JP2004335929A - 金属ベース回路基板の製造方法 - Google Patents

金属ベース回路基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性に優れた金属ベース回路基板を生産性良く、特に回路形成時のロスを低減させ、製造する方法を提供する。
【解決手段】(1)連続的に供給される金属箔1上に、絶縁接着剤組成物3を塗布し、絶縁接着剤組成物を硬化する工程、(2)更に連続的に供給される粘着剤付き樹脂フィルム5を粘着剤が対するように絶縁接着剤組成物からなる層上に積層し、金属箔と絶縁接着剤組成物と粘着剤付き樹脂フィルムとをロールにて加圧接合して一体化し、金属箔複合体7とする工程、(3)金属箔複合体の金属箔を、連続的又は間歇的に回路に形成する工程、(4)回路形成された金属箔複合体の粘着剤付き樹脂フィルムを剥離した後、絶縁接着剤組成物を介して金属板に接合し、絶縁接着剤組成物を硬化して一体化する工程、を順次経ることを特徴とする金属ベース回路基板の製造方法である。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、熱放散性に優れ、高い絶縁破壊電圧値を有し、信頼性の高い金属ベース回路基板を、極めて生産性が高く提供できる金属ベース回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高発熱電子部品を実装する回路基板として、金属ベース回路基板が熱放散性に優れるので用いられている。金属ベース回路基板を得る方法に関しては、熱伝導性の良好な金属板上に、無機フィラーを充填したエポキシ樹脂等の絶縁材を積層して金属絶縁基板(以下、金属ベース基板ともいう)を得た後に、前記金属絶縁基板の絶縁材の上に導電箔を張り合わせ、更にエッチング等により回路を形成する方法(特許文献1、特許文献2参照)、或いは、金属箔上に絶縁材を塗布し、加熱乾燥して得られた絶縁材付き金属箔を金属板上に積層して加熱加圧することにより金属ベース基板を作製する(特許文献3参照)。得られた金属ベース基板の導体箔をエッチング等により回路形成することで金属ベース回路基板を作製する等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−204301号公報。
【0004】
【特許文献2】特開2001−313446公報。
【0005】
【特許文献3】特開平8−083963号公報。
【0006】
しかしながら、いずれの方法であっても、導体箔を金属板に接着した後に回路形成する工程を行う必要があり、所望の回路形成ができなかった場合にはその部分の金属板を含め不良となってしまう為、多大な損失となる欠点を有している。
【0007】
また、導体箔/絶縁層/基板等の構造、すなわち、金属ベース基板とした状態で金属箔を加工して回路形成等の操作を行うために、枚葉処理になること、また、嵩張ったり、本来不要な重量が伴うことから、生産性が上らず、コストアップの要因となっている。更に、回路形成工程中において、金属板裏面に傷や凹み等の不良が発生しやすいという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、外観上の不良のない、信頼性に優れる金属ベース回路基板を、生産性高く、回路形成時のロスを低減させながら製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)連続的に供給される金属箔上に、絶縁接着剤組成物(a)を塗布し、前記絶縁接着剤組成物(a)を硬化する工程、
(2)更に連続的に供給される粘着剤付き樹脂フィルムを粘着剤が対するように前記絶縁接着剤組成物(a)からなる層上に積層し、前記金属箔と絶縁接着剤組成物(a)と粘着剤付き樹脂フィルムとをロールにて加圧接合して一体化し、金属箔複合体とする工程、
(3)前記金属箔複合体の金属箔を、連続的又は間歇的に回路形成する工程、
(4)回路形成された金属箔複合体の粘着剤付き樹脂フィルムを剥離した後、絶縁接着剤組成物(b)を介して金属板に接合し、前記絶縁接着剤組成物(b)を硬化して一体化する工程、を順次経ることを特徴とする金属ベース回路基板の製造方法である。
【0010】
本発明は、(1)の工程の絶縁接着剤組成物(a)の塗布と硬化とを、複数回繰り返すことを特徴とする前記の金属ベース回路基板の製造方法である。
【0011】
本発明は、絶縁接着剤組成物(a)が、硬化後のヤング率が8×10N/m以下であることを特徴とする前記の金属ベース回路基板の製造方法である。
【0012】
更に、本発明は、絶縁接着剤組成物(a、b)が、無機質充填材として酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)および酸化珪素(SiO)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする前記の金属ベース回路基板の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の(1)の工程は、図1に例示された通りに、連続的に供給される金属箔上に、絶縁接着剤組成物(a)を塗布し、絶縁接着剤組成物(a)を硬化する工程であり、続いて、(2)の工程、即ち、連続的に供給される粘着剤付き樹脂フィルムを粘着剤が対するように前記絶縁接着剤組成物(a)からなる層上に積層し、前記金属箔と絶縁接着剤組成物(a)と粘着剤付き樹脂フィルムとをロールにて加圧接合して一体化し、金属箔複合体とする工程、に続いている。
【0015】
図1では、連続的に供給される金属箔1上に塗布機2を用いて絶縁接着剤組成物(a)3を塗布し、加熱装置4により絶縁接着剤組成物(a)3を硬化する。その後、他の連続的に供給される粘着剤付き樹脂フィルム5を粘着剤が対するように前記絶縁接着剤組成物(a)からなる層上に積層し、前記金属箔と絶縁接着剤組成物(a)と粘着剤付き樹脂フィルムとを加圧接合ロール6により加圧接合して一体化する。その後、得られた一体化された金属箔複合体7は巻き取り機等によりロール状にする。
【0016】
本発明で用いる塗布機2にはロールコーター、グラビアコーター、キスコーターや円筒状のメッシュを用いたスクリーン印刷機等を用いることができる。又、絶縁接着剤組成物(a)の粘性等により一度の塗布で所望の厚みの形成ができない場合には、絶縁接着剤組成物(a)の塗布と硬化とを複数回繰り返すことが有効である。絶縁接着剤組成物(a)3を2回以上積層して、所望の厚みとした場合の方が、一度に塗布して形成させた場合に比べて、塗布厚みのばらつきが少なくなり、金属ベース回路基板の特性を安定化させ易い利点も有る。
【0017】
本発明で用いる加熱装置4としては温風式加熱炉、遠赤外式加熱炉等が使用できる。加圧接合ロール6は材質にシリコーンゴムやウレタンゴム等を用いた各種ラミネーター装置が使用できる。又は、加熱炉と加圧接合ロールが一体化した装置を用いることも可能である。
【0018】
尚、図1に於いては、金属箔上に絶縁接着剤組成物(a)を塗布し加熱硬化させているが、製造上の理由により粘着剤付き樹脂フィルムと加圧接合し一体化した後に、絶縁接着剤組成物(a)を加熱硬化させる工程を追加することもできる。
絶縁接着剤組成物3の硬化速度が遅すぎる場合には、加熱装置4による硬化が不十分であっても絶縁接着剤組成物3の硬化を完了することができるので、好ましい方法である。つまり、絶縁接着剤組成物の硬化は、金属箔上に塗布された後から金属箔複合体の回路化工程以前の段階までに硬化が完了する様に、少なくとも一度以上複数回の加熱硬化を行えば良い。また、後工程が間歇的に処理されるような場合には金属箔複合体7をロール状とする必要はなく、例えば図4に例示した通りに、プレス機21や切断機等を用いて所定寸法の大きさの平板とすることもできる。
【0019】
金属箔1の材質については、特に限定されるものではなく、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、錫(Sn)、銀(Ag)、チタニウム(Ti)、金(Au)、前記金属の合金、或いは前記金属や前記合金にNiメッキ、(Ni+Au)メッキ等の金属メッキが施されていても構わない。これらの金属或いは合金は、ロール状に供給することのできる厚みであることが必要であり、具体的には4〜300μmの厚さのものが用いることができる。
【0020】
絶縁接着剤組成物(a)は、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ケイ素(SiO)、窒化硼素(BN)等の無機充填材を少なくとも1種以上樹脂に混合したものであり、使用する樹脂にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられる。又、樹脂と無機充填剤との界面の接着性を高める為に、シリコーンカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤を添加してもよい。また、前記の目的のために、混合に先立ち、無機充填剤の表面を処理することもできる。
【0021】
本発明の絶縁接着剤組成物(a)は、硬化後のヤング率が8×10N/m以下であることが好ましい。絶縁剤組成物が硬化後のヤング率が8×10N/mを超えるものでは、得られた金属箔複合体をロール状態にしたり、後工程に好適に供給するために巻き戻したりする等の操作を繰り返す際に、絶縁剤組成物の硬化物(以下、単に絶縁層という)にクラックが発生してしまい、得られる金属ベース回路基板の特性、ことに耐電圧性、絶縁破壊強度等の電気特性を著しく劣化させてしまうことがある。
【0022】
また、絶縁接着剤組成物のクラックの抑制と金属ベース回路基板の耐電圧特性、熱放散性の観点より、塗布する絶縁接着剤組成物の膜厚は30〜200μmが好ましい。絶縁接着剤組成物の膜厚が30μm未満の場合には耐電圧特性が低くなり好ましくないし、絶縁接着剤組成物の膜厚が200μmを超えると熱放散性が低下するとともに、絶縁接着剤組成物にクラックが発生してしまうことがあるためである。
【0023】
本発明に用いる粘着剤付き樹脂フィルムとしては、本発明に於ける(1)の工程で粘着剤付き樹脂フィルムと接合一体化後に前記絶縁接着剤組成物(a)の加熱硬化を行う場合には加熱硬化条件に対応できる粘着剤付き樹脂フィルムを選択する必要があるが、粘着剤付き樹脂フィルムと接合一体化させる以前に前記絶縁接着剤組成物(a)の硬化が完了している場合には、特に限定されずPVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルム状基材に天然ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤等の粘着剤が塗布されたものを使用することができる。すなわち、次に示す(3)の工程において回路形成を行う為の処理に耐えられるもので有れば良い。そのため、耐熱温度が50度程度でエッチング液や剥離液等に耐えられる一般的な粘着剤付き樹脂フィルムであれば限定されないという利点がある。
【0024】
次に、本発明における(3)の工程について説明する。この工程では、図2並びに図5に例示する通りに、連続的(図2)又は間歇的(図5)に供給される金属箔複合体7の金属箔1上に、レジスト形成装置8を用いて、エッチングレジスト9を形成し、エッチング装置10およびレジスト剥離装置11を用いて回路形成することで回路形成された金属箔複合体12を得る。連続的な処理の場合には、必要に応じて、巻き取り機等によりロール状にする。
【0025】
本発明におけるレジスト形成装置8とは、スクリーン印刷法の場合はスクリーン印刷機およびレジスト硬化炉等のことであり、ドライフィルムやフォトレジストを使用する露光法の場合はラミネーター、レジストコーター、露光・現像装置、レジスト硬化炉等のことであり、金属箔のエッチング及びエッチングレジスト剥離には工業的に用いられているウエットエッチング装置及びドライエッチング装置、エッチングレジスト剥離装置を用いることができる。即ち、連続的又は間歇的に供給される金属箔複合体に対してエッチングレジストの形成、金属箔のエッチングおよびレジスト剥離を連続的又は間歇的(半連続的)に行うことで金属回路の形成が行える装置を用いれば良い。
【0026】
本発明においては、金属板と接合する前に回路形成を行うので、回路断線や短絡等の回路形成上の欠陥が生じた場合にはその部分を回路形成後即座に取り除くことができ、回路基板化された状態で取り除く従来の製法に比べ、材料ロスを少なくする事が可能であり、コスト的に有利な特徴を有している。
【0027】
更に、本発明の製造方法では、金属板に接合する以前に金属箔と絶縁接着剤組成物との密着性検査および電気的特性検査を実施することができる特徴がある。従来の製法では最終工程が終了した段階まで、金属箔と絶縁接着剤組成物との密着性検査および耐電圧特性の検査、絶縁抵抗の検査等が実施できないが、本発明によれば、回路形成部分の密着性不良部分または電気的不良部分を基板に接合してしまい、いわゆる不良基板を製造することを未然に防ぐことができる利点がある。
【0028】
加えて、本発明の製造方法に拠れば、従来の製造方法のように金属板を最初から最後の工程まで処理するいわゆる枚葉処理で行っていないので、金属板の嵩張りや重量等を考慮した製造設備にする必要がないし、又、回路形成工程中で金属板裏面の傷や凹こみ等の不良を発生し難いことから、高品質の金属ベース回路基板を高い歩留まりで提供できる利点も有している。
【0029】
次に、本発明における(4)の工程について説明する。図3に例示した通りに、回路形成された金属箔複合体の粘着剤付き樹脂フィルム5を剥離機13を用いて剥離した後、絶縁接着剤組成物(a)面に塗布機14を用いて絶縁接着剤組成物(b)15を塗布し、加圧接合ロール17を用いて金属板16と接合した後に、切断機18を用いて所望サイズに回路形成された金属箔複合体12を切断する。最後に加熱装置19を用いて絶縁接着剤組成物(b)を硬化することにより金属ベース回路基板20を製造する。
【0030】
ここで、本発明に用いる絶縁接着剤組成物(b)としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等を単独もしくは複数配合したものに酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機質充填材を1種類以上含有させ、放熱効果を確保させた組成物を塗布機等によりシート状にしたもの、あるいは、あらかじめ前記組成物をシート状に形成したものを接合に用いる等が挙げられ、これらのうち、絶縁接着剤組成物(b)として信頼性の面から絶縁接着剤組成物(a)に用いる樹脂および無機質充填材と同じものか、それに類似した組成物を用いることが、熱膨張等による硬化接合時のクラック抑制等の理由で、それに類似した樹脂組成物に絶縁接着剤組成物と同様の熱膨張特性を示す組成物を用いることが、熱膨張等による硬化接合時のクラック抑制等の理由で好ましく選択される。
【0031】
図3では、回路形成された金属箔複合体12の絶縁接着剤組成物(a)に対して絶縁接着剤組成物(b)15を塗布させ、金属板16と接合させたが、金属板16に絶縁接着剤組成物(b)を塗布して回路形成された金属箔複合体12の絶縁接着剤組成物(a)面と接合させることも可能である。また、一回の塗布で所望膜厚の塗布ができない場合には回路形成された金属箔複合体12の絶縁接着剤組成物(a)塗布面および金属板16にそれぞれ絶縁接着剤組成物(b)を塗布して接合させ金属ベース回路基板を形成させることもできる。又、図3ではロール状の回路形成された金属箔複合体を用いた例を示したが、間歇的に処理された平板状の回路形成された金属箔複合体を用いた場合も同様である。但し、この場合には、回路形成された金属箔複合体に絶縁接着剤組成物(b)を塗布する方法よりも、金属板16に絶縁接着剤組成物(b)を塗布して回路形成された金属箔複合体を積層して接合し一体化する方法、或いは、あらかじめ接合可能な範囲で硬化させたシート状の絶縁接着剤組成物(b)と回路形成された金属箔複合体を積層して接合し一体化する方法が取り扱い易く有効である。
【0032】
又、絶縁接着剤組成物(b)の硬化が遅すぎる場合や金属板との接合時に絶縁接着剤組成物が基材端部より流れ出る場合には、絶縁接着剤組成物(b)塗布後から回路形成された金属箔複合体と金属板との接合以前の段階で絶縁接着剤組成物(b)を接合可能な範囲まで硬化しておくことが有効である。
【0033】
図3では、絶縁接着剤組成物(b)を介した回路形成された金属箔複合体12と金属板16との接合に加圧接合ロール17を用いた例を開示したが、形状等に制約は無く、板状のプレス装置を用いても構わない。又、装置上の制約等により回路形成された金属箔複合体は金属板との接合以前に切断しておくことも可能である。
【0034】
接合された金属箔複合体を切り離す場合には、加圧接合ロール17と切断機18が一体化されたオートカットラミネータ等を使用するのが一般的である。また、加熱装置19としては温風式加熱炉および遠赤外式加熱炉等や加圧しながら加熱することがホットプレス炉等も使用できる。つまり、例示では加圧接合ロールにより接合して加熱装置により絶縁接着剤組成物(b)を硬化させ一体化したが、ホットプレス炉等を用いて加圧接合させながら絶縁接着剤組成物(b)を硬化させることも可能である。
【0035】
更に、本発明によれば、製造された金属ベース回路基板をプレス機やシャーリング、ワイヤーソウ等の切断機を用いて切断することにより、所望のサイズ・形状に加工することができる。
【0036】
本発明に用いられる金属板16は、アルミニウム、銅、鉄およびそれぞれの合金、もしくはこれらのクラッド材等からなり、その厚みは特に規定するものではないが、0.5〜5.0mmのものが一般的である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例をもって、本発明をより詳細に説明する。
【0038】
(実施例1)
酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、AS30)を充填率60体積%になるようにビスフェノールA型エポキシ樹脂に加え、混合して絶縁接着剤組成物を作製した。
【0039】
幅600mm、厚さ35μmの銅箔を連続的に供給して、前記箔上に幅590mm、膜厚が100μmの前記絶縁接着剤組成物を塗布し、温風式加熱炉を用いて連続的に前記絶縁接着剤組成物を硬化した。
【0040】
更に、前記絶縁接着剤組成物の層上に連続的に幅600mm、厚さ38μmのアクリル系粘着剤付きポリエチレンフィルムを粘着剤が対するように積層し、ラミネーターにより加圧接合し一体化し、巻き取り機によりロール状にした。この工程を連続に行うことにより幅600mm、長さ250mの金属箔複合体を作製した。
【0041】
次に、ロール状の金属箔複合体を連続的に、レジスト形成装置、エッチング装置、およびレジスト剥離装置に供給して35μmの銅回路を形成した後、巻き取り機によりロール状の回路形成された金属箔複合体を得た。
【0042】
次に、回路形成された金属箔複合体を連続的に外観検査機および耐電圧検査機に投入して外観検査および電気的特性検査を実施して合否判定をした後、良好であった金属箔複合体のアクリル系粘着剤付きポリエチレンフィルムを剥離した後、金属箔複合体のアクリル系粘着剤付きポリエチレンフィルムを剥離した部分に前記絶縁接着剤組成物を幅590mm、膜厚50μmとなるように塗布して縦600mm、横600mm、厚さ1.5mmのアルミニウム板に積層して接合、加熱一体化して金属ベース回路基板を得た。その後、縦70mm、横100mmのサイズにプレス機を用いて加工した。
【0043】
上記操作で得られた100枚の金属ベース回路基板を検査した結果、回路形成不良および電気的特性不良が無く、アルミニウム裏面に傷、凹み等が無く良好であった。
【0044】
(実施例2)
幅600mm、厚さ35μmの銅箔を連続的に供給して、前記銅箔上に幅590mm、膜厚50μmの実施例1で用いたのと同じ絶縁接着剤組成物を塗布し、温風式加熱炉を用いて連続的に前記絶縁接着剤組成物を硬化し、巻き取り機によりロール状にした。
【0045】
前記絶縁接着剤組成物の層上に、再び、前記絶縁接着剤組成物を幅590mm、膜厚50μmとなるように塗布して、温風式加熱炉を用いて連続的に上層の前記絶縁接着剤組成物を硬化した。その上に連続的に幅600mm、厚さ38μmのアクリル系粘着剤付きポリエチレンフィルムを粘着剤が対するように積層し、ラミネーターにより加圧接合し一体化し、巻き取り機によりロール状にした。この工程を連続に行うことにより幅600mm、長さ250mの金属箔複合体を作製した。
【0046】
次に、図4に示す通りに、ロール状の金属箔複合体をプレス機21に投入して打ち抜きを行い、縦500mm、横500mmの切断することにより平板状に金属箔複合体を加工した。その後、図5に示す通りに、金属箔複合体の表面に傷および凹みが無い、良好な部分のみを間歇的に、レジスト形成装置、エッチング装置、およびレジスト剥離装置に供給して回路形成することにより、35μm銅箔が回路化された平板状の金属箔複合体を得た。
【0047】
次に、回路形成された金属箔複合体を間歇的に外観検査機および耐電圧検査機に投入して外観検査および電気的特性検査を実施して合否判定をした後、良好であった金属箔複合体のアクリル系粘着剤付きポリエチレンフィルムを剥離した後、金属箔複合体のアクリル系粘着剤付きポリエチレンフィルムを剥離した部分を、
前記絶縁接着剤組成物が縦490mm、横490mm、膜厚50μmとなるように塗布された縦500mm、横500mm、厚さ1.5mmのアルミニウム板に積層して接合、加熱一体化して金属ベース回路基板を得た。その後、縦70mm、横100mmのサイズにプレス機を用いて加工した。上記操作で得られた100枚の金属ベース回路基板を検査した結果、回路形成不良および電気的特性不良が無く、アルミニウム裏面に傷、凹み等が無く良好であった。
【0048】
(比較例1)
縦600mm、横600mm、厚さ1.5mmのアルミニウム板上に実施例1と同じ絶縁接着剤組成物を150μmになるように塗布し、乾燥してBステージ状態とし、その後厚さ35μmの銅箔を前記絶縁接着剤組成物上に積層してプレスし、絶縁接着剤組成物を加熱、硬化させて金属ベース基板を作製した。
【0049】
前記の金属ベース基板について所望の位置にエッチングレジストを形成して銅箔をエッチングした後、エッチングレジストを除去して回路を形成し、金属ベース回路基板を作製した。その後、縦70mm、横100mmのサイズにプレス機を用いて加工した。
【0050】
前記操作で得られた100枚の金属ベース回路基板を外観検査機よる外観検査および電気的特性検査を実施して結果、一部の基板に不良部分が含まれていた。又、アルミニウム裏面には製造途中に発生したと思われる傷、凹み等が多数発生していた。
【0051】
(比較例2)
縦500mm、横500mm、厚さ1.5mmのアルミニウム板上に実施例1と同じ絶縁接着剤組成物を75μmになるように塗布し、温風乾燥機により前記絶縁接着剤組成物を硬化した。その後、前記絶縁接着剤組成物の層上に、再び、前記絶縁接着剤組成物を75μm塗布し、加熱して上層の絶縁剤組成物をBステージ状態とし、その後厚さ35μmの銅箔を前記絶縁接着剤組成物上に積層してプレスし、絶縁接着剤組成物を加熱、硬化させて金属ベース基板を作製した。
【0052】
前記の金属ベース基板の銅箔について所望の位置にエッチングレジストを形成して銅箔をエッチングした後、エッチングレジストを除去して回路を形成して金属ベース回路基板を作製した。その後、縦70mm、横100mmのサイズにプレス機を用いて加工した。
【0053】
前記操作で得られた100枚の金属ベース回路基板を外観検査機よる外観検査および電気的特性検査を実施して結果、一部の基板に不良部分が含まれていた。又、アルミニウム裏面には製造途中に発生したと思われる傷、凹み等が多数発生していた。
【0054】
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2にて製造された金属ベース回路基板の諸物性を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 2004335929
【0056】
【発明の効果】
本発明の金属ベース回路基板の製造方法は、絶縁接着剤組成物の塗布から金属板に接合する工程までが連続的に実施できるので、生産性が飛躍的に向上する効果があるし、又、絶縁接着剤組成物の塗布から回路化までのプロセス後に基板化するので金属板裏面の傷、凹み等の異常発生を防止できるし、更に、金属板と接合する前に製品良否の検査等を実施することが可能で不良基板製造等のロスを低減できる特徴があり、産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属ベース回路基板の製造方法における(1)工程及び(2)工程を例示する模式図。
【図2】本発明に係る金属ベース回路基板の製造方法における(3)工程を例示する模式図。
【図3】本発明に係る金属ベース回路基板の製造方法における(4)工程を例示する模式図。
【図4】本発明に係る金属ベース回路基板の製造方法において、(2)工程後に打ち抜き加工する場合を例示する模式図。
【図5】本発明の金属ベース回路基板の製造方法における(3)工程の他の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1 金属箔
2 塗布機
3 絶縁接着剤組成物(a)
4 加熱装置
5 粘着剤付き樹脂フィルム
6 加圧接合ロール
7 金属箔複合体
8 レジスト形成装置
9 エッチングレジスト
10 エッチング装置
11 レジスト剥離装置
12 回路形成された金属箔複合体
13 剥離機
14 塗布機
15 絶縁接着剤組成物(b)
16 金属板
17 加圧接合ロール
18 切断機
19 加熱装置
20 金属ベース回路基板
21 プレス機

Claims (4)

  1. (1)連続的に供給される金属箔上に、絶縁接着剤組成物(a)を塗布し、前記絶縁接着剤組成物(a)を硬化する工程、
    (2)更に連続的に供給される粘着剤付き樹脂フィルムを粘着剤が対するように前記絶縁接着剤組成物(a)からなる層上に積層し、前記金属箔と絶縁接着剤組成物(a)と粘着剤付き樹脂フィルムとをロールにて加圧接合して一体化し、金属箔複合体とする工程、
    (3)前記金属箔複合体の金属箔を、連続的又は間歇的に回路に形成する工程、
    (4)回路形成された金属箔複合体の粘着剤付き樹脂フィルムを剥離した後、絶縁接着剤組成物(b)を介して金属板に接合し、前記絶縁接着剤組成物(b)を硬化して一体化する工程、
    を順次経ることを特徴とする金属ベース回路基板の製造方法。
  2. (1)の工程の絶縁接着剤組成物(a)の塗布と硬化とを、複数回繰り返すことを特徴とする請求項1記載の金属ベース回路基板の製造方法。
  3. 絶縁接着剤組成物(a)が、硬化後のヤング率が8×10N/m以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金属ベース回路基板の製造方法。
  4. 絶縁接着剤組成物(a、b)が、無機質充填材として酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)および酸化珪素(SiO)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の金属ベース回路基板の製造方法。
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