JP2004335256A - リチウム二次電池用電極およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極を提供する。
【解決手段】このリチウム二次電池用電極は、ジルコニウム銅箔からなる負極集電体1と、ジルコニウム銅箔からなる負極集電体1上に形成され、0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2とを備えている。
【選択図】図3
【解決手段】このリチウム二次電池用電極は、ジルコニウム銅箔からなる負極集電体1と、ジルコニウム銅箔からなる負極集電体1上に形成され、0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2とを備えている。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リチウム二次電池用電極およびその製造方法に関し、特に、集電体上に活物質層が形成されたリチウム二次電池用電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リチウム二次電池用電極において、集電体上に、微結晶または非晶質のシリコン膜からなる活物質層を形成することによって、充放電サイクル特性を向上させる技術が知られている。上記した微結晶または非晶質のシリコン膜からなる活物質層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法または蒸着法などにより形成することができる。また、活物質層としての微結晶または非晶質のシリコン膜に、シリコン以外の元素が添加されたリチウム二次電池用電極も知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来では、集電体の材料として、一般的に、タフピッチ銅箔などの純銅箔が使用されている。しかしながら、純銅箔からなる集電体は、機械的強度が低いという不都合があった。すなわち、純銅箔からなる集電体上に活物質層が形成されたリチウム二次電池用電極を用いた場合、充放電時に、活物質層の体積変化により発生する応力に起因して、集電体が変形するという不都合があった。そこで、従来では、純銅箔よりも高い機械的強度を有する材料からなる集電体が用いられたリチウム二次電池用電極が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
上記特許文献2には、純銅箔よりも高い機械的強度を有する材料として、コルソン合金箔を用いた例が開示されている。この特許文献2では、コルソン合金箔からなる集電体を用いることによって、充放電時に活物質層の体積変化による集電体の変形を抑制することが可能となる。また、コルソン合金箔などの銅合金箔は、純銅箔に比べて導電性が劣るが、集電体として用いる場合には、特に問題はない。
【0005】
【特許文献1】
国際公開WO01/29913号公報
【特許文献2】
特開2003−7305号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2のように、集電体として機械的強度の高い材料を用いれば、充放電時の集電体の変形を抑制することができる一方、集電体の変形が小さいので、集電体と活物質層との界面に応力が集中しやすくなるという新たな不都合が生じる。この場合、集電体から活物質層が剥離しやすくなるので、集電体の変形が抑制されたとしても、充放電容量が小さくなるとともに、サイクル特性が低下するという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極を提供することである。
【0007】
この発明のもう1つの目的は、充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成することによって、充放電時に、集電体から活物質層が剥離するのを抑制することが可能であることを見い出した。
【0009】
すなわち、この発明の第1の局面によるリチウム二次電池用電極は、耐熱性銅合金を含む集電体と、耐熱性銅合金を含む集電体上に形成され、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層とを備えている。
【0010】
この第1の局面によるリチウム二次電池用電極では、上記のように、活物質層を構成するシリコン膜に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素を添加することによって、シリコン膜の引張強度や伸び限界などの機械的特性が変化することにより、充放電時に活物質層内に発生する応力を低減することができると考えられる。また、活物質層を構成するシリコン膜に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素を添加することによって、シリコン膜に0.01%以上のホウ素が添加されない場合に比べて、シリコン膜と電解液との反応特性が変化するので、充放電中のシリコン膜の機械的特性が変化していると考えられる。これらにより、充放電時に活物質層と集電体との界面に発生する応力を低減することができるので、充放電時に活物質層と集電体との界面に応力が集中することに起因して、集電体から活物質層が剥離するのを抑制することができる。その結果、リチウム二次電池用電極の充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることができる。また、耐熱性銅合金を含む集電体を用いることによって、耐熱性銅合金は、加熱された場合にも機械的強度が低下しにくいので、集電体の表面上に活物質層を形成する際の温度変化に起因して、集電体の機械的強度が低下するのを抑制することができる。その結果、集電体を変形させることなく優れた充放電サイクル特性を得ることができるとともに、集電体および集電体上の活物質層を、容易に所定の形状に加工することができる。
【0011】
上記第1の局面によるリチウム二次電池用電極において、好ましくは、シリコン膜のホウ素の含有量は、3.1原子%以上5.5原子%以下である。添加されるホウ素を、このような範囲に制御すれば、特に良好な充放電サイクル特性を得ることができる。なお、この点は、実験により確認済みである。
【0012】
上記第1の局面によるリチウム二次電池用電極において、好ましくは、耐熱性銅合金を含む集電体は、算術平均粗さRaが0.1μm以上の凹凸形状の表面を有している。ここで、Raは、日本工業規格(JIS B0601−1994)に定められており、たとえば、表面粗さ計により測定できる。このように構成すれば、集電体上に形成される活物質層は、集電体の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状となる。このため、充放電時に活物質層が膨張および伸縮する際に、活物質層の凹状領域に応力が集中するので、活物質層の凹状領域に亀裂が生じるとともに、活物質層が亀裂により柱状に分離される。これにより、活物質層内に発生する応力が分散されるので、活物質層と集電体との界面に発生する応力をより低減することができる。その結果、集電体から活物質層が剥離するのをより抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面によるリチウム二次電池用電極において、好ましくは、耐熱性銅合金を含む集電体は、200℃で1時間の焼鈍後の引張強度が300MPa以上である。このような引張強度を有する集電体を用いれば、シリコン膜形成時に加熱された後でも、集電体から活物質層が剥離するのをより抑制することができるとともに、集電体および集電体上の活物質層を、より容易に所定の形状に加工することができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、耐熱性銅合金を含む集電体を準備する工程と、原料を気相中に放出して供給する方法を用いて、耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成する工程を備えている。
【0015】
この第2の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法では、上記のように、原料を気相中に放出して供給する方法を用いて、耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成することによって、気相中に放出されるホウ素原子の量を調整することにより、容易に、活物質層を構成するシリコン膜に添加されるホウ素の含有量を制御することができる。この場合、シリコン膜に添加されるホウ素の含有量を所定量(0.01原子%以上)に制御すれば、シリコン膜の引張強度や伸び限界などの機械的特性が変化することにより、充放電時に活物質層内に発生する応力を低減することができると考えられる。また、シリコン膜に添加されるホウ素の含有量を所定量(0.01原子%以上)に制御すれば、シリコン膜に0.01%以上のホウ素が添加されない場合に比べて、シリコン膜と電解液との反応特性が変化するので、充放電中のシリコン膜の機械的特性が変化していると考えられる。これらにより、充放電時に活物質層と集電体との界面に発生する応力を低減することができるので、充放電時に活物質層と集電体との界面に応力が集中することに起因して、集電体から活物質層が剥離するのを抑制することができる。その結果、充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極を作製できる。また、耐熱性銅合金を含む集電体を用いることによって、耐熱性銅合金は、加熱された場合にも機械的強度が低下しにくいので、集電体の表面上に活物質層を形成する際の温度変化に起因して、集電体の機械的強度が低下するのを抑制することができる。その結果、集電体および集電体上の活物質層を、容易に所定の形状に加工することができる。
【0016】
上記第2の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、原料を気相中に放出して供給する方法は、スパッタリング法である。このように構成すれば、ホウ素を含むシリコンターゲットをスパッタリングすることにより、容易に、ホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成することができる。このようにスパッタリング法を用いれば、ホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成する場合に、固体のホウ素をターゲットとして用いることができるので、ホウ素を含むジボランなどの有毒ガスを使用する必要がない。なお、この場合、シリコンターゲットとホウ素ターゲットとの2つのターゲットを同時にスパッタリングするようにしてもよい。このように構成すれば、容易に、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0018】
(実施例1、実施例2および比較例1共通)
[負極集電体の作製]
図1は、本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極集電体の構造を示した断面図である。図1を参照して、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極集電体の作製プロセスについて説明する。
【0019】
まず、銅に0.02%〜0.2%のジルコニウムが添加された31μmの厚みを有する耐熱性のジルコニウム銅箔の表面を粗面化した。具体的には、電解法を用いて、ジルコニウム銅箔の表面の凹凸形状のRa(算術平均粗さ)が、0.25μmになるように銅を析出させた。このようにして、図1に示すように、粗面化された耐熱性のジルコニウム銅箔からなる負極集電体1を作製した。この負極集電体1としてのジルコニウム銅箔の焼鈍(温度:200℃、時間:1時間)後の引張強度は、400MPaであった。なお、負極集電体1は、本発明の「集電体」の一例であり、ジルコニウム銅箔は、本発明の「耐熱性銅合金」の一例である。
【0020】
[負極(負極活物質層)の作製]
図2は、本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の作製に使用したスパッタリング装置を示した概略図である。まず、図2を参照して、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の作製に使用したスパッタリング装置の構成について説明する。
【0021】
このスパッタリング装置は、図2に示すように、真空チャンバ11と、真空チャンバ11内に回転可能に支持された水冷回転ドラム12と、水冷回転ドラム12と対向するように設置されたターゲット13および14と、ターゲット13に直流パルス電力を供給するための直流パルス電源15と、ターゲット14に高周波電力を供給するための高周波電源16とを備えている。また、真空チャンバ11には、アルゴンガスを導入するためのガス導入口11aと、真空チャンバ11内を真空排気するための真空排気口11bとが設けられている。そして、リチウム二次電池用負極を作製する際には、水冷回転ドラム12上に、上記のようにして作製したジルコニウム銅箔からなる負極集電体1を設置した後、以下の表1に示す条件下で、負極集電体1上に活物質層を形成した。
【0022】
【表1】
上記表1を参照して、直流パルス電力が供給されるターゲット13としては、シリコンターゲットを用いるとともに、高周波電力が供給されるターゲット14としては、ホウ素ターゲットを用いた。シリコンターゲット(ターゲット13)に供給する直流パルス電力の周波数、パルス幅および電力は、それぞれ、100kHz、1856ns、および、2000Wに設定した。また、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に供給する高周波電力は、0W〜1000Wに設定した。また、アルゴンガス流量、ガス圧力、形成時間および膜厚は、それぞれ、60sccm、2×10−1Pa〜2.5×10−1Pa、146分、および、5μmに設定した。
【0023】
ここで、実施例1によるリチウム二次電池用負極を形成する際には、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に供給する高周波電力を800Wに設定した。
【0024】
また、実施例2によるリチウム二次電池用負極を形成する際には、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に供給する高周波電力を1000Wに設定した。
【0025】
また、比較例1によるリチウム二次電池用負極を形成する際には、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に高周波電力を供給しなかった。
【0026】
図3は、本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の構造を示した断面図である。次に、図2および図3を参照して、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極(負極活物質層)の詳細な作製プロセスについて説明する。
【0027】
まず、図2に示した真空チャンバ11内の真空度が1×10−4Paとなるように、真空排気口11bを用いて真空排気した。この後、60sccmの流量および2×10−1Pa〜2.5×10−1Paの圧力で、ガス導入口11aからアルゴンガスを導入するとともに、ガス圧力を安定させた。
【0028】
次に、実施例1および2では、ガス圧力が安定した状態で、シリコンターゲット(ターゲット13)とホウ素ターゲット(ターゲット14)との2つを同時にスパッタリングした。具体的には、直流パルス電源15からターゲット13に直流パルス電力を供給するとともに、高周波電源16からターゲット14に高周波電力を供給することによって、プラズマ13aおよび14aを同時に発生させた。この際、プラズマ13aおよび14a中のアルゴンイオンが、それぞれ、ターゲット13および14の表面に衝突するので、ターゲット13を構成するシリコン原子およびターゲット14を構成するホウ素原子がはじき出される。この状態で、負極集電体1が設置された水冷回転ドラム12を矢印A方向に146分間回転させることによって、図3に示すように、負極集電体1上に、5μmの厚みを有するホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2を形成した。この負極集電体1上に形成される負極活物質層2は、負極集電体1の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状となる。なお、負極活物質層2は、本発明の「活物質層」の一例である。
【0029】
また、比較例1では、上記した実施例1および2のプロセスにおいて、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に高周波電力を供給しなかった。比較例1のその他のプロセスは、上記した実施例1および2のプロセスと同様である。
【0030】
この後、負極集電体1および負極活物質層2を、2.5cm角の正方形に切り出した後、負極タブを取り付けることによって、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を作製した。
【0031】
次に、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析法)を用いて、上記のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極活物質層(シリコン膜)2に添加されたホウ素の含有量を測定した。具体的には、シリコン膜の表面から2μmの深さにおけるホウ素の含有量を測定した。この測定結果を以下の表2に示す。
【0032】
【表2】
上記表2を参照して、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に800Wの高周波電力を供給した実施例1では、ホウ素の含有量が3.1原子%であった。
【0033】
また、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に1000Wの高周波電力を供給した実施例2では、ホウ素の含有量が5.5原子%であった。
【0034】
また、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に高周波電力を供給しなかった比較例1では、0.01原子%未満のホウ素が検出された。これは、真空チャンバ1中に残留していたホウ素原子またはシリコンターゲットにドーパントとして含まれていたホウ素原子がシリコン膜中に添加されたためであると考えられる。
【0035】
なお、実施例1、実施例2および比較例1の負極活物質層のX線回折を測定したところ、すべて非晶質であることが確認された。
【0036】
次に、上記のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の性能を調べるために、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を用いた電池を作製して充放電サイクル試験を行った。
【0037】
[正極の作製]
まず、LiCoO2粉末90重量部と、導電材としての人造黒鉛粉末5重量部と、結着材としてのポリテトラフルオロエチレン5重量部とを含む5重量%のN−メチルピロリドン水溶液からなる正極合剤スラリーを形成した。そして、ドクターブレード法を用いて、18μmの厚みを有する正極集電体としてのアルミニウム箔上の2cm角の領域に、正極合剤スラリーを塗布した後、乾燥することによって、正極合剤からなる正極活物質層を形成した。この後、正極合剤スラリーを塗布していない正極集電体の裏面上に、正極タブを取り付けることによって、正極を作製した。
【0038】
[電解液の作製]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解するとともに、ビニレンカーボネートを5重量%添加することによって、電解液を作製した。
【0039】
[電池の作製]
図4は、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を用いて作製されたリチウム二次電池の斜視図であり、図5は、図4の100−100線に沿った断面図である。まず、図5に示すように、正極集電体4および正極活物質層5として、上記のようにして作製した正極を構成する正極集電体および正極活物質層を用いた。また、電解液9として、上記のようにして作製した電解液を用いた。そして、アルミラミネートフィルムからなる外装体7内に、負極集電体1および負極活物質層2からなる負極と、正極集電体4および正極活物質層5からなる正極とを取り付けた。具体的には、負極活物質層2と正極活物質層5とがセパレータ8を挟んで対向するように、負極および正極を配置した。また、負極タブ3を、外装体7の一方の封口部7aを介して外側に配置するとともに、正極タブ6(図4参照)を、外装体7の他方の封口部(図示せず)を介して外側に配置した。そして、外装体7内に電解液9を封入した後、一方の封口部7aおよび他方の封口部を溶着することにより封口した。
【0040】
[充放電サイクル試験]
上記のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1に対応するそれぞれのリチウム二次電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電の条件は、13mAの充電電流で充電終止電圧が4.2Vとなるまで充電した後、13mAの放電電流で放電終止電圧が2.75Vとなるまで放電した。これを1サイクルの充放電として、1サイクル目および200サイクル目における放電容量および容量維持率を測定した。この測定結果を以下の表3に示す。
【0041】
【表3】
上記表3を参照して、所定量(3.1原子%および5.5原子%)のホウ素が添加されたシリコン膜を負極活物質層2として用いた実施例1および2によるリチウム二次電池用負極の方が、ホウ素の含有量が0.01原子%未満のシリコン膜を負極活物質層2として用いた比較例1によるリチウム二次電池用負極よりも、放電容量が大きくなるとともに、容量維持率が高くなることが判明した。具体的には、1サイクル目における放電容量が、実施例1および2では、12.3mAhであったのに対し、比較例1では、11.9mAhであった。また、200サイクル目における放電容量が、実施例1および2では、3.5mAh〜4.8mAhであったのに対し、比較例1では、2.3mAhであった。また、200サイクル目における容量維持率が、実施例1および2では、28.9%〜39.7%であったのに対し、比較例1では、19.1%であった。特に、ホウ素の含有量が3.1原子%である実施例1では、放電容量(4.8mAh)が最も大きくなるとともに、容量維持率(39.7%)が最も高くなることが判明した。
【0042】
また、充放電サイクル試験後に、実施例1および2によるリチウム二次電池用負極を取り出して確認したところ、負極活物質層2の剥離や負極集電体1の変形は見られなかった。
【0043】
この結果から、負極活物質層2としてのシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、充放電時に、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのが抑制されたといえる。すなわち、負極活物質層2を構成するシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、シリコン膜の引張強度や伸び限界などの機械的特性が変化することにより、充放電時に負極活物質層2内に発生する応力を低減することができると考えられる。また、負極活物質層2を構成するシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、シリコン膜に0.01%以上のホウ素が添加されない場合に比べて、シリコン膜と電解液9との反応特性が変化するので、充放電中のシリコン膜の機械的特性が変化していると考えられる。これらにより、充放電時に負極活物質層2と負極集電体1との界面に発生する応力を低減することができるので、充放電時に負極活物質層2と負極集電体1との界面に応力が集中することに起因して、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのが抑制されたと考えられる。
【0044】
また、負極活物質層2を構成するシリコン膜を非晶質にすることによって、ホウ素の添加が容易になるので、上記した効果がより増大すると考えられる。
【0045】
また、負極集電体1としてのジルコニウム銅箔の表面の凹凸形状のRaを、0.25μmにすることによって、充放電時に、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのがより抑制されたといえる。具体的には、図3に示したように、負極集電体1上に形成される負極活物質層2は、負極集電体1の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状となる。このため、図6に示すように、充放電時に負極活物質層2が膨張および伸縮する際に、負極活物質層2の凹状領域に応力が集中するので、負極活物質層2の凹状領域に亀裂2aが生じるとともに、負極活物質層2が亀裂2aにより柱状に分離される。これにより、負極活物質層2内に発生する応力が分散されるので、負極活物質層2と負極集電体1との界面に発生する応力をより低減することができる。その結果、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのをより抑制することができる。
【0046】
実施例1および2では、上記のように、凹凸形状の表面(Ra:0.25μm)を有するジルコニウム銅箔からなる負極集電体1上に形成される負極活物質層2としてのシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのを抑制することができる。その結果、リチウム二次電池用負極の充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることができる。また、ジルコニウム銅箔は、加熱された場合にも機械的強度が低下しにくいので、負極集電体1の表面上に負極活物質層2を形成する際に、負極集電体1の温度が上昇したとしても、負極集電体1の機械的強度が低下するのを抑制することができる。その結果、負極集電体1および負極集電体1上の負極活物質層2を、容易に所定の形状に加工することができる。
【0047】
また、実施例1および2の作製プロセスでは、上記のように、シリコンターゲット(ターゲット13)とホウ素ターゲット(ターゲット14)との2つを同時にスパッタリングすることによって、容易に、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2を形成することができる。このようにスパッタリング法を用いれば、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2を形成する場合に、固体のホウ素をターゲットとして用いることができるので、ホウ素を含むジボランなどの有毒ガスを使用する必要がない。
【0048】
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
たとえば、上記実施例1および2では、活物質層に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加するようにしたが、本発明はこれに限らず、活物質層のホウ素の含有量が、0.01原子%以上であればよい。また、本発明では、5.5原子%を超えるホウ素が添加された活物質層を用いた場合の充放電サイクル試験を実施していないが、実施例1および2の結果から、活物質層のホウ素の含有量が10原子%以下であれば、同様の効果を得ることができると考えられる。
【0050】
また、上記実施例1および2では、気相から原料を供給する方法の一例としてスパッタリング法を用いて、シリコンターゲットとホウ素ターゲットとの2つのターゲットを同時にスパッタリングすることにより、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、ホウ素を含むシリコンターゲットをスパッタリングするようにしてもよい。また、スパッタリング法以外の気相から原料を供給する方法を用いて、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成してもよい。たとえば、CVD法または蒸着法などを用いて、ホウ素を含むガスを導入することにより、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施例1および2では、集電体としてのジルコニウム銅箔の表面の凹凸形状のRaが、0.25μmになるようにしたが、本発明はこれに限らず、集電体の表面の凹凸形状のRaが0.1μm以上であれば、同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上記実施例1および2では、集電体の材料として、耐熱性のジルコニウム銅箔を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、焼鈍(温度:200℃、時間:1時間)後の引張強度が300MPa以上であれば、ジルコニウム銅箔以外の他の耐熱性銅合金箔を集電体の材料として用いてもよい。つまり、タフピッチ銅箔などの純銅箔の焼鈍後の引張強度(200MPa)よりも大きければよい。たとえば、錫入り銅(錫:0.05%〜0.2%、燐:0.04%以下)、銀入り銅(銀:0.08%〜0.25%)、クロム銅(クロム:0.4%〜1.2%)、チタン銅(チタン:1.0%〜4.0%)、ベリリウム銅(ベリリウム:0.4%〜2.2%、コバルト、ニッケルおよび鉄:少量)、鉄入り銅(鉄:0.1%〜2.6%、燐:0.01%〜0.3%)、高力黄銅(銅:55.0%〜60.5%、アルミニウム:2.0%以下、マンガン:3.0%以下、鉄:1.5%以下)、錫入り黄銅(銅:80.0%〜95.0%、錫:1.5%〜3.5%、亜鉛:残り)、燐青銅(銅を主成分として、錫:3.5%〜9.0%、燐:0.03%〜0.35%含む)、アルミニウム青銅(銅:77.0%〜92.5%、アルミニウム:6.0%〜12.0%、鉄:1.5%〜6.0%、ニッケル:7.0%以下、マンガン:2.0%以下)、白銅(銅を主成分として、ニッケル:9.0%〜33.0%、鉄:0.4%〜2.3%、マンガン:0.2%〜2.5%、亜鉛:1.0%以下含む)、コルソン合金(銅に、ニッケル:3.0%、シリコン:0.65%、マグネシウム:0.15%添加)、および、Cr・Zr銅合金(クロム:0.2%、ジルコニウム:0.1%、亜鉛:0.2%)などの銅合金箔が挙げられる。
【0053】
また、上記実施例1および2では、集電体を耐熱性のジルコニウム銅箔のみから形成したが、本発明はこれに限らず、複数の耐熱性銅合金からなる層により集電体を形成してもよいし、耐熱性銅合金と耐熱性銅合金以外の金属層とにより集電体を形成してもよい。
【0054】
また、上記実施例1および2では、活物質層をホウ素を0.01原子%以上添加したシリコン膜のみにより形成したが、本発明はこれに限らず、少なくとも集電体との界面にホウ素を0.01原子%以上添加したシリコン膜を含む複数の層からなる活物質層を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極集電体の構造を示した断面図である。
【図2】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の作製に使用したスパッタリング装置を示した概略図である。
【図3】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の構造を示した断面図である。
【図4】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を用いて作製されたリチウム二次電池の斜視図である。
【図5】図4の100−100線に沿った断面図である。
【図6】図3に示した実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の充放電時の状態を示した断面図である。
【符号の説明】
1 負極集電体(集電体)
2 負極活物質層(活物質層)
【発明の属する技術分野】
この発明は、リチウム二次電池用電極およびその製造方法に関し、特に、集電体上に活物質層が形成されたリチウム二次電池用電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リチウム二次電池用電極において、集電体上に、微結晶または非晶質のシリコン膜からなる活物質層を形成することによって、充放電サイクル特性を向上させる技術が知られている。上記した微結晶または非晶質のシリコン膜からなる活物質層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法または蒸着法などにより形成することができる。また、活物質層としての微結晶または非晶質のシリコン膜に、シリコン以外の元素が添加されたリチウム二次電池用電極も知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来では、集電体の材料として、一般的に、タフピッチ銅箔などの純銅箔が使用されている。しかしながら、純銅箔からなる集電体は、機械的強度が低いという不都合があった。すなわち、純銅箔からなる集電体上に活物質層が形成されたリチウム二次電池用電極を用いた場合、充放電時に、活物質層の体積変化により発生する応力に起因して、集電体が変形するという不都合があった。そこで、従来では、純銅箔よりも高い機械的強度を有する材料からなる集電体が用いられたリチウム二次電池用電極が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
上記特許文献2には、純銅箔よりも高い機械的強度を有する材料として、コルソン合金箔を用いた例が開示されている。この特許文献2では、コルソン合金箔からなる集電体を用いることによって、充放電時に活物質層の体積変化による集電体の変形を抑制することが可能となる。また、コルソン合金箔などの銅合金箔は、純銅箔に比べて導電性が劣るが、集電体として用いる場合には、特に問題はない。
【0005】
【特許文献1】
国際公開WO01/29913号公報
【特許文献2】
特開2003−7305号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2のように、集電体として機械的強度の高い材料を用いれば、充放電時の集電体の変形を抑制することができる一方、集電体の変形が小さいので、集電体と活物質層との界面に応力が集中しやすくなるという新たな不都合が生じる。この場合、集電体から活物質層が剥離しやすくなるので、集電体の変形が抑制されたとしても、充放電容量が小さくなるとともに、サイクル特性が低下するという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極を提供することである。
【0007】
この発明のもう1つの目的は、充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成することによって、充放電時に、集電体から活物質層が剥離するのを抑制することが可能であることを見い出した。
【0009】
すなわち、この発明の第1の局面によるリチウム二次電池用電極は、耐熱性銅合金を含む集電体と、耐熱性銅合金を含む集電体上に形成され、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層とを備えている。
【0010】
この第1の局面によるリチウム二次電池用電極では、上記のように、活物質層を構成するシリコン膜に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素を添加することによって、シリコン膜の引張強度や伸び限界などの機械的特性が変化することにより、充放電時に活物質層内に発生する応力を低減することができると考えられる。また、活物質層を構成するシリコン膜に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素を添加することによって、シリコン膜に0.01%以上のホウ素が添加されない場合に比べて、シリコン膜と電解液との反応特性が変化するので、充放電中のシリコン膜の機械的特性が変化していると考えられる。これらにより、充放電時に活物質層と集電体との界面に発生する応力を低減することができるので、充放電時に活物質層と集電体との界面に応力が集中することに起因して、集電体から活物質層が剥離するのを抑制することができる。その結果、リチウム二次電池用電極の充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることができる。また、耐熱性銅合金を含む集電体を用いることによって、耐熱性銅合金は、加熱された場合にも機械的強度が低下しにくいので、集電体の表面上に活物質層を形成する際の温度変化に起因して、集電体の機械的強度が低下するのを抑制することができる。その結果、集電体を変形させることなく優れた充放電サイクル特性を得ることができるとともに、集電体および集電体上の活物質層を、容易に所定の形状に加工することができる。
【0011】
上記第1の局面によるリチウム二次電池用電極において、好ましくは、シリコン膜のホウ素の含有量は、3.1原子%以上5.5原子%以下である。添加されるホウ素を、このような範囲に制御すれば、特に良好な充放電サイクル特性を得ることができる。なお、この点は、実験により確認済みである。
【0012】
上記第1の局面によるリチウム二次電池用電極において、好ましくは、耐熱性銅合金を含む集電体は、算術平均粗さRaが0.1μm以上の凹凸形状の表面を有している。ここで、Raは、日本工業規格(JIS B0601−1994)に定められており、たとえば、表面粗さ計により測定できる。このように構成すれば、集電体上に形成される活物質層は、集電体の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状となる。このため、充放電時に活物質層が膨張および伸縮する際に、活物質層の凹状領域に応力が集中するので、活物質層の凹状領域に亀裂が生じるとともに、活物質層が亀裂により柱状に分離される。これにより、活物質層内に発生する応力が分散されるので、活物質層と集電体との界面に発生する応力をより低減することができる。その結果、集電体から活物質層が剥離するのをより抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面によるリチウム二次電池用電極において、好ましくは、耐熱性銅合金を含む集電体は、200℃で1時間の焼鈍後の引張強度が300MPa以上である。このような引張強度を有する集電体を用いれば、シリコン膜形成時に加熱された後でも、集電体から活物質層が剥離するのをより抑制することができるとともに、集電体および集電体上の活物質層を、より容易に所定の形状に加工することができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、耐熱性銅合金を含む集電体を準備する工程と、原料を気相中に放出して供給する方法を用いて、耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成する工程を備えている。
【0015】
この第2の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法では、上記のように、原料を気相中に放出して供給する方法を用いて、耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成することによって、気相中に放出されるホウ素原子の量を調整することにより、容易に、活物質層を構成するシリコン膜に添加されるホウ素の含有量を制御することができる。この場合、シリコン膜に添加されるホウ素の含有量を所定量(0.01原子%以上)に制御すれば、シリコン膜の引張強度や伸び限界などの機械的特性が変化することにより、充放電時に活物質層内に発生する応力を低減することができると考えられる。また、シリコン膜に添加されるホウ素の含有量を所定量(0.01原子%以上)に制御すれば、シリコン膜に0.01%以上のホウ素が添加されない場合に比べて、シリコン膜と電解液との反応特性が変化するので、充放電中のシリコン膜の機械的特性が変化していると考えられる。これらにより、充放電時に活物質層と集電体との界面に発生する応力を低減することができるので、充放電時に活物質層と集電体との界面に応力が集中することに起因して、集電体から活物質層が剥離するのを抑制することができる。その結果、充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池用電極を作製できる。また、耐熱性銅合金を含む集電体を用いることによって、耐熱性銅合金は、加熱された場合にも機械的強度が低下しにくいので、集電体の表面上に活物質層を形成する際の温度変化に起因して、集電体の機械的強度が低下するのを抑制することができる。その結果、集電体および集電体上の活物質層を、容易に所定の形状に加工することができる。
【0016】
上記第2の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、原料を気相中に放出して供給する方法は、スパッタリング法である。このように構成すれば、ホウ素を含むシリコンターゲットをスパッタリングすることにより、容易に、ホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成することができる。このようにスパッタリング法を用いれば、ホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成する場合に、固体のホウ素をターゲットとして用いることができるので、ホウ素を含むジボランなどの有毒ガスを使用する必要がない。なお、この場合、シリコンターゲットとホウ素ターゲットとの2つのターゲットを同時にスパッタリングするようにしてもよい。このように構成すれば、容易に、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0018】
(実施例1、実施例2および比較例1共通)
[負極集電体の作製]
図1は、本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極集電体の構造を示した断面図である。図1を参照して、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極集電体の作製プロセスについて説明する。
【0019】
まず、銅に0.02%〜0.2%のジルコニウムが添加された31μmの厚みを有する耐熱性のジルコニウム銅箔の表面を粗面化した。具体的には、電解法を用いて、ジルコニウム銅箔の表面の凹凸形状のRa(算術平均粗さ)が、0.25μmになるように銅を析出させた。このようにして、図1に示すように、粗面化された耐熱性のジルコニウム銅箔からなる負極集電体1を作製した。この負極集電体1としてのジルコニウム銅箔の焼鈍(温度:200℃、時間:1時間)後の引張強度は、400MPaであった。なお、負極集電体1は、本発明の「集電体」の一例であり、ジルコニウム銅箔は、本発明の「耐熱性銅合金」の一例である。
【0020】
[負極(負極活物質層)の作製]
図2は、本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の作製に使用したスパッタリング装置を示した概略図である。まず、図2を参照して、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の作製に使用したスパッタリング装置の構成について説明する。
【0021】
このスパッタリング装置は、図2に示すように、真空チャンバ11と、真空チャンバ11内に回転可能に支持された水冷回転ドラム12と、水冷回転ドラム12と対向するように設置されたターゲット13および14と、ターゲット13に直流パルス電力を供給するための直流パルス電源15と、ターゲット14に高周波電力を供給するための高周波電源16とを備えている。また、真空チャンバ11には、アルゴンガスを導入するためのガス導入口11aと、真空チャンバ11内を真空排気するための真空排気口11bとが設けられている。そして、リチウム二次電池用負極を作製する際には、水冷回転ドラム12上に、上記のようにして作製したジルコニウム銅箔からなる負極集電体1を設置した後、以下の表1に示す条件下で、負極集電体1上に活物質層を形成した。
【0022】
【表1】
上記表1を参照して、直流パルス電力が供給されるターゲット13としては、シリコンターゲットを用いるとともに、高周波電力が供給されるターゲット14としては、ホウ素ターゲットを用いた。シリコンターゲット(ターゲット13)に供給する直流パルス電力の周波数、パルス幅および電力は、それぞれ、100kHz、1856ns、および、2000Wに設定した。また、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に供給する高周波電力は、0W〜1000Wに設定した。また、アルゴンガス流量、ガス圧力、形成時間および膜厚は、それぞれ、60sccm、2×10−1Pa〜2.5×10−1Pa、146分、および、5μmに設定した。
【0023】
ここで、実施例1によるリチウム二次電池用負極を形成する際には、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に供給する高周波電力を800Wに設定した。
【0024】
また、実施例2によるリチウム二次電池用負極を形成する際には、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に供給する高周波電力を1000Wに設定した。
【0025】
また、比較例1によるリチウム二次電池用負極を形成する際には、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に高周波電力を供給しなかった。
【0026】
図3は、本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の構造を示した断面図である。次に、図2および図3を参照して、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極(負極活物質層)の詳細な作製プロセスについて説明する。
【0027】
まず、図2に示した真空チャンバ11内の真空度が1×10−4Paとなるように、真空排気口11bを用いて真空排気した。この後、60sccmの流量および2×10−1Pa〜2.5×10−1Paの圧力で、ガス導入口11aからアルゴンガスを導入するとともに、ガス圧力を安定させた。
【0028】
次に、実施例1および2では、ガス圧力が安定した状態で、シリコンターゲット(ターゲット13)とホウ素ターゲット(ターゲット14)との2つを同時にスパッタリングした。具体的には、直流パルス電源15からターゲット13に直流パルス電力を供給するとともに、高周波電源16からターゲット14に高周波電力を供給することによって、プラズマ13aおよび14aを同時に発生させた。この際、プラズマ13aおよび14a中のアルゴンイオンが、それぞれ、ターゲット13および14の表面に衝突するので、ターゲット13を構成するシリコン原子およびターゲット14を構成するホウ素原子がはじき出される。この状態で、負極集電体1が設置された水冷回転ドラム12を矢印A方向に146分間回転させることによって、図3に示すように、負極集電体1上に、5μmの厚みを有するホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2を形成した。この負極集電体1上に形成される負極活物質層2は、負極集電体1の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状となる。なお、負極活物質層2は、本発明の「活物質層」の一例である。
【0029】
また、比較例1では、上記した実施例1および2のプロセスにおいて、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に高周波電力を供給しなかった。比較例1のその他のプロセスは、上記した実施例1および2のプロセスと同様である。
【0030】
この後、負極集電体1および負極活物質層2を、2.5cm角の正方形に切り出した後、負極タブを取り付けることによって、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を作製した。
【0031】
次に、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析法)を用いて、上記のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極活物質層(シリコン膜)2に添加されたホウ素の含有量を測定した。具体的には、シリコン膜の表面から2μmの深さにおけるホウ素の含有量を測定した。この測定結果を以下の表2に示す。
【0032】
【表2】
上記表2を参照して、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に800Wの高周波電力を供給した実施例1では、ホウ素の含有量が3.1原子%であった。
【0033】
また、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に1000Wの高周波電力を供給した実施例2では、ホウ素の含有量が5.5原子%であった。
【0034】
また、ホウ素ターゲット(ターゲット14)に高周波電力を供給しなかった比較例1では、0.01原子%未満のホウ素が検出された。これは、真空チャンバ1中に残留していたホウ素原子またはシリコンターゲットにドーパントとして含まれていたホウ素原子がシリコン膜中に添加されたためであると考えられる。
【0035】
なお、実施例1、実施例2および比較例1の負極活物質層のX線回折を測定したところ、すべて非晶質であることが確認された。
【0036】
次に、上記のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の性能を調べるために、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を用いた電池を作製して充放電サイクル試験を行った。
【0037】
[正極の作製]
まず、LiCoO2粉末90重量部と、導電材としての人造黒鉛粉末5重量部と、結着材としてのポリテトラフルオロエチレン5重量部とを含む5重量%のN−メチルピロリドン水溶液からなる正極合剤スラリーを形成した。そして、ドクターブレード法を用いて、18μmの厚みを有する正極集電体としてのアルミニウム箔上の2cm角の領域に、正極合剤スラリーを塗布した後、乾燥することによって、正極合剤からなる正極活物質層を形成した。この後、正極合剤スラリーを塗布していない正極集電体の裏面上に、正極タブを取り付けることによって、正極を作製した。
【0038】
[電解液の作製]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解するとともに、ビニレンカーボネートを5重量%添加することによって、電解液を作製した。
【0039】
[電池の作製]
図4は、実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を用いて作製されたリチウム二次電池の斜視図であり、図5は、図4の100−100線に沿った断面図である。まず、図5に示すように、正極集電体4および正極活物質層5として、上記のようにして作製した正極を構成する正極集電体および正極活物質層を用いた。また、電解液9として、上記のようにして作製した電解液を用いた。そして、アルミラミネートフィルムからなる外装体7内に、負極集電体1および負極活物質層2からなる負極と、正極集電体4および正極活物質層5からなる正極とを取り付けた。具体的には、負極活物質層2と正極活物質層5とがセパレータ8を挟んで対向するように、負極および正極を配置した。また、負極タブ3を、外装体7の一方の封口部7aを介して外側に配置するとともに、正極タブ6(図4参照)を、外装体7の他方の封口部(図示せず)を介して外側に配置した。そして、外装体7内に電解液9を封入した後、一方の封口部7aおよび他方の封口部を溶着することにより封口した。
【0040】
[充放電サイクル試験]
上記のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1に対応するそれぞれのリチウム二次電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電の条件は、13mAの充電電流で充電終止電圧が4.2Vとなるまで充電した後、13mAの放電電流で放電終止電圧が2.75Vとなるまで放電した。これを1サイクルの充放電として、1サイクル目および200サイクル目における放電容量および容量維持率を測定した。この測定結果を以下の表3に示す。
【0041】
【表3】
上記表3を参照して、所定量(3.1原子%および5.5原子%)のホウ素が添加されたシリコン膜を負極活物質層2として用いた実施例1および2によるリチウム二次電池用負極の方が、ホウ素の含有量が0.01原子%未満のシリコン膜を負極活物質層2として用いた比較例1によるリチウム二次電池用負極よりも、放電容量が大きくなるとともに、容量維持率が高くなることが判明した。具体的には、1サイクル目における放電容量が、実施例1および2では、12.3mAhであったのに対し、比較例1では、11.9mAhであった。また、200サイクル目における放電容量が、実施例1および2では、3.5mAh〜4.8mAhであったのに対し、比較例1では、2.3mAhであった。また、200サイクル目における容量維持率が、実施例1および2では、28.9%〜39.7%であったのに対し、比較例1では、19.1%であった。特に、ホウ素の含有量が3.1原子%である実施例1では、放電容量(4.8mAh)が最も大きくなるとともに、容量維持率(39.7%)が最も高くなることが判明した。
【0042】
また、充放電サイクル試験後に、実施例1および2によるリチウム二次電池用負極を取り出して確認したところ、負極活物質層2の剥離や負極集電体1の変形は見られなかった。
【0043】
この結果から、負極活物質層2としてのシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、充放電時に、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのが抑制されたといえる。すなわち、負極活物質層2を構成するシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、シリコン膜の引張強度や伸び限界などの機械的特性が変化することにより、充放電時に負極活物質層2内に発生する応力を低減することができると考えられる。また、負極活物質層2を構成するシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、シリコン膜に0.01%以上のホウ素が添加されない場合に比べて、シリコン膜と電解液9との反応特性が変化するので、充放電中のシリコン膜の機械的特性が変化していると考えられる。これらにより、充放電時に負極活物質層2と負極集電体1との界面に発生する応力を低減することができるので、充放電時に負極活物質層2と負極集電体1との界面に応力が集中することに起因して、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのが抑制されたと考えられる。
【0044】
また、負極活物質層2を構成するシリコン膜を非晶質にすることによって、ホウ素の添加が容易になるので、上記した効果がより増大すると考えられる。
【0045】
また、負極集電体1としてのジルコニウム銅箔の表面の凹凸形状のRaを、0.25μmにすることによって、充放電時に、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのがより抑制されたといえる。具体的には、図3に示したように、負極集電体1上に形成される負極活物質層2は、負極集電体1の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状となる。このため、図6に示すように、充放電時に負極活物質層2が膨張および伸縮する際に、負極活物質層2の凹状領域に応力が集中するので、負極活物質層2の凹状領域に亀裂2aが生じるとともに、負極活物質層2が亀裂2aにより柱状に分離される。これにより、負極活物質層2内に発生する応力が分散されるので、負極活物質層2と負極集電体1との界面に発生する応力をより低減することができる。その結果、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのをより抑制することができる。
【0046】
実施例1および2では、上記のように、凹凸形状の表面(Ra:0.25μm)を有するジルコニウム銅箔からなる負極集電体1上に形成される負極活物質層2としてのシリコン膜に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加することによって、負極集電体1から負極活物質層2が剥離するのを抑制することができる。その結果、リチウム二次電池用負極の充放電容量を大きくすることができるとともに、サイクル特性を向上させることができる。また、ジルコニウム銅箔は、加熱された場合にも機械的強度が低下しにくいので、負極集電体1の表面上に負極活物質層2を形成する際に、負極集電体1の温度が上昇したとしても、負極集電体1の機械的強度が低下するのを抑制することができる。その結果、負極集電体1および負極集電体1上の負極活物質層2を、容易に所定の形状に加工することができる。
【0047】
また、実施例1および2の作製プロセスでは、上記のように、シリコンターゲット(ターゲット13)とホウ素ターゲット(ターゲット14)との2つを同時にスパッタリングすることによって、容易に、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2を形成することができる。このようにスパッタリング法を用いれば、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる負極活物質層2を形成する場合に、固体のホウ素をターゲットとして用いることができるので、ホウ素を含むジボランなどの有毒ガスを使用する必要がない。
【0048】
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
たとえば、上記実施例1および2では、活物質層に、3.1原子%以上5.5原子%以下のホウ素を添加するようにしたが、本発明はこれに限らず、活物質層のホウ素の含有量が、0.01原子%以上であればよい。また、本発明では、5.5原子%を超えるホウ素が添加された活物質層を用いた場合の充放電サイクル試験を実施していないが、実施例1および2の結果から、活物質層のホウ素の含有量が10原子%以下であれば、同様の効果を得ることができると考えられる。
【0050】
また、上記実施例1および2では、気相から原料を供給する方法の一例としてスパッタリング法を用いて、シリコンターゲットとホウ素ターゲットとの2つのターゲットを同時にスパッタリングすることにより、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、ホウ素を含むシリコンターゲットをスパッタリングするようにしてもよい。また、スパッタリング法以外の気相から原料を供給する方法を用いて、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成してもよい。たとえば、CVD法または蒸着法などを用いて、ホウ素を含むガスを導入することにより、ホウ素が添加されたシリコン膜からなる活物質層を形成するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施例1および2では、集電体としてのジルコニウム銅箔の表面の凹凸形状のRaが、0.25μmになるようにしたが、本発明はこれに限らず、集電体の表面の凹凸形状のRaが0.1μm以上であれば、同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上記実施例1および2では、集電体の材料として、耐熱性のジルコニウム銅箔を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、焼鈍(温度:200℃、時間:1時間)後の引張強度が300MPa以上であれば、ジルコニウム銅箔以外の他の耐熱性銅合金箔を集電体の材料として用いてもよい。つまり、タフピッチ銅箔などの純銅箔の焼鈍後の引張強度(200MPa)よりも大きければよい。たとえば、錫入り銅(錫:0.05%〜0.2%、燐:0.04%以下)、銀入り銅(銀:0.08%〜0.25%)、クロム銅(クロム:0.4%〜1.2%)、チタン銅(チタン:1.0%〜4.0%)、ベリリウム銅(ベリリウム:0.4%〜2.2%、コバルト、ニッケルおよび鉄:少量)、鉄入り銅(鉄:0.1%〜2.6%、燐:0.01%〜0.3%)、高力黄銅(銅:55.0%〜60.5%、アルミニウム:2.0%以下、マンガン:3.0%以下、鉄:1.5%以下)、錫入り黄銅(銅:80.0%〜95.0%、錫:1.5%〜3.5%、亜鉛:残り)、燐青銅(銅を主成分として、錫:3.5%〜9.0%、燐:0.03%〜0.35%含む)、アルミニウム青銅(銅:77.0%〜92.5%、アルミニウム:6.0%〜12.0%、鉄:1.5%〜6.0%、ニッケル:7.0%以下、マンガン:2.0%以下)、白銅(銅を主成分として、ニッケル:9.0%〜33.0%、鉄:0.4%〜2.3%、マンガン:0.2%〜2.5%、亜鉛:1.0%以下含む)、コルソン合金(銅に、ニッケル:3.0%、シリコン:0.65%、マグネシウム:0.15%添加)、および、Cr・Zr銅合金(クロム:0.2%、ジルコニウム:0.1%、亜鉛:0.2%)などの銅合金箔が挙げられる。
【0053】
また、上記実施例1および2では、集電体を耐熱性のジルコニウム銅箔のみから形成したが、本発明はこれに限らず、複数の耐熱性銅合金からなる層により集電体を形成してもよいし、耐熱性銅合金と耐熱性銅合金以外の金属層とにより集電体を形成してもよい。
【0054】
また、上記実施例1および2では、活物質層をホウ素を0.01原子%以上添加したシリコン膜のみにより形成したが、本発明はこれに限らず、少なくとも集電体との界面にホウ素を0.01原子%以上添加したシリコン膜を含む複数の層からなる活物質層を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を構成する負極集電体の構造を示した断面図である。
【図2】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の作製に使用したスパッタリング装置を示した概略図である。
【図3】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の構造を示した断面図である。
【図4】本発明の実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極を用いて作製されたリチウム二次電池の斜視図である。
【図5】図4の100−100線に沿った断面図である。
【図6】図3に示した実施例1、実施例2および比較例1によるリチウム二次電池用負極の充放電時の状態を示した断面図である。
【符号の説明】
1 負極集電体(集電体)
2 負極活物質層(活物質層)
Claims (6)
- 耐熱性銅合金を含む集電体と、
前記耐熱性銅合金を含む集電体上に形成され、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層とを備えた、リチウム二次電池用電極。 - 前記シリコン膜のホウ素の含有量は、3.1原子%以上5.5原子%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記耐熱性銅合金を含む集電体は、算術平均粗さRaが0.1μm以上の凹凸形状の表面を有している、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記耐熱性銅合金を含む集電体は、200℃で1時間の焼鈍後の引張強度が300MPa以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 耐熱性銅合金を含む集電体を準備する工程と、
原料を気相中に放出して供給する方法を用いて、前記耐熱性銅合金を含む集電体上に、少なくとも0.01原子%以上のホウ素が添加されたシリコン膜を含む活物質層を形成する工程とを備えた、リチウム二次電池用電極の製造方法。 - 前記原料を気相中に放出して供給する方法は、スパッタリング法である、請求項5に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
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JPWO2010110205A1 (ja) * | 2009-03-24 | 2012-09-27 | 古河電気工業株式会社 | リチウムイオン二次電池、該電池用電極、該電池電極用電解銅箔 |
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