JP2004336374A - 温度補償型圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この温度補償回路は、温度の上昇に伴って抵抗値が減少するサーミスタTH1と、定電圧V1をサーミスタTH1と分圧するための抵抗R1と、サーミスタTH1とオペアンプU1とをアイソレートしてノイズ除去の働きを行う抵抗R2とコンデンサC1と、オペアンプU1のマイナス側の電位を決定する抵抗R3、R4と、サーミスタTH1と抵抗R1の分圧電位を増幅するオペアンプU1と、帰還抵抗R5と、サーミスタTH1と抵抗R1の分圧電位利得調整用の抵抗R8、R9、R10と、可変容量ダイオードD1とのアイソレート抵抗R11と、オペアンプU1の利得調整と雑音除去の働きをする抵抗R6、R7、コンデンサC2と、アイソレート抵抗R12と、可変容量ダイオードD1を備えて構成される。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電発振器に関し、さらに詳しくは、周囲温度の変化に対して非直線的に変動する発振周波数特性を補償する温度補償型圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から水晶発振器は、コンデンサやインダクタを用いたLC発振器や、他の圧電材料を用いた発振器に比べて発振周波数の安定度が非常に高い。しかし、特に近年の無線通信技術の向上に伴って、発振器に対して、更に高い周波数安定度が要求されている。水晶発振器の発振周波数を変動させる大きな要因として、周囲温度による影響が非常に大きなウエイトを占めている。そのため、この周囲温度による影響を受けないように、或いは周囲温度の影響をキャンセルするような対策を講じる必要がある。
また、周囲温度により発振周波数が変化する要因として、水晶振動子に起因するものと、振動子を除く発振回路を構成する電子部品の電気的特性の温度特性に起因するものとに分けることができ、これに対して高安定水晶発振器では、周囲温度の影響を受けなくするための一つの方策として、振動子を含む発振回路を恒温槽内に入れることが行われている。しかしながら、近年、高安定発振器は小型化が進んでおり、発振器全体を恒温槽内に収納するのでは水晶発振器の大型化が避けられなくなる。そこで、振動子部分のみを主として恒温槽に入れる方法がある。しかし、発振回路基板は中央に振動子、辺縁部に振動子以外の発振回路部品が搭載されるケースが多く、発振回路基板上において恒温槽用ヒータに近くない、基板周辺縁部分などは、発振器外気温度の変化に伴って大きく温度が変化してしまう。そして、振動子以外の発振回路部品としてトランジスタ及び受動部品の電気的特性の温度変化が大きい場合には周波数温度特性は温度に対して直線的に変化するため、この特性の劣化は直線的に補償する必要がある。例えば、図7はこの様子を模式的に表した図である。周波数変化の特性が100のように周囲温度が高くなると周波数が低下する特性の場合、周波数制御電圧110をそれとは逆の特性を持つように設定すれば、補償後の周波数120は温度により変化しない特性となる。
そこで、温度センサ、電圧増幅器及びバラクタダイオードの組合わせにより直線的に温度補償する従来技術として、特開2002−135051公報には、歩留まりに優れ周波数安定度が高い小型の恒温槽型水晶発振器について開示されている。それによると、圧電振動子と増幅回路及び可変容量ダイオードを有する発振回路と、前記圧電振動子を一定温度に保つ為の恒温槽と、温度変化に伴う前記増幅回路の電気的特性の変化により前記圧電発振器の発振周波数が変動するのを抑圧するよう前記可変容量ダイオードの容量値を制御する為の制御電圧を出力する電圧発生回路とを備え、該電圧発生回路が正特性または負特性のサーミスタを感温素子として制御電圧を制御することにより温度変化によって生じる増幅回路の電気的特性の変動に伴う周波数変化を回路的に補償することができるので、周波数温度特性に優れる小型の恒温槽型水晶発振器を容易に実現することが可能としている。
【0003】
また同一出願人より、発振周波数の影響を温度に対して直線的に変化する温度特性に関わる影響を補償するため、温度検出手段により略温度に対して直線の電圧変化を得て、これを可変リアクタンス素子に印加することで、略直線的に補償する技術について提案されている。
また図8は、同一出願人より特願2002−348072として出願済みの温度補償回路の回路図であり、この電圧発生手段は、感温素子であるサーミスタR23と、そのサーミスタR23の電圧を分圧する分圧抵抗R24と、オペアンプ40のマイナス側の入力端子の電圧を設定する分圧抵抗R25、R26、オペアンプ40の出力電圧VOをマイナス側の入力端子に帰還する帰還抵抗R27と、電源電圧を分圧する分圧抵抗R21、R22と、交流カット用抵抗R28及び可変容量コンデンサD10から構成されている。これにより、出力電圧の飽和領域の終点(温度により直線的に変化する温度点)の設定が容易になるとしている。
【特許文献1】特開2002−135051公報
【特許文献2】特願2002−348072
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1は、電圧発生回路が正特性または負特性のサーミスタを感温素子として制御電圧を制御することにより、温度変化によって生じる増幅回路の電気的特性の変動に伴う周波数の一次関数的変化を補償するものである。一般に振動子以外の発振回路部品の周波数温度特性は温度に対して直線的に変化するものであるが、使用する部品や発振回路基板材料などによっては、基板を含む発振回路(振動子を除く)の電気的特性は直線的な温度特性とならない場合があり、これにより例えば発振周波数が二次関数的な変動が見られる場合では、特許文献1に記載の発明では、補償を行うことが困難である。
また、特許文献2の方法は、高温下での周波数低下に対してのみ周波数補償を行うため、低温側での周波数補正を行うことができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、基板を含む発振回路(振動子を除く)の温度特性が高温側から低温側に亘って変化しても、高温側、低温側ともに発振周波数対温度特性を直線近似をもって補償することが可能な圧電発振器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、温度の変化による発振周波数の変動を補償する周波数温度補償回路を備えた圧電発振器であって、前記周波数温度補償回路は、前記温度の変化を電圧変化として検出する温度検出手段と、該温度検出手段の出力電圧値を増幅する増幅手段と、両端子の電位差に基づいてリアクタンスが変化する可変リアクタンス素子と、を備え、前記信号増幅手段の出力電圧を前記圧電発振器の発振帰還系に挿入した前記可変リアクタンス素子の一方の端子に印加し、前記温度検出手段の出力電圧値を前記信号増幅手段を経由しないで前記可変リアクタンス素子の他方の端子に印加することを特徴とする。
周波数温度補償回路は、少なくとも周囲温度変化を検出する手段と、その周囲温度に応じた出力値を増幅する信号増幅手段と、それにより発生した電圧に基づいて例えば、容量を変化させることにより周波数を変化させて温度補償する手段とを必要とする。本発明の特徴は、可変リアクタンス素子の一方の端子に信号増幅回路の出力信号を印加し、他方の端子に温度検出回路から直接出力値を印加する点である。そして信号増幅回路は大きな利得を得る目的ではなく、ある温度範囲で温度検出回路からの出力値により出力信号を飽和させる目的で使用される。これにより、任意の温度範囲において直線的な電圧を得ることができる。
かかる発明によれば、可変リアクタンス素子の一方の端子に増幅回路の出力信号を、他方の端子に温度検出回路の出力値を印加するので、発振回路に用いる主として振動子以外の部品に起因する温度特性を補償することができる。
請求項2は、前記温度検出手段の出力値を増幅する信号増幅手段の動作を非反転増幅動作若しくは反転増幅動作の何れかとすることを特徴とする。
一般に信号増幅手段にはオペアンプが使用される。入力信号の位相と出力信号の位相が同相となるのが非反転増幅動作であり、逆に位相が逆相になるのが反転増幅動作である。そしてどちらの動作にするかは任意に選択可能であり、それにより温度検出回路のサーミスタの位置や可変リアクタンス素子の極性を変えることにより可能である。
かかる発明によれば、信号増幅手段の動作を非反転増幅動作若しくは反転増幅動作の何れでも構成できるので、回路構成のバリエーションを広くすることができる。
【0006】
請求項3は、前記温度検出手段の出力値を前記信号増幅手段を経由しないで前記可変リアクタンス素子の端子に印加する信号線は、利得調整回路を介して前記可変リアクタンス素子に接続されることを特徴とする。
温度検出手段の出力値は温度に比例して変化する値である。そして低温側の補償特性を調整するために、温度検出手段の出力値を安定化電位によりプルアップした抵抗とプルダウンした抵抗により分圧比を変えて調整する。これにより低温側の温度補償量を特定的に調整することができる。
かかる発明によれば、温度検出手段の出力値を抵抗を介して他の安定化電位に接続して分圧比を調整するので、低温側の温度補償量を特定的に調整することができる。
請求項4は、前記圧電発振器に使用される振動子以外の素子の温度特性に起因する発振周波数温度特性を補償することを特徴とする。
高安定水晶発振器の周波数補償すべき発振周波数対温度特性は、発振回路に使用するプリント基板や半導体素子の複合的特性により、直線的或いはある温度範囲以上でだけ発振周波数が低下するとは限らず、発振器を使用する中心の温度に対して、低温側でも高温側でも共に周波数が低下する傾向が見られる。そこで本発明では、低温側及び高温側共に、発振周波数対温度特性を直線近似により補償するものである。
かかる発明によれば、振動子以外の素子の温度特性に起因する発振周波数温度特性を総合的に補償するので、低温側及び高温側の広い範囲に亘って温度補償することができる。
【0007】
請求項5は、前記信号増幅手段は、所定の温度範囲においてのみ該信号増幅手段の出力電圧が飽和しない動作領域を備え、且つ前記所定の温度範囲外においては前記信号増幅手段の出力電圧が飽和する領域を備えることを特徴とする。
水晶振動子のATカットの特性は3次関数的な特性を持っている。この特性を補償するには、可変容量リアクタンス素子の両端の電圧を3次関数的に変化させる必要がある。そこで本発明では、低温側と高温側を除く所定の範囲においてのみ信号増幅手段がリニアに増幅する特性を持たせ、低温側と高温側ではそれぞれ飽和する特性を持たせることにより実現している。
かかる発明によれば、可変容量リアクタンス素子の両端に3次関数の電圧を与えるために、低温側と高温側を除く所定の範囲においてのみ信号増幅手段がリニアに増幅する特性を持たせ、低温側と高温側ではそれぞれ飽和する特性を持たせることにより実現するので、ATカットの水晶振動子の温度補償を行なうことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の周波数温度補償回路を説明する基本構成図である。この周波数温度補償回路200は、周囲の温度変化を検出して電圧変化として出力する温度検出回路1と、この温度検出回路1の出力値を増幅する信号増幅回路2と、両端の電位差により容量値が変化する可変リアクタンス素子3とを備えて構成される。そして本発明の周波数温度補償回路200の特徴は、温度検出回路1の出力信号(電圧)Bを可変リアクタンス素子3の端子3aに印加し、信号増幅回路2の信号Aを可変リアクタンス素子3の端子3bに印加している点である。そして信号増幅回路2は、大きな利得を得るためのものではなく、ある温度範囲で温度検出回路1から出力される信号Bを入力した場合、任意の温度範囲において飽和動作によってほぼ一定の電圧を得るためのものである。
【0009】
図2を参照して周波数温度補償回路200の動作について説明する。図2は図1の周波数温度補償回路200の各部の温度変化に対する信号レベルの関係を表す図である。縦軸は信号レベルを表し、横軸は温度を表す。温度検出回路1の信号Bは温度変化に比例して直線的(一次関数的)に変化する。また、信号増幅回路2の出力信号Aが同図に示すAの如く温度P以下において一定の低レベルを保ち、温度Q以上において一定の高レベルを保つような特性である場合、可変リアクタンス素子3の端子間電位は端子3b側の電位を基準として図2[A・B]のような特性となる。図2の温度Y−Q間のV字型の信号レベル([A・B]特性)では、一般的な可変容量ダイオードの特性(可変容量ダイオードは電位差が高いと容量値が小さくなる特性を持つ)に基づき、その端子間容量(端子3aがアノード端)は温度Pを中間として低温方向及び高音方向に推移するに従って容量値が小さくなり、水晶発振回路の発振周波数を高めることができるので、これを温度Y−Q間に於いて、温度Pを境に周波数が低下する特性を有する水晶発振器に適用すれば周波数特性の補償が行えることになる。
また、温度Y−Q間に於いて温度Pを境に周波数が高くなる特性を有する水晶発振器の温度特性を補償する場合は、信号Aを可変リアクタンス素子の端子3aに印加し、信号Bを端子3bに印加すれば上述した機能と同様のものを得ることができる。更に、Y−P−Q−Rの全区間の特性を用いることでATカットの水晶振動子の3次関数の周波数温度特性を補償することができる(詳細は後述する)。
【0010】
図3は、本発明の一実施形態に係る温度補償回路の具体的な回路構成を示す図である。この温度補償回路は、温度の上昇に伴って抵抗値が減少するサーミスタTH1と、定電圧V1をサーミスタTH1と分圧するための抵抗R1と、サーミスタTH1とオペアンプU1とをアイソレートしてノイズ除去の働きを行う抵抗R2とコンデンサC1と、オペアンプU1のマイナス側入力端子の電位を決定する抵抗R3、R4と、サーミスタTH1と抵抗R1の分圧電位を増幅するオペアンプU1と、帰還抵抗R5と、サーミスタTH1と抵抗R1の分圧電位利得調整用の抵抗R8、R9、R10と、可変容量ダイオードD1とのアイソレート抵抗R11と、オペアンプU1の利得調整と雑音除去の働きをする抵抗R6、R7、コンデンサC2と、アイソレート抵抗R12と、可変容量ダイオードD1を備えて構成される。
【0011】
次に本実施形態の温度補償回路の動作について説明する。サーミスタTH1は、温度上昇に伴って抵抗値が減少するように動作するので、サーミスタTH1と抵抗R1との接続点であるポイントbの電位は図2の信号Bのように温度上昇に伴って直線的に上昇する。この信号Bは抵抗R2、C1から成るローパスフィルタを介してオペアンプU1のプラス側入力端子に入力され、オペアンプU1の出力端子aに現れる信号は抵抗R6、R7、C2、R12を介して可変容量ダイオードD1のカソード端子a1に信号として印加される。ここでR12は可変容量ダイオードD1を含む発振回路の帰還系とのアイソレートのために高抵抗を用いる。また、ポイントbに発生した温度検出回路の出力信号は、R8、R11を介して可変容量ダイオードD1のアノード端子b1に信号として印加される。可変容量ダイオードD1は何れの温度範囲でもアノードに対してカソードを高電位となるように用いる。ここでR11は、可変容量ダイオードD1を含む発振回路の帰還系とのアイソレートのために高抵抗とする。
【0012】
ここでオペアンプU1の出力端子aにおける信号は、入力した信号Bがマイナス側入力端子の電圧より低い電圧範囲つまり低い温度範囲(図2のY−P間)では殆ど変化しない。そのため可変容量ダイオードD1のカソード側端子a1における電位はこの温度範囲(図2のY−P間)では変化しない。しかし、この温度範囲でもアノード側端子b1における電位がポイントbの電位に伴い、温度の低下に伴って電圧が低下するように変化するため、温度の低下に伴って可変容量ダイオードD1の端子間(a1−b1間)の電位差は大きくなり、その結果発振周波数を高めることができる。
またオペアンプU1の出力端子aのレベルは、温度範囲が図2のP−Q間オペアンプU1が非飽和動作するよう差動増幅回路を設定することにより、温度上昇の変化に対して高くなる。そのため可変容量ダイオードD1のカソード側端子a1における電位はこの温度範囲(図2のP−Q間)では温度の上昇に伴って高くなる。一方、このときもアノード側端子b1における電位はポイントbの電位であるので、温度の上昇に伴って電圧が上昇するように変化するが、アノード側端子b1におけるの電位の上昇率はオペアンプU1を通り増幅された信号が印加されるカソード側端子a1における電位の変化率よりも小さいため、可変容量ダイオードD1の両端(a1−b1間)の電位差は温度上昇に対して大きくなるように変化し、これに伴い、可変容量ダイオードD1の容量が減少するので発振周波数を高めるように働く。これにより、図2のY−P−Q間の〔A・B〕特性が得られる。
【0013】
またオペアンプU1の出力aは、高い温度範囲(図2のQ−R間)ではオペアンプU1が飽和動作するよう差動増幅回路を設定することにより温度の変化に対して電位は殆ど変化しない。そのため可変容量ダイオードD1のカソード側端子a1における電位はこの温度範囲(図2のQ−R間)では変化しない。しかし、この温度範囲でもアノード側端子b1における電位はサーミスタTH1と抵抗R1の分圧点bにつながっているので、温度の上昇に伴って電圧が更に上昇するように変化するため、可変容量ダイオードD1の両端(a1−b1間)の電位差は低下して、上昇した発振周波数を補償して低めるように働く。このように、Y−P−Q−Rの全区間の特性を用いることでATカットの水晶振動子の3次関数の周波数温度特性を補償することができる(詳細は後述する)。
【0014】
図4は、本発明に基づく温度補償回路を用いた水晶発振器の周波数温度特性の補償メカニズムを説明する図である。図4(a)は水晶発振器に於いて水晶振動子以外の電子部品の電気的特性に起因した周波数温度特性を表す図であり、縦軸に発振周波数を表し、横軸に温度を表す。この図では低温側と高温側で発振周波数が低下する二次関数的変化を呈する特性をもつ発振器の場合である。図4(b)は可変リアクタンス素子の両端の電位差と温度の関係を表す図である。この図では図4(a)の周波数温度特性を補償するためにV字型の特性を持たせている。この特性は本発明の実施形態で説明した回路(図3)により実現可能である。尚、可変リアクタンス素子は容量性素子であり、例えばその端子間の電圧差が大きくなるに伴い容量値が減少するものである。図4(c)は図4(a)に示す発振器の周波数温度特性を図4(b)に示す制御電圧にて可変リアクタンス素子を制御するような温度補償回路により補償した結果を表す図である。縦軸(左)に発振周波数を表し、縦軸(右)に温度補償電圧を表し、横軸に温度を表す。この図から発振器の周波数温度特性11が、温度補償回路による周波数制御によって、特性12のように略フラットに周波数温度特性を補償することができることが解る。
【0015】
ここで、図3のR6、R7、R8、R9、R10、C1、C2は必要に応じて付与する素子であり、必ずしも必要なものではない。また、本実施形態ではオペアンプU1のマイナス側入力端子にポイントbの電圧を入力しているが、飽和を利用する素子はプラス側入力端子を使用しても可能であり、この場合はサーミスタTH1と分圧抵抗R1逆にするか、或いは可変容量ダイオードD1の極性を逆にしても良い。或いはオペアンプU1の高電位側の飽和、つまり図2のS部の特性(負電源側の飽和ではなく正電源側の飽和)を用いることによって本発明と同様の特性を得ることができる。
また、補償特性の調整は、低温側の補償特性を調整するために、抵抗R8、R9、R10の値を調整することにより分圧量を調整することで可能である。また高温側の補償特性を調整するためにオペアンプU1の利得、例えば抵抗R5の値を調整することにより可能である。更に中央の温度、つまり補償電圧の谷となる温度を設定するためにオペアンプU1の入力の基準電位、例えば抵抗R1の値を調整することにより可能である。以上、振動子以外の電子部品の電気的特性に起因した周波数変化を補償する場合について説明したが、振動子の周波数温度特性をも含めた周波数変化を補償する場合にも本発明に基づく温度補償回路を適用することができる。
【0016】
即ち、図5は、本発明によりATカットで切断した水晶振動子を用いた発振器の周波数温度特性の補償メカニズムを説明する図である。図5(a)は発振周波数と温度の関係を表す図であり、縦軸に発振周波数を表し、横軸に温度を表す。この図では3次関数的特性をもつ発振器の場合である。図5(b)は可変リアクタンス素子の両端の電位差と温度の関係を表す図である。縦軸に可変リアクタンス素子の両端の電位差を表し、横軸に温度を表す。この図では図5(a)の周波数温度特性を補償するために3次関数の特性を持たせている。この特性は本発明の実施形態で説明した回路(図3)により実現可能である。図5(c)は図5(a)の周波数温度特性をもつ発振器の特性を図5(b)の特性をもつ本発明の実施形態の温度補償回路により補償した結果を表す図である。縦軸(左)に発振周波数を表し、縦軸(右)に温度補償電圧を表し、横軸に温度を表す。この図から図5(a)の周波数温度特性が3次関数的に変化する特性21を補償し、特性22のように略フラットに周波数温度特性を得るために、特性20の如く周波数制御するよう図bに示す制御電圧を用いて可変リアクタンス素子の容量値を可変する。
【0017】
図6は、本発明の図3の回路構成の温度補償回路の実測結果を示す図である。縦軸(左)に温度補償電圧Vcompen(V)を表し、縦軸(右)に出力周波数df/f(ppb)を表し、横軸に温度(degree)を表す。この図で特性30は補償電圧(可変リアクタンス素子の両極間電圧)の特性であり、V字型の特性を示している。例えば−20℃では2.822Vを示し、25℃で2.795Vを示し、80℃では2.827Vを示している。特性31は被測定発振器の周波数温度特性であり、低温側と高温側で発振周波数が低下する特性を有し、常温25℃で出力周波数が0ppbになるように正規化すると、例えば−20℃で約−15ppbを示し、80℃で約−80ppbを示している。特性32は特性31の補償前の特性を補償電圧30により補償した後の特性を表している。これによると、例えば−20℃で補償前は約−15ppbを示していたのが20ppbとなり、25℃で0ppb、80℃で補償前は約−80ppbを示していたのが−10ppbとなり、全体として20ppbから−10ppbの範囲に収まっているのが解る。このように本発明の温度補償回路により、低温側と高温側で発振周波数が低下する発振器の周波数温度特性を略フラットに補償することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、可変リアクタンス素子の一方の端子に増幅回路の出力信号を、他方の端子に温度検出回路の出力値を印加するので、発振回路に用いる主として振動子以外の部品に起因する温度特性を補償することができる。
また請求項2では、信号増幅手段の動作を非反転増幅動作若しくは反転増幅動作の何れでも構成できるので、回路構成のバリエーションを広くすることができる。
また請求項3では、温度検出手段の出力値を抵抗を介して他の安定化電位に接続して分圧比を調整するので、低温側の温度補償量を特定的に調整することができる。
また請求項4では、振動子以外の素子の温度特性に起因する発振周波数温度特性を総合的に補償するので、低温側及び高温側の広い範囲に亘って温度補償することができる。
また請求項5では、可変容量リアクタンス素子の両端に3次関数の電圧を与えるために、低温側と高温側を除く所定の範囲においてのみ信号増幅手段がリニアに増幅する特性を持たせ、低温側と高温側ではそれぞれ飽和する特性を持たせることにより実現するので、ATカットの水晶振動子の温度補償を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の周波数温度補償回路を説明する基本構成図である。
【図2】本発明の図1の周波数温度補償回路100の各部の温度変化に対する信号レベルの関係を表す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る温度補償回路の具体的な回路構成を示す図である。
【図4】本発明の周波数温度特性を補償する様子を説明する図である。
【図5】本発明によりATカットで切断した水晶振動子を用いた発振器の周波数温度特性を補償する様子を説明する図である。
【図6】本発明の図3の回路構成の温度補償回路の実測結果を表す図である。
【図7】従来の温度補償を説明するための図である。
【図8】従来の補償電圧発生手段の具体的な回路図である。
【符号の説明】
1 温度検出回路、2 信号増幅回路、3 可変リアクタンス素子
Claims (5)
- 温度の変化による発振周波数の変動を補償する周波数温度補償回路を備えた温度補償型圧電発振器であって、
前記周波数温度補償回路は、前記温度の変化を電圧変化として検出する温度検出手段と、該温度検出手段の出力電圧値を増幅する増幅手段と、両端子の電位差に基づいてリアクタンスが変化する可変リアクタンス素子と、を備え、
前記信号増幅手段の出力電圧を前記圧電発振器の発振帰還系に挿入した前記可変リアクタンス素子の一方の端子に印加し、前記温度検出手段の出力電圧値を前記信号増幅手段を経由しないで前記可変リアクタンス素子の他方の端子に印加することを特徴とする温度補償型圧電発振器。 - 前記温度検出手段の出力値を増幅する信号増幅手段の動作を非反転増幅動作若しくは反転増幅動作の何れかとすることを特徴とする請求項1に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記温度検出手段の出力値を前記信号増幅手段を経由しないで前記可変リアクタンス素子の端子に印加する信号線は、利得調整回路を介して前記可変リアクタンス素子に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記圧電発振器に使用される振動子以外の素子の温度特性に起因する発振周波数温度特性を補償することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記信号増幅手段は、所定の温度範囲においてのみ該信号増幅手段の出力電圧が飽和しない動作領域を備え、且つ前記所定の温度範囲外においては前記信号増幅手段の出力電圧が飽和する領域を備えることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の温度補償型圧電発振器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003129393A JP4259174B2 (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 温度補償型圧電発振器 |
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