JP2004335795A - ハーメチックシール用基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハーメチックシール製品の製造コストを低減する。
【解決手段】水晶発振器10は、水晶振動子20が固定されるベース30と、このベース30と共に水晶振動子20を収容するためのケース40を構成するカバー50とを、備えている。これらベース30とカバー50とは、金錫合金製のロウ材によるロウ付けによって接合され、それぞれの接合部分60および76には、下地層としての金メッキ膜が形成されている。ただし、各接合部分60および76の近隣には、当該金メッキ膜は形成されていない。従って、ロウ付けの際に、溶融したロウ材がこれら接合部分60および78からはみ出し難くなる。よって、ロウ材の量を必要最小限に抑えることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】水晶発振器10は、水晶振動子20が固定されるベース30と、このベース30と共に水晶振動子20を収容するためのケース40を構成するカバー50とを、備えている。これらベース30とカバー50とは、金錫合金製のロウ材によるロウ付けによって接合され、それぞれの接合部分60および76には、下地層としての金メッキ膜が形成されている。ただし、各接合部分60および76の近隣には、当該金メッキ膜は形成されていない。従って、ロウ付けの際に、溶融したロウ材がこれら接合部分60および78からはみ出し難くなる。よって、ロウ材の量を必要最小限に抑えることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ハーメチックシール用の基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置に関し、特に例えばロウ付け部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハーメチックシール用のロウ材として、例えば鉛(Pb)および錫(Sn)の合金が知られているが、近年、環境保護の観点から、これに代えて、金(Au)および錫の合金が普及しつつある。ただし、この金錫合金製のロウ材は、コバル合金(鉄およびニッケルの合金)や銅合金などのハーメチックシール製品に多用されている金属には溶着し難いので、かかる金属をロウ付けするには、予めロウ付け面に金メッキ処理を施す必要がある。このように金メッキ処理によって下地層としての金メッキ膜を形成することで、金錫合金製のロウ材によるロウ付けが可能となる。特許文献1には、ハーメチックシールカバーのロウ材が設けられる側にのみ金メッキ処理を施すことで、当該ハーメチックシールカバーの製造コストを削減する技術が、開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−186428号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された従来技術では、ハーメチックシールカバーのロウ材が設けられる側の全面にわたって金メッキ膜が形成されるので、ロウ付けの際に、ロウ付けしようとする部分以外の部分、つまり不必要な部分にも、ロウ材が流れてしまう。これによって、ロウ付けしようとする部分のロウ材の量が不足し、リークを招く恐れがある。これを防ぐには、例えばロウ材の量を増やせばよいが、このようにロウ材、つまり鉛錫合金に比べて高価な金錫合金製のロウ材の量が増えると、その分、製品(ハーメチックシールカバー)の製造コストが高騰する。このことは、ハーメチックシールカバーの接合相手である基体にも、同様に起こり得る。また、溶融したロウ材が基体内部に流れ込み、これによって当該基体内部に収容された電子素子が破損することもある。
【0005】
そこで、この発明は、確実な気密封止を実現しつつ、製品の製造コストを低減し、しかも内部に収容された電子素子の破損を防止できるハーメチックシール用基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置を提供することを、目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ロウ材を介して蓋体がロウ付けされる部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用基体において、ロウ付けされる部分よりも内側に形成され当該部分よりも内側へのロウ材の流入を防止する防止手段を具備することを特徴とする、ハーメチックシール用基体である。
【0007】
即ち、この第1の発明では、ハーメチックシール用基体の表面のうち蓋体がロウ付けされる部分には、下地層としての金属膜が形成されている。そして、この金属膜が形成されている部分の内側に、当該部分よりも内側へのロウ材の流入を防止するための防止手段が設けられている。従って、ロウ付けの際、溶融したロウ材が、蓋体とのロウ付け部分よりも内側に流入することはない。
【0008】
なお、防止手段は、蓋体がロウ付けされる部分の内側縁に沿って金属層が非形成とされた部分を含むものであってもよい。つまり、蓋体がロウ付けされる部分の内側縁に沿って金属膜が形成されていない部分を作ることで、当該部分よりも内側にロウ材が流入するのを防止できる。
【0009】
また、ロウ材は、金を含むものであってもよい。そして、下地層としての金属膜もまた、金を含むものであってもよい。
【0010】
第2の発明は、ロウ材を介して基体がロウ付けされる部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用蓋体において、ロウ付けされる部分よりも内側に形成され当該部分よりも内側へのロウ材の流入を防止する防止手段を具備することを特徴とする、ハーメチックシール用蓋体である。
【0011】
この第2の発明においても、第1の発明と同様に、ハーメチックシール用蓋体の表面のうち基体がロウ付けされる部分に、下地層としての金属膜が形成されている。そして、この金属膜が形成されている部分の内側に、防止手段が設けられている。従って、ロウ付けの際、溶融したロウ材が、基体とのロウ付け部分よりも内側に流入することはない。
【0012】
なお、防止手段は、基体がロウ付けされる部分の内側縁に沿って金属層が非形成とされた部分を含むものであってもよい。
【0013】
そして、ロウ材は、金を含むものでよく、金属膜もまた、金を含むものであってもよい。
【0014】
第3の発明は、第1の発明のハーメチックシール用基体と第2の発明のハーメチックシール用蓋体とのいずれか一方または両方を具備する、電子装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明を水晶発振器に適用した場合の第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。図1に示すように、この第1実施形態に係る水晶発振器10は、概略直方体の形状をしており、その長さ寸法Lは2.35[mm]、幅寸法Wは1.85[mm]、高さ寸法Hは0.5[mm]とされている。そして、この水晶発振器10は、図2に示すように、電子素子としての水晶振動子20が固定されるベース(基体)30と、このベース30と共に水晶振動子20を収容するためのケース(保持器)40を構成するカバー(蓋体)50とを、備えている。なお、後述するように、ベース30とカバー50とはロウ付けによって互いに接合される。
【0016】
ベース30は、セラミック製であり、図3に示すように、概略長方形の底板部32と、この底板部32の周縁に沿って当該底板部32の上面34から一方(図3(b)において上方)に向かって垂直に突出する壁部36とを、備えている。そして、底板部32の上面34には、互いに距離を隔てて2つの内部端子38および42が設けられている。さらに、底板部32の上面34のうち、これら内部端子38および42と、当該内部端子38および42の周辺部分(円形状の部分)と、を除く部分を覆うように、内部接地(GND)端子44が設けられている。水晶振動子40は、これら内部端子38および42と内部接地端子44との上に固定される。具体的には、水晶振動子40は、それぞれの端子38,42および44と接続される図示しない接続端子を備えており、当該各接続端子は図示しないバンプによって各端子38,42および44と接続される。なお、これらの端子38,42および44は、コバル合金製である。
【0017】
底板部32の下面46には、5つのコバル合金製の外部端子48,52,54,56および58が設けられている。このうち、底板部32(下面46)の長辺の略中央に設けられた2つの外部端子48および52の一方、例えば外部端子48は、底板部32内において上述の内部端子38および42の一方、例えば内部端子38と接続されている。そして、他方の外部端子52は、底板部32内において他方の内部端子42と接続されている。これ以外の3つの外部端子54,56および58は、いずれも接地端子であり、底板部32内において上述の内部接地端子44と接続されている。なお、これらの外部端子48,52,54,56および58と内部端子38,42および44との接続構造は複雑であるので、これについての図示は省略する。
【0018】
壁部36の高さ寸法Haは、水晶振動子20の高さ寸法Hbよりも若干、例えば0.05[mm]ほど大きく、底板部32の周縁に沿う方向において一定とされている。そして、壁部36の厚さ寸法Taは、例えば0.3[mm]とされており、その上面60には、図3(a)に斑点模様で示すように、下地層としての金メッキ膜が0.01[μm]〜0.03[μm]の厚さで形成されている。なお、上述したようにベース30はセラミック製であるので、これに金メッキ処理を施しても、金メッキ膜は形成されない。従って、この第1実施形態では、金メッキ処理に先立って、壁部36の上面60にタングステン(W)層を形成するためのメタライジング処理が施される。そして、このタングステン層の上に、金メッキ処理が施され、金メッキ膜が形成される。なお、図には詳しく示さないが、この金メッキ処理によって、上述した各端子38,42,44,48,52,54,56および58の表面にも、金メッキ膜が形成される。これ以外の部分、つまりセラミックが露出した部分には、金メッキ膜は形成されない。
【0019】
一方、カバー50は、コバル合金製であり、図4に示すように、厚さ寸法tbが例えば0.1[mm]の概略長方形の平板である。このカバー50の表面には、金メッキ処理が施されており、具体的には厚さ寸法が0.01[μm]〜0.03[μm]の金メッキ膜70が形成されている。ただし、このカバー50のベース30と接合される側の面、つまりケース40の内側面となる面72には、閉ループ状に金メッキ膜70が非形成とされた部分、換言すればコバル合金が露出した露出帯74が設けられている。この露出帯74は、カバー50(内側面72)の周縁から当該カバー50の内側に向かって距離Waを隔てた位置に形成されており、その幅寸法Wbは一定とされている。なお、距離Wa、つまり金メッキ膜70が形成された内側面72の周縁部分76の幅寸法Waは、ベース30の壁部36の厚さ寸法taと同じ0.3[mm]とされている。そして、露出帯74の幅寸法Wbは、距離Waと略同等若しくは当該距離Waよりも少し小さめの例えば0.2[mm]とされている。
【0020】
なお、露出帯74は、例えばカバー50の全面に金メッキ処理を施した後に、この金メッキ処理によって形成された金メッキ膜70の一部(露出帯74に対応する部分)をスパッタリング処理などで除去することによって形成できる。また、カバー50の表面の一部(露出帯74に対応する部分)をマスクした状態で、当該カバー50の表面に金メッキ処理を施すことによっても、露出帯74を形成することができる。
【0021】
そして、カバー50の内側面72の露出帯74よりも外側に位置する金メッキ膜70の上に、ロウ材78が例えば印刷処理によって付着される。このロウ材78は、金が80[%]で錫が20[%]の金錫合金であり、これまでハーメチックシール製品に多用されてきた鉛錫合金(95[%]の鉛と5[%]の錫との合金)製のロウ材の代替品として期待されているものである。
【0022】
このようにロウ材78が付着された後、カバー50は、上述のベース30にロウ付けされる。具体的には、ベース30の壁部36の上面60に、ロウ材78を介して、カバー50の内側面72の周縁部分76が合わせられる。この状態で、ロウ材78が加熱されると、当該ロウ材78は溶融し、溶融したロウ材78は、ベース30の壁部36の上面60とカバー50の内側面72の周縁部分76とのそれぞれに溶着する。これによって、両者は互いに接合され、つまりロウ付けされる。このロウ付け作業は、真空中で行われる。
【0023】
ここで、ベース30側のロウ付け部分である壁部36の上面60の両側、つまり内壁面80および外壁面82は、いずれもセラミックが露出した状態にある。このようにセラミックが露出した状態にある内壁面80および外壁面82には、溶融したロウ材78は付着しない。従って、ロウ付けの際に、溶融したロウ材78が、壁面36の上面60からはみ出し難くなる。
【0024】
一方、カバー50側のロウ付け部分である周縁部分76の内側には、コバル合金が露出した露出帯74が設けられており、かかる露出帯74には、溶融したロウ材78は付着しない。従って、ロウ付けの際に、溶融したロウ材78が、周縁部分76からはみ出し難くなり、特にカバー50の内側(中央部分)に向かって流れ難くなる。
【0025】
このように第1実施形態によれば、ベース30側においては、壁部36の内壁面80および外壁面82が、当該壁面36の上面60からロウ材78がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。一方、カバー50側においては、露出帯74が、当該カバー50の周縁部分76からロウ材78がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。従って、ロウ付けに用いられるロウ材78の量を、必要最小限に抑えることができる。そして、このようにロウ材78の量を必要最小限に抑えることで、ロウ材の使用量が多い上述の従来技術に比べて、製品、つまり水晶発振器10の製造コストを大幅に低減することができる。また、溶融したロウ材78がケース40内に流れることがないので、当該ケース40内に収容された水晶振動子20が破損することもない。
【0026】
なお、この第1実施形態では、電子素子として水晶振動子20を内蔵する水晶発振器10にこの発明を適用する場合について説明したが、電子素子としてSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)素子を内蔵するSAWフィルタなどの他の装置(部品)にもこの発明を適用できることは、言うまでもない。
【0027】
また、ベース30はセラミック製に限らず、コバル合金などの他の素材によって形成されたものでもよい。カバー50も、コバル合金以外の素材で形成してもよい。
【0028】
さらに、カバー50については、周縁部分76を除く全面に金メッキ膜70を形成したが、これに限らない。例えば、周縁部分76にのみ金メッキ膜70を形成してもよい。ただし、周縁部分76以外の部分にも金メッキ膜70を形成することで、例えば外部からの電磁波の影響を低減することができる。
【0029】
そして、カバー50の周縁部分76に対し印刷処理によってロウ材78を付着させることとしたが、これに限らない。例えば、プレス処理によってロウ材78を形成し、これを接着剤で周縁部分76に貼り付けてもよい。また、カバー50側ではなく、ベース30側(壁部36の上面60)に当該ロウ材78を付着させてもよい。
【0030】
そして、上述した各寸法(W,L,H,Wa,Wb,taおよびtb)の値は、飽くまで一例であって、これに限定されるものではない。なお、これらの寸法が大きいほど、水晶発振器10の製造コストを低減できるという効果が顕著になる。
【0031】
また、ベース30およびカバー50の両方に防止手段を設ける構成としたが、いずれか一方にのみ当該防止手段を設ける構成としてもよい。
【0032】
そして、特にカバー50については、露出帯74に代えて、当該カバー50の内側面72に閉ループ状の突起を設けることで、防止手段を構成してもよい。
【0033】
次に、この発明の第2実施形態について、図5から図8を参照して説明する。図5に示すように、この第2実施形態に係る水晶発振器100もまた、第1実施形態に係る水晶発振器10と同様、電子素子としての水晶振動子200が固定されるベース300と、このベース300と共にケース400を構成するカバー500とを、備えている。ただし、この第2実施形態においては、ベース300が、概略平板状であり、カバー500が、壁部502を有する構成とされている。なお、この第2実施形態の水晶発振器100の外形寸法(長さ寸法,幅寸法および高さ寸法)は、第1実施形態の水晶発振器10の外形寸法と同程度とされている。
【0034】
ベース300は、コバル(ほうけい酸)ガラス製であり、その上面302には、図6に示すように、互いに距離を隔てて2つの内部端子304および306が設けられている。さらに、ベース300の上面302のうち、これら内部端子304および306と、当該内部端子304および306の周辺部分(円形状の部分)と、を除く部分を覆うように、内部接地端子308が設けられている。水晶振動子200は、これらの端子304,306および308と接続される図示しない接続端子を備えており、当該各接続端子は図示しないバンプによって各端子304,306および308に接続される。なお、各端子304,306および308は、コバル合金製である。
【0035】
ベース300の下面310には、5つのコバル合金製の外部端子312,314,316,318および320が設けられている。このうち、ベース300(下面310)の長辺の略中央に設けられた2つの外部端子312および314の一方、例えば外部端子312は、ベース300内において上述の内部端子304および306の一方、例えば内部端子304と接続されている。そして、他方の外部端子314は、ベース300内において他方の内部端子306と接続されている。これ以外の3つの外部端子316,318および320は、いずれも接地端子であり、ベース300内において上述の内部接地端子308と接続されている。なお、これら外部端子312〜320と内部端子304〜308との接続構造は複雑であるので、これについての図示は省略する。
【0036】
さらに、ベース300の表面、厳密には各端子304〜320の表面には、金メッキ処理が施されており、詳しくは、図には示さないが厚さ寸法が0.01[μm]〜0.03[μm]の金メッキ膜が形成されている。ただし、内部接地端子308については、図6(a)に斑点模様で示すように、その周縁部分322にのみ閉ループ状に金メッキ膜が形成されている。この金メッキ膜が形成された周縁部分322の幅寸法Wdは、一定とされており、例えば0.3[mm]とされている。
【0037】
一方、カバー500は、コバル合金製であり、図7に示すように、概略長方形の天井部504と、この天井部504の周縁に沿って当該天井部504の一方の面(図7(b)において上方の面)506側から垂直に突出する壁部502とを、備えている。さらに、この壁部502の先端部分には、当該先端部分から外方に向かって延伸するフランジ部508が設けられている。なお、壁部502の高さ寸法Hcは、水晶振動子200の高さ寸法Hdよりも若干、例えば0.05[mm]ほど大きく、天井部504の周縁に沿う方向において一定とされている。また、フランジ部508の幅寸法Weは、上述の金メッキ膜が形成された周縁部分522の幅寸法Wdと同じ0.3[mm]とされている。このようなカバー500は、例えばプレス加工によって形成される。
【0038】
このカバー500の表面にも、全体的に金メッキ処理が施されており、具体的には厚さ寸法が0.01[μm]〜0.03[μm]の金メッキ膜510が形成されている。ただし、この壁部502の内壁面512と、フランジ部508の底面(図7(b)において上方側の面)514との境界には、当該金メッキ膜510が形成されておらず、換言すればコバル合金が閉ループ状に露出した露出帯516が形成されている。なお、この露出帯516の幅寸法Wfは一定とされており、例えば0.2[mm]とされている。
【0039】
そして、フランジ部508の底面514、つまり金メッキ膜510が形成された部分に、上述と同様の金錫合金製のロウ材518が例えば印刷処理によって付着される。そして、このようにロウ材518が付着された後、カバー500は、上述のベース300にロウ付けされる。具体的には、ベース300の上面302(内部接地端子308)の周縁部分322に、ロウ材518を介して、カバー500のフランジ部508の底面514が合わせられる。この状態で、ロウ材518が加熱されると、当該ロウ材518は溶融し、溶融したロウ材518は、ベース300の周縁部分322とカバー500のフランジ部508の底面514とのそれぞれに溶着する。これによって、両者は互いに接合される。
【0040】
ここで、ベース300側のロウ付け部分である周縁部分322の内側には、金メッキ膜が形成されていないので、ロウ付けの際に、溶融したロウ材518が、当該周縁部分322からはみ出し難くなり、特にベース300の内側(中央部分)に向かって流れ難くなる。一方、カバー500側においても、ロウ付け部分であるフランジ部508の底面514の内側に露出帯516が設けられているので、溶融したロウ材518が、当該底面514からはみ出し難くなり、特にカバー500の内側(中央部分)に向かって流れ難くなる。
【0041】
このように第2実施形態によれば、ベース300側においては、内部接地端子308の金メッキ膜が形成されていない部分(周縁部分322以外の部分)が、当該ベース300の周縁部分322からロウ材518がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。一方、カバー500側においては、露出帯516が、ロウ付け部分であるフランジ部508の底面514からロウ材518がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。従って、第1実施形態と同様に、ロウ材518の使用量を必要最小限に抑えることができる。よって、かかる必要最小限のロウ材518の量で確実な気密封止が実現できると共に、水晶発振器100の製造コストを低減することができる。また、溶融したロウ材518によって水晶振動子200が破損することもない。
【0042】
なお、この第2実施形態においては、ベース300の上面302(内部接地端子308)の周縁部分322にのみ金メッキ膜を形成したが、これに限らない。例えば、この上面302にもカバー500側の露出帯516と同様の露出帯を設け、この露出帯以外の部分に金メッキ膜を形成するようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、ロウ付けの際に溶融したロウ材がロウ付け部分よりも内側、つまり不必要な部分に流れることはないので、必要最小限のロウ材の量で確実な気密封止を実現できる。そして、このようにロウ材の量を必要最小限に抑えることによって、製品の製造コストを低減できる。さらに、溶融したロウ材が内部の電子素子に触れることもない。つまり、確実な気密封止を実現しつつ、製品の製造コストを低減し、しかも内部の電子素子の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る水晶発振器の外観を示す斜視図である。
【図2】同水晶発振器の中央を長手方向に沿って切り出した縦端面図である。
【図3】第1実施形態におけるベースの構造を示す図であり、(a)は当該ベースの平面図、(b)は(a)におけるA−A端面図、(c)は底面図である。
【図4】第1実施形態におけるカバーの構造を示す図であり、(a)は当該カバーの底面図、(b)は(a)におけるB−B端面図、(c)は(b)におけるC部分の拡大図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る水晶発振器の中央を長手方向に沿って切り出した縦端面図である。
【図6】第2実施形態におけるベースの構造を示す図であり、(a)は当該ベースの平面図、(b)は(a)におけるD−D端面図、(c)は底面図である。
【図7】第2実施形態におけるカバーの構造を示す図であり、(a)は当該カバーの底面図、(b)は(a)におけるE−E端面図、(c)は(b)におけるF部分の拡大図である。
【符号の説明】
10 水晶発振器
30 ベース
36 壁部
50 カバー
60 上面
70 金メッキ膜
72 内側面
74 露出帯
78 ロウ材
80 内壁面
82 外壁面
【発明の属する技術分野】
この発明は、ハーメチックシール用の基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置に関し、特に例えばロウ付け部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハーメチックシール用のロウ材として、例えば鉛(Pb)および錫(Sn)の合金が知られているが、近年、環境保護の観点から、これに代えて、金(Au)および錫の合金が普及しつつある。ただし、この金錫合金製のロウ材は、コバル合金(鉄およびニッケルの合金)や銅合金などのハーメチックシール製品に多用されている金属には溶着し難いので、かかる金属をロウ付けするには、予めロウ付け面に金メッキ処理を施す必要がある。このように金メッキ処理によって下地層としての金メッキ膜を形成することで、金錫合金製のロウ材によるロウ付けが可能となる。特許文献1には、ハーメチックシールカバーのロウ材が設けられる側にのみ金メッキ処理を施すことで、当該ハーメチックシールカバーの製造コストを削減する技術が、開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−186428号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された従来技術では、ハーメチックシールカバーのロウ材が設けられる側の全面にわたって金メッキ膜が形成されるので、ロウ付けの際に、ロウ付けしようとする部分以外の部分、つまり不必要な部分にも、ロウ材が流れてしまう。これによって、ロウ付けしようとする部分のロウ材の量が不足し、リークを招く恐れがある。これを防ぐには、例えばロウ材の量を増やせばよいが、このようにロウ材、つまり鉛錫合金に比べて高価な金錫合金製のロウ材の量が増えると、その分、製品(ハーメチックシールカバー)の製造コストが高騰する。このことは、ハーメチックシールカバーの接合相手である基体にも、同様に起こり得る。また、溶融したロウ材が基体内部に流れ込み、これによって当該基体内部に収容された電子素子が破損することもある。
【0005】
そこで、この発明は、確実な気密封止を実現しつつ、製品の製造コストを低減し、しかも内部に収容された電子素子の破損を防止できるハーメチックシール用基体および蓋体、並びにこれらを用いた電子装置を提供することを、目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ロウ材を介して蓋体がロウ付けされる部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用基体において、ロウ付けされる部分よりも内側に形成され当該部分よりも内側へのロウ材の流入を防止する防止手段を具備することを特徴とする、ハーメチックシール用基体である。
【0007】
即ち、この第1の発明では、ハーメチックシール用基体の表面のうち蓋体がロウ付けされる部分には、下地層としての金属膜が形成されている。そして、この金属膜が形成されている部分の内側に、当該部分よりも内側へのロウ材の流入を防止するための防止手段が設けられている。従って、ロウ付けの際、溶融したロウ材が、蓋体とのロウ付け部分よりも内側に流入することはない。
【0008】
なお、防止手段は、蓋体がロウ付けされる部分の内側縁に沿って金属層が非形成とされた部分を含むものであってもよい。つまり、蓋体がロウ付けされる部分の内側縁に沿って金属膜が形成されていない部分を作ることで、当該部分よりも内側にロウ材が流入するのを防止できる。
【0009】
また、ロウ材は、金を含むものであってもよい。そして、下地層としての金属膜もまた、金を含むものであってもよい。
【0010】
第2の発明は、ロウ材を介して基体がロウ付けされる部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用蓋体において、ロウ付けされる部分よりも内側に形成され当該部分よりも内側へのロウ材の流入を防止する防止手段を具備することを特徴とする、ハーメチックシール用蓋体である。
【0011】
この第2の発明においても、第1の発明と同様に、ハーメチックシール用蓋体の表面のうち基体がロウ付けされる部分に、下地層としての金属膜が形成されている。そして、この金属膜が形成されている部分の内側に、防止手段が設けられている。従って、ロウ付けの際、溶融したロウ材が、基体とのロウ付け部分よりも内側に流入することはない。
【0012】
なお、防止手段は、基体がロウ付けされる部分の内側縁に沿って金属層が非形成とされた部分を含むものであってもよい。
【0013】
そして、ロウ材は、金を含むものでよく、金属膜もまた、金を含むものであってもよい。
【0014】
第3の発明は、第1の発明のハーメチックシール用基体と第2の発明のハーメチックシール用蓋体とのいずれか一方または両方を具備する、電子装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明を水晶発振器に適用した場合の第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。図1に示すように、この第1実施形態に係る水晶発振器10は、概略直方体の形状をしており、その長さ寸法Lは2.35[mm]、幅寸法Wは1.85[mm]、高さ寸法Hは0.5[mm]とされている。そして、この水晶発振器10は、図2に示すように、電子素子としての水晶振動子20が固定されるベース(基体)30と、このベース30と共に水晶振動子20を収容するためのケース(保持器)40を構成するカバー(蓋体)50とを、備えている。なお、後述するように、ベース30とカバー50とはロウ付けによって互いに接合される。
【0016】
ベース30は、セラミック製であり、図3に示すように、概略長方形の底板部32と、この底板部32の周縁に沿って当該底板部32の上面34から一方(図3(b)において上方)に向かって垂直に突出する壁部36とを、備えている。そして、底板部32の上面34には、互いに距離を隔てて2つの内部端子38および42が設けられている。さらに、底板部32の上面34のうち、これら内部端子38および42と、当該内部端子38および42の周辺部分(円形状の部分)と、を除く部分を覆うように、内部接地(GND)端子44が設けられている。水晶振動子40は、これら内部端子38および42と内部接地端子44との上に固定される。具体的には、水晶振動子40は、それぞれの端子38,42および44と接続される図示しない接続端子を備えており、当該各接続端子は図示しないバンプによって各端子38,42および44と接続される。なお、これらの端子38,42および44は、コバル合金製である。
【0017】
底板部32の下面46には、5つのコバル合金製の外部端子48,52,54,56および58が設けられている。このうち、底板部32(下面46)の長辺の略中央に設けられた2つの外部端子48および52の一方、例えば外部端子48は、底板部32内において上述の内部端子38および42の一方、例えば内部端子38と接続されている。そして、他方の外部端子52は、底板部32内において他方の内部端子42と接続されている。これ以外の3つの外部端子54,56および58は、いずれも接地端子であり、底板部32内において上述の内部接地端子44と接続されている。なお、これらの外部端子48,52,54,56および58と内部端子38,42および44との接続構造は複雑であるので、これについての図示は省略する。
【0018】
壁部36の高さ寸法Haは、水晶振動子20の高さ寸法Hbよりも若干、例えば0.05[mm]ほど大きく、底板部32の周縁に沿う方向において一定とされている。そして、壁部36の厚さ寸法Taは、例えば0.3[mm]とされており、その上面60には、図3(a)に斑点模様で示すように、下地層としての金メッキ膜が0.01[μm]〜0.03[μm]の厚さで形成されている。なお、上述したようにベース30はセラミック製であるので、これに金メッキ処理を施しても、金メッキ膜は形成されない。従って、この第1実施形態では、金メッキ処理に先立って、壁部36の上面60にタングステン(W)層を形成するためのメタライジング処理が施される。そして、このタングステン層の上に、金メッキ処理が施され、金メッキ膜が形成される。なお、図には詳しく示さないが、この金メッキ処理によって、上述した各端子38,42,44,48,52,54,56および58の表面にも、金メッキ膜が形成される。これ以外の部分、つまりセラミックが露出した部分には、金メッキ膜は形成されない。
【0019】
一方、カバー50は、コバル合金製であり、図4に示すように、厚さ寸法tbが例えば0.1[mm]の概略長方形の平板である。このカバー50の表面には、金メッキ処理が施されており、具体的には厚さ寸法が0.01[μm]〜0.03[μm]の金メッキ膜70が形成されている。ただし、このカバー50のベース30と接合される側の面、つまりケース40の内側面となる面72には、閉ループ状に金メッキ膜70が非形成とされた部分、換言すればコバル合金が露出した露出帯74が設けられている。この露出帯74は、カバー50(内側面72)の周縁から当該カバー50の内側に向かって距離Waを隔てた位置に形成されており、その幅寸法Wbは一定とされている。なお、距離Wa、つまり金メッキ膜70が形成された内側面72の周縁部分76の幅寸法Waは、ベース30の壁部36の厚さ寸法taと同じ0.3[mm]とされている。そして、露出帯74の幅寸法Wbは、距離Waと略同等若しくは当該距離Waよりも少し小さめの例えば0.2[mm]とされている。
【0020】
なお、露出帯74は、例えばカバー50の全面に金メッキ処理を施した後に、この金メッキ処理によって形成された金メッキ膜70の一部(露出帯74に対応する部分)をスパッタリング処理などで除去することによって形成できる。また、カバー50の表面の一部(露出帯74に対応する部分)をマスクした状態で、当該カバー50の表面に金メッキ処理を施すことによっても、露出帯74を形成することができる。
【0021】
そして、カバー50の内側面72の露出帯74よりも外側に位置する金メッキ膜70の上に、ロウ材78が例えば印刷処理によって付着される。このロウ材78は、金が80[%]で錫が20[%]の金錫合金であり、これまでハーメチックシール製品に多用されてきた鉛錫合金(95[%]の鉛と5[%]の錫との合金)製のロウ材の代替品として期待されているものである。
【0022】
このようにロウ材78が付着された後、カバー50は、上述のベース30にロウ付けされる。具体的には、ベース30の壁部36の上面60に、ロウ材78を介して、カバー50の内側面72の周縁部分76が合わせられる。この状態で、ロウ材78が加熱されると、当該ロウ材78は溶融し、溶融したロウ材78は、ベース30の壁部36の上面60とカバー50の内側面72の周縁部分76とのそれぞれに溶着する。これによって、両者は互いに接合され、つまりロウ付けされる。このロウ付け作業は、真空中で行われる。
【0023】
ここで、ベース30側のロウ付け部分である壁部36の上面60の両側、つまり内壁面80および外壁面82は、いずれもセラミックが露出した状態にある。このようにセラミックが露出した状態にある内壁面80および外壁面82には、溶融したロウ材78は付着しない。従って、ロウ付けの際に、溶融したロウ材78が、壁面36の上面60からはみ出し難くなる。
【0024】
一方、カバー50側のロウ付け部分である周縁部分76の内側には、コバル合金が露出した露出帯74が設けられており、かかる露出帯74には、溶融したロウ材78は付着しない。従って、ロウ付けの際に、溶融したロウ材78が、周縁部分76からはみ出し難くなり、特にカバー50の内側(中央部分)に向かって流れ難くなる。
【0025】
このように第1実施形態によれば、ベース30側においては、壁部36の内壁面80および外壁面82が、当該壁面36の上面60からロウ材78がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。一方、カバー50側においては、露出帯74が、当該カバー50の周縁部分76からロウ材78がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。従って、ロウ付けに用いられるロウ材78の量を、必要最小限に抑えることができる。そして、このようにロウ材78の量を必要最小限に抑えることで、ロウ材の使用量が多い上述の従来技術に比べて、製品、つまり水晶発振器10の製造コストを大幅に低減することができる。また、溶融したロウ材78がケース40内に流れることがないので、当該ケース40内に収容された水晶振動子20が破損することもない。
【0026】
なお、この第1実施形態では、電子素子として水晶振動子20を内蔵する水晶発振器10にこの発明を適用する場合について説明したが、電子素子としてSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)素子を内蔵するSAWフィルタなどの他の装置(部品)にもこの発明を適用できることは、言うまでもない。
【0027】
また、ベース30はセラミック製に限らず、コバル合金などの他の素材によって形成されたものでもよい。カバー50も、コバル合金以外の素材で形成してもよい。
【0028】
さらに、カバー50については、周縁部分76を除く全面に金メッキ膜70を形成したが、これに限らない。例えば、周縁部分76にのみ金メッキ膜70を形成してもよい。ただし、周縁部分76以外の部分にも金メッキ膜70を形成することで、例えば外部からの電磁波の影響を低減することができる。
【0029】
そして、カバー50の周縁部分76に対し印刷処理によってロウ材78を付着させることとしたが、これに限らない。例えば、プレス処理によってロウ材78を形成し、これを接着剤で周縁部分76に貼り付けてもよい。また、カバー50側ではなく、ベース30側(壁部36の上面60)に当該ロウ材78を付着させてもよい。
【0030】
そして、上述した各寸法(W,L,H,Wa,Wb,taおよびtb)の値は、飽くまで一例であって、これに限定されるものではない。なお、これらの寸法が大きいほど、水晶発振器10の製造コストを低減できるという効果が顕著になる。
【0031】
また、ベース30およびカバー50の両方に防止手段を設ける構成としたが、いずれか一方にのみ当該防止手段を設ける構成としてもよい。
【0032】
そして、特にカバー50については、露出帯74に代えて、当該カバー50の内側面72に閉ループ状の突起を設けることで、防止手段を構成してもよい。
【0033】
次に、この発明の第2実施形態について、図5から図8を参照して説明する。図5に示すように、この第2実施形態に係る水晶発振器100もまた、第1実施形態に係る水晶発振器10と同様、電子素子としての水晶振動子200が固定されるベース300と、このベース300と共にケース400を構成するカバー500とを、備えている。ただし、この第2実施形態においては、ベース300が、概略平板状であり、カバー500が、壁部502を有する構成とされている。なお、この第2実施形態の水晶発振器100の外形寸法(長さ寸法,幅寸法および高さ寸法)は、第1実施形態の水晶発振器10の外形寸法と同程度とされている。
【0034】
ベース300は、コバル(ほうけい酸)ガラス製であり、その上面302には、図6に示すように、互いに距離を隔てて2つの内部端子304および306が設けられている。さらに、ベース300の上面302のうち、これら内部端子304および306と、当該内部端子304および306の周辺部分(円形状の部分)と、を除く部分を覆うように、内部接地端子308が設けられている。水晶振動子200は、これらの端子304,306および308と接続される図示しない接続端子を備えており、当該各接続端子は図示しないバンプによって各端子304,306および308に接続される。なお、各端子304,306および308は、コバル合金製である。
【0035】
ベース300の下面310には、5つのコバル合金製の外部端子312,314,316,318および320が設けられている。このうち、ベース300(下面310)の長辺の略中央に設けられた2つの外部端子312および314の一方、例えば外部端子312は、ベース300内において上述の内部端子304および306の一方、例えば内部端子304と接続されている。そして、他方の外部端子314は、ベース300内において他方の内部端子306と接続されている。これ以外の3つの外部端子316,318および320は、いずれも接地端子であり、ベース300内において上述の内部接地端子308と接続されている。なお、これら外部端子312〜320と内部端子304〜308との接続構造は複雑であるので、これについての図示は省略する。
【0036】
さらに、ベース300の表面、厳密には各端子304〜320の表面には、金メッキ処理が施されており、詳しくは、図には示さないが厚さ寸法が0.01[μm]〜0.03[μm]の金メッキ膜が形成されている。ただし、内部接地端子308については、図6(a)に斑点模様で示すように、その周縁部分322にのみ閉ループ状に金メッキ膜が形成されている。この金メッキ膜が形成された周縁部分322の幅寸法Wdは、一定とされており、例えば0.3[mm]とされている。
【0037】
一方、カバー500は、コバル合金製であり、図7に示すように、概略長方形の天井部504と、この天井部504の周縁に沿って当該天井部504の一方の面(図7(b)において上方の面)506側から垂直に突出する壁部502とを、備えている。さらに、この壁部502の先端部分には、当該先端部分から外方に向かって延伸するフランジ部508が設けられている。なお、壁部502の高さ寸法Hcは、水晶振動子200の高さ寸法Hdよりも若干、例えば0.05[mm]ほど大きく、天井部504の周縁に沿う方向において一定とされている。また、フランジ部508の幅寸法Weは、上述の金メッキ膜が形成された周縁部分522の幅寸法Wdと同じ0.3[mm]とされている。このようなカバー500は、例えばプレス加工によって形成される。
【0038】
このカバー500の表面にも、全体的に金メッキ処理が施されており、具体的には厚さ寸法が0.01[μm]〜0.03[μm]の金メッキ膜510が形成されている。ただし、この壁部502の内壁面512と、フランジ部508の底面(図7(b)において上方側の面)514との境界には、当該金メッキ膜510が形成されておらず、換言すればコバル合金が閉ループ状に露出した露出帯516が形成されている。なお、この露出帯516の幅寸法Wfは一定とされており、例えば0.2[mm]とされている。
【0039】
そして、フランジ部508の底面514、つまり金メッキ膜510が形成された部分に、上述と同様の金錫合金製のロウ材518が例えば印刷処理によって付着される。そして、このようにロウ材518が付着された後、カバー500は、上述のベース300にロウ付けされる。具体的には、ベース300の上面302(内部接地端子308)の周縁部分322に、ロウ材518を介して、カバー500のフランジ部508の底面514が合わせられる。この状態で、ロウ材518が加熱されると、当該ロウ材518は溶融し、溶融したロウ材518は、ベース300の周縁部分322とカバー500のフランジ部508の底面514とのそれぞれに溶着する。これによって、両者は互いに接合される。
【0040】
ここで、ベース300側のロウ付け部分である周縁部分322の内側には、金メッキ膜が形成されていないので、ロウ付けの際に、溶融したロウ材518が、当該周縁部分322からはみ出し難くなり、特にベース300の内側(中央部分)に向かって流れ難くなる。一方、カバー500側においても、ロウ付け部分であるフランジ部508の底面514の内側に露出帯516が設けられているので、溶融したロウ材518が、当該底面514からはみ出し難くなり、特にカバー500の内側(中央部分)に向かって流れ難くなる。
【0041】
このように第2実施形態によれば、ベース300側においては、内部接地端子308の金メッキ膜が形成されていない部分(周縁部分322以外の部分)が、当該ベース300の周縁部分322からロウ材518がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。一方、カバー500側においては、露出帯516が、ロウ付け部分であるフランジ部508の底面514からロウ材518がはみ出るのを防止する防止手段として作用する。従って、第1実施形態と同様に、ロウ材518の使用量を必要最小限に抑えることができる。よって、かかる必要最小限のロウ材518の量で確実な気密封止が実現できると共に、水晶発振器100の製造コストを低減することができる。また、溶融したロウ材518によって水晶振動子200が破損することもない。
【0042】
なお、この第2実施形態においては、ベース300の上面302(内部接地端子308)の周縁部分322にのみ金メッキ膜を形成したが、これに限らない。例えば、この上面302にもカバー500側の露出帯516と同様の露出帯を設け、この露出帯以外の部分に金メッキ膜を形成するようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、ロウ付けの際に溶融したロウ材がロウ付け部分よりも内側、つまり不必要な部分に流れることはないので、必要最小限のロウ材の量で確実な気密封止を実現できる。そして、このようにロウ材の量を必要最小限に抑えることによって、製品の製造コストを低減できる。さらに、溶融したロウ材が内部の電子素子に触れることもない。つまり、確実な気密封止を実現しつつ、製品の製造コストを低減し、しかも内部の電子素子の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る水晶発振器の外観を示す斜視図である。
【図2】同水晶発振器の中央を長手方向に沿って切り出した縦端面図である。
【図3】第1実施形態におけるベースの構造を示す図であり、(a)は当該ベースの平面図、(b)は(a)におけるA−A端面図、(c)は底面図である。
【図4】第1実施形態におけるカバーの構造を示す図であり、(a)は当該カバーの底面図、(b)は(a)におけるB−B端面図、(c)は(b)におけるC部分の拡大図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る水晶発振器の中央を長手方向に沿って切り出した縦端面図である。
【図6】第2実施形態におけるベースの構造を示す図であり、(a)は当該ベースの平面図、(b)は(a)におけるD−D端面図、(c)は底面図である。
【図7】第2実施形態におけるカバーの構造を示す図であり、(a)は当該カバーの底面図、(b)は(a)におけるE−E端面図、(c)は(b)におけるF部分の拡大図である。
【符号の説明】
10 水晶発振器
30 ベース
36 壁部
50 カバー
60 上面
70 金メッキ膜
72 内側面
74 露出帯
78 ロウ材
80 内壁面
82 外壁面
Claims (8)
- ロウ材を介して蓋体がロウ付けされる部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用基体において、
上記ロウ付けされる部分よりも内側に形成され該部分よりも内側への上記ロウ材の流入を防止する防止手段を具備することを特徴とする、ハーメチックシール用基体。 - 上記防止手段は上記ロウ付けされる部分の内側縁に沿って上記金属膜が非形成とされた部分を含む、請求項1記載のハーメチックシール用基体。
- 上記ロウ材は金を含み、上記金属膜は金を含む、請求項1または2記載のハーメチックシール用基材。
- ロウ材を介して基体がロウ付けされる部分に下地層としての金属膜が形成されたハーメチックシール用蓋体において、
上記ロウ付けされる部分よりも内側に形成され該部分よりも内側への上記ロウ材の流入を防止する防止手段を具備することを特徴とする、ハーメチックシール用蓋体。 - 上記防止手段は上記ロウ付けされる部分の内側縁に沿って上記金属膜が非形成とされた部分を含む、請求項4記載のハーメチックシール用蓋体。
- 上記ロウ材は金を含み、上記金属膜は金を含む、請求項4または5記載のハーメチックシール用蓋体。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のハーメチックシール用基体を具備する、電子装置。
- 請求項4乃至6のいずれかに記載のハーメチックシール用蓋体を具備する、電子装置。
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