ録音する際に、2つの無指向性マイクからステレオ信号を作り出している。しかしながら、2つの無指向性マイクからつくり出したステレオ信号はステレオ感が低いため、ステレオ感を増すために、無指向性マイクの数を増やしたり、マイク取付け方法を工夫したりする方法が既に開発されたている。しかしながら、このような方法は、小型化の妨げになったり、コストが高くなったりするという問題がある。
【0028】
この発明は、小型化および低廉化が図れるとともに、より効果的にステレオ感が得られるようになるステレオ化処理回路を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、2つの無指向性マイクの出力信号に基づいて、ステレオ信号を生成するステレオ化処理回路において、減算型ステレオ化処理を行って第1の左チャンネル信号および第1の右チャンネル信号を生成するための第1回路、加算型ステレオ化処理を行って第2の左チャンネル信号および第2の右チャンネル信号を生成するための第2回路、第1の左チャンネル信号と第2の左チャンネル信号とを合成することによって、左チャンネル信号を生成する第3回路、ならびに第1の右チャンネル信号と第2の右チャンネル信号とを合成することによって、右チャンネル信号を生成する第4回路を備えていることを特徴とする。
【0030】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステレオ化処理回路において、第1回路は、第1の左チャンネル信号生成回路と第1の右チャンネル信号生成回路とを備えており、第1の左チャンネル信号生成回路は、右側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第1の遅延回路、および左側マイクの出力信号から、第1の遅延回路の出力信号または第1の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を減算して第1の左チャンネル信号を生成するための第1の減算器を備え、第1の右チャンネル信号生成回路は、左側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第2の遅延回路、および右側マイクの出力信号から、第2の遅延回路の出力信号または第2の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を減算して第1の右チャンネル信号を生成するための第2の減算器を備えており、第2回路は、第2の左チャンネル信号生成回路と第2の右チャンネル信号生成回路とを備えており、第2の左チャンネル信号生成回路は、左側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第3の遅延回路、および右側マイクの出力信号に、第3の遅延回路の出力信号または第3の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を加算して第2の左チャンネル信号を生成するための第1の加算器を備えており、第2の右チャンネル信号生成回路は、右側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第4の遅延回路、および左側マイクの出力信号に、第4の遅延回路の出力信号または第4の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を加算して第2の右チャンネル信号を生成するための第2の加算器を備えていることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図11〜図17を参照して、 この発明をデジタルスチルカメラに適用した場合の実施の形態について説明する。
【0032】
図11は、デジタルスチルカメラに設けられたステレオ化処理回路の構成を示している。
【0033】
右側マイク1の出力信号は、減算器41、加算器31、遅延回路11および遅延回路13に送られる。遅延回路11の出力信号はアッテネータ12に送られる。遅延回路13の出力信号はアッテネータ14に送られる。
【0034】
左側マイク2の出力信号は、減算器42、加算器32、遅延回路21および遅延回路23に送られる。遅延回路21の出力信号はアッテネータ22に送られる。遅延回路23の出力信号はアッテネータ24に送られる。
【0035】
減算器41には、アッテネータ22の出力信号が送られる。減算器41は、右側マイク1の出力信号からアッテネータ22の出力信号を減算する。減算器41の出力信号は、アッテネータ51に送られる。アッテネータ51の出力信号は加算器71に送られる。
【0036】
加算器32には、アッテネータ14の出力信号が送られる。加算器32は、左側マイク2の出力信号とアッテネータ14の出力信号とを加算する。加算器32の出力信号はアッテネータ61に送られる。アッテネータ61の出力信号は、加算器71に送られる。加算器71は、アッテネータ51の出力信号とアッテネータ61の出力信号とを加算して、右チャンネル信号を生成する。
【0037】
減算器42には、アッテネータ12の出力信号が送られる。減算器42は、左側マイク2の出力信号からアッテネータ12の出力信号を減算する。減算器42の出力信号は、アッテネータ52に送られる。アッテネータ52の出力信号は加算器72に送られる。
【0038】
加算器31には、アッテネータ24の出力信号が送られる。加算器31は、右側マイク1の出力信号とアッテネータ24の出力信号とを加算する。加算器31の出力信号はアッテネータ62に送られる。アッテネータ62の出力信号は、加算器72に送られる。加算器72は、アッテネータ52の出力信号とアッテネータ62の出力信号とを加算して、左チャンネル信号を生成する。
【0039】
各遅延回路11、13、21、23の遅延量および各アッテネータ12、14、22、24、51、52、61、62の減衰量は、任意に設定することが可能である。このステレオ化処理回路は、減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とを組み合わせることにより、より効果の大きなステレオ化処理を実現するものである。
【0040】
図12を参照して、減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とを組み合わせたステレオ化処理の原理について説明する。
【0041】
図12に示すように、左側マイク2と右側マイク1とが、距離Lを隔てて配置されているものとする。小型化が進むデジタルスチルカメラ、ビデオカメラにおいては、距離Lを大きくとることが難しく、20mm以下の範囲に設定される場合もある。音速をkとする。左側マイク2に到達した音を遅延回路21によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ22によって減衰させた後に、減算器41によって右側マイク1の出力信号から減算することにより、後方の角度θから到来する信号を減衰させる。また、右側マイク1に到達した音を遅延回路13によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ14によって減衰させた後に、加算器32によって左側マイク2の出力信号に加算することにより、前方の角度θの方向から到来する信号を増幅する。
【0042】
上記減算器41の出力信号と上記加算器32の出力信号とを、それぞれ別々のアッテネータ51、61を介して加算器71に送って、加算することによって、右チャンネル信号を生成する。このようにして、右チャンネルに対応する指向性を得る。
【0043】
同様に、右側マイク1に到達した音を遅延回路11によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ12によって減衰させた後に、減算器42によって左側マイク2の出力信号から減算する。また、左側マイク2に到達した音を遅延回路23によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ24によって減衰させた後に、加算器31によって右側マイク1の出力信号に加算する。
【0044】
上記減算器42の出力信号と上記加算器31の出力信号とを、それぞれ別々のアッテネータ52、62を介して加算器72に送って、加算することによって、左チャンネル信号を生成する。このようにして、左チャンネルに対応する指向性を得る。
【0045】
なお、アッテネータ51、61は、右チャンネルに関して、減算型ステレオ化処理で得られる信号と加算型ステレオ化処理で得られる信号との加算比率を調整するためのアッテネータである。同様に、アッテネータ52、62は、左チャンネルに関して、減算型ステレオ化処理で得られる信号と加算型ステレオ化処理で得られる信号との加算比率を調整するためのアッテネータである。
【0046】
図12の角度θを90度に設定すると、例えば、図13〜図15に示すような、右チャンネルに対応する指向パターン(減算型ステレオ化処理による指向パターンと加算型ステレオ化処理による指向パターンとの和)が得られる。
【0047】
図13〜図15において、Aは減算型ステレオ化処理による指向パターンを示し、Bは加算型ステレオ化処理による指向パターンを示している。
【0048】
図13は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示している。なお、アッテネータ51、61、52、62での倍率も1.0である。
【0049】
図14は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示している。なお、アッテネータ51、61、52、62での倍率も1.0である。
【0050】
図15は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。なお、アッテネータ51、61、52、62での倍率も1.0である。
【0051】
図13〜図15に示すように、減算型ステレオ化処理におけるアッテネータの減衰量を小さくすることによって、大きなステレオ感を得ることができる。減算型ステレオ化処理におけるアッテネータの減衰量を小さくすると、図14および図15にAで示すように、減算型ステレオ化処理では低周波数帯の音が減衰するが、図14および図15にBで示すように、加算型ステレオ化処理における低周波数帯の音を加えることによって、低周波数帯の音の減衰を防止できる。
【0052】
また、例えば図16、図17に示すように、減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とで、異なる角度の指向特性を形成するようにしてもよい。
【0053】
図16、図17は、減算型の指向パターンを90度とし、加算型の指向パターンを45度に設定した場合の右チャンネルに対応する指向パターンを示している。
【0054】
図16は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示している。また、図17は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0055】
このようにすると、正面方向から到来する音の減衰を防止することが可能となる。
【0056】
なお、減算型ステレオ化処理で得られる信号と加算型ステレオ化処理で得られる信号との加算比率を調整するためのアッテネータ51、61、52、62を利用して、加算型ステレオ化処理の効果を弱めると、低周波数帯の信号を制限することができ、風きり音防止の効果を得ることが可能である。
【0057】
なお、アッテネータ12、14、22、24、51、52、61、62は、その一部または全部を、省略することが可能である。
【0058】
【発明の効果】
この発明によれば、小型化および低廉化が図れるとともに、より効果的にステレオ感が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】減算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示すブロック図である。
【図2】減算型ステレオ化処理の原理を説明するための模式図である。
【図3】減算型ステレオ化処理によって得られる指向パターンを示すグラフである。
【図4】指向性を右90度、左90度に構成した場合の指向パターンを示すグラフである。
【図5】アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図6】アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図7】加算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示すブロック図である。
【図8】加算型ステレオ化処理の原理を説明するための模式図である。
【図9】アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図10】アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図11】デジタルスチルカメラに設けられたステレオ化処理回路の構成を示すブロック図である。
【図12】減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とを組み合わせたステレオ化処理の原理を説明するための模式図である。
【図13】減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図14】減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図15】減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図16】減算型の指向パターンを90度とし、加算型の指向パターンを45度に設定した場合の右チャンネルに対応する指向パターンであって、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図17】減算型の指向パターンを90度とし、加算型の指向パターンを45度に設定した場合の右チャンネルに対応する指向パターンであって、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【符号の説明】
1 右側マイク
2 左側マイク
11、13、21、23 遅延回路
12、14、22、24、51、52、61、62 アッテネータ
31、32、71、72 加算器
41、42 減算器
【発明の属する技術分野】
この発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等に搭載されるステレオ信号生成回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの無指向性マイクからステレオ信号を生成するための基本的な手法として、減算型ステレオ化処理を行う手法と、加算型ステレオ化処理を行う手法とがよく知られている。まず、減算型ステレオ化について説明する。
【0003】
図1は、減算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示している。
【0004】
右側マイク1の出力信号は、減算器41に送られるとともに、遅延回路11に送られる。遅延回路11の出力信号は、アッテネータ12に送られる。左側マイク2の出力信号は、減算器42に送られるとともに、遅延回路21に送られる。遅延回路21の出力信号は、アッテネータ22に送られる。
【0005】
アッテネータ22の出力信号は、減算器41に送られる。減算器41は、右側マイク1の出力信号からアッテネータ22の出力信号を減算することによって、右チャンネル信号を生成する。
【0006】
アッテネータ12の出力信号は、減算器42に送られる。減算器42は、左側マイク2の出力信号からアッテネータ12の出力信号を減算することによって、左チャンネル信号を生成する。
【0007】
図2、図3を参照して、減算型ステレオ化処理によって得られる指向性について説明する。
【0008】
図2に示すように、左側マイク2と右側マイク1とが、距離Lを隔てて配置されているものとする。左側マイク2と右側マイク1とを結ぶ平面であって前方および後方の境界となる平面に対して、後方の角度θの方向に音源が存在した場合、音源から右側マイク1までの距離は、音源から左側マイク2までの距離より、距離D(=Lcosθ)だけ長くなる。したがって、音の速度をkとすると、音源から右側マイク1に到達する音は、その音が左側マイク2に到達してからD/kに相当する時間だけ遅れて右側マイク1に到達することになる。
【0009】
そこで、左側マイク2に到達した音を遅延回路21によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ22によって減衰させた後、減算器41によって右側マイク1の出力信号から減算して、右チャンネル信号を生成することにより、右チャンネルに関して図2の角度θの後方向に対して死角を生成することが可能となる。この結果、図3に示すようなポーラパターンの指向性を得ることが可能となる。この指向性は、右チャンネルに対応する指向パターンとなる。
【0010】
同様に、右側マイク1に到達した音を遅延回路11によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ12によって減衰させた後、減算器42によって左側マイク2の出力信号から減算して、左チャンネル信号を生成することにより、左チャンネルに対応する指向パターンを得ることが可能となる。このようにして、2つの無指向性マイクからステレオ信号を生成することができる。
【0011】
ところで、小型化が進むビデオカメラ、デジタルカメラにおいては、左右のマイクの間隔を大きくとることが難しい。左右のマイクの間隔が小さい場合、2つのマイクに到達する音の時間差が小さくなるため、ステレオ感が得にくくなる。このため、マイク取り付け方法を工夫したり、マイクの数を増やしたりするといった工夫が行われているが、このような工夫を施した場合、小型化の妨げになる。
【0012】
左右のマイクの間隔が小さい場合に、良好なステレオ感を得るためには、図4に示すように、指向性パターンを、右90度、左90度に構成することが好ましいが、このようにすると、正面方向から到来する音が小さくなってしまう。つまり、いわゆる中抜け状態となる。
【0013】
また、良好なステレオ感を得るためには、アッテネータにおける減衰量を小さく(アッテネータでの倍率を大きく)する必要がある。しかしながら、低い周波数帯の音は、左右のマイク間において位相の差が得られにくいため、アッテネータにおける減衰量を小さくすると、図5に示すように、死角方向と異なる方向から到来する音であっても、低い周波数帯の音が減衰してしまう。なお、図5は、アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0014】
このため、アッテネータによる減衰量を大きく(アッテネータでの倍率を小さく)しなければならないが、そのようにすると、図6に示すように、指向性が弱くなり、ステレオ感が得にくくなる。なお、図6は、アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0015】
次に、加算型ステレオ化処理について説明する。
【0016】
図7は、加算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示している。
【0017】
右側マイク1の出力信号は、加算器32に送られるとともに、遅延回路13に送られる。遅延回路13の出力信号は、アッテネータ14に送られる。左側マイク2の出力信号は、加算器31に送られるとともに、遅延回路23に送られる。遅延回路23の出力信号は、アッテネータ24に送られる。
【0018】
アッテネータ14の出力信号は、加算器31に送られる。加算器31は、左側マイク2の出力信号にアッテネータ14の出力信号を加算することによって、右チャンネル信号を生成する。
【0019】
アッテネータ24の出力信号は、加算器32に送られる。加算器32は、右側マイク1の出力信号にアッテネータ24の出力信号を加算することによって、左チャンネル信号を生成する。
【0020】
図8を参照して、加算型ステレオ化処理によって得られる指向性について説明する。
【0021】
図8に示すように、左側マイク2と右側マイク1とが、距離Lを隔てて配置されているものとする。左側マイク2と右側マイク1とを結ぶ平面であって前方および後方の境界となる平面に対して、前方の角度θの方向に音源が存在した場合、音源から左側マイク2までの距離は、音源から右側マイク1までの距離より、距離D(=Lcosθ)だけ長くなる。したがって、音の速度をkとすると、音源から左側マイク2に到達する音は、その音が右側マイク1に到達してからD/kに相当する時間だけ遅れて左側マイク2に到達することになる。
【0022】
そこで、右側マイク1に到達した音を遅延回路13によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ14によって減衰させた後、加算器31によって左側マイク2の出力信号に加算して右チャンネル信号を生成することにより、右チャンネルに関して、角度θの前方向から到来する音を増幅することができる。図8の角度θ以外の方向から到来した音は、左側マイク2と右側マイク1との間で位相がずれるため、増幅される割合が小さくなる。この結果、右チャンネルに関して、図8の角度θの方向に指向性を生成することが可能となる。
【0023】
同様に、左側マイク2に到達した音を遅延回路23によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ24によって減衰させた後、加算器32によって右側マイク1の出力信号に加算して左チャンネル信号を生成することにより、左チャンネルに対応する指向パターンを得ることが可能となる。このようにして、2つの無指向性マイクからステレオ信号を生成することができる。
【0024】
加算型ステレオ化処理では、減算型ステレオ化処理とは異なる指向性パターンが得られる。低周波数帯の信号は、左側マイク2と右側マイク1との間での位相の差が得にくいため、加算型ステレオ化処理においては、図9に示すように、低周波数帯では指向性が得られにくくなる。
【0025】
なお、図9は、アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。また、図10は、アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0026】
【特許文献1】特開平4−27298号公報
【特許文献2】特開平11−205900号公報
【特許文献3】特開2000−287295号公報
【特許文献4】特開2001−177900号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、小型化が進むビデオカメラやデジタルスチルカメラにおいては、ステレオ録音する際に、2つの無指向性マイクからステレオ信号を作り出している。しかしながら、2つの無指向性マイクからつくり出したステレオ信号はステレオ感が低いため、ステレオ感を増すために、無指向性マイクの数を増やしたり、マイク取付け方法を工夫したりする方法が既に開発されたている。しかしながら、このような方法は、小型化の妨げになったり、コストが高くなったりするという問題がある。
【0028】
この発明は、小型化および低廉化が図れるとともに、より効果的にステレオ感が得られるようになるステレオ化処理回路を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、2つの無指向性マイクの出力信号に基づいて、ステレオ信号を生成するステレオ化処理回路において、減算型ステレオ化処理を行って第1の左チャンネル信号および第1の右チャンネル信号を生成するための第1回路、加算型ステレオ化処理を行って第2の左チャンネル信号および第2の右チャンネル信号を生成するための第2回路、第1の左チャンネル信号と第2の左チャンネル信号とを合成することによって、左チャンネル信号を生成する第3回路、ならびに第1の右チャンネル信号と第2の右チャンネル信号とを合成することによって、右チャンネル信号を生成する第4回路を備えていることを特徴とする。
【0030】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステレオ化処理回路において、第1回路は、第1の左チャンネル信号生成回路と第1の右チャンネル信号生成回路とを備えており、第1の左チャンネル信号生成回路は、右側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第1の遅延回路、および左側マイクの出力信号から、第1の遅延回路の出力信号または第1の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を減算して第1の左チャンネル信号を生成するための第1の減算器を備え、第1の右チャンネル信号生成回路は、左側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第2の遅延回路、および右側マイクの出力信号から、第2の遅延回路の出力信号または第2の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を減算して第1の右チャンネル信号を生成するための第2の減算器を備えており、第2回路は、第2の左チャンネル信号生成回路と第2の右チャンネル信号生成回路とを備えており、第2の左チャンネル信号生成回路は、左側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第3の遅延回路、および右側マイクの出力信号に、第3の遅延回路の出力信号または第3の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を加算して第2の左チャンネル信号を生成するための第1の加算器を備えており、第2の右チャンネル信号生成回路は、右側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第4の遅延回路、および左側マイクの出力信号に、第4の遅延回路の出力信号または第4の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を加算して第2の右チャンネル信号を生成するための第2の加算器を備えていることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図11〜図17を参照して、 この発明をデジタルスチルカメラに適用した場合の実施の形態について説明する。
【0032】
図11は、デジタルスチルカメラに設けられたステレオ化処理回路の構成を示している。
【0033】
右側マイク1の出力信号は、減算器41、加算器31、遅延回路11および遅延回路13に送られる。遅延回路11の出力信号はアッテネータ12に送られる。遅延回路13の出力信号はアッテネータ14に送られる。
【0034】
左側マイク2の出力信号は、減算器42、加算器32、遅延回路21および遅延回路23に送られる。遅延回路21の出力信号はアッテネータ22に送られる。遅延回路23の出力信号はアッテネータ24に送られる。
【0035】
減算器41には、アッテネータ22の出力信号が送られる。減算器41は、右側マイク1の出力信号からアッテネータ22の出力信号を減算する。減算器41の出力信号は、アッテネータ51に送られる。アッテネータ51の出力信号は加算器71に送られる。
【0036】
加算器32には、アッテネータ14の出力信号が送られる。加算器32は、左側マイク2の出力信号とアッテネータ14の出力信号とを加算する。加算器32の出力信号はアッテネータ61に送られる。アッテネータ61の出力信号は、加算器71に送られる。加算器71は、アッテネータ51の出力信号とアッテネータ61の出力信号とを加算して、右チャンネル信号を生成する。
【0037】
減算器42には、アッテネータ12の出力信号が送られる。減算器42は、左側マイク2の出力信号からアッテネータ12の出力信号を減算する。減算器42の出力信号は、アッテネータ52に送られる。アッテネータ52の出力信号は加算器72に送られる。
【0038】
加算器31には、アッテネータ24の出力信号が送られる。加算器31は、右側マイク1の出力信号とアッテネータ24の出力信号とを加算する。加算器31の出力信号はアッテネータ62に送られる。アッテネータ62の出力信号は、加算器72に送られる。加算器72は、アッテネータ52の出力信号とアッテネータ62の出力信号とを加算して、左チャンネル信号を生成する。
【0039】
各遅延回路11、13、21、23の遅延量および各アッテネータ12、14、22、24、51、52、61、62の減衰量は、任意に設定することが可能である。このステレオ化処理回路は、減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とを組み合わせることにより、より効果の大きなステレオ化処理を実現するものである。
【0040】
図12を参照して、減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とを組み合わせたステレオ化処理の原理について説明する。
【0041】
図12に示すように、左側マイク2と右側マイク1とが、距離Lを隔てて配置されているものとする。小型化が進むデジタルスチルカメラ、ビデオカメラにおいては、距離Lを大きくとることが難しく、20mm以下の範囲に設定される場合もある。音速をkとする。左側マイク2に到達した音を遅延回路21によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ22によって減衰させた後に、減算器41によって右側マイク1の出力信号から減算することにより、後方の角度θから到来する信号を減衰させる。また、右側マイク1に到達した音を遅延回路13によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ14によって減衰させた後に、加算器32によって左側マイク2の出力信号に加算することにより、前方の角度θの方向から到来する信号を増幅する。
【0042】
上記減算器41の出力信号と上記加算器32の出力信号とを、それぞれ別々のアッテネータ51、61を介して加算器71に送って、加算することによって、右チャンネル信号を生成する。このようにして、右チャンネルに対応する指向性を得る。
【0043】
同様に、右側マイク1に到達した音を遅延回路11によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ12によって減衰させた後に、減算器42によって左側マイク2の出力信号から減算する。また、左側マイク2に到達した音を遅延回路23によってD/kに相当する時間だけ遅らせかつアッテネータ24によって減衰させた後に、加算器31によって右側マイク1の出力信号に加算する。
【0044】
上記減算器42の出力信号と上記加算器31の出力信号とを、それぞれ別々のアッテネータ52、62を介して加算器72に送って、加算することによって、左チャンネル信号を生成する。このようにして、左チャンネルに対応する指向性を得る。
【0045】
なお、アッテネータ51、61は、右チャンネルに関して、減算型ステレオ化処理で得られる信号と加算型ステレオ化処理で得られる信号との加算比率を調整するためのアッテネータである。同様に、アッテネータ52、62は、左チャンネルに関して、減算型ステレオ化処理で得られる信号と加算型ステレオ化処理で得られる信号との加算比率を調整するためのアッテネータである。
【0046】
図12の角度θを90度に設定すると、例えば、図13〜図15に示すような、右チャンネルに対応する指向パターン(減算型ステレオ化処理による指向パターンと加算型ステレオ化処理による指向パターンとの和)が得られる。
【0047】
図13〜図15において、Aは減算型ステレオ化処理による指向パターンを示し、Bは加算型ステレオ化処理による指向パターンを示している。
【0048】
図13は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示している。なお、アッテネータ51、61、52、62での倍率も1.0である。
【0049】
図14は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示している。なお、アッテネータ51、61、52、62での倍率も1.0である。
【0050】
図15は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、2000Hzの音に対するポーラパターンを示している。なお、アッテネータ51、61、52、62での倍率も1.0である。
【0051】
図13〜図15に示すように、減算型ステレオ化処理におけるアッテネータの減衰量を小さくすることによって、大きなステレオ感を得ることができる。減算型ステレオ化処理におけるアッテネータの減衰量を小さくすると、図14および図15にAで示すように、減算型ステレオ化処理では低周波数帯の音が減衰するが、図14および図15にBで示すように、加算型ステレオ化処理における低周波数帯の音を加えることによって、低周波数帯の音の減衰を防止できる。
【0052】
また、例えば図16、図17に示すように、減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とで、異なる角度の指向特性を形成するようにしてもよい。
【0053】
図16、図17は、減算型の指向パターンを90度とし、加算型の指向パターンを45度に設定した場合の右チャンネルに対応する指向パターンを示している。
【0054】
図16は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示している。また、図17は、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示している。
【0055】
このようにすると、正面方向から到来する音の減衰を防止することが可能となる。
【0056】
なお、減算型ステレオ化処理で得られる信号と加算型ステレオ化処理で得られる信号との加算比率を調整するためのアッテネータ51、61、52、62を利用して、加算型ステレオ化処理の効果を弱めると、低周波数帯の信号を制限することができ、風きり音防止の効果を得ることが可能である。
【0057】
なお、アッテネータ12、14、22、24、51、52、61、62は、その一部または全部を、省略することが可能である。
【0058】
【発明の効果】
この発明によれば、小型化および低廉化が図れるとともに、より効果的にステレオ感が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】減算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示すブロック図である。
【図2】減算型ステレオ化処理の原理を説明するための模式図である。
【図3】減算型ステレオ化処理によって得られる指向パターンを示すグラフである。
【図4】指向性を右90度、左90度に構成した場合の指向パターンを示すグラフである。
【図5】アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図6】アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図7】加算型ステレオ化処理を行うための回路構成を示すブロック図である。
【図8】加算型ステレオ化処理の原理を説明するための模式図である。
【図9】アッテネータにおける減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図10】アッテネータにおける減衰量が大きい場合(アッテネータでの倍率が0.2である場合)の、12000Hz、6000Hzおよび2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図11】デジタルスチルカメラに設けられたステレオ化処理回路の構成を示すブロック図である。
【図12】減算型ステレオ化処理と加算型ステレオ化処理とを組み合わせたステレオ化処理の原理を説明するための模式図である。
【図13】減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図14】減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図15】減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、2000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図16】減算型の指向パターンを90度とし、加算型の指向パターンを45度に設定した場合の右チャンネルに対応する指向パターンであって、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、12000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【図17】減算型の指向パターンを90度とし、加算型の指向パターンを45度に設定した場合の右チャンネルに対応する指向パターンであって、減算型ステレオ化処理および加算型ステレオ化処理におけるアッテネータ12、14、22、24における減衰量が小さい場合(アッテネータでの倍率が1.0である場合)の、6000Hzの音に対するポーラパターンを示すグラフである。
【符号の説明】
1 右側マイク
2 左側マイク
11、13、21、23 遅延回路
12、14、22、24、51、52、61、62 アッテネータ
31、32、71、72 加算器
41、42 減算器
Claims (2)
- 2つの無指向性マイクの出力信号に基づいて、ステレオ信号を生成するステレオ化処理回路において、
減算型ステレオ化処理を行って第1の左チャンネル信号および第1の右チャンネル信号を生成するための第1回路、
加算型ステレオ化処理を行って第2の左チャンネル信号および第2の右チャンネル信号を生成するための第2回路、
第1の左チャンネル信号と第2の左チャンネル信号とを合成することによって、左チャンネル信号を生成する第3回路、ならびに
第1の右チャンネル信号と第2の右チャンネル信号とを合成することによって、右チャンネル信号を生成する第4回路、
を備えていることを特徴とするステレオ化処理回路。 - 第1回路は、第1の左チャンネル信号生成回路と第1の右チャンネル信号生成回路とを備えており、第1の左チャンネル信号生成回路は、右側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第1の遅延回路、および左側マイクの出力信号から、第1の遅延回路の出力信号または第1の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を減算して第1の左チャンネル信号を生成するための第1の減算器を備え、第1の右チャンネル信号生成回路は、左側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第2の遅延回路、および右側マイクの出力信号から、第2の遅延回路の出力信号または第2の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を減算して第1の右チャンネル信号を生成するための第2の減算器を備えており、
第2回路は、第2の左チャンネル信号生成回路と第2の右チャンネル信号生成回路とを備えており、第2の左チャンネル信号生成回路は、左側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第3の遅延回路、および右側マイクの出力信号に、第3の遅延回路の出力信号または第3の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を加算して第2の左チャンネル信号を生成するための第1の加算器を備えており、第2の右チャンネル信号生成回路は、右側マイクの出力信号を所与の時間だけ遅延させるための第4の遅延回路、および左側マイクの出力信号に、第4の遅延回路の出力信号または第4の遅延回路の出力信号を減衰させた信号を加算して第2の右チャンネル信号を生成するための第2の加算器を備えていることを特徴とする請求項1に記載のステレオ化処理回路。
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