JP2004335903A - 両面受光型太陽電池アレイ - Google Patents

両面受光型太陽電池アレイ Download PDF

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宏尊 中原
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Abstract

【課題】設置作業が容易な縦置き設置方式の太陽電池アレイを提供する。
【解決手段】複数個の両面受光型太陽電池モジュールを、支柱と、断面が「H」状で上下に溝がある水平構造部材とによって組上げた格子状部分に両面受光型太陽電池モジュールを嵌め込み固定する。前記両面受光型太陽電池モジュールの2つの透明保護部材には貫通穴が開けられ、出力端子が埋め込まれている。この出力端子の先端は透明保護部材の外面と同じ位置か、透明保護部材の外面より後退している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は両面受光型太陽電池アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
片面受光型太陽電池に代えて、両面受光型太陽電池を地表面に垂直な設置とすることで受光面を縦置きとし、設置場所の省面積化とともに受光面を増やして日射の有効利用を図る方法が下記特許文献1に記載されている。両面受光型太陽電池モジュールは、一面(片面受光型における表面)だけでなく他面(片面受光型における裏面)の両面に照射された日射の合計に応じて発電する。それゆえ、両面受光型太陽電池モジュールは、両面の保護材とも透明性のものを使用し、両方の受光面から日射を取り込めるような構造となっている。下記特許文献1には、両面受光型太陽電池アレイをビルの屋上周辺部に沿って全周に設置するフェンス一体型の方法も記載されている。具体的には、両面受光型太陽電池モジュールを地表面に対して垂直な構造部材である支柱に設置し、モジュールの外周部に取り付けたフレームを介してモジュール固定金具と構造部材を用いてモジュールを固定し、両方の受光面への日射を妨げない構造の縦置きアレイとすることが記載されている。さらに、モジュール固定金具に凹型溝構造を有し、モジュール固定金具に太陽電池モジュールを差し込み、設置現場での設置工数を低減することや、地表面に対して垂直な構造部材である支柱自身にモジュール固定金具のような凹型溝構造を持たせ、この支柱へ太陽電池モジュールを差し込んで設置することなどが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−76416号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載のように、縦置き両面受光型太陽電池アレイを用いて、太陽電池モジュールを設置した場合には、縦列ないし横列を同じくする複数のモジュールの外周部に取り付けられたフレームが一括して同じモジュール固定金具で固定されているため、個々のモジュールに不具合が発生し健全なモジュールと取り替える作業は、不具合品ばかりか健全品であるモジュールまでの広い範囲に及ぶこととなり組立作業が複雑になる。
【0005】
また、両面受光型太陽電池モジュールは、透明性や耐候性の観点から白色強化ガラス等の透明保護材が2面必要となり、透明保護材が1面あればよい片面型太陽電池モジュールに比べて、重量が増し勝ちである。このため、モジュールの輸送作業に厳重な梱包が必要になったり、特に同じ縦列に両面受光型太陽電池モジュールを複数縦置きして設置場所の面積当りの発電量を向上させた太陽電池アレイで、モジュールを高所に設置する組立作業が複雑になる。
【0006】
また、両面受光型太陽電池アレイをビルの屋上周辺部に沿ってフェンス一体型に設置する場合には、モジュール脱落による落下事故を防止するためにビル内側方向からモジュールを取り付けることが一般的である。一方、両面受光型太陽電池モジュールは、受光し発電する面が2面あるため各面の発電特性の大小に起因する方向性がある。さらに、モジュール固定用のフレームの取り付けやモジュール接続配線の端子箱及び出力ケーブルの収納に応じた方向性がある。
【0007】
このため、個々の太陽電池モジュールに取り付け位置の互換性がないので、太陽電池アレイ全体の配置と取り付け方向性に応じて多種類のモジュールが必要になる。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、縦方向に受光面を並べて取り付けた両面受光型太陽電池において、モジュールの個別着脱を可能とした両面受光型太陽電池アレイを提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、太陽電池モジュールの外周にフレームを設けないでも設置を可能とした両面受光型太陽電池アレイを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の目的は、個々の太陽電池モジュールには左右あるいは表裏の向きを任意に入れ替えた状態でも設置を可能とした両面受光型太陽電池アレイを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の太陽電池アレイは、複数個の両面受光型太陽電池モジュールを、その受光面を水平面に縦方向に立てて設置し、モジュールが、個別に着脱自在の構造である。
【0012】
本発明の太陽電池アレイは、両面受光型太陽電池モジュールの外周にフレームを設けずに、透明な保護部材が露出している構造である。
【0013】
本発明の両面受光型太陽電池アレイは、両面受光型太陽電池モジュールが概略長方形の形状をしており、出力端子がモジュールの両面に露出し、長方形のモジュールの線対称な位置に1対の出力端子がそれぞれ配置してあるので、モジュールの左右あるいは表裏の向きを入れ替えた状態でも、太陽電池アレイに設置できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の詳細を図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例の両面受光型太陽電池アレイの正面図である。大地や建造物などの水平面に立てられた垂直構造部材である支柱1に水平構造部材2、3、4が取り付けられている。また、最上段の水平構造部材4の上端には、雨水除けの笠木9が取り付けられている。ここで、太陽電池アレイは大地など水平面に立てた法線と成す角が10°以内になるように設置しておけば実質的な電力の減少が無視し得る。
【0016】
以下、説明の都合で、縦方向2段、横方向2列の合計4枚の両面受光型太陽電池モジュール11からなる太陽電池アレイ17を例にとる。4枚の両面受光型太陽電池モジュール11は、水平構造部材2、3、4の上下に設けた溝の間に填められている。前記溝には、モジュールの横方向固定具5、6が水平構造部材と両面受光型太陽電池モジュール11との間に挿まれている。また、水平構造部材2、3、4には、両面受光型太陽電池モジュール11の側端部を固定する縦方向固定具7、8がボルト等の係止部材で固定されている。
【0017】
図2は、図1に示した太陽電池アレイの縦断面図を示す。図2を用いてアレイへの太陽電池モジュール11の取付方法を説明する。予めアレイは支柱1や水平構造部材2、3、4によって格子状に組上げる。横方向に配置した水平構造部材2、3、4は図2に示すように断面が「H」状で上下に溝がある。水平構造部材2、3、4に設ける溝の深さは上下で等しくともよいし、図2に示すように上下の溝の片側を深くしても良い。好ましくは、水平構造部材2、3、4の下向きの溝を深くすると、以下に説明するように両面受光型太陽電池モジュール11をはめ込んだ際に、モジュールの重量を水平構造部材2、3、4に設けた上向きの溝で保持でき、かつ両面受光型太陽電池モジュール11も水平構造部材2、3、4に設けた下向きの溝から外れないので好ましい。
【0018】
格子状に支柱1や水平構造部材2、3、4を組上げた状態で、先ずアレイの横から両面受光型太陽電池モジュール11bの上端を水平構造部材4の下面の溝へ差し入れて持ち上げる。次に、両面受光型太陽電池モジュール11bの下端を水平構造部材3の上面の溝へ差し込み、両面受光型太陽電池モジュール11aに示す状態にして取り付ける。その後、両面受光型太陽電池モジュール11a、11bを構造部材に固定するため、両者の隙間へ横方向固定具5、6及び縦方向固定具(図示せず。)を構造部材に固定する。
【0019】
本発明の太陽電池アレイでは、このような両面受光型太陽電池モジュール11の取り付け構造としているので、太陽電池アレイのうち、個々の両面受光型太陽電池モジュール11を必要に応じて個別に着脱し保守できる。本発明の両面受光型太陽電池モジュール11はモジュールの周囲をフレームで補強しても良いが、外周にフレームを設け無くとも良い。モジュールの外周にフレームを設けずに、モジュールを薄型軽量にすれば、上記の差し込み作業がより容易になる。また、上述の構造の太陽電池アレイではモジュールの外周にフレームを設けなくとも固定が可能である。
【0020】
図3は、本発明の太陽電池アレイに使用する両面受光型太陽電池モジュール11の説明図である。両面受光型太陽電池モジュール11は、表面の透明保護材の内側に、モジュールの電気的性能及び意匠に応じて配列した両面受光型太陽電池セル10と、それらの両面受光型太陽電池セル10を電気的に接続するリボン電線15と、リボン電線の端部にあって両面受光型太陽電池モジュール11から電気を取り出すための1対の出力端子13、14とを備えている。出力端子13、14は、モジュールの両面のどちらの面からも端子箱12を取り付けできるように配置している。出力端子13、14をモジュールの周縁部に配し、2つの出力端子13、14の間隔を広げない配置とすることが端子箱12の小型化のために望ましい。さらに、図3に示すように、略長方形の両面受光型太陽電池モジュール11の1辺に出力端子13、14を配置し、出力端子13、14が長方形の上下対称な位置、即ち線対称になるようにすれば、前記図2で示す取り付けが容易になる。
【0021】
図4は、図3に示した太陽電池モジュール11の端子箱取り付け部分の断面を拡大した説明図である。モジュールの2つの透明保護部材111、112には貫通穴が開けられ、出力端子13、14が埋め込まれる。この出力端子13、14はモジュールに内封された太陽電池セル(図示せず。)と電気的に接続するリボン電線15を挟み付けて固定される。また、この出力端子13、14はその先端が2つの透明保護部材111、112の外面と同じ位置か、透明保護部材111、112の外面より後退しているので、上記の差し込み作業がより容易にできる。なお、出力端子13、14は透明保護材111、112の穴部との間に隙間が無いように封止材113を用いることが望ましい。図3、図4に示すモジュールは、端子箱を持たない状態で内封した太陽電池セルを機械的あるいは耐候的に保護しているので、図3に示す状態のままで運搬、保管できる。
【0022】
図5は、図4に示した端子箱取り付け部分に端子箱を取り付けた状態の断面を拡大した説明図である。端子箱ケース120の内部でケーブル16が端子接続金具122を介して出力端子13に接続している。端子接続金具122はモジュール出力端子13と嵌め合う形状をしており、両者を接触固定することで電気的に接続する。また、端子箱ケースの押具121は、端子箱ケース120を押さえつつモジュールの2つの透明保護材111、112を挟みつけるのに適当な弾性変形可能な材料、形状としている。この押具121は端子箱ケース120と反対面に位置決め具123を出力端子14と嵌め合う形状位置で有している。押具121と位置決め具123はいずれか一方が電機絶縁材料であれば十分である。こうした構造であるので、モジュールの透明保護材111に端子箱ケース120を取り付け、固定できる。
【0023】
図6は、図5に示した場合とはモジュールの裏面に端子箱を取り付けたことのみが異なる場合の断面の拡大説明図である。本発明のモジュールの出力端子14は上述したように、モジュールのどちらの面からもケーブル16に接続できるので、モジュールの任意の側の面に端子箱を取り付けることができ、アレイに配置する際の自由度が大きい。
【0024】
図7は、例えばビル屋上周辺等に、図3に示した本発明の両面受光型太陽電池モジュール11a、11bを、各々組込んだ太陽電池アレイ17a、17bを設置した場合を示す。図7では、説明を簡便とするために同じ向きに設置したアレイ2列を用いて説明するが、これらに直交方向にアレイを設置した場合であっても構わない。さらに、アレイの設置方向や設置数も図7に限るものではない。図7に示す2列のアレイ17a、17bに組込まれた両面受光型太陽電池モジュール11a、11bには、各々に両面受光型太陽電池セル10a、10bが複数個内封されている。この両面受光型太陽電池セル10a、10bは、電気出力性能の向上のため高出力側の受光面を同じ方向に揃えてある。モジュール内部のセルの電気出力端である端子箱12a、12bは、モジュールの取り付け、取り外しの利便性からモジュールの取り付け方向である例えばビルの屋上の等の設置場所敷地に向いた面に取り付けている。図7の太陽電池アレイ17aでは、両面受光型太陽電池モジュール11aは、端子箱12aを両面受光型太陽電池セル10aの高出力側受光面側に設けている。一方、太陽電池アレイ17bでは、両面受光型太陽電池モジュール11bは、端子箱12bを両面受光型太陽電池セル10bの高出力側受光面と反対側の面に設けている。このように、本発明の太陽電池アレイは、アレイ毎で取り付けるモジュールの任意の側の面に端子箱を配置できるため、モジュール自体の取り付け、取り外しの設置作業や保守作業が容易になる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の太陽電池アレイでは、モジュール自体の取り付け、取り外しの設置作業や保守作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池アレイの正面図である。
【図2】図1の太陽電池アレイの縦断面図でる。
【図3】本発明の太陽電池アレイに使用する両面受光型太陽電池モジュールの説明図である。
【図4】図3に示し両面受光型太陽電池モジュールの端子箱取り付け部分を拡大した断面の説明図である。
【図5】本発明の両面受光型太陽電池モジュールに端子箱を取り付けた状態の断面を拡大した説明図である。
【図6】本発明の両面受光型太陽電池モジュールの裏面に端子箱を取り付けた場合の断面の拡大説明図である。
【図7】ビル屋上周辺等に、本発明の両面受光型太陽電池モジュールを、組込んだ太陽電池設置した場合の説明図である。
【符号の説明】
1…支柱、2、3、4…水平構造部材、5、6…横方向固定具、7、8…縦方向固定具、9…笠木、10…両面受光型太陽電池セル、11…両面受光型太陽電池モジュール、12…端子箱、13、14…出力端子、15…リボン電線、16…ケーブル、17…両面受光型太陽電池アレイ。

Claims (6)

  1. 複数個の両面受光型太陽電池モジュールを備え、前記両面受光型太陽電池モジュールの受光面が水平面に対して立てて設置される太陽電池アレイにおいて、
    前記複数個の両面受光型太陽電池モジュールが、個別に着脱できる構造であることを特徴とする太陽電池アレイ。
  2. 請求項1に記載の太陽電池アレイにおいて、
    前記太陽電池アレイが前記両面受光型太陽電池モジュールを保持する横方向構造部材と、縦方向構造部材とを備え、前記横方向部材に上面溝部と下面溝部とを備え、該下面溝部の深さが上面溝部の深さと等しいかあるいは深いことを特徴とする太陽電池アレイ。
  3. 複数個の両面受光型太陽電池モジュールを備え、前記両面受光型太陽電池モジュールの受光面が水平面に対して立てて設置される太陽電池アレイにおいて、
    前記複数個の両面受光型太陽電池モジュールの、両面受光型太陽電池を挟持する保護部材が、前記太陽電池モジュールの外周に渡り露出した構造であることを特徴とする太陽電池アレイ。
  4. 複数個の両面受光型太陽電池モジュールが、前記両面受光型太陽電池モジュールの受光面が水平面に対し縦方向に立てて設置される太陽電池アレイにおいて、前記両面受光型太陽電池モジュールの出力端子が前記両面受光型太陽電池モジュールの一方の面と他方の面とに露出し、該出力端子がモジュールの線対称な位置に配置してあることを特徴とする太陽電池アレイ。
  5. 請求項3あるいは請求項4のいずれか一項に記載の太陽電池アレイにおいて、該太陽電池アレイが前記両面受光型太陽電池モジュールを保持する横方向構造部材と、縦方向構造部材とを備え、前記横方向部材に上面溝部と下面溝部とを備え、該下面溝部の深さが上面溝部の深さと等しいかあるいは上面溝部の深さより深いことを特徴とする太陽電池アレイ。
  6. 請求項4あるいは請求項5のいずれか一項に記載の太陽電池アレイにおいて、
    前記出力端子の露出端が両面受光型太陽電池を挟持する保護部材の外面と同じ位置か、透明保護部材の外面より後退していることを特徴とする太陽電池アレイ。
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