JP2004335508A - セラミック配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩留まりの向上した、形状の歪みが少ないセラミック配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】積層されたセラミック層102及び導電層131、132にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層131、132が露出したセラミック配線基板101の製造方法であって、第一セラミックシート102と、該第一セラミックシート102の主面上に印刷された前記導電層131、132となる第一導電ペーストと、にて構成されたメタライズシート体101を形成し、当該メタライズシート体101を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シート201によって挟んだ状態で非酸化雰囲気中にて焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成する。前記焼成用シート201は、第二セラミックシート202と、該第二セラミックシート202の主面上に印刷された第二導電ペースト203と、にて構成されることを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】積層されたセラミック層102及び導電層131、132にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層131、132が露出したセラミック配線基板101の製造方法であって、第一セラミックシート102と、該第一セラミックシート102の主面上に印刷された前記導電層131、132となる第一導電ペーストと、にて構成されたメタライズシート体101を形成し、当該メタライズシート体101を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シート201によって挟んだ状態で非酸化雰囲気中にて焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成する。前記焼成用シート201は、第二セラミックシート202と、該第二セラミックシート202の主面上に印刷された第二導電ペースト203と、にて構成されることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交互に積層されたセラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置において、半導体素子やチップコンデンサ等の電子部品は、電子部品用パッケージに搭載されて実用に供されている。電子部品用パッケージの本体である配線基板は、その材料として耐熱性、耐久性、熱伝導性等に優れるアルミナ等のセラミックスが適しており、セラミック配線基板は現在盛んに使用されている。そのようなセラミック配線基板は、一般に、セラミックシート、及びその表面上にパターン印刷された導電ペーストにて構成される積層体(以下メタライズシート体という)を、非酸化雰囲気中で焼成することにより製造される。
【0003】
そして、パワーモジュールに代表されるような半導体素子からの発熱量が大きなものでは、発熱により半導体装置が正常に作動しなくなる恐れがあるので、上記のようなセラミック配線基板には、放熱板(ヒートシンク)が備え付けられ、半導体素子の作動時に発生する熱を大気中に良好に放散させるようにした電子部品用パッケージとされる(特許文献1等)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−12718号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック配線基板では、半導体素子や外部機器、また放熱板などに電気的もしくは熱的に接続される等の理由から、それぞれの主面に導電層が露出するよう形成されている。したがって、セラミック配線基板の基(焼成前)となるメタライズシート体のそれぞれの主面には、導電層となるべき導電ペーストが露出しているわけであるが、それぞれの主面における導電ペーストの被覆面積やパターンの違い等の要因により、焼成時にメタライズシート体が反ってしまい形状の歪んだセラミック配線基板となってしまうという問題があった。このような歪んだセラミック配線基板は、放熱板に良好に備え付けることができない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、歩留まりの向上した、形状の歪みが少ないセラミック配線基板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、
セラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法であって、
前記セラミック層となる第一セラミックシートと、該第一セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された前記導電層となる第一導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該第一導電ペーストが露出したメタライズシート体を形成し、
当該メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟んだ状態で焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成するとともに、
前記焼成用シートは、第二セラミックシートと、該第二セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された第二導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体に該第二導電ペーストが露出してなり、少なくとも該第二導電ペーストが前記第一導電ペーストと同一の材料からなることを特徴とする。
【0008】
上記本発明によると、メタライズシート体は、それぞれの主面全体に密着するように配された一対の焼成用シートによって挟まれた状態(以下、サンドイッチ状態ともいう)で焼成される。そして、焼成用シートは、メタライズシート体と同様に、セラミックシートと、その主面上に印刷された導電ペーストと、にて構成されている。焼成用シートのそれぞれの主面全体には該導電ペーストが露出しており、この場合、それぞれの主面における導電ペーストの被覆面積やパターンに違いがないため、焼成用シートは焼成時に反りが生じることが少ない。したがって、メタライズシート体は、このような焼成用シートによってサンドイッチ状態とされたまま焼成されるため、反りの発生が該焼成用シートによって矯正されることになる。
【0009】
さらに、焼成用シートの第二導電ペーストは、メタライズシート体の第一導電ペーストと同一の材料にて構成されている。サンドイッチ状態において、メタライズシート体の主面に露出する第一導電ペーストと、焼成用シートの主面全体に露出する第二導電ペーストとは密着するが、両者は同一の材料であるため焼成時の収縮率(以下、焼成収縮率という)も同一で、密着面に余計な負荷を生じさせることなく焼成を行うことが可能であり、これによっても反りの発生を抑えることができる。
【0010】
次に、上記のような焼成収縮率の観点からすると、焼成用シートの第二導電ペーストは、メタライズシート体の第一導電ペーストと異なる材料であっても、その焼成収縮率がおおよそ同じであれば、上記と同様の効果を得ることができる。すなわち、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、
セラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法であって、
前記セラミック層となる第一セラミックシートと、該第一セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された前記導電層となる第一導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該第一導電ペーストが露出したメタライズシート体を形成し、
当該メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟んだ状態で焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成するとともに、
前記焼成用シートは、第二セラミックシートと、該第二セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された第二導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体に該第二導電ペーストが露出してなり、少なくとも該第二導電ペーストが前記第一導電ペーストと異なる材料であって、前記第一導電ペーストの焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある材料からなることを特徴とする。
なお、第二導電ペーストの焼成収縮率が上記の範囲外である場合は、焼成の際において、サンドイッチ状態におけるメタライズシート体と焼成用シートとの密着面(互いに露出した第一導電ペーストと第二導電ペーストが密着した面)に余計な負荷が生じてしまい、反りを抑えることが困難となる。また、第一導電ペーストの焼成収縮率を1としたときの第二導電ペーストの焼成収縮率は、0.95〜1.05の範囲であることがより好ましい。
【0011】
次に、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、第二セラミックシート(焼成用シートを構成する)は、第一セラミックシート(メタライズシート体を構成する)と同一の材料とすることができる。上記サンドイッチ状態においては、密着する第一導電ペースト(メタライズシート体)と第二導電ペースト(焼成用シート)との間の焼成収縮の関係が非常に重要となることは上述の通りであるが、第一セラミックシートと第二セラミックシートとの焼成収縮率をおおよそ同じにすることで、焼成用シート自体の焼成収縮の態様を、メタライズシート体の焼成収縮の態様にさらに近づけることができ、ひいてはより密着面に余計な負荷を生じさせないことに繋がる。したがって、第一セラミックシートと第二セラミックシートとは同一の材料で構成されることがより望ましい。
【0012】
次に、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、メタライズシート体は、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟まれた状態、且つ、厚さ方向に0.1g/cm2以上15.0g/cm2以下の圧力にて押さえつけられた状態で焼成することができる。このようにメタライズシート体を厚さ方向に押さえつけて焼成することで、反りの発生をさらに防止することができる。そのような効果を得るためには、0.1g/cm2以上の圧力で押さえつけることが好ましく、また15.0g/cm2を超えるとメタライズシート体や焼成用シートを破壊してしまう惧れがあるので、上記の範囲とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミック配線基板及びその製造方法の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のセラミック配線基板1の断面構造を表す模式図である。セラミック配線基板1は、交互に積層されたセラミック層2、及び導電層31、32にて構成され、且つ、それぞれの主面11、12に導電層31、32が露出している。本実施形態では、セラミック層2のそれぞれの主面に導電層31、32が形成された3層のセラミック配線基板1であるが、これに限らず、例えば図3に示すようにセラミック層2を複数層有し(図では2層)、その間に層間導電層33が形成された形態であってもよい。
【0014】
また、セラミック配線基板1は、第一主面11の一部の領域において導電層31が形成される一方、第二主面12の全体領域において導電層32が形成されており、それぞれの主面において被覆面積及び被覆パターンが異なる。
【0015】
そして、セラミック配線基板1は、図2に示すように、片方の主面(本実施形態では主面12)に、例えば銀ロウからなる接着材4を介して放熱板(ヒートシンク)5が備え付けられ、電子備品用パッケージ(放熱板付セラミック配線基板)10をなす。詳しくは、セラミック配線基板1には貫通孔13が形成されており、貫通孔13と、その内部に露出する接着材4(放熱板5を露出させてもよい)と、で電子部品を搭載するためのキャビティ6が形成される。
【0016】
以上のようなセラミック配線基板1は、以下のような製造方法で得ることができる。図4は、その工程を示す説明図である。まず、アルミナ質セラミック粉末等の誘電材料粉末を有機溶媒に加えて混練し、ドクターブレード法等の方法でセラミックシート(セラミックグリーンシート)102を成形する(工程1)。そして、セラミックシート102のそれぞれの主面に導電ペースト層131、132をパターン印刷する(工程2)。導電ペースト層131、132は、W(タングステン)、Mo(モリブデン)などの高融点金属を含有するメタライズインクの印刷により形成することができる。なお、本実施例においては、セラミックシート102の第二主面(下側)に形成される導電ペースト層132は、該第二主面の全体に形成されている。
【0017】
また、例えば図3に示すようなセラミック層2を複数層有するセラミック配線基板1を形成する場合は、導電ペースト層131上にさらに新たなセラミックシートを積層圧着し、その主面上に新たな導電ペースト層を印刷する工程を所定数繰り返す。なお、層間の電気的接続を取るためのビアを形成する場合は、セラミックシートのビア形成位置にパンチング等を用いて穿孔しておき、そこに導電ペーストを充填するようにする。
【0018】
その後、例えばパンチング等の手段により、セラミックシート102を導電ペースト層132とともに打ち抜いて貫通孔113を形成する(工程3)。なお本実施形態においては、導電ペースト131が形成されていない領域を打ち抜いている。以上のようにして、メタライズシート大板101´が形成される。これは、複数のメタライズシート体101(後述)が連結されたもの、つまり、セラミック配線基板1の多数個取りワーク基板として構成されたものである。なお、貫通孔113は、導電ペースト131、132の印刷前にパンチングにより形成し、その後、導電ペーストを印刷してもよい。
【0019】
次に、メタライズシート大板101´を切断し、メタライズシート体101を得る(工程4)。本実施形態では、ブレイク溝を形成しておき、ブレイク刃7によってブレイク溝に沿って分割している。なお、ブレイク溝を形成せずに切断してもよい。以上の工程により、上記セラミック層2(図1参照)となるセラミックシート102と、該セラミックシート102の主面上に印刷された上記導電層31、32(図1参照)となる導電ペースト層131、132と、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電ペースト131、132が露出したメタライズシート体101が得られる(工程5)。
【0020】
そして、得られたメタライズシート体101に対して、以下に説明する焼成工程(工程6)が行われる。メタライズシート体101は、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シート201によって挟まれた状態(サンドイッチ状態)で、例えばN(窒素)やH(水素)雰囲気等の非酸化雰囲気中にて、例えばMo(モリブデン)からなる焼成板210等によって焼成される。このように焼成されることで、メタライズシート体101からセラミック配線基板1(図1参照)が得られる。
【0021】
焼成用シート201は、セラミックシート202と、該セラミックシート202の主面上に印刷された導電ペースト203と、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体には該導電ペースト202が露出している。なお、焼成用シート201は、それぞれの主面の全面に導電ペースト202が露出していれば、セラミック層202が複数層形成された積層構造であっても構わない。そして、セラミックシート202はメタライズシート体101を構成するセラミックシート102と、導電ペースト203はメタライズシート体101を構成する導電ペースト131、132と同一の材料(上記参照)からなる。
【0022】
また、導電ペースト203には、メタライズシート体101を構成する導電ペースト131、132とは異なる材料であっても、導電ペースト131、132の焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある材料であれば好適に用いることができる。上記のようにメタライズシート体101を構成する導電ペースト131、132が、W(タングステン)、Mo(モリブデン)などの高融点金属を含有するものである場合、例えばその含有比率が異なるもの等を例示することができる。
【0023】
また、セラミックシート202には、メタライズシート体101を構成するセラミックシート102と同一の材料を用いることが好ましいが、異なる材料とすることもできる。
【0024】
焼成用シート201のそれぞれの主面全体には導電ペースト203が露出しており、この場合、それぞれの主面における導電ペースト203の被覆面積やパターンに違いがないため、焼成用シート201は焼成時に反りが生じることが少ない。したがって、メタライズシート体101は、このような焼成用シート201によってサンドイッチ状態とされたまま焼成されるため、反りの発生が該焼成用シート201によって矯正されることになる。
【0025】
また、サンドイッチ状態において、メタライズシート体101の主面に露出する導電ペースト131、132と、焼成用シート201の主面全体に露出する導電ペースト203とは密着するが、両者は同一の材料もしくは焼成収縮率が近似した(導電ペースト131、132の焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある)材料であるため、密着面に余計な負荷を生じさせることなく焼成を行うことが可能であり、これによってもメタライズシート体101の反りの発生を抑えることができる。
【0026】
焼成工程(工程6)は、また、メタライズシート体101に対して、厚さ方向に0.1g/cm2以上15.0g/cm2以下の圧力にて押さえつけた状態で焼成することができる。具体的には、図4の工程6を示す図中において、例えばMo等からなる圧力印加用板(図示せず)を用いて、メタライズシート体101に対し、サンドイッチ状態を構成する焼成用シート201ごと焼成板210側に荷重を加える。つまり、サンドイッチ状態を構成するメタライズシート体101と、そのそれぞれの主面側に配された一対の焼成用シート体201を、焼成板210と圧力印加用板(図示せず)とによってさらに挟んで荷重を加える。また、圧力印加用板から熱を加えるようにすることもできる。このようにして、メタライズシート体101の反りの発生をさらに防止することができる。
【0027】
以上のような焼成工程(工程6)を行うことによって、メタライズシート体101の反り発生を抑えることができ、図1に示すような、交互に積層されたセラミック層2、及び導電層31、32にて構成され、且つ、それぞれの主面11、12に導電層31、32が露出したセラミック配線基板1であって、当該それぞれの主面11、12における反りを低減させたセラミック配線基板1を得ることが可能となる。このような反り形状の低減されたセラミック配線基板1は、図2に示すような放熱板(ヒートシンク)5への接着(接着材4を介して)を容易に行うことができる。
【0028】
また、例えば図3に示すようなセラミック層2が複数層形成された配線基板1を得るためには、メタライズシート体101は、セラミックシート102(その主面に導電ペーストがパターン印刷された)が複数積層された構造となるわけであるが、このような多層構造になればなるほど焼成時におけるメタライズシート体101の反りの発生が緩和される。したがって、工程6のようにサンドイッチ状態で焼成を行う方法は、積層構造を構成する層が少ない場合、特には図1に示すセラミック層2のそれぞれの主面に導電層31、32が形成された3層構造の配線基板1を形成する場合に、より好適に用いることができる。
【0029】
なお、焼成工程(工程6)は、一対の焼成用シート201の間に複数個のメタライズシート体100を配したサンドイッチ状態にて焼成することができる。また図4の工程3に示すメタライズシート大板101´に対し一対の焼成用シート201によりサンドイッチ状態にして焼成することもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
上述の本発明の製造方法によってセラミック配線基板1を作製し(図4の工程6を表す図を参照)、実施例とした。また、比較例として、焼成板210とメタライズシート体101との間のみに焼成用シート201を配して焼成したもの(比較例1)と、焼成板210上にアルミナからなる目砂を敷いて焼成したもの(比較例2)と、焼成板210上に直接メタライズシート体101を載せて焼成したもの(比較例3)を作製した。なお、ここで作製したセラミック配線基板1は、図1におけるセラミック配線基板1と同様なものに対応しており、第二主面12(導電層32が全面に形成された主面)を焼成板210側にして作製が行われている。また、第一主面11を焼成板210側にし、焼成板210の上に直接を載せて焼成したものを比較例4とした。
【0031】
実施例及び比較例1〜4には、▲1▼密度2.44g/cm3のセラミックシートを用いて作製したもの、▲2▼密度2.47g/cm3のセラミックシートを用いて作製したもの、▲3▼密度2.47g/cm3のセラミックシートを用い、圧力印加用板によって10g/cm2の圧力を印加(面押し)して焼成したもの、をそれぞれ用意し、また、▲4▼参考例として密度2.47g/cm3のセラミックシートを用い、それぞれの主面の全体に導電ペーストが形成されたメタライズシート体を焼成して作製したものを用意した。なお、セラミックシートはアルミナを主成分とし、導電ペーストはW(タングステン)を主成分とする。
【0032】
また、焼成の際に用いる焼成用シートは、密度2.47g/cm3のセラミックシートのそれぞれの主面全体に、メタライズシート体に用いたのと同一の導電ペーストが形成されたものである。
【0033】
以上のようにして得られた実施例及び比較例1〜4(それぞれ▲1▼〜▲4▼の4種類を有する)のセラミック配線基板に対して、第二主面における反り量を表面粗さ計にて測定した。測定は、それぞれについて40個の製品に対して行った。なお、「反り量」とは、表面高さプロファイルによって定義される最大の表面高さ差とする。また、測定は、図5の第一主面11側を表す図で説明すると(実際に測定が行われるのは第二主面12側である)、セラミック配線基板1のフレームのおおよそ中央に沿って、図中のA→B→C→D→Aの順に行われる。なお、セラミック配線基板1の形状は、具体的には、一辺の長さW1が10mmの正方形状で、その中心に一辺の長さW2が7mmの正方形状の貫通孔を有する。また、フレーム幅Tは1.5mmであり、厚さは0.5mmである。
【0034】
以上の測定によって得られた「反り量」にて、良否の判断を行った。また、反り量の良否の基準は、絶対値で23μm以下である場合に「A合格」、23〜30μmである場合に「B合格」とし、30μmを超えてしまった場合を「不合格」とした。そして、それぞれの歩留まりを図中に示している。図6及び7には、反り量が平均値(図中に示す)近傍の値を示す製品についての表面高さプロファイルを示す。なお、測定値は、それぞれの測定点A〜Dの位置を基準(0)としている。
【0035】
実施例では、▲1▼が合格86%(A合格57%、B合格29%)、▲2▼が合格87%(A合格70%、B合格17%)であった。それに対し、焼成用シートを敷いた比較例1では、▲1▼が合格6%(A合格5%、B合格1%)、▲2▼が合格13%(A合格10%、B合格3%)であり、目砂を敷いた比較例2と焼成板に直に置いた比較例3は、▲1▼及び▲2▼とも合格が0であり、焼成板に直に逆向き(第一主面側を下)においた比較例4では、▲1▼が合格2%(B合格2%)、▲2▼が合格14%(A合格7%、B合格7%)であった。これらの結果から明らかなように、セラミックシートと、そのそれぞれの主面全体に導電ペーストが形成された一対の焼成用シートにより、メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう挟んだ状態(サンドイッチ状態)で焼成する本発明の製造方法を用いると、製品の歩留まりが格段に向上することがわかる。
【0036】
また、実施例において、面押しを行った▲3▼は合格95%(A合格79%、B合格16%)と、実施例▲1▼及び▲2▼よりも歩留まりが向上しており、面押しが反りの発生をさらに低減させていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック配線基板の断面構造を模式的に表す図
【図2】放熱板(ヒートシンク)が備え付けられたセラミック配線基板の斜視図
【図3】セラミック層が複数層形成され、その間に層間導電層が形成されたセラミック配線基板の断面構造を模式的に表す図
【図4】セラミック配線基板の製造工程を説明する図
【図5】セラミック配線基板の第一主表面を模式的に表す図
【図6】実施例及び比較例1、2における表面高さプロファイル
【図7】比較例3、4における表面高さプロファイル
【符号の説明】
1 セラミック配線基板
2 セラミック層
31、32 導電層
4 接着材
5 放熱板(ヒートシンク)
10 放熱板付セラミック配線基板
102 セラミックシート(セラミックグリーンシート)
131、132 導電ペースト層
101 メタライズシート体
101´ メタライズシート大板
201 焼成用シート
202 セラミックシート(セラミックグリーンシート)
203 導電ペースト層
【発明の属する技術分野】
本発明は、交互に積層されたセラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置において、半導体素子やチップコンデンサ等の電子部品は、電子部品用パッケージに搭載されて実用に供されている。電子部品用パッケージの本体である配線基板は、その材料として耐熱性、耐久性、熱伝導性等に優れるアルミナ等のセラミックスが適しており、セラミック配線基板は現在盛んに使用されている。そのようなセラミック配線基板は、一般に、セラミックシート、及びその表面上にパターン印刷された導電ペーストにて構成される積層体(以下メタライズシート体という)を、非酸化雰囲気中で焼成することにより製造される。
【0003】
そして、パワーモジュールに代表されるような半導体素子からの発熱量が大きなものでは、発熱により半導体装置が正常に作動しなくなる恐れがあるので、上記のようなセラミック配線基板には、放熱板(ヒートシンク)が備え付けられ、半導体素子の作動時に発生する熱を大気中に良好に放散させるようにした電子部品用パッケージとされる(特許文献1等)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−12718号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック配線基板では、半導体素子や外部機器、また放熱板などに電気的もしくは熱的に接続される等の理由から、それぞれの主面に導電層が露出するよう形成されている。したがって、セラミック配線基板の基(焼成前)となるメタライズシート体のそれぞれの主面には、導電層となるべき導電ペーストが露出しているわけであるが、それぞれの主面における導電ペーストの被覆面積やパターンの違い等の要因により、焼成時にメタライズシート体が反ってしまい形状の歪んだセラミック配線基板となってしまうという問題があった。このような歪んだセラミック配線基板は、放熱板に良好に備え付けることができない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、歩留まりの向上した、形状の歪みが少ないセラミック配線基板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、
セラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法であって、
前記セラミック層となる第一セラミックシートと、該第一セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された前記導電層となる第一導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該第一導電ペーストが露出したメタライズシート体を形成し、
当該メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟んだ状態で焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成するとともに、
前記焼成用シートは、第二セラミックシートと、該第二セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された第二導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体に該第二導電ペーストが露出してなり、少なくとも該第二導電ペーストが前記第一導電ペーストと同一の材料からなることを特徴とする。
【0008】
上記本発明によると、メタライズシート体は、それぞれの主面全体に密着するように配された一対の焼成用シートによって挟まれた状態(以下、サンドイッチ状態ともいう)で焼成される。そして、焼成用シートは、メタライズシート体と同様に、セラミックシートと、その主面上に印刷された導電ペーストと、にて構成されている。焼成用シートのそれぞれの主面全体には該導電ペーストが露出しており、この場合、それぞれの主面における導電ペーストの被覆面積やパターンに違いがないため、焼成用シートは焼成時に反りが生じることが少ない。したがって、メタライズシート体は、このような焼成用シートによってサンドイッチ状態とされたまま焼成されるため、反りの発生が該焼成用シートによって矯正されることになる。
【0009】
さらに、焼成用シートの第二導電ペーストは、メタライズシート体の第一導電ペーストと同一の材料にて構成されている。サンドイッチ状態において、メタライズシート体の主面に露出する第一導電ペーストと、焼成用シートの主面全体に露出する第二導電ペーストとは密着するが、両者は同一の材料であるため焼成時の収縮率(以下、焼成収縮率という)も同一で、密着面に余計な負荷を生じさせることなく焼成を行うことが可能であり、これによっても反りの発生を抑えることができる。
【0010】
次に、上記のような焼成収縮率の観点からすると、焼成用シートの第二導電ペーストは、メタライズシート体の第一導電ペーストと異なる材料であっても、その焼成収縮率がおおよそ同じであれば、上記と同様の効果を得ることができる。すなわち、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、
セラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法であって、
前記セラミック層となる第一セラミックシートと、該第一セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された前記導電層となる第一導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該第一導電ペーストが露出したメタライズシート体を形成し、
当該メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟んだ状態で焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成するとともに、
前記焼成用シートは、第二セラミックシートと、該第二セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された第二導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体に該第二導電ペーストが露出してなり、少なくとも該第二導電ペーストが前記第一導電ペーストと異なる材料であって、前記第一導電ペーストの焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある材料からなることを特徴とする。
なお、第二導電ペーストの焼成収縮率が上記の範囲外である場合は、焼成の際において、サンドイッチ状態におけるメタライズシート体と焼成用シートとの密着面(互いに露出した第一導電ペーストと第二導電ペーストが密着した面)に余計な負荷が生じてしまい、反りを抑えることが困難となる。また、第一導電ペーストの焼成収縮率を1としたときの第二導電ペーストの焼成収縮率は、0.95〜1.05の範囲であることがより好ましい。
【0011】
次に、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、第二セラミックシート(焼成用シートを構成する)は、第一セラミックシート(メタライズシート体を構成する)と同一の材料とすることができる。上記サンドイッチ状態においては、密着する第一導電ペースト(メタライズシート体)と第二導電ペースト(焼成用シート)との間の焼成収縮の関係が非常に重要となることは上述の通りであるが、第一セラミックシートと第二セラミックシートとの焼成収縮率をおおよそ同じにすることで、焼成用シート自体の焼成収縮の態様を、メタライズシート体の焼成収縮の態様にさらに近づけることができ、ひいてはより密着面に余計な負荷を生じさせないことに繋がる。したがって、第一セラミックシートと第二セラミックシートとは同一の材料で構成されることがより望ましい。
【0012】
次に、本発明のセラミック配線基板の製造方法では、メタライズシート体は、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟まれた状態、且つ、厚さ方向に0.1g/cm2以上15.0g/cm2以下の圧力にて押さえつけられた状態で焼成することができる。このようにメタライズシート体を厚さ方向に押さえつけて焼成することで、反りの発生をさらに防止することができる。そのような効果を得るためには、0.1g/cm2以上の圧力で押さえつけることが好ましく、また15.0g/cm2を超えるとメタライズシート体や焼成用シートを破壊してしまう惧れがあるので、上記の範囲とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミック配線基板及びその製造方法の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のセラミック配線基板1の断面構造を表す模式図である。セラミック配線基板1は、交互に積層されたセラミック層2、及び導電層31、32にて構成され、且つ、それぞれの主面11、12に導電層31、32が露出している。本実施形態では、セラミック層2のそれぞれの主面に導電層31、32が形成された3層のセラミック配線基板1であるが、これに限らず、例えば図3に示すようにセラミック層2を複数層有し(図では2層)、その間に層間導電層33が形成された形態であってもよい。
【0014】
また、セラミック配線基板1は、第一主面11の一部の領域において導電層31が形成される一方、第二主面12の全体領域において導電層32が形成されており、それぞれの主面において被覆面積及び被覆パターンが異なる。
【0015】
そして、セラミック配線基板1は、図2に示すように、片方の主面(本実施形態では主面12)に、例えば銀ロウからなる接着材4を介して放熱板(ヒートシンク)5が備え付けられ、電子備品用パッケージ(放熱板付セラミック配線基板)10をなす。詳しくは、セラミック配線基板1には貫通孔13が形成されており、貫通孔13と、その内部に露出する接着材4(放熱板5を露出させてもよい)と、で電子部品を搭載するためのキャビティ6が形成される。
【0016】
以上のようなセラミック配線基板1は、以下のような製造方法で得ることができる。図4は、その工程を示す説明図である。まず、アルミナ質セラミック粉末等の誘電材料粉末を有機溶媒に加えて混練し、ドクターブレード法等の方法でセラミックシート(セラミックグリーンシート)102を成形する(工程1)。そして、セラミックシート102のそれぞれの主面に導電ペースト層131、132をパターン印刷する(工程2)。導電ペースト層131、132は、W(タングステン)、Mo(モリブデン)などの高融点金属を含有するメタライズインクの印刷により形成することができる。なお、本実施例においては、セラミックシート102の第二主面(下側)に形成される導電ペースト層132は、該第二主面の全体に形成されている。
【0017】
また、例えば図3に示すようなセラミック層2を複数層有するセラミック配線基板1を形成する場合は、導電ペースト層131上にさらに新たなセラミックシートを積層圧着し、その主面上に新たな導電ペースト層を印刷する工程を所定数繰り返す。なお、層間の電気的接続を取るためのビアを形成する場合は、セラミックシートのビア形成位置にパンチング等を用いて穿孔しておき、そこに導電ペーストを充填するようにする。
【0018】
その後、例えばパンチング等の手段により、セラミックシート102を導電ペースト層132とともに打ち抜いて貫通孔113を形成する(工程3)。なお本実施形態においては、導電ペースト131が形成されていない領域を打ち抜いている。以上のようにして、メタライズシート大板101´が形成される。これは、複数のメタライズシート体101(後述)が連結されたもの、つまり、セラミック配線基板1の多数個取りワーク基板として構成されたものである。なお、貫通孔113は、導電ペースト131、132の印刷前にパンチングにより形成し、その後、導電ペーストを印刷してもよい。
【0019】
次に、メタライズシート大板101´を切断し、メタライズシート体101を得る(工程4)。本実施形態では、ブレイク溝を形成しておき、ブレイク刃7によってブレイク溝に沿って分割している。なお、ブレイク溝を形成せずに切断してもよい。以上の工程により、上記セラミック層2(図1参照)となるセラミックシート102と、該セラミックシート102の主面上に印刷された上記導電層31、32(図1参照)となる導電ペースト層131、132と、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電ペースト131、132が露出したメタライズシート体101が得られる(工程5)。
【0020】
そして、得られたメタライズシート体101に対して、以下に説明する焼成工程(工程6)が行われる。メタライズシート体101は、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シート201によって挟まれた状態(サンドイッチ状態)で、例えばN(窒素)やH(水素)雰囲気等の非酸化雰囲気中にて、例えばMo(モリブデン)からなる焼成板210等によって焼成される。このように焼成されることで、メタライズシート体101からセラミック配線基板1(図1参照)が得られる。
【0021】
焼成用シート201は、セラミックシート202と、該セラミックシート202の主面上に印刷された導電ペースト203と、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体には該導電ペースト202が露出している。なお、焼成用シート201は、それぞれの主面の全面に導電ペースト202が露出していれば、セラミック層202が複数層形成された積層構造であっても構わない。そして、セラミックシート202はメタライズシート体101を構成するセラミックシート102と、導電ペースト203はメタライズシート体101を構成する導電ペースト131、132と同一の材料(上記参照)からなる。
【0022】
また、導電ペースト203には、メタライズシート体101を構成する導電ペースト131、132とは異なる材料であっても、導電ペースト131、132の焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある材料であれば好適に用いることができる。上記のようにメタライズシート体101を構成する導電ペースト131、132が、W(タングステン)、Mo(モリブデン)などの高融点金属を含有するものである場合、例えばその含有比率が異なるもの等を例示することができる。
【0023】
また、セラミックシート202には、メタライズシート体101を構成するセラミックシート102と同一の材料を用いることが好ましいが、異なる材料とすることもできる。
【0024】
焼成用シート201のそれぞれの主面全体には導電ペースト203が露出しており、この場合、それぞれの主面における導電ペースト203の被覆面積やパターンに違いがないため、焼成用シート201は焼成時に反りが生じることが少ない。したがって、メタライズシート体101は、このような焼成用シート201によってサンドイッチ状態とされたまま焼成されるため、反りの発生が該焼成用シート201によって矯正されることになる。
【0025】
また、サンドイッチ状態において、メタライズシート体101の主面に露出する導電ペースト131、132と、焼成用シート201の主面全体に露出する導電ペースト203とは密着するが、両者は同一の材料もしくは焼成収縮率が近似した(導電ペースト131、132の焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある)材料であるため、密着面に余計な負荷を生じさせることなく焼成を行うことが可能であり、これによってもメタライズシート体101の反りの発生を抑えることができる。
【0026】
焼成工程(工程6)は、また、メタライズシート体101に対して、厚さ方向に0.1g/cm2以上15.0g/cm2以下の圧力にて押さえつけた状態で焼成することができる。具体的には、図4の工程6を示す図中において、例えばMo等からなる圧力印加用板(図示せず)を用いて、メタライズシート体101に対し、サンドイッチ状態を構成する焼成用シート201ごと焼成板210側に荷重を加える。つまり、サンドイッチ状態を構成するメタライズシート体101と、そのそれぞれの主面側に配された一対の焼成用シート体201を、焼成板210と圧力印加用板(図示せず)とによってさらに挟んで荷重を加える。また、圧力印加用板から熱を加えるようにすることもできる。このようにして、メタライズシート体101の反りの発生をさらに防止することができる。
【0027】
以上のような焼成工程(工程6)を行うことによって、メタライズシート体101の反り発生を抑えることができ、図1に示すような、交互に積層されたセラミック層2、及び導電層31、32にて構成され、且つ、それぞれの主面11、12に導電層31、32が露出したセラミック配線基板1であって、当該それぞれの主面11、12における反りを低減させたセラミック配線基板1を得ることが可能となる。このような反り形状の低減されたセラミック配線基板1は、図2に示すような放熱板(ヒートシンク)5への接着(接着材4を介して)を容易に行うことができる。
【0028】
また、例えば図3に示すようなセラミック層2が複数層形成された配線基板1を得るためには、メタライズシート体101は、セラミックシート102(その主面に導電ペーストがパターン印刷された)が複数積層された構造となるわけであるが、このような多層構造になればなるほど焼成時におけるメタライズシート体101の反りの発生が緩和される。したがって、工程6のようにサンドイッチ状態で焼成を行う方法は、積層構造を構成する層が少ない場合、特には図1に示すセラミック層2のそれぞれの主面に導電層31、32が形成された3層構造の配線基板1を形成する場合に、より好適に用いることができる。
【0029】
なお、焼成工程(工程6)は、一対の焼成用シート201の間に複数個のメタライズシート体100を配したサンドイッチ状態にて焼成することができる。また図4の工程3に示すメタライズシート大板101´に対し一対の焼成用シート201によりサンドイッチ状態にして焼成することもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
上述の本発明の製造方法によってセラミック配線基板1を作製し(図4の工程6を表す図を参照)、実施例とした。また、比較例として、焼成板210とメタライズシート体101との間のみに焼成用シート201を配して焼成したもの(比較例1)と、焼成板210上にアルミナからなる目砂を敷いて焼成したもの(比較例2)と、焼成板210上に直接メタライズシート体101を載せて焼成したもの(比較例3)を作製した。なお、ここで作製したセラミック配線基板1は、図1におけるセラミック配線基板1と同様なものに対応しており、第二主面12(導電層32が全面に形成された主面)を焼成板210側にして作製が行われている。また、第一主面11を焼成板210側にし、焼成板210の上に直接を載せて焼成したものを比較例4とした。
【0031】
実施例及び比較例1〜4には、▲1▼密度2.44g/cm3のセラミックシートを用いて作製したもの、▲2▼密度2.47g/cm3のセラミックシートを用いて作製したもの、▲3▼密度2.47g/cm3のセラミックシートを用い、圧力印加用板によって10g/cm2の圧力を印加(面押し)して焼成したもの、をそれぞれ用意し、また、▲4▼参考例として密度2.47g/cm3のセラミックシートを用い、それぞれの主面の全体に導電ペーストが形成されたメタライズシート体を焼成して作製したものを用意した。なお、セラミックシートはアルミナを主成分とし、導電ペーストはW(タングステン)を主成分とする。
【0032】
また、焼成の際に用いる焼成用シートは、密度2.47g/cm3のセラミックシートのそれぞれの主面全体に、メタライズシート体に用いたのと同一の導電ペーストが形成されたものである。
【0033】
以上のようにして得られた実施例及び比較例1〜4(それぞれ▲1▼〜▲4▼の4種類を有する)のセラミック配線基板に対して、第二主面における反り量を表面粗さ計にて測定した。測定は、それぞれについて40個の製品に対して行った。なお、「反り量」とは、表面高さプロファイルによって定義される最大の表面高さ差とする。また、測定は、図5の第一主面11側を表す図で説明すると(実際に測定が行われるのは第二主面12側である)、セラミック配線基板1のフレームのおおよそ中央に沿って、図中のA→B→C→D→Aの順に行われる。なお、セラミック配線基板1の形状は、具体的には、一辺の長さW1が10mmの正方形状で、その中心に一辺の長さW2が7mmの正方形状の貫通孔を有する。また、フレーム幅Tは1.5mmであり、厚さは0.5mmである。
【0034】
以上の測定によって得られた「反り量」にて、良否の判断を行った。また、反り量の良否の基準は、絶対値で23μm以下である場合に「A合格」、23〜30μmである場合に「B合格」とし、30μmを超えてしまった場合を「不合格」とした。そして、それぞれの歩留まりを図中に示している。図6及び7には、反り量が平均値(図中に示す)近傍の値を示す製品についての表面高さプロファイルを示す。なお、測定値は、それぞれの測定点A〜Dの位置を基準(0)としている。
【0035】
実施例では、▲1▼が合格86%(A合格57%、B合格29%)、▲2▼が合格87%(A合格70%、B合格17%)であった。それに対し、焼成用シートを敷いた比較例1では、▲1▼が合格6%(A合格5%、B合格1%)、▲2▼が合格13%(A合格10%、B合格3%)であり、目砂を敷いた比較例2と焼成板に直に置いた比較例3は、▲1▼及び▲2▼とも合格が0であり、焼成板に直に逆向き(第一主面側を下)においた比較例4では、▲1▼が合格2%(B合格2%)、▲2▼が合格14%(A合格7%、B合格7%)であった。これらの結果から明らかなように、セラミックシートと、そのそれぞれの主面全体に導電ペーストが形成された一対の焼成用シートにより、メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう挟んだ状態(サンドイッチ状態)で焼成する本発明の製造方法を用いると、製品の歩留まりが格段に向上することがわかる。
【0036】
また、実施例において、面押しを行った▲3▼は合格95%(A合格79%、B合格16%)と、実施例▲1▼及び▲2▼よりも歩留まりが向上しており、面押しが反りの発生をさらに低減させていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック配線基板の断面構造を模式的に表す図
【図2】放熱板(ヒートシンク)が備え付けられたセラミック配線基板の斜視図
【図3】セラミック層が複数層形成され、その間に層間導電層が形成されたセラミック配線基板の断面構造を模式的に表す図
【図4】セラミック配線基板の製造工程を説明する図
【図5】セラミック配線基板の第一主表面を模式的に表す図
【図6】実施例及び比較例1、2における表面高さプロファイル
【図7】比較例3、4における表面高さプロファイル
【符号の説明】
1 セラミック配線基板
2 セラミック層
31、32 導電層
4 接着材
5 放熱板(ヒートシンク)
10 放熱板付セラミック配線基板
102 セラミックシート(セラミックグリーンシート)
131、132 導電ペースト層
101 メタライズシート体
101´ メタライズシート大板
201 焼成用シート
202 セラミックシート(セラミックグリーンシート)
203 導電ペースト層
Claims (2)
- セラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法であって、
前記セラミック層となる第一セラミックシートと、該第一セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された前記導電層となる第一導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該第一導電ペーストが露出したメタライズシート体を形成し、
当該メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟んだ状態で焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成するとともに、
前記焼成用シートは、第二セラミックシートと、該第二セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された第二導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体に該第二導電ペーストが露出してなり、少なくとも該第二導電ペーストが前記第一導電ペーストと同一の材料からなることを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。 - セラミック層及び導電層にて構成され、且つ、それぞれの主面に該導電層が露出したセラミック配線基板の製造方法であって、
前記セラミック層となる第一セラミックシートと、該第一セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された前記導電層となる第一導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面に該第一導電ペーストが露出したメタライズシート体を形成し、
当該メタライズシート体を、それぞれの主面全体に密着するよう配された一対の焼成用シートによって挟んだ状態で焼成することにより、前記セラミック配線基板を形成するとともに、
前記焼成用シートは、第二セラミックシートと、該第二セラミックシートのそれぞれの主面上に印刷された第二導電ペーストと、にて構成され、且つ、それぞれの主面の全体に該第二導電ペーストが露出してなり、少なくとも該第二導電ペーストが前記第一導電ペーストと異なる材料であって、前記第一導電ペーストの焼成収縮率を1としたときの焼成収縮率が0.9〜1.1の範囲にある材料からなることを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
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WO2006064793A1 (ja) * | 2004-12-15 | 2006-06-22 | Tokuyama Corporation | メタライズドセラミック基板の製造方法 |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003124896A patent/JP2004335508A/ja active Pending
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